令和四年東京都議会会議録第十八号

令和四年十二月八日(木曜日)
 出席議員 百二十一名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番松田りゅうすけ君
六番上田 令子君
七番漢人あきこ君
八番岩永やす代君
九番桐山ひとみ君
十二番平けいしょう君
十三番山田ひろし君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番星  大輔君
二十四番磯山  亮君
二十六番米川大二郎君
二十八番森口つかさ君
二十九番もり  愛君
三十番龍円あいり君
三十一番中田たかし君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番渋谷のぶゆき君
四十二番やまだ加奈子君
四十三番林あきひろ君
四十四番松田 康将君
四十五番ほっち易隆君
四十六番鈴木 錦治君
四十七番田の上いくこ君
四十八番保坂まさひろ君
四十九番清水やすこ君
五十番入江のぶこ君
五十一番あかねがくぼかよ子君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番小松 大祐君
六十五番柴崎 幹男君
六十六番早坂 義弘君
六十七番本橋たくみ君
六十八番山加 朱美君
六十九番鈴木あきまさ君
七十番菅原 直志君
七十一番関野たかなり君
七十二番白戸 太朗君
七十三番おじま紘平君
七十四番成清梨沙子君
七十五番福島りえこ君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番こいそ 明君
八十八番小宮あんり君
八十九番田村 利光君
九十番伊藤しょうこう君
九十一番川松真一朗君
九十二番山崎 一輝君
九十三番藤井あきら君
九十四番内山 真吾君
九十五番石川 良一君
九十六番伊藤 ゆう君
九十七番森村 隆行君
九十八番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番高倉 良生君
百七番まつば多美子君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番清水 孝治君
百十二番菅野 弘一君
百十三番三宅 正彦君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番尾崎 大介君
百十七番村松 一希君
百十八番後藤 なみ君
百十九番たきぐち学君
百二十番小山くにひこ君
百二十一番増子ひろき君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 二名
三十二番 斉藤 りえ君
七十六番 風間ゆたか君
 欠員
    十番 十一番 二十五番
    二十七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長中村 倫治君
総務局長野間 達也君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監小島 裕史君
政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村 恵一君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
子供政策連携室長山下  聡君
デジタルサービス局長久我 英男君
主税局長小池  潔君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西 康弘君
都市整備局長福田  至君
環境局長栗岡 祥一君
消防総監清水 洋文君
福祉保健局長西山 智之君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
港湾局長矢岡 俊樹君
会計管理局長須藤  栄君
交通局長武市 玲子君
水道局長古谷ひろみ君
下水道局長奥山 宏二君
住宅政策本部長山口  真君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長松永 竜太君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長小室 一人君
労働委員会事務局長桜井 政人君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君

十二月八日議事日程第三号
第一 第二百六号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第二 第二百七号議案
  令和四年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第三 第二百八号議案
  東京都公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百九号議案
  東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第五 第二百十号議案
  個人情報の保護に関する法律施行条例
第六 第二百十一号議案
  東京都個人情報保護審査会条例
第七 第二百十二号議案
  審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十四号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十五号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十六号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十七号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十八号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十九号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十一号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十二号議案
  東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十三号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修工事請負契約
第十九 第二百二十四号議案
  都営住宅四H—一〇二東(江戸川区平井三丁目第二)工事請負契約
第二十 第二百二十五号議案
  都営住宅四CH—一〇一西(練馬区石神井台四丁目・練馬区施設)工事請負契約
第二十一 第二百二十六号議案
  都営住宅四H—一二四東(江戸川区下篠崎町)工事請負契約
第二十二 第二百二十七号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修電気設備工事請負契約
第二十三 第二百二十八号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修給水衛生設備工事請負契約
第二十四 第二百二十九号議案
  街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西—青梅三・四・四裏宿町)請負契約
第二十五 第二百三十号議案
  葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
第二十六 第二百三十一号議案
  当せん金付証票の発売について
第二十七 第二百三十二号議案
  旅券法の一部を改正する法律の施行に伴う旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託の変更及び規約の一部の変更について
第二十八 第二百三十三号議案
  東京体育館の指定管理者の指定について
第二十九 第二百三十四号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十 第二百三十五号議案
  東京武道館の指定管理者の指定について
第三十一 第二百三十六号議案
  有明テニスの森公園テニス施設の指定管理者の指定について
第三十二 第二百三十七号議案
  若洲海浜公園ヨット訓練所の指定管理者の指定について
第三十三 第二百三十八号議案
  武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者の指定について
第三十四 第二百三十九号議案
  海の森水上競技場の指定管理者の指定について
第三十五 第二百四十号議案
  夢の島公園アーチェリー場の指定管理者の指定について
第三十六 第二百四十一号議案
  カヌー・スラロームセンターの指定管理者の指定について
第三十七 第二百四十二号議案
  大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の指定管理者の指定について
第三十八 第二百四十三号議案
  東京アクアティクスセンターの指定管理者の指定について
第三十九 第二百四十四号議案
  東京都パラスポーツトレーニングセンターの指定管理者の指定について
第四十 第二百四十五号議案
  東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第四十一 第二百四十六号議案
  東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
第四十二 第二百四十七号議案
  個人防護具(ガウン等セット)の買入れについて
第四十三 第二百四十八号議案
  東京都立産業貿易センター浜松町館の指定管理者の指定について
第四十四 第二百四十九号議案
  東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第四十五 第二百五十号議案
  東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
第四十六 第二百五十一号議案
  東京都立辰巳の森海浜公園外七公園の指定管理者の指定について
第四十七 第二百五十二号議案
  東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十四公園の指定管理者の指定について
第四十八 第二百五十三号議案
  東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
第四十九 第二百五十四号議案
  東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十 第二百五十五号議案
  東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十一 第二百五十六号議案
  東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
第五十二 第二百五十七号議案
  東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十三 第二百五十八号議案
  東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百五十九号議案
  東京都立日比谷公園外五公園の指定管理者の指定について
第五十五 第二百六十号議案
  東京都立戸山公園外七公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百六十一号議案
  東京都立武蔵野公園外六公園の指定管理者の指定について
第五十七 第二百六十二号議案
  東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定について
第五十八 第二百六十三号議案
  東京都立狭山・境緑道外五公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百六十四号議案
  東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第六十 第二百六十五号議案
  東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第六十一 第二百六十六号議案
  東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百六十七号議案
  日比谷公園大音楽堂の指定管理者の指定について
第六十三 第二百六十八号議案
  葛西臨海水族園の指定管理者の指定について
第六十四 第二百六十九号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第六号)
第六十五 諮問第三号
  地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都公害審査会委員の任命の同意について(四財主議第四二五号)
第二 議員提出議案第十六号
  東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第三 議員提出議案第十七号
  東京都小中学校給食費の助成に関する条例
第四 議員提出議案第十八号
  東京都児童育成手当に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十六号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例二件、知事より、東京都公害審査会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十五番ほっち易隆君
   〔四十五番ほっち易隆君登壇〕

○四十五番(ほっち易隆君) 現在、都では、日比谷、戸山、立川高校などの進学指導重点校をはじめとする学力重点校、工業高校改編などにより、ものづくり人材の養成、エンカレッジスクールやチャレンジスクールなどの特色ある学校づくりを行っています。
 都立高校においては、私立高校の実質無償化により、入学者数の減少や将来的な生徒数の減少も見込まれる中、十年、二十年後を見据えて、魅力ある都立高校をつくり、子供たちから選ばれる学校を目指すべきと考えます。
 先日のサッカーワールドカップにおいて、日本は悲願の八強入りはかないませんでしたが、世界の強豪を相次いで打ち破った森保ジャパンの奮闘は、日本のサッカー史に確かな足跡を残すだけでなく、国民はもちろん、世界中にスポーツの力を改めて示し、勇気と感動を与えてくれました。今こそスポーツの力を生かすべきです。
 都立高校でも、スポーツサイエンスプロモーションクラブとして部活動を指定していますが、魅力ある都立高校をつくる上で、スポーツサイエンスプロモーションクラブのさらなる強化により、トップレベルのスポーツ部活動の旗印を掲げ、スポーツの力で選ばれる都立高校、特色ある学校づくりを進めるべきと考えます。
 そこで、選ばれ、魅力ある都立高校づくりについて、スポーツ部活動、スポーツサイエンスプロモーションクラブについての認識について、それぞれ都民の代表である知事の認識をお伺いいたします。
 また、都教育委員会が指定しているスポーツサイエンスプロモーションクラブの現状と今後の取組について、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 次に、都立高校では、コロナ禍においてオンライン学習を進めてきました。こうした取組は、いつ起こるか分からない災害への備えとして、また、いまだ続く感染症への対応としても大変有効と考えます。
 オンライン学習に関する取組を維持向上させて、いかなる場合においても学びを継続することができるようにするべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 次に、都教育委員会は、都立高校の魅力向上に向け、実行プログラムを策定予定であり、策定に当たっては、様々な困難を抱える生徒に対して生徒目線に立った支援の充実を図るとしています。
 私は、ある都立高校で、ユースソーシャルワーカーが生徒の目線も大事にしながら関わってくれたことで、生徒が安心して高校に通えるようになったと保護者の方から伺ったことがあります。生徒が抱える困難は様々でありますから、多様な立場の大人が生徒に関わり、生徒を理解し、心を開いてあげられるようにしてほしいと私は願っております。
 その点から、教員でも親でもないユースソーシャルワーカーが、斜めの関係から生徒の支援をすることは大変有効であると思います。
 そこで、ユースソーシャルワーカーによる生徒支援をさらに充実させるべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 都教育委員会では、四月一日付の教員の人事異動情報について、例年四月一日に公表をしています。
 一方、他県を見ると、年度内の三月中に教員の人事異動情報を公表している県が多数あります。年度内に公表することで、先生が離任する前に、児童や生徒から感謝の意を表す機会を設けることにより、道徳教育の充実にもつながると考えます。
 そこで、教員の人事異動情報の公表の前倒しを行うべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 先日、私の地元足立区にある城東職業能力開発センターで三年ぶりに開催された技能祭を訪問しました。生徒たちは、ドレスや靴など、これまでの訓練の成果を発揮した作品を展示しており、目を輝かせて説明をしてくれ、先生方も熱意にあふれる方々ばかりでありました。
 職業能力開発センターは、新たなキャリアの一歩を踏み出す場であり、人材の確保、育成が困難なものづくりなどの中小企業に対して、次代を担う人材を輩出する重要な場であります。
 そこで、都は、若者などに対し積極的にPRを行い、入校者の増加につなげていくべきと考えますが、都の取組をお伺いいたします。
 コロナ禍においては、大企業等を中心にテレワークの導入が急速に進みました。一方で、国の調査によると、三百人以下の中小企業ではテレワークの実施割合が四割弱にとどまるなど、企業規模によって大きな差があり、中小企業ではまだまだ導入が進んでいない状況です。
 テレワークを活用した働き方を広めていくことは、障害者だけでなく、治療や通院をしながら就労を継続する難病やがん患者の方にとっても大変有効であります。
 とりわけ、柔軟な勤務制度や休暇制度等の整備がなかなか進んでいない中小企業において、支援を充実させていくことが必要と考えます。
 そこで、障害者や難病患者の方のテレワークを活用した雇用が中小企業においても拡大していくよう、都の取組を一層強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 今年四月から改正育児・介護休業法が順次実施され、大中小企業を問わず、社員に育休の取得意向を確認することが義務化をされました。十月には産後パパ育休が始まるなど、男性の育児休業取得を促す機運がかつてなく高まっております。
 事業を継続しながら育児休業を取得するには、業務分担やローテーションの工夫が必要になりますが、こうした工夫は経営戦略や人材確保戦略にもつながります。
 そこで、中小企業に男性育休が広がるよう、中小企業の経営者や社員が共感でき、参考にできるような取組を推進していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、近年、島しょ地域の漁業者からは、漁獲量の減少や燃油価格等の高騰に加え、イルカやサメなどによる漁業被害が経営に深刻な影響を及ぼしているとの声が多く寄せられております。
 中でもイルカによる被害は頻発、長期化しており、針にかかったキンメダイ等が食べられてしまう、休漁や遠くの漁場での操業を余儀なくされるなど、被害額は相当な金額に上ると聞いています。
 また、伊豆諸島周辺の海域では、近年、アオウミガメが多く見られるようになり、テングサなどの海藻を食害する様子も確認をされ、漁業者の皆さんは海藻の消失につながっているのではないかと不安を募らせています。
 そこで、都は、イルカ等海洋生物による漁業被害への対策を強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、既存住宅流通を促進していく上で、住宅の質に対する都民の不安を払拭するとともに、住宅が適正に評価され、取引される市場環境を実現することが必要であります。
 都はこれまで、既存住宅の建物状況調査、いわゆるインスペクションや既存住宅瑕疵保険などの普及に向けて、都民、事業者への啓発や、既存住宅流通促進事業者グループによる相談対応への支援などに取り組んできましたが、業界団体など不動産取引の現場からは、既存住宅流通の活性化が十分に進んでいるとはいい難いとよく聞いております。
 住宅をつくっては壊す社会から、いい住宅をつくり、きちんと手入れをして、長く大切に使う社会への移行が求められている今、都民が既存住宅を安心して売買できるよう、既存住宅流通市場の活性化に向けた取組をさらに進める必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、令和二年の国勢調査によると、都内世帯の約四割が民間賃貸住宅に居住しており、外国人世帯に限ると約六割となります。コロナ禍で一時停滞をしていましたが、今後さらに外国人の増加が見込まれています。
 一方で、都に寄せられる外国人や貸主からの相談には、ごみ出しのルールや原状回復に関するものがあり、これらは生活習慣の違いや言葉の壁による誤解、コミュニケーション不足等に起因していると考えられます。
 これまで都は、外国語で住まい方のルールなどを記載したリーフレットを作成しており、外国人の円滑な入居を進めるためには効果的な取組であると考えますが、外国人の国籍の多様化に伴い、宅建業者の皆さんから、より多くの言語で周知してほしいとの強い要望をいただいております。
 多言語化による周知を一層進めることで、外国人が安心して居住できる環境づくりに取り組む必要があると考えますが、今後の都の取組をお伺いいたします。
 これまで都は、国内最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風級の高潮を想定して、海岸保全施設の整備を進めてまいりました。
 そこで、将来、これまでに経験したことのない大型の台風が襲来した際にも、適切なタイミングで確実に水門が閉鎖できることが何よりも重要であると考えますが、都の取組をお伺いしたいと思います。
 近年、局地的豪雨や台風上陸による自然災害が頻発している中、水災時における特別区消防団の活動力の強化が重要であると考えます。
 また、私も消防団員の一人として、多くの団員の皆さんから様々な声をいただいております。
 そこで、先ほど申し上げたとおり、水災時における特別区消防団の活動力の強化が重要であると考えますが、消防総監の見解をお伺いいたします。
 最後に、新たな被害想定では、首都直下地震の発生から二十四時間で東京都だけでも最大六百二十三件の火災が発生します。多数の建物倒壊等による瓦礫により、木密地域などでは活動障害等が発生する可能性が課題として挙げられております。
 そこで、このような課題への対応について、東京消防庁の見解をお伺いしたいと思います。
 以上で私、ほっち易隆の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ほっち易隆議員の一般質問にお答えいたします。
 高校教育における運動、スポーツについてのお尋ねでございました。
 次代を担う全ての子供たちが、生涯にわたって様々なことに粘り強く挑戦し、自ら学び続けていく姿勢を身につける、そのためには、運動、スポーツなどを通して、豊かな心を育むことも重要であります。
 都は、魅力ある学校を目指すため、子供たちの多様な学力への支援や、運動、スポーツの振興など、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりを進めております。
 全ての子供たちが、自らが思い描く将来に向けまして歩み続けられますよう、子供たちの学びの環境を整備してまいります。
 残余の質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁といたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校におけるスポーツサイエンスプロモーションクラブについてでございますが、都教育委員会は、科学的トレーニングを積極的に導入し、合理的な活動を推進することを目的に、三十一競技、五十六部をスポーツサイエンスプロモーションクラブに指定しています。
 具体的には、コンディションを分析するアプリや、運動量等のデータを戦術に生かすためのGPSなど、デジタル技術を積極的に導入しています。
 また、トレーナー等の専門家の派遣などを通じて効果的な取組を支援することにより、全国大会出場等の成果を上げています。
 今後、代表生徒によるキャプテン会議を開催し、各部活動の練習方法等の情報共有を通して、主体的な活動を推進してまいります。
 また、今年度の取組状況や成果を踏まえ、効率的、効果的な活動内容等を検証し、さらなる競技力向上を図ってまいります。
 次に、オンライン学習による学びの継続についてでございますが、災害が発生した際や感染症が拡大した場合においても、子供たちの学びを継続することが重要でございます。
 これまで都立学校では、コロナ禍において一人一台端末等によるオンライン学習を行い、分散登校等に対応してまいりました。各学校では、授業を配信するだけでなく、オンライン上で個々の児童生徒の学習課題への取組状況について把握に努めるなど、工夫を重ねてまいりました。
 都教育委員会は、令和五年度に各都立学校において教員と児童生徒がそれぞれ自宅などからネットにアクセスし、授業を行うオンライン学習の訓練を実施いたします。こうした取組を通じて、都立学校が非常時においても学びを継続できるようにしてまいります。
 次に、生徒支援のさらなる充実についてでございますが、都教育委員会では、不登校や中途退学など困難を抱える生徒に対し、ユースソーシャルワーカーが中心となり、生徒一人一人の状況やニーズに対応し、関係者とも連携を図り、支援を行っております。
 今年度はヤングケアラーに関し、教職員対象の相談ダイヤルを開設いたしました。ここでは、生徒と接する時間の長い教員の気づきをユースソーシャルワーカーが受け止め、生徒やその家族が適切な支援を受けられるよう、関係機関につなぐ等の対応を行っています。
 今後は、様々な悩みや困難を抱える生徒が安心して自分の悩みや相談事を話せる居場所づくりの検討を進めてまいります。
 次に、教員の人事異動情報公表の前倒しについてでございますが、都教育委員会では、これまで教員の人事異動情報を四月一日に公表しており、多くの学校では在校生と教員のお別れの機会として、新年度に離任式を行っております。
 他方、児童生徒、保護者等からは、年度内にお世話になった先生へ挨拶したいなどの声もあることから、教員と児童生徒等が余裕を持ってお別れの機会が持てるよう、公表時期を早めるべく調整を行っております。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、職業能力開発センターのPRについてでございますが、東京の産業の担い手を確保し育成するため、職業能力開発センターにおいて、職場での活躍につながる優れた技能を習得できる魅力を確実にPRすることは重要でございます。
 都では、能力開発センターでの訓練の内容や実習の様子を分かりやすく紹介する動画を車内広告やSNSを通じて幅広く発信し、求職者の利用に結びつけております。
 こうした取組に加え、若い世代が職業訓練を身近に感じるよう、高校に出向いて説明会を開くほか、夏休みや休日を利用した体験実習などを行っております。
 今後は、若者に人気のあるインフルエンサーが登場するコンテンツをつくり配信するなど、これから社会に出ようとする方たちへの情報発信に力を入れることで、職業能力開発センターの一層の利用につなげてまいります。
 次に、テレワークによる障害者等の雇用促進についてでございますが、障害者や難病やがんを発症した方が、テレワークを活用した柔軟な働き方により、安心して仕事を続けることができるよう支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、障害者がテレワークを適切に活用し働くことができるよう、職場への定着を支援する東京ジョブコーチに加え、今年度からITの専門家も派遣し、サポートの一層の強化を図っております。
 今後は、こうした支援の仕組みをより幅広く宣伝する体制の充実を検討いたします。
 また、難病等の患者が働く会社に対し、テレワークの導入を後押しする奨励金を支給しており、この制度の活用を図る会社を増やすための要件の改善を検討いたします。
 これらにより、テレワークの活用を進め、障害者や難病患者等の雇用の促進につなげてまいります。
 次に、中小企業における男性の育業の普及についてでございますが、中小企業に男性の育業を広げていくため、経営者や社員が正確な知識や情報を共有して、様々な工夫を行うよう後押しすることは重要でございます。
 このため、都は、中小企業の経営者と従業員それぞれに、男性育業の知識やノウハウを提供するセミナーをきめ細かく実施しております。
 また、男性の育業で高い実績を上げた企業に登録マークを提供し、イメージ向上に役立つよう支援をしております。
 さらに、育業のための勤務制度の導入に取り組んだ経営者の様子や、社員の満足感などをホームページを通じ広く紹介しております。
 年明けには大規模なイベントを開き、会社同士の交流や育業の最新事例の紹介を行うほか、今後、ウェブ上で男性育業の情報交換などができる仕組みの導入を検討いたします。
 最後に、海洋生物の漁業への影響に係る対応についてでございますが、島しょ地域の漁業者が、海洋生物による影響を抑え、安定した漁獲量を確保できるようサポートすることは必要でございます。
 これまで都は、島しょの海域にいるサメが漁業の道具を傷つけ、釣り上げる途中の魚を食いちぎるなどの実態について、定期的に調査を行ってまいりました。
 また、そうした被害の防止に取り組む町村に対し、駆除のための漁船の燃料や道具の購入などに係る経費に助成を行ってきたところでございます。
 近年は、イルカが漁獲の途中のキンメダイを食べるような事例が出ており、その状況を調査しております。これを踏まえまして、今後、漁業協同組合や町村と協力し、イルカが操業中の海域に近づかない工夫などを検討いたします。
 これによりまして、漁業者の安定的な操業を支援してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存住宅流通の活性化に向けた取組についてでございますが、消費者が安心して既存住宅を売買できるようにする上で、その品質や性能が明らかになり、価値が適正に評価されるような市場の形成が必要でございます。
 都は、ガイドブックによる普及啓発や、関係事業者で構成されるグループ登録制度による都民の不安や疑問への相談対応等を行うとともに、市場での既存住宅の適正な評価手法の普及につきまして、国に提案要求を行っております。
 今後、施策効果をより高めるため、現行事業の成果や課題等の検証を行うとともに、既存住宅流通の一層の促進のため、良質な住宅に改修し、適正な評価の下で販売する取組への支援につきまして検討いたします。
 これらによりまして既存住宅流通を活性化し、循環型の住宅市場の形成を目指してまいります。
 次に、外国人の賃貸住宅に係るトラブル防止についてでございますが、外国人の円滑な入居のためには、外国人と貸主等で住まい方等に関する相互理解を深めることが重要でございます。
 都は、退去時の原状回復など、トラブル回避のポイントを解説したリーフレットの日本語版に加えまして、令和元年度に日本の生活ルール等を追記した英語、中国語、韓国語版を作成いたしまして、外国人と貸主等の意思疎通に活用してまいりました。
 今後、国籍の多様化に応じた多言語化が必要であり、居住実態に合わせまして、新たにベトナム語、タガログ語、ネパール語版を令和四年度内に作成するとともに、リーフレットを確実に届けるため、業界団体や外国人の入居支援を行う居住支援法人との連携をさらに強化してまいります。
 こうした取組によりまして、外国人が安心して居住できる環境を整備し、共生社会の実現を図ってまいります。
   〔港湾局長矢岡俊樹君登壇〕

