令和四年東京都議会会議録第十七号

令和四年十二月七日(水曜日)
 出席議員 百二十一名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番松田りゅうすけ君
六番上田 令子君
七番漢人あきこ君
八番岩永やす代君
九番桐山ひとみ君
十二番平けいしょう君
十三番山田ひろし君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番星  大輔君
二十四番磯山  亮君
二十六番米川大二郎君
二十八番森口つかさ君
二十九番もり  愛君
三十番龍円あいり君
三十一番中田たかし君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番渋谷のぶゆき君
四十二番やまだ加奈子君
四十三番林あきひろ君
四十四番松田 康将君
四十五番ほっち易隆君
四十六番鈴木 錦治君
四十七番田の上いくこ君
四十八番保坂まさひろ君
四十九番清水やすこ君
五十番入江のぶこ君
五十一番あかねがくぼかよ子君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番小松 大祐君
六十五番柴崎 幹男君
六十六番早坂 義弘君
六十七番本橋たくみ君
六十八番山加 朱美君
六十九番鈴木あきまさ君
七十番菅原 直志君
七十一番関野たかなり君
七十二番白戸 太朗君
七十三番おじま紘平君
七十四番成清梨沙子君
七十五番福島りえこ君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十六番小磯 善彦君
八十七番こいそ 明君
八十八番小宮あんり君
八十九番田村 利光君
九十番伊藤しょうこう君
九十一番川松真一朗君
九十二番山崎 一輝君
九十三番藤井あきら君
九十四番内山 真吾君
九十五番石川 良一君
九十六番伊藤 ゆう君
九十七番森村 隆行君
九十八番本橋ひろたか君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番高倉 良生君
百七番まつば多美子君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番清水 孝治君
百十二番菅野 弘一君
百十三番三宅 正彦君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番尾崎 大介君
百十七番村松 一希君
百十八番後藤 なみ君
百十九番たきぐち学君
百二十番小山くにひこ君
百二十一番増子ひろき君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 二名
三十二番 斉藤 りえ君
七十六番 風間ゆたか君
 欠員
    十番 十一番 二十五番
    二十七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長中村 倫治君
総務局長野間 達也君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監小島 裕史君
政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村 恵一君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
子供政策連携室長山下  聡君
デジタルサービス局長久我 英男君
主税局長小池  潔君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西 康弘君
都市整備局長福田  至君
環境局長栗岡 祥一君
消防総監清水 洋文君
福祉保健局長西山 智之君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
港湾局長矢岡 俊樹君
会計管理局長須藤  栄君
交通局長武市 玲子君
水道局長古谷ひろみ君
下水道局長奥山 宏二君
住宅政策本部長山口  真君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長松永 竜太君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長小室 一人君
労働委員会事務局長桜井 政人君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君

十二月七日議事日程第二号
第一 第二百六号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第二 第二百七号議案
  令和四年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第三 第二百八号議案
  東京都公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百九号議案
  東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第五 第二百十号議案
  個人情報の保護に関する法律施行条例
第六 第二百十一号議案
  東京都個人情報保護審査会条例
第七 第二百十二号議案
  審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十四号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十五号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十六号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十七号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十八号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十九号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十一号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十二号議案
  東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十三号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修工事請負契約
第十九 第二百二十四号議案
  都営住宅四H—一〇二東(江戸川区平井三丁目第二)工事請負契約
第二十 第二百二十五号議案
  都営住宅四CH—一〇一西(練馬区石神井台四丁目・練馬区施設)工事請負契約
第二十一 第二百二十六号議案
  都営住宅四H—一二四東(江戸川区下篠崎町)工事請負契約
第二十二 第二百二十七号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修電気設備工事請負契約
第二十三 第二百二十八号議案
  東京都江戸東京博物館(四)改修給水衛生設備工事請負契約
第二十四 第二百二十九号議案
  街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西—青梅三・四・四裏宿町)請負契約
第二十五 第二百三十号議案
  葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
第二十六 第二百三十一号議案
  当せん金付証票の発売について
第二十七 第二百三十二号議案
  旅券法の一部を改正する法律の施行に伴う旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託の変更及び規約の一部の変更について
第二十八 第二百三十三号議案
  東京体育館の指定管理者の指定について
第二十九 第二百三十四号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十 第二百三十五号議案
  東京武道館の指定管理者の指定について
第三十一 第二百三十六号議案
  有明テニスの森公園テニス施設の指定管理者の指定について
第三十二 第二百三十七号議案
  若洲海浜公園ヨット訓練所の指定管理者の指定について
第三十三 第二百三十八号議案
  武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者の指定について
第三十四 第二百三十九号議案
  海の森水上競技場の指定管理者の指定について
第三十五 第二百四十号議案
  夢の島公園アーチェリー場の指定管理者の指定について
第三十六 第二百四十一号議案
  カヌー・スラロームセンターの指定管理者の指定について
第三十七 第二百四十二号議案
  大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の指定管理者の指定について
第三十八 第二百四十三号議案
  東京アクアティクスセンターの指定管理者の指定について
第三十九 第二百四十四号議案
  東京都パラスポーツトレーニングセンターの指定管理者の指定について
第四十 第二百四十五号議案
  東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第四十一 第二百四十六号議案
  東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
第四十二 第二百四十七号議案
  個人防護具(ガウン等セット)の買入れについて
第四十三 第二百四十八号議案
  東京都立産業貿易センター浜松町館の指定管理者の指定について
第四十四 第二百四十九号議案
  東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第四十五 第二百五十号議案
  東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
第四十六 第二百五十一号議案
  東京都立辰巳の森海浜公園外七公園の指定管理者の指定について
第四十七 第二百五十二号議案
  東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十四公園の指定管理者の指定について
第四十八 第二百五十三号議案
  東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
第四十九 第二百五十四号議案
  東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十 第二百五十五号議案
  東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十一 第二百五十六号議案
  東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
第五十二 第二百五十七号議案
  東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十三 第二百五十八号議案
  東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百五十九号議案
  東京都立日比谷公園外五公園の指定管理者の指定について
第五十五 第二百六十号議案
  東京都立戸山公園外七公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百六十一号議案
  東京都立武蔵野公園外六公園の指定管理者の指定について
第五十七 第二百六十二号議案
  東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定について
第五十八 第二百六十三号議案
  東京都立狭山・境緑道外五公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百六十四号議案
  東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第六十 第二百六十五号議案
  東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第六十一 第二百六十六号議案
  東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百六十七号議案
  日比谷公園大音楽堂の指定管理者の指定について
第六十三 第二百六十八号議案
  葛西臨海水族園の指定管理者の指定について
第六十四 諮問第三号
  地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第二号追加の一
第一 第二百六十九号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第六号)

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 令和四年十二月五日付で、知事より、本定例会に提出するため議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百六十九号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第六号)が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十二番菅野弘一君
   〔百十二番菅野弘一君登壇〕

