行政書士への行政不服申立手続の代理権付与に関する意見書

 平成20年7月の行政書士法の改正により、行政書士が行政手続法に係る聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述代理を法定業務として行えることとなり、国民の利便性が高められるなど、行政書士を取り巻く社会環境は変化している。今後とも、行政書士には、国民のニーズを的確に把握し、一層国民の利便に資することが求められている。
 こうした中、現在、行政不服審査法における行政不服申立手続の代理権については、弁護士のほか、弁理士、税理士、司法書士、土地家屋調査士及び社会保険労務士には付与されているが、行政書士には認められておらず、国民の利便性向上の観点からも望ましい状況にはない。
 行政書士試験においては、行政手続法や行政不服審査法が試験科目とされていることに加え、日本行政書士会連合会では、中央研修所を設置し会員の能力向上に努めるとともに、提携の各大学院と連携し行政救済法等の司法研修を行い、行政不服申立手続を代理人として行うための専門性の確保に努めている。
 行政不服申立手続の煩雑さやそれに伴う国民の経済的負担を考慮すれば、当該手続への行政書士の参画は急務であり、それにより制度の活用の拡大が図られ、国民の権利行使に大きく貢献するものと期待される。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、国民の利便性の向上と行政不服審査法の利用促進を図るため、実体法に精通し高度な専門性を有する行政書士に、行政不服審査法に係る不服申立手続の代理権を付与するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成22年12月15日
東京都議会議長 和田宗春
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 宛て
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