令和四年東京都議会会議録第九号

令和四年六月七日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十八番保坂まさひろ君
二十九番米川大二郎君
三十番清水やすこ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十八番石川 良一君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 一名
十一番  成清梨沙子君
 欠員
    七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長野間 達也君
総務局長村松 明典君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
子供政策連携室長山下  聡君
デジタルサービス局長久我 英男君
主税局長小池  潔君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西 康弘君
都市整備局長福田  至君
環境局長栗岡 祥一君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監清水 洋文君
福祉保健局長中村 倫治君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
港湾局長矢岡 俊樹君
会計管理局長須藤  栄君
交通局長武市 玲子君
水道局長古谷ひろみ君
下水道局長奥山 宏二君
住宅政策本部長山口  真君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長松永 竜太君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長小室 一人君
労働委員会事務局長桜井 政人君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君

六月七日議事日程第二号
第一 第百十四号議案
  令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第百十五号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百十六号議案
  東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百十七号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百十八号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百十九号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百二十号議案
  東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百二十一号議案
  公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百二十二号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百二十三号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百二十四号議案
  職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百二十五号議案
  非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百二十六号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百二十七号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百二十八号議案
  職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百二十九号議案
  職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百三十号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百三十一号議案
  職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百三十二号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第二十 第百三十三号議案
  職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百三十四号議案
  東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の一部を改正する条例
第二十二 第百三十五号議案
  東京都議会議員及び東京都知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百三十六号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第二十四 第百三十七号議案
  東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例
第二十五 第百三十八号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第百三十九号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百四十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第百四十一号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百四十二号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第百四十三号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第三十一 第百四十四号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第三十二 第百四十五号議案
  東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第三十三 第百四十六号議案
  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第三十四 第百四十七号議案
  東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第三十五 第百四十八号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第三十六 第百四十九号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第百五十号議案
  東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第百五十一号議案
  東京都しごとセンター条例の一部を改正する条例
第三十九 第百五十二号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四十 第百五十三号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第百五十四号議案
  公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第百五十五号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第四十三 第百五十六号議案
  都立府中高等学校(四)改築及び改修工事請負契約
第四十四 第百五十七号議案
  都立あきる野学園(四)増築及び改修工事請負契約
第四十五 第百五十八号議案
  都営住宅三H—一一五西(村山)工事その二請負契約
第四十六 第百五十九号議案
  都営住宅四H—一〇八西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
第四十七 第百六十号議案
  新砂水門(再整備)(四)建設工事請負契約
第四十八 第百六十一号議案
  呑川防潮堤耐震補強工事(その二百八)請負契約
第四十九 第百六十二号議案
  綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百十一)その二請負契約
第五十 第百六十三号議案
  東京都公立大学法人中期目標について
第五十一 第百六十四号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第五十二 第百六十五号議案
  土地の買入れについて
第五十三 第百六十六号議案
  特種用途自動車(救急車)の買入れ(その一)について
第五十四 第百六十七号議案
  特種用途自動車(救急車)の買入れ(その二)について
第五十五 第百六十八号議案
  特種用途自動車(救急車)の買入れ(その三)について
第五十六 第百六十九号議案
  撮影機外三点の買入れについて
第五十七 第百七十号議案
  教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十八 第百七十一号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十九 第百七十二号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第六十 諮問第一号
  地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第六十一 諮問第二号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第六十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) これより質問に入ります。
 百十一番柴崎幹男君
   〔百十一番柴崎幹男君登壇〕

○百十一番(柴崎幹男君) 令和四年第二回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 新型コロナ感染症のリバウンド警戒期間が終了し、通常医療との両立に向けた医療提供体制の見直しとともに、都内観光や地域経済の活力を取り戻すためのもっとTokyoの再開など、東京はウイズコロナに向けて一歩を踏み出しました。
 その一方で、ウクライナ危機に端を発する原油や原材料価格の高騰、円安による物価高騰、電力需給の逼迫といった新たな危機への対応を迫られています。
 今後は、都民生活と都内経済の再生を目指しつつ、感染状況やウクライナ情勢が及ぼす影響にも的確かつ機敏に対応することが必要です。
 また、都の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に推進する子供政策連携室を設置し、二〇三〇年に向けた環境基本計画の中間まとめを発表し、五月二十五日には首都直下地震の新たな被害想定を公表しました。こうした先行き不透明な中にあっても、迅速な対応を迫られる喫緊の課題や将来の都民への責任を果たすために必要な取組など、多岐にわたる課題を踏まえて質疑を行います。
 限られた財源の中で、一つ一つ対策が厳しい情勢下で苦しんでいる方々に真に必要な支援となること、そして、こうした方々に速やかに支援が行き届くことが極めて重要です。
 ウクライナ危機による影響の長期化が懸念される中、今後の予算編成も見据え、より一層機動的かつ堅実な財政運営を行っていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、中小企業における原油価格高騰の長期化対策について伺います。
 ロシアによるウクライナへの侵攻が今年の二月に開始されて以降、約三か月半が過ぎた今でもなお国際情勢は不安定な状況にあります。それに伴い、原油価格や様々な原材料価格の高騰も長期化が見込まれ、都内経済においても、コロナ禍からの経済回復の兆しに水を差している状況です。
 都は、今年三月から、ものづくり企業への緊急対策を実施し、専門家の派遣や設備導入の支援を行ってきたところです。しかし、経済の血液といわれる原油をはじめ、様々な原材料の価格高騰が長期化することによる企業経営への影響は多様な業種に及んでいます。とりわけ、燃料を多く使用する運送業やクリーニング業等では、さらなる燃費向上に資する機器や生産性の高い設備の導入など、これまで以上の対策が求められています。
 そこで、原油価格高騰の長期化等により、経済的な打撃を受けている多くの中小企業が、生産性を高めるための設備投資などに前向きに取り組めるよう支援を充実させ、事業者への下支えを強固なものにしていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 コロナ禍の影響がいまだ残る中、原材料価格の高騰に加え、新たな課題として、電力の十分な確保に関わる問題も出てきています。特に夏場は、電力をしっかりと確保しながら、経済活動の回復のためには生産活動を維持しながらも、この課題に対応することが重要です。また、電気料金は過去五年間で最も高い水準にまで達しており、経営者の方からは、ただでさえ厳しい状況にあるにもかかわらず、これ以上のコスト負担は厳しいとの声が聞かれています。
 こうした中、中小企業が継続的に事業を続けていくためには、日々の電力消費を抑え経費の節減を図ることや電力の安定した確保に向けた対策を事前に講じておくことも必要です。
 そこで、中小企業における省エネの推進や電力を確保して事業活動が継続できる取組などを支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ウクライナ情勢の長期化への懸念、急速な円安の進行、原油価格の高騰など、経済の先行きは極めて不透明な情勢となっています。
 とりわけ漁業においては、生産コストのうち燃油費の割合が一〇%から三〇%を占めるといわれており、その影響は深刻です。東京の漁業は、キンメダイをはじめとした多様で新鮮な水産物を供給する都民にとってなくてはならない産業であり、我が党は令和四年第一回定例会において、漁業者の経営安定が図られるよう施策の充実、強化を求めてきました。
 しかしながら、その後も都内の漁業用燃油価格は高止まりし、漁業者からは、このままでは操業を続けていくことが難しくなるとの声が寄せられています。
 こうした状況を踏まえ、都は、漁業者が漁業活動を継続することができるよう、さらなる対策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、三年ぶりに行動制限のなかったゴールデンウイークは最大十連休だったこともあり、報道によると、国内線や鉄道の利用が昨年度を大幅に上回ったほか、都内の主要観光地である浅草や高尾山なども久しぶりににぎわいを見せていました。しかし、こうした人出による効果は一時的なものであることから、都議会自民党はこれまで、もっとTokyoの早期再開を強く求めてきました。このたび、知事がこれをトライアル的に開始すると表明したことは評価します。
 こうした都の動きは、旅行事業者の期待に応えるものですが、コロナ禍における旅行者意識の変化により、三密回避につながる旅行への志向が高まっていることから、団体旅行を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況が続くものと考えられます。
 団体旅行は、小規模の旅行業者の売上げに占める割合が高く、また、飲食や小売など関連する事業者も多いことから、コロナ禍で疲弊するこうした事業者の経営を改善するために、都が支援を行うことで団体旅行の機運を高め、早期に需要の回復を図っていくことが重要です。
 そこで、十分な感染対策を行った団体旅行を取り扱う事業者への支援を始めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都市強靱化について伺います。
 三月の電力不足問題、ウクライナ情勢の長期化、北朝鮮のミサイル発射など、都が幾つもの脅威にさらされる中、知事はさきの所信表明において、いかなる危機にも揺らぐことのない真に持続可能な都市を実現すると語られました。
 都は、政府の中枢機能を有し、日本経済を牽引する首都東京として、その機能をいかに維持していくかという視点でも対策を講じていく必要があります。
 こうした中、今般、都は新たに都市の強靱化に向けた議論を開始したと聞いていますが、今後の議論に当たっては、都庁内部にとどまらず、外部の有識者等の考えを聞いて、幅広く検討していくことが重要です。
 首都東京の強靱化に向け、外部の知見を生かしながら取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先般、十年ぶりとなる首都直下地震の新たな被害想定が公表されました。今回の被害想定では、耐震化、不燃化の取組が効果を上げ、前回の想定より物的被害は大きく減少しました。
 一方、耐震化や不燃化の取組は道半ばであり、発災時には、建物の倒壊等による道路閉塞が至るところで発生し、救出救助活動などの遅滞が懸念される点は大きく変わっていません。
 また、通信の途絶やマンション居住者のエレベーター、トイレ対策など、大都市東京の脆弱性も改めて浮き彫りとなりました。こうした中、都は、今後、地域防災計画震災編の修正に着手すると聞いています。
 そこで、十年間の社会環境の変化や新たな被害想定を踏まえて、今後どのような認識の下に都の防災対策の実効性を高めていくのか、知事の見解を伺います。
 我が国におけるブロードバンドのデータ流通量はこの十年で十六倍と飛躍的に増大する一方で、公衆電話や固定電話の契約件数は半減するなど、通信を取り巻く環境は劇的に変化しています。
 こうした状況の中、発災時に通信が途絶した場合は、家族と連絡を取り合うことも困難となり、外出先の方々は自宅に帰ろうとして道路にあふれかえり、救出救助活動に支障が生じるなど大きな影響が出ることも想定されます。
 例えば知事は、先日、救助体制を強化するため、映像通信システム、Live一一九を多摩地域にも導入することを表明しましたが、こうしたシステムも通信がつながっていることが大前提となります。まさに、通信の確保は被災された都民にとって極めて重要な課題であり、都市の強靱化に欠かすことができません。
 そこで、今後、地域防災計画の改定に当たっては、関係各局、事業者と連携し、災害時における通信の確保に向けた対策の具体化、強靱化を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、国民保護法に基づき、武力攻撃などから避難するための緊急一時避難施設として地下施設百九か所を新たに指定しました。その後の知事の会見でも、地下施設の有効活用の重要性や確実な避難先となるよう工夫するなど、地下施設のさらなる確保について言及がありました。
 世界がウクライナ侵略、大量破壊兵器の使用リスクの高まりといった未曽有の危機に直面している中、我が国の隣国である北朝鮮によるミサイル発射回数は今年だけで十七回にも及んでいます。また、五月二十五日には大陸間弾道ミサイルを含む三発を、六月五日には八発の短距離弾道ミサイルが発射されました。首都機能を有する東京都は、危機管理の想定をさらに広げ、進化させる必要があると考えます。
 今回指定された百九の地下施設については、全て区部にある施設になっていることから、今後は多摩地域の指定も進めていく必要があります。今後、都内全域に地下施設などの緊急一時避難施設の確保をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 大規模災害に加え、気候変動や大量破壊兵器の使用リスクなど新たな脅威にも万全に備えるべく、政府や自衛隊とさらに緊密な連携が求められています。
 都は、都市強靱化プロジェクトを立ち上げましたが、国家中枢機能が集積し、我が国経済の牽引役として、本来、首都強靱化という名称こそふさわしいと一言申し添え、次の質問に移ります。
 来年は関東大震災の発生から百年を迎えますが、こうした大規模地震は周期的に発生するともいわれており、昨年十月には千葉北西部を震源とした地震により都内でも震度五強を観測するなど、大規模地震への備えは喫緊の課題です。
 近年、気候変動に伴う豪雨災害が全国各地で発生しており、東京でも、令和元年の台風十九号では、荒川で避難判断水位を超えるなど水害リスクが高まっています。東京を取り巻く災害リスクは拡大しており、災害はいつ何どき発生してもおかしくありません。防災まちづくりを推進するとともに、被災後の都市復興への備えとして、平時から実効性の高い取組を継続的に進めていく必要があります。
 先月、新たな被害想定が公表された首都直下地震に加え、大規模水害など災害リスクも高まっています。こうした事態を的確に捉え、有事の際に迅速に都市復興を進められるよう、行政職員への復興訓練もさらに進化させることが重要と考えます。
 都はどのように取り組んでいくのか、その効果も含め、取組を伺います。
 次に、都の豪雨対策について伺います。
 都では、平成十七年に時間百ミリを超える豪雨に見舞われたことを踏まえ、東京都豪雨対策基本方針を定め、改定を経て、対策を強化しつつ、豪雨対策を着実に進めてきました。
 しかし、その後も、東京をはじめ、広く被害が発生した令和元年東日本台風や、昨年八月に九州などを襲った記録的な豪雨など、近年、全国各地で毎年のように大規模な水害が発生しています。さらに、IPCCの最新の報告書によれば、地球温暖化の進行に伴い、台風など熱帯低気圧の強さが増す可能性が指摘されており、我が国でも将来の降雨量が増加することなどが懸念されています。
 東京は、政治経済の機能が集中する国家の中枢であり、その機能が失われた場合の影響は計り知れません。いかなる危機や災害においても、都市機能が確保された、安全・安心な都市づくりに向けて万全の備えを行うことが極めて重要です。
 このため、近年の気候変動を踏まえ、激甚化、頻発化する豪雨に対する総合的な取組を加速する必要があると考えますが、今後の都の豪雨対策の取組について伺います。
 豪雨対策において、大きな効果を発揮する取組の代表が中小河川の整備です。
 都がこれまで進めてきた護岸や神田川・環状七号線地下調節池などの調節池の整備により、近年は河川からの溢水被害が減少するなど、整備効果を実感しているところです。一方、将来激甚化、頻発化するといわれている豪雨に対しても安全性を確保していくことは必要です。
 このような中、今後、強靱な都市東京を実現するためには、河川の施設整備を着実に推進することに加え、将来の気候変動の影響も踏まえた検討を速やかに進める必要があると考えます。
 そこで、中小河川の洪水対策に関する都の取組について伺います。
 豪雨対策では、中小河川の洪水対策と並び、下水道の浸水対策も重要な取組です。下水道は、都市に降った雨を一つ一つの下水道管で集め、川や海に速やかに流すことで、東京を浸水から守る重要な役割を担っています。
 これまで都は、一時間五十ミリ降雨への対応を基本に、早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性が高い地区を重点化し、大規模なポンプ所や下水道幹線の施設整備を行うなど、着実に対策を推進してきましたが、今後も浸水対策を一層取り組むべきと考えます。
 そこで、下水道の浸水対策に関する都の取組について伺います。
 気候変動が進む中、ロシアのウクライナ侵攻により、世界中を巻き込んだエネルギー危機が生じています。また、福島県沖地震により発電所が停止するなど、今夏、今冬の電力逼迫が危ぶまれています。
 こうした状況は、エネルギー供給を化石燃料に過度に依存し、さらにその大半を海外からの輸入に頼らざるを得ない我が国の脆弱性が改めて明らかになりました。省エネや再エネの活用も重要ですが、それだけでは現下の未曽有のエネルギー危機を乗り越えることは困難です。
 こうしたことから、先日、島根県では知事自ら、安定的かつ安価に電力を供給するには、再生可能エネルギーでは限界があるとして、島根原発二号機の再稼働に同意を表明しました。
 我が国最大のエネルギー消費都市である東京こそ、エネルギー問題に正面から向き合い、具体的な施策をもって取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化について伺います。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、再エネ電力の導入拡大が不可欠です。現在、都は、環境審議会において、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討を進めています。
 これまでの検討案では、延べ床面積の合計で二万平方メートル以上の新築建物を供給する事業者に対し、個別の建物ごとではなく、事業者単位で設置を求める仕組みとしていますが、二〇三〇年の再エネ利用割合の数%にしかならないと聞いています。また、最近、都民の声やSNS等で非常に多くの反対の声が寄せられています。
 こうした都民や事業者の声を受け止め、理解と共感を得られる制度構築を行っていかなければなりません。
 そこで、今後のパブリックコメントの結果を踏まえ、義務化については慎重な議論をさらに重ねるべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、子供政策について伺います。
 子供、子育ての現場は区市町村であり、その推進に当たっては、都だけで考えるのではなく、区市町村との連携が重要です。地域ニーズや資源がそれぞれ異なる中、区市町村を尊重し、ともに取り組んでいく姿勢が大事であり、それが施策の実効性にもつながっていきます。
 子供政策連携室ができた今こそ、区市町村の声を取り入れ、取組を進めるべきと考えますが、区市町村との連携をどのように進めていくのか、また、都庁においても、子供・子育て計画をはじめ、各局が所管する計画について、子供政策という観点から捉え直し、施策の充実につなげていく必要があります。併せて知事の見解を伺います。
 また、福祉保健局では、子どもの貧困対策法の改正や東京都子供への虐待の防止等に関する条例の制定等を踏まえ、令和二年に第二期子供・子育て支援総合計画が策定されました。この計画には、保育サービス、学童クラブのさらなる充実をはじめとして、安心して子供を産み育てられる環境の整備が盛り込まれています。
 策定から二年がたち、新型コロナウイルス感染症をはじめとして、子供をめぐる環境も急速に変化をしています。また、今春、子供政策連携室も立ち上げられました。
 そこで、子供、子育てを取り巻く状況の変化を踏まえ、この計画をどのように見直していくのか、都の見解を伺います。
 次に、児童相談所における児童虐待の相談業務では、子供や保護者の意向を確認しながら援助方針を決定すると伺っています。しかし、子供の年齢が低いなど、子供が自ら意向を十分に表明することができないケースもあり、その場合は、子供の保護者の意見に援助方針が大きく左右されることもあるかと思います。
 虐待を認めない親や児童相談所の援助を避ける親もいる中、親の意見だけを尊重するのではなく、子供の意向を十分に聞きながら、子供にとって最も適切な援助方針を決定することが重要であると考えます。都の見解を伺います。
 次に、児童相談所の一時保護は、子供を家庭から離して安全・安心な生活を提供するものですが、その一方で、子供の権利擁護にも十分に配慮する必要があります。特に、一時保護児童は外出制限があることから学校に通学できないため、学習権保障の観点から課題があると考えます。
 児童が学習する機会を保護所内においても十分に保障するとともに、学校の通学について可能な限り進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、コロナ禍で制限がある子供たちに、楽しいと感じる体験から明るく前向きな気持ちになるために企画された、子供を笑顔にするプロジェクトについて伺います。
 三月に実施した学校への意向調査では、参加の意向は、都立学校の約三割、区市町村立学校の二割にとどまっています。学校現場からは、どのような事業が対象になるのか分からないといった声も聞こえてきます。
 今後、できる限り多くの学校が参加するようにするため、どのような取組を進めていくのか伺います。
 国は、令和五年度以降、学校の働き方改革の一環として、中学校における休日の部活動を段階的に地域に移行を進める方針を示しています。スポーツ庁は、休日の部活動の段階的な地域移行を着実に実施するため、検討会議を設置し、先日提言が示されました。
 提言では、都道府県が策定した計画を基に、区市町村が計画を策定すること、また、令和五年度から令和七年度までを集中移行期間とすることが盛り込まれています。
 そこで、今後の都教育委員会の取組について伺います。
 次に、不登校児童生徒への取組について伺います。
 不登校の子供の人数は年々増加しています。これまで我が党は、不登校の子供の社会的自立を支援するために、区市町村が設置する教育支援センターが十分に機能するよう、都教育委員会の取組を強化すべきと主張してきました。不登校が長期化している子供への支援と併せて、新たに不登校にならないようにする対策も大切です。
 そこで、小中学校において、不登校の未然防止のための取組を充実させることが必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、難聴児支援について伺います。
 都議会では、昨年十一月より超党派十二名の議員で構成するワーキングチームを設置し、七か月にわたり手話言語条例の検討を続けてきました。この間、有識者や当事者の方からの意見を伺うだけでなく、執行機関とも協議を重ね、本条例に、理念だけではなく、実効性を持たせるよう努めてきたところです。
 難聴児の言語能力の発達には早期からの支援が必要であり、平成二十四年に請願が採択されたことにより、補聴器への支援が始まりました。
 難聴児が自立した生活を営むためには、聞こえの補償はもとより、コミュニケーション手段の獲得など、総合的な対応が必要と考えますが、都の取組について伺います。
 第六波と第五波を比べると、新規陽性者数の最大値は、第六波は第五波の四倍でしたが、重症患者数の最大値は三分の一でした。都は、コロナ病床を七千二百二十九床確保しましたが、コロナ患者用にベッドを確保した結果、通常医療が逼迫したとの声も聞きます。
 今後の感染再拡大に備えるとともに、通常医療との両立の中で、いかにしっかりと病床確保を行っていくのか、見解を伺います。
 第六波の感染拡大時においては、高齢者施設で集団感染が多く発生し、重症化リスクがある高齢者への対応が課題となりました。入院することができた場合でも、高齢者は身体機能が低下し、元の生活に戻ることが困難な事例も生じました。こうした課題に対応するため、都では、酸素・医療提供ステーションを柔軟に活用するなどの対応を取りました。
 今後も高齢者への対応を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 一方で、通常の医療も途切れることなく続けていかなければなりません。中でも、救急医療は、都民の生命を守るために、いつでもどこでも誰でも、その症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制確保が重要です。
 救急搬送人員は全国的に増加しており、総務省消防庁の統計によると、平成二十一年からの十年間で百二十万人以上も増え、令和元年には約六百万人に達しました。そのうち、六十五歳以上の高齢者が六割となっています。
 超高齢化により、今後さらに重篤な救急患者の増加が見込まれる中、生命の危機が切迫している患者に一刻も早く医療を提供するためには、救命救急センターの整備が必要です。
 そこで、都における救命救急センターの位置づけと今後の取組について伺います。
 新型コロナウイルス感染症に代表されるように、感染症は人類の脅威であり、その六〇%以上が野生動物由来といわれております。本年五月にも、イギリスで、主にアフリカに生息するリスやネズミなどウイルスを保有する動物から人に感染するとされるサル痘の発生が確認されており、以後、欧米での感染報告が相次いでおります。国内でも、マダニが媒介するSFTSについて、西日本を中心に感染が確認されています。
 東京都では、都の感染症対策全般について、常設の司令塔である東京iCDCを設置しました。一方、米国CDCでは、ワンヘルスの考えの下、人と動物の健康に関する調査研究及び情報発信をしております。
 今後、動物由来の未知なる感染症の脅威が高まる中で、東京iCDCの知見も活用するとともに、動物由来感染症に関する調査を実施するなど、都の取組を強化するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 デジタルサービス局を立ち上げて二年目となり、長年の懸案事項であったデジタル関連経費の見える化をはじめ、都民サービスを向上させるデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの取組にも積極的に着手しています。
 また、オール東京でのDX化を掲げ、区市町村へのDX支援等を通じて、都と区市町村との連携が深まる一方で、小規模自治体の中には、専門部署もなく、IT人材の確保にも難航する等の課題もあります。
 オール東京でのDX加速には、よりカスタマイズしたきめ細かな支援が必要だと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍により一年延期となった東京二〇二〇大会の成功には、都民、国民の協力が不可欠でした。
 本年七月から十月の東京二〇二〇大会一周年期間は、リオ大会後にアスリートが集まった虎ノ門から銀座を通り、日本橋までのパレードで感謝の思いを伝えました。このように大会成功に対する都民、国民への感謝を伝えるとともに、大会の感動や記憶を改めて共有していく重要な期間です。
 また、大会が無観客となり、アスリートとの交流や文化事業との連携などが、大会時には一部オンラインでの実施を余儀なくされました。そこで、我が党は、今年の第一回定例会代表質問において、一周年記念行事でこれらの取組を改めて実施していくことの重要性を指摘しました。
 そこで、大会一周年の機会を捉えたこの記念行事において、都民、国民に感謝の思いなど、どのように伝えていくのか、見解を伺います。
 東京二〇二〇大会で追加種目として採用されたスケートボードなどのアーバンスポーツは、日本人メダリストを含む多くのアスリートの活躍もあり、コロナ禍にある都民、国民を大いに熱狂させました。
 東京二〇二〇大会の競技会場となった場所に整備する有明アーバンスポーツパークをアーバンスポーツの新たな聖地とするとともに、そこを核として、都内各地へ競技の裾野の拡大を図っていくことは重要です。しかし、利用者のマナーとして、認められていない場所での滑走による騒音や施設の破損といった点についても特に注意が必要です。
 多くの人に親しまれるアーバンスポーツ拠点となるためにも、地域の住環境にも留意し、競技団体や区市町村とも連携しながら、有明アーバンスポーツパークを運営する必要があると考えます。都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会から約一年が経過しようとしています。その大会が無観客になったことにより、とりわけ未来の子供たちにスポーツのすばらしさを直接届けることができませんでした。
 東京二〇二〇大会と同様に、関係者が一丸となって二〇二五年の世界陸上を東京で開催し、東京大会で十分にかなえられなかった子供たちの参画が実現すれば、子供たちに夢と希望を与え、東京全体の活力を高める絶好の機会になると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、先日の所信表明で、知事は、世界陸上と併せてデフリンピックの開催について、招致主体を応援していくことを表明しました。
 障害の有無を問わずパラスポーツを楽しみ、観戦し、交流する機運が高まってきている中、パラスポーツの普及を推し進め、共生社会の実現に向けたエンジンの一つとしていくことが肝要です。
 アスリートが常に最善を尽くすように、スポーツに関わる人や団体が未来に向かってたゆまぬ努力を重ね、一体となってこそ、スポーツは東京に根づきます。
 都は、デフリンピックへの対応を検討していますが、開催に当たっては、その機を捉え、聴覚障害者のスポーツを含めたパラスポーツを社会に浸透させていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、地域における芸術文化活動の支援について伺います。
 我が都議会自民党はこれまで、東京オリンピック・パラリンピックの文化レガシーを生かすため、都民が美術館や芸術だけでなく、まち中などでより身近に芸術文化を楽しむ機会を増やしていくべきと主張してきました。
 これを受け、都が今年度から開始した芸術文化魅力創出助成について、地元から多くの反響があったと聞いています。
 今後、都民が芸術文化に気軽に触れる機会の拡大につなげていくためにも、地域の方々からの意見を聞きながら、様々な活動がより一層活発に行われるよう支援していくべきべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多様性を尊重する社会の構築は重要で、パートナーシップ制度についても、その意義については理解できます。
 都は、制度の導入に向け、都民アンケート調査やパブリックコメントなど、当事者の意見も取り入れて制度案を取りまとめてきました。しかし、制度の対象となる性的マイノリティーの当事者の方々からは、制度導入後の運用についても様々な意見が寄せられていると聞いています。
 都が制度を導入するのであれば、運用に当たっては、こうした当事者の方々の意見を受け止める姿勢が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 都はこれまでも、女性も男性も参画できるよう取り組んできており、その一環として、条例で附属機関等の男女の構成比率の数値目標を定めるとしています。多様な意見を反映し、女性も男性も参画できる社会をつくるためのプロセスであると認識しています。
 この条例を生きた条例とするためには、各審議会の目的の達成に必要な専門性を有する女性を積極的に任用することや、希望に応じて、企業や団体、地域など、あらゆる場で女性が活躍できる社会の実現に向けた取組も重要と考えます。都の見解を伺います。
 日々報道されるロシアのウクライナ侵攻の出来事を目の当たりにし、私たちが今、享受している平和がいかに大切であるかを再認識したところです。
 東京においても、さきの大戦では、度重なる空襲により甚大な被害を受けました。中でも昭和二十年三月十日、下町地区を中心に襲った大空襲では、一夜にして十万人ともいわれる尊い命が奪われました。大空襲により焦土と化した当時の悲惨な光景と、家族や友人を失った深い悲しみは、今なお被災した方々の心の中に重く深く刻み込まれています。亡くなられた方々のご無念と最愛の肉親を失われたご遺族の心中に思いを致すと、誠に痛惜の念に堪えません。
 戦後七十六年が過ぎ、さきの大戦を経験した世代が少なくなる中で、こうした多くのかけがえのない命が失われた事実や、平和の尊さを後世に伝えていくためのたゆまぬ努力をすることは、我々世代に課せられた責務であると考えます。
 戦争の記憶を風化させないためにも、都が保有している東京空襲関連資料の活用を進めるということですが、知事の見解を改めて伺います。
 先般、ストーカー規制法が一部改正され、同法で規定する付きまとい等の規制対象行為が拡大されたところ、いわゆる迷惑防止条例においても同様の規定が整備されると聞いております。
 都民生活の平穏の保持を目的として昭和三十七年に制定をされた同条例は、平成十五年に悪意の感情に基づく付きまとい行為等が規制対象に追加されました。そして、平成三十年には、スマートフォンの普及やカメラの高性能化に対応して、盗撮行為の規制場所の拡大やSNSによる送信行為が規制対象となりました。科学技術の発展は日進月歩であり、我々を取り巻く環境も時代によって変化し続けています。
 今回、改めてこの条例における規制対象行為を拡大する改正を行うとのことですが、改正後、本条例運用に向けた警視庁の具体的な取組について、警視総監に伺います。
 次に、この付きまとい行為等に関わる被害相談窓口について伺います。
 付きまとい、ストーカー行為等の被害に遭った場合でも、警察への相談は、現状、電話のみとなっており、ハードルが高いと感じる方もいるようです。
 東京都をはじめ、警察以外の様々な行政機関でも被害の相談に対応しており、若者の利用率が高いSNS等での相談も実施しておりますが、あまり知られていないのが現状です。パンフレットを手に取っても、そこに電話番号しか書かれていなければ、相談をちゅうちょしてしまう方もおられると思います。
 そこで、迷惑防止条例の一部改正に合わせ、こうした相談窓口もより広く知ってもらう必要があると考えますが、都の見解について伺います。
 本年四月、民法の改正に伴って成年年齢が十八歳に引き下げられました。これによって、公認会計士や司法書士など国家資格の取得ができるようになるとともに、親の同意が必要なく、ローンを組む、クレジットカードをつくる、一人暮らしの部屋を契約する等が可能となりました。十八歳は高校生であることも多い年齢であり、社会経験が乏しい若者を狙った悪質な商法や契約トラブルが発生することが懸念されます。
 そこで、こうした被害から若者を守るための警視庁の取組について、警視総監に伺います。
 さて、昨年度、電車内での刺傷事件が立て続けに発生したことを受け、鉄道各社で車内防犯カメラの整備が進み始めています。防犯カメラは、犯罪や迷惑行為への一定の抑止効果が期待されるところであり、痴漢対策としても有効と考えられます。
 都営地下鉄において設置を加速していくべきとの本年一定での我が会派の代表質問に対し、交通局からは、残る全車両への速やかな設置を目指し、技術的検証を実施しているとの答弁がありました。
 そこで、日暮里・舎人ライナーも含め、いつまでに全車両への設置を完了する考えなのか伺います。また、防犯カメラの設置を十分に周知することが犯罪等の抑止効果を高める上で重要と考えますが、併せて見解を伺います。
 次に、外環道整備について伺います。
 事業効果が極めて高く、整備が急がれている三環状道路の一つである外環道について、事業者は、一昨年、調布市で発生した陥没事故以降、家屋補償や地盤補修の対応を行うことを最優先しています。大泉や中央の再発防止対策等を取りまとめた上で、シールド工事を本年二月から再開しました。
 こうした中、本年四月、大泉ジャンクション側から発進したシールドマシンが破損する事態が発生し、掘進作業が停止しました。補修に半年間かかるとされており、地域の方々から整備時期に対し心配する声が聞こえてきています。
 このような事象があったものの、今こそ踏ん張りどころであり、首都圏を支える重要な道路である外環の早期開通に向け、事業者はふんどしを締め直し、現在、事業中の関越道から東名高速までの区間を進めることが必要だと考えます。外環道の整備に向けた知事の所見を伺います。
 一方、上部に都道として整備される外環ノ2は、地域交通の円滑化や生活道路に流入する通過交通の排除など、安全性の向上や都市の防災機能の強化などを図るために重要な路線であり、外環本線とともに着実に整備していく必要があります。
 現在、大泉ジャンクション周辺や上石神井駅周辺では事業が進められていますが、その間を結ぶ約二キロメートルの区間はいまだ事業化されていません。外環本線の整備効果を最大限に発揮するためには、本区間の整備も着実に進め、ネットワーク化を図っていかなければなりません。
 そこで、本区間の事業化について、進捗状況と今後の予定を伺います。
 最後に、新空港線について伺います。
 東京の国際競争力を強化させるためには、空港へのアクセス利便性の向上が必要です。昭和六十年代から構想されてきた新空港線は、大田区内の東西交通の分断解消とともに、東京圏の各方面と羽田空港間のアクセス性の向上が期待されています。先日、数年にわたり協議を続けてきた新空港線整備に関わる地方負担について合意に至ったとのことです。そこで、新空港線に対する知事の見解を伺います。
 世界規模の感染症、世界に影響を及ぼすウクライナ情勢など、首都東京を取り巻く状況は日々変化しています。
 一方、防災対策、環境問題、子供政策の充実、高齢者支援、デジタルの推進といった都政の基本となる政策も着実に推進していかなければなりません。
 こうしたときこそ、国、そして都内区市町村と緊密に連携し、都政運営の道筋を都民に丁寧に説明し、政策への理解と協力をいただくことが重要です。
 都議会自民党は、先行き不透明な状況に不安を抱えている都民の皆様、困難な状況に直面している都内事業者の方々の声を大切にしながら課題解決に邁進していくことをお誓いし、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 柴崎幹男議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてのご質問がございました。
 今回の補正予算におきましては、原油、原材料価格や物価の高騰等の影響により、厳しい環境に置かれている事業者や都民の生活を支えるための様々な対策を盛り込んでおります。
 加えまして、観光需要の回復に向けた事業者支援や円安を契機とした東京産製品の輸出促進など、事業者の状況に応じた支援策を盛り込んでおりまして、経済回復の足がかりとなる対策にもしっかりと取り組んでおります。
 一方、ウクライナ危機の長期化が懸念される中、都内経済や都民生活を守るためには、今後とも、迅速かつ的確に対策を講じる必要がございます。
 このため、財政面におきましては、政策評価及び事業評価の一体的な実施によりまして、成果重視の視点から無駄をなくすとともに、施策の新陳代謝を促進してまいります。
 また、基金や都債など財政の対応力を最大限活用いたしまして、施策展開を支える持続可能な財政運営を行い、都政に課せられた使命を確実に果たしてまいります。
 次に、都市の強靱化についてでございます。
 東京は、政治経済の機能が高度に集積する国家の中枢であります。
 いかなる状況におきましても、都民を守り、都市機能を維持するため、首都直下地震や火山噴火、頻発化、激甚化する豪雨など、あらゆるリスクを想定しまして、万全の備えを講じていかなければなりません。
 こうした認識の下、都市強靱化プロジェクトを立ち上げたわけでございます。今なすべき対策に直ちに着手するとともに、長期的な視点から、都市の強靱化を実現する具体的な施策を年度内に取りまとめることといたしております。
 プロジェクトの推進に当たりましては、様々な観点から検証を進めるため、災害等に関する有識者やライフラインを提供している事業者と継続的に意見交換を行うなど、幅広い知見を集積してまいります。
 今後、こうした知見や社会情勢の変化を本プロジェクトに的確に反映をいたしまして、より実効性ある対策を講じるなど、国の発展を牽引する強靱な首都東京の実現に向けまして取り組んでまいります。
 次に、防災対策の実効性の向上についてのお尋ねがございました。
 都民が災害への不安を感じることなく、安全・安心に生活できるようにするためには、東京の防災対策上の弱点を明らかにした上で、対策を講じていくことが重要でございます。
 そのため、今回の被害想定では、救出救助活動に不可欠な道路の閉塞リスクを明らかにするとともに、ライフラインの復旧の見通しとそれに伴う避難生活等への影響などを発災後のタイムラインに沿って詳細にお示しをいたしました。
 被害想定結果を踏まえまして、安全・安心な東京を実現するため、今後の防災対策を推進する上での羅針盤である地域防災計画を改定してまいります。
 具体的には、耐震化の強化によります道路閉塞リスクの軽減や上下水道などのライフライン被害を踏まえました生活必需品の備蓄の充実など、被害想定で明らかになりました課題の克服に、ハード、ソフト両面から取り組んでまいります。
 こうした取組によって、実効性のある防災対策を推進し、強靱化された都市東京を確実に実現してまいります。
 次に、緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねでございます。
 本年二月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。また、隣国である北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返しております。世界情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の生命を守ることが、都の責務でございます。
 先般、都は、ミサイル攻撃の爆風などから被害を軽減するため、特別区にある百九の地下施設を指定いたしました。
 今後、お話の多摩地域を含めまして、都内全域において指定を進めてまいります。
 具体的には、まず、国有施設も含めまして、都内にある公共施設の総点検を実施し、堅牢な施設の立地や規模、地下施設の有無などを把握してまいります。
 また、地域の実情に精通している区市町村とも連携をしまして、活用可能な民間施設につきましても、詳細な調査を行います。
 その上で、緊急一時避難施設が存在しないエリアを生じさせないよう、地域ごとの人口、偏在状況等を考慮いたしまして、戦略的に指定し、その周知にも努めてまいります。
 武力攻撃や大規模テロなどの場合に備えまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、将来のエネルギーの安定確保についてでございます。
 ロシア、ウクライナ情勢や地震による火力発電所の停止等によりまして、東京は、今夏、今冬の電力逼迫をはじめ、都民生活に大きな影響を及ぼす様々な危機に直面しております。
 こうした目の前に迫る危機を乗り越え、その先の脱炭素社会も見据えた取組をさらに推進するため、私を本部長といたしますエネルギー等対策本部を先月立ち上げました。
 この本部で、差し迫った危機感を共有するとともに、二〇三〇年カーボンハーフの実現を確実にするため、中間年である二〇二六年におけます目標を定めるなど、新たにロードマップをお示しいたしました。
 この目標達成に向けて、都外に設置される再エネ発電設備に対する補助の拡充や系統用大規模蓄電システムの導入支援をはじめ、今回新たな施策を補正予算に盛り込んだところでございます。
 電力の最大消費地である東京として、脱炭素化など産業構造を変えるエネルギーの安定確保に向けまして、省エネ、再エネを軸に、あらゆる施策を総動員し、取組を加速させてまいります。
 次に、子供政策の推進についてであります。
 未来を担う子供たちが、夢や希望を抱いて育ち、笑顔があふれる東京をつくってまいりたい。そのためには、子供たちが健やかに成長できる環境の整備が重要であり、これは未来への投資そのものでございます。
 こうした思いの下で、四月に新設した子供政策連携室を核に、都民に身近な政策を担う区市町村としっかり連携しながら、子供の目線に立った取組を進めてまいります。
 地域における実情や子供のニーズを把握するため、施策検討の段階から、区市町村長や現場の方々と意見交換を重ね、取組に反映してまいります。
 同時に、区市町村の先駆的、横断的取組を支援し、子供目線の政策や子育てに優しいまちづくりを推進いたします。
 また、庁内の横串を刺しまして、新たな取組を展開するとともに、各局の子供関連の計画策定等に当たりましては、子供の参加や子供との対話を取り入れるなど、直面する課題や実情を踏まえまして、政策の質を高めてまいります。
 実効性ある取組を進め、全ての子供たちの可能性を社会全体で大切に育んでまいります。
 次に、二〇二五年の世界陸上における子供たちの参画についてでございます。
 世界陸上は、二百を超える国、地域が参加する世界最高峰のスポーツの祭典であります。
 東京で開催されることとなりますれば、都民にトップアスリートの躍動する姿を直接見ていただく貴重な機会となります。
 とりわけ、次代を担う子供たちにとって、大会を間近で観戦する機会や世界レベルのアスリートとの交流は、心にかけがえのない思い出を刻むこととなりましょう。
 また、世界陸上を契機に、子供たちがスポーツを楽しむきっかけをつくることで、スポーツをする、見る、支えるの定着を図り、そのにぎわいを都市の活力につなげてまいります。
 次代を担う子供たちに夢と希望を与え、未来の東京、日本社会の活力を高めるよう、国や関係機関と密に連携しながら、世界陸上の招致主体である競技団体を積極的に応援してまいります。
 デフリンピックについてのお尋ねがございました。
 東京二〇二〇パラリンピック競技大会では、性別や年齢、障害を超え、競い合うアスリートの姿に、共生社会への可能性を実感いたしました。
 真のダイバーシティ東京を目指し、大会を機にバージョンアップした都立施設も最大限活用しながら、世界レベルの様々なパラスポーツの大会を開催していくことが重要であります。
 デフリンピックが開催されることになれば、様々なパラスポーツのPRを併せて展開することで、障害がある人もない人も、パラスポーツを楽しむ機会を創出することができます。
 東京での開催に当たりましては、国の財政支援をはじめ、競技団体との連携など、様々な関係者の協力が不可欠であります。
 都といたしましても、デフリンピックの招致主体である全日本ろうあ連盟を、関係者と密に連携しながら、積極的に応援をいたします。
 今後もパラスポーツの一層の発展とともに、共生社会の実現につながるように取り組んでまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてであります。
 性的マイノリティーの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、自分らしく生き生きと生活していけるよう、当事者の思いに寄り添った制度とすることが不可欠であります。
 都は、都民等へのアンケート調査や様々な有識者などへのヒアリングを実施するとともに、パブリックコメントを通じて、都民や当事者からの意見を丁寧に伺いながら、制度案を策定いたしました。
 導入に向けましては、より多くの都民の皆様に理解を深めていただけるよう、都内自治体や民間事業者と連携しながら制度の周知に努めるとともに、性的マイノリティー当事者からの様々な意見や疑問にも丁寧に対応してまいります。
 また、導入後の運用に当たりましては、当事者の困り事などをメール等により継続的に把握をし、暮らしやすい環境づくりにつなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、全ての都民が自分らしく生活をし、誰もが認め合う共生社会を実現してまいります。
 次に、東京空襲関連資料の活用についてでございます。
 ウクライナ情勢を目の当たりにし、都民の平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないための取組を進め、平和の大切さを訴えていくことは重要でございます。
 都はこれまでも、三月十日の東京都平和の日に合わせた東京空襲資料展の開催などによりまして、保有している資料の活用を図ってまいりました。
 一方で、都が保有している東京空襲関連資料は、資料の収集や証言映像の制作から二十年以上が経過しておりまして、将来にわたり継承していくための対策が急務でございます。
 そこで、資料や証言映像のデジタル化に着手いたしまして、空襲資料展などで貴重な資料をより広く活用していくことで、後世に平和の尊さを引き継いでいきたいと考えております。
 次に、外環事業の推進についてであります。
 首都圏における交通、物流の根幹をなす外環は、人と物の流れをスムーズにするとともに、災害時の避難や救急活動のルートを確保するなど、都として極めて重要な道路であると認識をしております。
 外環事業は、国及び高速道路会社により事業が進められております。一昨年の陥没事故発生以降、事業者は、陥没箇所周辺におきまして、家屋の補償や緩んだ地盤の補修に向けた準備等を行っております。
 また、大泉及び中央ジャンクション側におきましては、事業用地内で再発防止対策等を確認しながら、本年二月からシールド工事を再開いたしております。このうち、大泉側におきましては、四月にシールドマシンの一部損傷が確認されまして、現在、補修などの対応を行っております。
 私自身は、ふんどしとは縁がございませんけれども、都は事業者に対しまして、引き続き、再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明や、そしてきめ細やかな対応を求めてまいります。
 新空港線につきましてお答えいたします。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要であります。
 空港アクセス向上に資する新空港線につきましては、国の答申では、関係者間での費用負担等の合意形成が課題とされてまいりました。
 このため、都と大田区では、令和二年九月から、まちづくりの観点等を加味いたしまして、事業プランを検討するとともに、都と区の負担などに関する協議も行ってまいりました。
 このたび、私と大田区長との間で、新空港線につきまして、整備主体となる第三セクターに区が出資することや、広域的な空港アクセスの向上等に資することから、事業費の地方負担分のうち、その三割を都が負担することなどについて合意をいたしました。
 今後、合意に基づきまして、区が主体となって、事業化に向けた取組を進めることといたしておりまして、都は、こうした関係者による取組を支援してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 区市町村と共に進めるデジタルトランスフォーメーションについてお答えいたします。
 東京全体のデジタルトランスフォーメーションを実現するには、住民に身近なサービスを担う区市町村と一体となった取組が不可欠です。国の計画では、令和七年度までに二十の基幹システムの標準化、共通化を求められるなど、区市町村のデジタル化は喫緊の課題であり、区市町村とのCIOフォーラム等では、デジタル人材の確保、育成が大きな課題であるとの声が寄せられました。また、区市町村によってデジタルトランスフォーメーションの進捗状況に開きがあることも分かりました。
 このため、都は今年度、デジタル人材をさらに拡充し、より踏み込んだ区市町村への伴走型支援を新たに開始しました。多様なスキルを有する専門人材が区市町村のプロジェクトチームに参加し、ニーズや課題を踏まえた支援を行ってまいります。
 また、先月開講した東京デジタルアカデミーでは、最新デジタルツールに関する研修会を開始するなど、都職員のみならず、区市町村職員についても、デジタル能力の全体的な向上を後押しします。
 こうした取組を強力に展開するとともに、海外の先進事例に学びながら、人材確保やアジャイル開発の仕組みなど、官民を通じた熾烈な人材獲得競争の中にあっても、オール東京でデジタルトランスフォーメーション推進を加速する方策について、区市町村と共に検討を進めてまいります。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、改正迷惑防止条例の運用に向けた取組についてでございますが、GPS機器に関する行為等が新たに規制の対象となることにつきまして、警視庁ホームページをはじめとする各種媒体を活用して広報を行うことで、広く周知を図ってまいります。
 また、改正条例で新たに規制の対象となる行為を含む悪意の感情に基づく付きまとい行為等に対しまして、引き続き、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、的確な捜査を行い、加害者の検挙を徹底してまいります。
 警視庁といたしましては、付きまとい行為等への的確な対応により、都民の安全・安心の確保にさらに万全を尽くしてまいります。
 次に、成年年齢の引下げにより、発生が懸念される悪質商法等の被害から若者を守るための取組についてであります。
 警視庁では、被害を未然に防止するため、大学、専門学校、高校等において防犯講話を行っているほか、悪質商法の手口に関する情報を警視庁防犯アプリ、Digi Police等の媒体を活用し、発信しております。
 また、悪質商法や契約トラブルに関する相談を受理した際には、クーリングオフ等の対応策の助言や東京都の消費生活相談窓口を案内するなど、相談者の不安解消に努めております。
 警視庁といたしましては、関係機関、団体等と連携し、悪質商法等の被害防止と取締りをさらに徹底してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供を笑顔にするプロジェクトについてでございますが、三月に実施した第一回の意向調査では、事業実施前であり、具体的なイメージをつかみにくかったことや新型コロナウイルス感染症の状況が不明であったことから、参加を意向する回答は少数でございました。
 この段階で、参加の意向があった学校と実施内容の調整を進め、四月以降、順次実施しております。
 こうした先行事例を積み重ね、情報発信や学校への働きかけを行ったことで、五月末時点では、千校を超える学校が参加する意向でございます。
 今後は、多様な体験プログラムを具体的に例示し、学校に分かりやすく周知し働きかけていくことで、より多くの学校、一人でも多くの児童生徒が参加できるよう、さらなる活用を推進してまいります。
 次に、中学校における部活動についてでございますが、都教育委員会は昨年度、渋谷区と日野市の二地区における国の実践研究を通して、学校と地域企業の調整について、区市町村が主体となって行う方法や運営団体を設立して行う方法を検証してまいりました。
 今年度は、さらに杉並区を追加して、地域企業等が主体となった部活動運営や複数の学校による合同部活動の実施など、各地区の実態に応じた移行の在り方について検証してまいります。
 今後、関係機関等と連携した会議を設置し、国の動向を踏まえ、円滑な地域移行について検討するとともに、検討内容を区市町村等と共有し、取組を進めてまいります。
 次に、小中学校における不登校の未然防止についてでございますが、都教育委員会は、平成三十年度に、不登校の適切な対応に関するガイドブックを独自に開発し、都内全公立小中学校に配布いたしました。また、令和二年度には、本ガイドブックに基づく校内研修資料を作成し、学校での活用を促すなど、新たな不登校を生まない取組を推進してまいりました。これらを通して、子供が自己存在感や充実感を感じながら、互いに認め合って活動できるようにしてまいりました。
 今年度は、このような魅力ある学校づくりを強化するモデル校を福生市に一校指定して、実践研究を行っておりまして、今後その成果を全ての区市町村教育委員会に周知し、不登校を未然に防止する学校の取組を進めてまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小河川の洪水対策に関する取組についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を一層推進することが重要でございます。
 都は現在、善福寺川などで護岸整備を着実に進めますとともに、城北中央公園調節池など九か所で、調節池等の整備を実施しているところでございます。
 これに加えまして、将来の気候変動の影響による降雨量の増加や台風の大型化などを考慮した河川施設の整備方針の検討を進めております。今月末からは、有識者等による委員会での議論を開始し、令和五年度に、河川施設の在り方を取りまとめてまいります。
 今後とも、気候危機に打ちかつ強靱な都市東京の実現に向け、中小河川の整備を推進してまいります。
 次に、外環ノ2石神井台区間の事業についてでございますが、外環ノ2は、東京の都市計画道路ネットワークの一部として、南北方向の交通利便性の向上などに寄与する重要な路線でございます。
 新青梅街道から前原交差点の約二キロメートルの区間につきましては、昨年度に現況測量が完了し、本年三月に用地測量に着手いたしました。
 このうち、富士街道から前原交差点までの区間について、令和五年度の事業化を目指しますとともに、残る新青梅街道から富士街道までの区間については、引き続き、用地測量を進めてまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、事業化に向けて着実に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 原油価格の高騰等への対応についてでございますが、中小の運輸業や大型の乾燥機を使うクリーニング業等では、原油価格の高騰などが続き、コスト面で大きな負担が生じており、それら事業者への一層の支援が必要でございます。
 これまで都は、運輸業等の会社に省エネに詳しい専門家を派遣し、電気などを減らし、固定費の削減につながる助言とその実現に必要な経費への助成を行ってまいりました。
 今後は、これらに加えまして、運送業務や乾燥機の運転などで必要なエネルギーのコスト削減につながる工夫や機器導入の後押しを行います。
 具体的には、燃費を改善し、効率的な運送を促すシステムや省エネ効率の高い乾燥機の導入等に必要な経費の五分の四に対し、新たに助成を行います。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実に支援してまいります。
 次に、中小企業の省エネや電力確保の取組についてですが、東京の中小企業が電力の需要を抑えるため省エネを行うとともに、事業を安定して継続できるように、自ら電源を確保することは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が競争力を高めながら、CO2排出量の削減や省エネを図るために、最新鋭の設備を導入する場合、必要となる経費の四分の三に助成を行います。また、新たに工場の室温を抑えて、省エネに結びつけるために、建物の表面に断熱性のシートを貼る工夫などを行う場合も支援いたします。さらに、電力需給の状況を踏まえ、安定して事業を行う計画をつくり、その実施のために蓄電池等を導入する場合の助成率を五分の四に引き上げます。
 こうした取組によりまして、中小企業の省エネルギーと事業継続を着実に下支えしてまいります。
 次に、漁業者に対する支援についてですが、燃油価格が高止まりする中、漁業者が着実に操業を継続できるよう、漁船の燃料費の負担軽減を図ることは重要でございます。
 このため、都は昨年度より、燃油価格が一定の基準を超え上昇した場合に補填を行う国の積立金制度につきまして、漁業者が負担する積立金に対する助成の率を引き上げました。
 今後、この助成率をさらに高めるほか、新たに、漁業協同組合を通じて燃油を購入する場合の経費に対し助成を行うなど、漁業者のコスト負担の一層の軽減を図ります。
 また、燃油等の価格上昇の影響を受ける漁業者の資金繰りを支える無利子の融資制度について、年度末まで受付を延長いたします。
 今後とも、漁業者の実情に応じた支援を展開し、その経営の安定を図ってまいります。
 最後に、団体での旅行を増やすための支援についてでございますが、コロナ禍で利用が減った団体の旅行を伸ばしていく上で、ツアーにおける感染防止対策を徹底して、その取組内容を確実に発信していくことが重要でございます。
 このため、都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、感染防止対策を行う際に、専門家が助言する支援を拡充いたします。また、観光客同士が密になることのないよう、観光バスの台数を増やす際に必要な経費の最大五分の四を十二万円まで助成するほか、追加の添乗員に要する経費も助成いたします。さらに、感染症対応を確実に実施し、安全なツアーであることをホームページなどによりPRする経費にも助成を行います。
 こうした取組によりまして、団体旅行の利用を増やし、観光産業の振興を進めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 災害時の通信確保についてですが、災害発生時に都民や事業者が適切な防災行動を行うためには、情報収集や家族、従業員の安否確認などに必要となる通信環境の確保が極めて重要でございます。
 このため、都は、地域防災計画の改定に当たって、通信などライフラインの確保を重点施策の一つとして位置づけ、東京都防災会議の下に、庁内関係局やライフライン事業者等で構成される部会を設置いたします。
 その中で、災害時にもつながる通信基盤の確保や早期復旧に向けた関係者間での連携強化など、予防、応急、復旧の観点から、幅広く議論を重ねてまいります。
 今後、都市強靱化プロジェクトとも連携しながら、検討結果を計画に反映させ、災害に強い情報通信ネットワークの確保に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市復興訓練についてでございます。
 都市の事前復興は、被災後の都市復興の在り方や手順、執行体制をあらかじめ検討し、都民等と共有を図る取組であり、都は全国に先駆けてこの取組を進めております。
 その一環として、平成十年度から、都や区市町村の職員等を対象に、様々な被害を想定して、都市復興に関わる計画策定などの図上訓練を行っております。
 先月公表されました被害想定の見直しや昨今の豪雨災害の激甚化等も踏まえ、今年度から新たに震災と水害との複合災害を想定した図上訓練を実施いたします。また、航空写真データ等を活用し、効率的に家屋被害を把握する訓練を新規に行います。
 こうした訓練を通じて、行政職員の実践的な対応能力の強化が図られ、計画的かつスピード感ある復興につなげることが可能となります。
 今後とも、事前復興の取組を積極的に進めてまいります。
 次に、豪雨対策の取組についてでございます。
 これまで都は、豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道の整備、貯留浸透施設の設置等の取組を定め、総合的な治水対策を推進してまいりました。
 令和元年東日本台風では、これまで整備してきた施設が、浸水被害の軽減に一定の効果を発揮した一方、一部地域では大きな被害が発生いたしました。気候変動の影響により、経験したことのない危機に直面しており、激甚化する豪雨災害から、都民の命と財産を守るため、一層の対策強化が必要でございます。
 このため、本年夏より、学識経験者等から成る検討委員会を立ち上げ、これまでの取組を検証するとともに、データ等に基づき、長期的な視点に立った検討を行い、令和五年度には、関係各局と連携して基本方針を改定し、強靱な都市の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔下水道局長奥山宏二君登壇〕