○百十二番(菅野弘一君) 令和四年第四回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 サッカーワールドカップ・カタール大会での日本代表、サムライブルーの活躍は、念願のベストエイト進出こそかないませんでしたが、優勝経験のあるドイツ、スペインに勝った見事な試合など、日本中に夢と感動を与えてくれました。
 明るい話題に沸いた一方で、年末に向かい新型コロナウイルス感染症も再拡大となり、原油高、物価高、円安などが続き、世界情勢は混沌としています。
 そうした中、都民生活や都内事業者の経営環境への影響を最小限に抑え、しっかりとしていくのが都の責務であります。
 こうした困難な局面で最も重要なのは、都政運営に対する都民の信頼と協力であります。
 そのためには、都内の実態を直視し、都民の声に耳を傾けることが必要です。今日は、こうした観点から質疑を行います。
 原油、原材料の価格高騰や円安による輸入コストの上昇など、都内中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にあります。企業の経営者からは、光熱費や仕入価格の上昇が止まらない、円安の影響により原材料の値上げが厳しいといった切実な声が届いています。東京の経済の基盤ともいえる中小企業が、現下の社会経済環境の変化を乗り越えていくためには、企業の実情に寄り添った支援が必要と考えます。
 そこで、原油や原材料などの価格高騰が中小企業の経営に重くのしかかる中、経営の下支えや、その先を見据えた取組をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 また、仕入価格の高騰に伴い、資金繰りや価格転嫁の問題など、経営に関する様々な影響が発生しています。こうした状況の中、政府は先月、総合経済対策の実行に向けた令和四年度第二次補正予算案を国会に提出し、先週末に可決されました。
 都議会自民党は、政府の総合経済対策と足並みをそろえた都民生活や事業者への支援などを都に対して要望したところですが、今回提出された補正予算の考え方について、知事の見解を伺います。
 今回、所信表明演説で、知事は、都庁の組織強化、福祉保健局の見直しについて表明されました。
 福祉保健局は、都庁最大の組織ですが、改編に当たっては、単に機構を分割して効率性を発揮させるといった理由のみではなく、また、目先の事象にとらわれた朝令暮改の組織見直しを行うのではなく、行政サービスの質を向上させ都政の実行力を高める、つまり、真に都民に資する都庁を目指していくという大きな意思が伴わなければなりません。
 改正感染症法が成立するなど大きな変化がある中で、都の組織も長期的な展望の下、将来にわたって機能する執行体制を確立することが求められます。
 福祉保健局の組織改正について、知事の見解を伺います。
 新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は見直しに向けた検討を開始するなど、経済との両立に向けた議論が本格化しており、都も、この冬の感染拡大には行動制限は行わないとの基本的な考え方を示しています。都の現下の感染状況は、感染者数は増加傾向にありましたが、このところ増加率は穏やかになってきています。経済活動とコロナ対策との両立に向けて、医療提供体制もしっかりと整えていくことが重要です。
 そこで、我が党が、オミクロン株の流行下で特に重要視している高齢者対策や自宅療養体制の確保をはじめ、ウイズコロナに向けた医療提供体制について、知事の見解を伺います。
 また、特に年末年始は受診可能な医療機関が限られることになります。都は、年末年始の医療提供体制をどのように確保していくのか伺います。
 世界の変革スピードが速まる中、日本が再び成長するためには、首都東京が日本を牽引する必要があります。
 こうした中、知事は、第三回定例会でSusHi Tech Tokyoという言葉を生み出し、今後、国際的な発信を強めていく旨を表明しました。
 そして、来年二月に開催するCity-Tech.Tokyo、G-NETSといった国際会議、そして令和六年度には、東京ベイeSGプロジェクトでの一大国際イベントにつなげていくと説明をしています。
 東京の国際的なプレゼンス向上は重要ですが、単なるイベントを展開していくだけで、それぞれのつながりや、SusHi Tech Tokyoが一体何を行うのか、都民にとって理解しづらいと感じます。
 また、知事のみならず、都議や都職員も含めた多様なチャンネルにより、オール東京で発展的に世界に訴える必要があります。
 そこで、SusHi Tech Tokyoの狙い、具体的に、一体何をしたいのか、また、これまでの成果を踏まえた今後の展開方針について、知事に伺います。
 国は、新しい資本主義の柱として、社会課題の解決と成長の牽引役となるスタートアップの育成に向けた五か年計画を先日決定しました。スタートアップの年間投資額を二〇二七年度に十兆円規模とし、我が国がアジア最大のハブとして世界有数のスタートアップ集積地になることを目指すなど、大きな目標を掲げています。
 我が国の経済を再び力強いものとしていくためには、首都東京が先頭に立って、国や経済団体、都内に数多くある大学などと連携し、オールジャパンでスタートアップを生み出していく必要があります。
 都は、新たに策定したスタートアップ戦略について、どのようにして実効性の高い施策を推進していくのか、知事の見解を伺います。
 コロナ禍での世界的な出入国規制によって、東京を訪れる外国人の数は三年の長きにわたり激減してきました。厳しい状況は、観光業だけにとどまらず、外国人による経済効果は、今や東京のあらゆる産業に直結しています。
 外国人を誘客する究極の目的は、東京の経済の活性化にあります。円安が続く今、観光は重要な外資獲得手段であると改めて認識すべきです。
 東京二〇二〇大会は、延期の上、無観客開催となり、当時計画され、結果としてできなかった観光振興施策もいまだたくさんあるはずです。水際対策が抜本的に緩和され、東京を訪れる外国人が増えてきた今、感染防止対策は徹底しながら、東京の観光の回復との両立を図ることは急務です。そのためには、東京でしかできない、かつ、経済効果の裾野が広い具体策こそ求められています。
 例えば、日本の文化や習慣などに直接触れる体験型のプログラムや、海外で人気のあるアニメなどを使った取組など、外国人の多様なニーズを的確に捉え、常に新しいコンテンツを打ち出すことが重要です。
 そこで、水際対策の緩和を踏まえて、今後どのように観光振興を進めていくのか、知事の見解を伺います。
 近年、新しいツールやシステムの導入などで、デジタル技術の進展により企業現場の抜本的な業務改善につながる事例が出ています。こうした取組は、デジタル化が難しいとされていた工場などでも始まっており、自動車整備工場では、定期点検などを迅速かつ正確に行うため、デジタル技術のツールが活用されています。
 しかし、厳しい経営環境が続き、資金的な余裕もない中小企業では、経営改善につながると分かってはいても、対応が困難な状況にあります。
 都においてはこれまでも、我が党の要望を踏まえ、中小企業のデジタル化に向けた取組を進めていますが、様々な業態の企業に幅広く活用してもらえるよう、現場のニーズを踏まえた支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタルトランスフォーメーション、DXやグリーントランスフォーメーション、GXの進展により、デジタル関連や脱炭素、環境関連の業務など、成長が見込まれる分野は、今後、人材不足が見込まれます。一方、GX等により不要となる業務が発生し、失業が増大するおそれもあります。よって、社会環境の変化に対応したスキルを身につけるための支援は重要であります。
 また、就職氷河期世代など、望まず非正規雇用となった方も多いといわれています。こうした方々が正規雇用にキャリアチェンジできるよう、スキル習得やマッチング支援などの支援策が求められています。
 今後の取組について、都の見解を伺います。
 都の職業訓練校である職業能力開発センターは、多くの人材を育成し、雇用就労の一助として役割を果たしてきましたが、昨今は時代についていけない現状が表面化しております。Society五・〇の時代、DX等も進み、従来型の設備では実技が学べず、時代の変化によるリスキリングにも対応ができなくなっています。
 したがって、企業が求める人材を育成するためには、最新の機器類を備えるなど、新しい技術を身につけるための環境整備を行う必要があります。と同時に、訓練する科目も、ITなど時代に見合ったものへと変更していかなければなりません。
 最新の施設、設備に更新し、訓練の質を高め、時代や雇用する側のニーズに合った人材育成を果たす必要があると考えますが、見解を伺います。
 一方で、求職者に対して職業訓練の情報や内容を正確に提供し、雇用に結びつけてこそ訓練が生きることになるわけで、そのための橋渡し役として重要なのが、飯田橋と立川にある東京しごとセンターです。
 東京都中小企業団体中央会の会長からも、公労使会議の場で、しごとセンターの利用者が職業訓練などの体験ができるよう一体として整備すべきとの声が上がっているように、職業能力開発センターとしごとセンターが双方からアプローチができるよう、一体的に施設整備を進めるべきと考えます。
 都も、施設の老朽化を受け、リニューアルに前向きだと聞きましたが、DXやGXに対応できる人材育成、人材確保のための支援と就業支援をしっかりと行っていくべきと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。
 去る十月、都議会自民党では、産業施策の視察として都立産業技術研究センターに行ってきました。3Dプリンターによる開発支援、温度や圧力など様々な条件を満たしているかを検証するための耐久性試験、最近の新たな研究としては化粧品開発なども手がけていると聞き、都内中小企業の製品開発に大いに寄与していることが分かりました。
 昨今のコロナやウクライナ侵攻による影響、原油をはじめとする資材高騰など、中小企業、零細企業を取り巻く環境は刻々と変化するとともに、進化し続ける最先端技術への対応も苦慮しているのが現状です。そうした変化に迅速に対応するためにも、技術開発支援は大変重要です。
 産技研を中心に、今後も中小企業に対する技術支援をより充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、視察の際には、産技研の理事長とも意見交換をさせていただきました。今後の様々な変化に対応するためには、当然、最新の機械、設備が必要で、最先端を追いかけ続けることには一定の限界はあるとのことでしたが、何より重要なのは、知識、スキル、技術などを身につけた職員の育成と新規採用をも含めた人材登用でありますとのことでした。
 中小企業を支える人材をどのように採用し育成していくのか伺います。
 我が会派はこれまでも、豊洲や大田といった大規模市場だけではなく、ほかの市場にも目を配るべきだと主張してきました。そうした市場は、地元の小売店や飲食店などの仕入先として地域を支え、生鮮品などを供給する重要な役割を担っています。
 一方で、そうした市場の多くは老朽化が著しく、高度な品質衛生管理を求める市場内外のニーズに応えられず、世間から取り残されてしまうのではないかと危惧される状況にあります。
 また、狭隘な施設しかない市場では、そこで働く従業員やトラックドライバーの人手不足が拍車をかけ、場内混雑がより一層深刻化しており、多くの市場関係者からは、豊洲の次は我が市場が整備される番だと心待ちにしている声を聞きます。東京の十一の市場の開設者の責任として、こうした声に耳を傾け、真摯に老朽化対策や維持更新などを進め、機能強化を図っていくことが重要だと考えます。
 そこで、都は、豊洲や大田といった大規模市場だけではなく、それぞれの地域で都民生活を支えている市場について、今後どのように機能強化に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 我が会派が尽力して設置された実務者協議会の中でも、首都圏鉄道網の拡充は最重要テーマであり、東京都と国とのかけ橋として、国の様々な機関と独自に協議を進めてきました。
 その成果でもある昨年七月の交通政策審議会の新たな答申では、地下鉄ネットワークとして、地下鉄八号線、都心部・品川地下鉄、都心部・臨海地域地下鉄の三つの路線について、課題解決の方向性が示されました。
 リニア中央新幹線の始発駅でもある品川駅や臨海部、スカイツリーといった観光拠点など、様々な拠点がつながることで活力ある東京の実現が期待され、都はこの間、これらの路線について精力的に取り組んできたものと認識しています。
 とりわけ、東京や銀座といった日本の核である都心部と、居住や商業、エンターテインメントなどの拠点として発展していく臨海部とをつなぐ都心部・臨海地域地下鉄の実現により、新たなにぎわいの軸が形成されるとともに、都市の魅力と活力を飛躍的に向上させる起爆剤となって、日本の持続的な成長へとつながっていきます。
 これら三つの地下鉄新線の事業を進める意義と決意について、知事のお考えを伺います。
 都営住宅居住者などへの生活支援について伺います。
 我が党はこれまでも、都営住宅居住者の利便性向上のため具体的な提案を行っており、都は、令和二年度より、オープン型宅配ボックス設置のモデル事業を二つの団地で開始しました。
 この事業は、都が都営住宅敷地を有償で貸し付け、事業者が宅配ボックスを設置し管理運営を行うもので、多くの団地居住者などに利用されています。
 宅配のニーズはますます高まっており、さらなる居住者などの利便性向上に努める必要があるとともに、再配達を削減するため、環境負荷の低減や物流の効率化にも資する取組と考えます。
 都は、先行実施の成果を踏まえ、ほかの都営住宅についても宅配ボックスの設置拡大を図るべきですが、見解を伺います。
 次に、東京農業の振興について伺います。
 東京農業は、新鮮な農産物の供給や災害時のオープンスペースの確保など多様な役割を果たしていますが、様々な課題も抱えています。
 例えば、都内の農業者数は年々減少している一方で、経営拡大を目指す農家や他業種からの参入など新たに農業を始めたい方の中には農地を探している方も多くいらっしゃいます。両者のマッチングを進め、貸借を促進することができれば、東京農業の活性化につながると考えます。
 これまで都は、新規就農者等に対し、地元の農業委員会を通じ生産緑地の貸借を行ってきましたが、借手の方からは、居住地だけでは適当な農地の情報が得られない、あるいは、ビニールハウスなど施設整備を投じるためには、契約期間が短く安定した農業を営むことは難しいなどという声を聞いております。また、所有者の側からも、先祖から引き継いだ農地を他人に長期間貸すことになかなか踏み切れないなどとの意見が出ています。
 そこで、都は、現下の状況を踏まえ、借手と貸手の双方に恩恵が生じるような支援を行うべきであり、例えば、生産緑地を十年以上貸し出す場合、面積に応じて奨励金を支給するなど貸借の促進に向けた施策をさらに充実すべきと考えますが、その見解を伺います。
 東京は、頻発化、激甚化する風水害や首都直下地震はもとより、複合的な災害など、自然災害のリスクに常に直面しています。こうした中にあって、都民の命と財産を守り、首都機能や経済活動を維持することが都に課せられた重大な使命であります。
 この使命を確実に果たすためには、将来の強靱化された東京の姿を具体的に明らかにした上で、国や区市町村と有機的に連携し、強靱化につながる取組をレベルアップすることが必要です。
 そのためには、中長期にわたって災害に強い東京の実現に向けた真に効果の高い対策に重点投資すべきです。そして、練り上げた都の防災対策の全容を、将来の事業規模も含め、都民に明確に提示することが最も重要です。
 来年、関東大震災から百年を迎える中にあって、今後策定する都市強靱化プロジェクトの基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 大規模災害発生時は、国や道路などの管理者、救出救助機関など様々な機関が被害情報の収集や分析を行います。しかし、それらの情報が関係機関の間で共有され、災害対策に生かされなければ、応急対策が遅滞し、ひいては復旧、復興への重大な影響を及ぼしかねません。
 都内で発生する大規模災害への対処において、東京都災害対策本部は司令塔であり、本部に各機関の情報が効果的に集約され、迅速な応急対策に生かされるべきですが、膨大な量の情報をマンパワーのみで集約し、分析することは困難です。
 そこで、大規模災害時において多くの都民の命を守るため、DXを活用して様々な災害情報を効果的に集約、分析活用し、応急対策につなげるなど、都の災害対応力を向上すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、今年五月に被害想定を十年ぶりに見直し、住宅の耐震化や家具の転倒防止対策、出火防止、初期消火対策など、今後の取組による対策の効果を明らかにしました。
 一例を挙げると、感震ブレーカーや消火器設置促進などの対策を総合的に進めた場合、火災死者数が七割から九割程度減少するなど、対策の効果を推計しています。
 災害による被害を減らすためには、日頃から住民や地域の自助、共助を促す区市町村の取組が重要です。
 一方、木造住宅やタワーマンションなどの住民の居住形態やコミュニティの状況は地域によって大きく異なるため、各区市町村が住民や地域に対して優先して行うべき取組も大きく異なります。
 そこで、今後、区市町村による自助、共助を促す取組が一層推進されるよう、都は個々の実情に応じた支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 新たな被害想定では、首都直下地震の発生から二十四時間で最大六百二十三件の火災が発生するとされています。よって、東京を守るためには、同時多発する膨大な火災の発生が想定されるための初期消火能力の向上が重要な課題になっています。
 そこで、自助、共助などの地域防災力の向上に向けた東京消防庁の取組について、消防総監の見解を伺います。
 二〇二〇大会のレガシーは非常に重要であり、特に新設の都有施設のレガシー利活用を進めなければなりません。新設会場であるカヌー・スラロームセンターは、七月の再開場以来様々な利用がされてきました。
 まずは、スポーツとしてのカヌー競技。強化選手の練習会場としてはもちろんのこと、十月にはNHK杯日本選手権などの競技大会が開催されました。また、レクリエーションとして、ラフティングなどの遊び場として機能し、都によるカヌーフェスタなども開催してにぎわいを創出しました。
 我々が主張してきたもう一つは、社会貢献としての施設利用です。ロンドン五輪のカヌー施設では、大会後に水難救助訓練の会場として利用されており、同様の訓練などに利活用すべきと考えます。
 このたび、東京消防庁が、大規模水害に対する活動体制強化のため、センターを利用すると聞きました。地元の江戸川区はゼロメーター地帯が広がり、こうした水害対応訓練に大いに期待を寄せています。
 その際には、警視庁など関係機関との協力体制や地元自治体や地域住民との連携も図るべきと考えます。消防総監の見解を伺います。
 官民連携によるデジタルサービスの創出について伺います。
 行政データを活用して実際にサービスへとつなげる提案を競う都のオープンデータハッカソンでは、私の地元である港区が公表している保育園一覧データを活用し、手軽に自宅の近くの入りやすい保育園が分かるサービスが区民との協働で実装され、これを契機に、台東区でもオープンデータ化され、サービス拡大につながったことは大変有意義と考えます。
 これらの取組を数多くの区市町村に広げていくために、行政のオープンデータ化や職員の意識改革の推進が重要ですが、官民連携によるサービス創出に向けた都の見解を伺います。
 東京のDX推進強化に向けた区市町村へのDX支援について伺います。
 都は、九月に区市町村を含めた東京全体のDXを加速させる新たな仕組みとして、新団体GovTech東京の設立構想を発表しました。GovTech東京が区市町村のDX推進に貢献するためには、具体的なニーズを踏まえた地に足のついた実効性ある取組となるよう、区市町村の声を聞き、議論を十分尽くしていくべきと考えます。
 引き続き、より自治体の現場レベルでの意見交換をさらに進めることも大切ですし、また、東京都内の六十二区市町村は人口などの行政規模の違いも大きいので、各自治体の実情に合わせた対応や必要とされるデジタル人材の確保など支援の内容は多岐にわたります。そして、成功事例だけではなく失敗事例も横展開で共有することなど、広域行政をつかさどる都の役割は極めて大きいものがあります。
 国においても、十月にはデジタル庁が自治体の情報システムの統一、標準化に向けて、住民記録、税、介護、福祉など主要な二十の事務の基盤業務のシステムを対象に基本方針を発表しましたので、国とも連携を深め取組を加速していくことが重要です。
 区市町村へのDX導入は、すなわち各役所の業務や仕組みを変える努力が問われますが、都は、来年のGovTech東京の設立を見据え、DX推進に向けて区市町村が抱える喫緊の課題にどのように取り組むのか、宮坂副知事の見解を伺います。
 バスの置き去り事故をはじめとして、子供たちを取り巻くリスクや課題は刻々と変化していることから、子供政策自体も固定的ではなく、常にニーズを的確に捉えていくことが求められています。
 このため、都が年度内を目途に策定予定であるこども未来アクションに各局の子供関連施策を羅列し、単に記載された内容を計画どおり実施するだけでは不十分であり、子供目線に立って不断に見直す姿勢をこども未来アクションの中核に据え、子供との対話を通じた取組を実践していくことが求められています。
 さきの第三回定例会の代表質問では、子供の意見を反映した子供政策について提案したところでありますが、こども未来アクションの策定に当たっても、子供の意見をただ聞くだけではなく、子供たちの意見をどのように都が受け止めたのかという観点からしっかりと記載するなど、子供との対話を実効性のある形で実践すべきであります。
 都は、真に子供目線に立ってこども未来アクションを策定すべきと考えますが、見解を伺います。
 少子化については、コロナ禍の中で、日本における出生率が将来人口推計よりも七年ほど早く減少するなど危機的な状況にあります。このまま少子化が進行すれば、我が国の社会に多大な影響を与えることになり、少子化を国家存亡の危機、国民、都民共通の重大な危機と捉えなければなりません。
 都においては、昨年の合計特殊出生率が一・〇八まで低下しており、全国で最も低い状態が続いています。
 結婚支援、妊娠、出産支援、子育て支援、働き方改革など、あらゆる側面から対策を推し進めていくことが極めて高い中、知事は、本定例会の所信表明において、大胆な政策拡充に向けた検討を進め、少子化問題に真正面から取り組んでいくと述べられました。
 少子化を克服し、結婚、妊娠、出産、子育てに夢や希望を感じられる社会を実現するため、総合的な対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 大きな社会問題として周知されながらも、その実態が見えにくいひきこもりですが、内閣府の調査では、ひきこもりの人数は全国で約百十五万人、そのうち自宅に半年以上閉じこもっているひきこもりの四十歳から六十四歳が約六十一万人、十五歳から三十九歳の若者は約五十四万人と、四十歳以上が最も多く、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になっています。
 さきに江戸川区が実施した全世代を対象に直接行ったひきこもり調査では、四十歳以上の潜在化したひきこもりの人たちが行政につながったというケースもあり、大人のひきこもりは、新しい社会的問題として様々な検討、分析を加えて適切に対応していくべき課題であります。
 これまで我が会派としても、幅広い年代のひきこもりを含め、行政から最も遠い場所にいる人にこそ支援の手を差し伸べるべきだと述べてきたところでありますが、都は、今まで支援の手が届かなかった中高年層にも光を当て、誰も孤立させない社会の実現を図っていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 国は、昨年七月、児童相談所の設置基準を政令等で新たに設定しており、管轄人口が百万人を超える児童相談所については、新設等による管轄区域の見直しが求められています。
 都は今年度、多摩地域における児童相談所の管轄区域に関する調査を実施していますが、市町村の意見も聞きながら、国の設置基準を踏まえた管轄区域の見直しを着実に進めるべきです。また、見直しに当たっては、人口だけではなく、これまで課題とされていたアクセスの改善などにも配慮すべきです。
 今後、具体的なスケジュールも含め、管轄区域の見直しをどのように進めていくのか伺います。
 パラスポーツについて伺います。
 東京二〇二〇大会からはや一年、パラリンピックのレガシーを最大限に生かし、共生社会を実現するためには、パラスポーツを社会に根づかせていくことが大切です。
 スポーツをする障害者は、厳しい練習を重ねるアスリートもいれば、気軽なスポーツに親しむ人もいるなど、裾野が広がっています。そのため、置かれた状況や特性なども踏まえて、スポーツを楽しむ環境の整備が欠かせません。
 現状として、障害者からは、活動できる場所が少ない、自分の障害を理解してサポートしてくれる人が不可欠、また、スポーツ施設まで行くことさえ難しいといった声を聞きます。
 こうした様々な方が、競技、レクリエーションスポーツなど幅広いスポーツに親しめるようにするには、障害者のスポーツ環境の整備に着実に対応していくことが重要ですが、都の取組について伺います。
 さて、都内の都立特別支援学校は、東京各地に点在しており、学校教育活動に支障のない範囲で開放しています。
 今後、障害者のスポーツ環境の整備の観点からは、都立特別支援学校の施設の開放をさらに進めていくべきですが、都教育委員会の見解を伺います。
 障害者が行うスポーツの普及についても伺います。
 車椅子操作とシュートの応酬が魅力の車椅子バスケ、広く普及しているボッチャといったパラリンピック競技は多くの人の知るところであります。
 しかし、二〇二五年に東京で開催が決まったデフリンピックのように、聴覚障害者の総合的な大会もあれば、スペシャルオリンピックスのように知的障害のある人たちが共に成長し、楽しむ大会もあります。
 障害者は、種別も程度も、さらには受傷時期も一人一人違い、スポーツをする目的も、リハビリや仲間との交流、世界の頂点を目指す者など様々です。
 障害者が自分に合ったスポーツを見つけ、楽しめる機会が多様にあることも重要ですが、都の取組を伺います。
 我が国の伝統的な芸能、文化はもとより、日本の様々な芸術文化は世界的にも認知されております。こうした中、芸術文化活動がより発展していくよう、あらゆる機会を通じて支援すべきであり、特に身近な地域での活動を充実させるべきと考えます。
 東京都指定の有形無形文化財などは地域に根づいており、こうした文化財を活用した地域の芸術文化活動は、市区町村との関わりも深く、都と地元自治体による協働が非常に重要となります。
 都として、地域の多様な芸術文化活動が発展するようさらなる支援策を講じるとともに、地域の活動を支える区市町村の取組を後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界におけるeスポーツの競技人口は、今や一億三千万人以上といわれ、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国を中心に市場が拡大しています。
 最近では、日本においても様々なeスポーツの大会が開かれるようになり、東京都でも東京eスポーツフェスタが始まり、年明け一月には四回目の大会が予定されているなど、東京中でも普及拡大中であります。
 この動きは、経済産業省だけではなく文部科学省も注目しており、eスポーツを日本の新しい文化として育み発展させていくためにスタートした高校生対象のeスポーツ大会の後援には文部科学省が名を連ねるようになりました。
 同時に、プロ選手も増加し、彼らの活躍がSNSなどを通じて広がっていることで、新たにプロを目指す中高生も今後増えてくるものと予想されます。
 一方で、各学校のPTAなどの関心も高まり、活用の仕方によっては、知育、コミュニケーション能力など、児童生徒たちの成長に大きく寄与されるのではないかと期待する声も多々あります。
 今後、eスポーツが拡大していく中、都立高校などの部活動においてeスポーツに取り組む生徒に対してどのように支援していくのか、都教育委員会の見解を伺います。
 都立高校における教育の充実について伺います。
 教育現場には、教育を支える教育の質と量の確保など様々な課題がありますが、都立高校においては、次代の東京を担う生徒の育成に向けて、教育内容の一層の充実を図る必要があります。
 都立高校の令和四年度入学者選抜における応募倍率は全体で約一・四倍となっていますが、普通科の一部の高校においては、生徒の獲得に苦戦している状況となっています。
 改めて申し上げるまでもなく、都立高校は、将来の東京を支える人材を育成する重要な使命があり、この状況の改善に向けた取組が早急に求められています。
 我が会派は、かねてより、都立高校においては、デジタル化やグローバル化に対応した有用なスキルを習得できるようにするなど、都立高校の生徒が社会に出た際に活躍できるような支援を行うべきと提案してきました。
 このような観点から、次代の東京を担う人材育成に向けて、都教育委員会ではどのような取組を展開していくのか、見解を伺います。
 東京都はこれまで、十期にわたり世界を舞台に活躍する国際感覚豊かでたくましい若者を東京から輩出していくことを目的として、次世代リーダー育成道場を実施、延べ千五百名を超える高い志を持った高校生の留学支援を行ってきました。
 先日の所信表明で知事も述べられたように、これからの未来を生きる子供たちには、ツールとしての英語はもとより、豊かな国際感覚を身につけ、将来への可能性を広げてほしい、この思いは我々も同じです。
 しかし、同じ都立高でありながら、これまで都立特別支援学校の生徒の留学実績はありません。都立高校では、様々な地域への海外派遣に力を入れ、現地でなければ得られない異文化に触れられる機会を拡大していくとのことですが、来年一月にはオリ・パラレガシーの一環として、特別支援学校の生徒が都立高校の生徒と一緒にパリに赴くと聞いています。
 こうした経験も踏まえながら、障害のある子供たちも、海外において体験的に学ぶことができる機会を充実させていくことが重要であると考えます。知事の見解を伺います。
 東京二十三区の大学における定員抑制について、我が会派は、本規制が不合理な措置であるとして、明確に反対の意思を表明するとともに、地方創生に当たっては、東京対地方の構図をつくるのではなく、東京と地方が共存共栄し、日本全体の発展に寄与する仕組みを構築するよう求めてきました。
 また、先般、国の予算委員会においても、萩生田政調会長が本規制の見直しに関する質疑を行ったところであります。
 社会経済状況の変化が厳しい今日において、世界との競争に打ち勝っていくためには、高度な研究機関や機能を有する大学の存在が重要です。大学を規制するのではなく、大学と企業が連携し、事業と研究を結びつけることで成果を上げ、都市と地方が分かち合うことが必要です。特に、昨今、デジタル化やAIなどの新しい産業や技術が生まれ、こうした社会のニーズに合わせた人材を育成していくことも重要です。
 先般、都が国に対して本規制に関する緊急要望を行ったことは承知していますが、今後さらに、国に対してどのように働きかけをしていくのか、知事の見解を伺います。
 新築住宅などへの太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 地球規模での気候危機に加え、長期化するロシア、ウクライナ情勢により顕在化したエネルギー危機への対応として、二〇三〇年カーボンハーフの実施に向けた施策、とりわけ都内のエネルギー消費量が唯一増加している家庭部門への対策が急務であることは、何ら否定するものではありません。
 しかし、その対策として、太陽光パネルの設置を義務化することが果たして都の政策として適切なのか、都民が本当に納得しているのか、こうした疑問に誠意を持って答える責任が知事にはあります。
 義務化の意義や政策効果などについて、都民の理解、納得が得られるよう、丁寧な説明を行っていくことを再三再四求めてまいりましたが、現時点でも十分納得できるような説明はありません。
 そこで、改めて伺います。なぜ義務化という強い手法を用いなければならないのか、新制度でどれだけの政策効果が見込めるのか、知事の見解を伺います。
 次に、人権尊重に関連する取組について伺います。
 中国の新疆ウイグル自治区で、太陽光パネルの主要な原材料であるシリコンの採掘などにおいて、少数民族の人権弾圧と強制労働が行われているとの懸念が伝えられています。このことは、太陽光パネル義務化に当たって慎重に取り扱うべき問題であり、各国は、既に輸入規制などに動いているのが現状です。こうした中、日本の首都東京が太陽光パネルの義務化に取り組むとなれば、国際社会から強い視線が向けられることになります。
 そこでお聞きします。国に先駆けて、他に類を見ない条例改正を進めるのであれば、知事自らが前面に立って、都民、国民に義務化の必要性、妥当性、合理性を説明するとともに、サプライチェーンでの人権尊重に関する企業の取組を促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都民理解の促進について伺います。
 都が今年の五月から六月にかけて実施した条例改正に係るパブリックコメントでは、賛成意見が全体の五六%を占める一方で、反対意見も四一%に上り、都民から様々な意見が寄せられました。
 これは、都内全域にわたって個人住宅にパネルを設置するという事業です。この事業は、都民お一人お一人の理解と納得、そしてご協力の上に成り立つものです。令和七年四月には義務化を開始するとのことですが、現段階で都民の方に十分にご理解いただいているかどうか、疑問が残ります。
 どのようにして都民理解を促進していくのでしょうか、都の見解を伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、太陽光発電にこだわることなく、あらゆる分野で再生可能エネルギーの利用拡大も図っていくことも重要です。エネルギーの安定供給の観点から、我が党はこれまで、繰り返し水素エネルギーの重要性と将来性を主張してきました。
 二〇五〇年にゼロエミッション社会の実現を目指す動きは国際的なコンセンサスとなっており、水素製造時にCO2を出さないグリーン水素への早期移行が重要です。
 しかし、国内におけるグリーン水素の製造は、現状ごく僅かで、到底、カーボンニュートラルに貢献する状況にはありません。真にカーボンニュートラルを実現するためには、グリーン水素の製造スピードを飛躍的に加速させる必要があります。
 そこで、エネルギーの大量消費地である都は、自ら民間事業者や全国の自治体を牽引する気概で、グリーン水素の製造や普及拡大に取り組んでいく必要があると考えますが、その見解を伺います。
 先月、都税調において報告が取りまとめられました。今年度の報告では、税制のグリーン化は税制改革の基本的視点に位置づけられております。気候変動問題に国境はなく、長期的な視点を持って国際社会が連帯を深めることが不可欠であり、都税調の報告にもこうした考え方が反映されています。
 東京都は、エネルギーの大消費地として、また、世界の大都市の責務として、直面する気候変動に対し、先頭に立って立ち向かわなくてはなりません。そのためには、あらゆる政策手段を駆使する必要があり、中でも税制は、人々の行動に影響を与える大切な手段の一つと考えます。
 そこで、税制も活用しながら、ゼロエミッション東京の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 最後に、環境確保条例の改正について一言述べさせていただきます。
 今定例会では、条例案と補正予算が同時提案されていますが、パネル義務化は令和七年開始で、補正予算案は今年度内三か月分の事業費です。そして、七年以降の全体規模、そして、事業総額、事業期間、事業効果など、全体像が不明のままです。
 知事は所信表明で、来年度予算を待つことなくとして、本定例会に提案している補正予算案にも必要な経費を盛り込んだと発言しています。しかし、都民理解の進み具合、事業者の対応など、本事業を取り巻く現状を勘案すれば、そこまで緊急性があるものとは思えません。
 補正予算とすることで、議案審議が委員会審議の一日だけになってしまいます。条例案についても同様で、本格化実施は令和七年です。来年三月の予算審議を待つことができない理由が判然としません。このことをまず今日は指摘しておきます。
 以上、都議会自民党は、都民の皆様をはじめ、国、区市町村、各種団体とも緊密に連携して、都民の命と仕事と暮らしを守るため、新型コロナウイルス対策と経済の再生、そして首都東京の持続的発展に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅野弘一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、原材料価格の高騰や円安などへの対応についてのお尋ねがございました。
 事業活動に必要な原材料等の高騰と円安によりまして、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした厳しい経営環境を乗り越え、将来に向け事業を継続し、その発展を実現できるよう効果の高い支援を速やかに展開することは必要です。
 中小企業を経営と金融の両面から下支えするため、省エネによりコストを抑えながら事業の展開を図る様々な工夫や設備の導入をサポートいたします。地域の金融機関とも連携し、融資制度の充実を進め、事業活動の命綱である資金繰りを万全の体制で支援をいたします。
 中小企業の加入する業界団体が共同で原材料を確保して仕入れのコストを抑える取組に助成を行います。また、製品の受注を受けた事業者が発注側と適正な取引を行うことができるよう、専門家が現場に赴き、きめ細かく助言をいたします。
 これらによりまして、事業運営の足元を固めた上で、より生産性の高い経営の実現を目指す会社には、最新のデジタル技術などを計画的に導入できるよう様々な知識やノウハウの提供に加え、経費の負担の軽減まで一貫した支援を検討いたします。
 こうした取組を通じまして、東京の経済の基盤である中小企業の振興を適切に進めてまいります。
 補正予算についてであります。
 円安や原材料価格の高騰により、消費者物価と企業物価の上昇率がいずれも歴史的な高水準を記録するなど、都民生活と事業者を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした中、深刻化する物価高騰の影響から都民生活と東京の経済を守り抜き、希望ある未来を切り開いていくため、今回の補正予算を編成し、対策の強化充実を図っております。
