第2回定例会・代表質問(要旨)

自民党 松本文明

財政構造改革を進め高齢社会のモデル都市実現を


首都移転問題

 首都移転については、日本の将来と国民の幸せのために、どのようなメリットとデメリットを持っているのか、何の調査も、検証も、説明も、議論もないままに、急速に既成事実のみが事務的に積み上げられようとしている。国会の動きに、都はどう対応するのか。

知事 来るべき候補地と東京都の比較考量などに向け、東京の圧倒的な優位性を示すことを着実に準備する。首都にふさわしい都市として、東京構想二〇〇〇等で全国にもアピールしていく。今年度の国への提案要求において首都移転反対は最重点事項として、自らも国に出向き、直接要求する。国の特別委員会等への働きかけも強めていく。周囲の七都県市等と共に、都議会や他の議会も含め、連携を強めて移転が白紙撤回されるまで反対運動を展開する。


東京構想二〇〇〇

 1.夢と目標を都民に提示し、実現に向けてのプロセスを明らかにするのが策定の意義であると認識しているが、都議会や広範な都民の意見の反映が欠かせない。どのような日程で、どのような手法で策定作業が進んでいるのか。
 2.政策指標を取り入れる意義とねらいについて考えを伺う。
 3.具体的な施策・事業のうち、重点的に取り組むべきものについて、三か年程度の実施計画、推進プランを作成すると聞くが、全ての施策を見直し、財政再建にめどをつけることこそが重要である。実施計画を策定するのであれば、厳しい財政状況を踏まえて、財政再建推進プランとの整合性を図るべきと考えるが所見を伺う。

政策報道室長 1.二十一世紀に誇れる都市をつくり出し、新しい時代に向かって、夢と目標ともいえる東京の将来像を明らかにする。本年十一月をめどに策定に当たり、八月末に中間のまとめを公表し、各方面の幅広い意見をいただく。
 2.積極的に都民への説明責任を果たし、都庁内外での政策論議を高めることと、施策・事業の結果を都民の生活をいかに改善できたかという視点から評価し、都政に成果重視の流れをつくり、職員の意識改革を図ることに意義がある。
 3.三か年の実施計画である推進プランは、構想で描く一五年後の東京ビジョンを現実のものとする第一歩として策定するもの。厳しい財政状況を踏まえて、施策の再編や事業の重点化等により、財政再建推進プランとの整合性を十分図りつつ策定していく。


都立の大学改革

 大学生の学力低下については、多くの識者が指摘するところであり、大学の経営は少子高齢化の影響で厳しくなっている。私立大学では、学部等の再編整備や補習教育など学生確保のために様々な改革が進められている。国立大学では、独立行政法人化が決まり、合併や提携をはじめとする経営努力や学生教育の見直しなど、大学改革の内容を詰めていると聞くが、都立の大学では改革をどのように進めるのか。知事の答弁を。

知事 大学は、日本の教育の最終ターミナルである。東京から、大学も含め新しい教育の方法や目的を定め、価値観というものを確認し直す。個々人が持っている能力、創造力を引き出すような、新しい発想で次代を担って切り開いていく、そういう人材を育てる教育と大学の改革も含めて、知恵を出し合い、東京から大きな引き金を教育についても引いていきたい。


震災対策

 1.六月二六日からの三宅島の火山活動と、七月二日からの神津島、新島方面の地震について、今日までの経過と被害状況、都の対応について報告を求める。今回の対応が将来に生かされるのか伺う。
 2.今年度の総合防災訓練「ビックレスキュー東京二〇〇〇」の骨格を明らかにしたが、十か所の会場で、自衛隊をはじめ、警察・消防等の大規模な参加を得て、実践的な訓練を実施するとのことだが、知事の基本的な考え方は。
 3.東京都震災予防条例の改正について、現行の条例の課題についてはどういうことが認識され、どのような視点から改正されようとしているのか、所見を伺う。
 4.臨海副都心は、他の地域で災害があった場合には、後方支援基地として広域防災拠点の機能を担うことが期待される。緊急物資の輸送路となるアクセス道路や、海上輸送基地など周辺部の整備も一体的に実施することが必要であり、新たな国庫補助制度の創設について国に強く働きかけ、財源の確保を図り、広域的な防災拠点として、整備を進めるべき。  
 5.各消防団の分団格納庫の状況を見ると、五平方メートル程度の極端に狭いものや老朽化の著しいものがほとんどで、地域の防災活動拠点とは言いがたい。緊急出動をするポンプ搬送車は、いまだに人力車である。早急に近代化を強く要望するものである。消防総監の強い決意に満ちた答弁を求める。

