遺伝子組換え食品に関する意見書

 今日、多くの遺伝子組換え食品が海外から輸入され、食卓にも上るようになってきた。しかし、生命の根源である遺伝子を人為的に操作する遺伝子組換え技術は開発段階であるため、身体や自然環境に対する予想外の影響も危ぐされ、不安に思う消費者が少なくない。
 こうした中で、平成12年1月、遺伝子組換えにかかる種子や作物に関する会議がカナダで開催され、遺伝子組換え作物の国際取引を規制した「バイオセーフティー議定書」が採択された。また3月に、日本で開催されたバイオテクノロジーに関する会議では、EU諸国などから遺伝子組換え食品に対する安全性の確保に強い危ぐが表明されるなど、遺伝子組換えは今や大きな国際問題であり、今回の主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)においても議論される予定である。
 東京都議会は、他府県に先駆け、平成8年12月、国に対して遺伝子組換え食品の表示を求める「遺伝子組換え食品に関する意見書」を採択したが、表示の問題だけにとどまらず、安全性の確保についても機会あるごとに国に要請してきたところである。
 しかし国は、いまだに遺伝子組換え食品の表示義務を限られた品目にとどめており、長期的な摂取に伴う慢性毒性やアレルギーについて検査なしに流通させるなど、食品の安全性に関する消費者の求めに十分にこたえているとはいえない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、以下の施策を更に充実するとともに、今回の主要国首脳会議において国民の要望にこたえ食品の安全を確保する立場で臨むよう、強く要請する。
1消費者が遺伝子組換え食品を容易に判別し、選択できるよう分かりやす い表示に努め、表示対象品目を限定しないこと。
2遺伝子組換え食品の流通に際しては、摂取に伴う慢性毒性やアレルギーの検査を行うなど、安全性の確認や規格基準の整備の徹底に努めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成12年7月12日
東京都議会議長 渋谷守生
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 厚生大臣 農林水産大臣 自治大臣 経済企画庁長官 環境庁長官 宛て
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