首都移転の即時撤回に関する意見書

 東京都議会は、平成13年12月4日、「首都移転の白紙撤回を求める決議」を行い、国民世論の合意形成もない中で、国会において首都移転を前提とした審議だけが進められている状況に強い懸念を表明し、深刻な景気低迷と国・地方共に厳しい財政状況の下で、あえて20兆円を超すとも言われる巨費を投じて首都移転を行うことの不当性を訴え、その白紙撤回を強く求めたところである。
 しかし、依然として国会においては、拙速にも本年5月を目途として、移転先候補地を一箇所に絞り込むための審議が続けられている。
 昨年10月に東京都が行った首都移転の再検証によれば、仮に首都移転が行われても、一極集中の弊害は解消されないこと、東京の災害対応力は強化されないこと、我が国の実質国内総生産は減少すること、移転先に大規模な自然環境破壊をもたらすことなどが具体的かつ詳細に明らかにされている。
 もはや首都移転は、国民にとって百害あって一利なしの計画であることが明白になっている。また、首都移転と矛盾する首相官邸や中央省庁の建て替え及び国会議員会館の建て替え計画が政府・国会自身の手で進められていること自体、理解に苦しむものである。
 首都移転によって、我が国と首都圏の活力を共に喪失させ、国の行く末を危うくする過ちを犯してはならない。首都の機能は、引き続き首都圏が共同して担っていくことこそが最良の選択である。今こそ、諸状況を冷静に見極め、首都移転白紙撤回の英断を下すべき時である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、首都移転を即時撤回するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成14年3月28日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 国土交通大臣 宛て
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