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第3回定例会・代表質問(要旨)

 日本共産党    村松 みえ子


  大型開発優先の都政を都民のくらし、福祉優先に


    伊豆諸島の災害
    介護保険、福祉等
    都政運営のあり方
    東京構想二〇〇〇都政改革ビジョン
    自然とみどりを守る対策
    教育行政

伊豆諸島の災害

 大規模な噴火災害に遭われ、島外への避難を余儀なくされた三宅島島民をはじめ、地震災害に遭われた伊豆諸島の皆さんに、心からお見舞い申し上げます。
 また、有毒な火山ガスの中で島を守られている方や、地震に脅かされながら安全確保と災害復旧に携われている方々にも、心から敬意を表するものです。
 三宅島では、六月に雄山が噴火し、新島や神津島などで地震が激しくなって以来、既に三か月になろうとしている。
 わが党は、数次にわたる現地調査団を派遣すると同時に、三宅島島民の全島避難後は、分散している避難先を訪ね、不慣れな地で不自由な生活をされている皆さんの声を直接聞いてきた。今後の生活や仕事のことなど、様々な要望が寄せられ、問題が山積している。私は、解決すべき主なものに絞って、質問する。
 1.その一つが生活資金の問題だ。
都は、一〇万円の生活資金の貸付けを行っているが、貸付けでなく、公的な災害給付を行ってほしい、これが島民の圧倒的な声だ。知事、避難生活を支援するために、光熱水費の免除と、当面の生活資金を直ちに支給すること。また、三宅高校の授業料を全額免除とするなど、親の経済的苦境から就学を断念することのないよう支援が必要だ。
 2.自主避難された島の方々は、生活必需品を自費で購入している。購入費の補てんが必要と考えるが。
 3.三宅島では、一七年前の噴火で、生活や営業の再建資金として、公的機関や民間金融から融資を受け、今も返済途上の方がいる。その上に今回の災害では生活のめどが立つまで、公的制度融資の貸付金返済の一括猶予を。また、住宅ローンその他の民間からの融資についても、都が返済の猶予を金融機関に働きかけることを求める。
 4.島の人々は、たとえ避難先の一時的な生活でも、自ら働いて得た収入で生活する意欲を持っている。しかし、現実には働き盛りの世代でも、仕事探しに大変な苦労をしている。避難が長期化する中で、就労の要求はますます切実だ。国の緊急地域雇用特別基金事業を利用した都の雇用対策では極めて不十分だ。都独自の時限的な緊急失業対策と位置付け、業種と採用枠の拡大、雇用促進への助成措置が必要だ。
 5.避難した住民の名簿が、避難先の各区市町村には届いているが、都から教えてはならないと断られたとのことだ。三宅村の住民同士の交流を、都がなぜ阻害するのか。避難先名簿をつくり、直ちに配布すべきだ。また、村民同士の行き来の保障に、都は、交通費の補助や、子どもたちのいる秋川高校と避難先を結ぶバスの配備も必要だ。
 6.地震被害のなかった大島、八丈島も、観光客が激減している。 これらの島々にも都が特別の支援を行うべきだ。都道の復旧はもちろんのこと、村道や農地などの復旧、観光事業や農漁業の再生など、島の復興全般について、村任せではなく、都が積極的に受けて立つことが必要だ。答弁を。
 7.今回の災害で破壊された生活基盤を再建することは、個々人の努力の限界を超えたものだ。雲仙普賢岳が噴火した際、長崎県は国に実情を強く訴え、県費・国費も投入させて基金をつくり、寄せられた義援金を活用しながら被災者への生活支援金、営業支援金の支給、高校の授業料免除など、各種の助成事業を実施した。有珠山の噴火災害でも、生活資金給付の制度が実現している。知事が率先して、個人補償の実現と、都の旗振りで基金をつくるなど、個人補償の仕組みづくりに直ちに着手することも急務だ。

