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第4回定例会・代表質問(要旨)

 自民党    山崎 孝明


  中央防波堤内側区域に「平成の森」の創設を


    都政運営
    補正予算案編成
    十三年度予算編成
    都税制調査会答申
    震災対策
    行政改革
    公害防止条例の改正
    自動車公害対策
    都市づくりとヒートアイランド対策
    都市基盤整備
    首都圏の空港整備
    大江戸線
    築地市場
    IT関連産業拠点の整備
    商店街振興策
    多摩地域の中小企業振興
    がんばろう!東京福祉
    少子高齢化問題
    重症心身障害児施設
    集団給食施設の衛生管理対策
    住宅問題
    教育問題


都政運営

 知事が今回の所信表明において、引き続き財政構造改革を推進するとともに、東京の再生のため施策を厳選し、財源を重点的に投入することを明らかにしたことは、二十一世紀においても東京が首都としての役割を果たし続けるという決意であり、極めて重要な認識と評価するものだ。今後、都税収入に一定程度の伸びが期待出来そうだが、先ず首都東京の再生のためにも、真に必要な事業を選び、財政危機下にあっても必要な財源を長期的視点に立ってあらかじめ担保し、その事業を必ず行うという方針を直ちに打ち立てるべきと考えるが、所見を伺う。

知 事 今年度の都税収入は、相当程度の増加が見込まれているが、隠れ借金や膨大な都債の償還などを考え合わせると、都財政の危機的状況はまだまだ続き、前途多難である。しかし、必要な施策については、重点的に投入していかなくてはならない。こうした視点から、財政再建を図りつつ重点的に取り組む事業を、現在策定中の「東京構想」の推進プランで具体的に明らかにし、推進していく。


補正予算案編成

 〔1〕わが党は、先の第三回定例会において、三宅島噴火、新島・神津島等の地震に関する災害対策のために、都としても可能な限り速やかに補正予算を編成すべきである旨を知事に対して要望した。そこで、今回の補正予算案編成に対し、知事の基本的な考え方について所見を伺う。
 〔2〕今回の補正予算案は当面の緊急に必要な経費を計上したものであるが、今後の被害状況や避難生活の長期化に対しても、弾力的に対応し、最大限の配慮をすべきと考える。今後、災害関連経費の増大に対し、どのように対応していくのか。所見を伺う。
 〔3〕国は景気の自律的回復の確立と、多様な知恵の時代にふさわしい未来型社会への出発の二つを目的として補正予算案をこの臨時国会で可決成立させた。その内容は、IT革命の飛躍的推進などの分野に重点が置かれている。都としても、景気の持続的回復は依然として緊急の課題であり、また、遅れている東京の社会資本整備の推進を図っていくべきと考える。今後、国の補正予算に合わせ、都税収入の増収分をも活用し、景気浮揚にも役立てる補正予算を年度内に編成すべきだが、見解を伺う。

知 事 〔1〕三宅島をはじめとする伊豆諸島の災害関連の対策について、全力で取り組んでいるが、その一環として、迅速に災害対策を講ずる観点から、生活支援のための応急措置などの緊急に必要となる経費について、所要の財源を確保し、補正予算を編成した。
 〔2〕災害状況等の動向を踏まえながら、必要な財政措置について適切に対応していく。
 〔3〕今回の国の補正予算の内容を踏まえ、今後、財源の確保を図りながら、最終補正予算において適切に対応していく。


十三年度予算編成

 〔1〕十三年度は銀行業等に対する外形標準課税の導入により、増収が見込まれており、今後の都財政にとっては明るい材料も出ている。来年度の予算編成における課題について、知事は「隠れた借金もたくさんあり、都財政は依然として厳しい」と言っている。知事がいう「隠れた借金」とは具体的に何を指すのか。
 〔2〕来年度予算編成では、都財政再建に向けた厳しい努力を継続しつつも、知事として、ひいては、政治家石原慎太郎としてのカラーを大胆に打ち出すべきだ。