○下水道局長(奥山宏二君) 下水道の浸水対策の取組についてでございますが、下水道局では早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性の高い区部の五十七地区を重点地区として施設整備を推進しております。このうち、八割に当たる四十八地区で事業が完了、または事業中でございます。
 一方、激甚化、頻発化する豪雨や将来の気候変動の影響により、降雨量の増加が予想されており、取組のさらなる強化が必要でございます。
 このため、本年三月、計画期間を十五年とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルを上げ、新たに十地区を重点地区に位置づけました。
 今後、これまでの重点地区の残りの施設整備を着実に推進するとともに、新たに選定した重点地区につきまして、早期の事業化に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光発電設備の設置義務化についてでございますが、二〇五〇年脱炭素社会の実現に向け、また、エネルギーの大消費地として、都は再生可能エネルギーの地産地消を進めていく必要がございます。そのため、二〇三〇年の都内太陽光発電設備導入目標を二百万キロワット以上に引き上げ、設置を加速してまいります。
 現在検討中の制度では、今後、毎年新築される住宅の約五割、最大二万棟程度への設置が見込まれてございます。
 これは、脱炭素化に貢献するとともに、エネルギー自給率を高め、停電時にも電気を使用できる災害に強い都市づくり等に大きく貢献してまいります。
 さらに、各住宅でも、電気代の削減や売電収入により、約十年で投資回収が可能と試算してございます。
 今後、都民や事業者から出ている様々な課題にも、一つずつ丁寧にお答えするとともに、理解と共感を得られる制度と支援策を検討してまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都子供・子育て支援総合計画についてであります。
 第二期計画の期間は、令和二年度から六年度までの五年間でありまして、中間年に当たる今年度に見直しを行うこととしております。
 この間、保育所の待機児童は大幅に減少する一方、学童クラブの待機児童は依然として多い状況にございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の長期化などが、子供や子育て家庭に与える影響も懸念されております。
 こうした状況や、子供を権利の主体として尊重する東京都こども基本条例の理念も踏まえまして、今後、当事者である子供の意見も聞きながら、子供政策連携室をはじめとした関係各局や区市町村と連携して計画を見直し、子供、子育て施策の充実を図ってまいります。
 次に、児童相談所での援助方針の決定についてであります。
 児童相談所が虐待相談を受理した際、児童福祉司が、生育歴や家庭環境、親子関係などを把握する社会診断を行うほか、児童心理司が面談や検査等を通じまして子供の心理状況を判定する心理診断や一時保護所での生活から子供の状況を観察する行動診断を行うなど、子供と家庭の状況について、専門職が様々な観点から調査をいたします。
 この結果に基づきまして、児童相談所長や専門課長などで構成いたします援助方針会議で、保護者の養育態度の振り返りや親子関係の改善状況、親族等による養育支援の状況を確認いたします。その上で、今後の生活について、子供の希望を踏まえながら、子供の最善の利益を図ることを最優先に、施設入所や里親委託、在宅での指導など、具体的な方針を決定しております。
 次に、一時保護児童の学習支援についてであります。
 都は、一時保護所に学習指導員を配置いたしまして、習熟度に応じた学習指導を行うとともに、在籍校と連携した受験対策やオンライン授業などを実施しております。
 昨年度からは、個々の意欲に応じて学べるよう、学齢児にタブレット端末を配布し、AIによる学習アプリを活用するなど学習環境の充実に取り組んでいるほか、児童相談センターの保護所では、高校生の在籍校への通学支援をモデル的に実施しております。
 今年度は、より多くの保護児童が在籍校に通学できるよう支援するとともに、オンライン授業も推進するなど、学習支援の充実に努めてまいります。
 次に、難聴児への支援についてでございます。
 聴覚障害児を含む難聴児が、言語を習得し、生活能力やコミュニケーション能力の向上を図るためには、一人一人に応じた早期からの適切な支援が重要であります。
 このため、都は、新生児聴覚検査の体制整備や中等度難聴児の補聴器購入に対する独自の支援を行うほか、都立聴覚障害特別支援学校における乳幼児教育相談を通じ、多様なコミュニケーション手段の獲得を支援しております。
 今後、こうした取組を推進するとともに、切れ目のない支援につなげるため、難聴児と保護者に対する相談対応や情報提供などを担う都の中核的機能の在り方について、具体的検討を進めてまいります。
 最後に、救命救急センターについてであります。
 救命救急センターは、重篤な救急患者に高度な医療を総合的に提供する医療機関でありまして、都内全域を一つの圏域として整備を進め、現在二十六か所を指定しております。
 近年、センターへの搬送は増加傾向にありまして、救命救急医療を提供しながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時や災害時に緊急性の高い重症患者を受け入れるなど、担うべき役割は増加しております。
 こうした救急医療の需要や医療資源の状況、地域バランス等を踏まえまして、今年度、同等の機能を有する施設二か所について、救急医療対策協議会において選定手続を進め、新たにセンターに指定いたします。
 今後、新たなセンターも含めまして、全体の運営状況等の評価、検証を行い、救急医療体制の確保を図ってまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、コロナ病床の確保についてでございます。
 都は、感染が急速に拡大するオミクロン株の特性を踏まえ、先月から病床確保レベルをこれまでの三段階から約五千床と約七千床の二段階といたしました。レベルの見直しに当たりましては、引上げ時は病床使用率が四割、引下げ時は二割に達したことを目安とするほか、入院患者数の増減のスピード等を踏まえ、総合的に判断をいたします。
 また、一般医療や救急の逼迫状況等に応じて、確保病床の一部を通常医療に振り替えるなど柔軟な運営を行ってまいります。
 さらに、一般患者の安全な動線を確保するため、施設の増改築や設備整備等を行う医療機関への支援を拡充いたします。
 こうした取組により、通常医療と感染症医療の両立を図りながら、適切に病床を確保してまいります。
 続いて、高齢者のコロナ病床の確保についてでございます。
 オミクロン株が流行した第六波では、介護が必要な高齢者の医療機関への受入れが課題となっていたことから、本年二月から五月までの間、荒川区内の旧東京女子医大東医療センター跡地を活用した高齢者等医療支援型施設を運営いたしました。
 この施設が有効に機能したことから、後継施設として、北区赤羽の酸素・医療提供ステーションを、医療に加え、介護やリハビリテーションの機能を有する施設に転換をいたしました。
 今後、入院が必要な高齢者の受入れをさらに進めるため、民間の医療機関等と連携し、新たに二百床程度の病床確保を目指すなど、高齢者が安心して療養できる体制を強化してまいります。
 最後に、動物由来感染症への対応についてお答え申し上げます。
 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、動物由来感染症への対策は重要でございます。
 都は平常時から、飼養動物の動物由来感染症の発生動向を監視するため、病原体の保有状況を調査し、健康安全研究センター等で検査するとともに、都民に感染症の正しい知識や予防方法等を普及啓発しております。
 また、海外で発生している動物由来感染症の国内での発生が疑われる場合などには、感染源となり得る動物の調査を機動的に実施いたします。
 今後、動物由来感染症に詳しい獣医師や東京iCDCの専門家の知見も活用するなど、動物由来の未知なる感染症への対応力を高めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会一周年記念行事についてでございます。
 都民、国民へ感謝を伝え、改めて大会の意義、感動や記憶を共有し、レガシーを引き継ぐことが重要でございます。
 そのため、東京大会のメダリストをはじめとするアスリートや聖火ランナー等の入場パレードを国立競技場で実施し、都民、国民に大会時を思い起こしていただくとともに、感謝をお伝えいたします。また、有明アリーナで車椅子バスケットボールの日本代表戦などパラスポーツの魅力に触れる機会を創出し、関心や応援の機運をさらに高めてまいります。
 あわせて、アスリートとの交流の場や文化団体等の発信の場など、大会時に実施できなかった参画の機会を設けることで、記念行事を共につくり上げてまいります。
 こうした取組により、大会のレガシーを着実に未来につないでまいります。
 次に、有明アーバンスポーツパークについてでございます。
 東京二〇二〇大会で関心が高まったアーバンスポーツをレガシーとしてさらに普及させることは重要でございます。
 このため、有明アーバンスポーツパークにおいて体験会や競技会を行うとともに、様々なレベルの利用ニーズに応えられるよう、都民の意見を伺いながら、都内各地のアーバンスポーツ施設や競技団体、区市町村とも連携してまいります。
 また、スケートボードにつきましては、施設近隣への配慮など利用者に対するマナー啓発にも関係者と連携して取り組み、幅広い都民の理解促進につなげてまいります。
 有明アーバンスポーツパークの整備を契機として、アーバンスポーツを多くの都民、国民に親しまれるスポーツとして普及を図ってまいります。
 次に、地域の芸術文化活動の支援についてでございます。
 都は、東京二〇二〇大会の文化プログラムをはじめとして、多くの地域の団体の協力の下、多様な文化イベントを実施するとともに、地域の文化資源を活用した創作活動への助成など様々な支援を行ってまいりました。
 今年度新たに、地域の活性化に資する事業などを対象に、幅広いジャンルの団体等を支援する芸術文化魅力創出助成を開始いたしました。まち中を舞台にしたアート展や子供からお年寄りまで気軽に参加できる伝統芸能イベントなど、都内の各地域の特色を生かし、工夫を凝らした企画が多数寄せられております。
 さらに、今年度実施する区市町村との連携による戦略パートナーシップ会議で地域の実情やニーズ等を吸い上げ、引き続き地域の多様な芸術文化活動を支援してまいります。
 最後に、女性活躍に向けた取組でございます。
 自らの希望に応じて生き方、働き方を選択できる社会の実現のためには、意思決定過程に多様な価値観、発想を反映させることが必要でございます。
 そのため、都の率先行動として、審議会等にクオータ制を導入する条例改正を本定例会に提案しております。
 庁内各局に改正の意義を浸透させるため、研修や説明会を開催するとともに、専門的知見を有する女性委員候補者を紹介し、女性任用を促進してまいります。
 さらに、こうした取組を民間企業等へも広く波及させ、女性参画が進むよう、企業と連携した啓発事業を実施するとともに、先進的な地域等の取組を発信してまいります。
 今後も、行政と民間が連携し、多面的に取り組むことで、女性も男性も活躍できる社会を目指してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西康弘君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(小西康弘君) 付きまとい行為等に係る被害相談窓口についてでございますが、付きまとい、ストーカー行為等の被害の拡大防止や早期解決に向けまして、警視庁のほかに行政機関の様々な相談窓口を幅広く知っていただくことは重要でございます。
 都では、DVやストーカー被害の防止に関するリーフレットを区市町村や警察署、学校等を通じて配布しており、もしものときの電話相談窓口を一覧にして掲載するなど、周知を図っております。
 今後は、リーフレットにSNS相談等のQRコードや若者の様々な悩みを受け付ける総合相談窓口、若ナビαの情報を新たに掲載し、配布先の拡充も検討いたします。
 このような取組を通じまして、お困りの方々が安心して相談への第一歩を踏み出すことができるよう、環境の整備を図ってまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄等の車内防犯カメラ設置についてでございますが、交通局では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策などセキュリティ強化を図るため、車両の更新に合わせて車内への防犯カメラの設置を進めております。
 加えて、他社線での事件を踏まえ、今年度から更新前の車両にも新たに防犯カメラを設置することといたしました。
 世界的な半導体不足の影響等がございますが、必要な機器の確保に努めまして、令和六年度までに、都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーの全ての車両への設置完了を目指してまいります。
 また、犯罪等の抑止効果を高めるため、車内防犯カメラの設置についてステッカーを掲示するほか、ポスターやホームページでの広報を充実するとともに、SNSにおいても積極的に発信するなど、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後三時開議
○副議長(本橋ひろたか君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十八番荒木ちはるさん
   〔百十八番荒木ちはる君登壇〕

