(三宅島噴火災害等への対応)
三宅島は、最初の火山活動から五か月以上が経過しました。爆発的な噴火の可能性は低くなったものの、依然、有毒な火山ガスが多量に発生しており、島民全員が島外での退避生活を余儀なくされています。
九月中旬からは、保安要員が島へ上陸することさえ危険な状態が続いており、誠に残念ながら、退避生活が長引くことも覚悟しておく必要があると考えます。
東京都は、安全が確認できた際に、一日も早く帰島がかなうよう、可能な限りの対策を講じています。一〇月には、現地の災害対策本部を神津島に移動するとともに、専門家による「三宅島火山活動検討委員会」を設置しました。現地では、観測態勢と通信機能の確保、ライフラインの維持活動に力を尽くしております。
一方、新島、神津島などの地震活動は、地殻変動も含め、ほぼ収まったと言われております。本格的な復興に向け、復旧作業を急ピッチで進めております。
冬の到来を前に、生活支援のための応急措置や、道路・河川の復旧、産業振興などを実施するため、伊豆諸島の災害対策に必要な補正予算案を編成しました。
政府は、昨日、三宅島からの避難が長期化することも念頭に支援策を講じることを決定しており、東京都は、本日、全世帯を対象に被災者生活再建支援法を適用することにしました。今後、関係機関と連携しながら、同法に基づく支援金の支給手続きを早急に進めるとともに、就労対策や教育面での支援を強化してまいります。
この間、非常に多くの方々から心温まるご支援をいただいています。東京都などに寄せられた義援金については、昨日までに、三宅村、新島村、神津島村へ合わせて一四億円を配分しました。皆様のご厚情に対し、感謝申し上げます。
島の方々、とりわけ帰島を願いながら果たすことのできない三宅島の方々に、お見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い災害の終息と島の復興を願っております。島が安定を取り戻すまで、関係機関と連携を密にしながら、全力で支援を続けてまいります。皆さんには、直面する困難に決して負けることなく、この危機を乗り越えていただきたいと思います。
(都民の健康と安全の確保)
東京の大気は、他の大都市と比べ汚染が進んでおり、多くの都民の健康が蝕まれております。
大気汚染の元凶であるディーゼル車対策として、昨年より、ディーゼル車NO作戦を展開していますが、いよいよ本格的な規制に乗り出すことにしました。
九月には、大気汚染を増幅し、脱税の温床ともなっている粗悪な軽油を追放するため、「不正軽油撲滅作戦」を開始しました。悪質な小売業者の摘発はもちろんのこと、製造、流通の段階からメスを入れるべく、路上における抜取検査、販売元などへの追跡調査を行い、製造基地の発見に努めています。さらに、都内最大の事業者として、東京都発注の工事現場から不正軽油を排除します。
私は、作戦を成功させるため、ときに陣頭指揮を執りながら、東京都の総力を傾ける決意です。
今定例会には、自動車公害対策をはじめとする環境問題全般への取組を強化するため、制定以来三〇年以上が経過した公害防止条例の全面改正を提案しています。名称を「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に変更するとともに、数多くの新しい対策を講じております。
条例改正の中心となるディーゼル車規制は、全国で最も厳しいものとなります。東京都独自の排出ガスの基準を設定し、基準を満たさないディーゼル車に対して走行を禁止するとともに、大規模事業者には低公害車の導入を義務付けました。規制が遵守されるよう、自動車Gメンを新設し、検査・摘発にあたるほか、罰金刑など制裁をもって臨むことにしております。
このほか、温暖化やオゾン層の破壊が進む地球環境を守るため、二酸化炭素の削減やフロン規制の強化を重点的に推進いたします。さらに、トリクロロエチレンの適正管理など、有害化学物質対策に取り組んでまいります。
一連の対策は、拱手傍観している国に代わり環境を守る、画期的なものであると考えております。
環境問題は、継続的な取組を必要とする分野です。平成九年に策定した環境基本計画は、時代の変化に立ち後れており、全庁的な推進体制の再構築が必要なことから、早急に全面改正し、都民の健康と安全を守るために必要な、先駆的な施策を展開いたします。
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