知 事 7.平成一〇年十一月から施行された被災者生活再建支援法により、被災者個人に対する支援制度が確立しており、都では、その基金に対して拠出している。なお、三宅村の適用可否については、被害状況の詳細を調査中だ。また、被災者の住宅再建を目的とした共済制度の創設は、全国知事会等を通じて要望している。

総務局長 1.三宅高校の授業料については、減免制度の適用要件、手続等について、学校長を通じて保護者に通知した。今後も、避難生活を続ける村民の生活に留意し、村と連携、協力して、必要な就学支援対策を図っていく。
 2.自主避難した村民が購入した生活必需品の購入費の補てんについて都の直接補てんは考えていない。今後の支援サービスの提供のあり方については、村と協議の上、検討していく。
 3.被災した村民に対し、生活福祉資金、災害復旧資金など、様々な生活及び産業支援に努めてきた。指摘の民間融資返済猶予の働きかけについては、関係機関や村とも協議し、必要に応じて検討する。
 5.避難者名簿については、三宅村が現在その把握に努めている。都は、都営住宅居住者の情報提供などの支援、協力を行っている。指摘の交通費補助等については、総合的な支援策を検討する中で、三宅村とも協議していく内容だ。
 6.現在、都は、精力的に都道等の復旧や生活支援に当たっている。併せて、村道等、村の復旧施策の支援も必要であると考えている。農漁業、観光等の基幹産業や生活基盤の復興については、今後、各村と十分協議して、連携を図りながら解決に取り組んでいく。

労働経済局長 4.既に民間や国、区市町村への求人依頼を行った。現在、避難島民の方々に対して、個々に就業に関する情報の提供及び就労意向の調査を行っている。今後とも、事態の推移に合わせて、東京労働局をはじめ関係機関と連携し、避難島民の生活の安定に向け、就業の促進に努めていく。

介護保険、福祉等

 1.国政、都政による、福祉、社会保障の相次ぐ後退の中で、新しい世紀に希望など持てる状況ではない。とりわけ高齢者の方々は、介護保険の重い利用料負担、一〇月からはじまる保険料徴収に加えて、石原都政が推進した、かつてどの都政もできなかったような福祉切り下げ、すなわち、シルバーパスの全面有料化、老人福祉手当とマル福の廃止に向けた削減などが次々に押し寄せ、本当に厳しい秋を迎えている。知事、介護保険がはじまるからとの理由で都加算事業と職員給与を保障する公私格差是正事業を廃止したが、利用者サービスが後退した特別養護老人ホームの現実をどう受け止めているのか。所見を伺う。
 2.多くの施設から、サービスの質の維持に、都加算、公私格差是正事業の復活と、都加算事業などに変わって創設された経営支援事業を、三年後の見直しではなく、期限なく継続し、充実してほしいとの声が寄せられた。この切実な声に応え、補助を拡充すべきだ。  
 3.今回の調査で、デイサービスの深刻な事態も浮き彫りになった。約八割の施設が、減収を補うために定員を増やしており、利用者からは、息苦しく、楽しくなくなったなどの声も上がっている。この改善も急務だ。国に対し、介護報酬の充実の要求は当然だが、同時に、都は直ちにデイサービスへの経営支援事業を創設すべきだ。
 4.わが党は、介護保険の利用料負担が重いために、サービス利用を抑制せざるを得ない実態があることを指摘した。その後、都の調査でも利用限度額の四九・五%のサービスしか実際は利用されてない。また、都内の介護事業者の調査結果でも、四九・七%とほぼ同様の数字が出た。利用料負担の重さが、こうした実態の最大要因の一つと思うが、認識を伺う。
 5.介護保険の負担軽減策も急務だ。この動きは既に全国各地に次々と広がっており、東京でも、狛江市、武蔵野市などに続き、新たに武蔵村山市が、利用料減免の実施を決めた。また、大阪市は、低所得者の保険料軽減を市独自に行うことを既に決めており、東京都の市長会は、低所得者に対し、都独自の保険料減免措置を講ずることを都に要望している。ところが、政府は、一定の所得層を対象として一律に保険料を免除することは、制度の趣旨に照らして適当ではないなどといって、自治体独自の措置に介入しようとしている。政府の地方自治に対する不当な干渉への抗議と、都民の福祉を守る立場から都独自の保険料減免制度を直ちに検討、実施すること。
 6.また、利用料三%軽減の対象を、在宅サービス全体に広げ、新規利用者にも広げるよう、国への働きかけと、都独自の利用料軽減実施を強く求めるが。答弁を。
 7.国会に、健康保険法、老人保健法の改悪案が提案されており、もしこれを許すなら、マル福も障害者医療費助成も自動的に定率一割負担になる。また、障害者医療費助成の所得制限で対象外となった人は、高額医療費が天井知らずとなり、いずれも重い負担増となる。老人福祉手当は、段階的廃止、削減はやめ、介護保険の欠陥を補える形で拡充すべきだ。また、マル福、障害者医療費助成、障害者関係の福祉手当は、元どおりの制度に直ちに戻すこと。

