▼崎山委員
私からは、緑化対策とものづくり支援についてお伺いをいたしたいと思います。
初めに、緑化対策について伺います。
第二回定例会本会議では、オリンピック招致と絡めた質疑を行いましたが、きょうは、緑の東京十年プロジェクト基本方針などについて、現状とともに、今後の具体的な取り組みと方向性について伺います。
また、予算議会を控え、十八年度決算の中で、次年度の予算についてどう考えているのか、そして、施策にどう落とし込んでいくのかについて、関係局に所見を伺いたいと思いますので、可能な限り、より具体的な答弁をお願いいたします。
江戸末期から明治維新にかけて来日した西洋人は、城下町、門前町、港町の都市景観を見て、水と緑がしたたる町、ガーデンシティーとかガーデンアイランドと称して賛嘆したそうであります。それが、東京時代に入って、当時のたたずまいが失われていったのだと、当時の文献をもとに、国際日本文化センター教授の川勝平太氏は、いろんな著書に書いています。ある意味で、ガーデニングの起源は江戸文化にあるとも読み取れます。
緑があふれるということは、無機質な町に潤いを、また、そこに住み、働く人に安らぎを与えてくれます。このプロジェクトの応援団の一人としてその実現に向けて全庁を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。
そこで、まず、街路樹の倍増について伺います。
緑の東京十年プロジェクトでは、現在都道、国道、区市町村道を合わせて四十八万本ある街路樹を、今後四年間でおおむね七十万本に、そして、平成二十七年には百万本へと倍増させていくこととされています。
そこで、これまでの街路樹の取り組みについて質問いたします。平成十八年度では、都内の街路樹は何本ふえたのか。また過去十年間で街路樹がどれだけふえたのか、伺います。
▼建設局長
都内の街路樹は、戦災により大幅に減少いたしましたが、それ以降、東京のまちづくりに合わせて着実に増加し、平成十八年度末には約四十八万六千本となっております。
お尋ねの十八年度における街路樹の増加本数でございますが、都道、国道、区市町村道の合計で約七千本でありまして、過去十年間では約六万五千本増加いたしました。
▼崎山委員
平成二十七年度までに街路樹を百万本とするためには、単純計算でも十八年度の十倍近い本数を毎年植栽していくことになります。街路樹については、落ち葉の処理や害虫の発生などで苦情があると聞いています。都民の中には、街路樹をふやすことをよしとしない人もいると思われます。しかし、ヒートアイランド対策やCO2対策などの面からも街路樹を大幅にふやすことは必要なことであります。
そのためには、これまで以上に都民の理解と協力が得られるような取り組みの強化が必要だと考えますが、見解を伺います。
▼建設局長
街路樹は、ヒートアイランド現象の緩和や、風格ある都市景観の形成などに寄与しております。このような機能を有する街路樹に愛着を持って世話をする都民の方々がいる一方、日当たりの悪化や落ち葉の清掃などの問題で、街路樹の増加に消極的な意見もございます。こうした街路樹に対するさまざまな思いがある中で、街路樹を倍増させるためには、都民の理解と協力を得ることが不可欠であると考えております。
このため、今年度、内堀通りなどにモデル区間を設定し、既存の街路樹の間に季節感あふれる中低木を植栽するなどして、街路樹倍増の効果を広く都民に実感していただくよう取り組んでまいります。
また、さまざまなイベントなどを通じて、街路樹の役割や必要性をわかりやすく説明し、都民一人一人が街路樹に関心を持ち、守り、育てていただくよう働きかけてまいります。
▼崎山委員
着実に街路樹が倍増できるように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
次に、海の森について質問いたします。
人工の森として象徴的なものといえば、神宮の森です。戦前には、青空が仰げたといわれていましたが、植樹された十万本の献木は、九十年を経た今、木漏れ日の参道とまでなりました。こうした森づくりは、一貫した方針と計画により完成した後の森を具体的に描き、地道に進めていくものであると考えます。
十月に、海の森募金は、緑の東京募金に統合されました。これからは、その対象となる海の森の整備や街路樹の倍増、校庭の芝生化、花粉の少ない森づくりなどの充実に向け、より多くの都民や企業へのムーブメントとなるよう邁進していただきたいと思います。
さて、このプロジェクトの基本方針に記載のあるメモリアルツリーでありますが、平成十三年から私の地元荒川区の都立尾久の原公園に、公募により、しだれ桜の植樹を数回に分けて実施をいたしました。もうこれ以上公園には植えるスペースがないというほどの応募があり、大好評でありました。このように、緑化への取り組みは、都民や企業を巻き込みながら進めていくことが重要であると考えます。
海の森の計画について、具体的にどのように森づくりに取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
▼港湾局長
海の森は、ごみと建設発生土の埋立地を緑あふれる大きな森とする事業でございます。この事業は、整備の方針として、苗木づくりから植樹、管理までを、都民、企業、NPO等の参加と協力のもとに行うという都民との協働という柱と、公園や街路樹の枝葉を利用した堆肥づくり、浄水場からの発生土や下水汚泥のリサイクル製品を活用した土づくりなどの資源循環型という二つの柱を森づくりの特色としております。
