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第4回定例会・代表質問(要旨)

 民主党   小林 正則


  都税調答申を武器に国の変革へ積極的な攻勢を

    十三年度予算
    東京都税制調査会答申
    公害防止条例の改正
    自然保護条例改正
    障害者福祉
    人権施策推進指針



十三年度予算

 〔1〕本年度の税収は、IT産業などの高い伸びに支えられ、予想外の好調さを見せている。回復当初は一部の先端企業に収益が集中し、すそ野にその収益が拡大するには、まだ時間を要すると考えられる。知事は、昨今の税収動向についてどのように認識しているのか伺う。
 〔2〕これまでの経験を踏まえ、今後の都財政を運営していく上での基本的な考え方を示せ。
 〔3〕五月、預金保険法が改正され、金融機関が破綻した場合、預金のうちの一、〇〇〇万円とその利息しか保証されない、いわゆるペイオフ解禁が決まった。新たな預金保険法では、地方公共団体の預金も一般預金者と同様の扱いとなる。一般会計と特別会計で年間二〇兆円ものお金が動く都にとって、保証額は無いに等しいと言える。都の公金は都民の税金が大半を占め、いわば都民共有の財産である。この貴重な財産を今後の厳しい金融環境の中でどう保全、管理していくかは重要な課題である。金融の自由化時代にふさわしい資金管理のあり方、とりわけペイオフ解禁にどのように対応するのか伺う。

知 事 〔1〕今後、好調な業種のすそ野がさらに広がり、税収が上向くことを期待しているが、先行きには十分に注意する必要がある。
 〔2〕社会経済環境が変化する中でも、都民ニーズに的確に応えた施策展開を行い得る、強靱で弾力的な財政体質の確立に常々意を払うことが肝要である。現下の都財政は依然として極めて厳しい状況にある上、今後、都債の償還費や退職手当の増大など財政の硬直化のさらなる進行が予想され、引き続き財政構造改革を一層強力に進める必要がある。

出納長 〔3〕預金者に対しても自己責任が強く求められるようになっている。公金の管理、運用についても自己責任原則に基づいた安全性の確保と運用の効率性の追求が重要な課題になってくる。こうした観点から、今まで以上に金融機関そのものの選択基準を明確にし、金融商品についても幅広く検討し、金融環境の変化に即した公金の管理、運用に万全を尽くしていく。


東京都税制調査会答申

 今回の答申は、地方分権推進のための税財政改革について、包括的、具体的、現実的な提案を盛り込んだ、画期的な答申である。
 〔1〕地方税財政制度改革は、国の中央集権型システムを自治分権型システムに転換していくための緊急の課題である。知事は、地方税財政改革をめぐる現下の状況についてどのように認識しているのか。
 〔2〕二十一世紀のキーワードは自治、分権である。自治体に活力がなければ国に活力が出るはずがない。今こそ国に積極的に攻勢をかけるべき。知事の決意を伺う。

知 事 〔1〕地方財政を立て直し、真の地方自治を実現するためには、一刻も早く税財政制度の改革を行い、大幅な税源移譲を行うことが不可欠である。
 〔2〕今回の答申は国と地方の税財政制度のあり方について、はじめて地方の立場から忌憚ない意見も吐露し具体的に示した画期的なもの。東京の財政を強化するためにも議会と相談しながら討論し、出来るものから実践していきたい。また、他の自治体と連携を取りながら、それぞれが個性を生かした案を実現することで、地方主権の時代にふさわしい税財政制度構築に向け全力で取り組んでいきたい。


公害防止条例の改正

 〔1〕気候変動枠組条約第六回締約国会議、いわゆるCOP6では、排出権取引や森林の取扱いなどに関する国際的な枠組みの形成が期待されていたが、森林による吸収量を過大に見積もった日本政府の姿勢は欧州連合と発展途上国の強い批判を浴び、合意の形成に至らなかった。知事は今回の日本政府の姿勢についてどう考えるか伺う。
 〔2〕今回の改正案は、次の世代に都市の健全な環境を継承することを目的の一つに挙げ、大量にエネルギーを消費する企業に温暖化対策計画書を提出させることとした。都はこの制度をどう活用し、推進しようとしているのか伺う。
 〔3〕深夜営業を行う店舗に過剰照明を使用する店がある。これはエネルギー使用の合理化の点で問題があるだけでなく、深夜のまぶしい光により地域の生活環境を乱す、光公害の点で二重の環境問題を引き起こしている。これらについても対策をとるべき。見解を伺う。