 具体的には、低所得世帯に対しまして、米や野菜などの国産農作物を活用した独自の支援を行うほか、国の対策も活用しまして、子供の安全対策を強化してまいります。また、円安を契機に事業者の国内回帰を後押しするなど、東京の稼ぐ力を高めてまいります。
 同時に、再エネ導入の早期の社会定着を促進し、脱炭素化に向けた歩みを加速化させてまいります。コロナ対策につきましては、インフルエンザとの同時流行を見据えた万全の備えを講じてまいります。
 補正予算に盛り込んだ施策を速やかに実行に移すことで、直面する危機を乗り越え、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 次に、福祉保健局の組織の在り方についてのお尋ねがございました。
 感染症の拡大防止に万全を期し、都民の皆様が安心して暮らす日常を取り戻す。これまでの闘いを通じて得られた英知を生かし、平時からの戦略的な備えを進め、東京の経済を再生、回復、充実の軌道に乗せていくことが重要であります。
 一方、様々な困難に支援を必要とする人の増加や、今後、二〇四〇年代に向けて深刻化するサービス提供の担い手の急減など、医療、福祉を取り巻く状況が大きく変化する中、高度化、多様化するニーズへの対応も求められております。
 こうした認識の下、健康危機管理を担う中核機能の強化や福祉サービスの多面的な展開など、将来を見据えた事業推進の加速化を図るため、福祉保健局を保健医療と福祉部門に独立させることといたしました。
 都民の命と健康を守り、将来世代に確かな安心を引き継ぐ保健医療、福祉施策の推進に向けまして、高い専門性と機動性を発揮できる新たな体制の検討を進めてまいります。
 次に、新型コロナとの共存に向けた医療提供体制でございます。
 都はこれまで、東京モデルとして構築してまいりました保健、医療提供体制の枠組みをさらに拡充をいたしまして、感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めるため、新たな行動制限は行わず、先手先手で必要なコロナ対策を講じております。
 この冬は、インフルエンザとの同時流行も念頭に、重症化リスクの高い高齢者等を確実に医療につなげるため、診療・検査医療機関の拡大、オンライン診療センターの開設などによりまして、外来医療体制の整備を図ってまいります。
 また、自宅で安心して療養できますよう、相談や困り事に二十四時間体制で応じる発熱相談センター及びうちさぽ東京の回線の増強や健康観察を行うフォローアップセンターの体制拡充によりまして、支援の強化を図ります。
 入院医療体制につきましては、通常医療とのバランスを踏まえながら必要な病床数を確保しつつ、高齢者等医療支援型施設を新たに四か所設置をいたしまして、要介護五の方々の受入れや救急要請への対応など、高齢者の受入れを一層強化いたします。
 こうした万全な医療提供体制の確保などによりまして、社会経済活動を止めることなく、コロナとの共存を図ってまいります。
 SusHi Tech Tokyoについてのお尋ねがございました。
 新型コロナ、気候危機、さらにはウクライナ情勢など世界はうねりの中にあって、時代は大きく転換しようとしております。
 世界が新時代へと移行しようとしているこの機に、東京の技術を世界に示し、日本のプレゼンスを向上させる必要があります。そこで、持続可能な社会の実現に向けまして、東京の高度な技術力、すなわちサステーナブル・ハイ・シティテックを戦略的に世界へ披瀝し、浸透させてまいります。
 これがSusHi Tech Tokyoであり、この考えの下、国内外のスタートアップが集うCity-Tech.Tokyo、東京発の都市ネットワークG-NETS首長級会議を来年二月の同時期に開催をいたします。
 この新たな国際展開を機に、各局で行います様々な取組も結集しまして、多彩なアイデアとテクノロジーによる都市課題の解決策を発信してまいります。
 そのためには、都議会の皆様方とも協力し、世界の最先端に触れ、知見を深め、多様化、高度化する都市課題に向き合う必要がございます。これまでの国際ネットワークも生かしまして、SusHi Tech Tokyoを通じ、持続可能な未来を切り開いてまいります。
 次に、スタートアップ戦略の推進についてであります。
 新たなイノベーションで、停滞する社会からのゲームチェンジを図り、経済成長と社会変革を生み出す。強い危機感と意思を持って、新たなスタートアップ戦略を策定いたしました。
 キーワードは、ボーングローバル、国内で成功してから世界を目指すのではなく、最初から世界を視野に挑戦をする。世界市場でのグローバルな競争に打ち勝つには、東京だけでなく、国などと連携したオールジャパンの取組が不可欠であります。
 国のスタートアップ育成五か年計画とも連動させまして、スタートアップの交流拠点づくりや効果的な支援、海外VCやアクセラレーターと連携したグローバルな資金供給の仕組みづくりに取り組みます。
 また、東京の強みである大学の集積を生かしまして、研究開発型の大学発スタートアップを生み出してまいります。
 大企業や経済団体を含めまして、スタートアップに関わる様々なプレーヤーと議論を重ねながら、ワンチームで戦略を展開する、そのことによりまして、世界一スタートアップフレンドリーな都市東京をつくり上げてまいります。
 次に、水際対策の緩和を踏まえた観光振興についてのお尋ねでございます。
 海外から東京を訪れる方を増やすため、水際対策が大幅に緩和されたことをきっかけに、円安のメリットも追い風にして、インバウンドの需要を確実に取り込み、観光産業の裾野の広さを十分に生かし、都内経済の活性化につなげることは重要でございます。
 世界に東京の多彩な魅力を幅広く発信しながら、海外からのお客様を快適に迎える環境を十分に整え、数々の観光資源をつくり、磨き上げる取組を速やかに進めていくことが大切です。
 東京の優れた魅力である伝統と革新の共存が変わらずに続いている様子を、海外メディアなどを通じ、正確に紹介をしてまいります。また、海外からの旅行者に良質なサービスを提供できる人材の育成や、旅館を改修し滞在の満足度を高める取組など後押しをしてまいります。
 欧米の主要都市のまち中に観光広告を掲出するほか、世界的な大規模イベントに出向き、PR活動も行います。外国人に人気のアニメを活用した観光の後押しや、伝統を感じる和室で日本文化を体験できる機会を設けるなどの取組を検討いたします。
 これらの取組を通じまして、インバウンドの誘致を効果的に進め、観光産業の活性化を図ります。
 次に、ものづくり企業の人材確保の支援についてであります。
 社会や経済のデジタル化により、産業構造の転換が着実に進む中、様々な事業活動の基礎となるものづくりの担い手の確保と育成は、東京の持続的な発展に必要であります。
 ものづくり人材を育て上げるため、職業能力開発センターにおきましては、製造業種の団体からのニーズを受け止め、現場での作業に不可欠な技能を丁寧に指導しております。こうした訓練の様子は、しごとセンターで、求職者に対し、きめ細かく伝える努力を重ねております。
 製品や部品を作り上げる楽しさを求職者の方に確実に伝えて、そうした技能を訓練により習得できるよう働きかける取組は一層重要となります。
 また、職業訓練でスキルを身につけて、ものづくり企業で働くことの魅力について、しごとセンターを通じ、より効果的に伝える仕組みづくりも大切です。
 今後は、職業能力開発センターで、見学や体験により訓練の様子に触れ、ものづくりの担い手を目指すきっかけを増やす工夫を進めるとともに、そうした機会をしごとセンターが着実に提供することができますよう、一体的な支援の取組を検討してまいります。
 次に、地下鉄ネットワークについてであります。
 東京の地下鉄ネットワークは、首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、国際的な都市間競争を勝ち抜き、持続可能な東京を実現するためには、そのさらなる充実が不可欠であります。
 地下鉄八号線及び品川地下鉄につきましては、本年三月、東京メトロが鉄道事業許可を取得し、都といたしましては、都市計画等の手続を着実に進めております。
 都心部・臨海地域地下鉄につきましては、国の参画も得た事業計画検討会におきまして、先月、事業計画案を取りまとめ、これを基に計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するなど、この路線の早期事業化に向けました取組を加速してまいります。
 これらの路線の実現によりまして、地下鉄ネットワークをさらに充実をさせ、例えば、六本木から僅か九分で品川までアクセスできるなど都民の利便性を飛躍的に向上させるとともに、世界から人と投資を呼び込み、東京の持続的な発展、ひいては日本全体の成長を牽引してまいります。
 次に、都市強靱化プロジェクトにつきましてであります。
 これまで東京は、自然災害に度々襲われており、今後、気候変動の影響で激甚化する風水害や、首都直下地震、大規模な火山噴火などがいつ起きてもおかしくない状況です。
 これら様々な危機に直面する中にありましても、都民の命を守り、首都東京の機能や経済活動を維持するためには、災害に対して、国や他自治体、事業者と連携しながら、中長期的な視点で不断に備えを講じておくことが重要であります。
 こうした考えの下、年内に策定いたしますこのプロジェクトにおきましては、風水害や地震などの危機ごとに、都が目指す到達点を示した上で、全庁共通の前提条件に基づきましてレベルアップする施策や、総事業規模など、二〇四〇年代までの取組の全体像を提示いたします。
 来年は関東大震災から百年を迎える、この節目の年に当たりまして始動するこのプロジェクトを強力に推し進め、スピードアップを図ることによりまして、ハード、ソフト両面で取組を強化し、都民が安心できる強靱な東京を築き上げてまいります。
 次に、少子化対策でございます。
 次の世代を担う子供たちの存在は、未来への希望そのものでございます。コロナ禍により少子化の進行に拍車がかかった我が国、そして東京における状況は、極めて危機的であると認識しております。
 都はこれまでも、子育て世帯に寄り添い、妊娠、出産、子育てなど、それぞれのステージを切れ目なく応援する様々な政策を実施してまいりました。また、女性も男性も活躍できる社会の実現に向けまして、ライフ・ワーク・バランス、働き方改革、育業取得促進等の取組を推進してまいります。
 少子化は、未婚化、晩婚化の進行、子育てに多くの費用がかかること、育児と仕事の両立の難しさなど、様々な要因が絡み合った構造的な問題です。
 望む人誰もが子供を産み育てやすい社会を実現するため、少子化に歯止めをかけられるよう、対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、障害のある子供の海外での学びについてであります。
 子供たちが、障害の有無にかかわらず、将来への希望を持って、自らの可能性を広げられるよう、様々な人々と関わり合いながら、体験的に学ぶ機会を創出することが重要であります。
 障害のある子供たちが、海外に赴き、現地の人々と交流しながら異なる文化に触れる体験を通じて、豊かな国際感覚を身につけ、共生社会を実現する人材を育んでまいります。
 次に、東京二十三区の大学における定員抑制への対応についてであります。
 熾烈な国際競争が繰り広げられる中、大学は、知の拠点として、次代を担う人材の育成やイノベーションの創出に極めて重要な役割を担っています。世界で戦い、貢献する人材を輩出していかなければ、人こそ資源の我が国の国力そのものの低下につながりかねません。
 こうした中、本規制は大きな足かせとなるものであり、これまで都は、国に対して繰り返し早期撤廃を訴えてまいりました。
 今般、法の中間見直しが行われる機会を捉え、本規制の早期撤廃に向けまして、デジタル分野などの先端分野につきましては、先行して規制の対象から外すよう、国へ緊急要望を行っております。お話の国会における質疑とも、同様の問題認識を持っているものでございます。
 世界は、社会の潮流に応じた人材を見極めて育成しています。今後も、区長会や教育関係者、経済団体等とも連携しながら、様々な機会を捉えて、日本の持続的な発展の妨げとなる本規制の早期撤廃を強く訴えてまいります。
 太陽光発電の設置義務化の意義などについてのお尋ねであります。
 先月のCOP27におきましては、直面する気候危機に対しまして、各国首脳や大都市の首長と対策強化の必要性を共有して、無駄にできる時間は少しもないと改めて認識をいたしました。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けましては、従来の発想の延長線上にとどまらない実効性のある政策を迅速かつ果敢に進めていく必要がございます。
 こうした決意の下、建物が集積する東京の屋根を最大限活用し、大手住宅供給事業者等に新築住宅への太陽光パネルの設置などを義務づける全国初の条例改正案を提出いたしております。
 この義務づけを行うことによりまして、現在は事業者の取組状況が様々である中にありましても、今後、多くの事業者が太陽光パネル設置の標準化を進め、魅力ある商品ラインナップの拡充を一層加速化することで、都民が環境性能の高い住宅を当たり前に取得できる環境を整備いたします。
 こうした取組を進めることで、波及効果なども含めますと、都内の住宅に二〇三〇年までに新たに百万キロワット程度の導入が期待できます。この発電量は家庭部門の電力消費量の約六%に相当いたしまして、そのCO2削減効果は二〇三〇年カーボンハーフの実現に必要な家庭部門の削減量の約五%に貢献をいたします。
 今回の取組や都有施設への太陽光パネルの設置加速化、さらには、集合住宅の環境性能の向上、多様な再生可能エネルギーの導入など、あらゆる施策を複合的、重層的に講じることで、二〇三〇年カーボンハーフの実現につなげてまいります。
 次に、サプライチェーンでの人権の尊重についてであります。
 持続可能な社会の実現に向けましては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することが重要であります。
 都はこれまで、業界団体である太陽光発電協会と協議を重ねまして、パネルメーカーの取組状況等を把握するとともに、人権配慮に関するさらなる対応を求めてまいりました。こうした働きかけによりまして、本年十月、同協会と会員企業は、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努める旨を宣言しておられます。
 加えて、先般、都は、太陽光パネル等の普及拡大や人権尊重に関する取組をさらに促進していくため、同協会との間で連携協定を締結いたしました。
 今後は、本協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築に関する取組や人権尊重等のSDGsに配慮した事業活動の促進に関する取組などを実施いたします。
 年明け後には、事業者説明会におきまして、新たに人権尊重に関する研修を開催するほか、太陽光パネルメーカー等との継続的な意見交換等を通じまして、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 人権問題がグローバルなサプライチェーンでの課題であるとの認識の下、都と業界団体が協働し、SDGsを尊重した企業の事業活動を促進してまいります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けました税制の活用についてのお尋ねです。
 気候危機への対応は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現は急務であります。
 脱炭素化を加速させるためには、様々な政策手法を組み合わせて取り組むことが重要であり、税制の活用も有効な手段の一つであると認識をいたしております。
 都はこれまで、税制面からの取組として、ZEV導入促進税制や太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制など、都独自の税制措置を講じてまいりました。
 また、東京都税制調査会では、税制の一つの基軸に環境を据え、今般、カーボンプライシングの取組の推進や住宅の脱炭素化促進のための税制などにつきまして力強い提言をいただきました。
 今後とも、都独自の税制措置を効果的に活用しながら、都税調からの提言も踏まえまして、国への積極的な働きかけを行うなど、税制のグリーン化を推進していくとともに、都民や事業者など様々な主体と力を合わせて、ゼロエミッション東京の実現に取り組んでまいります。
 その他の質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村のデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございますが、九月に新団体、GovTech東京の設立構想を発表後、区市町村CIOの皆さんと直接の意見交換を行うとともに、デジタル人材のシェアリングやシステムの共同調達や開発などの新たな枠組みの構築に向け、実務的な検討を進めております。
 区市町村が直面している主要二十業務の標準化、共通化については、自治体間で課題や進捗状況も様々なことから、練馬区や瑞穂町への伴走型支援を通じて、システム規模が大きく複雑な区部や対応職員に限りがある町村部など、それぞれに特有の課題の把握を進めております。
 また、税務、福祉等の行政分野に応じて課題を深掘りするため、新たに区市町村と都の所管局が参画するワーキングチームを設置し、デジタルサービス局の専門人材と共に、業務とシステムの両面からの検証を進め、その成果をほかの自治体にも横展開してまいります。
 こうした取組をGovTech東京の立ち上げを契機にさらに強化し、人材、調達、システムなどの共通化、共同化に精力的に取り組むことで、東京全体のデジタルトランスフォーメーションを推進していきたいと考えております。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校の施設開放についてでございますが、特別支援学校は、障害者に配慮した体育館やグラウンド等の体育施設が整備されているため、障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が身近な地域でスポーツ活動を行う上で有用な施設でございます。
 都教育委員会では、障害のある方等のスポーツ活動に資するよう、各学校において、トイレや倉庫の位置など、学校施設を使いやすくするなどの配慮も行い、体育施設を開放しております。
 引き続き、生活文化スポーツ局と連携し、学校の施設開放にさらに取り組んでまいります。
 次に、eスポーツに取り組む生徒に対する支援でございますが、eスポーツを含む全ての部活動において、生徒が用具等が確保された中で、適切な指導を受けながら活動できるようにすることが重要でございます。
 都教育委員会は、都立高校等の部活動に対して、施設や用具等の環境整備を行うほか、専門的な技術指導などを行う部活動指導員等の外部人材の配置を促進しております。
 eスポーツなど新たな部活動についても、学校から申請があった場合には、指導員の配置など適切に対応し、生徒が意欲的に活動できるよう、学校の取組を支援してまいります。
 次に、都立高校における次代を担う人材育成についてでございますが、都立高校においては、大学進学に向けた学習に加え、生徒が卒業後の実社会で様々な課題を解決するための実践的なスキルの習得を支援していくことが重要でございます。
 このため、今後、都教育委員会では、進学や就職など進路が多様な普通科高校において、民間の教育機関等と連携し、基礎的なデジタルスキルや使える英語力、多様な業界の職場体験を通じたコミュニケーションスキル等を習得するための新たな支援を検討してまいります。
 こうした民間の教育機関等との連携をさらに進め、教員の指導力やノウハウの向上とともに、生徒が自ら未来を切り開くための力の育成を図ることで、選ばれる都立高校を目指してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 年末年始の発熱外来の確保に関するご質問にお答えいたします。
 都はこれまで、年末年始やお盆などに診療等を実施する診療・検査医療機関や保険薬局に協力金を支給し、発熱外来が手薄となる期間の体制を強化してまいりました。例年、一月四日以降の平日も休診が多いことから、今年の冬は、協力金の対象期間を正月明け三連休の一月九日まで延長いたします。
 小児につきましては、小児科を標榜する全ての医療機関で発熱患者を診療していただけるよう謝金の対象を拡大するなど、受診機関の確保に向け、働きかけを強めております。
 また、臨時オンライン発熱診療センターの活用や、リスクが低く症状の軽い方には、陽性者登録センターへの登録を働きかけ、発熱外来の負担を軽減いたします。
 こうした取組により、年末年始に必要な方が適切に医療を受けられるよう体制を整えてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業のデジタル化の後押しについてでございますが、様々な業種の中小企業が、事業の現場でデジタル技術を効果的に導入する取組をサポートすることは重要でございます。
 このため、都は、ものづくりの中小企業が、AIやロボット等の技術を活用し、新しい製品を生み出すために必要となる設備の導入への助成を行ってまいりました。また、サービス業の会社が生産性を高めるため、専門家から助言を受け、最先端のデジタル機器を導入する場合の経費への助成も実施をしております。
 今後は、社内での事務手続などをデジタル化する取組への支援につきまして、現在の規模や制度を充実し、幅広い業種の事業者が活用できるよう検討いたします。こうした取組によりまして、中小企業のデジタル化を後押ししてまいります。
 次に、非正規雇用の方への支援についてでございますが、非正規で働く方が、今後の成長が期待できるデジタル産業などで力を発揮することができるよう、その就職やスキルの向上を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、厳しい雇用環境の中でも、採用意欲の高いITや人材不足が続く介護等の企業の求人を開拓し、そうした会社に求職者が派遣で働き、正社員を目指す取組を支援してまいりました。また、中小企業が、非正規で働く社員にデジタルスキルを学ぶ機会を提供する場合の経費について、その一部に助成をしております。
 今後、非正規雇用の方の正社員化に向け、IT分野に加えGX関連の会社とのマッチングや、デジタルの基礎を学び再就職を目指す女性への支援のほか、人材育成を進める中小企業へのサポートの拡充を検討いたします。
 次に、ものづくりに関する能力開発についてでございますが、東京のものづくりの担い手が、経済のデジタル化などによる産業構造の転換に対応し、新たな技能を習得できるよう支援することは重要でございます。
 これまで都は、職業能力開発センター等におきまして、業界団体のニーズを踏まえて、科目の見直しを行いながら、製造現場で必要となる加工などの作業や様々な機器類の操作方法を学ぶことができるよう、施設や設備の更新を図ってまいりました。これによりまして、中小企業の従業員に対しても、新たな技能習得に向けた能力開発の機会を提供しております。
 今後は、工場で最先端のIT技術により様々な生産をより効率的に進める知識やノウハウを身につけることができるよう、引き続き、能力開発センターの施設や設備の更新と訓練の充実を検討し、製造業を後押ししてまいります。
 次に、中小企業の技術を高めるための支援についてでございますが、中小企業が経営力の向上を図るため、技術に係る研究を進め、その製品化を行うとともに、産業面の最新の動向に柔軟に対応をすることが重要でございます。
 このため、都の産業技術研究センターでは、中小企業と共に様々な技術を開発する効果的な研究を行うほか、試作品の開発から製品化までを一貫して支援しております。
 また、最先端のデジタルやヘルスケアの技術や海外でも通用する技術力を確保できるよう、サポート体制を整えております。
 今後は、環境保護に役立つ技術へのニーズの高まりを踏まえまして、廃棄物を再利用するための研究等に力を入れるほか、海外展開の促進に向け、国際規格への新たな対応を後押しする支援を検討いたします。
 これらによりまして、中小企業への技術支援を適切に進めてまいります。
 次に、中小企業の技術支援を担う人材の育成についてでございますが、中小企業への技術支援を効果的に進めるため、優れた知識や専門的なノウハウを持つ人材の育成や確保は重要でございます。
 産業技術研究センターでは、職員の能力をより一層高めるため、学術的な会議で研究成果を公表する後押しや大学等への派遣による研究活動を行っております。また、大学と協力し、マイクロプラスチックを減らす研究を行うほか、中小企業のロボット開発に加わることなどで、現場に即した知識を確保しております。さらに、最新のバイオ技術の分野等で専門的な知識を持つ外部人材を活用しております。
 今後は、職員の専門性と意欲をより一層高めるキャリア形成の仕組みを検討し、産技研で働くことの魅力を向上させることで、優れた人材の確保につなげてまいります。
 次に、生産緑地の貸借の後押しについてでございますが、東京の農業の維持と発展に向けて、市街地にある生産緑地の貸借を促進し、経営規模の拡大や新たな就農者の増加につなげることは重要でございます。
 これまで都は、農業者に対し、地元の農業委員会によりまして、生産緑地の貸借が可能となる仕組みを紹介してまいりました。また、農業委員会が生産緑地の貸借を円滑にまとめることができるよう、農業会議を通じ、サポートを行ってきたところでございます。
 今後は、生産緑地の貸借を一層増やすため、自治体の区域を超え、貸手と借手をマッチングする支援を検討いたします。また、生産緑地を長期にわたり貸し出す意欲を高める奨励制度を検討します。
 土地の貸出しを安心して行えるよう、農業委員会を通じて、農業者の相談にきめ細かく対応しながら、東京農業の振興を進めてまいります。
 最後に、グリーン水素の製造と普及拡大についてでございますが、東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーにより水素を幅広く生産し、活用する機運を高めることは重要でございます。
 これまで都は、グリーン水素の製造設備を工場の限られた敷地に導入する取組等を支援してまいりました。また、十月にはグリーン水素の製造などで実績のある山梨県と協定を結びまして、その生産や活用に向けた取組を進めることといたしました。
 今後、生産から活用まで一体的に行う事例の収集と情報発信にも力を入れ、民間の取組を促してまいります。また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い、より規模の大きい設備で生産する取組を検討いたします。
 これらによりまして、グリーン水素の普及拡大を先導してまいります。
   〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 市場の機能強化に向けた取組についてでございますが、東京の市場は、豊洲などの大規模な市場に加え、地域に密着した市場など全体で生鮮品等流通を担っており、施設の計画的な維持更新等により、各市場それぞれの特質を生かした役割を最大限発揮させることが重要でございます。
 そのため、まず、淀橋市場の拡張整備事業により老朽化対策や場内物流の効率化を進め、また、板橋市場におきましては、交通利便性を生かした機能強化に取り組むことで、市場内外のサプライチェーンの強化や品質衛生管理の高度化など、環境変化への着実な対応を図ってまいります。さらに、他の市場につきましても、施設の劣化度調査を踏まえながら、計画的な維持更新等を行ってまいります。
 今後、各市場の関係者と意見交換を重ねながら具体化を図り、都民生活を支える市場の役割を強化してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅における宅配ボックスの設置についてでございますが、宅配ボックスは、団地居住者や周辺住民の利便性の向上はもとより、配送事業者の再配達を削減し、環境負荷の低減や物流の効率化に資するものと考えております。
 このため、都は、令和二年度から二か所の都営住宅敷地に、複数の配送事業者の荷物の受け取り、発送が可能な、誰でも利用できるオープン型宅配ボックスを設置しております。
 設置当初に比べ認知度が向上し、取扱件数は大幅に増加しておりまして、こうした成果も踏まえながら、現在、地域のニーズや、最寄り駅からの距離など、設置場所に係る事業採算性確保の条件等につきまして、情報収集、分析を行っております。
 今後、宅配ボックスの設置拡大に向けた取組を推進いたしまして、都営住宅の敷地の有効活用を積極的に図ってまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害対応力の向上に向けた取組についてでございますが、大規模災害時には、各機関が収集する被害情報等を集約し、迅速かつ適切な災害対応を行うことが重要でございます。
 このため、都は昨年度、災害情報システムを再構築し、区市町村や関係機関と情報を迅速に共有する体制を確保いたしました。また、発災時には、職員の受入れや派遣を通じて、被害状況や関係機関の活動状況等を把握することで、的確に災害対応を行ってまいりました。
 現在、各機関が独自に収集している情報をより効果的に共有する仕組みづくりを進めるとともに、AIを用いた被害予測など最新のデジタル技術も活用することで、災害対応力を強化してまいります。
 デジタルの力を活用し、各機関の情報連携を深めることで、都民の安心・安全を確保してまいります。
 次に、防災力向上に向けた区市町村の取組支援についてでございますが、発災時の被害を軽減させるためには、日頃からの備えと発災直後の迅速な対応が重要でございまして、それを担う住民の自助、共助の取組が不可欠でございます。
 このため、都は、区市町村が実施する好事例を横展開するとともに、防災リーダーを育成し地域での活用を促すなど、区市町村が行う自助、共助を促進する取組を支援してまいりました。
 今後、自助、共助への理解を深める普及啓発や出火防止対策等、地域によって異なる課題やニーズにきめ細かく対応するため、区市町村から地域の実情を伺いながら、自助、共助が促進されるよう支援策を検討してまいります。
 区市町村と連携し、地域の特性に応じた取組を進めることで、東京全体の災害対応力を一層向上させてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、地域防災力の向上への取組についてでございますが、震災時における火災被害の軽減を図るには、地域防災力の要である消防団の活動はもとより、発災初期における地域住民や事業所従業員による消火活動が重要でございます。
 このため、東京消防庁では、防火防災訓練や自衛消防訓練を推進しているほか、特に今年度から二十一消防署に配置した災害対策調整担当課長が、区市町村との連携強化や木密地域等における防火防災訓練の促進に努めております。
 さらに、地域住民等による初期消火能力の向上のため、火災を疑似体験し、消火訓練等ができる資機材の導入や、地震による火災を想定した事業所用訓練動画の作成を検討しております。
 今後とも、セーフシティの実現に向け、地域防災力のさらなる向上に努めてまいります。
 次に、水災等への対応力の強化についてでございますが、東京消防庁ではこれまで、水災等の大規模災害が発生した際の被害を最小限に抑えるため、即応対処部隊を発隊させたほか、出水期を前に実戦的な水防訓練を実施し、警視庁、区市町村等の関係機関や地域住民との連携を強化してまいりました。
 また、東京二〇二〇大会の競技会場のカヌー・スラロームセンターを新たな訓練場所として活用し、流水河川等の急流環境下における救助や消防ヘリコプターからのホイスト降下による水没地域での救出など、実災害に即した様々な環境下での訓練の実施を検討しております。
 今後は、こうした訓練においても、警視庁、区市町村等の関係機関や地域住民との連携をさらに強化し、地域一丸となった災害対応力の向上に努めてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) 官民共創によるデジタルサービスについてでございますが、都民満足度の高いサービスを生み出すためには、民間の知恵や新たな発想を生かしていくことが重要でございます。
 都は昨年度から、オープンデータを活用して新たなサービスを創出するハッカソンを開催し、自治体のデータを基に、AIによるごみ分別や、ランチ難民と移動販売車のマッチングなどのサービスが実装されました。
 こうした民間発想のサービスが都内全体で展開されるよう、データの整備、公開に関する区市町村への技術サポートを開始いたしました。
 また、今月、都や区市町村の職員と民間エンジニアが地域課題に取り組むワークショップを開催するなどによりまして、職員の意識改革を図ってまいります。
 これらの取組を通じて官民共創の意識を高め、都民が利便性を実感できるサービスを数多く生み出してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) こども未来アクションについてでございますが、子供政策の加速に向けた論点整理では、子供を客体ではなく主体として捉えていくことを基本スタンスとしております。この子供政策の基本スタンスを象徴する取組といたしまして、こども未来アクションの策定に当たりましては、子供との対話を実践しながら取りまとめを行ってまいります。
 具体的には、ボール遊びをする場所が少ないといった意見をはじめ、子供たちの様々な思いをヒアリング等により把握し、それらが策定内容にどのように反映されたのか、今後、分かりやすく見える化をしてまいります。
 また、策定後も、こども未来アクションを題材といたしまして、子供食堂をはじめとした地域の居場所における子供との対話等を実践し、子供の意見を政策に反映させるなど、継続的に子供目線に立った取組を推進してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ひきこもりの方の社会参加の場についてでございますが、ひきこもりの方への支援に当たりましては、当事者の年齢を問わず、人と人とのつながり等を通じて、生きる意欲を高め、社会とつながる機会を増やすことが重要でございます。
 都は、都と区市町村による支援推進会議を設置し、区市町村における居場所づくりや、対象者の年齢を問わない相談支援の事例などを共有してございます。
 また、中高年層を含めた当事者やその家族が、活動の場など多様な地域資源を活用できるよう、現在、学識経験者や当事者団体等で構成する支援協議会の部会で、ひきこもり支援プログラムの改定に向け検討してございます。
 こうした取組を通じて、今後、中高年層を含む全ての世代を対象とした多様な社会参加の場の充実に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の児童相談所についてでございますが、昨年七月に公布された政令等により、管轄人口が百万人を超える児童相談所は管轄区域の見直しが求められており、都は、多摩地域における見直しに向けて、今年度、今後三十年の人口推計や現在の各児童相談所から市町村までの移動時間を調査いたしました。
 その結果、三十年後も管轄人口が百万人を超える区域が二つあり、児童相談所から市役所、町村役場までの所要時間が四十分を超える自治体が十ございました。
 この調査結果等を踏まえ、新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し素案を作成し、市町村の意見を集約した上で、計画案として取りまとめ、年度末をめどに決定をいたします。新設する場合は、来年度以降、設置場所等を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者のスポーツ環境の整備についてでございますが、障害者のスポーツ活動の充実に向けては、身近な地域における場の確保や支える人材の育成が不可欠でございます。
 そのため、都はこれまで、区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化や特別支援学校の体育施設の活用等を実施してまいりました。加えて、現在、パラスポーツの競技力向上と普及振興の場を味の素スタジアム内に整備しております。また、知識や指導力を持つ人材やボランティアの育成に向け、障害特性に応じた支援方法の講習会などを実施しております。
 今後は、こうした取組に加え、福祉施設への指導者派遣等により、行き慣れた場所でスポーツを楽しめる仕組みや区市町村の施設整備への支援の充実などを検討してまいります。
 次に、障害者が行うスポーツの普及についてでございます。
 障害者が、種別や程度、目的に応じて楽しめるよう幅広くスポーツの普及を図ることは重要でございます。
 都はこれまで、特別支援学校を活用した体験教室や世界を目指す選手を発掘する事業等において、パラリンピック競技を含め、知的障害者や聴覚障害者等のスポーツを体験する場を提供してまいりました。また、精神障害や視覚障害の方が多く取り組む競技スポーツなど、幅広いスポーツの情報を専用サイトで発信しております。
 今後、障害特性に応じて一人一人に合った種目を選択できる機会の充実を図るなど、多様なスポーツの普及に努めてまいります。
 次に、地域の芸術文化活動に対する支援についてでございますが、身近な地域における芸術文化活動の活性化は、都民が気軽に芸術文化に触れ、参加しやすくなる点からも重要であり、地域のにぎわいの創出にもつながるものでございます。
 これまでは、例えば、地域の芸術文化を支援する助成事業の対象をおはやしなど無形民俗文化財等に限定しておりましたが、歴史的建造物など地域の有形文化財を活用したイベントも対象とするなど、支援の枠組みの拡充を検討してまいります。
 また、今年度立ち上げた区市町村とのネットワーク会議での議論を踏まえ、区市町村職員に企画や事業運営のノウハウを伝える講座の開催や都立文化施設が企画した演劇などの公演を区市町村と共同し、身近なホールで実施するなど、事業での連携も強化してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電設備義務化への理解促進についてでございますが、新制度の円滑な導入に向けましては、都民の理解と納得が不可欠でございます。
 条例案で設定しております制度開始までの二年余りの期間につきましては、事業者には取組の準備期間として、都民には経済性、防災性、快適性等の理解を深めていただく極めて重要な期間と考えてございまして、都はこの間に、集中的、重層的な取組を推進してまいります。
 まず、本制度の意義や効果等について、戦略広報部門と連携し、年代別等ターゲットに応じた媒体によりまして、きめ細かな広報を行ってまいります。
 また、補正予算案でセミナー経費等を計上するほか、事業者支援を通じまして、住まい手等に対する環境性能の説明スキル向上を図ってまいります。
 さらに、ワンストップ窓口の設置やイベント等の機会を捉えた個別相談を実施するなど、都民に寄り添った対応を行ってまいります。
 これらによりまして、太陽光パネルの標準設置機運を醸成してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