知事 2.先般、三宅島の災害を視察した。多くの艦船が三宅島の周辺にはり付いており、即座に退避できる安心感を与えたと思う。今回は、銀座などの十か所の会場で、地域住民や関係防災機関と連携して、陸・海・空三軍の統合運用の大規模な参加で、危機対応能力を最大限に発揮した訓練を行う。
 3.制定後二八年が経過し、都市構造や社会状況が大きく変化し、震災対策を進めていくには、今の条例では限界がある。改正して、都民、事業者及び行政がその責任と役割を分かち合い、互いに有機的に連携を図ることで、犠牲を最小限に食い止めるという努力をしたい。

総務局長 1.三宅島の火山活動は、六月二六日一九時三三分、気象庁の緊急火山情報発表以来、火山性地震が多発し、一時は噴火の危険が伝えられた。六月二九日、火山噴火予知連絡会から、噴火の可能性はなく、西方海域での地震活動が活発に続くとの発表が行われた。火山性地震により、島内各地で道路、水道などの施設に被害が発生。七月一日一六時二分に神津島で震度六弱、新島で震度五弱の地震が発生し、神津島では死者が一名出たほか、両島でがけ崩れ等の被害が生じている。都は、自衛隊、海上保安庁、警視庁及び東京消防庁などの関係機関と早期の段階から密接な連携を図り、救援のための人員や物資の搬送、提供及び現地支援活動を実施し、給水活動、道路、水道の復旧など、復旧活動に取り組んでいる。今後の対応態勢では二十四時間職員が常駐し、情報連絡体制を敷き、情報の収集及び連絡に努める。また、今回実施した具体的な支援内容、方法や地元自治体及び関係機関との連携等について改善すべき事項をまとめ、改定作業中の地域防災計画に反映し、災害対策の一層の充実を図る。

港湾局長 4.首都圏を視野に入れた広域的な防災拠点として機能させていくために、有明の丘及びその周辺地域の基盤整備を進め、アクセス道路、防潮護岸、ヘリコプター緊急離着陸場等の整備を一体的に実施できるような補助制度の創設を国に強く働きかけ、着実な整備に全力を尽くす。

消防総監 5.魅力ある消防団づくりに関する委員会を設置し、検討した結果、消防団本部は、消防署の中に団本部室を設置し、分団本部格納庫は、消防庁舎などとの併設も含め、地域の防災活動拠点として八〇平方メートルを基本とすることや、給排水設備等を有した設備として充実を図り、可搬ポンプ等搬送車に関しても、整備を推進していく内容である。消防団員が地域での防災リーダーとして活動できるよう、分団本部格納庫及び可搬ポンプ等搬送車の整備について、その早期実現に向け、計画的かつ着実に努力していく。


地方分権の推進

 1.四月から地方分権一括法が施行され、機関委任事務制度の廃止等の改革が行われた。地方自治体自らが、分権改革を進めていくことも肝要である。都としてどのように認識しているか、所見を伺う。
 2.第二次計画中間のまとめで、都から区市町村に大幅な権限委譲を提案しているが、区市町村の行政は、どのような部分で大きく変わるのか具体的な説明を求める。
 3.区市町村の自立性、自主性の向上を図るためには、その権限を拡充していくことが不可欠である。大幅な権限委譲は、区市町村行政に大きな影響を及ぼす、その手順や区市町村に対する支援が重要である。今後の区市町村に対する権限委譲をどのように進めるのか。

知事 1.都は、今後、都道府県を単位とした規制や広域幹線道路の建設など広域にわたるものや、区市町村に関する連絡調整などの分野に重心を移す必要があると認識している。

