ホームレスの自立支援に関する特別措置法の制定に関する意見書

 厚生労働省の発表によると、全国の路上生活者、いわゆるホームレスの数は、平成13年9月現在で、約2万4,000人に及んでいる。
 ホームレス自身の生命や健康の危機に加え、公園や河川敷等の占有による地域住民の利用阻害、少年による襲撃事件に見られる地域社会とのトラブルの発生など、ホームレス問題は、もはや放置できない深刻な社会問題となっている。
 都内においてもホームレスの数は、平成13年8月現在、23区内で5,600人を数えるほか、一部の市においてもホームレスが多数見受けられる地域がある。
 こうした中で、都は23区と共同で、これまでの応急援護中心の対策から総合的対策への転換を図り、本人の自助努力を基本としつつ、自立支援センターなどを中核とする一貫した処遇システムを構築し、ホームレスの自立促進を図っているところである。
 しかし、ホームレス問題は、深刻な景気低迷による失業者の増加といった社会経済状況が底流にあり、大都市を中心に地方都市にまで広がる広域的問題である。また、雇用や所得保障など社会全体のセーフティネットの在り方にもかかわることであることから、第一義的には国の責任において問題解決に向けての対策がとられるべきものである。
 国がその責務として、就労、住宅、福祉、保健・医療などの総合的な対策に踏み出すとともに、財政措置の抜本的拡充を行うことが、全国レベルでの問題解決に向けての不可欠な要件である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、ホームレス問題が解決に向けて前進するよう、次の抜本的対策を講ずることを強く要請する。
1ホームレスの自立支援に関する特別措置法を早期に制定し、実効性ある対策を講ずること。
2雇用機会の確保、職業能力開発等の就労対策の充実、安定した居住場所の確保、感染症対策の強化を始めとした保健・医療の充実など、総合的かつ抜本的な対策を講ずること。
3ホームレス自立支援事業等について、全国の関係地方公共団体と連携し、地域の実情に応じた事業が実施されるよう、制度及び財政措置の抜本的拡 充を図ること。
4自立支援事業等との連携を図りながら、公園等の公共施設の適正な利用が確保されるための措置を講ずること。
5ホームレス問題に対する国民の理解の促進に努めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成14年3月28日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
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