郵政三事業の一体的提供による地域住民へのサービス確保に関する意見書

 郵政事業分割・民営化については、東京都議会において、これまで3度にわたり意見書を可決し、政府に提出してきたところである。
 郵便局ネットワークは、地域・社会生活のインフラとして重要な役割を果たしてきたが、昨年10月、郵政民営化法に基づき、郵便、郵便貯金、簡易保険のいわゆる郵政三事業は、持株会社である日本郵政株式会社の下、四つの事業会社に分割された。
 しかし、民営化スタート後の状況を見ると、三事業が一体的に運営されなくなったことに伴う影響等が地域住民から指摘されている。
 東京都内において、各種手数料の値上げや一部ATMの撤去、金融部門への銀行法等の適用によるサービス低下など様々な支障が生じているほか、島しょ・山間地域等においては、郵便の配達員が保険料の取扱いなど集配以外の業務に従事できず、利便性の大幅な低下を招いているといった声も聞かれる。
 そもそも郵便事業についてはユニバーサルサービスの提供が法律に明記されているのに対し、貯金、保険などの金融サービスに関しては、郵便局におけるサービス提供が法律上保証されていないことも、都民の不安につながっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、事業の一体的提供により郵便局ネットワークが果たしてきた役割の重要性にかんがみ、民営化の実態について適切に検証を行うとともに、民営化の進ちょく状況の見直しに当たっては、都民の利便に支障が生じないよう、必要な措置を講ずることを強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成20年10月6日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 内閣官房長官 宛て
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