総務局長 2.建築確認や開発許可など住民ニーズをより反映したまちづくりができる。保健所政令市となることで、福祉と連携した総合的な保健施策が可能となる。
 3.計画策定後は、区市町村と十分な協議、調整を行った上で、九月を目途に順次権限委譲を進めていく。権限委譲に際しては、専門知識、ノウハウの提供、都職員の派遣などの支援策や、移管当初における新たな施設の設置などに対する財政支援を行うことが必要。


市町村の財政支援

 1.今年の第一回定例会の施政方針において、多摩地域を大きな可能性を秘めた地域とし、地域の個性や独自性を生かした多摩の将来像を今年度に策定するとしたが、多摩の将来像をどう策定するのか。
 2.市町村での固定資産税等の減免措置は、課税権を持つ市町村が判断すべき課題であるという考え方も分かるが、景気対策などを目的とする広域的な政策であるならば、市町村が早期に判断し実施できるよう、都として直ちに財政支援を行うことを明らかにすべきである。

知事 1.東京構想二〇〇〇や都市づくりビジョンとの整合性を図りながら、多摩地域の豊かな可能性を時代の流れに沿って開発し、地域の特性を生かし、おおむね一五年ぐらい後に完成し、半世紀は通用するものを想定している。
 2.都議会でも強い決議がされていることであり、都内市町村の固定資産税等の減免措置に対する財政支援については市町村の財政運営や課税自主権に配慮し検討する。


財政・税制問題

 1.十一年度の決算は前年度に引き続き大幅な赤字となり、その金額は実に八八一億円になることが明らかになった。経常収支比率は昭和五三年以来、再び警戒水準である一〇〇%を超える見込みである。知事の率直な感想を。
 2.平成十三年度以降、引き続き巨額の財源不足が見込まれる。内部努力はもとより、引き続き施策の再構築や税財政制度の改善等、財政構造改革に積極的に取り組む必要がある。財政構造改革にかける決意を伺う。
 3.東京都税制調査会に対する知事の基本的な考えを伺う。
 4.都税調の検討対象は、都の税制のみならず、地方税制全般にまで及ぶ。その提言は、全国の自治体にも大きな影響を与えるものと考える。この提言をどう活用し、他自治体とどう連携していくのか。

知事 1.財政再建を都政の最重要課題の一つと位置付け、給与削減をはじめとする内部努力や聖域なき施策の見直し等も行った。しかし、景気状況は楽観を許さず、都としても、土俵を割らないように頑張っていきたい。
 2.厳しい都財政の現況を考えれば財政再建の道のりは、はるかに遠く険しい。そのためには、更なる財政構造改革の推進が不可欠であり、不退転の決意で取り組む。
 3.危機的状況にある東京をよみがえらせるためには、現行の中央集権的な行政システムを根底から変革することが不可欠である。地方の立場から税制改革の道筋をつけるべく設置した。
 4.都の税制調査会では、この地方主権の時代にふさわしい税財政制度について、地方自治体の権限を超えたものでも、国が裁量しているものでも、はっきりと物を言っていきたい。都独自に実施できるものは実現を図る。制度改正が必要なものには、議会の協力をいただき、全国の自治体と連携を図り、国を動かすべく、努力する。


心の東京革命

 1.少年による凶悪犯罪が続発し、大きな社会問題となっている。二十一世紀を担う子どもたちの育成について知事の認識を伺う。
 2.心の東京革命行動プラン策定後の具体的展開について伺う。

知事 1.今後の日本社会の発展のために、何よりも、社会の一員として必要とされる、本当の人間らしい心を持った子どもを真っ当な人間として育てていく必要がある。親や大人が責任を持って、家庭、学校、地域及び社会において子どもたちに基本的な心得を随時教えていくことが必要である。ある新聞で読んだが、フランスのルジャンドルという思想家が「本当は子どもが大人に求めているものは、何が良くて何が悪いかということを、何が黒か白かということをだれかが強くはっきりとさせてくれることだ」と。私もそのとおりであると思う。
 2.都民をはじめ学校や地域の関係団体と一体となった行動が不可欠である。プラン発表後は、子ども会やPTA、ボーイスカウトあるいは宗教団体、地域での子どもたちの育成に携わっているいろいろな団体の方々をはじめ、広く都民にも参加を呼びかけていきたい。


