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第2回定例会・代表質問・一般質問(要旨)

白井 威(自民党)


   首都圏再生へ向け全力で取り組め


    首都圏再生
    予算編成
    財政問題
    環境政策
    医療改革
    福祉施策
    三宅島の噴火災害対策
    震災復興グランドデザイン
    都市型水害対策
    土地収用法の改正
    商店街振興
    農業振興
    心の東京革命
    教科書採択
    南多摩地域の基盤整備

首都圏再生

 〔1〕首都東京が今日の国際的な激しい都市間競争に敗れたら、日本の衰退につながりかねない。このため、石原知事がかねてから主張していた、「首都圏の再生なくして日本の再生はない」との主張に沿った形で、小泉内閣は国民の期待を担って、都市再生本部を発足させた。都市再生本部の第1回の会合では、小泉首相は、「21世紀におけるわが国の活力の源泉である都市について、その魅力と国際競争力を高めることが内政上の重要課題と考えている」と述べている。この都市再生本部に、石原知事は、局長級1名を含む3名の幹部職員を都市再生本部事務局に派遣するなど、全面的に力を入れてこの本部に協力する体制をとっている。知事は、都市再生本部にどの様な期待を持っているのか。
 〔2〕これまで知事は、政府・与党の要望に応じて、首都圏再生のための政策を提言してきた。また、今回、都に都市再生プロジェクト東京都推進会議を設けて、都を挙げて都市再生の検討を行い、国に意見を反映させていくとの体制をとったところである。去る5月23日、小泉総理と会談をしたようだが、この件についてどの様な内容の話をしたのか。
 〔3〕わが党は、首都の再生に向けて、骨太のグランドデザインが不可欠との見地から、行革特別委員会等の場において、東京構想2000についても積極的に意見表明をしてきた。更に、都議選に向けて、東京グリーンプログラム21を策定したところであるが、国に対して今後も独自に働きかけを強め、2001年が都市再生元年となるよう、全力を挙げて取り組んでいくものである。都市再生、首都再生に向けての知事の決意を伺う。
 〔4〕首都東京は、交通渋滞や通勤混雑、大気汚染など、様々な課題を抱えている。こうした課題の解決には、広域的な視点に立ち、七都県市が連携して取り組んでいくことが必要である。都がリーダーシップを発揮しながら首都圏全体の圏域づくりを着実に進めていくべきであるとの観点に立ち、都が4月に公表した首都圏メガロポリス構想策定のねらいと主な考え方を伺う。
 〔5〕都は首都圏メガロポリス構想の中で、首都圏に、世界最大規模の情報ネットワークを構築するとしているが、そのねらいは何か。
 〔6〕バブルの崩壊後、国民はいまだに将来への希望を見出せない状況である。こうした危機を突破し、わが国の再生を図るには、経済、文化の中枢を担っている首都圏の持つ潜在能力を生かし、21世紀にふさわしい魅力と活力に満ちた都市へと再生することが重要となっている。都の首都圏メガロポリス構想は、一自治体だけの行政施策の展開にとどまらず、広域連携のもとに、首都圏3,300万人の集積のメリットを生かした情報ネットワークの構築を提言している。これは、IT革命の成果を生かしたタイムリーな首都圏再生の構想であり、高く評価するものである。ITによって地域全体の活性化を図るには、情報ネットワークが有効に活用されることが必要だ。そのために、国、区市町村、更には、住民、NPO等との連携が必要と考えるが。
 〔7〕東京再生、ひいてはわが国の活性化にとって重要なアプローチの1つに、物流の構造改革がある。厳しい国際競争に長年さらされてきたわが国の製造業部門は、生産性の向上に向けたたゆまぬ努力を続け、世界に冠たる地位を築いてきた。これに比べて流通部門は、国際競争の荒波から守られてきた結果、非効率性が温存され、わが国の高コスト構造の主要な要因の一つとなっていると指摘されているのは、周知のとおりである。臨海部におけるアクセス整備を重要施策として位置付け、積極的に事業推進を図るべき。