○港湾局長(矢岡俊樹君) 東京港における高潮対策についてお答えします。
 気候変動に伴う台風の大型化が予想される中、高潮による浸水被害が発生する前に確実に水門を閉鎖するためには、台風の気圧や進路等によって複雑に異なってくる海面水位の変動を的確に予測することが重要でございます。
 このため、都は、令和二年度にAI技術を活用して台風時の水位を予測するシステムの構築に着手し、様々な気象データなどを基に、予測精度の向上に取り組んでまいりました。
 この結果、本年八月に台風八号が関東を通過した際には、三時間後の最高水位をほぼ正確に予測できることを確認できたことから、来年度より本システムの予測を本格的に活用し、東京港の全水門の開閉操作を行ってまいります。
 今後もAI技術の活用による水位予測のさらなる精度向上に取り組み、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、水災時における特別区消防団の活動力の強化についてでございますが、令和元年東日本台風時に被害が広範囲に及んだことや、消防団が浸水した地域で水災活動を行ったこと等を踏まえ、今年度、大規模災害時に自己団区域外への災害出場もできるよう、活動要領を見直したほか、浸水区域においても安全かつ衛生的な活動を可能とする胴付長靴を整備いたしました。
 さらに、各団に整備している水災時の排水活動や震災時等に河川などの自然水利から取水を可能とするフローティングストレーナーの増強を検討しております。
 今後も、水災時をはじめ、災害現場における特別区消防団の実戦的な活動力の向上に努めてまいります。
 次に、新たな被害想定を踏まえた取組についてでございますが、想定される首都直下地震等の被害軽減を図るには、延焼拡大しやすい木密地域等で発生した火災に迅速に対応することが重要でございます。
 このため、こうした地域に小型のポンプ車を配置し、大量放水可能な資器材等で消火活動に当たるほか、河川から取水が可能な水中ポンプ等の各種資器材を活用することとしております。
 さらに、瓦礫等で活動障害がある地域でも早期に消火活動に着手できる体制を確保するため、走破性が高い小型ホース延長車と可搬ポンプ等を積載可能な小型送水車を、木密地域を抱える第六消防方面の消防救助機動部隊等に導入することを検討しております。
 今後も、首都東京の安全・安心に向け、震災時における消防活動体制の強化に努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) 五十一番あかねがくぼかよ子さん
   〔五十一番あかねがくぼかよ子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十一番(あかねがくぼかよ子君) 国力の基軸は人口ですが、東京の合計特殊出生率は一・〇八まで低下をしています。これは都民が望んだ結果ではなく、望みがかなわなかった結果の数字です。
 都は、国に先駆け、体外受精などの高度不妊治療に係る費用の助成を拡充し、今年度からは同治療が保険適用となりましたが、少子化対策の決定打にはなりません。
 日本は世界最大の不妊治療大国と呼ばれており、体外受精の実施件数は世界一であり、二十代、三十代の女性の人口換算で比較すると、二位の北米の六倍の件数です。不妊治療の医療技術も世界一にもかかわらず、一回の採卵当たりの出産率は世界で最下位です。
 その最大の要因の一つは、採卵した際の卵子年齢であるといわれています。卵子は、他の細胞と異なり細胞分裂を行わないため、新しく生まれ変わることのない特異な細胞です。
 妊娠する力、妊孕性は二十代後半から低下し、三十代半ばからは急速に低下することが分かっています。これは、高度な医療をもってしても、年齢とともに低下する妊孕性にあらがうことは難しいことの証左です。
 しかし、この妊孕性についての教育は、日本ではされてこなかったため、出産年齢は上昇し続け、三十代後半で不妊の問題に直面し、苦しむ人が後を絶ちません。四十代の有名人の出産報道などで、四十代でも普通に出産できるのだろうと誤解をしている人も多いのです。
 四年前の一般質問でも妊娠適齢期についての効果的な普及啓発をお願いしました。都は、妊孕性に関する正しい知識と情報が届くように、ウェブサイトの作成、成人式でのリーフレット配布など、取組を進めてきたところでありますが、少子化に歯止めをかけるためには、妊孕性についての正しい知識が全ての都民の知るところとなることが大前提です。
 都の出生率二・〇七に向け、東京動画などあらゆるチャネルを活用し、妊娠適齢期や妊孕性についての正しい知識を全ての都民に向けて、より一層積極的に伝えるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 妊孕性についてのリテラシーは、思春期における性を含む健康教育で伝えていくべきであると考えますが、高校生に対し、どのように普及啓発を図っていくのか、都教育委員会の見解を伺います。
 コロナ禍では、非正規雇用で従事する女性の多くが解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされるなど、就労に大きな影響が及びました。中でもシングルマザーの方は、極めて厳しい状況に追い込まれました。
 非正規雇用では、勤務先での研修の機会もなく、自ら研修を受講しようとしても、時間が取れなかったり費用が工面できないという事情があります。正社員雇用や個人事業主として独立など、新たなキャリアを望んでいても、それに必要なスキルを習得できていないことが足かせになっています。
 そこで、都は、非正規雇用の女性がリスキリングによるスキルアップなどの機会を得て、多様な働き方へのキャリアシフトを実現できるよう支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 限られた財源の中で多くの社会課題を解決するためには、補助金など都の財政支出のみならず、金融の手法により民間資金も有効に活用し、より少ない支出で大きな政策効果を生み出そうとする発想が重要です。
 都は今年度中に、医療、介護、ヘルスケア領域のソーシャルインパクト投資ファンドを創設する予定です。インパクト投資の残高は急増していますが、インパクト投資マネジメントの知見は世界的にもまだ少なく、手法の高度化が課題です。
 発展途上にあるインパクト投資を活性化していくためには、このファンドへの出資を通じて得られる知見をファンド内のみにとどめることなく、広く共有をしていくことが有効と考えますが、都の見解を伺います。
 スタートアップの公共調達について伺います。
 昨日の我が会派の代表質問で、スタートアップは成長のドライバーであり、スタートアップファーストで取組を進めるべきことを、都が現場を提供し、実績につながることを求めました。
 スタートアップの成長を後押しするため、都として公共調達への参加促進を一層進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都認証ソーシャルファームは、従来の障害者の就労を支援する福祉事業所とは思想が異なり、企業的な経営を目指し、開業後五年のうちに、就労困難者を二割以上雇用しながら、完全に財政的に自立をすることが求められます。
 福祉事業所は、公的な補助金なしに運営は成り立たないことに鑑みると、五年以内にビジネスを軌道に乗せられるかどうかがその後も存続できるかの分岐点となります。
 そこで、都として、政策目的随意契約の制度を活用した公共調達における優先的な取扱いや、民間市場での取引活性化を支援することが重要です。
 都の認証を受けたソーシャルファームが自律的経営を実現することは、社会的企業の新たな担い手が増え、就労困難者が働ける職場を増やすことにつながることから、都はしっかりと支援をしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 障害者の就労施設であるB型事業所の工賃は非常に安く、処遇改善に向けた取組について、前回の一般質問でも提案をさせていただきました。
 都は、障害者優先調達推進法に基づき、障害者就労施設などから年間五億円程度の優先調達を実施していますが、過去の調達実績の推移を見ますと、まだまだ伸び代があるのではと考えます。
 そこで、障害者就労支援施設等からの優先調達について、一層積極的に推進すべきと考えますが、優先調達をどのように推進していくのか伺います。
 都は、令和元年度に東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置し、支援の在り方について、家族会など当事者の状況を踏まえた検討を進めた結果、就労や自立支援にとらわれずに、自己肯定感を抱けるよう支援をしていく方針に進化した点を評価します。
 一方で、私の地元杉並区では、行政支援が遅れており、相談窓口はあるものの、知見やノウハウがないため、相談に行っても、たらい回しにされたり、的確な支援にたどり着けないのが実態です。
 問題が長期化し、八〇五〇、九〇六〇と年齢が上がってしまうことで、親亡き後の経済的な問題も大きな懸念になっています。
 ひきこもり問題に苦慮する当事者や家族が最初に相談をする基礎自治体に対して、都として予算やノウハウの面できめ細かく支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、就労したいという方も多いですが、一般就労は極めてハードルが高いので、ソーシャルファームなどの短時間から就労ができる職場の拡充が望まれています。
 ひきこもりの支援において、就労支援との連携も重要ですが、都の取組について伺います。
 令和二年、人口動態統計によると、十代の死因の第一位は自殺となっており、対策が急務です。都はこれまでも、若者の自殺を防止するため、相談体制の拡充や普及啓発の強化等に取り組んできました。
 今年度は、チャイルド・デス・レビューの実施に向けて検討を進めているところですが、この事業においても、自殺を含めた子供の死因について分析をし、対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 再生可能エネルギーについて伺います。
 諸外国においては、既に新築のみならず、既存の建物に対しての太陽光パネルの設置を義務化する制度が施行されています。例えば、EUのヨーロッパ屋上太陽光戦略では、二〇二七年までに二百五十平米以上の全ての公共、商業施設に太陽光発電設備の設置を義務づけています。
 都においても、都営住宅における率先的な取組を進めるとともに、今後、マンション等の既存集合住宅への太陽光パネルの設置を進め、さらに、太陽光パネルと併せて蓄電池を設置することで防災力を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
 太陽光発電は、東京の地域特性に最も適した再生可能エネルギーでありますが、ほかにも、地面さえあれば二十四時間三百六十五日安定的に利用ができる地中熱も存在します。しかし、初期費用や専門技術が必要などで普及が進まないと聞いています。
 住宅等への再生可能エネルギーの導入に対し、太陽光以外の地中熱なども含めたエネルギー源の利用拡大も図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都営住宅は、名義人の約七割が六十五歳以上と高齢化が進んでいます。また、抽せん倍率百倍以上の団地もあれば、逆に、何度募集してもなかなか応募がない団地もあります。空室は年々増加傾向で、令和二年以降は二万戸を超えています。
 他の自治体では、目的外使用により、ひとり親やDV被害家庭を支援するNPOなどに、十年を期限として公営住宅を貸し出したりしています。
 都においても、グループホームやチャレンジネット事業で、住宅確保困難者へ特例で利用できる仕組みはありますが、空室数の割に極めて少ないのが実態です。
 都営住宅の二万戸の空き部屋を有効に活用するため、様々な理由で住宅に困窮をしている都民に対して、迅速に住宅を供給できる仕組みづくりを進める視点が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 また、空き住戸を迅速に供給するためには、募集や入居など、必要な業務を素早く進めていくことが肝腎です。都は、入居者や住戸の管理に関するデータをシステムで管理していますが、一部の情報はエクセルなど、システムの外で管理せざるを得ない、そういった状況だということです。
 都営住宅の管理システムの再構築を予定しているということですが、これを機に業務プロセス全体を見直し、さらなる効率化、スピードアップを図るべきと考えますが、見解をお伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えいたします。
 妊娠や出産に係る普及啓発についてのお尋ねがございました。
 若いときから男女を問わず、妊娠や出産に関する正しい知識を持って、自分のライフプランを考えることは重要であります。
 都は、妊娠相談ほっとラインにおきまして、妊娠や出産に関する様々な相談に専門職が応じているほか、若者が利用しやすいよう、妊娠や避妊の問合せに対応するチャットボットを導入しております。
 また、妊娠に関する基礎知識や、不妊、不育の情報等を掲載した小冊子を配布するほか、妊娠支援ポータルサイト、東京都妊活課を通じまして、有用な情報を一元的に発信しております。
 若い世代が妊娠や出産に正しく向き合えますように、様々な広報ツールを効果的に活用して、積極的に普及啓発を進めてまいります。
 次に、女性の多様なキャリア形成への支援についてでございます。
 東京の持続的な発展を実現するため、いまだ十分に生かし切れていない女性の力を社会の中で最大限に引き出すことができるよう、多様な働き方を後押しすることは不可欠であります。
 特に、女性の中で、非正規雇用により安定した仕事の経験のない方は、その適性や意欲に応じ力を発揮できますよう、速やかなリスキリングにより知識や技能を身につけ、様々な仕事の中から自分に最もふさわしい職業の選択が可能となる、きめの細かい就労支援を行うことが必要でございます。
 女性が限られた時間の中で職場の実務に役立つスキルを習得する訓練を実施しておりますが、より幅広い業務に柔軟に対応できる力を磨くサポートとなるよう、充実を図ってまいりたいと考えております。
 身近な地域で正規雇用や、自分に合った働き方につながる様々な知識や情報を得るセミナーや相談の機会をこれまでよりも増やすことも検討してまいります。
 今後、職業訓練をeラーニングにより効果的に提供しながら、専門家が適切な助言を行う支援に合わせ、就職の後押しも一体で進める新たな取組を検討しまして、仕事の選択の幅を広げてまいります。
 これによって、非正規雇用やひとり親の女性が、自らの希望に応じた働き方を実現できますよう、着実にサポートを進めてまいります。
 次に、ソーシャルファームの経営の後押しについてのお尋ねがございました。
 ソーシャルファームは、就労に困難を抱える方々に働く場を提供するとともに、一般企業と同様にビジネスを展開し、自律的に経営を行っており、その活動や発展を着実に支援することが重要です。
 こうしたソーシャルファームの経営の力を高めるため、行政からの受注の機会を増やして、民間企業との取引を拡大できますよう、効果の高いサポートを進めていきたいと考えます。
 都をはじめとする様々な地方自治体が、ソーシャルファームとの間で製品やサービスに関わる契約を結びやすくなるよう、国に対して働きかけを続けております。
 普及啓発のイベントを開き、民間企業との新たな取引に成功した事例を発信するとともに、ウェブサイトを通じて事業や商品の内容をよりきめ細かく紹介する取組に力を入れてまいります。
 商取引に詳しい専門家の派遣の充実を検討し、販売先を増やすノウハウを着実に伝えてまいります。
 こうした取組によって、ソーシャルファームが就労困難者の働く意欲を高め、経営の力を伸ばし発展できますよう、しっかりサポートしてまいります。
 都営住宅の空き住戸の活用についてのお尋ねであります。
 住宅に困窮する低額所得者や高齢者、障害者、子育て世帯など、都民の居住の安定を確保していくことは重要であります。
 都は、こうした認識の下、都民一人一人が安心して暮らしていけますよう、近年、都営住宅の募集戸数を毎年度増やしまして、入居機会の拡充を図っております。
 社会経済情勢が大きく変化する中で、障害者のグループホームやTOKYOチャレンジネット事業の一時利用住宅として活用するほか、大学と連携しまして、学生が入居し、団地のコミュニティ活動を支援する取組なども行っております。
 今後、都営住宅につきましては、福祉サービスや生活、就労支援施策との連携を図りながら、様々な理由で住宅に困窮する、より多くの都民が公平に利用できますよう、既存ストックを有効活用する新たな仕組みを構築し、適切な供給に努め、住宅セーフティーネットの中核としての機能の一層の充実に取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、教育長、関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 性を含む健康教育についてでございますが、都教育委員会は今年度、都立高校六校をモデル校に指定し、指定校では、産婦人科医を招聘して、妊娠しやすい時期を含むライフプランと健康についての授業を実施するなど、効果的な健康教育の在り方について研究を行っております。
 今後、指定校の取組を踏まえ、医師や学識経験者等からの助言も得ながら、ライフプラン等への理解を深めるためのリーフレットを作成し、全ての都立高校の授業等で活用することにより、指導の充実を図ってまいります。
   〔政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君登壇〕

○政策企画局国際金融都市戦略担当局長(児玉英一郎君) インパクト投資の活性化についてでございます。
 都が今年度出資するソーシャルインパクト投資ファンドは、経済的リターンと社会的インパクトを同時に生み出すことを意図するインパクト投資を活性化し、社会課題の解決に官民協働で取り組む新しい金融の流れを加速することを目的としています。
 選定されたファンド運営事業者は、投資先が目指す社会的インパクトの目標設定、達成状況のモニタリングや分析、さらなるインパクト創出に向けた改善を支援するとともに、投資により生み出されたインパクトの状況等について、年一回、レポートとして公表することとしております。
 都といたしましても、ファンドへの出資を通じて得られた投資の事例やノウハウ等を広く発信していくことで、我が国のインパクト投資の拡大につなげてまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) スタートアップの公共調達への参入促進のご質問にお答えいたします。
 スタートアップを数多く生み出し、その成長を促進するためには、都が製品やサービスの最初の利用者となり、信頼性を高める取組が重要でございます。
 そのため、公共調達への参入促進に向け、分かりやすい入札契約ガイドを作成するとともに、入札参加資格の登録支援体制を構築いたします。
 また、優れた技術や製品を有すると認められるスタートアップにつきまして、資格等級にかかわらず、都の入札に参加できる仕組みの検討を進めます。
 さらに、IT分野での柔軟で迅速な調達を実現するための国のデジタルマーケットプレースの検討に参加し、連携して進めてまいります。
 こうした取組により、様々な分野での公共調達を拡大し、スタートアップの飛躍につなげてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者就労支援施設等からの優先調達についてでございますが、都は、障害者が就労する施設等の仕事を確保し、経営基盤の強化を図るため、事務用品などの物品や印刷、清掃などについて、施設等から優先的に調達する方針を策定し、全庁で取組を進めてございます。
 これまで、各局による調達を促すため、発注可能な物品等の内容や受注実績を定期的に情報提供するほか、受注可能な施設等を紹介する専門相談窓口の設置などを行ってまいりました。
 今年度は、各局の取組状況や実施上の課題などに関する調査を実施しており、今後、個別に状況を確認し、発注につながらなかった事例の検証や、発注に向けた具体的対応などについて関係各局で意見交換を行い、施設等の受注機会のさらなる拡大を図ってまいります。
 次に、ひきこもりに係る区市町村支援についてでございますが、ひきこもりの方やその家族の状況に応じたきめ細かな支援を行うには、身近な地域における相談体制を充実することが重要でございます。
 このため、都は昨年度、都と区市町村による支援推進会議を設置し、施策や好事例を共有するほか、東京都ひきこもりサポートネットにおいて、地域の実情に応じた関係者間の連携づくりを支援しております。
 また、今年度は新たに、区市町村に対し、ひきこもり支援事業の立ち上げに要する経費への補助や、ひきこもりサポートネットに設置した多職種専門チームによる複雑困難な事例への助言などを行っております。
 こうした区市町村への支援を通じて、身近な地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、ひきこもりの方への就労支援についてでございますが、就労等を希望する当事者に対して、自己肯定感を大切にしながら、必要に応じて継続的に支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、ひきこもりに関する合同相談会において、東京しごとセンターや地域若者サポートステーションのブースを設けるなど、就労に関する機関と連携し、当事者やその家族を支援してございます。
 また、区市町村との支援推進会議で就労支援も含めた意見交換等を行うほか、地域におけるネットワーク体制の構築を推進するため、ひきこもりサポートネットが区市町村の状況に応じた連携づくりを支援してございます。
 こうした取組を通じ、就労に関する機関等と一層連携を図り、ひきこもりの方への就労支援を推進してまいります。
 最後に、チャイルド・デス・レビューについてでございますが、令和三年人口動態統計によると、都における十代の死亡数は百六十八人で、このうち自殺は八十人でございます。
 都は今年度、チャイルド・デス・レビューの実施体制や個人情報の取扱いなどについて、医療機関や先行自治体等にヒアリングし、警察等の関係機関との連携や、遺族からの同意の取得などに関する情報を収集いたしました。
 また、国のモデル事業の実施状況を把握するとともに、海外の取組事例なども調査をいたしました。
 これらを踏まえ、今後、都内の医療機関や保健所、警察等の関係機関と、都における実施体制等を検討する場を設け、自殺も含めた子供の死因について、年齢別の特徴や最近の傾向等について幅広く意見交換をしてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存集合住宅への太陽光パネル設置についてでございますが、都民の約七割の世帯が集合住宅に住んでおり、環境性能の高い住宅を普及する上で、集合住宅対策も重要でございます。
 集合住宅の多くは陸屋根であるため、パネルに傾斜をつける架台や高所での強風に耐えられる構造等が必要になるなど、設置費用が増大するケースが多うございます。
 都営住宅では、率先して今年度から二年間で約二百棟の既存住棟に太陽光パネルの設置を進めていくこととしてございまして、荷重等を抑えた新たな工夫を導入してまいります。
 民間住宅に対しましては、今回の補正で、集合住宅特有の負担を軽減するため、架台等を補助対象に追加し、停電時に給電できる蓄電池の補助率引上げなど支援を拡充してまいります。
 これらの取組によりまして、集合住宅に対して環境性能と防災力向上に資する太陽光パネル等の設置を促進してまいります。
 次に、住宅等への多様な再エネ利用拡大についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、地域や建物等の特性を踏まえた再エネ設備の選択、導入が重要でございます。
 都はこれまで、住宅等への再エネ導入の可能性を都民や事業者が視覚的に確認できるよう、太陽光、太陽熱、地中熱、おのおののポテンシャルマップを公開するとともに、導入を支援してございます。
 さらに、HTTを強力に推進するため、補正予算により、地中熱、太陽熱利用設備に対する補助についても拡充することといたしました。
 こうした取組を通じまして、再エネを活用した住宅等の普及を促進し、二〇五〇年ゼロエミッション東京を実現してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅の管理業務の効率化についてでございますが、都営住宅の入居者の利便性向上と管理の効率化を図るためには、管理業務のデジタル化が必要でございます。
 このため、都は、令和八年度を目途に、都営住宅管理総合システムの再構築に向けた取組を進めております。
 現在、業務内容の詳細な分析を行いまして、業務の簡素化や統合化などを検討するとともに、キャッシュレス決済をはじめ、他自治体の先進的な取組や、市場で流通している公営住宅の管理システムなどを調査しておりまして、必要な機能などを次期システムに反映させてまいります。
 こうした再構築を通しまして、入居者が行う申請や届出などの手続全般のオンライン化を図るとともに、職員が手作業で行っている業務をデジタル化しまして、都民のQOLと都政のQOSの向上を図ってまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 八十四番谷村孝彦君
   〔八十四番谷村孝彦君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十四番(谷村孝彦君) 都が新たなビジョンとして多摩の将来像二〇〇一を策定し、二十年が過ぎました。それまでの三多摩格差の解消という、常に二十三区との比較をして発展を目指すというスタンスを改め、自立した多摩を構築していくという画期的なものでありました。
 多摩の人口四百万人は、都道府県別人口ランキングで換算すれば、当時の人口も、現在も、静岡県より上の第十位に入るからであります。
 古今東西、国家の都を起点として放射線状に交通網が整備され、それに沿って経済圏、生活圏、文化圏が構築されてきました。自立した多摩を築くためには、大都心という強烈な引力を生かしながらも、南北交通の整備が必要不可欠であり、この二十年間、圏央道や多摩南北道路主要五路線が着実に整備されてきました。
 一方、公共交通機関の整備としては、四十年前に公明党が、全長九十三キロメートルに及ぶ、多摩地域を循環するモノレール構想を打ち出しました。これは多摩の山手線であり、私は多摩の手線と呼んでおりますが、現在、その構想の一七%が開通しております。
 先日、箱根ケ崎への延伸に向けた都市計画素案の説明会が、武蔵村山市、東大和市、瑞穂町で開催されました。
 小池知事はこれまで、一万名署名などを推進されてきた、モノレールを呼ぼう!市民の会の米原義春会長、澤田泉副会長にも直接お会いしてくださり、施政方針演説や所信表明演説で、幾度も多摩都市モノレールの箱根ケ崎への延伸について言及されております。
 自立した多摩を構築していく上で、多摩都市モノレールは、欠くことのできない交通インフラであります。
 箱根ケ崎への延伸実現に向けて、今後の取組と開業時期の見通しについて、知事の見解を求めます。
 我が国における重要課題は三つ、一に教育、二に教育、三に教育。これは、十年間にわたって英国を牽引した宰相トニー・ブレアの公約演説の有名な一文であります。国家や都市の発展にも、国民、都民の皆様の暮らしをよくするためにも、教育こそがその鍵を握っております。
 東京都では、都議会公明党の推進で、二〇一七年度から私立高校授業料の実質無償化をスタートさせ、その後、所得制限を緩和。その対象も通信制高校まで拡大し、全国にも波及しました。どの高校に進学するかは、人生の進路を大きく左右することにもつながります。
 スタートして五年になりますが、現在、課題もあります。それは、四月から十二月までは授業料を一旦納入し、九か月後にようやく補助金が支給されるという仕組みであり、これが保護者の負担となっております。
 これまで都議会公明党は、再三にわたり、代表質問でこの解消を求めてまいりました。来年度からの支給早期化に向けて、明確な答弁を求めます。
 次に、都立高校についてであります。
 来春の入学試験で合否判定に反映される英語スピーキングテスト、いわゆるESAT-Jが、先月二十七日に初めて実施されました。各種報道でも大きく取り上げられましたが、その実施状況について、教育長の答弁を求めます。
 今回初めて実施されたESAT-Jは、英語教育の在り方を大きく転換するものとなりました。昨年には都内約八万人の中学三年生を対象にプレテストが実施されており、その以前から、既に、中学校における英語教育も、聞く、話す、読む、書くという四技能習得への取組に大きくかじが切られております。
 そこで、最も重要なことは、中学校の英語教育に及ぼしたインパクトを踏まえて、都立高校の英語教育が、それにふさわしいレベルになっているのかどうかということであります。最低でも、全ての都立高校でオンライン英会話の授業を導入し、英語検定試験の活用も対象校を拡大するべきであります。
 都立高校の英語スピーキング教育の強化策について、明快な答弁を求めます。
 次に、都の工事契約でのダンピング防止策について質問します。
 工事契約での最低制限価格は、不当なダンピングを防ぐため、国も都も、予定価格の九二%を上限に設定されております。
 都議会公明党の要請を受け、都は、本年七月、最低制限価格の算出式における一般管理費が占める比率を、国に準じて引き上げたところであります。
 一方、国は、一般管理費の比率を引き上げても、最低制限価格の上限設定の見直しは見送り、都もこれに追随しておりました。
 しかし、都には、国とは異なり、中小企業の保護を目的とした予定価格の事前公表制度があります。新たな比率に従い一般管理費を見積もっても、事前公表案件では、最低制限価格の上限比率が従来と変わらないため、ダンピング対策の効果が発揮されず、応札価格が頭打ちとなってしまい、都議会公明党は改善を求めてまいりました。
 これを受けて都の改善策を示し、丁寧かつ早急な周知を急ぐべきであります。見解を求めます。
 私の地元東村山市には九つの鉄道駅があり、線路によって東西南北に分断されており、その解消は市民の皆様の悲願でもあります。
 特に東村山駅前を走る都道、府中街道は、市役所や警察、消防各署があり、市の中心街でありながら、多くの通過車両によって慢性的な渋滞となっております。
 そこで、私は、二〇〇八年三月の予算特別委員会で、渋滞解消に向けた早期の対応を求めました。建設局は、当時の道家局長を先頭に全力で取り組んでくださり、すぐさま国との協議が開始され、翌二〇〇九年四月には、国交省が新規着工準備採択をし、二〇一二年十月に都市計画決定、二〇一五年一月に工事着手をしております。
 連続立体交差事業によって、府中街道や鷹の道、東村山駅北側の大踏切など五か所の踏切がなくなるだけでなく、府中街道の渋滞を避けて、裏道と称して生活道路に進入してくる車両も大幅に減少するなど、生活道路の安全性も向上します。
 また、東西に分断されている東村山駅周辺の新たなまちづくりも可能となり、この工事に合わせてホームドアの設置も決まりました。
 西武線東村山駅における連続立体交差事業の現在の進捗状況と、今後の見通しについて答弁を求めます。
 次に、村山貯水池、いわゆる多摩湖についてであります。
 多摩湖東側の堤体は、約六年かけて二〇〇八年に耐震化が完了しましたが、多摩湖中央の堤体は、現在、耐震化工事が続いております。この堤体は、東日本大震災級の地震が発生した場合、約二メートル下に沈むことなどが判明し、耐震補強をすることが決定しました。
 一方で、この堤体の上を走る道路は、時間帯によっては交通量がとても多く、欄干にぶつけてしまう車両も少なからずあり、歩道は湖面近くまで下りるという危険な道路であったことなどから、堤体の耐震補強の際には、同時に、六メートルの車道を九メートルに拡幅し、車道に平行した歩道の設置も要請しておりました。
 しかし、二〇一五年一月に提示された計画素案では、技術的に困難との結論でした。
 私は、五十年に一度の大きな工事なので、車道の拡幅と歩道設置を粘り強く要請いたしました。これを受けて技術的検討を重ねてくださり、半年後には、車道を九メートルに拡幅し、並行して歩道も設置する計画案が決定しました。
 二〇一九年七月に着工し、いよいよ完成間近となりました。多摩湖中央の堤体強化事業の取組状況と、完成時期について答弁を求めます。
 次に、都立多摩北部医療センターについてであります。
 多摩北部医療センターは、一九八六年に都立多摩老人医療センターとして、高齢者専門の病院として設置されました。その後、小児救急など、医療ニーズの変化により、二〇〇五年に当時の東京都保健医療公社に移管され、いわゆる公社病院として総合病院化されました。
 その際、日本共産党は、多摩北部医療センターが都立病院から公社病院になることに大反対しましたが、先般、独法化によって、公社病院から都立病院に戻ることになった際にも大反対しております。
 この多摩北部医療センターも、老朽化によって建て替え、改築することとなりました。
 東村山市内に出産できる病院がないため、私は、最優先課題として産科を設置することを求めるとともに、小児救急体制や感染症対策の強化、ドクターヘリ、災害用ヘリが離着陸できるヘリポートの設置を求めてまいりました。
 基本構想検討委員会の結論も踏まえ、明快な答弁を求めます。
 次いで、水害対策についてであります。
 近年、記録的な大雨による被害が多発し、特に東大和市南部では、床上、床下浸水被害が頻発しております。
 調べてみると、東大和市、武蔵村山市、そして立川市が隣接する地域一帯が、地形的に低いがゆえに浸水、冠水が繰り返されていることが分かりました。
 再三再四にわたり要請した結果、都は、二〇一八年第三回定例会の公明党の代表質問に対する答弁で、都が広域雨水幹線を整備し、流域下水道事業として実施することを表明しました。
 三市、九キロメートルという事業区間が長いため、特に東大和市では先行して事業効果の発揮が求められております。現在の取組状況について答弁を求めます。
 最後に、都内最大のアスレチック遊具がある、都立野山北・六道山公園についてであります。
 同公園には、都内有数の長い滑り台などがあり、コロナ禍にあっても、入り口付近の都道に渋滞ができるほどにぎわう公園であります。特にお子さん連れに人気の高い冒険の森とあそびの森は、自然環境を大切にするあまり、樹木が生い茂り、どこが入り口なのかさえ分かりにくい状況にありました。
 私は、この二つの森のそれぞれに、エントランスやその広場の新設と駐車場の拡充を要望してまいりました。現在の整備状況や完成時期について答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸についてでございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁し、豊かな自然や良好な住環境に恵まれ、また、多くの大学や研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京に欠くことができません。
 箱根ケ崎方面への延伸を実現することによりまして、都内で唯一、鉄道のない市において利便性が飛躍的に向上するとともに、開業区間と一体となって南北方向の拠点も結び、多摩地域の活力や魅力をさらに高めることができます。
 都は、沿線市町によります沿線まちづくり構想の策定なども踏まえまして、令和二年度に調査検討を開始し、本年十月には沿線自治体の住民向け説明会を開催いたしました。
 今後、国や沿線市町、運営会社など関係者と一層連携を図りまして、二〇三〇年代半ばの開業を目指してまいります。また、沿線市町と共に地域の個性と魅力を生かしたまちづくりを推進してまいります。
 引き続き、多摩地域におけます公共交通ネットワークの充実を図り、地域のさらなる発展へとつなげてまいります。
 残余の質問は、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 スピーキングテストについてでございますが、本テストは、中学校の学習で身につけた英語の話す力を客観的に評価するとともに、都立高校入試に活用することで、中学校と高校における英語指導の充実を図り、生徒の使える英語力の育成を推進するために実施するものでございます。
 今年度の本試験は、十一月二十七日に都立高校等百九十七の会場において実施いたしました。都内公立中学校第三学年の生徒約六万九千人が受験し、体調不良等による欠席者がいたものの、採点結果に影響を与えるようなトラブルがなく終了いたしました。
 引き続き、十二月十八日に実施する追試験が円滑に行われるよう、万全の準備をしてまいります。
 次に、都立高校における英語力の強化についてでございますが、中学生が身につけてきた英語の話す力を都立高校に入学後もさらに伸ばすために、実際に英語を使う機会をより充実させることが重要でございます。
 都教育委員会ではこれまで、都独自の動画コンテンツを活用した指導実践の充実や、全都立高校に配置している外国人指導助手を活用した英語によるディスカッションの実施など、指導の改善に取り組んでまいりました。
 今後、より多くの生徒がオンライン英会話を利用できるようにするほか、外部の英語検定試験を活用した話すことに関する指導の工夫など、英語力強化に向けた取組の拡大について検討することにより、英語をツールとして使いこなす力の育成の加速化を図ってまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、市内五か所の踏切を除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 平成二十五年度に着手し、用地については、現在九割以上取得していますが、一部の用地で権利者との折衝が難航し、時間を要しております。
 一方で、並行して高架橋の工事を進めておりまして、先月、鷹の道の上空に橋桁を一部架設し、来年度には府中街道や駅北側の都道にも架設いたします。
 今後は、早期の事業完了に向け、残る用地の取得に努めますとともに、工事工程を見直しながら、関係機関と連携し、本事業を積極的に推進してまいります。
 次に、野山北・六道山公園についてでございますが、本公園は、狭山丘陵に位置する都立公園であり、里山の豊かな自然環境を有しております。公園の東側のエリアには、丘陵地の斜面を生かし、アスレチック遊具の広場である冒険の森とあそびの森を整備しておりまして、多くの子供に親しまれています。
 昨年度から、これらの森につながる新たなエントランス広場と駐車場の整備を進めております。広場には、日よけのためのパーゴラやベンチなどの休憩施設を設けますとともに、駐車場は臨時を含め約九十台分を確保し、来年の二月に供用を開始する予定でございます。
 こうした施設の整備により、来園者の利便性の向上を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 私立高校授業料の保護者負担軽減についてでございますが、補助金の早期支給は、授業料を負担している保護者にとって重要でありますことから、都はこれまで、DXを活用した申請及び審査手続の検討を行ってまいりました。
 このたび、新たな申請及び審査に係る情報管理体制について、専門家評価において了承が得られたことから、支給スケジュールが確定いたしました。
 具体的には、令和五年度から、保護者負担軽減補助金は、都外の私立高校に通う生徒など一部の例外を除く受給者に対しまして、現在の十二月末から十月中旬に最大二か月半前倒しして支給をいたします。
 今後は、関係者と連携し、保護者や学校に対して丁寧な説明、周知を実施するなど、補助金支給の早期化を着実に推進してまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 工事における最低制限価格等についてでございますが、都はこれまで、最低制限価格制度や低入札調査制度を活用してダンピング対策を図ってきたところでございますが、ダンピング対策のさらなる徹底を図るため、本年七月に国の基準に合わせてこの算定基準を引き上げました。
 算定基準の引上げ以降に実施した入札案件について、影響の分析を行ったところ、最低制限価格等が上限値に達する案件の増加が確認されました。
 こうした案件についてもダンピング対策の効果を行き渡らせるため、最低制限価格等の上限値について、都独自に予定価格の九二%から九三%に引き上げ、来年一月から適用することとしております。
 本見直しは、既にホームページの掲載や業界への周知を図っており、個々の案件ごとに明示して進めてまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 村山上貯水池堤体強化事業についてでございますが、水道局では、大規模地震の発生時における安定給水の確保を目的として、盛土による堤体の強化を進めており、来年八月の完了を予定しております。
 また、堤体上部の車道につきましては、交通の安全性を向上させるため、幅員を六メートルから九メートルに拡幅するとともに、渋滞緩和のため右折レーンを新設してまいります。
 あわせて、堤体下部に迂回していた歩道は、歩行者の利便性や安全性確保のため、車道と並行して幅員六メートルで整備するほか、地域住民に一層親しまれるよう、貯水池を眺望できるベンチを設置いたします。
 これらの整備は、令和六年一月の完成を予定しており、引き続き、水道事業に対する都民の皆様のご理解をいただきながら工事を着実に推進してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 多摩北部医療センターの改築に関するご質問にお答えをいたします。
 多摩北部医療センターは、救急医療やがん医療などの提供を通じて、北多摩北部医療圏で重要な役割を果たしてまいりました。
 先般公表された新病院の基本構想検討委員会報告では、地域に医療資源が少ない産科の新設や地域医療機関との連携による小児救急の充実の検討に加えて、感染症医療に必要な陰圧病床や災害医療の対応に必要なヘリコプター離発着場の整備等を求めてございます。
 新病院が、より質の高い医療を提供し、地域住民の安全・安心の確保に一層貢献できるよう、都立病院機構では、この委員会報告や都民アンケートの結果なども踏まえ、今年度末までに基本構想を策定してまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 空堀川上流雨水幹線の取組状況についてでありますが、都は、東大和市、武蔵村山市、立川市と連携し、浸水被害の軽減に向けて取り組んでおりまして、延長約九キロメートルの雨水幹線を複数の工区に分けて整備することとしております。
 これまで流出解析シミュレーションを実施し、一時間当たり六十五ミリの降雨に対応できることを確認するとともに、浸水被害が頻発している東大和市駅前などを含む延長約二キロメートルの区間につきまして、設計や関係機関との調整を行ってまいりました。
 その結果、今年度中に工事に着手できる見込みとなったことから、本年八月から九月にかけて住民説明会を開催いたしました。当該区間の完成後は、早期に整備効果を発揮させるため、暫定的に貯留施設として稼働させる予定でございます。
 今後とも、空堀川上流雨水幹線の整備を着実に推進してまいります。

