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第4回定例会・一般質問(要旨) 12月12日

相川 博 議員(民主党)


 国に先駆け環境危機に取り組め子供に環境学習の場を提供せよ


    多摩の森林再生
    環境学習の重要性

多摩の森林再生

 森林は、土砂崩壊の防止といった国土保全、酸素の供給、地球温暖化の防止、水源の涵養、レクリエーションの場としての利用といった公益的な機能を有している。林業が産業として成り立っていた時代には、林業経営の結果として、副次的に森林の公益的な機能が保たれていた。しかし、現在では、生産コストの上昇と木材価格の低迷などによる林業経営の行き詰まりと、林業従事者の高齢化、後継者不足の結果、放置され荒廃する森林が増えている。都も、これまで林業振興の観点から、様々な補助策が講じられてきたが、なかなか効果が現れていない。多摩の森林を守るためには、これまでのような林業に頼った手法だけでなく、環境の視点に立ち、森林所有者の手が入らず、放置され、荒れた森林にこそ優先的に手を付けていくべきである。知事は所信表明で、荒廃している多摩の森林を効果的に再生するため、新しい発想に立って事業を進めると言っているが、具体的にはどの様な視点を重視した再生をしようとしているのか、知事の所見を伺う。

知 事 森林はこれまで産業としての林業の面のみでとらえられていたが、これからは環境の保全、整備という、公益的な視点からとらえ直す必要がある。森林の持つ水源の涵養や、土砂の流出防止といった国土保全のための効用、あるいは二酸化炭素の固定による地球温暖化防止などの能力は、とても人知の及ぶところではない。都民、国民の共通の財産である森林の再生に、環境保全の視点から総力を挙げて取り組み、東京から国の森林政策を変えていきたい。


環境学習の重要性

 20世紀、私たちは物質的な豊かさを享受する一方、様々な環境問題を引き起こしてきた。大気汚染問題やダイオキシンなどの化学物質の発生、ごみ、廃棄物問題など深刻な環境破壊に直面している。中でも近年国際的に極めて憂慮されているのが地球温暖化による気候変動の問題である。温暖化のために、世界中で洪水や干ばつなどの異常気象が頻発し、砂漠化が進行している。地球温暖化問題に対する国際的な取組のため、1997年に京都議定書が策定され、本年、モロッコのマラケシュで行われたCOP7では、議定書の批准、発効に向けて大きく前進したが、議定書発効をめぐる日本政府の対応は、国民や世界の人々に対して大きな失望を与えるものであり、私たちは国に環境問題を任せるわけにはいかない。むしろ、東京都がイニシアチブをとって、国に先駆けて、積極的にこの環境危機に取り組むべきではないか。日本における公害や環境問題の歴史を振り返ってみても、自治体が先駆的な取組を行ってきたのに対し、国の対策は常に後手、後手に回ってきた。例えば、大気汚染などの公害問題が深刻だった時に、東京都は、いわゆる上乗せ、横出し規制という国の環境基準よりも厳しい規制を行い、また公害防止協定のような優れた制度を開発してきた。都の公害問題に対する積極的な姿勢が国を突き動かし、その結果、日本の公害対策は大きく前進したわけである。環境の世紀と呼ばれる21世紀初頭、東京都が今また積極的な役割を担うべき時が来ているのではないか。そこで、私が強調したいのは環境教育の重要性である。これからの日本、東京を担う子どもたちに、自然の大切さを分かってもらい、自然環境と調和した社会の形成を託すべきである。これ以上子どもを自然から引き離すのをやめ、いかにして子どもたちに自然体験や環境学習の場を提供していけるかが環境問題や教育の観点から最も重要なポイントである。教育長の認識を伺う。

教育長 環境学習は、日本の将来を担う子どもたちに自然や環境問題に関心を持たせ、環境に対する人間の責任、役割を理解させ、進んで自然保護や環境保全に参加する態度を育てる意味からも重要。都教育委員会は、環境学習に関する指導資料を作成するとともに、副読本の作成、実践活動の発表会の開催など、環境学習の取組を推進しているところである。今後とも、自然環境と調和した社会の形成を目指し、子どもたちが自然の大切さを体験し、その感動を広げるような学習を教育課程に位置付けることなどについて、各学校を指導助言していく。

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