知 事 1.特養ホームは、現在、経営支援事業の助成を受け、介護保険制度の下で、経営の自立を目指し、利用者に対するサービスの維持向上と運営の充実に、積極的に取り組んでいると認識している。
 7.福祉施策は社会経済状況の変化や国の施策の充実などを踏まえ、経済給付的事業を見直し、再構築したものだ。また、区市町村や関係団体、都民の声などを考慮し、都議会での審議を経て決定した。もとの制度に戻す考えはない。

高齢者施策推進室長 2.特養ホーム経営支援事業は、民間の全施設に対し二回の実態調査と、特養ホーム代表者と十分に協議し、また、都議会での審議を経て創設したもの。既に特養ホームからの申請をもとに助成を実施している。
 3.都は、デイサービスが介護保険に円滑に移行できるようリニューアル事業を実施し、事業主体である区市町村や社会福祉法人を指導してきた。制度の本旨とこれまでの経緯を踏まえ、区市町村と連携し、事業者へ助言や指導をする。
 4.国の資料によれば、サービス利用量について、従来の約六割の利用者において増加をしている。また、提供されたサービス内容については、約八割の利用者がおおむね満足をしていると聞いている。現段階では、必要としているサービスを、利用料の負担が抑制しているとは考えていない。
 5.一定の所得階層を対象として一律に保険料を免除することは、全ての被保険者が保険料を負担し合って制度を運営する介護保険法の趣旨に照らして、適当ではない。また、市長会からの要望については、その詳細な内容を伺っていく。
 6.在宅サービスのうち、ホームヘルプサービスについては、利用者の多くがこれまで負担が無料であったことから、一割の負担を三%に軽減する特別対策が取られたが、これはあくまでも激変緩和の観点に立った経過的措置で、都としては、提案のような国への要望や独自の取組は考えていない。

都政運営のあり方

 1.知事は、繰り返し都財政は赤字だと言い、福祉の切捨てを強行した。しかし、お金の使い方を切り替えれば、財政が厳しくとも、福祉を切り下げる必要は全くない。本来、福祉や人件費などを中心とした経常的経費に紛れ込んでいる投資型経費は、今年度だけでも三、〇〇〇億円以上にも膨れ上がっている。なぜか経常的経費に計上され、福祉や人件費は削られても、これらの投資型経費は、この数年、ほとんど減らされていない。
その一方で、公園や道路補修、住宅、教育施設など、都民生活に密着し、中小企業にとって役立つ生活密着型公共事業は、軒並み予算は削減されている。私たちは、大型公共事業はすべてだめという立場はとらない。必要な事業であっても財政状況に見合った適正な事業執行を行う、こうしたことで、支出を大幅に減らすことは十分に可能だ。公共事業のあり方を都民生活密着型に切り替え、投資的経費を半減させ、逆立ちした都財政運営を見直すことが緊急の課題だ。
 2.都財政圧迫の最大の問題が第三セクターだ。行政改革というのなら、財政立て直しのためにも、まず手をつけることは、これら第三セクターの乱脈経営を正し、清算も含め、整理することだと考えるが、見解を伺う。
知 事 1.引き続き都の財政力で対応可能な範囲に抑制しつつ、東京における社会資本の整備に向け、限られた財源を重点的、効率的に配分していくつもりだ。
総務局長 2.本年二月に公表した基本指針に基づき、各団体が経営改善計画を策定するとともに、都も、団体の統廃合計画を含めた点検作業を行っている。この総点検結果については、本年十一月に公表する予定だ。

