令和三年東京都議会会議録第二十三号

令和三年十二月八日(水曜日)
 出席議員 百二十六名
一番北口つよし君
二番かまた悦子君
三番石島 秀起君
四番吉住はるお君
五番森澤 恭子君
六番松田りゅうすけ君
八番上田 令子君
九番漢人あきこ君
十番岩永やす代君
十一番成清梨沙子君
十二番おじま紘平君
十三番もり  愛君
十四番関口健太郎君
十五番清水とし子君
十六番玉川ひでとし君
十七番竹平ちはる君
十八番かつまたさとし君
十九番たかく則男君
二十番鈴木  純君
二十一番土屋 みわ君
二十二番平田みつよし君
二十三番西山  賢君
二十四番星  大輔君
二十五番磯山  亮君
二十六番龍円あいり君
二十七番あかねがくぼかよ子君
二十八番保坂まさひろ君
二十九番米川大二郎君
三十番清水やすこ君
三十一番中田たかし君
三十二番斉藤 りえ君
三十三番アオヤギ有希子君
三十四番原  純子君
三十五番福手ゆう子君
三十六番古城まさお君
三十七番慶野 信一君
三十八番細田いさむ君
三十九番うすい浩一君
四十番浜中のりかた君
四十一番本橋たくみ君
四十二番渋谷のぶゆき君
四十三番林あきひろ君
四十四番伊藤しょうこう君
四十五番田村 利光君
四十六番菅野 弘一君
四十七番白戸 太朗君
四十八番たきぐち学君
四十九番田の上いくこ君
五十番関野たかなり君
五十一番後藤 なみ君
五十二番五十嵐えり君
五十三番西崎つばさ君
五十四番須山たかし君
五十五番原 のり子君
五十六番斉藤まりこ君
五十七番藤田りょうこ君
五十八番原田あきら君
五十九番小林 健二君
六十番加藤 雅之君
六十一番斉藤やすひろ君
六十二番大松あきら君
六十三番伊藤こういち君
六十四番川松真一朗君
六十五番清水 孝治君
六十六番三宅 正彦君
六十七番やまだ加奈子君
六十八番早坂 義弘君
六十九番山加 朱美君
七十番菅原 直志君
七十一番平けいしょう君
七十二番内山 真吾君
七十三番森口つかさ君
七十四番福島りえこ君
七十五番藤井あきら君
七十六番風間ゆたか君
七十七番竹井ようこ君
七十八番阿部祐美子君
七十九番曽根はじめ君
八十番とくとめ道信君
八十一番池川 友一君
八十二番米倉 春奈君
八十三番まつば多美子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番長橋 桂一君
八十七番鈴木あきまさ君
八十八番こいそ 明君
八十九番鈴木 錦治君
九十番ほっち易隆君
九十一番松田 康将君
九十二番山崎 一輝君
九十三番森村 隆行君
九十四番村松 一希君
九十五番入江のぶこ君
九十六番桐山ひとみ君
九十七番本橋ひろたか君
九十八番石川 良一君
九十九番宮瀬 英治君
百番藤井とものり君
百一番山口  拓君
百二番とや英津子君
百三番尾崎あや子君
百四番里吉 ゆみ君
百五番あぜ上三和子君
百六番小磯 善彦君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番柴崎 幹男君
百十二番小松 大祐君
百十三番小宮あんり君
百十四番三宅しげき君
百十五番高島なおき君
百十六番山田ひろし君
百十七番伊藤 ゆう君
百十八番荒木ちはる君
百十九番小山くにひこ君
百二十番増子ひろき君
百二十一番尾崎 大介君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番西沢けいた君
百二十四番中村ひろし君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君

 欠席議員 なし
 欠員
    七番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事武市  敬君
副知事黒沼  靖君
副知事潮田  勉君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務上野 雄一君
政策企画局長野間 達也君
総務局長村松 明典君
財務局長吉村 憲彦君
警視総監大石 吉彦君
政策企画局国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
デジタルサービス局長寺崎 久明君
主税局長砥出 欣典君
生活文化局長武市 玲子君
オリンピック・パラリンピック準備局長延與  桂君
環境局長栗岡 祥一君
福祉保健局長中村 倫治君
福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監清水 洋文君
建設局長中島 高志君
港湾局長古谷ひろみ君
会計管理局長堤  雅史君
交通局長内藤  淳君
水道局長浜 佳葉子君
下水道局長神山  守君
都民安全推進本部長小西 康弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長西山 智之君
中央卸売市場長河内  豊君
選挙管理委員会事務局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局長初宿 和夫君
監査事務局長岡安 雅人君
労働委員会事務局長鈴木  勝君
収用委員会事務局長後藤 啓志君

十二月八日議事日程第三号
第一 第百九十八号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百九十九号議案
職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百二号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第二百三号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六 第二百四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百六号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第八 第二百七号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第九 第二百八号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第二百九号議案
東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十号議案
都立光明学園(三)南棟改築工事請負契約
第十二 第二百十一号議案
都営住宅三H─一〇九東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約
第十三 第二百十二号議案
都営住宅三H─一一二西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
第十四 第二百十三号議案
都営住宅三H─一〇七西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
第十五 第二百十四号議案
都営住宅三M─一〇一西及び三CM─一〇一西(杉並区天沼二丁目・杉並区施設)工事請負契約
第十六 第二百十五号議案
東京都しごとセンター(三)改修給水衛生設備工事その二請負契約
第十七 第二百十六号議案
志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事請負契約
第十八 第二百十七号議案
街路築造工事(三 一整─補三百十四ほか四路線晴海)請負契約
第十九 第二百十八号議案
当せん金付証票の発売について
第二十 第二百十九号議案
杉並区学校教育職員の教育管理職(副校長)任用審査に係る事務の受託について
第二十一 第二百二十号議案
土地の信託の受益権の売払いについて
第二十二 第二百二十一号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第二十三 第二百二十二号議案
品川ふ頭外貿岸壁外四施設の指定管理者の指定について
第二十四 第二百二十三号議案
有明客船ターミナル外一施設の指定管理者の指定について
第二十五 第二百二十四号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外七施設の指定管理者の指定について
第二十六 第二百二十五号議案
東京都立学校における柔道事故に伴う損害賠償の額の決定について
第二十七 第二百二十六号議案
令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)
議事日程第三号追加の一
第一 議員提出議案第二十一号
東京都子どもの医療費の助成に関する条例
第二 議員提出議案第二十二号
東京都青少年の医療費の助成に関する条例

   午後一時開議
○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十一号、東京都子どもの医療費の助成に関する条例外条例一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三宅しげき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十番ほっち易隆君
〔九十番ほっち易隆君登壇〕

○九十番(ほっち易隆君) 先日の所信表明において、知事は、生涯、人を育てることに尽力し、人の力を生かす都市づくりで、東京の発展の礎を築いた後藤新平第七代東京市長の話をされました。
 一に人、二に人、三に人、後藤の残した言葉を改めて胸に刻みながら、この先の未来を担う人を大切に育て上げ、様々な違いを認め合い、誰もが生き生きと活躍する社会を創る、明日への希望に満ちた東京を築き上げるとの決意表明がありました。
 私も、人づくりなくしてまちづくりなし、よい人をつくらなければ、よいまちはできないとの信念で活動をしています。
 そこで、人を育てる上で重要な役割を果たす道徳教育について、小池都知事の認識、見解をお伺いいたします。
 次に、道徳教育を充実させるためには、教員の指導力の向上が欠かせないと考えますが、都教育委員会の取組についてお伺いをいたします。
 コロナ禍において、小中学校では、一人一台端末によるオンライン授業、来年度からは、高校にも端末の導入が行われます。
 デジタル化の波に伴い、町田市においては、チャット機能を使用してのいじめ、自殺など、痛ましい事件もあり、生徒児童一人一人の心のケアやよりどころが大変重要です。
 所信表明で、知事は、東京の未来に思いをはせるとき、目に浮かぶのは、このまちの至るところで笑顔を輝かせる子供たちの素顔と述べられました。
 そこで、東京の宝である子供たちの健全育成のために、子供の心を支えるさらなる取組の充実が必要であると考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 都では、オリンピック・パラリンピック東京大会を契機として、全国大会や関東大会への出場を目指す拠点となる都立高校運動部活動、スポーツ特別強化校を平成二十七年からスタートし、来年度からは三期目の指定を行うこととしています。地域の子供たちに夢を与え、地域のシンボルとなるスポーツ特別強化校にしていただくよう求めます。
 そこで、本事業の指定期間、認定校数、外部人材の活用や科学的トレーニングの導入など、人、物、金を選択と集中により、さらに効果的な事業となるよう、検討会等を立ち上げ、これまでの検証や今後の取組について検討をすべきと考えますが、スポーツ特別強化校の現状と今後の方向性について、都教育委員会の見解を伺います。
 東京都内の高校生のうち約六割が私立高校に在籍をしています。新型コロナの長期化により、私学においても様々な教育活動が制限され、建学の精神に基づく個性ある教育プログラムにも影響が及んでいます。東京の子供たちの多様な進路選択のためにも、私学教育の充実、発展を引き続き図る必要があると考えます。
 こうした中、文科省では、学校法人ガバナンス改革会議が設置、議論が進められています。今後の学校法人のガバナンスを検討するに当たっては、私立学校の経営、ひいては私学に通う子供たちの学びに影響を及ぼすことがないようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ヤングケアラーについてです。
 ヤングケアラーについての関心は高まっており、報道でも取り上げられるなど、概念は浸透しつつあると思います。
 国が中高生を対象に実施した調査では、中学二年生の五・七%、高校二年生の四・一%が、世話をしている家族がいるとの回答となっており、本年五月には、厚労省、文科省の連携プロジェクトチームが取り組むべき施策を取りまとめております。
 そして、支援については、身近な区市町村の取組が必要不可欠です。そこで、区市町村の状況についてお伺いをいたします。
 ヤングケアラーについては、まず概念を知ること、周囲の人が気づくこと、そして適切に関係機関につなぐこと、知ること、気づくこと、つなぐことの三つが重要であります。
 学校等の現場で把握したヤングケアラーを子供と家庭の相談支援を担う子供家庭支援センター等が受け止め、適切な地域の支援機関につなぐことが重要であると考えますが、都の取組をお伺いいたします。
 ヤングケアラーについては、学校の中でも、知ること、気づくこと、つなぐことが大切です。こういった体制を整えるため、都教育委員会としての取組についてもお伺いをいたします。
 不妊を心配している夫婦の割合は、年々増加傾向にあり、二〇〇二年は二六・一%、二〇一五年には三五%となっています。また、実際に不妊検査や治療を受けた方、現在受けている方の件数は、子供がいない夫婦では二八・二%、子供が一人いる夫婦では二五・七%と増えており、実に五組に一組が不妊に悩む時代となっています。
 そして、不妊の原因の半分は男性にもありますが、そのことを知らない男性が多いというのも現状であります。
 そこで、不妊に関する知識については、男性も認識する必要があり、周知することが大切だと考えますが、都の取組を伺います。
 次に、不育症についてです。妊娠はするけれども、二回以上の流産、死産を繰り返して、結果的に子供を持てない場合を不育症と呼びます。習慣あるいは反復流産は、ほぼ同意語ですが、不育症はより広い意味で用いられています。
 日本、アメリカ、ヨーロッパでは、二回以上の流産、死産があれば不育症と診断し、原因を探索することを推奨しています。
 また、一人目が正常に分娩しても、二人目、三人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行う場合があります。
 大多数の不育症は、妊娠十二週未満の初期に発生します。不育症に悩まされている方に対して支援をすること、また、周囲に理解してもらえるよう周知を行うことは大切だと考えますが、都の取組をお伺いいたします。
 コロナ対策を機に、在宅勤務や時差出勤など多様で柔軟な働き方が浸透しつつあります。
 しかし、東京都が令和三年度に実施した男性の家事・育児参画状況実態調査によると、未就学児がいる家庭の男性と女性の家事、育児関連時間の差は五時間二十分となっており、夫婦の家事、育児時間は、依然として女性に偏っている状況がうかがえます。
 男性の家事、育児参画を促進するためには、多様な働き方や両立支援制度といった仕組みをつくるとともに、その仕組みを利用しやすくなるような機運醸成を進めることも重要であります。
 そこで、コロナ禍の変化を後戻りさせないためにも、社会全体の意識変革を進め、男性の家事、育児参画の機運をさらに推し進める必要があります。都の取組についてお伺いをいたします。
 また、都内企業における男性の育児休業取得率は増加傾向にあるものの、令和二年度は一四・五%と、まだまだ低い状況です。女性活躍の推進に向けては、男性従業員が、これまで以上に育児や家事を分担できるよう、育児休業の取得などを促進することも重要であります。
 都内企業に対する都の調査では、男性の育児休業取得に当たっての課題として、代替要員の確保が困難、男性自身に育児休業を取る意識がないのほかに、前例、モデルがないといった回答が多くなっております。
 こうした調査結果も踏まえ、男性の育児休業取得の促進に向けて取組を強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 昨日の我が党の代表質問でも取り上げましたが、公共交通利便性の観点から、区部でも、高齢者や障害者にとって不便地域が点在しています。
 また、我が党は、誰もが安全・安心、快適に利用できるよう、公共施設のバリアフリー化を推進してまいりました。
 今年の第一回定例会では、既設道路橋のバリアフリー化について、その取組状況を確認したところ、整備方針を検討していくとの答弁がありました。
 足立区は、川が非常に多い地域であり、橋を日常の生活でごく普通に利用することから、バリアフリー化は非常に大きな課題です。
 例えば、葛飾区との区境で中川を渡る都道の飯塚橋は、高低差があり、橋を渡るためには長いスロープを上る必要があることから、地元はエレベーターの設置を強く要望しています。
 都内には、ほかにもバリアフリー化を図るべき道路橋があり、これら橋梁についての状況を正しく評価をし、広く意見を聞きながら、整備方針を早期に取りまとめていただきたいと考えます。
 そこで、既存道路橋のバリアフリー化の整備方針について、現在の検討状況と今後の取組についてお伺いをいたします。
 先日、豊洲市場などを訪問し、現場の状況を確認するとともに、市場業者の皆さんとも意見交換をさせていただきました。コロナ禍においても、新鮮な魚やお肉などを都民の食卓に届けるために、懸命に業務に当たっている市場業者や都の職員の皆さんに改めて敬意を表したいと思います。
 足立区にも、魚介類を扱う足立市場と野菜や果物、花を扱う北足立市場があります。これらの市場で働く方々からは、老朽化した施設への対応や利用実態に見合わない駐車料金の改善など様々な意見を聞いており、よりよい市場運営に向けては、このような声に向き合うことが重要であるというふうに考えています。
 都は、本年三月に策定した経営指針を踏まえ、今年度中に経営計画を策定することとしていますが、これを機に、業界の意見も踏まえながら、いいところは伸ばし、変えるべきものは見直していくということで、新しい市場をつくっていくべきと考えますが、都の見解をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴誠にありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ほっち易隆議員の一般質問にお答えいたします。
 道徳教育についてのお尋ねでした。
 未来を切り開く子供たちには、多様な人々が共に生きる社会の中で、どのように社会をよりよいものにしていくのか、そのために何をすべきかを自ら考える力が求められます。
 そのため、学校における道徳教育では、自立した一人の人間として、他者と共によりよく生きる基盤となる道徳性を子供たちに育んでいくことが重要であります。
 また、子供たちが、答えが一つではない様々な問いについて、互いに意見を交わしながら自己を見詰め直し、生き方について考えを深めていくことは大切であります。
 こうした学びを広げていくために、今後も、学校、家庭、地域それぞれが互いに連携することで、社会全体で未来を担う子供たちの豊かな心を育み、希望に満ちた東京を築いてまいりたいと考えております。
 その他のご質問は、教育長、関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、道徳教育における教員の指導力向上についてでございますが、道徳の授業においては、子供たちが自己を見詰め、他者と対話し、考えを深めていくことが大切であり、そのためには、子供の意欲を高め、主体的な学びに導く教員の指導力が不可欠でございます。
 都教育委員会は、教員の指導力向上を図ることを目的とし、道徳の授業の在り方や効果的な指導方法を周知するための道徳授業力向上セミナーを毎年開催しております。
 また、子供の興味、関心を引き出す優れた実践事例などを取りまとめたリーフレット等を都内の全小中学校に配布、配信をいたしまして、校内研修等での活用を促しております。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携し、教員の指導力を高める取組を進め、子供たちの豊かな心を育んでまいります。
 次に、子供の心を支える取組の充実についてでございますが、子供の健やかな成長を支えるためには、教員が日常的にきめ細かく関わり、ケアすると同時に、子供が自分の大切さに気づくことができるようにしていくことが重要でございます。
 そのため、学校では、教員が子供の小さな変化を見逃さないよう、積極的な対話や注意深い観察等を行い、必要に応じ、スクールカウンセラーが相談支援を行っております。また、自分に合った方法でストレスを解消することや、悩み等を相談することの大切さについて、発達の段階に応じて指導するなど、自分を大切にする心を育んでおります。
 子供の心を守り、内面から支えていくためには、不安や悩みを受け止めるとともに、子供が自分の価値に改めて気づくような働きかけも重要でございます。
 今後とも、こうした自己肯定感を高める取組も併せて進めてまいります。
 次に、都立高校におけるスポーツ特別強化校についてでございますが、都教育委員会は、部活動の一層の振興と競技力向上を目的として、スポーツ特別強化校を指定しております。現在、四十校五十八部を指定しており、遠征費等の支援を行い、関東大会で優勝する等の実績を上げているところでございます。
 今後、さらなる競技力の向上を図るには、スポーツ医科学の観点から、データに基づく科学的トレーニングを積極的に取り入れ、合理的かつ効果的な部活動を行っていくことが必要でございます。
 このため、来年度の指定の切替えに当たりましては、科学的トレーニング法を導入する部活動の取組を重点的に支援をいたします。また、学校関係者等による検討会で、競技力を向上させる効率的な練習方法や効果が現れるまでの指定期間等について研究や検証を進めてまいります。
 最後に、学校におけるヤングケアラーへの支援についてでございますが、教員は、日常的に子供と接していることから、小さな変化に気づき、子供が抱える様々な課題を早期に発見し、福祉等の支援につなげることが重要となります。
 都教育委員会は、教員がヤングケアラーについて理解を深められるよう、生活指導担当者の連絡会で、支援の実例について紹介し、各学校の研修等で理解促進を図ってまいりました。また、子供を取り巻く状況を把握するためのアンケートの定期的な実施などを通して、子供が相談しやすい環境をつくるよう促してまいりました。
 今後、こうした取組に加え、子供自身がヤングケアラーについて理解するための資料を作成し、活用を促すことにより、学校が、支援の必要な子供を福祉等の関係機関に確実につなげられるようにしてまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校の振興についてでございますが、私立学校は、それぞれの学校の建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を展開しておりまして、東京の公教育において重要な役割を担っております。
 そのため、都は、教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性を高めることを目的に、経常費補助をはじめとした各種の助成を行うなど、その振興に精力的に取り組んでおります。
 現在、国において、学校法人のガバナンスについて議論されていますが、都としては、これまで私学振興において配慮してきた児童生徒に与える影響や学校教育の実態を十分に考慮することを強く求めているところでございます。
 今後とも、私学の自主性を尊重しながら、公教育の一翼を担う私立学校の振興に取り組んでまいります。
 次に、男性の家事、育児参画についてでございますが、女性も男性も輝く社会を実現するためには、男女が協力して家事、育児を担うことが必要であり、未来の東京戦略では、二〇三〇年に向けた政策目標として、家事、育児関連時間の男女差半減を掲げております。
 都では、社会全体の意識改革を図るため、あらゆる都民に向けたサイトを開設し、夫婦で楽しく家事、育児を分担する工夫や先進的企業の取組事例を紹介するとともに、関心の薄い人も共感できるような著名人をインフルエンサーとして起用するなど、広報展開を図っております。
 今後も、子育て中の夫婦、企業経営者層、若者からシニアまで、様々な対象ごとに最適な手法を選択しながら、訴求力のあるメッセージを発信いたしまして、男性の家事、育児参画を一層促進してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、ヤングケアラーに係る区市町村の取組状況についてであります。
 昨年度国が実施した調査の都内分の集計では、区市町村の約九割はヤングケアラーの概念を認識し、そのうち約四割が実態を把握していると回答しております。
 把握していると回答した自治体にヒアリングしたところ、多子世帯やひとり親などヤングケアラーの家庭の状況は様々であり、多岐にわたる関係機関が連携しながら支援していることが明らかになっております。
 また、支援の課題といたしましては、子供自身にヤングケアラーである認識がない、家族は助け合うものなので、子供が家事、育児を手伝うのは当然と考えているなどがございました。
 次に、ヤングケアラーへの支援についてであります。
 ヤングケアラーの実態は様々でありまして、関係機関の連携が重要であることから、都は今年度、子供と子育ての相談窓口である子供家庭支援センター職員を対象に、疾患のある母をケアする子供を事例として、アセスメントや関係機関へのつなぎ方などを議論する研修を行っております。
 また、今年度立ち上げた関係各局で構成する連絡会では、ヤングケアラーであった方から体験談を伺うとともに、必要と思われる支援について意見交換を行っております。
 今後、ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につなげられるよう、連絡会において、関係機関の連携の在り方をはじめ、様々な支援の方策について検討してまいります。
 次に、男性不妊についてでありますが、都は、若いときから妊娠、出産や不妊に関して正しい知識を持てるよう、小冊子を作成し、区市町村の窓口や都内の大学等で配布し、普及啓発に取り組んでおります。その中で、不妊の原因の半分は男性にあることを含め、不妊に関する詳しい情報や妊娠、出産の適齢期等を紹介しております。
 また、平成二十九年度から独自に開始した不妊検査及び一般不妊治療に係る費用への助成では、夫婦がそろって検査を受けることを必須要件としております。申請件数は年々増加しており、多くの男性が不妊検査を受診しております。
 今後とも、こうした取組により、不妊に関する知識の普及を図ってまいります。
 最後に、不育症でございます。
 都は、平成二十四年度から、不妊・不育ホットラインで、専門の研修を受けたピアカウンセラーや医師などが不育症に関する相談に対応しております。
 また、令和元年度から、不育症のリスク因子を特定するための検査費用の助成を独自に開始しております。
 加えて、妊娠支援ポータルサイト、東京都妊活課で、不育症に関する基礎知識や検査、治療の内容、体験談などを掲載し、不育症に関する情報を発信しております。
 今年度から、国も検査費用への補助を開始しており、この事業も活用しながら、不育症に悩まれる方を支援してまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 男性の育児休業取得の促進についてですが、男性従業員の育児と仕事の両立を進める上で、育児休業を取得しやすい職場環境を整備するとともに、そうした社会的機運の醸成を図ることが重要でございます。
 このため、都は、企業の人事担当者向けに、職場で両立を支援するためのノウハウを提供する研修会を実施するほか、男性従業員が育児休業を取得する間に、代わりの社員を確保するなどの企業の取組に奨励金を支給しております。また、ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントにおいて、男性の育児休業をテーマとしたセミナーを実施し、普及啓発を行っているところでございます。
 今後は、奨励金の事業の充実や経営者等の理解促進に向けて、経済団体と連携した啓発キャンペーンを検討するなど、男性の育児休業取得を後押ししてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 既設道路橋のバリアフリー化の整備方針についてでございますが、高齢者や障害者など全ての人が安全で円滑に移動するためには、橋梁を含めた道路のバリアフリー化を進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、バリアフリー法に基づく特定道路上にある橋梁など約五十橋を対象といたしまして、歩行者の交通量や迂回路の有無等の調査を実施してまいりました。現在、これらの調査結果を基に、バリアフリー化の必要性を検証した上で、エレベーターやスロープ等の設置場所の確保など、実現性を考慮し、学識経験者の意見を伺いながら、整備の優先度について総合的な評価を進めております。
 今後、都民の声を広く聞いた上で、既設道路橋のバリアフリー化の整備方針を策定してまいります。
〔中央卸売市場長河内豊君登壇〕

○中央卸売市場長(河内豊君) 今後の市場運営についてでございますが、中央卸売市場が、今後も生鮮品等流通における基幹的な役割を果たしていくためには、経営指針に示した将来像の実現に向けて取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、各市場における施設の老朽化の状況を踏まえ、計画的に維持更新を行うことはもとより、各市場の特性を踏まえた機能強化に資する施設整備を進めてまいります。
 また、公平かつ公正な取引環境を今後とも確保するとともに、コロナ禍において再認識された非接触、非対面に対するニーズの高まり等を踏まえ、Eコマースを活用した販路開拓の取組などを力強く後押しし、新たな時代に対応できるよう、取引の活性化を図ってまいります。
 こうした取組を推進し、将来にわたり都民生活を支え続ける卸売市場を業界と共につくり上げてまいります。

