郵政事業の民営化に関する意見書

 政府は、構造改革の中心課題として、郵政事業の民営化に向けた検討を行っている。
 郵政事業は、国民生活に深く根を下ろしており、その影響は広範囲に及ぶことから、民営化については慎重に対処する必要がある。
 郵政事業は、現在、国営の公社として全国約2万4700の郵便局を通じて、郵便、貯金、保険の三事業を公的サービスとして全国に公平に提供し、さらに、各自治体との連携により住民票や納税証明書等の交付事務を行うなど、創業以来国民生活の安定向上と福祉の増進に大きく寄与している。とりわけ、郵便事業は、公共性の高い事業であるため、採算性を重視した民間へ移管されると、収益性の高い都市部に事業が集中し、都市部と山間部や島しょ等の不採算地域との間で料金格差が生じ、全国均一料金制度を維持することは極めて困難となり、その結果、地域住民の生活に大きな支障を及ぼすことが懸念される。
 こうした状況を踏まえ、マスコミによるアンケート等においても郵政事業民営化に疑問を呈する考えや意見が多い。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、これら郵政事業の果たす公共的・社会的役割の重要性を考慮し、民意を十分反映し民営化を拙速に進めることのないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する
 平成16年10月7日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 金融担当大臣 経済財政政策担当大臣 郵政民営化担当大臣 行政改革担当大臣 宛て
ページ先頭に戻る