旅券窓口の改善

 他府県などでは、窓口の夜間延長や土・日開庁などのサービスを行い、住民から好評を得ている。二十四時間営業のコンビニエンスストアでは、公共料金の支払いばかりでなく、旅行代金の支払いもできるようになるなど、官民を問わず、サービスが拡大されている。
土・日も窓口を開いてほしいという切実な要望を聞き、都民の期待に応えて、窓口サービスの拡大を図るべきと考えるが。

生活文化局長 交付時間の夜間延長、交付に要する期間の短縮などサービスの向上に努めてきた。土曜日や日曜日における窓口業務の実施は、セキュリティーの確保や人員体制の整備など課題も多いが、都民の要望も強く、平成十三年度実現を目途に検討を進める。


都市ビジョン及び都市計画

 1.「中間のまとめ」が、五〇年先の東京を見据えた都市づくりビジョンを策定するとしているが、なぜ今、新しい都市づくりへの取組が必要と考えるのか伺う。
 2.これまでの都市づくりでは、一体、何が欠け、どのような課題が残されているのか。
 3.二十一世紀にふさわしい都市構造の考え方について伺う。
 4.この中間のまとめをどのように受け止め、今後の東京の都市づくりを進めていくのか伺う。
 5.都市計画法の改正により、都市計画マスタープランの策定が義務付けられたが、マスタープランの役割は。またどう策定するのか。
 6.用途地域等の具体的な都市計画のあり方も示されるべき。策定と併せた用途地域の見直しを。

知事 4.国際的な都市間競争の時代にあり、人や情報や資金が世界中から集まるニューヨークは、東京のまたとない好敵手である。これからの国際都市にふさわしい機能を、互いに比べながら、世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造を心がけたい。五〇年先を見据えた東京の都市づくりを積極的に進めていく。

東京都技監 1.成熟した都市型社会に移行し、情報通信技術が進み、仕組み自体も大きく変わることが予想される。環境問題への対応や国際的な都市間競争が激化する中で、東京の活力向上も一層重要となる。今後の都市づくりは、目的や目標をより明確にした政策誘導型へ転換することが必要である。
 2.環状道路などの広域都市基盤や木造住宅密集地域の整備、都心居住の推進などが、主要な課題として残されていると認識している。
 3.東京圏全体で首都機能を担い続け、業務のみならず、居住、産業、防災等、多様な都市機能が十分発揮される魅力のある国際都市として東京を再生することである。
 5.個別の都市計画を適切に誘導する役割があり、都民の声を反映し、区市町村との連携を図りながら策定する。
 6.用途地域は、新たな都市計画の目標に基づく土地利用の方針を示すこととし、本マスタープランの策定スケジュールに合わせ、用途地域等の見直しを行っていく。


羽田空港問題

 1.羽田空港の国際化のために、都が積極的な活動を行うべきであると訴えてきたが、都は、六月上旬、国に空港の国際化に関して要望書を提出したとのことである。この時期に要望を行った理由は。
 2.成田空港の利便性向上に対し「都として協力していく考えを表明した」とのことであるが、都の協力とは具体的に何か。

知事 1.成田空港は、暫定平行滑走路の整備がようやく進められ、国では、本年三月から、空港の有効活用方策として国際航空需要への対応について検討がはじまった。空港の国際化を早急に進めるように改めて何度も国に要望する。

東京都技監 2.成田空港は、羽田空港とともに、首都圏における空港機能を担う重要な空港であり、その空港利便性の向上に対し、都としても可能な限りの協力をしたい。本年一月の運輸政策審議会答申において、空港利便性向上に資する路線として位置付ける都営浅草線の東京駅接着が考えられる。