知 事 〔1〕一般会計において、都債残高が七兆円を超え、一〇年前の四倍を超える水準となっているほかに、これまでの財政運営において緊急避難的な措置として行わざるを得なかった減債基金の積立金の不足額など、今後復元や返却しなければならないものが、現在明らかになったものだけで八、〇〇〇億円近くに達している。このことを「隠れ借金」と言った。
 〔2〕東京を再生するため、首都機能の充実、新しい産業の創出、福祉・医療の改革などについては施策を厳選し、将来の財政負担を見通すことで、財政再建を成し遂げながら、実効を図るべく全力で取り組んでいく。


都税制調査会答申

 〔1〕東京都税制調査会の答申は、国・地方を通じた税制の将来像を、地方の立場からはじめて具体的に示した答申である。この答申をどう評価し、今後、どのように国に実現を迫っていくのか。
 〔2〕答申は、東京都にふさわしい法定外税として具体的に四つの課税案を提言しているが、この課税案をどう受け止め、どう扱っていくつもりか。
 〔3〕都有財産の有効活用について、「財産利活用総合計画」を発表したが、この計画を策定した基本的な考え方は何か。また、今後の財産活用にどのような方策で臨むのか伺う。

知 事 〔1〕真の地方自治を確立する上で極めて有意義な答申であると評価している。今後、全国自治体とも連携を図りながら、時代にふさわしい税財政制度の構築に向け、全力で取り組んでいく。
 〔2〕都の施策の実現に有効な提言であると受け止め、あらゆる角度から十分検討し、必要性、緊急性、実現可能性等を総合的に判断していきたい。
 〔3〕この計画は、土地や建物を重要な経営資源と位置付け、その積極的活用を図ることにより、財政構造改革を財産の面から推進するための総合的指針である。今後は、未利用地の処分を促進し、財産の一層の活用を図っていく。


震災対策

 〔1〕本年七月一五日の新島地震で、新島本村と若郷を結ぶ都道二二一号は大崩落により通行できない。仮設道路の完成はいつ頃か。
 〔2〕知事はどのような理念の下で、東京都震災予防条例の全面改正を行うのか、所見を伺う。
 〔3〕都民、事業者、行政の責務と役割を明確にし、連携を図っていくとしているが、この中で、行政の責務として、どのような点を強化していくのか。
 〔4〕今回の条例改正では、区市町村の役割をどう考えているのか。

知 事 〔2〕「自らの生命は自らが守る」という自助の考えと、「自分たちのまちは自分たちが守る」という共助のみならず、公助の役割を果たす都及び区市町村が一体となって、応急及び復興対策までも視野に入れた総合的な震災対策を推進していく。

建設局長 〔1〕仮設道路は、工事の大半が完成し、開通時期は十二月二五日を予定している。

総務局長 〔3〕救急・救助の活動拠点となる空地等の事前指定や利用計画の策定、帰宅困難者対策の推進、復興体制・計画の策定などを新たに規定し、震災対策の一層の強化に努めていく。
 〔4〕災害対策基本法では、被災地域を直接管轄する区市町村に第一義的責任と役割を定めている。新しい条例では、こうした役割を重視し、都は、区市町村が行う地域における相互支援ネットワークづくりなどに対し支援・協力するとともに、災害時における帰宅困難者対策など、震災対策全般について区市町村と連携・協力を図り、施策の総合的な推進に努めていく。


行政改革

 〔1〕「都庁改革アクションプラン」の「最終のまとめ」では、中長期的な改革についてどこまで触れるつもりなのか伺う。
 〔2〕中長期的な改革を行うためには、東京の発展と都民生活の向上を自らの判断と責任で行っていくという「地方分権」の視点も不可欠と考えるが、所見は。
 〔3〕「監理団体改革実施計画│管理団体総点検結果│」では、団体の統廃合をどのような考えに基づき実施するのか。
 〔4〕監理団体改革実施計画において、団体別の経営改善計画を明らかにした意義は何か。
 〔5〕監理団体改革実施計画を今後どのように進めていくのか。
 〔6〕今や男女平等参画をめぐる社会状況は、新たな段階を迎えている。このような中、実効ある取組が求められており、本庁と第一線が連携して、行政機関として施策に取り組む必要がある。監理団体総点検で東京都女性財団事業を直営化すると判断した理由は何か。
 〔7〕東京都女性財団の直営化を円滑に実施するためには、どのように対処していくのか。