知 事 〔1〕都市再生本部が、都の建言も受け入れ、プロジェクトを推進し、首都圏を早急に再生することを期待をしている。
 〔2〕東京から与党3党に提案した10兆円のプロジェクトなど、首都圏の再生のための方策を建言した。
 〔3〕首都圏を構成している七都県市と協力し、国とも連携を深め、首都圏の再生に取り組む。
都市計画局長 〔4〕都が策定した首都圏メガロポリス構想は、首都圏メガロポリスの再生を図り、首都を担い続けられるよう、七都県市による将来整備構想の確立と、その実現を目指すものである。本構想では、21世紀の首都像を示すとともに、圏域づくり戦略として、集積のメリットを生かした環状メガロポリス構造の構築と、交通、防災、環境など、13項目にわたる広域連携戦略の必要性を明らかにした。今後は、関係県市や国に積極的に働きかけ、理解を得て、連携しながら構想の実現に取り組んでいく。
 〔5〕IT革命が急速に進行する中、首都圏メガロポリスの再生を図るためには、超高速インターネット網の整備促進や広域的な行政情報ネットワークの構築などにより、約3,300万人の集積を生かした電子都市を実現していく必要がある。その結果、電子商取引による企業の事業拡大や多様な情報やサービスの流通が、世界的な規模で可能となる。これにより、首都圏メガロポリスのアジアや世界における情報のかなめとしての機能を高め、産業の生産性や人々の生活の質の向上を図ることを目指していく。
 〔7〕東京港や羽田空港が立地する東京の臨海部は、首都圏の大消費地を支える物流拠点としても重要な役割を担っている。しかしながら、交通インフラの整備が不十分なため、渋滞による時間的、経済的損失が生じるなど、物流の効率化が妨げられており、これを改善することが首都圏の再生にとって極めて重要な課題である。このため、都心と臨海地域のアクセスを強化する環状二号線や晴海通りなどの整備を進める。更に、東京湾ウォーターフロント都市軸をつなぐ広域的な交通ネットワークの充実を図るため、東京港臨海道路の整備を進めるとともに、国道357号線の東京港トンネルの早期整備を国に働きかけていく。
総務局長 〔6〕首都圏メガロポリスをIT革命の成果を取り入れた電脳メガロポリスともいうべき魅力ある圏域とするためには、住民、企業、行政等との幅広い連携が不可欠だと認識している。このため、都は、ITを活用した新たな交流の場を設ける等、住民、企業、NPO等が主役となって、情報ネットワークを活用する仕組みづくりを進め、地域の活性化を図っていく。また、こうした施策を推進するため、区市町村や近隣県市、更に国にも働きかけ、積極的に連携していく。


予算編成

 これまで、東京都の予算編成は、夏に予算編成についての通達が出てから各局が予算要求を行い、その予算要求案を査定して原案ができるという流れであった。来年度からは、重要施策の基本方針を決めるとともに、あらかじめ重要施策を政策会議で選定してから予算査定に入ることになったと聞いた。知事は、昨日の所信表明で、「財政再建の歩みを止めれば、毎年度2,000億円から3,000億円の赤字が発生し、財政構造は悪化の一途をたどる」と言われ、「このため、引き続き、構造改革や施策のスクラップ・アンド・ビルドを徹底する」と言っている。また、「最近の都庁では、財政危機を過剰に意識し、新しい施策を生み出したり、前衛的な気概が失われようとしている」と言われた。知事は、首都再生を最優先に取り組むとしている。予算は1年間の都の施策を表すものであり、編成される知事と、審議、議決する議会とが、それぞれ役割を果たすべきものであることは言うまでもない。知事は、これまでも、「都議会とは車の両輪であり、議会とは十分に相談をして事に当たりたい」と話していた。もちろん、予算の提案権が知事に専属することは十分承知している。今後とも、引き続き議会における議論に耳を傾け、議会の意向を十分に踏まえながら予算編成作業に当たっていくべきと考えるが、知事の考え方を伺う。

知 事 予算編成の過程でも、議会との協調、討議をしながら、予算を編成していくべきだと思っている。今日、最も必要なことは、首都東京を再生して、都民の要望に応えられる東京を実現することであり、そのために重要な施策を確実に実行していかなくてはならない。そのためにも、予算査定に先立ち、重要な施策について活発に議論をし、その上で、それらの施策に優先順位をつけ、限られた財源、限られた予算で、それを人員を配置して実現していく努力をする必要があると思っている。このために、今回、重要施策選定の仕組みを新たに導入したが、その過程でも、当然、議会の意見を十分に聞きながら、今後の予算編成に当たって真摯な議論を積み重ねることで、有効な予算を編成し、それを遂行していきたいと思っている。


財政問題

 〔1〕わが国経済は、依然として明るさが見えない。完全失業率を見ても、同様に高水準にあり、また、設備投資においても鈍化の兆しも見られ、景気の先行きはまだまだ不透明感がある。国は、これまで、景気の回復を最優先の課題とし、積極的な財政金融政策を進めてきた。この努力により、一定の成果を上げてはいるが、一方では、国、地方を合わせた平成13年度末の長期債務残高が約666兆円に上るなど、日本経済への悪影響が懸念されている。知事は、こうした国の財政について、先の第1回定例会の予算特別委員会におけるわが党の質問に対し、非常に不健全な財政状況と答弁した。こうした中で、小泉新内閣は、財政構造改革の実現に向けて、歳出の徹底した見直しを行うこととし、来年度の国債発行額を30兆円以下に抑えるとともに、将来的にはプライマリーバランスの均衡を目指すとしている。一方、東京都においては、財政再建推進プランに基づき、職員給与のカットなどの内部努力の断行や、銀行業等に対する外形標準課税の導入などを実施するとともに、徹底した歳入歳出の両面にわたる見直しを実施してきた。その結果、国の13年度予算における国債依存度が34.3%となっているのに対し、都の起債依存度は5.8%と大きく改善されるなど、都の構造改革は着実に進展している。こうして見ると、小泉内閣の掲げる財政構造改革は、まさに石原知事の財政再建推進プランの考え方と軌を一にしているように思われる。知事は国の財政構造改革についてどの様な所見を持っているのか。
 〔2〕先の定例会で議決された平成13年度予算において、財政再建推進プランの財源確保目標額の7割を達成した。しかしながら、減債基金の積立て不足などの1兆円に上る隠れ借金の存在も明らかになった。また、今後の都債の償還、更には、社会資本の維持更新など、都財政は依然として厳しい状況である。加えて、国の財政構造改革や不良債権処理、税収の伸び悩みなど、厳しい側面も予想される。こうした状況にあって、石原知事が国に提言した首都圏再生緊急5か年10兆円プロジェクトなど、首都東京の再生を果たすために必要な事業を着実に進めていく必要がある。そのためには、まず財政構造改革を着実に進め、財政基盤を強化していくことが大切である。知事は今任期の折り返し点において、これまでの財政再建の取組や今後の都財政の状況についてどう認識しているのか。