○百十八番(荒木ちはる君) 質問に先立ちまして、新型コロナウィルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたしますとともに、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念を申し上げます。
 また、ロシアによるウクライナ侵攻においてお亡くなりになられた全ての皆様のご冥福をお祈りいたします。
 武力による侵略行為に強く抗議をするとともに、ウクライナの人々に対する支援を東京都としても強化することを求めます。
 令和四年第二回定例会に当たりまして、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症の本格的な流行から二年以上が経過をし、感染者は世界累計で五億三千万人を超え、死者は六百三十万人に及んでいます。
 一方、新規の感染者や死亡者は、日本も含めて大きく減少してきており、ワクチンの普及等もあり、感染症との闘いは大きな転換期を迎えつつあります。
 加えて、ウクライナ情勢は、物価高騰等を通じて、コロナで疲弊している経済や生活に大きな影響を与えており、迅速な経済対策と生活支援策が必要であります。新型コロナの克服に引き続き全力で取り組むとともに、感染拡大の防止と経済活動の両立を今こそ図っていかなければなりません。
 これまで、私たち都民ファーストの会東京都議団は、デジタル、グリーン、そしてダイバーシティを軸に、都政においては多くの改革を実現してまいりました。それらは、単にコロナ前の社会に戻るのではなく、コロナによる人々の価値観や社会の変化を踏まえて、東京の未来を描き、新しい社会を目指すものであります。
 私たちは、人類史に残るパンデミックを乗り越え、多様性と包摂性にあふれた、強靱で持続可能な東京を築いていくことを改めてお誓いし、質問に入ります。
 エネルギーや原料資材の価格の高騰、急激な円安の進行は、感染症の長期化によって既に苦しい状況にある事業者や都民生活に深刻な打撃を与えかねません。私たちは、こうした状況を見据え、いち早く企業支援や雇用対策等を講じるよう、小池知事に緊急要望を重ねてまいりました。
 また、戦火に追われたウクライナ避難民の方々が日本に滞在する間、現地に残る家族との通信環境などを保ちながら、安心して快適に暮らせる環境を用意すること、これは、私たちの都民としてのエールであり、避難先として東京を選んだ方々への真心であります。
 先日も私たちは、ウクライナ避難民の方々と共に、小池都知事に直接、語学や住まい、就学、就労など、様々な困難があることの生の声をお届けするとともに、きめ細やかな支援策を提言いたしました。こうした要望を踏まえた補正予算が迅速に編成され、今定例会に提案されたことを評価しております。
 新型コロナウイルス感染症への対応とともに、ロシアによるウクライナ侵攻による様々な生活と経済への影響に、迅速かつ柔軟に対応していくことが求められています。本定例会の補正予算をもって、都民や事業者を守り、都民生活や東京の経済をしっかり支えるとともに、ウクライナ避難民の方々への支援を講じるべきですが、知事の見解を伺います。
 傷んだ地域経済と消費を支えるために私たちが緊急提案したデジタルプレミアム付商品券による百億円規模の生活支援について、迅速に補正予算に計上されたことを高く評価いたします。
 また、昨年度、私たちの提案によりまして、商品券発行のデジタル化に取り組んだ場合にプレミアムを上乗せする支援を行いました。原則デジタルとすることにより、非接触のキャッシュレス決済を普及させるとともに、従来の紙での発行に比較して、自治体の事務手数料の大幅削減につながることや、さらに利用データが蓄積されるなどのことで様々な分析ができるようになるなど、多くの効果があったと聞いております。
 昨年度の成果を踏まえ、特にデジタル化を効果的に活用することができた自治体の好事例を横展開することや、キャッシュレス決済の導入が進んでいない地域に対する支援を講じるべきです。
 今回の商品券発行を機会として、物価高の影響が直撃をする都民の消費を喚起し、またコロナ禍で疲弊している地域経済に再び活力を与えていくべきですが、知事の見解を伺います。
 原料コストや運輸コストの大幅な増加により、コロナで既に厳しい状況にある都内事業者は、さらなる経済的な打撃を受けています。
 特に、運送業、タクシー事業者や市場で冷凍庫などを取り扱う食品関連事業者などは、燃料の価格の高騰などに対して直接影響を受けているため、早期に支援を実施すべきですが、見解を伺います。
 約二十年ぶりの水準となる円安の進行は、資源や部品を輸入に頼ってきた事業者にとって、調達コストのさらなる増加につながり、経営上の大きな課題となっています。
 こうした世界経済の動向に柔軟に対応し、持続的な成長につなげていくためには、調達を海外から都内や国内に切り替えることを支援するとともに、東京と日本の産業が品質の高い製品を提供できることを再認識して購入を促すようなPRキャンペーンを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一方、円安は、輸出においては国際競争力を向上させます。しかし、輸出は、海外市場や現地の企業に関する情報の収集、貿易取引に関する知識、ノウハウなどが求められ、経営資源が限られる中小企業に対して適切な支援が必要であります。
 円安の好機を逃さず支援策を講じ、海外販路の拡大を目指す中小企業の攻めの取組を後押しすべきですが、見解を伺います。
 食料安全保障上、都市の農業は極めて重要です。東京都内では、各地域で特色のある農業が営まれています。都市部では、狭い農地でも収穫量の多いトマトやコマツナ、山間部では、清流でのワサビの栽培、島しょ地域では、温暖な気候を生かしたアシタバなどの栽培が行われています。
 しかし、原油や飼料、肥料などの価格の高騰が続き、生産コストが上昇しています。農業経営に大きな影響が及んでおります。
 ウクライナ情勢等の影響を踏まえ、東京の農業の持続的な発展を図るために、農業者が抱えている課題をしっかり把握をし、地域特性を踏まえた上で速やかな支援を行うべきですが、見解を伺います。
 都市農地の保全は、食料自給率を高める上でも重要です。しかしながら、区部や区部周辺の生産緑地は、商業地や住宅地に囲まれ、後継者の不足や、また相続の問題から、維持を図ることが重要な課題となっています。
 こうした観点から、ニーズの高い農作物の開発やブランド力を高める研究を進めるとともに、生産緑地の状況をしっかりと把握をした上で、農家の実情を踏まえたきめ細かいサポートが不可欠です。都内の生産緑地を守るとともに、区部の農業振興に向けた支援策や体制の強化を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京の水産業や林業についても、現下の状況の下、目まぐるしく環境が変化をしており、原油、そして原材料の価格の高騰や深刻化するウッドショックなどへの適切な対応が求められます。
 とりわけ水産業では、こうした喫緊の課題に加え、将来にわたり持続可能な漁業を営むため、水揚げする魚の種類の見直しや環境への配慮、人材の確保、育成など、様々な課題への対応が急務となっています。
 東京の水産業の振興に向けて、社会情勢の変化に柔軟に対応し、施策のバージョンアップを図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、林業については、中長期的な視点から、林業経営における生産性と収益性の向上や、木材の利用拡大に取り組んでいく必要があります。東京の林業の振興に向けた知事の見解を伺います。
 我が国では、小麦などの穀物の大部分を輸入に依存をしています。そのような中で小麦の国際価格が大幅に上昇したことから、食品メーカーによる商品の値上げが始まっています。一方、我が国の食料自給率は、令和二年度に三七%になるなど、低迷が続いています。
 こうした中、小麦の代わりとして、国内で調達できる米粉を活用しようという動きが出てきています。米粉の切替えは、我が国の食料自給率の向上にもつながります。先日、有明で行われた春の食フェスティバルでも米粉パンが販売をされ、多くの方が買い求めていました。
 大消費地である、ここ東京が率先して米粉の活用を推進することは、都民の安定した食生活を支え、また、食料自給の根幹である米の消費喚起において大変重要ですが、知事の見解を伺います。
 私たちは、コロナ禍の雇用への影響に対応するため、早期から東京版ニューディールとして雇用対策を提言し、都はそれを受けて、デジタル分野などのスキル獲得と就業支援をセットにした取組など、二万人規模の雇用対策を講じてきました。
 長引くコロナ禍に加え、ウクライナ情勢の影響により離職を余儀なくされた方に対して、人材が不足している分野への再就職が早期にできるよう支援を強化すべきですが、見解を伺います。
 一方、特に非正規雇用の解雇や雇い止め、シフト勤務の減少など、非正規雇用の多くが女性であることから、雇用就労の影響は女性により強く表れています。特に、ひとり親など、子育てをしながら就職活動や学び直しをする方々には大きなハードルがあります。
 厳しい経済情勢が続く中で、より大きな影響を受けている女性が、早期の再就業やスキルアップに安心して取り組むことができるよう、子育て支援や生活支援等と連携をして就労支援に取り組むべきですが、見解を伺います。
 ウクライナからの避難民は全国で一千人を超え、増加が続いています。東京でも受入れ人数が百人を超え、増加が続いています。
 ウクライナからの避難民の多くは、男性を戦地に残してきた女性や子供たちであり、日本語が話せるわけでもありません。生活に順応できるような相談対応や日本語学習、ソーシャルファームも活用した就労など、都として支援をしていくべきです。
 また、居住地確保として都営住宅等を利用して受け入れている一方で、水道光熱費や公共交通、戦地に残る家族と連絡を取るためのインターネット通信環境など、生活に必要な負担は大変大きく、こうした面でもきめ細やかな支援を実施するべきと考えますが、併せて知事の見解を伺います。
 今年に入り、北朝鮮から弾道ミサイルが高い頻度で発射されており、核実験に踏み切る可能性も指摘をされています。また、ロシアのウクライナ侵攻では、ミサイル攻撃等により、まちが破壊され、多くの民間人が犠牲になっている現状が連日のように報道されており、ミサイル攻撃等は現実的な脅威であることを改めて都民、国民が認識をしたところであります。
 こうした脅威に対し、都民の不安は非常に高まるとともに、いざというときの身の安全確保について関心が高まっています。
 そうした中、都が先日、都営地下鉄や都が所管する地下道を緊急一時避難施設として新たに指定したことは、重要な一歩を踏み出したものとして評価をします。一方、ミサイル発射から最短十分もしないうちに着弾することを考えると、より多くの施設を確保していくことが必要です。
 ミサイル攻撃等の直接の被害を最小限にとどめるため、今後、緊急一時避難施設のさらなる確保に向け、民間事業者からの協力も得ながら取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、核兵器の使用に対して、核シェルターとしての機能を果たせる地下施設等についても検討を進めるべきと求めます。
 遠く離れたウクライナ情勢について、映像やインターネットの力で現地の状況をつぶさに把握することができ、我が国においても、戦争の苛酷な状況から改めて平和や安全保障への関心が高まっています。
 都は、東京が空襲を受けた際の膨大な資料を保有しています。こうした空襲関連資料について、デジタルの力を活用し、長期的に散逸することなく、かつ広く都民が当時の状況をリアリティーを持って情報を得ることができるようにしていくべきと考えます。
 東京都が保有している東京空襲関連資料のデジタル化に着手をし、活用を進めていくべきですが、資料の保存や公開方法の選択肢も増えている中で、今後どのように活用していくのか見解を伺います。
 ワクチンの普及や治療方法の改善等により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や重症化のリスクは当初に比べ大きく下がっています。そうした中、今週から外国人観光客の受入れが再開されるなど、経済と感染症対策の両立に向けてステージが大きく変わろうとしています。
 ステージが変わる中で、感染症法の類型の変更は先送りをされています。二類相当とされていることで医療費や検査費用が公費負担されている反面、経済活動の制限や保健所の負荷など、様々な課題があります。
 このため、例えば、新型コロナの措置として、治療や検査は無料を維持しつつ、全数疫学調査や就業規制などは廃止するなど、現在の新型コロナウイルスの状況を踏まえ、いわば四・五類ともいうべき新たな分類の設定のための感染症法の改正が今こそ必要です。
 都としてこれまで培ってきた新型コロナ対策での経験も踏まえ、法改正を国に求めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 感染拡大の防止と経済の両輪を回す上で、私たちが強く求めてきた国のGO TO施策に先駆けた、もっとTokyo事業の再開に当たっては、接種率が相対的に低い若年層に対しては補助の拡充や、都民割の開始に向けた早期接種を促す広報キャンペーンを重ねるなど、ワクチン接種の加速と併せた戦略的な都民割の実施をすべきですが、知事の見解を伺います。
 家族旅行等も控えられ、学校での修学旅行や遠足等の行事も中止が続いてきた中で、子供たちが東京の文化や魅力に触れ、様々な体験ができる機会を創出していくことは重要であります。
 さきの定例会で、私たちから、都民割について子供連れの家族旅行等への助成を拡充するよう求め、小池知事からは支援を検討する旨の答弁を得ています。
 都民割の開始に当たり、子供連れの家族旅行等への助成を加算し、子供たちに東京の文化や魅力に触れ、様々な体験ができる機会とすべきですが、知事の見解を伺います。
 先日公表された東京iCDC後遺症タスクフォースの分析によりますと、軽症以下の罹患者にも後遺症は現れ、オミクロン株では咳や倦怠感の割合が高い傾向にあるとの統計が示されています。重症化リスクは減りましたが、後遺症は依然として未知の部分も多く、仕事や学業に大きな支障を来すこともあり、警戒が必要です。
 私たちは、後遺症によって、仕事、学業、生活など、様々な面で困難を抱える都民を支援するため、都立、公社病院等において、相談対応や、症状のみならず様々な支援につながる情報提供を行うことを求めてきました。また、後遺症のある生徒について、学校現場等で丁寧な対応を要望してまいりました。
 コロナ後遺症によりやむを得ず欠席をする場合に、生徒が安心して治療、療養を行えるよう、学校の出席日数の取扱いなどについて特別な配慮をすべきですが、見解を伺います。
 今後、季節性インフルエンザ等の従来の病気と同程度のリスクに収束させていく上で、ワクチンの接種に加えて、経口薬は非常に重要であります。既に海外で開発された経口抗ウイルス薬が国内でも複数承認をされていますが、現時点では投与対象が重症化リスクの高い患者等に限られており、供給力に比べて投与が進んでいないとされています。このため、投与対象の拡大に向けた臨床試験が進められています。
 一方、国内企業で開発された現在承認申請中の治療薬においては、重症化リスクによらず使用できるよう承認される可能性があり、既に生産、出荷体制も整えられているとされています。
 新型コロナウイルス感染症との闘いの局面を変えるゲームチェンジャーとなり得る新たな経口薬について、治療薬の承認審査を適切かつ迅速に行うよう引き続き国に求めるとともに、承認後迅速に都内で利用ができるよう、国、自治体、医療機関と連携をし、供給の確保と運用体制を整えておくべきですが、見解を伺います。
 女性初の東京都知事となった小池都知事の就任以降、女性の輝ける社会の実現に向けて、都政の様々な面で環境改善が進みました。都議会でも女性活躍も進み、我が会派も三割以上が女性で構成をされています。私も、この国では少ない女性の、党の代表を務めてまいりました。
 一方、世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数において、我が国は、二〇二一年は百五十六か国中百二十位にとどまっています。諸外国に比べ、いまだ男女間格差が著しく、長年にわたり改善されていません。特に、経済と政治分野における格差が顕著であることが大きな課題であります。
 そうした状況を変えていくため、まず、都の様々な方針策定に影響のある審議会において、女性委員が一定割合以上となるクオータ制を導入するよう、かねてより私たちは提案をしてまいりました。
 今般、東京都は、東京都男女平等参画基本条例を改正し、取組を加速するとしていますが、これまでの女性活躍の取組成果を伺うとともに、今後の取組として、審議会委員の任用や都庁の管理職登用などによる率先行動と、民間事業者等における取組の推進をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 ジェンダーギャップレポート等を基にした内閣府による主要国の分析では、男女間に格差がないほど出生率が高い、管理職比率に差がないほど出生率が高い、男性の家事、育児等労働時間割合が高いほど出生率が高いといった相関関係が示されています。そうした観点からも、私たちはかねてより男性の育児休業の取得や家事、育児時間の男女間格差を是正する必要を指摘してまいりました。
 小池都知事は、隗より始めよで、自身を先頭に全ての管理職がイクボス宣言を行うなど意識改革を進めるとして、庁内の取組を加速してきました。また、直近では、社会の意識改革の一つとして、育児休業に代わる新たな愛称を募集しています。
 都庁は政策連携団体において取組を加速するとともに、民間企業における育児休業を推進する上で、特に鍵となる男性の育休取得をさらに進める取組が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 子育てや教育などの公的負担、家族関係社会支出についても、OECD各国を比較すると日本は最低水準にあり、出生率との相関も指摘をされています。様々な支援策があるものの、実際には所得制限が設けられているため、中高所得者層にも子供を希望の人数持つことをちゅうちょさせています。所得制限を意識するがあまり、年間の総就労時間の抑制やキャリアアップの忌避につながるケースもあります。
 こうしたゆがみを是正するため、例えば、欧州の主要国では、児童手当等に所得制限を設けていませんが、国は本年十月より、児童手当を年収が一定以上の場合に支給しない制度に改正をします。世帯年収や資産の多寡など家計の実態を考慮しない制度は、多様な働き方や現代の家族形態に合わない、不公平感につながり、特に東京では大きなゆがみが生じることを強く懸念しています。
 東京都として、出生率二・〇七を目指していく上で、ゆがみを生じさせている子育て、教育の支援策の所得制限を廃して、あらゆる家庭で子供を希望の人数持てることを社会全体として推し進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 一昨年の私たちの提案により実現をした東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業について、都民の皆様から多くの感謝の声が届いています。十万円のサービスを提案した理由として、東京都内の出産費用が全国平均に比べ十万円以上高いという実態があり、育児費用も割高であることに鑑み、引き続き出産を希望する都民を力強く支援することが必要です。
 出生率二・〇七を目指す東京都として、出産、育児、教育の個人負担を大幅に軽減し、社会で子供を歓迎し、育てていくよう転換していくことは不可欠であります。都民から寄せられる声を踏まえ、来年度以降も継続をして、東京都出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、出産、育児の準備に間に合うよう、適切な時期に出産応援事業を案内するなど、改善を求めますが、見解を伺います。
 私たちがかねてより強く訴えてきた、家庭のDXによる家事、育児負担を軽減していく視点は重要であります。それを受けて、都として、ママパパ応援事業において、家電等の家事支援用品の購入支援を新たに進めていることを大いに歓迎をいたします。一方で、改善点もあり、今後、さらなる制度充実が必要であります。
 産後の家事、育児支援や、家事支援用品の購入支援事業について、共働き家庭やゼロ歳児のいる家庭も含めるなど改善をすべきと考えますが、とうきょうママパパ応援事業を検証し、さらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 妊婦が助産所で妊婦健康検査を受診した場合、東京都では妊婦健診受診票の直接使用ができず、償還払いになっています。一度健診費用を立替えた上で申請を行わなければならず、妊婦にとっては利便性が悪く、負担の一つとなっています。群馬県や埼玉県では、県が各県の助産師会と集団契約を結ぶことで、直接使用できており、参考とすべきです。
 また、そもそも受診券はいまだ紙で発行されており、携帯をしなければならず、紛失した際には、やむを得ない事情でない場合は再発行ができないことも課題です。デジタルを活用し、妊婦健診受診券の利便性を上げていくことも重要であります。
 東京都において、ICTを活用しながら、助産所での受診票の直接使用など、妊婦健診をスムーズに受診できる仕組みを導入し、妊婦の負担軽減を行うべきですが、見解を伺います。
 受験生チャレンジ支援貸付事業は、経済的に厳しい子供たちの学びやチャレンジを支える仕組みとして重要な施策です。将来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、家庭の経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要です。
 私たちが予算要望の最重点項目の一つとして求めてきた子供たちの学びを支える塾代支援について、都が今年度から収入要件を緩和し、対象世帯が三倍に増えたことを評価します。
 一方で、新たに対象となった子供たちや保護者情報が伝わっていないとの声も耳にします。塾代や受験料を前払いで利用できることを知らない保護者もおり、支援内容を適切に伝え、着実に負担を軽減することを求めます。
 受験生チャレンジ支援貸付事業について、進路指導などを行う学校現場を通じた周知を徹底し、また、学習塾の協力も得るなどして、子供たちと保護者に必要な支援を届けるべきですが、教育長に見解を伺います。
 主に低所得者世帯の生徒に対する東京都独自の支援制度として、給付型奨学金制度がありますが、執行率が低位にとどまっており、より活用しやすい制度とすることが必要であると、さきの予算特別委員会において私たちから指摘をしました。
 私たちの指摘に対して、対象とする経費の在り方を検討していくとの答弁がありましたが、早急に給付型奨学金の利用範囲を拡大し、活用を推進することで、生徒の多様なニーズにしっかりと応えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、児童相談所の一時保護所の改善に向けて様々な形で提案を行ってきました。懲罰的に行われてきたとの指摘もあった入所時の頭髪の黒染めなどの個別指導の在り方の見直しも言及されており、非行児童を前提とした管理的、懲罰的な運営から、被虐待児童や様々な困難な家庭で育った児童を対象とした一時保護施設として、歴史的な転換期にあるといえます。
 この中で、一時保護所に入所する子供たちの通学の保証も重要な課題です。昨年度から、児童相談センターにおいて男子生徒の通学が実施をされたことは大きな前進です。一方、女子生徒においては、いまだ実績がありません。虐待などで家庭に居場所がない子供たちにとって、先生や友達のいる学校は居場所となっている場合も多く、既に他県の多くの児童相談所で子供たちの通学が可能になっていることから、都でも早急に対応を進めるべきです。
 そこで、一時保護所に入所する子供たちが、性別にかかわらず、できる限り学校に通えるよう丁寧なケースワークを行い、通学支援を加速すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、一時保護所、一時保護委託先の慢性的な不足も大きな課題であります。入所者数が定員の一五〇%、二〇〇%ともなっており、受入れ限度から、虐待などで警察の一時通告で保護しても、すぐに親元に戻されてしまうというケースも起きています。
 一時保護されなかったために、仕方なく家出をして繁華街を放浪し、泊め男といわれる大人に性搾取に遭ったり、特殊詐欺の末端に取り込まれるなど、子供たちが被害を受けるケースが多発しています。
 そこで、慢性的な一時保護所の受入れ先不足を解消するため、婦人保護施設の活用など、受入れ先を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、いわゆる監視的処遇として、不合理なルールがいまだに指摘をされており、今の一時保護所は子供たちが絶対に入りたくない施設ともなっていますが、安心して保護が受けられる施設となるよう、不合理なルールは見直しを求めます。
 子供や若者などのユース世代が、学校の性教育などだけでは対応し切れない、性や健康上の具体的な困り事などを幅広く相談、対応しているスウェーデンの事例を参考に、私たちは、東京版ユースクリニックの設置を提案してきました。
 設置に当たり、高校生や大学生などの若者に認知され、安心して利用ができる、利用したいと思ってもらえる場所づくりをすることがまず重要です。有識者の意見に加え、若者自身が場所づくりから主体的に関われるような工夫が必要です。
 さきの定例会における私たちの質問に対し、小池都知事から、若者が主体的に関わっていけるようにするとの強い答弁もありました。若者を検討過程に入れ、ユースクリニックの場所についても、若者が利用しやすい場所にするなど、意見を反映させて早期に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年、鉄道内における刺傷や放火などの事件が多発し、改めて鉄道車両内の犯罪について課題が浮き彫りになりました。
 私たちは、ホームドアの開閉の問題に加えて、車内の防犯カメラについて、早期の設置拡大と運用改善を求めてきました。
 また、車内の防犯カメラの設置拡大は、刺傷放火事件等のみならず、痴漢などに対しても犯罪抑止につながるものであります。東京がジェンダーギャップをなくし、誰もが輝ける環境をつくっていく上でも、世界にも痴漢が多いと知られてしまっている状況も変えなければなりません。
 都営地下鉄が率先して、防犯カメラの設置拡大をはじめ、痴漢対策を含むセキュリティ対策を強化すべきですが、見解を伺います。
 都内におけるストーカー行為は、相談件数でいまだ毎年一千件を超えており、八割を女性が占めています。近年のGPS等の位置情報を利用した付きまとい行為等を防止することを目的に、昨年、ストーカー規制法の改正が行われました。
 法改正を受け、都は、迷惑防止条例を改正するとしておりますが、相談体制の強化やパトロール等の迅速な対応や個人情報保護のための支援措置の適切な実施、支援組織と連携したシェルターなどの一時避難等、ストーカー被害対策を関係機関と連携して一層強化すべきですが、警視総監の見解を伺います。
 東京都における介護業界の状況を見ると、深刻な人手不足の状況にあり、令和二年度の有効求人倍率は、全産業の一・一四に対して、介護関連は六・一五に上ります。特に、東京の地価等は高く、平均賃金も他県と比較して高いため、人材確保に苦労しています。二〇二五年には三万一千人の介護人材が不足する見込みであり、超高齢社会を迎える上で喫緊の課題であります。
 私たちは、都が実施をしてきた介護職員の宿舎借上げ支援は要件が厳しく、介護現場で働く職員の待遇改善に十分につながっていないことを指摘し、大幅拡充するよう予算要望の最重点項目として強く訴え、それを本年度予算で実現されたことを高く評価いたします。
 今回の拡充で、これまで施設に限られていた対象が、在宅サービスの事業所や居宅介護支援事業所に広がったところですが、現場の声を聞くと、十分に事業者や職員にまだ伝わっていないと感じられます。制度の拡充について広く周知を行い、より多くの介護現場で利用を進められるようにすることで、深刻な人手不足にある介護職の人材確保を進めていくべきですが、見解を伺います。
 また、デジタル技術を活用するなど、介護職の業務負担の軽減についても取組の強化が必要ですが、併せて見解を伺います。
 社会福祉施設等に対して行われている指導監査は、適切な福祉政策の実行に不可欠でありますが、一方で、行政と事業者の双方にとって負担が大きく、デジタル技術を活用することで負担軽減と監査の質の向上を図るべきですが、見解を伺います。
 私たちは、社会全体のデジタル化を牽引すると同時に、かねてより、シニア世代も含めたあらゆる都民の皆様がデジタル化の恩恵を享受できるよう、デジタルデバイド解消のための支援事業を提案してきました。
 提案を受け、都は昨年度には、スマートフォンの使い方講座や地域の町会、自治会活動のデジタル化支援、キャッシュレス決済の推進、デジタルプレミアム商品券の導入等、多くの取組を進めました。さらに今年度は、地域で活動するスマホサポーター事業を実施するとしています。
 こうしたデジタルデバイド対策において、都内大学生等を雇用し、若い世代を活用するとともに、例えば、学生が夏休みに入る期間を利用してスマホサポーター事業を先行実施するなど、取組の前倒しを図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、誰もががんにかかる可能性がある中で、有識者や患者団体等へのヒアリング等を重ね、がん検診など、がんの予防、AYA世代への支援強化や妊孕性の温存など、患者の年齢、性別、心身の状態等に応じた適切な医療や緩和ケアの提供、がん罹患後も就学、就労及び地域社会での生活ができる、がんとの共生等の施策を総合的かつ計画的に推進することをこれまでも強く求めてまいりました。
 東京都がん対策推進計画は六年ごとに改定しており、来年度が現行計画の最終年となりますが、次期計画の策定に向けて、これまでの取組の見直しや新たな課題に対する対応など、がんとの共生ができる社会づくりを進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 私たちは、誰もが自分らしく輝きながら生きられるインクルーシブな社会の実現を目指して、これまでも様々な取組を進めてきましたが、LGBTQ、性的マイノリティーの方々の我が国での生きにくさは依然深刻です。
 私たちは、差別を禁止する条例が必要だと都議会に求め、二〇一八年に人権尊重条例が施行されましたが、さらなる課題の解消に向けて、その後もパートナーシップ制度の導入を強く求めてきました。
 今定例会に東京都パートナーシップ宣誓制度案が条例改正案として提出されたことを高く評価します。
 今年四月には、東京レインボープライドに参加をし、多くの当事者の皆様とお話をさせていただきましたが、本制度が、当事者の生きにくさを徹底して東京から払拭をし、生きるための希望につながるという期待を強く感じました。
 制度の導入に加え、行政サービスを見直し、都職員の福利厚生の要件の見直し、お子さんのニーズも踏まえた性的マイノリティーカップルへの里親委託、保育所や学校への周知徹底など、多岐にわたって対応を進める必要があります。
 今後、東京都パートナーシップ宣誓制度を機に、都営住宅の入居条件など、東京都と政策連携団体等で実施できる取組の早期実現をしていくとともに、住宅や医療分野など、性的マイノリティーの方々の様々な生活上の課題が解決されるよう、市区町村や民間企業、首都圏での連携を、東京都が旗を振り推進していくべきですが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会から間もなく一年となります。特に、世界で初めてパラリンピックを二度開催した都市となった東京として、パラリンピックのレガシーを残していくことは重要です。
 障害者スポーツの世界大会は、主に身体障害者による競技大会であるパラリンピックだけではなく、聴覚障害、ろうの方のデフリンピックや知的障害のある方のスペシャルオリンピックスがあり、東京大会に続き、デフリンピックやスペシャルオリンピックスを開催していくことにより、理解の促進や、これらのスポーツに対する練習場所や競技の機会の確保についても一層推進すべきと考えます。
 また、デフリンピックが予定されている二〇二五年には世界陸上の開催が予定をされており、東京招致が実現すれば、東京二〇二〇大会のレガシーとなる大会にもなります。
 私たちがかねてデフリンピック東京開催を求めてまいりましたが、東京都として、二〇二五年デフリンピックの開催を検討するに当たっては、同年の世界陸上の開催と併せて、東京が目指す社会像を実現するための大会とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、レガシーを絶やすことなく、継続的にパラスポーツの環境整備や理解促進を進めていくため、パラスポーツの振興条例の制定を議員提案も含めて検討してまいります。
 私たちが推進してきたインクルーシブ公園は、現在、都立公園で砧公園と府中の森公園が開設をされ、大変人気のスポットとなっています。誰もが分け隔てなく遊べる場所として大きな関心が集まっており、全国各地から東京都への問合せや視察が来ており、多くの自治体で具体的な動きが出てきていると把握をしています。
 都は、区市町村のインクルーシブ公園の設置を推進するため、補助制度を整えるとともに、ガイドラインを作成し、都内でも、豊島区、渋谷区、品川区、国立市などで取組が進んでいます。
 そのほかにも、区市町村のインクルーシブ公園の機運が高まってきており、大いに歓迎すべきですが、一部の自治体では、担当者がカタログを見て、遊具を設置するだけで済ませようとしている事例も見受けられ、課題があります。
 本来、インクルーシブ公園をきっかけに、インクルーシブなコミュニティや社会が形成されることが重要であり、そのためには、計画立案段階から市民参加が不可欠です。都のガイドラインにも、計画段階から、想定される公園利用者、福祉の支援団体、周辺住民、学識経験者、公園管理者などによるワークショップの開催を検討することが望ましいと明記されておりますが、趣旨が理解されず、徹底されていないと見受けられます。
 計画段階から利用者や周辺住民等の関係者によるワークショップが開催されるなど、区市町村の公園においても、都のガイドラインの趣旨が適切に反映され、インクルーシブ公園がさらに普及促進するよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちの求めに応じ、今年度新たに、芸術文化魅力創出助成として、地域の活性化を目指すものなど、複数の芸術文化団体が連携して実施するイベントを支援するとしたことを評価します。今後、より利用しやすい仕組みとし、こうした支援を拡充していくことが重要です。
 今年度スタートした芸術文化魅力創出助成をはじめ、地域の芸術文化団体等の活動を支える幅広い支援を行っていくべきですが、見解を伺います。
 応募状況や期待される効果に鑑み、今後、芸術文化魅力創出助成の拡充や年度後半に向けた二次募集の機会を求めます。
 インターネットの新潮流、ウェブスリーの時代がやってきたといわれます。特に、ブロックチェーン技術を使い、デジタルデータを複製できなくさせたNFT、非代替性トークンの市場が全世界で急速に拡大し始めています。
 東京には、アニメやゲームなど、国際競争力を有する知的財産が集積していますが、一方で、今やスマホゲームやオンラインゲームなどで中国企業が市場を席巻しており、日本はeスポーツでも後進国になりつつあります。日本は成長産業を育ててこなかったともいわれておりますが、NFTビジネスやウェブスリーにおいて世界に後れを取ってはなりません。
 これまでも私たちは、ブロックチェーン技術を、暗号資産の領域のみでなく、非金融領域での活用を推進するために、この技術を活用した製品、サービスの開発などに取り組む中小企業やスタートアップ企業の支援をしていくよう提案してきましたが、NFTビジネスを東京の成長戦略にも位置づけるべきです。
 特に、音楽、ファッション、映画、アニメ、ゲームなど、クリエーターや起業者向けにNFTを使ったビジネスの相談窓口開設や、事業支援の検討が必要だと考えますが、見解を伺います。
 また、都が率先してロゴ等をNFTにしてみることや、デジタルに関する有識者会議をメタバース空間で開催してみるなど、象徴的な取組を進めることも、都がこうしたテクノロジーを後押しする強いメッセージとなることから、取組の検討を求めます。
 コロナ禍において、文化芸術やライブエンターテインメントの関係者は大きな打撃を受けています。私たちは、先月、ライブエンターテインメントを支える関係者の皆様から厳しい現状をお聞きしました。約六千億ともいわれるライブエンタメの産業は、飲食業や観光業など、関連産業に与える影響も大きい産業です。
 一方で、それらを支えるスタジオやライブ会場などは、コロナ禍において閉鎖が相次ぎ、今も負債を抱え、閉鎖の危機にさらされている事業者も多くいます。また、プレーヤーの多くはフリーランスであり、経済的に不安定な中で東京の文化発信を担っていただいています。
 今後も、他の事業形態に比べても、長くかつ深刻なコロナの影響を受け続けることが想定される中で、スタジオやライブ会場などの事業者やライブエンターテインメントの担い手に対して支援を講じ、さらに東京の産業として発展できるよう後押しをすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、さきの質問にもあるように、NFTやメタバースを活用したアートやイベントの取組は、産業振興と文化振興の両面で重要であり、関係局と連携して支援するよう求めます。
 私たちの提案を受け、都が多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の実施を開始したことを高く評価します。まずは早期実施と運用確認の側面もあり、百円の小児一日乗車券、たまモノこどもワンデーパスポートを五月に期間的に実施を行ったと理解しています。
 期間中には、都民の皆様から、子供を連れて気軽に出かけられたといった声が聞かれましたが、多摩都市モノレールにおける小児特別運賃の本格的な導入に向けて、夏以降の取組を進めていくべきです。あわせて、子育て応援車両を、多摩都市モノレールにおいても導入を進めるべきですが、知事に見解を伺います。
 コロナ禍を経て、自然豊かな郊外に住むことへのニーズも高まっていることを契機に、多摩都市モノレールの延伸を促進する面でも、沿線開発や多摩移住の促進、特に子育て世帯を引きつける取組を複合的に進め、多摩地域の振興を図るべきですが、知事の見解を伺います。
 移住、定住促進に当たり、特に島しょにおける教育機会の確保が重要であるが、移住、定住を希望する家庭の高校生が、島しょにある都立高校を受検しやすくするよう対応するべきですが、見解を伺います。
 また、多摩地域の振興において、空路を切り開いていくことも重要です。横田基地の軍民共用化も長年求めてまいりましたが、立川市に所在する陸上自衛隊立川駐屯地の滑走路の軍民共用化について、都として検討されることを強く申し上げておきます。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、海外から旅行客が一時的に激減しましたが、東京のさらなる成長には、インバウンドの需要の復活、さらに拡大させることで、活気ある東京を取り戻すことが不可欠であります。
 あわせて、空港アクセス強化も大きなテーマでありますが、とりわけ多くの旅客を一度に輸送できる鉄道アクセスの拡充が必要です。
 そこで、新空港線を含めた空港アクセスの充実に向けて取組を加速すべきですが、知事の見解を伺います。
 空港アクセス線の整備を経て、多摩地域と空港のアクセスについても改善が図られるよう求めます。
 首都直下地震等による東京都の被害想定を新たに改定し、先日公表されました。住宅の耐震化率が九二%となるなどにより、建物倒壊等による死者数の想定が、平成二十四年、前回の想定よりも約四割減少し、約六千百人となるなど、この間の様々な取組の成果が出てきたことを評価します。
 一方で、いまだ残る一九八一年までの旧耐震基準の未対応建設物を、建替え等を行うことでさらに六割、死者を減らせると想定されています。今から十年後の旧耐震基準が改定されて五十年目の節目となる二〇三一年をめどに、耐震化率一〇〇%とできるよう、建物所有者に対する取組などを強化すべきです。
 また、救出救助活動や帰宅困難者対策など、発災直後から数日間の初期対応の強化、エレベーターの閉じ込めの課題など、私たちが特に求めてきた避難所のスフィア基準などの環境や災害関連死への対応など、様々な新しい課題があります。
 今回、首都直下地震等に対する東京都の新たな被害想定を公表しましたが、新たな課題を含め、様々な観点から総点検し、対策を強化することで、都民の命と暮らしを守るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域の防災力の強化も重要です。私たちの求めにより、都が今年度、町会、自治会が行う防災の取組において、防災グッズを配布することを新たに支援することを評価いたします。
 新たな被害想定の公表の機会と捉え、地域防災力を一層高める取組を強化していくべきと考えますが、これも知事の見解を伺います。
 また、近年、気候変動に伴う豪雨に対して、水害対策は極めて重要であります。
 私も先般、東京消防庁と国立市、立川市、昭島市との多摩川での合同水防訓練を視察し、水害対策をさらに強化すべきことの必要性を改めて感じたところであります。
 そこで、近年激甚化する自然災害のうち、特に毎年全国各地で被害を及ぼしている風水害への備えを万全にすべきと考えますが、東京消防庁の取組を伺います。
 東京都は、ゼロエミッション東京の実現、二〇三〇年までのカーボンハーフの実現に向けた取組強化として、東京都環境基本計画の改定と並行して、環境確保条例の改正を進めています。中間報告では、特に新たな取組として、住宅供給事業者等に対して、新築住宅等に太陽光発電設備の設置を一定割合で義務化する方向性を示しています。
 二〇三〇年はもちろん、二〇五〇年代まで影響が残る建築物に対して対応を強化することは避けて通れませんが、一方で、かねてより指摘してきたとおり、義務化等の厳しいルールの制定においては、都民や事業者の負担を軽減する支援策がセットでなければいけません。
 東京都環境基本計画の改定、環境確保条例の改正に向けた中間報告を示している中で、新築建築物の供給事業者に対して、省エネ、再エネについて一定程度の義務を求めるのであれば、時を置かず、併せて十分な補助制度を設計して示すべきですが、知事の見解を伺います。
 また、一部では、都で検討している義務化制度について、切り取りや誤解があるようにも見受けられ、個々の新築住宅ではなく、供給事業者を通じて、導入可能な場所に太陽光を導入していくよう工夫した制度設計としていることを改めて丁寧に説明すべきですが、見解を伺います。
 一方、海外製の一部太陽光パネルの製造や原料調達において、環境破壊や人権侵害があるといったことも指摘されており、例えば、フランスでは、製造過程で温室効果ガスの排出量が少ない太陽光パネルを使用する事業者等に対して、インセンティブをつける仕組みを構築しています。また、事業者や所有者が責任を持って廃棄、リサイクルまで適切に行うことも必要となります。
 国産の太陽光パネルをはじめ、原料調達、製造段階から廃棄、リサイクルまでライフサイクルを通じて、環境、SDGsに優れた製品やサービスを後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 ZEVの普及に必要な充電設備において、私たちは、今年度導入された超急速充電器の設置費用補助や戸建て住宅における充電器の補助新設、また、都市開発諸制度を利用した大規模開発における充電器の設置義務台数の拡充などを求めてきました。また、コインパーキングなどの駐車場への設置も新たな補助としていくと聞いています。
 東京都公安委員会が道路上に指定している時間制限駐車区間、つまりパーキングメーターが設置されている場所になりますが、こうした道路上のパーキングメーター設置エリアにも充電器を設置し、ZEVの普及促進に貢献していくべきですが、見解を伺います。
 居住者の高齢化や車離れなどを背景に、都営住宅における駐車場が三割以上空いており、これは概算で二十万平米にも上ります。
 これまでもコインパーキングへの転換などに取り組んできたと理解をしておりますが、抜本的な改善には至っておりません。時代の変化に適切に対応し、都有財産を有効に活用する観点から、空き区画を居住者のみならず、地域で様々に活用できるよう、民間の創意工夫も生かして対応すべきです。
 カーシェアリングの拡大や、今後は、シェアサイクルや電動キックボードなどのポートとしての活用を進めることや、例えばキッチンカーやトレーラーハウスなどを利用した店舗や施設など、移動が可能な空間の活用も考えられます。
 都営住宅における未利用の駐車場区画を都民の貴重な財産であると改めて認識し、シェアリングポートの設置など、民間の創意工夫も生かして、未利用区画を減らすべきと考えますが、見解を伺います。
 今後、こうした新たな利用形態を進め、都有地、都有資産のワイズスペンディングの観点から、目標を定めて未利用区画の適正化に取り組むことを求めます。
 また、都営住宅の建て替えなどにおいて、附置義務等の運用により、新たに使われない駐車場区画が増えてしまうことのないよう、関係局や自治体と連携をして、地域の実情に合った駐車場設置としていくよう対応を求めます。
 今から遡ること六年弱、平成二十八年八月二日、小池百合子知事が知事として誕生しました。翌年、平成二十九年の東京都議会議員選挙で、私たち都民ファーストの会が多くの都民の皆様から信託をいただき、まさに小池都知事と都民ファーストの会が車の両輪で多くの共感を受けて、東京大改革を進めてまいりました。
 東京大改革が始まった平成二十八年を振り返れば、国内では、熊本の地震や九州での記録的大雨、そして、相模原市の障害者施設での痛ましい事件が発生したりしました。国外では、米国でのトランプ大統領の就任、イギリスのEU離脱、そして観測史上最高の世界平均気温の記録など、様々な面から今後の社会の在り方を問う事象が発生をしています。
 一方、都内に目を向けてみれば、災害リスクに恐々とする中で、多くの自治体に待機児童があふれ返り、依然として意思決定の場は男性で支配され、世界で進むデジタル化の気配は感じられないほど、世界に誇る首都東京として望ましい環境ではなかったことは間違いありません。
 このままではいけない、まさに改革、変革を待ち望む多くの都民に応えたのが小池都知事であり、都民ファーストの会であり、東京大改革であります。
 現在、都政が様々な危機に直面する中で、この東京大改革の意義を改めて振り返り、改革をさらに前に進めていくことが必要であります。これまでの東京大改革が東京に何をもたらしてきたのか、改めて伺います。
 まず、知事が都政の最重要課題として掲げた待機児童対策です。保育士の処遇改善をはじめ、都民ファーストの会の提案を着実に政策効果に結びつけてきました。
 改めて、待機児童の解消に向けて、都としてどのような取組を進めてきたのか。小池知事就任前と比べた予算措置の比較、この六年間の予算総額、そして、待機児童ゼロの自治体数がどのように変化したのか、定量的な観点も含め、待機児童対策から見る東京大改革の成果を伺います。
 また、未来をつくるという観点で、同じく都政の重要課題として掲げられるのが東京の安全・安心の確保に向けた取組です。
 さきの質問でも取り上げましたが、先日、被害想定見直しが発表されました。十年前の被害想定と比べて、死者数等の被害が三、四割減少したことが明らかになりました。これはまさに、都民の生活を守るセーフシティを目指す東京大改革の進捗の成果であります。
 小池都知事は、無電柱化の推進に向けた取組を国会時代から長く続けており、備えよ常にを座右の銘とされています。環境大臣、沖縄北方担当大臣に加え、防衛大臣などを歴任した、まさに命を守る専門家であります。
 この小池都知事の下、都の防災力強化のため、どのような取組を進めたのか。就任前と比べた予算措置の状況の比較、この六年間の予算総額といった定量的な観点も含め、防災の観点から見る東京大改革の成果を伺います。
 一方、都政運営全般を見れば、ただ予算をつぎ込めばよいというわけではなく、幅広い都の施策全体を安定的、計画的に推進できるだけの足腰の力、財政対応力が極めて重要です。積極的な施策展開に目を奪われがちではありますが、その実、小池都政では、ワイズスペンディングを旗印に、堅実な財政運営にも同時に目配せをしてきたことも高く評価すべきです。
 財政運営について、新規施策の構築に向けた財源確保策、そして都債の残高についても都民に分かりやすい形で示すなど、六年間の実績について伺います。
 最後に、ここまでの東京大改革が、東京、そして都民に何をもたらしてきたのか。就任から間もなく六年を迎えようとする今、東京大改革をさらに進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上、私たちは東京から日本を変える、まさに東京大改革から日本大改革へとつなげていく決意を申し上げまして、都民ファーストの会東京都議団を代表しての質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 荒木ちはる議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、補正予算についてであります。
 ウクライナ情勢の影響の長期化に伴う物価高騰や電力需給の逼迫など、都政を取り巻く様々な環境の変化から、都民生活や東京の経済を何としても守り抜いていかなければならない。
 また、新型コロナウイルス感染症につきましては、病床使用率や新規陽性者数は減少傾向にありますが、引き続き、感染状況を踏まえながら、万全の備えを講じていくことが重要であります。
 このような考えの下、必要な対策を取りまとめまして、総額四千二百八十三億円の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、影響を受ける事業者向けの融資におきまして、新たに利子補給を行うとともに、専門家派遣や設備投資への助成など、金融と経営の両面から事業者支援を展開してまいります。
 また、都民の暮らしを守るため、キャッシュレスによるポイント還元など、区市町村と連携した生活応援事業に取り組んでまいります。
 あわせまして、HTT、電力を減らす、つくる、ためる観点から、省エネ、再エネに向けた施策を加速させてまいります。
 さらに、感染が再拡大した場合にも十分な対応が図れますよう、引き続き、検査体制や医療提供体制等の確保にも取り組んでまいります。
 同時に、ウクライナから避難された方々が安心して暮らすことができますよう、様々なニーズに応じまして、きめ細かな支援を行ってまいります。
 補正予算に盛り込んだこれらの施策を迅速かつ着実に実施することで、都民生活や都内経済をしっかりと支えてまいります。
 お尋ねのデジタル商品券についてであります。
 原油や資源価格の高騰により、電気、ガス料金や生活必需品が値上がりをして、都民生活が圧迫され、地域経済の活力も低下しております。
 こうした状況を踏まえまして、都民の生活を支えるために、緊急的な対策として東京都生活応援事業を実施いたします。
 キャッシュレスによるポイント還元などを行う区市町村への補助率を四分の三とし、取組を支援してまいります。
 各自治体の取組の支援に向けましては、キャッシュレスに取り組んだ区市町村の事例の紹介やデジタルを活用した実施方法を提案してまいります。
 区市町村に対してきめ細かな対応を行うことで、本事業の一層の活用を促しまして、都民生活の応援と地域の元気につなげてまいります。
 次に、都内や国内の生産品の購入促進についてのお尋ねがございました。
 ウクライナ情勢や円安による輸入品の供給不安、価格高騰が続いて、海外からの調達に頼る企業の経営に大きな影響が生じております。こうした中、国内や東京の優れた生産品を見直して、その調達や購入を後押しするということは重要であります。
 中小企業が部品や材料費の調達につきまして、外国から国内や東京の事業者に切り替えられますよう、専門家を活用して新たな取引先を紹介する取組を進めてまいります。これにより、生産された製品などがさらに国内のマーケットで販売できるように支援をいたしてまいります。
 このような支援によって、都内の企業が国内の生産品等を効果的に利用した事例のほか、我が国や東京の製品等の優れた品質や魅力をウェブサイトやSNSなどを通じまして幅広く紹介をしてまいります。
 私自身も、そうした国内の生産品のすばらしさを伝える取組の先頭に立ちまして、その利用を呼びかけるメッセージを発信してまいります。
 これらのキャンペーンを展開することで、我が国や東京が育んできたものづくりの力に光を当て、将来に向け持続的に発展できる基盤をつくり上げてまいります。
 次に、都市部における農業振興についてであります。
 農作物の生産を消費地に最も身近な場所で行う都市農業は、都民に新鮮な野菜を提供し、地産地消により脱炭素化にも貢献をしております。また、都市の農地は、ヒートアイランド現象の緩和や防災など、重要な役割を果たしております。
 農業の基盤である都市部の生産緑地を次の世代に確実に継承するサポートを速やかに進める必要もございます。区部の農業振興を図るため、消費者のニーズに合った農作物を効率よく生産するとともに、販売の促進につながるブランド化を後押しする視点も重要であります。
 今後は、個々の農家の状況を十分に把握しながら、農地の貸手と借手のマッチングを行うなど、生産緑地を守るためのサポートに一層力を入れてまいります。
 また、消費者の好みに合った味わいや、料理しやすい農作物を生み出す研究に加えまして、DXを活用した効率的な生産技術の開発に向けた取組の一層の充実を図ってまいります。さらに、販売の促進につながりますブランド戦略を提供して、農家の経営力を着実に高めてまいります。
 こうした取組を総合的に行う機能や体制を強化いたしまして、都市農業が未来に向けて発展できるよう、しっかりと支援を行ってまいります。
 水産業の振興でありますが、東京の水産業は、東京湾から伊豆・小笠原諸島に至る広大な海域で営まれ、新鮮で安全・安心な水産物の供給を通じまして、豊かで健康な都民の食生活を支えております。
 一方で、ウクライナ情勢などによる燃油価格の高騰は、漁船の操業や出荷の際の運送経費の増加によりまして、漁業者の経営に大きな影響を及ぼしており、こうした課題への迅速な対応は不可欠であります。
 漁業者の収入を支えるキンメダイ等の水揚げが伸び悩む中、新たな魚種を見出し、アワビなどの貝類を増やす工夫を後押しすることも大切です。SDGsの観点に立って、持続可能な水産業や海洋環境の保全に役立つ取組に力を入れてまいります。
 また、操業の効率化のため、DXの力を取り入れて、水産物のブランド化や子供たちへの食育により、魚の消費拡大につなげてまいります。これらの担い手となる漁業者の確保にも努めてまいります。
 そのため、各分野の第一線で活躍する専門家や有識者の意見を幅広く取り入れまして、効果的な施策づくりを速やかに行ってまいります。
 こうした取組を果敢に行って、東京の水産業の振興を確実に展開をしてまいります。
 続いて、林業であります。
 東京の森林は、木材を供給し、水源を涵養するほか、二酸化炭素の吸収を通じ環境負荷を減らすなど、豊かな都民生活を支える重要な役割を担っております。
 こうした貴重な森林を守り育て、木材の利用を図る林業の振興は、都政の重要な責務であります。現在のウッドショックは、輸入材から多摩産材に利用を切り替えるまたとない機会であり、この機を逃さず取組を強化しなければなりません。
 一方で、将来の発展の基盤づくりに向けまして、林業経営を行う会社の力を高め、木材の伐採や搬出の効率化に役立つ最新の機械の導入を後押しいたしまして、高度な技術を持つ担い手の育成を図ってまいります。多摩産材を使った中高層の木造建築物を増やす工夫を行います。
 今後は、各分野に詳しい専門家の意見も聞きながら、効果的な施策をつくり上げてまいります。こうした取組で木の都市東京を実現してまいります。
 次に、米粉の活用の推進についてであります。
 ウクライナ情勢の影響や北米での不作によりまして、輸入小麦の価格が高騰する中、その代わりとなる国産の米粉の活用を図ることは重要です。
 このため、都は、農業者の団体であるJAと協力し、日本有数の米どころ、新潟の米粉を使用したパンを作り、販売するキャンペーンを展開してまいります。
 また、都内におきましては、数多くのパン屋さんが米粉のパンを工夫して売り出し、店の魅力につなげています。こうした店舗をウェブサイトなどを通じて紹介をして、都民の身近な場から関心を高めてまいります。さらに、食をテーマとするイベントや車内広告などを活用して、米粉パンのよさを幅広く伝えてまいります。
 こうした取組により、東京で米粉の需要を喚起するムーブメントを起こし、米の消費と生産の好循環を生み出し、都民の食生活をしっかりと守り抜いてまいります。
 次に、ウクライナからの避難民の支援についてのお尋ねがございました。
 戦禍を逃れてきたウクライナの方々に、言語や文化の異なる東京で安心して暮らしていただきたい、こうした思いの下、東京は、いち早く相談窓口を設置いたしまして、一時滞在施設や都営住宅での受入れを行ってまいりました。
 一方、避難生活が長期化する中で、地域で自立して安定した日常生活を送るための様々なニーズが顕在化しております。
 こうしたニーズに対応するため、日本語学習をはじめ、様々な支援を行う各種支援団体とのマッチングや、ソーシャルファームなどを通じた就労の後押し、都営交通の運賃負担軽減などの対策を講じてまいります。また、都営住宅におけますWi-Fiの無償貸与や、光熱水費の全額支援等、きめ細かな支援を行ってまいります。
 全庁一丸となって取組を進めることはもとより、国や区市町村とも連携を図り、東京に避難された方々一人一人に寄り添ったサポートをしてまいります。
 次に、緊急一時避難施設のさらなる確保についてのお尋ねがございました。
