(三宅島噴火災害等への対応)
伊豆諸島で続いている噴火や地震は、発端となった火山活動から、三か月近くが経過した今もなお、今後の推移が全くつかめません。
とりわけ三宅島は、度重なる噴火により、島全体が厚い灰に覆われ、痛ましい状況となっています。
また、大規模火砕流の恐れがあるため、九月二日に退避指示が発令され、防災等の関係者を除く全島民が、島外へ避難しました。
新島、神津島などの島々でも、地震によるがけ崩れなどが相次ぎ、一部の住民が、退避生活を余儀なくされています。
多くの島民が生命の危険にさらされるとともに、港湾など生活基盤となる施設に被害が発生し、多大な損害を被っています。
東京都は、災害対策本部を設置し、島の応急対策や避難先での生活の確保に全力を尽くしています。
島外避難を強いられている方々に対し、居住環境に最大限配慮し、希望者全員に住宅を提供しました。
また、病弱な高齢者などの受入れ等、日常生活の支障が解消されるよう、対策を講じています。
今回の災害に対し、多数の関係者が対応に当たっています。特に三宅島では、二〇〇人を超える人々が、危険が残る中、作業をしております。この方々の労苦に、心より感謝を申し上げます。
島の人々は、先の見えない不安な状況に置かれています。多くの人が、不慣れな土地で不便を感じながら、懸命の生活を続けています。心よりお見舞い申し上げます。
噴火と地震による被害がこれ以上拡大せず、早期に終結することを切に願っています。
伊豆諸島は、先人が幾たびの噴火災害等を乗り越え、今日の生活を築き上げてきた、歴史ある地です。我々は、災害を克服する英知と勇気を持ち合わせております。
島民の皆さん、決してあきらめず、希望を持ち続けて下さい。
この先も、生活再建など困難な課題がありますが、私は国に対し支援を要請するなど、島の再生に全力を尽くします。
先般、天皇皇后両陛下には、島民及び関係者へ、暖かいねぎらいのお言葉を賜りました。また、秋川高校に退避している児童、生徒に、お見舞いの品を賜りました。
さらに、国内外から、義援金など、多くのご支援をいただいています。厚く御礼を申し上げます。
(災害に対する日常の備え)
世界有数の火山帯の上で生活する我々は、災害がいつ起きても不思議でないことを自覚し、日頃より、万一に備える必要があります。
九月三日に実施した総合防災訓練「ビッグレスキュー東京二〇〇〇」は、災害対応能力を高める点で、画期的なものでした。また、自衛隊七、〇〇〇人余が出動するなど、全体で二五、〇〇〇人が参加する大規模の防災訓練を実施し、都市型防災の範を示すことができました。
災害時に多くの命を救うためには、災害発生直後に適切な行動を起こすことが求められます。今回、初動対応の確立に特に重点を置き、羽田空港での自衛隊機の離発着など、救助活動に威力を発揮する多くの新しい訓練を行いました。
災害が発生した場合、都は、人命の救助に全力を尽くしますが、住民にまず求められることは、自らの生命は自らが守ること、すなわち「自助」の自覚です。ついで、近隣同士が助け合う「共助」です。
地域一体の訓練を継続し、共助の必要性を都民が体験することにより、地域連帯の効果もあります。
私は、あらゆる活動に今回の成果を生かし、危機管理に万全を期してまいります。
こうした取組とともに、災害後の復興にも備える必要があります。
都民生活の安定には、災害時の迅速な措置とともに、長期的視点に立った災害に強いまちづくりが重要です。東京で大地震が起きた場合、甚大な被害が想定されますが、被災を繰り返さないために、抜本的な都市改造が必要であり、この点の認識を共有しておくべきです。
このような考えで策定した「震災復興グランドデザイン」中間のまとめには、主要な復興事業として、安全な住宅市街地形成や環状緑地帯構想などを盛り込んでおります。来年三月を目途に、課題を整理し、震災復興グランドデザインを完成させたいと考えています。
この計画を画餅に終わらせることなく、東京の都市復興を実現するには、制約の多い現行の法制度を抜本的に見直す必要があります。
今後、計画の策定に併せ、私権の制限など、まちづくりを計画的に推進する上で必要な法的整備を強力に働きかけていきます。
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