第2回定例会・代表質問(要旨)

日本共産党 曽根はじめ

生活密着型事業への切替えで雇用拡大と景気回復を


三宅島・神津島

 はじめに、火山活動で避難生活を余儀なくされた三宅島の皆さん、神津島で地震の不安に脅かされている皆さんに心からお見舞い申し上げます。また、島民の安全確保と災害復旧に携わっておられる関係者の皆さんに敬意を表します。  わが党は、両島に直ちに調査団を派遣した。現地では、「都道の復旧を急いで欲しい」、「夏のシーズンを目前に観光客が見込めず、民宿などの営業が立ち行かない」などの切実な声が寄せられている。被害を受けた道路、港湾の復旧をはじめ、住宅、営業の再建、特別融資など災害救助法に基づく都の積極的な支援策が待たれている。こうした課題に知事はどう取り組んでいくのか、所見を伺う。

知事 都は、三宅島火山活動について、三宅村が災害対策本部を設置した六月二六日、また、神津島での地震災害についても、災害の発生した七月一日付で災害救助法を適用し、同法が予定している様々な救助を行うこととした。都は、こうした制度を最大限に活用し、被災された住民の方々の生活支援など積極的に進めていく。


暮らし・雇用

 政府は先月、経済成長率が〇・五%に回復したとして、景気は回復しつつあると発表したが、これほど都民生活の実態からかけ離れた話はない。東京都が四月に発表した昨年の生計分析調査では、都民の消費支出は、一九七三年の調査開始以来最悪のマイナス三・七%を記録、さらに、若干上向いたとはいえ、完全失業率は南関東では五・〇%と最悪の状況だ。都民の暮らし、営業という現実に、解決が迫られている問題に都はどう立ち向かうのか。
 1.景気回復の上で個人消費が果たす役割について、知事の認識は。
 2.個人消費の問題を考えるときに避けて通れないのが消費税問題だ。個人消費を冷え込ませ、庶民大増税となる消費税の引き上げに、都知事としてきっぱりと反対の意思を表明すべきだ。
 3.わが党は、暮らし、家計を応援する二つの経済改革、すなわち公共事業に五〇兆円、社会保障に二〇兆円という税金の使い方を改め、社会保障と暮らしを予算の主役に据えること、さらには、雇用、中小企業など、暮らしと権利を守るルールの確立を提案した。ヨーロッパでは大企業のリストラを規制するルールが確立している。リストラを規制するための条例など、都としてのルールづくりが必要ではないか。
 4.日本では、不況になると首切りを進め、違法なサービス残業を横行させている。サービス残業を無くし、雇用を増やせば都内だけでも六二万人余りの仕事を生み出すことが可能だ。違反するサービス残業が野放しの現状について所見を伺う。
 5.中小企業への支援も急がれている。わが党は、都内で六万軒の商店、工場などを訪問し、中小企業の置かれている現状を聞いた。共通して出された問題の一つが、大企業の横暴を野放しにし、地域経済を破たんする規制緩和を何とかしてほしい、中小企業、地元商店を守るルールを確立してほしいというものだった。六月の大店法廃止によって、このときとばかりに、ドン・キホーテなどディスカウント店が、地元商店、住民の反対を無視して出店する事例が相次いでいる。大店法に変わって制定された立地法は、環境面などから一定の規制を行うもので、その点では前進面もあるが、商業調整がなくなったこと、一〇〇〇平方メートル以下が対象外など抜け穴があり、わがまま勝手な進出が野放しになっている。杉並など七区では、独自の条例や要綱を制定して対策を講じているが、都が国の指示を受けて改善勧告などの圧力をかけようとしている。地方分権にも逆行する重大問題だ。区の自主的な条例などに干渉することは直ちにやめ、区市町村と協力して、地域経済を守るために全力を尽くすべきだ。見解を求める。
 6.薬局、酒屋などの規制緩和も深刻だ。国会でも、薬剤師不在のチェーン店など問題となったが、地域経済への影響、消費者の安全上からも、これらの規制緩和について再検討することを国に要望する考えはないか。
 7.中小企業の仕事確保について、これまで政府が景気対策と称して税金をつぎ込んできた大型公共事業は、大企業は潤っても中小企業には役に立たない。住宅や福祉など生活密着型の場合は七、八割を中小企業が受注しているが、臨海副都心開発では、中小企業の受注はわずか七%に過ぎない。このような浪費型の大型公共事業中心から生活密着型への転換が中小企業の仕事を増やし、景気回復への近道と考えるが。

