平成三十年東京都議会会議録第十七号

平成三十年十二月十二日(水曜日)
 出席議員 百二十四名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番西郷あゆ美君
六番滝田やすひこ君
七番藤井あきら君
八番奥澤 高広君
九番上田 令子君
十番山内れい子君
十一番伊藤しょうこう君
十二番田村 利光君
十三番菅野 弘一君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番森口つかさ君
二十一番内山 真吾君
二十二番斉藤れいな君
二十三番もり  愛君
二十四番龍円あいり君
二十五番あかねがくぼかよ子君
二十六番保坂まさひろ君
二十七番おときた駿君
二十八番川松真一朗君
二十九番小松 大祐君
三十番柴崎 幹男君
三十一番舟坂ちかお君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番伊藤こういち君
三十九番大松あきら君
四十番関野たかなり君
四十一番福島りえこ君
四十二番つじの栄作君
四十三番米川大二郎君
四十四番清水やすこ君
四十五番白戸 太朗君
四十六番増田 一郎君
四十七番佐野いくお君
四十八番細谷しょうこ君
四十九番やながせ裕文君
五十番清水 孝治君
五十一番大場やすのぶ君
五十二番小宮あんり君
五十三番鈴木 章浩君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番両角みのる君
六十四番石川 良一君
六十五番後藤 なみ君
六十六番鳥居こうすけ君
六十七番平  慶翔君
六十八番菅原 直志君
六十九番森澤 恭子君
七十番木下ふみこ君
七十一番ひぐちたかあき君
七十二番入江のぶこ君
七十三番森村 隆行君
七十四番早坂 義弘君
七十五番高橋 信博君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番秋田 一郎君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番村松 一希君
八十九番栗下 善行君
九十番中山ひろゆき君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番本橋ひろたか君
九十三番田の上いくこ君
九十四番おじま紘平君
九十五番馬場 信男君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番中屋 文孝君
九十九番宇田川聡史君
百番神林  茂君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番山内  晃君
百十一番たきぐち学君
百十二番伊藤 ゆう君
百十三番木村 基成君
百十四番荒木ちはる君
百十五番小山くにひこ君
百十六番増子ひろき君
百十七番石毛しげる君
百十八番大津ひろ子君
百十九番尾崎 大介君
百二十一番山崎 一輝君
百二十二番吉原  修君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 二名
 五十九番 遠藤  守君
 百二十番 三宅 正彦君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
副知事多羅尾光睦君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務西倉 鉄也君
政策企画局長梶原  洋君
総務局長遠藤 雅彦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監三浦 正充君
生活文化局長浜 佳葉子君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
都市整備局長佐藤 伸朗君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長内藤  淳君
産業労働局長藤田 裕司君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長小山 哲司君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長堤  雅史君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長澤   章君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

十二月十二日議事日程第三号
第一 第二百一号議案
平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第二百二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百三号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百四号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百五号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百六号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百七号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百八号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百九号議案
東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程
第十 第二百十号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十一号議案
東京都児童育成手当に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十二号議案
東京都重度心身障害者手当条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十三号議案
東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十四号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第十五 第二百十五号議案
東京都中小企業・小規模企業振興条例
第十六 第二百十六号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百十七号議案
東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
第十八 第二百十八号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百十九号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百二十号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十一号議案
警視庁志村警察署庁舎(三十)改築工事請負契約
第二十二 第二百二十二号議案
都立久留米特別支援学校(仮称)(三十)改築及び改修工事その二請負契約
第二十三 第二百二十三号議案
都営住宅三十CH─一一〇東(江東区辰巳一丁目・江東区施設)工事請負契約
第二十四 第二百二十四号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築電気設備工事請負契約
第二十五 第二百二十五号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築空調設備工事請負契約
第二十六 第二百二十六号議案
産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築給水衛生設備工事その二請負契約
第二十七 第二百二十七号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十四)請負契約
第二十八 第二百二十八号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その四)請負契約
第二十九 第二百二十九号議案
北十間川護岸建設工事(その三)請負契約
第三十 第二百三十号議案
神田川整備工事(その二百十一)請負契約
第三十一 第二百三十一号議案
当せん金付証票の発売について
第三十二 第二百三十二号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十三 第二百三十三号議案
東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第三十四 第二百三十四号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第三十五 第二百三十五号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百三十六号議案
東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第三号追加の一
第一 議員提出議案第二十一号
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十一号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例が提出をされました。
 これを本日の日程に追加をいたします。

○議長(尾崎大介君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十四番石川良一君
〔六十四番石川良一君登壇〕