知 事 〔5〕団体が自らの責任で改革意識を持って改善を図らなければならない。そのため、都としても、監理団体改革をしっかりと進行管理する組織を早急に立ち上げ、フォローアップしていく。

総務局長 〔1〕最終のまとめでは、東京圏における人々の活動範囲の広がりや都市問題の拡大など改革が求められる必要性を述べ、自治制度改革に向けての基本的な考え方・方向性を示す予定である。
 〔2〕分権型社会における都の果たすべき役割、都民や企業の参加意欲の高まりなどを踏まえ、「地方主権の確立」及び「都民・企業との協働」の視点も加えていきたい。
 〔3〕団体そのものの必要性や活用のメリットを検証する等、団体の設立趣旨までさかのぼった見直しを行った。この結果、都民サービスの向上が期待できるものは活用し、必要性の薄れたものなどは事業を統合する。また、より効率的に都民サービスを図れるものは、統廃合することとした。
 〔4〕これまでの団体改革は都側の考えが先行し、団体自らの責任と取組方策が具体的に示されてこなかったため、表面的な改革にとどまっていた。今回の改革では、都と団体が一体となって改革を実施し、進行管理することとした。

生活文化局長 〔6〕監理団体総点検の見直しの中で、自立的な存続が難しく、直営化の判断をした。
 〔7〕東京都男女平等参画基本条例に基づく行動計画を策定し、関係部局と連携して重要課題に取り組んでいく。男女平等参画の新たな段階に対応するためには、直営化により、行政として施策を推進していくことが必要である。


公害防止条例の改正

 〔1〕今の東京の環境は、まさしく危機的な状況にある。今回の改正が何を目指したものなのか、改正の基本理念と改正条例案の主な内容について伺う。
 〔2〕東京の環境をよみがえらせるために、公害規制の強化に加え、環境産業の発展を図ることや、まちづくりや事業活動での環境配慮を進めることなど、総合的な取組を進めなければならない。東京の環境再生に向け、各局が連携するプロジェクトを組むなど、全庁を挙げた取組を推進すべきと考えるが所見を伺う。

環境局長 〔1〕都民の健康と安全な生活環境の確保を図り、良好な環境を将来の都民に継承していくことを基本に改めることとした。改正の主な内容は、ディーゼル車規制などの自動車公害対策、有害化学物質対策、事業者に対する環境負荷低減の措置などの新たな仕組みを盛り込んでいる。
 〔2〕平成九年策定の東京都環境基本計画の全面改正に合わせ、全庁的な環境施策の推進体制を整備し、総合的な取組を展開する。


自動車公害対策

 〔1〕自動車排出ガスによる健康被害を無くすために、ディーゼル車規制の実施が重要な課題である。しかし、都条例による規制が適用されると、事業者はより低公害の車への買い換えか、DPFの取付けが必要になる。トラックやバスの事業者だけに多大な負担をかけることは公平ではない。先行的な装着を促進するため、事業者に対し、積極的な経済的支援を行うべきではないか。
 〔2〕規制の実効性を高めるため、近隣の県や市との連携を強化してディーゼル車対策を共同して進めることが必要である。どのように連携を図り、広域的な取組体制を築くのか所見を伺う。
 〔3〕ディーゼル車規制の実現に向けた知事の決意を伺う。

知 事 〔1〕DPF装着等の経費については一義的には排出者である事業者が負担すべきだ。しかし、自動車公害は都民が被害者でもあり、加害者でもある側面もあり、社会全体で負担する仕組みも構築していく必要がある。こうした観点から事業者に対する経済支援についても検討していく。
 〔3〕大気汚染が改善しない最大の理由は、自動車排気ガス対策の不十分さにあり、その責任は国が負うべき。規制に断固たる姿勢で臨むことにより、日本の環境政策も変えていく決意である。

環境局長 〔2〕これまでも七都県市とともに、国に対し、ディーゼル車対策の強化を強く働きかけてきた。今後は、「新市場創造戦略会議」の取組を通した低公害な車の普及やDPFの装着促進などに共同して取り組み、規制の実効性を高めていきたい。


