令和二年東京都議会会議録第四号

令和二年二月二十八日(金曜日)
 出席議員 百二十三名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番平  慶翔君
五番後藤 なみ君
六番藤井あきら君
七番内山 真吾君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番龍円あいり君
二十一番あかねがくぼかよ子君
二十二番保坂まさひろ君
二十三番鳥居こうすけ君
二十四番菅原 直志君
二十五番清水やすこ君
二十六番森澤 恭子君
二十七番斉藤れいな君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番舟坂ちかお君
三十一番三宅 正彦君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番白戸 太朗君
四十一番本橋ひろたか君
四十二番馬場 信男君
四十三番佐野いくお君
四十四番細谷しょうこ君
四十五番栗下 善行君
四十六番中山ひろゆき君
四十七番たきぐち学君
四十八番奥澤 高広君
五十番山崎 一輝君
五十一番神林  茂君
五十二番早坂 義弘君
五十三番高橋 信博君
五十四番西沢けいた君
五十五番米倉 春奈君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とくとめ道信君
五十九番遠藤  守君
六十番上野 和彦君
六十一番のがみ純子君
六十二番まつば多美子君
六十三番田の上いくこ君
六十四番両角みのる君
六十五番西郷あゆ美君
六十六番もり  愛君
六十七番岡本こうき君
六十八番米川大二郎君
六十九番森口つかさ君
七十番つじの栄作君
七十一番関野たかなり君
七十二番桐山ひとみ君
七十三番石川 良一君
七十四番中屋 文孝君
七十五番古賀 俊昭君
七十六番秋田 一郎君
七十七番吉原  修君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番清水ひで子君
八十一番とや英津子君
八十二番池川 友一君
八十三番中山 信行君
八十四番谷村 孝彦君
八十五番長橋 桂一君
八十七番藤井  一君
八十八番増田 一郎君
八十九番滝田やすひこ君
九十番おじま紘平君
九十一番木下ふみこ君
九十二番村松 一希君
九十三番福島りえこ君
九十四番ひぐちたかあき君
九十五番鈴木 邦和君
九十六番森村 隆行君
九十七番入江のぶこ君
九十八番柴崎 幹男君
九十九番清水 孝治君
百番大場やすのぶ君
百一番三宅しげき君
百二番中村ひろし君
百三番里吉 ゆみ君
百四番尾崎あや子君
百五番曽根はじめ君
百六番橘  正剛君
百七番高倉 良生君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番山田ひろし君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十番宇田川聡史君
百二十一番小宮あんり君
百二十二番鈴木 章浩君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番白石たみお君
百二十六番大山とも子君
百二十七番和泉なおみ君
 欠席議員 一名
八十六番  小磯 善彦君
 欠員
    八番 十五番 四十九番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事多羅尾光睦君
副知事宮坂  学君
教育長藤田 裕司君
東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
政策企画局長山手  斉君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
警視総監斉藤  実君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長吉村 憲彦君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長村松 明典君
建設局長三浦  隆君
消防総監安藤 俊雄君
交通局長土渕  裕君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長和賀井克夫君
戦略政策情報推進本部長松下 隆弘君
住宅政策本部長榎本 雅人君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長黒沼  靖君
収用委員会事務局長斎藤 真人君

二月二十八日議事日程第四号
第一 第一号議案
令和二年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
令和二年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
令和二年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
令和二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
令和二年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六 第六号議案
令和二年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七 第七号議案
令和二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八 第八号議案
令和二年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第九 第九号議案
令和二年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
令和二年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
令和二年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
令和二年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
令和二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
令和二年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
令和二年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
令和二年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十八 第十八号議案
令和二年度東京都病院会計予算
第十九 第十九号議案
令和二年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十 第二十号議案
令和二年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
令和二年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
令和二年度東京都港湾事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
令和二年度東京都交通事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
令和二年度東京都高速電車事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
令和二年度東京都電気事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
令和二年度東京都水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
令和二年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
令和二年度東京都下水道事業会計予算
第二十九 第百三号議案
令和二年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三十 第百四号議案
令和二年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第三十一 第百七号議案
令和二年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第三十二 第百八号議案
令和二年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第三十三 第二十九号議案
スマート東京推進基金条例
第三十四 第三十号議案
公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法に規定する重要な財産を定める条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十一号議案
東京都が設立する地方独立行政法人に係る地方独立行政法人法第十九条の二第四項に規定する条例で定める額を定める条例
第三十六 第三十二号議案
東京都知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例
第三十七 第三十三号議案
職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十四号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十五号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第三十六号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第三十七号議案
都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第三十八号議案
令和元年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第四十三 第三十九号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十号議案
東京都犯罪被害者等支援条例
第四十五 第四十一号議案
東京都監査委員条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十二号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十三号議案
東京都庭園美術館条例
第四十八 第四十四号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第四十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第四十七号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十二 第四十八号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十三 第四十九号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十号議案
緑あふれる東京基金条例
第五十五 第五十一号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十三号議案
東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十四号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十五号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第六十 第五十六号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第六十一 第五十七号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第六十二 第五十八号議案
東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第五十九号議案
東京都イノベーション創出基金条例を廃止する条例
第六十四 第六十号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十一号議案
東京都家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十二号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十三号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十五号議案
ゼロエミッション東京推進基金条例
第七十 第六十六号議案
東京都水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金条例を廃止する条例
第七十一 第六十七号議案
高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十二 第六十八号議案
東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第六十九号議案
東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十三号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十四号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十五号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第八十 第七十六号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第八十一 第七十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八十二 第七十八号議案
都営住宅三十一H─一一四東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約
第八十三 第七十九号議案
都営住宅三十一H─一二八東(板橋区双葉町)工事請負契約
第八十四 第八十号議案
都営住宅三十一H─一二二東(足立区江北七丁目)工事請負契約
第八十五 第八十一号議案
都立神代高等学校(三十一)体育館ほか改築及び改修工事請負契約
第八十六 第八十二号議案
東京都八重洲駐車場(三十一)改修工事請負契約
第八十七 第八十三号議案
警視庁本部庁舎(三十一)大規模改修空調設備工事その二請負契約
第八十八 第八十四号議案
環二築地虎ノ門トンネル(三十一)換気設備工事その二請負契約
第八十九 第八十五号議案
中川護岸耐震補強工事(その四十六)請負契約
第九十 第八十六号議案
妙正寺川整備工事(その十六)請負契約
第九十一 第八十七号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十六)請負契約
第九十二 第八十八号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その五)請負契約
第九十三 第八十九号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百六)請負契約
第九十四 第九十号議案
包括外部監査契約の締結について
第九十五 第九十一号議案
東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第九十六 第九十二号議案
境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第九十七 第九十三号議案
世田谷区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十八 第九十四号議案
荒川区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第九十九 第九十五号議案
江戸川区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
第百 第九十六号議案
東京国際クルーズふ頭桟橋外一施設の指定管理者の指定について
第百一 第九十七号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第百二 第九十八号議案
令和二年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三 第九十九号議案
令和元年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百四 第百号議案
令和元年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百五 第百一号議案
令和元年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百六 第百二号議案
令和元年度東京都用地会計補正予算(第一号)
第百七 第百五号議案
令和元年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百八 第百六号議案
令和元年度東京都病院会計補正予算(第二号)
第百九 諮問第一号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(三一財主議第五九四号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(三一財主議第五九五号)
第三 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(三一財主議第五九六号)
第四 議員提出議案第二号
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 議員提出議案第三号
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例
第六 議員提出議案第四号
東京都私立高等学校等入学料の助成に関する条例
第七 議員提出議案第五号
子どもの属する世帯に係る国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例
第八 議員提出議案第六号
東京都雇用・就業対策審議会条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(石川良一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例四件、知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(石川良一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 二十四番菅原直志君
〔二十四番菅原直志君登壇〕

○二十四番(菅原直志君) 昨日、突如政府から全国の公立小中高を三月二日から春休み明けまで臨時休校させるとの方針が示されました。新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐという趣旨には賛同するものではございますが、現場の学校、自治体と十分な協議、調整をすることなく、突如週明けから休校という政策決定は、対応に追われる自治体にさらに大きな混乱を引き起こすものといわざるを得ません。
 今回の唐突な政府の対応は、都民生活に多大な影響を及ぼすものです。小学校低学年の子供を持つ共働き家庭やひとり親は、一日中小さい子供を家に一人にすることはできません。仕事を休まざるを得ず、その結果、所得、給料の減少というしわ寄せを負いかねないものです。小学校高学年、中高生に関しても、卒業式や入学試験を初め、さまざまな個別の事情を抱えております。
 臨時休校の検討に当たっては、感染拡大を抑える資材の重点配備などの措置を強化、徹底した上で、学童保育を臨時的に長期休暇期間中と同様に、一日中対応できる体制にするなど、働く親の実態に即した対応が必要と考えますが、公立小中高の臨時休校に関する見解を伺います。
 さらに、特別支援学校に通う子供は、突如専門性を有した学校による支援が受けられなくなり、一層深刻な課題を抱えると考えられ、特別支援学校特有の事情に即した対応が必要と考えますが、見解を伺います。
 政府の休校要請に基づき、最も大きなしわ寄せが行きかねないのが、非正規雇用で働く方々です。特に、ひとり親で小学校低学年のお子さんを育てている非正規雇用の保護者の皆さんは、勤務日数が減ることで収入が減り、生活費を賄えないような事態に陥りかねません。
 国の危機を乗り越えるに当たって、社会的、経済的に弱い立場にある方に最も大きな負担を強いるようなことがあってはなりません。
 そこで、この休校に伴い、派遣切りや非正規雇用の解雇などがないようにすることはもちろん、収入面でも不安が生じないように、都として国に求めるとともに、都としても対応すべきと考えますが、見解を求めます。
 今回の国の決定には、保育園や学童保育所、幼稚園は今回の措置の対象に含まれてはいないということですが、一部自治体では独自にこれらの施設も休ませる動きも見られます。都内の感染の状況を踏まえた慎重な検討が必要です。
 都内の感染状況を踏まえた方針を早期に示すとともに、開園を続ける保育園や学童保育所、幼稚園がある場合には、親の不安を軽減する取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 学校の休校要請を受けて、幼稚園、保育園が突如休園になるのではないかと不安が広がっています。どのような場合に休園にするのか、データに基づく基準をあらかじめ示すように、都は国に対して要請すべきと考えます。
 また、先行して休校を実施した自治体においては、それに伴い、医療関係者が出勤できず、医療機関が休まざるを得ない状況に追い込まれた例もあるとのことです。働くことが困難となる親、医療や学童、保育園などの関係者など、厳しい対応を迫られる現場の方々など、今回の国の一連の措置により、都民に多大な影響が出るものであり、国に対しては必要な補償も求めるべきとつけ加えておきます。
 女性活躍推進の一つの入り口に育児休暇の取得があります。都庁で働く男性の取得率は、平成二十八年で四・三%、平成二十九年で七・〇%、平成三十年度は一〇・六%と飛躍的に高まってまいりました。
 対して、平成三十年度の消防庁の男性の育児休暇取得率、これは一・八%、警視庁の警察官の男性に至っては〇・三%、そして警視庁の行政職の男性、これは〇%ということです。
 育児休暇の取得は一つの指標です。都は、女性活躍推進の観点から、新たな施策を予定していることを確認し、評価をいたします。都が昨年末に公表した未来の東京戦略ビジョンにおいて、二〇三〇年に向けた政策目標として、男性の育休取得率の向上とともに、家事、育児関連時間の男女差の半減を掲げております。
 女性活躍推進の実現のため、男性の家事、育児参画に向けた機運の醸成が重要と考えますが、都知事の見解を伺います。
 改正がん対策基本法により、がん対策は、予防、医療に加え、共生の概念が展開されることになりました。がん患者の生活を丸ごと支える取り組みが求められます。
 AYA世代のがん対策では、がん治療によって生殖機能に影響を及ぼす可能性もあることから、卵子、精子の凍結に助成金を求めてまいりました。昨年十二月末の現在で、助成金を実施しているのは十二都道府県、検討中が十三都道府県です。
 生殖機能温存のための費用助成を含め、AYA世代のがん患者への支援を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 がんと就労の両立は、法に定められた共生の概念の柱の一つです。
 都のがん患者調査では、がんと診断されたときに、就労していた人の二四・七%が退職をしています。また、昨年度の実態調査では、都内に三十六あるがん診療拠点病院の全てにがん相談窓口があるにもかかわらず、その存在が知られていないということもわかってまいりました。
 がんと就労については、患者、家族、医療機関、企業など全ての関係者に向けた普及啓発が必要と考えますが、見解を伺います。
 子供の貧困には三つの要素があるといわれております。まずは一つ目、経済的な貧困、二つ目、社会関係性の貧困、これは頼ったり、または頼られたりする、そういう関係性のことです。そして三つ目、これは文化の貧困です。いい音楽を聞いたり、または新聞を読んだり、本を読む、そういう文化的な人生に深みをもたらすということです。これが貧困である。
 経済的には貧困でも、社会関係性が豊かだったり、または経済的に厳しくて、また友達がいなくても、文化的な要素が満たされていることが重要です。生きる力はそこから生まれます。
 今回はスタディークーポンについて伺います。東京都は今後、生活保護世帯に対するスタディークーポン事業を進める計画です。この事業を早く立ち上げて、来年度の早い段階から子供たちに届けられるようにしていくべきと考えます。
 貧困の中、社会的体力の少ない子供たちにとって、学ぶことはリスクが少なくて、投資効果も見えて、一人でも戦える、貧困から脱出する近道なのです。スタディークーポン事業への取り組みと早期の立ち上げへの見解を伺います。
 歩車分離信号について伺います。本日はご遺族の了解も得て、二つの交通事犯の例を紹介いたします。
 平成四年、八王子市上川町で悲しい交通事故が起こりました。小学校五年生だった長谷元喜君は、青信号を渡っている横断歩道で、同じく青信号を左折してきたダンプカーにひかれて、とうとい命を失いました。私も何度か現場に足を運んで、ご遺族の話を伺ってきました。この事件を検証する中で、日本の歩車分離信号の運動がスタートいたしました。
 平成十五年、品川区の戸越交差点でも、青信号を渡っていた佐藤菜緒ちゃん、当時の六歳、この少女が青信号を左折してきたダンプカーにひかれました。私はご遺族と一緒に裁判傍聴を続け、事件の詳細を知ることになります。
 どちらも、青信号を渡っている子供たちが、青信号を左折してきたそのダンプカーにひかれたという事例でございます。警察庁は、平成十四年、全国百カ所の交差点を指定して、歩車分離信号の実証実験を行いました。その結果、交通事故が四〇%減少し、そして、渋滞も二%減ったという検証結果が出ました。それを受けて、全国での導入が進んできたのです。
 現在の東京都の歩車分離信号の設置は一〇%程度です。数値目標を再設定したり、区市町村への説明会を拡充するなど、さらに導入を進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 ゾーン三十について伺います。
 平成十八年、埼玉県川口市で起こった事故です。園児、保育園児が三十三人、そして五人の保育士、この列にライトバンが突っ込んだんです。二名が死亡、そして十四人が重軽傷を負う事件がありました。
 私は、この事件の遺族とも連絡をとって、そして犯罪被害者の仲間として社会に訴える活動をしてまいりました。事件に心を痛めた川口市は、組織を挙げて道路の安全確保の検討を進めました。その検討の中から生まれたのがゾーン三十という考え方なんです。
 自動車の速度が三十キロを超えると致死率が上がります。生活道路のスピード抑制は、地域の事故のリスクを下げます。命を守る道路は、その地域全体の価値を上げるのだと思います。ゾーン三十の導入は、区市町村での温度差を感じます。警視庁として、区市町村への説明や連携を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 歩車分離信号も、ゾーン三十も、とうとい命の犠牲があって、その反省から施策が展開されているということを忘れてはいけません。そのことを確認して、本日の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅原直志議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、学校の臨時休業、休校についてのご質問がございました。新型コロナウイルスの感染状況につきましては、刻一刻と変化をし続けております。その都度、適切な判断、そして対応が求められているところであります。
 昨日、全国一斉の臨時休業、休校を求めます国の発表がございました。都といたしましても、速やかに対応を進めてまいりますが、多くの都民や保護者の皆様方が心配される声があるなど課題もございます。実施に当たりましては、子供の在宅に伴って、保護者が休業せざるを得ない状況が発生するなど、さまざまな影響が生じるところでございます。
 そうした課題につきましては、また、今回、臨時休業の対象外となっております幼稚園や保育所が、開所に伴って感染防止のために必要となる措置に関する支援について、既に国の方に緊急の要望を行ったところでございます。
 その上で、都立学校におきましては、来週から春休みの間、全都立学校において臨時休業、休校することとして、既に各学校へ通知をしたところでございます。
 一方、特別支援学校に関してでございますが、保護者の都合によって、自宅等で過ごすことが困難な子供たちには、福祉等と連携をいたしました支援体制が整うまでの間、学校で過ごせるようにするなど、子供や保護者の安全や安心が守られますように、柔軟な対応を行ってまいります。
 区市町村に対しましては、この方針を基本といたしまして、小中学校の対応を要請いたすとともに、日中の居場所を必要とする低学年の子供たちへの対応につきましても、学校施設の活用など、特段の依頼をするとともに、都としても支援をしてまいります。
 また、お尋ねにございました非正規雇用を含む労働者の雇用と生活についてでございますが、雇用と生活の安定のため、国におきまして、雇用調整助成金の特例制度を実施することも要望をいたすとともに、都でも、解雇や休業時の賃金の支払い等に関します緊急の労働相談ダイヤルを設けております。
 今後、さらなる状況の変化に対しましても、適切な対応策を迅速に打ち出しまして、感染拡大の防止、子供たちの安全の確保、保護者の不安の払拭に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、保育所等の対応についてのご質問でございます。
 保育所や学童クラブは、保護者が働いていて、留守番をすることが困難な年齢の子供さんが利用するなど、学校とは異なるものであることから、国は昨日、学校が臨時休業、休校している期間につきましても、原則として開所する考えを示したところであります。
 都は国の対応方針を踏まえまして、感染の予防に留意した上で、保育所等を開所するよう、本日、区市町村に協力を要請をいたします。保育所や学童クラブにつきましては、仕事を抱える保護者が安心して子供を預ける場でございまして、重要な役割を担っております。
 また、幼稚園も就学前の子供たちにとりまして大切な場でございます。こうした状況下にありましても、子育て家庭が安心して保育所等を利用できますように、本日、必要な対応をとるように国に要望をいたしました。
 都といたしましても、引き続き感染症に関します正確な情報提供に努めまして、区市町村や事業者等を支援してまいります。
 次に、男性の家事、育児参画に向けた機運の醸成についてのご質問でございます。
 女性がみずからの希望に応じた生き方を選択して、自分らしく輝いている東京を実現するためには、男性も女性も家事、育児などをともに担えるよう、社会の意識や行動の変革を目指すことは重要でございます。
 都はこうした考えに立ちまして、広く社会に向けて男性の家事、育児を後押しする企業や団体等を表彰して紹介するなど、働き方の転換を推進いたしております。
 先日開催いたしましたシンポジウムには私自身も出席をいたしまして、男性ゲストと企業の先進的な取り組みや家庭での体験談を語り合いながら、男性の家事、育児参画を応援するメッセージを伝えたところであります。
 来年度は、ウエブサイト、パパズ・スタイルでの情報発信に加えまして、多様な媒体を駆使しながら、マネジメント層、シニア、若者などターゲットに応じた具体的な情報を発信してまいります。
 都庁におきましても、隗より始めよということで、私を先頭に全ての管理職がイクボス宣言を行うなど意識改革を進めております。職員が育児と仕事を両立できる柔軟な働き方を引き続き強力に推進をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、男性の家事、育児参画のさらなる機運醸成を図りまして、社会のマインドチェンジを力強く牽引をしてまいります。
 残余のご質問は、警視総監、福祉保健局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監斉藤実君登壇〕

○警視総監(斉藤実君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、歩車分離式信号機のさらなる導入についてでありますが、平成三十年度末現在、都内に整備されている信号機一万五千八百五十二カ所のうち、約一〇%に当たる一千五百二十七カ所を歩車分離式信号機としております。今後も、過去の交通事故発生状況に加え、通学路等の安全確保の必要性や地域住民の要望等のほか、交差点の形状や交通量など歩車分離化の効果と影響を総合的に勘案し、交通の安全と円滑を考慮した整備を推進してまいります。
 次に、ゾーン三十の整備についてでありますが、警視庁では、通学路や公共施設等の周辺を重点に、交通事故の発生状況、道路交通環境、地域住民等の要望、意見等を踏まえつつ、区市町村と連携の上、整備を推進しております。
 引き続き、警視庁から区市町村に対して積極的な働きかけを行い、ゾーン三十の必要性が高い区域について整備を進めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、AYA世代のがん患者への支援についてでありますが、AYA世代のがん患者は、治療の影響による不妊等の晩期合併症や、進学や就職等の世代特有の課題がございます。
 昨年度、AYA世代のがん患者や家族、医療機関を対象に都が実施した実態調査では、小児科と成人診療科間や多職種間での患者情報の共有、相談支援の充実、生殖機能温存に係る費用の助成などが必要とされていることが明らかとなったところでございます。
 このため、都は今年度から、AYA世代のがん患者の診療を担う複数の診療科間の連携強化や、相談支援の充実を図るモデル事業を実施しており、来年度からは、専門家等で構成される会議で、生殖機能温存に係る費用助成制度等に関する検討を進め、AYA世代のがん患者に対する支援の充実を図ってまいります。
 次に、がんの治療と仕事の両立に係る普及啓発についてでありますが、がん患者が治療と仕事を両立するためには、職場での理解や配慮に加え、患者や家族を初めとした都民のがんに対する正しい理解が重要でございます。
 都はこれまで、がん治療の基礎知識等をまとめた企業向けハンドブックや社員研修用のDVDを作成し配布するなど、治療と仕事の両立に向けた取り組みの推進を企業に働きかけてまいりました。
 また、患者等の相談に応じるため、がん診療連携拠点病院等における相談体制を充実させてきたところでございます。
 今後は、あらゆる世代の都民にがん患者の治療と仕事の両立支援への理解が一層進むよう、東京都がん対策推進協議会のもとに設置した就労支援ワーキンググループで普及啓発の方法等について検討を進めてまいります。
 最後に、生活保護世帯の子供に対する学習支援についてでございますが、都は、生まれ育った環境にかかわらず、自立に向けて進路が選択できるよう、生活保護世帯の子供を対象に、生活保護費の支給対象とならない学習塾の費用や大学等の受験料を助成する区市に対し、包括補助で独自に支援しております。
 来年度は、学生ボランティア等を活用した家庭訪問による学習相談と地域の学習塾等を利用できるクーポン券を給付する取り組みについて、新たに包括補助で支援することとしており、こうした事業の立ち上げに向けて、区市に対し周知を図ってまいります。

○議長(石川良一君) 五十五番米倉春奈さん
〔五十五番米倉春奈君登壇〕

○五十五番(米倉春奈君) 虐待や生活困窮などで家にいられない女子中高生などが、支援につながらず、まちをさまよい、SNSで危険な大人と出会い、JKビジネスなど、性的搾取や性売買などの被害に遭っています。こうした若年女性には、これまで公的支援は届かないことが多く、民間の必死な努力任せのような状況でした。
 私はこれまでも、こうした女性たちへの支援に取り組むよう求めてきました。そうした中で、都がおととしから、公的機関、施設と民間支援団体とが連携し、夜間の見回りや声かけなどのアウトリーチ支援などを行い、公的機関や施設へつなぐことを目的とした若年被害女性等モデル事業を始めたことは重要です。
 都が困難を抱える若年女性への支援を位置づけて取り組むことは重要ですが、知事はどう認識していますか。
 今後、モデル事業を通じて明らかになった現行制度の課題を踏まえ、見直しにつなげること、また、都の事業として発展させることを求めますが、あわせて知事の見解を伺います。
 私は、モデル事業を行う三つの団体からお話を聞きました。その実態を踏まえ、質問します。
 アウトリーチに取り組む団体は、まちで声かけし、相談に乗ることができても、その後の行き先がないことが問題だと話しています。都は責任を持って、つながった方が安心できる場所に行けるようにするべきです。いかがですか。
 居場所として、婦人保護施設は本人に寄り添った支援ができる重要な存在です。ところが、利用率は非常に低く、都内では昨年度末時点で約三割です。国の困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会では、婦人保護施設の方から、ニーズは山のようにある、今でも駆け出して一人ずつ迎えに行きたいぐらいなどの意見が出され、私も婦人保護施設や支援団体の方々から、もっと利用できるようにすべきという声を幾つも聞いています。婦人保護施設をさらに活用できるようにすべきではありませんか。
 入所率が低い理由の一つが入所までのハードルの高さです。婦人保護施設を利用するには原則、一時保護所に平均十六日間も入所しなければなりません。一時保護所は、DVの被害者が多く入るため、加害者の追跡を防ぐために基本的にスマホも使えず、仕事や学校などの外出もできません。そのことが利用をためらわせる大きな原因となっています。
 一時保護所に入らずとも、直接、婦人保護施設に入所できるよう、一時保護委託を積極的に行うべきです。一時保護委託の対象者はDV被害者など、加害者の追跡の危険が大きい方が中心でしたが、国は昨年、追跡の危険が少ない人や、いわゆる居所なしの人にも対象を広げる通知を出しました。都は本人の意向や状態を踏まえ、より積極的に一時保護委託を行っていくべきですが、いかがですか。
 一時保護委託から通常の入所に移行する際の対応も改善が必要です。
 厚労省は、一時保護委託された方について、婦人保護施設に入所するかどうか判断するに当たって、利用者を一時保護所に入所させる措置をとっている自治体があると指摘し、必要に応じて直接、婦人保護施設への入所に移行するなど、柔軟な対応を促す旨の通知を出しています。都も積極的に対応すべきではありませんか。
 婦人保護施設を利用したいと思う方への女性相談センターなどの対応の改善を求める声も関係者から多数上がっています。
 例えば、一時保護所に入所の際に、一切外出も携帯もだめだなどと、ルールの中でも一番厳しいルールをいわれることはよくあり、そういうことを本人がおどしと感じることもあると指摘されています。
 都として、相談に来る方が安心して支援を受けられる説明や対応を徹底すべきではありませんか。
 十八歳前後の方への支援は、相談者が十七歳までは児童相談所、十八歳からは女性相談センターと区切られていますが、十八歳未満でも婦人保護施設を利用した方がいいケースや、女性相談センターにつながったけれど、自立援助ホームを利用できるといいケースなど、柔軟な対応が必要なものもあります。
 児童相談所と女性相談センターの連携を強め、有効な支援を行っていくべきですが、いかがですか。
 ケース会議も必要です。児童相談所では、関係者が対応を話し合うためのケース会議を一人の相談者について何度も開いています。モデル事業は、公的機関と民間支援団体の密接な連携を位置づけているのですから、児童福祉と同様にケース会議を行うべきです。いかがですか。
 予算の増額も求められています。モデル事業の予算は一団体に年間一千万円で、とてもそれでできる事業ではないというのは、事業を行う三団体に共通しています。夜間に見回りや声かけをし、必要な方に居場所を確保し、公的な支援につなぐには、人件費や家賃などに三千万円はかかるそうです。都が上乗せをして増額するべきではありませんか。
 次に、性犯罪、性暴力被害者への支援の充実についてです。
 内閣府の調査では、無理やり性交などをされた経験がある方は女性の十三人に一人に上ります。性暴力はほかにも、性的虐待やセクハラ、痴漢なども含みますが、深い心の傷をつくり、PTSDに苦しむ、電車に乗ることも怖くなり、学校や仕事を続けられなくなる、異性恐怖症が長引いてしまうなど深刻な問題です。
 一方で、勇気を出して警察に被害届を出しても、七割のケースが不起訴になり、加害者は罪に問われません。裁判でも、同意がなかったことや抵抗できなかったことが事実認定されても無罪判決が出されます。そうなると被害者はさらに苦しみます。
 性暴力の被害者は、未成年や若い女性であることが多く、人生のスタート地点で、夢や社会、人間に対する信頼や期待が奪われる状況は深刻で、一刻も早い改善が求められています。
 この間、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自身の性暴力の被害を告発し、昨年、東京地裁で被害が認定されました。世界中で性暴力に声を上げるミー・ツー運動が、日本各地でもフラワーデモが広がり、性犯罪や性暴力の実態が公の場で語られ、社会制度の改善の世論を広げています。
 こうした声に耳を傾けて、都としても、性犯罪、性暴力被害者への支援を充実することが求められていますが、知事はどう認識していますか。
 都が性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターをふやすことは重要です。
 ワンストップ支援センターは、産婦人科での性暴力の診断やケア、相談、カウンセリングなどの心理的支援、証拠採取など捜査関連の支援などを可能な限り一カ所で提供するセンターです。被害者の負担を軽くし、できるだけ早い支援を提供することで、回復を早くすること、警察への届け出をしやすくすることを目的としています。
 都は、民間支援団体と連携し、ワンストップ支援センターを一カ所運営し、年間四千件近い相談が寄せられています。私も事務所に伺いましたが、現場の皆さんが力を尽くしてくださっていることを実感しました。
 ただ、国連の女性に対する暴力に関する立法ハンドブックでは、女性二十万人につき一カ所の支援センターを設立すべきとしています。東京の女性の人口約七百万人からすると、都内に三十五カ所は必要となります。都内でワンストップ支援が受けられる窓口をふやすべきですが、いかがですか。
 日本弁護士連合会や国際人権NGO、ヒューマンライツ・ナウは、拠点となる病院内に支援センターを設置する病院拠点型のセンターを、各都道府県に最低一カ所設置するよう提言しています。このタイプのセンターは都内にはありません。
 私は、愛知県の名古屋第二赤十字病院に設置されている病院拠点型の性暴力救援センター日赤なごや、なごみに伺い、お話を聞いてきました。
 なごみでは、電話相談だけでなく、医療支援も二十四時間行っており、新規に来られる方の約半数が病院の時間外の来所です。ほかの患者と一緒に待たせることはなく、人目に触れず、診察室に入り、治療や証拠採取、緊急避妊、性感染症の検査などを受けることができます。二十四時間いつでも、少ない負担で総合的な支援を受けられる病院拠点型センターの重要性を強く感じました。
 都は、病院拠点型のワンストップ支援センターの重要性をどう認識していますか。女性医療に取り組む大塚病院を初め、都立病院などにワンストップ支援センターの設置を検討すべきです。いかがですか。
 ワンストップ支援センターのある病院やセンターと連携する病院に、性暴力の専門性を持つスタッフがいることも重要です。
 日赤なごや、なごみへの紹介経路で、警察に次いで二番目に多いのは院内スタッフです。来院した方が被害者ではないかとスタッフが気づき、つないでいます。というのも、病院は性暴力被害に遭った方の多くが訪れる場だからです。産婦人科には性暴力被害に遭い、緊急避妊用ピルの処方を求めてくる方、感染症対応や中絶のために来る方がいます。夜中に救急外来にけがで来る方の中には、DV被害の中で性暴力を受けている方がいます。ICUには精神的に追い詰められ、薬を大量に服薬した方が来ます。小児科にけがなどで来る患者も性虐待を受けている場合もあります。
 こうした被害者に気づくのが性暴力被害者支援看護職、SANEです。SANEは性暴力の被害者に適切なケアを提供するための訓練を受けた看護師で、健康障害の背景にある暴力被害に気づき、その専門性を生かして、医療とケアの質の向上にも貢献します。
 都としてSANEの重要性を位置づけ、役割を果たせるよう、関係する機関や病院に周知し、SANEの配置や養成を支援することが必要ですが、都の対応を伺います。
 また、都立病院でもSANEの養成と配置を進めるべきですが、いかがですか。
 性暴力被害は若年者にとって深刻な問題です。若者へのワンストップ支援センターの周知の強化と、性暴力の加害も被害も起こさないために、性教育の充実を求めて質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米倉春奈議員の一般質問にお答えをいたします。
 若年女性への支援についてのご質問でございます。
 虐待や貧困などで家庭に居場所がない等、さまざまな困難を抱える若年女性への支援は重要でございます。
 都は昨年度から、こうした女性に対します支援のノウハウを持つ民間団体等と連携をいたしまして、SNSを活用した相談や夜間の見回り等のアウトリーチ、一時的な居場所の提供等を行う若年被害女性等支援モデル事業を実施しております。
 この事業におきましては、関係機関で構成いたします連携会議を設置いたしまして、具体的な支援の取り組み状況を共有、必要な調整を行うほか、事業実施上の課題等につきましても意見交換を行っております。
 本事業の実施状況も踏まえまして、今後も民間団体を初め、関係機関と連携をいたしながら、個々のケースに応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、性犯罪、性暴力被害者支援についてでございます。
 性犯罪等被害者は、被害後、精神的ダメージを受けるだけでなく、望まない妊娠などのリスクを負うため、被害直後からの早期回復に向けた支援は重要でございます。
 こうしたことから、都は、民間支援団体と連携いたしまして、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターを、二十四時間三百六十五日体制で運営をいたしまして、被害直後から相談対応、医療機関等への付き添い、専門機関によります精神的ケアなどの支援を行っております。
 さらに、令和二年度からは、精神的ケアの充実に取り組んでいくことといたしておりまして、引き続き、被害者に寄り添った支援を進めてまいります。
 残余のご質問は、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年女性への支援についてでありますが、都では、女性の状況に応じて、一時的に安全・安心な居場所を提供し、日常生活上の支援、不安や悩み等に対する相談支援を実施しております。
 自立に向けては、女性の新たな生活、就業等に関する助言等を行うとともに、関係機関への同行支援や連絡調整を行い、必要な支援につなげており、今後とも関係機関と連携しながら適切に対応してまいります。
 次に、婦人保護施設の活用についてでありますが、都は、さまざまな困難を抱える女性の自立に向け、婦人保護施設における支援が必要な場合、適切に入所措置を行っております。
 国は、昨年度設置した、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会において、婦人保護施設の活用に向けた施設の役割や機能等について検討を行っているところでございます。
 都といたしましては、こうした国の動向を注視するとともに、さまざまな困難を抱える女性や施設の入所状況を踏まえながら、引き続き、婦人保護施設を適切に活用してまいります。
 次に、婦人保護施設への一時保護委託についてでありますが、国は、昨年七月に発出した通知で、一時保護委託の対象範囲をDV被害者等以外にも拡大しております。
 都はこれまでも、保護の必要な女性の状況等に応じて一時保護委託を活用しており、通知の趣旨も踏まえ、引き続き適切に対応してまいります。
 次に、婦人保護施設への入所についてでありますが、さまざまな困難を抱える女性を適切な支援につなげるためには、女性の状況を丁寧に把握する必要がございます。
 そのため、東京都女性相談センターの一時保護所におきましては、医師や心理職などの専門職を複数配置して、インテークや心理面接などをきめ細かく行い、施設入所や自立支援など、個々の状況に応じた支援につなげております。
 都といたしましては、一時保護委託先から婦人保護施設への直接入所については慎重な検討が必要であると考えております。
 次に、一時保護所での対応についてでありますが、女性相談センターは、DV被害者の一時保護所としての機能を有していることから、利用者の安全・安心の確保を図るため、居場所が特定されないよう、携帯電話などの通信機器は預かるなど、一定のルールを定めております。
 センターでは、こうしたルールも含め、一時保護中の生活等について、利用者の気持ちに寄り添いながら、丁寧に説明しているところでございます。
 次に、十八歳前後の若年女性への支援についてでありますが、保護が必要な女性が状況に応じた適切な支援が受けられるようにするためには、関係機関が連携して対応することが重要でございます。
 都は、区市町村等と連携し、原則として十八歳未満は児童相談所、十八歳以上は女性相談センターで一時保護を行っております。十八歳前後の女性についても、児童相談所と女性相談センターが連携しながら、必要に応じて自立援助ホームや婦人保護施設などの利用につなげております。
 次に、若年被害女性等支援モデル事業における関係機関の連携についてでありますが、都は、本事業において、さまざまな困難を抱える女性に対して、福祉事務所など関係機関と連携し、個別に情報を共有しながら対応しているところでございます。
 その中で、特に複雑な課題を抱える女性に対しては、その都度、支援に必要な機関の担当者等で構成するケース検討会を開催し、具体的な支援内容について調整を行っており、引き続き関係機関と連携しながら適切に対応してまいります。
 最後に、若年被害女性等支援モデル事業の委託料についてでありますが、本事業の一団体当たりの委託料は、国の要綱等に基づき、昨年度は一千五十一万九千円、今年度は一千六十六万六千円であり、引き続き国の動向も踏まえ、本事業に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、性犯罪等被害者を支援する窓口についてでございますが、ワンストップ支援センターでは、都内全域からの電話相談を受けており、状況に応じて都が協力を依頼している約六十の医療機関と連携し、支援を行っております。
 これらの医療機関では、緊急避妊措置、性感染症検査、けがの治療等を行っており、治療等を受ける際には、ワンストップ支援センターの支援員が付き添い、被害者本人にかわって被害状況を説明するなど、精神的にサポートするとともに、被害者の要望に応じて利用できる制度や専門機関等について情報提供しております。
 引き続き、性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターを通じて、被害者等に対する支援を適切に行ってまいります。
 次に、病院拠点型の性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターについてでございますが、平成二十四年に内閣府が作成した、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引では、病院拠点型、相談センター拠点型、相談センターを中心とした連携型の三類型が示されております。
 都では、三類型の一つである相談センター拠点型によりワンストップ支援センターを運営し、拠点となる産婦人科の病院のほか、複数の医療機関と連携して被害者支援を行っているところでございます。
 最後に、性犯罪等被害者支援における専門人材の育成についてでございますが、都は、産婦人科医会との共催により、診療に当たる医師のほか、看護師やコメディカル等を含む医療従事者に向けた研修を年二回開催しております。研修では、性暴力の被害者支援に精通した医師、専門看護職であるSANE等を招き、性犯罪等被害者に必要な検査や投薬等の治療方法、二次的被害を避けるための診療上の留意点などについて解説をしております。
 今後も引き続き、医療従事者等の人材育成に努めてまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院への東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの設置についてでございますが、現在、産婦人科もしくは婦人科を有する広尾病院、大塚病院、駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターの五病院が東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の協力医療機関となっておりまして、性犯罪や性暴力の被害者に対して医療的な支援を行うことで役割を果たしているところでございます。
 次に、都立病院でのSANEの養成等についてでございますが、産婦人科もしくは婦人科を有する都立病院では、性暴力被害者が来院し、緊急避妊や感染症検査など医療行為を行うケースがあることから、対応する医療従事者が性暴力の被害者をケアするための知識を身につけることは重要でございます。
 そのため、都が産婦人科医会等と共催する研修への参加のほか、院内においても研修を実施するなど、適切に対応しているところでございます。