○議長(三宅しげき君) 九十三番森村隆行君
〔九十三番森村隆行君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○九十三番(森村隆行君) コロナ禍の中で、国と地方自治体間の課題に改めて光が当たりましたが、あわせて、これまで以上にその重要性が浮き彫りになったのが一都三県の連携です。特に、休業や時短要請、人流の抑制策は、広域的に連携することで効果を発揮しました。
 また、多摩地域は、地理的、歴史的に神奈川県、山梨県や埼玉県とのつながりが深く、都県境を越えて形成された地域の生活圏や経済圏は今なお生きています。
 目を先に転じれば、二〇二七年に予定をしているリニア中央新幹線の開通により、相模原が名古屋との新たな玄関口に生まれ変わるなど、今後、首都圏と他圏域との結びつきも強まるものと考えられます。
 このように、社会環境が変化する中、新型コロナをはじめとする感染症対策、防災の相互バックアップ体制、域内観光の振興、脱炭素社会の実現に向けた取組など、新たな課題に対して、都が率先して首都圏の自治体との広域連携を推進し、解決を図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先月開催されたCOP26では、脱炭素と併せて生態系の保護と生物多様性の確保の重要性が議論され、話題になりました。
 東京は、大都市でありながら、二千メートル級の亜高山帯とそこに広がる森林、様々な固有種を有する伊豆・小笠原諸島、多くの水鳥が飛来するラムサール条約登録湿地など、豊かな自然の中に多様な生態系が息づいています。これらの生態系は、私たちの社会経済活動やグローバルな気候変動の影響を受けて、日々姿を変えていますが、私は、こうした自然環境の保全と持続可能な利用に向けて、都民の理解と積極的な協力を得るための戦略拠点として、自然史博物館の整備を求めてまいりました。
 都民の関心と共感を得るためには、従来型箱物整備の概念を超え、既存施設のリノベーションやデジタルとテクノロジー、そしてデザインの力の活用、さらには都心一極型ではなく、フィールドと一体となった多極分散型の在り方等を検討すべきと考えております。
 社会課題を解決するのは人であります。東京の魅力を高め、人を引きつけ、都民と共に課題を解決していくためにも、東京らしい最先端の取組が期待されます。
 生物多様性地域戦略の策定に向け、都は、現在検討を進めていますが、都内の貴重な自然に関する情報を収集、保管、分析、発信する拠点として自然史博物館をデジタルやテクノロジーを活用して整備するなど、都民や事業者の自主的な行動につながる魅力ある取組を都として進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、行政におけるデジタル人材の育成について伺います。
 我が会派はこれまで、都のデジタルトランスフォーメーションの推進に当たり、様々な角度から提案をしてまいりましたが、中でもデジタル人材の確保と育成について極めて重要だと考えており、令和二年度決算特別委員会でも、例えば、ベンダーロックインを防止するために必要不可欠なのが職員のITスキルであることなどを強く指摘させていただいたところです。
 本年三月に策定されたシン・トセイで示された目標は、着実に推進されていくべきものと考える一方で、これらは現時点での目標にすぎず、遠くない将来、行政職員の基本スキルとして、ノーコードツールやローコードツールを使いこなして業務に当たる時代が来ると考えており、都職員のITスキルの向上を求めます。
 そのためにも、民間企業が提供する職員向けIT研修の導入など、事務職をはじめとする行政職員向けの研修を大幅に充実すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 この間、私は、いじめによる複数件の重大事態について、保護者や本人の相談に乗ってきました。いじめの防止については、いじめ防止対策推進法に基づき、都条例、そして区市町村条例が制定され、様々な取組や対策が講じられていますが、相談に乗る中で分かったことは、これら種々の取組にもかかわらず、被害者は長年、周囲の理解を得られずに苦しみ続けてきた事実があり、現状に改善が必要だということです。
 区市町村教育委員会には、現在、指導室が設置され、いじめ問題について学校と連携した対応を行っていますが、指導室の役割はいじめ問題の解決にとどまらず多岐にわたり、必ずしも被害者の生徒やご家族に寄り添った対応に専念できない構造的課題があるものと考えております。
 被害者にとっては、一日一日がとてつもない苦しみであり、時にその生命が脅かされています。迅速かつ丁寧で粘り強い対応が求められる中、被害者保護の観点から、事態の解決に向けて専属で対応でき、一定の権限を有する専門家による機関を区市町村教育委員会内に設置することで、組織対応力を強化すべきと考えます。
 そこで、区市町村の教育委員会が、弁護士、医師、臨床心理士などの専門家を活用した第三者によるいじめ対策チームを設置することについて推進するとともに、都として支援することで、被害者に寄り添った対応が可能な組織を構築すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 我が会派の求めにより、都が設置したSNSによる教育相談窓口には、これまで数多くの声が寄せられています。その中にはいじめに関する相談もありますが、件数はさほどではなく、取組の強化が必要です。
 今や全国の教育現場において、民間が開発したアプリなどを導入した、いじめの早期把握や解決に向けた取組が始まっていますが、私が注目をしているのは、アプリなどを活用した取組の手軽さが、相談への心理的垣根を下げる効果に加え、例えば、多くの相談データに基づき、AIが解析、予測して発するアラートの活用やアクセスデータの記録としての活用など、相談員の能力や経験を補助し得るデジタルの可能性です。
 学校におけるいじめ被害の早急な把握を行い、早期対応につなげられるよう、民間が開発したアプリ等、デジタルの力を積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 フリースクールに通う子供たちへの支援について伺います。
 不登校の生徒は増加傾向にあります。教育支援センターなどで学びの機会を得ている生徒もおりますが、残念ながら、その七割以上が公的支援を受けられず、その中で、民間のフリースクール等が提供する多様な場や支援が一定の受皿となり、子供たちを支えています。
 しかしながら、学費の補助がないため、家庭の経済事情により費用を捻出できず、助けを求める声が数多く届いています。
 本来、行政が無償で提供すべき子供たちの教育環境ですが、多様なニーズに応えられていない現状を早急に改善すべきです。
 公的な支援施設とフリースクールの連携を強化し、不登校の子供たちが経済的な事情により必要な支援につながることができない状況を解消していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 多摩地域のまちづくりについて伺います。
 青梅駅前地区では近年、中心市街地活性化法の枠組みの中で、国から基本計画の認定を受けながら再開発に向けた調整が行われてきましたが、都は本年四月、組合設立の許可を下ろし、現在、組合においては、権利変換計画の認可取得に向けた権利者間の調整を行っていると聞いております。
 青梅駅周辺は、都が策定した都市計画区域マスタープランにおいて多摩広域拠点域に位置づけられ、中心市街地としての機能が期待されています。加えて、自然環境共生域に位置づけられる周辺地域との連携など、ポテンシャルがあり、これからのマーケットニーズに合致した再開発にしていかなければなりません。
 しかしながら、近年の建設資材の高騰や事業面積が限られていることから、事業費と採算等の面で調整が難航しております。今後の市街地再開発の流れに大きな影響を与える事業であり、都としての支援を願う声が多数寄せられています。
 青梅駅前地区の再開発に当たっては、中心市街地にふさわしい取組が行われるよう、都として支援いただきたいと考えますが、見解を伺います。
 物流拠点整備について伺います。
 圏央道整備の進展によって、都心を経由していた通過交通が転換され、都心の渋滞が緩和されただけでなく、放射方向の高速道路を結び、首都圏各地を結ぶ時間が大幅に短縮し、物流においても、配送時間短縮や定時性確保により生産性が向上しており、沿線のまちづくりにおいては、この効果を最大限活用した土地利用を進めることが重要であると考えます。
 圏央道青梅インターチェンジの北側では、約四十九ヘクタールの農地を大規模な物流拠点に開発する計画があり、現在、青梅市は都と協議を続けていますが、この規模の土地利用転換に当たっては、関係機関等との調整に向けて極めて多くの検討が必要であり、都の支援が不可欠であると聞いております。
 平成三十一年の予算特別委員会での私の質問に対し、都として青梅市に協力していく旨をご答弁いただき、それ以来、市と緊密な連携をいただいていることを高く評価いたします。
 改めて、青梅インターチェンジ付近に物流拠点を整備することへの都の認識を伺うとともに、現在の取組状況について所見を伺います。
 物流拠点の開発が行われることで、地域住民から寄せられているのが、大型トレーラーなどの往来が増加することによる歩行者等の安全確保についての問題意識です。
 これに対しては、都市計画道路である青梅三・四・一三号線が、圏央道アクセス線の一つとして整備される計画で、この点においても、同じく平成三十一年の予算特別委員会の場で質疑をさせていただきましたが、その後、これまでに航空測量と交通量調査、今年度は、それに基づき交差点部分の形状や道路線形等について協議、検討が行われてきたものと承知しております。
 そこで、改めて、青梅三・四・一三号線の一日も早い整備の実現のため取組を推進すべきと考えますが、現在の進捗と今後の取組について伺います。
 コロナ禍で大きな打撃を受けた観光の振興について伺います。
 国は、経済の回復に向けて、GO TOトラベル事業を来年再開することになり、都も、都民の都内旅行を支援する都内観光促進事業、いわゆるもっとTokyo事業をこれに合わせて再開するということですが、これまで感染拡大が続く中で、マイクロツーリズムなど新たな国内旅行のニーズも生まれており、とりわけ都心から身近な多摩地域においては、自然を求めて都内から訪れる方々も増えています。
 都は、都内観光促進事業の再開に当たり、こうした社会ニーズの変化を的確に捉え、都民の都内旅行を定着させる取組を併せて行っていくことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、今夏開催された東京二〇二〇大会のレガシーについて伺います。
 都は本年五月、コロナ禍を踏まえた新しい日常への対応を加えた自転車活用推進計画を策定し、その中で、都民が自転車をより身近に感じられる機会を創出するための国際的なサイクリングイベントについて言及をしており、これらは今後の観光振興にも大いにつながるものだと考えております。
 今年の予算特別委員会の場で、私から、大会のレガシーコースとして、自転車などの路上競技のコースを活用することについてご提案をさせていただき、それに対して、幅広く検討していく旨の答弁をいただいております。
 そこで、ぜひ大会のレガシーを活用し、東京の魅力向上につながる大会を実現すべきと考えますが、現在の検討状況を踏まえ、都の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の一般質問に、二問ございましたのでお答えいたします。
 まず、首都圏の広域連携についてであります。
 政治、経済、文化など高度に集積する首都圏でございます。我が国の持続的な発展の原動力であり、都が中心となって連携して、課題解決を進めることが重要です。
 今般の新型コロナウイルス感染症との闘いにおきましては、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて、多くの人々が往来する近隣県に都が呼びかけまして、基本的対策の徹底や近隣地域間の観光需要創出など実効性ある取組を一体的に進めてまいりました。
 また、国内初の再エネ電力のグループ購入につきましては、近隣自治体との連携を順次拡大をして、九都県市における再エネ利用促進に向けたムーブメントを先導しております。
 我が国の構造的な課題であり、持続的な成長の鍵となるデジタル化につきましても、その担い手となる人材の育成を九都県市に提案をしまして、先週、私が代表して、国への要望を実施したところであります。
 近隣自治体との緊密な連携の下で、都が先頭に立って、大規模自然災害への備えや気候変動対策などの広域的課題に対しまして、スピード感を持って取組を展開する、そのことによって、首都圏、ひいては日本全体の発展を牽引してまいります。
 次に、生物多様性の保全についてのご質問でありました。
 気候変動とともに、国際社会が連携して取り組まなければならない地球規模のテーマが生物多様性であります。
 来年五月の生物多様性条約締約国会議におきまして、新しい国際目標が採択される予定となっております。
 都は、こうした動きも踏まえまして、新しい生物多様性地域戦略策定に向けました検討を進めており、本年の八月に意見募集の素材として公表したゼロドラフトでは、将来像の実現に向けた基本戦略案をはじめ、自然環境情報の収集、蓄積や多様な主体との連携についても提示をいたしております。
 今後、都民や専門家の意見も参考にしまして、生物多様性の保全と回復、中でも自然環境情報の収集、発信、施設の在り方など、施策の方向性につきましては、ご指摘がありましたように、この際、デジタルなどの新たなテクノロジーを駆使するなど幅広に検討を進めまして、新たな地域戦略を取りまとめてまいります。
 地域戦略の策定をきっかけにしまして、都民や事業者の自主的な取組につなげ、共に行動しながら、将来にわたって生物多様性の恵みを受け続けることのできる豊かな社会を実現してまいります。
 その他のご質問は、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁をいたさせます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) デジタルに関する職員研修についてお答えいたします。
 都のデジタルトランスフォーメーションの推進に当たっては、ICT職などデジタルに関する専門性を有する職員の確保をより一層進めていくとともに、事務職をはじめ、必ずしもデジタル分野の専門的な知見を持たない職員についても、デジタルリテラシーの底上げを図ることで、デジタルテクノロジーの活用について誰もが理解を深めていくことが重要です。
 このため、昨年度から今年度にかけて、職層別の研修にデジタルトランスフォーメーションの基礎的な内容を学ぶ科目を新設したほか、デジタル活用の観点から事務の改善策を検討するグループワーク型の研修、民間企業が提供するオンラインコンテンツの学習環境の提供など、全ての職層を対象に、デジタルに関する多様な人材育成策を展開しております。
 今後は、基礎的なデジタルスキルを身につけ、職員自らがデジタルテクノロジーを業務改善や新たな行政サービスに活用することができるよう、ノーコード、ローコードなどのデジタルツールを利用した体験型学習など、職員研修のさらなる充実を検討してまいります。
 こうした取組を、都のデジタルトランスフォーメーション推進を支える職員の育成策に関する方針として年度内に取りまとめ実施していくことにより、職員全体のデジタルに関するマインドセットとスキルセットの醸成を図り、都政のクオリティー・オブ・サービスの飛躍的な向上につなげてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、専門家を活用したいじめ問題への対応についてでございますが、いじめの解消には、教職員の組織的な取組に加え、心理や福祉等の専門家の協力を得て、子供一人一人に応じた支援を行うことが効果的でございます。
 そのため、都教育委員会は、学校が様々な問題に対応できるよう、全ての小中高等学校にスクールカウンセラーを配置するとともに、区市町村がスクールソーシャルワーカーを活用するための経費を補助しております。また、都教育相談センターに、校長OB、弁護士及び精神科医等から成る学校問題解決サポートセンターを設置し、保護者等の話をよく聞き、公平、中立の立場から助言を行っているところでございます。
 今後、他の自治体で実施している仕組みや組織的対応の事例についても調査し、いじめの解決に向けた取組の充実に生かしてまいります。
 次に、いじめの早期発見に向けたデジタルの活用についてでございますが、学校がいじめの兆候や軽微ないじめも逃さないためには、子供たちにとって身近なツールであるアプリをはじめとしたデジタル技術を活用することが有効でございます。
 都教育委員会は、いじめ等の相談に対応するため、都内全ての中高生を対象に、心理の専門家が対応するSNS教育相談を通年で実施しており、現在、様々なチャネルを設けてアクセスを容易にできるよう検討しているところでございます。
 今後、民間のいじめ通報アプリを一人一台端末に導入して、いじめの早期発見につなげた自治体の事例などを生活指導の担当者連絡会で周知するなど、各自治体が利用しやすいデジタル技術を活用できるよう支援し、デジタル技術を活用した取組を強化してまいります。
 最後に、フリースクールとの連携の強化についてでございますが、学校に通うことができない子供の支援には、フリースクール等の知見が有効でございますことから、都教育委員会は、区市町村が設置する教育支援センターの運営をフリースクール等に委託する際の経費の一部を補助しております。
 この事業を活用したセンターでは、イベントの企画など子供が主体的に取り組むことができる体験活動や、子供の発達の特性を踏まえた支援ノウハウが取り入れられたことで、より子供の気持ちに寄り添った支援方法や活動内容の充実が図られるなどの成果が見られております。
 今後、センターがフリースクール等と協働した効果的な事例を区市町村に周知し、地域の実情に応じた取組を拡充するとともに、様々な民間団体等の強みを生かした多様な連携を推進し、子供の学びの機会を増やしてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、青梅駅前地区の再開発事業についてでございます。
 当地区を含む駅周辺は、都市づくりのグランドデザインに示す中核的な拠点でございまして、建物の老朽化や空き店舗による商業活力の低下などの課題を抱えており、お話のように、中心市街地として商業を活性化し、来街者を増やす必要がございます。
 このため、本事業では、低層部に店舗や公益施設を配置するとともに、人々の憩いや交流の場となる滞留空間を整備し、駅前から旧青梅街道まで連続するにぎわいの形成を図るなどとしております。
 都はこれまで、本事業の推進に必要な技術的助言や財政的な支援を行うとともに、本年四月に再開発組合の設立を認可しており、現在、組合によって権利者調整が進められております。本事業が中心市街地の活性化につながるよう、引き続き地元市及び組合を支援してまいります。
 次に、青梅インターチェンジ北側の地区の物流拠点についてでございます。
 圏央道などの広域的な都市インフラを生かし、多摩地域に物流拠点を整備していくことは、東京及び首都圏の物流を支える上で重要でございます。
 当地区に物流拠点を整備するには、組合施行の土地区画整理事業に併せて市街化調整区域及び農業振興地域の見直しが必要でございます。
 このため、都は、青梅市と物流拠点の整備計画や今後の農業振興等について協議を重ね、国との調整を開始したところでございます。
 今後とも、多摩地域の物流機能の強化に向け、市が進める青梅インターチェンジ北側の地区における物流拠点整備の取組をしっかり支援してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 青梅三・四・一三号線の整備についてでございますが、本路線は、青梅市新町中原から同市今井四丁目に至る延長約三・五キロメートルの都市計画道路でございまして、圏央道青梅インターチェンジへのアクセス路となり、物流や地域の生活を支える重要な幹線道路でございます。
 このうち、青梅市今井五丁目の岩蔵街道から瑞穂町長岡下師岡の青梅街道に至る約一キロメートルの区間につきまして、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。
 これまで、航空測量や交通量調査などを実施し、令和二年度からは、岩蔵街道との接続部の交差点形状を含めた道路概略設計を進めておりまして、今月、地元住民の皆様に事業概要をお知らせいたします。
 今後は、地元の理解と協力を得ながら、現況測量を進めるなど、早期事業化に向け、着実に取り組んでまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 都民の都内旅行の定着についてでございますが、都民が東京の様々な地域を訪問し、その場所の魅力を十分に理解して、身近なエリアに足を運ぶ観光を広げていくことは重要でございます。
 都内観光促進事業の再開に当たり、地域の旅館が旅行業者に地元の観光資源を紹介し、新たなツアーの開発を促す商談会を開催いたします。また、特設サイトを設け、観光ツアーで巡る地域の様々なスポットやイベントについて、都民向けのPRの強化を図ります。
 さらに、地域での宿泊の魅力を高めるため、観光協会や旅館と協力して、地元の食材を使った食事メニューを開発するほか、自然やアクティビティーを楽しみながら、長期に滞在できるプランづくりを支援いたします。
 こうした取組によりまして、東京の各地域の観光面での魅力を高め、誘客の一層の促進に結びつけてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 路上競技コースのレガシー活用についてでございますが、路上競技は、コース沿道の多くの方々が熱戦を間近に体感し、スポーツへの興味や関心を高めるとともに、各地を巡ることから、地域の魅力発信にもつながります。
 都は、現在、東京二〇二〇大会において路上で開催された自転車ロードレースのコースなどを対象に調査を実施し、その活用について幅広く検討しております。
 具体的には、競技人口や国内外の事例など各競技の現況や、実施に関する課題等について調査分析を行っております。
 今後、本調査結果を踏まえ、東京二〇二〇大会のレガシーとして、路上競技コースを大会開催などに活用する方策について具体的に検討してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 三十九番うすい浩一君
〔三十九番うすい浩一君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○三十九番(うすい浩一君) 初めに、リカレント教育について質問します。
 人生百年時代の到来とともに、技術革新等の進展による経済社会の大きな変化に対応するためには、一人一人のライフスタイルに応じた能力、スキルを身につける機会の提供が大変に重要です。
 リカレント教育には、今の仕事に関する学びでキャリアアップを図る、定年退職後の第二の人生で職を得るために学ぶ、子育てなどで長期に離職していた人が必要なスキルを身につけ就職を目指すために学ぶ、仕事とは関係なく心豊かな生きがいのために教養を身につけるなど、それぞれの目的に応じてのパターンがあります。
 二〇一八年に内閣府にて公表された調査によると、学び直しの抱える課題として、プログラムの充実、費用がかかる、時間がない、学習するのに必要な情報が入手できないが上位となっております。
 都庁の各局等で学び直しに役立つ講座等を実施していますが、情報がばらばらで、どこで何を学べるのかが分かりづらい状況です。
 リカレント教育をより一層推進させるために、都として、学び直しを希望する都民が調べやすいように、様々な情報を集約したポータルサイトを構築するべきです。都の見解を求めます。
 また、都立大学における高齢者を対象としたリカレント教育は、一部の方々にとっては敷居が高いと感じるとの声もあります。一こまから受講できる公開講座などの取組を都立大学は進めておりますが、これからリカレント教育を受けたいと思う多くの方が受講できるよう、学習ニーズをしっかりと酌み取っていくべきであります。
 また、講座の実施方法についても、コロナ禍の下でオンライン化が進みましたが、安心して授業が受けられるという声もあれば、対面での実施を望む声もあり、双方のニーズに対応できるよう一層の工夫を凝らしていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 現在、都内には百四十を超える大学が集積しています。東京の知の財産ともいえる各大学は、それぞれの特色を持ったリカレント教育を展開しております。多くの都民がリカレント教育を享受できるよう、都としても、私立大学等、また、区市町村とも連携をし、支援していくことを要望しておきます。
 人生百年時代を迎え、都民一人一人が学び直しやキャリアアップを必要としています。
 都は、未来の東京戦略において、キャリアアップデートプロジェクトを掲げ、その中では、都立大や都立学校、東京しごとセンターなどがそれぞれにリカレント教育を実施されていますが、まだ道半ばであります。
 現役世代から高齢者まで幅広い層がスキルや知識をアップデートできるリカレント教育は大変に重要であり、都庁が一丸となって体制を組んでプロジェクトを推進していくべきです。知事の所見を求めます。
 次に、がん検診受診率向上について質問いたします。
 今年四月の国立がん研究センターの発表によると、二〇〇八年にがんと診断された人の十年後の生存率は五九・四%であり、患者の生存期間は昨年よりも延びています。
 さらに生存率を伸ばすためには早期発見が重要であり、例えば、胃がんの場合、進行度が早期の一期の十年生存率は九割を超えるのに対し、他の部位に転移した四期では六・九%まで下がりました。早期発見によって救える命を救うためにも、がん検診が欠かせません。
 しかし、昨今のコロナ禍に伴う検診中止や受診控えが原因で、二〇年度のがん検診受診者数は一九年度と比べ約二割減少したことが同センターの調査で公表されました。
 東京大学の中川恵一特任教授は、早期発見できたはずの一万人以上のがんが今も進行している可能性があると警鐘を鳴らしております。
 コロナ禍であっても、命を守るためにしっかりと検診できるよう、区市町村と連携をし、体制の強化を図るべきです。都の見解を求めます。
 また、同センターの調査では、職域検診に比べ住民検診の減少が大きかったことが指摘をされております。
 東京都は、企業等と複数の政策分野にまたがって、包括的、横断的な連携協力を行うために、ワイドコラボ協定を生命保険会社等と結び、がん検診受診率向上のために協力をいただいております。
 私の地元足立区の民間企業の中には、自らがん講座を開催して住民の参加を呼びかけて、がん検診を推奨し、足立区と協定を結んで受診率向上の貢献をしている企業もあります。
 都は、そうした企業とも連携をして、行政の手の届きにくいところに協力をいただき、受診率向上の取組を拡充するべきです。都の見解を求めます。
 次に、公共施設のトイレの大型ベッドの整備について質問いたします。
 私は、一昨年の春に、車椅子を利用されている方から、車椅子を降りたときに座位が保てない人がベッドに横たわって用を足すことのできる大型ベッドを、誰でもトイレに設置をしてほしいという切実なお声をいただきました。早速、その方々と共に小池知事宛てに要望書を提出しました。
 調べてみますと、令和二年度末時点での都立施設、区市町村施設における誰でもトイレの設置数は八千八基で、そのうち大型ベッドが設置されているのは九百七十七基と一二%にとどまる状況です。座位を保てない障害がある方は、トイレに大型ベッドがない場合、トイレの床にブルーシートを敷いて用を足すこともあり、車椅子の高さから床への移動は、利用者にとって心身両面での負担は非常に大きいものがあります。
 都は、計画的に公共施設のトイレに大型ベッドの設置を進めるべきです。都の見解を求めます。
 また、大型ベッドの名称も一定ではなく、大人用ベッド、多目的ベッド、介助シート、ユニバーサルシートなど、名称が様々なために情報共有の妨げになっております。大型ベッドの設置をさらに促進していくためにも、名称を統一するとともに、設置場所の情報提供をしていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、高齢者のデジタルデバイド対策について質問いたします。
 都では、行政サービス充実のために、デジタル化を強力に推し進めているところですが、高齢者等の方々が接する機会の多い行政は、東京都よりも身近な区市町村であります。
 区市町村は、介護、医療などの面から高齢者を支える総合相談窓口である地域包括支援センターを運営するなどし、日頃から高齢者の様々な悩みに対応しております。
 そうした悩みの一つが、スマートフォンの使い方であります。コロナ禍の中、高齢者のワクチン接種が始まった当初では、インターネット予約の方が電話よりも取りやすいなどの理由で、スマホを使いたくても使えないという相談が数多く寄せられ、私の地元である足立区では、急遽、ワクチン接種予約の臨時代行窓口を開設し、インターネットによる予約が困難な方に対応したところであります。
 このような高齢者のスマホを使いたいというニーズは、足立区を含め、都内共通のものであり、都が実施しているスマホ教室や相談会を身近な場所での開催を求める住民の声は強いものがあります。
 都は、こうした声を受け止めて、区と連携して、コミュニティセンターや地域包括支援センターなどの高齢者に身近な場所において、スマホ教室や相談会を開催していくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を求めます。
 次に、木密地域対策について質問します。
 首都直下型地震等の災害から都民の生命と財産を守るためには、木造住宅密集地域の不燃化対策のさらなる加速が必要です。
 私は、平成三十一年第一回定例会と令和二年第三回定例会の一般質問で、木密地域の権利者や借家人等の移転先の確保の重要性と、民間の力を生かしての魅力的な計画の必要性を指摘しました。都は、都有地を活用した魅力的な移転先整備事業を足立区江北地区で取り組んでいることを高く評価します。
 先月、国の木造先導プロジェクト二〇二一に今回の事業が採択されたと発表されたところですが、魅力がさらに高まると考えます。
 そこで、都が展開している魅力的な移転先整備事業では、この地区ならではの施設整備を行っていくべきと考えますが、具体的な取組について、都の見解を求めます。
 次に、列車内での安全対策について質問いたします。
 十月三十一日夜、東京都内を走行していた京王線の車内で刃物を持った男が乗客を襲う事件が発生しました。鉄道の車内での凶行が相次いでおり、私の地元の足立区内を走る日暮里・舎人ライナーは自動運転走行であり、車内においての防犯対策は喫緊の課題であります。
 事件を防ぐには危険物を持った人物を車内に乗り込ませないことが一番ですが、朝夕は相当な人が乗り込み、改札スペースが狭いなど、手荷物検査は事実上不可能であります。
 警備の強化を交通局に要望したところ、十一月十九日より、巡回警備の時間延長など、対応をしていただきました。
 今後、こうした事件から少しでも利用者の身を守るために、警備の強化とともに、非常通報ボタンなどの周知や事件に対応する危機管理マニュアルなどの整備に取り組むべきです。都の見解を求め、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) うすい浩一議員の一般質問にお答えいたします。
 リカレント教育についてのお尋ねであります。
 人生百年時代におきまして、幾つになっても豊かな人生を送る上で、テクノロジーやDXの進展、グローバル化の加速など時代の変化に対応して、新たな知識やスキルを身につけるリカレント教育は重要であります。
 そのため、未来の東京戦略では、生涯を通じたキャリアアップデートプロジェクトを掲げ、都立大学等で実践的なプログラムを実施するなど、幅広い層の人や社会のニーズに応じた学び直しを推進しているところであります。
 こうした取組を都民に効果的に提供するためのポータルサイトの構築にも取り組んでおりまして、様々な分野について興味を持って学ぶきっかけとなる短編の動画を配信し、都民の方々のさらに深い学びや都の関連事業の利用につなげてまいります。
 現在、組織横断のプロジェクトチームを設置しまして、ポータルサイトの運用に向けた検討を進めております。
 今後、様々な主体との連携を視野にしまして、サイトに盛り込むコンテンツや多様な学びの場の充実を図るなど、政策をバージョンアップしてまいります。
 その他のご質問につきましては、副知事、東京都技監及び関係局長から答弁といたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 高齢者向けスマートフォン教室等についてお答えいたします。
 今やスマートフォンは、日常生活に欠かせないものとなっています。一方で、国の調査によれば、六十五歳を超える方の約三割の方がスマートフォンを使用しておらず、デジタルの利便性を享受することができていません。このような年齢や能力等による情報格差を是正していくためには、高齢者が身近な場所で、その利便性を知っていただく機会の創出が重要です。
 このため、都では、年度末にかけて、区市町村や自治会と連携し、高齢者が立ち寄りやすい地域センター等を活用して、スマートフォン教室や出張相談会を開催してまいります。教室開催に当たっては、貸出し用スマホを用意するほか、地域のニーズに応じて、時間帯を選べるよう工夫いたします。
 さらに、より多くの方にスマートフォンの利便性を周知するため、都民の皆様の意見等を取り入れたリーフレットを作成し、老人クラブ等と連携の上、二十五万部配布し、教室等への参加やスマートフォンの利用促進につなげてまいります。
 また、先月、相談会に協力いただいている通信事業者やNPO団体、大学生等との連絡会を新設しました。この場では、海外のサポーター制度の事例等を参考にし、今後の支援の在り方について意見交換を行ってまいります。
 引き続き、関係各局とも連携の上、自治体の要望等をしっかりとお聞きしながら、各地域でスマホ教室等を開催し、デジタルに不慣れな高齢者のスマホ利用を促進することで、誰一人取り残すことのないデジタル社会の形成に努めてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 魅力的な移転先整備事業についてでございます。
 木密地域の不燃化を加速するためには、権利者の方々が安心して生活再建できるよう、コミュニティを維持しながら入居できる魅力的な移転先を確保することが効果的でございます。
 足立区江北地区の都有地では、民間活力を生かし、多摩産材を用いた木造の温かな外観に、居住者や地域の人々の交流を促す路地空間やデッキなどを備えた移転先の整備に取り組んでおります。六月には、都と事業者と連携して地元の方に事業内容を説明する機会を設け、その際に出されたにぎわいや憩いの場の創出などの要望を踏まえて、検討を進めることとしております。
 先月、本計画は、耐火性の高い木構造などが評価され、国の補助事業に採択されておりまして、年度内を目途に建設工事に着手し、令和四年度内に入居開始できるよう事業を進めてまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、リカレント教育のポータルサイトについてですが、都の各局や都立大学等においては、学び直しに役立つ様々な教育コンテンツを提供しており、こうした情報を都民に分かりやすく発信していくことが重要でございます。
 このため、都は今年度、リカレント教育に関するポータルサイトの開設準備を進めているところでございます。サイトの構築に当たっては、各局等で実施する講座等の情報を、部署間の垣根を超え、経営、金融、ものづくりといったカテゴリー別に整理し紹介するとともに、希望する講座等を簡単に探し出せるよう横断的な検索機能の導入を検討してまいります。
 加えて、学び直しの体験談や、専門的な内容をかみ砕いて伝える解説等の動画コンテンツを充実いたします。
 こうした都民の学びを支援する取組を通じまして、誰もがスキルや知識を常にアップデートできる環境を整えてまいります。
 次に、都立大学におけるリカレント教育についてですが、社会人や高齢者などリカレント教育の対象層における学び直しのニーズは多様であり、これらを的確に捉え、効果的な教育プログラムを展開することが重要でございます。
 都立大学では、誰もが気軽に受講できる公開講座を開講しており、受講者アンケートも踏まえ、文化や歴史、健康づくりなど、ニーズの高いテーマを選定しております。
 今後は、公開講座のホームページにおいて、講座に対する意見や要望を集約する機能を新たに追加し、受講を検討中の方なども含めた幅広い声の把握に努めてまいります。
 また、対面方式とそのライブ配信を併せて行う講座の実施方法につきまして、来年度中の導入に向けて検討を進めております。
 こうした取組により、幅広い層に対して多様な学びの機会を提供してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、コロナ禍におけるがん検診についてです。
 昨年四月と五月に、国の通知を踏まえ多くの区市町村が検診を延期し、その後、全ての区市町村で再開されました。その結果、昨年度の国が推奨する五つのがん検診の受診者の合計は、一昨年度から約二十三万人減少の延べ二百二十二万人となっております。
 都では、区市町村に対し、感染対策を徹底した上で検診を実施するよう重ねて通知するとともに、コロナ禍により受診を控えた住民に対する受診機会の確保や、包括補助等を活用した個別勧奨などに積極的に取り組むよう働きかけております。
 今後、受診率が向上している区市町村の先駆的な取組事例を共有するなど、区市町村と連携して、がん検診の一層の受診率向上に取り組んでまいります。
 次に、企業等と連携したがん検診の受診促進についてであります。
 都では、企業や関係団体等と連携し、都民向け啓発イベントの開催やポスターの配布等を通じて検診受診の重要性を周知するとともに、ワイドコラボ協定を締結している企業のご協力を得て、顧客や従業員に対する啓発を図っております。
 また、本年九月に開設した特設サイト、コロナ禍におけるがん検診受診ガイドにおいて、企業が顧客への啓発に活用できる受診啓発用リーフレット等を掲載しております。さらに、検診会場における感染対策等を盛り込んだ受診促進のための動画を新たに作成し、今月から、本サイトに掲載しております。
 今後、この動画を、SNSなど様々な媒体を活用して広く周知することとしておりまして、企業等と連携して、がん検診の受診率向上に取り組んでまいります。
 次に、公共施設のトイレにおける大型ベッドの設置についてであります。
 都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで、望ましい整備の一つとして、車椅子使用者用トイレの一か所以上に大型ベッドを設置することとしております。
 これまで、本マニュアルの内容を区市町村との連絡会議で周知するなど、公共施設等のトイレへの大型ベッドの設置を推進しております。
 引き続き、高齢者や障害者、介助者など様々な方の意見も伺い、設置促進に向けた取組を検討し、全ての人が安心して外出できるよう、ユニバーサルデザインのまちづくりをより一層推進してまいります。
 最後に、大型ベッドの名称と情報提供についてであります。
 都は、現在、多様な利用者のニーズ等に配慮したトイレの設置管理に関するハンドブックを作成しているところであり、今後、その中で取り扱う大型ベッドについて、分かりやすい名称を提案し、広く普及を図ることを検討してまいります。
 また、公共施設等のトイレに設置された大型ベッドなどの情報は、とうきょうユニバーサルデザインナビを通じて提供しておりまして、この名称を使用し、設置場所などについて分かりやすい情報提供に努めてまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 日暮里・舎人ライナーの安全対策に関するご質問にお答えいたします。
 交通局では、テロ対策等に関する危機管理対策計画や各現場の異常時対応マニュアルを定めておりまして、訓練などを通じまして職員の対応力の向上を図ってございます。
 日暮里・舎人ライナーでは、日頃から駅係員等による巡回を実施しており、他社線での事件を受け、現在は緊急対応としまして、巡回時間の延長を行うなど、警備体制を増強してございます。
 また、非常通報器による通報へのご協力につきまして、ポスター等による周知に取り組んでおり、今後は、通報器の位置をより分かりやすく表示してまいります。
 さらに、防護盾等、暴漢対策用具につきまして、各駅への配備を充実することとしており、これに伴いまして、マニュアルをより実践的なものとするなど、一層の安全確保に努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) 三十五番福手ゆう子さん
〔三十五番福手ゆう子君登壇〕

