原子爆弾被爆者の福祉事業の確立に関する意見書

 昭和20年8月、広島市及び長崎市に原子爆弾が投下されてから半世紀以上が経過したが、被爆者は今なお、その後遺症と高齢化による健康や生活不安に苦しんでいる。
 このため国は、平成6年12月、保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護施策を講ずるために「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を制定した。この中で、都道府県知事は、同法第38条に基づき居宅生活支援事業を、同法第39条に基づき養護事業等の福祉事業を実施できるとされているが、現在、国の補助金交付要綱により、対象となるのは広島・長崎両県市が行う事業のみである。
 また、今年4月から実施された介護保険の介護サービスのうち、介護老人保健施設の入所、短期入所生活介護のサービス等を利用する際の自己負担についても、広島・長崎両県市のみ助成されており、他の都道府県の被爆者に対する援護策は対象となっていない。
 福祉事業を含めた被爆者援護対策は、被爆された人を平等に対象とすべきであって、地域によって差が生じることがあってはならない。また、その対策は基本的に国の責任で実施されるべきある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、広島・長崎両県市以外にも国の補助要綱の範囲拡大及び補助率の引き上げを強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成12年7月12日
東京都議会議長 渋谷守生
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 大蔵大臣厚生大臣 自治大臣 宛て提出
ページ先頭に戻る