知 事 〔1〕地方交付税制度なども抜本的に見直すことは、評価すべきものだ。今後も国に対して、財政制度の抜本的な改革が早期に実現するよう、申し込んでいくつもりだ。
 〔2〕財政再建は、就任以来の最重要課題の1つであり、外形標準課税などの導入などを実現した。しかし、12年度決算においても、3年連続の赤字は避けられない状況であり、今後の財政再建を考えていかなくてはならないため、皆さんにもご協力願いたいと思っている。


環境政策

 〔1〕石原知事は、東京の環境問題の焦点である大気汚染に取り組むため、知事就任直後からディーゼル車NO作戦に取り組み、国と産業界を動かす大きな成果を上げられた。世界都市東京において、地球環境と調和する新たな都市文明をいかに築いていくのか、この困難な課題への挑戦に関しても、ディーゼル車対策と同様、都民が石原知事のリーダーシップに寄せる期待は大きい。地球環境の保全に率先して貢献し、世界に誇れる環境政策を先駆的に提起していく「環境首都東京」を築いていくため、どの様な環境施策を展開していくのか、知事の基本認識を伺う。
 〔2〕地球全体の温暖化とともに、都市の中心部が高温化していく、いわゆるヒートアイランド現象も、東京が直面する大きな環境問題である。ヒートアイランド現象は、緑の喪失によって加速されているが、それだけでなく、都市中心部に大量の自動車交通や業務機能が集中するという都市構造自体にも大きな原因がある。最近の研究では、平成11年の夏に杉並区や練馬区などで起こった集中豪雨もヒートアイランドが原因になっていたと言われており、都市防災の面からも早急な対策の強化が求められている。ヒートアイランド対策に本格的に取り組むには、自動車交通の抑制、環境に配慮した都市づくりなどの視点をも含めた総合的な対策を進める必要があると考えるが。
 〔3〕東京が行うべき環境負荷低減の取組としては、まず、オフィスや家庭でのエネルギー消費の抑制と効率化があるが、もう1つ重視すべきものとして、太陽光やバイオマス、風力などのいわゆる自然エネルギーの利用促進がある。自然エネルギーの開発は、わが国でも近年急速に進んでおり、政府の総合資源エネルギー調査会は、現在、その導入目標を大幅に引き上げようとしている。こうした自然エネルギーは、環境に優しいという点だけでなく、エネルギーの消費の現場において、またはその近傍でつくり出すことが可能な分散型エネルギーであるという側面からも注目されている。その意味では、震災時など防災に強い都市構造への転換という観点からも、また、より長期的には、エネルギー供給における過度の地方依存の是正という観点からも、東京は率先して自然エネルギーの導入を図るべきものと考える。都の所見を伺う。
 〔4〕都は、昨年の12月に緑の東京計画を策定し、今後の緑づくりの目標と施策の方向や推進策を示した。東京のような巨大都市においても、生活の中に自然との結び付きを取り戻していくことが重要である。また、緑には、都市の温暖化を防ぐとともに、延焼防止などの防災上の役割も果たすなど、様々な機能があると言われている。最近では、身近な生き物の生息の場としても注目を集めているが、より一層、緑づくりのための新しい取組を行っていく必要がある。緑に親しむ希望を持っている都民のために、事業者や都民の間からボランティアを募り、緑の保全を進めるべきと考えるが、所見を伺う。
 〔5〕緑行政を効果的に推進するために、産業政策や都市計画の観点なども含め、総合的な緑づくりに取り組んでいくべきであり、こうした観点からも、可能な限りの緑行政の一元化を進めていくべき。

