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第3回定例会・代表質問(要旨) 9月26日

田中 良 議員(民主党)


 危機管理能力向上に取り組め都政を都民感覚に近づけよ


    危機管理
    都政運営
    環境問題
    福祉医療改革
    雇用対策
    観光振興
    新しい都市づくりビジョン
    多摩地域の振興

危機管理

 〔1〕知事は、現状における都の危機管理能力がどれほどのものであると考えているのか。
 〔2〕必要な危機管理能力を備えるために、単に行政側の思考だけで進めるのでなく、議会、民間の有識者等も含めプロジェクトを組み、危機管理能力向上への取組を早急に開始するべきだ。
 〔3〕新宿歌舞伎町のビル火災に関連し、昨今の繁華街が多国籍化している状況で、従来のような災害対策では対応しきれない。危機管理の視点からの対策強化が急がれるべきだが知事の見解と決意を伺う。

知 事 〔1〕都は、都民の生命と安全を守るために、この2年間にわたって、実践的な訓練としてビッグレスキューを行うなど、危機管理能力向上に努めてきた。万一の場合、阪神・淡路大震災の悲劇を繰り返すことなく、形を変えた大規模なテロに対しても、迅速に対応出来るような危機管理体制を今後も強化していく。
 〔2〕危機管理能力向上に当たり民間の意見も取り入れるのは当然。アジアの大都市とも連携して、七都県市による首都機能のバックアップ体制の確立と警備体制強化を図っていく。
 〔3〕今回のビル火災に対しては、緊急特別査察や都市計画局による緊急安全点検を実施している。今後も危機管理の視点から、それぞれの部署が相互に連携しながら、総合的な対応を図っていきたい。


都政運営

 〔1〕東京は、再生を図っていかなければ最悪のデフレスパイラルに巻き込まれかねない状況にある。この状況の中で、都政を運営していかなければならないが、財政構造のどこを重点的に見直そうと考えているのか見解を伺う。  
 〔2〕重要施策が既存施策に優先するという判断基準が不明確な中で、重要施策の財源を当該局もしくは全庁的なスクラップやシーリングだけに求めるならば、自局の事業のスクラップを恐れて、思い切った重要施策は打ち出せないのではないか。また、あえて重要施策を優先して規模を膨らませれば、どこかに無理が生じるのではないかと危惧するが、見解を伺う。 
 〔3〕重要施策の立案、選定の後、予算の査定が行われ、来年度予算の骨格が形成されるが、この2つのかじ取りをどの様に進めていくのか。 
 〔4〕これまでも第三者機関としての行政評価委員会を設けるべきだと主張してきたが、この都民と都政とのずれを正し、都政を都民感覚に近づけるために、都はどの様な措置を講じる考えか、見解を伺う。
 〔5〕全庁的に社会貢献活動団体などとの協働事業を推進するために、具体的にどの様に取り組むのか。

知 事 〔1〕将来の財政負担となる都債の抑制や税財政制度の改善を進め、強靱な財政体質を構築していくことを目指している。他のプロジェクトに比べ、経済効果がはるかに高い都市の再生に国費の投入を求め、PFI手法の活用を図るとともに、歳出構造面から、内部努力の徹底や施策の見直しを強力に進めていく必要がある。
 〔2〕既存の事業の見直しや施設の再構築を徹底するとともに、国費の導入など財源の確保にも努めて、重要施策の実現性を確保していく。
 〔3〕重要施策の選定と既存の事業の見直し、再構築を進め、限られた財源を重点的、効率的に配分し、メリハリのついた予算を編成する。

知事本部長 〔4〕評価を行う際、高度な専門性や実践的な識見が必要な場合には、外部専門家の意見を聴取し、その内容を評価に生かす。また、インターネットの活用などで都民に分かりやすく公表し、意見をいただくことで都民の視点からの客観的な評価を確保出来ると考える。

生活文化局長 〔5〕協働を進める上で必要となるNPO等の活動実態などの情報を収集し、提供するとともに、庁内及び都民の相談に対応できる体制を整備していく。併せて、NPOの多くが団体の運営管理等の面で様々な課題を抱えていることから、活動環境の整備にも努めていく。