○議長(三宅しげき君) 三十五番福手ゆう子さん
   〔三十五番福手ゆう子君登壇〕

○三十五番(福手ゆう子君) 私は、医療機関で八年間働いていました。
 失業や低収入で、食事を減らし、クーラーを我慢して熱中症で具合が悪くなった患者さんや、糖尿病が悪化し治療が必要で、受診をしても支払いができない方などに関わってきました。
 お金の心配なく医療を受けられるようにすることは、人としての尊厳を守ることです。人の命や健康に差別や格差があってはならない、これは私の原点です。
 無料低額診療は、生活が困難な方に無料または低額で診療を行う事業であり、重要な役割を果たしています。
 中学生の子供を持つシングルマザーの女性は、契約社員で、国民健康保険料が高過ぎて払えず、保険証がありませんでした。具合が悪くても病院に行かず、重症化して救急搬送になりましたが、その後、無料低額診療につながり、治療を受けることができました。
 また、全身にひどい蕁麻疹が出て、無料低額診療を利用された四十代の男性は、リストラに遭い収入がなくなり、やはり無保険になってしまいましたが、無料低額診療で一か月集中して治療したことで、その後、就職活動を再開し、半年後には就職することができました。
 コロナ禍で居酒屋の仕事を失った六十代の方は、脳梗塞で運ばれた病院でかかった医療費で貯金を使い果たしてしまいました。その後、無料低額診療の病院に転院して、リハビリを行うことができました。
 近年、外国人の無料低額診療の利用も増えています。とりわけ外国人で無保険、無収入など無権利状態に置かれている方たちにとって、医療にかかる手段は、ほぼ無料低額診療しかありません。
 コロナ禍と物価高騰で、これまで何とか生活できていた人たちも食料支援を利用するようになり、医療費が払えない、保険証がなくて病院にかかれないという相談も増えています。経済的な理由で医療にかかれない人がいる状況は、あってはならないと思いますが、知事はどう認識していますか。
 また、政府も、無料低額診療は低所得者等に対する必要な医療を確保する上で重要だと評価しています。都民の受療権、医療を受ける権利を守る無料低額診療がますます重要になっていると考えますが、知事は無料低額診療事業の意義をどのように認識していますか。
 無料低額診療を実施する医療機関は、患者の医療費を減免しますが、そこには公的な補填はありません。本来であれば、直接的な支援が必要です。
 経営的に負担であっても、経済的な理由で医療を受けられないことがあってはならないというのが、実施している医療機関の共通の思いです。
 東京都社会福祉協議会の医療部会は、東京都や各自治体との連携を深め、無料低額診療を地域福祉の重要な機能と位置づけていきたいと目指しています。
 しかし、現在都内で実施医療機関がない市区町村は三十六か所で、全体の約六割に上ります。無料低額診療を行う医療機関を増やしていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 暮らしが大変になっている人が増えていても、無料低額診療の利用者数は増えていません。医療機関からも、無低診を知られていない、たまたま見つけて来る方がほとんどという声が出されています。
 さらに、無料低額診療を利用すること自体、ハードルが高いと感じる方が多くいます。病気にかかったのは自分の責任と捉え、生活に困窮していても、無料で医療にかかることを遠慮するのです。
 東京都が都民に対して、無料低額診療がどのような制度で、どの医療機関で行っているのかや、無料低額診療の利用は権利であることについて、リーフレットやポスター、デジタルサイネージ等を利用し周知すること、併せて福祉事務所や区市町村の生活困窮者支援相談機関、その他支援を必要としている方たちの相談に応じている関係機関にも周知し、相談者を利用に結びつけることを求めますが、見解を伺います。
 都立病院は、東京の医療を支える最後のとりでといわれていますが、低所得の方たちにとっても最後のとりでとなることが重要です。不採算医療の無料低額診療事業を都立病院でこそ実施すべきです。都立病院が実施すれば、制度の認知度を高めることにもなります。無料低額診療を都立病院で実施することを求めますが、知事の見解を伺います。
 薬局は無料低額診療の対象外で、改善する必要があります。全国では十一の自治体が独自で薬代の助成を行っています。東京都も行うことを求めます。
 無料低額診療は、憲法二十五条の具体化であり、本来は行政が責任を持って行うべきものです。そして、都民の皆さん、経済的に困ったときは、ためらわず無料低額診療を利用してほしいと思います。これは私たち国民の権利です。
 このことを呼びかけて、次の質問、性暴力被害者支援に移ります。
 この瞬間にも、身体にも心にも大きな傷を受け、苦しむ被害者がいます。ワンストップ支援センターは、二十四時間三百六十五日、性被害者がいつでも相談できる体制が取られ、被害後七十二時間以内の場合に避妊薬の投与など緊急医療対応が行われます。
 身体的、心理的な不安の相談を通じて、証拠採取や診察、法的支援など、必要とする機関へつなげるための同行支援も行います。
 これらの支援を可能な限り一か所で迅速に提供することで、被害者の負担を軽減して、心身の回復や解決を目指しています。
 先日、私は、東京都の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの相談状況をお聞きしました。小中学生からの性被害の相談等が増えているとのことでした。また、過去に受けた性被害に今も苦しむ方の相談もたくさん受けています。
 新たに施行されたAV出演被害防止法で、ワンストップ支援センターが相談窓口として位置づけられているなど、さらに役割が重視されています。
 一方で、被害に遭っても、相談するほどのことじゃない、自分のせいだからと、自分に責任があると感じて誰にも相談できない方もいます。こうした点でも被害者支援の強化が求められます。
 ワンストップ支援センターの相談は電話が中心ですが、今は、被害者と直接会い、産婦人科への同行支援をすることが増えていて、今年は既に百件を超えています。被害に遭った方や勇気を出して声を上げた方、それを支えた人たちの活動が切り開いてきた重要な変化です。
 ワンストップ支援センターには、相談センターと病院が別々に設置されるセンター拠点型、相談センターを中心とした連携型と、病院内に相談センターが置かれている病院拠点型の三つの形態があります。
 病院拠点型の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでは、相談と医療が一か所で迅速に受けることができ、被害者の負担を軽減する上で重要と考えます。
 東京都の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおいて、被害者の負担を軽減するため、相談と医療が一か所で迅速に受けられるなど、被害者に寄り添った対応が重要と考えますが、知事はどう認識されていますか。
 国は、第五次男女共同参画基本計画で、ワンストップ支援センターの設置件数を増やすことを目標として掲げ、昨年度から増設を支援する予算もつけています。
 都内のワンストップ支援センターは一か所です。全国で一番人が集中する東京で、ワンストップ支援センターを増やすこと、利用者の利便性の高いところに設置すること、病院拠点型を設置することが必要ですが、いかがですか。
 二〇一八年度の東京の相談は、十九歳以下が百九十七人、相談内容は強制性交が六割で、加害者は家族関係にある人が四分の一を占めていました。そして、この傾向は今も変わっていません。こども基本条例を持つ東京都として、子供の性被害は放置できないと思いますが、認識を伺います。
 沖縄県は、二〇一九年から公立病院に相談センターを設置した病院拠点型のワンストップ支援センターを開設しています。
 沖縄県では、総合病院である公立病院にワンストップ支援センターがあることによって、産婦人科の医師が小児科の医師とタッグを組んでいくことで、子供に対して系統立ったアプローチができるようになった、小児科を受診した子供が虐待を受けていることが疑われる場合に、性暴力に気づいて組織的に対応できるようになり、若年被害者へ早く適切な支援ができるようになったと伺いました。このような病院拠点型のメリットがあります。
 都における若年被害者への支援の取組について伺います。
 政府は、病院にセンターを設置すること、特に中長期的な関係の安定を見据えて、公立病院や公的病院への設置を進める方針を示しています。
 性暴力被害者支援に率先して取り組むことは、都立病院の重要な役割ではないかと考えますが、知事いかがですか。
 性暴力被害者への支援のためには、多くの診療科が連携して対応することが重要です。その点で、都立病院は総合診療基盤を生かした医療の提供を役割としています。
 例えば、小児科、産婦人科、精神科などが設置されている大塚病院などに、病院拠点型ワンストップ支援センターを設置することにより、性被害者支援をさらに拡充することができると考えますが、都の見解を伺います。
 被害者支援の充実に向け、ワンストップ支援センターの在り方を検討する関係機関、支援団体等が参加する検討会を設置すべきと考えますが、いかがですか。
 沖縄県のセンターの担当医師は、被害者の診察は特別なスキルが求められること、被害者の対応には女性医師が求められるので、多忙な労働環境の改善や生活との両立の支援等を行い、人材を確保することの必要性を強調されました。
 都立病院の女性医師の比率は約三割となっていますが、性暴力被害者への支援を充実するためにも、都立病院において女性医師を増やすことが必要です。女性医師をはじめとした医療従事者が専門性を高めるとともに、働きやすい環境をつくることが重要です。見解を伺います。
 第四期東京都犯罪被害者等支援計画では、性犯罪、性暴力の被害者支援の充実を図るため、医療従事者の専門性向上のための取組を支援するとあります。都は、医師、看護師をはじめとした専門性を持った医療従事者の研修を実施していますが、その目的、内容と工夫されていることについて伺います。
 性暴力被害者支援に東京都が主体的に関わり、また、社会全体の課題として取り組むことで、被害者の回復と性犯罪、性暴力のない社会を実現することを求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 福手ゆう子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、無料低額診療事業についてのお尋ねがございました。
 都は、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指しております。
 社会福祉法に基づく無料低額診療事業は、低所得者等に対する医療を確保する上で一定の役割を果たしております。
 性犯罪等被害者への対応につきまして、性犯罪等被害者の心身の負担を軽減するためには、身体、精神両面からの様々な支援が必要でありまして、都では、被害直後から関係機関の連携を図り、支援をいたしております。
 このため、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、医療機関を含む関係機関による支援を迅速にコーディネートするなど、適切に対応いたしております。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、無料低額診療事業を行う医療機関についてでございますが、国は、本事業について、社会情勢等の変化に伴い必要性が薄らいでいるとして、新規開始を抑制する方針を示してございます。
 なお、都は、社会福祉法に基づき、医療機関から本事業の開始の届出があった場合は受理してございます。
 次に、無料低額診療事業の周知についてでございますが、都は、本事業の内容及び実施している医療機関をホームページに掲載するとともに、福祉事務所に対して、毎年度、本事業の活用について承知をしてございます。
 次に、都立病院での無料低額診療についてでございますが、無料低額診療事業は、社会福祉法に基づく社会福祉事業として位置づけられており、都立病院における実施については、都立病院の役割や、地域医療機関との医療連携の在り方や機能分担など、課題があると認識してございます。
 次に、都立病院での性暴力被害支援についてでございますが、現在、八つの都立病院が性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の協力医療機関となっており、性犯罪や性暴力の被害者に対して医療的な支援を行う体制を整えてございます。
 最後に、都立病院の医療従事者についてでございますが、都立病院の医師等の医療従事者は、性暴力の被害者ケアに関する知識を身につけられるよう、都が産婦人科医会等と共催する研修に参加をしております。
 また、都立病院機構では、女性医師を含め、職員が働きやすい環境を整備するため、育児に限定しない短時間勤務の制度を導入してございます。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、性犯罪等被害者を支援する窓口についてでございますが、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでは、都内全域の被害者から二十四時間三百六十五日体制で電話相談を受けてございまして、被害者の状況に応じて、都が協力を依頼している医療機関と連携し、支援を行ってございます。
 本年度、連携先を二倍以上に拡大し、被害者がより身近な地域で支援を受けられるよう対応してございます。
 次に、若年被害者への支援についてでございますが、都は、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、子供や保護者等からの相談に対応するほか、周囲の大人が被害に遭った子供に適切に対応できるよう、留意点等を掲載いたしましたリーフレットを作成し、学校、都の協力医療機関、医療福祉機関等に広く配布してございます。
 また、支援者向け研修や都民向け講演会でテーマとして取り上げるなど、連携先機関と共に子供への支援強化を図ってございます。
 次に、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターについてでございますが、都では、当センターを拠点といたしまして被害者支援を行ってございます。様々な被害状況に対応するため、都立病院を含め、都内の医療機関等と連携し、適切な支援を行ってございます。
 次に、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの在り方についてでございますが、性暴力被害者の支援に当たっては、産婦人科、精神科を含む中核的な病院との安定した連携協力関係が重要であることから、第四期東京都犯罪被害者等支援計画におきまして、事務的な管理等に必要な人材の配置や、他道府県の事例を踏まえました体制強化を検討し、関係機関との連携により各種支援を総合的に提供することとしてございます。
 最後に、医療従事者の研修の目的、内容等についてでございますが、都は、性犯罪等被害者への支援につきまして、医療従事者の理解や協力を求めていくため、産婦人科医会等との共催により、医師や専門看護職でございますSANE、公認心理師等を対象といたしました研修を毎年度実施してございます。
 研修では、必要な検査や治療方法、二次的被害を避けるための診療上の留意点のほか、SANEの養成プログラムなどについても解説してございまして、昨年度は開催期間を一か月とし、動画配信方式で実施いたしました。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 子供が受けている性被害についてでございますが、次世代を担う子供が心身に有害な影響を受けることなく健やかに成長する環境を整える必要がございます。
 このため、都は、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、学校や児童相談所とも協力しながら、相談対応、医療機関等への付添い、精神的ケア等の支援を行うなど、各局連携の下、取り組んでおります。

○議長(三宅しげき君) 二十四番磯山亮君
   〔二十四番磯山亮君登壇〕

○二十四番(磯山亮君) 子供や子育て家庭に対する支援は、国や都、市区町村それぞれにおいて取組が進められているものの、少子化、人口減少に歯止めがかかっていません。
 地域コミュニティが希薄化する中、コロナ禍も相まって、子供や子育て家庭を取り巻く状況は深刻さを増しています。今こそ子供政策を強力に推進し、一人一人の子供が健やかに育つことができる社会を実現し、社会の持続的な発展を確保しなければなりません。
 大事なことは、全ての子供と子育て家庭への支援の充実です。
 都はこれまで、働き方の観点から、待機児童解消のために、認可保育所の整備などに取り組むなど実績を重ねてきましたが、共働き世帯を前提とした制度の充実だけでなく、核家族化の進展などにより孤立感が増している、在宅で子育てを行う家庭に対する支援にも取り組んでいくことが重要です。
 ある調査では、子育て中、どんなときに孤立や孤独を感じているか聞いたところ、子供と二人きりでいるときに感じる割合が一番多かったとの結果も出ています。国においても、未就園児の親に対する支援の必要性について議論されています。
 安心して子供を産み育てることができる社会を構築するため、在宅子育て家庭を含めた、あらゆる子供、子育て家庭に対する支援に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私は、障害者は雇わないといけないという風潮を変えたい、障害者の特性や能力に応じて企業の戦力として活躍する、明るい障害者雇用の実現を進めていきたいと考えています。
 そのアプローチの一つが、第一回定例会で提案したニューロダイバーシティの推進です。ニューロダイバーシティは、多様性を受け入れる考え方の一つです。
 障害者の特性を理解し、周囲による少しの支援、協力があれば、その能力が開花することも多くあります。特に、発達障害者には高度な集中力や分析力を持つ方も多く、ゲームのバグを発見する業務をはじめ、様々な企業で活躍しています。
 こうした発達障害の方を、高度のデジタル人材として積極的に採用する取組をもっと進めていけば、人材不足に悩むIT業界にも寄与し、日本の経済成長を牽引する原動力にもなっていきます。
 先日、都が開催した障害者雇用を促進するオンラインイベントでもこのテーマが取り上げられました。発達障害人材には、まだまだ活躍の可能性があります。それを引き出すためには、個々の特性を広く認め、理解し、サポートし合える環境づくりを行政としても支援していくことが必要です。
 そこで、都は、社会のデジタル化やIT人材の確保が急がれる状況を障害者が活躍できる好機と捉え、ニューロダイバーシティを普及する取組を一層推進し、発達障害者がその特性や能力を生かして働ける場が広がるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタル化は、特別支援学校において劇的な変化を引き起こす可能性を秘めています。第一回定例会で提案したeスポーツの活用について、都は明日、特別支援学校五校をオンラインでつなぎ、オセロ大会を開催します。
 身体的な障害がある児童にとって、移動の負担が軽減されれば、ほかの子供たちが体験する日常と同じ経験を得ることや、児童同士の交流の機会につながります。
 オンラインを活用したオセロ大会のように、障害のある子供たちの交流の機会を増やす取組は、都全体の特別支援学校に拡充していくべきと考えますが、今後の取組の方針を伺います。
 特別支援学校に通う児童生徒は多様な症状を持っているため、勉強をもっとしたいという声も聞かれます。
 先日、小平市の特別支援学校を視察し、二人の児童の授業の様子を拝見しました。生まれつき力を入れることが不得意な肢体不自由の児童がアイパッドで文字を入力。マイクロソフトのチームを使い、お互いの意見を発表し合い、その後、先生がコメント。そこには、生徒同士や先生とのコミュニケーションを通じた授業が存在していました。先生のスキルも高く、質の高い教育現場でした。
 デジタル技術を活用し、個に合わせた教育を提供することは、令和のスタンダードになるべきと考えます。
 肢体不自由の子供が、コミュニケーションの幅を広げながら、主体的に学べるようにするためには、障害に応じた支援機材など、デジタル機器の活用を充実させる取組を加速させることが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 特異な才能や特性ゆえに学校で著しく困難を抱えている子供たちに対して、その困難に着目し、その様子と周囲の環境との相互作用を考慮しながら、困難を解消するとともに才能を伸ばしていくために、国も既に動き出しています。
 実際に、勉強はできるが、授業態度が悪い、他者への攻撃性がある、協調性がないといった児童の指導経験がある教員の方から、今考えれば、ひょっとしたら2Eに当てはまるのではないかと思うといった経験談も伺いました。
 これまでは、各学校、教育委員会といったそれぞれの現場で対応されてきましたが、指導のばらつきや教員の負担感につながっているのが現状ではないかと考えます。
 そこで、特定分野に特異な才能のある子供たちが抱えている困難の解消に向け、都教育委員会として、一人一人に応じたきめ細やかな学びを実現するために、市区町村教育委員会に対して、事例の共有や教員への周知を促進していくことが効果的な指導の実現に寄与すると考えますが、見解を伺います。
 都市農業の振興に関しての課題は多く、例えば相続税や後継者の問題、また、地方のような大規模な農業生産を行うことができないため、生産量が少なく、高コストになることなどが挙げられます。
 一方、都市農業の強みも存在します。例えば、世界でもトップクラスの消費地である東京という大都市に位置しており、さらに、東京のグルメといえば、世界中の観光客が求めてやってきます。
 小平市の中にも都心の有名なレストランに農産物を提供している農家もあり、多摩地域の農産物が東京のグルメを支えています。地産地消を進め、農家の農業所得を増やすことが農業のやりがいを高め、後継者問題の解決にもつながります。
 一方、市内飲食店では、地場産の農産物の品質の良さなどを理由に使用したいといった声があります。しかしながら、コストが高くなるため、導入に踏み切れない現状があります。
 そこで、地産地消の推進の観点から、都内飲食店への地場産農産物の導入とメニューの開発等に対して支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 文化庁では、地域の世代を超えて受け継がれてきた食文化を百年続く食文化、百年フードと名づけ、継承していく取組を行っています。
 昨年、小平市を含む地域において、武蔵野地域のうどん文化が江戸時代から続く郷土料理として認定されました。また、武蔵野うどんは、食べるだけでなく、うどんづくり体験などのイベントを開催すると地元の親子にも大人気です。
 このように多摩地域における特産品を生かした体験イベントと併せて、そのご当地の食を楽しんでもらうことにより、一層、食文化の魅力を感じていただくことができると考えます。
 外国人観光客も戻りつつある中で、インバウンドに向けても日本の食を生かしていくことが重要です。
 そこで、多摩地域の観光振興における食の文化を生かした取組を進めてはどうかと考えますが、都の見解を伺います。
 令和三年度に都内の消費生活センターに寄せられたトイレの詰まり解消等の修理に関する相談は九百三十三件と高止まりの状況にあり、若年層を中心に被害が広がっています。安価な代金が記載されているウェブサイトのフリーダイヤルに電話をし、修理を依頼したが、修理方法と代金を次々と提案され、最終的には二十五万円という法外な金額を支払った例があります。
 令和三年十月十五日、このトイレの詰まりをきっかけにした高額な修理契約に係る紛争はあっせん解決しました。東京都消費者被害救済委員会はクーリングオフができると判断。既払い金の返還及び債務不存在の確認を行う合意がなされました。
 しかしながら、同種の被害は後を絶たず、多くの被害者が泣き寝入りしているのが現状です。被害者全てを救済するためには、サポート体制の拡充と、被害撲滅のため、高額請求を行う悪徳事業者の取締りを強化することが必要です。
 水回り修理、鍵の修理、害虫駆除などの緊急対応に関する消費者被害の防止、救済にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に他者の健康な臓器を移植して機能を回復させる医療であり、善意の第三者に支えられています。
 日本で臓器移植を希望して待機している方は一万五千人を超えるのに対し、移植を受けられる方は年間およそ四百人となっています。臓器移植は自国内で確保すべきとされていますが、国内での移植の見込みが立たないことから、海外での移植を希望して渡航する人もいます。
 しかし、海外移植をあっせんする公的な組織がなく、中には臓器売買が疑われるような事例も発生しています。また、海外で臓器移植を受けた方が、国内での受診に苦慮する現実もあります。
 多くの人が国内で移植を受けられずに待っている現状を踏まえると、一層の支援が必要であると考えますが、都の認識を伺います。
 獣害対策というと、西多摩地域などのイノシシや猿を思い浮かべる方が多いと思いますが、近年、区部や北多摩地域など都市部において、農家の方が丹精を込めてつくった農産物がハクビシンやアライグマなど中型の野生動物に食べられる被害が増加しています。
 特に、梨やトウモロコシなどハクビシン等が好んで食べる農産物を生産している農家の方からは、収穫直前に食べられてしまい大きな減収になったなどの声が寄せられており、その被害は深刻です。
 都は、イノシシなどによる被害への対策だけでなく、都市部におけるハクビシン等の中型野生動物による農産物被害にしっかり対応していくべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 磯山亮議員の一般質問にお答えいたします。
 子供政策についてのお尋ねでございました。
 次の世代に幸せと希望に満ちた持続可能な社会を引き継ぐためには、この先の未来を担う子供たちを社会全体で支え、大切に育んでいかなければなりません。
 こうした認識の下、子供の成長段階を通じて切れ目のない支援を展開し、全ての子供、子育て家庭が不安や孤独を感じることなく、安心して生活を送ることができる環境を整えておきます。
 不妊治療費の助成など妊娠前からの支援や、妊産婦等への相談支援やケアの実施、家事育児サポーターの派遣など、妊娠、出産、子育て期にわたる支援を強力に展開しております。
 さらに、家庭訪問などを通じまして顔の見える関係をつくって、全ての子供と子育て家庭につながることで、日常的な悩みや不安に寄り添う仕組みを構築してまいります。
 子供と子育てに温かい社会づくりに向けて、子供政策を強力に展開してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、オンラインを活用した交流についてでございますが、都教育委員会は昨年度から、障害により対面での交流が困難な子供たちが、eスポーツのようにオンライン上で他校の生徒と対戦できるよう、特別支援学校のオセロ大会を実施しております。
 また、本年度から、特別支援学校間をオンラインでつなぎ、一緒に授業を受ける取組を実施しております。
 今後、オンラインによるレクリエーションや共同学習等を実施する学校の効果的な事例を取りまとめ、より多くの特別支援学校に広げ、障害のある子供の交流機会を増やしてまいります。
 次に、肢体不自由特別支援学校でのデジタル活用でございますが、都教育委員会は、体の動きに制約のある子供がデジタルを活用して主体的に学べるよう、一人一台端末に加え、障害の実態に応じ必要な支援機器を整備しています。
 各学校では、簡易な手の動きや視線により、画面操作や文字入力を行う支援機器を用いて、絵画の制作や意見交換などを行っています。また、都教育委員会が指定した研究校では、これらの機器を活用して、互いの学習成果を発表し合う取組などを行っています。
 今後、これらの取組を動画で共有し、研修等により教員の指導力を高め、子供たちがデジタルを活用し、様々な人と関わりながら学びを深められるようにしてまいります。
 次に、特異な才能のある子供たちへの支援についてでございますが、子供たちの実態に応じて個別最適な学びを実現することは重要でございます。
 学校においては、特定分野に特異な才能のある子供についても、他の子供たちと認め合いながら持てる力を発揮できるよう、学習や生活上の困難に対応するとともに、一人一人の能力を伸ばすための指導を工夫しています。
 今後、都教育委員会は、特異な才能のある子供たちに関する国の有識者会議で示された支援の事例等を、区市町村教育委員会との連絡会や管理職対象の研修等で周知することにより、個に応じた多様な学びが行われるよう、学校の取組の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、デジタル分野での発達障害者の活躍についてでございますが、発達障害者の中には高い集中力や分析力を持つ方がおり、そうした特性を生かしてIT企業等での就業を支援することは、企業の人材確保の面で効果的でございます。
 このため、都は、障害者雇用を促進するイベントで、発達障害の方を雇用し、その定着を図ったIT企業の事例などを紹介いたしました。また、来月に開催する大規模な就職面接会では、IT関連の業界団体と連携し、事業者とのマッチングを行います。さらに、そうした団体と協力し、発達障害者が職場体験実習を行い、就職できる後押しも進めております。
 今後は、事業者による先進的な取組事例の紹介や、採用から職場定着までのモデルづくりなどを検討いたします。
 これらによりまして、発達障害者のデジタル分野での活躍を推進いたします。
 次に、都内における地産地消の推進についてでございますが、東京での農産物の地産地消を推進するため、地域の身近な飲食店等が近隣で取れた野菜などを利用するよう、後押しをすることは効果的でございます。
 これまで都は、都心のレストラン等が東京産の食材の提供を受け新たな料理メニューをつくり、都内の農家と取引を始めるよう後押しを行ってまいりました。
 今後は、その取組を地元の住民が気軽に利用する飲食店と農家との間の取引にも広げ、身近な地域での地産地消の推進に結びつけます。
 また、地産地消を区市町村を通じサポートする事業について、今後、地域の農家や地元で取れた野菜などを使う飲食店の状況に詳しいJAなどを直接支援する仕組みの導入を検討いたします。
 これらによりまして、東京産農作物の地産地消を推進してまいります。
 次に、多摩の食文化を生かした観光振興についてでございますが、多摩地域には伝統的な食文化が数多くあり、これを観光資源として活用し、地元への誘客に結びつける取組は重要でございます。
 これまで都は、多摩の観光協会等が江戸時代から続く伝統的な食事をテーマとしたイベントを開催する場合などに支援を行い、旅行者の誘致につなげてまいりました。また、こうした多摩の様々な観光振興の取組を、ウェブサイトを通じ多言語で国内外に向けて情報提供をしております。
 今後は、多摩地域の豊かな自然を食文化と組み合わせて、国内外から旅行者を迎えるツアーをつくるなど、地元の取組への支援を検討いたします。
 これらによりまして、多摩地域の観光振興を着実に進めてまいります。
 最後に、野生動物による農業被害への対策についてでございますが、農業者が作物を安定的に収穫することができるよう、野生動物による被害を抑えることは重要でございます。
 これまで都は、多摩の山間地におけるイノシシ等や、住宅と農地が混在する市街地でのハクビシンなどによる農業への被害の状況に加え、それらの動物の生息の状況や行動パターンの調査を行ってまいりました。これを踏まえまして、イノシシや猿など大型動物の畑地への侵入防止や捕獲等に取り組む地元自治体を支援してまいりました。
 今後は、ハクビシンやアライグマなど中型動物による被害を予防し抑える取組を速やかに進めるため、農業協同組合による農家への情報提供や、侵入防止や捕獲に向けた支援を検討してまいります。
 これらによりまして、東京の農業経営の支援を進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 消費者被害への対応についてでございますが、消費者が緊急の必要に迫られた際に、付け込まれて不当に高額な料金を請求されるケースなどが近年多く発生しておりまして、被害防止に向けた啓発や相談等による救済、事業者指導等に総合的に取り組むことが重要でございます。
 都は、消費生活行政のホームページ、東京くらしWEBやSNSなどで、被害の事例や被害に遭わないための情報を都民に広く発信し、注意喚起を行っております。
 また、消費生活総合センターで、被害に遭った消費者に助言や解決に向けたあっせんを行うほか、都内全域の相談窓口で適切な対応が図られるよう、最新情報等を区市町村と共有しております。
 悪質事業者に対しましては、特定商取引法や景品表示法等に基づき厳正な行政処分や指導を実施してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 臓器移植に関するご質問にお答えをいたします。
 都は、毎年十月の臓器移植普及推進月間を中心に、移植医療の重要性を伝えるリーフレットや臓器提供意思表示カードを配布するなど普及啓発を行ってございます。
 また、都内二か所の医療機関に臓器移植コーディネーターを配置し、都民に対する正しい知識の普及や関係機関への情報提供に加え、臓器提供者が現れた場合に医療機関等との連絡調整を行ってございます。
 さらに、コーディネーターが中心となって医療機関等と情報や課題を共有する連絡会を開催し、臓器提供発生時のシミュレーション等を実施するとともに、年内にはウェブサイト上で院内体制整備に関するマニュアル等を共有いたします。
 こうした取組により、今後も臓器移植の推進に向けて一層取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時三十五分開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十二番五十嵐えりさん
   〔五十二番五十嵐えり君登壇〕

