矢部 一 (自民党)
都立駒場高校の校地に「仰光寮」という木造の建物がある。昭和八年、駒場高校前身の府立第三高女の時代に、かつて、皇太后陛下の御学問所であった建物を東京府にご下賜いただいたものである。学校と同窓会である松桜会の皆様が戦火からも守り抜き、昭和二六年に現在の地に移築した。クラブ活動や同窓会の会合等に活用しながら、現役と同窓生が交流し、大切に使用してきた。しかし、建物は老朽化が進んでおり、存続を多くの同窓生が望んでいるが、今後どのようにされるのか伺う。
教育長 仰光寮は、皇太后陛下の御学問所としての経緯をもっている。建築後八一年が経過し、老朽化が著しい。当面、点検を行いながら、現状の維持を図っていく。
コーポラティブ方式による住宅建設が注目されている。個人個人のライフスタイルに合わせたオリジナルの住宅を、販売経費等がないために二〇%程度割安に取得できるからだ。しかし、事業が立ち上がるはじめの段階で、抵当権の設定等の理由で、金融機関から融資が受けられず、スタートできないケースがある。こうした意欲を持った都民に対し、初動期におけるつなぎ的な融資ができれば、一層都心居住が促進されると考えるが。
住宅局長 この方式による住宅建設に対し、融資あっせん制度を設け、支援を行ってきた。この度、住宅金融公庫で、「都市居住再生融資制度」が創設され、初動期の融資が可能となった。都も、都心共同住宅供給事業などと連携を図り、都心居住の推進に努めたい。
1.昨年、東京でも一時間に一〇〇ミリを超えるような局地的な豪雨があり、六五〇〇棟もの家屋が浸水被害を受けた。新宿区内の地下室では尊い人命が失われ、渋谷駅の地下街でも浸水による被害が発生した。また、先日も夕刻に、時間当たり八〇ミリという集中豪雨があり、港区などで地下鉄や地下街への浸水が起きている。東京は地下鉄をはじめ地下街や地下駐車場など、大勢の人が集まる地下空間が随所にあり、その利用が極めて進んでいる。集中豪雨による水没災害を最小限に食い止めるための危機管理対策が必要だ。都は先月、緊急浸水対策を発表したが、その基本的な考え方とその取組について伺う。
2.下水道整備についても三月に緊急重点雨水対策が発表されたが、下水道局の対応とは。
3.個人住宅の地下室の利用も年々増加している。地下室への浸水のメカニズムや具体的な対策、浸水の危険性の高い地域での建築指導が必要と考えるがどうか。
東京都技監 3.浸水防止策として、止水板を設置するなどの対策を講じるとともに、避難方法等の知識の普及・啓発を図る。このため、建築物の管理者や建築主等に対する情報提供や、パンフレット配布等を通じ、浸水防止に努める。
建設局長 1.浸水に対する安全確保という施設管理者の責務を支援するため、本年六月から、浸水実績図の公表などをし、情報提供などを行い、対応している。
下水道局長 2.緊急重点雨水対策を三月に策定し実施している。危険度の高い地域に新整備手法を入れ、効果的に浸水被害を軽減させる。
昭和二〇年代に決められた都市計画道路の完成率が未だ五〇・九%と、極めて寂しい限りだ。不法駐車の取締りも追いつかず、また、暫定的にパーキングメーターを取り付けて走行車線を駐車スペースに使うことで、その道路が本来持っている交通処理能力が十分に発揮できない。これでは交通混雑は一向に解決されない。円滑な自動車交通を確保するために、駐車対策が不可欠であると思うが、都としてどのように取り組むのか。
東京都技監 路上駐車は、依然交通混雑を悪化させており、二月策定のTDM東京行動プランで重点施策に位置付けた。また、平成三年策定の「駐車施設対策の基本方針」を見直し、対策の推進を図る。
新宿中央公園や代々木公園の状況に、恐怖心を抱く都民もいる。さらに、それらの公園は避難場所にも指定されている。もし避難をしなければならなくなったときに、避難場所がふさがれているようであっては避難場所にならないのではないかという心配の声がある。大都市特有の問題であり、経済状況も影響していることは事実であろう。しかし、都民も我慢の限界に来ているように思う。一刻も早い解決が望まれる。知事の具体的な考えを。
知事 ホームレスは、大都市特有の問題で、総合的取組が必要だ。こうした観点から効果ある施策の推進に努めていく。
科学技術の進歩の中で安定な物質を求め、ポリ塩化ビフェニール、いわゆるPCBが作られた。しかし、カネミ油症事件以来、その毒性が問題になり、わが国では昭和四九年に製造、輸入、使用が原則禁止となっている。以降、厳重な保管が義務付けられた。しかし、平成四年に国が行った調査では、全国で保管されているPCBの約七%が、保管者の倒産などにより、不明または紛失となっている。環境への汚染が心配される。手をこまねいているだけでなく、早く安全な処理が望まれる。このような状況に対して、先に設置された適正処理検討委員会において、早急にPCBの処理の具体策について検討し、適正処理を推進すべきであると考えるが、所見を伺う。
知事 最近では化学的な処理技術が開発されたようだが、コスト面も勘案しながら、住民の不安感払拭のため、鋭意推進していきたい。このため、検討委員会にて検討し、支援のあり方など、具体策を年内に取りまとめる。
1.今回発行された「東京都環境白書二〇〇〇」で、東京が直面する環境の危機の一つとしてヒートアイランド化の進行を挙げている。ヒートアイランド化の防止のために、緑を増やすことも必要だが、根本的に、東京を省エネ型都市にすることが大切だ。まず都内最大級のオフィスを要する都庁が率先して省エネのモデルとなるべきだ。
2.太陽光発電など新たなエネルギーの導入、省エネ設計などを、今後、建設されるオフィスビルに求めていくべきと考えるが。
環境局長 1.平成九年度に「都庁エコ・アップ計画」を策定し、省エネ対策を進めてきた。その結果、新宿都庁舎電力量の減少ができた。今年度、計画改定をし、より効果の高い計画としていく。
2.「東京都公害防止条例」改正で、一定規模以上の建築に、「環境計画書」提出を求めるなど、環境配慮の制度創設を検討している。
1.多くの監査請求が出されている今日、都民の信頼の確保には監査委員の責務が重要となる。監査委員監査の役割について、監査事務局としての基本的認識を伺う。
2.監査の取組状況を、都民に分かりやすく知らせるための工夫が必要と考えるが、所見を伺う。
3.監査委員監査の課題と今後の取組について伺う。
監査委員会事務局長 1.監査委員監査は、監査委員制度の特性を活用し、都の行財政運営全般に対し、幅広く監査する役割を担うと認識している。
2.取組状況を含めた情報提供をし、透明性向上をすることが重要。これまでは、東京都公報に登載するなどしてきた。今後は、インターネットなども活用するなど、情報提供のあり方を検討する。
3.監査の信頼には、専門性と独立性の保持が不可欠で、これらの向上が課題である。現在、あり方について検討を行っており、結果を踏まえ、的確に対応していく。