ホームページへ戻る 前のページへ戻る  

知事所信表明(要旨)

  
    一 首都東京の危機管理
    二 ディーゼル車対策
    三 名誉都民の選考
    四 二つの長期戦略
    五 東京の再生
    六 都市間の連携の強化
    七 おわりに

 平成十二年第三回都議会定例会の開会に当たり、私の都政運営に対する所信を申し述べ、皆様のご理解とご協力を得たいと思います。

一 首都東京の危機管理

(三宅島噴火災害等への対応)

 伊豆諸島で続いている噴火や地震は、発端となった火山活動から、三か月近くが経過した今もなお、今後の推移が全くつかめません。
 とりわけ三宅島は、度重なる噴火により、島全体が厚い灰に覆われ、痛ましい状況となっています。
 また、大規模火砕流の恐れがあるため、九月二日に退避指示が発令され、防災等の関係者を除く全島民が、島外へ避難しました。
 新島、神津島などの島々でも、地震によるがけ崩れなどが相次ぎ、一部の住民が、退避生活を余儀なくされています。
 多くの島民が生命の危険にさらされるとともに、港湾など生活基盤となる施設に被害が発生し、多大な損害を被っています。
 東京都は、災害対策本部を設置し、島の応急対策や避難先での生活の確保に全力を尽くしています。
 島外避難を強いられている方々に対し、居住環境に最大限配慮し、希望者全員に住宅を提供しました。
 また、病弱な高齢者などの受入れ等、日常生活の支障が解消されるよう、対策を講じています。
 今回の災害に対し、多数の関係者が対応に当たっています。特に三宅島では、二〇〇人を超える人々が、危険が残る中、作業をしております。この方々の労苦に、心より感謝を申し上げます。
 島の人々は、先の見えない不安な状況に置かれています。多くの人が、不慣れな土地で不便を感じながら、懸命の生活を続けています。心よりお見舞い申し上げます。
 噴火と地震による被害がこれ以上拡大せず、早期に終結することを切に願っています。
 伊豆諸島は、先人が幾たびの噴火災害等を乗り越え、今日の生活を築き上げてきた、歴史ある地です。我々は、災害を克服する英知と勇気を持ち合わせております。
 島民の皆さん、決してあきらめず、希望を持ち続けて下さい。
 この先も、生活再建など困難な課題がありますが、私は国に対し支援を要請するなど、島の再生に全力を尽くします。
 先般、天皇皇后両陛下には、島民及び関係者へ、暖かいねぎらいのお言葉を賜りました。また、秋川高校に退避している児童、生徒に、お見舞いの品を賜りました。
 さらに、国内外から、義援金など、多くのご支援をいただいています。厚く御礼を申し上げます。
(災害に対する日常の備え)
 世界有数の火山帯の上で生活する我々は、災害がいつ起きても不思議でないことを自覚し、日頃より、万一に備える必要があります。
 九月三日に実施した総合防災訓練「ビッグレスキュー東京二〇〇〇」は、災害対応能力を高める点で、画期的なものでした。また、自衛隊七、〇〇〇人余が出動するなど、全体で二五、〇〇〇人が参加する大規模の防災訓練を実施し、都市型防災の範を示すことができました。
 災害時に多くの命を救うためには、災害発生直後に適切な行動を起こすことが求められます。今回、初動対応の確立に特に重点を置き、羽田空港での自衛隊機の離発着など、救助活動に威力を発揮する多くの新しい訓練を行いました。
 災害が発生した場合、都は、人命の救助に全力を尽くしますが、住民にまず求められることは、自らの生命は自らが守ること、すなわち「自助」の自覚です。ついで、近隣同士が助け合う「共助」です。
 地域一体の訓練を継続し、共助の必要性を都民が体験することにより、地域連帯の効果もあります。
 私は、あらゆる活動に今回の成果を生かし、危機管理に万全を期してまいります。
 こうした取組とともに、災害後の復興にも備える必要があります。
都民生活の安定には、災害時の迅速な措置とともに、長期的視点に立った災害に強いまちづくりが重要です。東京で大地震が起きた場合、甚大な被害が想定されますが、被災を繰り返さないために、抜本的な都市改造が必要であり、この点の認識を共有しておくべきです。
 このような考えで策定した「震災復興グランドデザイン」中間のまとめには、主要な復興事業として、安全な住宅市街地形成や環状緑地帯構想などを盛り込んでおります。来年三月を目途に、課題を整理し、震災復興グランドデザインを完成させたいと考えています。
 この計画を画餅に終わらせることなく、東京の都市復興を実現するには、制約の多い現行の法制度を抜本的に見直す必要があります。
 今後、計画の策定に併せ、私権の制限など、まちづくりを計画的に推進する上で必要な法的整備を強力に働きかけていきます。