○三十五番(福手ゆう子君) 私は、文京区内にある医療生協の病院で八年間働いてきた中で、安心して暮らせる住まいが重要だと痛感してきました。都営住宅に入りたい何人もの区民の方の相談や応募の手伝いをしてきましたが、何度応募しても当せんせず、その間に病気になって県外の施設に入った方など、たくさん見てきました。
 高齢で階段が上がれなくなった、家賃の支払いが大変になったので引っ越そうにも区内で住まいを見つけられず、住み慣れた文京区を離れるしかありません。退院後の住まいの確保も難しく、入院を延長する実態があります。
 文京区が行う障害者福祉に関する会議でも、文京区は低家賃の住居がかなり少ない、生活保護の支給額内で住めるアパートは風呂なしが多いという実態が出されていました。
 住み慣れた地域で、身体状況や所得に応じた住まいが探せない状況がある中で、都営住宅の果たす役割を知事はどう認識していますか。
 文京区では、都営住宅の公募数が極めて少なく、直近五年間で公募に出たのはたった四十五戸です。倍率も、二〇二〇年八月募集で、本郷四丁目アパートが二百五十倍、二〇二一年八月の募集でも百八十八倍と異常な高さです。耐震化の対象のアパートは、空いていても募集が停止され、さらに募集枠が狭まっていることも一因ですが、そもそも文京区の都営住宅戸数が少な過ぎるのです。
 建て替え時に戸数を増やすべきですが、見解を伺います。
 建て替えによる移転などは、住人にとって生活が一変する大変な出来事です。住まいをどうするかを考えるのは、十分な時間が必要ですから、住人に事前に十分な時間的余裕を持って、きちんと情報は知らせていくべきです。同時に、今後の建て替えのときのため、区内の仮移転先の確保の計画もしっかり示していくべきです。伺います。
 例えば、私の地元の後楽園や大塚の都営住宅は、昭和三十年代に建てられ、七十年がたとうとしていますが、今後の方針も説明もされず、一度も耐震診断が行われていません。住人からは、地震が怖いという声や、廃墟の写真を撮りに不審者がカメラを持って都営住宅内に勝手に入ってきたことがあったと話してくれました。住人の不安は計り知れません。早期に説明と対策を取ることを求めておきます。
 次に、痴漢、盗撮対策について、被害の具体的な状況も示しながら質問します。
 私たちは、十一月に都内の電車、駅での痴漢被害と盗撮被害についてのウェブアンケートを実施し、十日間で約千二百人もの方が回答を寄せてくれました。
 ワンピースのボタンの隙間から指を入れて太ももを触られた、体を密着してきてお尻に性器を押しつけられた、足がつかなくなるほど満員の電車でスカートの下から女性器に指を入れられたと深刻な被害状況が記載されていました。ショックや恐怖で抵抗できず、さらに、勘違いといわれるのではないかと懸念して声を上げづらくなっています。声を上げても、周囲に知らないふりをされる場合も少なくなく、駅員や警察の対応が不適切で傷ついたという声も多数ありました。
 高校生から、盗撮もひどいという声を聞き、盗撮被害もアンケートの対象にしました。足の間にトートバックをねじ込まれて、バック内にカメラのレンズが確認できたなどの被害が寄せられました。
 盗撮はスマホの普及などで増加し、検挙件数だけでも十年間で二倍になっています。盗撮は、下着を盗み撮りされるだけでなく、大切な自尊心や安全な生活の感覚も奪われます。
 被害に遭ってから、夜道もエスカレーターも階段も、必死にスカートを押さえながら、後ろをきょろきょろ見て生活しているという声も寄せられました。しかも、画像が加害者の手元に残ることや画像がネットに流出する恐怖があります。
 盗撮被害も痴漢被害も深刻な性犯罪、あってはならない人権侵害です。盗撮や痴漢など性暴力被害による心身に及ぶ重大な影響の実態を知事はどう認識していますか。
 また、被害の実態を把握し、関係機関と連携して、声を上げたくても上げられない被害者に寄り添った支援を強化すべきです。併せて知事の認識を伺います。
 我が党が昨年行った痴漢被害の調査では、電車の中で被害に遭った方が七割以上、今回の私たちの調査でも、盗撮された場所の一位は公共の乗り物、三位が駅構内でした。毎日利用する鉄道や駅が、皮肉なことに、女性にとってはリスクの高い性犯罪スポットになっているのです。鉄道での対策が急がれます。
 痴漢、盗撮等の被害への交通局の認識について伺います。
 昨年度の都営地下鉄での痴漢の警察通報件数は二十八件に過ぎず、駅員に申出があった件数は把握もされていない状況です。
 私たちのアンケートにも、痴漢を目撃した際に駅員に知らせましたが対応してくれなかった、鉄道会社には犯罪が自社内で多発していることの認識、共有を強めてほしいなどの声が寄せられています。
 被害者が最初に駆け込むのが駅員のところです。痴漢や盗撮被害の対応の職員研修を本気で行うべきです。あわせて、都営交通内の安全と安心に責任を持つ交通局が、都営交通で起こっている痴漢や盗撮の実態を独自で把握するべきです。
 ある高校生は勇気を出して警察に届けたのに、現場で盗撮被害の再現をさせられた挙げ句、決定的な証拠がないので逆に名誉毀損で訴えられるだろうといわれて被害届を出すのを諦めさせられ、今後、エスカレーターの乗り方に注意して生活するようにと注意が足りなかったかのようにいわれました。男性警察官の前で被害と同じ状況を繰り返し再現させられ、被害時の気持ち悪さを思い出し、恥ずかしく、そして怖かったと述べていました。
 警視庁は、痴漢や盗撮などの性犯罪被害者の対応に、被害者が望む性別の警察官が対応するとしていますが、実際はそうなっていない実態があります。どう徹底して取り組むのですか。
 痴漢被害は、満員電車でも、すいている車両でも起きており、女性専用車両の終日化、夜間の設置、導入路線や一編成中の車両数を増やすことが強く要望されています。ところが、都営地下鉄の四路線のうち、女性専用車両があるのは新宿線のみです。
 交通局は、他社との乗り入れがあることや、女性専用車両導入による混雑を理由に導入するには課題が多いとしています。
 交通局自身も加わって二〇一一年に作られた電車内の痴漢撲滅に向けた取組に関する報告書は、女性専用車両の拡大を提言しています。札幌市ではアンケートを取り、六両編成の車両にも女性専用車両を入れています。熊本県では二両編成でも実施しています。都内では相互乗り入れ路線で導入しているところはたくさんあります。
 都営地下鉄の女性専用車両を拡大すべきですが、いかがですか。
 来年度から八両編成となる都営三田線に女性専用車両を導入すること、並行して走る東京メトロ南北線についても、都として導入を働きかけることを強く求めます。
 女性に対し、気をつけてという内容のポスターは、被害に遭ったのは気をつけていなかったからと被害者を責めるものになるので改善してほしいという声も多数寄せられました。実際に、駅構内には、痴漢、盗撮に注意と自衛を求めるポスターやステッカーが貼られています。
 性暴力の問題で周知すべき角度は、責められるべきは加害行為であること、被害者や周囲にいる人がどう行動すべきか、一一〇番通報したらどうなるのかなど、不安や疑問に答える内容であること、被害者は保護されることです。
 京都では、女子大生と鉄道警察隊が意見交換を重ね、女性の意見を取り入れた、周囲の人ができる具体的な行動を伝えるポスターを作成しています。
 ポスター等、周知の内容や方法を、女性や若い方たちの声を聞いて実施することを求めますが、警視庁に答弁を求めます。
 痴漢などが多い根本には、日本に根強い男性優位社会の影響があります。アンケートでは約八割の方が、痴漢対策に必要なことは人権教育、性教育だと回答しました。
 盗撮や痴漢は、性差別の中で生まれた行為です。盗撮は犯罪で、勝手に写真を撮ることは暴力性があることや、盗撮や痴漢が人権侵害であることを学校教育の中で教えていくことが必要ですが、いかがですか。答弁を求めます。
 電車通学の子供の被害も深刻です。何度もその日の通学中に遭遇した痴漢の話を友達に聞いた、下着の中に手を入れられショックで泣きながら話している子もいた、登下校で痴漢されたという話は珍しくありません。被害に遭った子を友達みんなで慰めますと子供たちは日常的に被害にさらされています。
 学齢期の子供が受ける性犯罪で一番多いのが痴漢行為だというのが都民の実感です。特に電車通学が多い東京では深刻です。子供の置かれた実態をどう認識していますか。
 通学中に痴漢や盗撮被害に遭ったことによって学校に遅刻した場合、被害者は遅刻または授業欠席扱いになってしまいます。不利にならない扱いとすることや、痴漢や盗撮についての相談ができる場所を用意するなど、学校での痴漢被害に対するルールを作成することを求めますが、いかがですか。
 ある高校生は恥ずかしいという思いから、被害を痴漢に遭っちゃったと軽くしかいえず、男性教員に取り合ってもらえず、いっても意味がないと思ったそうです。
 国の性犯罪・性暴力対策の強化の方針は、学校での対応の中心となる関係教職員には、性被害の深刻さや加害生徒を含めた対応について必要な研修を行うべきとあります。早急に具体化するべきですが、見解を伺います。
 痴漢や盗撮といった性暴力は、差別社会の中から生み出されています。人権、民主主義、ジェンダー平等を進めることが重要です。
 被害の実態から学び、一人一人の意識を変え、痴漢、盗撮ゼロの社会へみんなで力を合わせることを呼びかけて、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 福手ゆう子議員の一般質問にお答えいたします。
 性暴力被害者への対応についてのお尋ねでございました。
 都は、盗撮や痴漢等の性暴力を含む、犯罪被害による心身への影響などについて実態調査を行っております。調査からは、性暴力の被害によって強い不安感などの症状が現れ、精神的なダメージを受けることが明らかになっております。
 こうした実態を踏まえまして、都は、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、医師等によるカウンセリングなど被害者に対する支援を適切に行っております。
 その他の質問につきましては、警視総監、教育長と関係局長からご答弁させていただきます。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 二点のお尋ねについてお答えいたします。
 まず、痴漢や盗撮などの性犯罪被害者への対応についてでありますが、警視庁では、被害者が望む性別の警察官による対応ができるよう、性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置等の取組を推進しており、今後も、被害者の心情に配意した取組を行ってまいります。
 次に、痴漢被害防止に向けた広報啓発の内容等についてでありますが、ポスターの作成を含め、痴漢対策の推進に当たっては、性別や年齢に関係なく、多くの方々のご意見を踏まえた上で、実効性が認められる取組を行うことが重要であると考えております。
 警視庁では、今後とも、関係事業者等と連携し、痴漢被害防止に向けた効果的な取組を進めてまいります。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校において人権意識を育むことについてでございますが、学校では人権教育を通して、生命はかけがえのない大切なものであることや、相手を尊重し思いやること、偏見や差別意識を解消することなどについて、道徳科をはじめ、学校教育全体で指導しております。
 次に、子供の痴漢等の被害についてでございますが、痴漢、盗撮の行為は、身体だけでなく心へも深刻な影響を及ぼすため、被害に遭った子供の心に寄り添った対応を行うことが重要でございます。
 また、低学年も含め児童が被害者になることがないよう、発達段階に応じて登下校時に犯罪や危険に遭遇することを防ぐ観点からの指導を行い、子供自身の防犯意識の向上を図り、安全に行動できるよう支援していく必要があります。
 次に、痴漢等の被害に遭った子供に対する学校についての対応についてでございますが、被害を受けた子供には、カウンセリングルームなど相談しやすい場所で養護教諭等が話を聞くなど、子供の心情に十分配慮した対応を行うとともに、被害等の状況に応じてスクールカウンセラーや関係機関につないでおります。
 また、通学途中に痴漢等の被害に遭ったことにより学校に遅刻した場合には、子供の不利益にならないよう出席扱いにするなど、各学校で柔軟に対応しております。
 最後に、教職員への研修についてでございますが、教職員が被害を受けた子供の置かれた状況を踏まえ、その心に寄り添った相談支援を行うことや、加害者となった子供がいた場合には、面談に基づいて適切に指導することができるよう、研修を通して、性犯罪、性暴力等への対応について理解を深められるようにしております。
 都教育委員会は、都内公立学校全ての教職員を対象に、学校における被害者支援の現状や性暴力被害の予防に向けた取組などについて、内閣府が作成した研修動画を視聴するよう促し、被害の現状や効果的な予防啓発の手法について理解を図っております。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の果たす役割についてでございますが、都民共有の財産である都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
 今後とも、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、文京区内の都営住宅についてでございますが、都営住宅の建て替え事業におきましては、居住者の世帯数等を踏まえるとともに、立地条件、建築規制等について検討し、地元区等と協議の上、建設戸数を決定しております。
 文京区におきましても、既存ストックを有効に活用しながら、適切に建て替え事業を行っていくこととしております。
 最後に、都営住宅の建て替え等の情報提供についてでございますが、都営住宅の建て替えや撤去につきましては、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら計画的に実施しております。
 建て替え等に伴う居住者の移転につきましては、計画がまとまり次第、居住者に説明し、理解を得ながら進めております。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、痴漢、盗撮等の被害への認識についてでございますが、痴漢や盗撮は犯罪であり、加えて、被害に遭われた方の心に一生の傷を負わせることにもなりかねない行為です。決して許されるものではないと認識しております。
 次に、痴漢被害への対応に関する職員研修についてでございますが、都営地下鉄では、全ての駅係員が適切に対応できるよう、痴漢被害の訴えがあった場合の手順を駅業務ハンドブックに定めまして周知徹底しているほか、朝の点呼等では痴漢に関する事例を共有し、注意喚起を行うなど、日頃から業務を通じた対応力の向上を図っており、引き続きこうした取組を進めてまいります。
 最後に、都営地下鉄における女性専用車両の拡大でございますが、女性専用車両は、痴漢等から女性を守るなどの観点から、路線の実情に応じまして、利用者のご協力の下に運用されているものでございます。
 都営地下鉄では、新宿線におきまして平成十七年から導入してございますが、浅草線、三田線につきましては相互直通運転を行っている事業者で対応が異なっていること、また、大江戸線につきましては、小型車両のため定員が少なく、女性専用車両の導入により他の車両がさらに混雑することなど、課題が多いと考えてございます。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時十分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十三番林あきひろ君
〔四十三番林あきひろ君登壇〕