これまでも、小学生による苗木づくりを進めており、本年度から、苗木づくりの参加の範囲を企業、NPO等の各種団体にまで広げますとともに、現地の植樹エリアにおきまして、これまで生産してきた堆肥を利用した土づくりを開始いたします。
今後、幅広い都民の参加による植樹を行うとともに、苗木を育てるための草刈りや成長していく樹木の剪定などにも参加を広げてまいります。さらに、森の生育状況を確認してもらう自然観察会等も実施してまいります。
このような取り組みによりまして、都民が愛着を持ち、ともに育てる森づくりを進めてまいります。
▼崎山委員
次に、校庭の芝生化についてお伺いいたします。
十七年度はモデル事業として二十七校で実施をされました。私の息子の通っている学校でも、モデル校として試行錯誤を繰り返してきたようであります。芝生の効果は、ヒートアイランド対策だけでなく、砂ぼこりが立たない、子どものけがが少なくなった、水はけがよいなどの効果があります。でも、やはり何といっても夏場の清涼感と緑の香りの心地よさであります。
全都への広がりに期待したいのですが、維持管理費など幾つかの課題もあるようであります。十年間で都内の公立小中学校などにおいて三百ヘクタールの緑を創出するためには、その整備コストのみならず、維持管理に関する支援が必要でありますが、どのように考えているのか、お伺いいたします。
▼環境局長
校庭芝生化を一層推進していくためには、各学校の実情に合わせた適切な維持管理が行われるよう支援の仕組みをつくっていくことが必要でございます。そのため、都は、校庭の芝生に関する専門家である校庭グリーンキーパーの登録、派遣を進めてまいります。
また、芝生の維持管理を幅広い企業や団体の協力を得ながら進めるため、先般、日本サッカー協会や日本芝草学会などの賛同を得て、東京芝生応援団の結成を呼びかけたところでございます。
これらの取り組みによって、各学校の芝生の維持管理が適切に行えるよう積極的に支援してまいります。
▼崎山委員
また、校庭の芝生化の最大の課題は、その養生期間にあるのではないかなと考えます。芝生化の効用については、多くの皆さんの賛同を得ることができると思いますが、問題は養生期間が長いとの批判があることであります。
子どものための運動場で、年間何十日も使用できないということは、本末転倒だとの意見があることも事実であります。現場においても、失敗すれば、すべてを枯らせてしまうというような心配が生ずることのないよう、今求められているのは、情報公開やアドバイスであります。
そして、養生期間はできるだけ短いにこしたことはありませんが、芝は生き物であり、ゼロというわけにはいきません。何らかの工夫により、子どもたちに芝生の校庭で思いっ切り遊ぶ機会を多くすることができれば、おのずと校庭芝生化に対する理解も高まっていくと考えます。
養生期間を設けることによる学校生活への影響の軽減について、お伺いをいたします。
▼環境局長
これまで校庭の芝生化を行った学校では、養生期間を設けることによる学校生活への影響をできるだけ軽減するため、専門家のアドバイスを受けて、養生が最小限の期間で済む適切な時期を選んだり、学校行事のない長期休業期間を活用する、あるいは、校庭全体を一度に養生するのではなくて、分割して順番に養生するなど、さまざまな工夫が行われるようになってきております。
なお、芝生化した校庭は、雨がやんだ直後でも使用がすぐに可能であるというメリットもございまして、養生期間についての工夫と合わせれば、芝生化前のグラウンドの年間利用日数と大して変わらないという現場の校長先生からの話も伺っております。
今後とも、こうしたさまざまな工夫事例を収集いたしまして、区市町村や学校と情報を共有することにより、多くの学校が安心して校庭の芝生化に取り組んでいけるよう努めてまいります。
▼崎山委員
アメリカの副大統領を務めたアル・ゴアは、彼の著書である「不都合な真実」の中で、私にできる十のこととして、ごみの減量やレジ袋の使用自粛とともに、木をたくさん植えましょう、一本の木は、その生育中に一トン以上の二酸化炭素を吸収するのだからと、世界に向けて訴えています。
ゆえに、緑化への取り組みは、今後の環境行政において一つの大きな流れをつくっていかなければならない課題であると考えます。
また、都のひとり相撲だけでは、緑をふやしていくといっても限界があり、都民や企業などの協力なしにこの取り組みはなし得ないと考えます。
そこで、質問の最後に、「十年後の東京」において一つの柱ともなっている緑化への取り組みについて、今後の方針と決意についてお伺いいたします。
▼環境局長
東京における緑は、都民に潤いや安らぎを与えるだけではなく、都市防災やヒートアイランド対策、美しい都市景観の創出など、その役割は多様かつ重要でございます。
都は、「十年後の東京」で第一の目標に掲げた、水と緑に包まれた美しい都市東京を復活させるため、緑の東京十年プロジェクトの基本方針に基づき、現在具体的な事業化について検討を進めております。
事業の実施に当たりましては、何よりも、都民、企業、NPOなどさまざまな主体の協働により、緑を植え、育て、守っていくことが重要でございます。
そのため、この十月に、新しい協働の仕組みといたしまして、緑の東京募金を創設し、幅広い層の緑づくりへの参加を促す取り組みを開始いたしました。
あわせて、公園、里山、森林などの維持管理におけるボランティア活動など、緑に触れ合い、親しむ機会を拡充することにより、緑化の機運を高め、緑のムーブメントを広範に展開してまいります。
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