二 ディーゼル車対策

 東京の大気汚染の大きな原因は自動車の排気ガスにあり、中でも、
 ディーゼル車から出る微粒子が、生命や健康を脅かしています。
ディーゼル微粒子の削減を早急に進めるには、現在使用している車を排出量の少ない車に転換させることが重要です。
 私は、この一年間「ディーゼル車NO作戦」を展開し、DPFの装着が促進されるよう、都民に協力を呼びかけてきました。すでに産業界では、低公害車の導入などの動きを速めています。
 また先日、「世界肺がん会議」に出席し、ディーゼル車対策に取り組む決意を述べ、医学関係者の協力を求めました。会議では、ディーゼル車などの排気ガス対策を政府、業界に要望し、積極的に大気汚染対策を進めている、東京の取組を評価する意見表明がされました。いまや、医学界でも、この問題に対し、対策を求める動きが広がっています。
 にもかかわらず、国には、依然、深刻な事態への認識が欠けており、迅速な対応も見られません。環境問題への率先した取組は、国民に対する国の重大な責務です。
 国がその姿勢を変えるまで、粘り強く働きかけを続けます。
 ディーゼル車に替わる低公害車として、天然ガスや液化石油ガスを燃料とする車が有効ですが、利用者が少ないのが現状です。行政には、低公害車を普及させることが、求められています。
 六月に立ち上げた「新市場創造戦略会議」は、自動車メーカー、ユーザー、スタンド事業者、東京都が協力し、低公害車の普及策を検討するものです。近く、会議での意見を集約し、具体的取組を発表します。
 こうした取組だけでなく、規制をさらに強化し、大気汚染を、早期に改善する必要があります。
 私は、次の定例会で公害防止条例を大幅に改正し、都独自の排出基準を設定し、基準を満たしていない車両の走行規制など、わが国で最も厳しいディーゼル車規制を導入したいと考えています。
 排気ガスの浄化をさらに徹底するために、燃料となる軽油の硫黄分を低減することも不可欠です。
 本日、私は、国の動きを待つことなく、都営バス三四台に低硫黄軽油を使用することを指令しました。これは、全国初の取組として十一月から開始するもので、導入を全国に広げる画期的な対策となると信じております。
 平成八年に石油製品の輸入が自由化されて以降、多くの中小業者が石油の取引に参入する中で、無責任に質の悪い軽油が流通し、同時に、脱税や滞納が全国的に多発しております。
 七月には、税収確保や環境対策の面からも軽油流通の適正化が重要であることから、鳥取県と共同し、全国ではじめて、脱税の刑事告発に向け強制調査を実施しました。
 今後も悪質な業者の摘発に努めますが、根本的解決には、法制度の改正が必要です。皆様のご協力を得ながら、軽油引取税の改正を実現するよう、国へ強力に要請していきたいと思います。


三 名誉都民の選考

 このたび、名誉都民選考委員会から、隅谷三喜男さん、山田五十鈴さんを候補者としてご推薦いただきました。
 隅谷三喜男さんは、長年教育に携わり、新たな労働経済理論の形成や社会保障研究の先駆的な取組を行うとともに、私学教育の充実・発展に貢献されました。山田五十鈴さんは、わが国の映画界、演劇界を代表する女優として、数々の名画、名舞台を生み出し、華やかな芸風と確かな演技は、多くの人々に深い感銘を与えております。
 お二人は、それぞれの分野において多大な功績を上げられ、誇りとするにふさわしい方々です。皆様の同意をいただき、来月、顕彰したいと考えています。


四 二つの長期戦略

(一)東京構想二〇〇〇
        中間のまとめ
(構想策定のねらい)