 ロシアによるウクライナの首都キーウへの武力攻撃や北朝鮮による度重なるミサイル発射に対しまして、かつて防衛大臣を務めた私だけではございません、多くの都民の方々が強い危機感を抱いておられます。
 これまで都は、ミサイル攻撃の爆風等から被害を軽減するための緊急一時避難施設として、地下施設百八十八を含む約二千九百の施設を指定してまいりました。今般、地下駅舎等百九の施設を新たに指定をしたところであります。
 今後、さらなる確保に向けまして、都や区市町村の公立施設はもとより、民間企業にも働きかけまして、地下施設や堅牢な建物の指定を進めてまいります。
 指定に当たりましては、施設管理者に避難誘導や備蓄などを求めないという基本的考え方を示しまして、不安の払拭を図ってまいります。また、施設管理上の責任や補償等につきましても、全国知事会と連携をいたしまして、国に統一的な考え方を明示するよう求めてまいります。
 これらによりまして、緊急一時避難施設の指定をさらに進めて、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、感染症法の改正についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症との闘い、もう二年を超えます。そして、この間、都は、都民、事業者、医療従事者の皆様の多大な協力を得ながら、不断の見直しを重ねまして、都独自の取組を機動的に実施するなど、総力を挙げて対策を講じてまいりました。
 現在、病床使用率、そして重症病床使用率は大幅に減少しておりまして、新規の陽性者数も下降傾向にあり、今後も感染拡大を抑えていくためには、基本的な感染防止対策の徹底を図ることが重要でございます。
 また、感染拡大を防ぎつつ、社会経済活動をコロナ前の日常に戻していくためには、全数報告となっている患者等の届出や就業制限、コロナ診療を行う医療機関や病床の在り方など、現行の感染症法の分類を基にした取扱いにつきまして、状況に応じ、見直しを検討することが必要となっております。
 そのため、都は、東京iCDCなど専門家の知見を収集するとともに、国に対しては、ウイルスに対する科学的知見、治療法の開発状況、医療費の公費負担の取扱いなどを含めまして、法令に基づく措置の変更も含め、必要な対応を求めてまいります。
 ワクチン接種につながる、いわゆる都民割の実施についてでございます。
 長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続いてまいりました。現在、感染症のリバウンドを警戒する期間は終わりまして、基本的な感染防止対策を徹底しながら、観光の再開に向けた一歩を踏み出す時期となりました。
 感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るため、ワクチンの接種をより一層促進することは重要であります。接種を終えた都民の方などが都内の身近な地域を観光できるよう、もっとTokyoで少しずつ後押しを進めてまいります。
 もっとTokyoは、ワクチンの三回目接種を受けた都民の方などを対象としてトライアルで実施をするとともに、十八歳までの高校生を含めた若い世代には、より手厚い支援を行うということで、接種の促進につながることも期待をいたしております。
 また、観光の業界団体や旅行会社等へ接種に向けた協力を依頼するほか、その必要性をメディアやSNSを活用して広く発信をいたしてまいります。
 こうした取組によって、若年層をはじめ、一人でも多くの方の接種が進むことで、安心して都内観光のできる環境が整う中、今後の本格的な観光振興を進めてまいります。
 次に、子供連れの旅行等に配慮した、いわゆる都民割についてでありますが、コロナ禍が続く中、都民の皆様は家族旅行を控えたり、とりわけ子供たちは、楽しみにしていた修学旅行や遠足が中止となるなど、やりきれない思いを抱えてこられました。
 そうした子供たちの気持ちに配慮の行き届いた支援を行うため、もっとTokyoのトライアル実施では、通常の宿泊費五千円の助成に上乗せを行う仕組みといたしまして、子連れの旅行などの後押しを行ってまいります。
 子供には千円の助成が加わることで、家族や友達同士で連れ立って旅行に出るきっかけとなることを期待いたしております。そうした観光を通じまして、子供たちが都内の様々な地域を訪れ、自然や文化、歴史に親しみ、地元の人々との交流を楽しんでいただきたいと思います。
 東京の未来を担うかけがえのない存在である子供たちに、旅での体験を通じまして、豊かな感性を養い、笑顔を取り戻してもらえるよう、全力でサポートしてまいります。
 次に、女性の活躍についてであります。
 いつの時代も未来を切り開くのは人であります。東京が持続可能な都市として進化し続けていくには、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりが重要であります。
 知事就任以来、女性活躍の推進を都政の重要課題と位置づけてまいりました。そして、家庭と仕事の両立支援をはじめ、女性起業家の支援、企業などの先進的な取組の普及啓発、男性の家事、育児参画の促進など、幅広く取り組んで、男性の育休取得率は就任時から三倍以上となるなど、着実に成果を上げてまいりました。
 今後、さらに取組を加速させるため、審議会等の委員を男女いずれの性も四〇%以上とするクオータ制を導入いたしまして、政策決定過程に多様な価値観、発想を取り入れてまいります。
 また、都庁の女性管理職比率につきましては、令和七年の二五%を目標といたしまして、キャリアの形成支援や研修などの取組を拡充してまいります。
 民間事業者等に対しましては、女性の採用や育成に関する行動計画策定支援や女性従業員のスキルアップ、意識づけの強化など、具体的な取組を後押ししてまいります。
 こうした取組を重層的に進めて、女性をはじめ、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指しまして、全力で取り組んでまいります。
 育児休業の推進に関してであります。
 育児休業を取得しやすい環境を整え、男女問わず、誰もが我が子と過ごす時間を大切にできる社会を実現することは重要です。
 都は今年度、男性育休の取得への理解を広げるため、優れた成果を上げた企業に登録マークを提供いたしまして、その事例を幅広く発信するキャンペーンを行います。
 専門家が会社に出向きアドバイスを行うほか、母親に引き続き父親が育休を取得する場合には、新たに助成金を提供いたしまして、男性の育休を後押ししてまいります。
 ちなみに、都庁におきましては、三千人を超える全管理職が、毎年自らの言葉でイクボス宣言を行って、男性職員の育休取得に向けた意識改革を進めております。
 今後、男性の育休取得率を令和七年度に五〇%とする目標の早期達成に向けまして、育児と仕事の両立支援の取組を加速してまいります。
 政策連携団体につきましても、男性職員の育休取得促進に向けまして、雇用環境の整備を促してまいります。
 そもそも、休むことを連想させる育休という言葉自体を変えていかなければなりません。このため、育休のイメージを一新する愛称を今月中に決定をいたしまして、社会のマインドチェンジを促してまいります。
 働くママ、パパ、誰もが育児休業等の制度を当たり前のように利用して、子供を育む活動として応援し合える社会を官民一体となって実現してまいります。
 子育て、教育支援策についてであります。
 そもそも人口問題は国家の根幹に関わる課題でありまして、少子化からの転換は待ったなしといえます。誰もが子供を産み育てやすい環境を整えるということは、少子化に直面する東京、ひいては日本の明るい未来を実現するために重要であります。
 結婚や出産、子育てだけではなく、教育や働き方、社会の意識、家族構成などにも目配りをして、時代に合った支援をあらゆる側面から講じていかなければなりません。
 施策における対象範囲の設定に当たりましては、それぞれの施策の目的などを踏まえて適切に判断されるべきものでございます。
 今後とも、子供を産み育てやすい社会の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 東京都出産応援事業についてであります。
 都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、令和三年度から二か年の事業として、東京都出産応援事業を実施しております。
 これまでに約十一万九千世帯に案内を送付して、お掃除ロボットや空気清浄機、ミルクやだっこひもなど、育児に関わる様々な品物をご利用いただいております。
 都民からは、コロナ禍で出産を控えていたが、この事業を知って出産に前向きになった、第三子の出産も考えたいと思ったなど、数多くの感謝の声もいただいております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化やウクライナ危機を発端とする物価高騰など、子供と子育て家庭を取り巻く環境というのは厳しさを増しているところでございます。
 こうした中にありましても、子供を持ちたいと願う方々に、引き続き必要な支援をしていくことによって、誰もが安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指してまいります。
 次に、デジタルデバイド対策についてのお尋ねでございます。
 日常生活のあらゆる分野において、デジタル化が加速度的に進展をしております。
 こうした中で、誰もがその恩恵を享受できる社会を実現するためには、若者の力も活用して、デジタルに不慣れな高齢者が身近な場所で学べる環境を整える必要がございます。
 都は今年度、区市町村等と連携したスマホ教室や相談会を大幅に拡充するほか、地域社会で支え合う新たな仕組みとして、TOKYOスマホサポーター制度を立ち上げます。
 七月から、講師の経験などを有する方にサポーターとして先行的に活動していただきます。
 また、夏休み期間中に開催するスマホ相談会では、デジタルネーティブ世代である学生などを有償スタッフとして活用して、そこで得られた意見や気づきをサポーターの育成プログラムや活動の場づくりに生かしてまいります。
 NPOや地域団体に加えまして、学生、元気な高齢者などにご参画いただいて、幅広い世代の交流につなげるとともに、誰一人取り残されないデジタル社会を実現してまいります。
 続いて、がんとの共生についてのお尋ねについてでございます。
 都は、都民ががんになっても自分らしく生きることができますよう、東京都がん対策推進計画に基づいて、専門家や患者の皆様のご意見を伺いながら、様々な施策を展開いたしております。
 具体的には、生殖機能温存治療などAYA世代のがん患者に対する支援や、中小企業向けセミナーなど働く世代の治療と仕事の両立支援、患者が住み慣れた地域で安心して緩和ケアを受けられる体制の構築などを進めております。
 また、予防や早期発見に関する知識も含めまして、がんに関する正しい理解が進みますよう、がんの教育や健康教育に取り組むほか、検診の重要性についても普及啓発してまいります。
 今後、さらなる施策の推進に向けましては、患者のライフステージに応じたニーズをきめ細かく把握するとともに、企業や患者団体等とも連携を深めながら、がん患者が尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会を実現してまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてでございます。
 ダイバーシティ東京を実現するためには、多様な性に関する都民の理解を促進するとともに、性的マイノリティー当事者の方々が抱えておられる様々な生活上の困り事の軽減を図っていくことが重要であります。
 そのため、都におきましては、制度の開始に合わせて都営住宅等に新たに入居が可能となりますように、本定例会に条例改正案を提案するとともに、様々な分野の行政サービスが活用できるように取り組んでまいります。
 また、制度を導入している都内自治体とは、証明書の相互活用を図ってまいります。未導入の自治体には、都の証明書を活用して行政サービスが提供されますように働きかけていくとともに、首都圏自治体とも、証明書のより有効な活用に向けまして情報交換を行ってまいります。
 さらに、住宅や医療分野をはじめとする様々なサービスが展開されますよう、政策連携団体はもとより、経済団体等と連携して、民間事業者にも協力を呼びかけてまいります。
 こうした取組を通じて、誰もが生き生きと活躍することができる共生社会を実現してまいります。
 次に、デフリンピックと世界陸上についてのご質問がございました。
 東京二〇二〇大会を契機として、東京は、共生社会への大きな一歩を踏み出しました。大会のレガシーを引き継ぎ、未来を切り開く取組を加速させ、成長と成熟が両立した持続可能な都市を実現していくことが重要であります。
 デフリンピックが開催されることとなれば、ITやAIなどのデジタル技術を活用して、物理的、心理的なバリアを取り除き、誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の創出へとつなげることができます。
 また、世界陸上も、東京で開催されることとなりましたら、都民のスポーツへの関心を一段と喚起をして、体力の向上や健康増進への意識が高まり、健康長寿の実現につながってまいります。
 両大会の開催に当たりましては、国や競技団体など様々な関係者の協力が不可欠でございます。
 都としても、招致主体となる団体を、関係者と密に連携しながら積極的に応援をしてまいります。
 都民一人一人が生き生きと輝く東京を実現するため、今後も様々なスポーツが社会に根づきますよう、取り組んでまいります。
 たまモノ子育て応援事業についてのご質問がございました。
 多摩地域は、緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちであって、その特性を生かし、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれる地域にすることが不可欠であります。
 子育てする世帯の支援策の一つとして、多摩都市モノレールにおきまして、ゴールデンウイークを中心に小児一日乗車券を百円で販売したところ、利用者からは、これをきっかけに初めて乗車し、多摩地域の新しい魅力を発見したなどとの声がございました。
 次回は、夏休み期間を中心として、七月の中旬から約二か月半実施をするとともに、子供が多く利用する眺めのいい先頭車両の座席付近に子育て応援シートを設置するなど、支援策の充実を図ってまいります。
 こうした取組を引き続き推進するとともに、アンケート調査結果や利用実態などから政策効果を分析しまして、将来の小児運賃の在り方などについて、運営会社等と協議をしてまいります。
 同じく、多摩地域の振興についてでありますが、多摩地域は、緑豊かな自然、都心へのアクセスのよさ、企業や大学の集積など、多様な魅力やポテンシャルを有しております。
 コロナ禍による新しい働き方、暮らし方の浸透は、多摩地域がより一層発展する機会でもございます。こうしたことから、職住近接で、働き暮らせる環境の整備など、多摩地域だからこそ輝く取組を展開してまいります。
 また、教育環境の充実、交通ネットワークの強化、地域の特性を踏まえたまちづくりなどを進めてまいります。
 こうして磨き上げた魅力あふれる多摩地域に多くの人を引きつけるため、都では先月、有楽町に東京多摩島しょ移住定住相談窓口を開設いたしました。この相談窓口を活用して、子育て世帯をはじめとする方々に対しまして、地域の魅力や支援制度の紹介を行うなど、市町村への橋渡しを行ってまいります。
 また、関係各局による横断的な庁内プロジェクトチームを設置いたしまして、移住、定住促進のさらなる支援策を検討してまいります。
 これらの取組を着実に進めることによって、にぎわいと活力に満ちあふれた多摩をつくり上げてまいります。
 次に、空港への鉄道アクセスの充実についてであります。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるため、そのためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要です。
 国の答申では、空港アクセスの向上に資するプロジェクトといたしまして、新空港線や羽田空港アクセス線などが示されております。
 新空港線は、先日、私と大田区長との間で、課題とされていた事業費の地方負担につきまして、都がその三割を負担することなどを合意いたしまして、今後、区が中心となり、事業化に取り組むこととしております。
 また、羽田空港アクセス線は、田町駅付近から羽田空港へと向かうルートについて、JR東日本が、二〇二九年度の運行開始を目指しまして、工事着手に向けた手続を進めています。
 大井町駅付近や東京テレポート駅と羽田空港を結ぶそれぞれのルートにつきましては、事業スキームの構築に向けました、国やJR東日本などの協議、調整を進めてまいります。
 こうした路線の整備を進めまして、東京の国際競争力のさらなる強化につなげてまいります。
 新たな被害想定を踏まえた今後の防災対策の強化についてのご質問です。
 都は、阪神・淡路や東日本大震災を教訓に、耐震化や不燃化などのあらゆる対策を強力に推進をしており、今回の被害想定では、十年前と比較して、人的、物的被害が三割から四割程度減少することとなりました。
 一方、マンション居住者の増加に伴うエレベーター内の閉じ込めや、避難の長期化による震災関連死の懸念といった様々なリスクが顕在化しております。
 こうしたリスクに的確に対応し、さらなる人的、物的被害の軽減に向けまして、地域防災計画を改定いたします。
 改定に当たりましては、ハード、ソフトの両面からこれまでの取組を検証して、その成果や課題を踏まえて、より実効性の高い施策を構築してまいります。
 また、発災時には、都や区市町村、関係防災機関が有機的に連携できますよう、各主体の取組や役割を地域防災計画において明確にいたします。
 こうした取組によって、都の防災対策をバージョンアップしてまいります。
 地域防災力の強化についてであります。
 阪神・淡路大震災では、多くの方々が近隣住民によって救出されるなど、地域における助け合いの重要性が改めて認識されました。一方で、新たな被害想定では、住民同士のつながりが希薄なことで助け合いが進まず、救助活動が遅れる可能性があるなど、地域における災害時の課題が浮き彫りとなっております。
 このため、都は、今後、新たな被害想定を基に、地域の住民が発災後の状況をイメージしながら、救出救助や避難所支援などの防災活動につきまして具体的に検討できるセミナーを開催いたします。
 また、共助の中核であります町会、自治会が、被害想定などの状況提供と併せまして、防寒アルミシートや携帯トイレなどの防災グッズを配布する取組を支援してまいります。
 これらにより、地域における防災意識を一層高め、防災力のさらなる向上を図ってまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化に合わせた支援についてでございます。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けましては、今後数十年にわたって使用される新築建築物のゼロエミッション化が急務であります。
 世界は今、ウクライナ情勢等の影響によるエネルギー危機に直面をしており、先月、EUは、カリフォルニア州やニューヨーク市等に続きまして、新築住宅等に太陽光発電の設置を義務づける、脱炭素化に向けたさらに強力な道筋を示したところであります。こうした世界の趨勢に危機感を持って行動を加速すべきときであります。
 都が現在検討している制度は、個人ではなく、事業者を義務の対象としておりまして、審議会からは、この制度を高く評価するとともに、都民に分かりやすく説明すべきとの意見もいただいております。
 これまで都民に対しましては、東京ゼロエミ住宅等におきまして、太陽光発電設備への補助を拡充してまいりました。
 今後、より実効性のある制度とするため、専門家の意見を伺いながら丁寧に検討し、必要な支援等につなげてまいります。
 こうした取組によって、都民や事業者の理解と共感を得られる制度構築を進めてまいります。
 東京大改革について、まず、待機児童の対策についてのご質問です。
 私は、就任直後から待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育所等の整備の促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱に保育サービスを拡充してまいりました。
 予算面で申し上げますと、平成二十八年度当初には九百七十八億円だった保育関連予算が、今年度は千九百六十三億円と倍増しておりまして、累計にしますと約一兆七百億円を措置いたしております。
 こうした取組の結果、平成二十八年度時点で八千四百六十六人を数えました待機児童は、九割以上減少し、直近で三百人程度となる見込みとなっております。また、待機児童ゼロの自治体数は、平成二十八年の十三から、令和三年には二十六となりました。
 今後、これまでに整備したサービス基盤も活用し、区市町村や保育事業者の皆様と連携しながら、子供と、そして子育て家庭を支援するため、多様な保育サービスの充実に積極的に取り組んでまいります。
 また、東京大改革の六年間の防災対策についてのお尋ねがございました。
 防災は、都民のあらゆる活動、東京の成長の大前提でありまして、セーフシティの実現は東京の未来を左右する重要課題であります。
 このため、私は就任以来、災害に強い都市づくりに全力で取り組んでまいりました。
 例えば、無電柱化の施策を防災の観点から捉え直し、都道府県で初めてとなる推進条例を制定するなど、取組を加速化した結果、都道のセンター・コア・エリアの九九%にまで整備が進んでおります。
 また、近年の集中豪雨への対策として、区部で時間七十五ミリ、多摩では時間六十五ミリの降雨に対応できるよう、地下調節池の整備を計画的に進めております。
 これらの取組を含めまして、防災対策を強化するため、平成二十八年度時点で約七千二百億円だった予算を、今年度には約八千七百億円まで増やしまして、六年間の累積では五兆円を超える防災関連予算を措置してきたところであります。
 今後も、世界一安全な都市東京の実現を目指して、都市強靱化プロジェクトをはじめとした様々な防災対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、財政運営についてでございます。
 都政を取り巻く喫緊の課題への対応を図りながら、将来を見据え、戦略的に施策を展開するためには、財政対応力を強化いたし、健全な財政基盤を構築することが不可欠であります。
 そのため、事業評価におきましては、全ての事業に終期を設定いたしまして、事業の検証を徹底してまいりました。さらに、政策評価との一体的実施によりまして、成果重視の評価を進め、これまでの六年間で約五千八百億円の財源確保を実現して、新規事業の構築につなげてまいりました。
 また、都債、都の債券につきましては、将来世代の負担も考慮し、戦略的に発行することで、都民一人当たりの残高は、平成二十八年度予算の約四十三万円から、令和四年度末は約三十六万円へ減少する見込みでございます。
 加えまして、財政環境の変化にも対応し得るよう、財政調整基金などの基金の確保に努めてきた結果、コロナ禍の中でも機動的かつ積極的な対策を講じることができたところであります。
 こうして培った財政対応力を十二分に活用しながら、今後とも都政に課された使命を確実に果たし、都民の負託に応えてまいります。
 東京大改革の取組と成果について、最後にご質問がございました。
 私は、東京都知事に就任して初めての所信表明におきまして、今の都民のために、そして、まだ見ぬ百年後の都民のために働く、都民が希望を持てる都政を展開するとの決意を語ったところでございます。
 この思いは、いささかも揺らぐことはございません。まさに都民ファーストの視点から、この六年弱、東京大改革を全身全霊で推し進めてきたところであります。その足跡は、大都市東京が見違えるように成長してきた軌跡そのものと存じます。
 誰もが輝く社会の実現という観点では、先ほど申し上げました待機児童解消の取組にとどまることではなく、女性の就業率については、五二・六%から五七・九%に上昇、一桁台だったテレワークの実施率は、昨年には最大六五%に到達、百歳大学東京プレミアム・カレッジの開設、高齢者の安全運転装置設備補助といった取組も——急発進しないようにする、これも実施をいたしました。
 また、先ほどの防災で触れました自然災害の背景たる気候変動への危機感を胸にいたしまして、自治体で初めてグリーンボンドを発行、現在進行形で乗用車の非ガソリン化や太陽光発電設備の設置義務化といった先進的な施策を進めております。
 世界のデジタルの波に乗り遅れてはならない。そのため、宮坂学氏を副知事に招聘いたしまして、先鋭的なデジタル戦略を構築いたしております。これを機に、西新宿を皮切りとした都内のDX化、都庁のデジタルガバメント化などを進めております。
 そして、受動喫煙防止条例、人権尊重条例、ソーシャルファーム条例など、都民に寄り添いながら、時代の潮流を踏まえた様々な条例の制定も実現をしてまいりました。
 新型コロナウイルスのみならず、原油、原材料等の高騰、エネルギーリスク、円安など、今、都政は数々の危機に直面をいたしております。ちなみに、今日は一ドル百三十二円の円安、このように聞いております。
 ここで立ち止まるわけにはまいりません。都民の命、そして東京の経済を守り、明るい未来を切り開くべく、これまで以上に強力に東京大改革を推し進めてまいる所存でございます。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 関係機関と連携したストーカーの被害対策についてでございますが、警視庁では、警視庁ホームページやリーフレット等の媒体を通じ、各種相談窓口や被害防止対策等について周知を図っております。
 また、ストーカーに関する相談等を受理した場合には、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、区市町村が行う住民基本台帳の閲覧等に係る支援措置への対応、宿泊施設への一時避難や転居に伴う費用の一部の公費支出など、関係機関と連携した支援を充実強化しております。
 さらに、加害者対策につきましては、あらゆる法令を駆使した加害者の検挙活動を徹底するとともに、医療機関と連携した再犯防止のための取組も強化しております。
 警視庁といたしましては、関係機関等と密接に連携し、これらの取組を進めていくことにより、都民の安全・安心の確保にさらに万全を期してまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症の後遺症への対応についてでございますが、都教育委員会は、都立学校に対して、本年四月以降、校長会等様々な機会において、後遺症を含む新型コロナウイルス感染症に関連して登校できない場合は、出席を要しない日と扱うことができることや、学びの保障を図るため、オンライン等を有効に活用することなどについて周知いたしました。また、区市町村教育委員会に対しても同様の内容を通知いたしました。
 後遺症につきましては、解明されていないことも多いため、今後、感染症等のやむを得ない理由で登校できない子供について、都立学校や区市町村教育委員会と情報を共有しながら、個々の状態に応じた適切な配慮がなされるよう、より一層働きかけてまいります。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付事業の周知についてでございますが、これまで都教育委員会は、本事業について福祉保健局と連携し、都立高校等の校長連絡会や区市町村教育委員会への案内文書の送付を通じて、生徒への周知を働きかけてまいりました。
 今年度は、これに加えて、都立高校の全ての二、三年生に案内を配布するほか、都立高校の合同説明会においても、参加した中学校の生徒や保護者に対して周知を図ってまいります。また、公立中学校の全ての二、三年生に対しても、進路等に関する面談時等を通じ案内するなど、様々な機会を捉えて直接周知をしてまいります。さらに、学習塾にも生徒への周知を働きかけてまいります。
 子供たちが、家庭の経済状況等にかかわらず希望する進路を選択できるよう、各学校や区市町村教育委員会とも連携し、本事業の一層の活用に向けて取り組んでまいります。
 次に、給付型奨学金の活用についてでございますが、家庭の経済状況にかかわらず、都立高校に通う生徒が主体的に教育活動に参加できるよう、必要な経費に奨学金が十分に活用されることが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、模擬試験や各種検定試験の受講料のほか、TOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料など、学力向上に係る経費等を給付型奨学金の対象とし、支援をしてまいりました。また、今年度からは、一人一台端末の購入費を支援対象に追加いたしました。
 今後は、厳しい環境に置かれている低所得者世帯の生徒の多様な教育ニーズに十分対応するため、修学旅行や校外学習の経費に対する支援を拡充し、生徒、保護者へのさらなる周知を図ることにより、奨学金の活用を促進してまいります。
 次に、島しょ地域の都立高校の受検についてでございますが、都教育委員会はこれまで、島しょ以外の地域から島しょにある都立高校を受検する際の応募資格として、介護や病気療養等の特別な事情がある場合を除いては、父母と共に転居し、入学後も父母と同居することを要件としてまいりました。
 今後、島しょ地域への移住、定住を希望する家庭の幅広いニーズに対応するため、父母のどちらか一方と転居し、同居することで応募資格を満たせるよう、要件の緩和に向けた検討を行います。
 あわせて、転居に伴う都立高校の受検の応募資格について、都立高校合同説明会や都の移住定住相談窓口等を通じて十分に周知してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) インクルーシブな公園の普及促進についてでございますが、区市町村が管理する身近な公園において、誰もが安心して楽しめる遊具広場を整備していくことは重要でございます。
 昨年度、都は、整備費用の補助を開始するとともに、整備や管理運営に関するガイドラインを提供しておりまして、整備された公園は幅広く子供たちに利用されております。
 さらなる整備を加速するため、今年度は、区市町村の担当者が一堂に会し、都立公園の遊具に実際に見て触れて、管理運営のノウハウの共有等、理解を深める機会を設けます。加えて、整備に当たっての地域コミュニティの参画を促すため、ワークショップの実施事例をガイドラインに追加してまいります。
 今後、区市町村との一層の連携を図りながら、インクルーシブな社会の実現に向けた取組を推進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 原油価格の高騰等への対応についてですが、中小の運輸業や冷凍設備を持つ食品関連業は、原油価格の高騰などが続き、経営に大きな影響が生じており、それら事業者への一層の支援が必要でございます。
 これまで都は、運輸業等の会社に省エネに詳しい専門家を派遣し、営業所で使う電気などのエネルギーを減らす助言と、その実現に必要な経費に助成を行ってまいりました。
 今後は、これらに加え、運送業務や冷凍保存などで使うエネルギーのコスト削減につながる工夫や機器導入の後押しを行います。
 具体的には、車両に風の抵抗を減らす導風板を取り付け、燃費を改善する取組や、省エネ効率の高い冷凍庫の導入等に必要な経費の五分の四に対し、新たに助成を行います。
 これらによりまして、中小企業の効率的な経営の実現をサポートしてまいります。
 次に、円安を活用した輸出の取組についてでございますが、円安で製品の価格面の競争力が高まる中、中小企業が輸出を効果的に進める取組を支援することは重要でございます。
 このため、都は、金融機関と協力し、中小企業による輸出促進に役立つ情報提供を行います。また、商社OBなどの専門家を派遣し、海外の取引先を紹介するほか、輸出手続に必要な実務のサポートなどを実施いたします。
 さらに、輸出品の代金の回収に役立つ貿易保険について、その保険料負担を軽減する新たな助成制度を開始いたします。
 これらに加えまして、会社の情報を英語でウェブサイトやSNSにより宣伝できるよう、アドバイザーが支援を行うほか、外国語による発信を強化し、越境ECを活用した販路開拓に向けたサポートを行います。
 これらによりまして、中小企業の輸出を着実に後押しをしてまいります。
 次に、地域の実情に応じた農業振興についてでございますが、ウクライナ情勢などによりまして、ビニールハウスの資材等が高騰し、農業経営に厳しさが増す中、地域の特性に応じて生産効率を高める工夫を行うことは重要でございます。
 これまで都は、山間部の傾斜地や島しょ部の厳しい自然環境での生産を下支えするため、農作物の運搬機器や強風に耐える丈夫な施設の整備などを支援してまいりました。今後は、野菜の効率的な選別や、生乳の乳製品への加工ができる設備の導入などの支援を進めます。
 また、新たに、都市部の農家が収穫した野菜の出荷作業を効率化する設備や無人販売機などを導入する取組に支援を行います。さらに、各エリアに経営の専門家を派遣し、設備を導入する計画づくりから、事後のサポートまでをきめ細かく支援をいたします。
 これらによりまして、東京農業の振興を迅速に進めてまいります。
 次に、離職者の早期再就職に向けた支援についてですが、長期にわたるコロナ禍にウクライナ情勢の影響が加わる中、離職を余儀なくされた方々が、求人の多い業種へ早期に就職できるよう支援することは重要でございます。
 このため、都は、成長産業分野等への就職を後押しするため、eラーニングによる二か月間の資格取得訓練を行い、試験直前には、合宿により集中的な指導を行う仕組みを組み合わせ、早期の資格取得につなげてまいります。
 また、デジタル業界向けの就職面接会を年三回行うほか、業態の転換や事業拡大を目指す企業などを対象に求人を開拓し、マッチングにつなげる大規模な面接会を新たに開催いたします。
 こうした取組によりまして、離職者の早期の再就職を後押ししてまいります。
 次に、女性の再就職支援の強化についてですが、コロナ禍などで離職した女性が早期に再就職できるよう、様々な相談に対応し、就職活動に必要な情報の提供やスキルアップに向けた支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、離職中の女性を対象とする就職相談会やセミナーを都内五十か所で開催いたします。
 また、ひとり親の女性等に対し、パソコンや通信機器を無料で貸し出し、デジタルスキルを学ぶeラーニング訓練や求人企業の紹介を行うなど、オンラインを活用し、就職活動を支援いたします。
 さらに、関係局と連携を深め、子育てを含めた生活面の支援に関するサイトやSNSで新たに情報発信を行うとともに、区市町村の窓口などを通じ周知をいたします。
 こうした取組によりまして、女性の早期の再就職を、関係機関と連携し、適切に後押しをしてまいります。
 次に、NFTを使用する事業者への支援についてでございますが、NFTは、音楽やアニメ分野のデジタル作品の作成者を明確にし、無断での複製利用等を防ぐことができ、デジタルによる事業展開にとって重要な技術でございます。
 このため、都は、創業支援施設におきまして、NFTを用いたビジネスを目指すスタートアップを対象にセミナーを開催するとともに、施設に入居する音楽関連の起業家とNFTの事業者とのマッチングを行うなどの支援を実施しております。
 今後は、音楽やアニメなどのコンテンツ産業の事業者等に対して、NFTに関する最新の情報を提供するとともに、新たな事業展開に向けた相談対応を行います。
 こうした取組を通じまして、NFTの活用を目指す中小企業を後押ししてまいります。
 最後に、ライブ会場の運営事業者等への支援についてでございますが、音楽のライブ会場の運営事業者やアーティストなどは、東京の魅力と稼ぐ力を高める重要な存在でございまして、コロナ禍によりその活動に大きな影響が生じる中、適切にサポートを行うことが必要でございます。
 都は今年度より、ライブでの音楽などを含めた幅広い芸術文化活動を担う団体への助成を開始しております。ライブ会場や劇場を運営する中小の事業者等の資金繰りを支えるため、今回の補正予算で、制度融資のメニューの充実を図ります。
 また、ホール等の施設で感染症対策を効果的に推進できるよう、換気設備の導入などを進める場合の助成規模を増やし、受付期間も延長いたします。
 今後、感染症の状況や事業者等のニーズを踏まえながら、産業と文化の両面から支援を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京空襲関連資料の活用についてでございます。
 都民の平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、都が保有している空襲関連資料の活用を図ることは重要でございます。
 現在保有している資料は、収集時から適切に管理してまいりましたが、デジタル技術の進展を踏まえ、確実に次代に継承していくために、資料や証言映像のデジタル化を図ることといたしました。
 デジタル化することで、長期保存とともに、より多くの方々に見ていただくことが可能になること等を踏まえ、東京空襲資料展などにおける活用について、今後検討してまいります。
 次に、地域の芸術文化振興についてでございます。
 都は、コロナ禍にあっても、芸術文化団体等の協力を得て、様々な文化事業を実施するとともに、助成事業によって民間の活動を支援してまいりました。
 さらに、多くの芸術文化団体等の活動の後押しができるよう、地域の活性化や、インクルージョン・アンド・サステーナビリティーなどをテーマとした伝統芸能や音楽、演劇、ライブエンターテインメントなどの様々な分野を対象に、芸術文化魅力創出助成を今年度新たに開始し、想定を超える応募をいただいております。
 芸術文化団体の意見や提案も踏まえながら、幅広いジャンルを対象に助成等を行い、多様な地域の芸術文化団体の活動を後押しし、都市の魅力向上につなげてまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 経口薬の承認審査と供給体制等に関するご質問にお答え申し上げます。
 医薬品の承認過程におきまして、候補薬の有効性や安全性を確認する治験は、新たな医薬品の開発にとって必要不可欠な手続でございます。都は、公的な役割として、宿泊療養施設等を経口薬の治験の実施場所として提供するなど、円滑な実施に向け支援をしてまいりました。
 また、経口薬を必要とする都民に速やかに投与できるよう、東京都医師会、東京都薬剤師会等と連携をいたしまして、供給体制を都内全域に構築してまいりました。
 国に対しましては、医療機関及び薬局における経口薬の在庫上限の緩和など、より柔軟な流通体制の構築を引き続き求めるとともに、関係機関と緊密に連携し、経口薬を迅速かつ確実に提供できる体制を整えてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都出産応援事業の案内についてでございます。
 都は、区市町村の窓口や都内五百か所以上の産科医療機関等を通じましてリーフレットを配布するほか、インターネットやSNS等で子育て世代をターゲットにした広告を配信するなど、本事業を広く周知してございます。
 また、都のホームページに商品カタログを掲載し、出産を控えている方が事前に七百点以上の利用可能な子育て支援サービスや育児用品等の情報を入手できるようにしているところでございます。
 今後、母子健康手帳の交付時や、とうきょうママパパ応援事業で実施している全ての妊婦との面接時等に本事業をご案内するなど、出産、育児の準備を行う家庭に対して確実に情報が届くよう、区市町村と連携して広報を工夫してまいります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてであります。
 都は、平成二十七年度から、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制を整備する区市町村を支援しており、令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、産後の支援を大幅に拡充しております。
 今年度は、コロナ禍で産後の家事、育児を支援するサポーターの利用が難しい家庭に対しまして、家事時間の短縮による負担軽減が図れるよう、スマート家電等の家事支援用品の購入支援を開始しております。
 江戸川区では五月に補正予算を編成し、事業開始を公表するなど、現在、区市町村において実施に向けた準備が進んでいるところでございます。
 今後、事業の利用動向や区市町村の意見等を踏まえて、とうきょうママパパ応援事業のさらなる充実を検討してまいります。
 次に、妊婦健康診査についてであります。
 妊婦は、心身の状態の様々な変化により日常生活の負担が増えるため、その負担をできる限り軽減する必要があります。
 現在、妊婦健康診査は、区市町村が妊婦の方に受診票を交付し、都内医療機関等での健診の際に受診票を提出することで、公費負担により受診が可能となっております。
 健診手続に関する妊婦の負担軽減に向け、本人や区市町村への健診結果の通知や医療機関への支払いなど、使途や利用機関が多岐にわたる受診票の取扱いにつきまして、今後、ICTを活用した仕組みの導入など、専門家の意見を聞きながら様々な観点から研究してまいります。
 次に、一時保護所における通学についてであります。
 一時保護所では、児童一人一人の状況に応じて学べるよう、タブレット端末を配布し、学習環境の充実に取り組むとともに、在籍校と連携して行事への参加や受験対策、オンライン授業などを実施するほか、単位取得のための短期間の通学などを支援しております。
 また、安全が確保できる場合には、保護所からの通学を支援することとし、昨年度から児童相談センターの保護所において、高校生の在籍校への通学支援をモデル的に実施しております。
 今後は、より多くの保護児童が在籍校に通えるよう、通学圏を考慮して、児童養護施設や里親などの一時保護委託先を選定するなど、在籍校とも緊密に連携しながら、通学支援の充実に努めてまいります。
 次に、一時保護の受入れ先についてであります。
 都は、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を拡大してきており、昨年度は、児童相談センターの保護所を拡張したほか、新宿区が所有する施設を借り上げ、新たに開設しております。
 今年度は、立川児童相談所跡地での保護所の開設に向け、基本設計に着手いたします。
 また、児童養護施設や里親への一時保護委託に加え、婦人保護施設への保護委託の拡大に向け、関係機関との調整を迅速に進めるなど、多様な受皿を確保し、高まる一時保護需要に対応してまいります。
 次に、東京ユースヘルスケア推進事業についてであります。
 都は現在、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談支援の実施に向けて、若者の健康支援に詳しい有識者や医療関係者等と意見交換をしております。実施に当たっては、支援が必要な若者にこの取組を認識してもらうとともに、安心して利用できるものとすることが重要であります。
 そのため、こどもシンポジウムにおいて、思春期の健康や性について相談したいときをテーマに、中高生にグループ研究してもらい、それを通じて意見を聞くこととしており、今月、参加者を募集いたします。
 また、大学生等ともヘルスケアについて意見交換等を行う予定であり、こうした取組により、様々な若者の主体的な関わりの中で意見を把握し、それらを踏まえ、相談支援の開始に向けて検討を加速してまいります。
 次に、介護職員の宿舎借り上げ支援についてであります。
 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりました。
 今年度からは、本事業がより多くの事業所で活用され、人材の確保、定着が図られるよう、補助対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加えまして、在宅サービス事業所や居宅介護支援事業所にも拡大し、昨年度の二千三百四十四戸分から大幅に増加した六千八百四十七戸分を予算に計上しております。
 事業の実施に当たりましては、今回の対象拡大の内容を分かりやすく説明したリーフレットを作成し、事業所に広く周知することに加え、区市町村や事業者団体等を通じて本事業の活用を働きかけるなど、本年十一月からの申請受付に向け、一層の周知を図ってまいります。
 次に、介護職員の負担軽減についてであります。
 都は、介護職員の負担軽減や業務の効率化を図るため、介護施設、事業所に対し、ロボット技術の応用により、入浴や見守りなどを支援する次世代介護機器や介護記録の作成、情報共有のためのタブレット端末などのデジタル機器の導入経費を補助しております。
 また、実際に機器を体験できる展示スペースや専門相談窓口を設置するとともに、具体的な導入事例を紹介するセミナーや施設見学会を開催し、機器の効果的な活用や定着を支援しております。
 今年度は、次世代介護機器導入経費補助の予算規模を、昨年度の百五十事業所から百八十事業所に拡大しておりまして、より多くの介護現場でデジタル化を推進し、介護職員の業務負担の一層の軽減を図ってまいります。
 最後に、社会福祉施設等の指導検査のデジタル化についてであります。
 都は、特別養護老人ホームや保育所などの社会福祉施設等の適正な運営やサービスの質の確保を図るため、関係法令に基づく指導検査を実施しておりまして、これまでも負担軽減と検査の質の向上に向け、提出書類の精査や電子データでの作成、提出などの見直しを行ってまいりました。
 こうした取組をさらに進めるため、昨年度、デジタル技術を効果的に活用した、よりきめ細かで効率的な検査方法について、事業者の意見も聞きながら、基本構想を取りまとめております。
 来年度からの新たな業務システム導入に向け、今後、業務プロセスのさらなる改善、ウェブ会議やタブレットの導入などデジタル環境の整備、情報共有の基盤となるシステム開発などを進め、さらなる負担軽減と検査の質の向上に取り組んでまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄のセキュリティ対策についてでございますが、交通局では、痴漢等の犯罪の未然防止など、車内のセキュリティ強化を図るため、防犯カメラを車両の更新に合わせて設置してまいりました。
 今後は、更新前の車両にも設置を進め、令和六年度までに全ての車両への設置完了を目指すとともに、犯罪等の抑止効果が高まるよう、カメラ設置の広報も充実してまいります。
 また、痴漢撲滅に向けて、他の鉄道事業者等と共同でのキャンペーンに加えまして、独自の対策強化期間を設けて重点的に呼びかけを行ってまいります。
 さらに、有識者の意見も聞きながら、効果的なポスターを作成、掲示するとともに、警視庁とも連携し、防犯アプリ、Digi Policeの活用をホームページやSNS等で促すなど、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりを進めてまいります。
   〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 風水害への備えについてでございますが、東京消防庁では、浸水地域の活動力を強化するため、全地形活動車やエアボート等を備えた即応対処部隊を創設し、航空消防救助機動部隊との統合的な運用により、陸上、水上及び上空からのアプローチによる救助体制を整備いたしました。
 また、先般、関係各局、区市町村、消防団、町会等が一堂に会する合同水防訓練を三年ぶりに実施いたしましたが、事前の検討による相互理解や実動訓練の重要性について再認識したところでございます。
 これらに加えまして、今年度は、区市町村災害対策本部とのパイプ役となる災害対策調整担当課長を消防署に新たに設置し、風水害を含めた大規模災害時における対策の強化を図ることといたしました。
 今後さらに、消防活動体制の充実や、災害発生時における関係機関との連携強化を図り、風水害への対応に万全を期してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、太陽光発電の設置義務化の仕組みについてでございますが、現在検討している制度では、個人ではなく、都内に年間延べ床面積で二万平米以上の新築住宅等を供給する大手ハウスメーカー五十社程度が対象となり、年間新築棟数の約五割が該当する見込みでございます。
 事業者単位で判断するため、例えば日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向によって、多く設置したり、設置しないことができる仕組みとなってございます。
 都は、このような仕組みを都民、事業者に正しく伝えるため、環境局ホームページに専用サイトを開設し、検討状況やQ&A等を掲載し、情報提供を行ってございます。
 引き続き、制度設計を丁寧に行うとともに、都民、事業者の声に真摯に耳を傾け、今後は分かりやすい広報活動を積極的に展開し、都民、事業者の理解と共感を得てまいります。
 次に、環境に配慮された太陽光パネル推進についてでございますが、環境負荷軽減に向け、パネルの製造等の各段階で環境負荷に配慮した取組を実践することが重要でございます。
 都は、関係団体へのヒアリングにより、パネルのライフサイクルの状況把握に努めてございます。関係団体では、環境負荷低減につながる設計基準を定めたガイドラインを作成し、取組を推奨するなど、業界内での取組も進んでおり、こうした動きを発信し、後押ししてまいります。
 また、リサイクル等に関しましては、専門家による検討会で取りまとめた提言等を踏まえまして、製造やリサイクル等の事業者で構成する協議会を立ち上げ、効果的なリユース、リサイクルの仕組み等を構築してまいります。
 今後とも、パネルのライフサイクル全般での環境負荷が一層低減されるよう、関係団体と連携して取り組んでまいります。
 最後に、パーキングメーター設置エリアへの充電器設置についてでございますが、都内には都心部を中心にパーキングメーターが約一万基設置されており、こうしたエリアを活用して充電器を設置することは、ZEVの普及促進に有効と考えてございます。
 パーキングメーター設置エリアの駐車可能時間は最大六十分のため、設置には急速充電器が適してございます。
 一方、パーキングメーター設置エリアは、充電のための駐車需要が周辺交通へ影響を与えますとともに、充電器を設置する歩道では、歩行者の安全を確保するスペースが必要となるなどの課題もございます。
 都は今後、こうした課題について具体的に検証できるよう、関係機関との調整を進め、パーキングメーター設置エリアへの充電器設置の可能性について検討してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅の駐車場の空き区画の活用についてでございますが、都営住宅では、区市町の条例等に定める附置義務に基づきまして駐車場を整備しております。
 駐車場の利用状況は、令和三年度末時点で全区画数の約三五%、約一万七千区画が空き区画となっております。
 これまで都は、空き区画の有効活用のため、地域住民等への貸出しを進めるとともに、約六十団地に約四百八十区画のコインパーキングを設置してまいりました。また、カーシェアリングについて、二団地六区画で実施をしております。
 今後、こうした取組をさらに進めるとともに、他の方法につきましても、モビリティーなどの民間事業者の意見を聞きながら調査検討を行うなどにより、都民の貴重な財産の有効活用を図ってまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 八十五番谷村孝彦君
   〔八十五番谷村孝彦君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十五番(谷村孝彦君) 都議会公明党を代表し、質問します。
 二十一世紀の第三の十年に入り、人類は新型コロナによるパンデミックに遭遇し、五億人を超える人々が感染、六百万人を超える命が奪われました。コロナとの闘いが三年目となった二月二十四日、ロシアによるウクライナへの軍事侵略が勃発。戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイドまで指摘されております。
 国際社会の秩序は、今、その根幹が大きく揺るがされ、この影響はアフリカ諸国の深刻な食料危機にまで及んでおります。核兵器と世界屈指の軍隊を持つ国家による武力行使を前に、言論の力、対話の力、文化の力が、あたかも無力であるかのように感じられる報道が続いております。
 しかし、ソ連元大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏は、すぐさま声明を出しました。世界には人間の命より大切なものはなく、あろうはずもない、対話こそが解決のための唯一の手段であると。軍事力のみを信じ仰ぐロシアによる軍事侵略は、一日も早く終わらせなければなりません。
 公明党は、生命の尊厳、平和主義、人道主義という明確な理念を掲げてこの歴史的暴挙に断固抗議し、即時停戦を求めるとともに、世界平和の構築に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問に入ります。
 まず、補正予算案について質問します。
 ウクライナ危機による原油や原材料の高騰に加え、円安の進行、電力需給逼迫の懸念などが広がる中で、都議会公明党は五月、三回にわたり知事に対して、補正予算に盛り込むべき対策について緊急要望をしてまいりました。
 一方、国も総合緊急対策を策定し、公明党が強く推進した地域の実情に応じて活用できる地方創生臨時交付金が盛り込まれ、東京都にも約二百五十六億円が交付されております。
 今回の補正予算には、交付金を活用し、中小企業制度融資の拡充、生活応援商品券の実施、都立学校の給食支援、短期集中型資格取得支援、ウクライナ避難民への就労支援など、多くの事業が盛り込まれております。
 このうち生活応援商品券は、交付金が物価高や生活困窮対策を目的としたものであることや、デジタル活用に課題のある高齢者や低所得者の方々を考慮すれば、紙による発行に、より重きを置くべきであります。
 都は、プレミアム率や事業主体の区市町村への補助率について、紙とデジタルの実施に格差が生じないよう取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 コロナ禍に加え、ウクライナ危機や円安の影響により、都内事業者は厳しい状況に陥っております。
 都議会公明党は、代表質問や知事への緊急要望で、中小企業への支援を強く求め、特に、ウクライナ危機を踏まえた新たな制度融資の創設を求めるとともに、信用保証料の負担軽減だけでなく、利子補給も強く求めてまいりました。補正予算案による中小企業支援について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、コロナ禍で長期にわたり打撃を受け続けてきた観光関連事業者への支援強化も訴えてまいりました。特に団体旅行については、経済波及効果が大きいことから、感染防止に留意しつつ積極的に後押しすべきでありますが、補正予算案での取組について見解を求めます。
 また、六月から、もっとTokyoを試行的に実施する方針を示しておりますが、観光関連業界の期待は大きく、都外旅行も対象に加えて、早期に本格実施する必要があります。
 国においても、GO TOトラベルの実施が検討されており、昨年度末に国から都に配分された地方版GO TOの財源の活用も早期に明示していくべきであります。あわせて、福島県への被災地応援ツアーについても早期に再開すべきと考えます。観光需要創出に向けた知事の見解を求めます。
 次に、デジタル人材の育成についてであります。
 さきの予算特別委員会における都議会公明党の質問を受け、都は、非正規で働く方々や、出産や育児のために退職し現在働いていない女性など、多くの方々が職業訓練を受講できる取組を進めております。
 さらに、今回の補正予算案では、短期間で集中的にデジタル分野の資格を取得し、早期の再就職につなげる取組が盛り込まれました。インターネットによるeラーニングは、パソコンと通信環境があれば、どこでも受講可能であります。
 そこで、デジタルスキルを習得し、キャリアアップを図れるよう、支援を充実強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、多摩地域の雇用就業拠点について質問します。
 都は本年十月一日に、八王子市と国分寺市にある労政会館を廃止し、現在有している東京しごとセンター多摩と労働情報センターの機能を都と立川市の合同庁舎に移転します。
 これらの統合が単なる移転統合では、八王子市と国分寺市にある労政会館を廃止する意味がありません。移転統合により、従来の機能をバージョンアップさせていくことが何よりも重要と考えます。移転統合による多摩地域の雇用就業拠点の今後の機能について、都の見解を求めます。
 次に、ウクライナ避難民支援についてであります。
 都議会公明党の要望により、都は三月から避難民に都営住宅を提供し、様々な生活支援をしてきたことを高く評価します。さらに先日、都議会公明党は緊急要望を行い、その後、Wi-Fiの無償貸与がスタートし、補正予算案に、日常生活に不可欠な光熱水費等の支援経費が盛り込まれました。
 言語や風習が異なる環境の下、都営住宅で生活を始められた避難民の方々は様々な困難に直面しており、よりきめ細やかな支援が必要となっております。特に、避難民の方々には、東京での不慣れな団地生活の中で、住まい方などもよく分からず、近隣とのコミュニケーションなどに不安を感じている方もおられます。また、ウクライナは地震のリスクが低く、災害への知識も必要であります。
 都は、避難民の方同士や都営住宅及び近隣の住民の方との交流の場を設けるなど、工夫を図るとともに、都営住宅での住まい方について母国語による分かりやすい案内を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、子供政策について質問します。
