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第3回定例会・代表質問(要旨)

 民主党    林 知二


  情報通信インフラを整備して都民サービスの向上を図れ


    噴火・地震災害
    東京構想二〇〇〇
    都市外交
    産業振興ビジョン
    心の東京革命
    環境問題

噴火・地震災害

 三宅島の火山活動及び新島、神津島近海の地震は今も続いている。
知事は所信表明で、この先も万全の体制を整え、島の再生に全力を尽くすと述べたが、これは新たな予算措置、補正予算の編成をも含めてと理解するが、見解を伺う。

知 事 伊豆諸島の災害関連の対策は喫緊の課題であり、都としても万全の体制を整え、島の復旧と再生に全力を尽くす決意である。具体的対応については、災害状況等の動向を踏まえ、ある時点でめどをつけ、補正予算も含め必要な財政措置を講じていくつもりだ。

東京構想二〇〇〇

 1.円熟シニアが真に蓄積した知識、経験、技術を生かして働き続けることで豊かな人生を送るためには、労働市場全体で雇用を保障し、人生の各ステージにおける負担を社会的に保障する社会を目指さなければならないが所見を伺う。
 2.構想では一五年後の東京の望ましい姿を、長い歴史に根差す文化と伝統を持ち、国際都市にふさわしい活力と魅力に満ち、国内外の人々を引きつけ、多くの人が交流する都市としている。しかし、今の東京は、質の高い住宅の不足や慢性的渋滞、都市の風格の欠如など、都市の魅力が整っていない。高度の業務機能を取り巻く都心近接居住推進地域に歴史的、文化的資源と共存する良好な住環境を整備することが東京の魅力を高めるキーになると考えるが。

知 事 1.東京構想が目指すのは、結果の平等ではなく、積極的な挑戦を促す機会の平等と、その成果を正当に評価する新しい公正の原理が重視されるべき社会だ。そのためには、自らの行動の責任は自分が取ることを前提としながらも、致命的な事態に陥らないよう、それを社会的に保障するセーフティーネットの構築が必要。

政策報道室長 2.計画的な土地の有効利用や高度利用を進めることにより、新たなオープンスペースを創り出し、緑を確保するとともに、良好な住環境の保全を進め、歴史的文化資源を生かした都市づくりができると考えている。また、環状道路の整備や交通需要マネジメントの実施により、交通渋滞や自動車公害を改善し、良好な居住環境の確保を目指していく。

都市外交

 1.北京市との関係をどうするつもりか、知事としての見解を伺う。
 2.世界大都市サミット会議が北京で開催され、知事は日程の都合で欠席となった。今回の欠席についての所見と今後このサミットにどのように関与していくのか伺う。
 3.八月にアジア大都市ネットワーク共同提唱都市首長会議が行われた。この結果を踏まえ、今後どのようにアジア大都市ネットワークを展開していくのか伺う。

知 事 1.北京市とは二一年にわたり、姉妹・友好都市の一つとして青少年交流などを実施してきた。これらの経緯を踏まえ、必要な交流事業を続けていくべきだと思う。私が嫌いなのは北京市じゃない。北京の政府、共産主義だ。
 2.北京会議は都議会開会中でもあり、副知事を代理として派遣したもの。今後は加盟都市等の意向も考慮し、時代の要請に応じた会議のあり方を考えていきたい。

生活文化局長 3.今回の会議で、他のアジア地域の代表的な都市に参加を呼びかけることに合意した。今後、共同提唱都市と連携を図り、他都市への呼びかけに着手していく。共同プロジェクトについては、来年東京で開催する全体会議に向け、参加都市と協議を重ね、効果的な事業の構築を目指していく。