東京構想二〇〇〇都政改革ビジョン

 1.東京構想二〇〇〇中間のまとめ、都政改革ビジョンなど一連の文書によって、福祉の切下げにとどまらず、都政が福祉から撤退していくと言っても過言ではない方向に進もうとしていることは否めない。この構想では、都の役割をできる限り小さくし、自己負担によるサービス利用が強調され、介護保険型福祉を障害者福祉や保育の分野にまで徹底して広げていこうとするものにほかならない。知事は、このようなやり方を子どもや障害者の福祉に広げても問題がないと思っているのか。答弁を。
 2.既にその先取りとも言える精神障害者の都営交通乗車証条例は、一〇〇〇円の手数料徴収が盛り込まれている。福祉は何でも有料、自己負担という東京構想の考え方の具体化と言わざるを得ない。関係者から、既に実施されている心身障害者の無料乗車証まで、有料化されるのではとの不安が広がっていると聞く。心身障害者の都営交通乗車証は無料制度として実施され、大変喜ばれている。障害者福祉増進の観点から、この事業の意義について所見を伺う。
 3.保育所については、看護婦、保健婦の配置がない、離乳食を作る保障もない、ヨーロッパの国々に比べて保母の配置が数分の一といったことなど、全く時代遅れの不十分な国基準だ。引き上げることこそ必要ではないか。
 4.当面、既設の保育園は都基準とされているが、長い間にはいずれ国基準の低い方へ、東京の保育水準が大きく低下していくのではないかと心配されるが。
 5.乳幼児医療費助成制度に、対象年齢や所得制限の有無など、はっきりした多摩格差が生じている。格差が生まれる原因は、二十三区と多摩地域の財政力の違いだ。格差解消には都制度の充実が不可欠だ。そのためにも、今年から五歳未満となったが、引き続き就学前まで拡充を図る姿勢を明確にすべきだ。また、所得制限の大幅な緩和も必要だ。答弁を。
 6.都は、福祉から大きく手を引き、大規模な開発の推進を強調しているが、どの様に開発を進めるのか。今、知事が行うべきことは、東京の大型開発を推進することではなく、その現状を都民の前に明らかにして、全面的に都民の判断を仰ぐことではないか。見解を。
 7.これらの大型開発による影響は、巨額の都財政投入だけでなく、交通、住宅、都市基盤、地球環境など、多面にわたることが予想される。今、世界の大都市は、環境や財政を守る立場から、行き過ぎた幹線道路建設を抑えたり、再開発を見直すなど、都市の成長を管理し、コントロールする方向に足を踏み出している。この様な世界の大都市の流れにこそ東京都が学ぶべきことがあるのではないか。
 8.二十一世紀を目前にして、公共事業に五〇兆円もつぎ込みながら、社会保障には二〇兆円しか使わないという逆立ちした政治の転換が求められている。中でも焦眉の課題である公共事業の見直しについては、都が今こそ計画段階の事業や進行中の事業も含め、事業の必要性、採算性がどうか、環境への影響がどうかなど、十分な検討を行うべき。特に計画段階の評価、点検を重視すること、住民の参加を制度的に保障することを貫く立場で事業評価を行うことを基本に、以下の三つの見直しの方向を提案する。一つは、都市づくりについて、都の財政能力を無視した同時多発型を改めて、不要不急事業を見直すこと。二つ目は、貴重な自然を破壊する圏央道や有明北地区の埋立て、オオタカの営巣地周辺の開発、自動車公害や都市型災害をもたらす大型開発などについて一時凍結するなどして、都民参加で再検討すること。三つ目は、都市計画道路は、その多くが戦後の復興期から高度成長期にかけて東京が急速に都市化する中で計画されたものであり、今日では少なくない道路建設が住宅の追い出しや環境破壊などの元凶となっていることを踏まえ、少なくとも、計画後、事業化計画にも至っていない道路計画は直ちに凍結し、見直しを行うこと。事業化計画に入っている路線でも、未着手の路線や区間は凍結するなど、浪費と無駄が指摘されているのは国だけではない。都においても、公共事業における浪費と無駄を徹底的になくすため、今、私が提案したような仕組みが必要だ。