環境問題

 〔1〕欧州各国は、環境税の導入、自然エネルギー開発の促進等の先駆的な施策が次々と導入されている。これらの動きに比べ、わが国の取組はいかにも立ち遅れている。知事はわが国の温暖化対策の閉塞状況をどの様に見ているのか。 
 〔2〕東京では、特に事業所ビルに起因する二酸化炭素排出量が多く、こうした対策の強化が必要である。事業所ビルへの対策を含め、国の動きを先取りした施策を構築し、積極的に展開していくべきと考えるが、所見を伺う。
 〔3〕海外に目を向けた情報発信を行うなど、先駆的な取組を進めるべきと考えるが見解を。 
 〔4〕海外の政策事例なども含め積極的な情報収集を進めると共に調査研究機能を強化し、新たな政策を立案する必要がある。その際民間企業など外部の研究者と連携し、新たな発想を行政の内部に取り込むべき。
 〔5〕低公害車の導入が容易に進むような環境の整備及び事業者などへの支援策に積極的に取り組むべきと考えるが見解を伺う。

知 事 〔1〕地球温暖化対策は、まさに人類の存在そのものが問われているという新しい歴史的な必然性、蓋然性のもとでの大事件であり、そういう認識というものを、日本の政治の担当者はひとしく持つべきではないかと思う。

環境局長 〔2〕東京都環境基本計画の改定の中で、都民、事業者等との連携により、温室効果ガスの排出抑制を進める施策の方向を明らかにする。
 〔3〕環境科学研究所のホームページでは英語による研究情報の提供も行っている。今後のアクセス状況等を踏まえ、海外への環境情報の効果的な提供を行っていく。
 〔4〕一層の情報収集に努めるともに、外部の機関、研究者との連携を積極的に進め、新たな発想を都の環境政策の中へ取り込んでいく。
 〔5〕国に強く働きかけるとともに、都としても、引き続き低公害車の導入促進に努めていく。


福祉医療改革

 〔1〕誰もが地域の中で福祉サービスを利用出来るよう、その充実に向け積極的に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
 〔2〕利用者が選択出来る福祉を実現するためには、第三者によるサービス評価システムと評価情報を含めた総合的情報提供の仕組みを早急に構築すべきと考えるが、見解を伺う。
 〔3〕都立病院はこれまでとどう変わり、都民はどの様なメリットを享受することが出来るか。 
 〔4〕都立病院改革についてマスタープラン策定に当たり、都の厳しい財政状況の中でどの様に再編整備を進めていくのか。
 〔5〕都立病院改革により、都民への医療サービスが後退することのないよう求める。

知 事 〔1〕大都会東京の特性を生かし、民間企業など多様な事業主体の参入を積極的に進めながら、国に先駆けた取組を更に展開することにより、福祉改革を引き続き推進していく。

福祉局長 〔2〕福祉サービスの種類や特性に応じ、段階的に評価手法や評価項目を作成し、有効性などを検証している。今後とも、システムの構築に向け、取組を一層積極的に進めていく。

衛生局長 〔3〕都民に対する総体としての医療サービスの充実強化に確実に結び付けていく。
 〔4〕PFI等新たな手法を検討し、財政や運営で様々な工夫を行い、再編整備を進めていく。 
 〔5〕地域における医療連携をこれまで以上に強化し、都民ニーズに的確に対応した、より質の高い医療の提供を目指していく。


雇用対策

 〔1〕政府は、総合経済・雇用対策などを進めているが、都も地域での雇用・就業施策の展開に向け積極的に取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺う。
 〔2〕都のそれぞれの事業がどの程度雇用を誘発出来るのかなどを目安として事業化するといった試みも、雇用促進のためには必要ではないか。
 〔3〕必要な体制を整備しながら、全ての労政事務所で夜間、土曜日、あるいは休日相談を実施するなど、労働相談のより一層の充実強化を求める。見解を伺う。

産業労働局長 〔1〕国に先駆けて可能な限りの施策を実施しており、景気動向や雇用情勢等を注視しつつ、適宜、効果的な対策を講じていく。
 〔2〕各事業がどの程度雇用を誘発出来るかを念頭に置き、施策を展開していくことが重要だ。 
 〔3〕全労政事務所で土曜、夜間の相談を拡充するために、労政事務所の再編整備を行い、機動的かつ弾力的な労働相談体制を構築していく。