○議長(石川良一君) 七十番つじの栄作君
〔七十番つじの栄作君登壇〕

○七十番(つじの栄作君) 私は、東京都の重要政策の一つが人を育てることにあると認識しております。
 都は二〇四〇年代を見据えて、二〇三〇年までのさまざまな施策を展開していますが、将来を担う人材の育成が必要かつ重要と考えます。今の青少年は二〇三〇年代には大人になり、二〇四〇年代には社会で中心的な役割を果たしていく世代となります。
 一九九〇年代以降、新興国等の経済成長は著しいものがある一方で、我が国では長く経済成長が鈍化しており、賃金の大幅な上昇もありませんでした。また、昨今世界はGAFAの台頭、5Gの構築など産業構造の変化が進行中であり、それに伴い従来の雇用制度が大きく変化しつつあります。
 気候変動による環境変化や大地震などの災害、未知の感染症の蔓延など不安定な環境要因があり、安定した確かな将来を見通すことは難しい状況です。
 このような状況のもと、今の日本の青少年は、みずからの手でみずからの将来を勇気を持って切り開いていかなくてはなりません。私はその礎となるものが自尊感情であり、自己肯定感であると考えております。
 令和元年版子供・若者白書によれば、相変わらず日本の若者の自己肯定感は欧米など他の六カ国の若者に比べて低く、日本の若者の自己肯定感を高めていくのに、私は今の国や都の取り組みは不十分であると認識しております。
 日本の青少年の自己肯定感が低いことには、教育のシステムや働き方、家庭のあり方や子育てなど、さまざまな要因が考えられ、これらの要因に対する総合的な対策が必要です。
 私は人を育てることにおける自己肯定感の涵養は極めて重要であると認識しております。
 若者が自分自身を信頼し、自分自身を勇気を持って力強く切り開くために必要な自己肯定感を高めるため、私は公教育は、例えば短所を改善するのみならず、長所や個性を伸ばすことに集中するなど、思い切った教育方針の転換が必要と考えますが、自己肯定感の涵養のため、改めて東京都はどのように取り組まれているのかお伺いします。
 私は今の青少年が自己肯定感を持つためには、私たち大人が、青少年が将来に夢と希望を持てるように、明るい未来の東京の展望を示すべきであると考えます。
 私は今後、東京の稼ぐ力を高めていくことが、経済的な成長だけでなく、若者の将来の展望の礎となると考えます。今の青少年が今後に明るい未来を展望できるよう、東京の産業振興を図り、活力と活気のある東京の将来を確かなものにする政策を推進するべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
 我が会派は、東京子育てファーストの一環として、待機児童対策やベビーシッター利用支援など、さまざまに取り組んでまいりました。働くママの支援を継続し、家庭か仕事の一方かを選択するのではなく、両立をよしとする考え方は、我が会派でも主張しているとおりであり、女性活躍は私も会派の一員として意欲的に取り組んでまいります。
 一方で、昨今の風潮では、働くことに重きを置き、家庭で一生懸命子育てや家事に集中している女性の中には、肩身が狭い思いをしている方もいるとの声を聞く機会もあります。
 私は、ダイバーシティーとは、どのような状況に置かれている人でも、一人一人のその選択と存在を尊重するものだと考えます。私は家庭で育児に専念されている女性に対して、敬意とねぎらいの気持ちを持つことが大切であると考えます。
 一方、子育てに専念する保護者には、自分の時間がない、多少ぐあい悪くても子供の面倒を見なくてはならないなどの悩みや育児ストレスを抱えている方もいらっしゃいます。最近はしつけのためにどのように子供と向き合い、どのように叱ればよいのか悩む保護者も多いとの指摘もあります。保護者自身がさまざまなストレスを抱え、心に余裕がなくなり、ついつい子供に手を上げてしまうこともあるかと存じます。
 保護者が心に余裕を持ってしっかりと子供と向き合い、悪いところを叱るのではなく、よいところを褒めて育てることが重要であり、子育ての際にどなったり、たたいたりがないような取り組みが必要と考えます。
 私は子供の立場に立っても、後に心の傷として苦しみの原因となり得る体罰等によらない子育てを推進するべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いします。
 今を生きる女性が自分の人生を健やかに過ごすためには、さまざまな正しい知識を得て、自分の人生設計を組み立てなければならないと考えます。
 私は医師ですが、学生時代の産婦人科の講義で、女性の長い一生には母子ともに健康に経過することが期待できる、いわゆる妊娠適齢期があることを学びました。核家族化が進んだ今の東京で、妊娠、出産に関する知識を身近な家族等との関係の中で自然と覚えていくことは困難であると考えます。
 このような状況で、私は東京都として、若い世代を対象にした妊娠、出産の正しい知識についての普及啓発が必要と考えますが、都の見解と取り組みについてお伺いします。
 五十歳時で一度も結婚していない人の割合が、令和元年度少子化社会対策白書によれば、直近の二〇一五年の調査で、男性が二三・四%、女性が一四・一%であると示されました。今後もその割合は増加するとの予測があります。
 かくいう私も昭和四十三年生まれ、都民の日である十月一日が誕生日で、満五十一歳ですが、これまでご縁なく、結婚したことがございません。未婚を選択する、あるいは選択せざるを得ない理由については、さまざまな意見がございますが、若者の経済的な不安が理由との指摘は多くあるように思います。
 一昨年、私は我が会派有志とともに、台湾の高雄で開催された台日交流サミットに参加しました。高雄入り前に訪台団一行で台北市議会を表敬訪問し、また台北市長を囲み意見交換会を行いました。
 その際、私は台湾では日本以上に少子化があるが、その理由はどう思われますかと質問しました。台北市長の返答は、主に経済的理由によるだったと記憶しております。
 昨年、内閣府より公表された現政権の経済政策に関する資料によれば、その成果として、戦後最長となる景気回復がなされ、過去最大規模のGDPの実現などを挙げています。確かに、大企業の正規雇用などの方は、その経済政策の恩恵を受けたかもしれません。
 一方、さきの少子化社会対策白書によると、若者と雇用形態、所得の関係について記載があり、要約すると、若年世代は、非正規雇用割合については男女とも一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけて上昇傾向にあり、二〇一〇年代に入るとおおむね横ばいで推移している、二十代、三十代の若い世代の所得分布が低所得層にシフトしている、正規の職員、従業員であること、男性の年収が多いほど有配偶率が高いことが示されています。
 また、東京都でも婚姻数はこの十年間で減少の傾向にあり、昨年日本では出生数が八十六万人余りと、九十万人を割り込んだニュースは記憶に新しいところです。
 また、経済界を代表する立場の方々から終身雇用に関する発言があり、長期的に安定して昇進昇給を望める職場には、今後なかなか就職できなくなることが考えられます。
 私は経済的な安定がある程度保障されれば、若い世代の皆様が家庭を持つことを現実的に考えていただけるのではないかと考えます。
 私は、非正規の雇用形態から正規のそれに移行する支援があれば、より経済的に安定が図られると考えますが、都の非正規雇用から正規雇用に雇用形態を移行する取り組みについてお伺いします。
 また、今後若い世代を含む働く方々が、その労働に対する公正な対価を得ることが必要と考えます。努力した者が相応の報酬を得ることができれば、仕事に対して意欲的になり、日本の明るい展望も開けるものだと考えます。
 ことし四月には正社員と非正規社員との不合理な待遇差を禁止する同一労働同一賃金が施行され、来年四月には中小企業が適用となります。
 私は、都は企業が適切に制度に対応できるよう、積極的に働きかける必要があると考えますが、都の取り組みについてお伺いします。
 令和元年第四回都議会定例会の知事所信表明では、都立病院の地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始すると明言され、また都は昨年十二月二十五日には、新たな病院運営改革ビジョン(素案)を公表しました。東京都病院機構(仮称)を設立し、新たな体制を構築し、都立病院、公社病院、がん検診センターの病院運営を一体化するとあります。今後の医療課題に柔軟かつ効果的に対応することが期待できると考えます。
 一方、今後、地方独立行政法人化を進めるに当たり、都立病院で提供されてきた行政的医療が今後どのように引き継がれるのか関心が集まるところです。都民の健康と命を守るため、都立病院で提供される行政的医療は極めて重要です。
 私は地方独立行政法人化がなされた後にも、行政的医療は継続して都民の皆様の健康と命を守るため、同様に提供するべきであると考えますが、独法化した暁には行政的医療はどのように引き継がれるのか、都の見解をお伺いします。
 昨年十月に消費税増税がありました。消費税は今後増大する我が国の社会保障費に充塡するために必要な財源の一つだと認識しております。
 また、本年二月七日に中医協総会は二〇二〇年度改定を厚生労働大臣に答申しましたが、その内容は本体部分が〇・五五%の引き上げとなり、初診料、再診料は据え置きです。
 今回の診療報酬改定が医療機関において、消費増税、物価及び人件費の上昇に追いついていないのではないかとの声もあります。
 また、このたびの診療報酬改定の基本方針では、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進を重点課題としているとあります。
 私は今後、今以上に医療機関は経営努力が必要であると考えます。このような病院経営を取り巻く環境の中、今回の診療報酬改定を踏まえて、医療現場に従事している医師や看護師を初め、医療職の働き方のあり方を含めて、都の現状で認識している都立病院の課題とそれに対する取り組みをお伺いします。
 近年の台風による風水害の激甚化、高い確率で発生するといわれている首都直下型地震に対して、常日ごろより備えが必要です。私は、災害時など非常時に都民の生命と健康を守る救援物資の運搬のため及び救急車両等非常時に使用される車両の運用においても、平時より都道の道路網の整備は必要と考えております。
 また、東京都全体で二〇二五年から、多摩地域では本年、二〇二〇年から人口減少が始まると予測されております。今後の少子化、人口減少社会を迎える東京都においては、経済活動の効率化を図る必要があり、道路網の整備は円滑な物流等を伴い、その実現が期待できます。
 私は防災、経済活動の効率化などの観点から、都道の整備は必要と考えます。
 そこで、都市計画道路の整備について都の見解をお伺いします。
 小金井市を南北に通る小金井三・四・一一号線に予定されている土地周辺は、武蔵野公園の近傍にあり、野川の野里的な穏やかな風景が広がっています。また、計画された道路は、はけの一部を通過することになります。道路建設の実際には、これら自然環境に最大限の配慮と地域住民の皆様のご意見に十分耳を傾けなければなりません。
 私は、都は地域住民の皆様の道路建設に単純に賛成あるいは反対のみならず、多種多様なご意見を伺うことが大切であると考えます。
 そこで、小金井三・四・一一号線に関して、都として現状どのように取り組まれているのかお伺いします。
 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) つじの栄作議員の一般質問にお答えをいたします。
 東京の将来に向けた産業振興についてのお尋ねでございます。
 第四次産業革命によりますデジタル化の進展や変化が激しいこの時代にありまして、従来の延長線上では明るい未来は望めない、そのような共感を持って伺わせていただきました。これまでの発想にとらわれない、変化を先読みした未来への投資を推し進める必要がございます。
 東京が未来へと発展を続ける鍵、それは時代を切り開く人を育てて、持てる力を存分に発揮できる環境をつくることにございます。それができてこそ、次々と生まれるイノベーションと高い生産性で世界の経済をリードする東京が実現できるというものであります。
 そのために、東京に集積する中小企業、大企業、大学などの多様な主体や資金、情報などを有機的に連携させる、そのことでオープンイノベーションの取り組みを活性化させて、新たな付加価値の創出につなげてまいります。
 また、5GやAI、IoTなど、最先端の技術を活用いたしました産業のスマート化で生産性を高め、数多くの新製品や新サービスを開発できる、魅力的なビジネス環境を整えてまいります。
 こうした取り組みで新たな担い手が思う存分活躍して、新しい産業やビジネスが次々と生まれる好循環を確立、そして将来を担う子供や若者を初め、誰もがあすへの希望を持てる持続的な成長を実現してまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 自己肯定感の涵養を図るための取り組みについてでございますが、都教育委員会が実施した研究では、教員が子供一人一人を認め励ますことや、友達同士で認め合うことが、自己肯定感の向上に効果があることが示されております。
 各学校では、この研究成果を踏まえ、日々の授業におきまして、教員が子供の成長をきめ細かく捉え、褒めたり励ましたりするとともに、学級活動や部活動で子供同士がよさを伝え合う取り組み等を継続して行ってきているところでございます。
 一方、新学習指導要領で自己肯定感を育むことが改めて求められており、より効果的な取り組みを行っていく必要がございます。
 今後、都教育委員会は新たに研究協力校を指定し、自己肯定感を高める指導内容や方法等のさらなる開発を行い、その成果を都内全ての公立学校に発信し、子供が自分のよさに気づくことができる教育を推進してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず体罰等によらない子育てについてでありますが、都は昨年四月に施行した東京都子供への虐待の防止等に関する条例に保護者による体罰等の禁止を明記し、体罰等によらない子育ての推進に向けた啓発を進めております。
 今年度は、子供の気持ちを受けとめ、肯定的な言葉で伝えるなど、保護者が子供に接する際のポイントや具体例をわかりやすく盛り込んだ小冊子や動画を活用し、子育て世代を中心に周知を図っております。
 来年度は、幅広い年齢層の都民に周知するため、SNS等さまざまな手法により広報を展開するとともに、保健所や学校、子供家庭支援センターなど、子育て支援に携わる職員向けに、保護者への具体的な伝え方等を解説したハンドブックや動画を作成して配布するなど、体罰等によらない子育ての推進に向けた普及啓発を進めてまいります。
 次に、妊娠、出産に関する知識の普及啓発についてでありますが、都は、若い人たちが妊娠、出産に関して正しい知識を持ち、自分自身のライフプランを考えるきっかけになるよう、小冊子を作成し、区市町村や大学等を通じて配布しております。
 今年度は、妊娠、出産に加え、不妊治療及び里親制度など、子供を持つことに関する幅広い知識を普及啓発するため、若い世代に人気のタレントを起用したPR動画を、新たに開設した特設ウエブサイトで放映しております。
 また、この動画の内容をコンパクトにまとめたリーフレットを作成し、書店や調剤薬局のほか、若い方々が集まる就活イベント等でも配布しております。
 今後とも、こうした取り組みにより、若い世代への妊娠、出産の正しい知識の普及啓発を進めてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、正規雇用への移行に向けた支援についてですが、不本意ながら非正規雇用で働くことを余儀なくされている方の正規雇用化は、安定した就労を実現する重要な取り組みでございます。
 このため、都は、企業が行う社内での正規雇用への転換に対する取り組みを助成金により支援しているところでございます。
 これに加えて来年度は、氷河期世代の非正規雇用の方を正社員として新たに採用し、その育成に取り組む企業についても助成の対象といたします。
 また、非正規雇用の方がグループワーク等により実践的な職務スキルを習得し、正規雇用を目指すプログラムの事業規模を拡充するなど、その支援を強化してまいります。
 これらにより、非正規雇用の方の正規雇用化を促進し、安定した就労につなげてまいります。
 次に、同一労働同一賃金についてですが、同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差の解消を図るため、同一労働同一賃金に関する法の施行を踏まえ、中小企業が円滑にその導入を進められるよう支援していく必要がございます。
 これまで都は、賃金や教育訓練、福利厚生などの面において、非正規社員の処遇改善に向けた制度整備を行う企業に対しまして奨励金を支給し、その取り組みを支援してまいりました。
 来年度は、これに加え、同一労働同一賃金の導入に関して企業に助言を行う専門家派遣を拡充し、きめ細かな対応を図るとともに、人事担当者等に向けたシンポジウムやセミナーを開催し、普及啓発を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、中小企業の同一労働同一賃金の円滑な導入を進めてまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地方独立行政法人化後の行政的医療についてでございますが、都は、法令等に基づき対応が求められる医療や、一般の医療機関だけでは対応が困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を都立病院の基本的役割としております。
 医療環境が厳しさを増す中でも、将来にわたり都立病院としての役割を果たし続けていくため、経営形態を法人化するものであり、移行後も確実に行政的医療を提供してまいります。
 行政的医療の提供に当たりましては、地方独立行政法人法において、現行の一般会計からの繰り出しと同様、都が運営費負担金を措置することが規定されております。
 こうした確実な財政的裏づけのもと、法人化した後においても、安定的、継続的に行政的医療を提供し、都民の安全・安心を確保し続けてまいります。
 次に、診療報酬改定を踏まえた課題と取り組みについてでございますが、二〇二五年の地域医療構想の実現に向け急速に医療環境が変化する中、持続的に病院を運営し患者サービスの向上を図るためには、診療報酬改定に迅速かつ確実に対応するとともに、医療従事者の負担を軽減する働き方改革を推進することが不可欠でございます。
 このたびの中医協総会の答申では、一定の救急搬送実績を有し、医師の負担軽減等に取り組む病院に診療報酬上の加算を新設するなど、働き方改革推進に関する評価が盛り込まれました。
 来年度は、基準を上回る救急搬送実績のございます五つの都立病院で、多職種からなるタスクシフティング推進のための会議体を速やかに設置し、医師の負担軽減に向けた計画を作成、実行するなど、診療報酬の確実な取得と医療現場での働き方改革を積極的に進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都市計画道路の整備についてでございますが、道路は都市活動や都民生活を支える極めて重要な都市基盤であり、一たび整備されると、人や物の流れの円滑化による生産性や防災性の向上など、絶大な効果を永続的に発揮し、都民にストックとしてその効果が還元されます。
 このため、区部の放射環状、多摩の南北、東西の骨格幹線道路の整備に重点的に取り組んでまいります。
 また、生活道路や通学路への通過交通の流入を抑制するなど、地域の安全性の向上に資する地域幹線道路の整備を推進してまいります。
 今後とも、成長と成熟が両立した輝ける未来の東京の実現に向け、都市計画道路ネットワークの形成に全力で取り組んでまいります。
 次に、小金井市内の都市計画道路についてでございますが、小金井三・四・一一号線は、広域避難場所へのアクセスの強化や地域の安全性向上などに資する重要な路線であり、東八道路から連雀通りまでの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。
 これまで、本区間の整備に向け、沿道の自治会代表者や市民の皆様との意見交換会などを重ねてまいりました。
 また、先般、パネルや模型を展示したオープンハウスを開催し、多くの方々から意見を個別に伺うなど、きめ細やかに対応いたしました。
 来年度には、自然環境や景観などに関する調査検討を実施し、今後も、意見交換を行うなど丁寧に対応してまいります。

○議長(石川良一君) 百番大場やすのぶ君
〔百番大場やすのぶ君登壇〕

○百番(大場やすのぶ君) 初めに、5G推進に邁進されていらっしゃいます宮坂副知事にお尋ねします。
 人材確保などに大変なご苦労をされていらっしゃるようにお見受けします。トップの方からの支えはあるのでしょうか、ないのでしょうか。少なくとも私には見えません。
 都民与党である我が党といたしましては、七月三十日以降も見据えまして、ヤフー時代から自民党にとても近いお立場で宮坂副知事が孤軍奮闘されていらっしゃる状況を見過ごすことはできません。
 真の先進都市東京の実現に向けた副知事の今後の事業展開に係るお考え、ご決意など、都議会自民党を初めとする我々に対して忌憚なくお聞かせいただきたいと思います。
 次に、高齢者の居場所づくりについてお伺いします。
 都内ではひとり暮らしの高齢者が増加しております。中でも、退職された男性などで、現役時代の人間関係が途切れてしまい、人と全く話をしない日がある方など、相当数いらっしゃると聞きます。
 こうした方々にとりまして、気軽に通える場所が自宅から身近なところにあり、何かしら参加できる機会が設けられているのは大変ありがたいことです。
 私の地元の世田谷区では、都の介護予防による地域づくり推進員配置事業の活用による有志の高齢者が立ち上げた男性対象の体操グループなど、さまざまな介護予防の取り組みを住民が主体的に行っています。このような地域の活動こそ、全都的にふやしていく必要があると考えます。
 都は、今後、介護予防のために区市町村が行う多様な通いの場づくりの取り組み、どのように支援していくのかお伺いします。
 また、都は、介護予防はもとより、高齢者の生きがいづくりや地域での居場所となるサロン等の取り組みを支援することにより、多様な高齢者ニーズに対応していくべきと考えます。都の支援策についてお伺いします。
 東京における児童養護施設出身者の大学、専門学校などへの進学率は、全国平均に比しては高いですが、全体の進学率と比べますと、まだまだ低い実情があります。
 生まれ育った家庭状況にかかわらず、意欲や能力のある子供に対しては、進学につながる学習環境づくりに対する行政の支援は必須と考えます。
 また、学習習慣に欠ける子供や勉強の苦手な子供など、特別な配慮が必要な子供に対しては、個別のサポートによる良好な学習環境の提供など、きめの細かいケア施策による学習支援、進学支援が求められていると考えます。見解をお伺いいたします。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、日本の若者が海外に目を向け、積極的に世界中の人々と交流を図る絶好の機会であります。世界都市東京が将来にわたって持続的に発展していくためには、未来を担う若者が豊かな国際感覚を持った人材へと成長できる環境を創出することが極めて重要であります。
 都議会自民党はこれまでも、私立学校のグローバル人材育成を支援するため、私立高校生の海外留学支援制度を初め、さまざまな施策を実現させてまいりました。
 大会後も、こうした施策を着実に推進していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 昨年発生した台風十五号、十九号は、関東地方に深刻なダメージをもたらしました。
 都内でも、島しょ部を中心に、強風等による家屋被害が多数生じました。この場をかりまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 老朽化した空き家がそのまま放置されておりますと、大規模台風時などには、資材の脱落や飛散などにより、周囲の家屋などに被害をもたらすおそれがあり、地域の住民の方々は常に脅威と同居していることになってしまいます。
 平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家は約八十一万戸であり、うち腐朽や破損がある空き家は約十二万戸に上り、平時における老朽空き家対策は、防災の視点からは喫緊の課題です。
 都では、そのような老朽空き家に対して具体的にどのような防災対策を講じているのか。また、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 さて、都内の救急出動件数は、十年連続で過去最多を更新し、昨年中も八十二万五千件を超えています。高齢化の進展により、救急需要は今後も増加傾向が継続すると見込まれます。
 このような状況の中、傷病者の救命のためには、その場に居合わせた方、いわゆるバイスタンダーによる一次的な手当てが極めて効果的であり、迅速かつ適切な応急手当てを促進することが重要と聞いております。
 しかしながら、世論調査によれば、あなたができる応急手当ては何かとの設問に対して、何もしないと回答された方の内訳を見ますと、何をしたらよいかわからない、自信がないといった回答が多い状況です。このことから、一般都民が、バイスタンダーとして自信を持って応急救護可能なよう積極的に取り組む必要があると考えます。
 それにはまず、東京消防庁が実施する救命講習の受講者数をふやすことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 各国で頻発している大規模な山火事や干ばつ、我が国における大型台風による河川氾濫等による浸水や道路の崩落など、世界的な気候変動リスクにより、人々の生活を脅かす甚大な被害が発生しています。
 こうした中、都は、昨年十二月に気候変動適応方針を公表しましたが、国は既に平成三十年十一月に気候変動適応法に基づく気候変動適応計画を策定済みであり、都の動きは国の後塵を拝しております。
 早急に関係各局が連携して、法の趣旨を踏まえた気候変動適応計画を策定し、具体策を強力に推進すべきです。
 今後、どのように計画をまとめ、適応策に取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 水道局では、平成二十六年一月に、指定工事事業者の利便性向上や負担軽減を目的として、建物へ水道を供給するための給水装置工事に電子申請の仕組みを導入いたしました。残念ながら、その対象工事が限定されている、システム操作が難しいなどにより、現状では利用率が低迷しているようです。
 今般、条例改正により、指定業者の指定の更新制が導入されましたが、この更新制の目的の一つに、事業者の資質向上がございます。
 都は、指定業者の施工能力向上に向けて取り組みを進めるとともに、給水装置工事の電子申請の普及促進により、指定事業者の利便性向上や負担軽減、給水装置業務の効率性を一層推進していくことが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、東京都の危機管理責任者である小池知事にお伺いいたします。
 昨日、安倍総理から、新型コロナウイルス感染症対策として、週明けの三月二日から春休みまでの間、全国の小中学校、高等学校、特別支援学校に休校を要請する方針が示されました。感染症対策としてはやむを得ないことでありますが、一方で、学齢期の子供を抱える保護者からは不安の声が上がっています。
 学校での感染症対策を徹底するには、さまざまな家庭状況を考慮し、支援することに加え、雇用する企業や社会全体の理解を得ていくことが大切です。
 また、要請の趣旨を踏まえて、子供や各家庭には、不要不急の外出は極力控えるなど、家庭での過ごし方のガイドラインを示していくことも必要なのではないかと指摘をさせていただきます。
 ところで、大手企業を中心に、社内感染を防ぐべく、一定期間の在宅勤務を開始するなどのニュースが相次いでいます。また、愛知県の金融機関では、行員の一人に感染が判明したものの、こうしたケースのBCPを日ごろより想定しており、翌日には通常業務に戻っているとの報道でした。ある自治体では、職員に感染者が発生した場合、全庁閉鎖も含めて検討するといった具体策の議論も既に始まっているようです。
 大変多くの都民が利用する都庁や出先機関においても、こうした事態は十分想定されます。都においても、小池知事のもと、当然、万全の危機管理体制を構築していると思いますが、都職員に感染者が発生した場合、どのような手順でどのように対応することになっているのか、小池知事にお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えをいたします。
 ご質問に、ご通告いただけていなかったご質問でございますが、大事な点でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 職員が新型コロナウイルスの感染症を発症した場合には一体どうするのかというご質問だったかと存じます。幾つかの段階もあろうかと思います。
 例えば、まずは速やかに都庁舎内での感染の拡大の防止策を講じるというのが一点。
 それから、都民の命を守るという大目的がございまして、そしてまた都市の機能を継続させなければいけない、そしてライフラインの業務を継続させなければならない。ここはまさに都政としてのBCPの部分であります。
 それから、感染者が発生をした職場の業務の維持も続けていかなければなりません。どこでそれが発生するかわからないということでございますので、それぞれの職場において、起こった場合ということで、危機管理の体制を組んでまいります。
 そして、そのためには、全庁的な応援体制も築いていかなければならない。そして、弾力的、機動的に事業継続を行うことによって、都政の停滞を防ぐ。そしてまた、機能を確保しながら、都民の皆様方へのサービスを継続していくということが必要なんだろうと思います。
 幾つか申し上げましたけれども、職員も現場で、例えば病院、そしてまた公共機関などなど、ある意味感染を防がなければならない、そういう役、またそういう場で働いているところでございますので、職員の安全を確保しながら、都民の命、そして都市機能の維持を図るということが必要かと存じます。そういう意味では、全力を挙げまして都政の機能の維持に努めていくのは、組織の長といたしまして重要な役目かと存じます。
 考えてみれば、三・一一、御党の総務会長として、先頭の一人に立たせていただきました。地元国会議員として、阪神大震災の地元の対応に当たらせていただきました。中越沖地震においては防衛大臣として、自衛隊の責任者として、現場に立ちました。
 これまで、考えてみれば、いろいろな危機管理を担当させていただいたことによって、今回の有事ともいえるこの新型コロナウイルス感染症対策、ここは都民の皆様方のご協力を得、そしてまた都議会の皆様方のご協力を得、この有事をどうやって乗り越えていくかというのは、東京都政においても重要な課題でございます。
 どうぞ皆様、最後までご協力のほどよろしくお願いを申し上げたく存じます。
 残余のご質問につきましては、担当の関係局長からお答えをさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 今後の5Gにかかわる事業展開についてでございますが、韓国、米国、中国等では、既に二〇一九年より5Gの商用利用が始まっており、世界が先を行く中、先端技術の面でおくれをとりつつある日本の状況に、私は民間時代から強い危機感を持っておりました。
 こうした中、小池知事から、東京のデジタルシフト推進に向けて、行政経験が全くない身ではありますが、インターネットの世界で培ってきた経験を生かしてほしいと参与就任の要請をいただき、私と同じく日本の状況を憂う知事の熱意にほだされまして、民間のいろんなポジションとかもあったわけでございますが、全てを捨てて行政の世界で頑張ってみようと思って、こちらの方に参りました。
 副知事就任から五カ月、これまで、知事の強力なリーダーシップのもと、都庁各局の皆様と連携しながら、デジタルの力を使って課題を解決し、行政サービスの質を向上させるため、施策の構築などに取り組んでまいりました。
 二〇二〇年度予算においては、二〇二〇年度を、東京のデジタルトランスフォーメーションに着手するスマート東京の元年と位置づけまして、百五十八億の予算を計上するとともに、今月にはスマート東京実施戦略を策定いたしました。
 また、実施戦略を着実に推進するための執行体制の確保に向け、高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を採用しないといけないと。二〇二一年度からのICT新職種の採用開始を決定するなど、組織人員体制の強化を図り、そして私も先頭に立って、採用のイベント等、採用に関しては全力でやっぱり力を入れていきたいと思って参加をさせてもらっております。
 今後も、スマート東京の実現に向けて、こうした取り組みを通じて、都民ファーストの視点に立って、全庁横断的にさまざまな施策を展開してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護予防の通いの場への支援についてでありますが、都は現在、高齢者が体操等を行う通いの場の運営ノウハウの提供やボランティアの養成などを行う地域づくり推進員を配置し、住民主体の介護予防の取り組みを進める区市町村を支援しております。
 来年度からは、この推進員に対しまして、介護予防、フレイル予防や通いの場の研究を行ってきた東京都健康長寿医療センターの知見を生かした研修を実施し、社会参加の促進や低栄養の予防など、フレイル予防の観点を加えたプログラムの普及を図ってまいります。
 今後、体操に限らず、高齢者がそれぞれの興味や関心、健康状態等に応じて参加できる多様な通いの場を身近な地域にふやしていけるよう、区市町村への支援を強化してまいります。
 次に、高齢者の生きがいづくり等への支援についてでありますが、都は、第七期高齢者保健福祉計画におきまして、地域で支え合いながら安心して暮らし続けることができる東京を理念に掲げ、高齢者が、みずから望む生き方をさまざまな選択肢の中から主体的に選ぶことができるまちづくりを推進しております。
 現在、高齢者を対象とした文化、教養、スポーツや地域コミュニティに関する講座など、生きがいづくりや自己実現につながる多様な活動の実施や、高齢者が気軽に立ち寄り交流できるサロンの設置、運営等に取り組む区市町村を支援しているところでございます。
 今後も、多様なニーズを持つ高齢者の生きがいづくりや居場所づくり等に取り組む区市町村を支援してまいります。
 最後に、児童養護施設での学習支援についてでありますが、施設では、自習室の設置など学習環境を整えるほか、大学生等のボランティアを活用し、児童の状況に合わせた学習支援や進学支援を行っております。
 都は、中学生以上の学習塾や大学進学等に要する経費の一部を支援するほか、入所児童の自立支援や進学準備から退所後の継続的な相談援助を行う専任のコーディネーターを配置する施設を支援しております。また、集団学習が困難など、個別のサポートが必要な児童に対しましては、家庭教師等による個別学習の支援を行っております。
 来年度は、十分な学習機会を確保するため、高校生の塾代の実態を踏まえ、都独自に上乗せして補助することとしており、社会的養護のもとで育つ児童一人一人の状況に合わせた学習支援や進学支援に取り組んでまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 私立学校におけるグローバル人材の育成についてでございますが、東京が国際都市としてさらなる飛躍を遂げるためには、次代を担う国際感覚豊かな人材の育成が重要であり、特色ある教育活動を行っている私立学校の役割は大きいものでございます。
 そのため、都は、高校生の海外留学への支援を初め、外国語指導助手を活用する学校への補助、教員を海外研修に派遣する際の補助、生徒の英語四技能をはかる外部検定試験料の補助といったさまざまな施策を行ってまいりました。
 また、現場の声も聞きながら、これらの施策が使いやすいものとなるよう、制度の見直しなども行ってまいりました。
 今後も引き続き、こうした施策を通じて、私立学校におけるグローバル人材の育成を支援してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 防災面からの老朽空き家対策についてでございますが、空き家対策は、地域の実情を把握している区市町村の取り組みが重要であり、都はこれまでも、区市町村に対し、空き家の除却や改修等の財政支援、技術的助言等を行っております。
 また、今年度からは、区市町村の創意工夫を生かした企画提案に基づく事業への支援を開始し、跡地利用を条件としない老朽空き家の除却、適正管理のための修繕等、防災につながる取り組みも支援しております。
 さらに、都は、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会において、これらの先進的な取り組み事例の情報共有や都の支援事業の活用を促しております。
 来年度拡充を図る予定であります区市町村支援事業も活用しながら、引き続き、防災面からの老朽空き家対策を進めてまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 救命講習の受講者をふやす取り組みについてでございますが、東京消防庁では、より多くの都民が応急手当ての知識、技術を習得できるよう、救命講習を積極的に推進しており、毎年二十万人以上が受講しております。
 さらなる受講促進のため、ホームページや消防アプリで講習案内を行うとともに、インターネットによる講習受け付け、eラーニングを活用した講習時間の短縮などを行っているほか、講習会場を駅の近くに設定するなど、受講者の利便性向上に努めてまいりました。
 また、普通救命講習や上級救命講習のほか、小学校高学年以上を対象とする、短時間でAEDの使用方法を学べる救命入門コースを平成二十八年から設けております。
 今後とも、政策連携団体である公益財団法人東京防災救急協会と連携し、都民ニーズに即した講習を充実させ、受講者数の増大を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 気候変動影響への適応についてでございますが、気候変動による深刻な影響は私たちの身近な生活にも及んでおり、CO2排出を削減する緩和策に加え、影響を回避、軽減する適応策にも取り組むことが重要でございます。
 適応策は、自然災害や健康、農林水産業など幅広い分野にわたるため、都は既に、昨年五月に庁内検討会議を設置し全庁的に検討を進めており、ゼロエミッション東京戦略に基づき、緩和策と適応策を総合的に進めることを踏まえ、基本的な考え方を示す気候変動適応方針を昨年末に策定いたしました。
 今後も、庁内各局と連携し、長期戦略とも整合させた上で、国等の関係機関とも連携し、豪雨対策や暑さ対策等の具体的な取り組みを盛り込んだ計画を策定いたします。
 また、適応に関する情報発信等の拠点となる気候変動適応センターの設置を進めるとともに、住民に身近な区市町村の取り組みも支援しながら、適応策を推進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 給水装置工事の電子申請についてでございますが、電子申請は、指定給水装置工事事業者が、工事申請を局の受け付け時間外にも申請することができるとともに、来庁回数を減らすなど、事業者の利便性向上と負担軽減につながる効果的な取り組みでございます。
 しかし、現状では、電子申請で申請できる工事を限定していることや、システム操作が難しいなどの理由により、利用率が低迷しており、利用促進を図る必要がございます。
 このため、来年度から、電子申請の対象を給水装置工事全体に拡大をいたします。
 また、現在行っている講習会の開催頻度を高め、システムの操作習熟の機会を増加させるとともに、職員などが事業者を個別に訪問し、操作に関する指導を行うなど、サポート体制のさらなる充実を図ってまいります。