自動車公害対策

 1.ディーゼル車排出ガス対策への取組は、自動車メーカーや石油メーカーが、新長期規制の前倒しや低硫黄軽油の早期供給を表明するなど、産業界の積極的な取組を引き出し、国では対策の強化について検討が開始されるなど、都が産業界や国を引っ張り、問題解決へより広い地域での実現のため大きな成果を上げている。他自治体と連携して取組を進めていくべき。
 2.浮遊粒子状物質を削減するためには、既に使用過程にある車の対策に加えて、ディーゼル車をCNG車、LPG車、ガソリン車等に転換していくことが抜本的な対策である。粒子状物質はもちろん、窒素酸化物においても、低公害であることが広く認知されているが、普及が進まないCNG車についてどう取り組んでいくのか。

知事 1.大都市に共通する課題であり、首都圏を構成している七都県市や政令指定都市とも協力して国に強く働きかけていく。

環境局長 2.都は、自動車ユーザー、自動車メーカー、燃料関連事業者とともに、新市場創造戦略会議を設置し、CNG車等の購入、低価格化、スタンド増設等の取組を進めるよう、事業者間を調整した。CNG車の普及拡大に向け、事業者の協力を得られるよう、様々な取組を進めていく。


産業廃棄物処理計画

 大量廃棄社会から循環型社会への転換を目指して、生産・流通の段階にさかのぼった廃棄物の発生抑制を進めるための計画とすべきだ。

知事 多量生産、多量消費を基調とする社会構造から、生産段階より製品の長寿命化を図るなどの産業構造に転換することを勘案し、変革することが必要。資源の有効利用と環境負荷の低減を図るために新しい産業廃棄物処理計画では発生抑制の取組を審議会で検討している。


福祉行政

 1.社会福祉事業法が改正され、策定された福祉改革ビジョンの実現にどう取り組んでいくのか伺う。
 2.都、区市町村においても、厳しい財政状況下において、福祉改革はまさに正念場である。今後、改革にどのように取り組んでいくのか所見を伺う。
 3.四月に介護保険制度がスタートしたが、この制度の趣旨を大切に育てていくことが、政治と行政に求められている。この現時点での状況をどのように認識し、今後どのように取り組もうとしているのか決意を伺う。
 4.包括補助制度「がんばろう!東京福祉」事業が創設され、区市町村が自主的、積極的に福祉に取り組むことを応援することこそが都の責務と考える。この事業を一層充実させていくべきと考えるが、所見を伺う。
 5.地域での支え合いが広がるよう、高齢者のパワーが発揮されるための施策の充実が重要であると考えるが所見を伺う。

知事 1.年内を目途に、ビジョン実践のための「福祉改革推進プラン(仮称)」を策定し、区市町村と緊密に連携しながら、新しい福祉の実現に取り組んでいく。
 3.区市町村をはじめとする関係者の努力によって、都民の理解も深まりつつあると認識している。介護サービスの基盤の整備やサービスの質の向上などに努め、区市町村や民間などとともに、すべての高齢者が安心して暮らせる活力のある高齢社会を築いていく。
 5.高齢者は豊富な経験や知識を持ち、コミュニティ活性化のキーパーソンとして、子どもの教育や高齢者の介護、地域社会の安全などの面で大いに活躍していただくことで、地域の支え合いが一層進むように、区市町村とともに取り組んでいきたい。

福祉局長 2.短期間での福祉改革ビジョンの実現には、区市町村との協力と、サービスの供給主体である民間事業者等の活力を生かしながら取り組んでいく必要があると考える。
 4.各会派の皆様から頂いた要望に基づき創設した福祉改革推進事業及び高齢者いきいき事業等は、区市町村の取組を積極的に支援することを目的とし、各区市町村からは地域に根差した独創的な提案が数多く寄せられている。予算の着実な執行を図り、十三年度以降、一層の充実に取り組む。