   午後三時開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十八番後藤なみさん
   〔百十八番後藤なみ君登壇〕

○百十八番(後藤なみ君) 令和四年第四回定例会に当たりまして、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、教育長、関係局長に質問をいたします。
 日本が失われた三十年から長く続くトンネルを抜け出し、飛躍を遂げるために必要なものは、いうまでもなく未来への投資です。
 国においても、出産、子育てやスタートアップへの支援が議論されるようになったことは評価をするものですが、現状、スタートアップ等、新産業への投資額対GDP比はG7で最低レベル、子育て関連支出の対GDP比は欧州の約半分、そして、教育費に対する公的支出はOECD加盟国最低レベルとなっており、掲げる目標に対して実態が十分でないといわざるを得ません。
 失われた四十年の入り口から脱却し、状況を打破するためには、成長のエンジンとなる人や新しい産業への投資へ大きくかじを切り、制度を抜本的に変えていく、まさに東京大改革への取組が必要不可欠であります。
 私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定して、都政のパラダイムシフトを促し、東京から日本の抱える課題解決にもつながる政策を提案、実行していくことをお誓いし、質疑に入ります。
 長引くコロナの影響や物価高騰等に対して、都民生活や事業者を後押しする取組が引き続き必要です。加えて、中長期の目線では、ポストコロナを見据えた産業や企業の構造転換、人への投資や賃金の向上につながる官民での取組、また、電力の国内自給や災害対応も見据えた再生エネルギーの利活用を加速していかなければなりません。
 本定例会に上程された補正予算をもって、長期化するコロナ対応や物価高騰に対処するとともに、中長期の目線で産業構造の転換や脱炭素の取組を加速していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症に関して、週平均の感染者数が一万人を超え、徐々に感染者数が増加をしており、社会経済活動を維持しながらも、年末年始に向けた警戒が求められています。
 高齢者などハイリスク層への対応の拡充、ワクチンの追加接種が迅速に行える体制、また、診療、相談や陽性者登録など、医療や支援の提供体制の増強が必要です。
 第八波に向けて、変異株の状況も注視しながら、感染の急拡大や患者が急増する場合などの医療逼迫に備え、医療提供体制など総合的な対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第八波に備えて検査体制も重要です。これまで各地の検査センターで検査ができるほか、都として、濃厚接触者や発熱等の症状がある人を対象に無償で検査キットを郵送配布していましたが、これまでの検査キットの郵送配布では、到着が翌日か翌々日となり、即日検査をすることができませんでした。
 無料の検査キット配布について、感染の早期確認とともに、感染拡大期の相談センターや医療機関への負担軽減の観点から、検査キット配布の迅速化や家庭での備蓄を促進するなどの運用を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、国は、先般ようやく重い腰を上げて、感染症法上の位置づけについて見直しの検討を始める旨を公表しましたが、都は、こうした議論を国任せにせず、三年間に及ぶ現場での経験を踏まえて、意見をしっかり伝えて反映させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 今定例会には、環境確保条例案が上程されています。私たちはかねてより、新築住宅等への太陽光パネルの設置について、設置の義務化と支援策をセットで進めるべきと求めてきました。そうした求めに応じ、初期費用や更新費用への補助などの支援策が今回補正予算にも組み込まれ、前回定例会で指摘した、条例の義務化対象となっていない中小メーカーや工務店にもインセンティブを設ける仕組みを新たに講じたことを評価いたします。
 改めて、二〇三〇年カーボンハーフとその後の脱炭素社会の実現に向けて、条例改正による制度創設の意義と支援策の強化について、知事の見解を伺います。
 太陽光パネルの生産において、部品となるシリコンの生産が現在は中国に集中していることから、特に新疆ウイグル自治区における人権問題への対応が懸念されています。
 政府も本年九月に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを公表していますが、太陽光パネルを含め、都内企業のビジネス展開に当たっては、人権課題への対応が重要性を増しており、都としても後押しが必要だと考えます。
 今後、都内企業のサプライチェーンにおける人権課題への対応強化を後押しするとともに、国産技術であり、折り曲げやすく、柔軟性や軽量化の実現にもつながるペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた支援も行うべきと考えますが、見解を伺います。
 東京オリ・パラ大会をめぐっては、組織委員会元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で起訴されたことに加え、テスト大会に関する談合疑惑に対しても捜査が進展しています。組織委員会と大手広告会社が受注調整を主導し、テスト大会の落札企業が本大会の運営業務についても事実上一体的に請け負う形となっていたとされ、その場合の関連金額は数百億円に上るとされています。
 そうした状況を受けて、先日、潮田副知事をトップとした調査チームが設置をされました。組織委員会に派遣された都庁職員からの聞き取りや書類の調査、清算法人においても調査を行うとのことであり、改めて清算法人や組織委員会の元幹部、元職員も含め、徹底した調査を求めます。
 一方、清算法人は、清算関連業務が終わり次第、清算結了することとなっていますが、このような問題を抱えたまま清算結了することは、都民の理解を到底得ることはできないと考えます。
 テストイベントを担った大会運営局へ派遣された都庁職員の数と今後の調査方針を確認するとともに、談合疑惑が解明するまで清算法人が清算結了しないよう対応することや、仮に官製談合に広告会社が関わっていた場合は、都の入札参加に制限をかけるなどの対応が必要と考えますが、調査体制のリーダーである潮田副知事に併せて見解を伺います。
 私たちはかねてより、組織委員会のガバナンスに関して様々な問題を指摘してまいりました。にもかかわらず、このような事態が生じていることは極めて遺憾といわざるを得ません。今後の捜査の状況に応じ、高橋理事の任命経緯や、発注等に関わる組織の意思決定や監督責任に瑕疵がなかったのか、あらゆる手段を視野に、議会の責任を果たしていくべきと指摘をしておきます。
 私たちがかねてより求めてきたデフリンピックが、二〇二五年に東京で開催をされる予定となっています。また、世界陸上も同年に東京で開催されることとなり、二つの大会では、東京二〇二〇大会を契機に醸成された都民のスポーツやボランティアへの関心、共生社会の実現に向けた取組などをさらに磨きをかけていくべきだと考えます。
 一方で、国際的な大会を再び開催していくに当たり、さきに取り上げた二〇二〇大会に関わる談合疑惑は暗い影を落としています。二〇二〇大会においては、かねてより、組織委員会の意思決定が不透明であることや情報開示が不十分であること、都負担があるにもかかわらず、東京都がグリップを利かせられないなど、組織の立てつけに問題がありました。
 二〇二五年デフリンピック大会開催に向け、立ち上げ段階からしっかりとコンプライアンスを確保できる体制を整え、大会準備を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災とまちづくりに関して伺います。
 関東大震災発生から、来年で百年の節目を迎えます。私たちはこれまでも新たな課題に対応し、例えば、タワーマンションの停電対策などのマンション防災や、発災時に共助の要となるコミュニティの強化を提案してまいりました。
 コミュニティに関しては、町会、自治会への防災グッズの配布事業などに取り組んできましたが、町会、自治会や商店街などの加入率低下を踏まえ、これらに加入していない人たちを巻き込む実効性のある対策が必要であると考えます。
 都が今後策定する都市強靱化プロジェクトでは、こうした課題に対応するなど、ハード、ソフト両面で備える視点が必要です。
 迫り来る危機に対して、発災後も都民生活への影響を最小限に抑えることができる強靱な東京を実現するため、新たな課題への対応も含め、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 先般、築地市場跡地再開発の事業者公募が公表されました。かねてより私たちは、築地市場跡地は単純な売却をするのではなく、都心、築地、臨海部を結び、さらにはつくばエクスプレスや羽田空港へも接続することが可能な鉄道網、都心部・臨海地域地下鉄構想を前進させるなどのインフラ整備と併せて付加価値を最大化することで、東京の魅力を牽引する都市開発となるよう求めてまいりました。
 都は、優先整備するとした六路線に加えて、この臨海地下鉄の事業性の検討を国と共に進め、今般十一月末の検討会で事業計画案を策定、公表するに至ったことを高く評価いたします。これは、平成二十八年当時、国の交通政策審議会の答申では熟度が低いとされていたところから、大きな進展を得たものです。
 この臨海地下鉄、都心部・臨海地域地下鉄を整備するに当たっては、その事業効果を最大化するため、東京まで延伸が計画されているつくばエクスプレスに接続し、都心部やベイエリアを経由し、りんかい線から羽田空港へ直通させるよう整備を進めるべきです。そうした可能性も見据えた上で、東京有明ビッグサイトまでの区間について、一日も早い実現に向けて検討を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、築地市場跡地再開発では、利便性と魅力の高い交通結節点の整備など、双方の価値を高めるよう進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 神宮外苑の再開発では、緑の総量が増加し、そのエリアが育んできた様々な価値が適切に継承されるように取り組むこと、また、創建時の趣旨を踏まえて、都民の共感を得ながら将来につなげていく取組を行っていくことが重要であると私たちは主張してまいりました。これを踏まえ、都は、本年五月に事業者に対して、幅広い都民参画の取組や既存樹木の保全などについて要請を行いました。
 事業者においては、この要請を受け、既存樹木の一層の伐採回避などの見直しを行いましたが、伐採本数を削減するだけではなく、都民の共感と参画を得て新たな植樹も行い、次の百年に向け、みんなで育てていく取組こそが創建の趣旨にかなうと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、多摩地域振興について伺います。
 小池都知事の就任後、国際競争力に資する鉄道ネットワークとして、六路線及び臨海地下鉄構想を大きく前進させてきたことを高く評価します。
 一方で、多摩地域の鉄道網については、さらなる強化が必要です。特に、多くの多摩地域においては空港へのアクセスが悪く、所要時間が一時間以上、三回以上の乗換えを要するエリアがほとんどであり、今後、多摩地域に住む都民の利便性を高め、競争力をさらに高める上で、空港、特に羽田空港へのアクセス向上は必要不可欠であります。
 既存の鉄道インフラを活用し、武蔵野南線の貨物路線がつながっている府中本町から鶴見間と、その先の貨物路線を旅客利用することで、多摩地域の多くの地域から羽田空港にダイレクトに接続することが可能になりますが、これらを長期的な東京、特に多摩地域の競争力を高める路線と位置づけ、国や神奈川県内の自治体とも協議し、推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 それ以外にも、南武線の南武支線である浜川崎を通じて羽田空港に直結する路線についても検討を求めます。また、空港アクセス線の整備に併せて、普通列車も含めて中央線の羽田直通運転が認められるようJRとの調整も求めておきます。
 子育ての負担軽減は重要であり、来年度から高校生世代に対しても医療費助成を拡充することを評価しています。
 このような中で、二十三区では足並みをそろえて、所得制限や一部の自己負担をなくすことで高校生まで無償化する方針を表明していますが、財政力の弱い自治体、特に二十三区と多摩地域との差がさらに明確になることは望ましくありません。
 都では、高校生等まで医療費助成を拡充するに当たり、今後、区市町村との間で協議していくとしていますが、その際、財源力の弱い自治体が取り残されることのないよう、特に配慮して対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 区市町村に対する都の各種支援策は重要ですが、医療費助成に限らず、一定割合を自治体が負担する取組がほとんどであり、多摩地域を中心に、財政力の弱い自治体は自己負担する財政余力がないために、むしろ都の支援策を利用できないという逆転現象が様々な分野で起きています。
 そうした支援策の逆転現象を緩和する上でも、市町村総合交付金の役割は極めて重要です。来年度は、多摩地域が東京都に移管されてから百三十年を迎えますが、改めて市町村総合交付金のさらなる拡充と鉄道等のインフラ整備加速など、多摩地域の様々な魅力を創出する事業の拡充を強く求めておきます。
 次に、前回定例会でも申し上げた未来への投資につながる我が会派の重点領域について、順に取り上げてまいります。
 まずは、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策についてです。海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップ企業や日本の豊かな文化を支えるプレーヤーなど、これからの東京を支えていく人と、基盤となるデジタルに対する投資を加速していかなければなりません。
 特に、スタートアップは成長のドライバーであり、イノベーションの創出、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手となります。特に、気候変動対策、環境分野でクライメートテックが世界で注目を集めていますが、ゼロエミッションを掲げる東京こそが、アジアでナンバーワンの国際クライメートテックのハブ都市となるべきです。
 EVモビリティーはアメリカのテスラ、低炭素コンクリートはカナダのカーボンキュアテクノロジーズなどの外資系企業にビジネスの根幹を押さえられつつあり、スタンフォード大学がサステーナビリティー学部をつくるなどして、次世代の人材輩出環境も整い始めています。
 長期的な目線で、クライメートテックなどグリーン分野のスタートアップを積極的に育成、活用、協業することが必要であり、都の様々な事業や補助金について、例えば一定割合を優先的にスタートアップに振り向けるなど、ダイナミックな転換を起こす必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 我が会派のデジタル・スタートアップPTでは、スタートアップ等へのヒアリングを重ね、先日、網羅的な取組課題を記した要望書を提出いたしました。その要点は、スタートアップファーストに取り組むということです。
 都の入札要件において、スタートアップが不利になる条件を設けることがないよう、既存の入札要件を総点検し、徹底的にスタートアップファーストに見直しを図り、むしろ、特段の理由がない限り、スタートアップを優先するよう取り組むべきであると考えます。
 また、都庁各局所管の公有地、公有空間の活用や各局事業において、スタートアップが実施する新たなサービスの実現に協力し、後押ししていくことが重要です。
 スタートアップに対して、現場を提供し、実績を共につくり、各局の事業においてスタートアップを後押ししていくことが重要であり、各局の予算編成や人員配置において指針を示すなど、全庁を挙げて取り組むべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 私たちは、コロナ禍の雇用への影響に対応するため、東京版ニューディールとして雇用対策を提言し、都は、デジタル分野でのスキル獲得と就業支援をセットとした取組など、二万人規模の雇用対策を講じてきました。
 一方で、付加価値の高い分野への人材の流動化や産業のシフトが進んでいないことは、中長期の目線で大きな懸念となっています。成長分野であるデジタル、グリーン分野に人材をシフトさせ、東京、日本の国際競争力を高めていくことは不可欠です。雇用創出にとどまらず、人材の流動化やシフトを生み出す東京版グリーンニューディールを検討すべきであります。
 デジタルとグリーンを柱に、雇用対策としての東京版ニューディールに磨きをかけるとともに、特にリスキリングについては、再就職や正社員化等の視点だけでなく、大企業等の人材の活用も促し、転職や副業、兼業等を通じて成長分野に人材が供給される環境をつくるよう、企業と個人を大胆に支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、都内十三か所の職業能力開発センター等を有しており、建築や電気など様々な分野の職業訓練を実施していますが、昨今の企業ニーズを踏まえ、就職先で即戦力として活躍できるとともに、環境変化に強い人材を育成するための環境を整える必要があります。
 そこで、今後、DX、GXの動向を見据え、職業能力開発センターの施設、設備のバージョンアップを戦略的に行い、時代のニーズに応える人材を育成していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 中小企業のデジタル化、DXについては、そもそも本業が忙しく人手が足りない中で、社内で取り組む時間がなかったり、人員を研修に出す余裕がなく、目先の業務を優先させざるを得ずに推進できていないという場合も少なくありません。
 人手不足により、デジタル化に踏み込むことができない中小企業に対して、業務を遂行しながらデジタル化のノウハウを蓄積していくことができるよう、例えば支援員を派遣し、業務最適化を並走したり、社内教育体制のサポートを行うなど、労務負担を軽減しながらデジタル化を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタル化を推進する上でも、高齢者等がデジタル化に取り残されない環境をつくることは極めて重要です。そのため、私たちは、デジタルデバイド対策をかねてから提案してまいりました。特に、スマホサポーター事業を先行的に実施するなど、取組の前倒しを求め、都が、都内大学生を活用した相談会等を夏休み等を利用して早期に開催したことを評価します。
 今後、大学生等を活用したスマホサポーター制度を本格実施し、高齢者等もデジタルの恩恵を受けられるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 テクノロジーの力でバリアを超えていく社会の実現を目指し、インクルーシブテクノロジーとして、障害のある方の暮らしを支えるデジタルやテクノロジーの導入をあらゆる分野で検討するよう、さきの定例会で求め、知事からは、デフリンピック大会を絶好の機会としたいとの力強い答弁がありました。
 二〇二五年十一月の大会開催までの三年間、実装に向けた具体的な動きを迅速かつコミュニケーションだけでない様々な分野での取組として進めるべきだと考えます。
 国内外で既に研究や実装が進む様々なインクルーシブテクノロジーについて、東京都がハブとなり、障害のある方々や技術を持つ事業者等と連携して、実装に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 文化支援については、小規模な芸術文化団体等がコロナ禍で大きな影響を受けており、私たちはそうした団体等の行動を支える新規の支援策の創設をかねてより求めてまいりました。
 例えば、ライブハウスや小規模の劇団などは、独創的な作品を生み出すポテンシャルがあるものの、資金調達に困難な面があり、新たな公演の開催をちゅうちょするような不安定な環境に置かれています。
 コロナ禍を乗り越え、意欲を持った団体の活動が存続できるよう、ライブハウスや小規模の劇団など、中小規模の芸術文化団体等を支える新たな支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、芸術文化の業界においても、性別や年齢によるハラスメント等やフリーランスならではの課題があると聞いています。芸術文化をより一層振興していくためには、事業に対する支援だけではなく、担い手であるアーティスト等の活動環境についても支援していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 そして、二つ目の私たちが掲げる重点領域は医療、介護分野であります。
 少子高齢化が進む中でも、医療や介護の質を維持するために、私たちは生涯を通じた医療データ、いわゆるライフコースデータを医療、介護の関係者と共有していくべきだと考えています。
 コロナ禍により医療業界にもたらされた変革として、スマートフォンを使った往診や医師が自宅に行く往診など、新たなサービスとして拡大をしています。こうしたデジタルを活用した新しいサービスは、感染症対策において、対面の発熱外来の逼迫や、一般診療へのしわ寄せを軽減しただけでなく、地域包括ケアにおいても不可欠な二十四時間体制につながる取組であると考えます。
 医療分野における新しいサービスの導入が進むよう、ユーザーである都民の視点を取り入れて、医療提供体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、これらの新しいサービスは、切れ目なく在宅医療と介護が一体的に提供される体制への構築にもつながります。地域の病院、診療所に加え、往診も組み合わせた地域の医療、介護の環境整備に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 そして、三つ目の重点領域は、子供、子育て、教育の分野です。
 私たちはこれまで、待機児童対策の推進、そして不妊治療の助成、赤ちゃんファースト事業の提案など、子供を産み育てやすい東京の実現に向けた政策を推し進めてきましたが、コロナ禍における出生率のかつてない落ち込みに対し、取組の一層の加速が求められています。
 また、今までの延長線上にはない未来を生き抜く子供や若者のためには、学びをアップデートし、時代に応じた環境整備と一人一人の個性を伸ばす教育や、学びへの一層の投資を行う必要があります。
 出産支援については、平均的な実費に比べ、出産一時金や妊婦健診の助成額が不足をしていたことに対し、今般、ようやく国が十万円相当の出産準備金制度を創設したということは、遅きに失するものの、大いに歓迎するものです。
 一方、都で先行していた東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業は、私たちが重点要望として提案し、昨年度から実現をいたしました。この事業で十万円相当額を提案した背景は、東京都内の出産費用が全国に比べて十万円以上高いという実態に基づいたものです。
 そうした背景の違いも鑑み、東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストは、今後も十万円規模の予算を確保し、継続するとともに、今般導入される見込みの国の制度と効果的に併用できるよう、支給の時期や使い道など、ユーザーである子育て中のパパ、ママが使いやすい仕組みとすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、かねてより、東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療の負担軽減等の取組を国に先駆けて進めてまいりました。一方、海外では、妊孕性を高め不妊治療の短期化も期待される取組として、卵子凍結についても選択肢として普及しており、従業員に支援策を講じている民間企業もあります。また、不妊治療に至る前に、自身の体のことを知り、将来設計を促す取組として、AMH検査の推進も重要です。
 妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、海外では既に選択肢として普及している卵子凍結に対しても支援を創設すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対して、不妊治療に至る前に若年世代が受診できるよう、支援を拡充するよう求めておきます。加えて、女性の体と健康を守る観点から、子宮頸がん検診の受診啓発やHPVワクチンの接種促進に向けた取組についても、さらなる対応強化を求めておきます。
 育児に関わる男性の一〇%が鬱になるという指摘を受け、私たちは専門家を招いた勉強会を開催いたしました。そこで、知識や経験がないだけでなく、支援も薄い男性が、実は子育てで孤立しやすいということ、復職後の過重労働や責任感など、社会的要因も鬱の原因になることなどを伺いました。
 男性育児の先進国フランスでは、普及促進だけでなく、父親学級や育児支援を展開したことで、育児休業の取得率が大幅に増加をしていると聞きます。
 男性の育児休業取得の推進とともに、都は、育児に関する男性の鬱について、幅広く普及啓発と相談支援の充実を図りながら、育業についても推進していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 待機児童解消に伴い、保育所ニーズを補完する役割を担ってきた認証保育所も、役割の転換期を迎えていると考えます。一方、在宅子育て家庭では、コロナ禍での孤独な出産、育児が増えており、子供の育ちの意味からも、孤立防止の意味からも、保育園等の社会につながることが重要です。
 また、医療的ケア児や発達障害を持つ子供たちを受け入れる保育園が現状少なく、受皿の確保も急務であります。
 待機児童が解消されつつある今、認証保育所は、子育て家庭を誰一人取り残さず包括する、子育て家庭の課題解決拠点としての役割が求められています。
 保護者の就労状況や障害の有無等にかかわらず、誰でも利用しやすい、認証保育所の新たな仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺います。
 少子化に伴って進行する人口減少は、まさに静かなる有事であり、国家の根幹に関わる喫緊の課題であります。その課題解決のため、私たちはこれまでも、とうきょうママパパ応援事業や赤ちゃんファースト事業等について提案し、実現をしてまいりました。
 少子化の主要な原因は、教育費など子育てにかかる費用が重く、希望する子供数を諦める夫婦がいるということです。ある調査では、夫婦が理想の子供数を持たない理由の一位は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからとなっており、三十五歳未満の八割近い夫婦が理由として挙げている現状があります。
 国は、今年十月から、親の年収が一定以上の場合には児童手当の支給を廃止いたしましたが、子供を望む人が希望する数の子供を持てる社会を実現するためには、親の所得に制約されない子育て支援も重要だと考えています。
 そこで、全ての家庭が希望する数の子供を持てる社会の実現に向けて、今こそあらゆる支援を講じていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 子供、子育てにおいて、遊び、遊び場は非常に重要な要素ですが、さきの定例会において、私たちからプレーパークなどのソフト面の取組を支援するよう提案し、知事からは、プレーパークなどの遊び場やプレーリーダーの育成支援に乗り出すとの答弁があったことを高く評価しています。
 一方、子供の遊び場の確保についても取組の強化が必要です。公共施設に限らず、例えば駅ナカや大型施設などの民間の中核的な施設における遊び場の誘導、また商店街等における空き店舗のリノベーションや空き地の活用、都有施設、未利用都有地や都営住宅の空き地や空き駐車場の活用など、様々な場所を活用していくことが重要であると考えますが、子供の遊び場確保にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 新型コロナは、子供たちの学校生活にも大きな影響を与えました。休校、オンライン授業で実際に顔を合わせる機会が失われ、学校に戻っても多くの制約がありました。そんな環境が子供たちの成長に大きな影響を及ぼすと考えます。
 だからこそ、子供たちに体験の機会を通じて、笑顔になれたり、コミュニケーションを図り、前向きな気持ちで学校生活を送ってもらいたいと私たちが強く要望し、実施されたのが子供を笑顔にするプロジェクトです。
 今年度、都内公立学校の約八割が参加申込みをするなど、好意的な反響を得たことは伺っておりますが、今年度の総括をしっかりと行い、意義、効果の高い体験を精査した上で、来年度も取組を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 未来を担う子供たちが、変化の激しい社会においても、生きる力を高め、豊かな人生を切り開いていくためには、科学的な知識や考え方だけでなく、コミュニケーション能力や創造力の醸成が重要です。
 アメリカなどで既に定着しつつあるSTEAM教育でも、これからの時代を生き抜く五つの力として、科学、技術、ものづくり、そして芸術、数学を掲げ、重視する教育方針が取られています。子供たちがコミュニケーション能力や創造力を高めるためには、幼い頃から芸術文化に触れることが重要であり、それらを子供たちみんなが享受できる環境づくりが不可欠です。
 子供たちの豊かな感性を育むため、エンターテインメント等も含め、多様な芸術文化に全ての子供たちが主体的に親しむ機会を提供していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 子供の貧困や居場所の不足などの課題が顕在化する中で、都がフードパントリーや子供食堂への支援を強化してきたことは重要です。子供食堂の運営経費の補助は、二十九区市、二百六十九か所に実施したと認識をしています。
 今年度は、子供食堂に調査を行い、立ち上げ時に活用できる補助金や運営ノウハウの提供などが要望されていると聞いており、今後の支援拡充を求めます。また、継続的に役割を果たしてもらうためにも、例えば基金を積むなどの年度の変わり目の懸念が少ない仕組みを求めておきたいと思います。
 一方、成長期の子供たちにとって、朝食は成長のために重要であり、脳の活性化についても必要な取組であります。学校で朝ご飯という取組を実施している自治体もあります。
 多様化する働き方や生活習慣、家庭の経済状況等を踏まえ、子供たちの食生活を支える観点と食育の観点から、子供食堂やフードパントリーの支援策を拡充し、継続的な取組とするとともに、学校なども活用し、地域で子供に朝食を提供できる取組について都として支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 さきの定例会において、私たちは、保育園等のバスへの置き去り防止の取組で、センサー等の導入費補助を行うべきと提案し、迅速な対応を行うため、本定例会の補正予算に計上したことを高く評価するものであります。
 一方、自家用車における置き去りや子供がマンションから転落する事故なども相次いでおり、家庭における安全対策も重要な課題であります。子供は日々成長し、行動範囲も広がるため、家庭で思いがけない事故に巻き込まれることがあり、見守りや注意喚起だけで事故を防ぐのは難しいのが現状です。
 乳幼児の家庭内での事故予防策をはじめ、チャイルド・デス・レビューとの連携や科学的な手法も取り入れながら、子供の状況に応じた効果的な安全対策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、今後、家庭における子供の安全対策を講じることを推奨するため、例えば、落下防止ネットや子供の見守りカメラ、クッションマットや指挟み防止、感電防止など、安全対策グッズ購入などの支援と啓発をセットで取り組むことも求めておきます。
 これからの時代を生きる子供たちに大切だとされる資質として、従来の学力に加え、主体性、協働性、自ら学ぶ力、探求心、課題設定力などが挙げられています。これらを伸ばすための教育は、これまでの延長線上にはなく、児童生徒一人一人に向き合う、画一的ではない取組が教育現場には求められています。
 教員不足も差し迫った状況において、これらの課題を解決するための重要な方策が教育に関わるデータの利活用です。
 児童生徒一人一台端末や高速通信網、大容量のクラウド等、必要なICT環境が整備されたことから、今後は、教育データを学力の向上や新しい授業のスタイルの構築等に役立てていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
 学校の教員採用において、近年、倍率の著しい低下など、担い手の不足が顕著であり、未来を担う子供たちの教育の基盤となる教員の数と質の確保は非常に重要な課題であります。
 教員確保のためには、新卒者だけでなく、幅広い層の受験を促していくことが必要です。都教育委員会では、今年度から、社会人を対象に、採用選考合格後に免許取得を目指せる制度を始めましたが、社会人受験の増加に向けて、さらに取組を充実させる必要があると考えますが、見解を伺います。
 未来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要であり、私たちはこれまでも予算要望の最重点項目として、学びを支える塾代支援、受験生チャレンジ支援貸付事業についても対象拡大を求め、実現するなどしてきました。
 一方、経済環境の観点のみならず、学力の向上や大学受験等に対応するには、学校教育の場だけでなく、ノウハウのある民間事業者を活用することが重要であることも、これまで指摘してまいりました。
 都立高校において、学ぶべき学力や人間形成についての取組を強化するとともに、特に大学進学を希望する生徒が経済的な環境に左右されずに、学習塾等の民間事業者の持つノウハウを活用し、進学に向けた準備ができるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちでは子供たちの多様な学びの場を確保すべきとの観点から、フリースクール等に通う児童生徒やご家庭の負担を軽減する支援を提案してまいりました。
 都がそれに応え、今年度は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業として、都として実態の把握を強化する仕組みとともに、調査協力金により負担の軽減に寄与することを全国でも先駆けて構築したことは高く評価するところであります。
 一方、事業に参加しているのは対象の児童生徒の約三割から四割程度と聞いており、より調査に協力しやすい制度となることが重要であります。
 今年度の調査事業で出てきている声を確認するとともに、特に十分に支援が行き届くよう事業をさらに継続し、いまだ事業に参加していない児童生徒、保護者の利用が促進されるよう取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、対象となる児童や保護者は、様々な負担や学校とのやり取りにも支障があるなど、事情がある場合も多く、今後の当該調査事業に当たっては、調査内容を事前に明示したり、学校長の捺印を必要とする書類をなくすなど、できる限り参加のハードルを下げる工夫もしておくべきと指摘しておきます。
 また、不登校の子供たちの状況は様々で、フリースクールや教育支援センターであれば学びを継続できる子もいれば、家から一歩も出ることができない子供たちもいます。
 既に一部の自治体では、インターネット上の仮想空間、いわゆるメタバースを不登校の子供たちの新たな居場所として活用しており、我が会派でヒアリングを行った熊本県熊本市教育委員会では、前年に不登校児だった児童生徒のうち、オンラインによるやり取りに参加できた児童は五割以上であったという結果も出ています。
 東京都としても、フリースクールや不登校特例校など、リアルな場の支援に合わせて、メタバース等のICT技術も活用して、オンラインで子供たち一人一人が自分に合った環境を選び取ることができる仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺います。
 未来への投資を積極果敢に進めていくに当たっては、都庁組織の実効性の高い運営体制や事業の効果検証を行い、PDCAサイクルを回していく仕組みづくりも重要であります。
 今回、福祉保健局の組織の見直しについて、保健医療と福祉の二部門に独立させていく旨の表明がありました。私たちはこれまでも、子供政策連携室の機能強化などの必要性を述べてきたように、組織の実行力を高めていくためには、子供、子育てや高齢者、健康長寿など、解決すべき課題に対応させていくことが重要であると考えています。
 今回の福祉保健局の組織改正に関わる考え方について、知事の見解を伺います。
 また、都民サービスの最前線を担う三十二ある都の政策連携団体については、個々の事業について不断の見直しとPDCAサイクルを回しながら、政策の実効性を高めるためのチェック体制が重要です。
 都の事務事業に関しては、昨年度から予算編成過程において政策評価と事業評価を一体的に実施することとなっていますが、そこで、政策連携団体の評価制度についても、団体の個々の事業に着目し、政策評価、事業評価の取組と一体的に運用するなど、これまで以上に都民がその成果を実感できるような仕組みへと進化させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めていく都政のパラダイムシフトを牽引していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 後藤なみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてのご質問です。
 深刻化する物価高騰や長引くコロナ禍の影響から都民の暮らしと東京の経済を守り抜き、未来への活路を切り開いていくためには、取組のさらなる充実と、機を捉えた戦略的な施策展開が重要でございます。
 また、気候危機、エネルギー危機への対処は一刻の猶予もなく、脱炭素社会の実現に向けまして、環境政策を新たなステージへと導いていかなければなりません。
 このような考えの下、総額一千百六十二億円の補正予算を編成いたしまして、これまでの取組を一層強化してまいります。
 具体的には、物価高の影響を受けやすい低所得世帯に対しまして、主食である国産のお米や、また野菜などの食料品を支援するなど、生活安定のためのきめ細かな取組を実施してまいります。
 また、事業者の国内回帰や輸出促進の後押しなど、円安を追い風にいたしまして、産業構造の転換を推し進めてまいります。
 さらに、環境確保条例の改正案の提出に伴いまして、新たな制度への準備に着手する事業者を強力に支援するなど、太陽光発電をはじめとする住宅の再エネ導入を加速化してまいります。
 新型コロナ対策につきましては、インフルエンザとの同時流行への備えを強化いたします。
 補正予算に盛り込んだ施策を迅速かつ着実に実施することで、直面する危機への対処をしっかりと図りながら、東京の持続的な成長へとつなげてまいります。
 この冬の新型コロナ感染拡大への備えについてでございます。
 都はこれまで、東京モデルとして構築してまいりました保健、医療提供体制の枠組みをさらに拡充いたしまして、感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めるため、新たな行動制限は行わず、先手先手で必要なコロナ対策を講じております。
 この冬は、インフルエンザとの同時流行も念頭に、診療・検査医療機関の拡大、陽性者登録センターの対応能力の引上げに加えまして、オンライン診療センターの開設など、対応強化を図ってまいります。
 さらに、子供が発熱した場合、近くのかかりつけ医で受診できるよう体制を整えています。
 自宅療養者への支援につきましては、発熱相談センターやフォローアップセンターなどの対応能力を大幅に拡充、また、医療提供体制につきましては、障害のある方の病院への受入れを促進するとともに、重症化リスクの高い高齢者につきましては、高齢者等医療支援型施設を積極的に活用いたします。
 都民の皆様に対しましても、引き続き、ワクチン接種、換気の徹底など、感染防止対策に協力を求めてまいります。
 こうした万全な医療提供体制の確保などによりまして、社会経済活動を止めることなく、感染拡大を防止してまいります。
 同じく新型コロナについて、感染症法上の位置づけについてのご質問です。
 現在、新型コロナは感染症法上、新型インフルエンザ等感染症と位置づけられ、就業の制限や入院勧告、外出自粛の協力要請など、様々な措置が適用されているところです。
 都はかねてから、国に対しまして、重症化リスクなど他の感染症との比較や科学的エビデンスに基づいて、速やかに見直しの議論を進めるように求めてまいりました。
 今般の感染症法の改正に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の位置づけについて、速やかに検討する旨の規定が加えられまして、見直しの議論が開始されたところです。
 都は、保健、医療提供体制の在り方、そして医療費、ワクチン接種の公費負担、感染症対策の財源負担といった論点につきまして、現場を担う自治体や医療機関等の意見を十分に聞いて、検討を進めるよう国に求めてまいります。
 次に、制度創設の意義と支援策の強化についてでございます。
 建築物環境報告書制度は、供給事業者が住まい手などと共に建物の環境性能の向上を推進する制度であります。
 住宅の規格に大きな影響力を持つ大手ハウスメーカーなどの事業者に対しまして、太陽光パネルの設置等の義務や、住宅の環境性能に関する説明を住まい手に行う義務を課すことによりまして、環境性能の高い住宅の標準化を推進いたします。
 補正予算におきましては、義務化に伴う新制度の円滑な施行に向け、速やかに準備に着手する住宅供給事業者等が環境性能の高い住宅モデルの整備拡充を行う際に必要となる経費に対して、新たに支援をいたします。
 また、総合相談窓口の設置など、住まい手などの理解促進に向けました支援や、太陽光発電設備の設置等に係ります補助制度の充実など、きめ細かな支援メニューを用意いたします。
 さらに、事業者の創意工夫を促すため、経済性、快適性、防災性を備え、住まい手からも支持される住宅モデルを先行的に供給する事業者に対します表彰制度を今後創設いたします。
 こうした支援などを通じまして、事業者の取組をさらに加速化し、環境性能の高い住宅の標準化に向けましたムーブメントを醸成してまいります。
 都市強靱化プロジェクトについてのご質問でございます。
 気候変動の影響によりまして頻発化、激甚化する風水害や、人口構造や住環境等の変化に伴いまして課題が重みを増す首都直下地震など、これまでの想定を超える自然災害のリスクが高まっております。
 こうしたリスクに直面する中にありましても、都民の生命と暮らしを守り抜くため、そのためには、発災後の都民生活の継続性も見据えて、ハード面の備えに万全を期すことはもとより、多様な主体との連携などソフト面の取組を充実する必要がございます。
 そのため、従来の防災施策を前提条件から見直しをしまして、風水害や地震等の対策をレベルアップした都市強靱化プロジェクトを、総事業規模も併せ年内に公表いたします。その中で、中高層住宅も含めました防災対策の強化や、町会、自治会をはじめとするコミュニティでの共助を、関心が低い方々や幅広い世代にも促す取組など、新たな課題への対策を含めまして加速してまいります。
 来年は、関東大震災から百年の節目の年であります。百年先も安心できる東京を目指しまして、本プロジェクトをてこに、自助、共助、公助の取組をさらに強化することで、強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、都心部・臨海地域地下鉄についてであります。
 都心部と臨海部とをつなぐこの地下鉄は、国際競争力を有する両地域を支える基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割が期待されております。
 昨年九月から、国の参画も得た事業計画検討会におきまして検討を進め、先月、ルートや駅の位置を含めました事業計画案を取りまとめいたしました。
 この路線の実現によりまして、東京から東京ビッグサイトまでが約三十五分から約十五分となりまして、都民など利用者の利便性やアクセス性が飛躍的に向上いたします。さらに、東京、銀座、築地、晴海、有明といった拠点がつながることによりまして、各地域の魅力が高まるなど、高い整備効果が見込まれるところであります。
 この事業計画案を基に、都は、早期事業化に向けまして計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するとともに、検討会におきまして、つくばエクスプレスや羽田空港との接続による本路線の事業性などについても検討をいたします。
 引き続き、国を含めた関係者と連携しまして、本路線の事業化に向けた取組を加速してまいります。都心部と臨海部のポテンシャルを引き出すことで、国際競争力の強化につなげ、東京の持続的な発展、ひいては日本全体の成長を確かなものとしてまいります。
 次に、神宮外苑のまちづくりについてであります。
 神宮外苑は、かの渋沢栄一翁らの尽力により、国民からの献金、献木などにより造営されて、緑とスポーツの拠点として多くの人々に愛され続けてまいりました。
 その再整備に向けた都民の皆様の声、それを踏まえた都の要請に対しまして、明治神宮など事業者からは、きめ細かな情報発信や関係者一体となった樹木の保全などに加え、質の高い新たな緑も創出をして、従来よりも樹木の本数や緑の割合を増加させる計画が示されております。
 また、これからの百年の緑をみんなでつくるというコンセプトの下、献木による植樹などを行う構想も示されておりまして、現在、事業者において具体化に向けた検討が進められていると聞いております。
 都民参加がなされる献木の取組は、創建時の先人たちの思いを大切に引き継ぐものと考えておりまして、百年先の未来につなげるまちづくりが進むよう、事業者の取組を広く情報提供するなど、都としても後押しをしてまいります。
 次に、グリーン分野のスタートアップ育成についてであります。
 人類と地球の持続可能性を脅かす気候危機、これを克服するためには、CO2の吸収分解技術など、これまでにないイノベーションが必要であって、社会課題を解決するスタートアップの力が不可欠でございます。
 江戸の昔から、自然と共生し、サーキュラーエコノミーを実現してきた東京から、クライメートテックといわれるグリーン分野のスタートアップを数多く生み出し、サステーナブルな世界に向けたモデルを示していかなければなりません。
 東京に集積する大学の研究シーズを生かし、グリーン分野における大学発スタートアップの育成を強力に推進いたします。
 また、新たなファンドの組成を通じたスタートアップに資金が流れる仕組みや、国内外の挑戦者が交わる一大拠点の構築を進めます。
 さらには、都政フィールドを活用し、最先端再生可能エネルギーの社会実装を進めるなど、重層的に施策を展開いたします。
 競争力強化の鍵を握るグリーン分野の成長とスタートアップの育成、協働を全力で推進をし、我が国の成長と持続可能な都市を実現してまいります。
 次に、成長産業分野の人材確保に向けた支援についてでございます。
 将来の成長が見込まれるデジタルや脱炭素の産業分野で人材を確保するためには、様々な業種でリスキリングを進めるとともに、DXなどで対応の進む大企業の人材の力を効果的に活用する視点も大切であります。
 これからの産業構造の転換に中小企業が柔軟に対応できますよう、その人材確保に向けましたリスキリングを着実に進めていかなければなりません。また、大企業でデジタルに精通した人材が中小企業に出向いて、そして、実力を発揮する工夫や後押しも重要です。
 中小企業の社員がデジタルのスキルを習得する機会を増やし、後押しを進めるほか、IT企業を目指す求職者には、様々な知識や技術を学ぶ場を提供しまして、就職のサポートも行う一体的な支援を行っております。
 大手の企業からITや環境関連の産業への就職を目指す方などと中小企業をマッチングするイベントを開催するほか、今後は、大企業で力を培った社員が中小企業の職場で様々なノウハウを提供する後押しや、また、その働き方に副業や兼業を取り入れる支援の充実を検討いたします。
 これらによりまして、新たな産業分野で活躍する人材の育成と確保を着実に促してまいります。
 そして、GXなどに柔軟に対応する人材の育成についてであります。
 社会や経済のデジタル化やGXの動きを受けまして、産業構造の転換が進む中で、仕事で必要となるスキルの変化に柔軟に対応して新たな担い手を育成することは、東京の持続的な発展に不可欠でございます。
 都の職業能力開発センターにおきましては、東京のものづくりやサービス提供を支える様々な技能を学ぶ訓練を行っておりまして、これからは、IT技術の活用や地球環境に配慮した取組によって、成長を目指す産業で力を発揮できる人材づくりは待ったなしでございます。
 職業訓練で学ぶデジタル化の知識や技能の水準は、日進月歩の技術革新に合わせて、速やかに高めていかなければなりません。EVの普及を見据え、実際の車体や構造に触れ、現場で役立つ力を身につける後押しが必要です。
 再生可能エネルギーである太陽光を生かし、それを蓄電して効果的に利用する一連の整備ノウハウを、最新の実習機材を使い習得する訓練を充実いたします。
 職業能力開発センターで、デジタルやEVなどの教材と機材のレベルを高めるとともに、GXの担い手を重点的に育てる拠点を選んで、設備と施設の更新により、そのバージョンアップを図ります。
 新たな時代のDXやGXに対応した技能を持つ担い手を数多く育て、東京の産業の一層の発展に結びつけてまいります。
 次に、中小規模の芸術文化団体への支援についてのお尋ねがございました。
 世界でも有数の芸術文化都市である東京におきましては、三百六十五日、劇場やホール、ライブハウスにおいて、多種多様な演劇や音楽、ライブエンターテインメントの公演が行われております。
 中でも、都内に多数存在する個性豊かな小規模な劇団や音楽グループなどは、クリエーティブで実験的な公演を展開し、都民に新鮮な感動をもたらすとともに、東京ならではの芸術文化の魅力を発信しています。
 そこで、今後の国内外の人流の活発化やインバウンドを見据えまして、中小規模の団体による幅広い芸術文化、エンターテインメント活動を後押しする支援を検討いたします。
 中小規模の団体ならではの困難な状況も踏まえまして、活動が活性化できるよう取組を進めて、東京の芸術文化の多様性をさらに進化させてまいります。
 次に、医療提供体制の構築についてであります。
 都はこれまで、医療を取り巻く環境の変化に対応して、がん、救急医療、災害医療、在宅療養など、都民の安全・安心の確保に向けました医療提供体制の整備を進めてまいりました。
 東京の医療は、さらなる高齢化の進展や、激甚化する自然災害、新興、再興感染症への対応など、様々な課題に直面しております。
 一方で、デジタル技術を活用した医療と介護の関係者間の情報共有や、新型コロナウイルス感染症の流行下におけますオンライン診療の活用、二十四時間の往診など、都民の安心を支える取組も広がっております。
 こうした取組を都民の視点に立ちながら充実し、誰もが住み慣れた地域で質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を図ってまいります。
 次に、東京都出産応援事業についてであります。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、東京都出産応援事業を実施しております。
 都民の皆様方からは、子供が生まれることが世の中から歓迎されている、応援されていると感じられた、都の子育て施策に非常に助けられているなど、高い評価をいただいております。
 今般、国は、総合経済対策として、妊娠及び出産時を通じて計十万円相当を支援する事業を創設いたしました。
 この事業の実施に当たりましては、都の出産応援事業を先行例として取り上げ、都道府県と区市町村とが連携した広域的な取組が推奨されているところであります。
 現在、広域連携の実施につきまして区市町村の意向を確認しておりまして、国の事業も活用し、本事業が子育て家庭のニーズにより即したものとなりますように、さらなる充実策と継続的に支援していく仕組みを検討してまいります。
 次に、卵子凍結についてのお尋ねがございました。
 子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情によってすぐには踏み切ることができない方にとりまして、卵子凍結は将来の妊娠に備える手段の一つであります。
 都は、若年がん患者などが、治療に伴う負担や将来への不安を軽減できますように、生殖機能温存に係る費用を支援いたしております。
 こうした医学的適応とは別に、女性従業員のキャリア形成支援として、福利厚生に卵子凍結への助成を導入する企業が現れるなど、健全な女性の間で、将来の選択肢としての卵子凍結への関心が高まっているところでございます。
 このいわゆる社会的適応につきましては、関係者間で様々な議論がなされておりますが、都といたしましては、子供を望む方に対する支援の充実という観点から、対応を検討してまいります。
 次に、少子化対策についてであります。
 次の世代を担う子供たちは未来そのものです。そして、生まれた家庭の環境にかかわらず、全ての子供の成長はひとしく応援されなければなりません。望む人誰もが子供を産み育てやすい環境を整える、そのことが、少子化に直面する東京、ひいては日本の夢と希望にあふれる明るい未来の実現につながっていくものでございます。
 都はこれまでも、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の充実や、家事、育児の負担軽減に向けた取組、保育料や教育費の経済的負担の軽減など、子育て世帯に寄り添った政策を多面的、複合的に推進をいたしまして、国をも先導してまいりました。
 急激な少子化とそれに伴う人口減少は、静かなる有事であるとのお話のとおりでございます。社会の存亡の危機に直面する今、あらゆる手だてを早急に講じていかなければなりません。
 子供を望む人が希望する数の子供を産み育てやすい社会となるよう、対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、子供の遊び場づくりについてであります。
 子供の遊び場は、多彩な体験、経験ができる学びやであります。子供たちは、外遊びを通じて、友達同士で関わりながら、実社会で生きる力を育んでまいります。
 子供の笑い声であふれ、思い切り遊ぶことができる環境をつくっていくということは、私たちの果たすべき未来への投資であります。
 今後、遊び場づくりという政策課題に真正面から取り組んでいくため、公共空間や施設などの多様な地域資源を活用した、区市町村におけます遊び場の創出を後押ししてまいります。この遊び場の創出に当たりましては、子供たちの意見を反映させることによって、子供を主体として捉えた象徴的な取組といたします。
 地域における遊び場づくりを多面的に促進をして、子供の笑顔であふれる東京を実現してまいります。
 次に、子供の事故予防についてであります。
 子供は、様々な挑戦を通じまして、成功や失敗を繰り返しながら成長していきます。成長、発達段階に応じて、子供たちが思い切りチャレンジできる安全な環境をつくっていくことは何より重要です。
 一方で、乳幼児の家庭内での不慮の事故が依然として発生する中、従来の注意喚起にとどまることなく、効果的な予防策を講じていくことが急務であります。
 このため、庁内各局などが保有いたします死亡事例を含む子供の事故情報や検証内容を一元的に収集、分析をいたしまして、子供の行動特性について、AIなどの最新技術を活用して解析をいたします。その上で、成長、発達段階に応じたエビデンスベースの事故予防策を開発、考案してまいります。
 さらに、その予防策を関係機関にフィードバックして、社会全体で事故予防に取り組む仕組みを構築してまいります。
 これらの取組を通じて、都庁一丸となって家庭内での事故を効果的に予防し、子供に優しい、安全な社会を実現してまいります。
 福祉保健局の再編の在り方についてのご質問です。
 東京の福祉、保健、医療を取り巻く社会経済情勢は、変化のスピードを速めております。
 新型コロナウイルス、一段と進んだ少子高齢化、共生社会の実現に向けました機運の高まり、デジタル化の潮流など、都民が求めるニーズや社会的課題は、高度化、多様化の一途をたどっております。
 今般、福祉、保健、医療サービスを将来にわたって盤石なものとするために、福祉保健局の組織再編の準備を開始いたしました。
 保健医療と福祉の部門に独立をさせ、新たな組織へ変革をいたします。また、これまで局が培ってまいりました知見やノウハウなど、多くの財産も引き継ぎながら、行政分野をまたぐ政策課題への連携にも取り組んでまいります。
 来年七月の組織改正に向けまして、健康危機管理に関する科学的な知見や最新技術の活用促進など、高い専門性と機動性を兼ね備えた体制について検討を深めてまいります。
 そして、政策連携団体についての評価について、最後にご質問がございました。
 都政には、強靱で持続可能な都市の形成、人への投資の強化、子供政策の充実など、課題は山積しております。こうした諸課題の解決に向けまして、都庁グループの総力を挙げて大胆な施策を積極的に展開していくことが重要でございます。
 こうした中、政策連携団体への評価制度につきまして、都庁グループとしてのアウトカム、都民のQOL向上を重視いたしまして、個々の事業のブラッシュアップへつながる仕組みを構築することは有益でございます。
 現在、一つ一つの事業を検証しまして、効率性、実効性を向上させる事業評価、施策単位で事業の方向性を評価する政策評価を適切に運営いたしております。
 これらに加えて、都と政策連携団体が協働して実施する事業に対する評価を一体的に実施するなど、評価制度全体のさらなる進化に向けて、早急に取り組んでまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事潮田勉君登壇〕