 東京都こども基本条例が、昨年、都議会公明党の主導で全会派一致により可決、成立し、本年四月には子供政策連携室が新たに設置されました。
 一方、国会では、こども基本法案やこども家庭庁設置法案に関する審議が、まさに今進められているところであります。
 いわば、都の先駆的な取組が国を動かしているといっても過言ではありません。都は、子供政策連携室を核に、子供政策を着実に進めるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 四月末に設置された、知事を本部長とする子供政策総合推進本部では、ヤングケアラーや乳幼児の集団生活など、六つの推進チームを立ち上げ、都庁一丸で取り組んでいく方針が示されました。
 コロナ禍では、子供や子育て家庭の孤立が改めて課題になっております。
 例えば、支援が必要なヤングケアラーも孤立しているがゆえに周囲が気づかず、本人の声が届いていない状況にあります。孤立を防ぐには、子供や子育て世代と継続的につながる仕組みが必要であり、物理的な居場所に加えて、日常生活の中での信頼できる第三者の存在が重要であります。
 推進チームにおいても、人と人とのつながりという視点を取り入れながら、施策の具体化を図るべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、児童生徒を含むウクライナからの避難民の方も言葉の壁が問題となっております。
 都議会公明党はかねてより、日本語を母語としない児童生徒に対する日本語教育の支援を推進してまいりました。
 そこで、推進チームにおいて、日本語教育の充実、就学の促進、キャリア教育などの課題に対し、支援策を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、新型コロナのワクチン接種についてであります。
 新規感染者数は、現在減少傾向にあり、このまま感染を抑え込んでいくためには、五月から始まった四回目のワクチン接種の着実な推進が必要であります。
 一方、これまでの接種の中で、各自治体においてワクチンが余っている状況が指摘されており、大量のワクチンの期限切れが懸念されております。
 ワクチン不足により、不安が広がった時期もあったことを考えれば、貴重なワクチンは無駄なく活用する必要があります。
 都は、都内の状況を正確に把握するとともに、効果的な活用を進めていくべきであります。見解を求めます。
 四回目のワクチン接種について、国は、六十歳以上の方や基礎疾患があり重症化リスクが高いと医師が判断した人を対象に接種するとしております。しかし、これでは、接種対象者かどうかの判断に曖昧さも残ります。また、早期に接種が必要な医療従事者や介護職など、エッセンシャルワーカーの方々への接種が明確になっておりません。
 都は、接種対象者をより明確にし、また、都民生活の維持に重要な役割を果たしている方々への接種が早期に進むよう取り組むべきであります。見解を求めます。
 次いで、新型コロナ後遺症についてであります。
 都は、都議会公明党の提案を踏まえ、昨年春から後遺症の相談窓口を都立、公社病院に開設し、四月三十日までに約七千三百件の相談が寄せられました。さらに、相談窓口で蓄積したデータを東京iCDCへ提供して分析を行い、後遺症の実態把握やリーフレットの作成を進めてきました。
 一方、この症例結果から新たな問題点も浮き彫りになっております。最も多い後遺症が強い倦怠感であり、加えて、全体の六五%が息切れや頭痛、せき、嗅覚、味覚異常など、複数の症状を訴えており、それが長期化しております。また、労災保険や傷病手当の対象となり得る症状にもかかわらず、医師から、申請に必要な診断書を書けない、労災にならないとされるケースがあるとの指摘もあります。
 したがって、まず都は、東京iCDCの分析結果から、後遺症の症状と特徴、患者への公的支援などの情報を医療機関、医師、都民へ周知すべきであります。
 さらに、厚生労働省が四月に示した、診療の手引き、罹患後症状のマネジメントの活用や医師の現場経験などを参考に、医師、薬剤師等に対して治療支援や学習研修会を開催し、理解を深めるべきであります。
 その上で、都内各地域に後遺症を診察できる医療機関を配置拡充し、広く周知すべきであります。これらの対策について都の見解を求めます。
 次に、シルバーパスの一斉更新についてであります。
 都は昨年、一昨年と、高齢者の感染拡大防止のため、会場方式から郵送方式に切り替えて一斉更新を実施しました。
 これを踏まえ、都議会公明党は、本年九月の一斉更新も郵送方式で行うよう、五月二十日に知事に要望し、補正予算案に計上されたところであります。
 そこで、昨年度の郵送方式の実施状況と今年度の取組について見解を求めます。
 次に、環境施策について質問します。
 二月二十一日に、新装となった町田市の廃棄物処理施設において、リチウムイオン電池が原因と思われる火災が発生し、臭気を伴う煙が周辺に広がりました。
 国の調査では、令和二年度にリチウムイオン電池など二次電池の破損による収集車両、ごみ処理施設の火災等は九千七百三十二件に上っております。
 リチウムイオン電池は、家電量販店等の窓口回収と、自治体の不燃物収集や清掃事務所等での拠点回収などがあり、JBRCという電池メーカー等が出資する組合が引き取り、リサイクルしております。
 しかし、JBRCは製品のままでは引き取らず、自治体の拠点回収でも排出ルールが守られないなど課題が顕在化しております。
 都民に、リチウムイオン電池の危険性と安全な廃棄の方法を十分周知するとともに、電池が内蔵された製品をそのまま回収する仕組みを都が主導して構築すべきであります。知事の見解を求めます。
 続いて、電力需給逼迫とエネルギー対策についてであります。
 燃料価格の高騰に加えて、地震による火力発電所の操業停止により、真夏や真冬の電力逼迫が懸念されております。
 これに対して都議会公明党は、知事に対策の申入れを重ねてきました。
 都はまず、電力需要を減らすための、都民を巻き込んだ節電運動を大々的に行うべきであります。
 例えば、都の家庭の省エネハンドブックなどの情報を、誰もが簡易に入手し、生活に生かせる情報発信を行うとともに、節電チェックや電力の見える化を進め、都民自らが日常的に節電に取り組めるようにすべきと考えます。見解を求めます。
 家庭における省エネ家電への切替えをより一層促すためには、ゼロエミポイントの対象拡大が必要であります。また、LED照明の補助制度創設が必要と考えます。今後の取組について見解を求めます。
 建物の省エネ対策では、費用対効果の高い窓の断熱が有効であります。今後、都営住宅の建て替え時においてもペアガラスを標準化するなど、断熱性能を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 また、共用部電灯のLED化も省エネ効果が高く、電気代の大幅削減や交換頻度の減少にもつながります。今年度計画している既存住棟へのLED化を確実に完了させるとともに、今後は、目標としている全住棟への設置完了時期を早めるべきと考えますが、見解を求めます。
 再生可能エネルギーで発電した電力を買い取る固定価格買取り制度、FITに伴って発生する発電賦課金も家計を圧迫しております。この賦課金は、FITによって買取りに要する費用を国民全員の電気料金に上乗せする形で、電力会社から全国一律に請求されております。
 二〇一二年のスタート時には、一月三百キロワットアワーを使用する標準家庭で月額六十六円でしたが、今年度は千三十五円と約十五倍に上昇しております。再生可能エネルギーは推進すべきではありますが、これでは、再エネが拡大されればされるほど賦課金が増えることになります。
 また、太陽光発電等を所有していなければ電気を売ることもできず、それでもひとしく賦課金を課せられる現在の制度は不公平感を生む側面があります。
 将来的には、FITによらなくても自家消費の再エネが拡大することによって電力市場の競争に打ち勝つようにする必要があると考えます。知事の見解を求めます。
 次いで、太陽光発電設置義務化についてであります。
 五月二十四日の環境審議会で中間答申がまとまり、二千平米未満の建物には住宅メーカーなど、施工業者に義務が課せられることになりました。ただし、小規模工務店などへの配慮から、年間施工実績が二万平米未満の施工業者は対象外であります。
 都民からは、住宅価格に設置費用が上乗せされてしまえば、発注者である都民への義務化と変わらないとの指摘が出ております。
 また、環境公社による東京ソーラー屋根台帳のデータから、日照条件を考慮して、八五%程度の建物が義務対象になりますが、都心の住宅密集地域と郊外では日照条件に差があるため、発電効果に差が生じます。
 さらには、敷地面積や建蔽率など、地域事情によっては発電量が十分確保できる太陽光パネルが設置できないことも想定されます。
 そこで、建築する地域の環境、住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮して、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて納得と理解を得るべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、外堀浄化についてであります。
 竹谷とし子参議院議員を座長とする公明党東京都本部の水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチームは、玉川上水上流から外堀、日本橋川を経て隅田川に至る、水と緑あふれる豊かな都市東京の実現に取り組んでおります。
 そして、都議会公明党は、外堀の水質浄化を都議会で繰り返し取り上げ、河川水の導水による清流復活を提案し、玉川上水や荒川の活用を促してまいりました。
 そこで、先日公表された基本計画を踏まえ、人々が憩う外堀の水辺再生を早急に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、食品ロス削減についてであります。
 都は、都議会公明党の提案を受け、未利用食品の有効活用のため、防災備蓄品とフードバンクをマッチングするシステムの構築を進めてきました。さらに、食品ロス削減のための取組として、家庭からの未利用食品を寄附して有効活用するフードドライブを都内各地で行うべきであります。その際、集められた食品の一時保管場所として、フードバンクの倉庫設置などの支援も必要と考えます。
 都有の施設や区市町村でフードドライブの窓口設置を図り、未利用食品を有効活用することにより、一層、食品ロス削減へ向けて取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、都立学校においては、賞味期限が切れてしまった防災備蓄食料品がいまだに廃棄処分されております。令和四年度の都教育委員会の防災備蓄食料品の購入予算額は、約一億円になっております。
 都教育委員会は、こうした廃棄処分の在り方を急ぎ改善すべきであります。見解を求めます。
 次に、首都直下地震等による被害想定について質問します。
 都は、五月二十五日、首都直下地震の新たな被害想定を十年ぶりに見直し、公表しました。
 今回の見直しは、最新のデータや科学的な裏づけに基づき、直近の中央防災会議報告を踏まえ策定されたものであります。
 定量評価が可能な事項は限られるため、定性評価による記述を充実させ、被害の様相を詳細に表現したのが今回の特徴であり、時系列に沿った想定も記載されております。
 具体的には、今回初めて、集合住宅においては、水道供給が再開しても、排水管等の修理が終了するまで一か月以上もかかり、トイレが使えないことが明記されました。
 さらに、通信環境については、携帯電話の音声通信もパケット通信も利用困難な状況が、発災直後から一か月後まで続く可能性があることが示されております。十年前と比べ、固定電話も半分に減っており、通信手段の確保についても課題があることが示されました。
 こういった被害想定を踏まえて、被害の見える化を図り、都民に分かりやすく伝えるとともに、今後策定する東京都地域防災計画の修正に反映させていくべきであります。知事の見解を求めます。
 地域防災計画の改定に当たっては、あらゆる想定外を排さなければなりません。データを十分分析し、望ましい防災対策の姿を見定めた上で、その到達に向け、都庁各局の、そして各局の連携の取組を導き直す必要があります。
 知事が先般表明した副知事をトップとする新たな防災の推進組織は、まずは今回の地域防災計画と深く連携し、具体的な成果を示すべきであります。さらに、令和四年度内に都市強靱化に向けた検討内容の公表を行うべきであります。
 加えて、公表後もその具体的な進捗をしっかりと監督し、推進を図るべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、都営住宅についてであります。
 都営住宅の自治会では、活動をしたくても担い手が不足し、居住者間の近隣トラブルなどを自治会が独自に解決していくことが困難になってきております。
 今年の予算特別委員会の都議会公明党の提案に応え、都は、令和四年度から自治会専用ダイヤルの設置や、団地内の居住者間トラブル等に関する無料の弁護士相談を実施すると答弁しました。
 そこで、都は、都営住宅、都民住宅において相談専用ダイヤルの設置や、弁護士の法律相談を早期に実施すべきと考えますが、見解を求めます。また、今後、公社住宅についても同様の取組を実施することを強く求めておきます。
 水道局は、都営住宅の建て替えに合わせ、スマートメーターやスマートフォンアプリの導入を進めております。
 都議会公明党は、これを高齢者等の安否確認に活用するよう要望してまいりました。十月から自動検針が開始され、スマホアプリが稼働しますが、その機能と活用について見解を求めます。
 また、見守りが必要な方々には、身寄りのない高齢者等も多く、アプリを通じた見守りには工夫と配慮が必要であります。
 そこで、高齢者等への見守り機能の活用については、区市町村や事業者等と連携を図っていくべきと考えますが、併せて都の見解を求めます。
 次に、社会的弱者への支援について質問します。
 日常生活のあらゆる分野でデジタル化が進み、デジタルに不慣れな高齢者がワクチン接種予約などに困難を来すなど、行政サービスを受けにくくなっている状況があります。また、デジタルを利用することに不安を感じ、利用をためらう方もおられます。
 そこで、高齢者が活用できるよう、より一層支援する必要があります。スマホ教室、相談会の開催や、スマホサポーター事業など、デジタルデバイド対策を早期に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 障害者の方が交通機関を利用する際、障害者手帳等を提示すれば、介護者の運賃が半額になります。また、本人がシルバーパスを使用し、都営交通を利用する場合には、障害者手帳と併用することで、本人は全額、介護者はこれまでどおり半額割引となります。
 しかし、近年、都内の民間バス事業者の場合、シルバーパスと障害者手帳等の併用が認められず、シルバーパスを使用した場合、本人負担はありませんが、介護者の運賃は全額負担を求められるケースが増えております。
 そこで、都は、障害のある高齢者の方がシルバーパスを使用する際、必要とする介護者のバス運賃割引と併用できるよう取り組むべきであります。見解を求めます。
 少子高齢社会において、介護、看護、助産等の訪問事業は必要不可欠であり、業務も訪問先が広範囲にわたるなど、多忙を極めております。
 しかし、事業で利用する車両の駐車許可申請は、管轄する警察署ごとに手続を行う必要があるため、事業者の負担が大きくなっております。
 都議会公明党は、申請手続の負担を軽減するため、これまで警視庁に対し、申請手続を一つの警察署で済むよう対応を求めてまいりました。警視庁の現在の取組について、警視総監の見解を求めます。
 コロナ禍において、企業はテレワークの取組を進めておりますが、通勤の負担などが大きい障害者の方にとっても、テレワークは必要性が増しております。
 しかし、都内では、こうした在宅就労支援体制が十分に取られておらず、就労支援施設での障害者特性に応じた十分な訓練が必要であります。
 そこで、障害の有無に関係なくテレワークが進むよう、都は障害者就労を支援する機関に専門家の派遣や研修を行うなど、障害者の方の在宅就労への支援に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 また、重度障害者が分身ロボットを自宅から遠隔操作してカフェで接客するなど、ITが雇用の新しい道を開こうとしております。
 しかし、常時介護が必要な重度障害者の方は、在宅就労中に重度訪問介護が使えず、就労を困難としている課題もあります。
 これに対し、都は、国の助成制度を活用し、区市町村と費用を負担して、雇用と福祉の連携による就労支援を行っておりますが、現時点では、一区だけにとどまっているのが現状であります。
 今後、区市町村へのさらなる制度周知を図るなど、重度障害者の就労支援を拡大させていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、スポーツ振興について質問します。
 昨年開催された東京二〇二〇大会の機運を生かして、都は、スポーツフィールド東京の実現を目指すとしておりますが、する、見る、支えるのそれぞれの取組を整え、スポーツを都民生活に広く根づかせていくことが重要であります。
 そのために都は、情報の発信の強化、スポーツの機会や施設の増強、支える人材の拡大に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 競技会場で、生のスポーツを目の前で観戦し、応援することは、迫力や熱気を直接体感することができます。東京二〇二〇大会では、パラスポーツに関心が集まりました。
 都議会公明党は、スポーツの国際大会、とりわけパラスポーツの大会がレガシーとして、東京で多く開催されるよう訴えてまいりました。
 このたび、二〇二三年の車椅子ラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップの東京開催が決定しましたが、今後も国際大会が東京で開催されるよう取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 また、二〇二五年の世界陸上の東京誘致では、東京二〇二〇大会の準備で得られた知見やノウハウを生かし、国際的にも評価されたボランティアが再び活躍できるなどの優位性に期待が集まるものと考えます。都の取組について、知事の見解を求めます。
 都議会公明党は、デフリンピックの東京での開催に向けた取組を加速するため、ブラジル大会の状況を把握することを繰り返し都に求めてまいりました。
 今般、ブラジルで開催された実際の大会を通じて得た情報や経験を生かし、デフリンピック開催に向けて検討を本格化させ、国や関係機関に対して、都から積極的に応援を呼びかけていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次いで、スポーツを通じた被災地支援についてであります。
 先月、都議会公明党は、今年初めて福島のJヴィレッジで開催された東京国際ユースサッカー大会を視察しました。美しい天然芝のフィールドで東京と被災地の子供たちが伸び伸びとサッカー競技を行う姿は、これまでつないできた絆をより深く感じさせるものでもありました。
 今後、都は、被災地の要望を確認しつつ、どこまでも寄り添いながら、スポーツを通じた被災地支援に取り組むべきであります。見解を求めます。
 都議会公明党は、令和三年の第四回定例会の代表質問において、コロナ禍で運動の機会が減った働き盛り世代を対象に、職場や通勤途中のターミナル駅近くなどの場所を活用して、スポーツを楽しむ機会の提供を求めました。
 働き盛り世代のスポーツ振興は、介護や医療などの社会保障費用の抑制だけでなく、労働や社会貢献に取り組む意欲の増進にもつながります。
 今後、都は、スポーツ振興に取り組む民間の力なども活用し、様々な働き方やライフスタイルの違いに応じて、スポーツを楽しむ機会を積極的に提供することにより、スポーツ実施率の向上を図り、健康増進を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、東京空襲について質問します。
 昭和二十年三月十日、夜間の大空襲により、一夜にして十万人ともいわれる方が尊い命を落とし、罹災者は百万人以上といわれております。
 都は、三月十日を東京都平和の日と定め、東京空襲資料展を毎年実施してきました。しかし、資料展の開催を知らない都民も多く、史実の風化が懸念されます。
 そこで、空襲の記憶と記録をしっかりと継承していくために、東京都平和の日の周知を含め、東京空襲資料展の広報を強化充実させるとともに、規模を拡大していくべきと考えますが、見解を求めます。
 また、都が保有している東京空襲に関する証言映像をデジタル化し、保存することが、先日の平和の日記念行事企画検討委員会で示されました。空襲体験の語り部が少なくなっている中、今後様々な形で活用していくことが必要であります。
 制作から二十年以上経過していることも踏まえ、貴重な証言映像の公開の仕方を検討していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、交通政策の取組として、新空港線、いわゆる蒲蒲線の整備推進を繰り返し主張してまいりました。整備を進める上での課題について、昨日、東京都と大田区が合意に至り、整備に向けて前進することになったことを歓迎するものであります。
 今後、本事業を特別区都市計画交付金の対象とする調整や、空港アクセスの利便性向上に資する整備などについて、協議、調整を行うとしておりますが、早期実現に向けて、さらに迅速な取組を進めていくべきであります。合意に至った経緯とその内容、実現に向けた今後のプロセスについて、見解を求めます。
 次に、痴漢対策について質問します。
 第一回定例会代表質問及び予算特別委員会において、都議会公明党は、痴漢対策のために、都営地下鉄の女性専用車両の導入拡大を求め、都からは、まずは大江戸線を対象に検討を進めていくとの答弁がありました。その際にも指摘しましたが、社会全体で痴漢撲滅の機運を高めていくべきであります。
 交通局においても、女性専用車両の導入拡大に加え、鉄道事業者として、痴漢撲滅に向けて様々な観点から取組を進める必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、HPVワクチン接種についてであります。
 子宮頸がん罹患の原因とされるHPVの感染を予防するHPVワクチンの積極的勧奨が、本年四月に再開されました。平成二十五年に積極的勧奨が控えられてから九年ぶりとなりますが、昨年、厚生労働省の専門部会で、安全性について特段の懸念が認められない、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると判断されたことから、正式に再開となりました。
 今回の接種再開に当たっては、過去の経緯も十分に踏まえた対応が必要であると考えます。
 具体的には、接種勧奨を差し控えていた時期に接種機会を逃した方に対するキャッチアップ接種の周知や、接種対象者等に対し、接種の判断材料とするための必要な情報の提供、また、接種後の体調の変化等に対する相談や医療提供を行う体制を充実していくべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、不妊治療について質問します。
 公明党は二〇〇〇年に不妊治療の保険適用を求める署名運動を全国で行い、約五十五万人のお声を政府に届け、二〇〇四年に助成制度が創設されました。そして、今年四月からは、ようやく人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療が保険適用となりました。
 一方で、保険適用外の治療を選択される方も一定数おり、支援が求められております。
 今回、有効性や安全性が確認された治療のみが保険適用となっておりますが、保険適用にならなかった治療のうち、国が認めた先進医療については、保険診療との併用が可能となっております。しかし、その費用は高額で全額自己負担となっております。
 そこで、保険適用の効果、課題について実態調査を行うとともに、先進医療については、助成の検討をしていくべきと考えますが、都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 東京都生活応援事業についてのご質問です。
 原油や資源価格の高騰、円安の進行によりまして、電気、ガス料金や様々な生活必需品が値上がりをして、都民の生活を圧迫しております。
 こうした状況を踏まえまして、地方創生臨時交付金を活用して、都民生活を守る目的で、キャッシュレスによるポイント還元やプレミアム付商品券などの取組を行う区市町村を支援してまいります。
 実施に当たりましては、プレミアム率の上限を、デジタルのみの場合と紙併用の場合、いずれも三〇%として、補助率については、それぞれ四分の三、三分の二とすることで、区市町村の工夫を凝らした取組を後押ししてまいります。
 様々な厳しい状況に直面する都民の暮らしを区市町村と連携してサポートして、一人一人の明日の活力へとつなげてまいります。
 次に、中小企業に対する支援についてであります。
 コロナ禍にウクライナ情勢や円安が加わって、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした状況の中で、金融と経営の両面からより効果的な支援を行うことは重要です。
 中小企業の経営環境を取り巻く様々な状況を踏まえ、その資金繰りを支える制度融資の見直しを図りまして、新しいメニューを創設いたします。
 これにより、信用保証料の補助を充実するとともに、当初一年間に生じる利子の二分の一に助成を行うほか、借入金の返済は最長五年間据え置くことができる仕組みといたします。
 また、原油価格高騰の影響が長引く中、固定費の削減に加えまして、新たにエネルギーコストを減らす工夫や機器の導入に取り組む中小企業を支援いたします。
 さらに、円安等による生産コストの上昇を踏まえまして、国産品の利用を促すほか、下請取引において適切な価格転嫁ができるよう支援を充実いたします。輸出を効果的に進めることができますよう、その手続のサポートや貿易保険の活用を後押しいたします。
 こうした支援によりまして、都内経済を支える中小企業の経営をしっかりと後押ししてまいります。
 観光需要の創出についてのお尋ねです。
 長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続いてまいりました。現在、感染症のリバウンドを警戒する期間は終わって、基本的な感染防止対策を徹底しながら、観光の再開に向けた一歩を踏み出す時期となっております。
 感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るため、ワクチンの接種をより一層促進することは重要でございます。接種を終えた都民の方などが都内の身近な地域を観光できるよう、もっとTokyoで少しずつ後押しを進める。
 もっとTokyoは、ワクチンの三回目接種を受けた都民の方などを対象にトライアルで実施をするものであります。
 この取組の成果を踏まえまして、これからの感染状況を見ながら、GO TOトラベル事業が開始となった際には、都外の自治体と協力して本格的な観光振興に結びつけてまいります。
 被災地応援ツアーにつきましても、全国の観光振興と足並みをそろえる中で展開をしてまいります。
 次に、子供政策の推進についてのご質問です。
 時代を切り開き、この先の未来を担う子供を大切に育む。子供の権利を守り、誰一人取り残すことなく、全ての子供の健やかな成長を社会全体で後押ししていかなければなりません。
 そのため、四月に子供政策連携室を新設いたしまして、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築いたしました。
 子供や子育て家庭が直面する複雑化する課題に対しまして、分野横断的な視点から新たな施策を具体化いたします。
 また、国内外の先進事例の調査研究や課題抽出等を通じまして、既存の枠組みや政策分野の垣根を超えた先進的な取組に挑戦してまいります。
 国では現在、こども基本法案とこども家庭庁設置法案が審議されているところであります。
 今後、国とも連携し、子供政策連携室を核に、都庁の総力を挙げまして、実効性ある政策を機動的に推進してまいります。
 同じく子供政策についてでありますが、子供政策を進める上での視点についてのお尋ねであります。
 コロナ禍におきまして、対面だけではなく、非対面でのコミュニケーションが定着する中で、人と人とのつながりの重要性が再認識されております。
 いかなる状況にありましても、全ての子供、子育て家庭が、様々なつながりの中で、自分らしく生活することができる包摂的な社会を実現していかなければなりません。
 こうした強い思いを持って、子供政策総合推進本部の下に、組織横断で取り組む六つの推進チームを立ち上げまして、人と人とのつながりを重視いたしました新たな施策や支援の枠組みを構築してまいります。
 例えば、ネウボラ的仕組みの検討に当たりましても、人と人とのつながりを紡ぎ出していくことが極めて重要であり、新しい時代にふさわしい、リアルとバーチャル双方の視点を取り入れた東京ならではのシステムを創出してまいります。
 こうした取組を通じて、全ての子供の笑顔を育むチルドレンファーストの社会を実現してまいります。
 リチウムイオン電池の回収等についてのご質問でございます。
 希少金属を含む製品等のリサイクル促進は、資源の乏しい我が国におきまして極めて重要です。
 現在、こうした取組を行う市区町村の清掃リサイクルの現場におきましては、リチウムイオン電池やこれを内蔵する製品の破損に起因する火災が多発しており、その対策は急務でございます。
 その要因としては、排出方法が分かりにくいことや回収拠点が少ないことから、他のごみと一緒に廃棄されることなどがございます。
 このため、今後、都は、市区町村と連携をいたしまして、より身近な場所で電池内蔵製品等を回収するなど、収集時などの安全性も確保できるルートを確立いたします。あわせて、分別の重要性等の周知徹底を図りながら、この拡大に取り組んでまいります。
 また、パラジウムなどを多く含みますパソコン等のリサイクルを促すレアメタル緊急回収プロジェクトにおきましても、電池内蔵製品等の回収を進めます。
 こうした、住民の利便性を高める取組を展開し、より安全で持続可能な資源利用を推進してまいります。
 再生可能エネルギーの自家消費の拡大についてであります。
 エネルギーの大消費地である都は、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、また、災害時等のレジリエンス強化の観点からも、再エネの地産地消を最大限進める必要がございます。
 このため、都は、発電した電力をその場で活用できるよう、民間事業者などが都内外に導入する自家消費型再エネ設備などや、家庭への蓄電池の導入に対する支援に取り組んでまいります。
 また、電力需給逼迫への備えとして、再エネ設備への支援拡充に合わせ、蓄電池の単独設置への支援や容量上限の引上げ等の拡充を図るとともに、EVやビークル・ツー・ホームへの支援策も強化をいたします。
 こうした取組によりまして、将来的にはFIT制度に頼らずとも再エネの導入を拡大することができます。
 今後とも、再エネの地産地消を進めて、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化についてのお尋ねでございます。
 今後の新築建物は、二〇五〇年時点で過半数を占める見込みでありまして、将来の東京の姿を規定することを意味いたしますので、新築建物のゼロエミッション化は急務でございます。
 制度の検討に当たりましては、日照条件の差異や都内の太陽光発電設備の設置実態等、地域特性に配慮した仕組みとすることが重要であります。
 審議会では、事業者への義務につきまして、日照条件に応じた地域ごとの設置率を定めること、また、建物一律ではなく、事業者が敷地の特性や個人の意向等を考慮できる仕組みにすべきと示されたところであります。
 今後は、答申を踏まえまして、個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、具体的な義務量や対象となる建物の基準、太陽熱や地中熱利用等による履行方法などにつきまして、さらに具体的な検討を進めてまいります。
 こうした検討を丁寧に行うと同時に、分かりやすく効果的な情報発信を行うことで、都民や事業者の理解と共感を得てまいります。
 次に、被害想定の見える化と地域防災計画の修正についてのご質問であります。
 東京の防災力を強化するためには、都民の防災意識の向上と実効性ある防災対策が欠かせません。
 そのため、今回の被害想定では、ご自宅や避難所など発災時に身の回りで起こり得る被害の様相をタイムラインに沿ってお示しいたしました。
 今後は、地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを見える化したデジタルマップを作成いたします。
 また、災害を我が事として認識し、備えにつなげられるよう、世帯構成や居住環境等に応じた発災後のリスクを分かりやすく伝えてまいります。
 地域防災計画の改定に当たりましては、長期にわたるエレベーターやトイレの利用停止といったマンション特有のリスクなど、新たに顕在化した課題にも対応できるように、区市町村や関係機関と共に対策を検討してまいります。
 こうした取組によりまして、実効性ある施策を構築し、東京の災害対応力の強化に取り組んでまいります。
 都市機能の強靱化についてでありますが、気候変動の影響により頻発化、激甚化する風水害、いつ起きてもおかしくない首都直下地震や火山噴火、未知の感染症など、様々な脅威から都民の命と暮らしを守る対策の強化は待ったなしであります。
 こうした危機感の下、ハード面の備えをさらに強化するとともに、ソフト対策も含めた実効性ある対策を講じるなど、災害への備えをアップグレードし、都市強靱化プロジェクトとして具体的な施策を年度内に取りまとめてまいります。
 今後、客観的データに基づく様々な検証を通じまして、災害に強い都市のあるべき姿を示し、それを実現するための政策を練り上げ、「未来の東京」戦略はもとより、地域防災計画をはじめとする関連計画や方針にも的確に反映してまいります。
 計画は、策定して終わりではありません。実行し、確実に成果を上げることこそが重要でございます。本プロジェクトを推進力として、スピード感を持って対策を進め、強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、世界陸上における東京二〇二〇大会の知見やノウハウの活用についてのお尋ねがございました。
 東京二〇二〇大会は、史上初となる一年の延期、無観客での開催となりましたが、関係者と緊密に連携するとともに、都民、国民のご協力を得て、安全に開催することができました。
 世界陸上は、二百を超える国、地域が参加する世界最高峰のスポーツの祭典であります。
 このような大規模な国際スポーツ大会では、競技会場の運営や選手、観客の輸送、ボランティアの参画など、東京二〇二〇大会で蓄積された経験やノウハウを十分に生かしていくことが重要であります。
 先月の下旬、ワールドアスレティックスの評価パネルが来日した際には、東京側から、コロナ禍での大会開催という困難を乗り越えた東京の運営能力などを丁寧に説明をいたしました。
 今後の国際大会におきまして、東京二〇二〇大会で得た成果を生かして、スポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。
 次に、デフリンピックについてであります。
 デフリンピックは、選手が躍動する姿を通じて、ろう者やろう文化について理解する機会となります。ろう者自身が運営する国際大会を聞こえる人と一緒につくり上げられることになりますと、バリアのない社会実現のきっかけとなります。
 ブラジルにおけるデフリンピックの現地調査におきましては、開催都市の実情に合わせた施設の整備や簡素な運営、手話や視覚情報などによる情報保障、情報発信拠点でのろう学校の生徒の絵画展示など、大会の実態や運営状況を確認することができました。調査結果を今後の検討に活用してまいります。
 東京での開催に当たりましては、国の財政支援をはじめ、競技団体との連携など、様々な関係者の協力が不可欠でございます。
 今後は、都といたしましても、招致主体である全日本ろうあ連盟を積極的に応援をして、関係者との連携を深めてまいります。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁といたします。
   〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 訪問介護等の事業車両に対する駐車許可申請手続についてでありますが、警視庁では、訪問介護等の社会的な重要性やその業務の実情に鑑みまして、申請者の負担軽減を図るため、このたび、申請手続の簡素合理化を行ったところであります。
 具体的には、これまで訪問先が複数の警察署の管轄区域に及ぶ場合には、それぞれの警察署に申請しなければならなかったところ、今回の簡素合理化によりまして、関係する一の警察署で申請を受理することができるようにしたほか、駐車許可時間に幅を持たせるなどの見直しを行いました。
 警視庁といたしましては、新たな駐車許可事務の運用を通じて、申請者の負担軽減と良好な駐車秩序の確立にさらに努めてまいります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 都立学校の非常災害用備蓄食料についてでございますが、都立学校で保管されているアルファ化米やクラッカー等の備蓄食料につきましては、食品ロスの観点から、可能な限り有効活用を図ることが重要でございます。
 現在、都立学校においては、賞味期限が迫った備蓄食料について、防災訓練での活用やNPO団体への提供などの取組を行っておりますが、一部にとどまっており、そのほかは全て廃棄しております。
 今後、こうした取扱いを早急に見直し、備蓄食料を有効に活用するための具体的な方策の検討を進め、適切な管理、運用を行ってまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 団体旅行の安全・安心の確保についてでございますが、コロナ禍で利用が減った団体の旅行を伸ばしていく上で、ツアーにおける感染防止対策を徹底して、観光客の安全・安心の確保を図ることは重要でございます。
 このため、都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、感染防止対策を行う際に専門家が助言する支援を拡充いたします。
 また、観光客同士が密になることのないよう、観光バスの台数を増やす際に必要な経費の最大五分の四を十二万円まで助成するほか、追加の添乗員に要する経費も助成いたします。
 さらに、旅行業者が宿泊施設に持ち込む非接触型の体温計や消毒液の噴霧器等を購入する際に必要な経費に助成を行います。
 こうした取組によりまして、旅行者が安心して団体旅行を行う環境の整備を後押ししてまいります。
 次に、デジタル人材の育成についてでございますが、将来の成長が見込まれるデジタル分野の担い手を増やす上で、非正規雇用の方や女性など、受講者の状況を踏まえて職業訓練をきめ細かく行うことが効果的でございます。
 デジタル分野の訓練を非正規雇用の方がeラーニングで受ける場合、習得の度合いに応じて、講師がリモートで個別のサポートを行うことといたします。
 また、デジタル関係の資格の取得を目指す訓練では、eラーニングで学習をした後、試験の直前に対面で集中的に講義を行い、確実に成果が上がる仕組みといたします。
 さらに、女性がデジタル技術を学ぶ訓練では、少人数のクラスに複数の講師を配置して、丁寧な指導を行います。
 こうした取組によりまして、デジタル人材の育成を着実に進めてまいります。
 最後に、多摩地域の雇用就業支援拠点についてでございますが、都は、多摩のしごとセンターと労働相談情報センターの機能を立川に移転し、新たな支援拠点を設け、求職者や労働者に対するきめ細かなサポートを展開してまいります。
 新たな拠点では、同じ建物に入るハローワークと協力し、女性や非正規雇用の方など様々な求職者向けにセミナーやマッチング支援を行うほか、就業者への労働相談も実施するなど、ワンストップで対応を行います。
 また、土曜日も相談業務を行うほか、リモートで市役所等からも利用できる仕組みといたします。
 さらに、社会人経験の少ない方などに対し、職場実習を含む就業に向けたプログラムを提供するなど、サポートの充実を図ります。
 こうした取組によりまして、多摩地域における雇用就労支援の強化に取り組んでまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ウクライナから避難された方々への生活支援でございますが、都営住宅における避難民の方が、地域に溶け込み、安心して暮らすためには、団地居住者や近隣住民との良好なコミュニケーションの下で、日本での暮らし方等を理解できるよう支援していくことが必要でございます。
 このため、都では、海外との文化交流に知見を持つ団体等と連携しまして、都営住宅の集会所等で東京みんなでサロンを開催し、地域での交流の機会を提供してまいります。
 また、都営住宅の住まい方の留意点や自治会活動等に加えまして、地震の経験が少ない避難民の方に役立つ日頃の備えなども記載した「住まいのしおり」のウクライナ語及びロシア語版を新たに作成し、配布いたします。
 今後も、避難民の方が抱える生活上の不安などを丁寧に聞き取り、暮らしに寄り添った支援を行ってまいります。
 次に、都営住宅の断熱性能の向上についてでございますが、脱炭素化に加えまして、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。
 これまで都は、国の公営住宅等整備基準に基づき、いわゆる住宅の品質確保法で定める断熱等性能等級におきまして、最上位の等級四の基準を満たす仕様で都営住宅の建て替えを実施してまいりました。
 令和四年四月に国の整備基準が改正されたことも踏まえまして、今後、都営住宅の基準設計を見直し、複層ガラスの窓の採用や壁の断熱材の増強などにより、断熱性能をこれまでより約三割高いゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEH水準に引き上げてまいります。
 都営住宅におけるこうした率先的な取組によりまして、住宅の脱炭素化を推進してまいります。
 次に、都営住宅の共用部照明のLED化についてでございますが、脱炭素社会実現に向けまして、都営住宅におきましても、省エネ性能が高いLED照明の設置を推進することが重要でございます。
 このため、都は、令和十二年度末の設置完了に向け、建て替え工事では平成二十七年度から、既存住棟の改修では平成二十九年度から共用部照明のLED化を進めております。
 現在、世界的な半導体不足に伴いまして、照明器具の生産、納入の遅れが懸念されていることから、今年度は改修工事の発注時期の前倒しにより照明器具の確保を図り、計画戸数約二万戸の既存住棟に着実に設置してまいります。
 今後、改修工事内容の簡素化によるコスト低減などを行いまして、全体計画の前倒しを図り、都営住宅における共用部照明のLED化の早期完了を目指してまいります。
 最後に、都営住宅等の自治会支援についてでございますが、都営住宅等では、居住者の高齢化や居住者間のトラブルの増加等により、自治会役員等が対応に苦慮することが多く、自治会の円滑な運営を支援する取組が必要でございます。
 このため、都は、自治会専用ダイヤルを本年八月に開設し、東京都住宅供給公社の十六の窓口センターごとに受付体制を整え、相談に迅速かつ丁寧に対応できるようにいたします。
 また、自治会向けの無料の法律相談を本年九月から開始いたしまして、東京都住宅供給公社が委託した弁護士に、自治会役員等が電話で直接相談できる体制を整えます。まずは、月に一度、法律相談日を設けまして、利用状況等に応じて、その後の展開を検討してまいります。
 こうした取組につきまして、事前に案内のチラシを全自治会へ配布し、きめ細かく周知を図ってまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 日本語を母語としない児童生徒への支援についてでございますが、日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、不就学や学校への適応、居場所の確保、進路、就労といった様々な問題への早急な対応が求められております。
 こうした分野横断的な課題に対しまして、子供政策連携室が核となり、関係局から成るチームを立ち上げ、現在の取組の共有や児童生徒を取り巻く課題の洗い出しを開始いたしました。
 今後、NPO団体、有識者などとの意見交換や国内外の先進事例調査等を行いまして、学校や地域といった既存の枠組みにとらわれない取組を幅広く検討してまいります。
 これらを通じまして、日本語を母語としない児童生徒が活躍できる社会の実現に全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワクチンの活用についてでございますが、都はこれまで、ワクチンを有効期限の短いものから使用するよう区市町村等に周知するとともに、区市町村間の融通調整を行うなど、有効活用を図ってまいりました。
 また、ワクチンの保有状況や接種の進捗、予約状況などを踏まえ、区市町村ごとに供給調整を行っておりまして、今後も区市町村の状況把握に努め、可能な限り余剰ワクチンが生じることのないよう調整してまいります。
 引き続き、区市町村と連携しながら、若者世代を中心に三回目接種を促進するとともに、四回目接種を着実に進め、ワクチンを有効活用してまいります。
 次に、ワクチンの四回目接種についてでございますが、都は、重症化リスクの高い方に確実に接種を受けていただくため、混乱が生じないよう、基礎疾患を有する者等の判断基準等の明確化を国に求めております。
 また、医療機関や薬局等と連携し、接種対象となる基礎疾患の範囲を掲示するほか、かかりつけ医を通じて声がけを行うなど、区市町村とも協力し、対象者への確実な周知に努めております。
 一方、医療従事者や介護従事者等は接種対象とされておらず、関係団体からは、医療、介護従事者への四回目接種を検討してほしいとの声が上がっております。
 このため、国に対し、専門家の科学的知見を十分得て、医療従事者や介護従事者等を接種対象に加えるよう要望しており、引き続き、四回目接種の促進に向け、必要な取組を進めてまいります。
 次に、新型コロナ感染症の後遺症対策の三点についてでございます。
 都は、都立、公社病院に後遺症の相談窓口を設置し、症状に応じて医療機関の受診につなげるとともに、相談内容に沿って、生活全般や教育等の各種相談窓口を紹介しております。
 また、東京iCDCでは、オミクロン株も含めた相談データやデルタ株以前の症例を分析し、その結果を公表するとともに、医療機関等へ周知をしております。
 今後、オミクロン株の陽性者の後遺症についても症例のデータを分析し、その内容を速やかに発信するとともに、労災保険などの公的支援の情報につきましても、医療機関や都民等に広く周知していくことで、後遺症に悩む方を適切に支援してまいります。
 次に、医療従事者等の後遺症への理解促進についてでございますが、後遺症に悩む都民が身近な医療機関で適切な医療を受けられるようにするためには、より多くの医療従事者に後遺症への理解を深めていただくことが重要でございます。
 このため、都は、東京iCDCがこれまで公表した後遺症の症例データや相談分析の結果を都内の医療機関に提供するとともに、後遺症の診療の参考とするため、国が発行した罹患後症状のマネジメントを東京都医師会と連携して都内の病院や診療所に周知したほか、保健所にも情報提供をしております。
 今後、東京iCDCにおきまして、後遺症治療に当たっている医師等によるセミナーの開催を検討するなど、医療従事者等の後遺症への理解促進に向けた取組を進めてまいります。
 次に、後遺症に対応可能な医療機関についてでございますが、都はこれまで、後遺症に対応可能な医療機関の情報を提供するため、約四千か所の診療・検査医療機関に対し、後遺症の診療に関する調査を行い、対応可能な三百十九か所の医療機関情報を都立、公社病院の相談窓口等で活用をしてまいりました。
 今後、後遺症の診療が可能な医療機関のさらなる増加に向けまして、医療従事者等の後遺症に関する理解促進を深めるとともに、都内の医療機関に対し、後遺症への対応の可否等に関する調査を幅広く行いまして、その結果を公表できるよう、医療機関へ丁寧に働きかけてまいります。
 最後に、HPVワクチンの積極的勧奨再開についてでございますが、都は、接種対象者が安心して接種を受けられるよう、ワクチン接種の効果とリスクや接種後の体調に関する相談窓口、積極的勧奨の差し控え期間中に機会を逃した方へのキャッチアップ接種等につきまして、本年三月からホームページで情報発信をしております。
 また、主な対象が学校に通う若い世代の方であるため、接種後の症状や通学、学習など学校生活に関する相談にも対応できるよう、教育庁や生活文化スポーツ局と連携し、相談体制を整えております。
 今後、ワクチンに関する周知を一層進めるとともに、専門的知見を有する医療機関や区市町村との連携を強化いたしまして、地域の診療所に対し、接種時の対象者への接し方や、副反応が現れた際の対応等につきまして情報提供するなど、安心して接種を受けられる環境整備を進めてまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、シルバーパスの一斉更新についてであります。
 令和元年度まで、毎年九月、都内各地に設置した会場でシルバーパスの一斉更新を実施してまいりましたが、二年度、三年度は新型コロナウイルスの感染拡大リスクの軽減等を図るため、郵送方式で実施しております。
 昨年度は、対象者約百三万人に更新案内等を発送し、申請のあった約九十五万人分のパスを更新しております。
 今年度も、コロナ禍における高齢者の心理的不安等を考慮して、郵送方式での実施に必要な経費を今回の補正予算案に計上しており、八月中に約百一万人に更新案内等を発送する予定であります。
 今後、東京バス協会と連携し、「広報東京都」やホームページ、ポスターなど様々な媒体により周知するとともに、専用のコールセンターを開設するなど、利用者が円滑に更新手続を行えるよう取り組んでまいります。
 次に、障害者割引とシルバーパスの併用についてであります。
 国は、障害者等への運賃割引について、鉄道やバス等の事業者に協力を求めておりまして、多くの事業者は、国の通知等を踏まえまして、障害者と介護人の運賃を半額としております。
 しかしながら、割引を実施している事業者において、障害者本人がシルバーパスを利用した場合の介護人の運賃の取扱いについては、半額とする事業者と割引を適用しない事業者がございます。
 都といたしましては、障害者の社会参加に向けた環境整備を図るため、事業者に対して、障害者割引とシルバーパスが同時に利用できるよう働きかけ、理解と協力を求めてまいります。
 次に、障害者の就労移行への支援についてであります。
 障害者の就労移行を進めるためには、多くの企業で導入が進みますテレワークに対応する必要があります。テレワークには、生活リズムを自ら律する能力や、パソコンなどを援助なしで操作するスキルなどが求められますが、現在、テレワークに対応した訓練を体系的に実施している就労移行支援事業所は少なくなっております。
 そのため、都は今年度から、テレワーク支援に取り組む事業所の先進事例を紹介しながら、在宅の障害者に対する健康管理の方法や、ICT機器の操作方法などの効果的な訓練のノウハウを学ぶ事業所向けの研修を開始いたします。
 こうした取組を通じまして、就労移行支援事業所の多様な働き方に対応した支援力を向上させることにより、障害者の円滑な就労移行を促進してまいります。
 次に、重度障害者等への就労支援についてであります。
 重度障害者等の職場や通勤等における支援は、IT機器の入力援助や身体介助等を一体的に行う雇用施策と福祉施策が連携した制度として令和二年度に創設され、現在、都内では一区が実施しております。
 都はこれまで、区市との会議等を通じ、本制度の活用を働きかけるとともに、制度に関する意見交換を行っており、今年度は新たに二つの自治体が開始を検討しております。
 この取組を広げていくためには、先行事例の周知や活用しやすい制度とすることが重要であり、今後、取組実績等を区市町村と共有するほか、国に対しては、具体的な取組事例の収集や制度の簡素化等について提案要求してまいります。
 最後に、不妊治療への対応についてであります。
 令和四年四月からの診療報酬の見直しに伴い、これまで自由診療であった不妊治療のうち、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は保険適用となり、利用者の経済的負担は大幅に軽減されております。
 保険適用外となった治療の一部は、先進医療として保険診療との併用が特例として認められたものの、先進医療に係る治療費は全額自己負担であり、経済的な負担となっております。
 都は、今後、保険適用後の不妊治療の実施状況等を把握し、不妊に悩む方が安心して治療できるよう、対応を検討してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民への節電に係る取組の推進についてでございますが、電力逼迫を回避するためには、都内におけるエネルギー消費量の約三割を占める家庭部門での節電が重要でございます。
 そのため、まず、都民が一元的に節電の具体的な方法を把握できるよう、都は、減らす、つくる、ためるのHTTポータルサイトを開設いたしました。
 今後は、SNSなど様々な媒体を活用し、動画などで分かりやすく家庭での節電方法や電力の逼迫状況の情報発信を強化してまいります。
 さらに、都民の節電行動に加え、電力使用時間帯のシフトを促すことなども重要でございます。そのため、電気事業者が、タイムリーな節電要請や、それに応じた家庭等へのポイントを付与し、プッシュ型でHTT情報を発信する場合に、その取組を新たに支援してまいります。
 こうした取組を通じまして、都民の協力を得ながら、家庭の節電行動を促してまいります。
 次に、家庭における省エネ家電への切替えについてでございます。
 家庭部門の電力消費量の約二割は照明でございまして、都は消費電力の少ないLEDへの切替えを推進してまいりましたが、いまだリビングの約四割は蛍光灯などのままでございます。
 そこで、都は、今夏、今冬の電力逼迫への備えとして、さらなる家庭の節電を加速するため、東京ゼロエミポイントの対象に新たに節電効果の高いLED照明器具を加え、三千ポイントを付与いたします。あわせて、高齢者など、天井の照明器具を自分で取り替えることに不安な都民を支援するため、取替え作業費用もポイントの対象とし、二千ポイントを付与いたします。さらに、エアコンにつきましては、一層の買換えを促すため、省エネラベルで二つ星以上に対象を拡大いたします。
 こうした取組によりまして、LED照明や高効率エアコンなどの省エネ家電への買換えをより強力に推進いたします。
 最後に、フードドライブの拡大についてでございますが、未利用食品の有効活用を進めていくためには、都民、事業者、行政等が連携し、フードドライブを拡大する必要がございます。
 都はこれまで、区市町村の地域に根差したフードドライブ事業の支援、地元のフードバンクと小売と連携した優良事例の発信等、各地域の取組を後押ししてまいりました。
 今後、さらなる拡大を図るため、都の施設において、イベント等の機会を捉えて寄附窓口を設置し、広く都民にフードドライブの参加を促してまいります。
 さらに、東京サーキュラーエコノミー推進センターと連携し、区市町村の窓口やイベント時の臨時窓口等の情報を発信することなどによりまして、各地域での取組を広げて、未利用食品の有効活用を一層促進してまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外堀の水辺再生についてでございます。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力あるまちづくりを進めることが重要でございます。
 都は、外堀の浄化に向け、下水再生水と荒川河川水を、玉川上水路等を経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を先月公表いたしました。この計画を踏まえ、二〇三〇年代半ばの整備完了を目指し、今年度より施設の基本設計を行うなど、具体的な取組に着手いたします。
 あわせて、将来にわたり水と緑の空間を残していくため、新たに地元の小学生を対象とした勉強会を開催し、外堀の歴史的価値や維持管理の大切さを伝えてまいります。
 引き続き、国や地元区とも連携しながら、人々が憩い、地域に親しまれるよう、外堀の水辺再生を着実に進めてまいります。
 次に、新空港線についてでございます。
 国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限発揮させるため、鉄道アクセスの充実は重要でございます。
 本路線は、空港アクセスの向上が期待される一方、関係者間の費用負担の在り方等が課題とされてまいりました。
 都と大田区は、令和二年九月に協議の場を設置し、まちづくりの観点等も加味した事業プランの検討や需要予測等の精査、その結果を踏まえた都区負担等に関する協議を行い、費用負担などについて合意に至ったところでございます。
 今後、合意に基づき、区が中心となり、整備主体となる第三セクターの設立や都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整、都市計画手続などの取組を進めてまいります。
 都といたしましては、関係者と必要な協議、調整を進めながら、こうした事業化に向けた取組を支援してまいります。
   〔水道局長古谷ひろみ君登壇〕

