小児医療体制の充実強化に関する意見書

 少子化が進行する現在、次代を担う子どもを安心して産み、健やかに育てる環境を整備することが求められている。
 小児医療を支える現場の状況をみると、医師の数が全体としては増加傾向にある一方で、小児科医の数は逆に減少傾向にあり、また、小児科を志向する医師・学生も減少している。この大きな要因としては、小児は症状が急変しやすく、診療に専門性が要求され、人手と時間が掛かるにもかかわらず診療報酬が低く、不採算的要素が強いことなど、様々な問題があげられる。
 この結果、地域の医療を支えている「かかりつけ医」の中でも、特に、小児科医や、小児の診療に経験のある内科医が不足してきている上、高齢化が進みつつあるなど、小児医療を取り巻く環境は危機的状態にある。
 また、核家族化や共働き家庭の増加などを背景として、育児に携わる若い世代の育児への不安が増大し、小児救急医療体制が十分に整備されていないことともあいまって、小児科医の常駐する大病院への受診志向が強くなっている。そのため、「かかりつけ医」との医療連携の仕組みを維持することが困難になりつつある。以上のような状況を一刻も早く改善するために、小児医療を充実強化することが喫緊の課題となっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、小児医療体制の充実強化を図るため、以下の事項を実現するよう強く要請する。
1小児医療、小児救急医療の不採算性を解消するため、診療報酬制度を抜本的に改善すること。
2小児(救急)医学カリキュラムの整備・充実により、小児科医師を養成・確保すること。
3小児救急医療支援事業補助基準額を引き上げるとともに、二次保健医療圏ごとに複数施設を補助対象とすること。
4小児科を担う地域の「かかりつけ医」機能を強化するため、研修制度を創設するほか、平日夜間の診療体制を整備するなど、小児の初期救急医療体制の強化策を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成13年12月19日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
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