知事 1.個人消費は、都内総生産の約三分の一を占め、経済活動における比重は非常に大きく、その拡大を図ることは、景気回復にとって極めて重要。都としては、新たな産業を育成し活性化することで、雇用の場を確保し、個人消費を充実していきたい。
 2.この国の歳出歳入の行き先を見通した消費税についての私自身の考え方がないわけではないが、国と地方の税源配分の問題を含め、先般立ち上げたばかりの東京都税制調査会の提言に期待したい。
 7.公共事業については、これまでも生活、福祉関連事業などを含め、事業の緊急性や必要性を考慮しつつ都市基盤の整備を進めてきた。これらの契約に当たっては、コスト縮減の観点に立ち、分離分割発注や共同企業体方式の活用など、中小企業の受注機会の増大に努めてきた。今後とも、こうした観点に留意しつつ、着実に公共事業の実施を図っていきたい。

労働経済局長 3.企業において大量の離職者が出る場合には、現行の雇用対策法で、事前に公共職業安定所に届けることが義務付けられている。整理解雇については、整理解雇の四要件を満たさなければならないとの判例もある。これらの法や判例の内容が遵守されるよう、広く啓発に努める。
 4.労働に対する対価の適正支払は当然だ。国は、不適正な時間管理をしていた企業に対し、時間外手当の支払いを勧告した。都も、東京労働局との連携で、適正な雇用管理の普及啓発に努めていく。
 5.幾つかの区市町村において、大店立地法に関連して、独自の条例や要綱を制定する動きがある。都は、大店立地法の適正かつ円滑な運用が図られるよう、区市町村との十分な調整に努めていく。
 6.国の行政改革推進本部の規制改革委員会において、社会的規制のあり方など検討している。都としては、国の動向を注視していく。


福祉・医療

 1.(ア)四月に介護保険がはじまったが、利用料が高過ぎて払えず、必要なサービスが受けられない。都内のある介護支援事業所が利用者一七九人について調べた結果、給付限度額をほぼ利用している人は六人のみで、九割以上の人がサービスの利用を控えていることが分かった。平均では限度額のわずか三四%のサービスしか利用できていない。他の調査でも同様の結果が出ている。介護保険実施後の現状に対する知事の基本認識は。
(イ)緊急に取り組むことは、低所得者に対する利用料負担の軽減だ。現状のホームヘルプサービスだけでなく、四月以降にサービスを開始した人も含めて、すべての在宅サービス利用料を、低所得者は三%とすることが必要だ。
(ウ)一〇月から実施予定の高齢者からの保険料徴収の再検討を。
(エ)独自の利用料、保険料軽減を実施する区市町村への財政支援も重要だ。介護保険実施後の現状を踏まえ、都として支援に踏み切るときではないか。
(オ)利用料負担の現状や、給付限度額に対する実際のサービス利用状況等の調査を行い、実態把握することが必要では。
 2.知事は、介護保険を口実に、都政史上かつてない福祉切り下げを進めている。その影響は高齢者、障害者、ひとり親家庭など、行政の支援を必要とする人たちの命綱を切る大問題だ。今回の福祉見直しは、切り下げではないなどという最大の論拠とされた包括補助制度の具体案が示されたが、メニューの多くは、一年から三年限りの立ち上がり支援にとどまっている。これをもって、シルバーパスや医療費助成、福祉手当の切り下げや段階的廃止を是とすることなど到底できない。従来の制度、水準に戻すとともに、少なくとも包括補助制度については、今後、区市町村と都民の要望を十分に聞いて、地域の実情に応じた支援を行うために役立つ制度として、充実、発展させることを求めるが、所見を伺う。
 3.医療改革について、知事は、広尾、墨東、府中の三つの都立病院に、休日、夜間を含め、あらゆる症状に対応できる東京ER、総合救急診療科を設置すると発表し、併せて、民間との役割分担や地域性、医療機能の面から、都立病院全体の再編整備の検討を表明した。そこで伺う。
(ア)都立病院の休日、夜間を含めた救急医療体制の充実は、都民にとって歓迎すべきこと。本気で都立病院の救急体制の改革をするには、必要な人員、予算を積極的につける方向への転換が必要だ。
(イ)医師や看護婦の当直、夜勤など都立病院の医療体制が現状でも大変厳しく、労働基準法違反及び労働安全衛生法違反で労働基準監督署から指摘された。この是正勧告の現状と対応について報告を求める。
(ウ)都立病院全体の再編整備について、知事は、繰り返し都立病院の売却などを公言してきた。しかも、今回の方針は、都立病院の現場の声を聞くこともなく、寝耳に水のトップダウンで発表された。都立病院は都民の財産である。東京全体の医療水準を引き上げるために有効活用していくという立場からの検討こそ必要だ。
(エ)そのためにも、これから設置し、中長期的展望について検討するという「都立病院改革懇談会(仮称)」は、都民への公開、都民参加、都民合意を原則とすべきだ。

