委員長 松村友昭(日本共産党)
平成一〇年度東京都公営企業各会計決算の認定について、審査の経過並びに結果の概要をご報告申し上げます。本委員会は、昨年九月二二日に設置されて以来、一五回にわたり、公営企業各会計決算の審査を精力的に行ってまいりました。まず、会計別営業収支の状況について申し上げます。
公営企業十一会計のうち、病院、羽田沖埋立事業、電気事業、水道事業、工業用水道事業及び下水道事業の六会計は合計五七八億余円の黒字となっておりますが、中央卸売市場、埋立事業、臨海副都心開発事業、交通事業、高速電車事業の五会計は合計五三七億余円の純損失となり、合計四一億余円の純利益が生じました。
次に、累積利益剰余金及び累積欠損金について申し上げます。
累積利益剰余金があるのは、病院、中央卸売市場、埋立事業、羽田沖埋立事業、交通事業、電気事業、水道事業、下水道事業の八会計で、合計四七三八億余円となっておりますが、臨海副都心開発事業、高速電車事業、工業用水道事業の三会計に合計で九四六一億余円の累積欠損金が生じており、十一会計全体では、四七二二億余円の累積欠損金が生じております。
このような状況を踏まえ、健全な企業経営と都民サービスの維持向上の観点から質疑が行われました。
次に、各会計ごとの質疑及び意見開陳において、取り上げられました主な問題点と指摘された事項の概要をご報告申し上げます。
都立病院の役割に関しては、高度専門医療、行政対応が必要な医療の提供を基本としつつ、総合的診療機能を地域医療に活用することの重要性が論議され、紹介予約制のあり方、地域医療機関との連携について質疑が行われました。
また、多摩地域における周産期医療供給体制の充実、新生児用ドクターカー増配置の必要性等について質疑・要望が行われました。
医薬分業に関して、院外処方箋発行率の向上や入院患者に対する服薬指導の徹底が論議され、薬の副作用情報の周知徹底、向精神薬等の薬剤管理の適正化、感染性医療廃棄物処分についての確認の徹底などが要望されました。
病院経営に関しては、自己収支比率の向上及び不採算部門の運営等公立病院の責務を果たすことの重要性、院長への権限委譲の推進、薬品・医療機器購入や民間業務委託のあり方が論議されました。
さらに、健康プラザにおける土地信託方式の現状と問題点について質疑が行われました。
平成一〇年度市場使用料改定案の根拠となった収支見通し及び収支実績がただされ、花き部等における計画取扱量と施設建設の関係、より効率的な施設整備の必要性などが論議されました。
多摩地域の市場整備に関して、東久留米市場の中央卸売市場化に当たっての課題や青果市場整備の新たな計画策定の必要性について質疑が行われました。
また、市場から発生する廃棄物の処理に関し、現状と再資源化の促進、事業者負担のあり方について質疑・要望が出されました。
会計運営に関して、臨海副都心開発事業会計に対する貸付金の現状とそのあり方、臨海部広域幹線交通基盤整備に対する開発者負担金のあり方が問われ、羽田沖埋立事業会計も含む三会計統合の可能性について質疑が行われました。
豊洲・晴海地区に関しては、防潮護岸整備について、調査内容、防災面からの整備の必要性、費用負担、工法等が論議され、開発整備計画の内容が問われました。
有明北地区の埋立に関しては、今日までの経緯、環境への配慮、都民へのPRの必要性等が論議されました。
臨海部広域幹線交通基盤整備に関して、総事業費と開発者負担のあり方、東京港臨海道路の目的及び期待される効果、ゆりかもめ豊洲延伸工事の進捗状況等について質疑が行われました。
また、災害時の広域的支援拠点としての有明の丘防災拠点の位置付け及び整備状況等が問われ、海上輸送基地及びアクセス道路の早期整備が要望されました。
臨海副都心開発基本計画に関しては、事業の進捗状況、進出企業及び土地賃借料の動向がただされ、今後の地価動向予測の妥当性、基本計画の見直しの必要性について論議が行われました。
ビル管理事業を行う第三セクター三社の経営に関しては、東京都及び金融機関により安定化対策として実施された支援策の内容とその効果が問われました。
さらに、臨海副都心への来訪者増加による経済波及効果及び税収効果が論議され、国際研究交流大学村の概要、整備の進捗状況及び敷地内に設定した地上権の内容等について質疑が行われました。
空港沖合展開事業の終了に伴う会計の廃止の検討及び剰余金の扱いに関して論議が行われました。
地下鉄大江戸線に関して、環状部工事の進捗状況及び工事費増加の要因、乗客数予測と累積欠損金の解消見込みなどが問われ、放射部の延伸、急行運転等の導入、同線新宿駅における乗換客の利便性の向上等が要望されました。