都市づくりとヒートアイランド対策

 〔1〕都市の緑は、公園緑地としてのレクリエーション機能だけでなく、防災や環境保全など多面的な機能をもっており、ヒートアイランド化の抑制にも有効である。こうした緑の果たす多面的な機能を踏まえ、東京の都市づくりにおいて、緑をどうとらえ、位置付けようとしているのか、所見を伺う。
 〔2〕都市づくりの中で、緑豊かな東京を創造していくためには、行政のみならず、広く民間の協力を得て、緑豊かな都市づくりを進めることも必要だ。都市の更新に合わせ、民間の建築活動を適切に誘導し、計画的に都市緑化を進めるためには、都市計画的手法の活用が不可欠と考えるが所見を伺う。
 〔3〕都市のヒートアイランド化の抑制には、屋上緑化などを積極的に促進することが重要である。屋上緑化を進めるためのインセンティブとして、容積率ボーナスの付与が有効な方策と考えるが。
 〔4〕東京臨海地域の役割や目指すべき方向を示す「東京ベイエリア21」では、概ね二〇から二五年後を目標にした都市づくりを目指していると聞いたが、二十一世紀のまちづくりは、自然との共生を基本的なコンセプトに進めるべきと考える。そこで提案だが、東京臨海地域の中央防波堤内側区域を対象に、「平成の森づくり」をすべきと考えるが、所見を伺う。

知 事 〔1〕東京を安全で快適な都市としていくには、緑は大切で重要な要素の一つである。現在策定中の「緑の東京計画」の中で、具体的方策を明らかにしていく。

都市計画局長 〔2〕緑豊かな東京を実現するためには、公園、道路の整備に合わせ都市の骨格として緑の形成を図る必要がある。都市の再開発に当たっては、緑づくりを推進するとともに地区計画制度等の活用により道路に面した宅地内緑化を促進するなど、緑のネットワーク形成に努めていく。
 〔3〕特定街区、総合設計制度等の都市開発諸制度の運用に当たり、都市緑化を推進していく見地から、屋上緑化に対する容積率の割増しを行う仕組みなどの導入を図っていく。

港湾局長 〔4〕「東京ベイエリア21(中間のまとめ)」では、東京港の中央部における大規模海浜公園の整備を提案している。提案の「平成の森づくり」は、大規模海浜公園のあり方の一つとして大変に夢のある構想であり、今後、自然環境の創造など多様な観点から検討を進め、最終的に取りまとめる中に反映させていく。


都市基盤整備

 〔1〕外かん道事業については、昭和四一年の都市計画決定以来、凍結状態である。去る十一月三〇日の地元団体との三回目の話合いの中で、都は新たな進め方を提案したとのことだが、それはどのようなものなのか。
 〔2〕話合いを進展させるためにも、建設大臣の外かん道視察を要請することが必要と考えるが。
 〔3〕小田急線の複々線化事業と連続立体交差事業について都は、下北沢駅周辺住民の取組を踏まえ、早期事業化に向け、どのようなスケジュールで取り組んでいくのか、伺う。

知 事 〔2〕私も昨年一〇月に現地を視察し、地域の状況を見ることの必要性を痛感したので、大臣にも現地視察を積極的に申し上げる。

都市計画局長 〔1〕地元七団体との第三回会合において、相互理解や意志疎通などを図るため、代表者による事前の打合せの場を設けることを提案し、地元団体からは、その会合で同意する方向で検討するとの回答があり、現在、正式な回答を待っているところである。
 〔3〕沿線まちづくり計画などの具体化を進め、関係機関と連携を図りながら、早期に都市計画素案の説明会を開催し、地域住民に周知し、理解と協力を得たい。


