私立学校の自主性の確保に関する意見書

 現在、中央教育審議会において教育委員会の見直しが検討されている。その中で、教育委員会が私立学校に対し、指導・助言・援助を行うことが可能となるような「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正について議論がなされている。これは、私立学校の未履修問題に端を発しているものだが、教育問題は、未履修のような部分的な問題だけで論ずるべきものではない。
 そもそも、これまでの教育委員会の見直しの議論は、公立学校の教育改革を目的とするものであり、私立学校を指導する権限の付与を目的とするものではなかった。
 私立学校は、その建学の精神に基づき、他からの関与を受けず自主的に運営されてきたことから、幼稚園から大学に至る一貫教育や男女別教育など、個性的で特色ある教育を実践することができ、今日、高い評価を得ている。これは、近年の公立学校の教育改革に、一貫教育や習熟度別授業など、私立学校の教育成果が広く取り入れられていることからも明らかである。
 公教育は公立学校と私立学校が対等な立場で競い合い、互いに切磋琢磨してこそ発展するものである。公立学校の設置者である教育委員会の指導の下に私立学校を置くことは、私立学校の自主性・自律性を損なうおそれがあり、教育に対する多様なニーズに対応することを困難にするものである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、現在、国で検討している「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」について、私立学校の教育内容に対する教育委員会による専門的な指導を可能とする改正を行わないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成19年3月9日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣 宛て
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