知事 1.(ア)さしたる混乱もなく制度は一応スタートしたと認識している。今後は、介護サービス基盤の整備や質の向上に努めていく。
 3.(ウ)都立病院改革懇談会において今後の病院の担うべき役割や医療機能を明らかにした上で、地域特性などにも配慮しつつ、病院全体の再編整備を検討してもらう。

高齢者施策推進室長 1.(イ)ホームヘルプサービスについては、利用者の多くがこれまで負担が無料であったが、一割の負担を三%に軽減する特別対策がとられた。これはあくまで激変緩和の観点に立った経過的措置である。
(ウ)高齢者の保険料については、四月から半年間は徴収せず、その後一年間は半額とする特別措置がとられたものと理解している。
(エ)保険者である区市町村が地域の実情に応じて独自に実施する措置は、自らの判断と責任で行うべきもの。
(オ)区市町村は、被保険者の状況、サービス受給状況、保険料収納状況を都に報告することとなっている。これらの情報を集約し、区市町村の状況把握に努めている。

福祉局長 2.新たに設けられた福祉改革推進事業及び高齢者いきいき事業等の実施に向け、各区市町村から地域の実情に即した独創的な提案が数多く寄せられている。十二年度予算の着実な執行で、制度の成果を上げていく。

衛生局長 3.(ア)厳しい都財政に配慮し、様々な工夫を行い効率的な執行体制を確保していく。
(イ)現在、患者サービスの向上と、当直勤務の適正化に向けて、創意工夫を図りながら是正に努めている。
(エ)懇談会での検討に当たっては、医療に関係する様々な方々の議論を得ていく。また、懇談会の公開の方法にも配慮していきたい。