○副知事(潮田勉君) テストイベントに係る都の調査についてでありますが、都は、清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、テストイベントに係る契約手続等の適正性などを確認するため、速やかにチームを立ち上げ、関係局により調査を進めております。
 具体的には、捜査に支障を来さない範囲で、共同実施事業について書類の確認を行うほか、清算法人に対して契約手続等を改めて確認するよう求めております。また、テストイベント等に関係した職員からヒアリングを行い、当該契約に係る手続や意思決定過程等を聞き取るなど、事実関係の確認を行っております。
 これらの調査について、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などから助言を得て、確認を行っております。
 なお、都から大会運営局に派遣されていた職員は、平成三十年八月一日時点で百十六名でございます。
 今後の捜査の状況にもよりますが、今月中を目途に中間のまとめを行い、公表する予定であります。
 東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱におきましては、談合容疑による逮捕または起訴の事実が確認された場合などは、指名停止などの措置が定められております。
 清算結了については、清算法人における債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しなど、法令に定められた清算業務が終了した場合は、評議員会の承認をもって行われることとなります。
 清算法人においては、本件が清算業務にどのような影響を与えるか、法的側面などからも確認しているところであり、都としても適切に対応するよう伝えているところであります。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) スタートアップとの協働についてでございますが、知恵とアイデアでイノベーションを起こし、社会課題を解決するスタートアップとの協働で、都政は新しい政策を生み出すことができ、そして、スタートアップの都政現場での活躍は、その信用力を高め、大きな飛躍につながります。
 このため、新たな戦略では、スタートアップの裾野を十倍、グローバルな成長を十倍、官民協働の実践の数を十倍に増やす、三次元のイノベーションのビジョンを掲げました。
 公共調達の大胆なスタートアップへの拡大に向け、入札参加資格の登録支援体制を構築するとともに、デジタルマーケットプレースなど、優れた技術や製品を持っているスタートアップが、都の調達に積極的に参加できる仕組みづくりを進めてまいります。
 環境、産業、都市づくりなど都政のあらゆる分野で、スタートアップが活躍できるフィールドを開拓し、全庁を挙げて協働の取組を推進することで、数多くのスタートアップの成長を生み出してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供を笑顔にするプロジェクトについてでございますが、都内公立学校の約八割から参加申込みがあり、各地の学校で、子供たちを笑顔にする多様な体験活動が展開されております。
 プロジェクトを活用した学校から、プログラムの選択理由や期待する効果、評価等を、順次アンケートにより集約しており、体験学習や子供の心理の専門家など、外部有識者の知見も活用しながら、プロジェクトを総括してまいります。
 こうした総括を踏まえ、積極性、協調性、他者理解など、豊かな心の育成に効果が高いと考えられる体験活動が引き続き実施できるよう、調整を進めてまいります。
 次に、教育データの活用についてでございますが、都教育委員会は、本年四月から都立高校に、成績や出欠などのデータを一元管理するシステムや、定期考査の採点業務を効率化するシステムを導入いたしました。
 それらのデータを分析して授業改善等に取り組む実証事業に参加している教員からは、定期考査の結果を解析したデータが生徒の弱点を指導する根拠になる、授業科目ごとの出欠状況の詳細を把握して指導することができ、生徒の学習に向き合う態度の改善につながったなどの声が上がっています。
 今後は、これらの取組を全校に周知するとともに、データを可視化して、教員がより分析しやすくなる教育ダッシュボードを令和五年度に向け構築し、エビデンスに基づいて価値創造、課題解決型の学びを充実させてまいります。
 次に、社会人の採用選考受験者増加に向けた取組でございますが、都教育委員会では、今年度から新たな社会人向け特例選考を導入し、選考時に免許取得見込みがなくても、合格後二年以内に免許取得すれば、教員として採用することといたしました。今後、より多くの方に教員を目指していただけるよう、さらなる受験要件の緩和を検討してまいります。
 また、教員免許取得後、企業等に就職し、実際に教壇に立ったことがない方々に安心して受験してもらえるよう、着任前の支援策を検討してまいります。
 これらの取組により、教職に関心のある幅広い層が受験しやすい環境を整え、教員の確保を図ってまいります。
 次に、都立高校の生徒の進路実現に向けた支援についてでございますが、都立高校において、生徒が自らの経済的環境にかかわらず、希望する大学への進学を実現できるよう、支援の充実を図ることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、模擬試験や英語検定の受検に係る経費等について、給付型奨学金の対象とするなど、都立高校の生徒の進学に向けた支援を行ってまいりました。
 今後は、複雑化する傾向にある大学入試問題にも的確に対応できるよう、予備校等と連携し、校内で効果的な受験対策を実施できる新たな仕組みを構築するなど、受験勉強を支援する方策の検討を進めてまいります。
 こうした取組は、都立高校の魅力向上に向けて、当面三年間に集中的に実施する施策を取りまとめた実行プログラムを今後策定する中で具体化してまいります。
 次に、フリースクール等に通う子供の調査研究についてでございますが、本年九月末時点で調査協力者として登録している不登校の子供の人数は、四百十八人でございました。現在までの調査の中で、保護者が学校やフリースクール等に期待することとして、登校することだけが全てではないことを教員に理解してほしい、子供の本来のよさが生かせる環境が欲しいなどの回答がございました。
 さらに多くの方に調査に協力していただけるよう一層の周知を図るとともに、年度内に本年度の調査経過について取りまとめを行います。
 今後、フリースクール等に通う子供やその保護者の実態及びニーズについて分析を行い、不登校の子供に対する効果的な支援の在り方について検討してまいります。
 次に、学びの環境へのデジタル技術の活用についてでございますが、仮想空間などのデジタルも活用し、不登校の子供たちの学びの環境を整えることは有効でございます。
 都教育委員会は、支援が必要な子供たちがネット上で相談や学習ができる空間など、新たな居場所や学びの場となるバーチャルラーニングプラットフォームを構築し、区市町村に提供いたします。令和四年度は、新宿区と連携して検証を進めてまいります。
 今後は、他の自治体の取組やメタバース等の最新の技術動向等も踏まえながら、子供たちの個性に応じた学びの環境を充実してまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 新型コロナの検査キットの配布に関するご質問にお答えいたします。
 重症化リスクの高い方などが適切に医療を受けられるよう、発熱外来等の負担を軽減することは重要でございます。
 このため、症状のある方が自ら検査を行い、感染拡大時の検査や受診の集中を緩和できるよう、抗原定性検査キットの自宅配送や、地域の医療機関や区市町村を通じた配布を行ってまいりました。
 自宅への配送は、現在、申込み日の翌日から翌々日にかけて配送しておりますが、より迅速な検査につなげるため、原則、申込み翌日の到着とするなど、配送期間を短縮してまいります。
 また、検査キットや医薬品の備蓄を都民に呼びかけており、こうした取組を総合的に進めることで、都民がより速やかに適切な医療やサービスにアクセスできる環境を整えてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) サプライチェーンでの人権の尊重についてでございますが、持続可能な社会の実現に向けては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組を促進することが重要でございます。
 先般、都は、太陽光発電の技術開発や人権尊重の取組をさらに促進するため、業界団体と連携協定を締結いたしました。
 今後は、本協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築を推進するとともに、継続的な意見交換や研修等を通じて、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 また、新制度の施行に当たっては、国内メーカーが強みを持つ建材一体型や軽量なパネルなど、東京の実情を踏まえた商品の普及等を後押ししてまいります。加えて、国内企業とペロブスカイト太陽電池の共同研究を進め、製品化の進展に応じて都施設に率先導入するなど、国産の新技術の実用化を促進してまいります。
 本件につきましては、企業の人権尊重の取組と国産技術の開発の推進が車の両輪と考えてございまして、こうした取組を積極的に後押ししてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二五年デフリンピック大会についてでありますが、大会開催に当たって、コンプライアンスを十分に確保していくことは重要でございます。
 このため、先月、全日本ろうあ連盟等の関係者と共に立ち上げた検討会において、都民、国民の信頼が得られるよう、適切な準備運営体制を構築していくことについて、構成員全体で確認いたしました。
 引き続き、デフリンピックの大会準備に向けては、公正な執行体制を確保するため、政策連携団体等公的な団体の有効活用なども含め、関係者と共に議論を深めてまいります。
 今後、都が開催する有識者会議の検討状況も参考に、デフリンピックが都民、国民から歓迎される大会となるよう、万全の準備運営体制を構築してまいります。
 次に、デフリンピックを契機としたインクルーシブな取組の推進についてでございますが、二〇二五年には大会に海外から多くの選手、大会関係者、観客が東京を訪れます。この機を捉え、日本の最新技術を活用し、社会の多様性や包摂性を一層高め、共生社会実現への弾みとしていくことが重要でございます。
 現在、駅の音を文字や手話で視覚化する表示装置など、様々な技術が創出されており、日本の持つ優れた最新技術の調査、発掘を進め、障害のある方の声も伺いながら、そうした技術の活用促進について検討してまいります。
 今後、大会に向け、関係局や事業者等と連携し、都庁各局等が実施する各種展示会やイベントにおけるPRとともに、競技会場や文化施設等の都立施設をはじめ、まち中の様々な場面における技術活用の実証を進めてまいります。
 次に、アーティスト等の活動環境の整備についてでございますが、東京の芸術文化は、アーティストや制作スタッフ等による幅広い活動によって支えられておりまして、これらの担い手の方々が安心して活動できる環境を整備することが重要でございます。
 しかし、現在、制作の現場におけるハラスメントや書面によらない不明確な契約など、例えば女性やフリーランスなどの弱い立場にあるアーティスト等が、多くの課題に直面しております。
 そこで、ハラスメントなどの悩み事への対応や、外部の専門家を活用した契約や税務に関する法律相談など、アーティスト等の活動環境の向上に寄与するサポートセンターの設置などについて検討してまいります。
 最後に、子供の芸術文化体験についてでございますが、子供たちの感性を磨き、自ら考え、生み出す創造性を育むためには、日常から離れた様々な芸術文化の体験を通して、多様な価値観に触れ、リアルな魅力を体感することが重要でございます。
 東京には、多彩な芸術文化、エンターテインメント資源が集積しており、多様で奥深い東京の魅力を構成する重要な要素の一つとなっております。
 こうした資源を生かし、都内の芸術文化団体と協力して、ミュージカルやダンス、演劇などの幅広い分野の芸術文化の鑑賞と、その背景に触れる機会を子供たちが選択できるよう、教育庁とも連携しながら検討してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都心部・臨海地域地下鉄を踏まえた築地再開発についてでございます。
 本年三月に公表した事業実施方針では、水と緑に囲まれた都心の大規模な土地などのポテンシャルを生かしながら、都心と臨海部を効果的に結びつけていくことを基本的な考え方としております。
 これを踏まえ、先月公表した事業者募集要項では、民間事業者に対し、将来、地下鉄が整備されることを考慮して、地下鉄、舟運、バスなどのインフラから成る広域交通結節点の整備を行うことなどを求めております。
 民間事業者の優れた提案を引き出すとともに、築地再開発と地下鉄整備との連携を図り、周辺地域の様々な機能と相乗効果を生み出し、東京や日本の持続的な成長につながるまちづくりを進めてまいります。
 次に、武蔵野南線を活用した羽田アクセスについてでございます。
 東京圏における鉄道ネットワークについては、基本的に国の交通政策審議会の答申に基づいて整備などが進められていることから、まず答申に反映されることが必要であると考えております。
 答申に位置づけのない本路線につきましては、多摩地域から空港へのアクセス利便性の向上などの効果が見込まれる一方、収支採算性の確保など、検討すべき様々な課題があり、沿線自治体や鉄道事業者間でこれらの課題について検討することが必要でございます。
 都としては、沿線自治体の取組などを見極めながら、適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は、所得制限や一部自己負担を設け、実施主体である区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとした上で、全ての区市町村で令和五年度から事業開始できるよう、開始から三年間の都の負担割合を十分の十に引き上げることとしております。
 また、事業の開始に当たり必要となるシステム改修費や制度周知等に要する経費、人件費などの準備経費も十分の十で補助しております。
 本事業に係る令和八年度以降の財源や所得制限の取扱いなどについては、都と区、都と市町村との間でそれぞれ協議の場を設置し、各区市町村における事業実施の状況や課題等も踏まえ、検討してまいります。
 次に、地域の医療と介護の環境整備についてでございますが、在宅療養をさらに充実させていくためには、地域の医療、介護関係者が相互に連携した切れ目のない支援体制が重要であり、その整備に当たっては、二十四時間対応可能な仕組みづくりや病状変化時の受入れ病床の確保といった課題がございます。
 今般の新型コロナの流行下で、在宅医療のみを実施する医療機関を活用した夜間、休日等の自宅療養者への往診や、デジタル技術を活用した健康観察などの取組が広がっております。
 今後、こうしたコロナ禍における取組も取り入れながら、二十四時間対応可能な体制整備に積極的に取り組む地域を支援するなど、在宅療養体制のさらなる充実を図るとともに、次期保健医療計画改定の検討に反映してまいります。
 次に、認証保育所についてでございますが、都は、保護者と事業者との直接契約により、事業者の創意工夫を生かし、都民の多様な保育ニーズに対応する認証保育所を平成十三年度に創設しました。
 その後、育児休業制度が充実してきたほか、テレワークなど働き方が多様化することに伴い、子供と家庭を取り巻く状況は変化しております。
 こうした状況を踏まえ、必須としていたゼロ歳児保育の要件を緩和し、一歳児の受入れを促進するとともに、短時間利用や学齢児の受入れなど新たな仕組みを設け、利用者のニーズに対応できるよう、制度を見直しました。
 今後、認証保育所が子育て支援の拠点として、子育て家庭の様々な課題に対応できるよう、必要な支援や制度のさらなる見直しについて検討してまいります。
 最後に、地域における子育て家庭への食の支援についてでございますが、フードパントリーや子供食堂は、地域における食の支援として重要な活動でございます。
 都は、フードパントリーの設置に取り組む区市町村へ立ち上げ経費を支援するほか、今年度から、食料等の価格高騰の影響を踏まえ、運営事業者に食料調達費等を補助しております。
 また、子供食堂に対しては、区市町村を通じ、朝食の提供を含む会食の開催や、配食、宅食の経費を支援しており、今年度は、物価高騰対策として、新たに事業の立ち上げ経費も補助しております。
 さらに、区市町村が地域の実情に応じ、学校施設等を活用して食事を提供する場合も包括補助で支援をしてございます。
 今後、事例集を作成し、朝食にも活用が可能なことを区市町村を通じて周知するなど、本制度を活用した子供と家庭への食の支援の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 中小企業のデジタル化に向けた支援についてお答えいたします。
 中小企業がデジタル化を円滑に進める上で、ITに係る知識を効率的に確保し、社内でリスキリングを着実に進めることが重要でございます。
 これまで都は、中小企業が生産性を高めるため、デジタル技術を活用した設備を導入する場合、専門家を派遣し、現場の実態を踏まえた効果的な助言を二年間にわたり実施しております。また、社員向けに、eラーニングなどによりDXの知識を学ぶ機会を設ける中小企業への助成も行っているところでございます。
 今後は、専門家が中小企業に出向き、業務フロー全体を見直した上でデジタル化を効果的に進める取組のほか、社内でリスキリングを計画的に行うため助言をするサポートの充実を検討いたします。これによりまして、中小企業のデジタル化を着実に支援をしてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) TOKYOスマホサポーター制度についてでございますが、七月から先行的に活動いただきました延べ約二百人の講師経験者や意欲ある大学生などからは、スマホの知識だけではなく、高齢者に丁寧に寄り添えるコミュニケーションスキルを磨くことが重要などの意見があり、現在策定中の育成プログラムに反映することといたしました。
 来年一月には新たに一般の方から広く募集を開始し、オンラインによる講習やスキルチェックを経て、学生や元気な高齢者などをサポーターとして登録し、今年度は都のスマホ相談会などで活動していただきます。
 区市町村やNPO、地域で活動する団体、大学などと連携して、幅広い方々に参画いただき、来年中に登録者を千人まで拡大し、地域で支え合い、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を築いてまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 育業の推進についてでございますが、改正育児・介護休業法の施行を契機といたしまして、男性の育業取得率を高めていくことが重要であり、その中で、男性の鬱につきましても理解を図る必要がございます。
 育業の推進に当たりましては、関係局と連携し、男性に対して家事、育児に役立つ情報を伝えるほか、企業に対してセミナー等を通じ、育児との両立支援の重要性を啓発しております。その中で今後、育児を行う男性が鬱になるリスクや家族、職場の理解と協力の重要性につきましても伝えてまいります。
 また、男性の育業支援に取り組む企業、団体の好事例を発信するとともに、育児に悩む父親への相談支援の充実に向けまして、区市町村に都の補助事業の活用を促してまいります。
 こうした取組を通じまして、誰もが安心して働き、育児ができる社会の実現を目指してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 百七番まつば多美子さん
   〔百七番まつば多美子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百七番(まつば多美子君) 都議会公明党を代表して質問します。
 二〇二二年は、新型コロナへの対応やロシアのウクライナ侵略の影響により、都政の果たすべき責任が大きくなる中、目下の都政の喫緊の課題は都民生活を直撃している物価高騰対策です。
 都議会公明党は、九月の緊急要望の際、物価高騰の中、特に住民税非課税の高齢者世帯から生活困窮の相談が多く寄せられていることから、生活支援の対策を求め、第三回定例会の代表質問でも対策の強化について質問いたしました。
 その際、小池知事からは、必要な対応を検討していくとの答弁があり、このたび、四定補正予算案に東京おこめクーポン事業が盛り込まれたことを評価するものです。
 事業の対象世帯には、高齢者の世帯が含まれることを踏まえ、様々な配慮が必要だと考えます。また、都内米店など、ご協力をいただきながら進め、できるだけ早期の実施を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス対策について質問します。
 感染が拡大傾向にある中、高齢者の場合は、急性期治療を終えたものの、身体機能が低下するケースがあるとの声を伺いました。こうした事態も踏まえ、都議会公明党は先月中旬、高齢者等の受入れ体制整備や年末年始など休日診療の体制強化を求める緊急要望を知事に申し入れました。
 今般の感染症法改正により、全ての医療機関が都道府県との協議に応じるよう義務づけられ、医療提供を事前に約束する協定を結べるようになりました。法施行は二年後ですが、実効性ある病床確保のため、事前に医療機関と協議し、対策に生かすべきです。
 そこで、コロナ病床の確保やコロナの急性期から回復期を通じた高齢者の療養環境確保等、今後のコロナ対策の取組について見解を求めます。
 国において、新型コロナの法律上の位置づけについて検討が開始されました。
 都議会公明党は、今年の第一回定例会代表質問で、国産経口薬の承認とワクチン接種の進展を前提に、季節性インフルエンザ並みに患者診療がより柔軟に対応できるよう、新型コロナの感染症法上の分類を二類相当から五類に見直し、治療費やワクチン接種の無償化の特例措置を実施することとともに、治験など、国産経口薬の開発に継続的に協力していくことを訴えています。
 五類相当とするためには、経口薬の普及が不可欠です。先月、国内企業が開発した経口薬が国により緊急承認されており、この新たな経口薬が都内で安定して供給される体制を整えるべきです。
 また、五類相当になっても、医療費等の公費負担を当面は継続するよう、国へ重ねて求めていくべきです。併せて見解を求めます。
 次に、帯状疱疹ワクチン助成について質問します。
 第二回定例会一般質問で、都議会公明党は帯状疱疹について取り上げました。その際、都は今後、適切な予防と治療がなされるよう、発症の原因や症状、予防方法や抗ウイルス薬による治療などの情報をホームページで発信すると答弁しました。
 帯状疱疹の予防にはワクチンが有効であり、都は区市町村に対して支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、盲ろう者支援について質問します。
 都議会公明党は、視覚と聴覚の障害を併せ有する盲ろう者の支援に取り組んできました。特に、先天的に盲ろうの障害がある場合、人とのコミュニケーションを取るために、言葉の存在を認識するところから始める必要があるなど、非常に専門的な教育スキルが求められます。
 先日、都議会公明党は、ある盲ろうの高校生のお母様から話を伺いました。生後六か月で視覚、聴覚の重複障害と診断を受けましたが、都の療育センターや特別支援学校でも的確な相談や対応を受けることができず、途方に暮れたとおっしゃっていました。
 盲ろうの子供の療育、医療、教育について、生後直後から保護者が相談できる窓口をつくり、的確な情報やサービスを得られるようにするべきです。知事の見解を求めます。
 都議会公明党は先月、横浜市にある横浜訓盲学院を視察しました。重複障害の児童生徒の教育に取り組む私立の特別支援学校で、四人に一人が盲ろうの子供たちでした。生後すぐの相談に始まり、幼小中高、そして高卒後の三年間の特別コースまで特別支援の一貫教育が行われ、教員のコミュニケーション力など、スキルを高めるために、触手話などの研修を定期的に行っていました。
 一方、都立の特別支援学校には、触手話等ができる教員が少なく、学校では専門的なスキルを持った大学の研究者等による校内研修を実施していますが、盲ろうの児童生徒と十分なコミュニケーションが取れているとはいえません。
 例えば、集団での活動では、触手話などがなければ、盲ろうの児童生徒は状況を把握できません。休憩時間や部活動は社会性を学ぶ機会になりますが、盲ろうの児童生徒は孤立しがちです。
 教員が盲ろうの児童生徒と様々な方法でコミュニケーションを図ることができるようにするために、専門家と連携して指導力を高めていくべきです。見解を求めます。
 学校とともに福祉施設などにおいても、盲ろう者とコミュニケーションが取れる教員や職員はほとんどおらず、円滑なコミュニケーションが取れるよう環境を整備する必要があります。見解を求めます。
 昨年の東京パラリンピックでは、聖火点火式に盲ろう者ランナーが参加し、完走しました。それを可能にしたのが、指先に信号を送り遠隔で指点字ができる機器でした。こうしたデジタル機器を活用すれば、盲ろう者の社会参加やスポーツの機会は増えていきます。
 盲ろう者の情報保障や生活支援につながるこうしたデジタル機器等の普及を積極的に進めていくべきです。見解を求めます。
 次に、二〇二五年のデフリンピック東京大会について質問します。
 デフリンピックを成功に導くためには、日本手話や国際手話の人材の育成、デフの各競技団体の結成、アスリートや審判団の育成、練習会場や競技会場における情報保障の充実、大会経費の財源確保などにおいて、数多くの課題があります。
 都は今後、大会の成功に向けたタイムテーブルを作成するとともに、当事者団体を積極的に支援し、スポーツ庁や国の一般スポーツの競技団体との連携を強化すべきです。見解を求めます。
 近年、学校現場では教職員不足が深刻化しています。年度初めに教員がそろわない、また、年度途中でも補充ができないケースが散見され、今年度も九月一日現在、都内小学校では百三十名程度の欠員があり、今日に至るまで大きな改善はないと聞いています。
 教員確保に向けて、一度教職に就きながら、親の介護や病気などの理由で退職せざるを得なかった方たちに教員に復帰してもらうという取組も重要だと考えます。現場経験のある教員であれば、即戦力となり、現場の負担軽減にもつながります。
 そこで、例えば、一定のスキルを持つ退職教員が復帰しやすい仕組みを検討し、復帰を力強く後押しすべきと考えます。見解を求めます。
 年度途中に発生する産休、育休などに対する教員の確保も重要です。都議会公明党は、欠員が出た場合、学校側が代替教員を円滑に確保できるよう、都教育委員会による支援とともに、代替教員を速やかに探せるシステムを構築するよう提案してきました。
 代替教員確保のシステムの早期実現とともに、産休、育休は、取得予定が前年度中に把握できるものについては、年度当初から代替となる教員を確保していくことも有効であると考えます。見解を求めます。
 十一月八日、公明党は、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを発表しました。これは、子供の幸せ最優先社会を目指し、少子化、人口減少の克服に向けた具体策を示したものです。
 その中でも、出産前後とゼロから二歳児の伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う事業を先行的に実施するとし、政府の総合経済対策に盛り込まれ、今回の国の補正予算に計上されました。
 国の出産・子育て応援交付金への対応については、国において公明党が主導して実現されたものであります。また、都議会公明党は、地域の総合子育て支援を重要な柱の一つと位置づけ、フィンランドのネウボラを参考にして、切れ目のない子育て支援体制、東京版ネウボラの構築を求め、併せて質問を通し、取り上げ続けてきました。
 それを受け、平成二十七年から都は、ゆりかご・とうきょう事業を開始しました。その後、とうきょうママパパ応援事業として、事業の充実、拡充が図られてきましたが、まさに妊娠期から出産、乳幼児期までの伴走型支援であり、今回の国の伴走型支援のモデルともなり、先行自治体として、その取組が評価されています。
 伴走型支援である、このとうきょうママパパ応援事業と経済的支援と出産家庭のニーズを把握する東京都出産応援事業を、このたびの国の出産・子育て応援交付金を活用して、より充実していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、来年度以降は、ゼロから二歳児の保育において、専業主婦も定期的に利用できる保育制度の創設を前進させていくとしています。
 都議会公明党も、これまで幼児教育の無償化に合わせて、ゼロから二歳児の保育料の無償化を提案し、都は、第三子以降の保育料の無償化、第二子の保育料の半額助成を実現させてきました。
 都議会公明党は、希望する子供の数が二・三二人に対し、東京都の出生率が一・〇八と、全国平均よりもさらに低い現実を踏まえ、第三回定例会代表質問で、ゼロから二歳児の子育て世帯の経済的な負担軽減を主張、知事からは、経済的な面も含め子供を持ちたいという思いを諦めることのないよう、政策分野の垣根を超えて対策を強化し、子供を産み育てやすい社会の実現に取り組んでいくと答弁がありました。
 そこで、第二子以降の子育ての経済的な負担を軽減するためにも、今こそゼロから二歳児の保育料の第二子の無償化に踏み出し、安心して子育てできる社会を実現する取組を行うべきです。知事の見解を求めます。
 次に、幼児教育、保育の充実について質問します。
 先月、都議会公明党は、新宿せいが子ども園を視察し、見守る保育の実践を見学させていただきました。同園は、保育士の見守りや援助の下、子供たちが主体性を持ちながら、他者と共感し、協力的な人間関係を築いて問題解決を図っていくことを基本理念に実践を進めておられます。
 また、第七回東京都こども未来会議では、東京大学大学院の発達保育実践学センターの遠藤利彦教授が講演され、乳幼児期からの家庭外での経験の充実が生涯の土台たる非認知的な心の発達の鍵であるとし、集団共同型保育の重要性について語られました。
 質の高い集団保育は、親の就労の有無にかかわらず、様々な家庭環境の違いを超えて、子供の健全な発育にとって必要な取組であり、本来的に都が取組を進めていくべき重要課題です。
 都は今後、多くの乳幼児が質の高い幼児教育、保育の効果を享受できるような選択肢となる環境を整え、提供していくことができるよう、積極的に取り組むべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、児童相談体制の強化について質問します。
 平成二十八年の児童福祉法の改正を受け、これまでに六つの特別区が区立の児童相談所を設置し、今後も六区が区立児相の具体的な設置時期を表明しています。残る十一区の動向に注目が集まっています。
 都は、自区内に都立児相が存在しない区に対して、希望に応じてサテライト施設の増設を図るなど、相応の配慮をもって臨むべきと考えます。
 一方で、多摩地域では、四か所の都立児相のうち二か所で管轄内の人口が令和三年に国が上限の目安として示した百万人を超えています。区部の児相に比較し管轄区域も広大であり、再編を急ぐべきです。都内全体の児童相談体制の構築について知事の見解を求めます。
 また、現時点でも政令基準に対し約百五十名が不足するといわれている児童福祉司について、確保と育成を急ぐ必要があります。都立児相の優秀で経験を積んだ職員が過度に流出しないよう、都内全体の人材育成と併せて対策の強化を図るべきです。
 家出などにより都外から居場所を求めて都内に移り、都心の繁華街に集まる子供たちという新たな課題も生じています。こうした子供たちを保護した場合は、住民登録のある他県の児相に移送することが担当児相の職員の大きな負担になっています。
 このような事態に対応するべく、都が協定を結んだNPO法人が職員に同行して負担の緩和を図る取組を開始しており、こうした民間の力の活用も図るべきと考えます。
 児童相談所の人材確保と育成に向け、児童福祉司の中長期的な確保、育成に取り組むとともに、NPO法人等の民間事業者と連携した取組を進めるべきと考えます。併せて知事の見解を求めます。
 増加を続け、複雑かつ困難化する相談事案に少ない人員で対応するためには、児相業務のデジタル化が有効です。サービスの質の向上にもつながるものと期待されます。
 児童相談所の相談内容や、保護者に対する費用請求などのデータ量は膨大であり、とても貴重なものです。しかし、現状では、データ同士のクロス集計を行うとすれば、CSVなどの形式で抜き出し、手作業で解析しなければならず、実務上は対応困難です。
 児童相談所が保有するビッグデータを活用した様々な分析においても、さらには、区立児相への相談ケースの円滑な移管においても、職員の業務負担を軽減できるよう、現状の課題を踏まえ、現行のシステムの改善を図るべきです。見解を求めます。
 次に、東京ささエール住宅の充実について質問します。
 都議会公明党は、国の補助制度の活用促進に加え、登録協力報奨金制度の創設を提唱するなど、事業を後押ししてきました。
 また、都も、今年三月に策定した住宅マスタープランで、住宅確保要配慮者のみが入居可能な専用住宅について、二〇三〇年度末までに三千五百戸を登録する目標を掲げるなど、取組の強化を図っています。
 そうした中、不動産業界団体からは、貸主の立場に立った魅力的な制度とするように国への制度改善を働きかけるとともに、登録に向けた支援を一層充実してほしいとの要望が届いています。専用住宅の拡大をさらに図るためには、これらの要望も踏まえ、より一層強力なインセンティブが必要と考えます。
 そこで、貸主や不動産事業者など、セーフティーネット住宅に関わる多岐に及ぶ関係者への支援が重要であり、とりわけ貸主への直接的なインセンティブを強化するべきと考えます。見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 近年は豪雨が激甚化、頻発化しています。知事は所信表明で、都市強靱化プロジェクトを年内に策定して、都民の命、暮らしを守り抜くと決意を述べていますが、豪雨から都民を守る取組として大きな期待が寄せられているのが調節池の整備です。
 都はこれまで、二〇二五年度までに総容量約百十万立方メートルとなる調節池の新規稼働を目指して整備を進めるとともに、新たな調節池の事業化も検討していますが、豪雨災害から首都東京を守っていくためには、調節池の整備をさらに加速して安全性を向上させることが重要であると考えます。見解を求めます。
 都内で大規模な水害が発生すると、都の高潮浸水想定区域図によれば、区部では十七区の約二百平方キロメートルが浸水し、約四百万人に影響を与えます。
 一方、直近の広域避難計画策定支援ガイドラインによれば、江東五区などの東部低地帯域では、浸水が長期間継続し、自宅などから避難が必要な人が二百六十九万人、そして、屋内にとどまることが可能でも浸水区域にいる人は百二十六万人となり、計三百九十五万人の人々に甚大な影響を及ぼします。広大な浸水地域で多くの都民が孤立化すれば、健康障害や命の危険性が生じる可能性もあります。
 都議会公明党は、二〇一六年の緊急提言や、本会議や委員会などで、大規模な水害時における排水作業の重要性を指摘し続けており、都が本年八月、東京都における排水作業準備計画を作成したことは評価いたします。
 しかし、計画を実行するために、排水ポンプ車の護岸や堤防などへの配置、具体的な訓練の実施、排水機場を確実に稼働させる体制の整備、国や自治体などとの緊密な連携などの取組を速やかに具体化すべきです。見解を求めます。
 被害想定の見直しを踏まえた、都内建造物に対する都の耐震化補助の見直しを急ぐ必要があります。
 我が党は、昨年の第四回定例会の代表質問で、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化で効果を上げている区市町村との連携を一般緊急輸送道路にも拡大するよう提案しました。
 また、今年の第三回定例会の代表質問で、昭和五十六年以降に建築された新耐震住宅での耐震上の課題に言及し、新たな補助制度の確立を求めました。
 昭和五十六年以降で平成十二年までに建築され、耐震性が不足すると見込まれる住宅の数は推定で二十万から二十五万戸といわれており、対策は急務であります。
 都は、令和五年度の早期から新耐震住宅への耐震診断や耐震化工事の補助を実施できるよう取り組むべきと考えます。一般緊急輸送道路沿道の建造物への取組の状況と併せて見解を求めます。
 次に、スタートアップについて質問します。
 都は、新たなスタートアップ戦略を発表しました。スタートアップの生み出すイノベーションを様々な社会課題の解決につなげていくことは重要であると考えます。
 都政は幅広い分野にわたっている一方で、これまでスタートアップとのなじみがない局も多いと思います。戦略を契機に、庁内横断のチームが全庁に横串を刺し、スタートアップとの協働が都政全体に広がるよう取組を進めるべきであると考えますが、見解を求めます。
 次に、東京しごとセンターの機能強化について質問します。
 飯田橋の東京しごとセンターでは、就職相談、キャリアカウンセリング、就職支援セミナー、企業合同就職面接会などが実施され、利用者からは高い評価を得ており、さらに、仕事に必要な知識や技能を習得する訓練を実施し、高い就職率を誇る職業能力開発センターの役割も就職支援として欠かせません。
 現在、職業能力開発については、主に高齢者向けに東京都職業能力開発センター高年齢者校が東京しごとセンター内に設置され、ヤング、ミドル世代は、改めて都内十二か所にある東京都職業能力開発センターを受講しなければなりません。利用者からは、ヤング、ミドル世代についても、東京しごとセンター内において職業能力開発が行われれば大変にありがたいという声が寄せられています。
 現在、東京しごとセンターはリニューアルを進めている最中ですが、東京都職業能力開発センター高年齢者校は新宿に移転しています。この改修を機に、従来から要望のあった高齢者のみならず、ヤング、ミドル層についても東京しごとセンターと同じ施設で職業能力開発ができるように機能を強化し、真のワンストップサービスの提供を実現すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、現在十三か所ある職業能力開発センター等は、五十年以上経過している校もあり、老朽化が進んでいます。
 利用者によりよい環境で訓練を受けていただくためにも、順次、建物の建て替えと設備についても更新を行っていくとともに、その更新の機を捉え、就職をサポートする機能も強化していくべきであります。見解を求めます。
 次に、デジタル人材育成について質問します。
 国では、公明党の要請を受け、四月に女性デジタル育成プランを策定いたしました。本プランは、コロナ禍で厳しい状況に置かれている女性などを対象に、デジタル分野のスキル向上と就労を支援するものとなっており、女性デジタル人材を育成する計画的な取組を進めています。
 今後、より一層、女性の活躍を進めていくためには、女性デジタル人材の専門性を高め、所得をさらに引き上げていけるよう、スキルアップの支援を強化していくことが重要です。
 そこで、都は、女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるように支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、行政サービスのデジタル化について質問します。
 公明党が取り組む女性のための政策応援プロジェクト、ミラコメでは、本年春、都民向けウェブアンケートを行い、デジタルなどの重点政策について約百九万件もの応援が寄せられました。
 一方、都では、都議会公明党の提案を受けて、本年二月に都営住宅の毎月募集の申込みをオンライン化したところ、九割以上の方がオンライン申請を利用しています。
 このように、デジタルを活用した行政サービスへの都民の期待度は非常に高く、加えて、都民のスマートフォン保有率は八割を超えており、スマートフォンで簡単かつ便利に行政サービスを使えるようにすることも重要です。
 政策応援プロジェクト、ミラコメでは、小池知事に対して、健康、防災、移動、教育など六分野の施策をデジタルの力で充実させるべきとの提案を行いました。
 都政の様々な分野でデジタルの力を最大限に活用した取組が進められるべきであり、デジタルサービス局が各局を支援し、都のDXを推進していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けた施策について質問します。
 住宅等の一定の新築建築物に太陽光パネルの設置など環境性能の向上を求める環境確保条例の改正案が本定例会に提出されました。
 これに先立ち、我が党は、事業者や都民の皆様からの様々な声を受け、必要な支援策を実施するよう緊急要望を行いました。
 住宅等への太陽光発電設備の設置は、初期費用負担が増えるといった課題があります。リースや電力販売など、第三者所有による太陽光発電設置の初期費用ゼロスキームは、その課題に対応するものですが、三キロワット以下の設置では事業採算性が厳しく、事業者が提供する商品プランの数が少ない上に、プラン提供を開始するとしても、その準備に一定の時間を要すると聞いています。
 太陽光発電設備の設置拡大に向けては、低容量の太陽光発電設備を設置する事業者への支援につながる初期費用ゼロスキームを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 新制度については、制度内容や太陽光パネルの土地や取扱い等に対する問合せが多く来ていると聞いています。
 一方、都では、環境性能の高い住宅を建築する都民、事業者に向け、様々な支援策を行っています。こうした情報を全て一か所の窓口で得られれば、都民、事業者の利便性は非常に高まるのではないかと思います。
 そこで、ワンストップ相談窓口を速やかに設置し、こうした様々な問合せ等に的確に対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 都は、環境性能の高い戸建て住宅及び集合住宅の普及を図るため、都独自の基準を定め、建築費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。断熱、省エネ性能の水準に応じて、その費用を支援する本事業は非常に好評と聞いております。
 一方、今後さらなる普及が期待される蓄電池は、いまだ高額で導入が進んでいないのも事実です。今後、東京ゼロエミ住宅などの環境性能の高い住宅を増やしていくためには、さらなる支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、生物多様性の保全について質問します。
 本日十二月七日から、生物多様性条約第十五回締約国会議、COP15がカナダのモントリオールで開催されます。
 生物多様性は、様々な生き物の生息、生育基盤となるだけでなく、人間の生活に欠かせない食料、水の供給、気候の調整や大雨被害の軽減などの恩恵を与えてくれています。
 東京においても、奥多摩の森林や丘陵地の里山、市街地における農地や屋敷林、企業の緑地、公園など、多様な生態系から様々な恵みを受けています。
 生物多様性保全に当たっては、自然公園や条例に基づく保全地域、農地や森林、公園、緑地など、庁内の多くの部局が関わることから、気候変動対策と同様に、知事のリーダーシップにより全庁的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 科学者による国際組織の報告書では、人間活動の影響により生物種の絶滅が加速し、このままでは生物多様性の恵みを受けられなくなる危機的状況と指摘しています。
 再エネ電力の普及や脱炭素化の実現に向けたESG投資が急速に拡大するなど、気候変動対策の重要性は、都民や企業にも浸透してきている一方で、生物多様性の保全は、その重要性や危機感が認識されておらず、都民や企業の行動につながっていないのが現状です。
 そこで、都は、都民や企業など、様々な主体に広く生物多様性の価値やその意義を伝え、生物多様性の保全、回復に貢献する行動を促進していくべきです。見解を求めます。
 次に、芸術文化について質問します。
 都は本年、東京文化戦略二〇三〇を策定しました。芸術文化政策を推進するに当たって、都議会公明党は、昨年の第四回定例会代表質問で、アーティストが必要とする情報を分かりやすく手軽に入手できるよう一元的な窓口の整備を求め、さらに、本年の予算特別委員会で、アーティストの様々な相談に対して、ワンストップで対応を可能とすべきと提案しました。
 今後、東京を芸術文化で躍動させていくためには、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援し、積極的なサポート体制構築に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 また、地域において多様な芸術創造活動をされている方々の力も、東京の芸術文化の魅力向上に大きく寄与しております。
 都議会公明党は、本年の第一回定例会代表質問で、地域で芸術文化の裾野を広げるために活動されている方々や団体への支援を求めましたが、今後も多くの方々にとって使い勝手のよい支援を充実させていくべきであります。見解を求めます。
 さらに、子供たちが芸術文化に親しむ機会を創出していくことが重要であります。都議会公明党はかねてより、この点について言及してまいりましたが、今後、芸術文化団体等と積極的に共同し、子供の芸術文化体験をさらに充実させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都市農業について質問します。
 都は、都市農業の振興に向け、二〇一七年に東京農業振興プランを策定しました。東京二〇二〇大会を経て、世界に向けて東京の魅力を発信する中、大都市東京における持続的な都市農業の展開は、東京の魅力向上のために一層寄与するものと考えます。
 都市農業を発展させていく上で、農地の確保を図っていくことはもちろんのこと、農業を担う人材の育成が極めて重要であります。
 都では、東京農業アカデミーを開設し、都内で就農を目指す方の育成に取り組んでおりますが、担い手の確保に当たっては、まずは気軽に農業に触れる機会を積極的に提供し、農業に関心を持ってもらう中で、就農へいざなう取組を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 東京二〇二〇大会では、東京の農業を発信すべく、東京都独自のGAP認証制度を取得した農家が育てたコマツナやトマトが選手に提供され喜ばれましたが、GAP認証制度の取組は着実に進めていく必要があると考えます。
 国は今後、国際水準GAPに取り組むべく、都道府県GAPの国際水準への引上げを図っていく方針を打ち出しました。
 こうした流れを踏まえ、東京都GAP認証制度の見直しを行うとともに、農業者に対する制度の普及啓発や取得に当たっての経費負担の軽減を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、運転免許証更新について質問します。
 運転に不安を感じる高齢者が運転免許証を自主返納した際に受け取れる運転経歴証明書を提示することで、自主返納サポート協議会の加盟店で眼鏡や補聴器の購入費やタクシー料金の割引等、様々な特典を受けることができます。
 一方、運転免許を更新する場合、七十歳以上の方は高齢者講習を、そして、七十五歳以上の方は高齢者講習に加えて判断力等を測る認知機能検査が義務づけられています。
 本年十月末現在、高齢者講習の平均予約待ち約五十四日、認知機能検査においては約十四日と聞いています。他県では、受講、検査日時をあらかじめ指定して通知する方式を導入し、待機期間の短縮をした好事例もあり、警視庁においても同様の方式を実施することを要望します。
 受講場所の増加や指定教習所の受入れ枠の拡大を進めていくべきと考えますが、警視庁の見解を求めます。
 また、認知機能検査について、都議会公明党はこれまで、検査時間の短縮のためタブレット端末の早期導入を求めてまいりました。これを活用すれば、検査しながらの採点が可能となり、実施人数枠の拡大が見込めます。可及的速やかにタブレット端末を導入した認知機能検査を実施すべきと考えますが、警視庁の見解を求めます。
 次に、都営大江戸線への女性専用車両の導入について質問します。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、二〇〇五年に都営新宿線に導入されました。また、本年の代表質問、予算特別委員会においての我が党の質問に対し、交通局長から、都営大江戸線への導入を検討していくとの前向きな答弁がありました。
 こうした中、来年一月十八日から、大江戸線で女性専用車両の運行を開始するとの発表が先日行われたところであり、高く評価するものです。
 誰もが利用する公共交通機関であるからこそ、女性専用車両の運行について、多くの方の理解や協力を得ていくことが重要であると思います。大江戸線での女性専用車両の円滑な運行に向けて、啓発を強化するなど、より多くの方に共感いただけるよう取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、五輪テスト大会における株式会社電通などの談合事件について質問します。
 東京二〇二〇大会は、多方面の関係各位の多大なる尽力により、大成功に終えることができました。大会終了後の世論調査においても、オリンピックについては、六〇%の方が、パラリンピックについては、七〇%の方が開催して良かったという回答があり、多くの方に感動を与えた大会となりました。
 そのような中、大会組織委員会の元理事であった高橋氏が東京二〇二〇大会をめぐる汚職事件で、四度にわたり逮捕、起訴されたことは本当に残念であり、多くの方の努力を一瞬にして消し去ったといっても過言ではありません。
 さらに今回、五輪のテスト大会において電通などによる談合事件が発覚しました。今回の問題は、今まで都が、個人の問題であると片づけてきた理屈は成り立ちません。まさに組織の構造がもたらした問題であります。
 都議会公明党はこれまで、組織委員会や都に対し、組織委員会の発注者側に電通が入り、受注者側に電通が入れば、必ず癒着が起きる、そのため、この構造を変えていく必要があると申し上げてきました。組織委員会や都は、必ずといっていいほど、電通の協力なくして今回の大会は運営できない、今さら外すのは無理だという回答でした。まさに、今回の談合事件は、こういった構造がもたらしたものであり、本当に残念で仕方ありません。
 有識者などからは、第三者によるチェック機関を入れるべきであったとマスコミ等でコメントしていますが、今大会の組織委員会には、第三者のチェック機関として、監査法人による会計監査も行われていました。この監査法人は、十年間の組織委員会の決算における監査報告書で、全て適正意見を述べていました。
 したがって、都はこの事件について、潮田副知事を責任者とする調査チームを立ち上げましたが、十年間にわたって適正意見を表明してきた監査法人へのヒアリングも行うべきであります。そして、チームの調査結果を議会に報告すべきであります。知事の見解を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) まつば多美子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、盲ろう児への支援についてのお尋ねでございます。
 視覚と聴覚の両方に障害を併せ持ち光と音が失われた盲ろう児は、日常の様々な場面で困難や苦労を抱えておられます。
 このような子供たちにとって、できるだけ早くから、生活する力を身につけ、言語を習得する、そのことは自らの未来を切り開くことにもつながります。
 このため、都は、様々な相談対応や必要な情報提供などを行う中核的な機能の整備に向けまして、今後、具体的な検討を進め、難聴児や聴覚障害児とともに、盲ろう児を乳幼児期から切れ目なく支援してまいります。
 どんなに障害が重くとも、一人一人が輝き、誰もが自分らしく暮らせる社会、こうした社会の実現を目指してまいります。
 次に、子育て施策の充実についてであります。
 次の世代を担う子供たちは、未来そのものであり、望む人誰もが子供を産み育てやすい環境を整え、可能性にあふれる子供たちの成長を支えることは、最大の未来への投資であります。
 人口は国家の最も基本的な要素であり、少子化からの転換は待ったなしといえましょう。
 都はこれまでも、第二子、第三子以降の保育料負担軽減におきまして要件を緩和するなど、妊娠、出産や子育てを積極的に支援し、国をも先導してまいりました。
 コロナ禍や物価高騰など、子供や子育て家庭を取り巻く環境は厳しさを増す中、不安に寄り添いながら、時代に合った支援をあらゆる側面から講じていかなければなりません。
 都は、これまでの取組や現状を踏まえまして、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、子育て対策の充実について具体的に検討してまいります。
 次に、幼児教育、保育の充実についてのお尋ねがございました。
 私は、就任直後から待機児童の解消に取り組んでまいりました。待機児童数は九割以上減少しまして、量の課題への取組は大きく進展をいたしました。
 これまでの取組に加えて、子供を客体としてではなく主体として捉えて、チルドレンファーストの視点から、幼児教育、保育のさらなる質の向上を図っていくことが重要であります。
 親の就労の有無という親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から、幼児教育、保育の在り方を捉え直していくことが今まさに求められております。これは、私たちの果たすべき未来への投資そのものであります。
 全ての乳幼児が、多彩な経験に触れ合うことのできる仕組みなど、乳幼児期の子供の育ちを支える取組の抜本的な充実を図ってまいります。
 次に、児童相談体制についてであります。
 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するためには、東京全体で児童相談体制の強化が必要であります。
 都はこれまで、児童福祉司などを増員するほか、区市町村の体制充実を図るため、関係機関との連携や調整を担う虐待対策コーディネーターの配置を支援してまいりました。
 また、虐待予防の観点から、妊婦や子育て家庭に対しまして効果的な支援を行えるよう、子育て部門と母子保健部門との連携を強化する取組も進めております。
 今後、区市町村の意見や、今年度実施した調査結果、児童相談所の設置基準なども踏まえまして、多摩地域における新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し案を取りまとめます。
 また、サテライトオフィスの設置を推進するなど、地域の実情に即したよりきめ細かな児童相談体制を構築してまいります。
 次に、都の児童相談所の体制についてでございますが、都は、児童相談所の体制を強化するため、人材の確保や育成、民間事業者の活用をした取組を進めております。
 人材の確保につきましては、児童相談センターに専任チームを設置しまして、大学等への訪問などの採用活動を積極的に展開しまして、今年度、児童福祉司を三十六名増員いたしました。
 また、人材育成に向けまして、トレーニングセンターを開設し、ロールプレーイングによる面接技法の習得など実践的な研修を行っております。
 さらに、職員の負担軽減を図るため、民間事業者の協力を得ながら、他の自治体等へ児童を移送する取組も始めております。
 来年度、こうした民間事業者のさらなる活用に向け検討するなど、児童相談所の体制を一層強化してまいります。
 次に、就職支援と能力開発の連携についてでございます。
 産業構造の転換によって将来の成長が期待される産業や、医療や介護など人手不足が続く事業分野におきまして、求職者が様々なスキルを身につけた後に、生き生きと活躍できるよう支援することは重要でございます。
 求職者をサポートするため、しごとセンターでは、本人の希望や状況を聞き、様々な企業を紹介し、就業に結びつけています。
 職業能力開発センターにおきましては、幅広い業種からのニーズを受け止めまして、仕事で必要となる技能を丁寧に指導しております。
 しごとセンターを訪れる様々な方が、これからの成長産業などに確実に就職するため、個々人の意欲や適性に応じまして職業訓練を受け、技能を身につけるよう働きかける取組は重要であります。
 また、多様な求職者が、職業能力開発センターの訓練の内容に触れ、技能を学ぶ必要性を感じ、能力開発に進んで取り組むよう後押しをすることも大切でございます。
 今後は、幅広い世代の方から就業の相談を受けるしごとセンターが、職業能力開発センターを通じたスキルの習得に向けた橋渡しを行うことによって、総合的で一体的な支援の体制づくりを検討してまいります。
 次に、生物多様性保全に向けた取組についてのお尋ねがございました。
 生物多様性は、人間活動の影響によって、気候変動とともに地球規模の深刻な環境問題として、世界全体で対策の必要性が急速に高まっております。
 都内におきましても、開発による土地利用の変化や侵略的な外来種の侵入などによる生物多様性の損失が課題となっております。
 現在策定中の新たな生物多様性地域戦略におきましては、二〇三〇年の目標として、生物多様性を回復軌道に乗せる、ネイチャーポジティブの実現を掲げております。
 今後、その実現を図るため、保全地域や都立公園の拡大、自然公園や水道水源林の適切な保全など、動植物の生息、生育環境の拡大や向上の取組、これを全庁一丸となりまして力強く推進、そして、都民や事業者など様々な主体と共に自然と共生する豊かな社会を目指してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会についてでございます。
 世界に勇気と感動を届けるスポーツの力。その最大の発露となる国際的な大会におきまして最も重要なのは、都民、国民からの信頼であります。
 そうした中、東京二〇二〇大会に関しまして、組織委員会が発注した業務の契約をめぐって、司法当局による捜査が及んだことは誠に遺憾でございます。
 清算法人には、捜査に全面的に協力するよう伝えるとともに、都も、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げております。
 調査チームにつきましては、捜査に支障を来さない範囲で、当該契約に係る手続や意思決定過程の適正性などを確認するため、清算法人の協力を得まして、関係書類の確認や都派遣職員からの聞き取りを行っておりまして、必要に応じて、都派遣職員以外からの聞き取りも検討いたします。
 まずは、しっかりと確認と調査を行って、その結果について、今後の捜査の状況にもよりますけれども、今月中をめどに中間のまとめを行い、都議会へも報告し、公表する予定でございます。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず、高齢者講習の受講場所の増加と指定教習所の受入枠の拡大についてでありますが、警視庁では、高齢者講習の受講待ち日数の短縮を図る取組といたしまして、各教習所別の予約可能日を警視庁ホームページに掲載しているほか、電話による問合せに対して、受講枠が空いている教習所に予約申込みがなされるよう案内を行っております。
 また、今後、高齢者講習の対象者がさらに増加することを見据え、各教習所に対して受入枠をさらに増やすよう申入れを行っているほか、鮫洲及び府中運転免許試験場において高齢者講習の受入人数を増やすなど、引き続き、高齢運転者の免許更新の円滑化に向けた取組を推進してまいります。
 次に、タブレット端末を導入した認知機能検査についてでありますが、警視庁では、現在、タブレット端末を導入した認知機能検査を来年度中に実施できるよう準備を進めているところであります。
 タブレット端末の導入により、検査時間が短縮されるなど高齢運転者の負担軽減につながるほか、検査関係事務の効率化にも資するものと考えております。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、視覚と聴覚の障害を併せ有する子供と教員のコミュニケーションについてでございますが、都立特別支援学校では、教員が、大学の研究者等の助言を得ながら、視覚と聴覚の障害を併せ有する子供に対し、直接手に触れて理解させる触手話、点字、場所や物などを立体的に表したカードなどを組み合わせ、工夫してコミュニケーションを図っております。
 都教育委員会は、こうした効果的な指導事例を積み重ね、特別支援学校において活用できるようにすることにより、教員の指導力を向上させてまいります。
 次に、教員経験者が復帰しやすい仕組みについてでございますが、一度退職した教員経験者は、現場ですぐ力を発揮できる貴重な人材であり、そうした方々が復帰しやすい仕組みを整えることは重要でございます。
 現在、都教育委員会では、都の公立学校教員経験者が介護等で中途退職後、改めて教員を目指す場合、採用選考の一部免除を行っていますが、今後、さらに受験しやすい選考制度や、合格後の支援策について検討し、経験者の復帰を促してまいります。
 次に、産休、育休代替教員の確保についてでございますが、都教育委員会は、代替教員の確保及び円滑な配置を図るため、今年度から選考を通年実施としたほか、学校に代わって候補者との折衝を行う支援を開始いたしました。また、学校と候補者をマッチングするシステムの開発準備を進めており、早期の稼働に向けて取り組んでまいります。
 前年度中に把握できる産休、育休については、現在、文部科学省において、五月から七月に取得する産休、育休を対象として、年度当初から代替教員を配置する支援策が検討されているところであり、国の動向を踏まえ対応を検討してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調節池整備のさらなる推進についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 都はこれまでに、二十七か所、総容量二百六十四万立方メートルの調節池を整備しております。
 また、現在、八か所で工事を実施しておりまして、このうち境川木曽東調節池では、取水開始時期の前倒しを検討し、整備効果の早期発現を目指していきます。
 さらに、「未来の東京」戦略では、二〇三○年度までに約百五十万立方メートル分の新規事業化を掲げ、神田川等九河川で候補地や形式を検討しておりまして、早期の事業化に向け取り組んでまいります。
 今後、こうした取組を加速し、水害に強い都市東京を実現してまいります。
 次に、高潮による水害時における排水作業についてでございますが、大規模水害時に早期に復旧、復興を図るためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要でございます。
 このため、都は、本年八月に浸水時において、排水機場などの施設へ燃料を補給するルートや、施設を補完するための排水ポンプ車の運用方法などを取りまとめた東京都における排水作業準備計画を作成いたしました。
 今後は、本計画に基づき、新たに浸水規模に応じたポンプ車の配置場所及びアクセスルート等を定める図上訓練や、地元区等と合同で、堤防上などでの実際の排水作業を想定したポンプ車の実地訓練を実施してまいります。
 引き続き、水害に強い都市東京の実現に向け、災害対応力の強化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京おこめクーポン事業についてでございますが、都は、物価高の影響を受けやすい高齢者を含めた低所得世帯の生活を支援するため、国産の米や野菜などの食料品の配布に要する経費を補正予算に計上しております。
 本事業では、食料品と引換え可能なクーポンを対象世帯に配布し、対象者がクーポンを利用して専用サイトまたははがきで申し込むことにより、一世帯当たり米二十五キログラム相当の食料品を対象者に届ける予定でございます。
 食料品を自宅に配送することで、高齢者等の買物にかかる負担を軽減するほか、対象世帯の生活状況に応じ、複数回の配送や、米や野菜等の複数のメニューから選択できる仕組みも検討してまいります。
 補正予算成立後、速やかに事業者や区市町村等と調整し、来年二月からの事業開始を目指し準備を進めてまいります。
 次に、盲ろう者のコミュニケーションについてでございますが、視覚と聴覚の障害が重複している盲ろう者は、一人一人の障害に至った経緯や状態等により、触手話や指点字など、用いるコミュニケーション手段も様々でございます。
 このため、都は、盲ろう者支援センターにおいて、盲ろう者が自身に合ったコミュニケーション方法を学ぶ訓練や、盲ろう者への教育や支援に関わる職員等が的確な支援方法などを学ぶ研修を実施してございます。
 盲ろう者に関わる職員等がコミュニケーションをより適切に図れるよう、今年度実施した盲ろう者の支援ニーズに関する調査を踏まえ、研修の充実に向け検討し、盲ろう者が円滑に意思疎通できる環境整備を一層進めてまいります。
 次に、盲ろう者向けの情報保障機器についてでございますが、都は、障害者IT地域支援センターにおいて、視覚や聴覚などに障害がある方のコミュニケーションを支援するデジタル機器を展示して普及を図るほか、障害者の相談支援や機器等の給付に関わる区市町村職員等を対象とした研修を実施してございます。
 近年、デジタル技術の進歩などによりまして、障害者の日常生活や社会活動を支える様々な製品が開発されており、盲ろう者のコミュニケーションを支援する機器や用具についても製品化が進んでおります。
 こうした状況を踏まえ、今後、最新機器の情報等に関し、区市町村との意見交換の場や、より幅広く紹介する機会を設けるなどの検討を進め、盲ろう者を含めた障害者の情報保障機器の取組を推進してまいります。
 次に、国の出産・子育て応援交付金の活用についてでございますが、都は、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援しており、令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、家事育児サポーターを導入するなど支援を充実してございます。
 この事業では、妊婦面接時や一歳または二歳の子供を育てる家庭に育児用品等を提供し、家庭状況を把握して必要な支援を行っており、伴走型相談支援と経済的支援とを一体で実施する国の出産・子育て応援交付金は、こうした都の取組の後押しにもつながるものでございます。
 子供を産み育てる家庭を支援するため、とうきょうママパパ応援事業及び東京都出産応援事業のさらなる充実に向け、区市町村の意見も聞きながら、国の事業の活用を検討してまいります。
 最後に、児童相談所のシステムについてでございますが、都は、平成十四年度に、児童相談所情報管理システムを導入し、児童相談業務や里親に関する業務、措置費の費用徴収に活用してございます。
 本システムは、度重なる改修により複雑化し、更新費用の増大が見込まれることや、多様な決済方法への対応、ペーパーレス化などの課題がございます。
 この課題に対応するため、新システムに再構築することとし、あわせて、大学提案事業での検討を踏まえ、入力項目を標準化し、虐待リスク判定機能を追加するなど、児童相談業務等の効率化を図ってまいります。
 今年度、現行システムの問題点を抽出した上で、解決策などを盛り込んだ基本構想を検討しており、令和八年度の新システムの導入を目指して取り組んでまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナに係る療養体制の確保についてでございますが、都は、医療機関に病床確保を要請し、医療機関から確保可能な病床数の報告を受け、都と医療機関との合意の下、実効性ある病床確保に努めております。
 改正感染症法には、都道府県と医療機関との病床確保に関する協定等が規定されておりまして、都がこれまで培ってきた経験を基に、確実な確保に取り組んでまいります。
 また、高齢者の療養環境の確保につきましては、高齢者等医療支援型施設を新たに四施設開設したほか、回復期支援病院の診療科やリハビリの内容などの情報を集約し、転院元の病院に提供するなど、コロナ回復後も入院が必要な個々の患者の状態に応じた転院を円滑に進めてまいります。
 今後、医療機関とさらに緊密に連携しながら、高齢者の療養環境など必要な体制を確保してまいります。
 次に、新型コロナの経口薬等についてでございますが、都が宿泊療養施設等を治験の実施場所として提供するなど開発に協力してきた国産の経口薬が、先月薬事承認されました。
 この経口薬は、重症化リスク因子のない方も服薬可能であり、軽症、中等症患者の治療の選択肢を広げ、感染症対策と社会経済活動との両立を図る上で有効であることから、都は、国に必要十分な量の確保を求めてまいります。
 また、新型コロナの位置づけにつきまして、都は、ウイルスの特性に応じた見直しを国に重ねて求め、先般、改正感染症法に速やかに検討する旨の規定が加えられ、国で見直しの議論が開始をされました。現在、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられていることから公費負担となっている医療費などについて、今後、自治体等の意見を十分に聞き、検討を進めるよう国に求めてまいります。
 最後に、帯状疱疹についてでございますが、都は、帯状疱疹に関する正しい知識を持って予防することが重要との観点から、その原因や症状、予防方法等の情報を本年八月からホームページで広く発信をしております。
 発症を防ぐワクチンにつきましては、現在、国の厚生科学審議会において定期接種化に向けた検討が行われており、罹患率など疾病による健康への負荷が明らかとなりました。
 審議会では、期待される効果や対象年齢に関して引き続き議論を進めていくこととされており、都は、国に対して検討の促進と適時の情報共有を求めております。
 こうした国の動向を踏まえ、都におけるワクチン接種費用の助成につきましては、先行自治体の事例も参考に、区市町村への支援の検討を進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二五年デフリンピック大会についてですが、大会成功のためには、多様な関係者が協力してつくり上げていくことが重要でございます。
 先月、全日本ろうあ連盟等の関係者と共に大会開催に向けた準備運営体制に関する検討会を立ち上げました。検討会におきましては、デフリンピックは日本初開催であり、デフスポーツの国際大会の開催経験が少ないことから、全日本ろうあ連盟、東京都、国やスポーツ団体が連携して体制を構築することで一致をいたしました。
 今後、関係者間で大会にふさわしい準備運営体制やコンプライアンス等の議論を深めるとともに、課題を整理、共有し、より詳細なスケジュールを作成するなど大会準備を着実に推進してまいります。
 次に、アーティスト等の活動支援についてでありますが、東京の多彩な文化や芸術を支える担い手の裾野を広げるためには、芸術文化に関わる人々の持続的な活動を支えることが重要でございます。
 都はこれまでも、様々な助成を行うほか、これらの情報をホームページにより分かりやすく発信するなどアーティストや芸術文化団体への支援に取り組んでまいりました。
 今後はさらに、創作活動を継続するための様々な相談に対応するほか、国の助成事業なども含む一元的な情報発信や自立的な活動を後押しするための資金調達に関する講座事業などアーティスト等の活動を支援するサポートセンターの設置などについて検討してまいります。
 次に、地域の芸術文化活動に対する支援についてでありますが、地域の芸術文化団体やアーティストが活躍し、都民が身近な場所で芸術文化に触れることができる環境をつくることは、都民の鑑賞や参加の機会を広げるためにも重要でございます。
 今年度、芸術文化の魅力を創出するための助成事業を開始し、地域住民が中心となって企画、運営したマーチングフェスティバルや、市民とアーティストが連携したまち中での人形劇の公演など、多くの団体等の活動を支援いたしました。
 今後は、地域の文化活動の発展につながるよう、芸術文化に対する助成事業の対象を広げるなど支援の枠組みの拡充を検討してまいります。
 最後に、子供の芸術文化体験についてでありますが、劇場や音楽ホールなどの芸術文化資源が集積し、日々演劇やミュージカル、音楽コンサートなど多様な演目が上演されていることは東京の大きな魅力の一つであります。
 こうした環境を生かし、小さな頃から劇場に足を運ぶなどその生の魅力に触れることは、子供たちの芸術文化を愛する心を育み、将来にわたるファンを生み出すことにつながります。
 そのため、芸術文化団体と協力し、舞台などを支える人々の仕事や作品の背景などに触れ、子供たちが芸術文化を深く理解できるよう、教育庁とも連携しながら仕組みを検討してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 専用住宅の登録に向けた貸主支援についてでございますが、住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅は、入居中の事故やトラブルのほか、空室リスクなど貸主に様々な不安があるとの不動産業団体からの意見もございまして、登録を進めるにはその不安軽減を図ることが必要でございます。
 これまで都は、国の補助制度を活用いたしまして、貸主に対し補助を行う区市への財政支援や、都独自に不動産事業者等に対する登録協力補助を実施するほか、要配慮者の実情等を踏まえた補助要件の緩和を国へ働きかけてまいりました。
 今後は、これらの取組に加えまして、要配慮者の入居支援や見守り等を行う居住支援法人との連携強化のほか、貸主にとって分かりやすくメリットのある支援策を検討いたします。
 こうした貸主等への幅広い支援を通じ、専用住宅の登録を着実に増やしまして、要配慮者の居住の安定を確保してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 建築物の耐震化の取組についてでございます。
 平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅のうち、耐震性が不十分な住宅は、住宅・土地統計調査を基に推計すると、都内に約二十万戸と見込まれます。
 地震による被害をさらに軽減させるためには、これらの住宅についても耐震化を進める必要があり、都は、耐震診断や改修等の助成を行うなどの支援策を検討しております。
 また、一般緊急輸送道路沿道建築物については、所有者へ個別訪問を行い、助成額を引き上げる区市町村に対し、今年度から新たに補助を拡充したところ、六区市が活用することとなっており、より多くの区市町村の活用に向け、引き続き働きかけてまいります。
 今後とも、安全な都市の実現に向け、建築物の耐震化に取り組んでまいります。
   〔政策企画局スタートアップ戦略担当局長吉村恵一君登壇〕

