食品表示対策の推進に関する意見書

 食品は直接口に入れるものであり、人の生命・健康に直接大きな影響を与えるため、食品衛生法やJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の品質表示基準などによって、食品の安全と品質について正確な表示が義務付けられている。
 しかしながら、相次ぐ食品の虚偽表示事件は、この表示制度の信頼性を根底から揺さぶる重大な問題となっている。雪印食品の牛肉虚偽事件によって表面化したこの問題は、その後、豚肉や鶏肉などでも同様の事実が発覚していることもあって、消費者の食品表示に対する不信を増大させ、消費生活、経済社会に深刻な影響を与えている。
 今回の一連の出来事によって傷つけられた食品表示制度の信頼を早急に立て直し、二度とこのようなことが発生しないよう抜本的な対策を講じることが求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を早急に実現するよう強く要請する。
1食品の表示について、安全や品質基準の制定から監視指導までを一元的な食品行政に基づき行われるよう、食品に関する基本法を制定すること。
また、食品行政の一元化に当たっては、消費者の基本的権利を明確にし、生産者サイドでなく消費者の立場に立って、消費者の参加を保障した第三者機関を設けて検討するとともに、リスク評価や情報公開を担保できる行政組織とすること。
2食品表示の監視について、人員の拡充を含め体制の充実強化を図ること。
3「原産地」の虚偽表示など、品質表示に関する悪質な違反については、氏名公表の仕組みや罰則を強化すること。
4食品表示の真偽を店頭で判別できるよう、食品の社会的検証の仕組みを確立すること。特に、牛肉については、現在整備を進めている生産地から市場までのトレーサビリティ(追跡可能性)の仕組みを拡充し、消費者が店頭で原産地等が分かる仕組みにすること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成14年3月28日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 農林水産大臣 宛て
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