消費者保護基本法改正に関する意見書

 我が国の消費者政策は、昭和43年に制定された消費者保護基本法を基本的な枠組みとして展開されてきた。
 近年、経済のグローバル化、IT化の進行等により、消費生活は利便性、多様性が増した反面、消費者と事業者との情報力・交渉力等の格差が拡大している。また、規制緩和の進展に伴い、消費者政策も、従前の事前規制から、市場メカニズムを活用する事後チェック型の手法に移行してきている。このように消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者被害は増加、深刻化しており、消費者政策の大胆な変革が今、求められている。
 このため、政府は、国民生活審議会消費者政策部会の最終報告を受け、本年7月、消費者保護会議において、消費者保護基本法の見直し、公益通報者保護制度の整備・消費者団体訴訟制度の導入の検討及び消費者保護会議の改革を決定している。
 健康で安全かつ豊かな消費生活を送ることができるようにするためには、消費者保護会議の決定の具体化を図り、時代の変化を見据え、消費者保護基本法を抜本的に見直すなど、21世紀にふさわしい消費者政策を再構築することが不可欠である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、消費者保護基本法の改正に当たっては、次の事項を実現するよう強く要請する。
1「消費者の権利」を消費者政策の理念として位置付け、行政・事業者の責務と消費者の役割を明らかにし、消費者の権利の実現のため行政施策を展開していく旨を規定すること。
2広域化、専門化する消費者問題の解決のために、消費者団体・事業者団体の役割とその取組について規定すること。
3多様化、複雑化する消費者取引の適正化に関する規定を新設すること。
4苦情処理・紛争解決の機能を拡充し、消費者被害の救済を図るために、苦情処理に関する都道府県及び区市町村の役割と消費者被害救済委員会の設置について規定すること。
5法の実効性を確保し、国の消費者行政を強力かつ効果的に進めるために、多岐にわたる諸施策の総合調整を行う推進体制について規定すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成15年12月17日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣 宛て
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