○四十三番(林あきひろ君) 初めに、カーボンハーフに向けた取組について伺います。
 気候変動に関する政府間パネルが今年の八月に発表しました報告書では、地球温暖化による厳しい未来を予測し、気温上昇抑制の必要性を訴えましたが、先月十三日まで英国で開催された国連気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、いわゆるCOP26では、気温上昇を一・五度までに抑制する努力をすることが、世界の共通目標として正式に文書に明記されました。
 現実を知れば知るほど、気候危機への対応は、まさに一刻の猶予もない状況です。都内のCO2排出量の約五割は産業、業務部門によるものですが、都の脱炭素戦略、ゼロエミッション東京戦略において目標とする、二〇三〇年カーボンハーフというターゲットに到達するためには、事業者による省エネへの取組が非常に重要です。
 十一月に開催されました都の環境審議会企画政策部会で示したカーボンハーフの実現に必要なエネルギー消費量の部門別削減目標の素案では、二〇三〇年における産業、業務部門の目標は二〇〇〇年比三五%の削減と、従来の環境基本計画で定める目標をさらに五%も上回る高いものとなっています。
 しかしながら、目標が設定される一方で、事業者の状況に目を向けると、特に中小零細企業、事業所などからは、マンパワーやノウハウの不足から、省エネ対策を行うという前向きの意思があっても、どのように実施してよいか分からないといった声を耳にします。
 さらに、コロナ禍により厳しい経営環境が続いてきたところに、昨今の原油高の影響を受けていることなどから、省エネに向けた設備投資を行う資金的な余裕がないという実情も考慮しますと、都による積極的な支援が必要と考えます。
 そこで、これまで産業、業務部門におけるエネルギー消費量がどの程度削減されてきたのか、また、今後の目標達成に向け、中小企業への支援をどのように展開していくのかについて、見解を伺います。
 次に、連続立体交差化について伺います。
 都内には、現在、約一千五十か所の踏切が残されているとのことですが、調布市においては、京王線の国領駅から調布駅付近で連続立体交差事業が実施され、平成二十四年に十八か所の踏切が解消、南北間のスムーズな交通が確保されるとともに、線路で分断された市街地が一体となったことで、まちがより活性化し、全体のまちづくりに大きな効果を表しています。
 しかしながら、隣接する柴崎駅、つつじヶ丘駅付近には、いまだ五か所の踏切が残されています。これらの踏切は、その全てがピーク時一時間当たりの遮断時間が四十分以上のいわゆる開かずの踏切となっており、本年四月にようやく踏切道改良促進法に基づく改良すべき踏切として指定されたところです。
 柴崎駅に近接する踏切では、朝夕を中心に多くの歩行者や自転車、自動車が錯綜しています。また、鉄道と交差する都市計画道路調布三・四・九号線では、前後の道路の拡幅が完了しているものの、鉄道との交差部だけが狭隘なままとなっており、小学校の通学路にも指定されている歩道の一部にはガードレールも設置されていないことから、大変危険な状態となっています。
 周辺住民にとって、踏切の解消、狭隘なガード下部分の改善は喫緊の課題であり、早期の解決が必要であることはいうまでもありません。
 そこで、京王線つつじヶ丘駅、柴崎駅付近の連続立体交差化についての都の見解を伺います。
 次に、野川について伺います。
 野川の最上流部は、河川整備計画で、親水性など環境にも配慮しながら護岸整備を行うこととなっていますが、未着手の状況となっています。
 先日、地域の国分寺市民の皆様などから、この区間の整備に関する陳情が一万人を超える署名とともに東京都議会議長宛てに提出されました。
 野川は、延長が約二十キロと長く、流域全体として豪雨対策を講じることが、周辺自治体住民の不安の解消につながるものと考えるところです。したがって、未整備区間についても住民の皆様などの意見をしっかりと伺いながら、地元市とも連携するなど、着手に向けた調整を進めていただくようお願いするところです。
 本年八月十五日には、調布市や狛江市において大雨警報が発令され、野川の河川水位が上昇しました。しかしながら、工事中の野川大沢調節池で増水した河川から取水するなど、これまで整備してきた護岸やこの調節池が効果を発揮し、幸いにも被害は生じませんでした。
 近年、令和元年東日本台風や令和二年七月豪雨など、全国各地で甚大な豪雨災害が発生しています。こうした豪雨は、いつ東京で発生してもおかしくない状況であり、野川流域に住む都民の安全を確保していくためにも、野川の河川整備をより一層推進していくことが重要であります。
 そこで、野川における河川整備の取組状況について伺います。
 次に、都営地下鉄について伺います。
 新宿線は、京王線に相互乗り入れ、直通運転を行っていますが、十月三十一日の夜八時頃、私の地元であります調布市内を走行中の京王線電車内において、刃物を持った男がほかの乗客を切りつけた上、液体をまいて放火し、十八人が重軽傷を負うという凶悪な事件が発生しました。
 八月六日にも、同じく地元の狛江市を走る小田急線電車内において無差別刺傷事件が発生し、十人が重軽傷を負う事件が起きた直後でしたが、その後の九州新幹線での事件等、連続して発生した凶行を受け、国土交通省は今月三日、鉄道のセキュリティ確保に向けた今後の対策を取りまとめました。
 また、車内の防犯関係設備の充実を求める中で、車両新造時や大規模改修時における防犯カメラの設置を義務づける方針を打ち出しました。来年度中にも、防犯カメラの設置基準等が定められていくこととなるようですが、電車内における犯罪抑止のためにも、また、乗客に危険が迫った場合の現場の特定や車内の状況把握に有効な防犯カメラは、乗客の安心・安全に資する車内装備の柱の一つとして、設置の促進が求められます。
 現在、首都圏の大手鉄道会社の防犯カメラ設置率を調べてみますと、一桁台から一〇〇%まで大きな差があります。平成二十九年、全車両に順次防犯カメラを設置していくことを決定した都営地下鉄ですが、駅構内を含めた防犯カメラの設置状況について伺います。
 また、京王線の事件においてもう一点伺います。
 当該列車は国領駅に緊急停車し、乗客の皆さんは次々と避難をされたわけですが、駅前は避難をされた方と救急車をはじめとした多くの緊急車両で埋め尽くされました。その中には地元の消防団も駆けつけ、懸命に作業をされていました。
 後日、消防団関係者や周辺住民の方々からお話を伺う機会がございましたが、当日、大混乱した現場においては、大がかりな消防体制が展開されていたとのこと。つくづく御礼を申し上げるところでございますが、今後の事故、事件、災害時に生かしていくためにも、検証作業は重要なことと考えます。現場ではどのような活動が行われたのか、活動の概要について伺います。
 電動アシスト自転車について伺います。
 交通事故総合分析センター等のデータによりますと、電動アシスト自転車が関係する事故は、令和二年に約二千六百件発生し、平成二十二年の約一千百件から二倍以上に増加、自転車事故全体は、この十年間で半数以下になっていますが、電動アシスト自転車の事故が占める割合は、約五倍へと膨らんでいます。また、高齢者の転倒事故が目立っているとの報道も見られます。
 警視庁によれば、都内の自転車事故の発生件数は、令和元年は一万一千八百七十四件、令和二年は一万四百七件と、自転車事故全体の件数は減少したものの、急速に普及が進む電動アシスト自転車が事故の当事者となったケースは、令和元年は四百六十四件、令和二年は四百六十三件と同規模で推移していますが、令和三年は十月末時点で既に四百九十六件とのことであり、増加傾向にあることが分かりました。
 電動アシスト自転車は、通勤通学や日々の買物、子供の送迎に加えて、宅配等の業務用、レンタサイクルなど、用途は多岐にわたります。また、高齢者の免許返納後の受皿として、外出の足として利用者は今後も増加していくことが予想されます。
 一方で、重量が重く、スピードが出やすいこと、交差点での信号待ちなど、ペダルの足を少し踏んだだけで思いのほか前に出てしまう場合があるなど、停車時、こぎ出し時、走行時、それぞれの場面に応じた乗り方には注意する必要があります。
 そこで、電動アシスト自転車の安全な乗り方について、行政だけではなく、メーカーや販売店とも連携して、安全利用の普及啓発を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 市町村の下水道事業について伺います。
 多摩地域の下水道は、都が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道が一体となって機能していますが、これまでの両者の連携により、汚水処理の普及率は九九%を超えています。
 しかしながら、昭和四十四年に多摩地域に流域下水道を導入して以来、五十年以上が経過し、維持管理に重きを置く時代において、これまで公共下水道を支えてきた市町村の技術系職員数が大幅に減少しています。
 そして、公共下水道管などの下水道施設の老朽化や耐震化、さらには、汚水管に雨水が流入する雨天時浸入水による浸水被害などの新たな課題が生じています。現在、その対策工事には多額の費用がかかっていますが、市町村では限られた体制で、より効率的に事業運営を行うことが求められている厳しい現状があります。
 そこで、多摩地域の市町村の公共下水道事業の課題解決に向けて、今後、どのように取り組んでいくのかを伺いまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 林あきひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、京王線つつじヶ丘駅及び柴崎駅付近についてでございます。
 本区間では、五か所全ての踏切が開かずの踏切となっており、踏切対策の重要性につきましては、都としても認識しております。
 これまで、踏切道のカラー舗装による通行帯の明示など、早期に実施可能な踏切対策が道路管理者や鉄道事業者により実施されてまいりましたが、抜本的な踏切対策に向けて、地元調布市は、昨年度から、鉄道事業者と協力し、鉄道の立体化や沿線まちづくりに関する検討を行っております。
 また、来年度から、連続立体交差化に向けた基本的な計画を策定する連続立体交差事業調査を実施するため、市は先般、国に調査費への補助を要望したところでございます。
 都といたしましては、こうした調査検討に当たり、技術的な助言を行うなど、調布市の主体的な取組を支援してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 産業、業務部門におけるエネルギー消費量の削減実績と中小企業への支援についてでございますが、都内の産業、業務部門のエネルギー消費量は、二〇一九年度速報値で、二〇〇〇年度比約二一%削減となっており、カーボンハーフの実現には、中小企業を含む全ての事業者の削減を加速する必要がございます。
 都は、これまで実施してきた無料の省エネルギー診断等の支援に加えまして、今年度はコロナ禍も踏まえ、省エネ性能の高い換気設備や空調設備の導入を支援する助成事業を実施してございます。
 今後、さらに、原油高を契機として、補助率を引き上げ、支援を強化するとともに、積極的に事業を周知し、利用の促進を図ってまいります。
 こうした取組を通じ、中小企業の省エネに向けた設備投資を加速し、目標の達成を目指してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 野川における河川整備の取組についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河道や調節池の整備を推進していくことが重要でございます。
 野川では、これまで護岸整備を着実に進め、令和二年度末の護岸整備率は八六%となっております。さらに、流下能力を向上させるため、下流から順次、河床掘削を進めてきておりまして、対象延長の約十一キロメートルのうち、約五割が完了いたしました。
 また、野川大沢調節池では、貯留量を従来の一・八倍となる約十六万立方メートルに拡大する工事を実施しておりまして、十一月に取水施設が完成し、本格稼働を開始いたしました。
 今後とも、こうした整備に加え、新たな調節池の事業化に向けた検討を進めるなど、野川のさらなる安全性の向上に向け取り組んでまいります。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 都営地下鉄の防犯カメラに関するご質問にお答えいたします。
 都営地下鉄では、迷惑行為の未然防止やテロ対策など、セキュリティ強化を図るため、車内や駅構内に防犯カメラを設置してございます。
 車内の防犯カメラは、車両更新に合わせまして設置を進めており、今年度は新たに浅草線五編成、新宿線四編成、大江戸線二編成の計十一編成に設置し、令和三年度末時点で三田線を含みます全百五十二編成中、約四割の車両への設置を完了する予定でございます。
 また、駅構内では、全駅に防犯カメラを設置しており、駅係員等が随時状況を確認できるほか、警視庁と連携し、テロ等発生時にカメラの映像を警察へ送信する仕組みを導入してございます。
 引き続き、防犯カメラも活用しながら、お客様の安全・安心の確保に努めてまいります。
〔消防総監清水洋文君登壇〕

○消防総監(清水洋文君) 京王線で発生した事件での消防活動についてでございますが、一一九番通報の状況から、テロ災害や多数傷者の発生が予想されたため、ポンプ隊に加え、高度な指揮機能を有するコマンドカーや救急機動部隊等を出場させ、消火活動を行うとともに、調布市消防団及び東京DMAT、NBC特殊災害チームと連携し、多数の傷者に対する救護活動及び救急搬送を実施いたしました。
 また、車内に何らかの液体がまかれたとの情報から、化学機動中隊の赤外線分析装置により、有毒な物質でないことを確認したところでございます。
 東京消防庁ではこれまで、東京二〇二〇大会に発生が危惧されていたテロ災害等に備え、消防団をはじめ、警察、医療、鉄道等関係機関との連携訓練を重ねるなど、万全の体制を整えてまいりました。
 今後とも、あらゆる災害を想定し、関係機関との連携をさらに深め、災害対応力の強化に努めてまいります。
〔都民安全推進本部長小西康弘君登壇〕

○都民安全推進本部長(小西康弘君) 電動アシスト自転車の安全利用に関するご質問にお答えいたします。
 電動アシスト自転車は、発進時の加速や車体の重量など、普通の自転車とは異なる特性があるため、その特性を踏まえた安全な利用方法を啓発することが必要でございます。
 都は、電動アシスト自転車を運転する際の注意事項など、具体的に記載したリーフレットを作成、配布するとともに、メーカーのご協力を得て、実際に乗車体験ができる安全教室を市区町村と共同で開催しております。
 また、自転車小売業者等に対して、販売や点検の際に、その特性などを購入者等に説明するよう、業界団体を通じて働きかけております。
 今後とも、市区町村やメーカー、自転車小売業者の皆様等と連携して、電動アシスト自転車の安全利用の普及啓発に努めてまいります。
〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 多摩地域の市町村下水道の課題解決についてでございますが、都はこれまでも、道路を掘削せず、老朽化した下水道管を内側からリニューアルできる効率的な更生工法や耐震化工法などに関する技術支援を実施してまいりました。
 当局が下水道指導事務を所管した今年度からは、雨天時浸入水対策のための市町村との合同調査など、連携した取組を一層強化するとともに、立川市が単独で運営しております下水処理場の流域下水道への編入に向けた取組も充実させております。
 今後も、当局が培ってきた技術面、経営面の知見やノウハウなどを活用しながら、広域化、共同化などの支援に取り組み、多摩地域の市町村の下水道事業が持続的に運営されるよう努めてまいります。

○議長(三宅しげき君) 十三番もり愛さん
〔十三番もり愛君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十三番(もり愛君) 政治は子供たちの未来を守るためにある。未来を担う子供たちに持続可能な東京づくりに願いを込め、質問させていただきます。
 まず、気候変動問題に対する東京都の取組について伺います。
 今年、グラスゴーでCOP26が開催されました。直近のIPCC報告書によれば、気温上昇を一・五度に抑えたとしても、過去、前例のない異常気象が頻発すると警鐘を鳴らしています。まさに気候危機であり、都は、ゼロエミッション東京戦略において、いち早く気候危機行動宣言を行い、二〇五〇年までにゼロエミッション東京を実現し、世界のCO2排出実質ゼロに貢献していくことを明言しています。実現に向け具体的な行動が問われています。
 日本の目標は、二〇三〇年、四六%削減ですが、COP26では、現状では一・五度目標に遠く届かないため、二〇二二年度までに目標の見直しを要請されており、取組をさらに強化することが求められます。
 東日本大震災と福島原発事故を経験し、気候変動による自然災害が激甚化、頻発化している日本は、原発によるCO2削減を考えるのではなく、エネルギー大消費地である東京から、再エネの導入拡大に向けた全国的送電網の整備を国に働きかけることが有効です。見解をお伺いいたします。
 再生可能エネルギーを一層推進していくために、再生可能エネルギー由来の水素は、エネルギーの貯蔵、輸送や需給の最適化の面で重要な役割を担います。
 ベイエリアでの取組や南大沢の再エネシェアリングの取組、民間の投資も促し、再エネ由来水素の社会実装に向けた取組を加速していくべきと考えます。知事の見解をお伺いいたします。
 COP26では、ゼロエミッション自動車COP26宣言のほか、様々な議論に各自治体も参加しています。これまで東京は、カーボンプライシングの導入等、国に先駆けた取組を推進してきました。来年はエジプトで開催とのことですので、ぜひ、COP27に向け、国際的なリーダーシップを発揮し、積極的な発信を行っていただきたいと要望いたします。
 次に、食の安全と学校給食改革について伺います。
 国の法改正の動きを見てみますと、二〇一九年、水道民営化法とも呼ばれる改正水道法、また、農業分野では、水と同じく、食のライフラインとして戦後の食料の安定供給を支えてきた主要農作物種子法が二〇一八年に廃止されました。全国一律の制度はなくなり、今後は、各地方自治体が必要に応じて制度をつくり、守ることが求められます。
 以前、議会で確認した際、都として、世界に誇る高品質な東京水道を守っていくこと、また、小池知事より、都の伝統野菜である江戸東京野菜を守り、振興していくとのご答弁をいただきました。
 食の安全は、命に直結するとても重要な課題です。ところが、近年、国の残留農薬の基準値が大きく緩和され、世界の流れと大きく逆行していることを危惧しています。
 二〇一八年、農民連食品分析センターが行った小麦粉のグリホサート残留検査では、輸入小麦粉の食パンのほとんどに残留が見られ、グリホサートは、二〇一五年、WHOの下部組織である国際がん研究機関が発がん性があると指摘し、EUでは使用禁止の一方で、日本では、二〇一七年に、残留基準値が最大で四百倍と大幅に緩和され、使用されています。
 東京都内の学校給食で提供されている輸入小麦を使用したパンや麺などに残留農薬は含まれているかどうか、検査をする必要があると考えます。
 コロナ禍の子供の貧困等、給食が最後のとりでとなっている子供もいます。近年増加している生活習慣病予備軍の子供、またアレルギーの児童等、給食の重要性は高まっています。
 韓国では、既に国策として給食の有機農産物化を進めており、フランスでも、マクロン大統領の公約として、二〇二二年までに食材のオーガニック比率五〇%に向け、法整備が進んでいます。
 地元大田区の森の保育園では、十年以上、有機食材のビーガン給食に取り組んでいらっしゃり、自然の中に設置したフリースクールでは、不登校や発達障害、自閉症等のお子さんが食事を変えることで、子供の行動や学力向上等、驚くほどの変化が見られたと伺ってまいりました。
 残留農薬については基準値が定められておりますが、ネオニコチノイドも国内で使用されており、東京都としては、児童生徒の健康のため、残留農薬のある食品や遺伝子組換え食品を選択するのではなく、より安全な食品を選択し、提供すべきであり、必要に応じて都の補助制度を創設し、推進していくべきと考えます。
 給食の有機農産物化を進めることで、子供たちの健康と安全が守られると考えます。
 学校給食における有機農産物の利用について、都の見解を伺います。
 ぜひ小池知事に強いリーダーシップで、東京の給食改革に取り組んでいただきたいと願い、要望いたします。
 農林水産省は、みどりの食料システム戦略を令和三年五月に策定しました。
 持続的生産強化対策事業の中で、有機農業を推進し、有機農産物の安定供給に向けて、学校給食等を含む販路確保を支援しています。令和二年度の国のモデル事業に東京都が入っていないことは大変残念です。学校給食に東京の有機農産物を提供し、地産地消と子供たちの健康を守る取組を進めるべきと考えます。
 一方で、都内では、農薬等を全く使用しない有機農業に取り組む農家はまだまだ少ない現状があり、有機農業の推進に向けて、まずは化学合成農薬や化学肥料を削減した、環境に優しい農業に取り組む農業者を支援していくことが重要です。
 安全・安心な農産物は、東京の農業の付加価値向上にもつながります。
 そこで、農薬等を削減し、環境に配慮した農業に取り組む農業者を増やすため、支援を進めていくべきと考えます。都の取組について伺います。
 教育活動を安心して行うためには、徹底した感染対策を講じることが必要です。小中学校の教育活動におけるPCR検査について伺います。
 第三回定例会で我が会派は、学校が教育活動を展開するに当たり、PCR検査を活用した安全確保対策を講じるべきと主張し、それに応えて、都は十一月から、小中学校の教育活動におけるPCR検査事業を始めております。
 子供たちにとって一生に一度のかけがえのない野外教室や修学旅行を止めないでほしい、切実な声が寄せられる中、課外学習も再開され、年度末までの春休みの間までに様々な学校で行事が予定されています。
 こうした学校行事を安全に実施するためには、PCR検査事業は重要です。検査の実施期間を年度末まで延長すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、屋敷林など、都市に残る貴重な緑を保全し、未来を担う子供たちに緑豊かな東京を守り育む、東京の緑のまちづくりについてお伺いします。
 東京の緑は、公園、緑地の整備等、緑の創出に取り組んでいますが、樹林地や地域の屋敷林等、東京の緑全体としては減少を続けています。
 私の地元大田区でも、相続により、長年地域で親しまれてきた貴重な社寺林や屋敷林が次々失われていることに大きな危機感を持っています。
 大田区では、令和二年度、特別緑地保全地区を新たに二か所指定する等、地域の人々と共に、屋敷林など緑の保全を進めています。
 都では、令和二年に創設した緑あふれる東京基金を活用し、緑を保全、創出する区市町村の取組を支援しています。
 そこで、都は、屋敷林など地域に残る貴重な緑の保全に取り組んでいる区市町村を積極的に支援すべきと考えます。見解をお伺いいたします。
 東京ベイeSGまちづくり戦略を基に、デジタルやグリーンを高度に組み合わせた新たなまちづくりを臨海部から牽引していくべきと考えます。
 都市計画による誘導も活用し、立体的な緑の創出など、新たな取組に制度充実も含めて挑戦していくべきですが、知事の見解をお伺いいたします。
 今年三月、東京都こども基本条例が議員提案により成立し、あらゆる場面において子供を権利の主体として尊重し、擁護するための施策を推進していくことが示されています。
 しかし、依然として、児童虐待など、子供の権利が脅かされている深刻な状況が発生しています。子供の権利を守るためには、権利の主体である子供自身が、子供の権利について理解することが欠かせません。
 そこで、学校現場において、子供自身が子供の権利について学び、児童虐待の小さなSOSを見逃さないよう、教員が早期発見に努める必要があると考えます。見解をお伺いいたします。
 こども基本条例第十条、子供の意見表明権と施策への反映、第十一条に子供の参加の促進が盛り込まれました。都政の意思決定の場に、子供の意見を反映する体制整備が求められ、都の審議会等、子供の参加と意見を施策に取り入れることが求められます。
 こども基本条例を踏まえ、子供の意見を都政に反映させるための取組についてお伺いします。
 児童虐待は、子供の心に深い傷が残り、フラッシュバックやトラウマに長い間苦しんでいる方も少なくありません。
 虐待の連鎖を断ち切るためにも早期の心のケアを行う必要があります。また、虐待をしてしまった親に対しても、虐待を繰り返さないよう、都として、子供の心のケア、そして、再発を防止するための親の更生プログラムなど、都の取組をお伺いします。
 十八歳以上の虐待を受けた方が行政から見放された状況にあり、十八歳以上の方へ、伴走型で公的なカウンセリングが必要だと考えますので、要望いたします。
 社会的養護の施設を出た後のお子さんの実態調査を求めてまいりました。今年度は五年ごとの追跡調査が行われ、現在集計中とのことです。
 しかし、アンケートが二割しか返ってこなかったこと、八割の方から連絡がないことを重く受け止めて、連絡の取れなかった方への再調査を行うなど、引き続き、社会的養護を出た後のお子さんに寄り添う伴走型の支援を要望いたします。
 乳幼児に対する虐待を防止し、体罰によらない育児を推進するために、母子手帳とともに、これからパパやママになる人が知っておくべき妊娠、出産、育児の情報を伝える父子手帳や親子手帳が各自治体で発行されており、都でも取組を支援すべきと考えます。
 都では、父親ハンドブックの電子版が公開をされています。子供を授かった時点で虐待を未然に防ぐため、親としての心構えや子供の権利について、啓発が必要だと考えます。
 大田区では父子手帳を発行し、独自に工夫している自治体もあります。都としても、区市町村と連携し、子供の権利、体罰によらない子育ての普及啓発が重要と考えます。都の取組をお伺いします。
 最後に、アニマルウェルフエアの推進について質問をいたします。
 動物愛護管理法では、飼い主の責任と動物取扱業者の規制が両輪となっています。フランスでは、今年十一月、店頭販売禁止法が成立し、二〇二四年からペットショップなどで犬や猫の販売が禁止をされ、ブリーダーから直接購入か、保護団体からの譲渡に限られることとなり、飼い主等の責任として、購入者への飼育に関する知識を証明する書類への署名が義務づけられるとのことです。
 今年三月、東京都動物愛護管理推進計画、ハルスプランが策定されました。普及啓発事業を効果的に実施するためには、飼い主責任に関する専門知識が必要であり、例えば民間の支援団体では、動物の生態から、家庭での臨床獣医学、予防獣医学といった知識まで、動物を家族として、猫と共に暮らすための二日間の専門的プログラムを構築し、好評を得ており、そうした団体とも連携し、体系的かつ計画的に飼い主を養成するプログラムが有効です。
 これは都立大学の公開講座ともぜひ連携をしていただきたいと思っているんですけれども、啓発パンフレットを製作し、配布して終わりではなく、必要とする方に届いたか、理解されたかという都民の視点で施策を講じねばならないと感じます。普及啓発のみならず、理解促進のための効果を上げていくことが求められます。
 都民が新たにペットを飼う際、飼い主の終生飼育の意思を確認するなど、動物の適正飼育についての啓発が求められます。都の取組をお伺いし、全ての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) もり愛議員の一般質問にお答えいたします。二問であります。
 再生可能エネルギー由来水素の社会実装についてのご質問でした。
 水素は、様々な資源から製造ができる、そのため、エネルギーセキュリティに有用なほか、大規模、長期間の貯蔵が可能でございますので、再エネの調整力として期待されているところです。
 こうした大きな将来性を持つ水素エネルギーを普及させる、そのためには、水素需要の創出と技術革新によるコスト低減、そして、再エネ由来水素活用の基盤づくりを並行して推進することが重要となってまいります。
 東京二〇二〇大会では、聖火台や聖火リレートーチのほか、選手村において、福島県で製造された水素を一部活用したところであります。
 今後、都は、このレガシーを生かしまして、企業の積極的な再エネ由来水素の導入を促進するほか、南大沢での再エネシェアリングのモデル事業におきまして、年度内に設備を設置、そして、来年度より運用を開始いたします。
 また、東京ベイeSGプロジェクトで掲げます持続可能な都市の創造に向けまして、再エネの活用や商用燃料電池車両の社会実装化などを推進してまいります。
 こうした取組で水素関連市場の活性化を促し、都内の様々なエリアでの活用を推進しながら、再エネ由来水素の社会実装に向けましての施策を強力に推し進め、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
 次に、東京ベイeSGまちづくり戦略についてのお尋ねであります。
 東京ベイeSGまちづくり戦略は、eSGプロジェクトの具現化を下支えするために、行政の取組や民間誘導の方策を示す実行戦略として策定をするものであります。
 先般公表いたしましたドラフトでは、立体的な緑空間の充実や、都市再生プロジェクトにおけます一〇〇%脱炭素化など、大胆な取組の方向性をお示しいたしております。
 今後、民間による都市開発の誘導に当たりまして、シドニーなど海外の諸都市の先進事例を学びながら、立体的な緑やカーボンニュートラルなど都市開発制度の中で評価することで、開発のインセンティブとしてまいります。
 こうした取組を通じまして、東京の次なるステージの都市づくりをリードしていくベイエリアを、質の高い緑と魅力的な水辺空間に囲まれ、自然を感じてゆとりと潤いのある都市へと進化をさせてまいります。
 残余のご質問には、教育長、東京都技監及び関係局長からご答弁いたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校給食における有機農産物の利用についてでございますが、有機農産物とは、化学肥料や化学合成農薬を使用しないなど、環境への負荷を低減した農産物であり、都内公立小中学校においては、環境問題への理解に加え、食の安全・安心の確保の観点などから、それぞれの学校の判断により、給食の食材として利用しているところでございます。
 学校給食においてこのような有機農産物を取り入れ、食育を進める中で、児童生徒が食材の生産過程について学びを深めていくことは重要でございます。
 都教育委員会は、今後、学校栄養職員への研修等において、有機農産物を利用している区市町村の取組や、生産者を講師とした食育の事例などを紹介してまいります。こうした取組により、有機農産物に対する理解を図り、利用を推進してまいります。
 次に、小中学校の学校行事におけるPCR検査事業についてでございますが、継続した学びの環境を確保するためには、学校における感染拡大防止対策を徹底することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、正しい手洗いやマスクの着用などのチェックリストを作成し、学校運営上の日常的な感染症対策について周知し、その徹底を図っているところでございます。
 また、全国大会等への参加や校外学習に当たり、訪問先から求められた際には、教職員や、保護者の同意を得た児童生徒を対象として、PCR検査を実施する体制を整備しております。
 本事業の実施期間につきましては、本年度中の学校行事が安全に実施できるよう、令和四年三月三十一日まで延長することといたしてまいります。
 最後に、児童虐待の早期発見に向けた取組についてでございますが、児童虐待は子供の権利を侵害する重大な人権問題であり、教員は日常的に児童生徒と接していることから、虐待の兆候に早期に気づき、関係機関と連携し、対応を行っていく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は学校に対し、虐待の早期発見に向けたチェックリスト等の活用を促しているところでございます。学校では、教員が児童生徒の発達の段階に応じ、一人一人が大切な存在であることについて、あらゆる教育場面を通じて伝えております。
 また、教員は、子供が相談しやすい信頼関係を築いていくとともに、児童生徒の小さな変化を見逃さず、虐待の疑いのある場合は児童相談所等と連携し、子供への具体的支援につなげております。
 今後とも、子供たちが健やかに成長できるよう、安心・安全な環境を整えてまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 緑豊かな東京のまちづくりについてでございます。
 丘陵地や崖線、屋敷林等の緑を保全し、ゆとりと潤いのある都市を実現していくことは重要でございます。
 都は、これまでも区市町村とともに、丘陵地や崖線の保全を目的といたしまして特別緑地保全地区制度を活用するとともに、身近な緑である屋敷林等を保全するため、都独自の制度である農の風景育成地区の指定などを進めてまいりました。
 また、今年度新たに、緑あふれる東京基金を活用いたしまして、屋敷林等の保全や身近な公園の充実などに取り組む区市町村を支援する補助制度を開始いたしまして、大田区、武蔵野市等におきまして支援を予定しております。
 本基金も活用しながら区市町村の取組を強力に後押しし、屋敷林や地域に残る貴重な緑を保全するなど、さらに緑あふれる東京を実現してまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた全国的送電網の整備についてでございますが、再エネの導入拡大を図るためには、太陽光発電など、全国の再エネ電力が制限されることなく送配電網に供給されることが重要でございます。
 このため、都は、送配電網の容量制限など、再エネ接続の制約の解消に向けて、国に対し、既存送配電網の最大限の活用、広域的な電力融通の実現、送配電網設備の整備について提案要求してございます。
 国は、第六次エネルギー基本計画におきまして、基幹送配電網の増強、再エネが優先的に基幹送配電網を利用できるようにするルールの見直しなどを進めることとしてございます。
 今後とも、国に対しまして、再エネの導入拡大に関する課題の解決に向けた提案を重ねて行ってまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 環境に配慮した農業の推進についてですが、農薬などの使用を減らした農業の推進は、環境負荷を軽減し、消費者からの信頼を高める重要な取組でございます。
 このため、都は、化学的に合成した農薬や肥料を削減して生産した農作物を東京都エコ農産物として認証しており、農薬等を全く使用しない場合には、東京エコ一〇〇としてPRを行っているところでございます。
 こうした認証制度を普及させるため、生産者に対して、その意義やメリットを周知するほか、農薬を減らして栽培する技術や堆肥による土づくりなどに係るアドバイスを行っております。
 また、認証を受けた生産者や販売場所を紹介する冊子を飲食店へ配布するなど、販路開拓を支援しているところでございます。
 今後とも、環境に十分配慮した農業を推進することで、食の安全・安心の確保につなげてまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、こども基本条例についてであります。
 都は、関係局が連携して子供施策を推進するため、子供・子育て施策推進本部の下に二十二局から成る部会を本年四月に設置しております。この部会において、子供を対象とする各局の広報広聴等の取組状況や、有識者から伺った子供の意見表明のための手法などを共有しております。
 先月には、子供、子育て支援策や放課後の居場所づくりなどについて中高生がグループ研究の成果を発表する、こどもシンポジウムを開催しておりまして、引き続き、子供の意見を施策に反映する環境の整備を進めてまいります。
 次に、子供と保護者への支援についてであります。
 都は、虐待を受けた子供に対し、児童心理司との面接や心理検査等による心理診断を行い、様々なケアを実施しております。
 具体的には、児童相談所においてプレーセラピーや心理教育、トラウマを治療する認知行動療法を行うほか、医療機関への通院につなげるなど、子供の年齢や状態等に応じて適切に支援しております。
 また、保護者に対しましては、家族機能の回復を図るため、児童福祉司、児童心理司による家庭訪問や面接指導、精神科医によるカウンセリングのほか、同様の課題を抱える親子が参加するグループ心理療法などを行っております。
 今後とも、様々な援助プログラムを活用しながら、子供と保護者を支援してまいります。
 最後に、体罰等によらない子育てについてであります。
 都は、平成三十一年四月に施行した東京都子供への虐待の防止等に関する条例に、保護者による体罰等の禁止を明記いたしまして、体罰等によらない子育ての啓発を進めております。
 具体的には、体罰が及ぼす影響や子供への接し方のポイントを伝えるハンドブックを作成し、区市町村を通じて子育て家庭や出産前の家庭に配布しております。
 また、母子健康手帳を充実いたしました子供手帳モデルに、子供の気持ちに耳を傾けるなど、子育てのポイントや父親の役割を盛り込み、区市町村へ活用を促しているところでございます。
 さらに、都の児童虐待防止のサイトに育児に関するアドバイスや各自治体の様々な取組も掲載しております。
 今後とも、区市町村と連携いたしまして、体罰等によらない子育ての普及啓発を積極的に進めてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) 動物の適正飼養の啓発に関するご質問にお答えいたします。
 命ある動物を飼うことは責任と負担を伴うものでございます。動物の安易な飼養を防ぐには、飼い始める前から適正飼養について理解をすることが大変重要でございます。
 ペットショップ等の動物販売業者は、動物の愛護及び管理に関する法律によりまして、犬猫等の販売に際し、書面等を用いた適正飼養や遺棄の禁止等の説明が義務づけられております。
 都は、これに加えまして、最後まで愛情と責任を持って飼うことができるかなど、動物を飼う前に確認すべき十項目を記載したチェックシートを作成し、動物取扱責任者研修で活用を促すなど、ペットショップ等で飼い主に適正飼養や終生飼養の責務等を説明していただくよう取り組んでまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 三十一番中田たかし君
〔三十一番中田たかし君登壇〕

