第2回定例会・一般質問(要旨)

田代ひろし(自民党)

がん検診に取り組むべき
教科書採択は教育委員会で


がん検診

 1.肺がんの死亡率は、イギリス等では、減少傾向が認められはじめた。しかし、日本では依然第一位である。この原因は、肺がん検診のあり方によるものである。
 がん検診による肺がんの発見率は、年代が高くなるごとに飛躍的に伸びている。肺がん検診の今後の方向性は、現在の老人保健法の対象年齢を四〇歳から六〇歳に変更することが、経費の点や発見有効率の点から見ても望ましい。ただし、六〇歳以下の人でも、一日に吸うたばこの本数×喫煙年数=四〇〇以上の人は、任意で受診ができる制度を残すべきである。たん、せきなどの症状のある人には、積極的にCTスキャンによる検査を導入し、早期の肺がんの発見に努めるべきである。
 現在、知事が関心を持って取り組んでいるディーゼルエンジンの規制を含む大気汚染問題の解決は、肺がんの発生予防に多大な効果がある。そこで、ディーゼル車対策は、都民が直面している健康被害対策でもあるという点をもっと強調すべきと思う。決意を伺う。
 2.肺がん検診を中心としたがん検診の今後のあり方、取組を伺う。

知事 1.大気汚染による都民の深刻な健康被害を未然に防ぐことが何よりも優先すべき課題と考え、ディーゼル車対策に全力で取り組み、排気ガス規制の前倒しに向けた大きな流れを作り出してきた。肺がんの死亡率は、千葉県、東京都が並んで全国でも非常に高位を占めており、看過できない問題だ。今後とも、国や関係業界を動かして、取り組んでいきたい。

衛生局長 2.がんは、都民の死因の第一位を占めており、その対策としては、生活習慣の改善による予防と、検診による早期発見が重要である。今後とも、がん検診に従事する人材の養成や適切な情報提供を行うなど、区市町村への支援に積極的に努めていく。

教科書採択

 1.教科書の現状、とりわけ歴史教科書の内容は、いろいろと問題を含んでいることが指摘されている。わが国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てるという学習指導要領の目標を達成するには、ほど遠いのが実情である。
 特別区では、本年度から教科書採択の権限が東京都教育委員会から移管されるのに伴い、採択の手続を定めた要綱または要領を、中野区を除く全区で制定した。
 各区の定めた要綱・要領を細かく調査をしてみたところ、かなりの区で学校研究会などの名称のもとに、現場の教師に教科書採択の権限を与える学校票方式が温存されている実態が明らかになってきた。教科書の採択権は、教育委員会にあることが定められている。ところが、二十三区では、学校の投票によって教科書の採択を決めるというあしき慣行が続いてきた。事実上の学校票方式を全廃するよう各区に強力に指導すべきである。
 また、教育委員の下部組織が、教科書採択のための参考資料を作成することを超えて、採択そのものを行うような要綱が幾つかの区で見受けられる。教育委員会の附属機関である調査委員会などが、教科書調査の範囲を超えて、採択すべき教科書を一種類または数種類に絞って教育委員会に答申することが、絞り込みといわれる問題である。教育委員会の決定に先立って、採択すべき教科書を限定することは、教育委員会の職務権限を侵害する疑いが強く、教科書の採択権を実質的に教育委員会の附属機関が握ってしまうことになる。この絞り込み制度を正当化するために、決まって持ち出される言い方がある。素人の五人の教育委員が、何百冊もの教科書を渡されても、決めようがないではないかという反論である。しかし、下部組織が、すべての検定済み教科書について、学習指導要領の目標などを基準にしたコメントを書いて答申し、教育委員はそれを読んで、必要な場合には教科書の実物を手にとって確かめつつ、適当と信じる教科書を採択すればよい。下部組織からの答申の文章を読んでも、適切な教科書を決められないという、判断力のない教育委員が選ばれているとは思えない。  教育委員会は、教科書採択という実質的な作業を行う側面を持つわけだから、このことに意欲的に取り組む教育委員を選任すべきであると考えるが、見解を伺う。
 2.教科書の検定は毎年二月には終了するが、一般向けの展示、公開は六月末からというのが従来の方法である。この公開を検定終了直後より直ちに行うように改めるべきと考える。見解を伺う。
知事 1.教育委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関しても総合的な高い見識を有する方々を、区市町村長が議会の同意を得て任命するものである。教育委員会の職務権限の中には教科書採択事務も含まれており、教育委員は、公正な立場に立ち、教育について大局的な判断をなし得る広い見識を有する人、真の市民の代表たり得る人を任命することが、好ましいと思う。
 今後、教育庁の制度も変わるが、新しい体制の中で、、教科書を採択する権限は、あくまで区市町村の教育委員会にあるということを周知徹底して、これを実現するということが、大きな業務の一つと心得ている。

教育長 2.教科書展示会は、毎年六月一日から七月三一日までの間で、文部大臣が告示する時期に都道府県教育委員会が開催するよう、教科書の発行に関する臨時措置法施行規則により定められている。教科書展示会が都民や学校関係者に広く活用され、その役割が十分果たせるよう、都教育委員会はこれまでも文部省に対し、開催時期を早めるよう要望してきた。特に来年度は、学習指導要領の改訂に伴い、小中学校教科書の同時採択の年度でもあり、文部省に対し、強く要望していく。

公立小・中学校の式典

 1.国立市立第五小学校では、教職員の一部が、勤務時間内に国旗・国歌反対のビラを保護者に配布したり、校門に張り出した。これらの行為は、教育公務員として、法令に違反することは明白である。任命権者である東京都教育委員会は、教育公務員に対する地域社会の信頼を取り戻すため、厳格な処分を行うべきである。
 国立市立第二小学校の卒業式の直後に、児童約三〇名が、校長に国旗を下ろさせ、土下座を迫った問題では、式直前に六年生の担任教員が、卒業生全員を集めて職員会議の内容を漏らし、校長への反発行動をあおる指導を行っていたことが、市教育委員会の中間報告からも明らかになった。この行為も、法令違反に当たるのではないか。あわせて都の見解を伺う。
 2.国立市立第五・第二小学校の問題は、卒業式以来三か月を経過しているが、いまだにその処分が行われていない。都の対処に遅れがあるのではないか。
 3.勤務時間内に給与を受けながら組合業務に従事できる時間内組合活動、いわゆるながら条例により、教職員は勤務時間内に給与を減額されることなく、職員団体のために活動できる。給与をもらいながら組合活動をしている都全体の教職員の給与の総額は膨大なものになると思われるが、都の財政が危機的な状況にある昨今、ながら条例の見直しも必要と考えるが。

教育長 1.都教育委員会は、国立市教育委員会から服務事故報告を受け、事実関係の調査をしている。その結果、教職員に法令違反等に該当する事実があれば、任命権者として厳正に対処する。
 2.都教育委員会は、国立市立第五小学校については五月末、国立第二小学校については六月末に、市教育委員会から服務事故報告を受け、鋭意調査検討を行っており、早期に結論を出す考えである。
 3.都教育委員会は、学校職員が勤務時間中に給与を受けながら行うことのできる職員団体活動の範囲を、具体的に定めている。勤務時間内の職員団体活動は、教育活動や学校運営に支障のない範囲でのみ認められるべきものであり、学校職員の勤務の実態を踏まえ、そのあり方について検討を進め、範囲の見直しを図っていく。


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