また、地下鉄のバリアフリー化に関して、エレベーター等の設置及び段差解消等の計画的推進、障害者に配慮した車内アナウンスや車内電光掲示板の充実が要望されました。
その他、電車事故等の際の鉄道事業者相互間の連絡体制の強化、乗客への迅速な案内について要望が出されました。
地下鉄大江戸線に関して、環状部工事の進捗状況及び工事費増加の要因、乗客数予測と累積欠損金の解消見込みなどが問われ、放射部の延伸、急行運転等の導入、同線新宿駅における乗換客の利便性の向上等が要望されました。
また、地下鉄のバリアフリー化に関して、エレベーター等の設置及び段差解消等の計画的推進、障害者に配慮した車内アナウンスや車内電光掲示板の充実が要望されました。
その他、電車事故等の際の鉄道事業者相互間の連絡体制の強化、乗客への迅速な案内について要望が出されました。
一層の効率的経営に努めるとともに、白丸発電所の建設を促進するよう要望がありました。
「安全でおいしい水」に関して、原水の水質状況、高度浄水施設の整備等が問われるるとともに、都民へのPRやアンケート調査の充実が要望として出されました。
また、安定的経営に関して、漏水防止対策と「おいしい水」の供給にかかる経費等について活発な質疑がなされ、工事コスト縮減の取組状況、基本水量制のあり方、金町浄水場に導入したPFIモデル事業の経済性、契約の透明性など、経営改善に向けた様々な論議が行われました。
安定給水に関しては、適正な水需給計画と節水型都市づくりの推進等について質疑が行われ、施設の改良・更新や延命化のための技術開発、多摩地区における広域的な施設整備の推進、広域停電や大地震に備えた災害対策及び危機管理体制の確立が論議されました。
その他、海外技術支援、職員の計画的採用、羽村取水堰投げ渡し堰の維持対策などについて、質疑・要望が述べられました。
経営改善計画に基づく事業を着実に推進し、より一層効率的な事業運営、財政の安定化に努めるよう要望が行われました。
区部下水道事業に関して、総合資金収支が当初見込み以上に改善された要因、料金値上げの効果、滞納率の推移が質疑され、企業債発行のあり方や借換制度改善に関する国要望等が論議されました。
施設・設備の老朽化対策に関しては、管渠再構築の進捗状況、再構築国庫補助金のあり方、耐用年数延長のための研究促進の必要性、耐震化の進捗状況等が活発に論議されました。
また、高度情報化社会への貢献及び財政への寄与の観点から、下水道管渠を利用した光ファイバーケーブル通信網の構築を一層推進するよう要望がありました。
高度処理及び合流改善事業に関しては、進捗状況、今後の事業優先順位、財源確保対策等が問われ、葛西処理場の高度処理・合流改善施設用地の暫定利用や完成後の地元開放が論議されました。
さらに、処理場からの放流水の水質環境基準達成のための取組等について質疑が行われました。
雨水対策に関しては、水循環マスタープランに基づく総合的水循環施策の確立、浸透貯留施設の整備状況がただされ、都市型洪水防止のための緊急重点雨水対策事業の実施が強く要望されました。
流域下水道事業に関しては、多摩川上流処理場における臭気対策、高度処理施設の整備方針や施設開放の取組状況、南多摩処理場における開放施設のバリアフリー化の現状や汚泥資源化の取組状況が問われ、流域下水管理費負担金縮減対策の推進や奥多摩町、檜原村の下水道整備に対する支援が要望されました。
続きまして、各会派の意見開陳の結論をご報告申し上げます。
まず、決算認定に反対が表明された会派について申し上げます。
日本共産党東京都議会議員団から、病院、中央卸売市場、埋立事業、臨海副都心開発事業、羽田沖埋立事業、高速電車事業、水道事業、下水道事業の八会計の決算認定に反対の表明がされました。その主な理由として、臨海副都心開発に象徴される大型開発や過大な施設整備計画に問題があること、地下鉄大江戸線建設工事費が当初計画を大幅に超過し採算性に問題があること、下水道料金値上げにより都民負担を強めたこと、都立病院において、民間委託推進等の経営効率優先の経営が拡大していることなどが上げられています。
次に、その他の会派の決算認定状況について申し上げます。
東京都議会自由民主党、都議会公明党、都議会民主党、都議会無所属クラブ、生活者ネットワーク都議団からは、十一会計すべてについて賛成が表明されました。
本委員会に付託されました十一会計の決算認定につきましては、反対のあった八会計については起立採決、三会計については簡易採決を行った結果、いずれも意見を付して、これを認定すべきものと決定いたしました。なお、起立採決により認定されました八会計につきましては、会議規則第六十七条第一項の規定に基づき、少数意見の留保がありましたので、あわせてご報告申し上げます。