○三十一番(中田たかし君) 都議会立憲民主党の中田たかしです。私は区議会議員時代から地域を歩き、地域の小さな声に耳を傾け、様々な問題の解決に取り組んでまいりました。その地域の声をしっかりと都政に反映させていくべく、また、二人の子供を子育てしている親の観点から、都の取組について質問をいたします。
 まず初めに、新型コロナウイルスに関する差別の問題について質問をいたします。
 新型コロナウイルスワクチンの未接種者への差別を条例で禁止している自治体があります。ワクチンが経済再生の柱となっている中で、未接種者が通常の社会生活を送りづらくなる懸念があります。国や自治体の差別対策も曖昧なままになっており、ワクチン接種が進む中、体調面などからワクチン接種ができない人や、接種の意思がない人への差別への対応は喫緊の課題であります。
 新型コロナウイルス関連の差別解消に向けた東京都の取組について、知事の見解を伺います。
 次に、学校での新型コロナウイルス対策について伺います。
 コロナ禍で子供たちの日常の学校生活を取り戻していくために、様々な面で学校への支援、そして各区市町村への支援が必要です。新型コロナウイルスワクチンは十二歳未満の子供たちには打つことができません。
 ワクチンが打てないがために子供たちに様々な制限がかかってしまい、貴重な校外の体験の場への参加ができないことがないように、しっかりとした支援を求めるとともに、東京都教育委員会としても、ワクチンを打てないことへの差別への対応もしっかりと行っていただきたいと考えます。
 教育活動を安全・安心に行うためにどのような感染症対策を実施しているのか、都の取組について伺います。
 都では現在、区市町村立学校の教育活動におけるPCR検査の実施事業を行っています。この事業の要件は、教育活動において主催者団体や訪問先から参加に当たって検査が求められる場合等に、児童生徒及び教職員を対象にPCR検査を実施するとなっています。
 区市町村教育委員会から保護者へPCR検査の実施を案内し、同意書を取った上で、保護者にPCR検査キットの配布が行われ、保護者は手順に従い、唾液を採取して検査事業者に郵送します。検査結果は、区市町村教育委員会を経由して学校に通知され、保護者に通知されます。
 この区市町村立学校の教育活動におけるPCR検査の実施事業は、実施期間が本年の十二月三十一日までとなっています。しかし、私の地元の渋谷区では、全ての中学校が年明け、受験終了後の三月から修学旅行を予定しています。また、小学校でも年明けに宿泊を伴う校外学習を予定しているため、渋谷区の区議会にも区内の学校のPTAの方々から延長を求める陳情も出ています。
 子供たちが安心して、そして安全に校外での活動ができるよう、このPCR検査の事業の延長をすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、いじめの問題について伺います。
 いじめが原因と疑われる児童生徒の自殺などの実態解明を行うため、学校や教育委員会が設置する調査委員会において、遺族側の意向を考慮する仕組みが広がっていない現状があります。行政の不適切な対応、いじめの事実を公表しなかったことなど相次ぐ中で、調査に対する遺族らの信頼を確保する仕組みが不十分です。子供を亡くした親の事実を知りたいという切実な思いが、ないがしろにされている現実があり、遺族の要望を聞いたり、遺族が意見を述べたりする仕組みをつくることが信頼につながります。
 群馬県、そして宮崎県、大阪市、神戸市などは、遺族側が調査委員会の委員を推薦することができる規定があり、岐阜県など十一の自治体では、規定はありませんが、遺族側の要望があれば検討するとしております。
 東京都においても、町田市にて遺族から教育委員会に対して、調査に当たる委員の経歴などについて何度も説明を申し入れたが、これまでに具体的な説明がないということで、不透明な状態で調査が進められるおそれがあるとして、文部科学省に対して第三者による新たな委員会の設置を求める要望が行われるという事案がありました。
 このことからも、しっかりと遺族の意向に沿える規定を明文化し、遺族に寄り添う姿勢を東京都としても示していくべきと考えます。いじめの重大事態が発生した場合に、事実関係の解明のために適切な対応が求められてきますが、都の見解を伺います。
 次に、HPVワクチンについて質問いたします。
 子宮頸がんは、日本で年間約一・一万人の患者の方がいて、約二千八百人の方が死亡しております。四十歳までの女性におけるがんの死亡分類の第二位が子宮頸がんとなっています。子宮頸がんは、HPV、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因であり、その感染を防ぐのがHPVワクチンです。
 日本のこれまでのHPVワクチンの接種状況は、副反応の疑いがある等の報告があり、平成二十五年六月に厚生労働省は積極的勧奨を差し控える通知を行いました。通常、ワクチンの定期接種については、予防接種法に基づいて、区市町村が接種対象者やその保護者に対して接種を受けるよう勧奨しなければならないものとしています。
 そして、積極的な勧奨とは、区市町村が対象者やその保護者に対して、標準的な接種期間の前に接種を促すはがき等を各家庭に送ることにより、積極的に接種を勧める取組を指します。
 今回、国は、諸外国の状況、そしてエビデンスが積み上がったことによって、積極的勧奨を再開するとしました。再開に伴い、これまで積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方へ対応を行っていくことはとても重要です。
 このキャッチアップ接種、後追い接種については、現在、国の審議会で議論が行われておりますが、キャッチアップ接種の導入は、国の制度に先駆け、補助制度を行っている自治体もありますので、ぜひ東京都としても国へ早期導入の要望を行うとともに、都独自の支援策の導入を要望します。
 そして、定期接種外で接種を行うと、定期予防接種の救済制度の枠から外れてしまいますので、しっかりとした接種者へのフォローを行う体制づくりも、ぜひ国に東京都から要望をお願いいたします。
 また、現在では、各自治体がそれぞれの接種計画に基づいて接種率を出していることから、各自治体の接種状況を正確に把握することが難しくなっています。そのためにも、東京都として統一の基準にすべく、通知を行うべきであると考えます。この点についても、東京都には改善を要望いたします。
 国内で公費負担で承認されているHPVワクチンは、二価と四価の二種類です。海外では既に九つの型のHPVの感染を予防し、九〇%以上の子宮頸がんを予防するとされている九価のHPVワクチンが公費接種されており、日本では二〇二一年二月より接種が始まりましたが、いまだ公費接種は認められていません。
 ワクチンに関しては、世界各国の状況をしっかりと把握していく必要があります。現状、HPVワクチンについては、世界から後れを取ってしまっていることもしっかりと踏まえ、対応していくことが必要です。
 そして、海外では男性の接種も公費負担で進んでいます。性感染症を防ぐことに高い予防効果を示されており、海外では男性に対しての接種も推奨されています。HPVは子宮頸がんだけではなく、男性にも咽頭がんや肛門がん、直腸がんなどの原因になることが分かっており、これらのがんの発症を予防することも示されています。
 このように、海外では、子宮頸がん以外の疾病にも効果があるとされている九価ワクチンの接種や男性を含めた接種が進んでいる国もあることから、都においても、ワクチンの種類や対象者の拡充について検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、グリーフケアについて質問いたします。
 グリーフケアの実態調査を行うと国が発表しました。死別を経験した人の喪失感とそれに対して立ち直ろうとする不安定な状態をグリーフと呼び、そういう人たちの援助をすることがグリーフケアです。
 グリーフケアは、阪神・淡路大震災で注目され、子を亡くした悲しみに寄り添う自治体や医療機関、家族の会の支援、さらには流産、死産経験の女性支援も含まれます。この流産、死産を経験した家族のケアについては、国からも不妊治療の支援強化に伴ってきめ細かくケアするようにと今スポットライトが当たっています。
 行政側がこうした家族を支援すべき対象として捉えていない現状があったのが実際で、行政が支援のノウハウを持ち合わせていないことが調査の背景にありました。調査では、全国の自治体や医療機関、家族の会などを対象に、具体的な支援の内容や現場の課題を調べ、分析を行い、結果に基づき自治体や医療機関向けに相談支援の手引を作り、活用を促す方針です。
 現在、東京都では、SIDS、乳幼児突然死症候群をはじめ、病気、流産、死産などで子供を亡くした家族のために電話相談を週一回行っていますが、流産や死産などで悲しみの中にいる家族へのサポートを充実させるためにも、オンライン相談を行ったり、不妊、不育の分野と連携をして家族に寄り添う支援を強化すべきではないでしょうか。また、各自治体、各専門機関との連携状況なども含め、都の取組を伺います。
 以上、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中田たかし議員の一般質問にお答えいたします。
 新型コロナに関する差別解消の取組についてのお尋ねでございます。
 新型コロナウイルスに感染された方や医療関係者、ワクチンを接種できない方などへの誤解や偏見に基づく不当な差別的取扱いは、許されるものではありません。
 都はこれまでも、新型コロナに係る差別等につきまして、専門相談窓口の設置とともに、啓発ポスターの作成や動画を通じましたメッセージの発信など、取組を強化してまいりました。
 今後も、新型コロナに関連いたします差別の解消に向けまして、効果的な啓発等に取り組んでまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、学校における新型コロナウイルス感染症対策についてでございますが、都立学校においては、都教育委員会が作成した新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインに基づき、手洗い、マスクの着用、換気など、基本的な感染症対策を徹底するとともに、学校行事等については、オンラインを活用するなど、内容や方法を工夫して実施しているところでございます。
 また、こうした都立学校の対応につきましては、区市町村教育委員会に対しても周知しております。
 今後とも、学校が感染状況に応じた適切な対策を実施し、教育活動を安全・安心に進められるよう支援してまいります。
 次に、区市町村立学校の教育活動におけるPCR検査についてでございますが、現在、各学校では、基本的な感染症対策を徹底することにより、日常の教育活動を実施しております。
 都教育委員会は、各学校が、感染リスクを可能な限り減らしながら、校外学習などに参加する際に、教職員や保護者の同意を得た児童生徒を対象に、PCR検査を活用できる体制を整備しております。
 本事業の実施期間につきましては、本年度中の学校行事が安全に実施できるよう、令和四年三月三十一日まで延長することといたします。
 最後に、いじめへの対応についてでございますが、いじめにより欠席が長期化するなどの重大事態が発生した際は、学校や教育委員会が法律等に基づき、事実関係の解明や再発防止に向け、それぞれの責務を果たす必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、学校等に対し、重大事態が発生した場合の調査組織の委員選任に当たっての留意点、いじめを受けた子供の安全確保の在り方等について示し、教員が確実に対処できるよう支援してまいりました。
 また、区市町村の担当者連絡会において、実際に重大事態の対応に当たった経験を持つ有識者による講演を実施し、各教育委員会の理解を深めてまいりました。
 今後とも、重大事態発生時の対応を徹底し、いじめの解決に向けた取組を推進してまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(佐藤智秀君) HPVワクチンに関するご質問にお答えいたします。
 定期接種に係るワクチンの種類等につきましては、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づきまして、国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会等の専門家の意見を聴いた上で検討を行うこととしており、都は、こうした国の動向を注視しつつ、適切に対応してまいります。
 なお、予防接種制度全般につきましては、有効性、安全性に関する知見の集積などの状況を踏まえまして、検証を継続的に行っていくことを国に要望しております。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 流産、死産や病気等で赤ちゃんを亡くされた方への支援、グリーフケアについてのご質問にお答えいたします。
 都では、妊産婦への支援を担う区市町村の職員等を対象に、小さな子供を亡くした家族への支援などをテーマとした研修を実施しております。
 また、助産師等の専門職や同じ体験をした方による電話相談を実施していますほか、不妊・不育ホットラインで、専門の研修を受けたピアカウンセラーが、妊娠後に流産や死産を繰り返す不育症に悩む方からの相談に対応しておりまして、区市町村等を通じてその窓口を周知しております。
 引き続き、その普及啓発に取り組んでまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 十九番たかく則男君
〔十九番たかく則男君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○十九番(たかく則男君) 初めに、医療的ケア児への支援について質問いたします。
 医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃瘻等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことで、全国では推計約二万人、都内でも約二千人いるといわれております。
 医療的ケア児に対する支援法は、平成二十八年に児童福祉法の改正で第一歩がスタート。今年六月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されました。
 この法律は、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資すること、安心して子供を産み育てることができる社会の実現に寄与することを目的としており、医療的ケア児の日常生活、社会生活を社会全体で支援すること、そのための国、地方公共団体の責務、保育所や学校の設置者等の責務が明確に示されました。
 まず、医療的ケア児の通学費支援についてです。
 都立特別支援学校の医療的ケアについては、これまで都議会公明党の要望を踏まえ、人工呼吸器の管理や胃瘻からの初期食注入など、着実に取組が進められてきました。
 また、医療的ケア児の通学は、今まではスクールバスの乗車対象外とされ、保護者が送迎しておりましたが、都議会公明党の提案を受け、新たに乗車看護師、車両を確保し、二〇一八年度から専用通学車両の運行が開始されました。当初八校、十四コースの運用開始から、今年九月には十七校、七十二コースまで拡大してきたことには高く評価いたします。
 しかし、医療的ケア児の保護者からは、専用通学車両に乗車できるようになるまでの間、学校への付添いに必要となる費用への支援について、切実な要望が寄せられております。
 現在、都では、通学が難しく、自宅等で教員の訪問により指導を受けている生徒については、スクーリング時に利用した福祉タクシーの交通費を支援しています。
 そこで、この交通費への支援を、学校に通学している医療的ケア児にも広げるべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の災害対策についてです。
 日常生活において、人工呼吸器やたんの吸引器などを使用している医療的ケア児の方には、災害による停電で電源が喪失した場合は、医療機器が使用できなくなり、命に危険が生じる大変重要な問題です。
 現在、東京都には、在宅人工呼吸器使用者療養支援事業として、区市町村包括補助事業で自家発電装置を都が補助する制度があります。しかし、この発電機を室内で使用した際、一酸化炭素中毒での死亡例もあったと聞いております。また、屋外で稼働させる際には音がうるさいとの苦情もあり、風水害時には屋外で稼働させることは困難でもあります。
 そのようなことから、在宅で人工呼吸器を使用している医療的ケア児の災害発生時の電源確保のため、蓄電池も補助の対象とすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、食品ロス対策について質問します。
 国連食糧農業機関の推計によると、世界全体では、生産された一年間の食料の三分の一に当たる約十三億トンの食料が捨てられております。食料の生産から消費に至る各段階では、CO2が大量に排出されており、食品ロス問題は、持続可能な社会を目指す上で喫緊に取り組むべき課題です。
 都議会公明党は、かねてより食品ロスを重要なテーマとして取り上げ、コロナ禍における食を取り巻く状況の変化を見据え、着実に食品ロス削減を進めるよう求めてきました。
 そうした中、都は、二〇三〇年の食品ロス半減に向け、多岐にわたる対策を食品ロス削減推進計画として取りまとめ、今年度から計画がスタートしています。
 都内においては、年間の食品ロスは五十一万トンあり、内訳は、各家庭から発生する食品ロスが十二・五万トン、これに対し、事業活動に伴って発生する食品ロスは三十八・五万トンと、約七割を事業系食品ロスが占めております。事業系食品ロスを削減するために、ICTやAIの活用や食品のロングライフ化など、先進技術の活用も有効であると考えます。
 そこで、都は、二〇三〇年の食品ロス半減に向け、事業者と連携しながら、先進技術の積極的な活用を図っていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、食の支援について質問します。
 子供食堂やフードパントリー等の食の支援活動は、コロナ禍において困窮する人々のセーフティーネットとして極めて重要な取組であると考えます。
 地域住民が始めた子供食堂は、現在、子供たちを貧困から守ること、地域住民のコミュニティをつくる場所として全国に広がっており、東京都では約五百五十の活動団体の登録数があり、コロナ禍での孤立を防ぐ取組が行われております。
 都は、二〇一八年度より、区市町村が行う、フードバンクと連携して困窮者へ食料を提供し、必要に応じて来所者を相談機関へとつなぐ、地域の支援拠点となるフードパントリー設置事業をスタートさせております。この事業は、フードバンクと子供や生活困窮者をつなぎ、食の支援を通した、地域での支援ネットワークづくりを推進する上で有効な事業と考えます。
 しかし、この事業は、冷蔵庫や運搬車両など、事業立ち上げ時の初期経費を補助するもので、運営費などは含まれておらず、昨年度まで事業を実施しているのは六区市にとどまっております。実施済み、または未実施の区市にヒアリングをしてみましたが、初期経費はもちろん、運営費も都が支援してほしいとの切実な声をいただきました。
 フードパントリー事業に、コーディネートに関わる人件費や諸経費などの運営費も新たにメニューに追加し、さらなる事業拡大につなげるべきと考えます。フードパントリー事業の現在の取組状況を明らかにするとともに、今後の展開について都の見解を求めます。
 次に、循環器病対策について質問をいたします。
 東京都では、今年七月に健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病、その他の循環器病に係る対策に関する基本法に基づき、東京都循環器病対策推進計画を定めました。
 死亡原因における心疾患の割合は、がんに次いで二番目であり、心不全で亡くなる方が多くなっております。近年、心疾患は毎年約一万人の患者数が増加しており、心不全の患者数や死亡者数が急増することにより、医療費の増大や病床、医療体制の逼迫などが懸念されております。
 心不全は、心筋梗塞、心筋症、弁膜症、不整脈などが原因となっております。とりわけ加齢に伴う心臓弁膜症が増加しており、大きな課題となっています。生活習慣に注意するだけではなく、しっかりとした検査と診断により心臓弁膜症に対する適切な治療を行う体制づくりが重要です。
 ある調査では、約八割が検査を受けていないとの報告もあり、都民の命を守るために、循環器病についての知識と普及啓発を図り、確実な検査、診断につなげていく必要があります。
 そこで、東京都循環器病対策推進計画の策定の意義について改めて伺うとともに、循環器病に関する知識の普及啓発を進めるべきと考えます。都知事の見解を求めます。
 最後に、世田谷区内の豪雨対策について質問をいたします。
 近年、気候変動の影響により豪雨災害が激甚化、頻発化しています。河川氾濫を防ぎ、水害から都民の命と暮らしを守るため、都議会公明党は今回の都議選で、東京の未来を開く政策チャレンジエイトの中に、豪雨に備えるための地下調節池の設置促進を掲げ、二〇二五年度までに、国内最大級の環状七号線地下広域調節池の整備をはじめ、都内十か所に新たな調節池などの防災施設の整備を目指していくことを表明いたしました。
 さて、私の地元である世田谷区では、二〇一九年の台風十九号で、多摩川の溢水や内水氾濫など甚大な被害が発生いたしました。そのとき区議会議員だった私は、浸水被害が発生したと聞き、急いで多摩川の被災現場に駆けつけました。その状況を見て、水害対策には今までも取り組んできましたが、さらなる水害対策の必要性を痛感いたしました。
 それ以前にも、区内では浸水被害が繰り返されております。二〇〇五年度の集中豪雨では、世田谷区においても野川沿いなどで多くの住宅が浸水する被害が発生しました。こうした被害を受け、水害に対する安全性を早期に向上させるため、調節池を整備してほしいとの要望を以前からいただいております。
 都は、目黒川流域及び野川流域を対策強化流域と指定し、新たな目標整備水準に対応した調節池の整備を進めることとしております。
 未来の東京戦略においては、二〇三〇年までに百五十万立方メートルの新たな調節池を事業化するとしておりますが、近年の豪雨の状況を踏まえると、目黒川流域及び野川においても、新たな調節池を早期に事業化していくことが重要と考えます。都の見解を求めます。
 また、下水道についてですが、二〇一三年の集中豪雨では、世田谷区内で弦巻地区や深沢地区を中心に甚大な被害が発生、また、二〇一八年にも区内で床上浸水、床下浸水が多数発生しました。
 これまでにも、都では、世田谷区立小泉公園の地下に雨水を一時的にためる下水道の貯留施設を整備、また、弦巻地区や深沢地区を時間七十五ミリ降雨に対応する施設整備を行う重点地区に位置づけ、整備を進めております。
 さらに、二〇一九年東日本台風の浸水被害等を踏まえ、関係局と共に策定した東京都豪雨対策アクションプランにおいて、下水道整備における浸水対策を強化する地区を拡大することを示し、今年三月に策定した経営計画二〇二一において、世田谷区野毛地区などを含む三地区が重点化されております。
 地域住民の不安を払拭するために、新たに追加した三地区の浸水対策を早急に推進していくべきと考えます。都の見解を求めます。
 以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たかく則男議員の一般質問にお答えいたします。
 循環器病対策の推進についてのお尋ねでございます。
 脳卒中、弁膜症などの心臓病、その他の循環器病は、令和二年の人口動態統計によりますと、悪性新生物、いわゆるがんに続く死亡原因となっております。
 循環器病は、運動不足や不適切な食生活等の生活習慣に端を発しまして、患者自身が気づかないうちに病気が進行することが多いということから、予防、健診の普及、そして知識の啓発が重要であります。
 都は今年七月、循環器病対策基本法に基づきまして、予防から治療、在宅療養、就労に至るまで、総合的かつ計画的に推進することを目的といたしまして、東京都循環器病対策推進計画を策定いたしました。
 今後、医療、保健、福祉の関係者などから成ります循環器病対策推進協議会で具体的な取組を検討いたしまして、区市町村や関係団体等と連携しながら、循環器病の発症、重症化予防等を推進いたしまして、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指してまいります。
 残余のご質問は教育長、関係局長から答弁いたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 医療的ケア児の通学費支援についてでございますが、医療的ケア児の学校における学習機会の拡充を図るためには、安心して通学できる手段を確保することが重要でございます。
 現在、都教育委員会では、肢体不自由特別支援学校において、医療的ケア児の専用通学車両を運行しており、ケアの実施体制が整い、乗車できるようになるまでの間は、保護者の付添いによる通学をお願いしております。その際、障害の状態や安全上の理由から福祉タクシーを利用する場合があり、現状においては、その費用は保護者にご負担をいただいております。
 今後は、医療的ケア児支援法の趣旨も踏まえ、子供たちの通学機会の一層の拡充と保護者負担のさらなる軽減を図るため、通学費の支援について検討を進めてまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、人工呼吸器の電源確保についてであります。
 都は、災害時に備え、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児などに自家発電装置を無償で貸与、給付する区市町村を包括補助で支援しております。
 近年、台風や大雪などの風水害による停電が多く発生しており、自家発電装置等に加え、屋内で安全に使用できる電源の確保が求められております。
 このため、都は、補助対象に蓄電池を加えることについて、過去に大きな被害を受けた道府県の状況や専門家の意見を踏まえながら検討を進めてまいります。
 次に、フードパントリーについてでありますが、都は、生活困窮者等に食料を提供するとともに、適切な支援につなげる地域の拠点となるフードパントリーの設置に取り組む区市町村を支援しておりまして、今年度といたしましては五区市が実施する予定でございます。
 国は、今般の補正予算案において、コロナ禍で困窮するひとり親家庭等の子供等を対象とした子供食堂やフードパントリー等の事業者への支援を拡充することとしております。
 今後、国の動向も注視しつつ、区市町村の状況を把握し、フードパントリーの設置がより一層進むよう働きかけてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 食品ロス対策についてでございますが、事業系の食品ロス削減に向けては、事業者が有する知見、技術力等を活用した新たなビジネスモデルの創出により、先進技術の活用を推進していくことが有効でございます。
 都は、スーパーの販売実績等のビッグデータをAI解析し、在庫を適正化するモデル事業を行い、食品ロスを四割削減し、その後の社会実装につなげてまいりました。
 今年度は、ロングライフ化を行う事業者を公募し、飲食店で余った食材を急速冷凍技術を用いて自販機で販売する取組や、期限が短い総菜パンの風味を保ったまま冷凍し、販売する取組など、販売時のロス削減を目指す実証事業を行ってございます。
 今後は、得られた成果等を関係事業者と広く共有するとともに、食と先進技術の融合したフードテック等の活用も検討しながら、さらなる食品ロスの削減を進めてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 目黒川流域及び野川の新たな調節池についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 河川整備計画では、目黒川流域におきまして、上流の支川である蛇崩川、烏山川、北沢川で総容量約四十七万立方メートル、野川におきまして約八十万立方メートルの調節池の整備を位置づけております。
 現在、その候補地となる場所や構造形式の選定などの検討を進めておりまして、このうち、目黒川流域における新たな調節池について、来年度の事業化に向け、関係機関との調整を行っているところでございます。
 今後とも、浸水被害の軽減に向け、こうした取組を着実に推進してまいります。
〔下水道局長神山守君登壇〕

