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予算特別委員会委員長報告(要旨)

田村 市郎(自民党)


    総括質疑について
    しめくくり総括質疑について
    討論・採決について

 第1号議案、平成13年度東京都一般会計予算外28議案は、3月1日に予算特別委員会に付託されました。
 以下、その審査経過の概要と審査結果についてご報告申し上げます。

 平成13年度当初予算の規模は、一般会計6兆2,060億円、特別会計3兆6,511億円、公営企業会計は2兆192億円で、総額11兆8,762億円となっております。
 わが国経済は、依然として、景気回復の動きは鈍く、株価の低迷が続く中で、デフレが懸念されるなど、かつてない厳しい状況に直面しております。
 都財政においても、2年連続の財政赤字に加え、都債残高が7兆円を超えるなど、今もって危機的状況を呈しております。
 平成13年度当初予算は、このような厳しい状況のもと、「財政構造改革を着実に進める中、首都の再生を目指す予算」と位置付けられ、「すべての施策について、聖域なく見直しを行うこと」、また「施策を厳選し、着実な実行を図ること」を基本として編成したとされております。
 一般会計の歳出規模は、前年度当初予算に比べ、3.6%の増となっております。また、公債費などを除く「一般歳出」では、対前年度比0.3%の増と、ほぼ横ばいとなっており、投資的経費は9年連続の減少となっております。 本委員会では、この予算が都民生活に及ぼす影響の大きさにかんがみ、終始、精力的に審査を行ってまいりました。

総括質疑について


    行財政問題
    行政改革
    地方分権
    福祉対策
    保健医療対策
    教育文化行政
    労働・経済対策
    環境対策
    三宅島の災害対策
    都市基盤整備
    多摩振興

(3月14日から16日)
 総括質疑は、3月14日から3日間にわたって行われ、知事の基本姿勢をはじめ、厳しい財政状況のもとでの都政運営について、活発な質疑が行われました。


行財政問題

 行財政問題については、今後の財政構造改革の取組について、様々な角度から議論が展開され、13年度予算案における都税収入の増収見込みと、今後の財政運営との関連などが質されました。
 また、東京都税制調査会の答申の具体化をはじめとした、地方税財政制度の改革に関する取組が質疑され、地方への税源移譲に対する国への働きかけが、強く求められました。
 さらに、国債の格付の引下げによる都の外債発行への影響、3会計を統合し、新たに設置される臨海地域開発事業会計の意義や目的、国直轄事業負担金のあり方に関する都の提案要求などが論議されました。


行政改革

 行政改革では、都におけるこれまでの内部努力の取組や、今後の対応が質され、都庁の電子化に関連し、納税の際の、いわゆる電子申告制度の導入などが提言されました。


地方分権

 地方分権では、区市町村の合併推進に関する今後の都の取組方針や、道州制に向けた関係自治体との連携など、これからの地方自治のあり方に関し、活発な議論が展開されました。


福祉対策

 福祉対策では、都が目指す福祉改革の意義に関し、様々な角度から幅広く活発な議論が展開され、介護保険制度の充実に向けた都の対応、制度の実施主体である区市町村への支援のあり方などが問われました。また、東部療育センターの建設計画など、今後の重症心身障害児対策のあり方、精神障害者の社会復帰施設の整備、山谷対策やホームレス対策への取組などが質疑されました。


保健医療対策

 保健医療対策については、都立病院の診療体制や、医療従事者の意識改革が問われるとともに、多摩地域における医療体制の整備促進、児童養護施設の廃止問題などが論議されました。
 また、高次脳機能障害者への、総合的な施策の構築と今後のあり方、遺伝子組換え食品の安全確保、アレルギー疾患に対する都の対応が質されました。


教育文化行政

 教育文化行政では、学校運営の適正化に向けた都の取組や、教員の人事制度のあり方が質疑され、教科書採択上の問題点や都の指導方針、学習障害児に対する支援策などが論議されました。
 また、東京女性財団の存廃問題については、各会派から幅広い論議が展開され、財団の今後のあり方に関する、都の対応が質されました。
 更に、海外友好都市との文化交流の充実に向けた都及び都立大学の役割、玉川上水の保全と史跡指定に関する都の対応などが論議されました。


労働・経済対策

 労働・経済対策では、中小企業や地場産業の振興方策、都市近郊農業の活性化に関する都の取組などが論議されるとともに、商店街の振興に向けた交通規制の弾力的な取扱い、「21世紀商店街づくり振興プラン」策定後の都の対応などが問われました。
 また、築地市場の移転問題については、移転理由をはじめ、21世紀の市場のあり方、関係者との合意形成の状況など、様々な角度から論議が展開されました。


環境対策

 環境対策については、いわゆる「環境税」の導入による新たな環境対策の推進や、東京における風力発電の検討などが提言されるとともに、建設廃棄物に関する公共関与のあり方、廃棄物の最終処分場の延命化や、容器包装リサイクル法に対する都の対応など、循環型社会づくりに向けた、施策の充実が求められました。
 その他、産業廃棄物の不法投棄問題や、いわゆる環境ホルモンに対する都の対応について、論議が交わされました。


