私学振興に関する意見書

 東京の私立学校は、それぞれ独自の建学の精神や教育理念に基づき、社会や都民の多様化する要請に応じて、個性的で特色ある教育を積極的に展開している。
 平成18年12月に改正された教育基本法の第8条では、私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が私立学校教育の振興に努めることが規定された。この規定は、今後の私学振興に対して重要な意義付けをしたものである。
 現在、都内の学校に在学する児童・生徒等のうち、私立学校に在学・在園する割合は、高等学校で5割を超え、幼稚園では約9割を占めており、私立学校が東京の公教育に果たす役割は極めて大きい。
 しかしながら、少子化の進行による児童・生徒等の減少や金融危機に端を発した経済不況などから、私立学校とその児童・生徒等を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。
 これまで国は、地方との役割を見直し、財政面での地方分権改革を進めてきたが、「私立高等学校等経常費助成費補助金」が廃止され、一般財源化されるようなことがあった場合、地方交付税の不交付団体である東京都においては、私学振興に多大な影響が生じるおそれがある。また、国庫補助金の一括交付金化においても、公教育を担う私立学校の安定財源の確保に十分配慮する必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、平成22年度予算編成に当たり、次の事項を実現するよう強く要請する。
1私立高等学校等の経常費助成費等に対する補助を拡充すること。
2私立高等学校等の授業料等軽減補助に対する国の補助制度を創設し、保護者負担の大幅な軽減を図ること。
3私立高等学校等施設高機能化整備費補助金及び私立高等学校等ICT(情報通信技術)推進支援補助制度、テレビ放送の地上デジタル化に向けた支援制度を拡充すること。
4私立学校施設の耐震化に向けた補助率の引上げ、地球温暖化対策としてのエコキャンパスの推進等、補助を拡充すること。
5私立学校の児童・生徒等の安全・安心にかかわる支援補助制度を拡充すること。
6都道府県の行う私立高等学校等奨学金事業に対する国の支援を拡充すること。
7私立専修学校については、専門課程及び高等課程に対する新たな助成を行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成21年9月25日
東京都議会議長 田中 良
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 宛て
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