○議長(石川良一君) 三十八番伊藤こういち君
〔三十八番伊藤こういち君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十八番(伊藤こういち君) 新型コロナウイルス感染の影響が大きく広がる中、その影響を最小限に抑える取り組みとして、確定申告の期限を延長することが明らかになりました。
 都議会公明党には、運転免許証の更新期限についても柔軟に対応すべきとの声が届いています。
 そこで、三月に期限を迎える人に対して、一カ月間延長するなどの措置を講ずるよう、警視総監に要望しておきます。
 災害対策の強化について質問します。
 先月の一月十七日で、六千四百三十四名のとうとい命を奪った阪神・淡路大震災から二十五年を数えました。
 あのときの神戸のまちの大惨事、家屋やビルの倒壊、火災、倒れた電柱から垂れ下がった電線、寸断された道路、そして、かけがえのない人を失った市民の悲しみの姿、私は現地で、大地震が都市を襲う怖さをまざまざと体験した光景が、今も脳裏を離れません。
 私たちは、これまでの災害を教訓に、いつ発生するかわからない首都直下地震への備えを急がなければなりません。
 これまで都は、甚大な被害が想定される木密地域の不燃化に向けて、二〇二〇年度を目標として対策に取り組んできました。
 そして、都は、この取り組みを五年間延長するという方針を示しましたが、防災都市づくり推進計画を改定するに当たり、これまでの課題を踏まえた上で、新たな対策も講じるべきです。
 まず、重点整備地域における特別な支援メニューを備えた不燃化特区制度については、当初、指定の対象にならなかった地域を新たに加えてほしいとの要望が地元品川区からも上がっています。
 東京のさらなる不燃化へ向けて、指定地域の拡充を求めますが、見解を求めます。
 また、特定整備路線については、住居や店舗の移転先の確保など、住民に寄り添ったきめ細かな支援策を講じるとともに、福祉的側面など生活にかかわるさまざまな相談にもワンストップで対応できるよう、相談体制の拡充を図るべきです。見解を求めます。
 私はこれまで、繰り返し区市町村道のいわゆる生活道路の無電柱化を強力に進めるよう訴えてきましたが、この取り組みも一層加速しなければなりません。それは、災害により電柱が一本でも倒壊すれば、その道路は閉塞され、避難や救出、救助の妨げになるからです。
 知事は、本定例会施政方針で、来年度は、新たに無電柱化加速化戦略を策定し、区市町村道の無電柱化を面的に加速していくことを表明しました。
 そこで、二十五年前に阪神・淡路大震災を経験し、現在は首都東京の知事として相次ぐ災害から都民を守るため、無電柱化を初めとする防災対策の強化に取り組む知事の決意と見解を伺います。
 また、昨年の台風十九号を踏まえ、都議会公明党が求めた、多摩川の樋門等の施設改良と操作情報の共有も、強化策として示しました。
 そこで、新たな浸水対策地区はどのように選定をしていくのか。また、多摩川にある樋門の緊急対策の内容とスケジュールを明らかにしていただきたい。見解を求めます。
 昨年の台風十五号による千葉県内で発生した広範囲の停電と長期化は、住民生活への打撃とともに、行政間の連携や経済活動などにも大きな影響を与えました。
 この教訓を踏まえ、都は、都議会公明党の要請に応え、被災時の重要なライフラインとして、電源確保対策に約七・四億円の予算案を計上していることは評価いたします。
 一方、千葉県を中心に、電源喪失に加えて電話やインターネットなどの通信障害も発生し、安否確認や情報収集などに大きな影響を及ぼし、通信キャリアによる移動基地局車両により応急的措置がなされました。
 しかし、今後ますます深刻化が想定される災害時に、被災状況によっては車両が進入できない場合もあります。
 そこで、都は、多摩・島しょや局所的な被災地の通信障害にも即座に対応できるよう、可搬型の通信基地の配備とともに、5Gを活用した災害時にも強い情報通信基盤を確保するなど、体制強化を図るべきです。知事の見解を伺います。
 次に、教育環境の整備と充実について質問します。
 都議会公明党は、医療的ケアが必要な児童生徒が、できる限り保護者の対応に頼らずに通学できるよう一貫して求め、都は、平成三十年度から順次、看護師が同乗する専用スクールバスの運行を開始し、現在は、対象の児童生徒がいる全校で実施されるようになりました。
 しかし、特に専門性の高いケアが必要な人工呼吸器を使用する児童生徒については、専用スクールバスに乗車できず、また、学校内においても、保護者の対応に委ねられております。
 都議会公明党はこの課題を指摘し、昨年の第三回定例会で、教育長からは、ガイドラインを策定、周知し、来年度から保護者の付き添いなく学校生活を送ることができるよう、校内管理体制を整えていくとの答弁がありました。
 そこで、人工呼吸器が必要な児童生徒への特別支援学校における今後の取り組みについて伺います。
 また、我が党は、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な生徒が、保護者の対応に頼らずに特別支援学校以外の都立高校で学べるよう、支援の充実を求め、都は、一層の充実に向けた検討を行っていくとし、来年度予算案に計上しました。
 そこで、今後、都立高校における医療的ケアの開始に向けて、都の取り組みを伺います。
 来年度から小学校で新学習指導要領が全面実施になり、これまで小学五年生からだった外国語教育が三年生から始まります。
 都議会公明党はこれまで、英語教育を充実させ、使える英語を身につけて、世界に羽ばたく人材の育成を目指し、東京都版英語村の創設を提案し、平成三十年九月に江東区青海にTOKYO GLOBAL GATEWAYが開設されました。その利用者からの声は大変に好評で、繰り返し利用したい、一方、多摩地域の方からは、もっと身近な地域に英語村を設置してほしいなどの声が上がっています。
 そこで、これまでのTOKYO GLOBAL GATEWAYの利用状況を伺うとともに、多摩地域での新たな英語村の設置について、自然豊かな多摩の特性を生かし、例えばイングリッシュキャンプも開催するなど、落ちついた環境の中で外国語を着実に学べる教育環境の整備を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、羽田空港機能強化に伴う飛行機の増便と都民生活への影響について質問します。
 私の地元品川区に影響する新飛行ルートは、南風時の午後三時から七時までの間の三時間にわたり、A滑走路ルートは四分に一機、C滑走路ルートは二分に一機が飛行します。
 また、着陸直前の飛行高度は、大井町で約三百メートル、大井競馬場で約二百メートルとなり、人口密集市街地の真上を通過します。
 先日は、来月三月二十九日から始まる新飛行ルートの本格運用へ向けて、北風、南風のそれぞれ七日間にわたって、実際に乗客、乗員を乗せた旅客機による実機飛行確認が行われました。その間、住民からは、まず騒音について、大型機が通過したり、中高層のビルの谷間で音が反響するときに特に大きく聞こえ、事前の説明や想像していたよりもかなりうるさかったとの声が多く寄せられました。私も現場で直接騒音を測定してみましたが、最大騒音レベルが八十デシベルを超えることもありました。
 さらに、飛行機の通過が余りにも頻繁過ぎることと、低空飛行による機影の大きさに恐怖を感じるなどの声も寄せられました。
 そこで、実機飛行確認の期間、都は独自に騒音測定を行いましたが、その最大騒音レベルを明らかにするとともに、今後も引き続き、実態に見合った騒音調査を実施し、測定結果をわかりやすく公表していくべきです。見解を求めます。
 また、住民の意見、要望を受けとめるはずの国の電話相談コールセンターの存在を知らない方が多くおり、さらには何度かけてもつながらないという方からの苦情が相次ぎました。
 そこで、都は国に対し、コールセンターの周知と体制の強化を求めるべきです。見解を求めます。
 そして、都は、都民から寄せられた意見、要望を踏まえ、大型機は都心上空を飛行する対象から外すなど、騒音についての住民の負担軽減を国に強く求めるべきです。見解を求めます。
 さらに住民からは、飛行機からの落下物事故についても心配の声が上がっています。
 私は、一昨年の予算特別委員会でもこのことを取り上げましたが、このたびの実機飛行確認において、部品欠落や落下物事故の状況はどうだったのか伺うとともに、絶対に事故を起こしてはならないという観点から、その万全な対策を国に強く求めるべきです。見解を求めます。
 東京二〇二〇大会まであと百四十七日と迫りました。大会の成功は世界中の人々の願いです。
 私は、今回の飛行ルートは、東京二〇二〇大会を成功させるためのルートとし、将来にわたって固定化するのではなく、今後は、首都圏近郊の地方空港を交通ネットワークで結び、東京に集中する航空需要を広域的に対応する方策を検討すべきと提案します。そして、都心の人口密集地域の上空を低空で飛行しない航空システムの構築を強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤こういち議員の一般質問にお答えをいたします。
 無電柱化を初めとする防災対策の強化についてお答えいたします。
 東日本大震災以降も、熊本や北海道で震度七を計測する大きな震災が発生をいたしておりまして、首都直下地震がいつ発生してもおかしくない中、対策を一層強化していかなければなりません。
 私は、平成七年の阪神・淡路大震災で、倒壊した電柱が避難や救助の妨げになったこと、このことを目の当たりにいたしまして、国会議員時代から、防災の観点で無電柱化の必要性を強く訴えてきたものであります。
 知事に就任いたしましてからは、都道府県で初めてとなります東京都無電柱化推進条例を制定いたしまして、今年度末には、いわゆるセンター・コア・エリア内の都道における整備は、おおむね完了する見込みでございます。
 しかし、昨年の台風第十五号におきましては、記録的な暴風による倒木、そして電柱の倒壊によりまして、大規模停電が長期間発生をいたしました。私みずから島しょの被害状況を視察いたしましたが、島しょ部も含めた都内の全域で無電柱化の取り組みを加速していく必要性を改めて認識したところでございます。
 今後、災害の経験、そして教訓を踏まえまして、新たに無電柱化加速化戦略を策定して、面的に無電柱化を加速させるなど、さらなる防災対策の強化に向けまして、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、災害に強い情報通信基盤の確保についてのお尋ねがございました。
 災害発生時、都民の混乱や二次被害等を防ぐためには、5Gネットワークなどの通信手段によって、災害時にも通話やインターネットにつながる環境を整備していくことは、極めて重要なことでございます。
 そのため、都といたしまして、世界最高のモバイルインターネットでありますTOKYO Data Highwayを、二十一世紀の基幹インフラであります電波の道として整備をして、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京の早期の実現を目指して、都のアセットの開放を進めております。
 また、災害によりまして通信が途絶えた地域が発生した場合におきましても、迅速に通信環境を回復するために、国や通信事業者と綿密に連携をして、移動基地局車や小型可搬型基地局、衛星携帯電話などを有効に活用してまいります。
 これによりまして、都内全域での、災害時にも強く、そして高度な情報通信基盤の構築に取り組んでまいる所存でございます。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁でございます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、人工呼吸器を使用する子供への取り組みについてでございますが、都教育委員会は、特別支援学校での安全な教育環境を整備するため、昨年度から、人工呼吸器の管理モデル事業や、医療的ケア児専用通学車両の運行等を実施してまいりました。
 人工呼吸器の管理につきましては、来年度から、実施校に主任非常勤看護師を増員するなど、安全な実施に向けた体制整備に取り組み、一人一人の子供の状況を確認した上で、順次、校内での保護者の付き添いをなくしてまいります。
 専用通学車両につきましては、通学機会の拡充に向けて、人工呼吸器を使用する子供等の安全な車両条件等を確認するため、新たに短期間の試行乗車制度を設けてまいります。
 これらの取り組みを着実に進め、今後策定する東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次計画において、医療的ケアをより一層充実してまいります。
 次に、都立高校における医療的ケアの実施についてでございますが、近年の医療技術の進歩や在宅医療の普及により、医療的ケアを必要とする生徒が都立高校に在籍しており、現在は保護者に付き添いを求めているところでございます。
 こうしたことから、今年度、都教育委員会は、生徒の教育環境の充実に向け、都立高校における医療的ケアの検討会を立ち上げ、経管栄養やたんの吸引などを学校で実施できるよう、非常勤看護師の配置や指導医の委嘱などの校内体制を構築することといたしました。
 四月以降、現在都立高校に在籍している医療的ケアが必要な生徒を対象に、保護者からの引き継ぎ期間を設けるなど、段階的に医療的ケアを実施いたします。
 今後、実施状況を踏まえつつ、安全確保を第一としながら、都立高校での医療的ケアの充実に努めてまいります。
 最後に、多摩地域での体験型英語学習環境の整備についてでございますが、TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGでは、児童生徒が英語漬けの環境の中で海外での生活や実社会を体験でき、世界に目を向けるきっかけとなるプログラムを数多く用意しております。
 具体的には、海外を想定した疑似空間の中での日常生活の体験や、海外の行政機関の協力を得て行う現地と同様の授業等を、英語の習熟度に応じた内容で提供しております。こうしたプログラムは、英語の授業や学校行事等の一環として活用され、今年度は約九万人の学校利用を見込むなど、順調に利用が拡大しているところでございます。
 今後、多摩地域のニーズ等を把握した上で、TGGのノウハウの活用や、多摩地域ならではの魅力を備えたプログラムの可能性等、具体的な整備方針について検討してまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密地域の改善についてでございますが、都は、重点整備地域を対象に不燃化特区制度を活用して、老朽建築物の建てかえ、除却への助成など、従来よりも踏み込んだ特別な支援により不燃化に取り組んでおります。
 不燃化特区は、木造住宅密集地域の改善を一段と加速させるため、早期に防災性の向上を図るべき地域を、区からの申請に基づき、都が指定しておりますが、先月公表した防災都市づくり推進計画の基本方針案において、その取り組みを五年間延伸する方針を示しました。
 今後の制度の活用に当たっては、現在の不燃化特区の進捗状況を踏まえた新たな課題などについて、地元区との意見交換を十分に行いながら、不燃化を加速させるさらなる取り組みを検討するなど、これまで以上に工夫を加え、木造住宅密集地域の改善を強力に推進してまいります。
 次に、羽田空港の機能強化に関する問い合わせ先についてでございますが、これまでも都は、国に丁寧な情報提供を要請してまいりました。国は、機能強化に関する問い合わせ窓口として、平成二十七年七月からコールセンターを設置し、ホームページなどにより、その連絡先の周知を図っております。
 今回、実機飛行確認に合わせて、国はコールセンターの機能を拡充したものの、十四日間に合計約七百件、特に多い日に一日当たり約百件の問い合わせを受けており、電話がつながりにくいなど、さまざまな声があったと聞いております。
 都といたしましては、来月下旬からの運用開始に向けまして、国に対し、コールセンターの幅広い周知やさらなる充実を図るなど、都民へのより丁寧な情報提供の徹底を求めてまいります。
 次に、新飛行経路における騒音の軽減についてでございます。
 騒音対策として、国は、機体がより小さく、低騒音の機材への転換が進むよう、本年一月から着陸料のさらなる見直しを行うなど、運用開始に向けてさまざまな対策を実施しております。
 国は、今回の実機飛行確認に合わせて航空機の騒音測定を行っており、期間中に都内十六カ所の測定地点で、大型機の最大騒音レベルが、南風時で五十三から八十一デシベルを記録したと公表しており、現在、その測定結果を精査しているところでございます。
 都といたしましては、引き続き国に対し、こうした騒音対策の着実な実施を求めるとともに、実機飛行確認時や運用開始後の騒音発生状況等を踏まえ、必要な対策を検討するよう要請してまいります。
 最後に、航空機からの落下物等についてでございます。
 これまで都の要請を受けて、国は、落下物対策について、航空機のチェック体制の強化などに加え、世界的に類を見ない落下物防止対策の基準を定め、国内外の航空会社に対して義務づけるなど、総合的に対策を実施してまいりました。さらに、この基準について、部品の固定方法の改良を追加する見直しを行うなど、適宜強化を図っております。
 こうした中で実施された今回の実機飛行確認では、落下物は現時点で確認されておらず、部品欠落の有無については国が精査中でございます。
 都としては、国に対し、安全対策の着実な実施を、運用開始に向けてより強く求めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 特定整備路線の生活再建支援についてでございますが、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上重要な道路でございます。
 用地取得に当たりましては、これまで民間事業者を活用した相談窓口の設置などにより、生活再建を支援してまいりましたが、権利者との合意形成に時間を要している区間もあり、生活再建支援を一層強化する必要がございます。
 今後、民間事業者の選定に当たり、新設、拡幅等の路線の特徴や、借地が多いなどの地域の実情に合った新たな提案を求めるなど、相談窓口の機能強化を図ってまいります。
 また、地元区などとの連携もさらに深め、近隣の移転先確保や生活福祉に関するさまざまな相談に全ての窓口が対応できるようにするなど、関係権利者の生活再建をよりきめ細やかに支援し、事業の推進に全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 浸水対策についてでございますが、激甚化する豪雨等を踏まえ、安全・安心の取り組みを一層推進するため、先月策定いたしました豪雨対策アクションプランの中で、七十五ミリ対策地区等の追加と、樋門の緊急の取り組みをお示ししたところでございます。
 対策地区の選定に当たりましては、最新の流出解析シミュレーション技術を活用し、時間七十五ミリ降雨があった場合の検証を進めており、検証結果と浸水実績等を踏まえ、令和二年度末までに対策地区を追加いたします。
 樋門の緊急の取り組みといたしましては、樋門の役割等について既にホームページに掲載し、情報発信を強化したところであり、また、ことしの出水期までに、多摩川にある二カ所の樋門操作の遠隔化を実施し、下水道局が設置いたしました七つ全ての樋門等で、堤防より宅地側からの操作を可能といたします。
 さらに、今後、地元区市等と樋門の操作情報等を共有する体制強化を図ってまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 新飛行経路の騒音モニタリングについてでございますが、騒音の発生状況については、航空機騒音を所管する都としても独自に把握することが重要でございます。
 実機飛行確認に当たっては、都内七カ所において騒音モニタリングを実施し、翌日には最大騒音レベル、三日後には詳細なデータを公表いたしました。
 騒音モニタリングの結果は、最大騒音レベルが、北風時で六十四デシベルから七十八デシベル、南風時で五十六デシベルから八十六デシベルでございました。
 また、地点ごとに最大騒音レベルを平均した値は、六十三デシベルから七十七デシベルでございました。
 都としては、新飛行経路の本格運用後も、国や関係区と連携して、同様の騒音モニタリングを継続するとともに、都民への丁寧な情報提供に努めてまいります。

○副議長(橘正剛君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十五分開議

○議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十三番鳥居こうすけ君
〔二十三番鳥居こうすけ君登壇〕

○二十三番(鳥居こうすけ君) 人生の最後をどこでどのように迎えたいかという都の調査では、自宅で最期を迎えたいと思っている人の割合が多い中で、実際は約七割が病院で亡くなっておられます。
 みずからが望む人生の最終最後における医療、ケアについて前もって考え、医療、ケアチーム等と繰り返し話し合い、共有する取り組みをアドバンス・ケア・プランニング、ACPと呼びます。命の危険が迫った状態になると、約七割の方が医療、ケアの望みを人に伝えることができなくなるといわれており、このACPの取り組みが重要視されております。
 国は、ACPの愛称を人生会議と定めました。会議と名づけたことで、繰り返し話し合うプロセスであるACPが、一度だけ話し合えばよいや、わざわざ会議を開かなければならないなどと誤解されてしまう懸念の声も聞こえてきます。
 都民にACPを正しく理解してもらうとともに、医療、介護関係者がACPに基づき、患者の意思決定を支援し、患者の希望に沿った医療、ケアを提供することが必要です。
 また、ACPは地域包括ケアシステムにおいても重要な要素です。ACPをより一層推進していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 経済産業省において、次世代ヘルスケア産業に関する議論がなされました。ヘルスケア分野が、高齢化や健康、医療ニーズの多様化を背景に、健康増進、生活習慣病予防などの多様な公的保険外サービスの期待が高まっております。
 ヘルスケア産業は、製品等の分野が多岐にわたりますが、主要な一つである化粧品分野は、企業にとっても付加価値の高い有望な分野です。
 また、今年度、一般財団法人として日本化粧療法医学会が立ち上がりましたが、私も特別顧問として参加することになったこの学会は、化粧療法という、化粧行為を高齢者の認知症予防、機能障害後遺症のリハビリテーションなどの治療目的に行う医療行為と捉え、その担い手である化粧療法士は、国家資格にしようというのが新しい動きであります。成熟都市東京でニーズが見込まれる、このような新たな分野の取り組みを積極的に行っていくことが重要と考えます。
 都が有する東京都立産業技術研究センターにはバイオ基盤技術が蓄積されており、この技術を活用してヘルスケア産業にかかわる中小企業支援が可能です。
 私は、昨年の都議会において、すぐれた技術を持つ中小企業がヘルスケア産業の分野でも活躍できるようサポートするべきと提言し、都は今年度、化粧品等のヘルスケア産業支援事業を初めて予算化し、事業展開を図っております。
 ヘルスケアの分野は、超高齢社会における予防医療及び課題解決の新価値創造を担う分野として、今後の成長産業の一端を担う新しい領域であり、さらなる発展が予想されることから、都はきめ細かく支援を行い、新領域開拓の後押しをするべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化、独法化に当たっては、行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献を果たしていくとともに、十四病院それぞれの強みや特色を磨き、専門性を生かした医療を効果的に提供していくことが重要です。
 また、都の医療政策の実現に貢献していくためには、十四病院一体となった取り組みを推進していく必要もあります。
 そのためには、独法化のメリットを生かした組織運営体制の構築とともに、組織を束ねる理事長のリーダーシップの発揮が不可欠であると考えますが、地方独立行政法人における組織運営体制の基本的な考え方及び理事長のトップマネジメントの確保について、都の見解を伺います。
 行政的医療の提供は、独法化後も病院の果たす最大の課題の一つであり、行政的医療を提供するためには、医療技術を向上させ、患者様が必要とする新たな医療提供を行うなど、地域の医療水準を高め続けることが重要です。
 このように、東京都の医療を持続的に牽引し続けるためには、現場で働くスタッフたちの能力の底上げと不断の技術蓄積が必須と考えます。
 そこで、独法化に当たって、専門性の高い人材や中心的役割を果たす人材をきめ細かく育てるための新たな試みを実施するなど、より一層、人材育成に力を入れていくことが重要と考えますが、都立病院での人材育成の取り組みと新法人での人材育成に対する考え方について、都の見解を伺います。
 また、法人運営下にあっても、高度で先駆的な医療の提供を行い、医療分野を牽引するため、各病院が長年培ってきた高度専門医療を初めとするさまざまな医療技術の蓄積が途絶えないようにしないといけません。
 そこで、独法化に当たって、高度専門化した医療技術の維持及びさらなる蓄積が重要と考えますが、都の見解を伺います。
 我が会派では、東京二〇二〇大会を契機に、文化の魅力あふれる都市東京を実現し、大会後の芸術文化を支える裾野を広げること、地域経済や観光の活性化につなげることを訴えてきました。
 また、そのためには、Tokyo Tokyo FESTIVALと称して実施したさまざまな文化プログラムについて、裾野拡大や経済的側面に与える影響を客観的に評価し、必要な支援を効率的に実施するように訴えてきました。
 中でもスペシャルサーティーンは、国内外から募った二千四百三十六件の斬新で独創的なアイデアの中から選ばれた十三件の中心的事業です。
 そこで、スペシャルサーティーンを、大会開幕の盛り上げに向け集中して実施するとともに、Tokyo Tokyo FESTIVAL全体の取り組みの成果を一過性にせず、次世代に残していくべき文化プログラムを継続、発展していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 一九八〇年代末より、進学に伴い、児童、学生の意欲、関心の低下による理科離れという言葉がいわれ始めました。科学の特徴は、観察、実験を中心として問題を見出し、予想や仮説を立て、解決方法を考えて実証し、考察するという一連の思考プロセス、すなわち科学的な思考を育むことにあります。
 AIが台頭してくるこれからの時代において、新しい解決策を見出す科学的思考力はますます必要な能力といわれております。そうした中、課題解決能力や新たなものを創造する力を育む新しい学習指導要領がスタートし、教育現場も変わろうとしております。
 科学的思考力は自然現象を観察し、実験などを通して培われるもので、その力を育むための第一歩として、科学の領域に触れる機会を与え、理科や数学に興味、関心を持たせることが重要と考えます。
 そこで、都立高校において、理数に興味、関心を持つ生徒をふやしていくために、これまでの取り組みと成果について伺います。
 杉並区では、昭和四十四年より杉並区立科学館を設立し、児童、学生、区民の方々に科学に親しむ機会を提供してきました。この科学館は、老朽化に伴い平成二十八年に閉館しましたが、このたび、区立施設再編のもと、未就学児から高齢者に至るさまざまな世代の区民が幅広い科学の魅力に触れることができる参加型、体験型科学プログラムを提供する新たな拠点を令和五年十月に開設予定です。このように杉並区では、科学教育事業を着実に発展させております。
 科学分野を志す人材がふえて裾野が広がれば、優秀な人材を輩出する機会がふえ、将来、社会を牽引する科学技術人材の育成につながり、東京を支える力となり、さらには国力増大にもつながると考えます。
 そこで、都立高校において、理数に秀でた人材の育成を図るため、これまでの取り組みと成果について伺います。
 また、理数教育を牽引するスーパーサイエンスハイスクールなど、積み重ねた人材育成の取り組みは、限られた学校にとどめておくことなく、多くの学校で優秀な人材育成のために広げていくことが必要です。これからの時代の変化を捉え、理数分野の専門性を伸長させる新しい取り組みを広く展開していくことを期待しております。
 そこで、理数に秀でた人材を育成する取り組みをどのように他の都立高校に普及させていくのかを伺います。
 急速に進むグローバル社会では、諸外国との交流が必要となり、英語を使って積極的にコミュニケーションを図ることが求められつつあります。世界と対等に渡り合っていくためには、英語を聞く、読むことで理解するだけではなく、話す、書くことで自分の考えを発信し、相手に伝達する力が必要です。
 このような中で、日本の英語教育は、より使える英語を目指し、英語で自分の考えを伝え、コミュニケーションを図れる人材を輩出しようとしております。実現には至りませんでしたが、次年度から新大学入試では、聞く、読むに加え、話す、書くも含めた英語四技能を評価するため、英語民間試験の導入が検討されてきました。
 子供たちがこれからのグローバル社会を切り開き、国内外で活躍するためには、英語によるコミュニケーション能力の育成をすることが重要であり、英語教育の一層の充実が不可欠であると考えますが、都が行う中学校英語スピーキングテスト導入の背景や狙いについて伺います。
 また、大学共通テストにおいて英語民間試験の活用が延期された状況を踏まえて、出題内容や受験会場について、公平性の確保などに配慮し、準備に万全を期すべきです。
 中学校英語スピーキングテストについて、着実な実施に向けた取り組みが重要と考えますが、これまでの準備状況と今後の取り組みについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 鳥居こうすけ議員の一般質問にお答えいたします。
 ヘルスケア産業に係る中小企業支援についてのお尋ねでございます。
 高齢者人口の増加や健康志向の高まる中、誰もが幾つになっても輝ける長寿社会の実現に貢献するヘルスケア産業は、今後の市場拡大が見込まれる有望な分野でございます。
 東京の中小企業の稼ぐ力をさらに高めていくには、こうした分野への参入や事業拡大を促していくことが重要でございます。都は、都立産業技術研究センターにおきまして、バイオ技術を活用したヘルスケア産業への支援を開始したところでございます。
 今年度は、まず成長が期待されます化粧品分野において、安全性の試験などに利用できる人工皮膚の開発に着手をいたしております。また、この分野に多くの事業者の参入を促すため、技術セミナーを開催いたしております。
 来年度からは、センターにヘルスケアの専門部署を設置いたしまして、こうした取り組みをさらに発展させてまいります。
 具体的には、高性能な検査機器を整備いたしまして、中小企業によりますヘルスケア製品の開発を支援するとともに、海外展開を視野に入れて、各国での製品規格に対応するための技術的な助言も行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、ヘルスケア産業の発展を図ることで、東京の中小企業のさらなる成長へと結びつけてまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、理数に興味を持つ生徒をふやす取り組みについてでございますが、理数好きの生徒をふやしていくためには、学校の内外において科学に触れる多様な機会を設けるなど、理数教育の充実を図ることが重要でございます。
 そのため都教育委員会は、平成二十七年度から理数研究校を毎年度二十校程度指定し、科学に関する講演会や科学系部活動の支援を行っております。また、大学や研究機関で最先端の研究を体験できる理数研究ラボや、学校対抗で知識、技能を競う科学の祭典を実施し、理数の素養を持つ生徒の裾野を広げる取り組みを行っております。
 参加生徒からは、今後も研究を続けたい、将来、理系を志望したいなどの声が寄せられるとともに、科学系コンテストへ参加する生徒が増加するなど、都立高校生の探求心や高い目標に挑戦する意欲の向上が見られているところでございます。
 次に、理数に秀でた人材の育成についてでございますが、将来、国際的に活躍する科学技術系人材を育成するため、都立高校等では、文部科学省が指定するスーパーサイエンスハイスクール、いわゆるSSHの五校や、都教育委員会が指定する理数アカデミー校一校、また理数リーディング校三校において、先進的な理数教育を推進しております。
 これらの指定校の生徒は、大学や企業の研究者の指導のもと、専門性の高い研究を行い、その研究成果を学会や科学系コンテストで発表したり、海外の高校生と研究を通じた交流を行ったりしております。
 こうした取り組みの結果、全国SSH生徒研究発表会での最優秀賞の受賞、国際科学オリンピックへの日本代表としての出場、ロボカップ世界大会での総合第二位の獲得などのほか、理系大学への高い進学実績をおさめております。
 次に、理数に秀でた人材育成の取り組みの普及についてでございますが、都教育委員会は、理数研究校の教員を対象とした連絡会をスーパーサイエンスハイスクール、SSHで開催し、生徒の研究活動に関する情報交換を行うなど、効果的な指導法の普及を図ってまいりました。
 また、新学習指導要領に新たな科目、理数探究が設けられることを踏まえ、SSHで理科や数学を担当する教員等による指導事例の開発を支援するとともに、その成果を他の学校にも周知するなど、理数分野で活躍できる人材の育成に必要な教員の指導力向上を図ってきたところでございます。
 今後、理数分野の素養と情報活用能力等を高いレベルであわせ持ち、新たな価値を生み出すことのできる人材を育成するため、都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)に基づく、都立高校での理数科の設置に向け、SSH等の成果を生かし、着実に準備を進めてまいります。
 次に、英語スピーキングテスト導入の背景等についてでございますが、都教育委員会は、英語四技能のバランスよい指導を目指し、都内公立中学校の全英語科教員を対象とした研修や指導資料等により、授業改善を支援してまいりました。これらの取り組みにより、昨年度、都の中学生の英語力は国の目標値を上回るなどの一定の成果があらわれております。
 今後、世界を舞台に活躍するグローバル人材の育成に向けて、中学校での学びを土台とし、高校において、生徒がみずからの考えや意見を積極的に発信する、使える英語力をさらに伸ばす必要があります。そのため、中学校の卒業段階における英語力を評価し、高校での指導に生かしていくなど、新学習指導要領が目指す小中高校の円滑な接続を実現することが大切でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、義務教育の最終段階で求められる英語の話すことの力をはかるため、スピーキングテストを導入し、その結果を中学校及び高校における授業改善や都立高校入試に活用することにより、小中高校一貫した英語教育を推進してまいります。
 最後に、スピーキングテストの準備状況等についてでございますが、都教育委員会は、平成二十九年度から、外部有識者や学校関係者等から成る検討委員会を設置し、スピーキングテストの実施方法等について協議を重ねてまいりました。
 具体的には、学習指導要領に準拠した問題の作成や、多摩及び島しょ地区の生徒に配慮した試験会場の設置など、円滑な実施に向けた検討を重ね、昨年度は都内公立中学校第三学年約千人、今年度は約八千人を対象にプレテストを実施いたしました。
 来年度は、都内公立中学校第三学年の全生徒約八万人を対象にプレテストを実施するとともに、都立高校入試における活用や、中学校及び高校における指導改善への生かし方について検討するなど、着実な準備を進め、英語教育のさらなる充実を図ってまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) アドバンス・ケア・プランニングに関するご質問にお答えいたします。
 住みなれた地域で、その人らしく暮らし、希望に沿った最期を迎えられるようにするには、みずからが望む医療やケアについて、本人と家族、医療、介護関係者等であらかじめ十分に話し合い、共有することが重要であると認識しております。
 都は来年度、アドバンス・ケア・プランニングについての正しい理解を促進するため、本人の意思決定が基本であること、意思は変わり得るものであり、繰り返し話し合うことが必要であることなどを盛り込んだ都民向けリーフレットをまずは作成いたします。
 また、医療、介護関係者を対象に、リーフレットを活用した情報提供や本人の意思の確認、共有方法等を学ぶ実践的な研修を新たに実施するなど、アドバンス・ケア・プランニングの推進に向けた取り組みを充実してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地方独立行政法人の組織運営についてでございますが、法人移行後は、トップのリーダーシップのもと、意思決定を迅速に行い、効率的、効果的な運営を可能とする体制を構築することが重要でございます。そのため、今後、法人における理事長の意思決定を補佐する理事会の設置など、組織運営のあり方について検討してまいります。
 理事会につきましては、現場の医療課題等の変化を的確に酌み取り、法人の統一的な方針を議論することなど、その役割を具体化してまいります。
 また、理事長等のトップマネジメントを支援する法人の組織体制も検討し、迅速な意思決定を確保いたします。
 こうした体制を構築することで、これまで以上に都民の医療ニーズに柔軟、迅速に対応できる病院運営を実現してまいります。
 次に、都立病院における人材育成についてでございますが、都立病院では、医療の質を向上させるため、東京医師アカデミーや看護アカデミーなどで職員の能力を伸ばす人材育成に取り組んでまいりました。
 具体的には、医療現場で高度専門医療を修得するとともに、豊富な症例を臨床研究に生かせる医師や、小児や認知症を初め、特定の分野での高い実践能力を発揮できる看護師など、病院現場で中核となり得る人材を育成しております。
 法人移行後は、これまでの取り組みをさらに強化し、優秀な人材を育てることに加え、他の医療機関等との人材交流が容易になる地方独立行政法人のメリットを生かし、地域医療の実情を理解し、その充実にも貢献できる人材を育成してまいります。
 最後に、医療技術の維持と蓄積についてでございますが、都立病院は、地方独立行政法人化した後においても、行政的医療の提供と地域医療の充実への貢献という二つの役割を将来にわたり安定的かつ継続的に果たしてまいります。
 また、二〇四〇年代の医療課題を見据えた高度専門医療の提供や、先進的、先導的な研究等について、各病院の臨床における豊富な症例などを生かしながら、常に医療の質を高めてまいります。
 法人の運営に当たりましては、その特徴を生かし、がんゲノム医療など、日進月歩の先進分野における専門人材の柔軟な確保、育成や、複雑化、多様化する医療ニーズに的確に応えていくための医療資源への効率的かつ適切な投資などによりまして、医療技術の高度化に確実に対応することで、都の医療政策に貢献してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 文化プログラムの継続、展開についてでございますが、スペシャルサーティーンは、Tokyo Tokyo FESTIVALの中核となる事業として、斬新で独創的な企画や多くの人々が参加できる企画を国内外から募り、昨年九月から展開しております。
 四月以降は、隅田川流域全体を舞台として、さまざまな音楽などを繰り広げるパフォーマンスや、世界五大陸の伝統芸能が集結するフェスティバルなどのラインアップをそろえ、二〇二〇年だからこそできるプログラムを実現することで祝祭感を創出いたします。
 大会終了後においても、スペシャルサーティーンを初め、Tokyo Tokyo FESTIVAL全体の成果をレガシーとして生かし、国内外の人々が多彩な芸術文化に触れられる文化都市東京を次世代に引き継いでまいります。