医療改革

 1.今日の医療の抱える様々な課題に都自らが取り組むことは、日本の医療のあり方を変えていくという強い意欲の表れである。今日の医療についてどのような課題があるのか伺う。
 2.都民は一体どのような医療を望んでいるのか、東京の医療のあるべき将来像について伺う。
 3.今回の医療改革では、東京発の医療改革と、その実現のための核として、都立病院の改革に取り組むと聞くが、いつごろをめどに実現されるのか。
 4.民間医療機関や区市町村の協力のもとに、初期、二次、三次救急という区分に基づく救急医療体制を整備してきたが、医療改革では、都としてさらにどのように充実するのか。
 5.広尾、墨東、府中の都立三病院を東京ERとして整備するねらいは何なのか。現行の救急医療体制の中でどのように位置付けられるのか伺う。
 6.三六五日二十四時間の安心できる医療を実現しようとすれば、医師はもちろん、看護婦、検査技師等の十分な人員を配置する必要に迫られる。医療スタッフを確保する決意は。
 7.救急医療をより良質なものにするために、地域医師会を含む病院と診療所の連携をどのように考えているのか見解を伺う。
 8.都立病院改革懇談会を発足させるとのことだが、どのような内容の議論を考えているのか。

知事 1.患者への情報提供の不足や医療機関の情報の不足など、透明性というものが非常に足りない。初期救急や小児救急などの救急医療体制が誠に不十分。
 医療資源の地域偏在や硬直した病床規制、画一的で出来高払いの診療報酬制度などの効率性の不足など、これらを克服していくためにも、東京からの医療改革を行う。
 2.警察や消防に対する依頼心というものが、病院に対しても持てることが必要だ。患者が主体的に医療サービスを選択できる患者中心の医療を提供していきたい。
 3.短期的な取組として、救命救急センターを有する広尾、墨東、府中の都立三病院に東京ERを二年以内を目途として整備する。小児救急の充実や患者の権利章典の制定などについても早期に実現する。都立病院の再編整備については、早急に識者を集めて都立病院改革懇談会を設置し、地域性や医療機能の面からも検討する。来年夏予定の報告を踏まえ、老人医療センターを含む都立病院全体の再編整備に着手する。
 5.チームによる対処が必要とされてくるが、それを克服するためいろいろ皆さんから知恵を出していただき、速やかにお医者さんが集まり、チームができる体制を東京から作って行きたい。

衛生局長 4.救急医療については、警察や消防と同様に、三六五日二十四時間対応可能で、都民が利用しやすいシステムを構築していくことが必要である。
 平成十一年度から固定制の医療機関による休日・全夜間診療事業を開始するなど、救急医療体制の整備に努めてきたが、患者の症状に応じた、きめ細やかな対応という点では、救急医療の三層構造をさらに充実していく必要がある。小児救急も含め、初期救急を中心にさらに強化を図り、救急医療全体のレベルアップに努める。
 6.三六五日二十四時間の安心の実現のためには、医師をはじめとする救急専門スタッフの育成や臨床研修医制度の拡充などを図り、厳しい都財政にも配慮し、様々な創意工夫を図りながら、効率的な執行体制を確立していく。
 7.地域医療システム化推進事業や、新たに医療機関情報システム化推進事業に取り組むなど、地域医療のシステム化や医療の情報化を図っている。救急医療をより効果的なものにするために、医療機能連携の強化に一層努めていく。
 8.本懇談会では、望ましい行政と民間の役割分担、医療機関相互の連携など、幅広い視野に立って議論をしていただき、都立病院の役割や医療機能を見直し、地域特性を配慮した上で、都立病院全体の再編整備について提言していく。


産業及び雇用政策

 1.最近の東京の産業、中小企業の現状をどう見ているのか。都として有効な応援施策をどう構築し、実現しようとしているのか。
 2.東京の小売業は、店主の高齢化や後継者難の問題を抱え、その将来が危惧される。元気を出せ商店街の施策などを柱に対策を講じてきたが、東京の商店街の将来と活性化についての考えは。
 3.三月に発行したCLO、ローン担保証券には、予想以上に多くの企業、一七〇〇社が参加し、七百億円もの新たな資金が優秀な中小企業に供給された。今回発行したCLOの評価はどうか。検証はしたのか。結果を報告されたい。
 4.第一回発行の検証を踏まえて今後この制度をどのようにしていくのか。
 5.景気が回復しつつある中で、完全失業率は戦後最悪の水準を維持し、深刻な雇用不安は続いている。都として、中長期的な観点から、高齢者にふさわしい多様な働き方や職域の拡大を図っていく努力が必要だ。

