麻しん・風しん予防接種に関する意見書

 政府は、麻しん・風しん予防接種について、平成17年7月に予防接種法政省令の改正を行い、単抗原ワクチンを各々1回接種する方式から、混合ワクチンを2回接種する方式に変更して、平成18年4月から施行することにした。この改正は麻しんの国内での根絶を進めるとともに、妊婦が風しんにかかることで胎児に障害が発生する「先天性風しん症候群」の発生予防を目的としており、国民の健康を守る観点から評価されるものである。
 その一方で、例えば、現行制度で麻しん予防接種だけを受けた子どもには、新制度の下で残りの風しん予防接種を受ける機会はなく、さらに、混合ワクチンによる2回目接種の対象からも除外されているなど、接種期間、対象者等の具体的事項が、国民や医療現場への配慮に欠けている。このため実施主体である区市町村や専門家からは、接種率の低下や現場の混乱を懸念する声がある。
 このように新制度に移行するにあたっての措置等が不十分であることから、多くの子どもが法定接種の対象から除外されることになる。これを補うために、国は、法に基づかない任意接種を区市町村に要請しているが、これにより、万が一、副反応健康被害が生じた際の救済は区市町村の責任となる。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、麻しん・風しんの予防接種の新制度について、次の事項を強く要請する。
1現行制度で接種を受けた子どもは、新制度では、法定年齢であっても、2回目接種の対象外となっている。また、現行制度で麻しん・風しんいずれか一方の単抗原ワクチンを接種した子どもや、いずれか一方にかかった子どもに使用するワクチンが新制度では指定されておらず、結果として、法定接種が受けられなくなっている。法定年齢の全ての子どもが2回接種を受けられるように制度を改めること。
2既に1回目接種として単抗原ワクチンを使用した子どもに対して2回目接種として混合ワクチンを使用する場合の有効性・安全性を速やかに確認すること。
3新制度の接種期間は、1回目は1歳から1年間、2回目は就学前1年間であるが、それぞれの期間を1歳から2年間、就学前後2年間とするなど、国民の利便性に配慮した制度に改めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成17年12月15日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
ページ先頭に戻る