 今日の東京は、企業活力の低下や環境問題の深刻化など、様々な危機が蔓延しております。我々は、確かな将来展望と再生に向けた長期戦略を打ち出し、危機を乗り越えていかなければなりません。
 「東京構想二〇〇〇」は、都政の基本構想として、五〇年先を展望しながら、今後一五年間で目指すべき東京の将来像や、取り組むべき政策を明らかにするものです。
(東京の将来像と実現への道筋)
 二十一世紀に目を向けた場合、高齢化の進展や人口の減少など大きな変化が予測される中で、社会の活力を維持していくには、個性が生き、能力が十分発揮される社会を構築することが不可欠です。
 一五年後には、四人に一人が六五歳以上となることが見込まれる中、豊富な知識と経験を持ち、多くの可処分時間を有する元気な高齢者は、社会の貴重な財産です。
 この「円熟シニア」とも呼ぶべき人々が、これまでの体験を活用して社会に貢献しながら、実りのある人生を送ることを、都市型高齢社会のモデルとして目指します。
 一方、都市づくりでは、幹線道路ネットワークや業務核都市などを整備するとともに、住宅や公益施設などの機能を集約した、コンパクトな生活圏の形成が必要です。
 今回発表した「中間のまとめ」は、こうした新しい東京の生活像や都市像を実現するための目標を、一六の分野にわたり示しました。
 東京のまちづくりがどの程度進んでいるか、都民に明らかにすることも、行政の役割であります。中間のまとめでは、一五年後の東京が目指すべき姿を分かりやすい数値で示すため、「政策指標」を導入しました。通勤通学に要する時間、高齢者の社会参加の進展を表す六〇歳台の就業率、環境改善の目安となる二酸化窒素の濃度など、六六項目を案として示します。
 今後は、各方面からの意見を聞いた上で、年内に、三か年の重点事業も含めた構想の最終的な形をまとめ、魅力と活力に満ちた東京の姿を明らかにしたいと思います。
(新しい行政像)
 わが国が今後も発展を続けるためには、民間企業が最大限に能力を発揮できるよう、行政の規制は、極力緩和すべきです。また、事業はできる限り民間にゆだね、行政の役割は、民間での対応が困難な分野に限定すべきです。
 東京都は、このような理念に基づき、広域的自治体として、政策の形成や区市町村・民間などの調整役に重点を移し、小さな政府を目指します。
 また、広域的自治体の機能を強化するには、広範な地域を一元的に統括する必要があります。今後は、現在の都道府県制度にとらわれない新しい行政の枠組みについて、深く掘り下げて検討したいと考えています。
 一方、基礎的自治体である区市町村は、行政サービスを提供する中心的な存在として、自らの判断と責任がますます求められます。
 八月策定の「第二次東京都地方分権推進計画」は、この考えに基づき、都が独自に区市町村へ事務や権限の移譲を進めるものです。
 また、区市町村が組織をスリム化しながら持てる力を高める上で、合併は、大きな効果をもたらします。今年度中に、市町村の合併に関する検討指針を作成し、都内市町村の合併気運が高まるよう、積極的に支援していきます。
 田無市と保谷市とで来年一月に予定されている合併は、事前に市民の意向を調査するなど、周到な準備の下でここまでこぎ着けたものであり、両市の取組に、深く敬意を表します。今定例会には、二十一世紀最初の対等合併として、西東京市の誕生を求める議案を提出しています。
(二)都政改革ビジョン1
   中間のまとめ