首都圏の空港整備

 〔1〕東京の国際競争力を高めるためには、羽田空港の国際化が不可欠である。都が提案した羽田空港拡張案は、過去議論されていた再拡張案と比べ、どのような特徴を持っているのか。
 〔2〕年内に明らかにされる航空政策基本方針では、都は具体的に何を打ち出すつもりなのか。特に、その基本方針の中で、横田基地の軍民共同利用に、今後、どう取り組んでいくのか。
 〔3〕航空政策基本方針を活用し、首都圏の空港機能の充実に努めていくことになると思うが、知事の決意を伺う。

知 事 〔2〕具体的には羽田空港の再拡張などのほか、横田飛行場の民間航空利用や首都圏新空港の整備などを提案していく。特に横田基地の民間航空利用については、関係機関の協力を求め、国に対し日米間の合意を得るなど必要な措置を求めていく。
 〔3〕日本の活性化のために、首都圏の空港機能の充実は一刻の猶予もないため、首都圏の空港機能の拡充を国に働きかけていく。

都市計画局長 〔1〕新しい滑走路を、桟橋構造とするとともに、既存空港と結ぶ誘導路を橋梁方式とすることなどにより、従来の案と異なり、海上交通への影響が少ないと考えている。


大江戸線

 〔1〕都心を環状にネットワークする大江戸線は、東京の都市構造にとってどのような意義があるのか。
 〔2〕大江戸線の持つネットワーク機能を利用した、観光客の利便性の向上に対する具体的な方策についてどのように考えているか。
 〔3〕大江戸線を活用し、世界に誇れる都市づくりを進めるべきと考えるが、知事の見解を伺う。

知 事 〔3〕利便性や東京を代表する地区を巡る路線の特性を活用し、訪問客を国内外から呼び込む。さらに、沿線の開発プロジェクトを誘導し、国際ビジネスセンターとしての機能強化など、都心の再生を図る。

都市計画局長 〔1〕東京の公共交通ネットワークが飛躍的に充実し、地域間、拠点間の連携が強まる。このため、職と住の近接した都心居住の推進に寄与するとともに、下町地域では、歴史と文化の蓄積を生かした都市づくりが、また都心部では、業務・商業機能と居住機能が融合した質の高い都市空間の形成が可能となる。

交通局長 〔2〕大江戸線開業に合わせて、都営と営団地下鉄との共通一日乗車券を発売する。さらに、周辺の文化施設や地域の商店街等とタイアップした乗車券の発売など、利便性の向上に積極的に取り組んでいく。


築地市場

 〔1〕二十一世紀の流通を展望したとき、これから求められる市場とはどのようなものか、また、現在地でその整備が可能か伺う。
 〔2〕東京の将来を考え、築地市場は移転等を含めて考えざるを得ないと思うが、所見を伺う。

知 事 〔2〕現在、卸売市場審議会において、築地市場のあり方について検討していただいており、早急に対応していきたい。

中央卸売市場長 〔1〕近年、消費の変化、小売業態の変化やインターネット取引の登場などにより、生鮮食料品の流通は大きく変化している。このような中で、築地市場は、取引の情報化、流通コストの削減などの課題に対応することが不可欠となっている。しかし、現在地では営業を続けながらの工事となるため、たとえ完成しても将来の流通変化には対応できない。このため、現在地で再整備することは極めて困難である。


IT関連産業拠点の整備

 〔1〕都の産業政策として、世界的な電気街である秋葉原をはじめ、渋谷近辺の「ビットバレー」等のIT関連産業拠点をどう位置付けているのか。また、それぞれがどのような役割を持ち、どう関連しながら東京全体の産業の活性化につながっていくと考えるのか。
 〔2〕秋葉原を新たな産業の世界的拠点として整備する構想に至った背景と理由、また、今後どのように進めようとしているのか伺う。
 〔3〕秋葉原の開発に当たり、都有地や鉄道建設公団用地の活用方策と具体的なまちづくりの方向をどう考えているか。
 〔4〕二十一世紀の秋葉原開発の早期実現と、それに通じた東京全体の産業活性化に向け、どう取り組んでいくのか。

知 事 〔4〕来年度は、都有地処分を実施し、民間のアイデアを生かしながら、まちづくりの実現を図る。二十一世紀における東京全体の産業活性化の起爆剤として、秋葉原地区を世界に誇れる日本のIT拠点として整備していく。