○五十二番(五十嵐えり君) 初めに、都政運営について伺います。
 私は、格差の問題に取り組みたくて東京都議会議員になりました。ところが、令和四年度の予算概要には、あらゆる面で段差のない共生社会とあり、令和三年第三回定例会の所信表明で知事は、あらゆる面で段差のない真の成熟社会を築くと述べられ、格差という語が落ちました。段差とは、辞書によれば物理的な高低差を意味し、過去の都議会の議事録を検索いたしましたが、以前の段差の意味は全て道路のバリアフリーなど物理的な意味でした。都の政策を見れば、子供の貧困対策や就労支援など経済的な意味での格差対策も含むということは分かるんですが、一見すると、都には格差がないのかと思われかねません。
 そこで、なぜ知事は、令和三年三回の定例会の所信表明から、格差ではなく段差のない共生社会といい始めたのか、見解を伺います。
 あわせて、都のいう段差のない社会の実現に向けた取組について知事に伺います。
 次に、中高年シングル女性の貧困問題が深刻です。私も長年非正規を経験しており、人ごとではありません。戦後、夫が働き、家事は妻が担い、子供は二人という標準世帯をモデルにして、雇用、税制、社会保障制度がつくられており、この枠から外れる多くの女性が貧困に陥っています。
 先日、民間団体が公表した四十代以上の単身女性の生活状況の実態調査によると、単身女性は収入が低く、家計に余裕がないと回答した方が非常に多い状況です。
 都は、こうした中高年シングル女性についての実態を把握するとともに、相談体制や広報の強化、資格取得支援などに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、五輪汚職です。
 私は、高橋元理事の受託収賄という任務懈怠によって組織委員会に損害が生じたのではないか、大会組織委員会の根拠法である一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づけば、会社法の規定と同じように、組織委員会は元理事に損害賠償請求権を有するのではと十一月九日のオリ・パラ特別委員会でも指摘いたしました。
 その後、組織委員会と電通などとの談合疑惑も報道されています。談合によって組織委員会の契約が不当に高くつり上がっていたのであれば、都が都議会に報告した収支均衡に疑義が生じ、清算結了できません。
 そこで、談合による損害賠償など、清算法人の清算業務への影響があるのではないでしょうか。評議員会の招集等の検討も含めて、評議員として法令上の職責を果たすべきと考えますが、潮田副知事の所見を求めます。
 次に、東京都人権部の問題です。
 小池知事の朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文不送付が、都職員の忖度を招いています。忖度の原因である知事の言動を改めるべきです。来年は関東大震災百年目の節目であり、朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文を再開すべきです。都は、追悼文の不送付に関し、三月と九月に行われる大法要で全ての方に対して哀悼の意を表しているとのことですが、大法要への追悼文の文言からは、そのようには読み取れません。
 せめて来年の法要の追悼文に、小池知事が平成二十八年に朝鮮人犠牲者追悼式に最後に出されたように、多くの在日朝鮮人の方々がいわれのない被害を受け犠牲になられたという事件は、我が国の歴史の中でもまれに見る痛ましい出来事でしたとの一文を加えるなど、知事は大法要の追悼文の中で朝鮮人犠牲者への哀悼の意を明確に示すべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇一八年四月にも、東京都人権部の幹部らが、人権プラザでの在日ブラジル人の写真展に関して差別的な発言をして、その発言に対して人権啓発センターの専門員らが、人権部の職員が使うには不適切と感じる言葉を不用意に使うことに大変憂慮する旨を指摘する文書を出したと聞きました。以前から人権部職員の人権意識や人権啓発センターとの関係性に問題があったのではないかと疑われる出来事であり、私は十一月三十日の総務委員会でこの事実の調査を求めましたが、調査の結果を求めます。
 また、都は、人権部職員の人権意識の向上のための研修や人権啓発センターとの関係構築を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ヘイトスピーチ対策です。
 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例には、ヘイトスピーチに関する規定がありますが、不十分です。現に、東京都内で多くのヘイトスピーチが行われており、私の住む武蔵野市でも例外ではありません。都としてヘイトスピーチは許さないという強いメッセージが必要です。
 現在、都は、人権条例に基づきヘイトスピーチとしたものについては当該表現活動の概要等として発言の内容は公表していますが、氏名は公表していません。これでは抑止の効果もほとんどありません。せめてヘイトスピーチを行った者の氏名の公表を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 ヘイトスピーチは具体的な個人の権利侵害が想定しづらく、ヘイトスピーチをされた人たちが警察や弁護士にも相談しづらいとのことです。東京都人権条例で定められた性的マイノリティーの方には、専門電話相談があります。ヘイトスピーチについても、専門相談窓口を設置すべきですが、見解を求めます。
 次に、ヘルプマークの普及についてです。
 ヘルプマークは内部障害や難病の方など、外見では分かりにくい障害や難病を周囲に知らせるものですが、先日、マークに酷似したグッズも問題となりました。必要とする人が適切に入手できることが必要ですが、先日、都内全ての市区町村の役所にヘルプマークの入手方法を尋ねたところ、障害の有無や内容を尋ねられたり、市区町村が発行するヘルプカードと混同しているような対応も複数ありました。
 都と共に市区町村でもヘルプマークの普及啓発に取り組むことも重要ですが、都の見解を伺います。
 本年十月の参議院文教科学委員会で、ヘルプマークの普及について問われた文部科学大臣が、東京都から具体的な提案があればしっかりと対応していく旨答弁しています。子供たちにも広く知ってもらうため、学習指導要領に明記するなど具体的な提案が必要です。
 そこで、都は、ヘルプマークの普及啓発について国にも働きかけていくべきですが、見解を伺います。
 次に、失語症です。
 脳卒中や頭部のけがにより、言語機能に障害を持つ失語症も外見からは分かりにくく、見えない障害といわれます。失語症になると、言葉を聞いたり文字を読んだりして理解することに障害が生じ、意思疎通が困難になり、日常生活上の支援が必要になります。患者は全国に約五十万人いるとされますが、まだまだ社会で知られていません。市区町村の地域生活支援事業の必須事業である意思疎通支援事業の対象には失語が位置づけられていますが、市区町村自体の取組も少ない現状です。
 そこで、都は、市区町村が失語症者向け意思疎通支援事業に取り組むよう、都が市区町村へ事業の立ち上げを積極的に働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、ICT支援員です。
 現在、都はICT支援員として全ての都立学校にデジタルサポーターを一人常駐させています。デジタルサポーターは、コロナ禍での子供の学びの充実のためにも必要です。
 都は、こうしたデジタルサポーターが能力を発揮できるよう、サポーターへの支援が重要と考えますが、都の見解を求めます。
 ただ、実際のところ、サポーターのほとんどが派遣社員であり、身分に不安を感じておられたりするようです。また、様々な事情で学校に欠員が生じたケースもあるようです。教育庁にも、学校や受託業者から月報等により報告が上がっていると思いますが、サポーターの適正な配置体制は子供の教育環境に直結する問題です。
 都は、各校に配置されているサポーターの業務の状況をどのように把握し、業務の質の向上に努めているのか、見解を求めます。
 終わりに、本日、どの質問も私にとっては当事者の顔が浮かび、当事者の方からそれぞれお話を聞いたものです。皆それぞれが都によりよい政策を求めるものです。政治は、こうした立場の弱い方、障害がある方、声を上げられない人のために行うべきであり、都には、コロナ禍、物価高の中、特にそうした視点で政策を行ってほしいと申し上げて質問を終わります。(拍手)
   〔副知事潮田勉君登壇〕

○副知事(潮田勉君) 五十嵐えり議員の一般質問にお答えいたします。
 東京二〇二〇大会についてでありますが、清算法人は、法令に定められた清算業務が終了した場合、評議員会の承認をもって清算結了となります。清算法人におきましては、本件が清算業務にどのような影響を与えるか法的側面などからも確認しているところであり、都としても適切に対応するよう伝えております。
 評議員としては、これまで法令及び定款に定められた職務を遂行してきており、今後も法令等にのっとり職務を遂行してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立学校のデジタルサポーターへの支援についてでございますが、教育のデジタル化を推進するためには、学校で直接ICT支援を行う支援員が必要でございます。
 このため、都教育委員会は、委託業務により全ての都立学校に授業でのデジタル活用を助言、支援するデジタルサポーターと、都立学校を巡回してサポーターの活動に必要な調整を行うコーディネーターを配置しています。
 コーディネーターはデジタルサポーターに対して研修、学校との調整、業務上の助言などの支援を行っています。
 次に、デジタルサポーターの業務の向上についてでございますが、都教育委員会は、毎月、委託業者からの業務報告を受けており、報告の中で業務上の課題等を把握した場合には必要な調整を行っております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 関東大震災で犠牲になられた方々に対する追悼についてでございますが、東京都は、毎年三月と九月に都立横網町公園で執り行われている大法要におきまして、東京で起こった甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた全ての方々に対して、都知事より哀悼の意を表しております。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 段差のない社会についてであります。
 東京二〇二〇大会を機に、まちの段差解消や心のバリアフリーが大きく進みました。今後、これをさらに発展させ、物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除き、人と人とが理解し合い共に暮らす環境を段差のない社会と表現しております。
 こうした社会の実現のため、「未来の東京」戦略では、子育て、ひとり親世帯や生活困窮者など、様々な不安や困難を抱える方々への状況に応じたセーフティーネットの充実強化を図っております。
 今後も、あらゆる施策の多様性と包摂性を一層高め、共生社会の構築に各局と連携して取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、生活に困窮する中高年女性への支援についてでございますが、都は、住居を失い不安定な就労に従事する方等に対し、TOKYOチャレンジネットにおいて、生活、住居、就労等の総合的な支援や介護の資格取得等に関する支援を行っており、昨年度からは広報を強化しております。
 また、平成二十八年度から女性専用のフリーダイヤルを設置し、女性相談員が丁寧に状況を聞き取り、必要な支援を行うなどにより実態を把握しております。
 引き続き、区市等の自立相談支援機関とも連携し、生活に困窮する方を支援してまいります。
 次に、区市町村による普及啓発についてでございますが、都は、ホームページ等でヘルプマークを周知するほか、区市町村にヘルプマーク等を紹介するポスターを配布するなど、普及啓発に取り組んでおります。
 また、ヘルプマークの作成や活用等に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、引き続き、区市町村との会議の場などで取組を働きかけてまいります。
 次に、ヘルプマークの普及啓発についてでございますが、ヘルプマークはJIS規格として全国共通マークに位置づけられ、全ての都道府県で使われております。
 都は、国に対し、ヘルプマークを身につけた方が全国どこでも適切な援助等を受けられるよう広域的な普及を図ることを提案要求しており、引き続き働きかけてまいります。
 最後に、失語症者の意思疎通支援についてでございますが、失語により意思疎通が難しい方の支援体制は、国制度に基づき、区市町村による整備が求められております。
 このため、都は、失語症者向けの意思疎通支援者を養成するとともに、当事者と支援者の会話サロンをモデル的に設置し、その実施状況を区市町村に提供しており、引き続き、区市町村の体制整備を促してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都人権啓発センターとの連携についてでございますが、平成三十年当時の人権部職員の発言の事実については承知しておりません。人権部では、職員に対して人権啓発センターとも連携し、転入時の研修をはじめ、必要な研修を適切に実施してございます。
 次に、ヘイトスピーチに関する氏名、団体名の公表についてでございますが、都では、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、ヘイトスピーチと認められる表現活動の概要を公表してございます。
 この概要公表は、発言者に対する制裁を行うことではなく、不当な差別的言動の実態を広く都民に伝え、啓発していくことを目的としてございまして、氏名、団体名の公表は行ってございません。
 最後に、ヘイトスピーチに関する相談窓口についてでございますが、都は、東京都人権プラザにおいて人権相談を実施しており、ヘイトスピーチに関する相談にも対応してございます。
 また、相談者が人権救済を行う人権侵犯事件としての調査、救済を希望する場合は、東京法務局の相談窓口を紹介することとしてございます。

○副議長(本橋ひろたか君) 三十番龍円あいりさん
   〔三十番龍円あいり君登壇〕

○三十番(龍円あいり君) 誰もが自分らしく輝きながら参加しているという実感が持てるインクルーシブな社会を目指しております龍円あいりです。今日は、インクルーシブを軸に質疑をさせていただきます。
 私は、アート活動はバリアが少ないことから、多様な人が一緒に制作を楽しむことができるインクルーシブアートを推進しています。私の地元の渋谷では、交通局や生活文化スポーツ局の協力や支援の下、都営バス営業所の全長二百メートルの壁に延べ二百五十人以上の方が制作に関わった巨大な壁画、渋谷みんながつながるインクルーシブアートが十一月に誕生しました。様々なスペシャルニーズ、障害のある人、医療的ケア児、小さい子から大人までが参加できるようにと、バリアを取り除く配慮をする一方で、多くの人の目に触れるものなので、誰が見てもいいなと感じてもらえるアートとしてのクオリティーも追求した作品です。
 参加者からは、公共の場所に展示され、障害のある人たちの存在が見える化された、存在を知られたことで第二の誕生日のようだ、いつも支援されてばかりだけど、このように地域に貢献できることは喜びだ、もっと地域の人とつながっていきたいという感想が聞かれました。
 この壁は、以前は落書きだらけでした。治安の悪化が懸念されている場所でした。アートを通じてまちに彩りを添え、美化を推進し、多様な人が交じり合い、コミュニティが育つインクルーシブアート、とても意義があるものだと実感しています。今後、インクルーシブアートの取組をもっとまちに広げていきたいと考えています。
 東京都としても、今後もインクルーシブアートのような芸術文化を通じた社会包摂の取組を積極的に支援してほしいと思いますが、見解をお伺いします。
 私はこれまで、地元渋谷区の笹塚、幡ケ谷、初台をつなぐ都道、水道道路沿道のまちづくりに取り組んできました。新宿副都心から西に向かって真っすぐに伸びている僅か三キロメートルの道路ですが、渋谷区の一番の住宅エリアを通っていることもあり、暮らしにとっては重要な役割が期待されています。
 しかし、三キロメートルのうち一・五キロメートルには沿道に都営住宅が建ち並んでいて、一階部分が使用されていない、がらんとした空洞のピロティースペースや空き店舗となっているため、この道全体が活気がなく、暗い雰囲気になってしまっています。
 令和二年の一般質問では、都営住宅の一階部分を地域コミュニティのために活用できないか質問し、そういうニーズに対して可能な限り協力するとの答弁をいただいたところでありました。
 今回のインクルーシブアートの経験を経て、改めて、アートは人をつなぎ、笑顔をつくり出すとともに、まちの美化推進や彩り、活気になることも感じたところであります。
 そこで、水道道路沿道の都営住宅の一階の空きスペース、空き店舗、都営住宅の壁などを使って、水道道路ならではのアートやカルチャーを育てるとともに、地域コミュニティを育てる場所として、渋谷にふさわしいまちづくりを進めていってほしいと考えています。
 水道道路沿道にある都営住宅の店舗の空き区画などについて、芸術文化の振興や地域活動の場として活用できるようにすべきだと考えますが、都知事の見解をお伺いいたします。
 次に、インクルーシブ公園についてです。
 二〇二〇年に都立砧公園に第一号となるみんなのひろばがオープンしてからというもの、物すごい勢いで都内や全国各地に広がりつつあるのは大変うれしいことです。この背景には、これまで公園で遊ぶことを諦めていたスペシャルニーズのある子たちがみんなと一緒に遊びたいと次々に声を上げてくださったことが大きいと思っています。
 ただ、今の懸念は、インクルーシブな遊具を設置すれば、はい、インクルーシブ公園完成というケースが増えてきているということです。この公園のよさは、異年齢や様々な子たちが一緒に遊び育つことによって、インクルーシブな社会を体現していく次世代が育っていくこと、その地域に暮らす多様な人たち同士がつながり合うコミュニティが育っていくことにあります。そのためには、設計段階でのワークショップや、完成してからの管理運営なども含めた取組が重要です。
 都では、参考になるガイドラインを策定し普及啓発に取り組んでいると認識していますが、もっともっと知ってもらいたいと感じています。
 それから、スペシャルニーズのある子や家族にとっては、暮らしている地域で共に遊び育ち、人とつながっていくのが理想ですので、インクルーシブ公園がより身近な場所に増えていくことも重要です。
 今後も区市町村への支援を続けるとともに、都立公園での取組も続けていただきたいと思っています。インクルーシブ公園の普及に向けた都の取組について見解をお伺いいたします。
 続いて、誰もが安心して移動できる社会という観点から、都営地下鉄における子育て応援スペースについてです。このスペースは、親子連れでも安心して安全に公共交通機関を利用できるようになりたいという保護者の声から進められてきたもので、大変好評を得ています。
 都営交通では、今年度、地下鉄全四線へ導入するとしていますが、それに先立って、令和三年の一般質問で、車椅子など違いがあるお子さんも電車を利用することがあるということが自然と分かるようなデザインも取り入れてほしいと要望させていただきました。
 先日の公営企業会計決算特別委員会の総括質疑で、今後、インクルーシブに配慮した新たな装飾デザインを追加するとの答弁をいただきましたが、今後の取組について具体的にお伺いいたします。
 インクルーシブな社会をつくっていく上で、私が最も重要だと考えているのがインクルーシブな教育です。今年八月、国連の障害者権利委員会で、日本の取組に関する審査が行われました。その結果、委員会から最も強い懸念事項として示されたのが、日本における分離した場所での特別支援教育でした。国際的にも、この教育のインクルーシブが社会全体にとって重要であると認識されていることが改めて確認できました。
 私の子供にはダウン症があり、現在は通常の学級に通っていますが、親のエゴ、教育虐待、子供がかわいそうなどといわれ、これまで何度も心が折れてきましたし、支援が十分にないことから学校に付添いを求められ、代わりのボランティア探しにいつも奔走しており、都議会議員としても、一保護者としてもこの課題と向き合ってまいりました。
 日本において、分離教育が進んでいるのは、分離した場そのものがあるからということもありますが、教育現場に自然と分離する遠心分離機のような力が働いていると感じています。何か一つを変えたらいいということではなくて、あらゆる方策を丁寧に取っていくことでしか、共に同じ教室で学ぶという遠心力の反対の求心力は生まれてこないと感じています。
 都でも、特別支援学校の対象になっている五つの障害の小中学生の九割以上が特別支援学校や特別支援学級といった分離した場で教育を受けているのが現状です。この状況から、その求心力を生み出すためには、通常の学級だけではなく全ての学びの場でのインクルーシブな取組が必要ですが、都教委はその取組を少しずつですが、確実に進めてくれていると認識しています。
 都では、豊島区と日野市でインクルーシブな教育の実践的研究に取り組んでいますが、ここで得られた知見を生かしていくためにも、実際に取組に関わった教員のほか、保護者や児童生徒の声をしっかりと聞いた上で、ほかの区市町村にも取組を普及させていくべきだと考えます。都教委の見解をお伺いいたします。
 今後、新たに検討していただきたいのが、スペシャルニーズのある子が特別支援学校に行くと区市町村の予算負担がゼロになり、一方で地元の学校に受け入れると、合理的配慮や支援のための予算負担は全て区市町村持ちという状況の改善です。教育的な観点とは関係のない予算のことで子供が分離されることがないように、この予算のアンバランスさを是正していただきますようお願いいたします。
 続いて、性の多様性が当たり前の東京をつくっていくための施策です。
 十一月一日に東京都パートナーシップ宣誓制度が開始されてからたくさんの喜びのメッセージが届くとともに、アメリカなど複数の大使館が公式メッセージで祝福するなど、国際的にも高く評価されている制度であることが分かりました。制度が開始されたことで、東京都全体で性的マイノリティーの方々のための施策を本格的に実施する準備が整ったと思います。世間ではまだまだヘイトのような差別もありますし、様々な場面でまだまだ配慮が十分に足りていません。来年四月にスタートする第二期性自認及び性的指向に関する基本計画では、よりきめ細やかな配慮や対応を東京都行政の細部に至るまで行き渡らせていく必要があります。
 東京都パートナーシップ宣誓制度の開始から一か月が経過した受け止めを伺うとともに、今後、第二期計画の下、性的マイノリティーの施策をどのように進めていくのか、都知事に見解をお伺いいたします。
 私が生まれ育ったスウェーデンでは、性に関する相談、検査、治療、ソーシャルワークが受けられる子供、若者向けの無料の公的な医療機関、ユースクリニックが全国各地に整備されていて、セーフティーネットになっています。去年、私たちの会派で東京版ユースクリニックの立ち上げを要望し、都では今年度から、ティーン向けの性や健康などの相談窓口、わかさぽを開設いたしました。都の動きは、ユースヘルスの専門家らからも大変な歓迎をもって注目されています。
 そこで、東京版ユースクリニックともいえる、わかさぽの相談窓口におけるこれまでの実績と、今後どのように実施していくのか、お伺いいたします。
 先日、わかさぽの対面相談を視察させていただきましたが、まだまだちょっと堅苦しい雰囲気がありました。こういう相談窓口は、子供、若者が安心して利用できる、友達も誘いたいと思ってもらえないと利用されませんので、若者らの意見を徹底的に聞いてブラッシュアップしていただきながらも、来年はぜひ常設の会場を設置していただきますよう要望いたします。
 最後は、地元渋谷のことについてお伺いします。
 渋谷にはあのスクランブル交差点があります。観光名所ではあるんですけれども、あくまで交差点なので、本来、人が大勢集まるのに適している場所ではありません。今年のハロウィンは、韓国でとても痛ましい雑踏事故が起きてしまいました。渋谷では警視庁が例年以上に手厚い警備体制で、電車の始発まで警備を続けてくれたことで治安が保たれました。スクランブル交差点では、イベントごとで急に人が増えたりしますので、柔軟な警備体制が求められています。
 スクランブル交差点やセンター街における各種イベント警備について、今後もあらゆるトラブルなどを想定した手厚い警備体制を続けていただきたいと思いますが、警視庁の見解をお伺いいたします。
 渋谷は、日本一のスタートアップ企業が集積している地域でもあります。渋谷区では、民間企業のコンソーシアムであるShibuya Startup Deckを設けて、実績のある企業は会員として参加し、区と連携してスタートアップの成長をサポートするほか、海外の創業企業にも選ばれるまちづくりを進めるなど、本腰で取組を進めています。
 先日、都が公表したTokyo Innovation Base構想では、行政を含む様々な団体などが集まり、重点的な支援を提供することがうたわれています。渋谷区のような先進的な区市町村が拠点に入居し、独自のサービスを提供するなど、都と区市町村が連携してスタートアップ支援を推進していくことが必要だと考えます。見解を伺います。
 ここまでインクルーシブな社会を目指して質疑をしてきました。最後になりますけれども、本来は人は一人一人違います。同じに入れない人たちが出てしまうことがないような、そんなインクルーシブな社会の実現を目指して今後も質疑を続けてまいります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 龍円あいり議員の一般質問にお答えいたします。
 渋谷区の水道道路の沿道にあります都営住宅の空きスペース、いかに活用するかという点でございます。
 都営住宅の建物や敷地は都民共有の貴重な財産であり、その空きスペースを都の政策目的の実現や地域課題の解決のために活用することは重要であります。
 新たなカルチャーを生み出す渋谷において、水道道路沿いにあります都営住宅の空きスペースを活用し、アーティストの活動や交流、発信の場を提供し、芸術文化の振興を図ってまいります。
 多様な方々が制作に参加するアート活動などの可能性も検討して、彩りと活気のあるまちづくりに寄与してまいります。
 あわせて、渋谷区と連携し、空きスペースの一部を地域交流の場として活用することで、人々の新たな流れをつくり、コミュニティの活性化にも資するよう取り組んでまいります。
 今後、地元区の意見も丁寧に聞きながら、地域の個性を生かした取組を進め、東京の魅力を高めてまいります。
 次に、性的マイノリティーに関する施策についてのお尋ねがございました。
 十一月から、多様性にあふれる東京を象徴するパートナーシップ宣誓制度が開始され、三百五十組を超える届出があり、この制度への期待の大きさを実感いたしております。
 東京を、多様な性への理解がさらに進み、誰もが暮らしやすいまちとしていくためには、性的マイノリティー当事者の方々に寄り添った施策を展開していくことが重要であります。
 これまで、性自認及び性的指向に関する基本計画に基づく各局の取組によりまして、性的マイノリティー当事者の暮らしやすい環境づくりが進んでまいりました。
 次期計画案の策定に当たりましては、当事者等へのアンケート調査などを行いまして、ニーズに沿ったよりきめ細かな施策が盛り込まれますよう、各局で共有し、検討を進めてまいりました。
 次期基本計画に位置づけた取組を全庁一丸となって推進することで、多様な人が支え合うインクルーシブシティ東京を実現してまいります。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 各種イベントにおける警備についてでありますが、ハロウィンやサッカーワールドカップなどの機会には、渋谷に多数の人々が自然発生的に集まり、通常のイベント以上に雑踏事故やトラブルの発生が懸念されます。
 特に、韓国での雑踏事故を受け、先般のハロウィン警備では、渋谷区と緊密に連携しつつ、雑踏事故の防止、地域の平穏保持を目的に、早朝まで制服警察官を配置し、安心感を与える、見せる警戒を実施したところであります。
 都内では、年末年始に向け人々が集まる機会が多くなることから、自治体や公共交通機関、地域住民の方々と協力しながら、各種事故防止に万全を期してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) インクルーシブな教育についてでございますが、都教育委員会は、令和二年度から、豊島区と日野市を指定し、特別支援学級等と通常学級の子供の交流や共同学習を進めるインクルージョンに関する実践的研究に取り組み、今年度は、教員、保護者、児童生徒に対してアンケート調査を実施し、意見を聴取しています。
 今後、このアンケート結果のほか、事例に基づく工夫点や留意点などの研究の成果を取りまとめた報告書を小中学校に年度末までに配布するとともに、報告会で周知するなど、区市町村の取組を支援し、それぞれの学びの場においてインクルーシブな教育を一層推進してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) インクルーシブな公園づくりについてでございますが、都立公園では、公園の新規整備や遊具広場の改修の機会を捉え、ユニバーサルデザインの遊具を整備するとともに、誰もが気軽に公園で楽しむことができる環境づくりを進めております。
 今年度は、砧公園や府中の森公園の遊具広場を紹介するホームページを開設するとともに、砧公園では、遊具を初めて利用する子供向けの見学会等を開催いたしました。
 また、これらの公園には全国から多くの視察があり、遊具導入のノウハウやインクルーシブな公園づくりの理念を共有する場となっています。
 これらの取組と合わせて、現在、汐入公園や陵南公園などで遊具広場の具体的な検討を進めておりまして、インクルーシブな公園づくりに着実に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 芸術文化を通じた社会包摂の取組についてでございますが、多様な価値観や個性を認め合える社会を実現していくことは重要であり、都では、芸術文化による社会支援助成を通じ、様々な環境の人々とアートをつなぐ取組や、芸術文化で社会課題に取り組む活動を支援しております。
 都立文化施設では、字幕機器などを活用し、演劇や音楽公演の鑑賞サポートを広げ、誰もが芸術文化に親しめる環境整備を進めております。
 また、今年度、芸術文化団体等が実施するイベントの際に、手話通訳や託児サービスなどのための費用を一定の範囲で上乗せする助成を開始いたしました。
 この夏開催した、だれもが文化でつながる国際会議の成果も踏まえ、こうした取組を通じ、共生社会の実現に向け、施策を進めてまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 子育て応援スペースの装飾デザインについてでございますが、都営地下鉄では、小さなお子様連れのお客様に安心して気兼ねなく電車をご利用いただけますよう、子育て応援スペースを設置しております。
 新たな装飾デザインは、インクルーシブに配慮したものとなるよう、ミッフィーなどの作者であるディック・ブルーナ氏の絵本のうち、車椅子に乗った女の子が登場する作品などを基に二つのパターンで制作を進めておりまして、来年二月に、まず三田線へ導入し、順次拡大いたします。
 これを含め、今年度末には四シリーズ、十一パターンのデザインで装飾した車両を都営地下鉄全路線で計三十六編成運行する予定であり、こうした取組を通じて社会全体で子育てを応援する機運の醸成に貢献してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 東京ユースヘルスケア推進事業についてでございますが、都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談窓口である、とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽを開設し、本年十月から週二日の電話相談を開始いたしました。十一月からは、対面相談を区部で二回行っており、来月には多摩地域も加え、月二回程度実施する予定でございます。
 これまでに、妊娠の不安や体型の悩み、性自認など、中高生などから寄せられる性と健康に関する様々な相談に対応しており、今月からは、より気軽に相談できるよう、メール相談を開始いたします。
 相談者からは、実施時間等に対し意見をいただいており、今後、より多くの方の利用につながるよう周知するとともに、相談しやすい時間帯の設定や相談会場でのワークショップなど実施方法も工夫し、事業を充実してまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) 区市町村と連携したスタートアップ支援のご質問にお答えいたします。
 東京全体で数多くのスタートアップを生み出していくためには、都内各地で育成のエコシステム形成に意欲的に取り組む区市町村との連携が重要でございます。
 このたび策定した新たな戦略では、フランスのステーションFの取組などを参考に、立ち上げ初期のスタートアップが交流し、国内外のベンチャーキャピタルや支援機関、行政などが重点的な支援を提供するTokyo Innovation Base構想を掲げました。
 この拠点を核として、都内各地のエコシステムとの有機的な連携が図られるよう、先進的な区市町村と意見交換を行い、拠点での協働などを含めた効果的な支援の展開につなげてまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 十七番竹平ちはるさん
   〔十七番竹平ちはる君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○十七番(竹平ちはる君) 初めに、がん治療と仕事の両立支援について質問します。
 がん治療の進歩により、がんになっても治療しながら働くことが可能になってきましたが、国の調査によると、がんで三人に一人は離職していることが分かりました。
 一方、昨年、都内五十六病院で外来治療中のがん患者に対して都が行った治療と仕事の両立に関する調査によると、回答した人のうち、会社にテレワークや時差出勤などの柔軟な働き方が導入または推進されたと答えた方は五五・一%に対し、柔軟な働き方の制度の仕組みがないと答えた方は三二・四%でした。
 自由記載の欄には、上司の理解は得られたが、同僚の理解はあまり得られていないなどの記載もあり、企業や従業員に対する理解が十分ではない事例もあることが分かりました。
 このようなことから、がんに罹患しても治療を受けながら仕事が継続できるよう、職場全体のがん治療に対する理解を促すとともに、働きやすい職場環境を整えることが重要と考えますが、見解を求めます。
 企業が、フレックスタイムや時短勤務などの柔軟な働き方の導入を進めるに当たっては、企業への普及啓発と併せ、導入する企業へのインセンティブの付与が必要と考えます。
 都は平成二十九年から、国や他の道府県に先駆けて、がん患者の方を新たに雇用したり復職をさせた企業に対して助成金の支給を開始しています。支給件数は年々増えつつありますが、企業への浸透はまだまだ十分とはいえません。こうした支援内容が中小企業の方にも今以上にしっかりと伝わるよう、より一層、周知の充実を図ることが必要です。
 そこで、都は、がんを発症した社員が仕事と治療を両立しながら就労できるよう、企業に対して支援制度をさらに広めるとともに、がん治療の方の柔軟な働き方の導入を支援する仕組みを一層推進、強化していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、がん治療に伴う外見の変化を補うアピアランスケアについて質問します。
 がん患者は、抗がん剤などの使用による頭髪の脱毛や手術による乳房の切除等により外見に変化が生じ、がんに罹患する前のように地域で自分らしく生活することが困難な場合があります。こうしたアピアランスの問題など、日常生活を送る上での障壁を軽減し、解消することは必要です。
 現在、アピアランスケアに対する支援として、ウイッグや乳房の補整具などの購入費用の助成を始めた自治体は都内十三か所まで広がっています。
 私は、本年第一回定例会の一般質問でも求めてきましたが、アピアランスケアに取り組む区市町村を都として支援すべきです。見解を求めます。
 次に、女性専用外来について質問します。
 女性は、思春期、妊娠、出産、子育て、仕事、さらには更年期、老年期などのライフステージにおいて女性ホルモンの変動があり、心身の変化に応じたきめ細やかな医療の提供が必要だと考えます。
 都議会公明党は、二〇〇二年第三回定例会で、女性の心身に現れる症状を総合的に診察する女性専用外来の設置を提案し、二〇〇三年七月に大塚病院で、都立病院初の女性専用外来が開設されました。その後、大久保病院、墨東病院、多摩総合医療センター、多摩南部地域病院にも開設されました。
 また、令和元年十月、大塚病院では、女性生涯外来として充実が図られ、女性医師による女性外来をはじめ様々な専門外来が緊密な連携を図り、幅広い疾患に対応しています。看護師による女性医療コンシェルジュを配置し、女性の不安に寄り添いながら相談に応じ、各専門外来につないでいると聞いています。
 近年、働く女性は多くなり、女性のライフスタイルが多様化しており、女性特有の疾患にワンストップで対応できる体制が必要です。
 こうした女性の医療ニーズに応えるため、都立病院において女性への医療のさらなる充実を図るべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、命の尊さを学ぶ授業について質問します。
 近年は、情報化の進展など児童生徒を取り巻く環境が変化し、若年層の性感染症やインターネットを介した性被害の増加が課題となっています。
 都は今年度から、中学生以上の十代の方を対象として、思春期特有の健康上の悩みに対し、看護師などの専門職が電話や対面、メールなどで相談できる、とうきょう若者ヘルスサポートを開設しました。また、都立高校等における産婦人科医を活用したユースヘルスケア事業も開始され、中高生への取組が進んだことは評価いたします。
 一方、先日、公立の小学校で、長年、命の授業を行っている助産師の方から、授業の内容を伺いました。子供たちの目線に立ち、小学一年生から六年生までの学齢に応じた授業を行っており、子供たちからは、命の大切さ、生まれてくることのすばらしさ、自分も周りの人も大切にすることが分かったなど、授業後の子供たちの声をお聞きしました。
 このように、思春期における性教育、健康教育をより効果的なものにしていくためにも、小学一年生から、命の尊さを学ぶ意義は大きいといえます。単なる性教育というのではなく、命という視点を重視し、一人一人が貴い存在であることを学ぶ授業は極めて重要です。
 そこで、産婦人科医や助産師等による外部講師を活用し、公立小学校での性教育、命の授業を一層充実させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、人工呼吸器を使用する医療的ケア児の保護者付添期間について質問します。
 都議会公明党の要望により、都教育委員会は令和三年度から、都立特別支援学校に入学する医療的ケア児について、入学前から健康観察による保護者付添期間の短縮化モデル事業に取り組み、着実に成果は出てきていると認識しています。
 しかし、人工呼吸器を使用する児童については、依然として付添期間が長くなっています。この背景には、都教育委員会の人工呼吸器ガイドラインにおいて、一年程度の付添いを求めてきたことがあると考えます。保護者にとっては大きな負担であり、付添期間の短縮を求める声をいただいています。
 そこで、人工呼吸器を使用する医療的ケア児についても、入学前から健康観察等を行うことにより、入学後の保護者の付添期間を短縮できるようにすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都市農業について質問します。
 先日、住民や障害のある方などが気軽に農業を体験できる都内にある農福連携農園のすぎのこ農園を視察させていただきました。この農園では、障害のある方々に対して、農作業の体験だけでなく、就労を目指した販売実習など、障害の程度に合わせた多様な支援を展開しているとお聞きしました。
 都内では、相続などによって毎年約五十ヘクタールの生産緑地が減少していると聞いています。こうした生産緑地を区市が買上げ、すぎのこ農園のように、障害者や高齢者など区民が楽しみながら土に触れることができる場として活用することは大きな意義があると考えます。しかし、生産緑地の買取りは自治体にとって大きな負担です。
 都は、区市による農福連携農園や区民農園の設置を後押しするため、買取りの申出のあった生産緑地について、区市による買取りや活用への支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、防災意識向上に向けた取組について質問します。
 都議会公明党は、東日本大震災の際、被災地で避難所生活における課題を学び、その一つが、女性視点での防災対策です。我が党が提案させていただいた「東京くらし防災」は、発刊後、とても大きな反響の下、多くの都民に活用されていますが、発刊からは既に五年近くが経過しており、改定が必要です。
 この間にも、全国で大地震が発生し、昨年十月には都内の最大震度五強を記録する地震や、今年に入ってからも、宮城県、福島県で震度六強の地震が起きています。また、令和元年の台風十九号は、国内で四十年ぶりに死者が百人を超えるという甚大な被害をもたらしました。
 こうした中、都は本年五月、被害想定を十年ぶりに見直しました。これまでのハード、ソフト両面からの対策が実を結び、前回、十年前の想定から被害が減少する一方、高齢者人口の増加や高層住宅居住者の増加などに伴う新たな課題も浮き彫りとなりました。
 こうした社会情勢の変化や知見を踏まえ、いつ発生してもおかしくない大規模災害に備えるため、最新の情報を発信することで都民の防災意識を高めるべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、高齢者、障害者をはじめ住民から強い要望がある都営新宿線瑞江駅のエレベーター整備について質問します。
 現在、瑞江駅の南口には、地下鉄乗り場と連結した地下駐輪場用のエレベーターが設置されています。しかし、自転車を運ぶ人とつえやシルバーカーを押す高齢者、ベビーカーを押す方、車椅子を利用する方などが同時に利用することもあり、危険な場面も生じております。
 都が進める駅のバリアフリールートの複数化においては、瑞江駅のエレベーターの設置が計画されていますが、駅を利用する方々からは、早期の設置を望む声をいただいています。
 そこで、エレベーターの設置場所を含め、進捗状況について答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 竹平ちはる議員の一般質問にお答えいたします。
 都立病院での女性医療についてのお尋ねがございました。
 私は、知事就任以来、女性活躍の推進を都政の重要課題と位置づけてまいりました。近年、女性のライフスタイルは多様化しており、職場、家庭、地域など活躍の場が広がっており、専門性の高い医療にとどまらず、患者一人一人の状況に応じたきめ細かい支援など、女性が安心して受診できる環境の必要性が高まっております。
 このため、大久保病院に、乳がんなど女性特有の疾患の早期発見、早期治療や、不安に寄り添いながらの相談などの機能を有する女性医療センターを設け、女性のライフステージに応じた診療体制を整えてまいります。
 今後とも、地域の医療機関等と連携しながら、様々な医療ニーズに適切に対応し、女性が生き生きと活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をさせていただきます。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小学校の性教育における外部講師の活用についてでございますが、都教育委員会は、平成三十年度に学習指導要領の内容を踏まえ、性教育の手引を改定し、全ての学校に配布いたしました。
 手引には、生命の尊さや思春期に現れる変化など、小学校における発達段階に応じた指導事例や、産婦人科医や助産師等の専門的知識を有する外部人材と連携した授業の進め方等を掲載しています。
 都教育委員会は、この手引を踏まえ、外部講師の活用事例等について、区市町村教育委員会の担当者連絡会等で周知するなど、学校の取組を支援してまいります。
 次に、人工呼吸器を使用する医療的ケア児についてでございますが、これまでの人工呼吸器管理のガイドラインでは、学校が管理を開始するには、季節等による体調変化を観察する必要があるため、年間を通じた登校実績により判断することとし、その間の保護者の付添いを依頼してまいりました。
 都教育委員会は、付添期間の短縮を図るため、令和三年度から、入学前から就学予定児が通う施設等に看護師を派遣し、健康観察を行うモデル事業を実施してまいりました。こうした取組の成果を検証した上でガイドラインを改定したところでございます。
 今後、個別の状況に応じた学校による人工呼吸器の管理の開始に向け、入学前から健康観察を行うことを保護者等に丁寧に説明し、協力を得ることで、付添期間の短縮を図ってまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、がん治療と仕事の両立支援についてでございますが、がん患者が治療と仕事を両立するためには、職場でのがんに対する正しい理解や働きやすい職場環境づくりなどが重要でございます。
 都は今年度、がん治療の基礎知識に加え、近年普及してきたテレワークや時差出勤など柔軟な働き方の活用方法等をまとめた企業向けハンドブックや職場研修用の映像教材などを作成するとともに、実際に治療と仕事を両立している患者の経験談や企業の具体的な取組事例などを紹介するセミナーをオンラインで開催する予定でございます。
 今後とも、がん患者が治療を受けながら働き続けられるよう、職場における両立支援の取組を進めてまいります。
 次に、がん患者へのアピアランスケアについてでございますが、がん患者が適切な医療を受けながら、がんに罹患する前と変わらず、自分らしく生活するためには、がん治療による外見の変化を補うアピアランスケアが重要でございます。
 都はこれまで、ウイッグや人工乳房の購入費用の助成などに取り組む自治体に、費用助成の対象品目や助成額などを調査してまいりました。
 今後、この調査結果も踏まえ、区市町村においてアピアランスケアに関する取組が進むよう、具体的な支援策について検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、がんの治療と仕事の両立に向けた支援についてでございますが、がんを発症した方が治療を続けながら仕事をできるよう、職場の環境を整備することは重要でございます。
 これまで都は、がんを含めた病気の治療と仕事を両立できる職場環境づくりを支援するため、中小企業に専門家を派遣し助言を行うほか、社内に相談の仕組みをつくり、研修会などを行った場合に助成を実施してまいりました。
 また、がん患者等を雇い入れたり、治療による休職から職場に復帰をさせた会社に奨励金を支給してございまして、これにフレックスタイムなどの柔軟な勤務制度を導入すると、加算も行っております。
 今後は、これらの支援の内容が各企業により一層伝わるよう、経済団体と連携した取組を進めるとともに、柔軟な働き方を広げるための制度の充実を検討いたします。
 次に、生産緑地の買取りと活用への支援についてでございますが、東京の農業振興を図る上で、生産緑地を地元の自治体が買い上げ、農的な利用を行い、将来の都市農業の活性化へと結びつける取組は効果的でございます。
 このため、都は、区市が生産緑地を購入し、住民や障害を持つ方等が農作業を行う場として活用する取組に助成を行っております。また、そうした購入と活用を増やすため、農園の整備と運営のノウハウを幅広く発信できるモデル的な事例づくりを進めているところでございます。
 今後は、住民が農業に親しむ機会の確保や農福連携をより効果的に進めることができるよう、生産緑地を区市が買い上げるための支援の強化や、それらの取組を軌道に乗せるためのサポートの導入を検討いたします。
 こうした取組によりまして、都市農業の振興を進めてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 防災意識向上に向けた取組についてでございますが、災害時に都民が適切な防災行動を取るためには、平時の備えや発災時の避難など、常に新しい情報を提供していくことが重要でございます。
 このため、都は、防災アプリや「東京くらし防災」等を活用し、家庭での日常備蓄や家具転倒防止の必要性、家族の安否確認方法など、平時と発災時に取るべき行動を分かりやすく周知してまいりました。
 今後、災害をより一層、自分事として捉えられるよう、地域ごとの地震による被災リスクを視覚的に確認できるデジタルマップを年度内に作成してまいります。また、「東京くらし防災」の改定など、社会状況の変化や蓄積された知見を踏まえた普及啓発方法を検討してまいります。
 こうした取組によりまして、東京の防災力を向上させてまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 新宿線瑞江駅のエレベーター整備についてでございますが、都営地下鉄では、お客様の利便性向上を図るため、駅の構造や周辺状況等を踏まえながら、バリアフリールートの複数化を進めております。
 瑞江駅につきましては、南口に区が設置した駐輪場のエレベーターを駅でも利用しており、自転車の乗り入れがあることから、混雑する朝のラッシュ時間帯等に、高齢者や車椅子をご使用のお客様が乗りづらいなどの課題がございます。
 このため、新たにお客様専用のエレベーターを増設することとし、現在、北口への設置につきまして、関係者と協議しながら設計を進めております。
 今後、来年度の工事着手、令和六年度のエレベーター供用開始に向けて着実に取り組んでまいります。