三宅島の災害対策

 三宅島の災害対策については、厳しい島の現状について質疑がなされ、道路、港湾などの機能の確保や、砂防・治山工事などの状況が質疑されました。この際、今後の島の復興ならびに島民の生活再建に向け、都による最大限の支援が改めて強く要請されました。


都市基盤整備

 都市基盤の整備では、都市再生に対する最近の国の動向が質疑されるとともに、大深度地下利用のあり方や、福祉のまちづくりに対する都の取組が論議されました。
 また、増大する航空需要に対応する今後の羽田空港の国際化や再拡張問題に関しては、首都圏の空域の管制にかかわる、米軍横田基地問題とあわせ、今後の都の対応がきめ細かく論議されました。
 その他、都内各地域における再開発事業や公園整備、鉄道の連続立体交差化事業の進捗状況などが質疑されました。
 さらに、都営地下鉄については、営団地下鉄との一元化が論議されるとともに、ホームの安全対策について質疑が交わされました。


多摩振興

 多摩振興では、区部と多摩地域との格差解消に向けた都の取組が質疑され、市町村に対する財政支援の充実、特色ある多摩地域のベンチャー企業の支援などが論議されました。
 また、多摩ニュータウンのまちづくりに関しては、事業の進捗状況とともに、都の専管組織廃止後の対応が質疑されました。



 その他、空襲犠牲者の名簿の収集や北方領土の返還問題、まちづくりを担う町会の役割などについて活発な質疑が交わされました。

 総括質疑の概要は、以上のとおりです。

 総括質疑を終了した段階で、部局別質疑を行うため、本委員会設置要領に基づき、議長を経由して各常任委員会に調査を依頼いたしました。
 各常任委員会の調査結果は、3月23日までに文書をもって提出され、本委員会は、この結果をもとに3月26日にしめくくり総括質疑を行い、更に慎重な審査を重ねました。

しめくくり総括質疑について


    行財政問題
    福祉・保健医療対策
    教育・文化行政
    労働・経済対策
    環境対策
    都市基盤整備
    多摩振興
    臨海副都心開発

(3月26日)


行財政問題

 行財政問題では、更なる財政構造改革の推進とともに、社会資本整備のあり方などが論議され、税財源の移譲を伴う、真の地方分権の推進に向けた都の取組が求められました。


福祉・保健医療対策

 福祉、保健医療対策では、介護保険や生活保護制度の課題が質疑され、今後の福祉改革の推進が論議されました。
 また、新たに建設される高齢者専門病院の果たすべき役割や、運営のあり方が問われ、都立病院の改革問題や、「東京ER」の運営方針などが論議されました。更に、小児救急医療の充実、花粉症の予防対策などが質疑されました。


教育・文化行政

 教育・文化行政では、教育改革の視点から、「チャレンジ・スクール」の現状や、教員の人事制度のあり方が論議されるとともに、都立大学における研究成果の社会への還元や、私学助成の充実が求められました。


労働・経済対策

 労働・経済対策では、様々な角度から、商店街の振興方策が提言され、電子商取引における消費者保護対策が質されました。
 また、女性の労働環境の整備に向けた今後の取組が論議されました。


環境対策

 環境対策では、自動車の環境負荷に応じ、メーカーに課税する新たな目的税の導入や、循環型社会づくりへの取組に関し、掘り下げた議論が展開されました。
 また、地球温暖化対策や、都市景観に調和した屋外広告物のあり方などが論議されました。


都市基盤整備

 都市基盤の整備では、東京湾全体を視野に入れた、広域的な整備方針が論議されるとともに、震災対策の充実、高齢者に対する住宅の確保、環境に配慮した道路づくり、水の需給計画とダムの建設問題などが質疑されました。


多摩振興

 多摩振興では、市町村への財政支援の充実や、今後の流域下水道事業の執行体制などが質疑されました。


臨海副都心開発

 臨海副都心開発では、今後の開発方針、事業の採算性、3会計の統合問題などが、幅広く論議されました。


討論・採決について

(3月27日)
 以上のような経過をたどり、すべての付託議案に対する質疑を終了し、3月27日の委員会において採決の運びとなりました。
 当日は、討論に先立ち、吉田信夫委員外8名より、第1号議案、第18号議案、第19号議案、第22号議案の編成替えを求める動議が提出されました。 
 更に、羽曽部力委員外29名より、第1号議案に対する付帯決議案が提出されました。
 編成替えを求める動議について、趣旨説明があった後、各会派代表委員が、それぞれの立場から全議案に対する討論を行いました。
 討論終了後、採決に入り、第1号議案外3議案の編成替えを求める動議については、起立少数で否決されました。
 次に、付帯決議を付した第1号議案を採決した結果、起立多数で可決されました。
 次に、第2号議案、第18号議案から第24号議案、及び第27号議案については、起立採決の結果、原案のとおり決定されました。
 その外の19議案については、全会一致をもって、原案のとおり決定いたしました。
 なお、起立採決で決定した議案につきましては、少数意見の留保がありましたので、併せてご報告申し上げます。

 以上が、本委員会における審査経過の概要、並びに結果です。
 これをもちまして、委員長報告を終わらせていただきます。

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