観光振興

 〔1〕戦略的なシティーセールスを展開し、必要であれば、知事自らが、東京の魅力を全世界に発信していくことが必要ではないか。
 〔2〕伝統文化や町並みなどの異国情緒、あるいは正直さや待遇面での親切さ、安全、衛生など滞在の心地よさを世界にアピールしていくことなども重点的に取り組むべきと考えるが見解を。 
 〔3〕東京発の改革の1つとして、公立学校の休業日のあり方についても検討をすべき。

知 事 〔1〕東京が先頭に立って政策を展開し、海外に東京の魅力を積極的に伝えて、外国人旅行者の誘致に努めていきたい。

教育長 〔3〕小中学校の休業日の設定や弾力的な対応は、それぞれの設置者である区市町村の判断にゆだねられている。都立学校についても検討すべき課題があり、研究が必要である。

産業労働局長 〔2〕外国人旅行者を広く集客するための施策を、ハード・ソフト両面から総合的に推進していく。


新しい都市づくりビジョン

 〔1〕都市づくりの新たな進め方として、事前に広く市民の声を聞くPFI的手法の活用、NPO登録制度、インターネットによる情報提供が提案されている。住民が都市づくりに積極的に参画出来るよう、これらの仕組みを早期に整備すべきだ。
 〔2〕地区計画策定を推進することは環境と調和した都市を実現する上で非常に重要。地区計画の推進に向けてどの様に取り組むのか。
 〔3〕木造住宅密集地域改善のため、街区再編プログラムを今後どう具体化していくのか。
 〔4〕区市町村のまちづくりマスタープランが策定されつつあり、交通需要マネジメントの推進や道路構造令の見直しなど、社会情勢が変化する中で、都市計画道路について改めて再検討すべき時期に来ていると考えるが。

都市計画局長 〔1〕インターネットによる計画内容の情報提供や意見書の受理など、都民等に都市計画が身近となるよう、環境づくりを行う。
 〔2〕区市町村と連携し、緑の充実にも配慮した地区計画の策定を積極的に進めていく。
 〔3〕地権者などが、自ら容積率の緩和等の内容を含む都市計画を定めるよう要請することが出来る街区再編プログラムの創設を提案している。今後、必要な制度改正を国に働きかけるなど、早期制度化を図っていく。
 〔4〕交通機能、都市防災、地域環境等の効果が十分に発揮出来るような体系的な都市計画道路ネットワークを形成することが重要である。そのため、事業の優先度や財源の効率的投資等の観点から事業化計画を策定している。今後とも社会経済情勢の動向を適切に踏まえつつ、計画的、効率的に道路整備の促進に努めていく。


多摩地域の振興

 〔1〕知事は、大いなる発展の可能性を持った多摩地域にどの様な期待を持ち、今後、多摩地域振興にどの様に取り組む考えなのか。
 〔2〕多摩の将来像の実現を目指すに当たっても、自然と調和しながら地域の発展を図っていくという考え方が不可欠であると思うが、所見を。
 〔3〕今後、市町村の役割は益々大きくなっていくが、多摩の将来像に基づいた多摩振興においては、市町村の役割をどの様に捉えているのか。
 〔4〕東京の中でも多摩地域が、市民活動の最も先進的な地域である。多摩地域の振興策についても、市民、NPO、企業との協働が欠かせないと考えるが、見解を伺う。
 〔5〕多摩の将来像の実現に向けて、チャレンジテーマをはじめとする様々な課題に、都としてどの様に取り組んでいくのか。

知 事 〔1〕地域の特性を踏まえつつ、区部との格差是正の観点から脱却して、主体的な発展を目指していくことが必要であり、都は市町村や住民、民間と協力して、活力と魅力にあふれた多摩の創造を目指していく。

総務局長 〔2〕今後、先端技術産業の集積などを生かした産業の振興を図るとともに、身近な緑地の保全や都市農業、林業の活性化などを通じて、自然環境と調和した均衡あるまちづくりを推進していく。
 〔3〕都は、都市基盤の整備など広域的な課題に着実に取り組むとともに、今後の多摩振興策と市町村の各種計画との整合性を図り、自主性、自立性を尊重しながら連携を図っていく。
 〔4〕多摩の振興策の具体的展開に当たっては、まちづくりへの住民参加や産業振興における産・学・公の連携など、地域の方々と連携、協働するための仕組みづくりに取り組んでいく。
 〔5〕特にチャレンジテーマについては、行政のみならず、住民や企業等が連携しながら重点的に取り組む課題としている。今後、市町村や都民の声を踏まえながら、具体化を図っていく。

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