○水道局長(古谷ひろみ君) スマートフォンアプリについてでございますが、本年十月の利用開始を予定しておりますスマートフォンアプリには、スマートメーターを設置いたしましたお客様を対象に、異常な使用水量を検知した際に随時通知する機能や、一時間ごとの使用水量を確認できる機能等を搭載することとしておりまして、これらを漏水の早期発見や遠方の親族等による見守りに活用することが可能と考えております。
 現在、水道局では、区市町と協定を締結し、検針業務などの際に異常を検知した場合には、区市町の福祉部門などへ情報提供を行っております。
 アプリ導入後も、見守り機能の活用に向け、区市町とも連携を図るとともに、都庁各局や他のインフラ企業に加え、見守りサービス等を提供する事業者等と意見交換やニーズの把握を行ってまいります。
   〔デジタルサービス局長久我英男君登壇〕

○デジタルサービス局長(久我英男君) 高齢者のデジタル活用支援についてでございますが、都が、昨年度開始いたしました高齢者向けのスマホ教室や相談会では、参加者にスマートフォンの利便性を実感していただく一方で、利用への不安の声も頂戴しております。
 そのため、今年度は、実施規模を拡大して五月から開始するとともに、スマホを安全・安心に使うための注意点なども学んでいただいているところでございます。
 さらに、サポーター制度を立ち上げ、まずは講師経験等を有する方に七月から先行して活動していただきます。
 今後、同じ目線からの支援が期待できる高齢者やスマホを使いこなす若者へとサポーターの裾野を広げるため、学生などを有償スタッフとして活用しながら、育成プログラムの策定等を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、高齢者を地域で支え合うデジタル社会を目指してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京大会後のスポーツ振興についてでございます。
 大会をきっかけとして、スポーツが生活に根づいていくような取組を行うことが重要でございます。
 このため、都のスポーツポータルサイト等でイベント情報を幅広く発信するとともに、順次再開業する新規恒久施設での多様なスポーツ体験や、DXを活用した新しい楽しみ方を提供するなど、スポーツに触れる機会を拡大してまいります。
 さらには、選手の経験を生かした競技の普及促進やボランティアの活動フィールドの提供など、裾野拡大にも取り組んでまいります。
 今後も機を逃さず、大会で得た成果を積極的に活用し、スポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。
 次に、国際スポーツ大会の誘致、開催支援についてでございます。
 都は、スポーツの振興と都市のプレゼンス向上を目的に、国際大会を誘致段階から支援しております。今年度の支援対象のうち、車椅子ラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップは、二〇二三年の東京開催が決定いたしました。この大会に多くの都民が足を運び、楽しんでいただけるよう、引き続き大会PR等の支援を行ってまいります。
 また、より多くの観戦機会を提供し、一層の振興を図るため、特にパラスポーツについては、幅広い競技や様々な規模の大会を対象とするなど、きめ細かく支援をしております。
 こうした取組により、多くの大会が開催され、観戦できるスポーツフィールド東京の実現を目指してまいります。
 次に、スポーツを通じた被災地支援についてでございます。
 復興オリンピック・パラリンピックの理念をレガシーとして次世代へ継承することは重要でございます。これまで築いてきた被災地との絆を一段と深めるために、五月に東京国際ユースサッカー大会をJヴィレッジで初めて開催いたしました。
 こうした取組を踏まえ、新たに、被災地の競技会場等も活用して、子供たちを対象としたスポーツの交流事業を計画しており、被災三県と共に準備を進めております。
 また、この夏は、被災地の子供たちを一周年記念事業に招待し、大会の感動を共有してもらうほか、これまで交流した都内の野球、サッカーチームと試合などを行います。
 引き続き、被災地の意向を十分に踏まえながら、スポーツの力で復興を後押しする取組を進めてまいります。
 次に、スポーツを通じた健康増進についてでございます。
 スポーツ実施率の向上には、日頃からスポーツに親しむ機会が少ない働き盛り世代にきっかけを提供することが重要でございます。
 このため、フィットネスマシンやボッチャ等、仕事帰りに気軽な運動体験ができるアーバン・フィットネス推進事業を、昨年度初めて丸の内で実施いたしました。
 専門家の個別指導などが好評で、アンケートでは約九割の方から、運動を始めたくなった、さらにしたくなったとの回答をいただきました。今年度は、内容を充実させ、多摩地区でも開催するなど、引き続き取り組んでまいります。
 また、従業員へのスポーツ支援に取り組むスポーツ推進企業の認定など、企業や民間団体等と連携し、働き盛り世代をはじめとした都民の健康増進を図ってまいります。
 次に、東京空襲資料展の広報強化と規模拡大についてでございます。
 空襲資料展は、毎年三月十日の東京都平和の日に合わせて開催しており、これまでも東京都のホームページや「広報東京都」、新聞などにより広く周知を図ってきております。
 今後は、区市町村の協力も得て、デジタルサイネージやSNSの活用などにより、広報をさらに強化してまいります。
 また、都民の平和に対する意識が高まっている今、貴重な資料のデジタル化に着手し、空襲資料展で広く活用していくなど、より多くの都民に見ていただけるような資料展について検討してまいります。
 最後に、証言映像の公開についてでございます。
 戦争の記憶を風化させないためにも、空襲関連資料の活用を図ることは重要でございます。
 証言映像につきましては、制作当時から社会状況も変化しており、より広く活用していくためには、個人情報への配慮が必要でございます。
 そのため、公開に向けましては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分に踏まえまして、今後、慎重に検討を進めてまいります。
   〔交通局長武市玲子君登壇〕

