医療機関に係る事業税の特例措置に関する意見書

 現在、国の税制調査会では医療機関に係る事業税の特例措置について議論が行われている。
 事業税は、事業を行う上で享受する行政サービスに応じて負担するものであるが、民間医療機関は、住民検診、予防接種、学校医等の地域医療活動に積極的に取り組むなど、地域医療の施策推進に多大に貢献しており、また、医療法人は、医療法により非営利性が義務付けられ、極めて高い公益性を有していることから、それぞれ事業税の特例措置が講じられている。
 少子高齢化社会にあって、都民の健康を守り、多様化する医療ニーズに的確に応えていくには、行政と民間医療機関とが連携し、地域医療体制の充実・強化を図り、都民に対して安定的に医療サービスを提供していくことが必要不可欠である。
 しかし、全国的な医師、看護師不足は東京都においても例外ではないことに加え、民間医療機関は長年の診療報酬抑制政策により経営環境の悪化を余儀なくされており、緊急医療や小児、周産期医療を始めとする医療の崩壊が社会問題化するような事態を招いている。
 このような状況の下、医療機関に係る事業税の特例措置を廃止した場合は、地域医療体制の担い手である民間医療機関の経営基盤を根底から揺るがすばかりでなく、都内における地域医療の崩壊に拍車を掛け、低廉な医療サービスの提供が困難となり、都民の安心や安全を確保できなくなることが危惧される。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、医療機関に係る事業税の特例措置である社会保険診療報酬に係る非課税措置及び医療法人の社会保険診療以外の部分に係る軽減税率を存続するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成22年12月15日
東京都議会議長 和田宗春
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 厚生労働大臣 宛て
ページ先頭に戻る