財政の立て直しと公共事業

 1.日本は、破局的とも言える財政難に直面している。その最大の原因が国際的にも異常な公共事業の膨張にあることは、世界の常識となっている。日本の公共事業の予算は、GDP対比で欧米諸国の三倍から四倍で、欧米諸国では、公共事業の何倍も社会保障に充てているのに、日本では、公共事業には五〇兆円、社会保障には二〇兆円という、逆立ちした財政運営だ。知事は、日本の公共事業が、世界的に見ても異常に膨張しており、汚職が繰り返されているという事実について、どのような認識を持っているのか。  わが党は、都民の求める財政立て直しのために、次の四つの方向で、都の公共事業のあり方を提案する。
 2.第一は、公共事業全体を少なくともバブル前の水準に大幅削減し、都債発行も減らして、借金減少の道に踏み出すこと。財政立て直しの立場から、投資型の経費の総額を削減し、借金残高を減少に転じさせる中長期の計画を明確にすべきだ。
 3.第二は、臨海副都心開発だ。そもそも臨海開発は、その出発点から異常づくめの開発であり都税収入の二倍の八兆円もの事業にしたことなど、本来、自治体として手を出すべきではなかった異常な計画ではなかったか。
 4.七兆円の収入見込みに五兆五千億円もの大穴があくなど、その破たんは、今や、だれの目にも明らかだ。この臨海会計の収支試算の現状について、認識を伺う。
 5.当面する最大の問題は、都が来年度二五〇〇億円もかけて有明の丘を買い取ろうとしていることだ。ただで臨海開発に提供した都有地をなぜ巨額の税金を投入して買い戻さなくてはならないのか。こんなやり方は全く道理が無く、こうした厳しい財政状況のもとでの税金での買い取りは、将来、都民に負担を押しつけるものであり、きっぱり中止するべきではないか。
 6.都が、新たに進めようとしている旧有明貯木場の埋立事業については、この海域の自然の貴重さを示す新たな事実が明らかになった。四月に改定された環境庁のリストでは、汽水、淡水魚で絶滅のおそれのある種は七六種に三倍増し、うち、半数がハゼ類で、環境庁の生物多様性の保全検討チームがこの六月にまとめた報告書では、わが国の野生生物の現状は、危機的とし、絶滅のおそれのある種の保全という観点から施策が急務としている。今、マハゼの生息は少ないとした、都の環境アセスメント調査に対し、実態と違う、不十分との批判が広がり、埋立反対の世論は国際的にも広がりつつある。有明北地区埋め立てを中止し、ハゼの危惧種を含めた魚介類の生息実態を再調査すべきだ。
 7.公共事業の改革の第三は、破たんに直面している開発型の第三セクターについても全面的に総括し、事業の清算を含め、本格的なメスを入れること。一層深刻な債務超過に陥っている臨海開発関連のビル経営の第三セクターこそ、抜本的な見直しを行うべきではないか。このままでは、三社で四千億円もの借金が、そっくり都民に降りかかりかねない非常事態だ。自治体が乗り出すべきではなかった不動産事業の破たんに、これ以上、都民の税金をつぎ込み続けることは許されない。この現状を、どのように認識しているのか。すべての情報、資料を都民に公開し、清算も含めた抜本的な処理を行うべきではないか。
 8.第四に、知事は、所信表明で、都市づくりなど長期ビジョンづくりを強調しているが、今求められているのは、都市でも地方でも、浪費的な公共事業の膨張路線から抜け出すことだ。所見を。
 9.関連して、中央環状王子線建設に連動した工場進出の問題について伺う。王子線の王子ランプ付近では、高速道路開通後、これを利用する、一日二五五万部印刷の全国最大の新聞工場が住宅密集地に計画され、現在、アセスメントの手続に入っている。完成すれば、毎晩、深夜、未明に、四〇〇台以上のトラックが狭い道路の住宅街にひしめくことになる。住民も地元区長もこぞって現計画の抜本見直しを求めている。少なくとも本件のアセスに対し、特に深夜の自動車の騒音を現状より悪化させることのないように、地元住民が要望している水上輸送も含めて、計画の抜本変更を求める意見を出すべきだ。今回の事態は、知事が強調する三つの環状道路について、交通環境の改善どころか新たな交通ラッシュと環境破壊を呼び込みかねないことを浮き彫りにしている。重大な環境悪化をもたらす道路計画は、きっぱり見直すべきだ。

知事 1.公共事業の総額だけでの比較は不適切。事業そのものが汚職の温床との主張も不適切だ。
 2.事業の必要性、緊急性を考慮しながら、限られた財源を重点的、効率的に配分し、その財源としての都債には、世代間の負担の公平性に配慮しつつ適正な活用を図る。
 3.臨海副都心が東京活性化のリーディングエリアを担う地域とし発展するよう事業を着実に推進。
 4.土地処分を適時適切に行い、様々な工夫で長期収支は均衡する。
 7.情報公開については、既に今年四月より各社の要綱に基づいて実施している。今後とも、経営安定化策を着実に実施し、徹底した経営改善を図っていきたい。
 8.喫緊の課題である景気対策という観点からも、大都市への公共投資は効果的と考えている。