○交通局長(武市玲子君) 都営地下鉄等における痴漢対策についてでございますが、交通局では、痴漢行為を防止するため、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者等と共同での痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅係員等による巡回などを継続的に行ってまいりました。
 また、新宿線での女性専用車両の運行に加え、現在、大江戸線を対象に導入拡大に向けた検討を進めております。
 車内防犯カメラにつきましては、令和六年度までに地下鉄と日暮里・舎人ライナーの全車両への設置完了を目指してまいります。
 また、痴漢撲滅キャンペーンのほか、重点的に呼びかけを行う独自の対策強化期間を新たに設けるとともに、有識者の意見も聞きながら、効果的なポスターを作成し、掲示いたします。
 さらに、警視庁防犯アプリの活用をホームページやSNS等で促すなど、誰もが安心して利用できる都営交通の実現に向けて取組を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時五十三分休憩

   午後七時十五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十七番藤田りょうこさん
   〔五十七番藤田りょうこ君登壇〕

○五十七番(藤田りょうこ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 ロシアがウクライナに侵略してから三か月が過ぎました。たくさんの命が奪われる事態に多くの人が心を痛めています。国連憲章に基づく全世界の団結で、一刻も早く戦争を終わらせることを心から呼びかけるものです。
 また、北朝鮮による弾道ミサイル発射に厳しく抗議します。
 日本共産党は、憲法九条を生かした外交で、日本を含む東アジアを平和な地域にしていくために全力を尽くす決意です。
 五月の日米首脳共同声明で軍事同盟の強化が表明されました。軍事対軍事の悪循環や基地の強化を招く重大な問題があります。沖縄県は、米軍基地負担のさらなる強化や沖縄が攻撃目標とされるような事態は決してあってはならないという知事コメントを発表しました。
 日米両政府においては、アジア太平洋地域における平和と安定を維持する観点から、平和的な外交、対話による緊張緩和に積極的に取り組んでいただきたいとも述べています。小池知事はどう考えていますか。
 全国各地で米軍基地が強化されています。横田基地では、オスプレイ十機体制への準備が進んでいます。五月には、横田基地でアジア太平洋地域で最大規模の訓練が行われました。滑走路が未整備だったり、燃料施設がないような場所や地域、例えば中国との緊張が高まる南西諸島などに米軍が緊急展開できるようにする実戦的訓練です。
 横田基地のC130輸送機の燃料タンクを増強し、前線に送ることも想定されていて、そのための燃料施設増設工事も契約済みです。横田基地は今、最前線直結の基地に変貌しているのです。
 知事はこのような実態を把握していますか。これこそ首都東京の安全に直結する問題ではありませんか。米軍による危険な訓練と基地強化の中止、不平等な日米地位協定の抜本見直しのために行動すべきです。答弁を求めます。
 ロシアのプーチン大統領が核で世界を威嚇していることは許されません。核兵器の使用は絶対に許されません。知事はどう認識していますか。
 今こそ非核平和都市宣言をすべきです。そして、核兵器禁止条約の批准を政府に強く働きかけるべきです。知事、いかがですか。
 東京大空襲を経験し、空襲で母と二人の弟を亡くした方は、ウクライナの人々の悲惨な姿は、まさに七十七年前の私たち、戦争は人間が起こす、それを止めるのも私たち人間ですと述べています。
 知事はこの言葉をどう受け止めますか。戦争の惨禍を伝え、平和の大切さを発信することが今ほど求められているときはありません。知事はどう取り組むのですか。
 二十三年間凍結されてきた平和祈念館の建設に踏み出すことを求めます。知事、いかがですか。
 かつて、平和祈念館の建設に向けて収集された証言ビデオや多くの遺品が庭園美術館の倉庫に眠っています。広く公開し、平和祈念館での常設展示につなげることを提案します。答弁を求めます。
 深刻な物価高騰から都民の暮らしと営業を守り抜くことは緊急課題です。家計も経済も深刻なのは、新型コロナとウクライナ危機のせいだけではありません。
 第一に、金融緩和で異常円安を招いた政府の経済政策、アベノミクスの失敗、第二に、社会保障や医療、公共サービス、労働者の賃金を切り下げて、自己負担を押しつけ、貧富の格差を拡大してきた新自由主義の失敗が大きな原因です。家計と経済を立て直すためには、アベノミクスと新自由主義からの大転換が必要です。知事はどう認識していますか。
 東京都区部の消費者物価指数、五月の速報値では、前年同月比で生鮮野菜、魚介ともに一五%、電気代が二三%、ガス代が二五%も上昇しています。
 広範囲に及ぶ物価高騰から都民の暮らしと営業を守るためには、消費税の減税が最も効果的です。効果が広く、早く及びます。見解を伺います。政府に対し、消費税減税を求めるべきです。いかがですか。
 賃金が上がる国づくりへの転換が必要です。知事はどう認識していますか。
 最低賃金は、現在都内で時給千四十一円です。早急に千五百円まで引き上げることが必要です。政府に強く働きかけるべきです。答弁を求めます。
 賃金条項を持つ公契約条例の制定は、賃金の引上げに効果があります。できない理由を考えるのではなく、課題があるなら、どうすれば打開できるか、前向きに検討して踏み出すべきです。見解を求めます。
 生活破壊が進む下で、暮らしの基盤である住まいへの支援がとりわけ重要になっています。知事はどう認識していますか。
 国は、二〇二〇年度から、安定した住まいの確保を支援する住居確保給付金の対象を離職や廃業していない方へも広げました。拡充初年度の実績は、支給決定数が前年度比三十四倍、支給額は五十三倍に急増しています。都内の支給実績は全国の三割を占めています。住居確保給付金の役割をどう評価していますか。
 厚生労働省は四月末、生活困窮者自立支援のあり方等に関する検討会の論点整理を発表しました。
 その中で、住居確保給付金について、コロナ禍で一定の役割を果たしてきましたが、住まいを喪失するおそれのある人の多さ、裾野の広さが顕在化した以上、住宅手当といった家賃補助的な施策も含め、普遍的な社会保障施策として検討する必要があるのではないかと述べています。注目すべき指摘です。どう受け止めていますか。
 国会で厚生労働大臣は、家賃補助制度も含めて検討していくと答弁しました。大変重要です。家賃を払えず、住居を失うことがないよう、国に家賃補助制度の創設を求めるべきです。知事、いかがですか。また、都として家賃補助制度を決断すべきです。
 知事が提出した補正予算案は、大事な前進面もありますが、深刻な実態に照らせば、暮らしと営業の支援も、コロナ対策も、極めて不十分です。暮らしの支援について提案します。
 生活に困窮する方の暮らしを直接的、効果的に支えられるのは現金給付です。都として、生活困窮者、失業者などへの直接給付を実施すべきです。いかがですか。
 労働組合が実施しているフードバンクでは、月によっては、来場者の半数以上がシングルマザーで、受付に置いたあめなどのお菓子に、久しぶりのお菓子だと喜ぶ子供たちの姿もあると聞きました。
 今回の国の給付金では、児童扶養手当の対象者などに五万円が支給されます。都として増額するとともに、所得制限を緩和し、さらに対象を広げることが必要ではありませんか。
 また、都が一昨年度、ひとり親家庭に実施した食料支援が果たした効果をどう評価していますか。改めて実施すべきです。答弁を求めます。
 夏場は室内で熱中症のため、命を落とす方が増えます。その多くはエアコンを使っていません。低所得者や生活保護を受けている方がお金の心配なくエアコンを利用できるよう、購入、設置に係る費用と電気代の補助を行うことを求めます。いかがですか。
 国民健康保険料は、今年度、大幅値上げになります。私の住む大田区では、給与収入二百万円で大人一人と小学生二人の世帯の場合、昨年度より七千円上がり、約二十一万七千円にもなります。
 この値上げは、今の物価高騰の前に決まったものです。今からでも都として負担軽減を行うべきではありませんか。そして、緊急に、子供の均等割はゼロになるよう手だてを取るべきです。見解を伺います。
 都が子供の医療費助成を十八歳まで広げることを決めたのは重要です。都の提案は、所得制限と一部自己負担を設け、制度開始から三年間は全額を都が負担するが、それ以降は区市町村が半額を負担するというものです。
 しかし、区市町村から出されているのは、四年目からの自治体負担への懸念や、所得制限なく完全無償にするよう求める声です。都の提案は変えないという姿勢ではなく、これらの意見に耳を傾け、丁寧に協議し、要望に応えることが重要です。いかがですか。
 子供の医療費助成の多摩格差をなくすことも必要です。二十三区では、ゼロ歳から中学生まで全員が無料です。しかし、小中学生については、多摩二十六市の多くは、自己負担や所得制限があります。
 現在、所得制限がある自治体、自己負担がある自治体は、それぞれ何市ですか。
 お金の心配なく子育てできるようにすることは、暮らしが厳しくなっている中、ますます切実です。子育てや教育など、子供関連施策の所得制限は撤廃を進めるべきです。知事の認識を伺います。
 都立学校の給食費の負担軽減を知事が表明し、補正予算を組んだことは重要です。学校給食をめぐっては、物価上昇のたびに現場は大変な苦労をし、給食の質を取るか、給食費値上げを避けるかの矛盾に直面してきました。
 学校給食費への支援の意義について、知事の認識を伺います。
 今回の補助内容は、パン、麺、米の物価上昇分のみで、一食約三・五円です。給食費は特別支援学校の中学部で三百九十円程度ですから、一%にしかなりません。主食以外の野菜や果物も、魚介類も値上がりしています。
 区市町村では、食材費の七%、一〇%を補助する自治体が相次いでいます。都も思い切って増額し、支援を強化すべきですが、いかがですか。
 学校給食は教育の一環であり、無償とすべきです。無償化を国に求めるとともに、区市町村の小中学校も含め、来年度以降も補助を実施、拡充することが必要です。答弁を求めます。
 中小、小規模事業者への支援について提案します。
 値上げせざるを得ないが、お客が離れないか心配という飲食店、新規の融資を断られた旅行関連会社、注文から引渡しまでの間に資材が値上がりすることが怖くて契約が取れないという建設業者、肥料の価格が二五%も上がった農家など、深刻な声が寄せられています。
 大田区で金属加工をされている方は、原料が一・五倍に値上がりした、注文も減って、五月は二十日近く仕事が入らなかったと、窮状を訴えています。
 全国商工団体連合会が行った緊急アンケートによると、物価高騰で赤字になる、経営が厳しくなるを合わせて八五%に上ります。
 知事は、このような深刻な現状をどう認識していますか。さらなる支援の強化が必要ではありませんか。
 物価高騰を価格に転嫁できない中小業者からは、直接的な支援の要望が強く出されています。都独自の事業復活支援金の支給などに踏み出すべきです。いかがですか。
 知事は所信表明で、制度融資の拡充に触れましたが、借入金を抱えている事業者にとっては、新たな融資だけでなく、融資の据置期間の延長なども必要です。見解を伺います。
 新型コロナ対策では、感染拡大の第七波に備えた対策が重要であり、そのためには検査体制のさらなる強化が必要です。
 ところが知事は、所信表明で検査に一言も触れませんでした。知事は、これまでの教訓を踏まえて感染拡大防止に取り組むべきと思いますが、認識と対応を伺います。
 施設等の職員を対象に行っている集中的検査は、クラスター防止に効果的です。しかし実施率は、PCR検査を実施できる高齢者、障害者の入所施設では八割前後ですが、抗原検査だけの通所、訪問の事業所や保育園では一、二割程度と、大きな差があります。
 通所などの職員からは、抗原検査だけでなく、PCR検査で実施できるようにしてほしいという要望が出されています。抗原定性検査はPCR検査よりも精度が低く、厚生労働省も、無症状の方に行うのはPCR検査等が困難な場合としています。
 検査の実施率を上げるためにも、無症状者への検査はPCR検査を原則とすべきではありませんか。
 ある都内の障害者グループホームでは、おととし十二月に十人以上の集団感染が発生しましたが、その後は都の集中的検査を実施することで感染の連鎖を断ち切ることができています。
 都の集中的検査が感染拡大防止に効果があることについて都として検証し、発信することを求めます。いかがですか。
 今の中学、高校の三年生は、入学したときからコロナ禍です。通常どおりの運動会や文化祭の経験がなく、上級生らしく成長する機会が失われてきたとの声があります。
 小学校では、学級閉鎖になっても濃厚接触者がいないと判断されることも多いのに、子供たちは外出自粛を強いられ、友達と遊ぶこともできない状況が続いています。
 このように、大事な成長期の子供たちが長期にわたり行動制限されていることの影響を知事はどう認識していますか。
 都教委のPCR検査は、小中学校の利用が極めて少ない状況です。感染者の出たクラスの全員が検査を受けられ、濃厚接触者以外は、陰性であれば行動制限をしないなどの活用方法も可能であることを積極的に周知し、検査の実施を広げ、子供たちの安全な活動を最大限保障していくことが必要です。見解を伺います。
 新型コロナ対策では、医療の充実も重要です。
 高齢者は、感染による衰弱だけでなく、体を動かす能力が低下しやすいため、入院期間が長くなる傾向にあります。それを避けて、高齢者ができるだけ早く退院して、元の生活に戻れるようにするためにも、入院早期からリハビリを行うことが効果的です。認識を伺います。
 知事が所信表明で、七月一日の都立、公社病院の独立行政法人化を明言したことに、厳しく抗議するものです。全国で最も機動的、柔軟にコロナ患者を受け入れてきた都立、公社病院の独法化の強行は許されません。
 知事は、独法化することにより、安定的かつ柔軟な人材確保を行うと述べました。しかし、先行して独法化された都の健康長寿医療センターでは、真逆の事態が起きています。
 健康長寿医療センターの常勤医師は、二〇一八年度に大量離職で十四名も減っています。しかも、現在までに五名しか補充できていません。常勤医師が補充できていないのはなぜですか。
 知事は、独法化で行政的医療を充実させると述べました。しかし、経営効率優先の独法化で、不採算の行政的医療が充実することなどありません。
 小池知事は、かつて石原都政が強行した都立小児三病院の廃止、統合が地域住民に今なお大きな痛みをもたらしているのに、改革だったと評価しています。そして、独法化後も改革に不断に取り組むとしています。
 知事、独法化後、統廃合を含む改革に不断に取り組むということですか。
 石原都政による都立小児三病院などの廃止、統合は、財政削減を目的にして推進されました。当時の検討会で、何分、財政問題に端を発しているので、何かしないことにはと議論された経過が記録されています。
 今回も、収益力の向上、経費の圧縮、一般会計の経費負担の抑制など、あらゆる面から経営力の強化につながる仕組みづくりという視点から、独法がふさわしいとされました。
 いずれも改革、充実だといって進められました。都民、職員の理解、納得が得られないのは当然のことです。
 都立、公社病院の独法化中止を求める声は、さらに大きくなっています。都議会などに提出された署名は、これまでに四十万人を超えています。
 知事は、都民や病院職員の理解、納得がないまま独法化してよいと考えているのですか。お答えください。
 都立、公社病院を独法化しなければならない理由は、どこにもありません。我が党は、独法化の実施は今からでも立ち止まり、都民の命のとりでである都立、公社病院を都が責任を持って充実、強化することを改めて強く求めるものです。
 株式会社ベネッセコーポレーションが実施する英語スピーキングテストを都立高校の入試に活用する問題について、批判と中止を求める声はますます広がっています。今日も中止を求める記者会見が開かれました。
 テストの採点者が、ベネッセの家庭用学習教材、進研ゼミや、ベネッセの英語テスト、GTECの採点者と同一人物であった場合、入試の公平性、中立性は大きく損なわれます。
 この都民や保護者の懸念に対し、先日の文教委員会の質疑で都教委は、兼務することはないと答弁しましたが、兼務を禁止する文書は取り交わしていないことが明らかになりました。文書で交わしていない約束が守られる保証はありません。
 採点の兼務の禁止が重要なルールなら、文書に明記して確認するのが契約の常識ではないですか。重要事項ではないということですか。
 都教委は、文書で交わしていなくても、研修を経た者だけが採点に当たることなどを理由に、兼務の禁止は担保できると強弁しましたが、意味不明です。なぜそれが、兼務しない担保になるのですか。実際に兼務していないことをどうやって確認するのですか。
 中学生の進路に関わる大問題です。我が党のネットアンケートに不安の声を寄せてくれた中学生もいます。押し潰されるような不安の中、実施は十一月に迫っています。強引に進めるのではなく、立ち止まって中学生の意見を聞くべきです。知事の答弁を求めます。
 少人数学級をはじめとする教育条件の向上には、教員の確保が欠かせません。ところが現状では、新年度に学級担任すらそろわない事態が生じています。
 ある小学校では、三年生の担任が不足し、配置できる期限付任用教員が見つからないので、算数加配の教員を担任に充ててほしいと都教委にいわれたとのことです。この学校では、一年生の産休代替教員も見つからず、副校長が担任に入っている状況です。あらゆるつてで探し回り、七十代の方にやっと引き受けてもらった学校もあります。
 新年度に先生がそろった状態で子供たちを迎えられるようにすることが都教委の責任と役割ではありませんか。また、教員不足の原因をどのように分析しているのですか。
 都教委が毎年四月から採用している期限付任用教員は、本来、年度途中の欠員に備えたものです。年度当初には全員正規で配置できるよう、正規教員の採用を増やすべきです。いかがですか。
 中学校長会は、教員志望者の減少や欠員などの課題に対し、週二十四時間にもなる授業時数の軽減が最も効果のある対策だと述べています。教材研究や子供に向き合う時間が増え、長時間労働も改善し、教員が教育者として力を発揮できるようになります。
 知事は二〇一八年に、教員を目指す若者にとって東京の公立学校が魅力のあるものとなるよう取り組むと述べましたが、打開できていません。授業時数の削減と、そのための定数増に正面から取り組み、教員確保の好循環をつくり出すべきではありませんか。
 ジェンダー平等について提案します。
 来年度から、性犯罪、性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならない教育として、生命(いのち)の安全教育が全面実施されます。
 実施に当たっては、ジェンダーに基づく暴力の問題や性的同意、誰もが自分の体について決める権利を持っていることを学ぶ包括的性教育の国際的な到達点を踏まえて、人権と多様性の視点を中心に据える必要があると思いますが、いかがですか。
 都内のある高校の調査では、女子生徒の四人に一人が痴漢被害に遭っていることが分かりました。東京の小中学生、高校生の痴漢被害の実態を都はどう把握していますか。調査すべきではありませんか。
 生命(いのち)の安全教育の中で痴漢を位置づける必要があります。認識と対応を伺います。
 改定された男女平等参画推進総合計画に、痴漢等の対策については関係機関と連携し取組を進めると明記されたことは、大事な一歩です。
 都として本気の痴漢対策、特に痴漢加害を防止することが重要だと考えますが、知事の認識と対応を伺います。また、各局が連携した対策の強化を求めますが、いかがですか。
 パートナーシップ制度案と条例改正案について、我が党は、祝福される制度となるよう求めてきました。
 オンラインで申請から証明書発行まで完結できるのは、アウティングを防ぐ観点から重要だと都は説明します。それは必要であり、歓迎します。
 しかし、問題は、原則オンライン一択だということです。当事者の方からは、差別を受けることが前提になっていて、隠すべきものとされていると感じるとの声があります。
 本来、愛する人と生きていくのは祝福されるべきことです。オンライン申請と窓口申請の併用が必要ではありませんか。当事者の方の、権利とは選択できる自由が守られていることだという声に応えるべきではないでしょうか。知事、いかがですか。
 人権尊重条例に基づき、多様な性に関する都民の理解を増進するための制度という位置づけから、ホームページにパートナーシップ制度の特設ページを設ける、広報で特集したり、パンフレットを作成するなど、都民に広く周知していくことが求められます。どのように進めるのですか。
 若者への支援も重要です。
 都立美術館、博物館では、十八歳以下の若者が気軽に芸術文化に親しんでもらう取組として、今年の春休みに、観覧料を全て無料とするWelcome Youthが実施されました。コロナ感染が広がる前から予定されていましたが、今年初めて全面実施となりました。
 都が公表した東京文化戦略は、子供や若年層を対象に、良質な芸術文化に触れる機会を増やす取組を積極的に進めるとし、特別期間の無料招待、都立文化施設の料金体系の検討などを新たに示しています。
 知事は、若者が芸術に触れることや、そのための支援の大切さをどう認識していますか。
 Welcome Youthの実績と、利用した若者からどういう声が寄せられたのか伺います。
 観覧料は、都立施設は十五歳まで無料ですが、国立美術館、博物館は十八歳まで無料、大学生半額です。パリのルーブル美術館は、二十六歳まで無料です。
 都立文化施設の料金体系は、少なくとも十八歳以下は無料にすべきではありませんか。また、若者の料金も、無料化や半額などに引き下げることを求めておきます。
 知事は、首都直下地震の新たな被害想定を公表し、所信表明では、不断に備えを講じていくと述べました。
 しかし、最後に強調したのは、自助、共助、公助でした。これは、地震は防げないが、行政の努力で地震による災害は防ぐことができるという先駆的な立場から制定された東京都震災予防条例を石原都政が全面改悪したときに持ち込まれたものです。
 知事、自助が一番、共助が二番、最後が公助で極力小さくという考え方ではなく、防災対策は、行政が責任を持つ公助が一番という姿勢が重要ではありませんか。
 都内の住宅耐震化が進まないのも、自己責任重視で、公助が足りないからです。住宅耐震化助成の抜本的な拡充、改善が必要です。見解を求めます。
 被害想定では、震災時の出火防止対策について、各種対策の推進で被害を大幅に軽減できると述べています。そうであれば、通電火災を防ぐ感震ブレーカーの普及も、自己責任ではなく公助を重視し、購入費補助に踏み出すべきではありませんか。
 今回の被害想定が重視した災害関連死などを防ぐ上でも、避難所の役割が重要です。避難所及び福祉避難所の量の確保と質の充実に、都はどう取り組むのですか。
 水害対策についても、気象庁が開始した線状降水帯予報を事前避難の検討などに活用することをはじめ、抜本的強化が必要です。いかがですか。
 外環道のトンネル工事で、今年四月、図面作成の初歩的なミスでシールドマシンが損傷し、工事停止という、またしてもあり得ない事故が起きました。
 調布の陥没、空洞事故では、東京地裁が工事の一部差止めを命じました。事業者が再発防止策を示せず、再び事故が起きるおそれがあると判断したのです。懸念は的中しました。
 責任感も危機管理能力も欠如し、重大事故を繰り返す国とNEXCOに住民の怒りは頂点に達しています。
 そもそも、所有者に断りなく住宅の地下を掘り進める大深度地下トンネル工事の重大性、問題点を知事はどう認識していますか。
 地裁の差止め命令後、工事の再開中止と事業認可の取消しを求める声に耳を貸さず、工事の再開を認めた知事の責任も重大です。
 今後また事故を起こす可能性は否定できません。事業認可を取り消すべきです。知事の答弁を求めます。
 リニア新幹線の大深度地下トンネル工事にも不安の声が広がっています。
 品川駅から始まったトンネル工事は、三月までに三百メートル掘削する予定が、土の取り込みがうまくいかず、まだ五十メートルと大幅に遅れています。原因も分からず、三百メートルすら終了時期の見通しが立っていません。
 知事は、原因と今後の見通しを把握していますか。リニア新幹線の大深度地下トンネル工事の中止を国とJRに求めるべきですが、いかがですか。
 神宮外苑再開発は、五月二十六日の環境影響評価審議会の部会で、専門家の委員から三井不動産に対し、外苑の森が守られるか、現段階では極めて不透明など、苦言、批判が相次ぎました。結局、当初予定していた総括を行わず、結論を持ち越すという異例の事態となりました。
 小池知事は同日、三井不動産などに対し、設計の工夫や幅広い都民参画の検討を要請しました。
 これも異例のことですが、そもそも樹木伐採への都民の強い反対があることを知りながら、この再開発を都市計画決定したのは小池知事です。知事は、自らの責任をどう考えているのですか。都市計画決定を取り消すべきではありませんか。
 新神宮球場の位置を変更しない限り、イチョウ並木は守られません。知事が要請した設計の工夫に、施設の配置の変更は含まれますか。
 八万人を超えるネット署名を集め、都議会に陳情署名を提出した皆さんは、計画の見直しを求めて、事業者と専門家、都民が一つの場で協議できる場を設けるよう求めています。このことは、知事が要請した幅広い都民参画に含まれますか。
 知事は予算議会で、既存の樹木を極力保存、移植すると答弁しました。
 しかし、日本共産党都議団が行った情報開示請求で、ラグビー場に向かうイチョウ並木について、事業者は、早い段階から、移植は困難、つまり伐採と判断していたことが分かりました。
 知事はそのことを知らなかったのですか。それとも、知りながら都民に隠してきたのですか。明確な答弁を求めます。
 最後に、気候危機打開について質問します。
 電力需給の逼迫により、都民の暮らしや営業が深刻な影響を受けないようにするために、都内電力供給の約七割を担う東京電力は、特別に大きな責任を負っています。
 都は、五月に発表した東京電力に対する株主提案で、電力の安定供給や料金の高騰抑制、再生可能エネルギー電源の創出や、電力系統の運用改善を求め、協定締結のための協議の場を設けるよう申し入れました。
 株主提案で運転可能な休停止発電所の再稼働を求めていますが、この中に原発や石炭火力が含まれるなら、看過できません。含まれているか、いないのか、お答えください。
 都は、再エネ供給を拡大するため、都内の電力会社に対し、再エネ電力割合の二〇三〇年度目標や実績の報告、公表を義務づけることを検討しています。
 東京電力は、将来の目標設定は困難であると後ろ向きの意見を表明していますが、義務づけは非常に重要です。知事はどう考えていますか。
 技術開発などにより、太陽光による発電コストが火力発電より安くなりつつあります。太陽光はコストが高いというのは、もはや過去の話です。今こそ再エネ拡大に、より本格的に取り組むべきときです。知事はどう認識していますか。どう取り組むのですか。
 答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤田りょうこ議員の代表質問にお答えいたします。
 日米同盟の強化についてのご質問が冒頭ありました。
 日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしております。安全保障に関する問題は国の専管事項、国会で議論が行われるべきものと思います。
 核兵器の使用についてのご質問。
 核廃絶に向けた取組は、国の安全保障に関わる問題であります。我が国は、一九九四年以降、毎年、核兵器のない世界に向けた決議案を国連に提出をするなど、国際社会において核廃絶への取組を続けております。
 核の脅威に対する都民、国民の不安を踏まえ、国にしっかりと対応してほしいと考えております。
 核廃絶についてでありますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、核廃絶に向けた取組は国の安全保障に関わる問題であり、都として非核平和都市宣言を行う考えはございません。
 平和の大切さについてでありますが、戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要です。
 そのため都は、東京都平和の日条例を制定し、毎年継続して、三月十日の記念式典をはじめ、東京空襲資料展の開催など、平和関連事業を実施し、都民が受けた苦難の歴史を語り継いでいるところでございます。
 東京都平和祈念館についてでございます。
 平和祈念館の建設につきましては、平成十一年の予算審議において、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯があり、その重みを十分認識をいたしております。したがいまして、都議会での一定の審議と合意が必要と考えております。
 次に、経済政策についてのお尋ねでございます。
 国の経済政策の在り方は、国会において議論されるべきテーマでありまして、今まさに方針が検討されているものと認識をいたしております。いずれにしましても、都としては、都民生活を守るため、引き続きなすべき政策に取り組んでまいります。
 賃金につきまして、都政の役割は、都内経済の活性化を図り、持続可能な成長につなげ、都民が安心して生活できる環境を整えることでございます。今後とも、こうした政策を推し進めてまいります。
 住まいの支援についてのお尋ねであります。
 住宅は生活の基盤であり、都はこれまで、住宅セーフティーネットの中心的な役割を担う都営住宅をはじめとする公共住宅の積極的な活用に加えまして、民間賃貸住宅を活用した施策などを重層的に展開をしてまいりました。
 今後とも、東京都住宅マスタープランを羅針盤といたしまして、都民の豊かな住生活を実現してまいります。
 次に、子供関連施策についてでございます。
 施策におけます対象範囲の設定に当たりましては、それぞれの施策の目的などを踏まえまして、適切に判断されるべきものでございます。
 都立学校の給食費への支援の意義についてのお尋ねです。
 物価が高騰する中にありましても、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供し、子供たちの健やかな成長を支えていくことは重要です。
 学校給食費は、法に基づき保護者等の負担とされております。その支援に当たりましては、財源確保などの対応を国の責任において行うべきとの考え方に立ちまして、今回国の交付金を活用し、給食費の負担軽減を図る予算を措置したものでございます。
 次に、事業者への支援についてでございます。
 コロナ禍にウクライナ情勢や円安などが加わりまして、中小の事業者の経営に大きな影響が生じております。
 中小企業の資金繰りを支えるため、制度融資の見直しを図り、新たなメニューを創設いたします。
 また、原油価格の高騰の影響が長引く中、エネルギーを減らす取組をサポートするほか、円安によるコストの上昇等を踏まえまして、適切な下請取引に係る支援などを行ってまいります。
 これらによりまして、中小の事業者への支援を進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルスの感染拡大への備えについてのご質問であります。
 都はこれまで、新型コロナウイルスとの闘いで得た経験を踏まえまして、医療提供体制の確保をはじめ、保健所の体制強化、ワクチン接種の推進などに先手先手で取り組んでまいりました。また、一日最大約二十九万件の検査が可能な体制を整備しておりまして、必要な方が適切に検査を受けられるよう取り組んでおります。
 今後も感染拡大への警戒を緩めることなく、都民や関係者のご協力を得ながら、基本的な感染防止対策の徹底とともに、検査も含めて、総合的に対策を進めてまいります。
 次に、都立病院の改革についてでございます。
 都立病院の運営は、都民の医療ニーズの動向、行政的医療など果たすべき役割、公民の役割分担等、様々な要素を総合的に勘案して行うものでございます。都はこれまでも不断の経営改革に取り組み、総体としての医療サービスの向上を図ってまいりました。
 独法化後も、こうした基本的な考え方に立ちまして戦略的に運営し、都民の生命と健康を守り続けてまいります。
 次に、自助、共助、公助の取組についてでございます。
 首都直下地震などの脅威から一人でも多くの都民の命を守るためには、自助、共助、公助、それぞれの機能を発揮することが重要であります。
 これまで都は、道路の無電柱化や木造住宅密集地域の不燃化に加えまして、都民への情報発信の強化や帰宅困難者対策など、ハード、ソフト両面におきまして公助の取組を推進しております。
 今回の被害想定を受けて見直す地域防災計画におきましても、自助、共助それぞれの強みを生かしつつ、公助として行政が取り組む対策につきましても適切に反映させてまいります。
 次に、神宮外苑の再開発についてでございます。
 神宮外苑は、かの渋沢栄一翁らの尽力により、国民の献金、献木によって開かれた庭として造営されたものでございます。
 今回のまちづくりにおきましても、多くの都民の共感と参画を得ながら進めていくことが重要であり、事業者に対し、その成り立ちを踏まえ、幅広い都民参画に取り組むよう要請をいたしました。この要請を踏まえまして、事業者におきましてしっかりと対応されるべきものと考えております。
 再生可能エネルギー電力の拡大に向けた取組についてでございます。
 都は、エネルギーの大消費地といたしまして、エネルギー自給率を高め、国際情勢に左右されない都市の底力をつけることが必要であります。
 このため、災害時等のレジリエンス強化にも資する再エネの地産地消の推進に全力を尽くしてまいります。
 都は、住宅等への太陽光発電設備設置を事業者に義務づける新たな制度の検討や、都内外での支援策の拡充など、再エネの普及拡大に向けた取組を強化してまいります。
 今後とも、再エネの普及拡大に向けた取組を展開し、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁といたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 十四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立学校の給食費の負担についてでございますが、都教育委員会は、今回、国の交付金を活用し、都立学校の給食において毎回提供されるパンや米など、主食の価格上昇分の経費を負担することとしております。
 これにより、献立や食材の工夫を行い、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供できるものと考えております。
 次に、学校給食の無償化等についてでございますが、学校給食法等では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は生徒の保護者等が負担することとされており、都立学校においては、この考え方に立って学校給食を実施しております。
 区市町村立小中学校においては、設置者である区市町村が学校給食費を決定し、保護者負担の軽減策等についても区市町村の判断により行われております。
 次に、新型コロナ感染症の子供への影響についてでございますが、新型コロナ感染防止対策で活動の制約がある中でも、子供たちが実りある学校生活を送れるようにすることが大切であり、引き続き感染症対策を十分に講じた上で、適切に学校行事等を実施してまいります。
 区市町村立小中学校のPCR検査についてでございますが、都教育委員会は、区市町村教育委員会が対象者を適切に判断し結果を活用できるよう、通知や説明会で周知を行っております。
 各自治体において、教育活動の実施に伴う検査には活用されていることから、必要な検査は行われているものと認識しております。
 英語スピーキングテストの採点についてでございますが、採点に当たっては、秘密保持が重要であり、都教育委員会は事業者との協定において、スピーキングテストに関わる情報の開示や目的外の使用について禁止し、公平、公正な実施を担保しております。
 採点者についてでございますが、都教育委員会は事業者と協定を締結し、秘密保持を徹底するとともに、中学校英語スピーキングテストの研修を経た採点者が資格、検定試験のスピーキングテストの採点のみに従事していることを確認できるセキュリティにより、公平な実施を担保しております。
 採点体制についてでございますが、都教育委員会は事業者と協定を締結し、秘密保持を徹底するとともに、採点者や採点の進捗を管理する体制が構築されていることを確認し、公平、公正な実施を担保しております。
 スピーキングテストの実施についてでございますが、本事業ではこれまで、有識者のほか、区市町村教育委員会や学校関係者、生徒の意見を聞きながら段階的に規模を拡大してプレテストを行ってきており、令和三年度においては、都内全公立中学校で実施いたしました。
 また、生徒、保護者向けにテストの概要や高校入試での活用について広報誌に掲載したり、テストの目的や過去問題等をウェブサイトに公開したりするとともに、リーフレットを配布するなど、生徒が本テストの目的を理解した上で受験できるよう周知を図っております。
 都教育委員会は、中学校英語スピーキングテストを着実に実施し、都立高校入試にも活用してまいります。
 今年度当初に教員が不足した原因等についてでございますが、子供たちの学習環境を整えるためには、適切な教員確保が重要でございます。
 新年度に必要な教員数は、児童生徒数の増減や退職者の見込み等を基に推計しており、正規教員の配置を基本とした上で、不足の場合、期限付任用教員を配置しております。
 今年度は例年より退職者数が多く、また、期限付任用教員の多くが既に就職するなどして採用できませんでした。
 都教育委員会では現在、SNSでの応募呼びかけなど様々な働きかけを実施し、教員の確保に努めております。
 正規教員の採用についてでございますが、年度当初に必要とする教員数は、推計に基づき算定しております。
 適切な教員数の確保のため、区市町村教育委員会から児童生徒数の増減や退職者の見込み等について詳細な情報を収集し、必要な教員数の的確な予測に努めております。
 小中学校教員の授業時数の軽減等についてでございますが、都教育委員会は従来から、全ての小中学校で教務主任など負担の大きい業務を担う教員の授業時数を軽減しており、令和元年度から対象となる教員を拡大しております。
 教職員定数については、いわゆる標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しており、引き続き、国に定数の充実を求めてまいります。
 生命(いのち)の安全教育についてでございますが、生命(いのち)の安全教育の実施に当たっては、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにするために、生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動などを正しく理解した上で、一人一人の人権を尊重する態度等を、学習指導要領に基づき発達段階に応じて身につけさせることとしております。
 痴漢被害の把握についてでございますが、都教育委員会が策定した指針に基づき、痴漢被害を含め、子供の身体等に危害が加えられるなどの事案について、学校や区市町村教育委員会からの報告により把握した場合、近隣の学校や自治体に周知し、被害の拡大防止に努めております。
 痴漢に関わる指導についてでございますが、都教育委員会は、毎年度作成し都内公立学校の全ての教員に配布している安全教育プログラムに、子供が性犯罪を含む犯罪被害に遭わないようにする指導事例を掲載し、安全教育の徹底を図っております。
 また、電車通学の生徒が多いなどの各学校の実態に応じ、生命(いのち)の安全教育としての痴漢に関わる指導について、都内公立学校に周知しております。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 外環についてでございますが、外環事業は、国の法令に基づき大深度地下使用の認可等を受けて、国及び高速道路会社により事業が進められております。
 一昨年の陥没事故以降、事業者は、陥没箇所周辺で家屋の補償や地盤補修の準備等を行っております。大泉側、中央道側では、事業用地内で再発防止対策等を確認しながら、本年二月からシールド工事を再開しておりまして、このうち大泉側においてはシールドマシンの一部損傷が確認され、現在、補修などの対応を行っているところでございます。また、設計の照査等を改めて徹底すると聞いております。
 都は事業者に対しまして、引き続き、再発防止対策等の確実な実施、丁寧な説明やきめ細やかな対応を求めてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、横田基地についてでございます。
 国からは、横田基地の基本的役割は空輸拠点であり、また、在日米軍の司令部としての機能及び輸送拠点としての機能を果たしていると聞いており、都としては、横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。
 なお、五月に、他の基地所属の航空機も参加した離着陸を含めた迅速な展開を行う訓練などが実施されたことについては、国から情報提供を受けております。また、横田基地への燃料貯蔵タンク調達が米国国防総省予算案に含まれている旨の答弁が国会でなされていることは承知しております。
 次に、訓練等の中止、日米地位協定見直しについてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たりましては、周辺住民に不安を与えることがないよう、最大限の配慮が払われなくてはなりません。
 このため、都は、米軍の運用に当たって、基地周辺住民の安全確保を優先し、細心の配慮と安全対策を徹底するとともに、生活環境への配慮等について国や米軍に要請してきております。
 また、日米地位協定につきましては、国への提案要求等を通じ、その見直しを求めてきております。
 今後も他の自治体とも連携し、国や米軍に対して必要なことを要請してまいります。
 次に、住宅の耐震化助成についてでございます。
 住宅の耐震化を促進するためには、所有者が自らの問題として認識し、備えることが不可欠であり、都は区市町村と連携して取組を促しております。
 これまでも戸建て住宅等の改修工事費の実態や区市町村の意見などを踏まえ、補助上限額の引上げなど必要な見直しを実施してきており、引き続き、耐震性が不足する住宅をおおむね解消する目標に向けて取り組んでまいります。
 次に、外環の都市計画事業認可についてでございます。
 都は、認可に当たって、再発防止対策も踏まえ、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに、工事施工の安全に万全を期すこと等を条件として付しました。これに対して事業者は、大泉側及び中央道側で再発防止対策等を確認しながらシールド工事を再開しております。その後、発生したシールドマシンの一部損傷を踏まえ、設計や施工の照査を改めて徹底すると聞いております。
 一方、陥没箇所周辺では、引き続き補償等への対応を行うとともに、再発防止対策の検討を進めているなど、認可条件に即した対応を行っていくと判断されることから、認可の取消しに該当するものとは考えておりません。
 次に、リニア中央新幹線のトンネル工事についてでございます。
 JR東海からは、シールド工事の本格的な掘進に先立ち、昨年十月に安全対策の実地確認を主眼に置いた調査掘進に着手しており、現在、自社用地内でシールドマシンを点検中と聞いております。
 調査掘進での確認結果がまとまり次第、周辺住民へ説明した上で、本格的な掘進を開始するとしております。
 都としましては、事業者であるJR東海が安全対策を講じながら適切に対応していくものと考えております。
 次に、神宮外苑地区の都市計画決定についてでございます。
 当地区の都市計画では、世界に誇れる我が国のスポーツ拠点形成を図るとともに、緑豊かで風格と活力を兼ね備えた魅力的なまち、誰もが利用しやすく、安全・安心で快適なまちの形成を図ることとしております。
 この都市計画については、法令等に基づき都市計画案の縦覧など広く都民や関係区の意見を聴取した上で、都市計画審議会の議を経て、適切に決定したものでございます。
 次に、新野球場の位置についてでございます。
 先般の要請では、都が定めたまちづくり指針や都市計画の内容を踏まえて、魅力的なスポーツ施設の集積等に取り組んだ上で、神宮外苑の象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すことを求めております。
 これらを踏まえ、事業者において適切な対応がなされるべきものと考えております。
 最後に、ラグビー場に向かうイチョウ並木についてでございます。
 令和二年二月の時点で事業者から都に提出された計画においては、移植が困難であると考えられるとされておりました。
 その後、地元区との調整などを踏まえ、令和三年七月に事業者から提出され、八月に都が公表した環境影響評価書案において、今後詳細な調査を行い、移植の可否を検討することが改めて示されました。
 都としては、事業者に対して、複数の樹木医の意見を聞きながら詳細な調査を行い、極力、移植することを求めております。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、空襲関連資料の公開についてですが、平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、資料のデジタル化に着手し、より広く活用していくことといたしました。
 証言映像の公開に向けましては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分踏まえて、慎重に検討を進めてまいります。
 なお、平和祈念館(仮称)の建設につきましては、平成十一年の予算審議において、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございまして、都議会での一定の審議と合意が必要であると考えております。
 次に、男女平等参画推進総合計画における痴漢対策についてですが、性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であり、男女平等参画社会の実現を阻害する要因でございます。
 そのため、引き続き関係機関と連携し、相談や普及啓発、被害者支援等に幅広く取り組んでまいります。
 次に、若者が芸術に触れるための支援についてですが、芸術文化のすばらしさに子供の頃から気軽に触れることができる取組等を通じ、豊かな感性や創造力を育むことは大切でございます。
 最後に、Welcome Youth事業の実績についてですが、都立美術館、博物館では、本年三月から四月にかけて、十八歳以下の方の入場料金を無料にするWelcome Youth事業を実施いたしました。約一万四千人の方々がご利用になり、アンケートの回答では多くの利用者から評価をいただきました。
   〔主税局長小池潔君登壇〕

○主税局長(小池潔君) 消費税の減税についてでございますが、先月、内閣府が発表した月例経済報告によりますと、景気は持ち直しの動きが見られるとされる一方、ウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があるとされております。
 持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が必要不可欠であり、消費税は重要な役割を果たしております。
 消費税の在り方につきましては、こうした点に加え、経済や国民生活に与える影響など様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、最低賃金の引上げについてですが、最低賃金は労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与することを目的として定められるものでございます。その額は、法に基づき、労働者、使用者、公益の三者の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国が決めているところでございます。
 都としては、この制度が国において適切に運用されるべきものと考えております。
 次に、中小の事業者への支援についてですが、都は、厳しい経営環境にある中小企業の支援に向け、制度融資の見直しを図り、新たなメニューを創設します。また、様々なコストの上昇を踏まえ、下請取引において適切な価格転嫁ができるよう後押しいたします。
 こうした取組によりまして、中小の事業者をサポートしてまいります。
 最後に、中小企業の資金繰り支援についてですが、都は、制度融資の見直しを図り、新しいメニューを創設いたします。これによりまして、借入金の返済は最長五年間据え置くことができる仕組みといたします。
   〔財務局長吉村憲彦君登壇〕