労働経済局長 〔1〕秋葉原、渋谷、多摩地域や臨海副都心などにIT関連産業拠点が形成されてきている。巨大都市東京の産業活性化にとっては、こうした各地域での特徴ある産業拠点の発展が必要不可欠である。今後、これらの産業拠点が互いの利点を生かして連携し、一体となってネットワーク形成をしていくことが東京の産業全体の活性化につながると考える。
 〔2〕秋葉原は、先端情報機器や電子部品、顧客のニーズに関する情報を発信しており、IT関連産業にとって大きな魅力を創り出している。こういう特徴を生かし、新製品発表の場や新産業創出のための機能を整備することにより、東京の産業活性化に大きく貢献するものと考えている。開発に当たっては関係機関と調整しながら民間主体で機能導入を図っていく。

都市計画局長 〔3〕情報関連産業の育成やまちの利便性の向上を図るため、土地利用の方針や駐車場等の施設計画を都市計画として定めていきたい。その上で、民間活力を活用し、秋葉原地区全体の活力とにぎわいの創出が図れるよう、適切に誘導していく。


商店街振興策

 〔1〕平成十二年度の「元気を出せ商店街事業」の進捗状況とその効果について伺う。
 〔2〕十三年度も現在の商店街の未曾有の厳しい状況を踏まえ、本事業を引き続き実施していく必要があると考えるが、見解は。

労働経済局長 〔1〕本年度の事業実施では、現時点で九六五の商店街から利用の申出を受け、全商店街に対し助成の決定を行った。
 この結果、都内各地で、地域と一体となったイベントなどが行われている。また、平成一〇年度の調査によれば、商店街の活性化やイメージアップ等の効果があったとの結果が得られている。
 〔2〕これまでの事業の成果等を踏まえ、他の商店街振興施策と連携を図りながら、商店街自らが、地域と一体となって取り組むイベント事業等を積極的に支援するなど活性化に努めていく。


多摩地域の中小企業振興

 多摩地域の中小企業の振興を図る上で、多摩地域中小企業振興センターを一日も早く整備することが必要であると考えるが。

労働経済局長 これまでも開設に向け検討を進めてきたが、厳しい都財政などを踏まえると計画を変更せざるを得ない状況であるが、多摩地域の産業振興には中小企業支援が喫緊の課題と考えている。このため、施設開設までの当面の措置として、経営と技術の支援拠点の整備について検討していく。


がんばろう!東京福祉

 区市町村に対する福祉施策の包括補助制度「がんばろう!東京福祉」は、中期的な将来の姿を都民や区市町村にも見えるような手法を採り、さらなる充実を図っていくべきだ。所見を伺う。

福祉局長 実施主体である各区市町村には、積極的な取組をいただいている。今月中には今年度実施予定のほぼすべての案件について補助決定を行う考えである。来年度以降についても、ヒアリングなどを通じて、意欲的な取組方針が寄せられている。今後も事業の一層の充実に向け努力していく。


少子高齢化問題

 〔1〕認証保育所制度の創設に企業のアイデアを生かす自由度を持たせ、働く女性の切実なニーズに応えていくべき。
 〔2〕東京の未来像を左右するような課題に対しては、既成概念にとらわれない先見性ある議論を展開し、社会に新しい問題提起を行うことが重要である。所見を伺う。
 〔3〕高齢者が在宅で安心して暮らしていくために、二十四時間いつでも受入れ可能な緊急ショートステイを早急に実施すべき。

知 事 〔1〕本制度は、延長保育や駅前保育など、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確に応えていこうとするものである。民間企業の参入を促し、利用者本位の質の高いサービスを効率的に提供することを狙いとしている。今後、あり方などを含め、制度の具体化に向けて検討していく。
 〔2〕都としても、福祉をはじめ幅広い視野からの議論の場を設け、二十一世紀の東京の暮らしのあり方を考えていく。その際には既成概念にとらわれない先見性のある議論が行えるよう、工夫をしたい。

高齢者施策推進室長 〔3〕高齢者を緊急に受け入れ、介護サービスを提供するシステムが必要と考える。
介護を要する高齢者が在宅で安心して生活できるよう、二十四時間いつでも入所できる緊急ショートステイ事業を早急に実施していく。


