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第2回定例会・代表質問・一般質問(要旨)

西条 庄治(民主党)


   七都県市による広域連合設置へ一歩踏み出すべき


    小泉内閣の姿勢
    七都県市による広域連合設置
    医療・福祉改革
    環境問題
    都市づくり
    社会の活性化

小泉内閣の姿勢

 今、わが国には、85%という驚異的な支持率の小泉旋風が吹き荒れている。聖域なき構造改革を掲げ、道路特定財源、地方交付税制度の見直し、特殊法人の民営化など、いずれも長年の懸案事項でありながら、これまで自民党や官僚の抵抗により踏み込めなかった分野に手をつけ、更に、一票の格差是正までも明言した。私は、この際、聖域なき構造改革の具体案を、早期に、かつ全面的に明らかにされるよう求める。そして、それがこれまでの自民党を徹底的に破壊し、わが国の再生につながるものであるならば、私たちも支持を惜しまない。知事は、このような小泉内閣の姿勢をどの様に評価されているのか、伺う。

知 事 行政は、具体的に何をどうするかということを目に見えて示さなければ、評価の対象にはなり得ないと思う。ただ、今までそれに言及することそのものもはばかられていた物事を、総理大臣が、国民の前で手をつける、直す、壊すということは、勇気が要ったと思うし、それは国民の期待と重ねて、私も期待し、評価する。自民党の中にも、総理に対する批判があるけれども、政党はしょせん政治の道具であり、方便でしかない。大切なのは、政党ではなく国家であるから、その国家を存立させ、繁栄させていくためにすべき改革は、政党の枠を超えてすべき人がしなくては、国家というのは浮かんでこないと思う。そういう点で、私は、小泉総理を、非常に強い期待を持って眺めている。


七都県市による広域連合設置

 これからの分権改革に向けて、もっと東京都、東京圏という主体に引きつけた自治権強化、あえて言うならば、東京圏独立を掲げるほどの強い意志を持つ必要があると考えている。例えば、東京外かく環状道路は国土交通省の所管とされており、現状では国交省の判断を見守らざるを得ない。しかし、東京外かく環状道路は1都3県を通過する道路である。広域連合を設置し、東京外かく環状道路に関する権限と財源の移譲を国に求めていくべきではないか。また、首都圏メガロポリス構想に盛られた課題の遂行や、都県境を越えた市町村合併にまで視野を広げるためにも、七都県市による広域連合設置に一歩踏み出すべきと考えるが、所見を伺う。

知 事 七都県市による広域連合設置については、かねてから私も同じことを考えており、建設省に、首都圏の問題を解決するための常設の機関を設けてくれということを言い、建設省も非常に乗り気であった。これが今度の内閣でどういう形で治まるかわからないが、七都県市の連合体がまとまって意思表示をすることで、明治以来続いてきた今日の行政区分が、例えば道州制という形に収れんされていく1つのきっかけになるのではないか。この問題は、都政改革ビジョンⅡにおいても検討していきたい。


医療・福祉改革

 社会保障制度にかかわる施策についても、東京から国を変えるために取り組んでいく必要がある。例えば、東京都では、認証保育制度や知的障害者グループホームへのNPOの参入など、国に先駆けた取組が進んでいる。しかし、一方で、特別養護老人ホームなどは、国の規制によって民間参入が認められていない。東京構想2000中間まとめでは、継続性のある個人単位の年金制度の導入を国に強く働きかけることを求めていた。また、最終報告では、医療制度について、病床規制などの諸規制により、医療機関の自由な参入が妨げられており、競争原理が働きにくく、サービスの質の向上や効率化に結びつかないとしている。私たちは、このような現状の改革、規制緩和を通じて、10の予算で20あるいは30のサービスを提供していく知恵と工夫を講じるべきと考える。こうしたことを実現することによって、社会保障制度の改革に伴う痛みを和らげることが可能になるのではないだろうか。小泉内閣となって、社会保障制度についても改革の機運が高まっている。こうした視点から、石原知事も、社会保障制度について積極的に発言していくべきと考えるが、見解を伺う。

知 事 これからの社会保障は、自助、共助、公助の理念を基本として、民間も含めた多様な事業主体が競争を通じてサービスを提供し、国民、都民が自分の責任でそれを選択するシステムに改めるということが必要だと思う。こうした認識のもとに、都は福祉改革や医療改革を進めているが、国の規制がバリアになっていることで実現でき得ない、社会保障制度に係る色々な措置、施設もあり得ると思う。それは思い切って突破する必要があり、もしそれが国の構えている制度に抵触するならば、私は裁判も甘んじて行おうということを、理事者たちと言い合わせている。


環境問題

 〔1〕今日、東京が直面している環境問題は地球規模の広がりを持ち、将来世代への影響も懸念されている。これらの問題は、私たちの生活様式そのものに原因があり、生産、消費システムの抜本的な転換を図らなければならない。政府は、昨年施行の循環型社会形成推進基本法に、拡大生産者責任の考え方を取り入れたとしているが、私はこれに大きな疑問を持っている。拡大生産者責任の考え方とは、費用を価格に上乗せさせたリサイクルシステムをつくっていくことで、生産者が製品価格を抑えるため、リサイクルしやすい製品を生産する動機付けを与える。しかしながら、現在の政府の手法では、生産者の責任に対する考えが不徹底である。知事は、この拡大生産者責任についてどの様な認識を持っているのか伺う。
 〔2〕東京都独自に拡大生産者責任を具体化するシステムを構築すべきと考えるが、見解を伺う。