○政策企画局スタートアップ戦略担当局長(吉村恵一君) スタートアップとの協働についてのご質問にお答えいたします。
 変化の激しい現代において、社会のニーズを機微に捉え、新たな価値を生み出すスタートアップと都が協働することは、東京の未来を切り開く上で重要でございます。
 そのため、八月に編成した庁内横断型のチームが民間支援拠点に設けた出島に常駐し、官民協働をキーワードに様々な関係者とフラットな議論を重ね、公共調達など幅広い取組を戦略に盛り込みました。
 今後、スタートアップに提供する都政フィールドの大幅な拡大に向け、幅広くアイデアやサービスを提案する新たな枠組みを設けるとともに、各局の現場ニーズを掘り起こし、マッチングを促進してまいります。
 庁内横断チームが、各局とスタートアップとの結節点となり、都政における協働を強力に推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、職業能力開発の施設や設備についてでございますが、東京の産業の新たな担い手を育成するために、職業訓練を行う環境の充実を図り、その中で就職をサポートする態勢を整備することは重要でございます。
 これまで都は、職業能力開発センター等におきまして、ものづくりやサービス提供の現場で必要となる最新の知識や技能を学ぶことができるよう、施設や設備の更新を図ってまいりました。また、施設を更新する場合、就職をサポートする相談スペースなどの確保を行う工夫も進めてきたところでございます。
 今後、築年数の経過した施設や訓練ニーズの変化に伴い新たな機能が必要となった設備について着実に更新を行うほか、これに合わせて、就職相談などをきめ細かく実施する環境の整備も検討いたします。
 これらの取組によりまして、受講生にとって利用しやすい職業能力開発の支援を進めてまいります。
 次に、女性のデジタルスキルの習得支援についてでございますが、非正規で働く女性の方が、高度なデジタルスキルを習得して、これからの成長が見込まれるDX関連の業界で正社員として活躍することは重要でございます。
 これまで都は、出産や育児等によりまして退職した後に再就職を目指す女性などに対し、事務処理ソフトの基本操作を学ぶ訓練を託児サービスのある会場で実施しております。
 また、今年度から新たに、プログラミングの経験のない方でも簡単に習得のできるローコードを使ったシステム開発を学ぶ訓練を実施しているところでございます。
 今後は、女性が専門的な技能を身につけ、IT企業等に正社員として就職できるよう、より高度なプログラミングの訓練の実施と併せて、就職サポートも行う取組を検討いたします。
 次に、農業に触れる機会を増やす取組についてでございますが、これからの東京の農業の担い手を増やす上で、都民が身近な場で農作業などを体験できる機会を確保する取組は重要でございます。
 都は現在、地元の自治体が生産緑地の購入や借り上げにより住民向けの農園等を開設する場合に、畑地の整備や農機具倉庫の設置などに必要な経費を助成しております。
 今後は、区市町村が公営の施設や未利用地を活用して新たに農園等を開設する場合の支援を検討いたします。また、農業者が体験農園を開いて農作業のスキルやノウハウを住民に提供する場合、その整備や宣伝に係る負担へのサポートも検討してまいります。
 こうした取組によりまして、東京農業の担い手の確保に結びつけてまいります。
 最後に、新たな東京都GAPについてでございますが、東京の農業者がGAPのルールにのっとって、安全で安心な農作物をつくり、生産性の向上を図ることは、消費者の信頼の確保や農業経営の発展に向けた重要な取組でございます。
 これまで都は、国のGAP指針を基に、都市農地と周辺の住宅との良好な関係を確保するため、農薬の利用に工夫を加えるなど独自の仕組みをつくり、農業者への普及啓発や、認証取得の働きかけを行ってまいりました。
 国では、GAPについて経営や労務の管理を充実する国際的な基準の導入を進めております。
 これを踏まえ、都は、国際水準に適合した新たな東京都GAPをつくり、農業者に対する説明を行うとともに、ルール変更に係る負担軽減を検討し、新制度への円滑な移行や新規の認証取得に結びつけてまいります。
 こうした取組によりまして、東京農業の振興を進めてまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) DX推進に向けた各局との協働についてでございますが、都民が簡単便利に質の高いサービスを受けられるよう、都民目線で開発を徹底することが重要でございます。
 これまで、民間登用のデジタル人材の技術支援により、都民が身近に使える防災や水道のアプリ開発、運用支援、保健所のデジタル化などを行ってまいりました。今年度上期の支援実績は二百件を超えてございます。
 今年度は、次年度の予算要求段階から各局と複数回の意見交換を行い、例えば、日本語を母語としない子供などへのオンラインでの学習支援や自転車安全学習アプリなど、都民生活に役立つ様々なサービスを検討しております。
 今後、重要案件を選定し、重点的に支援するなど上流工程から各局DXに参画してまいります。
 デジタルサービス局が旗振り役となって、全ての都民が利便性を実感できるサービスの実現に向け、全庁のDXを牽引してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、低容量の太陽光発電設備に係る支援についてでございますが、太陽光発電の設置義務化に当たっては、狭小住宅が多い東京の地域特性を踏まえた補助制度を展開することが重要でございます。
 このため、都は、今回の補正予算案によりまして、昨年度まで実施していた住宅向け太陽光発電設備の初期費用ゼロスキームへの補助を新たに立ち上げます。
 具体的には、これまで一律一キロワット当たり十万円としていた補助単価を見直しまして、新築住宅への三キロワット以下の設備への補助を十五万円に割り増すなど、低容量の商品プランが提供されるよう支援してまいります。
 新たな補助の対象となるプラン提供事業者の登録は今年度から開始し、事業者の積極的な取組を後押しすることで、住まい手が安心して太陽光発電設備を設置できる環境を整えてまいります。
 次に、都民、事業者等への情報発信についてでございますが、新制度の円滑な施行に向けては、都民や事業者の利便性等を考慮した情報発信を行うことが重要でございます。
 これまで都は、太陽光ポータルサイトや太陽光パネル設置に関するQ&A、補助金、支援策ガイド等の作成など、様々な手法により情報発信を行ってございます。
 今後は、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、断熱、省エネや再エネ設備に係る支援策等、様々な情報をワンストップで提供する総合相談窓口を年明けに新設してまいります。さらに、都の支援策等に加えまして、国や区市町村に係る様々な情報を提供するなど、都民、事業者の利便性の向上に努めてまいります。
 こうした都民、事業者のニーズに応じた仕組みとすることで、環境性能の高い住宅等の建築を促してまいります。
 次に、東京ゼロエミ住宅等の促進についてでございますが、環境性能の高い住宅を普及拡大していくためには、従前の支援に加えまして、太陽光発電や蓄電池の設置実態に応じた支援を講ずることが重要でございます。
 そのため、都は、今般の補正予算案におきまして、集合住宅への導入をさらに促進するため、太陽光発電設備設置時の架台費用を補助対象に追加するとともに、再エネ電力を導入する際の高圧一括受変電設備の費用を最大一千万円支援してまいります。また、蓄電池の設置につきましては、補助率の二分の一から四分の三への引上げや、五キロワットアワー未満の蓄電池を設置する場合の上乗せ補助を実施いたします。
 これらの取組を通じまして、東京ゼロエミ住宅等の普及拡大を図るとともに、今後、新制度と連携した補助制度の在り方を検討してまいります。
 最後に、生物多様性に係る行動の促進についてでございます。
 生物多様性の持続的利用には、都民や企業がその意義を正しく理解した上で主体的に行動することが重要であり、改定中の地域戦略では、行動を促す目標を掲げてございます。
 目標である生物多様性都民行動一〇〇%では、都民に対し、生物多様性への配慮商品や自然体験の情報をホームページ等で分かりやすく発信するとともに、自然体験プログラムの充実による人材育成などを進めてまいります。
 また、Tokyo—NbSアクションの推進では、防災に寄与するグリーンインフラなど、自然を活用して社会的課題を解決する先進的な取組事例を発信し、企業等に対しまして、自然の様々な価値を見える化してまいります。
 こうした取組によりまして、生物多様性の意義を伝え、都民や企業の意識醸成を図ることで、主体的な行動を促してまいります。
   〔交通局長武市玲子君〕