知 事 〔1〕人間の存在そのものが問われている状況まで、環境問題というのは悪化しているため、自動車公害対策などの様々な施策を東京から発信していく。
環境局長 〔2〕ヒートアイランド現象は、都市化による緑の減少、人工排熱の増大など、環境配慮が十分でなかったこれまでの都市づくりの結果として生じてきている。この現象の緩和を図るため、都は屋上緑化の推進に加え、建築物環境配慮制度など、新たな対策に着手してきた。今後は、東京湾からの海風など自然の冷却機能の活用や道路緑化による緑の軸の形成など、都市づくりの面からも対策の一層の強化に努めていく。
 〔3〕風力発電や太陽光発電などは、環境負荷の小さい再生可能なエネルギーとして、近年、わが国においても急速に開発が進みつつある。これらの自然エネルギーは、東京においても大きな可能性を有しており、二酸化炭素排出量の削減、エネルギー自給率の向上等の観点から、導入を進めることが重要な課題であると考えている。このため、先日、庁内にプロジェクトチームを設置し、臨海地域での風力発電の実現など、自然エネルギーの導入について、立地や事業運営の方法などの検討を開始したところである。
 〔4〕都はこれまでも、ボランティアグループの活動を促進する自然ふれあい事業や緑の保全活動リーダーの養成などを行い、都民参加の緑づくりに努めてきた。今後は、都民主体の緑づくりを推進する観点から、ボランティアの登録、あっせん、活動の場の紹介、更には指導者の育成、認定など、施策の一層の充実を図り、都民や事業者と広く協働して、緑の保全を進めていく。
 〔5〕昨年12月に緑の東京計画を策定して、緑に関する施策をまちづくりや産業政策等と連携して進めている。また、平成14年度には、自然公園や鳥獣保護などの事務を自然環境部門として統合することにした。


医療改革

 〔1〕近年、医療機関における事故の続発や患者に対する情報提供不足などから、都民の医療に対する信頼感は大きく揺らいでいる。こうした事態に対し、石原知事が、医療の抜本的な改革が必要であるとして、東京発の医療改革を打ち出し、都立病院へのERの設置や小児の救急医療体制の整備など、365日24時間の安心を保障できる医療体制の整備を精力的に進めていることについて、私ども自民党も高く評価している。特に、私は、東京発の医療改革のもう1つの柱である患者中心の医療の実現が、この改革の重要なポイントであると考えている。そういった意味で、患者の声相談窓口がこの5月に開設され、患者中心の視点からの具体的な取組が開始されてきたことに大いに期待しているところである。そこで伺うが、患者の声相談窓口が開設されてからおよそ1か月が経過したが、この間の都民の反響はどうだったか。また、都はこのことをどう評価しているのか伺う。
 〔2〕患者中心の医療を実現していくために、都立病院においても、様々な改革の取組が行われている。その中で、先の予算特別委員会でも質問を行った患者の権利章典について、改めて伺う。この患者の権利章典は、都立病院を運営していくに当たって守るべき倫理的な規範として、患者が受診する際の権利を明らかにするものであるとの
ことだが、その内容を患者にとって真に意味のあるものにするためには、患者側の意見を反映させたものにしていくことが重要である。現在、衛生局の倫理委員会において検討しているとのことだが、策定に当たっては、患者の声や意見をどの様に反映させていこうとしているのか伺う。
 〔3〕患者の権利章典は、今年の夏には策定されるそうだが、今後、具体的にどの様に活用していこうと考えているのか。

衛生局長 〔1〕患者の声相談窓口を開設した5月7日以来、1日平均50件以上、多い日には200件を超える相談が寄せられている。病気に関する不安を訴えるものや医療機関の対応に関する意見や要望など、様々な内容の相談がある。患者の声相談窓口では、個別にアドバイスをしたり、必要に応じて相談内容を医療機関に伝えて適切な対応を促すなど、都民と医療機関との信頼関係を築くパイプ役を果たしており、患者中心の医療を推進していく上で大きな意義があると考えている。
 〔2〕現在、検討を行っている専門委員会にて都立病院の患者を対象としたアンケート調査を実施し、その結果も参考としながら議論するなど、可能な限り患者の声や意見を反映するよう努めている。
 〔3〕今後、患者にとって安心できる医療の実現に向けて、患者の権利章典を病院職員に周知徹底し、あらゆる機会を通じて、都民や他の医療機関にもPRしていく予定である。


福祉施策

 〔1〕本格的な少子高齢化社会を迎え、新世紀にふさわしい利用者本位、都民本位の新しい福祉を構築する福祉改革の実現が都政にとって重要課題となっている。東京都は、昨年12月に福祉改革推進プランを策定し、今年はまさに本格軌道に乗せる年である。この改革を進めていくためには、改革プランに掲げた諸事業の着実な実現はもちろんのことだが、その理念を更に発展、定着させる新たな取組を積極的に実施していく必要がある。特に一律の制度に縛られることなく、地域の特性や力、創意工夫を生かした様々な福祉サービスの中から自分のライフスタイルに合ったものを選択できるよう、地域において福祉インフラの整備を進めることが重要である。介護保険制度下の高齢者へのサービスや障害者へのサービスの質と量の拡充、子供を取り巻く施策の見直しなど、都が率先して取り組まなければならない様々な課題がある。首都東京から改革の息吹を全国に発信していく必要があると考えるが、所見を伺う。
 〔2〕身近な地域における福祉サービスの供給基盤を整備していく上では、わが党の提案により昨年度に創設された弾力的な包括補助制度、「がんばろう!東京福祉」が、区市町村の創意工夫を生かせる極めて有効な制度である。今年度は2年目を迎えるが、わが党の強い要望により、新福祉局分として、昨年度の60億円から75億円に大幅に増額、充実され、いわば本格実施となる。この弾力的な包括補助制度を積極的に活用し、区市町村と力を携えながら、地域に根差した新しい福祉づくりを強力に推進することが不可欠と考えるが、取組に向けた決意を伺う。

