無所属 藤川隆則
平成十一年度の一般会計決算が、わずかながら赤字幅を狭めてはいるものの、なお約九百億円もの赤字が見込まれている。財政再建に向けての第一歩は、職員一人ひとりの日常業務の中の無駄を省くことからはじまる。大きな施策の展開を図ることも大事だが、足元から見直すことが内部努力の最も肝要なことである。財政再建にかける知事の決意を伺う。
知事 就任以来、財政再建を都政最重要課題の一つと位置付け、給与削減をはじめとする内部努力など、かつてない厳しい取組を行ってきた。しかしながら、財政再建はまだ緒についたばかりであり、更なる財政構造改革が不可欠である。そのためには、ご指摘のとおり職員一人ひとりが危機意識を持ち、合理感覚を身につける必要がある。小さな努力がなくてはこの財政的なピンチは克服できないと考える。
1.かつての東京構想は、真の意味でのグランドデザインが提示されたことは一度もなかった。「東京構想二〇〇〇」は、グランドデザインとなり得るものでなければ策定する意味がないと思うが。
2.これまでの多摩地域におけるまちづくりは、自立した経済圏と発想の下に、二十三区型のまちづくりを進めてきたと思える。「東京構想二〇〇〇」を進めるに当たり、多摩地域の位置付けは、都民のための緑のスペースを確保することを第一義とし、その上で経済を含めた、住民のライフステージとしてのまちづくりを構築していかなければならないと考えるが。
知事 1.日本は今、時代の転換期にあり、新たな世紀を前にして、未来が見通せない混迷の中にある。このような時期にこそ、都政運営の根幹となる明確なビジョンにあえて据えてかかることが必要。グランドデザインとして、ビジョンを据えながら、タイムスパン一五年間でソフトもハードも完了でき、それがこれから五〇年通用するような設計図を講じて事に臨みたい。
2.完備された先端技術産業などが集積されており、大きく発展する可能性はあると思う。多摩は二十三区とのコントラストを相対的になしている。三多摩のこれからの発展を東京全体の中に組み入れていく必要があると考える。
1.現在、介護認定を受けている方々の状況はどのようになっているのか。また、在宅サービスと施設サービスの利用者数は、制度発足に当たっての想定と比べ、実際はどうなっているのか。
2.介護療養型施設の入所希望者は、増えることはあっても、決して減少することはないと考える。しかし、都の介護療養型施設の整備数は、平成十二年度整備目標の一万六五床の三分の一にとどまっている。この現況を、財政支援を行ってきた都としてどのように認識しているのか。
3.介護療養型医療施設の指定申請は、病院の自由な選択にゆだねらているため、それぞれの区市町村に、適正な形で施設があるかどうかが問題である。介護療養型医療施設が、特定の区市町村に偏在しないよう、都として適切な誘導策を講じることが重要だが、どのような対策を講じていくのか。
4.在宅サービスは、福祉系のサービスに比較し、介護保険に携わろうとする医療従事者が少ないと聞いている。こうした現状に都として、何らかの打開策を講じる必要があると考えるが所見を伺う。
高齢者施策推進室長 1.要介護認定を受けている方は、五月三一日現在、約一八万四八〇〇人。平成十二年度の在宅サービスの利用者は、約十二万九〇〇〇人と想定しているが、ケアプランの作成者数からみると、ほぼ見込みどおり。また、介護サービスについては、介護保険施設のうち、特別養護老人ホームと老人保健施設は、ほぼ目標どおり整備が進んでいる。
3.東京都介護保険事業支援計画では、区部・多摩部・島しょ部それぞれに介護療養型医療施設の目標数を定めた。介護療養型医療施設の指定数が不足している現状においては、参入促進を優先的に取り組むが、指定に当たっては、区市町村の意見を聞き対処していく。
衛生局長 2.療養型病床郡への転換整備補助事業を実施するとともに、介護療養型医療施設制度の周知徹底を図ってきた。しかし、介護報酬と診療報酬制度の体系の違い等から指定の申請に慎重になっている医療機関があるものと推測される。今後も、都は、介護療養型医療施設への転換に関する情報を提供するなど、医療機関に対する一層の働きかけを行っていく。
4.介護保険制度において、医療従事者が、一般家庭や福祉施設など、医療以外の場において、幅広い専門能力を発揮していくことが期待されている。このため、都は看護専門学校や保健科学大学において、介護保険制度に関する教育に力を入れるとともに、ナースプラザ等においても必要な基礎知識や実践力を養うための研修を実施している。今後も、積極的に取り組めるよう支援していく。
1.医療行政は、患者中心で考えなければならない。知事は国民の誰もが、医療行政の抜本的な体質改善を希求していると述べたが、東京都の知事として、国にいかなる政策を求めていく考えか。
2.「東京ER」の三都立病院設置方針については、わが会派として歓迎する。問題は、不足している救命救急医療を担当する医師及び医療スタッフの確保である。これについて、今度どのように取り組むつもりか、所見を伺う。
知事 1.日本の医療には、いろいろ問題があり、特に三つの大きな欠陥がある。その原因として、医療法や診療報酬制度の問題も大きいと思っている。医療法では、医療機関が自由に広告できないことや、硬直化した病床規制がある。診療報酬制度では、小児科などの診療の実態を反映した評価になっていないこと、出来高払いのため過剰診療となりやすいことなどの問題がある。このため、できるところから思い切って直し、全国に普遍している、病弊の告発を東京から行っていきたい。
衛生局長 2.救命救急センターを持つ都立三病院に「東京ER」を整備するに当たっては、医師や看護婦など、救急医療を支える人材の確保が重要であることは、指摘のとおり。そこで、今後、医師をはじめとする救急専門スタッフの育成や、臨床研修医制度の拡充などを図るとともに、現下の厳しい都財政にも配慮して、様々な創意工夫を図りながら、効率的な執行体制を確立していきたい。
「アジア大都市ネットワーク」の構築に向けた第一歩を踏み出すことについては、賛意を表すが、友好都市との関係も尊重すべきである。東京がアジアを代表するグローバルプレーヤーとして、世界の主要都市を相手に都市外交を展開する上からも、これまでの友好都市との関係を大切にすべきと考えるが、所見を伺う。
生活文化局長 東京が、国際社会で強い影響力を発揮し続けるためにも、姉妹都市を含む諸都市と交流を図ることは重要である。この点を踏まえ、実質的な交流・協力を推進してまいりたい。
先般施行された衆議院議員選挙の結果、東京都選出議員の顔ぶれが大きく変わった。改めて、七都県市選出の全衆議院議員に、首都移転反対議員の連盟の結成を働きかけるべき。
知事 首都圏は七都県市で共同して運営されている。その意味でも、この地域選出国会議員に国会の場で反対を主張してもらい、計画をつぶしていただきたい。今後も国会議員懇談会等の活動を通じ、移転反対活動を拡大していく。