○議長(石川良一君) 七十二番桐山ひとみさん
〔七十二番桐山ひとみ君登壇〕

○七十二番(桐山ひとみ君) 二〇二〇年、その先には超高齢社会が待っています。東京の人口は二〇二五年をピークに減少し、四十年後には平成二年と同規模となりますが、高齢者の人口は三倍の増加、社会保障費も大幅に増加する見込みです。早急に健康寿命を延伸していく取り組みが重要です。
 スポーツなど身体活動は、疾患の発症リスクを軽減させ、高齢者の認知機能や運動機能など、社会生活機能低下への抑制効果もあり、研究等で明らかになっています。
 欧米では既に推奨されている考え、運動は薬であるというエクササイズ・イズ・メディシン、この取り組みも重要になってきます。
 古くは古代ギリシャの医学の祖、ヒポクラテスは、歩くことが最良の薬という言葉を残したと伝えられ、歩くと頭が軽くなる、筋肉を十分に使っている人は病気にかかりにくく、いつまでも若々しいなどという格言を残しています。
 また、日本の厚生労働省のスローガンでも、一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬と、一に運動を推奨しています。適度な運動こそが健康寿命を延ばす医療そのものであり、東京二〇二〇大会のレガシーとして、地域で日常的に運動ができる環境が重要です。
 そこで、高齢社会が到来する将来の東京を見据え、スポーツや運動を通じた健康長寿社会の実現について、知事の考えをお伺いいたします。
 障害のある方の健康増進のため、スポーツは極めて有効です。しかし、そもそも障害のある方の健康を考えたときに、身体活動及びスポーツをする機会も少ない現実に直面をしています。少しでも体を動かす機会の提供が必要です。
 地域には学校という資源があり、そこをスポーツの場として積極的に活用すべきだと考えます。都は、障害者のスポーツ環境を整備するため、特別支援学校の体育施設の活用モデル事業として取り組んでいます。我が会派の先日の代表質問で、実施校は現在二十校から来年度は拡大実施とのこと。モデル期間が終了しても、ぜひさらなる拡大を検討していただきたいと思います。
 こうした障害者スポーツの拠点が身近な地域でさらに広がるよう、地域に開放できるような施設構造にするなど、課題をしっかりと整理していただき、モデル事業で活用しやすい環境を整備していくことを、施設を所管する教育庁に要望しておきます。
 このモデル事業の中で実施している体験教室は、レクリエーションスポーツを中心に実施していますが、障害者の健康づくりのためには、気軽に安心して参加できるレクリエーションや遊びから体を動かす楽しさを知る機会の提供が大切です。特別支援学校の体育施設が地元の障害者のスポーツの拠点となっていってほしいと考えます。
 そこで、特別支援学校の体育施設の活用に当たり、体験教室の実施に際して地元と連携するなど、特別支援学校を地域の障害者のスポーツの拠点としていくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 人生百年時代を見据え、高齢者一人一人に対してきめ細やかな保健事業と介護予防を実施していくことは大変重要です。高齢者は、複数の慢性疾患の罹患に加え、要介護状態に至る手前であっても、身体的、精神的及び社会的な特性であるフレイル状態になりやすい傾向があります。
 しかし、現行では、七十四歳までの高齢者の保健事業は医療保険者である区市町村国保、七十五歳以上は後期高齢者医療広域連合が実施、介護予防事業は区市町村の介護保険担当が実施するなど、制度の実施主体や組織がまたがり、高齢者の健康課題に一体的に対応できていない課題がありました。その課題に対応するために、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するための関連規定が盛り込まれ、令和二年四月から施行されます。
 また、来年度からはフレイルなど、高齢者の特性を踏まえた質問票に変更され、フレイル状態にある高齢者を適切な医療や介護サービスにつなげることで、疾病予防、重症化予防を目指すことになります。
 そこで、こうした取り組みや国保データベースシステム、いわゆるKDBデータ分析などを通して、区市町村が高齢者一人一人の健康状態を把握し、通いの場への参加を促すなど、必要なサービスにつなげることが求められていますが、区市町村における高齢者の保健事業と介護の一体的な取り組みに向けて、都はどのような支援をしていくのかお伺いをいたします。
 国保制度を持続可能なものとしていくためには、増大する医療費の伸びを抑制する取り組みが欠かせません。そのために、区市町村では、国保データベースシステムを活用し、被保険者の健診、医療費のビッグデータの分析に基づき、効果的な保健事業を展開していくことが求められています。
 さきに述べた保健事業と介護の一体化の中でもこのデータ活用が挙げられており、KDBデータの本格活用が盛り込まれています。しかし、区市町村の国保所管部署では、データ分析に必要なノウハウや専門知識を有する職員が不足していると聞いています。
 昨年度、都では、KDBを活用し、区市町村別データ分析結果を取りまとめ、来年度はデータヘルス計画の中間評価を行う年でございます。
 そこで、区市町村が適切に事業評価を行い、データ分析に基づき地域の健康課題に見合った事業の企画立案ができるよう、都は、KDBデータ分析等に関する人材育成を含めた技術的支援を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 今月開催された東京アビリンピックを視察いたしました。特別支援学校の生徒も出場されており、日ごろ培った技能を披露し、活躍する姿を拝見する中で、生徒の多様な可能性を感じたところです。今後は、技能大会を目指す特別支援学校の生徒への支援が必要だと考えております。
 さて、ことしの東京二〇二〇大会、オリンピック・パラリンピック大会の翌年、二〇二一年十二月、ここ東京で技能五輪全国大会と全国アビリンピックの二大会が同時開催されることが決定しています。
 全国アビリンピックは、障害者の職業能力の向上等を図ることを目的として、障害者が日ごろ培った技能を競い合う大会であり、今月、東京大会の基本計画が発表されたところです。
 会場は東京ビッグサイトで、全国から約四百人の選手が集い、四日間にわたり二十以上の種目で実施されます。喫茶サービスやビルクリーニングなど、花形競技や障害者が活躍している職域の種目が多数あり、競技において全国の障害者がすぐれた技能を大会の来場者に対して披露することを通じて、都における障害者雇用の促進を図るまたとない機会であります。
 そこで、全国障害者技能競技大会、通称アビリンピックの東京開催を障害者雇用のさらなる促進につなげていくことが重要と考えますが、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、流域下水道の財政運営について伺います。
 流域下水道は、東京都が基幹施設である流域下水道幹線や水再生センターなどを設置管理しており、市町村は、各家庭から幹線までの管渠などを設置管理しています。流域下水道の導入により、市町村との連携協力のもと、多摩地域の下水道普及率も上がり、河川の水質も大幅に改善をされました。
 そこで、多摩地域で流域下水道が果たしてきた役割と効果について、改めてお伺いいたします。
 また、流域下水道は、事業運営に必要な経費は市町村からの負担などで賄われており、市町村との連携のもとで成り立っている事業です。多摩地域の水環境の維持向上のためには、流域下水道の安定的な経営が必要ですが、平成三十年度決算では維持管理収支が約十億円の赤字となっており、令和二年度の予算案でも赤字で計上されています。
 これまでの経緯も含め、その原因と対策については議会の場で今後厳しくただしてまいります。これまで経営努力をしてきていないとは申し上げませんが、あらゆる角度から、まず努力できる方策を検討すべきであると考えます。
 今後、施設の老朽化が進んでいくことを考えると、抜本的な対策が必要な時期に入ってきているのではないかとをしています。これらの状況に適切に対応するためには、事業のパートナーである市町村にはしっかりと情報提供し、より一層丁寧な対応と協議を進めていくことを要望しておきます。
 そこで、流域下水道の財政基盤強化に向けたこれまでの取り組みと今後の対応について、都の見解をお伺いいたします。
 都は、一昨年に実施した防災事業の緊急総点検を受け、神田川等八河川において、新たな調節池の事業化に向けて、候補地や構造形式について検討を実施していると聞いています。その中でも、本定例会における知事の施政方針において、来年度、石神井川と境川で事業に着手する旨の方針が示されました。
 地元西東京市を流れる石神井川の上流部においては、都立東伏見公園の整備と一体的に護岸整備を実施しておりますが、特にこの区間においての浸水防止対策は地元でも課題として挙げられており、南町調節池付近でも水位が上昇し、周辺住民の不安は拭えません。
 そこで、今後、この石神井川の河川上流周辺の整備について、どのような対策がとられていくのかお伺いをいたします。
 次に、西東京市内の都市計画道路について、西東京都市計画道路三・四・一一号線は、調布保谷線から都道保谷志木線までの区間で、東京都第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業を活用し、整備促進を図っています。既に用地測量、基本設計も終えていると市からも聞いているところです。
 この計画道路上には都有地が重なっており、これまで、都有地活用については搬入路の確保ができないなどで、都有地活用はありませんでした。しかし、過去に調布保谷線の代替地として一部都有地を提供した事例もあることから、今後、用地取得に際し困難を要する場合など、市側の要請に対し相談対応していただけますよう要望しておきたいと思います。
 今後は、この整備により保谷駅からひばりヶ丘駅までの道路アクセス性が格段に向上し、さらに、道路沿道になる都有地の活用も、今後価値のある場所になることから、まちづくりにおいて周辺住民からも期待されております。
 そこで、西東京三・四・一一号線の取り組み状況についてお伺いいたします。
 西東京三・四・一二号線について伺います。
 これは、保谷駅南口のまちづくりにとって大変重要な路線です。西武池袋線保谷駅南口を東西に走る都道二三三号線のバイパス機能を果たす道路です。
 駅前の主要道路である都道二三三号線は幅員が狭く、バスを初め、車や自転車が頻繁に通る非常に危険な道で、私自身も市議会でたびたび取り上げ、事業進捗について質疑をしてきました。地元は早期整備促進を要望しており、悲願の道路です。
 この都市計画道路が整備された際には、保谷駅周辺の都道二三三号線の一部市への移管を含め、都道二三三号線を安心して買い物ができるコミュニティ道路として整備することと期待されています。
 平成十年の事業着手以来、都は用地取得を進め、残画地はあとわずかとなっていますが……。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 スポーツを通じた健康長寿社会の実現についてのお尋ねでございます。
 スポーツは、スポーツをすること自体、喜びや楽しみを感じることができるほか、健康な身体を育み、健康の維持増進に寄与するものでございます。
 また、スポーツは人と人とをつないで、日々の生活に夢や目標をもたらすなどの多様な力を秘めております。健康長寿や共生社会の実現など、東京が抱えるさまざまな課題の解決にも資するものと考えております。
 これまで都といたしまして、さまざまなスポーツ体験やウオーキングイベントの開催などを通じまして、スポーツをする機会の創出等に取り組んでまいりました。私も、いつでもどこでもできるラジオ体操や、さまざまなパラスポーツの体験を通じまして、わずかな時間でも体を動かす楽しさと心身のリフレッシュを実感しております。
 これからの人生百年時代を見据えまして、幾つになりましても住みなれた東京で元気で心豊かに暮らすことのできる長寿社会をつくり上げてまいります。
 そのため、東京二〇二〇大会のレガシーを最大に生かしまして、都民の日常生活にスポーツが溶け込んで、まちの至るところでスポーツをする、見る、支えることができるスポーツフィールド東京の実現を目指してまいります。
 残余のご質問は、担当局長からお答えをいたします。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 地域における障害者スポーツの拠点についてでございます。
 都は、平成二十八年度から、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめるよう、特別支援学校の体育施設を活用し、誰もが参加できる体験教室を実施しております。
 実施に際しては、レクリエーションスポーツ団体に加え、地域スポーツクラブ等とも連携し、プログラムの企画方法のほか、障害特性に応じた支援方法等について事前に習得いただく機会を設け、運営ノウハウの共有を図っております。
 また、一部の実施校では、住民の方にも体験教室を支えるボランティアとしてご参加いただけるよう、地元区が実施する人材育成事業と連携をして募集を行っております。
 こうした取り組みなどを広げまして、特別支援学校の体育施設が地域における障害者スポーツの拠点として根づくよう、区市町村等と連携しながら取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、保健事業と介護予防の一体的な取り組みについてでありますが、健康保険法等の改正により、本年四月から、高齢者の心身の状況に応じたきめ細かな支援を行うため、区市町村が後期高齢者医療及び国民健康保険、介護保険の事業を一体的に実施することとなります。
 区市町村は、事業のコーディネートやデータ分析、通いの場等での支援を担う医療専門職を配置することとされており、都は、昨年十二月に、具体的な取り組み方法等について説明会を開催いたしました。
 来年度は、健康長寿医療センターの専門的知見を生かし、区市町村が実施する介護予防活動に低栄養などフレイルを予防する視点を加えるとともに、地域特性に応じた多様な通いの場を普及できるよう、人材育成や相談支援等を実施いたします。
 今後、区市町村の保健事業と介護予防の一体的な取り組みを支援してまいります。
 次に、国保データベースシステムの活用についてでありますが、国民健康保険の被保険者の健康を保持増進し、医療費の適正化を図るためには、区市町村がレセプト、健診データ等を分析し、地域の健康課題を明確にした上で、生活習慣改善指導などの保健事業を効果的に実施していくことが必要でございます。
 都は現在、医療費分析を行っている区市町村への財政支援のほか、関係機関と連携し、国保データベースシステムに基づく健康課題の抽出や分析方法等に関する研修を行っております。
 来年度は、データ分析に基づく事業評価、データヘルス計画の策定、見直しが行えるよう、専門家を区市町村に派遣する予定であり、今後も効果的な保健事業の実施に取り組む区市町村を支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 全国アビリンピックについてですが、二〇二一年に東京で開催する本大会の機会を捉え、障害者の技能の向上を図り、そのすぐれた技能への企業の理解を深め、障害者雇用を促進することが重要でございます。
 このため、都は、大会を契機とした障害者の技能向上に向けて、企業や特別支援学校等において、大会出場を目指す選手の技能実習経費等を助成しておりまして、来年度はその規模を拡充してまいります。
 また、企業の障害者雇用に向けた意欲の向上を図るため、経済団体等と連携し、広く企業に大会のPRを行うとともに、競技出場選手のすぐれた技能をアピールするほか、特別支援学校の生徒による技能の実演を行う場の設置について検討してまいります。
 全国アビリンピックの東京開催に向けて、これらの取り組みを着実に進め、障害者雇用を一層促進してまいります。
〔下水道局長和賀井克夫君登壇〕

○下水道局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、流域下水道の果たしてきた役割と効果についてでございますが、下水道は原則、市町村事務でございますが、多摩地域では効率的な下水道の普及、運営を図るため、都が流域下水道として水再生センター等の基幹施設を整備し、市町村の区域を越えて広域的に下水を処理するという役割を担っております。
 公共下水道を整備する市町村と都が一体的に事業を運営することにより、普及率は流域下水道事業が始まりました昭和四十四年度の二〇%程度から、平成二十二年度には九九%にまで達しております。
 その結果、多摩川で年間一千万尾以上のアユが遡上するなど、多摩地域における水環境は大幅に改善いたしたところでございます。
 また、市町村と連携しました水質調査の共同実施や、市町村職員の人材育成への支援を行うなど、多摩地域全体の下水道サービスの充実にも貢献しております。
 次に、流域下水道の財政基盤の強化に向けたこれまでの取り組みと今後の対応についてでございますが、これまで、下水道の普及による増収効果に加え、省エネ機器の導入や水再生センターの委託内容の見直しによる経費縮減等、可能な限りの経営努力を行ってきました。これにより、市町村の維持管理負担金単価を四十年近くにわたり据え置くことができたところでございます。
 しかし、普及率が九九%に達し、さらなる増収が期待できない中、東日本大震災以降の労務単価や電気料金等の上昇により、厳しい財政状況が続いております。
 今後、施設の老朽化にも適切に対応しながら安定的に事業運営をしていくため、一層の経営努力に努めるとともに、財政負担のあり方につきまして、市町村と情報共有を図りながら検討し、丁寧に協議を重ねてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、石神井川上流部の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るには、護岸や調節池等の整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 現在、都は、坂下橋下流から柳沢橋上流間で護岸整備を実施しており、都立東伏見公園予定地内では、水辺を身近に感じることができる公園と一体となった緩傾斜護岸の整備に向け、用地取得などを行っております。
 さらに、令和二年度には、既存の南町調節池の敷地や青梅街道の地下などを活用した総容量約三十万立方メートルの地下トンネル式の新たな調節池を事業化し、関係機関との協議をさらに進めながら、基本設計を実施いたします。
 水害に強いセーフシティーの実現に向け、石神井川の整備を道、水、緑の連携により推進してまいります。
 次に、西東京市内の都市計画道路についてでございますが、西東京三・四・一一号線は西東京市域を東西に結び、地域交通の円滑化を図るとともに、歩道の整備や無電柱化により、歩行者の安全性の向上に寄与する路線でございます。
 このうち、調布保谷線から主要地方道保谷志木線までの延長八百十メートルの区間は、第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業に位置づけ、都と西東京市が連携協力して整備するものであり、西武池袋線ひばりヶ丘駅へのアクセス性が向上いたします。
 これまで、西東京市が設計や調査、測量等を実施しており、来月には事業認可を取得する予定でございます。
 引き続き、地元市と連携しながら多摩地域の道路整備を推進してまいります。

○議長(石川良一君) 十八番小林健二君
〔十八番小林健二君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十八番(小林健二君) 初めに、文化財保護について質問します。
 東日本大震災では、当時の文化庁長官が文化財保護法制定以来の最大の試練と述べるほど、多くの貴重な文化財が被害に遭いました。
 こうした東日本大震災での文化財の被害を教訓として、私はかつて、自然災害から文化財を守る都の取り組みをただしましたが、昨年四月のフランス・ノートルダム大聖堂の火災、また十月の沖縄県首里城正殿の火災を目の当たりにし、改めて生活の一部ともいうべき文化財を失ったときの人々の悲しみ、文化財を愛する心を再認識させられ、文化財を災害から守る施策の充実の必要性を感じました。
 昭和二十四年一月二十六日に奈良県法隆寺の金堂が火災に遭ったことを受け、この日が文化財防火デーと定められ、昭和三十年に第一回の文化財防火デーをスタートさせてより、本年で六十五年目を迎えました。
 こうした啓発活動が長年にわたって進められる中、多くの文化財が存在する東京において、自然災害、なかんずく火災から文化財を保護する取り組みを一層推進していくべきと考えます。教育長並びに消防総監の見解を求めます。
 今、あらゆる施策展開の中で、持続可能な開発目標、SDGsの視点が求められています。SDGsの目標の一つである住み続けられるまちづくりの中で、具体的なターゲットとして、世界の文化遺産及び自然遺産の保護、保全の努力を強化するとの視点が挙げられております。
 今後、都における文化財の保護、保全を検討していく際は、こうしたSDGsの視点を念頭に置きながら推進していくよう要望いたします。
 次に、資源リサイクルについて二点質問します。
 一点目は、ごみの分別についてです。
 ロンドン五輪は、史上最も持続可能なオリンピック・パラリンピックと評価されておりますが、東京二〇二〇大会は、ロンドン五輪を超える取り組みを推進していかねばなりません。
 大会組織委員会が策定した、持続可能性に配慮した運営計画の中では、大会運営時に発生する廃棄物の再使用、再生利用率の目標を六五%と定めており、この目標を達成するためには、ごみが排出された段階で分別する取り組みの推進が極めて重要であると考えます。
 国内外から注目の集まる東京二〇二〇大会において、都民や事業者、業界団体などの協力を得ながら、世界に誇るべき日本の分別とリサイクルの文化を世界に発信し、持続可能な資源利用の実現につなげていくべきと考えます。知事の所見を求めます。
 二点目は、古紙の集団回収についてです。
 家庭からごみとして排出される古紙や古着、瓶、缶などについては、町会などが中心となって集団回収に取り組み、再資源化が進められてきました。
 しかし昨今、さまざまな理由から古紙の行き場が失われ、あふれ返る状態となり、都内の古紙流通価格は過去最悪ともいうべき下落を見ております。
 こうした中、採算のとれない古紙回収業者が集団回収事業から撤退を余儀なくされる状況にもなり、業界においては、集団回収事業継続の非常事態宣言を発表し、事態の打開に向け奔走されています。
 社会全体でリサイクルを推進する集団回収事業を今後も安定的に継続させていくためにも、都として積極的な支援策を講じるべきと考えます。
 古紙の集団回収に対する都の現状認識と今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、児童虐待防止対策について質問します。
 本年は、世田谷区、江戸川区、荒川区が児童相談所を設置する準備を進めており、児童虐待防止に向けた新たな取り組みが開始されることになります。
 一方、私の地元練馬区では、区で児童相談所を設置するのではなく、区と都が緊密に連携する体制を構築し、一貫した実効性ある児童虐待への対応を目指してきましたが、このほど練馬区は、練馬子供家庭支援センター内に練馬区虐待対応拠点を設置する方針を発表しました。
 これは、練馬区の提案に対し東京都が積極的に応え、区と都の共同モデル事業として新しい児童相談体制を構築していく取り組みと聞いておりますが、都が共同でこの事業に取り組んでいく意義と、その内容について見解を求めます。
 次に、障害者スポーツ振興について質問します。
 パラリンピックの成功なくして五輪の成功はないとは、東京二〇二〇大会の重要なスローガンであります。東京パラリンピックの大成功はもちろんのこと、このパラリンピックを契機として、障害者スポーツが一層注目され、発展する取り組みを今後も推進していかねばなりません。
 私はかねてより、一般質問や予算特別委員会で、障害者スポーツの裾野を広げていくために、障害者アスリートへの情報保障の充実に取り組んでいくべきと訴えてきましたが、この点も引き続き充実に努めるとともに、パラリンピック大会後も障害者スポーツ振興を推進していくために、障害者スポーツ団体に対する支援を一層充実させていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都立学校における高速通信網の整備について質問します。
 私は、昨年の予算特別委員会の質疑の中で、都立高校において民間企業が開発した学習支援クラウドサービスを活用する際に発生する通信について、個人で契約しているデータ使用量が多くなり、通信料の保護者負担が生じている問題を取り上げ、早急に都立高校に無線LANの整備を進めていくべきと質問いたしました。
 その際、当時の教育長より、無線LANの整備を含めた都立高校のICT環境の改善充実に向けた具体的な検討を進めていくとの前向きな答弁があったところであります。
 この答弁の後、昨年十二月に策定された未来の東京戦略ビジョンにおいて、都立学校の普通教室の無線LANの整備率を二〇二二年に一〇〇%を達成していくとの目標が示されました。
 目標達成に向けて着実な推進を図るべきでありますが、二〇二二年に向けた初年度となる令和二年度における都立高校並びに都立特別支援学校への無線LAN整備の取り組みについて見解を求めます。
 次に、災害拠点病院について質問します。
 災害拠点病院の指定要件の一つが事業継続計画、いわゆるBCPの整備であります。都の指定する八十二の災害拠点病院では既にBCPは策定されておりますが、都は来年度、既存の災害拠点病院のBCPの改定、さらにはBCPが策定されていない災害拠点連携病院での策定を支援する予算を盛り込んでおります。
 昨年開催された厚生労働省の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会では、平成三十年度に発生した大阪府北部地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震などの一連の災害において、医療機関における災害時の情報収集とその分析、利用に関する課題が顕在化したとの指摘があり、今後の災害医療体制の方向性について、災害医療情報収集を初め、災害拠点病院のBCPの質についても評価を行うべきではないかとの課題提起がなされております。
 BCP策定を推進することは重要でありますが、こうした指摘も視野に入れ、実効性のある計画を病院が策定できるよう支援に取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、都市計画公園・緑地の整備方針の改定について質問します。
 先般、今後十年間の方向性を示す同整備方針の改定案が策定され、令和十一年度までに優先的に事業を進める予定の重点公園、緑地及び優先整備区域が明らかにされました。
 整備方針改定案では、公園、緑地整備の目標の一つに、災害に強い都市の実現が示され、地元練馬区にある城北中央公園及び石神井公園は、いずれも避難場所に指定されるなど、防災に資する公園、緑地と位置づけられており、整備方針改定案の中では、それぞれ優先整備区域が設定されています。
 こうした方針改定を踏まえ、今後、両公園の防災機能の強化を着実に推進していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、今回の改定案では、平成二十三年の改定時と同様に、大規模敷地であって、今後とも避難場所としての機能を維持していく必要がある練馬城址公園について事業化を図りますと記載されております。
 練馬城址公園が計画されているのは、都市型遊園地としまえんであり、としまえんについては今月上旬、アメリカのエンターテインメント企業がとしまえん内にテーマパークを開園予定との報道がなされ一躍話題となり、今後の公園整備の動向が注目されています。
 練馬区が策定した第二次みどりの風吹くまちビジョンアクションプランでは、練馬城址公園について、整備計画に区の求める水と緑やにぎわい、防災の拠点としての機能が反映されるように、引き続き整備主体である東京都と調整しますとの考え方が示されております。
 また、二月六日に行われた練馬区議会における公明党の質問に対し、区長は、報道されているようなワーナーブラザースによるハリー・ポッターの屋内型施設が防災公園の整備と調和して整備されるとすれば、区として歓迎すべきことと思っていますと答弁しております。
 私は、平成二十八年の一般質問で、練馬城址公園の整備に当たっては、練馬区の意見を丁寧に聞き、十分調整していくことを要望しましたが、こうした状況を踏まえ、都は、練馬区と緊密に、着実に連携を図り、防災公園としての練馬城址公園の整備計画を早急に示していくべきであります。見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小林健二議員の一般質問にお答えいたします。
 持続可能な資源利用の実現についてでございます。
 東京二〇二〇大会を契機としまして、資源の持続可能な消費と生産のモデルを実現し、世界に広げていくこと、それは先進国の主要都市であります東京が果たさなければならない責任でございます。
 大会では、資源の3R、すなわちリデュース、リユース、リサイクルの取り組みを徹底するとともに、物を大切にする心、つまりリスペクトを加えました4Rの取り組みを推進して、資源循環の高度化を図ってまいります。
 具体的には、競技会場におきまして使い捨てプラスチックを徹底的に削減、都民や事業者の協力を得ながら、来場者に向けましてごみの分別を呼びかける分別ナビゲーター活動を行います。
 こうした取り組みを大規模イベント時におけます東京発の資源回収の新たなスタイルとして、幅広い普及を図ってまいります。
 また、廃ペットボトルから新たなペットボトルを再生するボトル・ツー・ボトルの取り組みを推進いたしまして、飲料メーカーやリサイクル関連業界等との連携によって、高度で質の高いリサイクルの潮流を確立してまいります。
 大会を契機といたしまして、日本が誇るもったいない意識や持続可能な資源利用の実現に向けましたノウハウを、大会のレガシーとして国内外に広く発信をしてまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、文化財の防火対策についてでございますが、文化財は、都民はもとより国民共通の貴重な財産であり、適切な防火対策を講じ、後世に継承することが必要でございます。
 都教育委員会は、昨年四月に国が実施をいたしました国宝や国指定重要文化財に対する防火設備等緊急状況調査に合わせまして、独自に都指定文化財を対象とした調査を実施いたしました。
 この調査結果に基づき、文化財の所有者や区市町村に対し指導助言を行うとともに、防火設備を整備する都指定文化財所有者に対して財政的支援を行いました。
 引き続き、所有者や区市町村に対し、国の文化財の防火対策ガイドラインを周知するとともに、東京消防庁とより一層連携をし、防火の取り組みを支援してまいります。
 次に、都立学校の通信環境についてでございますが、都教育委員会は、校内の無線LAN環境等を整備し、生徒が所有するスマートフォン等を活用したBYOD研究校におきまして、一人一人の力を最大限伸ばす学びの充実や、校務の効率化等といった成果を確認したところでございます。
 都立学校における普通教室の無線LAN整備率は、平成三十一年三月時点で約一六%でございまして、BYOD研究校の成果を全都立学校に広げていくためには、通信環境整備の加速が必要でございます。
 そのため、令和二年度に都教育委員会は、都立学校八十校の普通教室、特別教室等に無線LAN環境を整備いたします。
 こうした取り組みによりまして、スマート東京実施戦略が掲げる全ての児童生徒がインターネットにつながる環境の実現を目指してまいります。
〔消防総監安藤俊雄君登壇〕

○消防総監(安藤俊雄君) 文化財の防火安全対策についてでございますが、火災による焼失を防止し、貴重な文化財を次世代に継承することは重要であると認識しております。
 東京消防庁では、毎年一月二十六日の文化財防火デーを中心に、文化財の関係者と連携した自衛消防訓練等を実施するとともに、都民に向けた各種広報を通じて、文化財に対する防火防災意識の高揚を図っております。
 また、首里城の火災を受け、文化財及び大規模木造建築物など計七百二対象に対して、関係者の関心が高まっている火災直後の一カ月間に緊急の防火安全指導を実施し、出火防止対策等の再徹底を図ってまいりました。
 今後も、教育庁を初め関係機関と連携し、文化財の防火安全対策に取り組んでまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 古紙の集団回収についてでございますが、集団回収事業は、地域団体、自治体、資源回収業者の三者が連携し、古紙などを回収、リサイクルする活動であり、地域の資源利用を進める上で重要な取り組みでございます。
 昨今の古紙市況の悪化により、古紙の集団回収から撤退する資源回収業者があらわれ、多くの自治体から資源回収の実施が困難な状況になりつつあるとの声が寄せられております。
 このため、都は現在、区市町村担当者や古紙回収業者へのヒアリングを通じて、古紙回収の現状や市況悪化による影響などの実態調査を行っております。
 今後、この調査結果を踏まえまして、地域における古紙の健全なリサイクルシステムの維持に取り組む区市町村への支援策を検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談に係るモデル事業についてでありますが、子供たちを虐待から守るためには、住民に身近な地域で支援を行う子供家庭支援センターと、専門的知識や技術が必要となるケースに対応する児童相談所が連携、協働していくことが重要でございます。
 来年度、都が練馬区と共同で実施するモデル事業では、区の子供家庭支援センター内に都の児童相談所のサテライトオフィスを設置し、児童相談所職員が虐待相談に対応するとともに、都と区の連携拠点として、合同での調査や個別ケース検討会議などを実施することとしております。
 事業の実施状況等は、全区市町村が参画する合同検討会で共有し、都と区の連携事例として、東京全体の児童相談体制の強化に向けた検討に活用してまいります。
 次に、病院のBCPについてでありますが、病院のBCPが災害発生時に有効に機能するためには、平時からBCPに基づく訓練を繰り返し行い、その検証結果を踏まえ、内容を随時見直すことが必要不可欠でございます。
 都は、ガイドラインに繰り返し点検、見直し等を行うことの重要性を明記するとともに、防災訓練説明会等の機会を活用し、近年の自然災害を踏まえて見直しを行った事例等を紹介し、より実効性のあるBCPの策定を働きかけております。
 来年度は、現在のガイドラインに電力量や備蓄量等の例示など、病院の規模や機能に応じた内容を新たに加えるとともに、アドバイザーを活用し、計画策定に取り組む病院を支援するなど、災害時の効果的な業務継続体制の確保、推進に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 障害者スポーツ競技団体への支援についてでございますが、障害者スポーツの振興のためには、競技の普及とともに、選手育成等の中核を担う競技団体の取り組みの強化が重要でございます。
 そのため、都は、これまで東京二〇二〇大会に向けて、競技団体が行う練習会や合宿など、競技力向上に資する取り組みを支援しており、今後は対象とする競技団体の拡大についても検討してまいります。
 また、来年度は団体のガバナンス強化の観点から、人材確保や資金調達の手法などをテーマにした研修会を新たに実施するとともに、専門家による会計処理や法人格の取得に向けた助言、相談なども実施してまいります。
 こうした取り組みなどを通じまして、障害者スポーツ競技団体の運営基盤を一層強化し、障害者スポーツを大会後も広く普及させ、社会に根づかせてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、城北中央公園及び石神井公園の防災機能の強化についてでございますが、両公園は、震災時の避難場所や救出救助等の活動拠点となる区部西部の重要な公園であり、防災機能の強化のため、公園区域の拡大と防災施設の整備に取り組んでおります。
 公園区域の拡大につきましては、城北中央公園では約七ヘクタール、石神井公園では約四ヘクタールを優先整備区域に位置づけ、来年度は両公園の既取得地の一部で造成、整備に向けた設計を進めてまいります。
 また、照明灯の改修や非常用電源等の防災施設の整備は来年度、城北中央公園では工事完了の予定であり、石神井公園では工事に着手いたします。
 今後とも、地域の防災力の向上に向け、防災公園の整備を積極的に推進してまいります。
 次に、練馬城址公園の整備計画の策定についてでございますが、本公園の計画区域は練馬区の中央部に位置しており、都市計画公園・緑地の整備方針におきましては、首都東京の防災機能の強化を目的に、重点的に整備を進める公園に位置づけ、二十一・九ヘクタールを優先整備区域として設定しております。
 これまで、計画区域の地形や動植物の分布、文化財の状況等の調査分析を進めるとともに、地元の練馬区と、水と緑の拠点づくりに加え、防災の取り組みやにぎわいの創出など、公園の目指すべき姿について意見交換を進めております。
 整備方針の改定案におきましても、引き続き優先整備区域を設定しており、地元区と緊密に連携を図りながら、整備計画の速やかな策定に向け取り組みを進めてまいります。