福祉局長 〔1〕昨年末策定の東京都福祉改革推進プランにて、改革の理念と大きな方向を示した。今後、プランに掲げたプロジェクトを着実に実行し、改革の推進に全力を挙げていく。
 〔2〕本制度を積極的に活用し、区市町村の特色ある事業を支援し、利用者本位の新しい福祉の実現に向け、全力を傾注していく。


三宅島の噴火災害対策

 〔1〕三宅島火山活動に伴う災害発生から間もなく1年が経つ。3,800人もの全村民が島外に避難してから既に9か月、慣れない都会で長期間の避難生活を送る三宅村民の方々に心からお見舞いを申し上げる。また、国や都、防災機関などの長期にわたる取組に深く感謝申し上げる。昨夏の激烈な地震活動が深いつめ跡を残した神津島や新島など、復興に向けた取組が力強く進んでいる。この状況を見るにつけ、三宅島の火山活動がおさまり、1日も早く村民が帰島して、生活再建、復興に取り組めるよう強く願うものである。さて、三宅島は、今なお山頂から1日当たり2万トンから3万トンの有毒な亜硫酸ガスを放出しているが、こうした活動は世界の火山でも類例を見ないとのことである。先月28日の国の火山噴火予知連絡会では、火山活動は全体として低下傾向にあるが、大量の火山ガスを放出する活動は今後も続くと考えられるという統一見解が示された。そこで、三宅島火山活動の現状と今後の見通しについて伺う。
 〔2〕三宅島現地では、泥流による道路や家屋の被害を防止する工事の効率を向上させるため、5月4日から夜間常駐の試行が開始された。宿舎に火山ガスから身を守る設備を設置し、万一のための救出態勢を整備するなどして、危険な条件下で島の復旧に取り組む都庁職員や防災機関の方々の献身的ともいえる姿勢に深く敬意を表す。この夜間常駐の取組状況と、それを踏まえた今後の復旧に向けた方針について伺う。
 〔3〕わが党は、昨年の第3回定例会において、一連の地震、噴火災害により乗客数が激減している離島航路について、その確保を図るため、国に対して所要の措置をとるよう要望すべきである旨の質問をした。国においては、都の要望を受け、災害特例として補助金の増額交付などの措置をとるに至ったわけである。三宅島島民の全島避難が続いている現在、離島航路事業者においては、昨年にも増して大幅な欠損額が生じる見込みであると聞いている。島民にとって生活の足である離島航路を確保するために、国に対して引き続き特別の措置をとるよう要望していくべきと考えるが、所見を伺う。
 〔4〕神津島では、神津島港や三浦漁港などにおいて、地盤が50?以上も隆起しているとのことであり、その結果、泊地などの水深も浅くなり、漁船等の出入りに重大な支障が生じているとのことである。船舶の航行の安全を確保し、島しょの重要な産業である漁業の振興を図るためにも、速やかな対応を求めるが、所見を伺う。

総務局長 〔1〕昨年の9月以降、三宅島の火山活動は大規模な噴火もなく、比較的安定して推移している。6月3日には小規模な噴火があり、一部に約1?程度の降灰があったが、火山活動は落ちついていると考えている。また、先月開催された国の火山噴火予知連絡会においては、山ろく部にまで被害を及ぼすような噴火の可能性は低いと考えられるとの統一見解が示された。しかし、火山ガスの放出については、低下の兆しは見られるが、今なお1日当たり2万から3万トンものガスが観測されており、今後も引き続き警戒が必要であると考えている。
 〔2〕都、三宅村及び防災機関職員による三宅島夜間常駐は、関係機関の協力を得て、現地での作業態勢の確立をはじめ、夜間における避難訓練、生活上の課題などの検証等、順調に当初の目的を果たしてきている。今後は、火山噴火予知連絡会の統一見解も踏まえ、火山ガス対策に重点を置き、島内各所に必要な火山ガス防御装置を設置し、現地での態勢の拡充強化を図り、三宅島の復旧作業を精力的に実施していく。
港湾局長 〔3〕離島航路は、島民の生活を支える貴重な足であり、確保のため、国に対して特段の措置をとるよう要望していく。
 〔4〕今後、早急にしゅんせつなど必要な対策を行い、漁港の機能の早期回復に努めていく。