○議長(三宅しげき君) 九十番伊藤しょうこう君
   〔九十番伊藤しょうこう君登壇〕

○九十番(伊藤しょうこう君) 災害対策について伺います。
 都は、土砂災害防止法に基づき土砂災害特別警戒区域を指定し、災害を未然に防止するため、開発の制限などを行っております。十一月現在、都内全域の土砂災害特別警戒区域は一万三千六百十五か所。そのうち、島しょと西多摩、そして、私の地元八王子を合計すると一万か所となり、全体の約七三%にも上ります。
 しかし、島しょ部や多摩西部地域では、平たんな土地は少なく、特別警戒区域からの移転が困難な場所も存在します。よって、住み続けるためには、擁壁の設置や住宅改修が必要になるなど大きな負担が生じ、住み慣れた地域に居住することを諦めねばならない懸念もあります。
 今後、都として、土砂災害特別警戒区域内の建築物の安全対策を推進するための支援を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に地籍調査について伺います。
 地籍調査とは、一筆ごとの土地の所有者、地番などを調査し、境界の位置と面積を測量する調査のことであり、市区町村が実施主体となります。土地の記録は登記所で管理していますが、その半分ほどが明治時代につくられたもので、境界や形状などが現実とは異なる場合も多く、土地の面積も正確ではないこともあります。
 そこで、地籍調査により登記簿の記載の修正や地図が更新され、様々な行政事務の基礎資料として活用されることが期待されています。
 しかし、地籍調査を実施していない地域では、災害時に、まず、土地の境界確認から始める必要があり、被災地の復旧、復興が遅れる要因にもなります。
 つまり、地籍調査の成果は、迅速な災害復旧、復興における重要な基盤となりますが、都市部での地権者の多さや境界確定の難しさなどにより三大都市圏では遅れが目立ち、東京都も二四%となっています。
 実施主体である市区町村も予算や人員に制約がある中で民間事業者とも連携を図りながら進めていますが、都として地籍調査の進捗に向けて市区町村への支援などにどのように取り組むのか見解を伺います。
 次に、町会、自治会への支援について伺います。
 遠くの親類より近くの他人ということわざもありますが、防災、環境美化など、隣近所の助け合いは極めて大事であり、我が党は、地域コミュニティの要となる町会、自治会活動への支援を政策の柱の一つとしてきました。
 しかし、多くの町会、自治会では、例えば、マンションの住人を個別に訪問してもなかなか加入してくれないなど、町会離れによる加入率の低下や高齢化等による役員の担い手不足などの問題を抱えています。
 都は、これらの問題を解決する一助として、地域の底力助成に加えて、町会・自治会応援キャラバンなど、新しい取組を始めていますが、町会、自治会役員の方など、現場の声に丁寧に耳を傾け、もう一歩踏み込んだ取組が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、アスリートの学校現場への参画について伺います。
 私は、昨年の一般質問において、国際大会などで活躍したアスリートの技術や経験を学校現場で発揮してもらうよう、導入に本腰を入れるべきと提案したところ、教育長からは、アスリートなどが小学校の体育の授業で活躍できるように、人材の発掘や確保、事前研修の実施方法を検討するとの答弁がありました。
 そして、都教委は昨年度から、専門性を有する外部人材を小学校の講師として活用する取組を始めたとのことです。
 アスリートの参画により、多忙な教員の負担軽減の一助にもなりますし、また、パラリンピアンの参画で、障害がある方への理解の促進にもつながると考えます。
 もちろん導入に当たっては、アスリートの確保や現場の理解など課題はありますが、小学校だけでなく中学や高校にも展開してほしいと提案します。
 そこで、体育の授業におけるアスリートなど外部人材の活用の現状と今後の取組について見解を伺います。
 次に、南大沢スマートシティについて伺います。
 最先端のテクノロジーを都市に実装し、都民が質の高い生活を送るスマート東京の実現のため、先行実施エリアとして、5G活用サービスを創出する西新宿や、地域課題を踏まえたモビリティーサービスを目指す南大沢などで取組が進められています。
 内閣府のガイドブックによると、新技術や各種のデータ活用をまちづくりに取り入れたスマートシティを進める意義は、市民福祉の向上を掲げており、基本コンセプトも、新技術ありきではなく、課題の解決、ビジョンの実現を重視しています。
 さて、南大沢スマートシティについては、令和二年度に、都は、地元自治体や企業等と協議会を立ち上げ、現在、実施計画はバージョンツーとなっています。地域の特性や課題を踏まえ、モビリティー、まちのにぎわい、情報を基本方針として、先端技術を活用した実証実験を昨年と今年も実施しています。
 そこで、南大沢スマートシティの取組の目的と現在の状況、さらには、今後の展開について見解を伺います。
 続いて、十月にオープンした東京たま未来メッセについて伺います。
 東京たま未来メッセは、多摩地域の産業集積の強みを生かし、都における産業の振興を図る施設として開館しました。
 実際、多摩地域の各企業が出展するものづくりEXPOや保健、医療や介護事業者による健康フェアなど様々なイベントが行われ、コロナ禍でありながら、多くの人や事業所でにぎわっています。
 こうした利活用を通じて、広域的な産業交流の中核を担うことにより、東京の産業、サービスのイノベーションを生み出していくことが期待されています。
 まだ開館して二か月足らずでありますが、都として、この施設を活用し、今後どのように多摩地域の活性化につなげていくのか伺います。
 次に、就農準備の支援に関して、先日視察に伺いました東京農業アカデミー八王子研修農場について伺います。
 この研修農場は、開設して三年目、東京だからできる農業をキャッチフレーズに、毎年五名の研修生を受け入れ、栽培実習だけでなく、マーケティングの座学など、プロの農家を育てることを目指しています。
 さて、東京の農業は、畑と消費地が近いことが最大のメリットであり、この研修農場でつくられた野菜も、銀座など都心部で飛ぶように売れるそうです。
 その一方で、貸借による農地の確保に新規就農希望者が苦労することを受けて、都有地に営農経験が積めるように、農場整備も予定しています。
 都は、新たな就農希望者が都内で営農の場を確保し就農を開始できるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、経済安全保障に係る警視庁の取組について伺います。
 近年、暮らしや産業に不可欠なものや材料が不足する事態が相次いでいます。新型コロナ流行初期のマスク不足や、半導体不足で給湯器の供給不足などの事態もありました。
 グローバル化により、企業の供給網が世界中に広がった結果、新型コロナの世界的流行やロシアによる軍事侵攻など、何かが起きるとものが入らなくなるリスクが高まっています。
 こうした国際情勢の複雑化や社会構造の変化等に伴い、経済活動に関して国民生活の安全を守るため、国は、経済安全保障推進法を公布し、特許の非公開化などで技術流出を防ぐ制度も柱に据えています。
 つまり、大企業だけでなく中小零細事業者がつくり上げ保有する高度な技術、情報の海外への流出防止のため、官民挙げての対策が急務です。
 警視庁は、周知啓発のため、狙われる日本の技術というドラマを制作し、公開しましたが、動画作成の狙いと、今後の取組について伺います。
 次に、大人の発達障害への対応について伺います。
 文部科学省によると、令和二年度に全国の小中高校で、発達障害を持ち特別な指導を受けている児童生徒は約十六万五千人となり、調査開始以来最多となりました。
 また、発達障害と診断された年齢については、厚労省によると、未成年は約二十二万五千人に対し、二十歳以降は約二十四万三千人と、発達障害は、成人になってから診断される方が多いそうです。
 社会人になっても、単純なミスを繰り返す、人間関係がうまくいかないなど、生きづらさを感じる方や、自分はほかの人と何かが違うのかもと悩んでいる方も多いそうです。
 発達障害は、コミュニケーションが苦手で特定のことへのこだわりが強い自閉スペクトラム症や、年齢に比べて落ち着きがない、ミスが多い注意欠陥多動性障害、そして、知的発達には問題ないが、読む、書くなどに困難がある学習障害の三つに分類されますが、障害には多様性があり、連続体として重なり合っていることもあります。
 知的障害を伴わない場合、子供の頃は、少し変わった人だと認識されながらも普通に大人になるケースも多くあり、むしろ興味があることに集中する特性から、学校では優秀な成績を取り、本人も周囲も発達障害であると気づかないこともあるそうです。
 こうした中、大人の発達障害に対して悩みを抱える当事者の支援や相談窓口を充実させること、そして、職場などの理解を広めていくことは、本人にとっても周囲に対しても必要な施策と考えます。また、発達障害と認定されないグレーゾーンの方への支援も必要です。
 こうした状況を踏まえ、大人の発達障害に対してどのように取り組むのか、知事に伺います。
 最後に、太陽光パネル義務化の条例と補正予算について一言申し上げます。
 この事業は、個人の所有する自宅を対象としており、所要経費から事業効果まで全体像を明らかにし、都民の理解と納得をいただき、都と都民が協力すべき事業です。
 今回の改正条例案では、いわゆるエリアマネジメントに係る改正は一年先、義務化に係る改正は二年先となっています。
 いい換えれば、今定例会で条例改正をしても、直ちに改正の効力は生じません。太陽光パネル事業を進めるため、条例が効力を生じる前に準備を進めたいとの意図は理解できますが、来年の第一回定例会予算特別委員会での審議がどうして待てないのでしょうか。
 脱炭素社会に向けての再生可能エネルギーの導入については理解します。
 今後、条例の内容、補正予算の趣旨を踏まえ、今定例会で義務化を決定することの是非について、我が会派はしっかりと議論していくことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤しょうこう議員の一般質問にお答えいたします。
 発達障害のある方への支援についてのお尋ねがございました。
 自閉症や学習障害などの発達障害は、脳機能の障害であり、多くは子供のうちに症状が現れるとされております。
 一方、周りの理解を十分得られず、長い間、その症状が見逃され、大人になってから障害に気づくこともございます。
 都は、発達障害のある方が、安心して地域で暮らせるよう、乳幼児期から成人期までの多様な相談に応じる体制を整えるとともに、地域における区市町村の取組を支援いたしております。
 昨今、成人期の方からの相談が多いため、来月から、医療面でのサポートも含めまして、成人期向けの専門相談に対応することといたしております。
 障害のある方もない方も、互いに尊重し、支え合いながら、地域の中で共に生活する共生社会の実現を目指してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 企業を対象とした技術情報等の流出防止に向けた取組についてでありますが、東京には、独自の高度な技術を保有する企業が多数存在しており、その技術情報等の外国への流出が懸念されているところ、こうした取組は、経済安全保障の推進上、極めて重要であると認識をしております。
 そのため、警視庁では、これまで延べ二千六百社以上の企業に対し、技術流出の具体的手口や有効な対策等を提供するアウトリーチ活動を行ってまいりました。その中で、今般、企業からの要望を受け、社員の危機意識醸成等を支援するため、ドラマ、プライド・オーダー、狙われる日本の技術を制作いたしました。
 当庁では、経済安全保障を推進すべく、今後もこうした技術情報等の流出防止対策に鋭意取り組んでまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) アスリートなどの外部人材の活用についてでございますが、都教育委員会は、今年度から体育の授業において外部人材の募集を新たに開始しており、国際大会に出場したアスリートを含む十三名が研修を修了し、小学校での授業を行っています。
 競技の専門家から直接指導を受けることは、子供たちに刺激を与え、スポーツを身近に感じてもらうためにも有効であり、区市町村教育委員会からも多数の実施希望がございます。
 引き続き、各競技の関係団体等へPRを行うなど、アスリート等、専門性の高い人材の発掘や確保を進め、子供たちの学びの充実を図ってまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、土砂災害特別警戒区域内の既存建築物の安全対策についてでございます。
 都はこれまで、特別警戒区域内の既存建築物について、安全性の確保に向けた改修等が進むよう、区市町村に対し、国の補助制度の活用を働きかけてまいりました。
 近年、大型の台風や記録的な大雨による大規模な土砂災害が発生していることから、都民の生命を守るためには、特別警戒区域内の土砂災害に対する建築物等の安全性を確保することがますます重要となってきております。
 このため、都は今後、区市町村が既存建築物の安全対策に、より積極的に取り組めるよう、擁壁の設置や外壁の補強等に対する支援策について検討してまいります。
 次に、地籍調査に関する市区町村への支援についてでございます。
 地籍調査は、土地の境界や権利関係を明確にし、災害後の迅速な復興等を図る上で重要でございます。都内では、島しょ地域を除き、市区町村が主体となって実施しており、都は、市区町村の主体的な取組が進むよう、様々な機会を捉えて技術的支援を行っております。
 具体的には、自治体等から成る全国国土調査協会と連携し、実務上必要な手順や測量技術等について研修を行うとともに、市区町村との連絡会を開催し、自治体間の情報共有や意見交換を行う機会の提供等を行っております。
 さらに、測量や立会い等を通じた実践的なノウハウを蓄積し、都市部における効率的な調査方法を確立するため、今後、国の参画も得ながら研究会を立ち上げ、地籍調査の加速に努めてまいります。
 最後に、南大沢スマートシティの取組についてでございます。
 南大沢地区は、スマート東京実施戦略において、最先端の研究とICT活用による地域住民の生活向上が融合した持続可能なスマートなまちを目指すこととしております。
 当地区は、高齢化の進展や丘陵地で坂が多いなどの特性があり、移動の負担軽減やまちのにぎわいの創出等が課題となっております。
 このため、都は、令和二年度に、産学公から成る協議会を設置し、効果等を検証しながら、実践的なまちづくりを推進しております。今年度は、電動キックボードのシェアリングサービスや3Dマップを活用したARナビアプリの提供等を先月から開始しております。
 引き続き、都民生活の向上を目指し、先端技術の社会実装を進めるとともに、ノウハウや技術を蓄積し、他地域にも横展開することで、スマート東京の実現につなげてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 町会、自治会支援についてでございますが、町会、自治会は、共助の中核として重要な役割を果たしていることから、より一層の活性化を図る必要がございます。
 そのため、都は今年度から、区市町村と共に、事業の企画から実施まで支援する応援キャラバンを実施しております。
 事業に参加した町会からは、苦労して準備して祭りなどを行うと、新規住民も楽しんでくれるが、結局、加入につながらないといった悩みの声も聞かれます。
 都はこれまで、加入促進の取組を広く共有してまいりましたが、今後新たにキャラバンチームが現地で直接、未加入者を含めた住民等から、町会、自治会に対する意識やニーズを丁寧に聞き取り、新規住民等が町会、自治会の様々な活動に日頃から関心を持って参加できる取組を検討してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京たま未来メッセの活用についてでございますが、多摩地域の産業振興を図るため、東京たま未来メッセを活用して、中小企業が都県域を越えて交流し、イノベーションを生み出すよう支援をすることが重要でございます。
 このため、都は、多摩に集積する中小企業や研究機関等と隣接県や地元市による産学公ネットワークをつくり、これを同メッセに置いた専門人材が活用して、商談会等の開催を支援しております。また、多摩の中小企業の優れた製品を展示し、大企業と協力して、イノベーションの創出を図る取組を行いました。さらに、環境保護や物流の整備等、地域の行政課題の解決に向け、スタートアップの力を生かし、新たな技術を生み出すためのイベントも開催をしたところでございます。
 今後は、多摩地域を中心に、数多くの企業が参加する展示会の開催を検討し、地域の産業の活性化につなげてまいります。
 次に、就農を希望する方の農地の確保についてでございますが、東京で新たに農業を始めることを目指す方が、農地を確保して、耕作や様々な作業を円滑に開始できるよう、支援をすることは重要でございます。
 これまで都は、貸出可能な農地を探し、その所有者と就農を希望する方とのマッチングを行う農業委員会の取組をサポートしてまいりました。また、農業を基礎から学べるよう、都が運営する研修農場の生徒に対し、地元とつながりをつくり、農地の確保を容易にする方法などを助言しております。
 現在は、農地を確保できない方に、生産の場を一定期間提供する仕組みづくりを進めておりまして、農作業で使う土地や施設のほか、運営の方法などを取り決めた上で、具体的な整備に着手いたします。
 これによりまして、都内での新規就農を促進してまいります。