○下水道局長(神山守君) 下水道の浸水対策についてでございますが、下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、経営計画二〇二一において追加した三地区を含めまして、五十七地区を重点化して下水道幹線などの施設整備を進めております。
 地区の追加に当たりましては、流出解析シミュレーション技術を活用いたしまして、広い範囲に浸水被害などが確認された世田谷区野毛地区と目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区の二つの地区を一時間七十五ミリ降雨に対応する対策強化地区といたしました。
 また、近年の浸水被害の状況等を踏まえ、板橋区熊野町、中丸町地区を一時間五十ミリ降雨への対応を基本とする対策重点地区といたしました。
 新たに追加いたしましたこれら三地区につきましては、経営計画二〇二一の期間である令和七年度までの着手を目指してまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時四十分休憩

   午後五時五分開議
○議長(三宅しげき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四番吉住はるお君
〔四番吉住はるお君登壇〕

○四番(吉住はるお君) 二年近くに及ぶコロナ禍は、多くの様々な都民の生活に大きな影響を及ぼしてきました。そのような状況下、私は、地域の中で、特に高齢者を取り巻く課題は深刻化しつつあると懸念しています。
 新型コロナ感染予防の自粛生活により、終日家に閉じ籠もって過ごすことが多かった高齢者は、食生活が乱れ、人と話すことが少なくなり、身体や認知機能が低下するケースが多く見られます。
 都が本年八月に出された未来の東京の実現に向けた重点政策方針二〇二一、政策の強化の方向性、戦略7、誰一人取り残さないサポートプロジェクト等では、実態把握を通じ、それぞれの属性や状況に応じた取組を強化するとしています。
 そこでまず、都では、コロナ禍における高齢者の現状をどのように捉えているのか。また、いわゆるコロナフレイルの増加が懸念される中で、これまでのフレイル予防の取組を一層強化充実する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 今後、東京都では、高齢世帯は増加し続け、とりわけ高齢者の一人暮らし世帯は大幅に増えることが予想されています。また、コロナ禍は、地域の見守り活動などにも悪影響を及ぼしており、孤立化している高齢者が増えています。今後、都では、AIを活用した高齢者の見守りを都営住宅で実施し、拡大していくとしており、評価しておりますが、見守りを必要としている高齢者は、都営住宅以外にも多くいらっしゃいます。
 現在、都では、高齢者などのデジタルに不慣れな方への対応として、スマートフォン教室の開催などを開始し、今後、区市町村と連携したモデル事業を展開するとしています。
 高齢者がスマートフォンなどに関心を持つ動機づけとしても、遠く離れた親族とつながれる見守りアプリなどを含め、高齢者の見守りにデジタル技術を一層活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍で孤立し、日々の生活で孤独感を抱いている高齢者の気持ちを悪用した特殊詐欺は、許しがたい卑劣な犯罪であり、被害件数も再び増加傾向にあると聞いています。
 その一方で、いたちごっこの様相を呈している特殊詐欺への対策は、区市町村単位で対応するには限界があり、警視庁や東京都で広域的に取り組むべき課題だと認識しています。
 そこで、いまだ収束が見通せない特殊詐欺の現状と今後の取組について警視総監に伺います。
 特殊詐欺では、犯行に利用された電話のほとんどが固定電話であり、固定電話で直接応答せずに済む自動通話録音機は、詐欺被害防止に効果があるものと考えます。その自動通話録音機の設置促進に向けた区市町村への補助事業が今年度で終了するとのことです。
 そこで、都における自動通話録音機設置促進事業への評価と特殊詐欺被害防止に向けた今後の都の取組について伺います。
 健康長寿社会の実現へ向けた健康づくりの取組は、高齢者のみならず、全ての都民が将来にわたって元気に安心して暮らし続ける上でとても重要です。
 都は平成二十五年三月に、健康推進プラン21(第二次)を策定し、都民の健康づくりを支援してきました。しかし、全体的には、都が主に区市町村の取組を後方支援する事業が多く、都が前面に出て取り組む事業が少ないように感じます。
 私の地元新宿区では、野菜のヤにちなんで、毎月八日をしんじゅく野菜の日として、区内の学校、事業所などの給食施設やスーパーマーケットなどと連携して情報発信を行うなど、手軽に野菜を取ることができる食環境づくりに取り組んでいますが、スーパーマーケットなどの民間事業者では、区という範囲だけでは、なかなか業務運営上、協力が困難なケースも多く、意欲があっても、協力に応じるのは一部の事業者にとどまっているのが現状です。
 また、現在、都内の自治体が取り組んでいる健康ポイント事業についても、それぞれの自治体が類似の事業をばらばらにシステム構築し、運営していくことは非効率な場合も多く、また、ウオーキングなどの健康づくりは、職場などで友人同士などが情報共有することで意欲が高まり、効果が高まると考えられます。
 区市町村による健康づくりも重要ですが、流動人口の多い東京においては、健康づくりの大切さを都民の共通認識にするとともに、取組の分かりやすい効果検証を行っていく上でも、都が前面に出て、区市町村を横串で通すような取組も必要だと考えます。
 これまで知事は、国に先駆けて受動喫煙防止に取り組むなど、都民の健康づくりに積極的に取り組んでこられました。コロナとの闘いが長期化している今、健康長寿社会への実現に向けて、東京都の主体的な取組が一層重要になっていると考えますが、知事のご所見を伺います。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、数多くの踏切が同時になくなり、踏切遮断による交通渋滞や踏切事故が解消するなど、踏切問題の解決につながるものです。
 こうしたことから、都内の各鉄道沿線で連続立体交差事業が進み、現在、西武新宿線においても、中井駅から野方駅の区間や東村山駅付近で、連続立体交差事業が行われています。また、井荻駅から西武柳沢駅の区間で、本年十一月に、新たに連続立体交差事業の都市計画が定められ、さらには、野方駅から井荻駅の区間でも、連続立体交差事業に向けた取組が進んでいます。
 しかし、西武新宿線高田馬場駅から中井駅の区間では、連続立体交差事業の都市計画が昭和四十五年に決定されたにもかかわらず、事業は進展せず、現在に至っています。
 現在、高田馬場駅から西側の新宿区内の踏切は十四か所全て、いわゆる開かずの踏切となっており、このうち下落合駅西側直近の上落中通りの踏切は、ピーク時の遮断時間が一時間のうち五十分にも及び、多くの都民の日常の暮らしや災害時の活動にとって大きな課題となっています。
 そのような中、混雑緩和などを目指し決定していた西武新宿線の複々線化の都市計画が、事業費の高騰などにより、西武鉄道が延期表明したことなどから、本年十一月に廃止されました。複々線化の計画が廃止されると、今までどおり全ての電車が地上を走ることになり、開かずの踏切は残ったままとなるため、連続立体交差事業の必要性がこれまで以上に増えていくと考えます。西武新宿線沿線全体において、バランスよく連続立体交差事業を実施し、開かずの踏切対策、快適な道路交通の実現を図ることが望ましいと考えます。
 この高田馬場駅から中井駅の区間での開かずの踏切対策として、連続立体交差事業の実施に向けた検討を行うべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、災害から都民を守る道路整備について伺います。
 都民の生命、財産を守り、行政やインフラなどの重要な機能を維持するためには、防災、減災の取組の加速化、深化を図り、災害に屈しない強靭なまちづくりを進める必要があります。
 幹線道路ネットワークの整備は、災害などによる障害発生時において、一部の区間の途絶などが全体の機能不全とならないよう、避難路やライフライン施設の多重化に不可欠です。首都直下型地震など災害への備えとともに、災害から都民を守る道路整備の推進に向けた都の取組について伺います。
 十月七日の夜に発生した千葉県北西部を震源とする地震では、都内の一部のターミナル駅周辺で帰宅を急ぐタクシー待ちの長い列が発生するなど、改めて帰宅困難者が注目されることとなりました。
 都は、東日本大震災の発生から十年が経過した状況を踏まえ、今年五月に新たに検討会議を設置し、今後の帰宅困難者対策の方向性について、現在検討を進めています。また、国においても、先月、帰宅困難者対策の在り方について検討を行う委員会が新たに設置されたところです。
 帰宅困難者対策は、いうまでもなく、国や都、それぞれ地域の自治体が中心となって進めていくことが必要です。しかし、これら行政による公助だけではなく、個人や企業などによる自助や共助も含め、社会全体で取り組むことがとても重要です。
 例えば、大規模地震などの発生時には、地元の町会、商店街や駅前滞留者対策協議会などと地域に存在する中小企業が連携して、帰宅困難者の誘導などを行うといった対応も必要になってくると思われます。
 今後、帰宅困難者対策をさらに進めていくため、中小企業など地域の事業者に協力を促していくことも必要と考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、東京港の水域の有効活用について伺います。
 東京港では、貨物輸送を担うコンテナ船や旅客輸送を担うクルーズ船など、多くの大型船が往来し、船舶の停泊や入出港のため、港内の水域を利用しています。
 また、港湾工事に使用する工事作業船など、港湾の活動を支える小型船も水域を利用し、船舶を係留しています。
 特に工事作業船については、今後、中央防波堤外側地区などで高規格コンテナターミナルを整備する際も、工事を円滑に進める上で重要な役割を担っていくことになりますが、事業者からは、係留場所が十分に確保できていないという状況も聞いています。
 また、東京港内では、物流構造の変化などにより、十分に活用されていない水域も見受けられ、工事作業船など一部の利用者からは、こうした地域を利用したいという声も上がっています。
 そこで、東京港の機能強化を進めていく上でも、東京港を支える様々な利用者のニーズを酌み取りながら、東京港全体を俯瞰し、水域の有効活用を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 吉住はるお議員の一般質問にお答えいたします。
 健康づくりの推進についてのお尋ねがございました。
 誰もが生涯にわたり健やかで心豊かに暮らすには、都民一人一人が主体的に取り組む健康づくりを社会全体で支援することが重要であります。
 都は、東京都健康推進プラン21に基づきまして、生活習慣病の予防や生活習慣の改善に向けた取組を区市町村や企業などと連携しながら進めておりまして、その中で、地域での健康づくりの取組の紹介であったり、企業などと連携した普及啓発など、都民に直接働きかけているところでございます。
 様々な制約があるコロナ禍でありましても、デジタル技術の活用などの工夫によって、都民の主体的な健康づくりを後押しし、広域的、効果的な施策を推進することで、誰もが元気で心豊かに自分らしく暮らす、まさに長寿社会の実現を目指してまいります。
 その他のご質問は、警視総監、東京都技監及び関係局長からのご答弁といたします。
〔警視総監大石吉彦君登壇〕

○警視総監(大石吉彦君) 特殊詐欺の現状と今後の取組についてでありますが、都内における特殊詐欺の認知件数は、本年十一月末現在で、既に昨年一年間の件数を上回っているなど深刻な状態にあります。特に、被害者をATMへ誘導して送金させる還付金詐欺、この被害が昨年に比べ増加をしております。
 こうした中、警視庁では、還付金詐欺被害を水際で食い止めるべく、金融機関と連携し、ATMコーナーでは携帯電話の通話をしない、させない、このことを社会のルールとして定着を図るストップ!ATMでの携帯電話運動を強力に推進しているところであります。
 また、被害者となりやすい高齢者のみならず、子供や孫世代を含めた防犯意識の向上を図るため、あらゆる媒体を活用した広報啓発によりまして、家族ぐるみで特殊詐欺被害を防止する環境づくりの促進を図っております。
 このほか、警視庁犯罪抑止女性アドバイザーの高齢者宅への直接訪問による、留守番電話機能の活用方法の教示をはじめとした防犯活動を推進しております。
 警視庁といたしましては、引き続き関係機関と連携し、特殊詐欺の被害を一件でも減らすための対策を強力に推進してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 西武新宿線高田馬場駅から中井駅間についてでございます。
 本区間では、十一か所全ての踏切が開かずの踏切となっておりまして、踏切対策の重要性につきましては、都としても認識しております。
 連続立体交差化等の鉄道立体化につきましては、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区が主体となり、地域の将来像や鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針等を検討する必要がございます。また、交差する都市計画道路の整備計画と整合を図る必要もございます。
 このため、地元新宿区が今後設置予定の踏切対策や沿線まちづくりに関する勉強会に都も参画いたしまして、技術的な助言を行うなど、区の取組に都も協力してまいります。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、踏切対策を着実に推進してまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者のフレイル予防についてです。
 都はこれまで、介護予防・フレイル予防推進支援センターを設置し、身近な地域で住民主体の通いの場の拡充を図るため、区市町村に対し、人材育成や専門相談などの支援を行ってまいりました。
 しかしながら、コロナ禍における外出自粛等の影響により、高齢者の心身機能の低下や交流機会の減少などが危惧されておりまして、都の昨年度の調査でもそうした事例が確認されております。
 このため、今年度は新たに、オンラインで仲間と一緒に行う体操や趣味活動などを支援する区市町村への補助を開始しております。既に十三区市で取組が進んでおりまして、これに加え、六区市町村も実施を予定しております。
 今後とも、区市町村と連携し、高齢者の介護予防、フレイル予防の一層の推進に向け取り組んでまいります。
 次に、デジタル技術を活用した高齢者の見守りについてであります。
 都では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、センサーなどのデジタル機器を活用した見守りの仕組みづくりに先駆的に取り組む区市町村を支援しております。
 また、今年度からは、町会、自治会等の見守り活動などにデジタル技術を活用できるよう、区市町村の補助基準額を引き上げるとともに、新たに、高齢者のデジタルデバイドの解消やQOLの向上を図るため、先駆的、分野横断的に取り組む区市町村への支援を開始しております。
 今後とも、デジタル技術も活用した地域での高齢者の見守りに取り組む区市町村を支援してまいります。
〔都民安全推進本部長小西康弘君登壇〕

○都民安全推進本部長(小西康弘君) 特殊詐欺被害防止対策に関するご質問にお答えします。
 都は、平成二十八年度から自動通話録音機設置促進補助事業を開始し、区市町村と連携して、これまでに累計約十四万台の自動通話録音機を設置してまいりました。その結果、多くの自治体で自動通話録音機の設置事業が創設されるなど、対策を前進させる効果があったものと考えております。
 一方で、特殊詐欺の手口は巧妙化しており、また、防犯対策の必要性を十分に認識いただいていない高齢者も多いことから、今後は、高齢者の方が被害に遭う危険性をより実感できる取組を検討し、さらに啓発を進めてまいります。
 また、受け子、出し子といった犯罪に若者等を加担させないよう、加害者向け対策も強化してまいります。
 こうした取組を通じまして、被害、加害の両面から、より実効性ある特殊詐欺対策に取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 道路整備の推進についてでございますが、道路は、交通、物流機能の強化はもとより、災害時のリダンダンシーを確保し、避難や救急救援活動を担う極めて重要な都市基盤でございます。
 こうした認識の下、都は骨格幹線道路ネットワーク等の整備を推進しておりまして、例えば環状第四号線では、新宿区余丁町から河田町までの約三百三十メートルの区間を来年春を目途に交通開放し、地域の防災性などを向上させます。
 また、千葉県境の補助第一四三号線では、広域的な防災機能の向上を図るため、旧江戸川をまたぐ橋梁整備につきまして、千葉県と役割分担等を定める基本協定を年内に締結し、令和四年度の事業着手に向けて取り組んでまいります。
 引き続き、都民の生命と財産を守る道路整備に全力で取り組み、首都東京の防災力を一層強化してまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 帰宅困難者対策についてですが、発災時の帰宅困難者の安全を確保するためには、平時から中小企業等の事業者と協力した取組が重要でございます。
 都はこれまで、地元企業も参加する協議会の場やハンドブックの配布等を通じ、事業者に対して、一時滞在施設の確保や従業員以外の備蓄等について協力を呼びかけてまいりました。
 また、今年度設置した帰宅困難者対策に関する検討会議では、事業者とのさらなる連携を図るため、東京商工会議所に委員として参加いただき、今後の対策の方向性について意見交換を行っているところでございます。
 今後、当該会議における検討結果の報告も踏まえて、一時滞在施設の確保や帰宅困難者の誘導など、地域事業者の協力を一層促すための方策を具体化してまいります。
〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕

○港湾局長(古谷ひろみ君) 東京港における水域の有効活用についてでございますが、多くの船舶が行き交う東京港において、港湾施設の整備を支える船舶が係留できる水域を適切に確保することは、港湾機能の強化と港内の秩序維持の両立を図る上で重要でございます。
 これまで都は、貨物船等の円滑な航行に配慮しつつ、限られた水域の中、作業船等の係留水域を確保してまいりました。
 近年、東京港では、取扱貨物の変化等により、港内の各水域の利用ニーズも変わりつつあることから、狭隘な東京港のエリアの適切な活用に向けては、水域施設の集約化や利用転換を図ることが課題となっております。
 今後とも、都は、東京港全体でのバランスに配慮しつつ、利用者の意見や周辺の土地利用動向も踏まえて、有効な水域活用策について検討を進めてまいります。