震災復興グランドデザイン

 〔1〕東京都においても、直下地震がいつ発生しても不思議ではないと言われている。これまで東京都では、厳しい財政下においても、地震災害を最小限に食い止めるため、木造住宅密集地域を中心に、各種の防災都市づくり事業への取組が見られる。更にこのたび、震災後の東京の復興まちづくりを提案する震災復興グランドデザインを公表した。こうした意欲的な取組は高く評価するものである。そこで、震災復興グランドデザインとは、どの様なねらいを持った計画なのか伺う。
 〔2〕震災復興グランドデザインで示された計画の実効性を確保する必要があるが、そのために、どの様な課題があり、それに対し、どう取り組んでいくのか。
 〔3〕震災という非常事態にあって、円滑かつ計画的に復興を図るためには、この震災復興グランドデザインに対する都民の理解を深めるとともに、国へ強く働きかけていく必要がある。そのため、グランドデザイン実現に向けての知事の決意を伺う。

知 事 〔3〕首都東京が大震災に見舞われた場合、国の内外から迅速かつ計画的な復興が求められる。そのために、東京の復興まちづくりのあり方を、あらかじめ震災復興グランドデザインとして提案した。この提案をもとに、国に対して新たな事業制度の創設など、必要な法制度の早期整備を要請していく。近隣自治体とも連携し、首都東京の迅速な復興に向けた体制づくりを行っていきたい。それにかかわって、私権の制限などの規制に対する都民の理解と協力を得ていきたい。
都市計画局長 〔1〕発表したグランドデザインは、被災後の抜本的な市街地改造を内容とする広域復興計画の考え方を明らかにしたもの。この内容を都民との共通認識とし、被災を繰り返さない迅速かつ計画的な都市づくりに備えていく。
 〔2〕課題としては、膨大な事業量に対する財源の確保などがある。今後、本グランドデザインを都市復興マニュアルに盛り込み、七都県市の協力体制の構築に向けた検討をしていく。


都市型水害対策

 〔1〕本年も梅雨のシーズンに入り、大雨による水害が心配される季節を迎えた。昨年9月に東海地方を襲った集中豪雨は、名古屋気象台の観測によると、総雨量567ミリ、時間雨量で93ミリに達する記録的大豪雨となり、各地に甚大な被害をもたらした。もし東京に同程度の大雨が降った場合、これを上回る水害となる危険性がある。この様な豪雨からの被害を防止するためには、ハード対策としての治水施設の整備のほか、住民への雨量、河川水位情報の速やかな提供などソフト対策も大切と考えるが、具体的な方策について伺う。
 〔2〕現在、区部全体に対する道路面積は、23区の15%、都心3区では23%の大きな割合を占めている。歩道における透水性舗装の歴史は比較的古く、都道においては、既に昭和48年ごろから全国に先駆けて実施しているが、最近、新たに車道においても試験的に実施されたと聞いている。防災対策のみならず、ヒートアイランド対策にも有効に働くものとして、歩道の3倍近い面積を有する車道において透水性舗装を本格的に導入していくべきと考えるが、今後の取組について伺う。

建設局長 〔1〕昨年7月より、地下空間の浸水対策として、地下街の管理者などに対して、豪雨時の雨量や河川水位などの刻々の情報を、NTTの一斉同時ファクスを使い、希望者に伝達するサービスを実施している。
 〔2〕今年度も、ヒートアイランド現象の影響を受けている杉並区や、内水被害が発生している西東京市などで試行的に実施するとともに、車道での透水性舗装の本格的な実施に努めていく。


土地収用法の改正

 〔1〕昨年10月の二ツ塚処分場の行政代執行では、収用委員会手続は平均180日程度のところ、この事件は約1,000日かかり、また、当該140坪の土地に対する補償金総額5,700万円の支払いのために約7億円の費用を要している。この例に見られるように、現行の土地収用法には、時代にそぐわない問題が多く含まれている。現在、圏央道をはじめとした環状道路の早期建設が喫緊の課題となっているが、圏央道あきる野地区と裏高尾地区においては、事業反対を目的とした大規模な借地トラスト、立ち木トラストが組織的に行われており、事業の大幅なおくれが懸念されるところである。国は、我々の法改正提案要求に対し、不合理な点を是正した改正法案を、3月2日、今通常国会に上程した。しかしながら、その後、審議に上がることなく、危機感を覚えたわが党では、小泉総理に要請するなど、土地収用法の今国会での成立に努めているところである。改正法の実現に向け、今後どの様に取り組んでいくのか、知事の考えを伺う。
 〔2〕今回の法改正の必要性はどの様なところにあるのか、具体的に伺う。

知 事 〔1〕現行の土地収用法は、トラスト等多数の当事者の場合を想定しておらず、土地の所有者に理解を得るために、時間、コストと労力を極めて膨大な量を要し、税金のむだ遣いをせざるを得なかった。今内閣の、現国会で改正法案が上程をされており、今国会の場での成立を強く望んでいる。
建設局長 〔2〕現行の土地収用制度は、補償金の支払いを持参払いによるものとしているため、もともと地権者でなかった者が事業反対のためトラスト等で多数当事者になる場合、膨大な税金のむだ遣いを生んでいる。現行法の不合理を排し、補償金の支払いを現金書留でも良いことに改めることなど、今国会における土地収用法の改正を強く期待する。