○議長(三宅しげき君) 七十三番おじま紘平君
   〔七十三番おじま紘平君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十三番(おじま紘平君) 脱炭素社会の実現に向けたGX、グリーントランスフォーメーションの加速は、地球規模での課題解決のために必要不可欠であり、東京も大きく貢献していかなければなりません。
 先般、小池知事は、エジプトで開催されたCOP27に出席をされ、東京の果たすべき役割や再生可能エネルギー由来のいわゆるグリーン水素の活用に向けて、水素パイプライン構想を表明されました。
 そこで、エジプト出張の成果とカーボンニュートラルに向けた中長期の展望について、知事の見解を伺います。
 次に、セーフシティの実現に向けた都の取組について伺います。
 本年九月、台風十四号、十五号が立て続けに発生をし、全国各地に甚大な被害をもたらしました。都内でも、当初の予想を上回る大雨により河川の水位が上昇し、一部河川では、氾濫危険水位を超えるなど、危機を目の当たりにしました。また、マグニチュード八から九クラスで被害が超広域にわたるとされる南海トラフ地震、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震も、今後三十年以内に発生する確率が高いとされています。
 こうしたリスクも高まる中で、災害被害を防ぐ、減らすためには、都民一人一人の日頃からの備えが重要です。また、災害が発生してしまったときには、いつでもどこでも、あらゆる世代が防災情報を分かりやすく受け取ることができるよう、SNSなども含めた発信体制を整えておかなくてはなりません。
 ツイッターにおいては、約二百万人のフォロワーを有する東京都防災というアカウントを総務局総合防災部が運用していますが、私は、これを大きな武器だと考えています。災害そのものの状況はもちろん、公共交通機関の状況、電気、ガス、水道などのライフラインの状況、避難所、避難場所の状況なども含め、あらゆる情報を提供するためには、様々な媒体を活用し、戦略的に広報を行っていく必要があると考えます。
 そこで、災害発生時、あらゆる都民に防災情報を提供するため、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 続いて、国民保護について伺います。
 本年二月、ロシアによるウクライナ侵攻において、首都キーウに弾道ミサイル攻撃が行われました。このことは、有事において、首都がミサイル攻撃の対象となる可能性を明らかにしたものです。また、十月には北朝鮮が発射をした弾道ミサイルが青森県の上空を通過、都内にもJアラートが発出されるなど、都民、国民の不安感情はさらに高まっています。
 ミサイル攻撃から身を守るには、地下施設や堅牢な建物などの緊急一時避難施設に退避することが必要であり、首都東京において、それをいかに確保するかは重要です。
 都では、本年九月、七百を超える緊急一時避難施設の指定を行っていますが、そのほとんどは都内の公共施設です。
 ミサイルの発射から数分で着弾する可能性があることを考えると、民間企業の協力も得ながら、より多くの施設を確保していくことが重要です。
 例えば、私の下には、日本音楽会場協会から、ライブハウスを活用してはどうかとの申出を自らいただいているところです。確かに、ライブハウスは地下にあることが多く、かつ防音性が求められることから、堅牢なつくりであり、私自身も目からうろこでした。
 そこで、今後、緊急一時避難施設のさらなる確保に向け、民間事業者への協力をどのように促していくのか伺います。
 なお、総務局総合防災部は、防災、危機管理をはじめ、今後の都政における重要課題を多く所管していることから、職員の増員と予算の増額、また、将来的には、局並みに格上げをすることも含めて検討すべきということも申し上げておきます。
 次に、ダイバーシティの実現に向けた都の取組について伺います。
 二〇二五年に予定をされているデフリンピックの開催に当たっては、我が会派としてこれまで取り組んできた聴覚障害への理解促進にとどまらず、未来を担う子供たちが、障害や文化を超えて、互いの理解を深めるソーシャルインクルージョンの契機となる取組を後押しすべきです。
 デフリンピックの開催に向け、障害のある生徒と障害のない生徒が共に学んだり、外国の生徒と交流したりすることができる機会を充実させていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、スマートシティの実現に向けた都の取組について伺います。
 都は昨年度より、世界最大級のプロジェクションマッピング国際大会を中心とする光の祭典TOKYO LIGHTSをスタートしました。今年度は、九月と十一月の二回にわたり開催、延べ一万七千人が訪れる世界にも類を見ない大規模なイベントへと発展し、大変好評だったと聞いています。
 こうしたプロジェクションマッピングは、幻想的に夜のまちを彩り、国内のみならず、外国人のファンも非常に多く、これからの観光振興に欠かせないイベントとして期待をされることから、今後は、プロジェクションマッピングといえば東京と国内外から認知をされ、東京の代表的な観光コンテンツとして、集客に結びつけることができるよう、取組をさらに加速していくと考えます。
 そこで、国内外の観光客を引きつけるプロジェクションマッピングのさらなる活用をどう進めていくのか、知事の見解を伺います。
 続いて、道路交通センサスについて伺います。
 先月、昨年度秋に全国で実施された全国道路・街路交通情勢調査、いわゆる道路交通センサスの速報集計結果が公表されましたが、速報といいつつ一年かかっていることから分かるように、調査手法の一部はいまだ人手によるもの、つまりアナログということもあり、データの収集や整理に多くの労力と期間を要していると聞きます。
 一方で、AIやVR、AR、ブロックチェーンをはじめとしたデジタル技術が急速に進展する中で、ビッグデータの効率的な収集も可能となっており、各分野において積極的活用が期待をされているところです。
 例えば、スペインや中国などの諸外国では、デジタル技術を用いて、人や自動車の流れをカウント、分析し、道路交通政策に役立てています。
 国においても、令和元年にICTを活用した新道路交通調査体系検討会が設立をされ、昨年度はCCTV画像を活用したAI観測を導入した調査を行うなど、デジタル技術活用の検討が進められていると聞いています。
 そこで、デジタル技術がさらに進展することを見据えた全国道路・街路交通情勢調査における都の取組について伺います。
 次に、不妊治療、とりわけ卵子凍結に関する都の取組について伺います。
 昨年の合計特殊出生率は一・〇八と、五年連続で低下している東京都において、少子化対策は最優先課題の一つです。女性の働き方、ライフプランが多様化する時代においても、政治、行政として様々な選択肢を用意することは重要です。
 卵子凍結については、妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、昨日の我が会派の代表質問でも支援の創設を求めたところです。民間企業における新しい福利厚生としての可能性もあることから、労働分野における活用も期待をしているところです。
 都は、卵子凍結についての普及啓発や卵子凍結に関する新たな助成対象疾患の可能性について調査を行うなど、新たな取組を実施していると聞いていますが、都の取組内容と進捗状況について伺います。また、いわゆる社会的適応に対する今後の対応についても併せて伺います。
 なお、事業化、予算化を検討するに当たっては、卵子凍結だけでなく、体に残された卵子の量を知るAMH検査など、プレコンセプションケア、またアフターフォローなども含めたパッケージとしていただくことも併せて要望しておきます。
 次に、子宮頸がんの撲滅に向けた都の取組について伺います。
 子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの感染が関連をしていることから、予防のためにはHPVワクチンの接種が有効であり、今年度からは積極的接種勧奨が再開をされました。また、中止されていた九年間に接種機会を逃した平成九年度から十七年度生まれの女性へのキャッチアップ接種も始まったところです。
 二〇二〇年十一月十七日には、WHOが、子宮頸がんの公衆衛生学的排除を加速するための世界戦略を発表し、この日を記念日として、世界各地のランドマークを一斉に子宮頸がん制圧のテーマカラー、ティールブルーにライトアップする取組が行われています。本年は、我が会派の働きかけにより、東京都においても、初めて都庁舎をティールブルーにライトアップしたところです。
 また、知で命を守るんやをスローガンに、HPVワクチンの正しい知識を中高生に広める活動をしている医大生を中心とした学生団体、Vcanをはじめとする民間団体と都立高校など教育機関との連携も期待をしているところです。
 こうした広報活動や教育部門との連携を通じ、HPVワクチン接種の理解促進や検診の受診啓発による子宮頸がんの予防と早期発見の取組を進めていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 なお、HPVは主に性交渉によって感染するため、男性がHPVワクチンを接種することで、子宮頸がんになる女性を減らせる効果もあります。また、子宮頸がんだけでなく、中咽頭がんや陰茎がんなど男性がかかる病気への効果も期待をされますが、男性が接種する場合は、自費でおよそ五万円かかります。今後、男性の接種についても支援を検討されることも要望をしておきます。
 次に、練馬城址公園の整備について伺います。
 私の地元練馬区では、一昨年に遊園地としまえんが惜しまれつつ閉園しましたが、その敷地を含む都立練馬城址公園が来年五月に一部開園、さらに、夏には、ワーナーブラザースジャパンが運営をする新施設ワーナーブラザーススタジオツアー東京—メイキング・オブ・ハリー・ポッターが開業します。
 地元練馬区ににぎわいをもたらす施設となることに心から期待をする一方で、都立公園と民間施設の共存共栄という一大プロジェクトを成功させるには、公園内だけでなく、周辺都市基盤も含めた総合的な整備が必要です。
 公園敷地内を通過する都市計画道路補助一三三号線をはじめ、特に交通環境、公園へのアプローチは重要ですが、現状、特に南北外周道路の道幅は非常に狭く、これを改善するには、公園側をセットバックし拡幅する必要があるとの要望も区から上がってきています。
 また、そもそもは首都東京の防災機能強化に向けたいわゆる防災公園として指定された経緯があり、地元からもそのように期待されていることから、地域における防災機能を確保していく必要もあります。
 そこで、練馬城址公園の整備に当たっては、周辺都市基盤の整備や地域における防災機能の確保などを見据えながら、練馬区や民間事業者と連携して取り組むことが重要と考えますが、見解を伺います。
 最後に、農業振興について伺います。
 私の地元練馬区における都市農業をはじめ、消費地の近くで営まれる東京の農業は、都民に新鮮な農産物を提供しています。
 しかし、その生産基盤となる農地は減少の一途をたどっており、この十年間で失われた農地は千九十ヘクタール、減少率は一五%となっています。また、就農者の減少と高齢化も顕著で、農家数が十年間で二七%減少するとともに、平均年齢も一・五歳上昇しています。マンパワーの育成、確保は、今後、東京の農業を存続、発展させていく上で大きな課題となっています。
 私も地元を歩いて回る中で、農家ならではの苦労や悩みは多く聞いてきましたが、特にこの数年、都市農業を取り巻く状況は厳しくなる一方だと感じます。こうした流れに歯止めをかけ、東京農業を成長させていくためには、農業振興、農地保全に戦略的な視点を持って取り組んでいく必要があります。
 近年は、食品製造やスーパーマーケットなどの民間企業が農業に参入し、自ら運営する農場で生産した野菜を加工、販売している事例があります。こうした民間企業のノウハウを活用し、東京農業の活性化を図るため、農業に従事する人材の採用、育成や耕作地の確保を後押しすることは重要と考えます。
 民間企業のポテンシャルを活用し、東京農業の活性化を実現するために、戦略性のある取組を行うべきと考えますが、都の見解を伺い、私の一般質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) おじま紘平議員の一般質問にお答えいたします。
 エジプト出張とカーボンニュートラルに向けた展望についてのお尋ねがございました。
 私は、COP27で各国首脳が集まる会議等に出席をいたしまして、気候変動対策の最前線に立つ都市の首長といたしまして、グリーン水素の活用など都の脱炭素に向けた取組を広く発信をし、気候変動対策のイニシアチブを発揮したところでございます。
 都は、二〇三〇年のカーボンハーフとその先のゼロエミッション東京の実現に向けまして、エネルギーの脱炭素化や持続可能な資源利用などあらゆる施策の抜本的な強化拡充を図ってまいります。
 また、再生可能エネルギーの普及と併せまして、脱炭素化に不可欠な水素が様々な分野で活用されますよう、グリーン水素の製造や利用機器の導入促進など、社会実装を推進してまいります。
 将来を見据えまして、海外から受け入れた水素のパイプラインを含めた供給方法につきまして、先日民間事業者等と議論した水素供給の事例なども踏まえまして検討を進めてまいります。
 中長期を見据えたこれらの実効性ある政策を常に練り上げ、新たなステージへと飛躍することで、国や世界をリードしてまいります。
 デフリンピックに向けたインクルージョンの推進についてでございます。
 デフリンピックは世界中からデフアスリートが集う国際大会で、子供たちにとっても、聴覚障害への理解を深めるとともに、障害の有無にかかわらず、互いを認め、尊重し合いながら学ぶよいきっかけとなります。
 今年度は、オリ・パラレガシーの一環といたしまして、ろう学校の生徒が都立高校の生徒と共にデフリンピック発祥の地でもありますパリを訪れて、現地の高校生と交流をいたします。
 こうした取組をデフリンピックにつなげるとともに、国内外を問わず、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶ機会を一層充実させ、子供たちに他者への共感や思いやりの心を育て、誰もが共に交流し、支え合う共生社会を実現してまいります。
 最後に、プロジェクションマッピングの活用についてお尋ねがございました。
 プロジェクションマッピングは、高い芸術性を持ち、デジタル分野でも、我が国が世界をリードしている技術の粋により制作をされ、数多くの観客を国内外から引きつける魅力があります。これからの観光振興の重要なツールとして活用する視点は不可欠であります。
 その制作者たちが集い、腕を競い合う国際大会に私も出向きまして、多くの方々とともに、画像の美しさや迫力にじかに触れる機会を持ったところであります。
 こうした光の祭典の存在感を高める努力を重ねまして、東京を代表する観光資源に磨き上げ、誘客に結びつけてまいりたいと考えております。
 世界の様々な都市では、プロジェクションマッピングをコンサートやスポーツ競技の会場などで巧みに使っておりまして、まち全体をイルミネーションとも組み合わせて色鮮やかに演出する取組も進んでいます。東京もイベントの中での投影にとどまらず、まち全体に広げて、その魅力を世界に発信していくことが重要です。
 東京でプロジェクションマッピングを効果的に使いこなし、集客につなげるための先導的な取組を進めるエリアを設けていきたいと考えております。
 例えば、西新宿で林立する高層ビルの壁面を照らし、再開発中の地域に潤いをもたらす工夫も行うなど様々な可能性を検討したいと思います。
 こうした取組によって、東京の夜を彩る新たな観光資源をつくり上げ、旅行者の誘致を進めてまいります。
 その他の質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁を行います。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路交通調査のデジタル技術活用についてでございますが、全国道路・街路交通情勢調査は、国、都道府県及び政令市が、道路と交通の実態を把握するために実施しておりまして、道路の整備計画を策定する上で重要な基礎調査でございます。
 国は昨年度から、この調査の効率化、合理化を図るため、自動車を対象として、カメラ画像の活用による交通量データの取得を開始いたしました。
 一方、都は、歩行者や自転車等の交通量も含めて詳細な情報を把握するため、調査員による計測といたしましたが、あわせて、一部の箇所において自動車交通の画像を取得しております。
 現在、取得した画像から得られる交通量データの精度の検証を進めておりまして、国の動向を踏まえながら、今後、道路交通調査へのデジタル技術の活用に向けて取り組んでまいります。
 次に、練馬城址公園についてでございますが、本公園は、都民に親しまれてきた土地の歴史、風土、緑豊かな自然を生かし、多様な主体と連携して、社会の変化に応えながらつくり上げるという考え方の下、整備を進めております。
 例えば、公園北西部に位置する花のふれあいゾーンにおいては、地元区と連携し、区道沿いに歩行者が安全に利用できる園路を整備いたします。
 また、隣接する民間事業者の施設においても、大規模災害時の避難空間や一時滞在施設を確保するなど、防災機能を備えた整備が行われることとなっております。
 令和五年五月に一部開園し、引き続き、区や民間事業者と連携協力しながら、公園の整備を進めてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時における防災情報の発信についてでございますが、発災時、都民一人一人に正しく情報を伝え、適切な防災行動に結びつけるためには、媒体の特性を生かした情報発信が重要でございます。
 このため、都は、区市町村やマスメディア等と連携し、防災アプリのプッシュ通知、防災行政無線、テレビの字幕放送など、多様な媒体を活用して、あらゆる都民への迅速かつ正確な防災情報の提供に取り組んでまいりました。
 また、刻々と状況が変化する台風接近時などには、SNSの迅速性や手軽さを生かし、広く都民に連続して注意喚起を行うなど、適切な避難行動を促してまいりました。
 今後、防災アプリに「やさしい日本語」の導入を検討するなど、子供や外国人をはじめ、誰もが分かりやすい情報発信に一層取り組み、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、民間の緊急一時避難施設の指定についてでございますが、ミサイル攻撃から都民の生命や身体を守るためには、国や区市町村はもとより、民間事業者とも協力しながら、緊急一時避難施設を確保していくことが重要でございます。
 このため、本年五月には民間鉄道事業者の地下駅舎等を指定いたしました。また、六月には区市町村に対しまして活用可能な民間施設に関する調査を実施し、現在、地元自治体と連携し、候補となり得る施設との協議を行ってございます。
 今後、民間事業者の理解を深めるため、リーフレットやSNS等を活用し、緊急一時避難施設の必要性について積極的に周知してまいります。あわせて、事故や損害発生時の責任、補償について、引き続き、国に明確な基準を示すよう求めてまいります。
 これらの取組を着実に進めることで、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、卵子凍結に対する取組についてでございますが、都は今年度、女性が自らのライフプランについて適切な選択が行えるよう、卵子凍結に関するメリット、デメリットなどについて専門医にヒアリングを行い、それを踏まえて、普及啓発冊子の内容の充実や電子書籍化を進めてございます。
 また、がんなどのほか、医学的適応による卵子凍結の助成対象となり得る疾患について調査をするとともに、社会的適応に対する海外での取組事例や福利厚生による助成を行っている企業の事例等についても調査をしてございます。
 今後、子供を望む方に対する支援の充実という観点から、社会的適応について、都としての対応を具体的に検討してまいります。
 次に、子宮頸がんの予防についてでございますが、都は、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの積極的勧奨の再開を受け、接種の効果とリスク、接種機会を逃した方への接種等についてホームページで周知をするとともに、接種後の症状等に関する相談体制を整備してございます。
 また、女性の健康な生活や女性特有の病気に関する情報を集約したポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部を通じて、子宮頸がんに関する正しい知識を啓発するほか、毎年三月の女性の健康週間には、企業と連携して定期的な検診受診を広く呼びかけてございます。
 さらに、今年度は、子宮頸がん検診とHPVワクチンの理解促進に向け、都庁舎をライトアップいたしました。
 今後、教育所管部局との連携強化も図りながら、子宮頸がんの予防と早期発見に向け、一層取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) これからの農業振興の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 東京農業の発展を図るため、農作物を生産する法人が、新たな担い手や農地を確保し、効率的に事業を展開できるよう後押しをすることは重要でございます。
 このため、都は、農作業に従事する人材を雇用し育成する企業の取組へのサポートに加え、そうした人材を増やすため、副業やボランティアで農業に携わることを目指す方が、栽培技術の基礎を学ぶ仕組みづくりを検討いたします。
 また、農地の確保に向け、生産緑地の貸出しを増やすため、自治体の区域を超えたマッチングへの支援や、長期にわたる貸出しの意欲を高める奨励制度を検討いたします。
 さらに、遊休農地を企業が借り上げた場合、土地や建物を整備する経費への支援の検討も行います。
 こうした取組によりまして、東京農業の振興を図ってまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時三十一分休憩

   午後五時五十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三番石島秀起君
   〔三番石島秀起君登壇〕

