真の地方分権改革の推進に関する意見書

 地方分権改革は、本来、地方自治体が、自主的・自立的な行財政運営を行い、より住民に身近なところで、住民の意向に沿った施策を行うことを可能とするものでなければならない。
 このたび、政府が発表した三位一体の改革についての「全体像」は、地方自治体の意見が十分に反映されず、3兆円という数字ありきの国庫補助金等の削減、地方の財政的自立につながらない税源移譲など、地方分権の実現には程遠い内容となっている。
 特に、本質的論議を行わないまま、義務教育国庫負担金8500億円削減、国民健康保険への都道府県負担導入を決めたことは極めて遺憾である。また、生活保護費負担金の見直しを検討するとしたことは、国の責任を地方に転嫁しようとするものであり、到底、容認できるものではない。さらに、国庫補助負担金を削減して移譲された事務事業について国によるチェックの仕組みを検討するとしたことも、分権改革の本旨に反するものである。
 しかしながら、今回の「全体像」策定の過程において、国と地方とが協議の場を設けたことは評価できるものであり、今後の真の地方分権改革に向けての出発点とすべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指すという地方分権改革推進の基本理念に立ち返って、国が地方と対等な立場で十分に協議を行い、改めて抜本的な改革を進めるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成16年12月1日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 厚生労働大臣 経済財政政策担当大臣 宛て
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