○副議長(橘正剛君) 二十一番あかねがくぼかよ子さん
〔二十一番あかねがくぼかよ子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○二十一番(あかねがくぼかよ子君) 新型コロナウイルス対策は、流行、蔓延への対処の段階に入っています。院内感染リスクが高まる中、一般の疾病への診療は、通院することなく診察や薬の処方をしてもらいたいと考えています。
 国の基本方針でも、今後、患者が大幅にふえた状況では、継続的な医療、投薬等については、感染防止の観点から、電話による診察等により処方箋を発行するなど、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制をあらかじめ構築するとしています。
 遠隔医療は、医療資源の乏しい地域だけ必要なものではなく、今回のような感染症流行や災害発生直後など有事の際には必要不可欠な社会的インフラです。既に平成三十年度診療報酬改定でオンライン診察料が創設されており、再診については遠隔での診断ができる制度になっています。
 新型コロナウイルスの拡大期に際して、院内感染や医療崩壊を防ぐ上で一定の効果が期待できる遠隔医療の推進について、医師会や病院協会とも連携をとりながら協議を始めるべきと考えますが、見解を伺います。
 世界を見ると、米国に続き欧州でも遠隔医療は成熟をしてきています。シンガポールは、急速な高齢化や医療費増大という社会課題の解決に向け、官民連携でこの分野に取り組んでいます。対して、我が国の遠隔医療は、島しょや僻地など限られたものであり、都心にはほとんど普及していません。
 医療研究としては、アップルウオッチなどのウエアラブル端末を使って血圧や心拍数などの生体情報を取得し、症状や薬の効果などを分析するといった取り組みが日系企業や大学では始まっています。そもそも遠隔医療とは、デジタル技術を使って、ヘルスケア分野と一体的に実現してこそ、医療費削減などの真意を発揮するものです。健康を自己管理できるようになり、予防医療が可能となるからです。
 都として、目前に迫る5G時代にふさわしい都市型の遠隔医療体制を整備していくべく検討を開始すべきと考えますが、見解を伺います。
 ICTの活用が官民問わず重視され、デジタルガバメントの動きが進んでいます。都政においても、大学研究者による事業提案制度で、都民が道路の損傷を見つけた際にアプリを介して行政に通報できる仕組み、マイシティーレポート、いつでも質問できるAIチャットボットや、行政手続ワンスオンリーなど、ICTを活用した事業が幾つも出てきています。しかし、現時点では、このようにテクノロジーを活用したものは広範な東京都の事業全体からすれば限られた分野にとどまります。
 膨大な行政需要を持つ東京都は、最小のコストで最大の成果を上げていくために、積極的にICTを初めとしたテクノロジーを活用していく方向に、より一層かじを切るべきと考えます。さらに他自治体の見本となるような成果を次々と出すことが期待されますが、見解をお伺いします。
 シンガポールでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、約五千億円を超える経済支援パッケージを発表しました。平常時にイノベーションによる成長を掲げ、取り組んできたからこそできる対応です。東京にもイノベーションによる経済成長が重要なことはいうまでもありません。
 前回、私の質問で、第四次産業革命を牽引する企業のエコシステムを構築すべきと提案をいたしました。それに対して知事より、都を中心とした産学官連携のイノベーションエコシステムを構築していくと力強い答弁をいただきました。その後、プロジェクトのキックオフには私も参加をさせていただきましたが、期待感のある取り組みであると実感をしたところです。その後、約一年が経過しました。
 イノベーションエコシステム形成について、今までの成果を伺います。
 激化する都市間競争に打ち勝つためには、エコシステムの中でも東京発のスタートアップ育成には特段の力を注ぐべきと考えます。
 昨年より実施してきたイノベーションエコシステム形成の取り組みと、今回新たに開始をしたスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムは今後どのように関連をしていくのか伺います。
 少子化が想定より早く進展しています。特に東京都の出生率は一・二〇と四十七都道府県でも最低の水準です。その要因は、未婚率上昇と夫婦の出生率の低下という二つの要素に分解されますが、それぞれに対策が必要です。
 出生率の低下は多くの国で共通の課題ですが、フランス、スウェーデン、イギリスは一旦低下した出生率を一・八以上の水準に回復させています。いずれも家族に対する社会的支出がGDP比で約三%を超えており、日本の倍以上の水準であります。フランスは非婚率が日本よりは高いですが、事実婚で出産する方が多く、二十代での出産が多いという点が大きな違いです。また、若い夫婦への助成金と出生率は、統計的に有意な相関があるという研究結果も出ています。
 日本でも未婚率上昇の背景には、価値観の多様化で結婚を望まない人、また、結婚するには経済力に不安がある人がふえているという点も認識すべきです。個人が結婚するかどうか、子供を産むかどうかは自由が保障されるべきと考えます。一方で、子育て家庭を支援するという責任を社会全体で負わなければならないと考えます。
 前回、私の一般質問で要望しました不妊治療助成の対象者の拡大及び妊娠支援ポータルサイトの開設を大変評価しております。その上で、出生率二・〇七を目指すのであれば、今こそ昭和時代につくられた結婚や家族についての固定概念を壊し、令和のスタイルに大きく転換していくべきときではないでしょうか。
 例えば、事実婚でも差別されることなく子供を産めること、二十代の妊娠、出産、育児を手厚く支援すること、また、子育てが落ちつく三十代からでも新入社員として就職ができることなどが考えられます。
 これから子供を持ちたい人がどのような支援を望んでいるのか的確に捉え、新たな政策につなげる視点が必要です。出生率を回復させているフランスの取り組みなど、他国の事例も含めて調査研究をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 妊娠、出産を希望する方と、そのパートナーに必要な正しい情報を提供し、また、多くの方々に妊娠支援ポータルサイトを見てもらうように工夫すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、家事支援を通じて保護者の負担軽減を図ることを目的とし、在宅子育てサポートを平成三十年度から実施しています。補助率十分の十にもかかわらず、実施をしたのは六十二自治体のうち四区市のみであり、せっかくの施策が対象者に届いていない状態で残念です。
 在宅子育てサポート事業について、より多くの自治体が実施できるように、区市町村の意見も聞きながら対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、女性活躍について伺います。
 女性の就労状況に関し、結婚、出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ちついた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブは解消の方向に向かっています。しかし、仕事とプライベートの両立、経済的な自立、DVやセクシュアルハラスメントなど、女性を取り巻く問題はさまざまございます。
 就活生に対するセクハラが社会問題になっていますが、介護の現場でも深刻です。労働組合の調査によりますと、介護職の女性の三人に一人がセクハラを受けたことがあると回答しています。上司に相談をしても、半数は何も変わらなかった、相談もせずに我慢をしているという人もいます。
 厚労省の動きとして、介護現場でのハラスメント対策マニュアルを作成し取り組みを進めていますが、都としてはどのような対策を行っているのか伺います。
 中小企業では、大企業に比べ女性の雇用や働きやすい環境の整備がおくれています。その課題を解決するため、我が会派が要望してきた中小企業向けの融資に女性活躍を促進する特例枠が新設されることを高く評価します。
 育児や介護のために一度離職をした女性に対して、都は再教育、再就職を支援しています。特に再就職に向けた仕事のあっせんにおいては、求職者の希望に合わせて求人開拓を行うというオーダーメード求人を実施しており、利用者からも高い評価を得ています。しかし、充実した再就職支援を都が提供しているということは、まだまだ知られておらず、より多くの対象者に存在を知ってもらう努力が必要です。
 女性一人一人のニーズに合った再就職支援の充実を図るとともに、そのよさを伝えるために、東京動画の活用なども含め、さまざまなPR活動をより積極的に展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 女性活躍といっても一くくりにすることはできません。会社の中で管理職としてキャリアに磨きをかけたい方、子育てをしながら在宅ワークを希望する方、スキルを生かして起業したい方など、さまざまなニーズに応えていくことが重要です。
 東京に暮らす女性の多様な働き方と生き方の実現に向け、都はさまざまなロールモデルを示しつつ、一人一人のニーズに合った支援を展開していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えいたします。
 長期戦略における少子化対策についてでございます。
 将来への不安や子育てに対する負担感などを背景として、結婚や子供を持つことに踏み切れない人がふえております。未婚化、晩婚化が進んで、東京の合計特殊出生率は一・二にとどまっており、出生数も低下をいたしております。
 次世代に幸せと希望に満ちた社会を引き継ぐため、少子化の問題に正面から取り組んで、人口減少の流れを食いとめる。未来の東京戦略ビジョンにおきまして、二〇四〇年代の姿として示した出生率二・〇七は、都としての強い決意をあらわすものでございます。
 その実現に向けまして、子供の笑顔のための戦略を掲げて、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援を行う出産、子育て全力応援プロジェクト、社会のマインドチェンジを促すチーム二・〇七プロジェクト、男性、女性双方の仕事と家庭の両立を実現する家事、育児負担軽減プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトを推進してまいります。
 今後、フランスやスウェーデンなど、出生率を回復させた海外の事例もご紹介いただいたように、子供や子育てに関する幅広い調査を行ってまいります。また、組織横断のチームを立ち上げまして、出生率の向上に向けた総合的な対策を全庁挙げて強力に推進をしてまいります。
 ビジョンは描いて終わりではありません。実行してこそ意味がございます。都民ファーストの視点に立って、これまでにない大胆な政策を展開して、誰もが将来に夢と希望を持って、楽しく生き生きと暮らせる東京を実現してまいります。
 次に、女性活躍の推進に向けた支援についてのお尋ねがございました。
 人の持つ活力こそが、未来を切り開き、持続可能な新しい東京をつくり上げていく源でございます。東京のさらなる発展には、まだ十分生かし切れていない女性の力を最大限に引き出していくことが欠かせません。
 今後、女性の活躍を推進していくには、女性が個性や能力を発揮できる仕事を選んで、育児、介護との両立など、ライフステージに応じた多様な働き方ができるように支援を行うとともに、経営のマネジメントを担える女性人材の育成を図ることが重要でございます。
 このため、東京都は来年度、女性が個々の実情に応じた働き方を選択できますように、仕事の発見をテーマとした新たなイベントを開催いたします。このイベントにおきましては、みずからの個性やスキルを生かせる仕事の紹介とともに、女性の視点や感性を生かした創業や、在宅ワークなども含めました多様な働き方を紹介してまいります。
 また、企業経営を担います女性管理職を育成するために、キャリア形式やスキルアップを図る新たな人材育成プログラムを実施いたします。さらに、このプログラムの修了生によりますネットワークを構築いたしまして、さまざまな業界でリーダーとして活躍する姿をSNS等で広く発信していくことなどによって、管理職を目指す女性を数多く生み出してまいります。
 こうした取り組みにより、女性の活躍を一層推進して、女性が生き生きと輝く東京を実現してまいります。
 残余のご質問は関係局長からのご答弁といたします。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、遠隔医療についてでございますが、遠隔医療の一つであるオンライン診療は、医師と患者との間でテレビ電話等の情報通信機器を通して診療行為を行うものであり、患者が医療機関へ行かなくても自宅などで診療を受けることができるため、医療機関での感染リスクを抑える効果が期待できます。
 このため、都は、国に対し、新型コロナウイルス感染症への対応として、オンライン診療が可能となるよう、速やかに検討することを緊急要望いたしました。
 今後、国が定めた新型コロナウイルス感染症対策の基本方針も踏まえ、医師会等とも連携し、感染防止の観点から、医療機関に行かなくてもよい体制づくりに取り組んでまいります。
 次に、都市型の遠隔医療についてでありますが、遠隔医療は、限られた医療資源を有効に活用し、患者に質の高い医療を提供するための重要な手段であり、患者の利便性の向上にもつながります。
 国は、高精細映像等のやりとりが高速で可能となる5Gを活用し、診療所医師が総合病院の専門医の助言を得て実施する訪問診療や、救急搬送中に患者の映像、検査データ等を救急車と病院が共有する救急医療に関する実証実験を実施しているところでございます。
 こうした実証実験の成果も参考にしながら、都における遠隔医療についても検討してまいります。
 次に、妊娠支援ポータルサイトについてでありますが、都は先月、妊娠に関する基礎知識や不妊検査、不妊治療、不育症に関する情報等を一元化し発信するポータルサイトを新たに開設いたしました。
 開設に当たっては、不妊の方をサポートする民間団体の協力や専門医の監修を得ており、妊娠、出産を希望する方に寄り添い、正しい知識が伝わるよう、掲載する情報の内容や表現に配慮いたしました。
 また、このサイトを、より多くの方に親しみやすいものとするため、コウノトリなどのキャラクターを設定するとともに、体験談や悩み相談などを順次公開し、繰り返しアクセスいただけるよう工夫いたしました。
 さらに、周知に向けて、不妊治療を経験した著名人の協力を得ており、引き続き、妊娠、出産等に関する普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、在宅子育てサポート事業についてでありますが、都は、育児負担の大きい一歳未満の子供を在宅で育てる保護者の負担を軽減するため、昨年度、区市町村を通じて家事支援サービスの利用を支援する在宅子育てサポート事業を立ち上げ、担当者向けの説明会や訪問による個別説明などにより、区市町村の取り組みを促しております。
 今年度は、区市町村の意見も踏まえ、保育サービスを利用したことがある家庭についても、利用していない期間は事業対象とするとともに、子供の年齢要件を三歳未満に引き上げるなど、より実施しやすい制度に改めたところでございます。
 来年度からは、今年度までとしていた事業終期を令和六年度までに延長するとともに、効果的な取り組み事例を紹介するなど、区市町村に対し、本事業の活用を積極的に働きかけてまいります。
 最後に、介護現場におけるハラスメント対策についてでございますが、平成三十年度の国の調査研究事業では、訪問介護員の五割、特別養護老人ホームの介護職員の七割が利用者からハラスメントを受けた経験があるとの実態等を踏まえ、職員への影響、介護事業者が取り組むべき対策などを示したマニュアルが作成されたところでございます。
 都は今年度、介護事業者が利用者等からのハラスメント対策に取り組めるよう、このマニュアルの内容や介護職員のための相談窓口を掲載したリーフレットを新たに作成するとともに、対策を進める上での法的な留意点についての講義や報告体制の整備など、実践的な取り組みを行っている事業所の事例発表を行う説明会を開催いたしました。
 来年度も、こうした取り組みにより、職員が安心して働ける環境の整備に取り組む事業者を支援してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 三点のご質問がございました。
 ICTなどのテクノロジーの活用についてでございますが、都民サービスの向上のためには、ICTなど最新のテクノロジーを活用した効果的な施策展開が重要でございます。
 これまで都は、情報をよりわかりやすく都民に提供していくためのダッシュボードの構築、あるいは民間事業者に対してICTを活用した実証実験の場の提供など、デジタル化に向けた取り組みを進めてきたところでございます。
 来年度は、都民の利便性の一層の向上に向けまして、問い合わせ内容に応じ、各局のチャットボットに接続する都庁の総合窓口となるAIチャットボットを構築してまいります。
 昨年末に公表いたしました未来の東京戦略ビジョン、あるいは新たな都政改革ビジョンにおきましても、先端技術の積極的な活用をうたっておりまして、今後とも、幅広い分野で最先端テクノロジーを活用する施策を積極的に展開してまいります。
 次に、エコシステム形成の成果についてでございますが、東京の強みである人、物、金、情報の集積を生かしまして、世界の都市間競争に打ち勝つためには、エコシステムの形成を進め、魅力的なビジネス環境を構築することが重要であると認識しております。
 都では今年度、地域の自律的なエコシステム形成を促進する観点から、三地区、大手町、丸の内、有楽町地区、渋谷地区、虎ノ門、赤坂、六本木地区など、イノベーション創出に資する取り組みを行いますエリアを認定いたしまして、各プレーヤーが連携して取り組むプロジェクトの支援を実施しているところでございます。
 各認定エリアにおきましては、センサーやアプリ等、複数の解析手法を活用した、いわゆる人流調査が行われるなど、それぞれの地域特性を生かしまして、都の社会的課題解決に資する具体的な実証実験等の取り組みが展開されているところでございます。
 最後に、東京コンソーシアムとの今後の連携についてでございますが、東京の稼ぐ力を高め、持続的成長を生み続けるためには、イノベーション創出の源泉であり、大学、企業等の研究成果を社会実装につなげるスタートアップに着目したエコシステムの形成が求められているところでございます。
 本年一月に設立いたしましたスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムは、都が形成を支援してきた各エリアの取り組みに、さらに大学の参画やテーマ別連携の視点を付加し、広域でのエコシステム形成を目指すものでございます。
 本コンソーシアムが、とがった技術を持った人材、企業、資金が集まり、化学反応が生じるようなプラットホームとなり、それがさらに人材や企業を引きつけ、そこで育ったスタートアップが海外でも大きく活躍する。こうした好循環を産学官一体となって実現させてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 女性の再就職支援についてですが、女性活躍のさらなる推進を図るためには、家事や育児と仕事の両立など、個々の実情に応じたきめ細かな就労支援を行うとともに、再就職を目指す女性を掘り起こし、都の支援につなげていくことが重要でございます。
 このため、都は、就業相談や個々のニーズに応じた求人紹介に加えて、スキルアップ講座やインターンシップなど、再就職への意欲を高めるプログラムを行っており、来年度は、本プログラムの受講人数の規模を拡充して実施いたします。
 また、こうした都の支援を再就職を検討しているより多くの女性が利用できるよう、事業内容をわかりやすく紹介する動画やSNSにより発信していくなど、PRを強化いたします。
 これらの取り組みにより、女性の再就職を力強く後押ししてまいります。

○議長(石川良一君) 二十番龍円あいりさん
〔二十番龍円あいり君登壇〕

○二十番(龍円あいり君) 私の最大の目標は、インクルーシブな社会を実現することです。インクルーシブは、包摂と訳されて、日本語で聞いてもわかりにくいんですが、大胆な意訳をすれば、仲間ということになると思います。
 仲間になれる社会を実現するに当たり、スペシャルニーズ、障害のある人たちを社会参画させてあげるというふうに、もともとは分断されているところから手を差し伸べることがその道だと語られがちなんですけれども、それでは本当の仲間にはなりにくいと思います。
 本当の仲間になるためには、子供時代からいつも一緒にいることで、違いを普通のこととして捉え、無理せず、自然に仲間になる心と方法を知っている大人が社会にふえていくことから始まると思います。インクルーシブ社会は子供時代から始まります。
 子供にとって最大の学びは遊びの中にあります。おととしの一般質問の中で、スペシャルニーズのある子とない子が一緒に安心して楽しく遊ぶことができるインクルーシブ公園を提案し、都は現在、砧公園と府中の森公園で取り組みを進めています。
 先日、砧公園に行くと工事中で、すてきな看板がありました。個性が尊重される多様性社会へと向かう今だからこそ、子供のときに多様性をポジティブに捉える体験が大切、この場所が多様性を身近に感じる新しい価値観との出会いになると書いてありました。ここがインクルーシブな地域コミュニティを形成する場所になってほしいと思います。
 そこで伺います。
 都立砧公園では、具体的にどのような工夫がされた遊具が設置され、整備されているのでしょうか。あわせて、今後は、インクルーシブなコミュニティ形成のために、どのように取り組んでいくのでしょうか。
 また、東京都は、砧、府中の森の二公園で終わりにせず、いろいろな機会を捉えて、引き続きインクルーシブ公園の整備を進めていただきたいと思いますが、都知事の見解を伺います。
 インクルーシブ社会の観点から見ると、身近な公園で地域の子供と遊ぶことが重要です。
 都は、区市町村もインクルーシブ公園を整備できるよう、今年度からノウハウの共有をし始めていて、それを受けて渋谷区と豊島区が来年度の整備を発表しています。ただ、インクルーシブ公園の整備は通常より予算がかかることから、補助金の創設を求める声やガイドラインがあると整備しやすい旨の要望をいただいています。
 そこで、区市町村の管理する公園での取り組みを加速させるために、来年度はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 そして、子供時代に最も大きな影響を受けるのは学校生活です。世界の潮流はインクルーシブ教育にあり、障害者権利条約を読み解くと、目標とするのはフルインクルージョンであり、その環境下において個別化された支援を提供することこそが、学びと社会性を最大限に伸ばすと示されております。
 今月十三日に都知事が招集した総合教育会議では、共生社会の実現を目指した学校におけるインクルージョンがテーマでした。スペシャルニーズ当事者である玉木幸則さんからは、社会生活は生まれた瞬間から始まっていて、五歳なり十歳なりの社会生活経験が必要、ほかの子たちから切り離された閉鎖された環境で社会生活は送れない、学校を卒業してから一から社会生活を始めるというのは手おくれだと、子供時代からともに学び育つことの重要さの訴えがありました。
 都知事は、インクルーシブシティー東京の実現には、教育の力は極めて大きいというふうに力強い発言をしてくださっております。
 未来の東京戦略ビジョンに掲げたインクルーシブシティー東京を実現するための教育のあり方について、都知事の見解を伺います。
 総合教育会議では、藤田教育長からも、これがキックオフとの発言があり、今後に期待しております。
 小中学校においてインクルーシブ教育を進めるに当たっては、区市町村との連携が重要ですが、都教育委員会は、令和二年度はどのような取り組みを行うのか、具体的に伺います。
 また、義務教育終了後も、インクルーシブな環境において学びを続けられることが重要です。現在、都立高校にもスペシャルニーズのある生徒が在籍しているとは聞いておりますが、どのような対応をしており、今後はどのように取り組むのか伺います。
 将来、東京にインクルーシブ教育が根づいて、違いを当たり前のことのように力に変えちゃう次の世代が育ってほしいと願ってやみません。引き続き、取り組みを進めていただけますようお願いいたします。
 さて、スペシャルニーズのある子供の親は、母子手帳で傷つくことがよくあります。成長曲線のはるか下に落ち込んでしまったりとか、首は据わったかなど、発達チェック項目のほぼ全てに、できない、できないというふうに答えることになるからです。親からすれば、小さな成長であっても祝福してあげたいのに、母子手帳からは異常ですよと事実を突きつけられます。
 公益財団法人日本ダウン症協会では、このような母子手帳のかわりに使える子育て手帳、しあわせのたねをつくっています。成長を記念日として記入したり、また、役立つ情報が書かれていたり、将来への見通しが持てて明るい気持ちになるような工夫がされています。不安でいっぱいの親の手元に、このぬくもりのある手帳が届くと、前を向いて頑張るきっかけになります。
 そこで、都立病院で出産し、不安になっている保護者らに、こちらの子育て手帳、しあわせのたねを手渡すなどして支援をしてもらいたいと思いますが、病院経営本部の見解を伺います。
 福祉保健局では、母子手帳を都独自に充実させた子供手帳モデルを作成していますが、どのようにスペシャルニーズに対応しており、どれくらいの区市町村で活用されているのでしょうか。また、今後、さらにいろいろなニーズに応えられるようにするべきだと考えますが、見解を伺います。
 そして、こちらのダウン症児向けの子育て手帳、しあわせのたねについても区市町村に周知していただきたいと思いますが、あわせて見解を伺います。
 今後、スペシャルニーズのある子でも使いやすいような母子手帳、または成長手帳を開発するなどして、全ての子供の誕生と成長が祝福されていると感じることができる取り組みを進めていただけますよう、要望させていただきます。
 さて、いよいよ東京二〇二〇大会の開会まであと半年となり、スペシャルニーズのある子供たちも観戦を楽しみにしております。しかし、特別支援学校に在籍するお子さんの中には、医療的なケアがあるなどの状況や体調によって、会場では観戦できないこともあると思います。
 都教育委員会では、訪問教育の生徒が分身ロボット、OriHimeを使って、自宅にいながら、クラスの活動等に参加できるという取り組みをしております。観戦においても、会場に行けなくとも、最新のバーチャル技術を活用した映像などで、臨場感を体感しながら観戦できるような工夫をしていただきたいと思います。
 都教育委員会では、特別支援学校に在籍する子供たちの観戦について、どのように取り組むのか伺います。
 話は変わりますが、この大会は、どれだけLGBTフレンドリーな大会になることだろうと、世界中の当事者が注目しています。都は、性自認及び性的指向による差別を禁止する条例を施行し、基本計画も策定しました。
 大会期間中、LGBTを初めとする性的マイノリティーの方など、さまざまな方が安心して観戦できる配慮をする必要があると考えますが、都の具体的な取り組みについて伺います。
 なお、プライドハウス東京は、組織委員会の東京二〇二〇公認プログラムに間もなく認証される見込みです。東京都としても、連携し、情報発信や啓発活動につなげていただけますよう要望させていただきます。
 私の地元の代々木公園には、大会期間中、最大規模のライブサイトが設置されて、毎日三万五千人が訪れる見込みです。地域住民からは、楽しみな反面、不安の声も聞かれています。
 多くの人が訪れる桜の季節の公園内は、至るところにうずたかくごみが積み上がっている風景が毎年見られます。基本的には、サイト内でごみを回収するということですが、訪れる人たちがサイトの外の公園内で飲食することも予想され、桜の時期のようなごみが期間中、発生するのではないかと懸念されています。
 また、公園内は渋谷区のたばこに関する条例で禁煙になっていますが、知らずに喫煙する方もいそうです。公園に子供と遊びに来る保育者らから、吸い殻や、そして煙を心配する声をいただいております。
 ライブサイト設置期間中、代々木公園でのごみ及びたばこ対策について、通常以上に丁寧な対応をするべきだと思いますが、見解を伺います。
 また、公園内の売店は現在も現金のみの対応なんですけれども、ぜひ大会に向けてはキャッシュレス対応が望まれます。都立公園におけるキャッシュレス化の取り組みについて伺います。
 大会期間中も公園が快適な空間として利用できるよう、オリ・パラ準備局と建設局とで連携して取り組んでいただけますようお願いいたします。
 続いて、親子の安全な移動についてです。
 去年の七月に都営地下鉄大江戸線にきかんしゃトーマスが装飾された子育て応援スペースが登場すると、メディアで紹介されたり、SNSで話題になるなど反響がありました。私も息子と一緒に乗りましたが、目が輝いて、笑顔のひとときになりました。
 都は、反響を受けて、二月一日から子育て応援スペースを設置した車両を三編成から七編成にふやしましたが、これまでに寄せられた意見がどのように反映されているのか、また、この取り組みを広げていくために、都営地下鉄線が乗り入れしているほかの鉄道会社とのコミュニケーションをとり、理解を促進するとともに、東京全域で親子が安心して移動できる支援の輪を広げてほしいと思いますが、見解を伺います。
 地元の話題が続きますが、渋谷区では、笹塚、幡ヶ谷、初台の頭文字をとったササハタハツプロジェクトが二年前に始まりまして、行政と地域住民らがまちづくりワークショップを行ってきました。そこで繰り返し要望されているのが、このササハタハツをつなぐ水道道路沿道におよそ一・五キロにわたって連なる都営住宅の一階部分の空洞のピロティーをコミュニティスペースとして利用したいということです。
 現在は居住者の自転車が置いてあるだけで、基本的には利用されておりません。そして、居住者は高齢化も進み、見守りのニーズも高まっています。
 一方、周辺は商店街があり、ファミリー世代も多い地域ですので、ピロティーで居住者と地域の住民のつながりが生まれることは、双方にとっていい効果があるはずです。
 都営住宅の居住者と近隣の人が交流する場所として、地域住民が都営住宅のピロティーなどのスペースを使えるようにすることが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 都が今後整備する都民の城について伺います。
 青山劇場と円形劇場は、東洋一ともいわれる舞台機構で、演劇界の歴史をつくり、愛されてきた場所です。四十億円以上かかるため、舞台機構は復元されないことが発表されましたが、この劇場の魂、スピリットを後世に残すことは重要だと思います。改修後の名前に劇場の二文字を残すとか、こけら落としは演劇からスタートするなどして、スピリットをレガシーとしてほしいと思います。
 都は、青山劇場と円形劇場がこれまで果たしてきた役割や意義を将来へどのようにつないでいくのか伺います。
 改修基本計画では、子供の機能を大切にし、遊びや学びのスペースができることも盛り込まれました。
 改修する際は、インクルーシブ公園と同様に、スペシャルニーズのある子とない子たちがともに利用できるよう、インクルーシブな視点を大切にしていただきたいと思いますが、見解を伺います。
 最後に、都民の城の裏の青山病院跡地については、都民の城の改修を待たずに、速やかに活用することを要望させていただきます。
 インクルーシブな社会の実現に向けてキックオフしてくださった都知事を初めとする東京都の皆さんに感謝を申し上げ、質疑を終えます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 龍円あいり議員の一般質問にお答えいたします。
 インクルーシブ公園の整備についてのご質問でございます。
 誰もが自分らしく輝くことができるダイバーシティーの実現に向けまして、障害の有無や年齢、性別、国籍にかかわらず、全ての人が楽しむことができますように、インクルーシブな公園を整備することは重要であります。
 このため、全ての子供たちが安全に楽しむことができる遊び場の整備を進めておりまして、来月にはその第一号、砧公園の遊具広場がいよいよ完成をいたします。
 今後さらに、他の都立公園におきましても、遊具の大規模な更新などの機会を捉えて、こうした遊び場を整備してまいります。
 さらに、トイレの洋式化、サインの多言語化を進めるとともに、多様な人々が楽しめるスポーツなど交流の機会を提供して、ハードとソフトの両面におきまして、さまざまな工夫を図ることで、インクルーシブな公園づくりを進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、多様な人々がともに支え合うインクルーシブシティー東京を実現してまいります。
 次に、インクルーシブシティー東京を実現するための教育のあり方についてでございます。
 東京で暮らす誰もがともに支え合う社会の実現に当たりましては、学校や地域などのさまざまな場面において、人々がともに活動する機会を充実させていくことが重要であります。
 先日、視察をいたしました都立の特別支援学校におきましては、障害のある子供たちが地域の小学生と一緒にボッチャを楽しんだり、保育所や公園の花壇を手入れするなどの活動を行っておりました。
 こうした同世代の子供同士の触れ合いや活動を初め、学校や地域社会の中において、子供たちが分け隔てなく交流し、お互いを認め合う取り組みが必要でございます。
 今後、このような場を数多く設けることによって、多様な人々が互いに尊重し合い共生する意識を高めていく教育を推進、インクルーシブシティー東京の実現を図ってまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、インクルーシブシティー東京の実現に向けた具体的取り組みについてでございますが、共生社会の実現のためには、障害の有無にかかわらず、個々の教育的ニーズに的確に応える多様な学びの場を創出するとともに、互いの違いを認め合い、相互理解を深める教育が重要でございます。
 そこで、都教育委員会は、地域の公立小中学校の取り組みを促進するため、令和二年度から、複数の自治体の協力を得て、学校内での特別支援学級と通常の学級の交流及び共同学習等の実践的研究に取り組んでまいります。
 あわせて、区市町村教育委員会等関係機関との協議会を立ち上げ、区市町村への支援のあり方について検討し、公立小中学校における教育の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における障害のある生徒への対応についてでございますが、学校は、入学した障害のある生徒が豊かで充実した学校生活を送れるよう、一人一人に応じた学習環境を整備することが必要でございます。
 現在、都立高校においては、生徒の障害の程度や状態に応じて、施設のバリアフリー化やICT機器等の整備を行うとともに、生徒の障害に起因する学校生活の困難さを補うため、非常勤の介護職員を配置しているところでございます。
 さらに、来年度からは、非常勤看護師の配置などを行い、安全確保を第一としながら、都立高校での医療的ケアを実施してまいります。
 都教育委員会は、今後とも都立高校における障害のある生徒への支援の充実に努めてまいります。
 最後に、特別支援学校に在籍する子供の競技観戦についてでございますが、東京二〇二〇大会は、子供にかけがえのない心のレガシーを残していくための貴重な機会でございまして、多くの子供たちが観戦することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、特別支援学校の子供たちにパラリンピック競技を直接観戦する機会を設けているところでございます。このことを通じて、子供たちが選手の活躍する姿から夢に向かって努力することの大切さに気づき、スポーツへの興味、関心を高めてまいります。
 また、直接観戦することが困難な子供たちには、先端技術を活用して、大会をリアルに楽しめる観戦の機会を提供できるよう検討しているところでございます。
 今後、直接観戦することが困難な子供も含め、全ての子供たちにとって、競技観戦を通して得た感動が人生の糧となるよう取り組みを一層推進してまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立砧公園の整備内容や今後の取り組みについてでございますが、障害の有無や年齢、性別、国籍にかかわらず、全ての人が楽しむことのできる、いわゆるインクルーシブな公園づくりは重要でございます。
 体を支える力の弱い子が揺れる感覚を楽しめる遊具、車椅子で乗り込める遊具、音の出る遊具等、子供がその特性に応じて楽しめる遊具の設置を進めております。
 また、人混みで落ちつきを保つことの苦手な子が静かに過ごすことのできるシェルターや、急な飛び出しをしないための柵を整備しております。
 今後、指定管理者とも連携し、公園を訪れる人々に、障害の有無にかかわらず楽しむことができる遊びやスポーツなどを紹介するとともに、誰もが参加可能なイベントを定期的に開催することで、来園者間の交流を深めてまいります。
 次に、区市町村が管理する公園での取り組みについてでございますが、都立公園のみならず、身近な公園である区市町村が管理する公園で、全ての子供たちが安心して遊ぶことのできる遊び場の整備を推進していくことは重要でございます。
 今年度は、ガイドラインの作成に向けて、都及び区市町村職員向けの研修を実施し、遊具を選定する際の留意点や海外の先進事例などの情報を共有してまいりました。
 引き続き、令和二年度は区市町村と連携し、遊び場の設計に役立つガイドラインを作成いたします。
 あわせて、こうした遊具等の整備に対する補助制度の創設につきましても検討を進めてまいります。
 次に、ライブサイト期間中の代々木公園でのごみ及び喫煙対策についてでございますが、都立公園のイベント開催時は多くの来園者が見込まれるため、イベント主催者が十分にごみや喫煙対策を行うこととし、必要な場合には、公園管理者としても清掃などを強化し、園内美化に取り組んでおります。
 ライブサイト会場となる代々木公園では、会場内にごみステーションを設置し、確実にごみを回収いたします。
 また、会場周辺でも、ごみ投棄や喫煙を防止するため、イベント主催者と公園管理者が連携し、巡回や声かけ、清掃活動を適切に行います。禁煙などのルールにつきましても、外国人にもわかりやすいサインを表示するなど工夫を行います。
 おもてなしの場となる都立公園が快適な環境となるよう、引き続き関係局と連携して取り組んでまいります。
 最後に、都立公園におけるキャッシュレス化についてでございますが、公園利用者へのサービス向上のために、園内施設のキャッシュレス化を推進することは重要でございます。
 現在、動物園等の入場料につきましては、クレジットカードや電子マネーによる支払いが可能であり、令和二年度にはQRコード決済の導入など、キャッシュレス化のさらなる拡充に取り組みます。
 また、都立公園内の駐車場や売店におきましても、キャッシュレス化に順次取り組んでおり、七つの公園の駐車場では昨年十二月に先行導入し、他の駐車場にも今後拡大してまいります。代々木公園の売店では、本年三月からクレジットカードや電子マネーの利用が可能となる予定でございます。
 今後とも、キャッシュレス化の拡充に取り組み、都立公園における一層の利用者サービス向上を推進してまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) ダウン症の子供の保護者に対する支援についてでございますが、現在、都立病院では、例えば小児総合医療センターにおきまして、医師及び看護師等で構成するチームが、ダウン症に関連する疾患とその治療方法、言葉の発達を促すための日常生活での接し方等について助言をするなど、育児に不安を持つ保護者への支援を行っております。
 お話の日本ダウン症協会の子育て手帳でございますが、ダウン症の子供を持つ保護者のメッセージを掲載するとともに、子供の発育に合わせて成長を記録できるなど、保護者の気持ちに寄り添う工夫が施されていると認識しております。
 今後は、産科、または周産期母子医療センターのある都立病院におきまして、医療的な支援に加えて、経験者の声を集めて作成された子育て手帳を保護者の方々に提供し、一層安心して育児に取り組めるよう、支援の充実を図ってまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 子供手帳モデルに関するご質問にお答えいたします。
 都は、平成二十九年度に母子健康手帳をもとに、低出生体重児等に対応する発育曲線や、寝返りやつかまり立ちをした時期などの成長の記録欄等を盛り込んだ独自の子供手帳モデルを作成いたしました。
 このモデルを活用して、母子健康手帳やアプリ、冊子等を作成する区市町村を包括補助で支援しており、これまで十区市が活用しております。
 お話の子育て手帳は、ダウン症の子供の特性や先輩ママの体験談、通園、通学の記録欄等を盛り込むなど、保護者に寄り添った内容となっており、今後、母子保健事業担当者連絡会等を通じて区市町村に情報提供してまいります。
 また、現在のモデルをさまざまなニーズのある子供に一層対応できるよう、この手帳も参考に内容の充実を検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) LGBT等の社会的少数者への配慮についてでございますが、東京二〇二〇大会では、多様性と調和を大会ビジョンの基本コンセプトとして掲げ、性的指向を初めとするさまざまな違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合う共生社会を育む大会を目指しております。
 都としては、新設する競技会場において、共用スペースに異性介助などのための男女共用トイレを整備するなど、さまざまな方に使いやすい施設となるよう配慮をいたしております。
 また、観客をご案内するシティキャストの研修においては、多様な性のあり方や何げない言葉遣いに注意することの重要性について、参加者に理解を深めていただいているところでございます。
 引き続き、組織委員会とも連携し、多様性が尊重され、開かれた大会の実現に向け準備を進めてまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 子育て応援スペースについてでございますが、都営地下鉄では、昨年七月から大江戸線三編成で、子育て応援スペースを設置した車両の運行を開始いたしました。
 運行開始後、子育て世代としては本当にありがたいといった感謝や賛同などの好意的なご意見とともに、運行本数の拡大とわかりやすい運行時刻への要望が多く寄せられました。
 そこで、二月一日より、設置車両を七編成に拡大いたしまして、一部の列車を毎日同じ時刻で運行するなど、お客様の利便性を高めました。
 来年度は、今後の子育て支援の取り組みに生かしていくため、幅広い方々を対象に調査を行うとともに、これらの調査結果をもとに、乗り入れしている他の鉄道会社との協議を進めてまいります。子育てをする方々が、公共交通機関を利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅のピロティーなどの活用についてでございますが、居住者の高齢化や単身化が進む都営住宅において、集会所や敷地等を交流スペースとして活用し、居住者と地域住民との交流促進を図ることは、コミュニティの活性化や緩やかな見守りの実現につなげる上で重要でございます。
 都営住宅の建物や敷地は、公営住宅の用途に使用する行政財産でございますが、住宅を管理する上で支障がなく、国または地方公共団体が公用または公共用に使う場合には、使用許可することができます。
 このため、ピロティーなどのスペースについて、お話の水道道路沿いの都営住宅を含め、地元区市等からの地域交流やコミュニティ形成の場としてのニーズに対しましては、可能な限り協力をしてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 仮称都民の城につきまして、二点のご質問をいただきました。
 まず、多目的ホールについてでございますが、多目的ホールは、かつての劇場と比べれば、機能面で一定の制約はあるものの、演劇などの芸術文化活動としましての利用も十分に可能でありまして、加えて講演会、発表会など、都民の皆様にとりまして、身近な幅広い利用に応えることができることから、より多くの方々に親しまれるものになっていくと考えております。
 また、将来的には、一体となった都有地を長期的に活用していくため、地元、まちづくりの専門家、文化関係者などを含めました有識者検討会を設置し、その活用案を検討していくこととしております。
 あらゆる視点から議論を重ねまして、都民にとってその価値を最大化できるよう、議員お話しのような、この地で培われてきた歴史的、文化的価値も踏まえて検討を進めていきたいと考えております。
 次いで、インクルーシブな視点についてでございますが、都民の城は、遊び、学び、仕事を通じて、子供を初めとした都民が交流し、成長できる場をコンセプトにしておりまして、このコンセプトに沿って、さまざまな機能を連携させ、誰もが利用でき、訪れた方々が交流し、成長することのできる施設にしていくことを目指しております。
 今後、改修工事を進めていく中では、施設全体のバリアフリー対策を着実に進めることとしております。
 あわせまして、各施設における具体的な事業内容につきましても検討を本格化させていくこととしており、そうした検討の中で、お話のインクルーシブの観点も含めまして、利用者の視点に立って、誰にとっても利用しやすい施設としてまいります。アドバイザーの知見も賜りつつ、庁内検討組織におきまして具体的な検討を進めてまいります。