知 事 〔1〕環境問題が深刻な本質を露呈してきたことをそれぞれの個人、国家が考えて、これを防ぐ手だてを講じなくてはならない時期に来ているが、日本政府はいつも後手後手で、正確な文明論的な認識を欠いている。温室効果ガス排出量は日本が世界で四番目に多く、この状況を強く自覚し、わが国は省エネルギー対策を一層強力に進め自然エネルギーへの転換を図り、温室効果ガス削減目標の達成に向けて取り組むべきだと思う。

環境局長 〔2〕取組を実効性あるものとするため、計画書に盛り込むべき具体的対策などを示した指針を定めるとともに、計画書の内容や実施結果について、事業者自ら公表することを義務付ける。
 〔3〕今後、省エネルギー対策の推進について働きかけていく。


自然保護条例改正

 〔1〕ア都は四月から規則を改正し、屋上緑化指導を開始したが、これまでの実績と、今後一層推進していくために、住民等関係者との話合いも含めどのような取組を考えているのか伺う。イ都民や企業の理解と協力を得るには、まず都の関連施設の屋上緑化からはじめるべきである。議事堂の屋上を緑化することは、西新宿ビル群のヒートアイランド現象の緩和に効果があるだけでなく、都民へのPR効果が非常に大きいと考える。都議会議事堂の屋上緑化に、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
 〔2〕ア学校などの敷地を利用したビオトープネットワークづくりを検討せよ。イビオトープづくり推進に当たり、NPOなど都民との連携のあり方、その仕組みづくりをどのように進めているのか伺う。

環境局長 〔1〕ア緑化実績は四月から九月までで一〇九件、約一七、五〇〇g。今後一層の推進を図るため、建築設計業界の代表者等から成る推進会議を設置し、屋上等を緑化可能な構造にするよう理解を求め普及拡大を図っていく。
 〔2〕ア学校や公園は町の中にほぼ均等に配置されていることから、ビオトープネットワークづくりに非常に有効であり、緑の東京計画中間のまとめでも重要な施策として位置付けている。今後、積極的に取り組んでいく。イ都民やNPOなどが主体的にかかわることで自然への関心や理解を高めていくことが重要である。そのため、ビオトープづくりに関するマニュアルを作成し、区市町村と連携しながら、ビオトープの計画や設置など、様々な場面で都民が参加する仕組みを作っていく。
財務局長 〔1〕イ屋上緑化については、豊島病院などで既に実施しており、今後施工する高齢者専門病院や高等学校でも実施を予定している。都議会議事堂の屋上緑化は施設管理上検討すべき課題も多く、現状では困難。今後、大規模改修を計画する中で研究していく。なお、屋上緑化に限らず、広く公共施設の緑化に引き続き努めていく。


障害者福祉

 〔1〕知事に障害者施策の充実に向けた取組を期待するが見解を伺う。
 〔2〕心身障害者施設緊急整備三か年計画は、平成十三年度に六二か所、平成一五年度までに二〇〇か所の入所施設や通所施設を整備するとしている。入所施設待機者が常に一、〇〇〇人を超え、地域的な偏在も多く、地域住民の合意を得ることが難しい中、施設整備費や用地費の貸付けの補助割合の引上げなどに加え、こうした課題に適切に対応することで計画を着実に推進し、待機者の早期解消を実現すべきと考えるが、見解を伺う。
 〔3〕障害者が地域で安心して暮らしていけるように、生活寮やグループホームなどの居住の場の整備が重要。そのためには用地費や整備費の補助の新設だけでなく、家賃補助の充実や重度加算などにもきめ細かく対応していくことが求められる。重度障害者の受入れ可能な生活寮やグループホームを積極的に整備していくべきだが。
 〔4〕昨年度、区市町村障害者就労援助モデル事業が創設された。これは、障害者が作業所などでの就労から一般就労に移行できる仕組みをつくり、区市町村と連携しながら、拠点整備も含め、就労面と生活面の支援を一体的に提供していく事業である。このような就労援助事業の拡大など、障害者の就労を支援し、身近な地域での社会参加を進めるべきだが見解を伺う。
 〔5〕平成五年の障害者基本法制定により、精神障害者も身体や知的と同じ障害者として定義され、平成七年の法改正で精神障害者にも手帳の制度が創設された。精神障害者は、この様に他の障害者に遅れて法整備が図られたために、他の障害者との施策の格差が今だに残されている。格差是正に向け積極的に取り組むべき。知事は精神障害者施策の遅れをどのように認識し、今後取り組んでいくのか。
 〔6〕地方精神保健福祉審議会に、精神障害者社会復帰施設あり方検討会の中間のまとめが報告された。中間のまとめでは、社会復帰施設整備計画の策定を掲げ、グループホームや共同作業所などの社会復帰施設を新たに五六〇か所程度整備すべきとしているが、他の障害者が、緊急整備三か年計画として、財源的な試算も含めて具体的な計画が定められようとしているのに比べ、精神障害者への取組は遅れていると言わざるを得ない。中間のまとめの整備目標を踏まえた整備計画を早期に策定すべき。

