ディーゼル車対策における自動車メーカーの社会的責任に関する決議

 東京を始めとする首都圏1都3県では、本年10月からディーゼル車規制が実施され、規制に適合しないディーゼル車については、10月までに、より低公害な自動車への買換えや粒子状物質減少装置の装着などの対応が求められる。
 しかし、我が国の経済状況は依然として停滞を続け、とりわけ中小零細事業者の経営環境は、かつてないほど厳しい状況にある。その中で、事業者は懸命にディーゼル車規制に対応しようとしている。
 こうした事業者への支援を強化するため、東京都は都議会の要望等を踏まえ、厳しい財政事情の中ではあるが、新しい融資あっせん制度の創設など、補助予算の大幅な増額を行った。
 また、石油連盟も都の要請にこたえ、硫黄分50ppm以下の低硫黄軽油の全国供給を前倒しして本年4月から実施することとしており、規制に対応する粒子状物質減少装置の装着や酸化触媒付きの最新規制ディーゼル車への買換えを促進する条件が整ってきている。
 自動車による大気汚染の根本的な責任は、国の自動車排出ガス対策の怠慢にある。しかし、自動車メーカーにも、大気汚染度の高い排出ガスを放出するディーゼル車を製造・販売して利益を享受してきたことから、大気汚染の改善のために、事業者のディーゼル車買換えに積極的に協力すべき社会的道義的責任がある。
 自動車メーカーは、中小零細事業者が置かれた厳しい状況の中で、ディーゼル車規制に対応し社会的責務を果たそうとする懸命の努力と自動車メーカー自らの社会的道義的責任にかんがみ、ディーゼル車の販売価格を不当に引き上げるようなことは厳に慎むべきであり、事業者の負担軽減に最大限の配慮をすべきである。
 よって、東京都議会は、自動車メーカーに対し、大気汚染改善における自らの社会的道義的責任を、今こそ積極的に果たすよう強く求めるものである。
 以上、決議する。
 平成15年3月7日
東京都議会
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