食品安全行政の強化・充実に関する意見書

 食品の安全が確保され、安心して生活できることは、生活の基本であり、国民の権利である。
 雪印乳業に始まった一連の不祥事は、国民の不安を一挙に増大させるとともに、いまだに食品への異物混入が続くことにより、食品を製造する企業への国民の不信を一層強くしている。もともと、食品の安全性は、無条件に守られなければならず、企業が消費者への食品に関する説明責任を果たすことは当然であるが、今般の事態は極めて不十分である。企業は、消費者の食品に対する不安を解消し、安全性に対する信頼を回復するため、持てる情報を積極的に開示し、提供していかなければならない。都は、この点企業に対して、遺伝子組換え食品の表示を求めるなど情報提供を促すことによって、消費者の選択の権利が確保されるよう努めてきたところである。
 一方、消費者の権利を確立する観点から、国の食品安全行政に対しては抜本的な改革が求められ、食品衛生法の改正や基本法の制定が望まれるなど、食品の安全確保に向けた取り組みへの期待は強いものがある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、食品を原因とした国民への危害を未然に防ぐため、事業者がその社会的責任を果たして積極的に国民の不安を解消する措置を採るとともに、国においての食品安全行政の強化・充実を図るよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成12年10月4日
東京都議会議長 渋谷守生
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 厚生大臣 農林水産大臣 自治大臣 経済企画庁長官 宛て
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