(行政改革の推進)
 基本構想の策定と並び、行政改革の推進も、東京の危機を乗り越える上で避けられない問題です。
 これまでの行政には、前例に固執して、大胆な改革を回避しようとする傾向がありました。しかし、こうした旧態依然とした行動や意識を改めない限り、都民の信頼を得ることはできません。
 都庁の本質を改善し、都民が求めるサービスを効率的に提供するためには、行政の役割を根本から見直し、行財政システム全般に鋭くメスを入れる必要があります。
 外部監査は、外部の目を通して都政が抱える問題点を客観的に究明する制度です。はじめて導入した昨年度は、都立病院の経営管理など一九八項目に及ぶ、適切な指摘を受けました。これを基に改善した結果、多くの効果が上がっており、都政を変える手法のひとつとして引き続き活用していきます。
 しかし、外部監査を待つだけでなく、自己改革にも率先して取り組む必要があります。
 私は、こうした基本的認識の下に、新しい行政を具体的に示すために、「都政改革ビジョン」を作成しています。
 その第一段階として年内に策定する「都政改革ビジョン1」では、直ちに取り組むべき改革を、平成一五年度までの四か年計画としてまとめます。このたび発表した「中間のまとめ」は、行政改革の基本的考え方など直面する課題を明らかにしたものです。
(サービス向上とコスト管理)
 多くの民間企業は、情報通信機器を活用して、経営革新を積極的に進めています。都庁もまた、情報技術を活用し、効率的な事務の執行体制を確立するとともに、時代に合った都民サービスの提供が課題となっています。
 九月からは、インターネットで入手できる用紙等の種類を大幅に拡大しましたが、その先は、相変わらず窓口まで足を運ぶことが原則となっています。自宅のパソコンから各種の手続きができる「電子申請」を、早急に開始します。
 さらに、近い将来、国、区市町村とネットワークを結び、一か所の窓口ですべての受付が可能な「ワンストップサービス」を、実現したいと考えています。
 こうした改善を積み重ねることにより、都政を住民本位の行政に転換していきたいと思います。
 都は、土地・建物など多くの資産を保有していますが、中には長年放置しているものがあります。現在、財産の実態調査を実施中で、その結果を見て、「財産利活用総合計画」を策定し、財産の処分や転用などに取り組んでいきます。


五 東京の再生

(新しい福祉)
 福祉はいま、大きな転換期を迎えています。少子・高齢化が進み、住民ニーズが多様化する中、住民が必要なサービスを自ら選択する時代が来ています。これからは、行政が型にはまったサービスを提供するのではなく、事業者が競い合いながら、住民要望に応じたサービスをすることになります。
 本年四月に開始した介護保険は、今後本格化する構造改革の流れの先駆けとなるものです。
 行政は、規制緩和により、事業者の参入を促し、事業者が公正に競争し、住民がより良いサービスを受けるための支援をすることが、主な役割となります。私は、新しい福祉施策の展望を明らかにするため、年内を目途に「福祉改革推進プラン」を策定します。
 高齢者や障害者が、快適な日常生活を送るには、段差などの障害をなくし、自由に行動できるまちづくりに取り組むことが重要です。
 制定から五年が経過した福祉のまちづくり条例について、対象施設の拡大などを内容とする改正案を、今定例会に提出しました。
 また、経済的、社会的に不利な立場にある、精神障害者の自立と社会参加が一層促進されるよう、都営交通が利用できるパスを発行するための条例を提案しています。
(都市産業の活性化)
 東京の産業が消費者ニーズの変化を的確に捉えていくには、技術革新や新しい事業の開始、すなわち「起業」を活発化することが重要です。
 七月には、総額七〇〇億円のローン担保証券の参加企業をはじめ、約三、五〇〇社を会員とする「東京都中小企業ネットクラブ」を立ち上げ、世界へ向け情報発信を開始しました。今後、会員企業の拡大などを図っていきます。
 ローン担保証券については、第二回の発行に向け、金融機関からの提案に基づき、発行方法を検討するなど準備を進めています。
 また、投資と経営指導を通じ、創業期にある企業を支援するため、先日、地方自治体初の投資事業有限責任組合を設立しました。
 私は、将来性の高い中小企業を支援する施策を推進していきます。
 観光は、多くの分野に経済効果が波及する複合産業です。ロンドン、パリなどでは年間一千万を超える訪問客を集め、観光が都市の発展に大きく寄与しています。
 一方、東京は、世界屈指の大都市でありながら、都市産業に占める観光の比重が低い状況にあります。
 観光は、取組次第で大きな発展のある産業です。私は、観光産業の充実を主要な政策と位置付け、観光政策の策定に着手します。
 商店街は、買い物の場であると同時に、地域のコミュニティーを支える場として、重要な役割を果たしてきました。ところが近年、空き店舗の増加などにより、商店街は危機的状況に陥っています。
 商店街再生には、何よりも自助努力が求められますが、東京都の支援も不可欠です。来年三月を目途に「二十一世紀商店街づくり振興プラン」を策定し、目指すべき商店街の将来像を明らかにします。
(心の東京革命)
 フランスの思想家ルジャンドルは、「若者が崩壊しているのは、大人が背負いきれなくなった重荷を彼らに背負わせた結果なのだ。」と指摘しています。青少年の犯罪などが、大きな問題となっていますが、それは、我々大人や社会全体の責任です。
 大人がまず自らの生き方を反省し、実際の行動を通じ、守るべき基本的ルールなどを子どもに教えていかなくてはなりません。
 このため、私は「心の東京革命行動プラン」を策定し、家庭、学校、地域、そして社会全体それぞれが取り組むべき行動や、行政の役割を明らかにしました。
 来月には、都民などが参加する五、〇〇〇人規模の「心の東京革命都民集会」を開催します。これを契機に、都民と一体となった運動を展開し、子どもを健全に育成していきたいと考えています。
(安全な都市東京の構築)
 東京は、世界有数の治安の良い都市でしたが、その評価にもかげりが見えつつあります。ニューヨークでは、断固とした取組により、犯罪が大幅に減少したのに対し、東京は増加が続いており、今年上半期の件数は過去最悪でした。
 東京の治安を維持し、都民生活の安全を確保することは、知事として最も基本的な使命です。
 必要があれば、独自の条例制定や、犯罪防止に全力を尽くします。
 近年、繁華街の性風俗店等において、不当に高額な料金を奪い取る悪質な事件が相次いでおり、地域の安全を脅かしています。
 こうした行為を未然に防止し、まちの安全を取り戻すため、不当な勧誘や料金の取立てなどを禁止する、いわゆるぼったくり防止条例を、国や全国の自治体に先駆けて今定例会に提案しました。