○議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後六時開議

○副議長(橘正剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十四番藤井とものり君
〔十四番藤井とものり君登壇〕

○十四番(藤井とものり君) 質問に先立ち、一言申し上げます。
 昨日、政府による突然の全国一斉休校の要請を受けて、自治体においても必要な対応を迫られています。要請の期間が長期にわたることから、社会機能維持のためにも出勤を停止できない保護者が多数存在します。また、非正規労働者など出勤停止が生活に直結する方への休業補償も必要となります。
 住民に身近な自治体として感染防止に全力を挙げるとともに、医療、福祉を初めとする都民生活に必要な社会機能の維持、何よりもそれに携わる方の安全確保に万全を期す必要があります。
 このような認識のもと、私ども都議会立憲民主党・民主クラブは、本日の本会議が始まる前に、小池知事宛てに六項目から成る緊急要望を行いました。知事におかれましては、改めて積極的な対応を求めておきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、都市内分権、都から特別区への分権についてお伺いいたします。
 先月、都と特別区の財政調整が行われた結果、区側の財源配分がわずか〇・一%ふえるという実に不可解な決着となりましたが、平成十二年度の都区制度改革以来、都から区への事務移管はほとんど進んでおりません。現状において、都政と区政の間には明確な役割分担は見えてきません。
 都は、上下水道、交通、消防などの大都市政策に特化し、教育、子育て、福祉などの揺りかごから墓場までの基礎的な行政は、特別区に移管することが重要であります。分権の徹底は、肥大化した都庁を整理し、大都市経営を専門に担う小さくて賢い政策都庁をつくります。
 そこで、知事に伺いますが、この二十年近く、特別区への事務移管がほぼ進捗していない現状をどのように認識をされているのか、また、今後どのように対応されるおつもりなのか、答弁を求めます。
 また、都区協議の際、都は、特別区間の地域再編が進んでいないことを理由に挙げ、区側の主張を退けてきましたが、それではいつまでたっても分権が進むはずはありません。まず権限と財源を区に移管することが、さらなる分権につながると考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、事務移管に関連し、三つの事業についてお伺いいたします。
 まず、児童相談所についてであります。
 特別区では、私の地元練馬区を除く二十二区で児童相談所を設置する意向が表明されています。しかし、都は、新設される区児相に協力するものの、あくまでも区への事務移管ではないという立場を堅持しています。
 区児相におきましても、人材確保や広域的な連携など、さまざまな課題があることは承知をしておりますけれども、本来、児童養護行政は、先進諸国においては基礎自治体が担うことが通例であり、子供家庭支援センターと児童相談所のはざまに落ちる事例をなくす観点からも、財源、人材をセットにした事務移管が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、待機児童対策についてお伺いいたします。
 市区町村によって、保育士が足りない、土地が確保できないなど状況は異なります。ニア・イズ・ベターという言葉があるように、より現場に近い市区町村に解決策を探っていただくことが有効と考えます。
 お仕着せの都による一律的な支援ではなく、市区町村がみずからの裁量で自由に使い道を決定できる保育財源を一括で交付することこそが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
 この項の最後に、区立小中学校の教員の人事権についてお伺いいたします。
 学校の設置者は特別区でありながら、教員の人事権は都にあるという、いわばねじれた状態があります。現場の意向が教職員の採用、異動に反映されづらい、いじめ等の問題が発生した際の責任の所在が曖昧になりやすいといった課題を解決するために、かねてより教育長会から要望がある区立小中学校教員の人事権移譲を改めて求めますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、シルバーパスについてお伺いいたします。
 まず、パスのICカード化について伺います。
 パス利用者は百万人を超え、年間百八十一億円もの財源が使われています。しかし、シルバーパスの利用実態は明らかになっておらず、高齢者の外出が促されることによる医療費等の削減効果、買い物等の経済効果は実証されておりません。
 そこで、提案ですが、カードを現行の磁気方式からPASMOやSuicaのようなIC方式にすることで、シルバーパスの利用実態を把握し、医療や介護、経済データと連携させることによる多面的な事業効果の検証を進めるべきと提案いたしますが、都の答弁を求めます。
 次に、自己負担のあり方について伺います。
 制度の持続可能性を鑑みれば、負担できる能力のある方に、一定のご負担をお願いすることは避けられないことでもあります。現在、所得に応じ、千円または二万五百十円の自己負担をお願いしておりますが、約九割の方が千円の負担で取得されています。千円で取得できるパスは、住民税非課税の方を対象としていることは承知をしておりますけれども、所得がなくても資産があるというケースも想定されます。
 シルバーパスに限らず、他の福祉施策でも資産状況の把握は課題と認識しておりますが、資産状況を加味した自己負担のあり方を検討し、より公平で公正な制度設計を目指すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 質問項目の最後に、シルバーパスの今後についてお伺いいたします。
 高齢化を反映し、利用者も事業費も増加の一途をたどっていることから、やがては制度自体が持続可能なものではなくなってしまうのではないかという懸念を抱かざるを得ません。
 また、事業効果の検証や自己負担のあり方についても課題があり、福祉を必要とする人に対して必要なサービスを過不足なく提供するという本来あるべき福祉の姿から逸脱する側面も目立ってきております。感情論やポピュリズムを排し、実証データを積み上げ、現役世代、将来世代を含めた都民納得の制度改善を求めますが、都の見解をお伺いいたします。
 最後に、練馬城址公園、としまえんの跡地利用についてお伺いいたします。
 私の地元練馬区において、百年近い歴史を持つとしまえんは段階的に閉園し、その跡地は都の防災公園として整備されるとともに、新聞報道によれば、映画、ハリー・ポッターのテーマパークが誘致される計画があるようです。
 まず、練馬城址公園についてお伺いいたします。
 練馬区は水緑、にぎわい、防災という三つの機能を重視し、計画に盛り込むことを都に要望していますが、都としてどのように受けとめ、計画に反映するつもりなのか、答弁を求めます。
 次に、テーマパーク誘致に関連し、周辺住民の不安解消についてお伺いいたします。
 二年ほど前に、民放番組でとしまえんを舞台とした企画が行われ、深夜に大渋滞や騒音被害が発生いたしました。周辺は閑静な住宅街であり、仮にテーマパークが誘致されることになれば、恒常的に渋滞や騒音が発生することが懸念されます。
 都として、地元練馬区と連携をし、住民の不安解消に取り組んでいただきたいと思いますが、都の見解をお伺いし、一般質問を終了いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤井とものり議員の一般質問にお答えいたします。
 都から特別区への事務移管についてのお尋ねがございました。
 都は、特別区を抱合する広域的な自治体といたしまして、消防や上下水道の運営などのほか、東京が激しい都市間競争にさらされる中で、都市計画やインフラの整備、デジタル化の推進など、東京全体の活力を維持向上させる役割を担っております。
 一方、特別区は、より住民に身近な基礎的な自治体として、地域の実情や住民ニーズに沿った、きめの細かい行政サービスを提供する役割を担っています。
 こうした考えのもとで、都はこれまで、都道府県が行う事務のうち、住民ニーズへの対応や利便性の向上に資するかを精査した上で、特別区との協議を経まして、条例により事務を個別に移譲をしてまいりました。
 今後も都区制度のもとで、大都市地域の行政を担う都と特別区とがそれぞれの役割を果たすとともに、力を合わせながら東京の発展に向けて取り組んでまいります。
 残余のご質問、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 公立小中学校教員に係る人事権の移譲についてでございますが、都道府県が給与を負担して教員を任命する、いわゆる県費負担教職員制度のもとでは、抜本的な人事権の移譲は難しく、また、区市町村によって賛否両論の意見がございます。仮に移譲が行われる場合には、法改正が必要となり、地方分権の観点から、特別区のみでなく、義務教育の実施主体である全ての区市町村に給与負担とあわせて移譲されるべきものと考えております。
 加えて、教員の採用、異動、昇任等について、区市町村相互間の不均衡を生じさせないよう、広域的な調整の仕組みを整備することや区市町村が給与負担をするための適切な財源を確保することが不可欠でございます。
 都教育委員会では、今後とも現行制度のもとで、区市町村の意向を反映した人事配置等に取り組むとともに、人事権の移譲等に係る国の動向については注視してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別区の児童相談所設置についてでありますが、児童福祉法では、区市町村は児童の身近な場所における支援業務を行うものとされ、都道府県は専門的、広域的な対応が必要な業務を行うものとされております。
 児童相談所は、都道府県及び指定都市に設置義務があり、平成二十八年の児童福祉法の改正により、希望する特別区も個別に政令で指定を受けて設置できるようになりました。
 設置する区は、みずから児童福祉司や児童心理司等の専門人材を確保、育成するとともに、一時保護所を含め児童相談所を適切に運営していく必要がございます。
 都といたしましては、特別区の人材育成を支援するほか、一時保護所等を都区で広域的に利用するなど、子供たちの安全・安心を確保する観点から必要な連携を図ってまいります。
 次に、待機児童対策についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が多様な保育サービスの整備を進められるよう、国の整備補助に加え、施設整備に係る事業者や区市町村の負担を軽減する都独自の支援策を実施しております。
 平成二十八年度からは、待機児童解消に向けた緊急対策会議におきまして、保育所用地や物件の確保、保育士の確保などについて、知事と首長の意見交換を実施し、また、平成三十年度からは、東京都待機児童対策協議会を立ち上げて、区市町村が抱える保育の課題についての議論を行っているところでございます。
 こうした意見交換も重ねながら、区市町村と連携し、保育サービスの拡充に取り組んでまいります。
 最後に、シルバーパスのICカード化や資産状況も加味した自己負担のあり方などシルバーパス制度に関するお尋ねについてでありますが、都が幅広い年代の都民とパスの利用者を対象に行ったシルバーパス制度に関する二つの調査では、制度に対する都民の考え方等や利用状況について概要を把握することができました。
 また、今回の調査への回答の背景にある高齢者を取り巻く環境や地域の状況などについて、さらに把握する必要があることも明らかになったところでございます。
 今後、区市町村における高齢者の社会参加促進のための取り組みや課題、将来の利用者となる世代の意識や意向などについて把握を進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、練馬城址公園の整備計画についてでございますが、本公園は、都市計画公園・緑地の整備方針におきまして、首都東京の防災機能の強化を目的に、重点的に整備を進める公園に位置づけ、二十一・九ヘクタールの優先整備区域を設定しております。
 これまで整備計画の策定に向けまして、計画区域の地形等の調査分析を進めるとともに、地元の練馬区と、水と緑の拠点づくりに加え、防災の取り組みやにぎわいの創出など、公園の目指すべき姿について意見交換を進めております。
 今後とも、地元区とより緊密に連携を図りながら、整備計画の策定に向け、取り組みを進めてまいります。
 次に、公園整備における住民への対応についてでございますが、都立公園の整備に際して策定する整備計画は、周辺の地域特性等を踏まえながら、公園に導入する機能や施設の配置等を定めるものでございます。練馬城址公園の整備計画も東京都公園審議会において審議をし、答申を踏まえ策定いたします。
 今後、地域住民も含む都民を対象にパブリックコメントを実施するとともに、地元区と緊密に意見交換を行い、整備計画の策定に向け、取り組んでまいります。

○副議長(橘正剛君) 六十九番森口つかさ君
〔六十九番森口つかさ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○六十九番(森口つかさ君) 公営企業について伺います。
 地方公営企業は、経営体としての自立性が重んじられます。地方公営企業の官民連携を進めることは賛成でありますが、都民にとって地方自治体の関与が不可欠である事業については、知事や議会の関与の確保が必要不可欠です。特に、水道事業は、地方自治体の独占事業である特別な事業であり、都民生活にとって死活的なライフラインでもあります。
 そのため、水道法では、官民連携の方式として二つの方法を示しています。一つは、受託者が水道法の責任を負い、罰則の適用を直接受ける技術上の業務の委託である第三者委託。二つ目が、水道法のもと厚生労働大臣の許可を受け、かつ都議会の関与を受ける水道施設運営権の設定であるコンセッションであります。
 一方、水道局が現在行っている政策連携団体との委託方式は、あくまで私法上の委託であり、水道法上の責任を負いません。また、契約についても、議会の議決が不要です。
 その上で、東京水道長期戦略構想二〇二〇を読みますと、水道局から政策連携団体である新会社へ包括委託として、さらなる業務の移転をうたっております。
 水道事業は、公営企業の中でも病院や交通と異なり、自治体の完全な独占事業であるとともに、都民にとって死活的なライフラインです。このような水道事業が議会の議決から離れ、水道法上の責任を負わない事業になってよいのでしょうか。
 そこで、水道事業において、技術的な分野だけでなく、経営的な分野についても包括的に官民連携をするに当たっての方式としては、議会や国のコントロールがきく水道法に規定されている官民連携方式の採用を検討すべきと考えますが、水道局で東京水道株式会社に対する包括委託方式を検討している理由について伺います。
 また、政策連携団体への業務委託として、新たな性能発注方式による包括委託や、水道の技術上の業務を委託する第三者委託を含めた新たな包括委託を性能発注方式という記述が見受けられますが、その内容を明らかにしていただきたいと思います。見解を伺います。
 次に、東京二〇二〇大会について伺います。
 オリンピック憲章は、オリンピック競技大会は、個人または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではないという理念をうたっております。また、オリンピックエリアにおいては、いかなる種類のデモンストレーションも、いかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められないと述べています。
 私は、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックが、各国のメダルの数を競う大会ではなく、国家の威信を発揮する場でもなく、一部の方々のお金もうけの場でもなく、アスリートファーストの大会として、開催都市の都民が世界の人々とともに楽しむことができる大会となることを切に期待いたします。
 そこで、東京二〇二〇大会の成功とは、世界各国から競技に参加するアスリートの方々が、その能力を遺憾なく発揮できるようにすることであると考えますが、見解を伺います。
 組織委員会は、大会ビジョンを全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承、この三つを基本コンセプトとしています。
 では、開催都市東京にとって、オリンピック・パラリンピックを開催する意義は何でしょうか。
 招致ファイルでは、招致に向けたスローガンはディスカバー・トゥモロー、あしたをつかもう、当時の猪瀬都知事は、東京でオリンピックを開催できるならば、復興した日本を全世界に示し、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりも返礼となり、ひいては、それが世界の勇気になると確信していますと述べております。
 一九六四年の東京オリンピックが、戦争からの復興と経済成長であったように、二〇二〇年の東京オリンピックの意義は東日本大震災からの復興であると思えます。
 そこで、オリンピック・パラリンピックを東京で開催する意義とは何か、改めて知事の見解を伺います。
 オリンピックは開催都市が招致します。その成功のためには、開催都市と国内オリンピック委員会とその両者が設立する組織委員会との緊密な連携、そして国のバックアップが必要です。
 近年の成功例といわれる二〇一二年のロンドン大会では、招致委員会委員長と組織委員会会長がともにセバスチャン・コー氏が担ったことが大きいといわれています。しかし、東京二〇二〇大会では、招致委員会の活動を批判してきた元総理大臣の森喜朗氏が、都知事不在の中で組織委員会の会長につくということが起こりました。
 そこで、事実関係の確認ですが、知事不在の中で、東京都と日本オリンピック委員会が設立する組織委員会の会長として森喜朗氏を決定した経緯をお聞かせください。
 私は、東京二〇二〇大会が、世界で初めて二度目のパラリンピックを開催する大会となることに大きな意義があると考えます。
 IOCファーストのIOCの決定により、ドーハの世界陸上の失敗の責任をとる形で、マラソンと競歩の札幌移転が余儀なくされましたが、国際パラリンピック委員会、IPCは東京でのマラソン開催を維持しました。私は、IPCの決断に感謝するとともに、さまざまな障害を持っている方々への対策をさらに充実し、いまだ存在する差別をなくし、そしてパラリンピックだけでなく、デフリンピックやスペシャルオリンピックスの東京開催も検討していくべきと考えます。
 大会を通じて、この東京に住み暮らす多くの人々が、みずからの将来にさらなる夢と希望を抱き、そして東京のさらなる発展を願います。十年、二十年先、世界の都市間競争がさらに激化し、人、物、資本、情報が限られた都市にますます集約されていく中、次の世代の子供たちもまた、この東京で学び、働き、そして住み暮らしたいと願う、そのような都市になっていますでしょうか。
 東京が将来にわたり世界から選ばれる都市として、どのように世界の都市間競争に打ち勝っていくのか、知事の見解を伺います。
 二〇二〇大会は、文化の祭典でもあります。
 大会のレガシーとして、文化やエンターテインメントを通じて、世界を引きつけるまちづくりを進めていかなければなりません。これまでの文化芸術振興とともに、これからは、誰もがまち中で気軽に楽しめるにぎわいづくりが必要であり、その主張を続けてきました。
 一九六四年、前回の東京五輪を契機に設立された東京都交響楽団も、昨年、サラダ音楽祭として野外でポップスコンサートを開催するなど、子供からお年寄りまで気軽に楽しめる取り組みを進めています。
 世界の人々を魅了する楽しい東京の実現に向けて、都内各地でより多くの人々が気軽に音楽を楽しめる機会をふやしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 大会のレガシーとして、運動で健康になるという意識改革を社会全体で進めていくと東京都医師会は発表しております。子供からシニアまで、適切な運動習慣を身につけるには、私たちが毎年受ける健康診断のように、みずからの運動機能を客観的に数値で把握ができる運動機能測定や体力測定の機会の提供が必要と考えます。
 二〇二〇大会のレガシーを見据え、運動で健康になるといった新たな理念を掲げ、都民の誰もが生涯にわたって生き生きと活躍できるよう取り組むことが重要と考えますが、見解を伺います。
 将来の東京に向けては、災害に強い都市づくりが必要不可欠です。
 昨年の相次ぐ台風や豪雨においては、都内二十八の調節池が浸水被害の軽減に大きな効果を発揮しました。中小河川として、都内最大の流域面積を持つ神田川水系においては、環七地下調節池が神田川、善福寺川より取水し、総容量の九割に達しました。
 今後も発生が懸念される台風や豪雨対策として、神田川・環状七号線地下調節池と白子川地下調節池を結ぶ広域調節池の一刻も早い完成が望まれており、これまでも強く要望を続けてきましたが、その整備の進捗について伺います。
 都民の主要な住まいであるマンションにおいても、防災対策は大変重要な課題であります。都民にとって、建物の水害や地震のリスクを事前に把握でき、安全な住まいを選択できることが重要です。
 都は、四月より始まる管理状況届け出制度を活用し、マンションのハード、ソフト両面の防災対策を都民に見える化することで、都民の安全な住まいの確保につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の防災力を高める上で、都民一人一人が、日ごろから災害への意識を高め、いざというとき落ちついて行動できることが重要です。
 都はこれまで、「東京防災」や「東京くらし防災」、東京マイ・タイムラインなど、さまざまな事業を積極的に展開してきました。
 都民の防災力の向上には、これらで得た知識を定着させ、実際の備えにしっかりとつなげる工夫が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、新宿区のスマートシティー化について伺います。
 新宿区周辺は、二〇四〇年代に向け、新宿グランドターミナルとして再編が行われ、東西のまちをつなぐ一体的な開発が進みます。西新宿の5G重点整備に当たっては、東京のスマートシティーを牽引するモデル地域として、新宿の将来の東西一体の再編を見据えた積極的な整備を進めていただきたいと考えます。
 そこで、西新宿におけるスマートシティーの取り組みによって、新宿がどのような魅力あるまちに変わっていくのか、都民がどのようなメリットを享受できるのか、宮坂副知事から都民に向け、希望あふれるメッセージをお願いいたします。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策です。
 本定例会でもさまざま都の緊急対策が議論されてきました。一刻も早い事態の収束に向け、皆様と一丸となり、努める思いであります。
 都内、国内で日々感染者が増加をしており、感染拡大の防止には、私たち一人一人の感染しない、感染させない意識が重要であります。
 不特定多数が利用する電車やバスの利用においても、せきエチケットや手洗いの徹底が急務です。
 そこで、新型コロナウイルス感染症対策として、都営交通において、車両内や構内で手洗い徹底の呼びかけやスムーズビズなどの啓発活動をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、食品流通の過程においても、当然、手洗い、せきエチケットは必須です。人によっては、新型コロナウイルスが食品を介在して感染するような懸念を示す方もいますが、実際にはそのような事例はないとも聞いております。感染拡大防止に加え、都民の不安払拭についても取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森口つかさ議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、大会を東京で開催する意義についてでございます。
 一九六四年の東京大会は、首都高速道路や東海道新幹線の整備など高度経済成長を加速すると同時に、ピクトグラムが普及したり、まちの美化が進むなど今日の成熟社会の礎を築いております。
 成熟した都市として迎える東京二〇二〇大会は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催する都市といたしまして、パラリンピックの価値をさらに高め、共生社会に向けました取り組みを一層前進させるべき大会でございます。
 世界から訪れるアスリートや観客を迎えるために、道路や鉄道駅、宿泊施設などのバリアフリー化や多言語対応など、高齢者や障害者、外国人など、誰もが優しさを感じられるまちづくりを進めるとともに、都独自の受動喫煙防止対策のルールを定めております。
 さらに、スポーツを通じました健康づくりはもとより、暑さ対策やスムーズビズの取り組みを都市のレガシーとして発展させ、世界をリードする環境先進都市の実現や新しいワークスタイルの確立など都民の豊かな生活につなげてまいります。
 来月には、福島から聖火リレーが始まります。スポーツの力で被災地に元気を届けるとともに、復興に向けまして力強く歩む被災地の姿を世界に発信をして、支援への感謝を伝えてまいります。
 人々の記憶にいつまでも残り続ける史上最高の大会を実現させて、成熟都市東京をさらなる高みへと導いてまいります。
 世界から選ばれる都市の実現についてのお尋ねでございます。
 グローバル経済や第四次産業革命のうねり、アジア新興国の台頭など、世界の都市間競争は日々激しさを増して、その中で、東京、日本の存在感は低下しつつあります。
 世界の諸都市が想像を超える速さで進化する中で、東京が置かれている厳しい状況に危機感を持って対処しなければ、東京、日本の明るい未来は到底望めません。この状況をむしろチャンスと捉えて、未来を切り開いていくための踏み込んだ戦略を展開していかなければなりません。
 資源に乏しい我が国の財産は人であります。何よりも重要なのは人を育てることであります。こうした思いから、未来の東京戦略ビジョンにおきましては、人が輝く東京の実現を政策の基軸に添えております。
 未来を担う子供への投資に本気で取り組んで、一人一人の個性や能力を最大限に伸ばして、世界を視野に活躍する人材を育てていく。また、外国人を含めたさまざまな人々にとって、快適な居住環境やビジネス環境を整えていく。これらの実現に向けまして、戦略ビジョンで掲げましたさまざまなプロジェクトを強力かつスピーディーに展開をしてまいります。
 誰もが夢や希望を持って、学び、住み暮らし、そして働くことができる、人が輝く東京をつくり上げることで、将来にわたって世界の中で選ばれる都市へと進化させてまいります。
 次に、食品流通における感染の拡大防止についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症に関連しましては、都民の方々からさまざまな心配の声が寄せられておりまして、その中の一つに、食品流通を介しての感染拡大を懸念することがあること、これについては承知をいたしております。
 厚生労働省によりますと、食品そのものにより新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は現在報告されておりません。通常の食中毒予防のために行っている一般的な衛生管理が実施されておりますと心配する必要はない、このようにされております。
 生鮮食料品等の流通過程に位置する都内の十一の中央卸売市場を初め、関係各所におきまして、現在、手洗いやアルコール消毒の励行など、品質、衛生管理の徹底を図っております。
 都民の消費生活を支える基幹的インフラであります各機関が、引き続いてその機能を着実に果たしていくことはもとより、正確な情報を機を逃さずに発信していくことで、都民の皆様の不安解消にもしっかりと取り組んでまいります。
 残余のご質問は、副知事、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 西新宿地区におけるスマートシティー化の取り組みについてでございますが、都は、未来の東京戦略ビジョンにおいて、目指すべき未来の姿の一つとしてスマート東京を掲げ、先般、実施戦略において、二〇四〇年に向けたビッグピクチャーを描きました。スマート東京元年である来年度、この西新宿から東京のデジタルトランスフォーメーションの第一歩を踏み出したいと思います。
 実施戦略では、つながる東京の構築を掲げておりますが、まず、都庁を擁し、東京、日本のビジネス、商業、観光の中心エリアであるこの西新宿地区において、都のアセットを活用した5GアンテナやWi-Fi環境等の整備を促進し、電波の道を整備してまいります。
 そして、この電波の道の上で、ここに住み、働き、訪れる方々の課題を解決し、満足度を向上させる情報技術の都市実装に挑戦したいと思います。
 さらに、幅広い方々に楽しんでいただくため、仮想現実技術によるAR、VRといったライブやプロジェクションマッピング等のエンターテインメント体験、スマートオフィスやスマートハウス等の暮らし体験イベントを開催し、多くの方々に最先端技術を活用した未来の生活を実感していただければと思います。
 これらの取り組みを通じて、エリアマネジメント団体などの地域の方々、地元自治体である新宿区、広域自治体である東京都との連携協力体制を構築し、都市のデジタル化を加速させてまいります。
 私は、この西新宿において、デジタルの力で、誰もが快適で質の高い生活を送ることができる未来の都市の姿を早期に実現し、その実装のノウハウを構築したいと思います。
 東京都全域でおよそ二十二万ヘクタールに対して、西新宿の取り組みはおよそ二十ヘクタールの取り組みではありますが、この第一歩がスマート東京実現に向けた一歩になります。この東京都では誰もしたことのない挑戦からたくさんのことを学び、たくさんの成果を得ることになると思います。それらを東京都のものだけにせず、区市町村ともしっかり共有を図りながら、都内全域への展開に生かし、地域の活性化と課題解決につなげることで、世界の都市間競争をリードする東京に進化させていきたいと思います。この使命を果たすために全力を尽くしてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道事業における官民連携についてでございますが、このたびの水道法改正を踏まえ、当局では、東京水道の経営基盤強化を図るため、外部有識者で構成します東京都水道事業運営戦略検討会議を通しまして、改めて、現在の方式であります政策連携団体とのグループ経営のほか、コンセッションなどさまざまな官民連携のあり方を検討いたしました。
 検討に当たりましては、首都東京と都民生活を支える東京水道の大規模性を踏まえた平常時や災害時における安定給水の確保、公共性と効率性などの観点から幅広く比較をいたしました。
 こうした経緯を経まして、水道局としましては、検討会議でのご意見も踏まえ、引き続き当局が責任を持って政策連携団体とのグループ経営を進めるとともに、さらなる経営の効率化を図るため、統合後の団体への委託契約の方式として、新たな性能発注方式による包括委託の導入を目指すこととしております。
 なお、検討会議では、将来的に状況変化が生じた場合は、再度検討すべきなどのご意見もいただいております。
 次に、新たな性能発注方式による包括委託についてでございますが、現在検討を進めております性能発注方式は、実施方法等を詳細に指示する仕様発注とは異なり、安定給水に必要な当局が求めるサービス水準を受託者に提示し、その水準を確保することを条件として、実施方法等につきましては、受託者の創意工夫を促す契約方式でございます。
 この性能発注方式にペナルティーとインセンティブの導入や水道法に規定のございます水道の技術上の業務を委託する第三者委託の一部導入を検討いたします。その上で、営業系業務と技術系業務をエリアごとに包括的に行わせることなどにより、統合後の政策連携団体に業務遂行の責任を持たせ、団体の創意工夫を促し、一層の効率性を発揮させます。
 こうした取り組みにより、政策連携団体の実務能力をさらに向上させ、東京水道の経営基盤強化を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アスリートが能力を発揮するための取り組みでございますが、大会の成功に向けて何よりも重要なのは、アスリートがベストパフォーマンスを発揮できることでありまして、都はハード、ソフト両面から取り組んでいるところでございます。
 まず、都が整備する新規恒久施設につきましては、国内及び国際競技団体等の意見を取り入れ、選手にとって最高の舞台となるよう整備を進めてまいりました。
 また、試合前の最終調整の場となる公式練習会場については、国際競技団体の利用ニーズを踏まえまして、都や区等が施設を提供してまいります。
 さらに、選手がベストパフォーマンスを発揮できますよう、組織委員会と連携しまして、円滑な運営を支え、大会を盛り上げるボランティアの研修などを行っております。
 開催都市として、組織委員会とともに、アスリートにとって最適な競技環境を整えまして、大会を成功に導いてまいります。
 次に、組織委員会の会長についてでございます。
 森会長は、平成二十六年一月二十四日に、組織委員会設立に際し開催された東京オリンピック・パラリンピック調整会議において理事に選任されまして、引き続き開催された設立時理事会において代表理事、会長に選定されました。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 気軽に音楽を楽しめる機会の創出についてでございますが、都ではこれまでも、島しょや多摩地区にオーケストラを派遣するなど、都民が身近で音楽を楽しめる機会を提供してまいりました。昨年度には、大会後のレガシーを見据え、誰もが楽しめる企画を盛り込んだサラダ音楽祭を開始し、今年度も規模を拡大して実施いたしました。
 大会本番となる来年度は、五月の野音でのポップスコンサートを皮切りに、お話のあった、まち中でさまざまなジャンルの曲を演奏する無料コンサートを各地で展開するほか、九月にはオーケストラに合唱やダンスを取り入れたコンサートなど多彩で魅力的なメニューをさらに充実させ、祝祭感を演出いたします。
 大会後もこうしたさまざまな取り組みにより、誰もが気軽に音楽を楽しめる新たな機会を創出し、文化都市東京のプレゼンスを高めてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 運動を通じた健康づくりに関するご質問にお答えいたします。
 いつまでも健康を保つためには、バランスのとれた食事や十分な休養に加え、習慣的に適度な身体活動、運動を実践し、運動機能を維持することが大切でございます。
 このため、東京都健康推進プラン21では、日常生活における身体活動量をふやすことを目標に掲げ、運動体験や身体、体力測定を行う健康づくりイベントの実施など健康づくりへの意識づけ、動機づけに取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 また、負担感なく身体活動量をふやせるよう、例えば、駅の階段利用を呼びかけるほか、区市町村が作成したウォーキングマップを紹介するポータルサイトを開設しているところでございます。
 今後も、誰もが生涯にわたり健康で生き生きと過ごせるよう、都民一人一人の運動習慣の定着を進めてまいります。
〔建設局長三浦隆君登壇〕