知 事 〔1〕生産者に使用済み製品のリサイクルや処理責任を負わせる拡大生産者責任の考え方は当然だ。生産者が使用後のことを考えずに、次々製品を生産してきたことが、現在の環境問題を引き起こしてきたとも言えるが、そういうメカニズムを、国が放置して気が付かずにきたということは、国の責任だと私は思う。わが国のリサイクル関連法は、拡大生産者責任の考えが十分ではないと思う。このために、これまでも国や事業者に対して改善を強く提案してきた。都は、独自の仕組みを今図っている。現在、廃棄物審議会で検討中であるが、事業者による使用済みの製品の自己回収システム、例えば携帯電話だとか小型電子機器、あるいは在宅医療機器などをその対象にして、生産者の責任を果たさせていく、そういう措置を講じていきたい。
環境局長 〔2〕現在、廃棄物審議会において、都の廃棄物行政のあり方や、新たな発生抑制の仕組みづくりについて審議しているところである。この中で、事業者による自己回収システムを検討しており、この検討結果を踏まえて、都独自の仕組みづくりを進めていく。


都市づくり

 〔1〕戦後東京は、経済の高度成長と人口急増の中、都市を郊外に拡大しながら都市づくりを行った。過去の東京の都市づくり政策は、対症療法的な政策を基本としており、経済成長を支える基盤整備に邁進してきた。その一方で、環境の悪化、町並みの破壊など、私たちの暮らしの不快適さは増大した。今、東京は、高齢化社会、人口減少時代の到来、情報化社会の進展、国際的な都市間競争の激化の中で、社会構造を大きく変えようとしている。これまでの都市づくりのあり方を見直し、私たち一人ひとりの暮らしの快適さ、心の豊さを追求する都市づくりの再構築を図るべきと考える。今後の都市づくりのあるべき姿とは何か。
 〔2〕私は、今後の都市づくりの1つのキーワードは、ユニバーサルデザインであると考える。すべての人が利用しやすい都市、すべての人に思いやりのある都市を創造してはじめて、東京が世界に誇れる文明都市となると思う。都として、今後このユニバーサルデザインの思想をどの様に都市づくりに反映していくのか。
 〔3〕これからの東京は、東京独自の魅力を持つことが必要である。例えば皇居のお堀端や上野公園などは、東京の歴史を代表する貴重な景観である。こうした歴史の深みのある観光資源をもっと重視し、歴史や文化を生かした都市づくりを主張するものであるが、見解を伺う。

知 事 〔1〕時代が非常に速いテンポで変わっており、その上に乗って、国家社会は運営されてきたが、東京という首都に関しての綿密な計画があったとはとても思えない。都庁のヘリポートに立って四方を眺めると、茫然とするくらい混乱があり、今さらなまじの計画を立てても追いつくものではない。しかし、今あるこの混乱の中で、ここに生息する国民、都民、来訪者の便宜あるいは安全を図らなくてはいけない。技術の発展とともに非常に生活の様式が変わってきた。例えば生活の様式も、9時にオフィスに勤めて、そして5時になったら、5時半になったら退社する、そういう生活のパターンは決して普遍性を持たなくなってきた。深夜にする仕事、深夜にこそ生活を享受しようと思う人もいる。東京は、仕事を終えてオペラや芝居を見て、ゆっくり食事をとって帰ろうと思っても、電車は終電がすぐ終わってしまう。そこで実験的に、バスなどの終夜運転をやってみようと思う。それはそこに警察官を配備することで治安の維持にもつながるため実現したい。
都市計画局長 〔2〕これからの都市づくりにおいては、高齢者、障害者、子ども、外国人など、すべての人々が自由に移動でき、快適に施設を利用できるよう、ユニバーサルデザインの視点が求められている。このため、誰もが円滑に利用できる施設整備に努める。また、個々の建築物についても、既存建築物バリアフリー整備基準の作成や、ユニバーサルデザインの思想の普及啓発活動に努め、安心して住み続けられる都市づくりを進めていきたい。
 〔3〕国際的な魅力を備えた東京を実現していくためには、歴史や文化を生かした都市づくりが重要である。皇居周辺などの風格ある町並みや、上野、浅草など、江戸情緒の残る下町といった、多様な歴史、文化資源がある。この資源を生かし、魅力ある都市づくりを推進していく。


社会の活性化

 これからの社会では、環境や福祉、文化、伝統、老後の安心や余暇の過ごし方など、社会的、精神的な面にも重点を置いた事業活動が展開される。学校法人、社会福祉法人、NPOや個人などのあらゆる主体が、相互に連携しながら取り組んでいけるように支援していく必要がある。昨年7月の産業振興ビジョン最新報告では、住民主体の防災福祉まちづくり、子育て支援ネット、都立高校へのボランティア科目など、社会的な視点からの提案が多くされてきた。東京圏メガロポリス構想の中でも、文化、芸術、産業、ボランティアなど、様々な分野の人材を連携して育成することが述べられている。21世紀は、物の豊かさよりも心の豊かさこそが求められている。こうしたニーズに応えるためには、企業やNPOなどの行う社会貢献活動を促進し、社会の活性化を目指していくべきと考えるが見解を伺う。

生活文化局長 これからの社会は、心の豊かさも求めながら、社会的課題を新たな手法で解決する、企業、NPOなどによる様々な活動が、活発に行われるようになるものと考える。企業においては、ワンパーセントクラブの設立をはじめ、地域住民への施設開放、メセナ活動による芸術文化への支援など、多様な取組を行っている。また、ボランティアやNPOについても、福祉や国際協力など、様々な分野で活動が続けられている。このような企業やNPOの活動が、更に活発になることは、社会全体の活性化にもつながることから、企業人材のNPOへの派遣や、企業とNPOの情報交流を促進する仕組みづくりやボランティア意識啓発のためのセミナーの開催など、必要な施策を推進していく。

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