第2回定例会・一般質問(要旨)

中嶋 義雄 (公明党)

大学改革は避けられない課題
一層の取組を求める


都立大学の改革

 過日、文教委員会で都立大学を視察した。画像処理や新素材、乾燥に強い植物種の開発など、世界の最先端レベルの研究成果は実に興味深いものがあった。また、総長や各学部長との懇談の席で、全国的に、学生の理数系基礎学力の低下が実に深刻な事態にあるとの指摘があった。
 知事は所信表明で、入りやすく卒業しづらい大学をうたい上げているが、それと入学する学生の一定水準の学力確保は、なかなか両立が難しい問題であると考えられる。大学改革は避けて通ることはできない課題であり、新たな大学のモデルを東京から発信したいという、知事をはじめ大学当局の一層の取組を求めたい。その上で、提案がある。
 1.八王子へ移転して以来、学生数が減少し、需要が高いとはいえない夜間部を見直し、都心部の既存施設、とりわけ都庁の会議室やホールなどを活用した、社会人向けの大学院の設置を検討すべきだ。国立でもなく、私立でもない、自治体立の大学の特性を生かし、本格的な高等教育の機会を市民に提供することは、需要の高い事業であるといえる。都の見解は。
 2.法改正により、国立大学は大学運営諮問会議の設置が義務付けられた。これを参考にし、都立大学特有の外部意見を取り込むシステムを構築すべき。現在の取組を伺う。

都立大学事務局長 1.大学改革の取組の中で、夜間教育の重点を大学院に移し、都心部キャンパスでの社会人向け大学院の開設について検討を行っている。提案の内容は、大学改革を進める上で大変重要なことと考えており、都庁舎を含め既存施設の活用も、関係各局と相談しながら検討していく。
 2.昨年度には都市研究所において、外部の有識者の意見を聴取する制度を創設した。指摘のシステムは、大学改革の重要な課題と認識しており、その仕組みの具体化に向け、現在検討を進めている。

都立病弱養護学校高等部設置

 かねてよりわが党は、都立の養護学校在席の病弱な児童生徒の保護者から、病弱養護学校への高等部設置を求める陳情を受けている。病弱とは、ぜんそく、ネフローゼ、慢性腎炎、身体虚弱、心身症などの病を持ち、医療規制や生活規制が必要な児童生徒を指す。都では、病弱養護学校への高等部設置には消極的である。それぞれ障害別の養護学校があり、ほぼ一〇〇%高等部進学が保障されているのにもかかわらず、病弱児に対する高等部がない現状は理解しがたいとの訴えがある。
 教育委員会で、丁寧に対応をしてこられたことはよく理解しているが、まず目前に高校進学を控えた中学三年生への個別のきめ細かな対応を求めるとともに、高等部設置の検討を含めて、病弱教育体制全般の点検、見直し、再整備の作業に当たるべきである。

教育長 病院内教室の増加や訪問教育の拡充などにより、病弱養護学校と肢体不自由養護学校の役割分担が不明瞭となったため、病弱教育全体のあり方の検討をはじめた。その中で、高等部設置についても、他県の実施内容や対象者の見込数などを十分調査し、研究していく。また、今年度の中学部卒業予定者については、本人や保護者に対し、きめ細かい進路相談を行う。

情報化

 わが党は、都庁のコンピューター化の推進とセキュリティーの問題を再三取り上げてきた。知事が本格的に電子都庁を目指すのであれば、通信情報技術の確保は不可欠である。
 1.IT化推進に当たり、最新の情報通信技術の安全性についてどのように認識し、いかに評価しているのか。不正アクセスを防止し、通信の安全性を保つために、どのような技術を導入するのか。
 2.IT化の推進により、都民にどのような利便性の向上がもたらされるのか、具体的に伺う。
 3.国は平成十三年度から、すべての自治体を結ぶ行政ネットワークを構築したが、都の行政に一体いかなる効果をもたらすのか。また、都の情報化基盤整備が間に合うのか、報告を求める。

知事 2.行政と都民との双方向の情報交換が活発化され、情報提供を通して都政の透明性が格段に高まるなど、多くの分野で行政サービスの向上が図られるものと考える。また、色々な建言をいただき、それを踏まえ都政を合理化していく大きなよすがにもなる。できるだけ早く実現することで、行政の合理化、能率化を図りたい。

総務局長 1.情報通信の安全性を確保することが最も重要な課題であると認識している。既に、民間企業の電子商取引では実用化され、国においても、電子署名法の成立に伴い、認証機関の設立が予定されている。都も、これらの最新技術を適用し、安全性の確保に努めていく。
 3.電子公文書交換を目的とした、国と全地方公共団体を相互に接続する情報通信基盤で、行政事務の効率化、迅速化や重複投資の抑制効果などが期待されている。都としても対応できるよう、国とのネットワーク接続のための整備を進めていく。

高次脳機能障害者対策

 1.公明党の主張により、都が全国初で行った実態調査の最終報告の内容を報告すべきだ。また、今後の課題についての認識を伺う。
 2.高次脳機能障害のリハビリテーションに対応できる医療機関が絶対的に不足している。今後、障害特性に応じた新たなリハビリシステムを構築すべきだが。見解は。
 3.小規模作業所等のより一層の利用促進を図るとともに、全国に先駆けて行った実態調査の結果をもとに、高次脳機能障害に対する施策の創設、充実を国に強く働きかけていくべきだが、都の見解は。

衛生局長 1.高次脳機能障害は診察の場面より日常生活の場面で障害があらわれやすいこと、福祉サービスの利用状況も低く、障害年金も受けていないなど経済的な問題を抱えていること、専門的なリハビリテーションを十分受けていないことなどの実態が明らかになった。今後、日常生活場面を考慮した診断技法の確立、各障害に応じたリハビリテーションの開発や福祉サービスの提供が必要。
 2.新たに、医師、作業療法士等で構成する高次脳機能障害者リハビリテーション調査研究会を設置し、専門的な認知リハビリテーションについて調査研究を行い、高次脳機能障害者に対する適切なリハビリテーションの提供を図る。

福祉局長 3.今後とも区市町村と連携して、これらの方の受け入れを促進していく。また、国に対して、引き続き強く要求していく。

小田急線連続立体化

 事業の早期達成こそが強く求められている。特に下北沢周辺に関していえば、駅周辺まちづくり構想の策定と、その前提となる構造形式の決定が重要。小田急線連続立体化事業の早期達成への取組は。

東京都技監 都、区及び鉄道事業者から成る検討会で、意見交換をはじめている。今後とも、地元区と連携を図り、まちづくりの具体化を推進、促進し、早期事業化に向けて取り組む。


ホームページへ戻る 前のページへ戻る