○交通局長(武市玲子君) 大江戸線における女性専用車の導入についてでございますが、女性専用車は、痴漢対策の一環として、お客様のご理解とご協力の下、運行するものであり、来年一月からの大江戸線への導入を機に、女性専用車の趣旨につきまして丁寧に周知していくことが重要と考えております。
 このため、ホームページに導入の目的などに関するQ&Aを追加して内容を充実させるとともに、SNS等で積極的に情報発信いたします。
 また、駅構内や車内での案内放送、中づり広告やポスター、ホームドアのステッカーなど様々な媒体を活用し、ご理解、ご協力いただけますよう呼びかけてまいります。
 あわせて、一月中旬から警視庁と連携した新たな痴漢撲滅キャンペーンを展開するなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりを進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時一分休憩

   午後六時二十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十九番曽根はじめ君
   〔七十九番曽根はじめ君登壇〕

○七十九番(曽根はじめ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 物価高騰とコロナ禍から都民の命と暮らし、営業を守り抜くことが東京の経済を立て直す上でも急務です。生鮮食品、電気、ガス代など生きるために欠かせないものが軒並み大幅値上げで、暮らしと営業を追い詰めています。
 知事は所信表明で、世界の競争力や株価の時価総額ランキングで日本の順位が低いことを挙げ、この現実を正面から受け止めなければならないと述べました。
 しかし、知事が正面から受け止めるべきは、都民の暮らしと営業の現実ではありませんか。
 出費が増えたのに給料が上がらない、年金が減らされ生活できない、バイト代が激減したなどの声がまちにあふれ、多くの中小企業、小規模事業者が廃業の危機にあることを知事はどう受け止めていますか。
 一方、大企業の内部留保は五百五兆円にも及びます。
 知事、適正な内部留保は必要ですが、これほどのため込みは異常だと思いませんか。大企業の内部留保を賃上げとグリーン投資などに使うことが重要だと思いますが、いかがですか。
 消費税の緊急減税は、物価高騰から家計を守り、消費を温めて景気を回復させる効果があることをどう考えていますか。
 都税収入は、法人二税をはじめ過去最高水準が続いています。基金全体の残額も二兆円を超えています。
 住民福祉の増進を責務とする地方自治体として、この財政力を都民の命と暮らし、営業を守り抜くために、来年度予算で思い切って使うことが必要です。見解を伺います。
 具体策について提案します。
 第一に、暮らしの支援です。
 暮らしの逼迫で水道料金の滞納が増えています。ところが、都はこれまで、なるべく給水停止にしないために行ってきた検針員による戸別訪問を非効率だとして、今年度から中止してしまいました。その結果、給水停止件数は昨年度に比べ、倍増しています。
 水が止められたら、お米が配られてもご飯を炊けません。お風呂に入れず、トイレも流せません。給水停止で脅して支払わせるのは、地方自治体がやることではありません。
 上下水道の基本料金を減免する自治体は、九月には全国で約百六十自治体でしたが、今では二百五十を超える自治体にまで広がっています。ご存じですか。速やかに上下水道料金の負担軽減に踏み出すことが必要です。いかがですか。
 国民健康保険料の値上げも深刻です。
 先月末の東京都国保運営協議会に示された現時点の試算では、来年度の一人当たり保険料は、今年度に比べ約一万五千円、八・九%もの大幅値上げとなります。協議会の座長も八・九%増というのは普通はあり得ない、国レベルで変えていくことが必要だと発言しました。区長会なども都の財政支援を求めています。
 都民に過大な負担とならない対策を国に求めるとともに、都として区市町村に対し、国保料軽減のための財政支援をすべきです。答弁を求めます。
 住まいの支援も重要です。
 住宅セーフティーネットの要である都営住宅は、新規建設が二十三年間停止され、何度申し込んでも入れない深刻な状況です。国は新規建設も補助対象としており、沖縄県は県営住宅の新規建設を行っています。
 住宅に困っている人が都営住宅に入れるよう、年間五千戸規模の緊急新規建設を行うことを提案します。いかがですか。若い人にも入居を広げる見直しや毎月募集の戸数をさらに増やすことも重要です。見解を伺います。
 住まいを失った方などの年末年始の居場所が必要です。誰一人取り残さず、温かい場所で過ごせるようにホテルの確保を行うべきです。いかがですか。
 ひとり親家庭の暮らしの困難はとりわけ深刻です。支援団体が行った物価高による影響の調査では、ひとり親家庭の八割が子供の靴や衣類を買えないことがあったと答えています。六割以上の親が自分の食事を減らして、子供にだけは何とか食べさせようとしており、エアコンや暖房を使わない、入浴回数を減らすなどの節約を強いられています。
 自由記述欄には、穴が開いた靴で我慢、肉や野菜が買えない、お金が準備できず修学旅行に行けなかったなどの声が寄せられています。知事、ひとり親家庭のこのような切実な実態をどう受け止めていますか。
 ひとり親家庭を支える児童育成手当の支給額は、二十六年間も据え置かれています。児童育成手当の重要性をどう認識していますか。直ちに引き上げるべきですが、いかがですか。
 子供食堂やフードパントリーへの補助をさらに拡充することも重要です。認識と対応を伺います。
 来年度から子供の医療費助成が十八歳まで広がります。大事な前進ですが、多摩格差解消は知事の公約であり、補助率の引上げを含め、多摩地域でも二十三区と同様、完全無料化できるようにすべきです。見解を伺います。
 また、来年度予算で市町村総合交付金の大幅増額が必要です。いかがですか。
 学校給食は物価高騰の下、深刻な事態に直面しています。果物を半分にした、必要なカロリーの確保は困難になっているなどの声が上がっています。食材費は保護者負担という対応では、給食の質を下げるか、保護者負担を増やすか、どちらかの選択しかありません。
 知事は、こうした現状をどう認識していますか。給食の質の確保も、子育て世帯の負担軽減もどちらも大事ではありませんか。
 葛飾区が無償化に踏み出し、台東区長が物価上昇は看過できないとして、当面の間、保護者負担ゼロで学校給食を提供すると表明しました。清瀬市や青梅市なども時限的な無償化を実施しています。
 同時に、やりたくても財政的に難しい自治体が少なくありません。国、東京都、区市町村が連携した取組が必要です。給食費の無償化に使える臨時交付金の継続を国に求めるとともに、都として区市町村への財政支援に踏み出すべきです。見解を伺います。
 都教委が、米粉パンや地場野菜などを活用した給食への補助を予算要求したことは重要です。この事業で、区市町村に都として補助を出す意義をお答えください。
 第二に、賃金の引上げです。
 急激な物価高騰の下、労働者の賃金の引上げは、生活を守る上でも経済の活性化のためにも待ったなしです。人の力を高め、人の力を引き出すというなら、知事自ら都内の経営者団体に対し、賃金の大幅引上げを要請することが必要ではありませんか。
 東京商工会議所は、東京都の中小企業対策に関する重点要望で、積極的な賃上げを促す助成の拡充を求めています。賃金引上げのための中小企業、小規模事業者支援の重要性をどう認識していますか。
 第三回定例会の補正予算で、魅力ある職場づくりを進める企業への補助対象に賃上げを加えたことは重要です。中小企業の賃上げを支援する助成制度を抜本的に拡充すべきではありませんか。最低賃金に近い時給で働く人もいる都の会計年度任用職員の賃金を引き上げるべきですが、いかがですか。
 他の業種に比べて著しい低賃金であり、そのことが人材確保の困難にもつながっている保育、介護、障害などのケア労働者の賃金は都の財政支援で改善できます。認識と対応を伺います。
 第三に、中小企業、小規模事業者への支援です。
 東京の経済を支え、生産の五割、雇用の七割を担う中小企業、小規模事業者は、コロナ禍、物価、原材料の高騰と過重債務の三重苦に苦しんでいます。この年末を乗り越えられるかどうかの危機に直面する事業者への支援を急ぐ必要があります。
 コロナ対応のゼロゼロ融資を、融資限度枠から外し借入れ枠を増やす、返済猶予期間の利子を都が負担するなど、都として保証協会とも協議して進めることを提案します。いかがですか。
 日本のアニメや漫画は世界中に普及し愛されていますが、その業界で働く人々がインボイス制度によって仕事を続けられるかどうかの窮地に立たされています。アニメーターの多くは年収三百万円未満、漫画家のアシスタントは多くがフリーランスとして年収百五十万円程度で働いています。
 インボイス制度が導入されれば、日本のアニメ、漫画文化を支えてきたこうした方たちは、免税業者ではなく課税業者となり、適格請求書を出さなければ仕事をもらえなくなる可能性があります。
 関係者へのアンケートには、私は一生、国に夢と職を奪われたのだと、自国を恨んでしまうかもしれませんなど、切実な声が寄せられています。単価の高い中国発注アニメに人材が流れ、優秀な技術者や新人が育てられなくなることで、日本のアニメ業界の衰退を懸念する声もありました。
 日本の文化の担い手として技術を磨き、頑張ってきた多くの若者から夢を奪い、才能の芽を摘み、文化の衰退を招くインボイス制度導入の中止を国に求めるべきです。いかがですか。
 演劇緊急支援プロジェクトのアンケートに九百件近い回答が寄せられ、約五割の方がコロナ第七波による公演の中止や延期があったと回答しました。時間をかけて作り上げた作品が中止になった無念さ悔しさや、経済的打撃が語られ、次の世代が育たないとの声も寄せられています。
 知事は、芸術文化の担い手であるアーティストが活動を継続できるための支援にどう取り組むのですか。
 コロナ禍で、子供や若者が芸術文化に触れる機会が激減しており、次の世代が育つ環境整備が今こそ重要です。来年度予算で、そのための事業を思い切って拡充する必要があります。見解を伺います。
 新型コロナ対策について、知事は、先手先手で手だてを講じると述べました。しかし、早くも第八波が始まり、一日当たり陽性者数が一万人を超えており、既に出遅れています。
 インフルエンザとの同時流行による感染急拡大も懸念されています。これまでの経験を生かすというなら、医療崩壊を起こさないためには、感染者数を増やさない取組がとりわけ重要です。知事の認識を伺います。
 知事は所信表明で、ワクチン接種を呼びかけましたが、今回もPCR検査に触れませんでした。感染者数を増やさない鍵を握るのは、ワクチン接種と同時に、無症状の陽性者を早期に発見する検査です。ところが、都の無料検査の件数は、ピークだった八月上旬の四分の一近くまで減っています。
 人の往来が活発になる年末年始を控えた今、検査体制を急いで強化するとともに、検査を受ける人が増えるよう、知事が強く発信することを求めるものです。いかがですか。
 職場など身近な場所で検査ができるようにすることも重要です。PCR検査を実施する企業、事業所等への支援を行うことを提案します。見解を伺います。
 知事は、熱が出たときに備えた検査キットの備蓄を呼びかけました。そもそも検査は、行政の責任で無料で行うべきものです。検査キットの備蓄を求めるのであれば、都民の負担で買わせるのではなく、都が責任を持って無料で入手できるようにすべきではありませんか。
 都の保健所の在り方について検討会が始まりました。検討会では、多摩府中保健所について、保健師さんが四十数名、それしかいなかったんだというふうに驚いておりますとか、医療圏自体が現状に合わないなどの発言がありました。市長会も、都の予算に対する重点要望で、保健所の新設や職員増員も含めた抜本的な見直しを図ることを求めています。こうした声をどう受け止めていますか。
 保健所の増設や職員の増員も含めて検討と具体化を急ぐべきです。いかがですか。
 コロナ対策や行政的医療のために、都立、公社病院を独法化するんだと知事は述べてきました。
 ところが、独立行政法人都立病院機構の来年度の予算編成の方針には、行政的医療という言葉がありません。それどころか、全ての経費について徹底したコスト縮減に取り組むことを強調し、人員の増員を検討する場合は、費用を超える収益を確実に見込めるかどうかを検証することを求めています。感染症医療などの不採算医療の充実とは正反対の方向です。
 知事が説明してきたことと、都立病院機構がやろうとしていることは、全く違うのではありませんか。
 都民の命を守る最後のとりでとしての役割を果たしてきた都立病院にふさわしく、不採算であっても都民が必要とする医療を拡充する予算編成方針に改めるべきです。知事、いかがですか。
 新型コロナの感染拡大のたびに医療は逼迫し、都民が必要な医療を受けられない状況に陥りました。第七波では、職員の感染拡大による人手不足などで都立病院のコロナ病床利用率は四割程度でした。教訓を生かすべきです。
 医療提供体制強化の要は職員の確保です。独法化された都立病院で第八波に対応するため、緊急に医師と看護師を何人増やすのですか。
 都民の反対の声が広がる英語スピーキングテスト、ESAT-Jが十一月二十七日に強行され、六万九千人の中学三年生が受験しました。
 私も参加する四十二名の都議会の議員連盟と都民団体は、試験当日の実施状況のアンケートを行い、一週間で四百七十八件もの回答がありました。そのうち六割が中学三年生自身から、三割が保護者からの回答です。記入があっただけでも、全百九十七会場中百二十五の試験会場の生々しい声が寄せられました。ESAT-Jがいかに問題だらけで批判が強いかを示しています。
 公平、公正に実施されなかったことを示す事例が多数寄せられました。
 同じ教室で三十人が一斉に解答するため、イヤーマフをつけていても前後左右の人の声がはっきり聞き取れました、声が丸聞こえで、ほかの人の答えが分かってしまっていたなど、防音具のイヤーマフ越しに他の受験者が解答する声が聞こえたという事例が百六十六件も寄せられました。
 その中には、テスト開始のボタンを遅れて押したり、出題音声のボリュームを下げたりすることで、カンニングができてしまうという証言もありました。
 録音確認の際に周りの生徒の声が自分の声と一緒に録音されていたという証言は五十五件あり、きちんと採点されるのか心配になったという声もありました。
 こうした教室内で試験中に起きた不公平な事例は、都教委にも届いていると思いますが、いかがですか。
 さらに、テストは、生徒を前半組、後半組に分け、同じ問題で行われましたが、前半組が解答する声が隣の教室で待機している後半組に聞こえてきた、それを聞いて問題を予測することができた、前半組と後半組がトイレで会うことができたなどの声も四十六もの会場から寄せられました。
 これらについても、把握されているのか伺います。
 具体的な証言がこれだけ多数ある下で、都教委は、テストが公平、公正に行われたと明言できるのですか。都教委として、当日の状況について、テストを受けた子供たちの声を直接聞いて調査することが必要です。いかがですか。
 このような不公平な試験結果を高校入試の点数に組み込むことは反対です、今回は見送るべきというのが、中学生、保護者の声です。ESAT-Jの都立高校入試への活用はきっぱりやめるべきです。答弁を求めます。
 今年度の教員不足は、小学校では四月時点で約五十人、九月には約百三十人にも上り、特別支援学校は五十八校しかないのに、四月当初で三十人も不足していたことが明らかになりました。これは、期限付や臨時的任用の教員を配置してもなお不足している数であり、実態は極めて深刻です。応募が少ない、見込み違いでは済まされません。
 教員不足を生じさせないため、抜本的な対策が必要です。認識と対応を伺います。
 九月に不足が増えているのは、年度途中からの産休、育休などの代替教員を確保できないからです。年度の途中から、一定期間だけ都合よく働いてくれる人など簡単に見つからないのは当然です。
 国は、年度途中に見込まれる産休、育休代替教員を、四月から前倒しで雇用する場合の人件費を措置する方針を示して、来年度からの積極的な活用を呼びかけています。
 教員の確保とともに、学級担任のスムーズな交代などのメリットがあると考えますが、見解を伺います。
 そして、東京都でも実施すべきですが、いかがですか。
 教員志望者を支援することも重要です。山梨県では今年度から、小学校教諭になった方の奨学金返還を補助する制度を始めました。岐阜県も来年度から実施するとしています。
 東京都でも、教員の奨学金返還補助制度を創設することを求めます。いかがですか。
 根本的な対策として、少人数学級の前倒し実施や、教員が受け持つ授業時数の軽減、長時間労働の解消なども併せて強く求めるものです。
 二〇〇三年、当時の都立七生養護学校の性教育に対して、都議会議員や都教委による乱暴な介入が行われました。私も、当時都議会で、不当な介入は許されないと徹底追及いたしました。その後、心と体の学習裁判によって、都議や都教委の違法行為が最高裁で確定しましたが、しかし、今なお学校現場は萎縮したままです。
 二十年もの間、まともに性教育が行われなかったことで、子供や若者が、望まぬ妊娠や性感染症などのリスクにさらされています。
 この状況を変えていくため、人権の視点を貫き、ジェンダー平等を土台にした科学的で包括的な性教育を、子供も大人も学ぶ重要性を知事はどう認識していますか。
 現状は深刻です。性感染症である梅毒が、調査が始まって以降、最多を更新し続けていることを、都はどう考えていますか。対策の強化が必要です。いかがですか。
 包括的性教育は、性感染症に関する知識とスキルを身につけることを位置づけています。
 性感染症について、学校教育で学ぶことが重要ですが、都教委はどう取り組むのですか。
 ハラスメントや差別、暴力に対し、第三者が見て見ぬふりをせず、被害を軽減したり、未然に防ぐため、状況に応じて行動する人は、アクティブバイスタンダー、行動する傍観者と呼ばれています。
 性被害やジェンダーによる差別をなくしていくために、行動する傍観者を増やしていく取組が重要です。認識と対応を伺います。
 先月開かれたCOP27で、気候変動対策に後ろ向きな国に贈られる化石賞を、日本は三回連続で受賞しました。化石燃料事業に投入する公的資金が、日本は世界で最大であることが大きな理由です。日本が、水素やアンモニアを化石燃料に混ぜて発電する事業を進めていることに厳しい批判が寄せられています。
 知事は、COP27の演説で、海外から大量に輸入する水素を供給するパイプラインの構想を表明しました。輸入しようとしている水素は、海外で低品質の石炭を使って生産され、CO2を排出します。その水素をパイプラインで火力発電所に送り、化石燃料と混ぜて発電することも都は想定しています。
 これは、化石燃料事業の延命に手を貸すものであり、化石賞は知事の演説に贈られたといっても過言ではありません。知事はどう考えていますか。
 研究グループによる既存の省エネ、再エネの技術だけでも、CO2排出量を九割以上削減できるとの提言もあることをどう認識していますか。
 太陽光パネルの設置義務化を柱とする環境確保条例改正が提出されました。再エネ発電の場所を確保するのが困難な中で、住宅への太陽光パネル設置は有効な対策であり、最大限取り組む必要があります。
 都民や事業者の疑問や不安の声を受けて、都が初期費用をゼロにする制度や希望する中小事業者も参入できるようにする支援策などを具体化したことは重要です。
 一方で、今回の義務化には、引き続き、様々な不安や疑問の声が出されています。気候危機打開の主人公は都民であり、誰もが納得して取り組めるようにすることが大事だと考えますが、知事の見解を求めます。
 太陽光パネル義務化に伴う住宅購入時の費用負担や、リサイクルへの疑問など、都民の不安や疑問に一つ一つ丁寧に答え、必要に応じて制度の改善にも取り組むべきですが、いかがですか。
 太陽光発電は、多くの産業への波及効果があり、雇用拡大の効果も高いとされています。大学や研究機関、都内の産業集積も生かして、薄型軽量パネルなど国産パネルの開発、実用化に取り組むことを提案します。見解を伺います。
 我が党が実施した都内全自治体へのアンケート調査の結果、温室効果ガス排出量やエネルギー消費量の削減など、自治体の目標設定に遅れや困難があることが分かりました。また、住宅や事務所の省エネ、再エネ機器設置補助や再エネ電気の購入など、取組にアンバランスがありました。
 都は、都内各自治体による気候変動対策の取組状況をどう把握し、分析していますか。
 各自治体の目標設定などへの技術的支援や補助制度拡充などに、都としてさらに取り組む必要がありますが、いかがですか。
 住宅の耐震化も緊急課題です。
 一九八一年の耐震基準から二〇〇〇年基準の間に建築された、いわゆる八一〇〇住宅の耐震化の重要性が、熊本地震の経験などから注目されています。
 今年五月に都が発表した首都直下地震による東京の被害想定によれば、一九八〇年以前の旧耐震住宅の耐震化が全て実現した場合、建物倒壊や死者数は、現在の想定数から約六割減少します。
 さらに、八一〇〇住宅まで含めて耐震化が実現すれば、実に約八割減少するという推計結果が示されています。八一〇〇住宅の耐震改修の効果を示したこの推計結果を知事はどう受け止めていますか。
 来年度予算で、八一〇〇住宅の耐震診断や改修補助を新規事業として実施して、思い切った予算措置を行い、区市町村や都民に対し、積極的に活用するよう呼びかけることが必要です。知事、いかがですか。
 東京五輪をめぐる疑惑は深まるばかりです。高橋元理事の汚職問題に続き、新たにテスト大会の計画立案業務での談合が明らかになり、組織委員会職員が関わった疑いも報じられています。
 知事は、談合問題の調査チームを立ち上げましたが、所信表明では、当該契約に関わる手続、意思決定過程等についてしっかりと確認していくと述べるにとどまりました。何のために確認するのですか。確認して、その先どうするのですか。調査結果は公表するのですか。談合問題と併せて、汚職問題も調査すべきです。知事、いかがですか。
 調査チームのメンバーは、潮田副知事も、中村政策企画局長も元オリ・パラ準備局長であり、かつ組織委員会の元理事です。第三者ではありません。第三者機関による調査が必要です。知事の答弁を求めます。
 組織委員会の評議員会は、清算手続をチェックするため、今も存続しており、副知事二人が入っています。談合や汚職により組織委員会が被った損害は、組織委員会の資産として財産目録に記載しなければなりません。そのために、評議員会の招集を求めるなど、評議員として持っている権限を全面的に行使すべきです。評議員である武市副知事の答弁を求めます。
 談合の対象となったテスト大会の一部は、組織委員会と東京都の共同実施事業であり、都民の税金が使われています。談合については、都として損害賠償も検討すべきではありませんか。
 知事は所信表明で、今後の国際大会に向け、改めるべきは改めるといいました。そのためには、東京五輪大会をめぐる数々の疑惑の徹底解明が大前提です。知事の認識を伺います。
 都として、記録文書や関係者の証言を検証し、積極的に情報公開してこそ、次に生かせると考えますが、いかがですか。
 神宮外苑再開発は、いよいよ国政問題に発展しました。国会で、自民党から日本共産党まで超党派十六人が発起人となり、イチョウ並木の保全のみならず、再開発の大規模な見直しを求める議員連盟が発足しました。
 発起人代表の船田元衆院議員は、東京五輪が一つのきっかけになったと思うが、超高層ビルが三棟建設されるなど、緩やかな神宮外苑の景観が壊れてしまう、樹木の伐採についても、一部修正が行われ、本数はやや減ったとはいえ、樹齢百年を経過した樹木の大半が伐採されると再開発計画の問題点を指摘しています。
 議連の趣意書でも、樹木の大量伐採や超高層ビルによる景観破壊などを上げ、懸念される内容が数多く含まれていると述べています。知事は、国会でこうした議員連盟が発足したことを、どう受け止めていますか。
 外環道も都政を揺るがす大問題です。シールドマシンの損傷事故で中断していた練馬区大泉ジャンクションの工事が再開され、住宅直下のトンネル工事が明日にも始まろうとしています。断じて許されません。
 調布の住宅街での陥没事故から二年がたちましたが、何も解決していないではありませんか。調布市内では、事業者のNEXCO東日本が陥没の発生した場所の地盤補修工事を行う計画ですが、工法や補修の範囲などについて、住民の納得は得られていません。見切り発車は絶対許されません。
 計画されている地盤補修は、地下深くに大量のセメントを吹きつけて、巨大な地下の壁を造る工事です。地下水への影響なども懸念されます。工事箇所までセメントを送るパイプを近くの入間川に敷設する予定ですが、周辺住民から、騒音や安全性などにも疑問が寄せられています。
 都は、住民の同意がない下で、入間川の占用許可を下ろすべきではありません。見解を伺います。
 また、この地盤補修工事に法的根拠はあるのですか。
 米軍横田基地のCV22オスプレイにも重大な問題があります。
 米軍は、二〇一〇年にはクラッチの不具合で制御不能に陥る危険があることを確認していました。日本政府も、二〇一六年までには把握していたことを認めました。
 二〇一八年に横田基地に配備されるとき、東京都には情報提供や説明はあったのですか。知事、都民の安全を脅かす重大な問題だと思いますが、認識を伺います。
 米軍と日本政府の背信行為に対し、厳重に抗議すべきです。いかがですか。
 欠陥を隠して配備されたCV22オスプレイは、横田基地から撤去するのが当然ではありませんか。また、今後の増配備計画など到底認められません。知事の見解を求めます。
 陸上自衛隊の木更津駐屯地に配備されたV22オスプレイが、来年一月以降、自衛隊立川飛行場に飛来するとの情報提供が関係八市にありました。八市長は連名で、米軍CV22オスプレイの飛行再開に住民の不安は解消されていない、このような状況でのV22オスプレイの飛来は、周辺住民の不安を一層高めると防衛大臣に申入れをしています。知事は、この申入れをどう受け止めていますか。
 自衛隊は、V22オスプレイの主な任務は、島しょが他国から侵攻を受けるような場合、いち早く駆けつけ奪還することだとしています。そのことを都は把握していますか。
 自衛隊のオスプレイは、神津島で行われた総合防災訓練に米軍と一緒に参加しました。米軍は今年五月、横田基地で、中国との緊張が高まる南西諸島などに緊急展開するための大規模な実戦的訓練を行いました。自衛隊のオスプレイの主任務と符合します。
 自衛隊のオスプレイの立川飛行場への飛来は中止するよう、都として政府と自衛隊に求めるべきです。知事、いかがですか。
 最後に、統一協会の問題です。
 我が党は、第三回定例会で統一協会への知事の認識を問いましたが、答弁は、総理と同じというものでした。事の深刻さを認識していると思えません。その後、統一協会による被害の深刻さがますます明らかになっていることを、知事はどう認識していますか。
 福岡県は、旧統一教会と関連があると考えられる団体に対する表彰、後援、登録についてという調査結果を九月に発表しています。前回調査の百五十団体に加え、新たに把握した約六十団体を対象とした調査も行っています。
 都として、後援、補助金交付、制度融資や貸付けなども含め、文書保存期間に限らず、幅広く調査すべきです。また、調査結果は、該当事例がなかったとしても、速やかに公表すべきです。答弁を求めます。
 統一協会に関する相談が増えています。相談活動を行う団体に運営費などを支援すべきですが、いかがですか。
 東京都も都議会議員も、統一協会との一切の関係を断ち切ることを改めて訴え、また再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、経済対策でございますが、物価高騰、長引くコロナ禍によって都民生活、事業活動が厳しさを増す中、これまでも数次にわたる補正予算の編成などによりまして、様々な対策をきめ細かく講じております。
 引き続き、機動的に必要な施策を実施し、都民生活、そして東京の経済をしっかり支えてまいります。
 大企業の内部留保に関するご指摘でございます。
 企業それぞれの経営判断に基づくものと認識をいたしております。
 都は引き続き、機動的に必要な施策を実施し、都民生活、そして東京の経済をしっかり支えてまいります。
 ひとり親家庭について、ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担っておられ、負担が大きいものがあります。
 また、物価高によって、家計に影響を受けているひとり親家庭もあると、そのように認識をいたしております。
 次に、学校給食の質の確保についてでございます。
 物価が高騰する中にありましても、栄養バランスなどを確保した給食は、子供たちの健やかな成長を支えるために必要でございます。
 なお、学校給食の支援につきましては、財源確保などの対応を国の責任において行うべきものでございます。
 また、都立学校では、既に国の地方創生臨時交付金を活用しまして、保護者負担の軽減を図っております。また、区市町村立小中学校におきましては、学校設置者である区市町村が、保護者の負担軽減について適切に対応している、このように認識をいたしております。
 次に、賃金の引上げについて、賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けました中小企業による様々な取組に支援を行っておりまして、働く方の所得水準の向上につなげております。
 芸術文化の担い手の活動支援について、都はコロナ禍におきまして、アートにエールを!東京プロジェクトを実施いたしましたほか、様々な助成事業などによって、多くのアーティストなどを支援しております。
 引き続き、アーティストなどの継続的な活動を支援する仕組みを検討するなど、その活動を支援してまいります。
 次に、新型コロナ対策についてであります。
 感染拡大防止と社会経済活動の両立を進めるため、都はこれまで、東京モデルとして構築してまいりました保健、医療提供体制の枠組みをさらに拡充いたしまして、先手先手で必要なコロナ対策を講じているところでございます。
 そして、この冬は、インフルエンザとの同時流行も念頭にしまして、診療、検査体制を強化するとともに、重症化リスクの高い高齢者への医療提供体制や自宅療養者への支援を拡充いたします。
 都民の皆様に対しましても、引き続き、ワクチン接種、換気の徹底など、感染防止対策に協力を求めてまいります。
 次に、都立病院について、感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は、都立病院が果たすべき重要な役割でございます。
 都は、都立病院機構の定款や中期目標におきまして、行政的医療等の安定的、継続的な提供を明示いたしております。
 次に、グリーン水素、COP27におきましては、再生可能エネルギーにより製造するグリーン水素を海外から大量に受け入れることを前提に、将来のサプライチェーンをつくる構想について発信したものでございます。
 都は、引き続き、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立に向けました鍵を握る水素の普及拡大を図ってまいります。
 次に、太陽光発電設備の設置義務化について、新制度の実施に当たりましては、都民や事業者の共感と協働を得ながら取り組むことが必要でございます。
 太陽光発電設備を備えまして、断熱、省エネなどの環境性能の高い住宅は、経済性、防災性、快適性など、多様なメリットを有しております。
 都は、こうした住宅をより取得しやすくなるよう、初期費用への補助制度の新設や相談窓口の開設など、設置時からアフターフォローまでの支援を総合的に推進をいたします。
 こうした取組を通じまして、住まい手や事業者と共に、太陽光発電設備の設置ムーブメントを醸成してまいります。
 テストイベントに関する調査についてでございます。
 都は、清算法人に対しまして、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、当該契約の手続などの適正性などを確認いたしております。
 調査につきましては、捜査に支障を来さない範囲で確認を行いまして、関係局で連携し、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などからの助言も得ながら、確認を進めてまいります。
 今後の国際スポーツ大会に向けた取組については、新たに設置する有識者会議で、そのガバナンスや情報公開、都の関与の在り方などにつきまして、東京二〇二〇大会の経験も踏まえ、将来の国際大会に向けた改善を議論し、ガイドラインを策定することといたしております。
 最後に、V22オスプレイの立川駐屯地への飛来についてであります。
 安全保障に関することは、国の専管事項でございます。国からは、V22の機体の安全性は問題なく、教育訓練や機体点検等を確実に実施することで、飛行の安全が確保できると聞いております。
 また、八市から国に要請したことは承知しておりますが、国からは、安全面や騒音等に最大限配慮する旨の回答がなされたものと、このように聞いております。
 残余の質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) 清算法人の評議員についてでございますが、私は、これまで法令及び定款に定められた評議員の職務を遂行してまいりました。
 今後も法令等にのっとり、職務を遂行してまいります。
   〔副知事潮田勉君登壇〕

○副知事(潮田勉君) 東京大会に関する調査チームについてでありますが、都は清算法人に対し、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、テストイベントに係る契約手続等の適正性を確認するため、関係局により調査を進めることといたしております。
 調査結果は、今後の捜査の状況にもよりますが、今月中を目途に中間のまとめを公表する予定であります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 十二点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校給食の区市町村への財政支援についてでございますが、学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 区市町村立小中学校の学校給食費については、学校設置者が決定しており、保護者負担の軽減策等についても、各自治体の判断により行われていると認識しております。
 都教育委員会は、物価高騰等の今後の状況も見ながら、国の動向も注視し、必要な対応を行ってまいります。
 次に、区市町村に補助を行う意義についてでございますが、区市町村立小中学校において、国産食材や地場産物を給食で提供する食育の取組は、児童生徒が日本の食文化や生産地への理解を深める上で有効でございます。
 都教育委員会では、各学校でこうした食育の取組が推進されるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。
 次に、スピーキングテストの実施状況についてでございますが、テストはイヤーマフにより外部の音を遮断するとともに、ホワイトノイズと呼ばれる音を流して周囲の音声を聞こえにくく処理をして実施いたしました。こうした環境で、多くの受験生が一斉に発語している中で特定の解答を聞き分けてそれをまねることや、他の生徒の声を聞くためにタブレットからの出題音声の音量を下げて自分への出題を聞こえなくすることが現実的とは考えられません。
 また、都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び配置した都職員からの報告により、受験教室等では、音声は聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。
 さらに、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しております。
 次に、スピーキングテストの実施状況に関するもう一点のお尋ねについてでございますが、繰り返しになりますが、都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び配置した都職員からの報告により、待機教室等では、音声は聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。
 また、運営に当たっては、前半の受験者と後半の受験者では休憩が重ならないよう、時間をずらして設定しております。
 さらに、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しております。
 次に、スピーキングテストの公平、公正な実施についてでございますが、都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び配置した都職員、また、区市町村教育委員会への聞き取りにより、解答に影響を与えるようなトラブルがなく行われたことを確認しており、適切に実施されたものと認識しております。
 スピーキングテスト当日の状況についてでございますが、都教育委員会はテスト終了後に、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しております。
 スピーキングテストの都立高校入試での活用についてでございますが、先月行ったスピーキングテストは適切に実施されており、都教育委員会は、都立高校入試において、その結果を活用してまいります。
 次に、教員不足への認識と対応についてでございますが、子供たちの学習環境を整えるためには、適切な教員確保が重要でございます。
 都教育委員会では、これまで採用選考の応募者の増加に向けて、オンラインによる大学説明会の開催やSNSを活用した情報発信などを実施してまいりました。
 今年度は、志望者に直接PRする機会として、大学説明会を訪問実施しているほか、現役教員と対話できる採用セミナーを開催しています。
 引き続き、採用情報や教員の魅力を発信し、教員の確保に努めてまいります。
 次に、産休、育休代替教員の前倒し採用についてでございますが、教員不足の改善を図る方策の一環として、現在、文部科学省において、年度初期の産休、育休見込みに対する年度当初からの代替教員の配置支援策が検討されております。
 次に、産休、育休代替教員の前倒し採用の実施についてでございますが、都教育委員会は、国の動向を踏まえ対応を検討してまいります。
 次に、教員の奨学金制度についてでございますが、奨学金の返還補助は、教員志望者の増加に向けて、国において行われるべきものであり、全国都道府県教育委員会連合会で、国に対し、教員に採用された場合に返済を免除できる奨学金制度の創設を要望しております。
 次に、性感染症に関する教育についてでございますが、平成三十年度に学習指導要領の内容を踏まえて改訂した性教育の手引には、性感染症の予防について、発達段階に応じた指導事例を掲載しております。この手引に基づき、児童生徒が性感染症等に関する正しい知識を身につけられるよう、学校の取組を支援しております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環の地盤補修工事についてでございますが、今回、事業者は、地盤補修箇所周辺の方々を対象にオープンハウス及び意見交換会を九月と十月の二度開催して、工事の内容や安全対策等について説明し、広く意見を聞くとともに、今週末にも地元の方々との意見交換会を予定しております。
 補修工事の実施に当たり必要となる管路を入間川に設置することが計画されておりますが、都はその許可申請について、河川法等に基づき審査を行っているところでございます。
 都は、事業者に対して、引き続き、住民の不安払拭に向け、丁寧な説明やきめ細やかな対応を行うよう求めてまいります。
 次に、外環の地盤補修工事の法的根拠についてでございますが、陥没、空洞事故の発生に伴い、事業者は周辺にお住まいの方々の社会的不安を早急に解消し、被害を回復するための対応を進めており、今回の地盤補修工事につきましても、シールドトンネル工事が原因で緩みが生じた地盤を元の地盤強度に回復させるために行われるものと聞いております。
   〔主税局長小池潔君登壇〕

○主税局長(小池潔君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、消費税の減税についてでありますが、先月の月例経済報告によりますと、景気は緩やかに持ち直している一方、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるとされております。
 持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が必要不可欠でありまして、消費税は重要な役割を果たしております。消費税の在り方については、こうした点に加え、経済や国民生活に与える影響など、様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。
 次に、インボイス制度についてであります。令和元年十月の消費税率引上げに伴う低所得者対策として軽減税率が導入された際に、複数税率制度の下において、適正な課税を確保するため、令和五年十月からの導入が決定されているところでございます。
 インボイス制度による小規模事業者の負担増が懸念されていることから、現在、政府・与党は、負担軽減措置の導入について検討を行っているとの報道がなされていることは承知しております。
 都といたしましては、今後の国の動向を注視してまいります。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 来年度予算についてでございますが、これまでも、物価高騰やコロナ禍の影響から都民の暮らし、東京の経済を守るため、的確に予算措置を講じており、今回の補正予算においても、対策のさらなる強化を図っております。
 来年度予算編成におきましても、持続可能な財政運営にも配慮しながら、東京の経済、都民生活を守る取組など、必要な施策に的確に財源を振り向けてまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、他自治体における上下水道料金の減免の実施状況についてでございますが、減免を実施している自治体があることは承知しております。
 次に、上下水道料金の減免についてでございますが、上下水道料金の減免措置は、受益者負担の原則、公営企業における独立採算制の原則及び使用者間の負担の公平に対する例外措置でございまして、その拡充については慎重に考えるべきものであると認識しております。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 十一点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険についてでございますが、国民健康保険の保険料、保険税の賦課方式や料率は、各区市町村が自ら定めるものであり、それぞれの議会で十分な審議が行われ、決定されるものでございます。
 都は、制度設計者である国に対し、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化等を要望しております。また、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づく財政支援を行っています。
 次に、住居を失った方への支援についてでございますが、都は住居を失い不安定な就労に従事している方等に対し、TOKYOチャレンジネットにおいて、生活相談や一時利用住宅の提供など、居住支援、就労支援等を一体的に実施しています。
 また、ホームレスの方に対しては、特別区と共同で設置している自立支援センターにおいて、巡回相談を実施し、必要な支援につながるよう取り組んでいます。
 次に、児童育成手当についてでございますが、児童育成手当は、制度が発足した当時は不十分であった国の所得保障を補完し、ひとり親施策が未整備の中、子供の健全育成を支援する役割を担ってまいりました。現在は、国の児童扶養手当が増額されており、都では様々なひとり親家庭の支援策に取り組んでいます。
 次に、子供食堂やフードパントリーへの支援についてでございますが、子供食堂やフードパントリーなどは、地域における食の支援として重要な活動であり、都は、子供食堂に対し、区市町村を通じて、会食の開催や配食、宅食の経費を支援しており、今年度は物価高騰対策として事業の立ち上げ経費を補助しています。
 また、フードパントリーの設置に取り組む区市町村へ立ち上げ経費を支援しており、今年度からはフードパントリーを運営する事業者に食料調達費等を補助しています。
 次に、高校生等医療費助成事業についてでございますが、都は所得制限や一部自己負担を設けた上で、区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から三年間は都の負担割合を十分の十としています。
 なお、令和八年度以降の財源や所得制限の取扱いなどにつきましては、今後、都と区市町村との間で協議の場を設置し、検討することとしています。
 次に、福祉人材の確保についてでございますが、事業者が安定的にサービスを提供するためには、人材の確保、定着が必要であり、都は国に対し、健全な事業運営ができる報酬とすることなどを繰り返し提案要求をするとともに、宿舎借り上げ支援や保育人材のキャリアアップ補助などの支援を行っています。
 次に、都保健所についてでありますが、市長会からのご要望については承知しています。多摩地域の都保健所は、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っています。
 都は、新型コロナの感染拡大に伴い、保健師の増員や業務の効率化など、体制強化や負担軽減に取り組んでおり、引き続き、感染状況に応じ体制の確保を図ってまいります。
 次に、都保健所の体制についてでございますが、都は新型コロナの感染拡大に伴い、保健師の増員や業務の効率化など、体制強化や負担軽減に取り組んでおり、引き続き、感染状況に応じ体制の確保を図ってまいります。
 なお、都は現在、感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会を設置し、その在り方について検討しております。
 次に、都立病院機構の予算編成についてでございますが、都は行政的医療の提供に必要な財源をこれまでと同様、措置することとしています。
 都立病院機構では、先月、各病院に通知した令和五年度当初予算編成要領で、基本方針において、中期計画の達成や令和元年度決算の経常収支差額を目標として上げており、予算編成に当たっての考え方として、人件費や材料費、経費など、個別の事項について記載したものでございます。
 次に、都立病院の職員の確保についてでございますが、独法化後の都立病院では、病院長の裁量で常勤看護師の採用が可能となり、七月以降、着実に確保しているほか、柔軟な単価設定による非常勤看護師の確保や介護業務を担う看護助手の機動的な採用などに取り組んでいます。
 最後に、予期しない妊娠への対応についてでございますが、年齢や性別にかかわらず、妊娠、出産などに関する正しい知識を持つ必要がございます。
 都は、予期しない妊娠や性の悩みなど、妊娠や出産に関する様々な悩みに妊娠相談ほっとラインで対応しているほか、小冊子やチャットボット等により普及啓発をしています。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の新規建設についてでございますが、都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図りまして、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
 これからも既存ストックの有効活用を図りまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、都営住宅の入居者募集についてでございますが、都は若年夫婦や子育て世帯向けに、年二回の定期使用住宅の募集や毎月募集を実施しておりまして、令和元年から定期使用住宅の対象者をひとり親世帯にも広げるなど、拡充に取り組んでおります。
 また、毎月募集につきましては、平成三十年の開始以来、募集戸数を段階的に増やしておりまして、令和四年四月からは、月百二十戸から二百戸、年間二千四百戸としまして、入居機会の拡大を図っております。
 今後とも、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村総合交付金についてでございますが、都はこれまでも市町村総合交付金を活用し、人口減少や少子高齢化、交通インフラの整備、防災対策など、各市町村の課題解決に向けた取組に要する一般財源を補完することで、各市町村の実情に即した支援に努めております。
 次に、会計年度任用職員の報酬の額についてでございますが、法律及び条例等に基づき、職員の職務の複雑性、困難性、特殊性及び責任の軽重に応じ、かつ常勤職員の給与との均衡を考慮して、各職ごとに適切に定めております。
 なお、会計年度任用職員につきましては、在職期間等に応じて期末手当も支給してございます。
 次に、V22オスプレイの主な任務についてでございますが、十一月に東京都と八市に配られた陸上自衛隊V22オスプレイの今後の運用についてによりますと、主として水陸機動団を迅速に島しょに輸送する任務を実施するものとされております。また、災害救助や離島の急患搬送でも能力を発揮するものとされてございます。
 最後に、V22オスプレイの立川駐屯地への飛来についてでございますが、安全保障に関することは国の専管事項であり、V22の運用について、機体の安全性をしっかりと確認するとともに、教育訓練や機体の点検、整備を確実に実施することで、安全管理を徹底していると聞いてございます。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、賃金引上げのための支援についてでございますが、中小企業が事業の発展に向け、生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要であると考えております。
 次に、中小企業の賃上げの支援についてでございますが、都は、働き方のルールを改善し、勤務の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に奨励金を支給しております。
 最後に、中小企業への金融支援についてでございますが、厳しい経営環境にある中小企業の支援は必要でございます。そのため、都は、制度融資により資金繰りのサポートをしております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の芸術文化体験についてでありますが、都に集積する芸術文化資源を生かし、都内の芸術文化団体と協力して、子供たちに芸術文化体験を届ける仕組みを教育庁とも連携しながら検討してまいります。
 次に、性暴力や配偶者等暴力への対応についてでありますが、周囲の人が適切にサポートをすることが重要でございます。
 そのため、都は、講演会や啓発リーフレット等を通じて、被害者等に接する際の行動や発言の留意点等について、都民に啓発を行っております。
 次に、旧統一教会についてでございますが、都は、旧統一教会に関連して不安や困難を抱える都民のために必要な対応を、消費生活相談や弁護士会など様々な機関との連携等により適切に行っております。
 最後に、旧統一教会に関する相談活動を行う団体への対応についてでありますが、都としては、関係機関と連携しながら多様な相談に応じております。民間団体には、自主性を持って相談活動に取り組んでいる団体があると承知しております。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新型コロナの無料検査についてでございますが、都は、感染が拡大傾向にある場合、感染に不安を感じる無症状者に無料検査を実施しており、現在もこの夏と同程度の検査需要に対応できる十分な体制を確保しております。
 また、都のホームページでの検査施設の一覧や地図の表示、専用コールセンターで電話相談にも対応するなど、検査を希望する都民が無料検査にアクセスしやすい環境を整えております。
 次に、新型コロナの検査についてでありますが、都は、感染不安を感じる無症状の都民の方を対象に、都内約千二百か所で無料検査事業を実施しております。
 また、高齢者施設や障害者施設、医療機関、保育所等の職員を対象に集中的検査を実施しております。
 さらに、症状がある方や濃厚接触者に対しては、抗原検査キットを自宅に配送しており、今後とも、必要な方が適切に検査を受けられるよう取り組んでまいります。
 続いて、新型コロナ検査キットの備蓄についてでございますが、都は、この冬の感染拡大に備えまして、発熱外来の逼迫を回避するため、重症化リスクの低い方が自ら検査を行い、陽性者登録センターに登録の上、自宅療養できるよう、一般医薬品として承認された検査キットをあらかじめ購入し備蓄することを都民に呼びかけております。
 また、症状がある方や濃厚接触者に対しては、検査キットを無料で配送しております。
 最後に、梅毒の予防対策等についてでございます。
 今年は、昨年を上回る梅毒患者数が報告されており、都は、正しい知識の普及と早期発見のため、東京都性感染症ナビで情報発信を行うとともに、若者向けのポスターを作成し、HIV陽性者の支援団体と協力して梅毒対策の周知活動を行っております。
 また、都検査・相談室では、匿名、無料で、HIVと梅毒の同時検査を実施しており、今後とも、梅毒の予防、蔓延防止等の対策を進めてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存の省エネ、再エネ技術の活用についてでございますが、都はこれまでも、エネルギーの大消費地の責務として、現在利用可能な技術を全面活用しながら、さらなる省エネと再エネ電力の利用を高める取組を展開してまいりました。
 あわせて、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けては、電化が困難な熱エネルギーの脱炭素化など、次世代技術の発展、定着が必要なことから、さらなる技術革新を後押しするための施策も積極的に推進してございます。
 次に、太陽光発電等に係る技術開発の促進についてでございますが、都はこれまでも、普及の初期段階にある新たな再エネ技術による設備を都有施設に設置し、見える化を図ることで普及促進等につなげてございます。
 加えて、国内で生まれた技術であるペロブスカイト太陽電池の共同研究を国内企業と開始するなど、新たな再エネ技術の普及状況や開発動向を注視しながら、多様な主体による技術開発や、その普及を後押ししてございます。
 次に、都内各自治体の気候変動対策の取組状況の把握についてでございますが、区市町村においては、ゼロカーボンシティ宣言など二〇五〇年の脱炭素化に向けた取組を強化してございまして、各自治体が地域の実情等を踏まえた目標設定や施策展開を推し進めてございます。
 こうした区市町村の取組につきましては、個別の情報共有や意見交換など、様々な機会を通じて情報を得てございます。
 最後に、各自治体に対する技術的支援等への取組についてございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、住民に最も身近な区市町村との連携を高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、地域の環境課題に取り組む区市町村に対する財政支援など、各自治体の実情に応じた連携支援を行ってございます。
 また、区市町村との情報共有、意見交換を通じてニーズや課題を把握し、二〇五〇年CO2排出実質ゼロへ向けた計画策定を補助対象に加えるなど、適宜支援内容の見直しを行ってございます。
 今後も、こうした取組を通じまして、区市町村と連携して、脱炭素化を加速させてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、新耐震基準の住宅の耐震化についてでございます。
 新たな被害想定において、平成十二年以前に建築された新耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害がさらに軽減されることが示されました。
 地震による被害を最小限に抑えるため、新耐震基準の住宅の耐震化も推進していく必要があると認識しております。
 次に、新耐震基準の住宅の耐震化への支援についてでございます。
 地震による被害を最小限に抑えるため、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅の耐震化に向けて、所有者への支援や都民への普及啓発のさらなる強化について検討しております。
 今後とも、区市町村と連携し、取組を進めてまいります。
 次に、神宮外苑の再開発についてでございます。
 再開発の見直しを求める国会議員連盟が発足したことについては、承知しております。
 なお、この再開発は、明治神宮などが所有する土地において民間事業者が実施するものであり、事業者からはきめ細かな情報発信や関係者一体となった樹木の保全などに取り組むとの報告を受けております。
 次に、CV22オスプレイについてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全確保は国が責任を持って行うべきでございます。
 横田基地への配備時において、国からは、お話のクラッチに関する情報提供等は受けておりませんが、飛行再開に当たっては、機体自体の安全性に問題はなく、教育訓練や機体点検などを継続的に行うことで、飛行の安全が確保できると確認したと聞いております。
 都は、国や米軍に対して、機体の安全性や運用に関する基地周辺住民の不安が解消されるよう、十分な説明責任を果たすことを強く要請しております。
 最後に、CV22の増配備計画についてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍の運用に当たり、住民に不安を与えないよう最大限の配慮が払われなければなりません。
 都はこれまでも、安全対策の徹底等について、地元自治体と共に、国や米軍に要請してまいりました。
 今後も、都民の生命、安全・安心を守る立場から、必要なことを申し入れてまいります。
   〔政策企画局長中村倫治君登壇〕