知 事 〔1〕障害者福祉充実のためには、障害を持つ方々が必要なサービスを自分で選択し、地域の中で生きがいを持って生活できるようにしていくことが肝要である。そのためには、在宅生活と施設入所の両面にわたり、多様なサービスが十分に得られ、利用できる基盤を整備し、重い障害を持つ人でも安心して利用できる仕組みづくりを進めることが必要。多様な事業者の参入を促しながら区市町村と力を合わせ、福祉サービスの一層の充実を目指していきたい。
 〔5〕今後、より一層、精神障害者に対する福祉サービスの充実が必要であると認識している。現在、東京都保健医療計画等に基づき、精神保健福祉施策の充実に取り組んでおり、今後とも、国への提案も含め、精神障害者の自立と社会参加の実現に努めていきたい。

福祉局長 〔2〕待機者の早期解消は重要な課題。区市町村と連携し、地域住民の理解を得ながら地域的バランスにも配慮した施設整備を促進していく。現在、心身障害者施設緊急整備三か年計画策定に向けて検討しており、待機者の早期解消に向け、積極的に努めていく。
 〔3〕都は、独自に重度知的障害者生活寮や重度身体障害者グループホームの整備費や運営費の補助を行い、設置促進に努めている。今後とも、区市町村と力を合わせ、事業の積極的な展開を図っていく。
 〔4〕障害者の方々が地域の中で自立して生活し、積極的に社会参加していくために、一般就労の促進を図ることは重要。今後、モデル事業の成果を検証しながらより効果的な促進策の展開を図っていく。

衛生局長 〔6〕中間のまとめは、精神障害者の社会復帰に必要なサービス総量を試算し、その充足に向けた社会復帰施設整備の方向性を示したもの。来年秋を目途に、社会復帰施設の目的に応じた役割や施設間の連携方法等の検討を進め、最終報告をまとめていく予定。都としてはこれらを踏まえ、整備計画を策定しつつ推進していく。


人権施策推進指針

 〔1〕差別や人権侵害は、個々人の生活、社会の中に存在するものであり、この現実を具体的に変えていかない限り無くならない。女性や子ども、犯罪被害者などへの個
々の取組と同時に、従来の人権施策の手法や体制の枠組みを超えた人権問題を解決するための総合的な取組が必要となっている。これらの事業を責任を持って統括し、総合的に調整、推進する体制が必要である。所見を伺う。
 〔2〕人権救済制度のあり方については既に人権擁護推進審議会で検討が進められている。この指針にも、救済・保護、啓発・教育、支援・助成が盛り込まれている。今後、この指針に基づいた人権施策を推進するに当たり、都民やNPO、企業、差別や人権侵害を受けた当事者との協働をどのように進めていこうとしているのか伺う。

総務局長 〔1〕人権に関する問題は、女性や同和問題など多岐にわたり、解決に当たっての考え方も多様である。都はこれまで、それぞれ固有の経過と状況を踏まえ、公平性に配慮し主体的に施策を実施してきた。今後もこれまでの成果を踏まえ、各施策体系のもとで個別施策を推進していく。課題が複雑に絡み合ったり、これまでの施策や手法で対応できない問題には、救済・保護、啓発・教育、支援・助成の三つの観点から、総合的に人権施策を推進していく考えである。こうした考え方のもとに、全庁的な人権施策が推進できるよう、体制を整備していく。
 〔2〕人権問題の解決には、都民などの意見を幅広く聞き、共通の理解を得ながら施策を推進することが大切。このような認識のもとに民間と行政の適切な役割分担を図り、新しいパートナーシップを作っていく。どのような連携、協働ができるか具体的に検討していく。

 
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