産業振興ビジョン

 今年七月に最新報告が発表された。都民によるチャレンジプロジェクトの提案やメーリングリストの活用等、都民の英知を集結したものとなっている。
 1.まず知事に、この産業振興ビジョンをどのように評価し、どのように実行していくのかを伺う。
 2.(ア)都民サービス向上のために大胆にIT化を進めるべきだが、電子都庁推進に向けた決意を伺う。(イ)都営住宅は、ケーブルテレビ等の導入が認められているが、インターネット及びケーブルテレビ電話を利用できない場合がある。より多くの都民が快適な環境で情報通信を利用できるよう、都営住宅においてもケーブルテレビを利用したインターネット及び電話の利用が可能になるよう、適切に対応すべきだが見解を伺う。
 3.(ア)現在都が行っている各種支援機関等をネットワーク化し、中小企業に対し、民間とも連携して、総合的な支援体制を構築していくべきだが見解を伺う。(イ)中小企業に対する間接金融としての制度融資は区市町村が主体となり、都は直接金融を通じた資金調達への支援や、企業の技術力や将来性などを積極的に評価する制度融資など、政策誘導的な取組に重点をシフトすべきと考えるが、見解を伺う。
 4.(ア)地域コミュニティの核である商店街振興は東京の活力に欠かせない課題。各区市町村が商店街振興に向けてのプランを策定できるよう、都が情報提供や財政的支援を積極的に講じていくべきだが見解を伺う。(イ)商店街の経営革新の支援も重要だ。既に都は、活力ある商店街育成事業等により情報化推進事業を実施しているが、電子商取引、Eコマース等、昨今のIT化に対応していくためには、財政的・人的・技術的支援を講じていく必要がある。商店街情報推進化事業を拡充し、IT化時代における商店街の活性化に適切に対応していくべきだが見解を伺う。
 5.(ア)雇用ミスマッチ解消も緊急の課題である。ミスマッチ解消のためには、当面、雇用にかかわる様々な情報を収集し、提供していくことが必要である。公共職業安定所や民間の職業紹介機関、使用者団体などが持つ情報と、労働組合などが持つ情報を連携させ、雇用にかかわる情報に都民が容易にアクセスできる労働ネットワークシステムを構築する必要があると考えるが、見解を伺う。(イ)終身雇用も崩れ、労働者を取り巻く環境は大きな転換点にある。これからの働く場は、営利を求めない分野にも広がっていくことになる。企業への就職においても、自らの能力を生かして複数の就業人生を送るようになってくる。こうした新しい働く環境のもとでは、産業政策と一体化した労働行政でなく、産業政策から独立し、働くことの価値に着目した労働行政を目指すべきである。所見は。

知 事 1.産業振興ビジョンは、ITを活用して広範な都民から政策提言を受け、都民の英知を結集して策定したもの。これからの産業振興の基本戦略となると考えている。今後、ビジョンの基本方向と政策目標に基づき、産業の活性化と雇用の創出を図っていきたい。
総務局長 2.(ア)都の施策にITを取り入れ、都民サービス向上を図っていくことは都政にとって緊急の課題。このため、本年一〇月には、都庁の情報基盤TAIMSをインターネットに接続し、都民との双方向の情報交流を充実していく。また、九月に都庁のホームページを改善し、入手できる申請用紙等の範囲を大幅に拡大した。また、今年度中に電子都庁推進計画を策定し、全庁挙げての総合的なIT施策を迅速に展開していきたい。
住宅局長 2.(イ)回線を使用したインターネットの利用は、ケーブルテレビが普及した地域においては既存住宅を含め導入が可能となった。電話については、導入の可能性は考えられるが、技術的問題、既設電話事業者との調整等があり、今後検討していきたい。

労働経済局長 3.(ア)中小企業の育成には、技術、経営、資金面などの支援を企業の成長段階に応じて行っていくことが重要。そのため、東京都中小企業振興公社を核に、産業技術研究所や大学、民間等をネットワーク化し、多面的な支援を行う総合支援機構を構築することとしている。現在、推進協議会において、中小企業を総合的、継続的に支援していく仕組みを検討している。(イ)債券市場の創設、中小企業投資事業有限責任組合の設立など、直接金融による中小企業の資金調達の多様化に努めている。今後も融資の実態や都と区市町村の役割分担も踏まえ、社会経済環境の変化に的確に対応していく。
 4.(ア)商店街振興に当たり、地域の実情に精通し、商店街とのかかわりが強い区市町村の果たす役割は極めて大きい。都も、区市町村のプランづくりを支援していくため、基本的な指針の提示や新しい支援策を検討し、商店街の活性化が図られるよう努めていく。(イ)情報技術の活用は、ホームページ作成や顧客ニーズの把握、電子商取引など、商店街の活性化を図る上で重要な要素である。都もこの動向を踏まえ、商店街の情報化推進に努めてきた。今後IT関連人材の育成や研修事業などに取り組み、商店街の活性化と地域活力の再生に向け、積極的に支援していく。
 5.(ア)きめ細かな雇用関連情報の提供は、雇用ミスマッチ解消の上で有効な手段の一つ。このため、都が独自に収集する求人情報や、職業紹介機関の持つ情報と連携した総合的な雇用関連情報を提供するシステム開発に取り組んでいる。今後、求人企業の開拓や連携する機関の拡大を図り、より効果的なシステムとなるよう努めていく。(イ)複雑化する雇用・就業問題に対応するためには、都民の就業ニーズを的確に把握するとともに、産業政策と連携し、労働政策を展開していくことが重要。今後も、働く人々を取り巻く環境の変化に対応した労働行政を展開していく。