○政策企画局長(中村倫治君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、組織委員会元理事に係る事件についてでございます。
 本件は、元理事個人と事業者との金銭の授受が賄賂に当たるとして、既に起訴されており、捜査により事実関係が明らかにされるものと考えております。
 次に、テストイベント契約に係る対応についてでございます。
 本件は、組織委員会の契約であり、法令等に基づき、清算法人が対応を判断するものと認識しております。
 次に、情報公開でございます。
 都はこれまでも、都民の理解を得るため、組織委員会に対して、情報公開を推進するよう働きかけてまいりました。
 なお、調査チームの調査結果は、今後の捜査の状況にもよりますが、今月中を目途に中間のまとめを公表する予定でございます。
 最後に、旧統一教会との関わりに係る調査でございます。
 都においては、旧統一教会及び報道、インターネット等で関連団体とされる団体等との関わりについて、現在、文書保存年限三年の後援名義等や、同じく五年の委託事業、補助事業、寄附等を対象として、可能な範囲で各局において調査を実施しております。
 調査結果については、公表を含め、適切に対応することとしております。
   〔七十九番曽根はじめ君登壇〕

○七十九番(曽根はじめ君) 英語スピーキングテストについて再質問いたします。
 第一問です。
 教育長は、解答に影響を与えるような事例の報告はないといいましたが、私たちの下には、影響があったという事例が数百件、大量に寄せられています。
 例えば、やっている途中、前の人の声が聞こえた、結構はっきりと単語が聞こえたという証言、また、イヤーマフが意味をなさないほど周囲の声が聞こえた、時間差を使って解答をまねすることも可能な環境だったとか、前半の人と後半の人で、休み時間中、情報が提供されていたという証言など、体験したからこその証言内容です。これらの声は、先日発表し、都教委にもお届けしてあります。
 不公平な試験の状況についての、これらの中学生の証言はうそだというのですか。中学生本人の声を聞くべきではありませんか。
 第二問です。
 中学校からも、解答に影響を与えるような事例の報告は受けていないと答弁がありました。
 しかし、中学校の教員は、試験会場には行っていません。また、都教委が中学校に報告を求めているのは、受験人数や欠席人数、予備日の受験対象人数だけで、トラブルの報告は求めていません。
 その中学校からあえて報告がないからといって、解答に影響を与えるような事例がなかったとなぜいえるのですか。
 以上、二問について答弁を求めるとともに、改めて、ESAT-Jの都立高校入試への活用をきっぱり断念するよう求めて、再質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点の再質問にお答えいたします。
 まず、都教育委員会は、テスト終了時に事業者及び配置した都職員、また区市町村教育委員会の聞き取りにより、解答に影響を与えるようなトラブルがなく行われたことを確認しており、適切に実施されたものと認識しております。
 中学校は、スピーキングテストの実施状況に限らず、課題があると認識した場合には、いつでも区市町村教育委員会にその内容を伝え、区市町村教育委員会から都教育委員会に報告が上がる仕組みがあります。こうしたことから、トラブルがあれば報告が上がってくるということになっています。
 さらに、今回、スピーキングテストにおきましては、都教育委員会がテスト終了後に、全ての区市町村教育委員会に聞き取りをし、その結果、解答に影響を与えるようなトラブルがなく行われたことを確認しているということでございます。
 適切に実施されたものと認識しており、都立高校入試において、その結果を活用してまいります。

○議長(三宅しげき君) 百二十四番中村ひろし君
   〔百二十四番中村ひろし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十四番(中村ひろし君) 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 五輪汚職事件に関し、小池知事は、十一月十四日、今後の国際スポーツ大会の成功に向けた有識者会議を立ち上げると発表しました。大会のガバナンス、情報公開、都の関与の在り方など、都民、国民の信頼を得るための基盤を強化していくとの観点から、東京二〇二〇大会の経験も踏まえて、有識者会議で議論してもらい、その成果をガイドラインとして取りまとめると聞いています。
 しかし、五輪汚職事件の総括なくして再発防止はあり得ません。
 なぜ、談合では調査チームを立ち上げ、汚職事件は調査をしないのか。改めて五輪汚職事件を調査し、その総括を求めるものですが、知事の見解を伺います。
 汚職事件の次は、談合事件です。
 小池知事は、十一月二十四日、潮田勉副知事をトップとする調査チームを庁内に設置し、年内にも中間まとめを公表すると発表しました。
 しかし、副知事が調査チームのトップとはいえ、内部での調査では限界があります。組織委員会の副会長であった人による調査では、都民の共感も納得も得られません。
 第三者委員会を設置するなど、真相究明を徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、人権施策について伺います。
 十二月十日は、七十四年前に国連で世界人権宣言が採択された人権デーです。東京都も十二月四日から十日の人権週間に合わせて、人権について私たち一人一人が認識を深めるための取組を行っています。
 そんな中、東京都人権プラザで、関東大震災での朝鮮人殺害に触れた映像の上映が認められなかったことが問題になっています。事の発端は、小池知事が関東大震災の朝鮮人追悼式典への都知事による追悼文を出すのをやめたことであり、知事の政治姿勢への忖度ではないかと考えます。これでは、人権施策を推進していく上で、大きな差し障りを生み出すといわざるを得ません。
 そこでまず、関東大震災の際、朝鮮人虐殺、流言飛語に基づく朝鮮半島出身者に対しての殺傷行為についてどのように認識しているのか、知事ご自身の歴史認識を伺います。
 知事の政治姿勢を忖度している東京都の状況をどのように考えるか、知事としての責任をどう考えるか、見解を伺います。
 次に、コロナ対策について伺います。
 現在、国において、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを五類にするかどうか議論がされています。
 しかし、仮に五類になったとしても、国に必要な財源の確保を求めるとともに、都としても、ワクチンの公費負担の継続を初め、医療病床の確保や高齢者施設などの確保など、引き続きコロナによる脅威から都民の命を守るべく、万全を期すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小児診療体制の確保も重要です。都内には小児科を標榜している医療機関は二千八百あり、都はこのうち千七百ある診療・検査医療機関に対して、休日診療の促進のため支援しています。補正予算では、診療・検査医療機関以外の残り千百の小児科にも支援を拡充するとしています。
 そこで、私は、地域の医師会との連携はもとより、医療機関等への直接の働きかけなど、より多くの小児科が休日診療を実施するよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 都内で新型コロナウイルス第八波の流行となっている中、忘年会客の予約キャンセルがあり、売上げが厳しい状況にあります。飲食業界では値上げが一段と広がっていますが、値上げができにくい飲食店もあります。
 仕入価格の上昇を踏まえ、販売価格への転嫁を円滑化するため、個人飲食店に専門家を派遣するとともに、個人飲食店がグループをつくって仕入価格の高騰対策での共同購入などに対応できるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、低所得者対策について伺います。
 補正予算で盛り込まれた東京おこめクーポン事業は、マスコミ等の耳目を集めがちですが、真に低所得者が必要とするものになっていません。
 日々、家事や育児、仕事に追われている方たちは、なかなか料理する時間が取れません。調理器具などを持っていなかったり、高齢者や食事制限がある方は、配食サービスを利用している人もいます。
 低所得者の支援は重要ですが、独善となってはなりません。現金給付の選択肢を排除せず、上下水道料金の支払いも可能にするなど、それぞれの状況、ニーズを踏まえた施策の構築を求めるものですが、見解を伺います。
 補正予算では、生活困窮者自立支援の機能強化が盛り込まれましたが、生活困窮者の支援団体からは、十二月二日に都に緊急要請が出されました。
 特例貸付の返済免除を求める申請が三割超に上るなど、困窮が浮き彫りとなっていますが、とりわけ住む家がない人には手厚い支援が求められます。
 そこで、私は、就労しているものの住む家がない方に、住居の借り上げに必要となる資金を償還免除つきの無利子貸付制度を新設することを求めるものですが、見解を伺います。
 また、居所を喪失した人が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所や施設入所を強要されることがあるとのことですが、この場合、劣悪な施設から失踪し、再び路上に戻ってしまうとの指摘もあります。
 そこで、私は、ビジネスホテルを提供するとともに、TOKYOチャレンジネットのノウハウを広げた借り上げアパートの提供などを求めるものですが、見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 小池知事が「未来の東京」戦略で掲げていた三つのCはどこに行ったのでしょうか。
 Cの一つ、Childrenは子供政策連携室という形ができましたが、もう一つのCであったChojuは影も形もありません。
 国の介護保険制度見直しの議論を見ても、今後、利用者負担の増加や市区町村への事業移管が進めば、家族介護に頼らざるを得なくなることが想定されます。そうなれば、介護離職はゼロどころか、ますます増える可能性があります。
 改めて、今後の都政運営においても、このChojuを戦略の核の一つに据えて、様々な施策を展開していただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
 老人福祉、介護事業の倒産が急増しています。東京商工リサーチによれば、今年一月から九月の倒産は百件、前年同期の五十一件から倍増し、過去最多です。
 倒産はこれから本格化する可能性が高いとも指摘されており、介護事業所などが倒産すれば、必要な介護サービスを受けることができない介護難民が多数発生し、それこそ介護離職ゼロどころではなくなる事態が危惧されます。
 そこで、私は、掛かり増し経費の補助をはじめ、介護事業所などへの支援を強化するとともに、市区町村と連携して、万が一の場合でも、介護難民が生じないよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、介護現場のマンパワー不足が解消しない中で、独居高齢者が増えていきます。在宅、施設ともに、二十四時間の完全な見守りは難しく、転倒などの危険と常に隣り合わせであり、AIによる見守り、蓄積したデータによる事故発生防止策など、DXによる介護の質向上を一層図る必要があります。
 東京都も既に介護現場のDXに取り組んでいますが、私はさらにDXを加速させ、介護現場の質の向上に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、パートナーシップ制度の推進について伺います。
 十一月三十日、東京地裁でパートナーと家族になって法的保護を受けることは、個人の尊厳に関わる重要な利益であり、同性カップルにとっても同様とする判決が出ました。
 東京都では、パートナーシップ宣誓制度が十一月一日よりスタートし、十二月五日現在、三百九組に交付したとのことです。東京都の制度スタートを、当事者の皆さんをはじめ評価する声を聞いています。
 都内では十六自治体が独自の制度を導入しています。東京都の制度はもとより、法的拘束力を持つものではありません。そのため、各自治体の制度があることで、より効果的になると考えます。
 制度をより効果的なものにしていくため、日常生活の様々な場面での手続や、サービスに係る基礎自治体や事業者との連携、相互利用をより一層進めることが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、英語スピーキングテストについて伺います。
 十一月二十七日に実施された英語スピーキングテストは、都教育委員会が、義務教育英語教育課程のスピーキング力アチーブメントテストとして、都内の全公立中学校三年生に行うとのことでした。
 しかし、結果的には、当日受験者数は対象者の九割を下回りました。日曜日に都教委が決めた会場で実施したため、交通費を自己負担し、一時間以上かかった生徒も多数いる一方、急遽都教委が手配したバスで無料送迎の生徒もいました。入学試験ではないテストで、一部の生徒に交通費が生じることは公平ではなく、各中学校の授業の範囲で行うべきだったのではないでしょうか。
 都教委はこれまで、このテストの実施運営が適切であると答弁してきましたが、この不公平な運用も適切であったと捉えているのでしょうか、見解を伺います。
 スピーキングテスト、ESAT-Jの実施体制については、これまでも様々な問題を指摘し、プレテストではイヤーマフをしても隣の席のほかの方の発声が聞こえる問題について改善を求めてきました。
 十一月二十七日に受験をした生徒からは、これだけではなく、出入口のドアが開放されていたことから、前半実施のテスト会場の隣の部屋で待機をしていた後半実施の生徒たちに、前半の生徒の回答が聞こえたという報告が多数寄せられています。
 後半に受験した生徒に有利となる可能性もあり、公平性が担保されているとはいえません。都教委は適切に実施をされたと捉えているのでしょうか、見解を伺います。
 公平性に疑義がある以上は、このテスト結果を都立高校入学試験に反映させることは、入試制度の根幹を揺さぶる大問題であると考えます。改めて、今年度の都立高校入学試験に、このテスト成績を取り入れることはやめるべきと考えますが、都教委の見解を伺います。
 次に、子供政策について伺います。
 子供の死亡原因の上位である不慮の事故を減らすために、あらゆる手段を講じていかなければなりません。事故は、どの部署が責任を持つ課題なのか明らかでなかったり、各種基準や規制で事故が起き得ない状況をつくることができるケース、教育、啓発によって防ぐことができるケースなど様々です。
 ケース・バイ・ケースの事例について、分野横断での連携した対応が求められます。まさに連携室の出番と考えます。子供の事故防止に関しては、子供政策連携室に情報を集約し、一元的に対応する体制と改めるべきと考えますが、見解を伺います。
 乳幼児期の集団生活は、子供政策連携室の政策の柱に位置づけられています。三歳までは母親が子育てに専念すべきとする三歳児神話が長くいわれてきました。
 しかし、最近は、三歳未満のいわゆる未満児が、同年齢や異年齢の子供同士の関わりや集団での活動を多く経験することは、発達によい影響を与えるといわれています。
 少子化、核家族化はもとより、コロナ禍で子供や保護者の孤立、地域の人間関係がますます希薄化していることが危惧されており、早急に取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 児童虐待の増加、子供の命が失われる事件が続く中、私たちは、児童相談所の児童福祉司などの増員や発生予防からの切れ目ない対応など、対策のさらなる強化を一貫して求めてきました。
 令和四年度に行う都区協議会では、特別区の児童相談所の設置に関わる都区財政調整の配分見直しが焦点の一つとなります。
 東京全体の虐待対応力が、より一層強化されることが必要であり、都においても、児童虐待、虐待死ゼロ、東京の虐待対応力向上に向けてしっかりと協議に臨んでいただくよう求めるものです。
 また、子供の最善の利益を保障するためには、都と特別区が連携協力して子供と家庭を支援する拠点を増やし、取組を進めることが必要です。特別区児童相談所開設に当たっては、これまで以上に支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 児童相談所について、私は昨年十二月の代表質問でも、多摩地域の児童相談所が抱える課題を解決する意味でも、新たな都立児童相談所を設置するなどの適正配置が必要だと訴えてきました。
 四年度予算では、施設規模や設置場所などの調査費が計上されましたが、多摩地域での新たな児童相談所の設置について見解を伺います。
 次に、脱炭素社会の実現について伺います。
 まずは、環境確保条例の改正です。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、都は、気候変動緩和策として、都内建築物に関する環境性能を高める制度の新設などを行います。我が会派も、脱炭素社会に向けた取組を積極的に進める立場にあり、推進を求めるものです。
 今回の条例改正は、都内温暖化ガス排出量の七割を占める業務部門と家庭部門の脱炭素化に向けた対策の強化です。この制度強化によって、どの程度転換が進むのかの効果が示されることが必要です。
 また、都は、産業部門や運輸部門、廃棄物部門でも取組を進めるべきであり、先週、知事は、水素供給の仕組みづくりやZEVの普及拡大といった転換策を実施すると表明されましたが、それらの施策による効果についての詳細が分かりません。
 条例改正を契機に、都民の共感を得る取組を推進するなど、脱炭素化に向けてさらに取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、太陽光発電設備設置における懸念解消に向けた取組です。
 知事や都からの条例改正に向けた説明が必要です。太陽光発電パネルを設置するに当たっては、事業者がコスト削減のために安価な太陽光パネルを載せて、後日クレームや不具合が起こることがないか懸念がされます。
 また、パネル設置後に日照が遮られることも考えられ、設置費用の回収などにも差が出ると予想されます。さらに、パネルを設置できる環境になく、高い電気料金を払い続けることになる既存住宅や賃貸住宅に住む人々との格差につながることはないのかといったことも課題です。
 条例施行に向けて、こうした様々な都民の懸念を払拭するため、より丁寧な説明が必要と考えますが、見解を伺います。
 一方で、今回の条例改正の目玉でもある建築物環境報告書制度については、施行時期の前倒し、早期実施など、脱炭素化に向けて、より積極的な取組を求める声も聞きます。
 そこで、私は、前回の代表質問でも取り上げた義務化を伴わない事業者も含めて、報告書の提出を条例施行前でも認めるなど、事業者の早期取組を促し、積極的な太陽光パネルの設置に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、既存住宅の活用です。
 今回の条例改正案では、新築住宅を中心とした制度となっていますが、東京における住宅の脱炭素化を進める上では、既存住宅への対策を進める必要もあります。
 既存住宅をリフォームして長く使う方が、取り壊して新築するよりも大幅に廃棄物などを削減でき、脱炭素化につながるともいわれています。
 そこで、既存住宅の断熱性能をアップするためのリフォームや、再生可能エネルギー設備導入への支援、省エネ家電への更新などにより、住宅に係る脱炭素をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、税制のグリーン化です。
 脱炭素化をどのように実現するのか、その実効性が厳しく問われる時代となっています。知事が真に住宅など建築物の脱炭素化を進めようとするならば、税による脱炭素化促進も併せて実施すべきと考えます。
 先日、知事に手交された東京都税制調査会報告では、環境性能が高い住宅の普及を図るため、住宅に係る税制全般について、軽減措置を環境性能の高い住宅に重点化するべきとの指摘がありました。
 私たちは、住宅の脱炭素化は待ったなしの課題であり、あらゆる方策を多方面に推し進めるべきとの立場から、税制面から脱炭素化促進を後押しする税のグリーン化を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、賃上げと格差是正に向けた環境整備について伺います。
 国の調査では、賃金を上げると回答した企業が三年ぶりに上昇しましたが、派遣など有期雇用者の賃金水準は正規に比べて低く、引上げが遅れています。物価上昇が続く環境下では、それを補う賃上げが目指されるべきであり、私たちは、さらに労働者の賃金水準を上げていく必要があると考えています。
 国は、五年間で一兆円を超えるリスキリング等の人的投資を行うとしていますが、都も、知事出席の公労使会議で人材確保、育成をテーマに議論しているところであり、所得向上に結びつく施策の拡充に取り組むべきです。
 賃上げに向けた環境整備の一環として、中小企業を対象としたDXやGX人材の確保、育成策、人手不足の業種、職種の人材確保策を大きく拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、取引適正化の推進について伺います。
 中小企業が賃上げを行うための資金を確保するためにも取引の適正化を図る必要があります。中小企業は、原材料価格の高騰などコスト上昇分を転嫁できず、価格交渉で厳しい立場に置かれています。
 中小企業団体やものづくり労働組合では、サプライチェーンのゆがみ解消が必要であると述べ、国も、中小企業に賃上げが着実に広がるよう価格転嫁を促すとしました。
 都においても、下請中小企業における製品、サービスの価格転嫁が進むよう、取引の適正化策の強化に取り組むべきですが、見解を伺います。
 次に、ギグワーカー、フリーランス対策です。
 先月、東京都労働委員会は、ウーバーイーツの運営会社などに対し、配達員らの労働組合と報酬や事故の補償などに関する団体交渉に応じるよう命令しました。仕事を請け負うギグワーカーも、働き方の実態に即して団体交渉ができる労働者とする国内初の判断です。
 働く人が企業と対等の立場で交渉できる団体交渉は、賃金水準や労働環境を改善していく上で非常に重要です。
 ICTの発達で、新しい働き方、働かせ方が生み出され、国内でも注目されているギグワーカーやフリーランスの議論を進めるために、都内での実態把握やフリーランストラブル専門の相談窓口設置など、都として着手可能なことに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 以上で再質問を留保して、質問の方を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○知事(小池百合子君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えいたします。
 東京大会に関する調査についてのお尋ねでございます。
 東京二〇二〇大会に関しまして、組織委員会が発注した業務の契約をめぐって司法当局による捜査が及びましたことは誠に遺憾でございます。
 都は、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げており、当該契約に係る手続、意思決定過程などについて必要な調査を速やかに実施しております。
 元理事の事件につきましては、既に起訴されており、捜査により事実関係が明らかにされるものと考えております。
 有識者会議では、国際スポーツ大会のガバナンスや情報公開、都の関与の在り方などにつきまして、東京二〇二〇大会の経験も踏まえ、将来の国際大会に向けました改善を議論いたしまして、ガイドラインを策定することといたしております。
 テストイベントに係る都の調査についてでございます。
 都は、清算法人に対しまして、捜査に全面的に協力するよう求めるとともに、当該契約の手続などの適正性などを確認いたしております。
 調査につきましては、捜査に支障を来さない範囲で確認を行い、関係局で連携しまして、必要に応じてコンプライアンスや契約調整の担当部署などからの助言も得ながら確認を進めてまいります。
 関東大震災時の朝鮮人殺傷事件についてでございます。
 私は都知事として、毎年三月と九月に横網町公園内の東京都慰霊堂で開かれます大法要におきまして、東京で起こった甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた全ての方に対しまして哀悼の意を表しているところでございます。
 新型コロナの感染症法上の位置づけについてであります。
 都は、かねてから国に対しまして、重症化リスクなど他の感染症との比較や科学的エビデンスに基づきまして、速やかに見直しの議論を進めるよう求めてまいりました。
 今般の感染症法の改正に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の位置づけにつきまして速やかに検討する旨の規定が加えられ、議論が開始されたところでございます。
 都は、保健、医療提供体制の在り方などの論点につきまして、自治体や医療機関等の意見を十分に聞いて検討を進めるよう国に求めてまいります。
 長寿の施策についてであります。
 人生百年時代を迎える中、高齢者が自らの希望に応じて、経験を生かしながら、いつまでも活躍できる環境を整えることが重要でありまして、これまでも「未来の東京」戦略において、長寿を戦略の核の一つに据えているところであります。
 政策のバージョンアップにおきましても、デジタルデバイド対策の推進や高齢者の社会参画の促進、介護人材の確保、定着支援など施策の強化を図っております。
 引き続き、コロナ禍で活用してまいりましたデジタル技術などを生かして、高齢者のQOLの向上や介護と仕事を両立できる環境の整備に加え、区市町村の先駆的取組を支援するなど誰もが安心して暮らせる長寿社会を実現してまいります。
 乳幼児期の集団生活についてのお尋ねがございました。
 乳幼児期は、健やかな成長、発達の基礎となる重要な時期でございます。
 子供政策の加速に向けた論点整理におきましては、全ての乳幼児の最善の利益につながる環境の創出を政策の柱の一つに掲げたところでございます。
 今後、この取組の方向性に基づいて、乳幼児期の集団生活をはじめ、全ての乳幼児の伸びる、育つをサポートする取組にチャレンジしてまいります。
 東京の脱炭素化に向けた取組についてでございます。
 ゼロエミッション東京を実現していくためには、あらゆる主体におきましてエネルギーを減らす、つくる、ためるの取組が標準となる社会の実現が必要です。
 都は、本年九月に策定しました環境基本計画において、産業、家庭、運輸などそれぞれの主体が果たすべき役割と責任を一層明確化すべく、カーボンハーフに向けました部門別のCO2やエネルギー消費量削減の新たな目標水準を示したところであります。
 その実現のため、住宅などの建物対策に係る条例制度の整備やZEVの導入支援など運輸部門の対策を強化するとともに、プラスチックの水平リサイクルを促進するなど、抜本的な施策強化を図ってまいります。
 脱炭素社会の実現を確かなものにしていく上で、二〇三〇年までの行動が我々の未来を形づくる。都民、事業者、国、区市町村などとの連携、協働によりまして、あらゆる主体の取組強化策を結集して横断的、総合的に政策を推し進めてまいります。
 税制のグリーン化についてのご質問でございます。
 脱炭素社会の実現に向けましては様々な政策手法を組み合わせて取り組むことが重要でございまして、税制の活用も有効な手段の一つであると認識いたしております。
 都は、住宅の脱炭素化を税制面からも後押しするため、今年度、都独自に太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制を創設いたしましたほか、今般、東京都税制調査会からは、住宅の脱炭素化をはじめとした様々な提言をいただきました。
 今後とも、都独自の税制措置を効果的に活用しながら、都税調からの提言も踏まえまして、国への積極的な働きかけを行うなど税制のグリーン化に向けた取組を推進してまいります。
 中小企業の人材の確保と育成について、最後のお尋ねでございました。
 将来の成長が見込まれるデジタルや脱炭素の産業分野で人材を確保するため、リスキリングを着実に進めることは重要でございます。
 このため、都は、中小企業の社員がデジタルのスキルを習得する機会を増やす後押しを進めております。
 また、環境関連の産業や人手不足が続く分野への就職を目指す方と中小企業をマッチングする取組も行っております。
 これらによって、中小企業の人材の確保と育成をサポートいたします。
 残余のご質問は、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、スピーキングテストの実施運営についてでございますが、英語スピーキングテストの会場については、同じ中学校の生徒は同じ会場で受験することができるようにするとともに、生徒が在籍する中学校からおおむね六十分以内で移動できることを目安に決定しております。
 また、テスト会場までの交通費については、通常の校外学習等における取扱いと同様に原則受験者の負担といたしましたが、公共交通機関の運行状況等からやむを得ないと判断した一部の学校の生徒に対しては、臨時バスを準備したものでございます。
 都教育委員会としては、全ての生徒が安心してテストを受験でき、持てる力を発揮できるよう適切な配慮を行った上で実施したものでございます。
 次に、スピーキングテストの実施状況についてでございますが、テストではイヤーマフやホワイトノイズで周囲の音声を聞こえにくくする処理をしています。
 都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び配置した都職員からの報告により、待機教室等では音声が聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。
 さらに、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、解答に影響を与えるような事例の報告を中学校から受けていないことを確認しており、テストは適切に実施されたものと認識しております。
 スピーキングテストの都立高校入試での活用についてでございますが、先月行ったスピーキングテストは適切に実施されており、都教育委員会は都立高校入試においてその結果を活用してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都人権プラザにおける企画展についてでございますが、今回の企画展は、子供を含めた幅広い都民に精神障害への理解を深めていただくことを目的に、都の委託事業として実施したものでございます。
 当該映像作品は、そうした観点からは分かりづらく、今回の事業趣旨と合わないと判断したものでございます。
 次に、パートナーシップ宣誓制度の推進についてでございますが、都はもとより、都内自治体や民間事業者等様々な主体で制度が活用されていくことが重要でございます。
 都は、既に制度を導入している都内十六の自治体と証明書の相互利用に関する連携協定を締結いたしました。未導入の都内自治体とは協議を重ね、都の証明書を活用した行政サービスの提供が順次実施されてございます。
 また、民間事業者に対しましては、顧客向けサービスや社内福利厚生において、都の制度の活用が広がるよう協力を呼びかけております。
 引き続き、当事者の困り事の軽減につなげるよう、制度の周知や啓発に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 小児科の休日診療に関するご質問にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念される今年の冬は、発熱などの症状がある小児患者が速やかに受診できるよう、とりわけ医療機関が手薄となる休日の体制を強化することが重要でございます。
 このため、都は、診療・検査医療機関が小児患者を休日に診療した場合に謝金を支払う対象を小児科を標榜する全ての医療機関に拡大しており、東京都医師会とも連携をして事業の周知を図るなど、より多くの医療機関の協力が得られるよう働きかけてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、飲食事業者への支援についてでございますが、仕入価格の上昇などにより、中小企業の経営に影響が生じております。
 このため、都は、厳しい経営環境に直面する飲食事業者に対し専門家による助言を行い、必要となる経費に助成を行っております。また、仕入れのコストを抑えるため、共同で原材料を確保する取組に支援を行います。
 こうした取組により、引き続き飲食事業者の経営を下支えいたします。
 次に、中小企業の取引の適正化についてでございますが、中小企業が事業を継続する上で、適正な価格で取引を行うことが必要でございます。
 このため、都は、中小企業振興公社に専門組織を設置し、企業同士の取引に係る相談への対応を行うほか、取引の実務に精通した相談員を中小企業に派遣し、値引き要請への対応方法などについて助言をしております。また、下請企業との間で適正な取引を行うことを宣言した会社に対し、国の優遇の仕組みなどを伝えております。
 引き続き、中小企業の現場での実態を踏まえ、適正な取引が行われるよう支援を行ってまいります。
 最後に、フリーランスの方への対応についてでございますが、フリーランスの方が安心して業務を担うためのサポートは必要でございます。
 このため、都は、発注者との契約上のトラブル等で支援が必要な場合、専門の相談員が解決に向けたサポートを行っております。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京おこめクーポン事業についてでございますが、都は、今回の補正予算案において、物価高の影響を受けやすい低所得世帯へ米や野菜などの食料品を配布するために必要な経費を計上しております。
 本事業では、高齢者等の買物に係る負担を軽減するため食料品を自宅に配送するほか、対象世帯の生活状況等に応じ、米や野菜等の複数のメニューから選択できる仕組みを検討することとしております。
 次に、生活困窮者の住宅支援についてでございますが、生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金では、離職等で住居を失うおそれがある方を対象に家賃相当額を支援しています。
 現在、国の社会保障審議会で、居住支援の在り方も含め生活困窮者自立支援制度の見直しが議論されており、都はその動向を注視してまいります。
 次に、生活保護申請者への住居支援についてでございますが、住居を失った方から生活保護の相談、申請があった場合は、国の通知により、アパート等において独立した日常生活が可能か判断できるまで、住宅扶助基準の範囲内で無料低額宿泊所や簡易宿泊所等を紹介するなどの支援を行うこととされています。
 都は、福祉事務所に対し、相談者の個別の状況に応じて適切に対応するよう周知しております。
 次に、介護事業所への支援についてでございますが、都は、コロナ禍にあっても介護事業所がサービスを継続できるよう、掛かり増し経費の補助や応援職員の派遣など、様々な支援を実施しています。
 本年十月からは、今般の物価高騰を踏まえ、介護事業所の負担軽減に向けた緊急対策にも取り組んでおります。
 また、やむを得ず事業所が廃止となる場合は、事業者に対し、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携して、他の事業所の利用を調整するよう指導するなど代替サービスの確保に取り組んでおります。
 次に、介護現場のDXの取組についてでございますが、都は、介護事業者に対し、業務を効率化し、サービスの質を高めることを目的として、介護記録の作成に要するタブレット端末や移乗介護機器、見守り支援機器等の導入経費を補助しています。
 また、専門家の助言の下に機器を体験利用できる展示スペースを設置するほか、導入事例を紹介するセミナーなども開催しております。
 引き続き、介護現場でのデジタル技術の活用を進めてまいります。
 次に、区立児童相談所についてでございますが、都は、児童相談所の開設を予定している区に対して、区が策定した児童相談所設置計画案を確認するとともに、区の職員を派遣職員として都の児童相談所に受け入れています。
 区の児童相談所が開設した後は、広域的観点から一時保護所や児童養護施設等を都区で利用するほか、専門的観点から区の児童相談所が担当する家庭を都の児童相談センターの医師や児童心理司等が支援しており、こうした取組を通じて、区と連携して児童相談体制を強化しております。
 最後に、多摩地域の児童相談所についてでございますが、昨年七月に公布された政令等により、管轄人口が百万人を超える児童相談所は管轄区域の見直しが求められており、都は、多摩地域における見直しに向けて、今年度、調査を実施いたしました。
 今後、調査結果や市町村の意見等を踏まえ、新たな児童相談所の設置を含めた管轄区域の見直し素案を作成することとしております。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 子供の事故予防についてでございますが、子供の年齢や発達に応じて事故種別は変化することから、子供を主体として捉えた実効性のある対策を講じていくことが必要でございます。
 このため、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームを組成したところでありまして、子供の事故に関する情報を一元的に収集し、最新の技術を活用して行動特性を分析するなど、エビデンスに基づいた事故予防の取組を展開してまいります。
 こうした各局と連携した取組を通じて、子供の安全・安心の確保を図ってまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、条例施行に向けた都民への説明についてでございますが、新制度の導入に向け、都民の理解と納得を得るためには、丁寧かつ分かりやすい説明を行うことが重要でございます。
 これまで都は、見やすさに配慮した太陽光ポータルサイトや一問一答による簡潔なQ&Aを作成するなど、都民の理解しやすい情報発信に努めるほか、先日、大型商業施設で幅広い都民を対象に太陽光発電の理解促進イベントを開催いたしました。
 今後、総合相談窓口を年明けに開設し、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、再エネ設備等に係る支援策など、様々な情報をワンストップで提供してまいります。
 こうした取組を継続的に行うことで、都民の共感を得ながら円滑な制度執行につなげてまいります。
 次に、事業者の取組の促進についてでございますが、建築物環境報告書制度は、今定例会での審議を経た後、条例改正後から二年余りの準備、周知期間を設け、令和七年四月の施行を予定してございます。
 また、補正予算により、条例改正後速やかに本制度への準備に着手するための任意提出者も含めた事業者への支援を実施するとともに、都民等の理解促進に向けた取組も推進いたします。
 施行までの期間においては、これらの支援策等を通じて先行的に取り組む事業者を積極的に後押しし、太陽光パネルの標準設置に向けたムーブメントを醸成してまいります。
 最後に、既存住宅の脱炭素化に向けた対策についてでございますが、都内に存在する膨大な住宅ストックにおいて、窓に高断熱な複層ガラス等を用いた住宅は二割程度、また、太陽光発電設備の設置率は四%程度となってございます。ゼロエミッション東京の実現に向けては、これら既存住宅の省エネ、再エネ化の加速も重要でございます。
 そのため、都は、既存住宅に対する窓等の断熱改修のための助成のほか、太陽光パネルや蓄電池等の設置に向けた支援の拡充や省エネ家電の買換えの推進など、住宅におけるCO2削減の取組を強化してきてございます。
 今後とも、住宅関係団体等と連携した省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを通じまして、これらの支援策の活用を働きかけるなど、既存住宅の脱炭素化を後押しし、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
   〔百二十四番中村ひろし君登壇〕

○百二十四番(中村ひろし君) 人権施策について再質問します。
 人権施策を進める上で重要な質問に知事が答えず、局長の答弁も忖度そのものでした。知事に聞いたにもかかわらず、局長が答弁に立つ、そのことそのものが忖度にほかなりません。
 私の歴史認識に関する質問への知事答弁は、過去の発言の繰り返しの曖昧なものでした。ご自身が判断され、追悼文を出すのをやめられたのですから、その判断根拠となる歴史認識をきちんと答弁すべきだと申し上げておきます。
 こうした知事の曖昧な発言と追悼文中止の事実が相まって現在の状況を生み出している、それを是正する必要があるからお聞きをしているのです。
 知事の政治姿勢を忖度している都の状況をどのように考え、知事としての責任をどう考えるのか伺うとともに、この状況を是正するために、やはり追悼文を出すべきと考えますが、知事ご自身の見解を伺い、再質問とします。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 先ほどもご答弁いたしましたが、人権プラザにおける企画展については、子供を含めた幅広い都民に精神障害への理解を深めていただくことを目的に都の委託事業として実施したものでございまして、当該映像作品は、こうした観点からは分かりづらく、今回の事業趣旨とは合わないと判断したものでございます。
 なお、追悼文につきましては、先ほど知事がご答弁したとおり、毎年、大法要において、東京で起こった甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた方々に対して哀悼の意を表してございます。

○六十七番(本橋たくみ君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三十一分散会

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