○建設局長(三浦隆君) 環状七号線地下広域調節池の整備状況についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備とあわせて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 環七地下広域調節池は、神田川、石神井川、白子川の三流域にまたがる総貯留量約百四十三万立方メートルの施設でございます。調節池の容量を各流域間で相互に融通することで、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮します。平成二十八年度より環七地下調節池と白子川地下調節池を結ぶ新たなトンネルの整備に着手しており、来月からシールドマシンによる掘進を開始するなど、令和七年度の取水開始に向け工事を本格化してまいります。
 水害に強いセーフシティーの実現に向け、整備を着実に推進してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 分譲マンションの防災対策についてでございますが、管理組合が防災対策に主体的に取り組むことは重要であり、そうした取り組み状況を開示し、適切に評価されることは、適正管理を行っていく上でのインセンティブになるものと認識しております。
 四月から始まる管理状況届け出制度において、ハード面では耐震化の状況、ソフト面では自主防災組織、防災マニュアル、防災用品の備蓄、避難行動要支援者名簿及び防災訓練の実施の有無の事項を設けております。
 また、三月改定予定のマンション管理ガイドブックにおきましても、水害対策として止水板の設置などの取り組みを促してまいります。
 今後、管理組合の意向や個人情報の保護に配慮しながら、防災への取り組み状況に関する届け出情報の公開について検討を進め、マンションの防災力向上を後押ししてまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 都民の防災力の向上についてでございますが、災害発生時に、都民がみずからの身を守るためには、いざというときに活用できる防災に関する正確な知識を身につけておくことが重要でございます。
 そのため、来年度、新たな防災に関する啓発の手法といたしまして、インターネットにより防災知識の習熟度を確認する東京都防災模試を実施いたします。
 具体的には、民間で行われている既存の防災関連のテストなどと連携を図りまして、都民が興味を持って楽しみながら学べる内容としてまいります。また、より多くの都民が参加できるよう、検索エンジンやスマートフォンアプリを活用した効果的な広報を実施してまいります。
 こうした取り組みにより、都民の防災力のさらなる向上を図り、実際の備えにつなげてまいります。
〔交通局長土渕裕君登壇〕

○交通局長(土渕裕君) 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた啓発活動についてでございますが、交通局では、関係機関等と連携いたしまして、手洗い及びせきエチケットの励行やスムーズビズへの協力などにつきまして、ホームページやツイッターのほか、改札口やバス車内のモニター、駅構内や地下鉄車内での放送など、さまざまな媒体を活用して呼びかけを行っております。
 また、情勢の変化を踏まえ、広報の内容を適宜更新するとともに、ご指摘も踏まえまして、都営バスにおける車内放送の実施やチラシの配布、地下鉄の車内モニターの活用による啓発など、さまざまな対策を講じてまいります。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、都営交通として全力で取り組んでまいります。

○議長(石川良一君) 九十五番鈴木邦和君
〔九十五番鈴木邦和君登壇〕

○九十五番(鈴木邦和君) データとテクノロジーを活用して東京の将来課題を解決していくことが、昨年の一般質問から続く私のテーマです。
 スマートシティーの先進的な取り組みが注目される会津若松市では、省エネルギーを推進するために、各家庭の同意を得た上でセンサーを取りつけ、エネルギー消費量を把握しています。その消費データをAIが分析し、省エネのためのアドバイスを各家庭に提供することで、最大で二七%のエネルギー消費の削減を実現しました。
 また、米国ニューヨーク州では、ブロックチェーンを用いて家庭用太陽光発電などで余った電力を個人間で自由に売り買いできるようにしています。データやAIを活用して、消費電力を削減するとともに、余剰電力の個人間取引を促すことができれば、都市全体のエネルギー効率は飛躍的に高まります。
 そこで、来年度、都内にスマートメーターが全家庭、企業に普及することを見据えて、電力の個人間取引や電力データの活用方法について検討すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 先日発表されたバーチャル空間に、都市全体を三Dモデルとして再現する都市のデジタルツイン構想は、ヒートアイランド対策にも有効です。
 例えば、暑さ指数の数値データやサーモグラフィーの画像データと都市の三Dモデルを組み合わせることで、建物の間でどんな風がどのように吹いて、その中で温度を持った空気や水蒸気がどのように流れるのかといった都市の暑熱環境を詳細にシミュレーションすることができます。そうすると、遮熱性舗装や壁面緑化をどのエリアに施すのがヒートアイランド対策として最も効果的なのかを検証することも可能であり、今後百年間で三度以上の気温上昇が見込まれる東京にとって重要なデータ基盤となるはずです。
 そこで、都市のデジタルツインの構築を見据えて、暑さ指数の数値データやサーモグラフィーの画像データなど、ヒートアイランド対策に有効なデータの収集、活用について検討していくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 東京にとって、超高齢化と社会保障費の増大は重要な課題ですが、その解決には医療データとスタートアップの活用こそが鍵です。
 例えば、これまで合計一万円近い費用がかかった乳がんの検診に対して、POCメディカルが開発したモバイル検査キットならば、わずか三百円で乳がんのリスクを検査することができます。また、二〇一七年に創業したライトタッチテクノロジーというスタートアップは、高輝度のレーザーを用いて、五秒手をかざすだけで採血せずに血糖値を測定できる技術を世界で初めて開発しました。こうしたテクノロジーは、従来の医療コストを大きく下げ、業界の人手不足をも解消できるポテンシャルを秘めており、その有効性を医療データに基づいて検証し、いち早く社会に実装していくことが今後の超高齢化社会において重要だと考えます。
 そこで、民間のスタートアップが、高齢化に備え、新たなウエルネスソリューションを創出することを後押しするため、健診データやレセプトデータなどウエルネス分野のデータの利活用を促進していくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 鉄道分野では、自動改札機のシステムから得られる各駅の入出データと携帯電話のGPS情報、そして車両の重量センサーから得られるデータを組み合わせると、首都圏の各路線の混雑率を高い精度でリアルタイムに取得、分析することができます。
 私は、こうしたデータの分析をもとに、時間差料金制の導入や先端技術を用いた運行システムの改良を進めるべきだと主張してきました。
 このような考えに呼応する形で、都は、今年度から鉄道事業者との研究会を立ち上げ、先端技術を活用した車両や運行システムの改良など、中長期的に実現可能な施策の検討を行っています。
 例えば、今、東京の鉄道は、朝のラッシュ時に一時間当たり二十五本程度走っていますが、専門家が指摘するように、信号システムの技術的改良によって、一時間当たり三十本程度まで本数をふやすことができれば、ラッシュ時の混雑率は二〇%以上改善すると見込まれます。
 今後、先端技術の活用も視野に入れて、鉄道混雑の緩和に向けた取り組みを一層進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 先日、水道局は、二〇三〇年度をめどに、都内全戸にスマートメーターを導入する構想案を発表しました。水道スマートメーターが導入されると、水道管内の水量、水圧、流向を詳細に把握することができ、配水管の口径の見直しや漏水の迅速な把握が可能となるなど、水道事業にも大きな効果が期待できます。
 また、地域別あるいは個人別の水道の使用状況というビッグデータは、宅配サービスの効率化や高齢者の見守りサービスに貢献するなど、今後の労働人口の不足や長寿社会において非常に重要です。
 そこで、スマートメーターの導入を進めるに当たっては、導入のメリットやコスト削減策に加えて、得られるビッグデータを水道事業のみならず、いかにして都政のために広く活用していくかという点について明確なビジョンを持ち、時期のターゲットを明確にして取り組みを実施すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 また、水道局は、二〇二五年までに、都内に十万戸の水道スマートメーターを導入するトライアルプロジェクトを既に発表しています。データを活用した都市運営という観点では、水道局の構想は、先進的で具体的な段階に入っており、他局のモデルケースになると私は考えています。
 そこで、さまざまな活用が可能なビッグデータが得られる水道スマートメーターの導入について、よりスピード感を持って取り組んでいくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 都市の運営に当たっては、行政が保有するデータに加えて、民間が保有するデータをいかに収集、活用できるかが重要です。先ほど私が述べた家庭の消費電力のデータ、自動改札機のシステムのデータ、携帯電話のGPS情報などは全て行政ではなく、個人や企業が保有するデータです。オランダのアムステルダムでは、官民連携のデータプラットホームの運営組織をつくり、二百以上の官民共同プロジェクトを推進しています。特に、運営組織は、民間企業にとってもメリットのあるプロジェクトを設計し、民間データの収集、活用に努めているのが特徴です。
 そこで、先日都が構想を発表した官民連携データプラットホームの運営を円滑に進めていくためにも、個人や民間企業がデータを提供するインセンティブを設計すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 都の来年度の予算案には、5Gに関する新規事業が多く盛り込まれています。今、東京都が5Gの活用に取り組む真の意義は、5Gの利点もさることながら、都政のあらゆる事業をネットワークにつなげていくことにあると私は考えています。その価値は、たとえ5Gの次の世代の通信システムが生まれたとしても、決して色あせないものです。
 そして、ネットワークを通じて得られる都市のあらゆるデータを統合し、分析やシミュレーションを実施した上で最適なモデルを導くことのできるオペレーションシステム、いわゆるコンピューターにとってのOSの構築こそが、データに基づく未来の都市運営には不可欠だと考えます。ヨーロッパで最もイノベーションが進んでいると評価をされるバルセロナでは、既に都市OSを構築し、世界中の都市から注目を集めています。
 そこで、都として官民連携データプラットホームの構築とあわせて、都市活動全体を最適化するためのオペレーションシステム、いわゆる都市OSの構築を目指すべきだと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 昨年、EBPMと呼ばれる証拠やデータに基づく政策立案の研究がノーベル経済学賞を受賞しました。受賞した研究チームは、途上国における教育支援策の受益者と非受益者の結果を幅広く分析、比較し、各施策の効果をデータに基づいて検証しました。
 その結果、漫然と教科書の提供や無料給食を実施しても効果が少ない一方、本当に手助けが必要な生徒に絞って集中的な支援をすると、全体の教育水準が大きく改善することを明らかにしました。
 今後、都市のデータ収集が進むと、こうした統計調査を実施するためのハードルは大きく下がります。そして、東京都でも、一つの政策目標に対してどの事業がどのぐらいの効果を上げているのか、データに基づいて検証した上で、本当に効果が出る事業に政策資源を投入していくという考え方が重要になるはずです。
 そこで、将来的な都政のEBPM導入を見据えて、官民連携データプラットホームにおいては、分野共通のシミュレーションや因果関係の分析を可能とする仕組みをあわせて構築すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 データやテクノロジーは、決して無機質な都市をつくるためのものではありません。むしろ、未来にわたって持続可能な都市を築くためのものであり、また、都民の声なき声に耳を傾け、その声を政策に反映させるためにも生かされるものだと私は考えています。
 三十五歳で台湾のデジタル大臣に就任した天才プログラマーのオードリー・タン氏は、QVと呼ばれる最新の投票理論を使った政策の意思決定システムをつくりました。台湾の全人口二千三百万人のうち、現在は一千万人が、政府サイトを利用して政府の意思決定に直接参加するなど、オープンガバメントの最新事例として注目を集めています。
 東京都でも、都民による事業提案制度を初め、これまで国内では画期的なオープンガバメントの取り組みを進めてきました。
 今後、ICTを活用して、よりわかりやすく迅速に都民に情報を届けるとともに、SNSなどの民間データを活用して都民の声を丁寧に分析していくなど、都民ファーストの視点に立ったオープンガバメントの取り組みをさらに進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 ことし都が発表したスマート東京の構想は、確かにすぐ成果が出るものではないかもしれません。しかし、十年後あるいは二十年後の未来から振り返ったときに、この二〇二〇年にスマート東京の実現に向けて始めた取り組みの一つ一つが、必ず東京、そして未来の都民にとってかけがえのないものになると私は信じています。
 引き続き、議会から提言を続けていくことをお誓いし、私の質疑を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 鈴木邦和議員の一般質問にお答えいたします。
 官民連携データプラットホームについてのお尋ねでございます。
 世界的な潮流として、現在、二十一世紀の石油ともいわれますデータを活用した社会的課題の解決やビジネスが活発に展開をされており、データの重要性がますます高まっていることは鈴木議員ご指摘のとおりでございます。
 そこで、都は、このデータを人や物の移動、キャッシュレスの推進、ウエルネスなどさまざまなサービスの分野で活用して、稼ぐ力と都民のQOL、生活の質の向上につなげるために、官民連携データプラットホームの構築を行うことといたしました。
 こうした取り組みの成功の鍵を握るのは、都の行政データの積極的な公開はもとより、ご指摘のとおり、個人や民間企業からいかにデータを提供してもらえるかにかかっております。
 そこで、先般策定いたしましたデータプラットホーム構築の基本方針におきましては、プラットホームの目指す姿を明確にするとともに、個人情報の保護とデータの利活用促進との両立を図るためのポリシーを作成することといたしております。
 また、サービス分野ごとに産学官の協議の場を設けまして、さまざまなデータの掛け合わせによる具体的な活用事例の創出などを行って、データ利活用のメリットを示すことといたしております。こうした取り組みを通じまして、個人や民間企業がデータを提供しやすい環境をつくってまいります。
 今後は、官民連携データプラットホームを通じた先駆的で質の高い多様なサービスの社会実装に取り組みまして、都民のQOL、生活の質の向上、そして都民ファーストで豊かな社会の実現を目指してまいります。
 残余のご質問につきましては、副知事、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 都市OSについてでございますが、都市とそこで活動する人を深く知ることは、よりよい行政サービスの提供に欠かせません。
 私たちは、さまざまな情報システムを構築し、データを保有、集約することで、その知る仕組みをつくってまいりました。
 しかしながら、これらの情報システムは、分野ごと、組織ごとに独立して整備をされ、データの利活用も、その分野ごと、組織ごとにとどまってまいりました。それでは木を見て森を見ずに陥りかねず、都市全体を理解することが困難になります。
 都市全体を今よりも俯瞰的に理解するためには、横串を刺した情報システム、すなわち都市OSを構築し、横断的に情報を集約する必要があります。
 海外を見渡せば、バルセロナ、シンガポールなどでは、都市OSを構築し、スマートシティーの先行的な取り組みを行っております。そして、東京でも、組織を超えたデータ利活用の仕組みづくりが始まっております。
 例えば、公共交通オープンデータ協議会では、世界一複雑といわれる東京の公共交通のスムーズ化を目指し、鉄道、バス、航空など、民と官、組織の壁を超えた公共交通データの横断的なオープン化に取り組んでおります。
 スマート東京の実現に向けては、独立したシステムを横に連携させてデータ利活用の仕組みをつくるとともに、産学官のあらゆる主体が自由に参加できるようなオープンな都市OSが重要になります。
 今後、都では、国のデータ収集にかかわる基盤整備の動向等も注視をしながら、東京における都市OSのあり方について検討を進め、整備を促進してまいります。
 東京を、より深く、より早く知ることで、分野や組織を超えたデータの共有とサービスを連携することを実現し、都市活動全体の最適化を目指していきたいと考えております。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 鉄道の混雑緩和に向けた取り組みについてでございます。
 都では、スムーズビズに取り組み、オフピーク通勤などを促進しておりますが、これに加えまして、輸送力強化の観点などから、鉄道事業者による運行システムの改良などさまざまな対策を進め、混雑をさらに緩和していくことが重要でございます。
 都は今年度、有識者や鉄道事業者とともに研究会を立ち上げ、輸送力強化等の観点から中長期的に実現可能な施策の検討を開始いたしました。
 この中で、例えば列車の運行間隔をより柔軟に調整することが可能な次世代の列車制御システムなど、先端技術を活用した対策とその課題、実現可能性について検討を進めております。
 こうした場も活用し、引き続き、鉄道事業者と連携を密にしながら、混雑緩和の対策を促進してまいります。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 四点のご質問がございました。
 まず、電力データの活用等についてでございますが、電力の使用データや電力取引で得られるデータは、いわゆる省エネの推進に有用であることは間違いないんですが、例えば、エネルギー使用から見えてきます個人の生活スタイル、これを保険料などに反映させることができないか、そういった可能性もあるため、金融業界等の他業種からも注目されているところでございます。
 このため、都は来年度から、新たなプラットホームビジネスとして注目されております個人間電力取引、いわゆるピア・ツー・ピア電力取引の実証実験を通じまして、電力データを収集し、活用方法を検証することで、電力データの二次利用を後押ししてまいりたいと考えております。
 これらの取り組みによりまして、プラットホームビジネスの活性化を図るとともに、電力データの活用モデルを構築してまいります。
 次に、ウエルネス分野のデータ利活用についてでございますが、新たなウエルネスソリューションを創出するためには、データに基づき有効性のエビデンスを取得することが重要でございます。
 このため、都は来年度から、スタートアップ、企業、大学、区市町村等の連携を促すネットワーキング、あるいはモデルプロジェクトの支援等を行うこととしております。
 これらの主体が連携することにより、例えば、区市町村が住民の同意をとった上で提供する健診データ等を活用する、次に、企業が生活習慣病等を予防するサービスを展開する、さらに、大学がエビデンスの取得についてアドバイスを行う、こういったことが可能になると考えております。
 本事業を通じまして、社会的、経済的にインパクトのあるウエルネス分野のデータ利活用を促進してまいります。
 次に、EBPMについてでございますが、証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMは、政策目的の明確化とその最適化を目指すものでございまして、統計等のデータ活用が不可欠なものでございます。
 都では、EBPMにも資する官民連携データプラットホームを構築いたしまして、さらに、デジタルツインの実現を目指しているところでございます。
 デジタルツインにおきましては、現実空間でリアルタイムなデータを取得後、それらを仮想空間でさらに分析、シミュレーションいたしまして、その結果を現実空間にフィードバックすると、そういったことを目指してまいります。
 そして、このデジタルツインを、ご指摘の分野共通のシミュレーション、あるいは因果関係の分析などさまざまな分野で活用するよう検討してまいります。
 最後でございますが、オープンガバメントの推進についてでございます。
 都の施策を都民にわかりやすく届けていくとともに、都民の行政に対するニーズや各施策への評価を施策に反映していくこと、これは非常に重要なことでございます。
 都ではこれまでも、SNSなどを活用いたしまして、積極的に情報を発信しております。昨年は、都政情報をよりわかりやすく提供するダッシュボードを構築したところでございます。
 来年度、新たに、オンライン調査やSNS分析など民間企業のICTサービスを活用いたしまして、より迅速に都民ニーズや社会情勢の把握を行いまして、施策の検討、実施につなげる取り組みを開始いたします。
 今後、こうした取り組みを通じて、これまで捉え切れなかった都民の声も含めたより広範な都民ニーズ等の把握に努め、オープンガバメントを推進してまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) ヒートアイランド対策に関するデータの収集、活用についてでございますが、近年、東京では猛暑日や熱帯夜が増加しており、都民の生活環境の改善という観点から、ヒートアイランドの対策を進めていくことは重要でございます。
 そこで、都は、遮熱性舗装等の整備や緑化、ミスト設置費用の補助等の暑さ対策を推進してまいりました。
 また、東京都環境科学研究所において、ヒートアイランド現象の実態調査を実施してまいりました。
 来年度は、こうした対策に加えまして、新たにICT技術を利用した暑さに関するデータ収集を行っていく際の場所や時間帯などの条件を整理いたしまして、その活用に向けた課題等を検討する調査を実施いたします。
 今後、こうしたさまざまな取り組み等を着実に進めながら、ヒートアイランド対策を促進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道スマートメーターの今後の取り組み方針についてでございますが、スマートメーターの導入により、水道水の流れを詳細に把握することができるため、その都内全域への展開は、施設の効率的な維持管理やお客様サービスの向上に加え、さらには見守りサービスやビッグデータの活用等、水道事業以外の都政への貢献が広く期待できます。
 そのため、二〇二二年度から、選手村跡地に整備されます住居約六千戸への導入を皮切りに、都内十万個規模の実証実験を開始いたします。
 実験では、西新宿などのスマート東京先行実施エリア等への設置も予定しており、実験の全体像やデータの活用方法等につきまして、年度末までにプランとしてまとめてまいります。
 こうした都の率先した取り組みの発信や、他の大都市と連携した市場拡大など、実用化に向けた取り組みを着実に進め、二〇三〇年代の全戸導入につなげてまいります。
 次に、水道スマートメーターの導入の進め方についてでございますが、実証実験では、将来の全戸導入を視野に入れた機器の開発や、データを集約して運用するデータセンターの構築を経まして、当初予定を一年前倒しし、二〇二四年度までに都内のさまざまな場所に十万個規模のスマートメーターを設置いたします。
 また、実験のスタートとなります選手村跡地の住居への導入後、速やかに晴海地区全体に導入を広げて、そこを先行モデル地域といたしまして、水運用の効率化や水道管などの施設規模の最適化、きめ細かなお客様サービスの実現など、都内各地域での本格運用等を想定した効果検証をいち早く実施いたします。
 今後、これらの実証実験に加え、進展著しいICTの動向や市場拡大によるコスト縮減効果などを踏まえつつ、スマートメーターの全戸導入に向けた取り組みをスピード感を持って着実に進めてまいります。

○議長(石川良一君) 二十六番森澤恭子さん
〔二十六番森澤恭子君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○二十六番(森澤恭子君) 無所属東京みらいを代表して、一般質問を行います。
 国連の関連団体が発表した世界幸福度ランキング二〇一九において、日本は先進国最低レベルの五十八位であり、特に自由さや社会的寛容さが順位を下げる要因となっています。
 二年連続一位であるフィンランドと日本を比較した有識者は、フィンランドは、勉強、就職、結婚、出産、転職と、さまざまな人生の場面で本人の事情や希望に応える選択肢があり、年齢、性別、家庭の状況といったことが選択を限定する要素になりにくいと指摘しています。逆にいうと、日本はまだまだ自分らしく暮らしていくことに対するハードルがあると考えられます。
 そういった中で、まだ顕在化していないニーズまで的確に把握し、一人一人の困りごとや生きづらさを解消していくことで、都民の満足、ひいては幸福度を向上させていく都政へと転換していかなくてはならないと考えます。
 そこで、新たな都政改革ビジョンにおいて、都政が追い求めるものとして都民の幸せを位置づけた意味について伺うとともに、都民の幸せをどのように捉え、実現していこうと考えているのか、見解を伺います。
 私たちの独自調査では、満足度の向上とともに、不便や不安などの不を解消することが、幸福度を高める両輪になっていることが見えてきました。年代や性別などによって、何に幸せを感じるかは異なるという傾向もわかりました。幸せとは何か、さまざまな知見を集めて、その指標を定めていくとともに、広域行政体としての都の果たすべき役割とは何か、常に自問自答していくべきであると指摘しておきます。
 未来の東京戦略ビジョンの基本戦略には、民間企業等、多様な主体と協働して政策を推し進める、協働スタイルを定着するとあります。課題に対して、その解決を心から望むプレーヤーの一人として、官と民が互いの強みを生かし合っていくフラットな関係性が、都民の暮らしをより幸せなものにしていくと確信しています。
 しかし、これまでの官民の関係性においては、発注者と受注者という縦の関係が強く出ることで、民間の発想が制限されたり、コストの削減だけに主眼が置かれたり、あるいは民間に任せ切ってしまうケースが散見されました。
 官民連携の効果を高めるには、行政が発揮すべき強みを正しく理解して、ケースごとにカスタマイズしていくことが求められると考えます。
 例えば、行政が規制緩和や実証実験の場の提供などに取り組むことが、民間のイノベーション創出を後押しすることになります。また、NPOなどの民間団体が困難を抱える方に対して長期的かつきめ細やかな支援を行う場合には、財政支援が活動の持続可能性を高めることにつながります。
 そこで、今後の官民がどのような協力連携体制を構築していくべきと考えているのか、そのために必要な都庁職員自身の意識変容、行動変容を促すためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 組織や分野を超えた取り組み、つまり越境によるプラスの効果は、官民の連携のみならず、庁内の関係においてもいえることです。東京の魅力をさらに高めていくためには、関係各局が組織の垣根を超えて知恵を出し合い、協力していくことが当たり前の都政へと転換を図る必要があると考えます。
 例えば、未来の東京戦略ビジョンには、文化、エンターテインメント都市の実現を目指し、二〇三〇年の訪都外国人旅行者数を三千万人とする政策目標を掲げていますが、ここは世界の各都市がしのぎを削る競争の激しい分野でもあります。世界と戦っている都市戦略を構想し、実現していくためには、関係各局がその英知を結集させる必要があります。
 国では、文化観光の推進に関する法律案が閣議決定されるなど、文化と観光の相乗効果を図ろうとする動きが見られます。国内外から人を呼び込む上で、東京に集積する伝統文化のみならず、アート、ポップカルチャーなどの文化資源は大きな武器となることはいうまでもありません。
 そこで、観光振興における文化資源の活用について、これまでの取り組みと今後の方向性について伺います。
 次に、幸せに生きていくための価値観の転換を促す施策について伺います。
 私は常々、早く女性活躍という言葉がなくなってほしいと述べていますが、戦略ビジョンにおいて、女性活躍という言葉が使われなくなっている未来を示していることを歓迎するものです。とはいえ、まだまだ女性に家事、育児の負担が偏っているのが現実であり、男性の家事、育児分野での活躍が必要です。そのためには、男性の育休取得が有効であることが内閣府の調査でも示されており、取得については少しずつ社会の機運が高まりつつあるところです。
 一方で、民間調査では、育休を取得した男性のおよそ三人に一人が、一日当たりの家事、育児時間が二時間以下である、とるだけ育休の状態にあることが明らかになりました。
 また、別の調査では、産前講座において、父親の出産や育児へのかかわり、つまり父親になるための具体的な準備を教えてほしかったという声が挙げられています。
 そこで、男性の家事、育児参画については、意識の啓発だけでなく、具体的なアクションにつなげる段階に来ていると考えますが、都の見解を伺います。
 スマート東京実施戦略には、都のミッションとして都民のクオリティー・オブ・ライフの向上が示されました。そこには、防災、教育、働き方などの分野が挙げられていますが、家事、育児についても、その中心に位置づけるべきであると考えます。
 先日アメリカで行われたテクノロジーに関する世界的なカンファレンス、CES二〇二〇では、スマートおむつなどのベビテックを初めとする家事や子育てをテクノロジーでスマート化させていくファミリーテックに注目が集まりました。
 家事、育児におけるテクノロジーの活用は、女性に偏りがちな家事、育児の負担軽減や性分業の是正につながり、家族全体の関係性や生活の質の向上に寄与すると期待するものです。
 そこで、今後、スマート東京実施戦略を進めていく上では、家事、育児分野にも注力していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 未来の東京戦略ビジョンには、出産、子育てを社会全体でサポートするとありますが、全ての親子が居場所や仲間につながり、社会全体で支え合うことで、孤独な子育てを減らしていく子育ての社会化を進めていかなくてはなりません。これまで当たり前とされてきた子育ての価値観と仕組みの転換が急務であると考えるものです。
 まず、産後ケアについて伺います。
 子育ての不安や心身の不安定さにより、出産直後の女性の約八割が産後鬱状態あるいは予備軍となり、約五割が虐待の一歩手前であったという調査もあります。その割合を少しでも減らすために、体を回復させながら、なれない子育てをサポートしていく産後ケアは非常に重要です。特に、核家族などにより親に頼れない夫婦の多い東京においては、実家にかわる機能を担う宿泊型の産後ケアの必要性が高いと考えます。
 一方で、宿泊型産後ケア施設でお話を伺うと、二十四時間体制で助産師など専門職を配置し丁寧なケアを行っていくためには、産後ケア事業のみで運営費を賄うのは難しいということでした。
 昨年、改正母子保健法が成立し、来年度から産後ケア施設の創設費については国が支援する方向が示されていますが、質の高い産後ケアサービスを提供するには支援が十分でないと危惧するところです。
 今後、質の高い産後ケア事業をより一層広げていくためには、事業者への財政的支援も必要であると考えますが、まずは、区市町村における産後ケアについて、その手法ごとの効果や課題を把握し、より一層適切な支援を講じるべきです。
 そこで、このたび、とうきょうパパママ応援事業における産後ケア事業への補助率を引き上げた狙いについて伺います。
 地域での子育て支援を充実させることは、虐待へと向かってしまう、その可能性の芽を一つでも多く摘み取ることにもつながります。
 兵庫県明石市で導入が予定されているおむつ宅配は、おむつを無料で届けることで、母子の健康状態や虐待の有無を把握し、適切な支援につなげる取り組みとのことです。支援が必要な人をただ待つのではなく、積極的に働きかけていくアウトリーチ型の取り組みが都においても広がることを期待するものです。
 そこでお伺いします。
 都は、現在行っている在宅子育て支援におけるアウトリーチ型の施策について、その成果を捉え、示すとともに、アウトリーチ型の施策に取り組む区市町村をさらにふやしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、困難を抱える女性の支援について伺います。
 都内のDV相談件数は年々増加傾向にあるにもかかわらず、婦人保護施設の入所数は低迷しています。心身にダメージを負った女性に対して、中長期的に寄り添った支援を行う婦人保護施設には非常に重要な役割があります。
 しかし、携帯を預けなければならないなどのルールにより、社会から断絶されてしまうといったイメージなどから、施設入所に抵抗感を持つ女性も多く、正しい理解を促し、より多くの方に支援が届くよう取り組むべきです。
 昨年、厚生労働省が示した婦人保護事業の運用面における見直し方針では、一時保護委託の積極的活用や民間シェルター等の一時保護委託先からの婦人保護施設への直接入所措置など、運営面の改善も図るべきとの指摘もあるところです。
 そこで、周知啓発や運営改善などにより、婦人保護施設がより活用されるよう取り組むべきだと考えますが、今後の方向性について伺います。
 困難を抱える女性の避難先として、民間シェルターの存在も重要です。さまざまな当事者ニーズに寄り添った伴走型の支援が行われ、行政の手が届きにくい領域において、セーフティーネットの役割を果たしています。
 一方で、財政的にも人材確保の面でも厳しい状況にある団体が多いのが現状であり、活動を休止する団体も出ています。来年度、国からの支援が検討されていますが、物価や家賃の高い東京においては、活動を持続させていくための恒常的な財政支援が必要であると考えます。
 そこで、このような行政を補完する役割を果たしている民間シェルターへの支援をさらに強化していくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、誰もが自分らしく生きていける社会、真のダイバーシティーの実現に向けた取り組みについて伺います。
 日本の幸福学の第一人者といわれる前野隆司氏によると、幸せを構成する四つの因子の一つに、ありのまま、自分らしさを挙げています。
 一昨年制定された人権尊重に関する条例では、性自認や性的指向による差別的取り扱いが禁止され、まさに、ありのままの自分を受け入れ、大切にできる社会を目指すという方向性が示されたものと考えます。
 その後、茨城県や大阪府では公営住宅に入居可能なパートナーシップ宣誓制度がスタートする中、都においては、さらに実効性ある施策を求める声も上がっています。
 昨年末に策定された東京都性自認及び性的指向に関する基本計画には、住まいに関する困りごとを抱えるLGBT等性的マイノリティーの方々が一定数存在することが示されています。都内の自治体でもパートナーシップ制度の導入が広がりを見せており、都営住宅における同性パートナーの入居についても、具体的な検討を進めていくべきであると考えます。
 基本計画では、都営住宅における同性パートナー入居について、人権を取り巻く社会の動向等を踏まえ管理制度等における取り扱いについて検討とありますが、今後どのような検討を進めていくのか、見解を伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 日ごろより多様な課題の現場で奔走する中、議会との政策議論を重ねてくださる都庁職員の皆様に、心より敬意を表します。と同時に、私たち自身も研さん、努力を重ね、都民の幸せを追求するパートナーとして、引き続き、前向きな提案を重ねていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 森澤恭子議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民の幸せの実現についてでございますが、都民の安全・安心の確保、健康の維持など、都民福祉の向上は、都に課せられたミッションでございます。
 新たな都政改革ビジョンではこのミッションを、都民の幸せを実現すると表現し、都民の満足度を調査、把握することにより、都民の満足の向上に向けて、新たな政策の企画などへの活用を検討してまいります。
 次に、今後の官民の連携についてでございますが、政策イノベーションを生み出す都庁には、民間の発想、技術、知見を融合させた行政運営が重要でございます。
 新たな都政改革ビジョンでは、都が抱える課題の解決に向け、都と民間がパートナーとなり、互いに知恵を持ち寄って東京の成長を目指すため、より高い専門性とコミュニケーション能力を備えた職員の育成や、民間交流先の開拓、都庁外での経験や学び直しを促す仕組みの構築等を検討していくこととしております。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 文化資源を活用した観光振興についてですが、観光振興を進める上で、東京の多様な文化を観光資源として捉え、効果的に活用することは重要でございます。
 都はこれまで、地域ならではの伝統文化等を生かした誘客の取り組みへの支援や、ユニークベニューとして文化施設や庭園等の活用を進めてきたところでございます。
 今年度からは、外国人旅行者向けに観劇や文化体験等を一括して発信するウエブサイトや、オフィスビルでの音楽イベントなど夜間の時間帯を生かしたにぎわいの創出への支援も行っております。
 今後も、関係局とも連携しながら、国内外からの旅行者誘致に向けて、文化資源を活用してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、男性の家事、育児参画についてでございますが、女性も男性も輝く社会を実現するためには、男女が協力して家事、育児を担うことが必要であり、未来の東京戦略ビジョンの政策目標として、家事、育児関連時間の男女差半減を目指しています。
 このため、都は、夫婦やカップルがともに家事、育児について考えるシンポジウムを開催しております。
 また、ウエブサイトで家事、育児のノウハウや体験談等、男性の具体的な行動につながるヒントを発信しています。
 こうした取り組みにより、引き続き、男性の家事、育児参画の促進を図ってまいります。
 次に、民間シェルターへの支援についてでございますが、配偶者暴力被害者に対しては、きめ細かい支援が必要であるため、行政だけでなく、シェルター運営や同行支援等に取り組む民間団体の活動が重要でございます。
 そのため、都は、シェルターの安全対策や同行支援、講演会など、民間団体の自主的な活動に対して経費の一部を助成しております。
 さらに、来年度は、民間シェルター等の先進的な取り組みに対する国の交付金を活用し、支援を行うこととしております。
〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) スマート東京実施戦略における家事、育児分野についてでございますが、スマート東京実現に向けまして、デジタルテクノロジーの力で社会的課題を解決し、都民のQOL、生活の質を向上させることが大変重要でございまして、ご指摘の家事、育児にもデジタルテクノロジーの活用が考えられるところでございます。
 スマート東京実施戦略の中では、防災、まちづくり、モビリティーなどのサービス分野を例示という形でお示ししておりますが、家事、育児の分野におきましても、最新のテクノロジーを活用した子供の健康管理や、あるいは家事や育児のサポートなどサービスの向上が期待されるものでございます。
 今後は、関係各局とも連携を図りながら、データとテクノロジーの活用を通した家事、育児の分野での取り組みを検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、産後ケア事業についてでありますが、産後ケア事業は、周囲の支援が十分に得られない妊産婦が少なくない中で、身体的回復を促すとともに産後鬱等の予防にも資する重要な取り組みであり、区市町村が実施することとされております。
 都は現在、産後ケア事業を行う区市町村に対し運営費等を独自に支援しており、今年度は三十三の区市町が実施しているところでございます。
 来年度からは、専門職による妊婦への面接等とあわせて本事業を行う場合、区市町村負担分を都が全額補助することとしており、これにより、区市町村の事業への着手や事業内容の充実を促し、産後の支援体制の整備を進めてまいります。
 次に、在宅子育て家庭へのアウトリーチ型支援についてでありますが、都は、産前産後の体調不良などにより家事や育児が困難な家庭等に対する育児支援ヘルパーや傾聴ボランティアの派遣など、区市町村が地域の実情に応じて実施するアウトリーチ型支援を包括補助等で支援しております。
 また、三歳未満の子供を在宅で育てる家庭を対象に、区市町村を通じて家事支援サービスの利用を支援するとともに、今年度から、食の支援を必要とする家庭等に調理を行うヘルパーを派遣する取り組みへの支援を開始しております。
 来年度は、未就園、不就学等で福祉サービス等を利用していないなど、関係機関が状況確認できていない子供のいる家庭を訪問し状況の把握を行う区市町村に対して、必要な経費の助成を行うほか、区市町村における効果的なアウトリーチ型支援の事例を紹介してまいります。
 最後に、婦人保護施設の活用についてでありますが、婦人保護施設は、入所者の安全・安心を確保するために秘匿性が高く、施設の機能や特性が十分知られていない面がございます。
 そのため、都は、秘匿性に配慮しながら、ウエブサイトで施設の紹介を行うとともに、区市町村の婦人相談員等による施設見学を実施しているところでございます。
 また、適切な支援につなげるため、施設への入所に当たっては、女性相談センターの一時保護所において医師や心理職などの専門職が相談者の状況を丁寧に把握しております。
 国は昨年度、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会を設置し、婦人保護事業の見直しについて検討しており、都は、国の動向を注視しつつ、引き続き、婦人保護施設を適切に活用してまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅の同性パートナーの入居についてでございますが、都営住宅では、使用者の資格の一つとして、東京都営住宅条例で、現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定しており、入居の際、親族関係については、住民票により確認しております。いわゆる内縁関係の方も、住民票上で確認できれば同居親族として都営住宅への入居が可能でございますが、同性パートナーにつきましては、親族関係の記載がないため、入居資格が確認できません。
 今後、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画も踏まえ、他の自治体における動向や課題等を調査するなど、都営住宅の管理制度等における取り扱いについて検討してまいります。