商店街振興

 〔1〕昨今の商店街を取り巻く環境は厳しく、不況による消費の低迷、大型店などの競争など、時代の変化に伴う課題に直面している。こうした状況を背景に、多くの商店街が売り上げの減少、経営難や後継者の不在などによる廃業、それに伴う空き店舗の発生など、厳しい状況に陥っている。大型店は、低価格で夜遅くまで買い物ができるありがたい存在であり、むやみに規制すべきではないという考えの党もある。わが党は、商店街が地域からなくなったとき困るのは、商店主だけではなく、地域の生活者や消費者であり、更に、祭りやイベントなどの伝統文化の継承も困難になるなど、その影響は大きなものがあると考える。わが党の提案により、平成10年度に創設した元気を出せ商店街事業は、平成12年度までの3か年で延べ2,500余の商店街がこの事業に取り組み、売り上げが増加し、商店街のにぎわいを取り戻せた。近隣住民とのコミュニケーションが深まったなど、商店街から多くの成果が報告され、好評を得ていると聞いている。都は、本年3月末に21世紀商店街振興プランを策定したが、この中で、今後、商店街が取り組むべき戦略と支援の方向性が示されている。これについて、都の基本的な考え方を伺う。
 〔2〕13年度の補助事業プランで示されている戦略に主体的に取り組む予定の商店街があれば、その事例について伺う。
 〔3〕プランで示しているような戦略に主体的に取り組む商店街に対して、都としてどう支援していくつもりか、考えを伺う。

産業労働局長 〔1〕商店街は、地域における出会いと交流、新しい結びつきの場としての役割を担うべきと考える。このプランはそのきっかけとなる8つの戦略を提示したものである。
 〔2〕次世代の商店街活動を担う人材の育成を目指す世田谷区のマーチャントカレッジ、また、ソーラーシステムや、大気中の汚染物質である窒素化合物を分解除去する光触媒を用いた壁面などを導入して、環境に配慮した会館の建設を目指す中板橋商店街。更には、商店会とNPOがプロジェクトチームを立ち上げ、空き店舗を活用して高齢者向けの様々な事業の提供を目指す立川市エルロード商店会などの事例がある。
 〔3〕プランで示した戦略に積極的に取り組む商店街の事業をはじめとして、区市町村の自主的かつ計画的な取組を支援していく。


農業振興

 東京の農業は、生産機能はもとより、環境、防災、教育など多様な機能を果たしており、都民の期待は大きく、農業、農地の重要性に対する認識が年々深まってきている。高い税負担に加え、担い手の不足や農産物価格の低迷など厳しい経営環境が続いている東京農業の振興には、東京という地域の特性に合った振興策を推進していくことが重要と考える。東京農業の中核ともいえる都市農業を守り、多様な機能を発揮させるためにも、総合的、計画的な農業振興策を進める必要があると考えるが、新しい農業振興プランの策定を踏まえて、今後、東京の農業振興をどの様に進めていくのか伺う。
産業労働局長 東京の農業の振興を図るためには、地域特性を生かした魅力ある産業としていくことが重要である。このため、付加価値の高い東京ブランド農産物の開発普及、大消費地を抱える有利性を最大限に活用した意欲的な農業経営の育成、更には、都市地域の農地が持つ多面的な機能を一層発揮させていくことなどが必要と考えている。このような観点から、現在、農業振興プランの改定を進めており、今後はプランに基づく総合的、計画的な農業振興施策を推進していく。


心の東京革命

 〔1〕三軒茶屋駅で、4月28日深夜、銀行員が少年4人に殴られ死亡した事件など、青少年にまつわる事件は、人を殺すまで殴ってしまうという人間としての常識を超えた行為であり、集団心理などといったものでは到底説明できない危機的な現象である。東京都が提唱した心の東京革命は、こういった危機的な状況を、手遅れにならない今のうちに、都民一人ひとりの行動を喚起し、地域が一体となって取り組むことにより解決していこうとする運動と思われる。この運動を推進していくには都民一人ひとりの行動が大切であり、そのためには、地域の草の根的な活動を育てることが重要である。今後、地域で心の東京革命を具体的に展開する方策が必要と考えるが、所見を伺う。
 〔2〕草の根的な活動を積極的に進める一方で、都民の心に訴えるインパクトのある普及啓発も重要と思うが、所見を伺う。

生活文化局長 〔1〕地域のつながりが希薄になっている今日、特に、地域の教育力を高めていくことが求められており、親や地域の大人が連携協力した草の根的な活動を育てていくことが重要である。このため、心の東京革命推進協議会に参加している様々な団体との地域での取組の連携を図るほか、地域ぐるみで行われている年齢の異なる子どもたちの交流活動など、他の模範となる取組をモデルとして指定し、その内容や成果を生かして、都内の隅々まで活動を広めていくつもりである。
 〔2〕本年3月からは、家族ふれあいの日を設定し、多くの企業や団体が参加する社会全体の取組として、様々な事業を実施している。秋には、子どもが昔遊びなどを体験できる催しやシンポジウムなどを展開することにより、心の東京革命への関心を更に呼び起こしていく。


