構造計算書偽装問題対策に関する意見書

 元一級建築士による構造計算書偽装問題が発覚して以来、建築確認制度及び建築士制度における多くの問題点が全国の自治体等から指摘され、見直しの議論が行われてきた。
 都議会としても、事件の背景や原因、責任の所在、公的支援策や再発防止策など、様々な角度から徹底した議論を行うとともに平成17年12月15日には、国会及び政府に対して、建築確認制度の見直しなどを求める意見書を提出したところである。
 こうした中、本年2月24日に、国の社会資本整備審議会建築分科会が「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について 中間報告」を公表した。この中間報告では、「信頼性の高い構造計算プログラムの開発」や「建築士制度の見直し」などが盛り込まれ、一定の対策は講じられたが、都を始め、多くの自治体が要望してきた「指定確認検査機関が行った確認検査の法的責任の明確化」については、何ら触れられておらず、根本的な問題の解決はいまだ図られていない状況である。
 一方、都民の生命の安全と居住の安定の確保という観点から、早期のマンション解体や建替えに向け、都や関係自治体による居住者等への支援が進められつつあるが、こうした事態を二度と引き起こさないよう、住宅購入者等の保護の立場にたった対策の充実が不可欠である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1建築確認制度及び建築士制度の更なる検証と見直しを行い、実効性のある再発防止策を早急に打ち立て、信頼される建築行政の確立を図ること。
2国、特定行政庁及び指定確認検査機関の役割と責任について明確化を図ること。特に、指定確認検査機関が行った確認検査の法的責任の明確化を図ること。
3住宅購入者等の保護を図る観点から、住宅の品質性能情報や住宅供給に携わった事業者等に関する情報の開示を促進するとともに、住宅の売主等による瑕疵担保責任の確実な履行を担保するための措置等を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成18年3月30日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 国土交通大臣 内閣官房長官 宛て
ページ先頭に戻る