○財務局長(吉村憲彦君) 公契約条例の制定についてのご質問にお答えいたします。
 公契約条例は、一般的に地方公共団体が発注する案件において、相当程度以上の賃金を労働者に支払うことを義務づけるものでございまして、最低賃金法や労働基準法などとの整合や入札契約制度の前提でございます公正性、競争性の確保の観点などから、その制定には課題があるものと認識しております。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 十二点のご質問にお答えいたします。
 まず、住居確保給付金についてであります。
 住居確保給付金は、各区市等の自立相談支援機関が生活困窮者自立支援法に基づき、離職等により住居を喪失するおそれのある者等に対し家賃相当分の給付金を支給し、安定した住まいの確保を支援するものであり、都において令和二年度は約四万件が利用されております。
 次に、生活困窮者自立支援の在り方等に関する国の検討であります。
 国において、生活困窮者自立支援制度の見直しに向け、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会で検討が進められておりまして、その議論のため、本年四月に論点整理を取りまとめたものと承知しております。
 都は、引き続き、国における検討を注視してまいります。
 次に、家賃補助制度についてです。
 現在、国において生活困窮者自立支援制度の見直しに向け、社会保障審議会の部会で議論されているものと承知しておりまして、都はその動向を注視してまいります。
 次に、生活困窮者に対する支援についてであります。
 各区市等の自立相談支援機関が生活困窮者自立支援法に基づき包括的な支援を実施しております。
 都は、TOKYOチャレンジネットにおける仕事と住まいを失った方への支援や、フードパントリーの設置運営に対する支援等を実施しているところであります。
 なお、所得保障は、社会経済状況全体を踏まえ、基本的に国の責任で対応するべきものであると考えております。
 次に、子育て世帯生活支援特別給付金についてであります。
 この給付金は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、児童扶養手当受給者や低所得の子育て世帯を対象に支援をしております。
 都は、母子及び父子福祉資金の返済を猶予しているほか、生活資金の緊急貸付や納税猶予など様々な制度や相談先をまとめたサイトを運営しております。
 次に、ひとり親家庭の食料品等の提供についてであります。
 令和二年度に児童扶養手当受給世帯等を対象に実施した新型コロナウイルス感染症緊急対策に係るひとり親家庭支援事業では、約七万五千世帯から申請があり、食料品や生活必需品を提供いたしました。
 本事業実施以降、ひとり親への就業支援や相談支援等を強化するほか、様々な給付金を支給しております。
 次に、低所得者等の冷房器具の購入等についてであります。
 生活保護制度では、保護開始時や転居の場合などの要件に該当する者に対して、冷房器具の購入等に必要な費用の支給が認められております。
 都は、健康維持管理上、必要な場合には保護開始時等に限らず、冷房器具の購入設置経費の支給を可能とすることなどを国に対し要望しております。
 なお、低所得者世帯向けの貸付けである生活福祉資金では、冷房設備等の設置費が対象となっております。
 次に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険の保険料、税の賦課方式や料率は、区市町村が自ら定めるものであり、それぞれの議会での議決を経て決定されております。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づく財政支援を行っております。
 国民健康保険は全国統一の制度であり、子供に係る均等割保険料の軽減措置を含め、その制度上の課題については国が責任を持って対応するべきものであります。
 次に、高校生等への医療費助成についてであります。
 都は、区市町村長との会議等で、都としての考え方を丁寧に説明しており、引き続き調整を進めてまいります。
 次に、義務教育就学児医療費助成の実施状況についてであります。
 令和四年二月現在、都内二十六市のうち所得制限を設けているのは十七市であり、そのうち六市は中学生など一定年齢以上の児童の保護者を対象としております。
 なお、通院時のみ一部自己負担を設けているのは二十三市でございます。
 次に、東京都健康長寿医療センターの常勤医師についてです。
 医師の確保は年間を通じて様々な方法で採用活動を実施しており、令和元年度は十六名、二年度二十一名、三年度は十九名の常勤医師、歯科医師を採用しております。
 一方で、退職などもあり、平成三十年度当初の百二十九名に対し、令和四年度当初は百二十名となっております。
 最後に、避難所及び福祉避難所についてであります。
 区市町村長は、災害対策基本法及びその施行令等に定める基準等に基づき、避難所を指定することとされており、都は、区市町村からの依頼に基づき、必要に応じて、都立施設を避難所や福祉避難所として提供しております。
 また、避難所において良好な生活環境が確保されるよう、管理運営の指針を作成し、区市町村に周知しております。
 今後、東京都地域防災計画の改定方針に基づき、避難所等について、東京都防災会議に設置される部会で、避難対策を検討していく予定であります。
   〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、無症状者への検査についてでございますが、PCR検査は、感度は高いものの検体の回収が必要であり、検査時間も長く、結果が判明するまでに時間を必要といたします。一方、抗原定性検査はPCR検査と比較いたしまして、感度が低下する可能性はございますが、その場で簡便かつ迅速に結果が判明するとされております。
 都は、検査の規模や実施体制などを踏まえまして、それぞれの特性を生かした検査方法を組み合わせ、効果的に検査を実施しております。
 続きまして、集中的検査についてでございますが、都はこれまで、高齢者施設等におきまして、入所者へのワクチン接種を進めるほか、陽性者発生時の即応支援チームの派遣などを行っており、こうした感染拡大防止の取組の一環として、施設職員等を対象とした集中的検査を実施しております。
 集中的検査は陽性者を早期に発見し、ウイルスを施設内に持ち込ませないことを目的としておりまして、引き続き、施設に対しまして検査の実施を働きかけてまいります。
 最後に、療養中の高齢者へのリハビリテーションについてでございますが、都はこれまで、高齢者が療養する際に、身体機能の維持や低下防止を図れるよう、高齢者等医療支援型施設におきまして、治療や介護に加えまして、退院後に元の生活へ戻るために必要なリハビリテーションを行ってまいりました。
 また、高齢者の場合は、心身への負担を軽減するため、生活環境をできる限り変えずに療養できることも重要であることから、高齢者施設への往診などにより、必要な医療を提供する取組も進めておりまして、引き続き適切に対応してまいります。
   〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 都立、公社病院の独法化についてでありますが、都民の皆様や現場で働く職員に対しては、独法化の目的や意義等について、様々な媒体を活用して、丁寧に広報、説明してきております。
 また、都議会においても、様々な関連議案等について広範に議論をいただき、都民の代表である議会の議決をいただきました。
 こうしたことを踏まえ、地方独立行政法人法に基づき、公的な手続を経て、七月一日に東京都立病院機構を設立いたします。
 引き続き、新たな都立病院として、行政的医療を充実させるとともに、地域医療の充実にも着実に貢献し、都民ニーズに的確に対応してまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、パートナーシップ宣誓制度についてですが、意図せず性自認や性的指向を知られてしまうアウティングへの対策を求める当事者の声に応えて、手続についてオンラインで完結する仕組みを都は全国で初めて導入することといたしました。
 また、制度案では、パブリックコメントを踏まえ、オンラインによる手続が著しく困難な方におきましては、対面での手続を可能とすることとしております。
 十一月の制度運用開始に向けまして、引き続き必要な準備を着実に進めてまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度の周知についてですが、十一月の運用開始に向けては、ホームページやSNSなどを活用した広報を実施いたしまして、制度趣旨などが分かりやすく伝わるよう取り組んでまいります。
 また、多様な性への都民理解を促進するため、他の自治体などと連携して制度の周知に努めてまいります。
 次に、感震ブレーカーの普及についてですが、先般公表いたしました新たな被害想定では、地震発生から数日後の復電による通電火災等の可能性を示したところでございます。
 感震ブレーカーは、通電火災の防止に一定の効果がある一方で、揺れと同時に電源が遮断され、照明や医療機器の電源が確保できないなどの課題もございますため、設置時には、機器の特徴を十分に理解しておく必要がございます。
 また、出火の防止には、避難時のブレーカーの操作や消火器の設置など、様々な取組が重要であり、引き続きこうした取組を都民に促してまいります。
 最後に、水害対策における気象情報の活用についてですが、都はこれまでも、気象庁から入手した気象警報や時々刻々と変化する気象状況について速やかに発信し、区市町村が適時適切に避難情報を発令できるよう支援してまいりました。
 今般気象庁は、線状降水帯による大雨への危機感を高めてもらうよう、線状降水帯予報を開始したところでございます。
 引き続き、こうした気象情報も活用しながら、関係機関と連携したオペレーションに取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、電力の安定供給についてでございますが、今夏、今冬は厳しい電力需給が想定され、またウクライナ、ロシア情勢によるエネルギー危機は長期化するおそれがございます。このため、都は、脱炭素化の視点も踏まえ、電力の安定供給の確保に向け、東京電力に対して株主提案を実施いたしました。
 電源構成等のエネルギー政策の在り方につきましては、国レベルで議論、検討がなされるべきものでございます。
 都としては、これまで以上に、電力を減らす、つくる、ためるための省エネ、再エネ等の取組を一層加速させてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの供給拡大についてでございますが、再エネ電力の利用拡大に向けては、電力供給事業者による再エネ電力の供給拡大が重要でございます。
 環境審議会の中間のまとめでは、電力供給事業者に対し、都内に供給する再エネ電力割合の二〇三〇年度目標の設定、各年度の計画策定、これらの報告、公表を義務づけるべきとされています。
 今後とも、制度の検討を進め、再エネ電力利用割合を五〇%程度に高める目標の達成に向けて取り組んでまいります。
   〔五十七番藤田りょうこ君登壇〕

○五十七番(藤田りょうこ君) 神宮外苑について、知事に再質問いたします。
 ラグビー場に向かうイチョウ並木について、事業者は早い段階から移植は困難、つまり伐採と判断していたことを知事は知っていたのですかと私は質問いたしました。
 これに対し、令和二年二月の時点では、事業者から都に提出された計画に移植が困難であると記載されていたとの答弁がありました。つまり知事は、令和二年二月時点で知っていたのですね。端的にお答えください。
 次に、横田基地について再質問いたします。
 都市整備局長は、空輸基地としての役割は変わらないと答弁しました。しかし同時に、五月に他の基地の航空機、すなわち戦闘機も参加し、離着陸を含めた迅速な展開を行う訓練などが実施されたと認めました。矛盾に満ちた答弁です。
 横田基地が単なる空輸基地ではなく、前線での素早い作戦展開を行う拠点に変貌しているということが答弁から明らかではありませんか。お答えください。
 以上で、明確な答弁を求め、再質問を終わります。(拍手)
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 二点の再質問にお答えいたします。
 ラグビー場に向かうイチョウ並木についてでございますが、先ほどもご答弁しましたとおり、令和二年に事業者が提案した計画では移植が困難であるとされておりましたが、その後、事業者から都に提出された環境影響評価書案では、改めて今後詳細な調査を行い、移植の可否を検討するとされております。
 なお、この評価書案は、令和三年八月に都として公表しております。
 次に、横田基地についてでございますが、国からは、横田基地の基本的役割は空輸拠点であり、また、在日米軍の司令部としての機能及び輸送拠点としての機能を果たしていると聞いており、都としては、横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。

○議長(三宅しげき君) 百一番山口拓君
   〔百一番山口拓君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百一番(山口拓君) 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 コロナ禍は、もともと苦しい生活をしていた人たちを厳しい状況に追い込み、さらに原油や原材料価格の高騰、円安の進行に伴う物価高騰の影響などによって、都民生活はますます苦しくなっています。
 小池知事も補正予算を提案するなど、都民生活を守る取組を打ち出していますが、その規模は他の項目の予算と比べても小さく、生活危機に瀕する都民に十分に寄り添った内容とはいえません。
 今後も物価高騰が続くといわれる中にあって、より踏み込んだ抜本的な対策を講じていくことが求められているのではないでしょうか。
 例えば、家計の底上げをすべく、賃金引上げの取組、とりわけ都が直接関与できる保育士や介護士など、福祉の現場で働く人たちの処遇改善、建設現場で働く人のための公契約条例の制定などを通じた賃金の引上げは急務です。あわせて、非正規雇用の正規化、同一労働同一賃金の推進、男女の賃金格差の是正にも取り組む必要があります。
 また、分野別では、家賃補助など住宅セーフティーネットの構築、子育て世帯に対しては、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充、ひとり親家庭への支援強化などが必要です。
 私は、これらの取組を着実に進めることで、経済的にも格差や段差のない社会の実現を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新型コロナ対策について伺います。
 知事は所信表明において、コロナに係る取組と課題をまとめたと述べましたが、私たちが求め続けているコロナ対策の検証とは、到底かけ離れたものといわざるを得ません。検証のないままでのコロナ対策補正予算となっていることは残念でなりません。
 コロナ禍からの脱却に際して、都として明確な軸が必要ですが、率先した動きは見られず、知事は積極的な判断、発信をしていません。難しいことや微妙なことは国に委ねて、様子見を決め込んでいるようにも見えています。
 また、対策本部会議のコロナ対策のまとめにおいて、昼夜を問わずコロナに向き合い続け、膨大な業務をこなされた職員の皆様の労を多としつつも、第五波における医療崩壊などの深刻な事態に対して、深掘りし、未来に伝えるべき課題や教訓を率直に書かれなかったことは残念です。
 国は、コロナ対応を検証した後、感染症対策の司令塔となる庁を創設し、対策の強化を図ると報じられています。都においても、第六波を脱しつつある今こそ、私たちが再三求めてきた検証を行った上で、新型感染症対策の体制を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、経済支援について伺います。
 都内中小企業は、混迷さを増す経済、いつ切れるかどうか分からない雇用調整助成金、コロナ禍で抱えた多額の借金返済など、先行きに対する大きな不安を抱えています。
 都の補正予算では、中小企業支援として、私たちが求めていた資金調達策や輸出支援などが盛り込まれました。計上された事業予算の規模感に不満は残るものの、これらの予算を中小企業が最大限に活用していくよう、取り組まれることが重要です。
 中小企業がコロナ禍で抱えた負債を解消し、明るい未来を迎えられるよう、さらなる成長に直結する売上げ増加、付加価値向上等に向けた支援を強化していくべきです。
 経済活動を再び活性化させる中小企業支援策がさらに必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、観光業、飲食業支援について伺います。
 三年ぶりに行動制限のなかった大型連休では、都内の人出が大幅に増え、観光、旅行への意欲や需要は既に大きく高まっています。
 しかしながら、せっかく観光客や旅行客が来ても、受入れ側においては、コロナ禍による業績の悪化やそれに伴って人材が流出してしまったことから、誘致とともに受入れの体制も整えなければなりません。
 東京都は、補正予算で観光、飲食事業者への支援を行うこととしていますが、こうした業界への経営支援や人材不足への対策が不可欠となっています。また、業界において関わる人たちがキャリア構築を望め、やりがいを高める対策も必要です。
 観光業、飲食業における振興策を推進させるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京の農業支援について伺います。
 国内では、肥料の流通価格が最高値となり、燃料費やビニールといった資材費が上昇し、都内農業のコスト負担は一段と重くなっています。
 都においては、農業などへの支援を補正予算で行いますが、都内農業の経営、収益向上に資する支援に取り組むべきです。都内の消費者などに、島しょ部を含めた都内各地で生産された農産物を供給する取組です。
 東京の農業を持続させるために支援を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、賃金の引上げです。
 大幅な物価上昇による実質賃金の低下は、個人消費を冷え込ませ、企業収益にも悪影響を及ぼします。
 こうした状況の中、国は地域の中小企業も含めた賃上げ推進を打ち出しており、都としても企業の賃上げを後押ししていくべきです。とりわけ、食料品など生活必需品の価格急騰によって、所得の低い非正規労働者などの暮らしはますます厳しくなっています。
 そこで私は、都としても不本意非正規の正規雇用化をはじめ、男女間賃金格差の是正など、あらゆる取組を通じて、企業における賃上げを後押ししていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、雇用、就労対策の充実について伺います。
 私たちは五月九日の要望で、グリーン、テクノロジーなどの成長分野や介護など、人手不足だが重要な分野に働き手を移動させる取組を増やすことを求めてきました。
 しかし、補正予算では十分なものとはなっていません。
 国においても、約百万人を対象に職業訓練などを行う施策パッケージを示していますが、その規模では不十分だとの声もあります。
 成長分野や人手不足の分野に働き手を移動させるためにも、職業訓練の拡充や就職支援の推進など、雇用、就労対策を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、労働相談体制の強化について伺います。
 国分寺と八王子の労働相談情報センターが立川の新たな拠点に統合され、二つの労政会館が廃止となります。
 雇用就労状況は、非正規労働者が四割近くとなり、コロナ禍が長期化する中、五万件を超える労働相談を受けていますが、今後多摩地域では、一事務所での対応となってしまいます。多摩中央南部の相談拠点がなくなる一方で、対面での相談やあっせんで初めて分かることがあるのです。
 そこで私は、労働相談体制の機能を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、島しょ振興について伺います。
 東京都議会立憲民主党として八丈島を訪れ、農業、水産業、障害者福祉、看護人材、特別支援学校など、様々な課題について視察してまいりました。これら課題への対応を進め、さらには若い世代が新たに取り組んでいるワーケーションや魅力発信など、島の未来を輝かせる種を大きく育てていかなければなりません。
 東京の島しょ部では、人口減少により五町村が過疎地域に指定されており、コロナ禍でさらに厳しい状況になっています。人口が減ることで、教育、医療、防災など、基礎的な生活条件の確保に支障を来しかねず、担い手不足などから、地域の生産機能低下も危惧されています。
 島の主体性というだけではなく、コロナ禍から立ち直ろうとしている島しょ地域の活性化に向けて、都が伴走支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 この夏に懸念されている電力需給の逼迫に対して、国政においては、原子力発電を最大限活用しようとする動きが見られます。
 しかし、最大限活用すべきなのは、再生可能エネルギーなのではないでしょうか。
 ここ数年、大手電力会社が再生可能エネルギーの発電事業者に対して、太陽光発電の出力抑制を要請するような事態が頻発していますが、こうした事態を早急に改善することが必要です。
 東京電力や国への積極的な働きかけをはじめ、再生可能エネルギーを最大限活用するための取組について、知事の見解を伺います。
 次に、省エネルギー対策について伺います。
 現在、直面しつつある電力不足、燃料費高騰への対応はもちろんですが、そもそも我が国は資源を輸入に頼っており、技術革新と創意工夫による省エネルギーを徹底するため、もっと注力して取り組む必要があります。
 そのためには、熱効率や熱利用の高度化、そして高断熱等の住宅普及に係る課題や東京に多い賃貸住宅でも、省エネ性能がよい住宅を増やす方策など、幅広い取組が必要です。
 都として、徹底した省エネルギー推進により一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新築住宅への太陽光パネル設置義務化について伺います。
 省エネへの徹底した取組と同時に、全速力で進めなければならないのが再生可能エネルギーへのシフトです。
 そんな中、知事が提案する太陽光パネルの義務化に、都民の間で反発の声が高まっています。この原因は、建物が密集する東京においては、比較的不利となる太陽光パネルをなぜ義務化するのかという疑問もさることながら、突然義務化が課されるという印象を都民が持ってしまったことにあると考えます。
 私たちは、都民との草の根の対話、都民目線で政策をつくり上げる気候変動都民会議の設置や太陽光発電や蓄電池、熱利用や高断熱化などを組み合わせたZEH一〇〇%を目指した支援策が必要と考えています。
 都民の理解を得ることなく、太陽光パネルなどの設置義務化を導入すれば、省エネ、再エネの推進に対して逆効果となりかねないことを危惧するものです。
 知事自身が改めて真摯に義務化の意図を説明し、都民の共感と納得が得られる形で進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、神宮外苑のまちづくり、樹木の保全について伺います。
 東京の文化と歴史の面から、神宮内外苑は大変重要な地区であり、当時の都は、風致地区に指定することによって、その緑を守る姿勢を示したといわれています。
 また、都は緑の創出、保全にも取り組んでいます。五月二十六日、私たちが都に樹木の伐採を最大限行わないよう、事業者に求める要請を行ったその当日に、都が都民参加などを求めた申入れを実施しました。
 神宮外苑の再開発においては、樹木伐採を減らすことを求め、改めて緑を守る姿勢を示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供施策について伺います。
 子供政策連携室がヤングケアラーなどの課題を掘り下げていくことは否定しませんが、子育てを社会全体で担っていくという価値観の転換に向けた取組こそが必要です。
 例えば、私たちは、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充などを訴えていますが、就学援助制度など、親の所得で制度の対象とする、しないを分けるのではなく、親の所得に関係なく、全ての子供を社会全体で育てるとの普遍主義的な取組こそが必要であると考えます。
 子育てを社会全体で担っていくという価値観の転換に向けて率先した行動を求めますが、知事の見解を伺います。
 東京都議会立憲民主党は、ヤングケアラー対策の条例化、日本語を母語としない子供への支援など、子供施策の推進を求めてきました。
 子供政策連携室においては、これまで各局の事務分担の隙間になっていた部分をカバーするような都の施策構築に役割を果たすことを期待しています。
 そこで私は、スピード感を持って施策、事業実施に結びつけるよう求めるものですが、見解を伺います。
 子供施策を進める上で、教育の役割は極めて重要です。
 このような中、さきの本会議における浜教育長の新任挨拶の中で、子供を人材と捉える発言もありました。東京都こども基本条例が制定されて以降、初めての教育長の就任挨拶でもありましたので、もっと子供目線、子供の最善の利益を踏まえた発言があってもよかったのではないでしょうか。
 そこで、東京都こども基本条例の理念を踏まえ、どのような教育施策に取り組んでいかれるのか、改めて教育長の見解を伺います。
 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担うため、負担も大きくなります。加えて、コロナ禍やウクライナ危機により、雇用が不安定となったひとり親もいます。
 こうした状況を踏まえれば、低所得が多いひとり親への支援拡充は欠かせません。ひとり親への支援をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、補正予算では、養育費確保支援事業として、区市負担分を都が全面負担する予算も計上されていますが、当該事業を実施しているのは令和三年度現在、十五区市にとどまっています。
 私は、都内全ての自治体で養育費確保支援事業が実施されるよう、都の継続的な支援を求めるものですが、補正予算の内容も含め、見解を伺います。
 保育所について伺います。
 小池知事就任以降、保育園待機児童数は大きく減少しています。今後も引き続き、隠れ待機児なども含め、その解消に取り組んでいただきたいと思いますが、一方で、地域によっては空き定員が生じている保育所も見られます。今後、少子化の進行もあり、より厳しい経営を強いられる保育所も増えるのではないかと懸念します。
 ゼロ歳児の定員に余裕が出てくる一方、一歳児の待機児が解消されない中、都は今年度から、ゼロ歳児から一歳児への定員変更を行う保育所への補助を始めていますが、今後もこうした取組のさらなる拡大が求められます。
 私は、待機児童や空き定員など地域の実態を踏まえながら、保育所への支援策をさらに強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、男女平等参画社会の推進について伺います。
 今定例会には、審議会等の男女比をいずれの性も四〇%以上とする男女平等参画基本条例の改正案が提案されています。
 一方で、この間の現場の声を踏まえると、特定の委員に依頼が集中することや、同じような分野から、同じような意見を持つ人が複数選任されることも懸念されなくはありません。より幅広い分野から積極的な登用することで、多様な意見が反映されるよう取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、審議会の女性四〇%の早期達成、女性ゼロの審議会ゼロの徹底をすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都は、都庁職員のうち、行政系管理職に占める女性割合を二〇二五年までに二五%にする目標を掲げていますが、一方で、都の政策連携団体は、女性管理職についての目標もなく、固有職員における女性管理職がゼロの団体も少なくありません。
 そこで、女性管理職の登用をさらに進めるなど、都の政策連携団体における男女平等参画の推進を求めるものですが、現状を含め、見解を伺います。
 男女平等参画社会の推進には、男性の育児休業の取得促進も不可欠です。
 さきの育児・介護休業法の改正によって、男性育休の分割取得が可能となったことなどから、補正予算では、男性育休の分割取得を支援する育休取得によるパワーアップ応援事業二億円が計上されています。
 私は、制度や事業の周知をはじめ、支援拡充などを通じて、男性の育休取得をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 今定例会には、東京都版パートナーシップ制度を導入する条例改正が提案されています。
 都に先行して導入した自治体で制度を利用した方からは、二人の関係は、社会に隠さなければという潜在意識があったが、公的に関係性を認知してもらい、宣誓が心の支えになった、病院等で家族と同様に扱ってもらえるという期待、安心感があるといった声があります。制度を導入するからには、こうした期待に応える取組を一つ一つ進めていかなければなりません。
 性的マイノリティーが日常生活や社会生活において差別的な取扱いを受けることがないようにするため、条例改正を機に、区市町村との連携をより一層深めるとともに、都としての新たな実施計画が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、ウクライナ支援と反戦への取組について伺います。
 ウクライナからの避難民を受け入れることは当然ですが、保護を求めて日本にやってくる外国人は、ミャンマーやアフガニスタンなど、ウクライナからだけではありません。国際都市を標榜する東京都として、これらを分け隔てなく受け入れるという姿勢を内外に示していく必要があるのではないでしょうか。
 ウクライナからの避難民支援をきっかけに、ミャンマーやアフガニスタンをはじめ、保護を求める人たちが希望を抱けるよう、都の率先した取組を求めるものですが、知事の見解を伺います。
 ロシアによるウクライナ侵攻、そしてまた、アジアにおいても緊張感が高まっている現状を受けて、都民の平和への思いもますます高まっています。
 先日、これまで東京都平和祈念館について言及をしてこなかった東京空襲犠牲者遺族会の方々から話を伺う機会がありました。東京大空襲をはじめとする戦争の実相とその歴史を、世代を超えて語り継いでいくことは、再び戦争の惨禍を繰り返さないためにも不可欠です。
 改めて、東京都として平和祈念館を整備していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、もともと公開を前提にして録画された東京空襲体験者の証言ビデオについては、早急にデジタル化し、全面的公開、活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○知事(小池百合子君) 山口拓議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、段差のない社会の実現についてのお尋ねがございました。
 コロナ禍で、人々の暮らしや働き方が影響を受ける中、都はこれまでも「未来の東京」戦略におきまして、仕事や住居をなくした方などの自立支援、また就労に困難を抱える若者へのきめ細かなサポートなど、誰一人取り残さないセーフティーネットの構築に取り組んでまいりました。
 こうした中、今般の物価の高騰などが都民生活にさらなる影響を及ぼしており、民生児童委員による相談体制の充実や、ひとり親世帯の就業、養育費確保の支援など取組を一層強化することといたしました。
 今後とも、社会情勢の変化に的確に対応しながら、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる段差のない社会を実現させてまいります。
 次に、今後のコロナ対策についてでございます。
 二年半にわたるコロナとの闘いの中で、都は対策本部を設置して、総力を挙げて感染拡大防止対策や医療提供体制の充実に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かすことで、幾度かの感染の波を乗り越えてまいりました。
 また、この間の都の体制につきましては、担当局長の設置や関連部門の強化、応援体制の構築など臨機応変に対応してまいりました。
 皆様のご尽力で、病床使用率等も下降傾向にございますが、コロナとの闘いは終わったわけでございません。
 都は、今般、今なお続くコロナとの闘いを振り返り、改めて成果や課題などを取りまとめたところでございます。これまで培った知見と経験を武器に、今後とも万全な体制の下、柔軟かつ機敏な対策で立ち向かってまいります。
 次に、中小企業への支援についてでございます。
 コロナ禍にウクライナ情勢や円安などが加わりまして、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした状況に適切に対応する施策を行うことは重要です。
 中小企業の経営環境を取り巻く様々な状況を踏まえまして、その資金繰りを支える制度融資の見直しを図り、新たなメニューを創設いたします。
 また、原油価格高騰の影響が長引く中、エネルギーコストを減らす工夫などを支援してまいります。
 さらに、円安等によります生産コストの上昇を踏まえまして、適切な下請取引を支援するほか、輸出を効果的に進める取組への後押しを行ってまいります。
 こうした支援によりまして、東京の経済を支える中小企業の経営をサポートしてまいります。
 次に、企業の賃上げの支援についてでございます。
 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けまして、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組む場合や公正な待遇確保に向けた環境整備に支援を行っております。
 これらの取組によりまして、働く方の労働条件の向上を進めてまいります。
 次に、島しょ地域の振興についてでございます。
 東京の島々は、豊かな自然環境や特色ある特産品、独自の伝統文化などを有しております。私自身、全て十一の島々を訪問いたしまして、その多様な魅力を実感いたしております。
 しかしながら、観光客の減少や少子高齢化による地域活力の低下など、様々な課題を抱えております。こうした課題の克服に向けまして、各島にある宝物のさらなる磨き上げや移住、定住の促進など様々な取組を展開いたしております。
 今後とも、各町村長をはじめとする多くの皆様と意見交換を重ねるなど、緊密に連携をいたしまして、島しょ地域の持続的な発展を図ってまいります。
 再生可能エネルギーの最大限の活用についてのお尋ねがございました。
 再エネの導入拡大を図るためには、太陽光発電などの再エネ電力が制限されることなく送配電網に供給され、利用されることが重要です。
 そのため、都は、国や東京電力に対しまして、電力系統の増強や最大限活用による電力融通の拡大等につきまして、緊急要望等を実施いたしております。
 また、電力の送配電網への負荷軽減にも資する、自家消費型再エネ設備や蓄電池の導入に対する支援を拡充するとともに、環境価値の都内への還元を条件に、都外への再エネ発電設備設置に対する新たな支援を実施いたします。
 こうした取組によりまして、再エネ電力の地産地消を進めながら、今後とも再エネ導入拡大を図ってまいります。
 新築住宅等への太陽光発電の設置義務化についてのお尋ねであります。
 都内CO2排出量の約七割が建物由来であり、今後の東京の姿を規定する新築建物のゼロエミッション化は急務でございます。
 世界では今、ウクライナ情勢による影響等を踏まえまして、カリフォルニア州やニューヨーク市等に続いて、先月、EUにおいても、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化を表明したところです。
 東京におきましても、エネルギーの大消費地の責務として、危機感を持って行動を加速していかなければなりません。
 現在都は、設置義務化に向けて、個人ではなく事業者を対象とした制度を検討しておりまして、審議会からは、この制度を高く評価するとともに、都民に分かりやすく説明すべきとの意見もいただいております。
 このため、都は、環境局ホームページに専用サイトを開設いたしまして、SNSを活用するなど、制度の意図や仕組みにつきまして積極的な情報提供を開始いたしました。
 今後も、都民、事業者の意見等に真摯に耳を傾け、分かりやすい広報活動を丁寧に展開し、理解と共感を得てまいります。
 神宮外苑のまちづくりについてでございます。
 神宮外苑は、かの渋沢栄一翁らの尽力により、国民の献金、献木によって、開かれた庭として造営されたものでございます。
 今回のまちづくりにおきましても、多くの都民の共感と参画を得ながら進めていくことが重要であり、事業者に対し、その成り立ちを踏まえ、幅広い都民参画に取り組むよう要請をいたしました。
 既存の樹木につきましては、一本一本大切に扱い、様々な工夫により極力保存、または移植するとともに、象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すなど神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めるよう求めたところであります。
 創建時に託された人々の思いを未来へと継承し、多くの都民がスポーツに親しみ、にぎわいあふれる緑豊かなまちへと発展させてまいります。
 次に、子供政策についてです。
 未来を担うかけがえのない存在である子供を社会全体で守り育て、笑顔であふれる東京を実現したい。こうした決意の下、子供政策連携室を核に、政策分野の垣根を超えた取組や先進的な取組に挑戦するとともに、民間等を巻き込みながら、こどもスマイルムーブメントを展開してまいります。
 こうした取組を実践することによりまして、チルドレンファーストの社会をつくり上げてまいります。
 日本に避難した方々への対応についてでございます。
 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為であるとして、国は、ウクライナの人々との連帯をさらに示すべく、避難された方々の我が国への受入れを表明いたしました。これを受け、都は速やかに都営住宅等での受入れを開始するなど、独自の支援策を実施しております。
 日本に避難してきた方々につきましては、今後もこうした国の判断を踏まえ、その都度、必要に応じた対応を検討してまいります。
 最後に、東京都平和祈念館についてでございますが、平和祈念館の建設につきましては、平成十一年の予算審議において、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございまして、その重みを十分認識しております。
 したがって、都議会での一定の審議と合意が必要であると、このように考えております。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) こども基本条例の理念を踏まえた教育についてでございますが、子供は社会の宝であり、子供の最善の利益を確保し、健やかな成長を促していくために、教育の果たす役割は大きいと認識しております。
 これからの時代において、子供たちには、様々な困難を乗り越え人生を切り開いていくことや、多様な人々が共に生きる社会の実現に寄与することが求められております。
 誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育の実現に向け、関係各局と連携し、取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光業等に対する支援についてでございますが、コロナ禍の影響により、厳しい経営状況にある観光業と飲食業への支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、観光業等の事業者が感染防止対策などを行う際に、専門家が助言する支援を拡充します。また、人材不足への対応を進める企業などの求人を開拓し、求職者とのマッチングにつなげる面接会を開催いたします。
 これらによりまして、観光業と飲食業の経営の下支えを行ってまいります。
 次に、東京の農業への支援についてですが、東京の農業の持続的な発展に向け、農業者の経営力の強化や都内での消費の拡大を図ることは必要でございます。
 これまで都は、農産物の加工品の開発に向け、専門家による助言などを行ってきたところでございます。今後は、収穫した野菜の出荷作業を効率化する設備の導入などに対し、支援を行います。
 また、都内で取れた野菜を学校給食に提供するなど、地産地消の取組を進めてまいりました。引き続き都内の飲食店など新たな販売先とのマッチングを行います。
 これらによりまして、東京の農業振興を進めてまいります。
 次に、成長産業分野等への就職支援についてでございますが、コロナ禍などによりまして離職を余儀なくされた方々が、求人の多い業種に就職できるよう支援することは重要でございます。
 このため、都は、成長産業分野等への就職を後押しするため、eラーニングによる資格取得訓練と試験の直前の集中的な指導を行います。
 また、事業拡大を目指す企業などの求人を開拓し、求職者とのマッチングにつなげる面接会を開催いたします。
 こうした取組によりまして、離職者の就職を後押ししてまいります。
 次に、労働相談の体制についてでございますが、都は、多摩の労働相談情報センターの機能を立川に移転し、労働者に対するきめ細かなサポートを展開いたします。
 具体的には、土曜日も相談業務を行うほか、リモートで市役所等からも同センターを利用できる仕組みといたします。
 これらによりまして、多摩地域における雇用就労支援を進めてまいります。
 最後に、男性の育児休業の取得促進についてでございますが、男性の育児休業の取得に向け、その機運を高め、職場環境の整備を図ることが重要でございます。
 都は、男性育休の取得への理解を広げるため、優れた成果を上げた企業の事例を幅広く発信するキャンペーンを行います。
 また、専門家が会社に助言するほか、母親に続き父親が育休を取得する場合に新たな助成を行います。
 これらによりまして、男性の育児休業の取得を後押ししてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 住宅の徹底した省エネルギーの推進についてでございますが、健康的で快適な居住空間を確保しつつ、住宅のエネルギー消費を削減するためには、新築及び既存住宅ともに、高断熱化と設備の高効率化が不可欠でございます。
 このため、都は、高断熱など都独自の基準を満たす東京ゼロエミ住宅への支援や、中小新築建物を対象とした新たな制度の検討を行ってございます。
 さらに、既に存在する約七百万戸の都内住宅ストックの断熱化も加速するため、都は今年度、窓等の改修の支援規模を大幅に拡大いたしました。
 これらの取組によりまして、住宅の省エネ化を推進し、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 子供政策の推進についてでございますが、子供が抱える困難は、家庭環境などの様々な要因が重なり合い、多様な形で顕在化しております。
 このため、子供、子育てをめぐる組織横断的な今日的課題に対し、六つのテーマを設定し、関係各局から成る推進チームを立ち上げました。
 今後、チームごとに機動性を持ちながら、既存の枠組みを超えて先進的な取組の検討を進めるとともに、国内外の先進事例調査や有識者へのヒアリングなども踏まえ、子供が直面する課題の解決に向けた施策の具体化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ひとり親家庭への支援についてです。
 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、生活相談や就業相談、職業紹介を行うほか、養育費相談や離婚前後の法律相談なども実施しております。
 今年度は、就職や転職を目指すひとり親家庭の方を対象に、それぞれの希望や適性に応じたスキルアップ訓練から就労後のアフターフォローまで、伴走型でサポートする事業を実施しておりまして、この取組を拡充するための経費を今回の補正予算案に計上しております。
 次に、養育費確保支援事業についてです。
 都は、ひとり親に対し、養育費の立替え保証をはじめ、養育費の取決めを行う際の公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手続であるADRの利用等に要する費用を助成する区市を支援しております。
 今回の補正予算案では、より多くの区市が本事業に取り組むことで、ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取り、生活の安定を図ることができるよう、区市への支援を充実しております。
 最後に、保育所への支援についてであります。
 都は、待機児童解消に向けて、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱に保育サービスを拡充してきております。
 また、保育所等が空き定員を活用して、在宅子育て家庭の子供を受け入れる取組も支援しているところでございます。
 さらに、今年度からは、ゼロ歳児の空き定員を一歳児の受入れに活用できるよう、定員変更を行う保育所を支援することとしており、今後とも保育の実施主体である区市町村と連携しながら、保育所の取組を支援してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、審議会等における女性の任用についてですが、政策決定過程に多様な価値観、発想を反映することは重要でございます。各審議会等の委員構成を、男女いずれの性も四〇%以上とするクオータ制を導入するため、男女平等参画基本条例の改正を本定例会に提案しており、令和四年度末までに目標を達成することを目指します。
 また、改正案では、審議会等を一つの性の委員のみで組織しないことを義務づけております。
 次に、証言映像の公開、活用についてですが、平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、資料のデジタル化に着手し、より広く活用していくことといたしました。
 証言映像の公開に向けましては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分踏まえて、慎重に検討を進めてまいります。
   〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、政策連携団体の女性管理職割合についてですが、都政の様々な分野において事業活動を展開しております政策連携団体においても、多様な価値観や発想を取り入れるため、女性の力を最大限に生かしていくことが重要でございます。
 これまで各団体において、固有職員の女性管理職への登用を進めております。昨年八月現在、その割合は、団体全体では十六・一%でございまして、民間企業の平均を上回っているところでございます。
 都といたしましては、引き続き、業務内容や職員構成、人事制度など団体ごとの状況を踏まえまして、女性の固有職員が組織の中心的な役割を担える職場環境の整備が進みますよう、適切に指導監督してまいります。
 次に、性的マイノリティーに関する施策についてですが、都では、人権尊重条例に基づき、令和元年に性自認及び性的指向に関する基本計画を策定し、不当な差別の解消や啓発等の推進に取り組んでいるところでございます。
 本計画は、計画期間の終了に伴い今後改定する予定でございます。パートナーシップ宣誓制度の導入を含め、性的マイノリティーを取り巻く状況の変化などを踏まえまして改定いたします。
 また、都と全区市町村とで構成されます施策推進連絡会の場なども活用いたしまして、連携強化を図って、多様な性に関する都民の理解促進を図ってまいります。

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十三分散会

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