○三番(石島秀起君) 初めに、都心部・臨海地域地下鉄構想についてお伺いします。
 同構想は、東京駅を起点として、有明・ビッグサイトまで、約六キロの区間に七駅、概算事業費約四千二百億円から五千百億円、二〇四〇年代前半の開業を目指す事業計画案が公表されました。
 昨日の都議会自民党の代表質問に対して、計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するなど、本路線の早期事業化に向けた取組を加速していくとの知事の考えが示されました。
 事業計画案では、今後、常磐新線TX延伸との接続、羽田空港との接続を検討されるとのことですが、この地下鉄の事業性の向上はもとより、ひいては、臨海部と都心部をつなぐ新たなにぎわいの軸が形成されるとともに、都心の魅力と活力の向上に向けて、日本の持続的な成長へと資するものと考えます。
 そのためには、まず、東京駅から仮称有明・東京ビッグサイト駅までの区間について、中央区をはじめとする沿線区との連携を深めて、検討を進めていく必要があります。
 そこで、今後、都はどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いします。
 次に、東京BRTについてお伺いします。
 東京BRTは、交通アクセスが不便な臨海部と都心を結ぶ交通機関として、従来の路線バスより停留所を少なくすることにより、速達性、定時性と輸送力を備えた新しい輸送システムとして大きな期待が寄せられています。
 現在は、虎ノ門ヒルズから新橋を経て晴海に至るルートでプレ運行一次を行っていますが、当初予定されていたプレ運行二次は、コロナ禍や東京二〇二〇大会延期の影響、さらには、停留所工事の入札不調により大幅な延期になりました。
 こうした状況の中、本年十二月十八日には、臨海部と都心部を結ぶ大動脈、環状第二号線が全線開通します。
 そこで、臨海部における交通需要が増加する中、BRTは主要交通機関として早期運行が強く求められていますが、プレ運行二次の開始に向けた取組について、そして、令和六年春、晴海五丁目まち開きのスケジュールに合わせた本格運行への取組について、さらには、東京駅へ直結する新ルートについて、早急に検討を進めるよう強い要望が寄せられていますが、見解をお伺いします。
 次に、環状第二号線の開通についてお伺いします。
 今月十八日に開通を控える、環状第二号線の築地—新橋間をつなぐ本線トンネルは、当初、二〇二〇年夏には開通し、都民の活発な都市活動を支えるとともに、オリンピック・パラリンピック東京大会の輸送を担う主動線になる予定でした。
 市場移転等の影響により、開通が二年以上も遅れたことは極めて残念ですが、今月十日に開催されるウオーキングイベントには定員を大きく上回る参加希望が寄せられるなど、開通に向けた機運が高まっています。
 今回区間の開通は、私の地元である中央区にとっての悲願であり、港区、江東区など関係する自治体からも大きな期待が寄せられています。今後の東京の都市づくりを見据える上でも非常に重要な意味を持っています。
 そこで、環状第二号線の築地—新橋間の本線が開通することにより、どのような効果があるのか、都の見解をお伺いします。
 次に、高次脳機能障害者の支援についてお伺いします。
 東京都では、心身障害者福祉センターを拠点として、専用電話による相談、人材育成、支援ネットワークの構築など、高次脳機能障害者に対する支援事業を展開しています。
 一方、区市町村においても、専門相談、交流会の開催など、独自の取組を行っていますが、その内容は様々であり、東京都が実施している制度への職員の習熟度も必ずしも十分ではないといわれています。
 こうした中、東京都では、心身障害者福祉センターや区市町村、地域の医療機関、就労支援機関などで構成する検討会、定期的に行う実態調査などにより、諸課題の把握に努め、地域支援ネットワークの構築を進めています。加えて、当事者である患者や家族がどんな悩みを持ち、何を困り、どのような支援を望んでいるのかという視点に立ち、支援策の充実を図っていくことが肝要です。
 そこで、支援事業を、患者、家族の立場に寄り添い、より充実させていくために、地区ごとに構成された当事者、家族会等との連携を深めていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
 また、区市町村における支援事業の充実、取組の均質化に向けて、東京都としても積極的に関わりを持つ必要があると考えますが、併せて見解をお伺いします。
 次に、建設関係車両待機駐車問題についてお伺いします。
 都内各地において大規模再開発事業が進行する中、建設現場への資機材搬入車両の現場周辺での待機駐車は、駐車車両を原因とする交通渋滞の発生や死亡事故の発生、駐車車両、渋滞車両の排出ガスによる周辺地域の環境悪化など、長年にわたる深刻な社会問題になっています。
 一方、搬入業者は、工事現場へ指定時刻での搬入が求められることから、その時刻に合わせるために現場周辺での待機駐車を余儀なくされます。
 こうした中、警視庁では、取締りを強化することだけではなく、問題解決に向けて、積極的な取組を進めていると聞いています。
 今後も様々な大規模開発が予定されている中、問題解決のためには、事業者、工事業者、行政機関が連携を図り、解決策を見いだしていかなくてはなりません。
 そこで、工事関係車両待機駐車問題について、どのような現状認識を持たれているのか、また、具体的に今後どのような取組をなされていくのか、警視総監の見解をお伺いします。
 次に、自転車利用者の交通違反に対する取締りの強化についてお伺いします。
 都内の交通人身事故総件数のうち、自転車事故の占める割合は近年増加傾向で、昨年度では約四割を超えるまでになりました。
 自転車が加害者となる事故が相次ぐ中、自転車の法令違反に向けられる都民の目も厳しくなっており、特に赤信号無視や一時不停止など重大な事故につながりかねないケースも増えており、取締りに対する要望も増えていると聞いています。
 こうした事態を受けて警視庁は、十月末から、信号無視、一時不停止、車道の右側通行、徐行しない歩道通行の四つの違反で悪質な場合は赤切符を交付する措置を始めたとのことですが、自転車利用者には道路交通ルールの認知不足も見られるようです。
 そこで、不幸な自転車交通事故を減らすため、交通安全教育や広報啓発活動のさらなる推進と悪質な取締り活動の強化に向けて、警視庁全体で取り組むべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、消防活動におけるドローンの活用についてお伺いします。
 大規模災害、常時発生する火災、山岳遭難などの捜索救助活動等に対して、ドローンを活用した俯瞰的視点からの情報収集は、人の近づけない場所や目に見えない場所の状況把握などに非常に有用です。
 本年四月現在、全国にある七百二十四消防本部のうち、約六〇%に当たる四百二十九本部に計五百八十一機のドローンが配備されています。一方、消防団への配備は、昨年十二月時点で全消防団の一・八%、計六十機にとどまっていることから、総務省消防庁は本格的に消防団へ導入する方針を明らかにしました。
 消防団員に対する講習を消防学校にて実施し、基本的な操縦方法、撮影画像を基にした対処方法などを訓練するとともに、ドローンを消防団設備整備費補助金の対象として、普及促進を図るとしています。
 他方、ドローンは航空法上の無人航空機に該当することから、航空法による飛行禁止区域や遵守しなければならないルールが定められています。加えて、都市機能が集積する二十三区では、高い安全性の確保が求められます。
 そこで、東京消防庁におけるドローン運用についての基本的な考え方並びにこれまでのドローンの運用状況と、特別区消防団へのドローンの配備について、消防総監の見解をお伺いします。
 最後に、機能別団員制度の運用についてお伺いします。
 機能別団員制度は、消防団員の負担軽減や消防団活動に参加しやすい環境を整備するために、特定の任務や活動に従事することを役割として創設され、本年四月一日現在、東京消防庁では四十二団で運用されています。消防団員の定員割れ、高齢化、新規入団者が減少する中、消防団の活動を補完する役割として大きな期待が寄せられています。
 愛媛県松山市消防団では、郵便配達業務により地域の状況にたけた郵便局員との連携を図り、災害情報、被災情報、住民情報などについて災害対策本部へ情報提供を行う郵政消防団員部隊、ファイヤーポストマンチームを設置し、注目を集めています。
 一方、東京地方郵便局長会においても、日頃の郵便業務等を通じて地域事情に精通していることから、災害発生時に自治体の防災活動を支援するため、所属する郵便局長約千名が防災士資格を取得し、特別区六区で防災ボランティアに登録するなど、いざという災害に備えています。
 そこで、こうした防災への取組を行っている事業所に対して、機能別団員としての入団促進を図ることは、制度のより効果的な活用につながると考えますが、見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 石島秀起議員の一般質問にお答えいたします。
 都心部・臨海地域地下鉄についてでございます。
 将来にわたり、東京が持続的に発展をし、日本全体の成長を牽引するためには、鉄道網の充実が不可欠であります。
 本路線は、都心部と臨海部とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割が期待されております。
 昨年九月から、国の参画も得た事業計画検討会におきまして検討を進め、先月、ルートや駅の位置を含めました事業計画案を取りまとめたところでございます。
 この事業計画案を基にいたしまして、今後、都は、中央区などの沿線区と検討の場を設けまして、沿線開発等のまちづくりと連携した検討を深めるなど、計画のブラッシュアップを行いまして、本路線の事業化に向けた取組を加速してまいります。
 この地下鉄の実現によって、都心部と今後の開発が見込まれます臨海部が一体となって、東京や日本を牽引するエリアの発展につなげてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、工事関係車両の路上待機に関する取組についてでありますが、現場入場待ちの路上待機車両は交通事故の原因となるほか、アイドリングによる環境への悪影響も指摘されており、対応に当たっては行政機関や事業者等との連携が不可欠であります。
 警視庁では、工事実施前に事業者が行う安全講習会等において路上待機の防止を要請しているほか、工事中に路上待機車両が認められた場合には、現場責任者等に対して、現場入場時間を考慮した出発時間の見直しなど具体的な申入れを行っております。
 今後も事業者等に対して路上待機の防止を要請するとともに、待機車両の現状や問題点について関係機関と情報を共有するなど、連携を強化してまいります。
 次に、自転車の交通事故を減らすための取組についてでありますが、都内の交通人身事故総数に占める自転車関与事故の割合は四割を超え、自転車側の法令違反が認められる事故も多いことから、自転車利用者に交通ルール遵守を促すことが重要であります。
 そのため、警視庁では、小中学校やフードデリバリー事業者等と連携した交通安全教育、各種キャンペーンやSNS等を通じた広報啓発などを行っているほか、本年十月末から重大事故に直結する信号無視等の交通違反取締りを強化しております。
 今後も、これらの交通安全教育等を推進するとともに、悪質な交通違反の取締りを徹底するなど、自転車の交通事故を減らすための取組を警視庁全体で一層推進してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 環状第二号線の開通に伴う効果についてでございますが、環状第二号線は、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る約十四キロメートルの骨格幹線道路でございまして、今月十八日の築地—新橋間の本線開通により、路線全線での開通が実現いたします。
 本区間の開通により、災害時における避難路の多重化や晴海通り等の混雑緩和が図られるとともに、今後の築地地区まちづくり事業の推進にもつながります。
 また、本路線は、臨海部と都心部の連絡を強化し、晴海地区などにおいて見込まれる人口増加への対応や東京ベイeSGプロジェクト等、臨海部のまちづくりを支える都市基盤として重要な役割を果たします。
 引き続き、東京の持続的な発展を支える骨格幹線道路の整備を積極的に推進してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京BRTのプレ運行二次の開始に向けた取組についてでございます。
 東京BRTは、東京の輸送システムとして、東京ベイエリアの発展を支える重要な公共交通機関であり、令和二年十月にプレ運行一次を開始いたしました。その後はプレ運行二次に必要となる停留所の整備や運行開始に向けた調整を進めてきており、先月、停留所の整備がおおむね完了し、先週、運行事業者が運行に必要な認可申請を行ったところでございます。
 引き続き、プレ運行二次の開始に向けて、運行事業者等と連携して着実に取り組んでまいります。
 次に、本格運行に向けた取組についてでございます。
 本格運行では、運行本数や系統数を増やして利便性を高め、選手村跡地である晴海五丁目西地区の再開発等にも対応することとしております。
 現在、晴海五丁目西地区では、BRTの停留所が設置される道路やマルチモビリティーステーションの整備を行っております。
 今後、国道一五号新橋駅前交差点におきましても、運行の拡大への対応や速達性の向上を目的とした道路の改良工事を進めてまいります。
 令和六年春の晴海五丁目西地区のまち開きに向け、こうした取組を着実に進め、本格運行を実施してまいります。
 最後に、東京駅方面へのルート延伸についてでございます。
 東京BRTは、開発が進む臨海地域での交通需要に速やかに対応していくこととしております。
 都といたしましては、まずは今後、事業計画に位置づけたプレ運行二次及び本格運行を実施し、その後、事業計画において検討路線と位置づけられた東京駅、銀座方面等へのルート延伸について検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高次脳機能障害者への支援体制についてでございますが、高次脳機能障害者やその家族が抱えるニーズは、福祉、医療、就労など多岐にわたるため、関係機関が連携し、当事者に寄り添いながら支援することが重要でございます。
 このため、都は、高次脳機能障害者支援促進事業により、身近な地域で様々な相談に応じ、医療機関や就労支援センター等と連携し、適切な支援につなげる体制整備に取り組む区市町村を支援してございます。
 今後、区市町村との連絡会などで、当事者と関係機関とのネットワークづくりや家族会の立ち上げ支援などの先行事例を紹介することにより、区市町村に対し、支援促進事業を活用した効果的な取組を促し、地域における支援体制を充実してまいります。
 次に、高次脳機能障害に係る区市町村の取組についてでございますが、現在、都の高次脳機能障害者支援促進事業を四十五区市町が実施しているほか、都の支援拠点である東京都心身障害者福祉センターや、二次保健医療圏ごとのリハビリ中核医療機関では、区市町村職員に対する専門的助言や研修などを行ってございます。
 また、都は、地域で相談支援を担う職員や教職員などを対象とした研修や、支援ポイントをまとめたハンドブックの作成、配布などにより地域での取組を支援してございます。
 今後、支援促進事業を実施していない自治体に積極的に働きかけるほか、都のセンターや、中核医療機関による地域の体制整備に向けた支援をさらに進め、区市町村の取組を推進してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 三点の質問にお答えいたします。
 初めに、ドローンの運用の考え方についてでございますが、効果的な消防活動を行うためには、災害の初期段階から的確に情報を収集し、災害実態を把握することが重要でございます。
 ドローンは機動性が高く、迅速かつ継続的に上空から災害状況を把握することができ、市街地火災や林野火災など、被害が広範囲に及ぶと予測される災害や、要救助者の検索が困難な現場等における消防活動の方針決定などに極めて有効でございます。
 今後も、震災等の大規模災害時に備え、ドローンのさらなる有効活用について検討を進めてまいります。
 次に、ドローンの運用状況等についてでございますが、東京消防庁では、現在、即応対処部隊などに計十五機のドローンを配置し、令和三年二月の青梅市で発生した林野火災における延焼範囲の特定をはじめ、水難救助や山岳救助での人命検索などに活用し、大きな効果を上げております。
 特別区消防団へのドローンの配備につきましては、消防団活動の基本が、消防署隊との連携による消火及び人命救助活動であることから、現時点で想定しておりませんが、消防活動面における有効性について、継続して検討してまいります。
 今後も、セーフシティの実現に向け、消防隊と消防団とのさらなる連携強化を図り、効果的な消防活動の展開に努めてまいります。
 最後に、事業所に対する入団促進についてでございますが、特別区消防団の充足率向上には、地域に精通した事業所等への働きかけも重要であると認識しております。
 そのため、一例として、総務省消防庁からの通知を踏まえ、日本郵政株式会社に対する入団への働きかけを行っており、現在では、郵政職員の団員が五十三名、郵便局の消防団協力事業所は四事業所となっております。
 また、機能別団員制度は、入団促進に一定の効果を上げており、五百十七名が応急救護指導や広報など、地域における消防団活動において重要な役割を果たしております。
 引き続き、郵便局や各事業所に対して、機能別団員制度等の周知を図り、消防団と連携したさらなる入団促進に努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) 七十八番阿部祐美子さん
   〔七十八番阿部祐美子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十八番(阿部祐美子君) 初めに、痴漢対策について伺います。
 先日、都営大江戸線に女性専用車両を来年一月から設けることが公表されました。現在の痴漢被害を軽減する一つの方法として評価をいたします。痴漢の検挙件数は全国の中で東京都が大多数を占め、痴漢の問題はまさに東京都の問題です。
 私自身、区議会議員時代から痴漢の問題に取り組んでまいりましたが、被害者側の苦痛は極めて大きいにもかかわらず、法的には迷惑防止条例違反、性に関わる罪の中でも社会的に軽視されがちであり、加害者の加害意識が希薄であることも指摘をされています。
 こうした状況に対し、東京都は新たな男女平等参画推進計画の下、関係各部署がハード、ソフト面で様々な取組を加速していると受け止めております。
 小池知事はご就任以来、女性活躍を掲げてこられました。しかし、性の安全や尊厳が守られないまま、真の活躍はありません。痴漢被害は、明治時代から存在していたことを当時の新聞が伝えています。この長きにわたるあしき歴史を終わらせ、痴漢電車ゼロを目指していただきたい。東京都の本気度を示すため、女性初の東京都知事である小池知事の強いメッセージを都庁内外に発信していただきたいと考えております。痴漢撲滅に向けた知事の決意をお聞かせください。
 次に、今年四月に成立した、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、いわゆる女性支援新法について伺います。
 全国四十七の婦人保護施設のうち五か所が立地する東京都は、長く婦人保護行政の先頭を走ってきました。その歴史を踏まえ、今後もしっかりと支えていただきたいと思います。
 二〇二四年四月の施行に向けて、来年度は都道府県で女性支援新法の基本計画を策定することとなっています。今後、新たな女性支援法の施行に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、NPO法人等の法人管理について伺います。
 東京都には、十月末現在で、全国でも突出して多い九千十七のNPO法人があります。その一つ、都内にあるNPOが途上国での生体腎移植を仲介し、これが臓器売買によるものだった疑いがあることが、今年八月、読売新聞で報道されました。NPOの代表も、報道に対し、生体腎移植の可能性があることは認めています。
 私も、臓器移植を受けるために、同法人を通して海外渡航した方からお話を伺いました。その詳細はここでは申し上げませんが、その内容は極めて悲惨なものでした。
 役所の認証があるNPOとのことで団体を信用したのに、健康もお金も失った、認証という言葉で信用してしまった私がばかだったのでしょうか、もう私や現地で亡くなった方々のような犠牲者は出さないでほしいと、涙ながらにお話をされていて、大変心が痛みました。
 臓器移植については、国内の法整備が進んでいないという根本的な問題があるとはいえ、こうした内容の活動を東京都が認証しているということに違和感を持ちます。
 NPO法第四十一条一項では、所轄庁は、法人が法令等に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、その業務もしくは財産の状況に関し報告をさせ、またはその職員に、当該特定非営利活動法人の事務所その他施設に立ち入り、その業務もしくは財産の状況もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるとしています。
 本件は、イスタンブール宣言にも反し、今後、国際問題に発展する可能性もあります。
 小池知事は八月の記者会見で、この事案について記者の質問に対し、情報収集を行うと答えられましたが、その後、都はどのような情報を収集してきたのでしょうか。
 東京都がこれまでに、NPO法人に対し、同法第四十一条に基づく立入検査を行った件数とその概要を伺います。あわせて、その後の改善命令や認証の取消しの扱いについて伺います。
 私の下には、他のNPO法人に関しても、法人の経理の不正が疑われるとして、所轄官庁である東京都に訴えたものの、対応してもらえなかったとのお声も届いており、全体として指導監督の実効性に疑問も感じます。
 所轄庁による検査制度のフローを見ると、定款違反や法令違反などの前の段階として、違反する疑いがあると認められる相当な理由がある場合に立入検査ができるとしています。相当な理由とは、どのような理由と定義しているのか、伺います。あわせて、立入検査の際には、どのような検査が権限上可能なのかも伺います。
 ところで、東京都では、宗教法人もNPO法人も、同じ部署で所管をしています。国は先月、旧統一教会の問題に関連して、初の質問権を厳戒体制の下で行使しました。文化庁は、旧統一教会への対応のため、体制を強化しています。
 現在、宗教法人やNPO法人の改革に対する都民、国民の関心は極めて高く、その世論は、今や国をも動かしています。東京都としても迅速に体制強化を図るべきと強く要望をいたします。
 次に、災害対策について伺います。
 今年九月、東京都と品川区の合同防災訓練が四十五年ぶりに実施をされました。約六十機関が連携して、品川区の立地を勘案した運河や河川を使っての物資輸送、医療救護、ドローンを利用しての救出救助など、多岐にわたる訓練が二日間にわたって行われ、私自身、非常に勉強になりました。
 今後、見学者もシェイクアウトに参加してもらうなど、より都民参加型の訓練にしたり、各種展示やデモンストレーションの内容は映像等に記録し、参加できなかった区民も共有できるような工夫があればと思います。また、警視庁等と連携した検視、検案、身元確認は、区にとっても訓練の機会が少なく、課題を整理する必要性も感じました。
 さて、数多くの機関が実際の発災時に連携する際、衛星通信も活用されますが、場所によってはつながりにくいとも聞いております。災害時においても、行政や防災関係機関との間の通信を確実に確保する通信網の整備が必要です。
 また、万が一に備えたバックアップとしての衛星通信の活用も必要であると考えますが、都の取組を伺います。
 東京都看護協会では、大規模災害時に備えて災害支援ナースの研修を行い、既に千八百人以上の方が受講されています。二〇〇九年の中越地震以来、他県の被災地に派遣され、避難所などで活躍をされてきました。また、東京都が被災したときの支援の受入れなどについても研修が行われています。
 東京都として、災害時や防災訓練等の場で、災害支援ナースの位置づけと活用を積極的に図っていくべきではないでしょうか。また、そのためには、災害支援ナースの養成や活用、災害時の在り方などについて、都看護協会と議論をするなど、災害時の看護人材の確保を進めてはいかがでしょうか、見解を伺います。
 学校教育について伺います。
 先日実施された英語スピーキングテストは、都教委監修の下、実施され、その結果は都立高校入試に使われることになっています。文教委員会では繰り返し、都立高校の入試におきましては、義務教育の最終段階として、学習指導要領で求められている力が身についているかを測る必要がございますとご答弁があったように、授業中の発展的学習ならともかく、都立高校入試の内容は学習指導要領の枠内に収めるのが前提です。その前提が崩れれば、都立高校入試の範囲が拡大し、中学の英語教育を混乱させかねません。
 しかし、今回のテストでは、助動詞と完了形による過去に関する推測表現という、高校段階での文法事項を含む文が出題されました。たとえそれぞれの単語は既出であっても、意味を考えずに読む方が有利になるようでは、スピーキングの力を測るものとはいえません。
 都教委は、事前にテストの内容が学習指導要領の範囲内であることを確認したのでしょうか。逸脱していることを認識した上でテストを実施したのでしょうか。
 この部分の点数も入試結果に反映させることは、都立高校入試として不適切であると考えますが、都教委の見解を伺います。
 最後に、環境問題について伺います。
 サプライチェーン全体で脱炭素を目指す企業の動きが国内外で拡大しています。さらに、ウクライナ侵攻による燃料価格の高騰などを受け、地経学的視点からエネルギーの国内調達に対する関心が高まっています。
 しかし、日本国内では脱炭素の発電所が不足しており、再生エネルギーの争奪戦が起こっています。東京都でも、都有施設や都内新築施設への太陽光パネル設置拡大などを推進していますが、都民の負担が大きく、設置コストや発電量の見込み、環境的、経済的効果も課題があります。検証可能な太陽光発電の運開も進める必要があると考えます。
 東京都は、既にフィジカルPPAを展開されておりますが、電力契約と切り離して環境価値を取引するバーチャルPPAでは、電力切替えが伴わないために、電力の需要家や既存電力会社にとって導入が下がります。
 例えば、東京都に納税する企業や個人が、日本国内で新規に太陽光発電を運開し、東京都内の需要家とバーチャルPPA契約を締結する場合に、発電者に補助金を出すなどの誘導策を検討してはいかがでしょうか。見解をお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 阿部祐美子議員の一般質問にお答えいたします。
 痴漢対策についてのお尋ねがございました。
 性犯罪、性暴力は重大な人権侵害です。そして、男女平等参画社会の実現を阻害する要因であります。
 都は、男女平等参画推進総合計画におきまして、痴漢等の対策について、鉄道事業者や警視庁などと連携し、取組を進めております。
 今後とも、東京都、そして私といたしましても、痴漢をはじめとした性犯罪、そして性暴力のない社会の実現に向け、取り組んでまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) スピーキングテストの出題内容についてでございますが、都教育委員会は、問題等検討委員会において、学習指導要領に基づきスピーキングテストの試験問題を検討し、作成しています。
 中学校外国語の学習指導要領では、生徒が英語を使って何ができるようになるかという観点が重視されており、目的、場面、状況に応じて多様な表現を扱うことが求められています。その際、どのような文法事項を扱うか、また、小中高等学校のどの段階で扱うかについては、制限する趣旨とはなっていません。
 今回のスピーキングテストの音読の問題は、中学校で学ぶ単語を用い、場面に応じて英語として自然となるよう文を作成し、出題したものでありまして、学習指導要領を逸脱しているとの指摘は当たりません。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律への対応についてでございますが、令和六年に施行される法律では、国が基本方針を定め、都道府県がその方針に即して基本計画を策定しなければならないと規定されております。
 都は、計画の策定に当たり、区市町村や民間団体、婦人保護施設等から成る会議体で、各団体の特性も生かし、地域の実情に応じた取組を検討することとしてございます。
 次に、災害時の看護人材の確保についてでございますが、都は、医療救護所等で応急救護を行う看護師の確保等について、東京都看護協会と協定を締結するほか、総合防災訓練で、看護師が多職種と連携した実践的な医療救護活動の訓練を実施し、対応力の向上を図っております。
 今後も、東京都看護協会をはじめ、関係団体と連携し、災害時の看護人材の確保に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) NPO法人に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、お話のNPO法人についてでございますが、臓器移植法につきましては、所管する厚生労働省または警察が対応することとなります。
 都は、法人の所管として、特定非営利活動促進法違反などについて、法人に対し事実関係の照会を行うなど、必要な情報収集を行っております。
 次に、NPO法に基づき都が行ったこれまでの立入検査等についてでございますが、平成十年の法施行以降、実施した立入検査は、平成十三年に定款違反等により行った一件でございまして、この団体に対しては改善命令を発出しております。その後、改善されたために、認証の取消しには至っておりません。
 最後に、NPO法人に対する指導監督についてでございますが、立入検査を行う要件である相当な理由とは、書面や資料等に基づき、法人が法令等に違反すると疑うに足りる客観的、合理的な理由と解されております。
 また、所轄庁による立入検査については、NPO法に基づく当該業務、財産の状況、帳簿、書類、その他の物件についての検査とされております。
 都は、NPO法人の所轄庁として、毎年法人から事業報告を提出させ、適切に指導監督を行っております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 災害時における通信の確保についてでございますが、大規模災害発生時に的確な避難誘導等を行うためには、区市町村や防災機関との情報の共有が必要でございます。
 このため、都は、防災行政無線網の設備の耐震化やネットワークの多重化、電源の無停電化などを行い、高い信頼性を確保してございます。
 また、万が一に備え、都庁、立川地域防災センター、檜原村及び島しょ町村に設置している衛星通信設備の高速化、大容量化を既に進めてございます。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 都外で再エネをつくる取組への支援についてでございますが、東京で必要な電力を確保し、円滑に送電できる状態を維持するため、東京電力管内の各県エリアに地産地消型の再エネ発電設備を増やすことは重要でございます。
 都では、そうした設備に関し、東京に本社や事業所のある企業が設置を行う経費への支援を行っております。また、これにより生み出される環境価値は、都内の本社等で活用できる仕組みとしております。
 こうした取組によりまして、再エネの利用拡大を進めてまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 九番桐山ひとみさん
   〔九番桐山ひとみ君登壇〕

○九番(桐山ひとみ君) ミライ会議の桐山です。
 東京には、国全体を覆う停滞を突破する力があると確信をしています。そのためには、東京の改革を成し遂げ、明治維新以来の過度な中央集権、縦割りや多重行政を改める必要があります。
 改革は、政策ではありません。政策をどう実施するかの仕組みを変えることです。都民のための、都民による、都民の都政を基本とした行財政改革と情報公開が必要です。
 都庁や都議会の意思決定過程を透明化していくことが第一歩と考え、議会改革でも、議会運営委員会をはじめとする全ての委員会のネット中継は当然のこと、理事会協議の都民への説明など、情報公開にも取り組んでまいります。
 まず、中止を求めている英語スピーキングテストについて質問します。
 実施前から、スピーキングテストの運営に問題があるとの指摘が続いていますが、都教育委員会は、着実に準備をしており、確実に実施すると説明をしてきました。
 知事は、大きなトラブルはなかったと話しておられますが、知事は、誰から、どのような情報に基づいて、何を根拠として、大きなトラブルはなかったと発言をされたのか伺います。
 仮に、ご発言の意図が、中止にならずに開催をできたということならば、実際に現場で発生したトラブルや中学校の学習指導要領から逸脱した出題問題などの重大事案が無視されたことになります。
 受験生から意見や困り事の声が届いています。受験生の意見も聞かず、事実確認もせず、このまま公正な採点ができるのか、このまま都立高校の活用を実施するのか、お答えください。
 昨年のプレテストは五百六十会場で実施され、そのうち五百五会場が中学校でした。今回の会場は全て都立高校等の外部会場です。
 到達度を測る試験として、英検や漢検は中学校で実施できるのに、なぜ今年度の英語スピーキングテストの会場を中学校で行わなかったのか、その理由について伺います。
 教育委員会は、英語スピーキングテストの根拠は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の東京都教育施策大綱に基づく知事の肝煎り施策のように述べましたが、大綱に英語スピーキングテストの記述はありません。また、大綱の施策の実施権限と責任は、公立中学校は教育委員会に、私立中学校は知事にあります。
 英語スピーキングテストの実施及び都立高校入試への活用は、東京都教育施策大綱に基づく知事肝煎り施策なのか。また、大綱に基づく英語スピーキングテストを私立中学の三年生に実施してこなかった理由を知事に伺います。
 教育委員会は、今年九月に希望する国立、私立の中学生にも受験を認める方針に変更しました。しかし、私立中学校の所管は教育委員会ではなく、生活文化スポーツ局です。
 国立、私立中学校の都立高校志願者に対して、英語スピーキングテストを受験できるようにすべきだという要望はどこからあったのか。また、それは国立、私立中学校の英語の授業に役立てるためなのか。教育長及び私立中学校を所管する生活文化スポーツ局長に伺います。
 都立高校入試の所管は教育委員会です。英語スピーキングテストを受験しなければ零点になる公立中学校の生徒と、受けなくても零点にならずに仮想得点が与えられる国立、私立の中学校の生徒への対応は、憲法第十四条第一項の平等の原則違反ですが、知事の見解を伺います。
 英語スピーキングテストが都教委の都立高校入試事務なら、都立高校志願者だけに受験させ、また、都立高校志願者全員に公平に実施すべきであり、さらに、中学校が作成する調査書に英語スピーキングテストの成績を記載させるべきではないと考えますが、見解を求めます。
 教育委員会制度の政治的中立は、地域住民の意向の反映、住民による意思決定の確保が前提ですが、英語スピーキングテストの検討及び英語スピーキングテスト都立高校入試への活用に当たって、地域住民の意向の反映や住民による意思決定はどのように行われたのか伺います。
 入学試験の在り方は子供の権利義務に関わる重要事項ですが、教育委員会で決定していないのは、教育委員会制度の特性である合議制を無視するものではないか伺います。
 説明責任を果たすために情報公開が不可欠です。英語スピーキングテストに関する資料は、ベネッセの利益よりも受験生の権利や公教育、都立高校入試の適正の確保という公益上の理由を優先して、公表すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 また、会場を提供する都立高校からの質問、要望の記載欄もノリ弁となっている理由を伺います。
 監査委員は、地方自治法第百九十九条第二項により、教育委員会の英語スピーキングテストに対して、財務監査、行政監査を実施する権限があるのか、また、権限があればそれを発動すべきと考えますが、常勤の監査委員に見解を伺います。
 監査委員は、平成三十年四月一日施行の地方自治法で、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができると改正をされました。
 東京都監査委員条例第二条は、議員のうちから選任する監査委員の数は二人とするとありますが、賛否が分かれる政策の監査の公正を期するため、監査委員全員を中立的、専門的な有識者とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会について質問します。
 デフリンピック開催を歓迎します。他方で、東京二〇二〇大会をめぐる招致段階の招致委員会及び嘉納治五郎財団の不明朗な経理、実施段階のスポンサー契約をめぐる贈収賄など、不祥事が相次いでおり、二〇三〇年の札幌招致などで繰り返してはいけません。
 東京都として、招致段階、実施段階の不祥事について、しがらみのない第三者による調査を完全に透明化をして行うべきと考えますが、見解を伺います。
 オリンピックは、都市再開発の名目として使われてきました。神宮外苑地区は風致地区等に指定され、高い建物が建てられない地区でしたが、都は、二〇一一年に神宮外苑のスポーツクラスター構想を公表し、これを実現するために、国立競技場の建て替えを契機として、計画的に高さ制限の大幅な緩和を続け、今日の神宮外苑の環境問題をもたらしています。
 オリンピックの東京開催が決定したのは二〇一三年九月ですが、日本スポーツ振興センターの公募条件である高さ七十メートルを超え、八十メートルと目された新国立競技場ザハ案が選定されたのは二〇一二年十一月、神宮外苑地区地区計画決定で、新国立競技場が立地するA—2地区の高さ制限が七十五メートルに変更されたのは二〇一三年六月です。建設された隈研吾氏の設計の新国立競技場の高さは四十九メートルです。
 東京都の佐藤広副知事と安井順一技監が衆議院議員会館に森喜朗氏を訪問されたのが二〇一二年五月ですが、その際どのようなお話をされたのか伺います。
 また、IOCの東京二〇二〇大会決定前に、新国立競技場が立地する神宮外苑のA—2地区の高さ制限を七十五メートルに、A—4地区の高さ制限を八十メートルに変更した理由を伺います。
 組織改革の質問です。
 都を退職した方の民間等への再就職に賛成ですが、民間の方々の再就職と公平でなければなりません。都の退職管理は、都庁と団体の癒着、補助金や指定管理者の不公正な決定や税金の無駄遣いなど、天下りの弊害にあまりにも無頓着です。知事は天下りの弊害についてどう考えているのか伺います。
 都は、退職管理条例の例外として、規則の別表で令和二年度で働きかけ規制適用除外団体百七団体、適材推薦団体百二十四団体を指定しており、これでは例外が原則となった天下り天国です。
 働きかけ規制適用除外団体及び適材推薦団体のうち、政策連携団体で働いている都の退職者の人数、政策連携団体に都が支払っている補助金などの総額は幾らか伺います。
 天下り天国の元凶である退職管理条例第六条を削除すべきですが、知事の見解を伺います。
 最後に申し上げます。六年前、私たちは都民から都政改革の期待を受けて議席をいただきました。この原点を貫いてまいります。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、スピーキングテストの実施状況についてでございますが、都教育委員会は、テスト終了時に事業者及び配置した都職員からの報告により、解答に影響を与えるようなトラブルがなく行われたことを確認し、知事に報告しています。
 次に、スピーキングテストの実施状況に関するもう一点のお尋ねについてですが、都教育委員会は、テスト終了後に区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しています。
 先月行ったスピーキングテストは適切に実施されており、都教育委員会は、都立高校入試においてその結果を活用していきます。
 次に、スピーキングテストの会場についてですが、スピーキングテストの会場は平成三十一年二月に発表した実施方針において、公平、公正な環境で実施するために、島しょ部を除き中学校以外の外部施設を利用することとしています。
 次に、スピーキングテストの実施と都立高校入試への活用についてですが、都教育委員会では、教育施策大綱で示されたグローバル人材の育成に向けて、四技能の習得を通じた使える英語力の育成を重視した施策を展開しており、スピーキングテストもこうした取組の一つです。
 スピーキングテストは、授業で学んだ内容の到達度の確認や英語指導の充実を図ることを目的として、都教育委員会が都内の公立中学校の三年生を対象として実施するものです。私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒は、スピーキングテストを受験することができます。
 次に、国立、私立中学校の生徒の受験についてですが、国立、私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒はスピーキングテストを受験することができます。
 なお、こうした国立、私立中学校の生徒の取扱いに関する要望は受けておりません。
 スピーキングテストにおける国立、私立中学校の生徒への対応についてですが、国立、私立中学校の生徒のうち、都立高校の受検を検討する生徒はスピーキングテストを受験することができます。また、テストの実施日以降に都立高校への志願を決定することとなった生徒については、著しく不利にならないよう、不受験者の措置を行います。
 こうした対応は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては、合理的で最善の方策であります。
 次に、スピーキングテストの実施についてですが、スピーキングテストは、都内の公立中学校の三年生全員を対象にアチーブメントテストとして実施するものであり、都立高校入試事務ではありません。
 また、国立、私立中学校の生徒の受験については、先ほどご答弁したとおりでございます。
 都立高校入試においては、スピーキングテストの結果を調査書に記載することを求めています。
 次に、スピーキングテストの実施等についてですが、都教育委員会は、平成三十年二月にスピーキングテストの実施や都立高校入試への活用に関する施策を含むグローバル人材育成計画の策定に当たり、パブリックコメントを行っています。
 また、スピーキングテスト事業や都立高校入試への活用における関連予算については、これまで都議会での審議を経て、議決で承認いただいております。
 入学者選抜に関する教育委員会での決定についてですが、入学者選抜に関する事務は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに基づき、教育委員会が管理し、執行いたしますが、都教育委員会の権限に属する事務に係る決定権限は、東京都教育委員会事案決定規程に基づき、教育長などに合理的に配分されています。
 スピーキングテストに関しては、事務局における決定後、教育委員会に適宜報告をしており、教育委員と議論を重ね、適切に事業を執行しております。
 次に、スピーキングテストに関する資料の開示についてですが、資料を公にすることにより、スピーキングテスト事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものなど以外は開示をしております。
 スピーキングテストの会場についてですが、会場予定となる都立高校の調査の一部については、事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非開示としております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 英語スピーキングテストについてでありますが、当局としては、私立中学校の生徒の取扱いに関する要望は受けておりません。
   〔監査事務局長小室一人君登壇〕