教科書採択

 〔1〕学校教育における最も根源的な教材である教科書の検定及び採択に当たって、国の内外から憂慮すべき様々な動きがあるが、言うまでもなく、教科書は、法令に基づく検定制度に従って、厳正な審査を経て合格したものである。この検定に合格した教科書については、採択権者である各教育委員会が、その権限と責任を自覚し、公正かつ適正な採択を行っていく必要があると考える。こうした中で、都教育委員会は本年2月8日、教育長名で、区市町村教育委員会教育長に対して、教科書採択事務の改善について通知した。今日問われている教科書採択の適正化について、具体的な改善の方向が分かりやすく示されており、その内容について高く評価するものである。そこで、この通知を出した目的とその内容について伺う。
 〔2〕現在、各区市町村教育委員会等で教科書の採択事務が進められているところであるが、今後、公正かつ適正な採択の実現に向けて、都教育委員会としてどの様に対応していくのか、教育長の決意も含めて伺う。

教育長 〔1〕昨年4月の都区制度改革により、教科書採択事務が特別区教育委員会に移管されたことに伴い、昨年及び本年、区並びに市の教育委員会のヒアリングを実施した。この中で、教科書採択事務について、一部適正な事務処理がされていないことが明らかになったことから、改善に向けて指導を行うとともに、その徹底を図るために、本年2月8日、教育長名で教科書採択事務の改善について通知したところである。この通知は、新学習指導要領の全面実施に伴い、平成14年度から使用する小中学校の新しい教科書の採択事務の適正化に当たって、区市町村教育委員会における採択事務の一層の改善を図ることを目的としたものであるとともに、都教育委員会自らも改善に取り組むことを明らかにし、各区市町村教育委員会に改善を要請したものである。この通知の内容については、専門的な教科書研究の充実や採択手続の適正化、更に開かれた採択の推進を図るために、新学習指導要領に示した各教科、分野の目標等を最もよく踏まえている教科書を採択するなどの観点から、教科書の専門的な調査研究を行うことなどについて、具体的な留意点を示したものである。
 〔2〕都教育委員会として、これまでも教科書採択事務の改善に向け、区市町村教育委員会への指導を適宜行ってきた。現時点で教科書採択要綱等の制定状況などを見ると、改善が進んでいると認識している。本年4月、東京都教科用図書選定審議会を設置して、教科書採択方針及び教科書調査研究資料等の作成を諮問し、現在、答申を受けた教科書採択方針に基づき、新しい教科書の調査研究を行っている。この教科書調査研究資料について審議会から答申を受け次第、教科書の調査研究を指導、支援するため、区市町村教育委員会等に資料を配布するなど、今後とも教科書採択の適正化について、最大限努力していく。


南多摩地域の基盤整備

 〔1〕JR南武線の連続立体交差事業についてだが、昨今、幹線道路の踏切については、交通渋滞の大きな原因となっていることから、都民の関心も高く、都議会においても再三議論されてきたところである。多摩地域においても、三鷹―立川間、あるいは京王線調布駅周辺、また、南武線稲城地域内など、様々な計画があるが、なかなか実現に至っていない。幸い、こうした中で、稲城市域では、鶴川街道や府中街道の渋滞対策のため、平成4年より南武線連立事業が進められているわけだが、用地取得の関係で事業が遅れるのではないかと心配している。そこで、事業のスケジュールについて伺う。
 〔2〕川崎街道の拡幅に必要とする米軍用地の返還は、私が都議会議員として全精力を傾注した課題の1つである。これも、関係者の努力により、道路用地として基地の一部が返還され、結果として、東京における米軍基地の縮小にも寄与できたわけである。住民の期待の大きい川崎街道の拡幅はいつ完成するのか、その完成時期について伺う。

建設局長 〔1〕矢野口駅付近2.1kmの区間は、必要な用地をおおむね確保しており、本年7月1日に上り線を仮線に切り替えた後、順次工事を進め、平成17年度までに高架化を完成し、8か所の踏切を除去する予定である。稲城長沼駅付近から南多摩駅付近2.2kmの区間は、用地の66%を確保しており、引き続き用地の取得を進めるとともに、まちづくりと連携しながら、早期の工事着手に努める。
 〔2〕川崎街道の拡幅に必要不可欠な米軍用地は、都議会のご支援を得て積極的に取り組んできた結果、昨年12月に返還された。現在、事業中の延長2.4kmの区間については、広幅員の歩道を備えた4車線化の工事を進めており、稲城市内の1.9kmは本年4月に交通開放を行った。残る多摩市内の0.5kmについても本年10月には完成し、全線の供用を開始する。

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