財務局長 5.広域的な防災拠点として整備し、厳しい財政状況などを勘案しつつ、慎重に検討が必要。

港湾局長 6.現時点で改めて調査は考えてない。埋立事業実施に当たっては、水生生物の生息環境に十分配慮し着実に事業を推進する。

環境局長 9.平成十一年十二月、環境影響評価条例に基づく環境影響評価書案が事業者から提出され、条例に基づく環境アセスメントの手続を行っている。この件については、地元住民・地元区長からも十分な対応を求める意見が寄せられている。現在、環境影響評価審議会で、こうした要望や意見を踏まえ審議中。今後、その答申に基づき審査意見書を作成していく。


子どもと教育の危機打開

 1.いじめ、不登校、学級崩壊など、子どもと教育をめぐって、状況はいよいよ深刻になっている。さらに、最近の相次ぐ少年犯罪は、人の命の大切さが、少年たちに育まれていないという、深刻な現実を私たち大人に見せつけた。わが党は、子どもと教育の危機の打開に向けて、「学校教育の改革」、「道義ある社会の確立」、「退廃文化から子どもたちを守る社会の自己規律の確立」という三つの提案を行い、国民的な討論を呼び掛けてきた。子どもたちの荒れの背景に、日本の過度に競争的な学校教育があることは、各方面から指摘されている。日本の教育の異常さを指摘した国連の勧告を、正面から受け止める必要があると思うが、見解は。
 2.子どもたち一人ひとりがよく勉強が分かり、先生ともっと触れ合えるように、三〇人以下学級の実現を望むが。
 3.また、三〇人学級の早期実現を求める多くの都民と共同して、国にその実現を働きかけるとともに、段階的にその実現へ向けて都独自に踏み出すべきだ。合わせて見解を。
 4.年々増加している不登校や保健室登校の児童生徒への対応も、抜本的に強める必要がある。スクールカウンセラーを引き続き配置することや、昨年の都の学校保健審議会答申でも指摘されている、養護教員の複数配置が急がれるが。
 5.子どもたちの読解力や情操を培うためにも、都は、区市町村が学校図書室に司書や職員を専任で配置できるように財政的な支援を行うべきではないか。
 6.子ども達を、暴力やポルノなどの有害情報からガードするために、テレビや雑誌その他の文化、メディアで自主的なルールを確立することについて、日本一のメディアの発信地である東京で、都として、メディア関係者と父母や、都民の自主的交流を支援するとともに、各業界の主体的な自己規律づくりを促す啓発や情報提供を行ってはどうか。
 7.メディア時代に備えて、子どもたち自身に情報の意図を客観的、批判的にとらえる能力、コミュニケーションに参加する技能と能力といった、いわゆるメディアリテラシーを育てていくことが重要だ。学校教育や生涯教育の中で、メディアリテラシー教育の実施に向けて、必要な検討や調査研究を開始するべきではないか。
 8.日の丸・君が代問題をきっかけに、国立市の学校現場で一部の勢力により不当な介入や圧力が加えられていることについて、おどしや暴力を背景に、子どもと教育の現場に圧力をかけるなどということは、民主主義の社会では絶対に許されない行為と考えるが、所見を伺う。

知事 1.画一的な知識の詰め込みは避けるべきだが、学校での競争が必要な時もある。
 2.学校のきめ細かい指導力の方策には、一学級の児童・生徒数のみで議論するのは適切ではない。教科によっては、理解度に応じた少人数指導を実施するために、教員の弾力的な配備も考える。また、物によってはもっとより多くのクラス編成が効果を上げる授業もあるかと思われる。
 8.卒業式等の行事において、国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは当然。公立学校の教育は、法に基づき中立公正に行われるべき。

教育長 3.本年度中に策定予定の第七次教職員配置改善計画の趣旨や関係法令の改正を踏まえ、平成十三年度以降の学級編制や教職員配置を検討していく。
 4.スクールカウンセラーの確保や国の動向を見据え検討。養護教諭の複数配置は、国の新しい改善計画を踏まえて対応する。
 5.平成一五年度に十二学級以上のすべての学校に、司書教諭の有資格者を配置する計画だが、専任職員配置への財政的支援は考えていない。
 7.子どもの情報活用能力の育成に、指導者である教員の情報リテラシーの向上を図る研修を今年度からはじめた。今後も情報教育の一層の充実を図っていく。