○議長(三宅しげき君) 七十三番森口つかさ君
〔七十三番森口つかさ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○七十三番(森口つかさ君) 二〇二〇大会について伺います。
 開催都市契約は、競技会場もIOCの判断で変更できるなど、不平等な契約であることが事前に公表されていませんでした。東京大会では、ロンドンやパリと比べ、組織委員会とIOCとの交渉において課題があったと認識をしています。
 また、大会予算が膨張することが繰り返されないようにすることは、札幌など、次にオリンピックを開催しようとする都市に対する東京都の責任でもあります。
 大会予算は、当初二〇一三年一月の立候補ファイルで七千三百四十億円だったものが、昨年末V5予算では一兆六千四百四十億円と約二倍になっています。
 まずは、組織委員会の決算はいつになるのか伺います。
 組織委員会はいずれ解散することになりますが、黒字の場合、それはどこに引き継がれるのか伺います。
 他方、赤字になった場合は、東京都が補填することを保証する、また、東京都が補填し切れなかった場合には、最終的に日本国政府が国内の関係法令に従い補填すると立候補ファイルに記されております。
 東京都が債務を負担するに当たって、金額白地の契約はあり得ません。また、日本には、政府または地方公共団体は、会社その他の法人の債務については保証契約をすることができないことを定めた法律もあります。
 また、政府は、日本国政府が国内の関係法令に従い補填することについて、平成二十一年二月十七日、東京五輪の財政保証等に関する質問に対する答弁書で、政府としての政治的な意思の表明として発出されたものであり、特段の法的根拠は必要ないと答弁をしております。
 立候補ファイルに、保証については保証ファイルを参照のことと記載がされております。IOCに提出した保証ファイルを全て公開すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都は、組織委員会の債務について保証契約をすることは法律で禁止がされているため、東京都が補填をすることを保証するとは、政府と同様に、政治的宣言であり、法的義務ではないと考えますが、見解を伺います。
 今回の大会において、大量の食品や備品の廃棄など、都民の感覚では考えられないような人件費単価の支出報道もございました。
 組織委員会に赤字が出たときは、組織委員会の全ての支出について、領収書の添付はもとより、適正な支出であることが判明しているものだけを積み上げて、組織委員会の収入で賄えないもののうち、都が補填すべきと都民が納得できる金額だけを計上し、執行機関が議会に予算を提出し、議会で審議をして適当と認められたものについて議決をするということになると考えますが、見解を伺います。
 一般法人法では、清算法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならないと定められており、この法律の規定を満たす場合は破産手続に入るものと考えますが、見解を伺います。
 都は、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定するなど、オリンピックを契機とし、人権尊重への意識や取組を大切にし、それをレガシーとしてきました。
 他方、来年二月から開催予定の北京オリンピックでは、香港、ウイグル、チベット、内モンゴル、その他の地域への人権侵害への危惧や、プロテニス選手をめぐっての懸念への批判が起きており、いわゆる外交ボイコットの議論が起きております。オリンピックを外交の手段とし、国威発揚に使うことで、外交ボイコットという議論も起きるのであります。
 オリンピックをアスリートファーストの大会へと原点回帰させるべく、競技関係者以外は、北京冬季五輪に派遣しないよう政府に進言すべきと求めます。
 東京二〇二〇大会の選手村建設の際には、都市再開発法の特定建築者制度を活用したことによって、選手村敷地の都有地が東京都財産価格審議会の審議や都議会の議決を経ることなく民間企業に譲渡がされることになり、譲渡価格をめぐって訴訟も生じました。
 地方自治体が都市再開発法の第一種市街地再開発事業の施行者となる場合は、地方自治体施行が原則と考えますが、都は執行機関の判断で、地方公共団体施行か個人施行か任意に選択できると考えているのか、見解を伺います。
 地方自治体が個人施行を選択した場合、施行規程を条例で定めるという議会の議決に相当する行為もなく、全く議会の議決なくして都有地が民間に譲り渡されることになり、議会の権限が軽視をされ、空文化しかねないと考えますが、いずれを選択するかの判断基準についてどう考えているのか、都の見解を伺います。
 次に、文化芸術への支援について伺います。
 コロナ禍でのアーティストへの支援事業として、アートにエールを!東京プロジェクトは好評を博しています。
 昨年からのアートにエールを!東京プロジェクト事業での、生活文化局、東京都歴史文化財団、委託先の仕事の割り振りとアーティストに資金が届くまでの経費の流れと金額について伺います。
 コロナ禍からの立ち直りにはまだ当分の時間がかかり、アーティストへの支援事業を継続する必要があると考えますが、見解を伺います。
 また、アートにエールを事業で申請者から要望された申請のスマート化、入力の簡易化等を実現すべきと考えますが、見解を伺います。
 エンターテインメントを文化振興の観点だけではなく、韓国のように産業として振興するため、産業労働局に担当課を設け、海外進出のための育成段階から、英語習得やマーケティング情報の提供など、様々なエンターテインメントビジネス支援策を体系的に講じるよう要望いたします。
 次に、行政改革、組織再編について伺います。
 まず、退職管理についてです。
 東京都職員の退職管理に関する条例は、適切な人材として、職員または職員であった者を推薦することが必要と認められる団体、適材推薦団体を選定し、推薦することができると規定をしています。これは、他の地方自治体の退職管理条例には全くない東京都独自の規定です。
 東京都の適材推薦団体とはどのような団体で、現在幾つあるか伺います。あわせて、適材推薦団体と政策連携団体や事業協力団体との関係は何か伺います。
 都による適材推薦団体への都職員の推薦は、国や他の地方自治体の退職者管理では天下りと評価されているのではないかと考えますが、東京都の適材推薦団体の仕組みが正当化される理由について、見解を伺います。
 地方公務員法の働きかけ規制の適用除外とする働きかけ規制適用除外団体がありますが、人事委員会規則で適用除外にしている理由及び団体数並びに他の地方自治体における働きかけ規制適用除外団体の実態について伺います。
 都としては、適材推薦団体に対する補助金等や指定管理者の指定に当たって、行政の公正さと効率性が損なわれることがないよう、国の会計検査院のような第三者的観点から監査、監察する必要があると考えますが、それはどこがどのように行っているのか伺います。
 次に、組織再編です。
 東京都の組織再編について、本年度中をめどに、東京二〇二〇大会以降の組織全体の在り方について、その方向性を示すと答弁がされています。
 東京二〇二〇大会以降の組織全体の在り方の検討や、外部有識者や都民の意見を聞きながらの検討はどうなっているか、その状況と今後のスケジュールについて伺います。
 組織改革に当たっては、東京都の未来像を見据え、都の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう、スクラップ・アンド・ビルドや指揮系統の明確化と縦割りの是正、天下りの是正などが必要と考えますが、知事の見解をお伺いします。
 次に、再開発について伺います。
 本年十一月に行われたCOP26からも、二〇三〇年、二〇五〇年を視野に入れた都市の再開発は、地理的、歴史的な長所を生かしつつ、かつ感染症や気象災害、地震などの危機にも対応できるものであり、かつCO2フリーなものでなければなりません。
 築地の再開発においては、時代が大きく変化している中にあって、世界に知恵を求め、新しい発想で再開発を進めていかなければならないと考えますが、見解を伺います。
 多様な新宿駅周辺においては、現在、二〇四〇年代を見据えて新宿駅の再開発が進んでおり、新宿グランドターミナルの再編が既存市街地の再開発をリードしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、防災対策について伺います。
 都が管理する道路には、約六百の横断歩道橋があります。これらの多くは高度経済成長期に建設がされており、老朽化の懸念とともに、首都直下地震などの際、倒壊をし、道路を閉塞することも懸念がされます。
 大きな地震の際、老朽化した横断歩道橋が倒壊しないように安全性を確保することが重要と考えますが、その取組について伺います。
 マンションの耐震化も重要です。住宅の耐震化は喫緊の課題であり、とりわけ、都民の主要な居住形態となっているマンションでは、多数の区分所有者間の合意の下、進めていかなければなりません。
 都は、昨年から、条例に基づく管理状況届出制度を開始し、マンションの管理状況や耐震化状況の把握を進めており、耐震化の目標達成に向け、より実効性あるマンション耐震化促進に向けた取組が必要と考えますが、見解をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森口つかさ議員の一般質問にお答えします。
 都庁組織の改革についてのお尋ねがございました。
 都は、未来の東京戦略に基づきました様々な先駆的な施策を進めているところでございます。施策の効果を上げるためには、これまでの概念にとらわれない柔軟な発想が必要でありまして、都庁自らも大きく変貌しなければなりません。
 こうした考えの下、DXをてこといたしまして、仕事の進め方そのものの改革、また、制度や仕組みの根本にまで遡りました都政の構造改革に挑戦をいたしているところは、ご存じのとおりであります。
 あわせて、都庁組織の見直しに向けましては、簡素で効率的な組織編成によります生産性の向上や局横断の課題に柔軟に対応できる体制など、様々な視点から検討を進めております。
 今後、来年度に向けました検討を一層深めまして、戦略的な政策の実行を担う体制の構築など、都庁組織の改革、強力に展開をしてまいります。
 残余の質問につきましては、東京都技監、関係局長からの答弁といたします。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、第一種市街地再開発事業の施行者についてでございます。
 都市再開発法による施行者につきましては、都道府県等は公共団体施行として施行者となり得るのみならず、個人施行としても行えることとなっております。
 地方公共団体施行の場合は、重要な道路や防災公園など、公共施設の確実な整備を主たる目的として、その周辺を含めて一体的に再開発を行う必要がある場合を想定しておりまして、通常多くの関係権利者の権利調整や合意形成に時間を要することが見込まれるものでございます。
 一方、個人施行の場合は、関係権利者が少ないなど、地区内の関係権利者の全員同意を得て円滑な事業の実施ができる場合採用されるものでございまして、晴海五丁目西地区につきましては、都が単独で地区内の全ての土地の権利を所有していたことから、個人施行者として事業を実施しているものでございます。
 次に、第一種市街地再開発事業の事業手法についてでございます。
 地方公共団体が、公共団体施行あるいは個人施行、いずれの事業手法を採用するかにつきましては、再開発事業の主たる整備目的や事業予定地区内の権利者の状況などを踏まえて判断することとしております。
 なお、関連する手続につきましては、採用した事業手法ごとに関係法令等に基づき適切に行ってきております。
 次に、築地再開発についてでございます。
 築地では、水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎え、交流により、新しい文化を創造、発信する、築地ならではの拠点を形成することとしております。
 事業の具体化に当たりましては、気候変動の危機に対応したゼロエミッションの実現や、将来の新たな感染症の予防、拡大防止、さらにはデジタルの活用などにも効果的な取組を行うこととしております。
 あわせて、世界の様々な先進的な取組も踏まえた先端技術の一層の活用を図るなど、民間の知恵と工夫を生かした優れた提案を引き出しながら、持続可能な都市を実現してまいります。
 最後に、新宿グランドターミナルへの再編についてでございます。
 都は、人中心のまちの実現に向け、新宿駅やその周辺におきまして駅ビルや駅前広場等を一体的に再編することとしており、本年七月に線路上空の東西デッキや歩行者優先の駅前広場等を整備する土地区画整理事業に着手いたしました。
 この再編に合わせて、西新宿では本年七月より再整備方針の検討を開始いたしまして、DXの取組も踏まえながら、人が憩え、緑が至るところにあり、楽しく歩けるまちづくりを進めております。
 また、東口地区では令和元年に街並み再生方針を策定いたしまして、国際集客都市の形成や歩行者優先で回遊性の高いまちづくりなどに取り組んでおります。
 こうした異なる個性を生かした取組を進め、新宿グランドターミナルを介して東西をつなぎ、地域全体として質の高い国際交流拠点を目指してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長延與桂君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(延與桂君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、組織委員会の決算についてでございますが、大会経費については、現在、組織委員会において収入及び支出両面における精査を進めているところであります。
 組織委員会の決算については、毎事業年度終了後、理事会の承認を受けることとなっております。
 次に、組織委員会の残余財産についてでありますが、現在の開催都市契約においては、大会の開催の結果として剰余金が生じた場合は、日本オリンピック委員会に二〇%、組織委員会に八〇%の比率で配分されることとなっております。
 組織委員会が清算する場合において有する残余財産の帰属は、組織委員会の定款第四十五条において評議員会の決議を経て決定されるものと定められております。
 次に、保証ファイルについてでありますが、東京都の保証の内容については、招致活動の段階から公表されている立候補ファイルの内容と同一となっております。
 次に、立候補ファイルにおける保証についてでありますが、立候補ファイルは、立候補に当たりIOCが求める要件に対応して作成され、提出されたものであります。保証の内容についてもその中で記載されたものでございます。
 次に、組織委員会に赤字が出た場合についてでありますが、大会経費については、現在、組織委員会において収入及び支出両面における精査を進めているところであり、今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
 最後に、清算法人の破産手続についてでございます。
 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百十五条に、清算法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならないと規定されております。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、アートにエールを!東京プロジェクトについてでございますが、都は主催者として全体を統括し経費を負担しております。
 また、東京都歴史文化財団と共催し、同財団のアーツカウンシル東京が、専門的な見地から審査業務等を担うとともに、アーティストとの連絡調整等を行う事務局の進行管理を行っております。
 都がアーツカウンシル東京を通じて事務局に支出する約四十二億円のうち、約三十三億円がアーティストへの出演料等であり、その他はウェブサイトの構築や運用、アーティストとの連絡調整、支払いなどに要する費用でございます。
 次に、アーティストへの支援の継続についてでございますが、都はこれまで、緊急支援策として、アートにエールを!東京プロジェクトを実施してまいりましたが、コロナの終息後を見据えまして今年度スタートアップ助成を新設いたしました。
 今後も、東京の文化を支える重要な担い手であるアーティストの芸術文化活動を支援してまいります。
 最後に、支援事業の申請についてでございますが、アートにエールを!東京プロジェクトでは、コロナ禍で厳しい状況に置かれたアーティスト等にいち早く支援を届けるため、オンラインで手続を完結させるとともに、提出書類を大幅に簡素化するなど工夫を図ったところでございます。
 今後も、本事業で得られた経験や知見等を生かしてまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、適材推薦団体についてですが、適材推薦団体は、条例に基づき外部有識者で構成する退職管理委員会への諮問を経た上で、都が適切な人材を推薦することが必要とした団体であり、現在、政策連携団体や事業協力団体、地方独立行政法人、都の事務事業と密接な関連がある国の関係団体など百二十四団体でございます。
 なお、政策連携団体は三十三団体全て、事業協力団体は三十二団体のうち三十団体が適材推薦団体となっております。
 次に、適材推薦団体への再就職についてですが、都を退職した職員が、これまで培ってきた知識、経験を社会に還元することは有意義でございます。
 そうしたことから、都の事務事業と関連を有する適材推薦団体に職員が再就職することは、都政の効果的、効率的な運営を図る観点から有益であると認識しておりますが、その人事につきましては団体自らの経営判断により決定しているところでございます。
 なお、幹部職員の再就職につきましては、毎年度、団体名及び役職名などを公表し、透明性を確保しております。
 次に、職員への働きかけ規制についてですが、地方公務員法では、営利企業等に再就職した元職員が、職務上の行為に関して働きかけをすることは原則として禁止されていますが、地方公共団体の事務事業と密接な関連を有する業務につきましては、行政サービスの円滑な遂行に必要であることなどから適用除外とされております。
 都は、こうした業務を行う団体を働きかけ規制の適用除外団体と定めており、現在、政策連携団体をはじめとした百九団体となっております。
 他の地方公共団体におきましても、同法の趣旨に基づき働きかけ規制の適用除外団体を定めているところでございます。
 次に、適材推薦団体に対する補助金及び指定管理者の指定についてですが、補助金につきましては、政策連携団体などの適材推薦団体に対するものに限らず、財務会計事務等に関する諸規則や補助金交付要綱等に基づく手続により、適正な金額を決定して交付しているところでございます。
 なお、こうした補助金につきましては、監査委員において定例監査や財政援助団体等監査などを行っております。
 また、指定管理者の指定に当たりましては、外部の専門家を過半数含む選定委員会におきまして公正かつ専門的な審査を行った上で、それぞれ所管局が候補者を選定し、議会の議決を経て指定しているところでございます。
 最後に、都庁の組織の在り方についてですが、都は、都庁組織の改革を含めたシン・トセイ戦略については、戦略全体の素案を都民に示し、意見を伺いながら策定いたしました。
 また、デジタルサービス局の設置に当たりましては、ICTの専門家から高度な知見に基づく助言を得るなど、必要に応じて外部の意見を聞いた上で対応したところでございます。
 なお、戦略的に政策を展開するための組織再編につきましては、来年度早期に行うべく取り組んでまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 横断歩道橋の安全性確保の取組についてでございますが、歩道橋は、歩行者の安全と交通の円滑化に寄与しており、地震時における倒壊を防ぐとともに、日頃から常に良好な状態に保つことが重要でございます。
 一般に、鋼製の歩道橋は重量が軽いため、地震時よりも風による荷重が大きくなり、それに耐えられるよう設計されております。都道の歩道橋は九割以上が鋼製でございまして、落橋防止装置も設置しております。
 その他の歩道橋につきましては、順次耐震性の調査を進め、必要に応じて補強工事を実施しております。
 また、全ての歩道橋を対象といたしまして日常点検や五年ごとの定期点検を実施し、必要な維持補修を速やかに行うことで健全な状態を保っております。
 今後とも、災害に強い都市東京の実現に向けて、歩道橋の安全性の確保に着実に取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) マンションの耐震化に向けた取組についてでございますが、マンションの耐震化を促進するためには、各管理組合が耐震化に主体的に取り組めるよう、管理状況に応じたきめ細かな助言や働きかけ等が重要でございます。
 このため、耐震診断実施済みで改修等が必要なマンションには、その実現に向け建築士等を繰り返し派遣し、改修工法や資金面等の具体的な助言を行ってまいりました。
 さらに今年度からは、届出により把握した管理状況を踏まえ、耐震診断を実施していないマンション等に対して耐震化の必要性や支援制度の案内等を掲載したマンション耐震化通信を郵送やメールで直接送付する取組を新たに開始し、耐震診断の実施を促しております。
 今後、こうした取組に加えまして、区市等とも連携し、個別に訪問するなど働きかけを強化し、耐震化を促進してまいります。

○副議長(本橋ひろたか君) 二十三番西山賢君
〔二十三番西山賢君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○二十三番(西山賢君) 初めに、地下水の実態把握についてお伺いをいたします。
 東京は、かつて膨大な量の地下水がくみ上げられ、区部を中心に地盤沈下が発生しましたが、揚水規制等を行うことで現在は鎮静化をしております。
 平成二十八年の地下水対策検討委員会の資料によりますと、地下水が流れる地層、いわゆる帯水層はつながっており、おおむね西から東へ、そして南から北へ向かって深くなっております。
 また、地層は連続しており、帯水層は面的に広がっていることから、一部の多摩での地下水のくみ上げが離れた区部の地下水位に影響を与えているといわれておりますが、現在進めている地下水の実態把握は都内だけを対象としており、帯水層の延長線上にある近隣県については、東京都として調査ができておりません。
 現在、区部や北多摩地域に近い埼玉東部地域では地下水採取規制が取られておりますが、埼玉西部地域では規制は一切なく、自由に地下水をくみ上げております。
 そこで、地盤沈下の要因が地下水にあるというのであるならば、地層のつながりを広域的に見る必要があり、地下水のくみ上げの影響を見るためには、都内のみの調査だけではなく近隣県を調査に加えるべきであり、その近隣県からも情報収集や情報の共有を行い、実態把握を進めるべきと考えますが、東京都の見解をお伺いします。
 次に、都立大学について伺います。
 現在抱えている都政の課題は多様であり、様々な分野において科学的知見の活用が重要でございます。
 東京都では、地盤沈下対策や空き家対策などの分野において都内大学と連携をしておりますが、アカデミズムの力は政策の裏づけとなっている一方で、都の政策課題にマッチした研究を進めてくれる研究者がすぐに見つかるわけではありません。
 そこで、都立大は、都が設立した公立大学として、都の様々な政策課題、とりわけそれがニッチな分野であっても東京都のニーズに積極的に応え、大学独自の研究や他の機関との共同研究を進めていくべきと考えますが、東京都の見解をお伺いします。
 現在、八王子市南大沢エリアには都立大という知の集積があるとともに、ローカル5G環境も整い、デジタル分野における最先端の研究拠点となっております。この環境を民間企業にも開放することで、ベンチャー企業やスタートアップ企業を誘致し、シリコンバレーのようなまちとしてDXを推進してもらうことを強く望むところです。
 そこで、都立大の有するローカル5G環境をより積極的に広く民間企業に活用していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。
 また、この日本最大級のローカル5G環境や先進的な研究活動といった都立大のセールスポイントを積極的に発信していくべきと考えますが、併せて東京都の見解を伺います。
 次に、交通空白地域についてお伺いをします。
 近年、高齢者ドライバーの事故件数が増加をしております。この事故を未然に防ぐための一つの方策として免許証の自主返納がありますが、交通空白地域として公共交通機関が整っていない地域では、車は生活の大切な足であり免許証を手放させないことから交通弱者対策は急務であります。
 東京都でも地域公共交通の在り方について話を進めておりますが、ぜひ十年後、二十年後を予測し、広い視野で未来の公共交通を想像していただきたいと思います。
 そこで、公共交通空白地域をどう認識し対策に取り組んでいくのか、都の見解をお伺いいたします。
 公共交通空白地域の対策として重要な交通手段の一つを担うコミュニティバスでございますが、現在、新規に車両購入をする場合は、東京都が二分の一を負担しており、ほとんどの区市町村がこのコミュニティバス事業を始めているものの、車両老朽化に伴う更新補助制度がないなど、事業の維持には大きな負担となっております。また、ランニングコストを見ても収支は赤字であり、マイナス補填分は区市町村の財源で賄っているのが現状です。
 そもそも民間バス事業者の不採算地域の住民の足を確保するためバスを運行していることを考えると、路線を増やせば増やすほど区市町村の赤字が増加をします。
 こうした状況を踏まえ、公共交通空白地域の解消に効果的な移動手段を区市町村が持続可能な形で運行させることが重要と考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、太陽光発電の設置義務について伺います。
 さきの定例会で、一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始すると知事は表明されました。
 設置義務化に伴い、太陽光パネルを設置後、発電効率は二十五年ほど保証されておりますが、いずれ更新や廃棄の時期を迎えます。その後も継続的に設置をしなければ、再生可能エネルギーの利用拡大、さらにはCO2排出実質ゼロに向けた取組は滞ってしまいます。
 太陽光発電設備の継続的な設置について、東京都の見解を伺います。
 また、この義務化に伴い、都民に百万円以上もする太陽光パネルの設置費用負担を強いる影響は決して小さくありません。また、事業者ではない個人が、住宅に太陽光パネルを設置した場合でも全量売電を行うなど事業として判断された場合や、屋根と一体型の太陽光パネルを設置した場合は、固定資産税の税負担が生じることになります。
 対象となる建築物など、義務化の詳細についてはこれから検討していくとのことですが、義務化によって設置費用や税などの新たな負担が生じるケースがあることは問題であると思います。
 そこで、負担増となる場合の固定資産税の減免や、また補助による支援など、太陽光発電設備の設置に伴う軽減策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今後、太陽光発電が果たす役割はより一層大きくなっていく中で、忘れてはならないのはパネルの廃棄問題です。
 パネルの寿命はおおむね二十五年程度であり、二〇三〇年半ばあたりからその寿命を迎え始めます。
 今後、パネル設置が義務化されれば廃棄パネルはさらに増大していくため、不法投棄、そしてリサイクルといった課題に対応していかなければなりません。特に太陽光パネルには、ガラスをはじめ再利用可能な素材も多く含まれていることから、大量廃棄が始まる前に重要な資源の循環を図ることが重要です。
 そこで、都は、太陽光パネルのリユース、リサイクルルートの確立に向けた取組を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 日本は二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指しておりますが、その達成に向けて重要となるのがエネルギーの電源構成です。CO2を減らすために理想的なエネルギーミックスの形を求めると、おのずと再生可能エネルギーのウエートは高くなり、中でも最も割合が高まるのが太陽光発電です。
 現在、太陽光発電は五十六ギガワットですが、国は二〇三〇年までに百四から百十八ギガワットの導入が必要と試算しており、今後十年で六十ギガワット程度の導入を目指すとしております。六十ギガワットの大きさを例えるならば、必要となるパネル面積は東京ドームグラウンドの実に四万六千か所分ともいわれております。
 二〇三〇年までにカーボンハーフを目指す東京都としても、その実現に向けて様々な施策を組み合わせながら、使うエネルギーの総量を化石エネルギーと脱炭素エネルギーの導入拡大で賄っていくわけですが、私は、それ以上に徹底した省エネこそが実現に向けて大きな一歩に近づくものと考えております。
 そこで、都の省エネに対する考えとカーボンハーフに向けた具体的な目標を伺います。
 次に、南大沢スマートシティについて伺います。
 都が南大沢エリアで行っているスマートシティでの検討や実証実験で得たノウハウを、今後スマートシティ導入を考えているほかの地域にも展開していく必要があると考えますが、東京都の見解を伺います。
 また、都は、未来の東京戦略の中で、二〇三〇年までに都内に5Gネットワークの一〇〇%概成を目標に掲げておりますが、その分野は日進月歩で進化をしており、国においては、二〇二五年半ばからビヨンド5Gの開発、製造基盤を強化し、二〇三〇年以降の6G化につなげていこうとしております。
 こうした動きを踏まえ、東京都においても、まず5Gネットワークの早期構築に注力しつつ、その先を見据えることも必要と考えますが、都の見解をお伺いします。
 知事は、第四回定例会の所信表明におきまして、我が国の構造的な課題として、世界から周回遅れにあるデジタル対応を含め、失われた三十年と表現し、この現状を打ち破り、東京をその先の高みに導くと表明をされました。
 東京都は、未来の東京戦略を打ち出し、その一つであるスマート東京というビジョンでは、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることを目標に掲げております。
 都市全体のスマート化は世界でも取組途上であり、成功すればモデル都市としてその地位は揺るぎのないものになるとしておりますが、さきの所信表明でも、議論や掛け声ばかりに終始することなく、また実証実験の繰り返しに明け暮れるのではなく、具体の行動を起こすと述べておりましたが、世界からの遅れを取り戻すため、どのような目標値を掲げ、具体の行動を起こし、取り戻していこうと決意をしているのか、知事の見解を伺います。
 最後に、学校避難所についてお伺いをいたします。
 私の住む八王子市では、令和元年東日本台風時において学校避難所を開放し、想定を超える方々が避難所に押しかけましたが、学校関係者が遠方であり、危険だから登校しないようにと、そのような連絡を受けたことで、体育館以外の避難所開放の方法を現場の方々が判断、そして把握できずに混乱を生じた事案がありました。
 都全体の学校避難所運営を考えた場合、教育管理職が学校近隣に居住をしていれば、緊急時、このような混乱を回避することができると思います。
 そこで、教育管理職の配置について都の見解を伺い、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西山賢議員の一般質問にお答えいたします。
 スマート東京の実現についてでございます。
 ポストコロナを見据え、デジタルを成長分野に世界の都市間競争はますます激化しております。DX、デジタルトランスフォーメーションをてこに我が国が抱える構造的な課題を克服し、東京が世界から選ばれる都市へと変貌を遂げていかなければなりません。
 強い危機感の下で、未来の東京戦略におきましては、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出して、都民が質の高い生活を送るスマート東京の実現を目指すべき未来の東京の姿として挙げまして、その実現に向けた戦略を盛り込んでおります。
 その戦略には、空飛ぶ車をはじめとした最先端モビリティーの都市実装や官民のデータを活用した多様なサービスの提供など、二〇三〇年に向けた政策目標を掲げておりまして、その実現に向け、先行実施エリアにおける様々な取組を強力に推進をしてまいります。
 戦略は、描いて終わりではありません。まさに実践することこそが重要であります。
 都の政策の各分野でDXを強力に推進するとともに、都市実装の成果を都内各地に展開していくなど、実効性ある政策を推し進め、世界のモデルとなるスマート東京を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 小中学校の管理職の配置についてでございますが、都教育委員会では、都内全域の教育水準の向上などを図るとともに、区市町村の人事構想を可能な限り尊重した配置を行っているところでございます。
 避難所として指定された小中学校につきましては、区市町村教育委員会が防災部局と連携を図りながら災害発生時の体制整備を行うこととなっており、災害発生時も想定した教育管理職等の配置についても、日常的な学校運営の充実と併せて検討することとなります。
 都教育委員会は、引き続き区市町村教育委員会の要望を踏まえた人事配置に努めるとともに、学校近隣に居住する管理職が災害時に早急に対応した具体的な事例を紹介するなど、防災部局と連携した災害時対応の視点を管理職配置要望に加えることについて十分に周知してまいります。
〔東京都技監上野雄一君登壇〕