心の東京革命

 1.住民に最も身近な自治体である区市町村の役割は大変重要である。心の東京革命行動プラン作成に当たり、区市町村との話し合いをどのように進め、今後どのように連携を図っていくのか伺う。
 2.マスコミが有害情報を流さないようにするというのは、何が有害かという共通の認識とマスコミの自主的規制が必要で、マスコミ等の理解、協力が不可欠である。どのようにこれを推進するのか。
 3.コンビニエンスストアなどの有害図書の区分陳列や電車の中づり広告の問題について、都の対応の進捗状況と認識について伺う。

生活文化局長 1.心の東京革命は、広く都民や地域団体等の参加を得て、家庭、学校、地域等において具体的な行動を実践していく運動。このため、住民に身近な区市町村の役割は大変重要であり、これまでも心の東京革命推進会議等で意見交換に努めてきた。今後も積極的に働きかけを行い、十分連携を図っていく。
 2.東京都青少年の健全な育成に関する条例に基づき、関係業界に自主規制を要請し、定期的に情報交換の場を設けている。今後、推進協議会へのマスコミ関係者の参加を呼びかけるとともに、キャンペーン活動を通じ、関係業界に対し一層の理解と協力を求めていく。
 3.有害情報の氾濫は大変憂慮すべき状況。現在、不健全図書類の効果的な規制のあり方等について、青少年問題協議会で検討中であり、年内を目途に答申をいただき、必要な条例改正を行っていきたい。

環境問題

 1.東京では旺盛な事業活動が展開されているが、これを支えていくには膨大なエネルギーを必要とする。大量の二酸化炭素排出のもとで、温暖化防止対策を進めるのは非常に難しい問題である。都はこの温暖化防止対策にどのように取り組むのか。
 2.二酸化炭素の吸収、すなわち緑を増やす取組も積極的に進めるべきである。先日、都は緑の東京計画中間のまとめを作成したが、今後、東京の緑を増やすために、どのような施策を展開するのか。
 3.先般、自然環境保全審議会から自然保護条例の改正について答申が出された。そこでも市街地の緑化推進が提案され、建築物の屋上などの緑化が挙げられている。都はこの答申を受け、屋上の緑化などの事業をどのように進めようとしているのか伺う。
 4.自然保護条例改正の答申に、里山保全地域の新設がある。里山は、昔から人の生活とのかかわりの中で多様な生物が育まれ、独特の生態系を有する貴重な場所。しかし、多摩の丘陵地の里山は、開発の進行や環境の変化から失われつつある。里山を新しいタイプの保全地域に指定し、守っていくという答申の提案実現に向けた、都の具体的取組を伺う。

環境局長 1.広く都民に意識改革を求めるとともに、事業者に対してエネルギー消費の抑制を促していくことが重要である。今後改正を予定している公害防止条例で、環境負荷低減計画書作成等、一定規模以上の事業者への義務付けを検討していく。
 2.気象緩和や地球温暖化の抑制等の機能を持つ水と緑を総合的にとらえ、新たな指標として緑率を設定した。今後緑率の向上に向け、緑の保全、公共施設や民間施設の緑化、道路や河川等の整備に合わせた緑の創出、ビオトープの設置等で緑の回復を図っていく。
 3.ヒートアイランド対策として屋上等の緑化は有効である。都は全国に先駆けて本年四月から指導を開始したが、一層の普及を図るためには推進に向けた仕組みづくりと都民の理解と協力が必要である。今後、届け出義務の条例化を検討するとともに、関係者による推進会議を設けるなど積極的に推進していく。
 4.答申を踏まえ、里山保全地域の条例化を検討するとともに、多くの都民の参加を図り、里山の自然の回復と保護に努めていく。

 
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