知 事 1.今後の福祉のあり方で、子どもや障害者の分野におけるサービス提供の仕組みを検討するに当たっても、利用者本位の新しい福祉の実現を追求すべきと考える。
 6.今後とも、厳しい財政状況を踏まえ、聖域のない見直しと、投資の重点化を図り、都市基盤の整備を着実に進めていくことが必要だ。都民の判断は、間もなく選挙があるので、そこで大いにそれを論じられたら良いのではないか。
 8.その着実な整備は、産業の活性化や国際競争力の向上を図るためにも、生活基盤の質を高める上でも、極めて重要だ。しかし、今日、都の財政は非常に厳しい状況下にあり、限りある財源を投資的効果の高い事業に重点的に配分し、その着実な整備に努めていく。

福祉局長 2.心身障害者に対する都営交通乗車証は、東京都交通局の規程により発行されているが、心身障害者福祉の向上を目的とする身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法の趣旨を踏まえて設けられた、全国制度の障害者運賃割引制度を基に実施されているもの。
 3.都としては、かねてから、保育所への入所待機児童の解消を図るため、低年齢児童の受入れに関連した補助制度等の拡充を国に提案している。
 4.保育所のあり方について、区市町村の地域特性に応じた柔軟な対応を図り、低年齢を中心とした待機児童の解消や、多様な保育需要に応えていくことが必要と考えている。今後とも、実施主体である区市町村と連携しながら、保育施策の充実に努めていく。
 5.本制度は、少子化対策の一環として、平成一〇年一〇月に対象年齢を一歳拡大して四歳未満としたが、本年一〇月には五歳未満とし、さらに一歳拡大することとした。所得制限については、負担の公平の観点から、一定の制限を設けることは必要と考えている。

都市計画局長 7.東京の都市づくりを世界の大都市に学べとのことだが、情報化の著しい進展とともに、人や企業が国境を越えて都市を選ぶ時代を迎えて、世界の大都市では、既に十分整備された社会資本ストックを活用しながら、新しい発想で、様々な手法を取り入れて、魅力あふれた都市づくりに取り組んでいる。一方、東京においては、世界の大都市と比べて基盤整備が遅れているため、交通渋滞などによる経済の高コスト構造を生み、国際的な魅力を低下させる原因となっている。このため、都は、環境との調和を図りながら、道路、公園などの都市基盤整備を行い、あわせて都市の再構築に取り組むことによって、活力と魅力にあふれた国際都市を目指すことこそ重要であると考えている。

自然とみどりを守る対策

 1.東京の自然と緑は、急速な都市化と開発優先の政治のもとで、二十三区では面積の九割が市街化され、多摩地域でも農地や自然林などが相次いで失われている。開発は里山や各戸などにも及び、オオタカに代表されるような貴重な生き物や植物が絶滅の危機にさらされている。そこで、生態系の頂点に立つオオタカや多摩地域だけに生息するオオムラサキなどの絶滅が危惧されている、動植物の保全について都は、全国に先駆けて、希少動植物を調査したレッドデータブックを作成していながら、必要な保護、保全については有効な手だてがとられず、事実上、野放しになっている。都が独自の希少動植物保護条例を制定し、保護すべき種の指定や、保護区の設置、個体の捕獲、採取、殺傷、譲り渡しの禁止など、具体的な保護の取組をはじめることを提案するが。
 2.希少動物を次の世代に引き継ぐことは、二十世紀を生きてきた私たちに課せられた責務だ。レッドデータブックに基づく実態調査を、広く自然保護団体や専門家、都民の参加も呼びかけ、早急に実施することを求めるが。
 3.改正予定の自然保護条例に、自然公園普通地域での緑地保全地域の指定などを具体的に盛り込み、また、東京の緑を回復し、保全するための都の責務を改めて明らかにするとともに、緑地の確保や開発規制など、実効性のある条例の改正が求められていると思うが。
 4.特に守るべき緑を所有している都民との間で、環境保全契約といったものを結び、固定資産税や相続税などの大幅軽減を行うことも有効と考えるが、見解を。