○副議長(橘正剛君) 十番山内れい子さん
〔十番山内れい子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○十番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワークの山内れい子です。
 スウェーデンの高校生の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの行動と賛同する世界中の若者が多くの国を動かし、日本でも若者たちが活動を始めています。フライデーズ・フォー・フューチャー東京の若者たちは、世界中の都市とつながりながら、グローバル気候マーチを開催し、東京都に気候非常事態宣言をするよう求めました。
 昨年末、都は、ゼロエミッション東京戦略を策定し、知事は記者会見で、気候危機行動宣言を表明しました。ぜひ知事にも、若者たちに会って、意見交換をしていただきたいと思います。
 今、危機を迎えている気候変動問題への取り組みについて、改めて知事の決意を伺います。
 市民団体や新聞社が行った自治体の電力調達の状況に関する調査報告書によると、二〇一一年の原発事故以降、調達先を新電力に切りかえていた自治体が、ここ数年の間に大手電力会社が安売りで巻き返しを図り、戻されたケースが多くなっています。調達に関する環境配慮の要件も自治体によって違います。
 ゼロエミッション東京戦略では二〇三〇年までに都有施設の使用電力を再エネ一〇〇%にするとしており、それを実現するためには、電気を調達する条件が重要になります。都は、グリーン電気の入札参加条件を設定していますが、このままでは再エネ一〇〇%を実現することができないので、変更をする必要があると考えます。調達の方針について伺います。
 インクルーシブ社会の実現について質問いたします。
 先ごろ、東京都社会福祉審議会が二〇二五年以降の将来を見据えた東京の福祉施策のあり方について意見具申を行いました。
 日本の社会保障制度が前提としてきた、家族がともに生活する、多くの人が結婚する、経済成長し財政が安定するといった条件が揺らぎ、単身や未婚、生活困窮などの増加が背景にあります。
 提言では、インクルーシブな社会環境を実現することが重要であり、社会全体の仕組みを変えていくよう述べています。対象者を高齢者や障害者、貧困などに分けて支援していた従来の福祉の概念を見直し、対象者を限定しない居場所づくりを進めることを盛り込みました。これまで生活者ネットワークが主張してきたインクルーシブな場づくりがようやく動き出すと大変期待をしています。
 こうした提言についてどのように受けとめているのか、都の見解を伺います。
 インクルージョンの考え方は、縦割りでやってきたこれまでの行政の制度を変えることです。例えば、労働は産業労働局所管ですが、障害者の福祉的就労や生活困窮者の中間的就労は福祉保健局で、対象者だけでなく、同じ個人でも状況によって施策が違っています。ソーシャルファームは、まさに労働分野でインクルーシブな場をつくるため、労働と福祉の横断的な視点が必要です。
 地域では、多くのNPOや民間が高齢者や障害者の居場所づくりなどに取り組んでいます。また、就労が困難な人たちが、カフェなど居場所だけでなく就労の場として、多様な人たちがともに働いているNPOもあります。そのような活動への支援として、場所の提供や運営費の補助などが考えられるところです。
 今後進められるソーシャルファームには、こうした民間やNPOの活動も参考にする必要があると考えます。都のソーシャルファーム創設に向けた今後の取り組みについて見解を伺います。
 子育て支援について伺います。
 妊産婦の死亡原因のトップが自殺というショッキングな事実があります。この自殺数は同世代の一般女性の約三分の二に及び、妊娠二カ月、出産後は三、四カ月が多いという東京都の実態調査です。
 自殺する妊産婦の割合をイギリス、スウェーデンと比べると、日本人女性は突出しているのだそうです。こうした背景には、産前鬱、産後鬱があるといわれています。妊娠、出産による心身の変化に不安を抱くことは誰にでもあります。重篤にならないように、一人で抱え込まず、SOSを出しやすい状況をつくることが重要です。
 産前鬱を防ぐために、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
 出産後、生活は一変します。赤ちゃんが泣きやまない、夜寝てくれない、三時間置きに授乳しなくてはならないなど、想像以上にストレスとなります。その上、自分の体もホルモンバランスが急変するため、精神的に不安定になりやすいのです。
 家に来てくれる家事、育児のサポートや、昼間、お母さんが一休みできるデイサービスなど、子育てに寄り添う身近な支援として要望が特に高くなっています。
 しかし、生活者ネットワークが調べたところ、自治体の取り組みには格差があり、支援を受けられない現状があります。
 産後の支援を進めるための都の取り組みについてお伺いいたします。
 産後鬱を防ぐには、リスクが高まる出産から二週間後をピークに、およそ一月の短い期間に健診や訪問などをして早期発見することが重要だといわれています。
 産婦健康診査事業の目的と取り組みについてお伺いいたします。
 子育ての大変さは、多子、多胎児や共働き世帯も切実です。行政の支援メニューの情報や近所の人に支援を求める余裕もなく、孤立してしまいます。
 実際に、共働き家庭で子供の一人が突如入院という事態になったとき、病院で付き添いが求められ、残された子供の世話や職場への了解、保育園への送り迎えの手配など、さまざまな困難が一気に押し寄せました。自治体にはすぐに対応できるメニューはなく、夫婦で解決するしかないため途方に暮れてしまうのが現状です。不測の事態には、所得や家族状況などの制限なく、ベビーシッターを活用できるようにすることが必要です。
 都は来年度から、ベビーシッター利用支援事業を拡充するとのことですが、共働き世帯や多胎児世帯がより使いやすい制度とすべきと考えますが、見解を伺います。
 赤ちゃんが頭を打って病院に駆け込んだら、突如、子供が一時保護になり、親子分離される例が後を絶ちません。急性硬膜下血腫、眼底出血、脳浮腫の三症状があると、乳幼児揺さぶられ症候群で虐待が疑われるためです。
 小児脳神経外科の専門医によると、この症状は家の中で転んだり、倒れたりするときにも起こり得るため、虐待とは無関係でありながら親子分離されることは、子供の育ちに影響を与えるとのことでした。
 病院は、児童相談所に通告するルールがあり、児相が判断して親子分離となります。こうした不幸な事件を防ぐためには、突然の事故であっても、児相は家庭状況や子供の生育状況なども含めて、総合的かつ慎重に判断する必要があります。
 的確な判断には医療の専門職も活用し、医療機関への調査などを十分に行った上で対応することが重要と考えますが、見解を伺います。
 三つの区で、ことしいよいよ児童相談所が動き出します。各地域では準備が進められていますが、区児相が地域の子供を地域で支えることを実践すると同時に、都や他地域と連携していく必要があります。
 都は、広域という観点から、人材育成や施設の広域利用、個別事案に関する情報共有など、継続的な支援が必要です。準備段階と区設置後について、それぞれの支援のあり方について伺います。
 高校における知的障害のある生徒への支援についてお伺いいたします。
 中学校で知的障害特別支援学級を選択した場合、教科の成績がつかないので特別支援学校高等部しか進路の選択肢がなく、通常の高校受験はできないと思っている保護者がいます。特別支援学校の高等部を卒業しても高校卒業資格にはならず、特別支援学校の高等部の修了資格のみです。社会に出てから高卒資格がないことは、今の社会において大きなハードルとなっています。
 中学校の知的障害特別支援学級から高校の卒業資格を目指し都立高校に入学を希望している生徒、保護者がいますが、都立高校における知的障害のある生徒への指導と支援についてお伺いをいたします。
 都立のエンカレッジスクールやチャレンジスクールもありますが、倍率が高く、学ぶ意欲があっても特別支援学級の子供にはハードルが高い。結果として、多くの子供たちは高卒資格を得るためにサポート校のある私立通信制高校に通うため、学費が年間百万円以上かかるなど、経済的な負担が大きいと聞いています。私立通信制高校の生徒の相当数がサポート校を利用していると見られています。
 知事は、代表質問で、都認可以外の通信制高校の授業料負担軽減について検討すると答弁いたしました。
 改めて、都認可以外の通信制高校に在籍しサポート校を利用する生徒を、都の授業料実質無償化の対象とすることが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、外国にルーツを持つ子供の学ぶ権利について伺います。
 昨年の四定の文書質問の答弁で、文部科学省が実施した外国人の子供の就学状況等調査結果速報によると、都における学齢相当の外国人の子供の人数は二万五千二百七十一人、そのうち就学状況を確認できない子供は四千七人いるということが明らかになりました。日本語指導が必要な児童生徒が、実際に日本語指導を受けているのか実態も不明です。子どもの権利条約などを踏まえ、子供が学ぶ権利を保障し、教育環境を整えることは喫緊の課題です。
 外国人児童生徒の現況について、文部科学省の調査では把握し切れなかった事柄について、改めて都は、丁寧な調査を行い、課題を明らかにし、必要な対策を講ずる必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 義務教育制度は国によって異なるため、就学案内や促進には、言語だけでなく文化の違いも含めて丁寧に行う必要があります。区市町村からは、就学案内や教育制度、学校生活のガイダンスなどのパンフレット等について多言語対応が十分に行えない状況があると聞いています。
 区市町村で共通する情報などについて、都がひな形を提供することが必要と考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 最後に、羽田新飛行ルートについてです。
 都心の低空を通る新ルートは、反対する多くの声を無視して、三月二十九日から運用されます。先日、実機飛行が行われましたが、これまで関心のなかった人もそれに気づき、間近に飛ぶ飛行機の巨体に驚き、騒音のすさまじさに耳をふさぎました。命の危機を感じた住民の間に不安が高まり、日に日に中止を求める声が広がっています。
 地域住民の理解を得るためには、関係自治体との意見交換の場は欠かせません。各自治体から意見、要望が寄せられていると思いますが、その対応についてお伺いいたします。また、関係区市連絡会の開催状況についても伺います。
 住民が心配しているのは、騒音や落下物だけでなく、都心を急降下するのは技術的に難しく、墜落事故が起こるのではないかということです。
 住民の理解が得られない以上、新ルートについて計画の見直しを改めて求めるものですが、都の見解をお伺いいたします。
 以上、都議会生活者ネットワークの質問といたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山内れい子議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、気候変動対策への取り組みについてお答えをさせていただきます。
 近年、世界や日本において、記録的な猛暑、豪雨に見舞われるなど、気候変動の影響は既に私たちの身近に及んでおります。地球環境を取り巻く問題はまさに歴史的な転換点を迎えているといってもいいでしょう。
 こうした中、都民の生命、財産を守って、都市としてさらに発展を遂げるために、気候変動の危機に立ち向かうためのビジョン、具体的取り組み、ロードマップを取りまとめましたゼロエミッション東京戦略を昨年末発表いたしております。
 あわせまして、危機感を表明して訴えるだけではなく、行動を起こすことが重要との認識のもとで、気候非常事態という表現を超えて、気候危機行動宣言を表明いたしました。
 都民や企業を初め、多様な主体に共感と協働、ともに働くことを呼びかけて、ともに気候危機に立ち向かう行動を推進してまいります。
 残余のご質問は、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、都立高校における知的障害のある生徒への指導と支援についてでございますが、知的障害を含め、障害のある生徒が豊かで充実した学校生活を送るためには、障害の種類や程度を的確に把握した上で、一人一人に応じた学習環境を整えることが求められております。
 そのため、都教育委員会は、校長が教員の中から指名した特別支援教育コーディネーターを中心として、個に応じた指導内容や指導方法を検討し、学校全体で組織的、計画的に実施するよう指導しているところでございます。
 また、障害のある生徒を学校生活におけるさまざまな場面で支援するため、必要に応じて都立高校に非常勤の介助職員を配置しております。
 次に、外国にルーツを持つ子供の学びについてでございますが、都内外国人の児童生徒の就学実態を把握した上で、教育機会の確保に向けた取り組みを進めていくことは重要でございます。
 都教育委員会は、文部科学省が行いました外国人の子供の就学状況等調査の結果を受け、現在、幾つかの区市を選定し、ヒアリングを始めたところでございます。
 今後、国の調査や都教育委員会のヒアリング結果などを分析し、外国人の児童生徒を就学につなげる円滑な取り組み事例や課題等の洗い出しを行ってまいります。
 最後に、就学案内等の多言語での対応についてでございますが、外国人の児童生徒の就学を推進する手段の一つとして、区市町村が就学案内などの情報提供を多言語で行うことは有効でございます。
 都教育委員会はこれまで、外国人向けに就学に関する情報を日本語や英語によりホームページに掲載をしてまいりました。
 また、本年度からは、就学手続や学習指導の際、教職員と外国人の児童生徒やその保護者との会話を円滑にすることができる多言語翻訳システムの導入に対し、区市町村への補助を実施しているところでございます。
 今後は、就学手続や学校での生活などを、外国人の児童生徒に対し、区市町村教育委員会が多言語でわかりやすく案内できるよう取り組んでまいります。
〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕

○東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の機能強化に関する意見についてでございますが、都及び関係自治体は、機能強化に関する連絡会を設け、主に部長級の幹事会を活用して、率直な意見交換を重ねてまいりました。
 そこでの意見も踏まえて、国に対し、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を要請してきており、国は、五期にわたる住民説明会の実施や、低騒音機の導入促進を図るための着陸料の見直し、航空会社への世界的に類を見ない落下物防止対策の義務づけなど、総合的な対策を実施してまいりました。
 昨年の七月の連絡会で、改めて関係自治体の意見を取りまとめて国に提示し、その結果、国は、六期目の住民説明会の開催や、着陸高度のさらなる引き上げなど、より踏み込んだ対策を実施いたしました。
 引き続き、関係自治体と連携し、丁寧な情報提供や対策の着実な実施を求めてまいります。
 次に、羽田空港の新飛行経路についてでございます。
 東京の国際競争力の向上や東京二〇二〇大会の円滑な実施のため、羽田空港の機能強化は極めて重要でございます。
 これまでも都は、国に対して丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてきており、それを踏まえて、国はさまざまな対策を実施してまいりました。
 着陸時の進入角度を三度から三・五度に引き上げたことも騒音対策の一つであり、国は、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準にのっとっており、安全性が確保されるものとしております。
 都としては、都民の理解がさらに深まるよう、引き続き、国に対し取り組みの着実な実施を求めてまいります。
〔環境局長吉村憲彦君登壇〕

○環境局長(吉村憲彦君) 都有施設における再生可能エネルギー電力の調達方針についてでございますが、都は、入札等により電力を調達する際の環境配慮として、東京都グリーン購入ガイドにおいて、CO2排出係数や再エネ利用率等の水準を設定し、再エネ電力の調達を図っているところでございます。
 あわせて、来年度、都内産卒FIT電力等を利用した再エネ一〇〇%電力を複数の都有施設で導入する都庁電力プランを実施いたします。
 今後、こうしたさまざまな取り組み等を着実に進めながら、都有施設における再エネ電力の利用を拡大してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都社会福祉審議会の提言についてでありますが、今期の東京都社会福祉審議会では、二〇二五年以降の将来を見据えた東京の福祉施策のあり方をテーマに中長期的な視点から検討がなされ、今月十三日に意見が取りまとめられました。
 その中では、今後の福祉施策の構築に当たって踏まえるべき論点として、インクルーシブな社会環境の実現、地域生活課題への対応、人と人をつなぐ場や災害等に備える地域づくりなどが提言されており、都といたしましては、これを尊重し、今後、施策を検討する際の参考としてまいりたいと考えております。
 次に、産前鬱の予防についてでありますが、都では、妊娠相談ほっとラインで、妊娠や出産に関するさまざまな相談に看護師等の専門職が電話やメールで助言等を行っており、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげております。
 また、妊娠届け出時の面接等を通じて、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる区市町村を支援しており、来年度は、とうきょうママパパ応援事業を開始し、区市町村への支援を強化してまいります。
 次に、産後の支援についてでありますが、都は現在、産後ケア事業を行う区市町村に対し運営費等を独自に補助しており、来年度は、区市町村の事業への着手や事業内容の充実を促すため、とうきょうママパパ応援事業により、専門職による妊婦への面接等とあわせて本事業を行う場合、区市町村負担分を都が全額補助することとしております。
 また、一歳未満の子供を持つ家庭の育児負担を軽減するため、産後の母子に寄り添い、家事、育児を行うサポーターの派遣に取り組む区市町村への補助を開始するなど、産後の支援の充実を図ってまいります。
 次に、産婦健康診査事業についてでありますが、産婦健康診査事業は、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図ることを目的に、区市町村が、出産後間もない時期の産婦に対し、母体の身体的機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握等を行うものであります。
 都は、区市町村の取り組みを促すため、昨年度から、健診に係る費用を独自に支援する仕組みを開始いたしました。
 現在、医療機関での産婦健康診査の対応状況を把握するため、産後二週間健診の実施や産後鬱病質問票の活用等について調査を行っており、今後、区市町村に調査結果を提供し、事業の実施を促してまいります。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてでありますが、都は平成三十年度、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するため、ベビーシッター利用支援事業を開始いたしました。
 来年度からは、本事業で養成している保育人材を有効に活用し、子育て家庭を幅広く支援するため、日常生活上のさまざまな事情による一時的な保育や、ベビーシッターと一緒に育児を行う共同保育を必要とする保護者を新たに助成対象としております。
 この助成単価は、保護者の負担が認可保育所等での一時預かりと同程度となるよう、一時間当たり二千五百円に設定し、都がその費用を負担いたします。
 また、育児にかかる負担が特に大きい多胎児家庭につきましては、利用時間の上限を拡大するなど、より使いやすい制度としてまいります。
 次に、乳幼児揺さぶられ症候群が疑われる際の対応でありますが、乳幼児揺さぶられ症候群は、頭部の受傷により後遺障害などを引き起こし、最悪の場合は死に至る場合もございます。
 児童相談所は、医療機関から揺さぶられによる虐待の疑いの通告を受理した際には、虐待に該当するかどうか等について丁寧な調査と慎重な判断を行っているところでございます。
 具体的には、保健師資格を持つ医療連携専門員が、必要に応じて児童福祉司とともに速やかに医療機関に赴き、医師や保護者等から、子供の病状把握、受傷に至った原因や経過等に関する情報を総合的に収集しております。
 また、児童相談所では、法医学、眼科、放射線科などの医師を協力医師として登録しており、こうした医師によるセカンドオピニオンを得た上で、児童の安全を第一に考え、援助方針を検討し決定しております。
 最後に、特別区の児童相談所への支援についてでありますが、都はこれまで、特別区からの求めに応じ、区の職員を派遣研修職員として児童相談所に受け入れるほか、児童相談行政について理解が深まるよう、虐待相談や非行相談、一時保護等に関する勉強会を実施してまいりました。
 来年度、三区が児童相談所を設置した後は、一時保護所や児童養護施設などを都区で広域的に利用するほか、児童相談センターで医師や心理職等により実施している治療指導事業について、区の児童相談所が対応する家庭も支援の対象といたします。
 また、地方自治体間の行政専用ネットワーク等を活用し、都区の児童相談所間で情報共有することとしており、今後とも、子供たちの安全・安心を確保する観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) ソーシャルファームについてですが、ソーシャルファームは、就労に困難を抱える方を多数雇用し、活躍する場を提供する新たな仕組みであり、その創設に向けて着実に取り組みを進める必要がございます。
 都は現在、支援対象とするソーシャルファームの認証基準と支援策を定める指針の策定に向けて、企業経営や就労支援の専門家等による検討会を設置し、検討を進めているところでございます。
 今後、検討会での議論を踏まえ、本年六月ごろを目途に指針を公表し、モデルとなる事業者を募集してまいります。
 こうした取り組みを進め、ソーシャルファームの創設を支援してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 通信制高校の授業料負担軽減についてでございますが、都認可の私立通信制高校に在籍する生徒の授業料に対しては、国の就学支援金と都の特別奨学金により、保護者の負担軽減を行っております。
 一方、都認可以外の私立通信制高校については、都の特別奨学金の対象となっていませんが、来年度から国の就学支援金が大幅に拡充され、年収約五百九十万円未満の世帯は授業料が実質無償化となります。
 なお、いわゆるサポート校は、通信制高校に通う生徒を授業とは別に学習面や生活面等で支援する民間施設であり、法令に規定する学校ではないため、授業料の負担軽減事業の対象外でございます。

○議長(石川良一君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(石川良一君) これより日程に入ります
 日程第一から第百九まで、第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算外議案百七件、諮問一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事長谷川明君。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) ただいま上程になりました百九議案についてご説明申し上げます。
 第一号議案から第二十八号議案までの二十八議案は、令和二年度当初予算でございます。
 東京二〇二〇大会を確実に成功させるとともに、成長と成熟が両立した輝ける未来の東京をつくる予算と位置づけ、編成いたしました。
 また、第百三号議案、第百四号議案、第百七号議案及び第百八号議案の四件は、令和二年度補正予算案でございます。
 都区財政調整及び新型コロナウイルス感染症への対応として、令和二年度予算を補正するものでございます。
 第一号議案は一般会計予算でございまして、第百三号議案及び第百七号議案の補正予算二件と合わせて、総額七兆三千八百九十三億円を計上しております。
 第二号議案から第十七号議案までの十六議案は、特別会計予算でございます。
 それぞれの事業に必要な経費として、第百四号議案の補正予算一件と合わせて、総額六兆百五十二億円を計上しております。
 第十八号議案から第二十八号議案までの十一議案は、公営企業会計予算でございます。
 病院、交通、水道、下水道などの経営に要する経費として、第百八号議案の補正予算案一件と合わせて、総額二兆八百五十一億円を計上しております。
 第二十九号議案から第七十七号議案までの四十九議案は、条例案でございます。
 まず、新設の条例が八件ございます。
 第二十九号議案、スマート東京推進基金条例外二件は、将来の財政需要への備えとして新たな基金を創設するものでございます。
 第三十二号議案、東京都知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例外一件は、地方自治法等の一部改正を踏まえ、知事等及び地方独立行政法人の役員等の損害賠償責任の限度額等を定めるものでございます。
 第三十八号議案、令和元年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例は、都区財政調整について再算定を行うものでございます。
 第四十号議案、東京都犯罪被害者等支援条例は、犯罪被害者等が受けた被害の回復や生活の再建を図るとともに、犯罪被害者等を社会全体で支え、誰もが安心して暮らすことができる社会の実現に寄与するため、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進するものでございます。
 第四十三号議案、東京都庭園美術館条例は、施設の利用に関する基本的な事項等を定めるものでございます。
 次に、一部を改正する条例が三十九件でございます。
 第三十四号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例は、令和二年度の職員定数を定めるものでございます。
 このほか、職員に関するものが四件ございます。
 第三十五号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、特別区における事務処理の特例に関する規定を改めるものでございます。
 このほか、区市町村に関するものが三件ございます。
 第四十二号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、固定資産税等の軽減措置を継続するものなどでございます。
 第四十七号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、改編に伴い、都立学校を廃止するものでございます。
 このほか、組織、施設に関するものが三件ございます。
 第四十八号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、法律の一部改正等に伴い、建築物エネルギー消費性能基準に適合している旨の認定の申請に関する手数料を新設するものなどでございます。
 このほか、使用料、手数料に関するものが八件ございます。
 第四十九号議案、東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例は、地域の特性に応じたプロジェクションマッピングの活用を図るため、プロジェクションマッピング活用地区に係る規定を設けるものなどでございます。
 第五十三号議案、東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例は、看護師等修学資金貸与事業の充実を図るものでございます。
 このほか、福祉に関するものが一件ございます。
 第五十七号議案、食品衛生法施行条例の一部を改正する条例は、法律の一部改正に伴い、条例で規定した基準を削除するものなどでございます。
 このほか、安全・安心に関するものが三件ございます。
 第七十三号議案、警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例外一件は、警視庁及び東京消防庁職員の特殊勤務手当に係る規定を整備するものでございます。
 以上のほか、法令改正に伴い規定を整備するものが七件ございます。
 次に、廃止する条例が二件ございます。
 第五十九号議案、東京都イノベーション創出基金条例を廃止する条例外一件は、新たな基金の創設に伴い廃止するものでございます。
 第七十八号議案から第八十九号議案までの十二議案は、契約案でございます。
 第七十八号議案、都営住宅三十一H─一一四東(大田区東糀谷六丁目)工事請負契約など、契約金額の総額は約百六十一億円でございます。
 第九十号議案から第九十八号議案までの九議案は、事件案でございます。
 包括外部監査契約の締結についてなど、それぞれ地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものでございます。
 第九十九号議案から第百二号議案まで及び第百五号議案並びに第百六号議案の六議案は、令和元年度最終補正予算案でございます。平成三十年度決算剰余金や不用額の精査などにより生み出された財源等を活用して、膨大な財政需要に備えるための基金への積み立て、台風被害の復旧、復興、新型コロナウイルス感染症への対応に必要な経費の計上などを行い、一般会計、特別会計及び公営企業会計を合わせまして二千二百十九億円を増額するものでございます。
 次に、諮問でございます。
 諮問第一号は、下水道局が行った下水道料金納入通知について審査請求があったため、地方自治法の規定に基づき諮問するものでございます。
 上程になりました百九議案の説明は以上ですが、このほかに人事案を送付しております。
 まず、東京都収用委員会委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります池田眞朗氏及び岩谷眞氏の後任には、松尾弘氏及び川添義弘氏を新たに任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります岩崎隆氏は、再任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(石川良一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、令和二年四月一日から施行される改正後の地方独立行政法人法第十九条の二第五項の規定に該当する議案及び令和二年四月一日から施行される改正後の地方自治法第二百四十三条の二第二項の規定に該当する議案並びに地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ監査委員及び人事委員会の意見をそれぞれ徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 監査委員の回答は、第三十一号議案及び第三十二号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
 また、人事委員会の回答は、第三十三号議案、第四十五号議案、第四十六号議案、第七十三号議案及び第七十七号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

三一監総第九五七号
令和二年二月十二日
東京都監査委員 大津ひろ子
同       高橋 信博
同       茂垣 之雄
同       岩田喜美枝
同       松本正一郎
 東京都議会議長 石川 良一殿
「東京都知事等及び東京都が設立する地方独立行政法人の役員等の損害賠償責任の一部免責に関する条例」に対する監査委員の意見聴取について(回答)
 令和二年二月十二日付三一議事第六〇三号をもって、地方自治法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十四号。以下「改正法」という。)第一条の規定による改正後の地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の二第二項(改正法第三条の規定による改正後の地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第十九条の二第五
項において準用する場合を含む。)の規定により照会があった議案に係る監査委員の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第三十一号議案
東京都が設立する地方独立行政法人に係る地方独立行政法人法第十九条の二第四項に規定する条例で定める額を定める条例
二 第三十二号議案
東京都知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例
   意見
異議ありません。

三一人委任第一五三号
令和二年二月十七日
東京都人事委員会委員長 青山
 東京都議会議長 石川 良一殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 令和二年二月十二日付三一議事第六〇四号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第三十三号議案
職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
二 第四十五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
三 第四十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
四 第七十三号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
五 第七十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第三十二までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(石川良一君) ただいまの動議は、起立により採決いたします。
 ただいまの動議のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(石川良一君) 起立多数と認めます。よって、日程第一から第三十二までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員の選任について、起立により採決いたします。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(石川良一君) 起立多数と認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。
〔予算特別委員名簿は本号末尾(二九一ページ)に掲載〕

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第三十三から第百九までは、お手元配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第三十三から第百九までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
〔櫻井議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件

三一財主議第五九四号
令和二年二月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 石川 良一殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員 池田眞朗は令和二年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     松尾  弘

      略歴
現住所 神奈川県鎌倉市
松尾  弘
昭和三十七年十一月十九日生(五十七歳)
昭和六十年三月   慶應義塾大学法学部卒業
昭和六十二年三月  慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了
平成二年三月    一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得
平成二年四月    横浜市立大学商学部専任講師
平成六年四月    横浜国立大学大学院国際経済法学研究科助教授
平成十四年四月   横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授
平成十五年四月   慶應義塾大学大学院法務研究科教授
平成二十年四月   国際協力機構(JICA)民法整備支援委員
平成二十一年二月  国土交通省社会資本整備審議会臨時委員
平成二十二年十二月 公認会計士試験委員
平成二十五年二月  日米不動産流通機構(JARECO)理事
平成二十五年四月  日本補償コンサルタント協会補償業務管理士試験委員会委員
平成二十七年一月  用地取得総合支援機構顧問
平成三十年四月   日本不動産学会理事
平成三十年四月   国土交通省国土審議会特別委員
平成三十一年二月  法務省法制審議会幹事
現在        慶應義塾大学大学院法務研究科教授

三一財主議第五九五号
令和二年二月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 石川 良一殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員 岩谷眞は令和二年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     川添 義宏

      略歴
現住所 東京都府中市
川添 義宏
昭和三十二年十一月四日生(六十二歳)
昭和五十五年三月  九州大学工学部卒業
昭和五十五年四月  株式会社三島設計事務所入社
昭和六十年四月   世田谷区役所入所
平成四年四月    財団法人日本不動産研究所入所
平成七年二月    不動産鑑定士登録
平成十九年四月   国土交通省土地鑑定委員会鑑定評価書小委員会委員
平成二十八年十一月 一般財団法人日本不動産研究所理事・審査部長
平成二十九年四月  東京都財産価格審議会委員
平成二十九年十二月 羽田空港跡地土地区画整理事業評価員会委員
平成三十年六月   公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会借上財産評定委員会委員
令和元年十月    東京国税局土地評価審議会委員
現在        不動産鑑定士

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(石川良一君) 追加日程第三、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔櫻井議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件

三一財主議第五九六号
令和二年二月十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 石川 良一殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は令和二年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     岩崎  隆

      略歴
現住所 東京都豊島区
岩崎  隆
昭和二十五年十一月二十八日生(六十九歳)
昭和四十八年三月 北海道大学工学部卒業
昭和四十八年四月 東急建設株式会社入社
昭和五十二年二月 一級土木施工管理技士資格取得
昭和五十九年三月 一級建築士登録
平成十二年二月  不動産鑑定士登録
平成十三年四月  加門鑑定事務所開業
平成十五年四月  社団法人東京都不動産鑑定士協会理事
平成十九年六月  社団法人日本不動産鑑定協会理事
平成二十年四月  東京都収用委員会予備委員
平成二十三年六月 社団法人日本不動産鑑定協会綱紀委員会委員長
平成二十五年十月 東京地方裁判所調停委員
現在       不動産鑑定士

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(石川良一君) 追加日程第四から第八まで、議員提出議案第二号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例四件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二号から第六号までについては、趣旨説明を省略し、第二号は財政委員会に、第三号及び第四号は文教委員会に、第五号は厚生委員会に、第六号は経済港湾委員会に、それぞれ付託されることを望みます。

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二号から第六号までは、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(石川良一君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二件及び陳情十四件は、お手元配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(石川良一君) お諮りいたします。
 明二十九日から三月四日まで五日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(石川良一君) ご異議なしと認めます。よって、明二十九日から三月四日まで五日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時十九分散会

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