新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書

 政府は、平成12年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以下「農業基本計画」という。)について、平成17年3月に予定されている新たな農業基本計画の策定に向け、現在、作業を進めている。農林水産大臣の諮問機関である「食料・農業・農村政策審議会」は、平成16年8月に「中間論点整理」を公表し、幅広く国民の意見を求めているところである。この中では、品目横断的な政策への転換、担い手・農地制度の見直し、農業環境・資源保全政策の確立など、一定の方向性が示されているが、東京を始めとする3大都市圏の農業振興についてはほとんど言及されていない。
 農業基本計画の根拠法となっている「食料・農業・農村基本法」では、「都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図る」ことが国の責務であると明記している。食料自給率の向上という国家的課題を達成する上で、大消費圏に最も近い食料生産基地として東京の農業の果たす役割は、ますます重要になっている。さらに、東京の農地は、ヒートアイランド現象の緩和、都市環境の保全、都民の農業とのふれあいなど多面的な機能を持つ貴重な存在である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、新農業基本計画の策定に当たって、次の事項に取り組むよう強く要請する。
1東京都を始めとする3大都市圏の農業振興を新農業基本計画の論点に加えるとともに、体系的都市農業政策の構築に向け本格的な検討を行うこと。
2相続税納税猶予制度の維持を前提とした上で、持続可能な農業を目指し、「生産緑地」など都市農地制度・税制を抜本的に見直すこと。
3認定農業者制度とは別に都市農業独自の「担い手」育成策を国において立案し、実施すること。
4上記の課題に取り組むため、財務省、農林水産省、国土交通省など関係省庁による「都市農業連絡会議」を設置すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成16年10月7日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 農林水産大臣 国土交通大臣 宛て
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