「犯罪被害者基本法(仮称)」の制定に関する意見書

 近年、全国的に犯罪が凶悪・悪質化し、一般市民を巻き込んだ忌まわしい事件が多発している。こうした中で、数多くの犯罪被害者等は大きな精神的苦痛や経済的損失を被っている。ところが、犯罪被害者等に対する救済・支援措置等や人権保護は不十分な実態にあり、犯罪加害者に比べ著しく公平性を欠いている。
 このような犯罪被害者等の立場や国民の議論を受けて、国は、平成12年に犯罪被害者保護関連二法を制定し、13年には犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律を改正するなどの法整備を行い、犯罪被害者等の権利について一定の前進が見られたところである。しかしながら、施策は個別的なものにとどまり、犯罪被害者等が望む継続した支援や刑事手続上の地位の確立などを含む総合的な施策は実現されていない。
 現在の犯罪情勢においては、国民の誰もが犯罪の被害者になり得る状況にあることから、国は国民保護の観点から犯罪被害者等の権利の確立や、精神的・経済的支援等について、十分な責任を果たすべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、犯罪被害者等が受けた被害の回復と社会復帰等が円滑に行われるよう、「犯罪被害者基本法(仮称)」を早急に制定し、法制上及び財政上その他必要な措置を講ずることを強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する
 平成16年10月7日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 法務大臣 国家公安委員会委員長 警察庁長官 宛て
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