六 都市間の連携の強化

(東京圏メガロポリス構想)
 国は、無駄が指摘されていた公共事業の見直しに着手しましたが、首都移転については、いまだその旗を降ろそうとしていません。国際社会でわが国の地位を高めるには、七都県市からなる東京圏が、これまで蓄積してきた社会資本を活用しながら、首都として世界に誇りうる政治、経済、文化活動を展開することです。
 そのためには、首都移転に反対し、白紙撤回されるまで徹底的に闘います。
 私は、首都機能を引き続き担うための基盤整備として、圏央道や外かん道など環状方向の道路整備などを進め、環状メガロポリス型の都市づくりを目指す必要があると考えています。また、物流ネットワークの整備や国際空港機能の強化なども重要な課題です。
 今後、七都県市が共同して東京圏全体の都市ビジョンを策定するよう、関係者間にて協議してまいります。
 その際には、国を巻き込んだ連携体制強化が必要です。私は、これまでも常設の協議機関の設置を提案してきましたが、国の決断を促すために、この問題を、過日も総理大臣に建言しました。
(アジア大都市ネットワーク)
 先月、私は、デリー、クアラルンプール、ソウルの首長と一堂に会し、アジアにおける大都市間のネットワークの構築について、議論を交わしてきました。
 都市間では、立場を超え、共通の目的に向けて協力することが可能です。それぞれの国の心臓部である大都市が相互に連携・協力し、アジア全体の平和と繁栄に貢献できると確信しています。
 こうした認識の下、四都市は、アジア地域の発展を目指す新たな協力の枠組みとして、「アジア大都市ネットワーク21」の構築に合意し、共同宣言を採択しました。近く、他のアジア各地域の代表的な都市に参加を呼びかけます。
 この取組に賛同する大都市の首長により、来年、東京で「アジア大都市ネットワーク21」を開催し、技術開発などの分野で協力し、事業を展開していきます。
 私は、この会議が、アジアの新しいアイデンティティを確立し、 
「アジアの時代」の幕開けを告げる場になるものと考えています。


七 おわりに

 今日の日本は、国際競争力が著しく低下し、国家存亡の危機に直面してます。しかし永田町の政治家には、危機意識が感じられません。このような状況を見ると、国民と共に、国に対し厳しく変革を迫る必要を痛感しています。
 私は今後も、日本の改革につながる東京の改革に、全力で取り組んでいきます。それと同時に、東京単独では力が及ばない点は、国を揺り動かすことで変革につなげていきたいと思います。先月末に開催された第三回都市再生推進懇談会において、環境問題のほか、地方税財源の充実などを総理大臣に強く提言しました。今月に入ってからは、三宅島復興に関する緊急支援をはじめ、来年度予算に関して、国直轄事業負担金制度の見直し、米軍基地対策の推進などを要求しました。
 今後も、東京を変え、そして日本を変えていきたいと思います。
 皆様の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

ホームページへ戻る 前のページへ戻る