○監査事務局長(小室一人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地方自治法第百九十九条第二項に基づく監査についてでございますが、監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務の執行について監査をすることができるとされております。
 また、監査の実施に当たりましては、同法第百九十八条の四の規定に基づき、監査委員は、東京都監査委員監査基準を定め、この基準により、監査委員が毎年定める監査基本計画等に基づき監査を実施することとしております。
 次に、監査委員の選任についてでございますが、地方自治法第百九十六条第一項におきまして、監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、識見を有する者及び議員のうちから、これを選任すると定められております。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 東京二〇二〇大会についてであります。
 招致活動は、都と招致委員会が役割分担の上、行っていたものでありまして、国際招致プロモーション活動は招致委員会が担当し、都からは公費も支出してございません。
 なお、海外コンサルタントとの契約につきましては、JOCの調査チームにより、法令等への違反を見いだすことはできないとの結論が示されております。
 また、組織委員会元理事に係る事件につきましては、既に起訴されており、捜査により事実関係が明らかにされるものと考えております。
 テストイベントの契約につきましては、既に調査チームを立ち上げ、関係局の助言を得ながら調査を実施しており、今後、中間のまとめを公表する予定となっております。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑地区における関係者への説明についてでございます。
 平成二十四年五月に当時の日本ラグビーフットボール協会会長であった森喜朗氏に対し、都から神宮外苑の再整備について説明した記録があり、都市整備局のホームページで公表しているとおりでございます。
 次に、神宮外苑地区における都市計画についてでございます。
 平成二十四年三月に国が策定したスポーツ基本計画において、日本スポーツ振興センターは、国立霞ヶ丘競技場等の施設の整備、充実等を行い、オリンピック、ワールドカップ等、大規模な国際競技大会の招致、開催に対し支援すると定められました。
 同センターは、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会の開催に向け、国立競技場を建て替えるとともに、スポーツクラスターとして地区一帯の再整備等を進めるため、同年十二月、高さ制限などを含む地区計画の企画提案書を都に提出し、都はこれを踏まえ、必要な手続を経て、翌年六月に都市計画決定をいたしました。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員の退職管理についてでございますが、職員の再就職について、都民から公正な都政運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはならないと考えております。
 都においては、退職管理条例に基づき、外部有識者による退職管理委員会の設置や利害関係企業等への求職活動の禁止、再就職情報の公表などを行い、再就職の公正性、透明性を確保してございます。
 次に、政策連携団体についてでございますが、政策連携団体で常勤役職員として勤務している都職員関係者は、令和四年八月現在、都からの派遣者が約千四百名、都を退職して再就職した者が約六百四十名となっております。
 また、都からの補助金等の総額は、政策連携団体を通じて都民、事業者等に対して交付される補助金や、都民サービスの向上、効率的な事務執行を確保するための委託料など、令和三年度決算額で約二千四百二十五億円でございます。
 最後に、退職管理条例についてでございますが、都を退職した職員がこれまで培ってきた知識、経験、能力を社会に還元することは有意義でございます。
 そうしたことから、外部有識者で構成する退職管理委員会への諮問を経た上で、退職管理条例第六条に基づき、適材推薦団体への職員の推薦や、営利企業等からの求人の申込みに対する人材情報の提供を行ってございます。
 今後とも、退職管理について厳格な運用を図ってまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 六番上田令子さん
   〔六番上田令子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六番(上田令子君) 保育大手グローバルキッズの運営費不正受給により、都内九自治体が被害を受けました。中でも大田区では、過去五年間、十園を同社は新設し、公募はなされなかったということです。
 都は、コンプライアンス推進室を設け、補助金の取扱いには配慮をしていたというのに、どうしたことでしょうか。原因究明、再発防止策を可及的速やかに求めます。所見を伺います。
 都内医療法人による、いわゆる赤ちゃんポスト開設構想が九月末に突如報道されました。江東区、医師会、福祉保健局に確認したところ、全く関知せず、江東区長は難色を示しております。
 ところが、十一月八日、この法人との連携を都民ファースト都議が厚生委員会で求めた後、法人理事長に同行し、知事へ実施を求める要望書を手渡したのです。一部都議とマスメディアで当時もてはやされたものの、外国養子縁組を行い破綻したベビーライフ、強制わいせつ事件が発生したキッズラインと重なり、大きな危機感を抱いております。
 いずれも、都がお墨つきを与えてしまいました。ついては、同法人の産婦人科開設に当たり、物件や病床設置について相談等、都は受けているのか確認します。
 要望を受け取った知事に、同法人の評価といわゆる赤ちゃんポスト事業をどう安全・安心に実施できるか、所見を伺います。
 太陽光パネル義務化についてです。
 中国パネルシェアは今後九割に達するといわれています。アメリカでは六月に輸入禁止法が施行されるも、日本ではいまだ法整備が進んでいない中、部品について新疆ウイグル自治区での強制労働の製品ではないということをどう識別するのか、具体的な追跡手法をご説明ください。
 SDGsを掲げる知事は、国際人権問題には厳しく対処すべきです。ジェノサイドへの加担を都民と事業者に義務づけることにならないか、結果的に使用した場合どう責任を取るのか、知事の所見を求めます。
 知事は、六年で元が取れると繰り返すばかりですが、元を取るための費用は、再エネ賦課金など、電気代の形でパネルがつけられない都民も含めた全国民が負担することは触れていません。都のいう撤去、リサイクル費用約三十万円、故障、交換費用を想定していないようです。改めて、施主負担及び都民、国民の負担を積算根拠をもってお示しください。
 設置する都内事業者が、再エネ電力を購入することで、従来から購入してきた石炭やLNG火力による電力と比べ、料金は幾ら割高となると予測しているのか、積算根拠もお示しください。
 江戸川区など江東五区においては、大規模水害が想定されており、パネル水没時には感電の危険があります。都は、まだ感電事故は起きていないとしていますが、事故は想定外ではなく、十分に想定内のリスクですから、徹底した安全策を講じるべきです。原発と同じです。
 設置義務化により、感電、漏電、延焼の危険は増大しないのか、救助、復旧が遅れ、消防団員や地域住民が被災することはないのか、知事及び消防総監の所見を伺います。
 廃棄について、現在、全国で僅か三十社しか受皿がないことを指摘してきました。太陽光発電設備高度循環利用推進協議会を立ち上げたようですが、具体的スケジュールと協議の状況をお示しください。
 リサイクルできない場合は、管理型最終処分場とのことですが、どの程度の分量、どの施設を想定しているのか伺います。
 知事は、昨年七月は義務化したときのコスト、効果について検証するよう指示していたのに、検証結果を待たず、九月十三日、突如、トライアルではなく制度化を実行と一転しました。まさに義務化Xデーです。知事には、都民の財産を守る責任があることから、一転した理由をご説明ください。
 結局のところ、施主は設備費、撤去費を負担し、故障や災害のリスクもあります。都民には、設置に対し拒否権が保障されるべきです。拒否権の有無についてどうお考えで、どう周知するのか、お答えください。
 外国人起業家の資金調達事業ですが、本日現在の実績をお示しください。都がいうスタートアップと中小企業とは何が違うのでしょうか。外国人の起業しやすい環境整備が目的なのであれば、なぜビザ要件を特定しているのでしょう。グローバル企業に現在勤めている外国人が起業できない制度にしたのはなぜでしょう。事業計画書を日本語でつくらせるのは本制度の趣旨に反するのではないでしょうか。それぞれ説明を求めます。
 創業時ではなく、創業後五年未満である企業が対象ですが、それでも担保を取らないということと創業融資との整合性を説明してください。
 在留カードで本人確認することで貸倒れリスク回避になるといいますが、その根拠を示してください。貸し倒れた場合、金融機関で適切な債権管理が行われている場合、都に資金の一部が戻らないことがあるとのことです。何割相当額になるのでしょうか。
 日本人向けにも同様の無担保無保証融資事業はありますか。当該事業の規模は、都税収が期待できないと思料しますし、棄損のリスクもある外国人起業家へ血税を投じてまで期待する理由は何なのか伺います。
 葛西臨海水族園整備事業です。
 INOCHIが落札しましたが、公表されたパースを見ますと、北側の樹木は全てなくなりそうです。一体、何本伐採するのでしょうか。伐採を最小限にし、淡水生物館も残すことでコスト軽減もできることから、新施設は南側に変更すべきです。
 また、配置図と二番手グループ案が公表されていないのも大問題です。公表をするのかしないのか伺います。
 経費節減のため、PFI事業としたはずが二番手より九億高いINOCHIが選ばれました。なぜ高い方が落札したのか説明してください。
 技術審査委員に、建築構造、ランドスケープの専門家がおらず、議事録には発言者の名前が伏せられ、議論が公正に行われた記録がございません。客観的な判断がどうなされたのかご説明ください。
 徳川時代からの資産を明治政府が奪取し、民間払下げの名の下、新興財閥を潤してきたことは史実です。知事も敬愛してやまない渋沢栄一もその一端を担いました。結果、多くの江戸のまち並みや文化が失われました。
 本計画は、官民の長所を生かしたPFIの本質から逸脱したものであり、公的資産の令和の払下げに値する蛮行であり、完全撤回を求めます。
 東京の緑を守る知事ですが、葛西臨海水族園をどのような全く新しいベイエリアの拠点として生まれ変わらせるおつもりか。破壊するのか、大切にされてきた自然や樹木、本館を守るのか、所見を伺います。
 スタートアップ支援イベントCity-Tech.Tokyoへ三億五千万円も支出していますが、広告代理店のオリ・パラ談合疑惑も発生していることから、どのように事業者へお金が流れるのか確認します。
 GovTech東京が、令和の世に新設されるようですが、外郭団体は外部の目が届きにくく、民主的統制の観点から、この団体のガバナンスに外部の目をどのように入れていくのでしょうか。トップとなった宮坂副知事が連れてきたフェローが要職に就くことになりますまいか、DXの私物化を大いに危惧するものです。よもやそのようなことはないか、宮坂副知事に説明を求めます。
 知事の海外出張です。
 UAEにて知事は、突如現地で中東との教育連携を取り付けてきました。外交は国の専権事項です。空手形を切って、児童生徒を危険にさらすリスクを懸念します。なぜあのタイミングで、なぜ中東で、なぜ教育政策であったのか、知事の所見を伺います。
 アメリカの出張では、HTT推進に向けて、本来の目的であったSMART CITY EXPO USAへの出席を取りやめ、二義的だったニューヨーク訪問だけ残りました。経緯とその理由について、知事、説明願います。
 先月はカイロへ出張されました。経費は幾らですか。少なくとも本年トータル約二億円相当の海外出張経費がかかっているはずです。物価高にあえぐ都民は、到底納得いかないし、職員には盛んにリモートを勧めているわけですから、出張などされなくても事は足りるはずです。莫大な経費をかけて海外出張に行った費用対効果、何が都民益に寄与したのか、知事の所見を伺います。
 カイロ大について全国的に注目が集まった二〇二〇年六月、エジプト政府から異例の声明文がフェイスブックで発表されるも、どこか都民は消化不良な状況にありました。その疑念を払拭するためなのか、母校カイロ大学に赴き講演をするも、なぜか全て日本語でした。
 知事は、著書「振り袖、ピラミッドを登る」——こちら、何と知事のサイン入りが手元に入りました——その中で、通訳、翻訳を通じ、民間外交官として友好に協力とあります。母国語で話しかけることこそ民間外交の役目ではないでしょうか。
 以前、学歴問題の疑いを晴らしていただきたいと私がアラビア語の文語体フスハーで答弁を求めたところ、フスハーでここでお話ししても、誰もお分かりにならないと拒否をされたというのに、言葉の分かるかわいい後輩たちに、なぜフスハーはもちろん、アンミーヤですら語りかけなかったのか、多くの都民も不思議に思っておりますことから、理由を説明ください。
 以上、再質問を留保し、終わります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 上田令子議員の一般質問にお答えいたします。
 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、葛西臨海水族園整備等事業についてでございますが、新施設は、芝生広場を中心に建設することとし、その整備内容の詳細は、今後、事業者が実施する設計において定められます。
 なお、事業提案内容に係る入札時提出書類については、著作権が入札参加者に帰属しており、公表の同意を得ておりません。
 次に、事業者の選定についてでございますが、落札者の決定方法は、総合評価一般競争入札としており、公募の際に公表した落札者決定基準に基づき、技術審査委員会において、提案内容に基づく加点審査点と、入札価格に基づく価格審査点の総合得点により決定いたしました。
 総合評価の結果の概要は公表しており、加点審査点のうち、施設整備に関する事項の得点差が最も大きくなっております。
 次に、事業者選定における審査についてでございますが、技術審査委員会は、専門的かつ客観的な評価を行うとともに、事業の公共性を確保するため、建築や環境などの専門家と技術管理等を所管する都職員により構成されており、適正に事業者を選定いたしました。
 最後に、新施設整備の考え方についてでございますが、本事業では、民間の自由な発想や最新技術等を活用するためにPFI手法を採用しており、また、新施設の所有権は、竣工後に都に移転されます。
 新施設は、緑に溶け込む丘のような外観や、生物と直に触れ合うウエットラボの設置など、自然との共存をコンセプトに整備を進め、既存施設についても、環境教育を行う場など、新施設と連携した利活用を検討しております。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育所に対する補助についてでございますが、都の保育士等キャリアアップ補助金等は、区市町村を通じて事業者へ補助しており、都は、申請内容が補助要件等に該当するか審査した上で交付をしています。
 事業者が、偽りその他不正の手段により補助金の交付を受けるなど、補助の取消し事由に該当した場合には、規定に基づき返還等を求めています。
 本件は、事業者が職員配置を偽装していたため補助金の返還を求めており、今後こうした事故が起こらないよう、区市町村と連携し、事業者に適正な申請を求めてまいります。
 次に、診療所における病床設置についてでございますが、都は、当該医療法人から産科医療を提供するために十八床の病床を設置する計画書の提出を受け、病床を設置した場合に届出をするよう通知をいたしました。
 なお、計画書には不動産の賃貸借に関する合意書が添付されておりました。
 最後に、医療機関での新生児の預かりについてでございますが、医療機関が匿名の親などから新生児を預かる場合、まずは、当該医療機関が新生児を安全に受け入れることができる体制を確保することが重要でございます。
 都は、子供の最善の利益を第一に対応してございます。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、サプライチェーンでの人権の尊重についてでございますが、先般、都は、太陽光発電の普及拡大や人権尊重の取組をさらに促進するため、業界団体と連携協定を締結いたしました。
 今後は、本協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築を推進するとともに、継続的な意見交換や研修等を通じて、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 次に、太陽光パネルのサプライチェーンについてでございますが、都は、国のガイドラインを踏まえ、太陽光パネルメーカーに対しまして、業界団体と連携し、継続してヒアリングや意見交換を行い、各メーカーの適正な取組と情報公開を促してまいります。
 次に、太陽光発電に係る負担についてでございますが、太陽光パネルを四キロワット設置した場合、初期費用やパワコン等の機器更新を含む三十年間のコストは百二十一万円程度、現行の補助金を利用した場合には八十一万円程度と試算してございます。これに対しまして、自家消費による電気代削減や売電収入の合計は、二百四十万円程度と、収入がコストを最大百五十九万円程度上回ります。
 なお、三十年目以降、リサイクルした場合、約三十万円の費用が別途発生いたしますが、経済性は確保されております。
 また、電気の使用者から広く集められる再生可能エネルギー発電促進賦課金の現在の単価は、一キロワットアワーの利用当たり三・四五円となってございます。
 次に、電力料金についてでございますが、事業者が購入する電力の料金は、一般的に供給事業者との自由交渉により決まるものでございます。
 なお、燃料調達費が上がる一方、再エネの発電コストは低下が続いてございまして、太陽光発電による発電コストは、火力発電の燃料費を下回っているとの分析もございます。
 次に、災害時等のリスクについてでございますが、太陽光発電協会によりますと、大規模災害により太陽光発電システムが水没、浸水した場合には、電気設備に十分な知見を持つ専門家へ依頼することが必要になります。
 なお、同協会からは、このような場合でも感電による事故等、事例はないと聞いてございます。
 都は、こうした情報を太陽光ポータルサイトや、太陽光パネル設置に関するQ&A等を通じ発信を行ってまいりました。
 引き続き、都民、事業者に向けまして効果的な情報発信を行ってまいります。
 次に、太陽光パネルの廃棄についてでございますが、都内の太陽光パネルは、二〇三〇年代半ばから廃棄が本格化することが見込まれてございます。
 事業用パネルのリサイクルは、現時点においても、既に複数の施設で実施されており、都は、九月に立ち上げた協議会におきまして、住宅用パネルの収集運搬を実際に行い、効率的な運搬方法、素材別リサイクル等を検証してまいります。今後の太陽光パネルの本格廃棄を見据えまして、早期に安定的なリサイクルルートを構築してまいります。
 都は、こうした取組を行いまして、住宅用パネルの大半をリサイクルに誘導することを目指してまいります。
 次に、太陽光パネル設置義務化についてでございますが、都内CO2排出量の約七割は建物由来でございまして、カーボンハーフの実現に向けては、新築建物対策が重要でございます。
 都は、令和三年三月より、太陽光パネルの価格や技術動向、リサイクル促進、さらには各国の動向、新制度のスキーム等について調査を行ってまいりました。
 こうした検討を重ね、同年の第三回定例会において、住宅等への太陽光パネル設置義務化の検討を表明し、同年十月からの環境審議会での審議、答申を経て、基本方針の公表、条例改正案の提出に至ったものでございます。
 最後に、建築主に求められる責務についてでございますが、本制度におきましては、建築主等は、住宅の断熱、省エネ性能の向上、再エネ導入等につきまして、必要な措置を講じ、環境負荷低減に努めなければならないとされてございます。
 都は、建物の環境性能に加えまして、経済性、快適性、防災性等のメリットを分かりやすく発信してまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 特別区消防団の水災時の活動についてでございますが、消防団は、消防署隊と連携した活動を原則とし、消防団員が被災することのないよう、安全に十分配意した災害活動を行うこととしております。
 引き続き、災害現場での安全管理に万全を期すとともに、消防団との実戦的な訓練を推進し、災害対応力の強化に努めてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 外国人起業家の資金調達支援事業についての七点のご質問にお答えいたします。
 これらには、既に文書質問でお答えをしている内容が含まれておりますが、まず、本事業について、利用者の事業計画の認定の審査を行っているところでございます。
 次に、事業を利用する場合のルール等についてでございますが、東京における産業の国際競争力の強化などに役立つ外国人の起業家を支援するため、適切な要件を定め、厳正に運用することとしております。
 次に、融資に係る担保についてでございますが、創業間もない時期の法人であるため担保は不要としており、起業を支援するほかの融資制度でも同様の仕組みはございます。
 次に、本人確認等の手続についてでございますが、事業計画の認定に当たりましては、利用者のなりすましなどを防ぐため、在留カードを確認し、その写しの提出を受け、本人確認を行うなど、厳格に審査を行っております。
 次に、債権の管理についてでございますが、融資した資金の返済については、金融機関が的確に把握し、対応を行い、それが滞る場合も金融機関が責任を持って回収に取り組む仕組みとしております。
 債権の回収ができない事態が生じた場合、金融機関によって適切な債権の管理が行われていると認められるときは、融資の実績に応じた回収が行われます。
 次に、保証人等についてでございますが、融資に当たり、保証人は原則として必要としております。中小企業の資金繰りを支える制度融資等は、同様のルールにより、幅広く利用されております。
 最後に、外国人起業家に対する期待についてでございますが、東京における産業の国際競争力の強化や国際的な経済活動の拠点の形成などに結びつく国内外の起業家の取組を支援いたします。
   〔政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君登壇〕

○政策企画局国際金融都市戦略担当局長(児玉英一郎君) City-Tech.Tokyoについてでございますが、官民が一体となって設立したグローバルイベント二〇二三実行委員会において、企画選定委員会における審査を経てデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社に決定し、事業運営を委託しております。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) GovTech東京についてでございます。
 都と新団体が協働し、各局や区市町村のDXをはじめとした様々な取組を展開していくこととしており、新団体が効果的に機能するガバナンスや経営管理体制など、設立構想の具体化に向け幅広く検討を進めているところでございます。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育を通じた国際交流についてであります。
 都はこれまでも、カナダやオーストラリア、ベトナムなど、世界の多くの国々と高校生の交流を行ってまいりました。こうした交流を通じ、文化や慣習を理解することは、多文化共生の推進に重要であります。このたび、都立高校生とアブダビの高校生との国際交流を進めることとし、政府要人等との面会において合意し、取組を開始したものでございます。
 次に、ニューヨーク出張についてでございます。
 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議などの公務のため、日程を短縮し、ニューヨーク市のみを訪問することとなったものでございます。
 次に、海外出張についてでございます。
 エジプトで開催されましたCOP27で各国の首脳などが参加する複数の会合に出席し、都の取組を世界に向けて発信するとともに意見交換が行われました。現地に赴き、直接関係者と会い、グリーン水素の活用など都の脱炭素へ向けた取組を広く伝え、気候変動対策に関するイニシアチブを発揮するなど、政策に生かされております。
 次に、カイロ大学文学部日本語日本文学科での講演についてでございます。
 相手は日本語を学ぶ学生たちであり、大学側からの依頼を受け、分かりやすい日本語で行ったものでございます。
 最後に、カイロ大学文学部日本語日本文学科での講演についての重ねてのお尋ねでございます。
 繰り返しになりますが、相手は日本語を学ぶ学生たちでございまして、大学側から依頼を受け、日本語で行ったものでございます。
   〔六番上田令子君登壇〕

○六番(上田令子君) ことごとく知事は答弁拒否されることがかえって疑念が深まります。やはりアラビア語で講演しなかった理由が理解できませんね。
 卒業のエビデンスとなったこちらの声明文ですけれども、二〇二〇年六月九日に突然公表されました。知事は、エジプト政府、カイロ大関係者等に作成依頼はされていませんよね。また、公表前に目にしたこともないですよね。確認させていただきます。
 太陽光パネルですが、都民に設置拒否権があるのかないのか、憲法で保障された財産権を踏まえ、イエスかノーでお答えください。
 世界ウイグル会議総裁は、義務化を強行する知事に対し、中国製を使用すればジェノサイド加担、コストがかかってもウイグルの人々の命より高くつくはずがないと、小池知事にはぜひそこを考えてほしいと過日訴えました。ごもっともです。この点について、知事として、一人の人間として、人道的な答弁を求めます。
 落札者の図面すら公開しないで、葛西臨海水族園の樹木が神宮外苑に続きどれだけ切られるか、本館、淡水生物館が残るのか分かりません。野鳥やカエルたちが暮らす、都民、江戸川区民の思い出の玉手箱、竜宮城です。これ以上勝手に、めちゃくちゃにしないでいただきたい。都民のものである図面の公表と今後どうするつもりか、知事に求めます。
 宮坂副知事は、局長答弁でもよさそうなほかの議員の質疑には喜々として答弁しているのに、副知事にしか答えられない私の質問に関して、今までただの一度も答えていただいたことがありません。何かよほど都合が悪いことでもあるんでしょうかね。そうでないなら、GovTechのガバナンスとフェローの件につき、宮坂副知事、お答えください。
 答弁を受けまして、あまりに拙速で、ずさんな太陽光パネル義務化の制度設計に、議場の皆さん、日本国中の皆さんにお気づきいただくことを願いまして、タートルを着て、小池知事の呼びかけに協力して、ウオームビズに協力し、第四回定例会質疑を締めくくる、地域政党自由を守る会、上田令子の再質問を終わります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 再質問についてお答えさせていただきます。
 重ねてのご答弁になって恐縮でございますが、カイロ大学文学部日本語日本文学科での講演についてでございます。
 繰り返しにはなりますが、相手は日本語を学ぶ学生たちであり、大学側からの依頼を受け、日本語で行ったものでございます。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 こちらも重複となって恐縮でございますが、太陽光パネルのサプライチェーンについてでございますが、都は、国のガイドラインを踏まえ、太陽光パネルメーカーに対して、業界団体と連携し、継続してヒアリングや意見交換を行い、各メーカーの適正な取組と情報公開を促してまいります。
 次に、建築主に求められる責務についてでございますが、本制度においては、建築主等は住宅の断熱、省エネ性能の向上、再エネ導入等について必要な措置を講じ、環境負荷低減に努めなければならないとされてございます。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 葛西臨海水族園整備等事業についての再質問でございました。
 先ほどもご答弁しましたとおり、新施設は自然との共存をコンセプトに整備を進め、その整備内容の詳細は、今後、事業者が実施する設計において定められます。
 また、既存施設についても、環境教育を行う場など、新施設と連携した利活用を検討しております。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) GovTech東京についての再質問についてでございます。GovTech東京の設立準備に関する事務を所管する立場といたしまして、私からお答えいたします。
 先ほど答弁したとおり、新団体が効果的に機能するガバナンスや経営管理体制など、構想の具体化に向け幅広く検討を進めているところでございます。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(三宅しげき君) これより日程に入ります
 日程第一から第六十五まで、第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)外議案六十三件、諮問一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事武市敬君。
   〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) ただいま上程になりました六十五議案についてご説明申し上げます。
 初めに、第二百六号議案、第二百七号議案及び第二百六十九号議案の三議案は、予算案でございます。
 第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)及び第二百七号議案、令和四年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)は、物価高から都民の暮らしを守るとともに、都の環境政策を新たなステージへと導くための歩みを加速させ、希望ある未来を切り開くため予算措置を行うもので、一般会計で一千十三億円、下水道事業会計で十五億円を増額するものでございます。
 第二百六十九号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第六号)は、国の地域観光事業支援に係る国庫補助金について、交付限度額が決定したことに伴い、百三十四億円を増額するものでございます。
 第二百八号議案から第二百二十二号議案までの十五議案は、条例案でございます。
 まず、新設の条例が二件ございます。
 第二百十号議案、個人情報の保護に関する法律施行条例は、開示請求の手続等に係る規定を整備するもの、第二百十一号議案、東京都個人情報保護審査会条例は、保有個人情報の開示請求等に係る審査請求について調査審議させるため、東京都個人情報保護審査会を設置するものでございまして、いずれも個人情報の保護に関する法律の一部改正等に伴い、条例を新設するものでございます。
 次に、一部を改正する条例が十三件ございます。
 第二百十三号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外四件は、東京都人事委員会勧告等に伴い、職員の給与等を改定するものでございます。
 第二百十六号議案、旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例は、旅券法等の一部改正に伴い、旅券の査証欄の増補の申請に係る手数料を廃止するものなどでございます。
 第二百十八号議案、都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例は、妊娠、出産と仕事との両立を支援するため、新たに妊娠症状対応休暇を設けるものでございます。
 第二百二十号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、都市の低炭素化の促進に関する法律施行規則の一部改正等を踏まえ、手数料に係る規定を整備するものでございます。
 第二百二十一号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、住宅等の一定の中小新築建物に係る環境性能の確保を求める制度を創設するほか、所要の改正を行うものでございます。
 第二百二十二号議案、東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、国分寺消防署の位置を改めるものでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが三件ございます。
 第二百二十三号議案から第二百二十九号議案までの七議案は、契約案でございます。
 第二百二十三号議案、東京都江戸東京博物館(四)改修工事請負契約など、契約金額の総額は約二百十四億円でございます。
 第二百三十号議案から第二百六十八号議案までの三十九議案は、事件案でございます。
 第二百三十号議案は、葛西臨海水族園仮称整備等事業の実施に当たり、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の規定に基づき、事業契約を締結するもの、第二百三十一号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和五年度の発売限度額を定めるもの、第二百三十二号議案は、旅券法の一部改正に伴い、都と島しょ各町村との間における旅券の申請受理及び交付等に係る事務の委託を変更し、これに伴い、規約の一部を変更するもの、第二百三十三号議案外三十四議案は、公の施設の指定管理者を指定するもの、第二百四十七号議案は、新型インフルエンザの発生に備え、備蓄用の個人防護具を買い入れるものでございます。
 次に、諮問でございます。
 諮問第三号は、未納下水道料金に係る督促処分について審査請求があったため、地方自治法の規定に基づき諮問するものでございます。
 上程になりました六十五議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 東京都公害審査会委員でございます。
 一名の委員が欠員となっておりますので、藤谷雄二氏を新たに任命いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
○議長(三宅しげき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 人事委員会の回答は、第二百十三号議案から第二百十五号議案、第二百十七号議案及び第二百十八号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

四人委任第一七三号
令和四年十一月二十八日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
(公印省略)
 東京都議会議長 三宅しげき殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 令和四年十一月二十四日付四議事第三〇一号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第二百十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百十四号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百十五号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百十七号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
五 第二百十八号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第六十五までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第六十五までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都公害審査会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔古賀議事部長朗読〕
一、東京都公害審査会委員の任命の同意について一件

四財主議第四二五号
令和四年十二月一日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 三宅しげき殿
   東京都公害審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を東京都公害審査会委員に任命したいので、公害紛争処理法第十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     藤谷 雄二

      略歴
現住所 茨城県つくば市
藤谷 雄二
昭和五十一年八月六日生(四十六歳)
平成十一年三月  北海道大学工学部卒業
平成十三年三月  北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻修士課程修了
平成十六年三月  北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻博士後期課程修了
平成十六年四月  独立行政法人国立環境研究所PM2.5・DEP研究プロジェクトNIESポスドクフェロー
平成十八年四月  独立行政法人国立環境研究所環境健康研究領域NIESポスドクフェロー
平成十九年四月  独立行政法人国立環境研究所環境リスク研究センターNIESポスドクフェロー
平成二十一年九月 独立行政法人国立環境研究所環境リスク研究センター研究テーマ型任期付研究員
平成二十六年四月 独立行政法人国立環境研究所環境リスク研究センター主任研究員
平成二十八年四月 国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康研究センター主任研究員
令和三年四月   国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康領域主幹研究員
現在       国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康領域主幹研究員

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 追加日程第二から第四まで、議員提出議案第十六号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例二件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)
○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十六号から第十八号までについては、趣旨説明を省略し、第十六号は財政委員会に、第十七号は文教委員会に、第十八号は厚生委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十六号から第十八号までは、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十二件及び陳情三十件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十二分散会

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