重症心身障害児施設

 〔1〕総合的な機能を持った重症心身障害児施設建設の必要性について、都はどう認識しているのか。
 〔2〕区部東部地域に心身障害児施設を早急に建設することが必要だ。そのためには公設民営方式も検討していく必要がある。建設へ向け、運営形態の検討も含めた今後の取組について伺う。
知 事 〔1〕医療ケアを必要とする重症心身障害児を家庭で療育していくことは大変なことだと認識している。このような重い障害を持つ方々が、ご家族とともに地域の中で安心して生活していくためには、通所や緊急入所などの在宅支援機能を備えた総合的な施設が必要と考えている。

衛生局長 〔2〕これまで進めてきた地盤や土壌汚染調査に加え、周辺環境との調和や防災計画のあり方など、施設建設に当たっての諸条件について総合的に整理していくとともに、運営形態の検討も含め努力していく。


集団給食施設の衛生管理対策

 〔1〕都が食品衛生調査会の答申に基づき、条例改正に着手していることは、評価に値するものである。条例改正の基本的な考え方及び実施の見直しについて伺う。
 〔2〕条例化に当たっては実態を正確に把握するとともに、関係者の意見に十分耳を傾け、円滑な導入に向けた運用が必要であるが、所見を伺う。

衛生局長 〔1〕集団給食施設で食中毒が発生した場合、患者が多数に及ぶことから、その安全確保対策が一層重要と考えている。このため食品衛生法による許可を要しなかった学校、病院、社会福祉施設に対し、新たに届出制を導入し、あわせて施設基準及び衛生管理運営基準の設定を内容とする条例改正を行うものである。なお、改正案は早期に都議会に提案したい。
 〔2〕ボランティアによる給食等の小規模施設には、施設の実態や関係機関等の意見を踏まえ、洗浄設備等について施設基準の一部を緩和するとともに、経過措置を設けるなど、円滑な導入に向けて適切な対応を図っていきたい。


住宅問題

 〔1〕すべての都営住宅への期限付き入居制度の導入や、同居・使用継承制度の見直しなど、都営住宅制度の抜本的な改革が必要と考えるが、所見を伺う。
 〔2〕地価の高い都心地域での建て替えは、世界有数の国際都市の一角を占めるという自覚のもとに行う必要があり、そのためには一層、民間の知恵と工夫が有効となるが、具体的な取組を伺う。

知 事 〔1〕現行の都営住宅制度には、必ずしも公的な住宅を必要と
しない都民が住居したりして有効活用されていない問題がある。今後、公平性、効率性の確保の観点から都営住宅への期限付き入居制度導入をはじめとする入居管理制度の見直しなど、必要な法改正も国に働きかけながら改革を進める。

住宅局長 〔2〕建て替えに当たっては民間を含む様々な事業主体による住宅供給や福祉、医療、産業、防災等の導入を図り、地域の活力を増進させることが重要である。特に都心地域では、敷地の有効活用がより一層求められることから、民間の知恵と工夫を活用しながら、新しい手法により、国際都市東京にふさわしい都市コンプレックスの形成を図っていく。


教育問題

 〔1〕教員の意識改革、資質・能力の向上を図るため、教員の研修のあり方を研究機能や相談機能と合わせて抜本的に検討し、「教職員研修センター」「教育相談センター」を設置すると聞いているが、このことで期待される効果について伺う。
 〔2〕教師としての指導力に欠け、適切な指導ができない教員に対し都教委が研修を命じ、「教職員研修センター」などで鍛え直すべきである。その上で教師としての適性を欠く者は、教壇に立たないためにも退職させるべきである。

教育長 〔1〕教員の意識改革や資質向上が図られると考えている。
 〔2〕都教育委員会では、指導力不足の教員に対し、新たに指導力ステップアップ研修を実施し、教育公務員としての自覚や指導力について再教育を行っていく考えである。この研修等でも指導力の向上が見られず、教壇への復帰が困難と判断されれば、退職を勧告するなど適切な対応を図っていく。

 
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