新型インフルエンザ対策の強化に関する意見書

 新型インフルエンザの発生は、もはや時間の問題であると多くの専門家が警鐘を鳴らしており、その対策は喫緊の課題である。
 国はこれまで、新型インフルエンザ対策行動計画の策定やタミフルの備蓄などに取り組んできたが、医療体制の確保を始めとして、対策の多くは専門家によるガイドラインの提示にとどまり、実施の裏付けとなる制度や財源が定まっていないものが多い。このことが、国民、地方自治体、経済界、産業界、医学界など、国を挙げての新型インフルエンザ対策への取組を停滞させる要因となっている。
 今後、東京都を始めとする地方自治体が、新型インフルエンザ対策を一層推進していくためには、国レベルで解決すべき課題について、内閣総理大臣が先頭に立って、国家の危機管理の課題として取り組むことが必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1大流行を起こす前に製造できるプレパンデミックワクチンを、希望するすべての国民が接種できるよう、必要かつ十分な生産及び備蓄体制を確保するとともに、接種に当たっての同意など、具体的な取扱いや制度等について早急に検討し実施すること。
2流行時の医療体制確保のため、国が主体となってマスクやガウンなどの医療物資の備蓄や流通の確保に取り組み、医療機関が診療しやすい環境を整えること。また、国立病院や国が経営に関与する病院は、診療計画を策定し公表すること。
3消防庁による適切な移送体制の確保や、簡易ベッド等の災害対策用備蓄物資の活用など、省庁の横断的な取組を進めるとともに、施策の推進に必要な法整備を進めること。
4大規模流行のおそれがあるときは、感染拡大防止のため、国が主体となって公共交通機関の運行縮小や企業等の事業活動自粛等について対策を講ずること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成20年3月28日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 国土交通大臣 宛て
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