生活文化局長 6.青少年の健全育成についてこの五月に東京都青少年問題協議会に検討を依頼した。審議結果を踏まえ適切に対応する。


「三国人」・治安出動発言

 最後に、知事が去る四月九日に、陸上自衛隊の記念式典で行った、いわゆる三国人・治安出動発言について伺う。
 1.知事は、三国人という言葉は外国人という意味で使うと言うが、知事がこの言葉を使ったということは、首都の顔としての民主主義と歴史的事実への認識と、そのことについての反省と自覚が問われるということだ。この発言を撤回し、関係者に謝罪すべきだ。答弁を。
 2.知事発言のもう一つ重大な内容は、在日外国人を危険視し、大災害の際には大きな騒擾事件を起こすと勝手に想定し、自衛隊の治安出動に言及したことにある。不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している、こういう状況で大きな災害が起きたときには大きな騒擾事件すら想定される、と述べたことは、一部の外国人による犯罪と例え、不法入国していると条件をつけたにせよ、外国人一般にまで広げて犯罪集団扱いする予断と偏見に満ちた発言であり、人権の点で許されるものでないことは自明のこと だ。二十一世紀に向かう国際都市の責任者である知事に求められているのは、こうした予断に満ちた排外主義ではなく、様々な人種、民族との共生の思想をどう育てていくかということではないか。
 3.重大な問題は、知事がこの在日外国人による騒擾事件という想定を根拠にして、災害の救援だけではなく、治安の維持を大きな目的として出動を願うと述べて、自衛隊の治安出動にまで言及したことだ。自衛隊法第八十三条で規定されている自衛隊の災害派遣と治安出動とは根本的に違うものだが、災害対応の第一義的な権限は、法的にも自治体にあり、治安出動は、いったん知事が要請すれば、権限は総理大臣に移る。そして武器、武力の行使が前提となる。だからこそ防衛庁も国会答弁で、災害派遣と治安出動を峻別し、都知事がどう言おうと、政府に治安出動の意図はないと答えている。知事、先の所信表明で、九月三日の訓練について、総理大臣を責任者とする陸・海・空三軍がはじめて統合して加わるなど極めて実践的な訓練と述べたが、これで九月三日の訓練は治安出動訓練ではないと断言できるのか、明快な答弁を。
 4.国もその意図を否定する自衛隊の治安出動を毎年積み上げて、軍事プレゼンスの発揚を図ろうという訓練は、災害対策の点でも誤りであり、中止すべきだ。
 5.訓練というなら、都がこれまで関係自治体や都民とともに積み上げてきた防災の日の各地域における初動対応のレベルアップを図る訓練こそ充実させるべきだ。
 6.(ア)防災対策という点では、都は、遅れている直下型地震の予知体制の強化を。
(イ)消防力の拡充、全都で二隊しかない消防救助機動部隊の増強などを急ぐべきだ。

知事 1.歪曲された報道で発言が誤解されたことは極めて不本意。
 2.知事として、あらゆる事態を十全に想定して万全を期することは当然の責務だ。排外主義者というのは全くの見当違い。
 3.大規模な地震災害を想定し、自衛隊、警察、消防等の防災関係機関が、地元自治体や地域の自主防衛組織等々と連携しつつ、応急対策活動を実施するもの、治安出動が決して主目的ではない。
 4.災害救助には、自衛隊の持つ機動力を最大限生かすことが不可欠だ。練習中止の考えは全くない。

総務局長 5.今回の訓練でも自主防災組織等が警察、消防等に加え自衛隊とも連携し、さらに実践的な初動対応能力の向上を図るもの。
 6.(ア)国に対して観測体制の強化と首都圏直下地震の調査研究の強化を提案要求している。

消防総監 6.(イ)市街地の進展や消防行政需要の推移などを把握し、火災や地震などの災害から都民の生命、身体、財産を守るため、総合的な消防力の増強に努めていく。


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