知事 1.東京には日本の高度成長を支えた特殊技術や世界一の物づくり技術を持つ中小企業が沢山ある。評価しているのは日本人ではなく、中国人とアメリカ人である。ITを一層活用して産業構造の転換を促進し、雇用吸収力に富む産業を多数創出していく。
 2.都内小売業に関する今回の都の調査によると、長引く景気の低迷の中で、八割もの企業が三年前に比べて売上げが減少し、廃業予定も三割を超える厳しい結果が出ている。都内の商店街が厳しい状況を克服して、売上げを回復し、地域コミュニティの核としての役割を発揮することは、重要な課題だ。二十一世紀商店街づくりの振興プランを策定し、商店街の活性化を図る施策を展開していく。

労働経済局長 3.今回CLO発行に参加した企業からのアンケート結果では、「無担保借入れが魅力」が約四割と最も多く、「三年期限一括返済」という社債型の返済方法への評価が三割と続き、その他「債券発行に興味があった」、「借入れ以外の資金調達を希望」など資金調達多様化を挙げた企業も多く、「東京都主導だから」と行政主導であることへの評価も約二割と高い。「借入金利の抑制」や「五千万円の借入限度額の引き上げ」を求める声が多い。
 4.金融機関等との意見交換会やCLO参加企業からのアンケート結果などを踏まえて、直接金融の要素をより多く取り入れ、第二回債券発行に向けて検討を進める。
 5.中長期的視点に立ち環境や福祉をはじめ、発展が期待できる産業の育成を図り高齢者の雇用の場の拡大を進める。高齢者の創業等を支援し、高齢者が一層活躍できる仕組みや場を広げていく。


ユース・プラザの建設手法

 ユース・プラザは、時代のニーズに対応できる青少年社会教育施設として、多摩と区部の二か所に設置されるものである。策定された青年の家再編・整備計画に基づくユース・プラザの建設計画の事業手法はどうなっているのか。PFI手法は、多摩地域ユース・プラザ建設や区部ユース・プラザの有力な手法と考えるが見解を。

教育長 区部ユース・プラザは平成一五年度に、多摩ユース・プラザは一七年度に開館する予定である。事業手法は、既存施設を極力活用し、民間活力の導入も含め、行財政改革の視点から最も効率的な手法を採用する。
 多摩地域ユース・プラザへのPFI手法の導入については、法的な枠組みが整ったことから、鋭意検討していく。区部ユース・プラザの建設手法については、既に基本設計が完了しており、PFI手法を導入した場合の財政上の効果、工期への影響、リスクの負担などの調査を早急に行う。


選挙事務の改善

 1.国際社会では、IT革命が進み、選挙事務も例外ではない。投票の利便性拡大のために、電子投票制度の導入は不可欠の課題だ。電子投票機を導入すると、どのような効果が期待できるのか。
 2.自書式による投票が義務付けられているなど、その実現に向けて克服すべき課題があるのか。
 3.都においても、電子投票制度の導入に向けて調査・研究を進めていると聞くが取組状況を伺う。

選挙管理委員会事務局長 1.選挙区内のいずれの投票所でも投票できるようになり、投票率の向上に寄与し、無効票や疑問票が減少する。開票事務の大幅な迅速化が図れ、速やかに結果を報告できる。従事職員の負担が軽減されることなどの効果が期待できる。
 2.システムの開発に当たり、簡単な操作により投票人の意思が正確に反映され、投票の秘密が確保される。ハッカーや事故等に対する十分なセキュリティー対策が必要であるが、長期的には機械等の導入による人件費等の削減効果が費用を上回る確実な見込みが得られることなどが課題だ。
 3.昨年九月、大学教授や民間技術者、区市選管職員等をメンバーとする電子投票制度検討研究会を設置し、技術的側面から、導入の効果、解決すべき課題等について検討を進めている。法制面から検討している自治省の同様の研究会とも連携を図り、中間答申を年内に取りまとめるよう努めていく。


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