第2回定例会・一般質問(要旨)

前沢 延浩 (日本共産党)

新たな視点で多摩の振興を
障害者の介護医療に助成図れ


多摩振興

 1.急速に進む少子高齢化、都市化の進展など、社会経済の急激な変化のもとで、二十一世紀の多摩振興をどのように進めるかが課題となっている。これまで多摩各市町村は、大都市東京を支える役割を果たすために、厳しい財政力のもと、各地域の特性を生かしながら、遅れた社会基盤整備の確立や社会保障制度の確立に全力を挙げてきた。東京都も、多摩格差是正八課題の設定や市町村交付金制度など、市町村の努力を支援する取組を行ってきた。二十一世紀を前に、今、都政に求められているのは、少子高齢化など新たな視点に立った、多摩支援の仕組みを確立することだ。ところが、都がこの五月に発表した「多摩の現状分析報告書」では、「三多摩格差八課題」はかなりの課題で解消されたとして、今後は、多摩と区部との比較でとらえず、独自性や個性を生かした振興を図ることを明らかにした。しかし、少子高齢化に伴う課題、公共交通の整備などが、新たな区部との格差となりつつある。このようなときに、格差是正を棚上げするなど、とんでもない。格差是正を都の責務として改めて位置付けることを求める。
 2.市町村の独自性をいうのであれば、ゾーンごとの地域特性に合わせた格差是正の課題を設定することこそ急ぐべきではないか。
 3.市町村調整交付金や復興交付金などを、市町村の要望にこたえて抜本的拡充することは最小限の責務だ。切り下げや、廃止など決してしてはならないと考えるが。
 4.多摩地域は財政力が厳しいため、介護保険の対応などが立ち遅れている。保険料、利用料の軽減やデイケアサービスセンターの整備など、やりたくてもやれないことが山積みだ。しかも、多摩の場合は高齢化が区部より早く進んでおり、急速に進行する少子高齢化に対応する社会福祉支援に対する強力な仕組みが必要だ。
 5.社会基盤整備の立ち後れについてだが、とりわけ生活道路や公園、公共交通網の整備が目立つ。区部は縦横に鉄道が走っているが、多摩地域は武蔵野線を除くと基本的に二十三区に向かう線ばかりだ。いたずらに住環境を破壊する幹線道路を押し付けるのではなく、多摩住民が求めている生活密着型事業にこそ、優先して予算の配分を行うことが多摩の本当の振興に役立つと考えるが。
 6.自治体財政の困難の大本にある三割自治の解消も避けられない課題である。また、財源の裏付けのない地方分権も市町村財政を圧迫する要因となっている。知事は所信表明で新しい税制について発言された。国の厚い壁を何とかこじ開け、大幅な税源移譲を実現させるため、全力を挙げるべき。

知事 6.地方主権の時代とはいえ、そのための法律は一応はできたが、肝心な税財源の分与は中長期の問題と棚上げされてしまった。こういう状況で、やはり自治体は自治体なりの苦労、工夫というものをしなくてはいけない。都議会とも協力しながら、都独自の税源を確保するべく都税調で審議していただき、これを有効に運用し、他の自治体とも連携を図りながら、国に実現を迫っていきたい。

総務局長 1.多摩格差は、かなりの部分で解消したと認識している。今後は、格差是正の観点からの対応ではなく、社会経済状況の変化等により生じた新たな行政課題も含め、多摩振興に取り組んでいく。
 2.今後の多摩振興を効果的に推進するため、地域の個性を生かした「多摩の将来像」を今年度策定する。その中では、東京及び東京圏における多摩の位置付けを明らかにし、自然環境や産業など多様な側面から地域像を示していく。
 3.都はこれまで、その時々の状況などを踏まえ、市町村調整交付金を通じて財政支援に努め、多摩振興に一定の役割を果たしてきた。今後、市町村の行財政運営を考慮しながら、適切に対処していく。

福祉局長 4.少子高齢化への対応は、東京全体の課題だと認識している。都は、様々な施策を展開しているが、今年度は、福祉改革推進事業及び高齢者いきいき事業等を創設した。今後も、区市町村と連携しながら取組を進めていく。

財務局長 5.地元のニーズを踏まえ、多摩南北方向の道路整備や多摩都市モノレールの整備などを進め、交通利便の向上を図ってきた。今後も、厳しい財政状況を踏まえつつ、都市基盤整備を着実に進めていくことが、多摩地域振興に役立つと考えている。

障害者の介護保険

 1.一日も途切れることなく続く介護の苦労から、少しでも解放されるかもしれないと、介護保険に期待した障害者と家族も少なくなかった。しかし、介護保険実施から三か月が経ち、その期待は見事に裏切られた。サービスが減り、負担が増えた。これは手厚い介護を必要とする重度障害者にとって大問題だ。介護保険で障害者の介護サービスが逆に後退し、利用料負担が増え、家族の介護の負担は重くなる、こんなことをほうっておいてよいはずがないと思うが。
 2.障害者医療費助成により無料だった医療系サービスが、介護保険に移行したために一割負担になった。このことは、障害者の方々のとりわけ重い負担になっている。介護保険制度は、ホームヘルプサービスについて高齢者の多くがこれまで無料で利用していたことから、利用料一割の負担を三%に軽減する特別対策がとられている。それならば、障害者の医療系サービスも多くの人がこれまで負担が無料であり、利用料軽減の特別対策をとるのが、むしろ当然である。都としても低所得の障害者に対し、利用料の助成を行うよう求めるが。
 3.介護保険のもとで苦しむ障害者の介護・福祉の実態を、まず、ありのままにつかむことが出発点である。障害者のうち、介護保険対象者は何人か、障害認定に対する要介護認定の状況はどうか、介護保険以前のサービスがどれくらいできているのか、医療系サービスと介護サービスの利用料、自己負担はどうかなどの調査を、都は区市町村と協力して早急に行うべきではないか。

知事 1.新しいシステムがスタートしたばかりで、当事者としては心外なレアケースも間々あると思う。しかし、それは当然できるだけ早く淘汰されなくてはならない。高齢障害者が障害特性によって介護保険で定められた水準以上のサービスが必要と認められる場合には、区市町村は障害者施策の分野から必要なサービスを提供することができるとしている。したがって、区市町村においては適切な運用を図られるべきで、また、図られなくてはならないと思うし、そういう努力が続けられていると認識している。

福祉局長 2.介護保険制度は、公平の観点から、費用の一割負担の仕組みとなっているが、ホームヘルプサービスについては、三%の負担に軽減する特別対策がとられているなど、低所得者に対し配慮がされていると考えている。
 3.介護保険制度の円滑・安定的運営のため、区市町村は、被保険者の状況等について都に介護保険事業状況報告を行うことになっている。都としては、これをもとに、必要に応じ、区市町村等から、障害者の介護保険にかかる情報収集に努めているところである。


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