知 事 1.東京における自然の保護と回復に関する条例は、総合的な条例として、保全地域における野生動物、植物保護対策についても規定している。今回の東京都自然環境保全審議会の答申では、保護の種類や保護区の指定及び保護増殖事業などを条例に規定すべきとの提言がされている。この答申を踏まえ、絶滅の恐れのある野生動物、植物の保護など、対策の充実に向けて、条例を改正していきたい。

環境局長 2.いわゆるレッドデータブックに基づく実態調査について、平成一〇年三月に策定した「東京都の保護上重要な野生生物種」、いわゆる東京都版レッドデータブックは、特に保護上重要な種を選定し、これらの種を地域別に、かつ、哺乳類や鳥類などの分類別に明らかにしたもの。都は、絶滅の危機に瀕しており、その対応について特に緊急性の高い種である、アカガシラカラスバトを対象に、今年度から専門家の意見を聞きながら実態調査を進めている。
 3.都はこれまでも、現行条例において、区市町村と連携しながら自然の保護と回復に努めてきた。先般、東京都自然環境保全審議会から、自然公園普通地域内においても保全地域指定をすべきだ、また、建設残土による埋立規制などの開発規制の強化、里山保全地域などの保全地域制度の拡充などを図るべきとの答申があった。今後は、この答申の趣旨を踏まえた条例改正を行い、自然の保護と回復に一層努めていく。
 4.固定資産税の軽減については、都民への開放など一定の要件に該当する樹林地などについて実施している。また、都指定の保全地域や、自然公園の特別地域等に係る相続税は、生産緑地並みの納税猶予制度について、国へ要請している。

教育行政

 1.子どもたちの「勉強がわからない」という最大の悩みを解決するために、当面三十人学級の実現が急がれる。知事、学年ごとに、段階的に来年度から実施する方向で検討することを求めるが。
 2.私たち大人が大切にしなくてはならないのは、体罰強化など時代の流れに逆行する方向ではなく、子どもたちを一人の人間、権利の主体として承認し、子どもの最善の利益を追求する立場に立ち、一人ひとりの多様な個性を伸ばしてあげる方向こそが求められていると考えるが。
 3.都は、子どもの権利条例を制定するとしているが、作業は事実上進んでいない。条例制定に向けて、子どもの参加を重視し、その意見も取り入れながら、都民参加で作業を開始すべきだと思うが。

知 事 2.教育を通じて子どもたちの個性や創造性を伸長していくことは極めて重要だが、それと同時に、権利と義務、自由と責任について理解を深めさせることも重要だ。子どもの教育は、学校だけでなく、親や大人が責任を持って子どもの正義感や倫理観、耐久力、根性、思いやりの心を育む必要がある。

教育長 1.文部省が本年八月に策定した小中学校の第七次教職員定数改善計画では、教科等の特性に応じたきめ細かな指導に対する支援として、平成十三年度から五か年で、総数二二、五〇〇人の教員定数を改善することが示されている。都教育委員会は、この計画の趣旨等を踏まえ、小人数授業の実施や教職員の弾力的な配置も含め、平成十三年度以降の学級編制や教職員配置を総合的に検討していく。

福祉局長 3.子どもの権利擁護、権利保障をどうとらえ、どう進めていくかについては、多様な意見があり、慎重に考慮する必要があると考えている。外部の学識経験者の意見を聞くなど、様々な角度から検討してきたが、今後とも、東京の子どもの置かれている状況を幅広い視点からとらえた上で、慎重に検討していきたい。

 
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