○東京都技監(上野雄一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、公共交通空白地域についてでございます。
 公共交通空白地域は、駅やバス停から一定の距離を越えた地域でございまして、西多摩を中心に多摩地域では一部の地域に存在し、区部にも局所的に点在しております。
 その中でも、一定の利用者ニーズのある地域につきましては、都はこれまで、区市町村が行うコミュニティバスの導入に対しまして財政的な支援を行ってまいりました。また、昨年度からは、時間や場所にとらわれず機動的に利用できるデマンド交通の実証運行等につきましても支援を行っております。
 今後、都は、昨年立ち上げました地域公共交通の在り方に関する検討会におきまして、デマンド交通等の移動手段の選択肢の充実など、地域の特性に応じた移動手段の確保策につきまして、引き続き検討してまいります。
 次に、持続可能な移動手段についてでございます。
 地域公共交通を取り巻く今後の動向といたしまして、少子高齢、人口減少に伴う利用者減少が見込まれる一方、高齢運転手の免許返納の増加などによる利用ニーズの高まりもございます。
 社会経済状況も変化していく中、区市町村が引き続き地域における生活者の足を維持確保していくためには、財政支援だけに頼らない方策が求められます。
 また、地域公共交通の在り方に関する検討会におきましても、持続的な移動手段を確保する観点から、様々な主体の活力を活用した事業スキームの必要性などが課題として指摘されておりまして、今後さらに、移動手段の維持確保に向けた方策につきまして検討してまいります。
 最後に、南大沢のノウハウの他地域への展開についてでございます。
 当地区では、スマート東京実施戦略で、先行実施エリアといたしまして、最先端の研究とICT活用による住民生活の向上が融合したスマートなまちを目指すこととしております。
 この実現に向けまして、幅広い分野の参画が必要なことから、産学公連携による協議会を立ち上げ、モビリティー、まちのにぎわい、情報活用の三つの部会ごとの検討を進めるとともに、ウェブを活用した地域のニーズ調査や、先端技術に関わる様々な実証実験等を社会実装の主体となり得る事業者が中心となって行いながら、地域の課題に即した実践的なまちづくりを検討しております。
 この南大沢での取組をスマートシティの一つのモデルといたしまして、そこで得られたノウハウや技術を蓄積いたしまして、それらを都内の他地域にも横展開することで、スマート東京の実現につなげてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下水の実態把握についてでございますが、地下水のくみ上げに伴い沈んだ地盤は元に戻らないことから、揚水には慎重な対応が必要でございます。
 このため、都は、未解明な部分の多い地下水の実態把握に向け、有識者による専門家会議を設置し、都内の地下水位、地盤沈下の状況等、検証を継続してまいりました。
 平成二十九年度からは、都が直接学術機関と共に研究を進め、最新の研究成果では、都内東部の低地部において地下水位の低下が起これば地盤沈下が再発する可能性があるとの知見が得られてございます。
 地下水の帯水層は都県をまたいで存在しているため、研究の進捗に応じて、都内の状況を把握した上で、近隣自治体の地域の情報も含めて、さらなる地下水の実態把握を進めてまいります。
 次に、太陽光発電設備の継続的な設置についてでございますが、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、省エネや再エネ設備の設置など建物の脱炭素化の取組を継続していくことが重要でございます。
 太陽光発電設備につきましては、今後、保証年数を経過し、発電効率等の低下や破損により更新が必要となる設備の増加が見込まれます。
 このため、都は、住宅やビルの建築主に対しまして、改めて電気代削減や災害時の活用など、太陽光発電のメリットや最新の技術情報等を適切に伝えるなど普及啓発に努め、継続的な利用を促してまいります。
 また、住宅供給事業者や太陽光発電メーカー等に対しまして、住宅のメンテナンスの時期に合わせ、適切な設備更新の提案を行うよう積極的な働きかけを行ってまいります。
 こうした取組により、太陽光発電設備の継続的な設置につなげてまいります。
 次に、太陽光発電設備の設置への軽減策についてでございますが、住宅等への太陽光発電設備の設置は、停電時に電気を使用でき、電気代削減や売電収入が得られるメリットに加え、設置費用が低下するなど導入の機は熟してございます。
 こうした状況を踏まえまして、都は、住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始いたしました。
 現在、環境審議会の下に分科会を設置し、専門家による審議を進めてございますが、関係団体などからのご意見等も伺いながら議論を深化させてまいります。
 都民負担軽減策としての固定資産税の減免につきましては、その効果が二十三区内にしか及ばないなどの課題があると認識してございます。
 今後、太陽光発電設備の導入促進に当たっての支援等の在り方について様々な検討を行ってまいります。
 次に、太陽光パネルのリサイクルについてでございますが、将来の大量廃棄を見据え、パネルについて廃棄物として適正に処理するだけでなく、適切にリユース、リサイクルできる体制を事前に確立することが重要でございます。
 これまでも都は、専門家や現場に精通した事業者と、パネルの取り外しから回収、処理に至る各工程をリユース、リサイクルにつなげていく方策の検討を進めてまいりました。
 具体的には、優先すべきリユースについて、発電性能をスムーズに診断する方法のほか、リサイクルについては、都内で七割を占める住宅用パネルの効率的な回収方法のシミュレーション等、様々な実証事業を行ってございます。
 今後も、適正処理はもとより、取組の成果や近年稼働し始めているリサイクル施設の状況を踏まえ、各工程が連携したリサイクルルートを事業者と共に構築してまいります。
 最後に、省エネへの考え方と具体的な目標についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現には、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化とともに、エネルギー消費自体の最大限の削減が不可欠でございまして、誰もが当たり前に省エネ行動できる社会をつくり上げていく必要がございます。
 このため、都は、二〇三〇年カーボンハーフに向け、エネルギー消費量の削減目標を二〇〇〇年度比で業務、産業部門三五%程度、家庭部門三〇%程度、運輸部門六五%程度と、現在の環境基本計画の目標から一段強化する部門別の素案を審議会で提示いたしました。
 今後、環境審議会での議論を重ね、条例制度の強化や都民、事業者の取組を後押しする支援策、さらには都自らの率先行動など、抜本的な施策強化を図りながら目標達成を目指してまいります。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立大学における研究の推進についてですが、都政をめぐる諸課題の解決に向けて効果的な政策展開を図るためには、科学的アプローチに基づく検証や分析など、アカデミズムの力を活用することが重要でございます。
 これまで、都が設置いたしました総合大学でございます都立大学においては、例えばゲリラ豪雨に関する調査分析や島しょ地域の産業活性化に関する実証事業など、都政課題をテーマといたしました研究に重点的に取り組んでまいりました。
 来年からは、こうした研究をさらに推進していくための組織を立ち上げ、都立大学の研究資源に加え、他の研究機関や民間企業とも必要に応じ連携を図ることにより、都庁各局等の様々な研究ニーズに積極的に応えていくこととしております。
 都は、都立大のこうした取組を支援し、都のシンクタンクとして都政課題の解決に一層活用してまいります。
 次に、都立大学のローカル5Gの活用についてですが、5Gを活用した次世代型サービスの社会実装を進めるためには、大学や企業等が、先端技術の研究開発やその実用化に向け積極的に取り組んでいく必要がございます。
 現在、都立大では、南大沢キャンパス等にローカル5G環境を整備し、政策課題の解決に向けて5Gの活用を図る研究を進めるとともに、革新的なサービスの開発を目指す企業に対して、実証フィールドの無償提供やテスト運用への協力などの各種支援を行っているところでございます。
 今後は、この支援の対象企業を追加選定するほか、関係局と連携し、都が資金面や技術面で支援を行っている有望なスタートアップ企業に対して、ニーズに応じ実証フィールドを提供するなど、大学のリソースを活用した支援の推進に向け、さらなる取組を検討してまいります。
 最後に、ローカル5Gを活用した取組の発信についてですが、5G研究における都立大のプレゼンスを高めていくためには、先進的な研究や社会実装に向けた産学連携等の取組を効果的に発信し、学内外のリソースが集まる高度な研究拠点の形成へとつなげていくことが重要でございます。
 都立大では、本年二月、技術者、研究者など約八百名の参加を得て5Gの技術的優位性や今後の可能性等に関するシンポジウムを開催し、都立大の取組のPRも実施いたしました。
 今後は、5Gの研究内容について大規模な国際学会等で発表を行うほか、企業や研究者を対象とした技術フォーラムを開催することとしております。加えまして、都立大の支援を受けた企業によるプロジェクトの成果発表会も実施いたします。
 こうした様々な機会を捉え、都立大の取組を広く発信してまいります。
〔デジタルサービス局長寺崎久明君登壇〕

○デジタルサービス局長(寺崎久明君) 5Gネットワークの早期構築についてでございますが、情報通信ネットワークは、防災、医療、教育などあらゆる分野のデジタルサービスを提供するために必要不可欠な基幹的な公共インフラであり、都はこれまで、5Gアンテナの設置場所として都有施設を開放し、通信事業者の基地局整備を後押ししてまいりました。
 現在、区市町村や民間事業者とも連携し、アセット開放の取組を拡大しております。
 また、西新宿ではスマートポールを面的に整備し、通信事業者とともに5Gエリアを拡充しておりまして、ロボットによる自動配送やまち歩きアプリなど、地域と連携した新たなサービスの開発も進めているところでございます。
 今後は、こうした取組に加えまして、各国等における6Gなど開発動向の把握にも努め、東京の高速モバイルインターネット網の整備の加速化を図ってまいります。

○議長(三宅しげき君) 五十三番西崎つばさ君
〔五十三番西崎つばさ君登壇〕

○五十三番(西崎つばさ君) 都議会立憲民主党の西崎つばさです。
 私は、真に公正、公平な社会と、誰もが自分らしく生きていくことのできる東京を目指す決意を持って、以下、私にとりましては初めての、本日の会議におきましては最後の一般質問をさせていただきます。
 初めに、ジェンダー平等について伺います。
 世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数において、日本は百五十六か国中、百二十位と低迷が続き、全国的な課題となっていますが、この中で、首都東京における初の女性知事が二期目に取り組まれていることの意味は、決して小さくないと考えます。
 そこでまず、これまで知事が進めてこられた、また、これからも進めていかれるジェンダー平等施策の展開について伺います。
 また、我が会派から提案を続けているジェンダー予算に関連して伺います。
 あらゆる予算編成や事務事業が、ジェンダー平等の視点から点検されることは極めて重要です。
 例えば、都は本年四月に新たな交通安全計画を策定しましたが、運転免許の保有率は、全世代において、とりわけ高齢世代ほど男女差があります。
 また、一般財団法人自転車産業振興協会の調査報告によれば、自転車の利用時に車道を走行する割合は、女性の方が低いことが明らかになっています。こうした違いは、果たして考慮されているでしょうか。
 このように、様々なところに潜む性差を捉えて公平な施策を進めるためには、ジェンダー主流化の概念を職員一人一人が理解することが大前提となります。
 そこで、ジェンダー平等に向けた職員への研修等について、都の取組状況を伺います。
 さらに、ジェンダー平等は、女性だけでなく、男性も積極的に取り組むべき問題でありながら、なかなかその機運が高まらないのが課題となっています。
 そうした中で、男性の生きづらさや葛藤に焦点を当てた男性学という学問に注目が集まっています。終わりのない競争に勝ち抜くことを強いられ、辛くても弱音を吐くことや他人に頼ることをよしとされないなど、男性をめぐるジェンダーステレオタイプは、これに適合できない者を苦しめ、相対的に高い自殺率に結びついているとの指摘もあります。
 こうした認識を男性自身が持つことは、ジェンダー施策への関心を高める一助になると考えます。
 ただ、大切なのは、男女どちらかが得か損かと捉えることではなく、多様な性も含め、誰もが自分らしく生きられる社会を実現することであり、誰もが当事者であると理解することです。
 そこで、ジェンダー平等実現のためには、男性がより当事者意識を持って関わることが重要であると考えますが、所見を伺います。
 関連して、性別固定的な役割を見直す観点から、男性職員の育休取得について伺います。
 本年六月の育児・介護休業法の改正もあり、家庭での男性活躍推進がさらに加速することを期待しておりますし、都もこれまで、男性の育休取得を推進してきたことは承知をしております。
 そこで、この分野に関して非常に先進的な千葉市の取組を見てみますと、男性職員は基本的に育休を取得するものとし、しない場合に理由を申告するという方式、いわば育休取得をデフォルト化、初期設定化するという特徴的な仕組みによって、二〇一九年度の取得率は九二・三%と圧倒的な数字を記録しています。これは、人々の行動変容を促すナッジの理論にも通じる取組といえます。
 こうした事例も参考に、男性職員の育休取得率の大幅な向上を目指していくべきと考えますが、所見を伺います。
 ここからは、子供施策について伺います。
 さきの定例会では、我々を含む多数の会派から子供施策の専管部署に関する言及があり、今回の知事の所信表明でも組織再編に触れられておりました。ぜひ、具体的な検討をお進めいただきたいと思いますが、同時に考えるべきは、専門家による独立した人権擁護機関の設置をはじめとした、子供の権利擁護の体制構築です。
 組織改革が検討されつつある今こそ、先行して子供の声を反映する取組の強化が必要であると考えますが、子供に寄り添い、その権利を保護、促進することについて、都の取組状況を伺います。
 次に、子供の安全を守る観点から、事故予防についてお聞きします。
 本年、都内の陸橋において、階段部分の欄干と通路部分の欄干がそれぞれ基準を守って設置されていたにもかかわらず、その接合部において、子供が擦り抜けられる程度の隙間があり、応急措置により隙間を塞ぐことで、安全を確保した事例がありました。
 都が管理する橋梁においては、五年に一度の定期点検を行っているかと思いますが、その際には、構造物としての健全性のみならず、こうした危険箇所も併せて見抜けるような実施を心がけるべきと考えます。
 そこで、安全の観点からの橋梁の点検について所見を伺います。
 子供の事故予防は、科学的、客観的な根拠に基づき、時代に応じて見直していかなければなりません。
 ここで、子供の水難事故の状況を見てみると、件数は二十年近く、死者数も五年ほど横ばいで推移しており、年々減少傾向にある交通事故とは対照的となっています。
 一方で、海中に転落したときの生存率は、ライフジャケットの着用の有無で大きく変わるというデータが国土交通省や海上保安庁から示されていることなどから、近年その重要性が指摘されており、消費者庁も、子供が水辺で遊ぶ際の着用を呼びかけています。
 また、都の生活文化局では、二〇一九年、子供用ライフジャケットの安全な使用に関する調査を行っており、活動内容別の着用率に大きな差があることなどを明らかにしています。
 学校の教育現場に関しては、独立行政法人日本スポーツ振興センターが発行する学校における水泳事故防止必携の最新版が、ライフジャケットの有用性を体験させる指導の意義を示すとともに、全ての水辺での活動における着用が必須であると指摘しています。
 さらに、来年度に向けたスポーツ庁の概算要求においては、ライフジャケット活用などの指導モデル研究を行うため、都道府県教育委員会と連携した事業の実施が想定されています。
 一方で、ライフジャケットを着用させないことには、事故発生時の引率者の訴訟リスクが伴います。二〇一二年、愛媛県西条市の私立幼稚園において、川遊びの最中に鉄砲水に流された男児が亡くなってしまうという大変痛ましい事故が発生しましたが、司法はライフジャケットを着用させる義務があったと認定し、当時の園長に対する業務上過失致死傷罪が確定しています。
 そこで伺いますが、特に小中学校の校外活動などにおいて、川や海などで活動する場合にはライフジャケット着用を必須にすべきと考えますが、見解を求めます。
 同様に、ライフジャケットの使い方や効果、重要性に関する指導を実施することについて、所見を伺います。
 続いて、あらゆる子供の死亡事例を検証し、その予防策を導き出す仕組みであるチャイルド・デス・レビュー、CDRについて伺います。
 昨日、他会派の代表質問においても議論がありましたが、もはやCDRは実装段階が迫っており、早急に体制構築を進めるべきと考えますが、都の取組状況について改めて伺います。
 最後に、環境分野についてお聞きします。
 もはや持続可能性という言葉は、現代のあらゆる分野におけるキーワードといえますが、それは化学物質においても同様です。
 特に、近年問題視されているのが、PFASと呼ばれる四千七百種類もの合成化学物質群であり、フッ素と炭素の強力な結合により、極めて分解されにくい特徴から、フォーエバーケミカル、永遠の化学物質と呼ばれています。
 このうち、PFOSやPFOAについては、都の水道から高い数値が検出されたことが問題となりましたが、その他のPFASも今なお、フライパンのコーティングや水をはじく衣服の生地、食品の紙包装など幅広い製品に使われています。
 しかし、自然界で分解されるのには数千年を要するといわれていることから、環境残留性や生体蓄積性の問題があることに加え、疾患をもたらす疑いや、さらには免疫系を阻害し、子供のワクチン効果を減退させる可能性が指摘されていることなどから、米国やEUでは、具体的な規制を設ける動きが出てきています。
 民間でも、昨年十二月にはアマゾン、今年の一月にはマクドナルドが、全ての食品の包装や容器からPFASを全廃していくと発表しました。ESG投資の観点からすると、今後は国内企業や都の金融戦略にも影響を及ぼす可能性があり、動向を注視する必要があります。
 このように、世界的にPFASに対する規制強化が進められつつありますが、肝となるのは化学物質の領域においても、やはり持続可能性を追求することであると考えます。
 そこで、環境負荷を減らすための、いわゆるグリーンサステーナブルケミストリーについて、都の所見を伺います。
 また、PFASに関する規制が進んでいくと、化学物質を扱う製品の製造や販売に携わっている都内事業者が海外と取引を行う場合、新たな規制やルールに対応することが難しくなるケースも想定されます。
 そこで、現在、中小企業の輸出等に際して、諸外国の規制などへの適合支援を、都立産業技術研究センターがどのように行っているのか伺います。
 以上、私からの質問とさせていただきます。ご答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西崎つばさ議員の一般質問にお答えいたします。
 ジェンダー平等施策についてのお尋ねがございました。
 全ての都民が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりは重要であります。
 知事就任以来、女性の活躍推進を都政の重要課題と位置づけまして、待機児童対策、女性起業家の支援、都の審議会の女性委員の任用促進など、様々な施策を積極的に展開をしてまいりました。
 今後も、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指しまして、取り組んでまいります。
 残余のご質問につきまして、教育長及び関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、ライフジャケットの着用についてでございますが、学校は、校外学習において川や海などで活動する場合には、水難事故防止のために活動内容を限定するなど、安全対策を講じております。
 例えば、河原で活動する際に水につからないことや、海で磯遊びをする際に、水に入るのはくるぶしの深さまでにするなどのルールを設定し、子供が安全に活動できるようにしております。また、船の上での活動の際は、子供にライフジャケットを着用させております。
 今後とも、学校が水辺での教育活動を行う際、活動に応じた安全対策を徹底できるよう、都教育委員会が作成している指導資料等を通じて、学校の取組を支援いたします。
 次に、ライフジャケットの使い方等の指導についてでございますが、都教育委員会は、河川やその周辺の危険情報、ライフジャケットの正しい着用の仕方が示されている国のリーフレット等を、区市町村教育委員会を通じて各学校に配布をいたしております。
 各学校ではこれらの資料を参考に、夏休み等の過ごし方についての指導などの際に、例えば、水辺で活動する際には、周辺の安全を確認するとともに、ライフジャケットを正しく着用すること、天候が急変した場合には、速やかに避難することの大切さを子供に伝えているところでございます。
〔総務局長村松明典君登壇〕

○総務局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、男女平等参画に関する研修についてですが、都はこれまでも、男女平等参画を含めた人権意識の醸成を職員研修における重点事項として位置づけまして、全ての職員を対象として研修を実施しているところでございます。
 研修におきましては、基本的な知識を習得するための講義に加えて、具体的な事例を取り上げて職員同士が意見交換する演習を行うことにより、人権課題に対する理解促進を図っております。
 今後とも、こうした取組を通じまして、職員の男女平等参画に関する意識をより一層高めてまいります。
 次に、男性職員の育児休業取得促進についてですが、都はこれまでも、全ての管理職がイクボス宣言を行い、所属長は配偶者の妊娠が判明した男性職員に対して、面談を行うなどの取組を実施してまいりました。
 令和二年度からは、休暇、休業の取得を前提とした働きかけを強化するため、合計一か月以上を目途とした取得を勧奨するとともに、申請がない場合は、その理由を確認した上で取得を促しております。
 また、職場全体で休業期間中の業務計画を策定するなど、取得しやすい職場環境づくりに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、職員が周囲に気兼ねなく育休等を取得できる機運醸成を一層促進し、男性職員の育児休業取得率の向上を目指してまいります。
〔生活文化局長武市玲子君登壇〕

○生活文化局長(武市玲子君) ジェンダー平等の実現についてでございますが、日常生活の中で、固定的な性別役割分担意識が根強く残っている現状を解消することは重要でございます。
 このため、都は、夫婦等が共に家事、育児の分担について考えるきっかけとなるシンポジウムなどを開催するなど、意識啓発に努めてまいりました。
 今後も、男女が対等な立場であらゆる活動に共に参画できるよう取り組んでまいります。
〔福祉保健局長中村倫治君登壇〕

○福祉保健局長(中村倫治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の権利擁護についてであります。
 都は、子供・子育て支援総合計画に基づき、子供の権利擁護専門相談事業を実施しており、子供本人から、いじめ、虐待、体罰など様々な悩み事について相談を受けております。
 年間千件以上の相談があり、深刻なものについては弁護士等の専門員が子供本人と面接の上、学校や関係機関を直接訪問し、中立的な立場で調査するなど支援を行っております。
 引き続き、区市町村や学校など関係機関とも連携しながら、子供の権利擁護に取り組んでまいります。
 次に、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 チャイルド・デス・レビューは、子供の死亡事例について、社会的背景や環境要因等を分析、検証することで、将来に向けた予防につなげるものであります。
 国は、検証制度の構築に向け、令和二年度からモデル事業を実施しており、都は、この状況を把握するとともに、今後、どのような体制で取り組むべきか、区市町村や関係機関等の意見も聞きながら検討してまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 橋梁の点検についてでございますが、橋梁は、河川などで隔てられた地域を結ぶ重要な都市基盤施設であり、適切な維持管理により、常に良好な状態に保つ必要がございます。
 都は、全ての橋梁を対象に、日常点検や五年ごとの定期点検を実施し、必要な維持補修を速やかに実施しております。点検に当たりましては、点検要領に基づき、各部材の健全性や安全性を確認しております。安全性をさらに高めるためには、子供など様々な利用者の目線で、部材の接合部などの状況を的確に把握していくことが重要でございます。
 今後は、こうした認識について関係職員で共有し、点検の精度を高めることにより、誰もが安心して利用できる橋梁の保全に努めてまいります。
〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) グリーンサステーナブルケミストリーについてでございますが、化学物質のライフサイクルにおいて、人体及び環境への負荷を低減しようとするグリーンサステーナブルケミストリーの視点を踏まえた取組は重要でございます。
 国は、法律による規制等に加え、平成二十四年に国際的な化学物質管理に係る戦略的アプローチの実施計画を定め、ライフサイクル全体にわたる管理等に取り組んでございます。
 都では、平成十三年から、環境確保条例による化学物質適正管理制度に基づき、国の制度よりも対象事業者を広げ、化学物質の使用実態の把握や適正管理及び削減に向けた自主的な取組を促進してございます。この結果、使用量の大幅な削減や有害性の少ない物質への代替が進んでおります。
 今後とも、持続可能な社会の実現に向けて、化学物質による環境リスクの低減に努めてまいります。
〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 製品輸出に係る海外の規制への対応についてですが、都立産業技術研究センターでは、中小企業が製品を輸出する際に、海外の国や地域が定める規制等に適合できるよう、試験研究機関を持つ近隣の十一の県や市と協力して、幅広く受付体制を設けて支援を行っております。
 具体的には、中小企業からの申出に応じて、海外でのルールに詳しい専門家が、国や地域によって異なる様々な化学物質の規制等に関してきめ細かい相談を行うほか、規制に適合しているかを試験し、その結果を証明することで、中小企業の海外展開のサポートをしているところでございます。
 引き続き、こうした取組によりまして、中小企業の製品輸出の後押しを行ってまいります。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(三宅しげき君) これより日程に入ります
 日程第一から第二十七まで、第百九十八号議案、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例外議案二十六件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事武市敬君。
〔副知事武市敬君登壇〕

○副知事(武市敬君) ただいま上程になりました二十七議案についてご説明申し上げます。
 初めに、予算案でございます。
 第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)は、新型コロナウイルス感染症対策として、第六波に備えた医療提供体制の確保等や都民生活の支援のさらなる充実、東京の経済を再生、回復の軌道に乗せるための取組などの実施に加え、原油価格高騰に対する事業者への緊急支援を実施するとともに、脱炭素化の契機と捉え、来年度予算に先駆けて取組を強化するため、一千四十七億円を増額するものでございます。
 第百九十八号議案から第二百九号議案までの十議案は条例案で、いずれも一部を改正する条例でございます。
 第百九十八号議案、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例外一件は、臨時的任用職員を新たに任用することに伴い、所要の改正を行うものでございます。
 第二百一号議案、都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例は、妊娠、出産及び育児と仕事との両立を支援するため、新たに出産支援休暇及び育児参加休暇を設けるものなどでございます。
 第二百二号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の改正等に伴い、長期優良住宅建築等計画の認定の申請等に係る手数料の額を改定するものなどでございます。
 第二百三号議案、東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例は、母子住宅の廃止に伴い、福祉住宅に関する規定を整備するものでございます。
 第二百四号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、大気環境のさらなる改善及び温室効果ガス排出量の削減に向け、環境性能の高い自動車の普及を加速させるため、低公害、低燃費車の導入義務に係る規定を改めるものでございます。
 第二百八号議案、警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例は、いわゆる銃刀法の一部改正に伴い、クロスボウの所持許可申請等に係る手数料の規定を設けるものなどでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが三件ございます。
 第二百十号議案から第二百十七号議案までの八議案は、契約案でございます。
 第二百十号議案、都立光明学園(三)南棟改築工事請負契約など、契約金額の総額は約百二十一億円でございます。
 第二百十八号議案から第二百二十五号議案までの八議案は、事件案でございます。
 第二百十八号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの令和四年度の発売限度額を定めるもの、第二百十九号議案は、杉並区が独自に採用した教員の教育管理職任用審査に係る事務を都が受託するもの、第二百二十号議案は、土地信託の受益権を売り払うもの、第二百二十一号議案外三件は、公の施設の指定管理者を指定するもの、第二百二十五号議案は、都立学校における柔道事故に伴う損害賠償の額を決定するものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(三宅しげき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 人事委員会の回答は、第百九十八号議案、第百九十九号議案及び第二百一号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

三人委任第一二二号
令和三年十一月二十五日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
(公印省略)
 東京都議会議長 三宅しげき殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 令和三年十一月二十四日付三議事第三四二号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百九十八号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
二 第百九十九号議案
職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十七までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十七までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、議員提出議案第二十一号、東京都子どもの医療費の助成に関する条例外条例一件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(やまだ加奈子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十一号及び第二十二号については、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託されることを望みます。

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十一号及び第二十二号は、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(三宅しげき君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二十八件及び陳情三十一件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) お諮りいたします。
 明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三宅しげき君) ご異議なしと認めます。よって、明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時五十六分散会

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