ガソリンスタンド等の地下貯蔵タンクの規制強化への対応に関する意見書

 近年、ガソリン販売業界では、石油製品の輸入自由化や石油元売会社直営のガソリンスタンドの拡大などにより、ガソリンスタンド間の競争が激化している。また、都内の中小ガソリン等販売事業者の経営環境は厳しさが続いており、この10年間で都内のガソリンスタンド数は約4割減少している。
 こうした中、地下貯蔵タンクの老朽化や腐食による危険物の流出防止を図るため、平成22年6月に国の「危険物の規制に関する規則」が改正された。地下貯蔵タンクの埋設年数に応じて、FRP内面ライニングや電気防食の施工、常時監視装置の導入などの措置を講ずることが義務付けられ、経過措置期間は平成25年1月末までとされた。
 この改正は、当該施設の近隣住民の安心・安全な生活環境の確保の観点から、その必要性については理解できるところである。しかしながら、ガソリン等販売事業者からは、規制強化に対応するための多額の費用負担や2年という経過措置期間の短さなどから、今後の事業継続に不安を抱える声が数多く寄せられている。実際に、中小ガソリン等販売事業者団体の独自調査でも、今回の規制強化に伴い、約2割のガソリン等販売事業者が費用負担に耐え切れず廃業するとの結果が出ている。
 この規制の円滑な実施には、十分な準備期間と適切な経過措置に加え、国による費用の一部助成等の財政的な支援が必要であるが、現時点では、その対象はガソリン等の供給が不安定とされる地域に限定されている。
 中小ガソリン等販売事業者は、都内経済の活性化や車を利用する一般消費者の利便性確保に大きく貢献しているほか、防災、防犯対策など、地域コミュニティーの維持にも重要な役割を果たしている。今回の規制強化による中小ガソリン等販売事業者の廃業・減少は、消費者である都民や地域コミュニティーに取り返しのつかない損失を与えることにもなりかねず、一刻も早い対応が求められる。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、ガソリンスタンド等の地下貯蔵タンクの規制強化への対応に関し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1地下貯蔵タンクの入替えやFRP内面ライニング等に係る補助事業の適用対象に都内の中小ガソリン等販売事業者を含めるなど、実効性ある支援措置を講ずること。
2平成25年1月末までとされている経過措置期間を延長すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成22年12月15日
東京都議会議長 和田宗春
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣 宛て
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