○六十四番(石川良一君) 昨日、与党の税制調査会において、地方法人課税における新たな偏在是正措置の方針がおおむね固まってきました。暫定措置の廃止により、全額地方税に復元されるはずであった法人事業税の一部が恒久措置として国税化されるという、まるで平成二十八年度税制改正における偏在是正措置の議論をないがしろにする内容であり、巨額の財源が都から地方へ移転されることで、都政運営への影響が強く懸念されるところであります。
 昨日の代表質問にもありましたが、昨年十二月の与党税制改正大綱において、新たな偏在是正措置を講じる考えが示されて以来、東京都は、ことし四月以降、さまざまな手だてを講じ、都民生活や、東京そして日本の将来の発展を見据えた都の考え方を訴えるとともに、知事、都議会各会派、そして都内区市町村が連携して国への要請活動等を積極的に行い、まさにオール東京での活動を展開してまいりました。
 東京、そして日本の将来を考えたとき、今、一体何をなすべきなのかが最も重要なわけであります。
 しかし、国の議論は、大局的な視点ではなく限られたパイを奪い合うものとなり、初めから地方間の財源の水平調整ありきで議論を進めてきており、結果として都に巨額の減収をもたらし、問題の本質的解決にはつながらない場当たりそのものの措置を、また講じることとなったわけであります。
 限りあるパイを奪い合うといった発想から、地方の真の自立にほど遠いと断ぜざるを得ないわけであります。深い憂慮を覚えるところでございます。
 地方自治体の真の自立を確立するためには、どのような税財政制度を目指すべきか、知事の見解を伺います。
 地域力の再構築について伺います。
 本年九月、鬼才小室直樹博士の思想的軌跡をたどった評伝小室直樹が出版をされました。氏は、社会学者で、学際的に活躍をし、弟子には、橋爪大三郎東工大名誉教授、宮台真司首都大学教授、本年の予算委員会の結婚支援問題で私から紹介をさせていただいた山田昌弘中央大学教授などもおり、アカデミズムの世界以外でも幅広く薫陶を受け活躍をしている人材を輩出しております。
 小室直樹氏といいますと、一九八〇年にソビエト帝国の崩壊を著し、ソ連崩壊を予想し、十一年後の一九九一年、実際にソビエトを初め共産国の崩壊が始まったことで、とりわけ注目をされるようになりました。ソビエトは、アノミー、すなわち社会規範や共同体の紐帯が失われることを意味するわけでありますけれども、アノミーによって崩壊することを喝破した、見抜いたわけであります。
 氏は、敗戦とGHQの統治によって、我が国のアノミー化が始まっており、地域の共同体を初めさまざまな社会集団の連帯意識が後退をし、崩壊していくことを指摘しております。戦後の学生運動も、アノミー化が根底にあり、現実的な目標を持たない運動となり、成果を得ることができなかったとしております。そして、アノミーによって連合赤軍リンチ殺人事件や、オウム真理教の犯罪も起こっており、特に学校現場のいじめ問題は、かつてのいじめとは異なり、誰がいじめているのか、主体のない空気によって支配されていることもアノミー化のあらわれとしております。
 私の実感としても、地域社会を見ても、人と人との連帯意識も後退をしており、人々が孤立をし、孤独化していく流れにあることは否定できないわけであります。
 行政のトップとして、小池知事に、時代認識として戦後のアノミー化についての見解を伺いたいと思います。
 人の幸福度は五十代で底を打ち、その後また上昇していく傾向を示していますが、先進国の中で日本だけが右肩下がりで落ちていき、年をとればとるほど不幸を感じる人がふえています。日本の高齢男性が、コミュニケーション力の不足も手伝って世界一孤独といわれています。
 孤独はあらゆる病気を引き起こす万病のもととなるといわれていますが、国も地域も孤独対策に力を入れていないのが現状であります。
 高齢者の孤独対策が最も進んでいるのがイギリスです。イギリスでは、孤独が問題視され始めたのはここ五、六年のことで、孤独が健康に甚大な影響を与えるとのことから、二〇一一年から孤独を終わらせる目標を立ち上げ、研究、調査、キャンペーンも行われ、高齢者支援団体のインディペンデント・エイジレポートは、男性の孤独は国の非常事態といえる大きな問題と指摘をしております。そして高齢者向けの二十四時間三百六十五日の電話相談サービスも始まっています。
 東京都として、支援が届きにくい孤独な高齢者に対して、相談体制の強化に向けてどう対応するのか伺います。
 注目を集めているのがスマートウエルネスシティーです。大阪府高石市が二〇一四年から始めた健康ポイント事業は、市内を歩くことやイベントに参加すること、健康診断を受けることなどでポイントをためて、地域商品券などとして還元し、住民をさまざまな地域事業に参加してもらう工夫がなされております。
 また、稲城市がスタートさせました介護支援ボランティア事業も、六十五歳以上の介護保険の対象の高齢者が、介護施設などのボランティアとして活動しポイントをためるというもので、家に引きこもらずに社会活動に参加をしてもらう事業も注目をされております。
 東京都としても、高齢者の地域活動を促進していくための支援が必要と考えます。見解を伺います。
 超高齢化、生産年齢人口の減少、国の借金の拡大などもあり、医療、介護、福祉、労働、教育、防犯、防災、どれをとっても、行政だけに頼ることが難しい時代に入ってきています。今まで以上に地域力を必要とする時代に突入しています。しかし、自治会や町会など基礎的コミュニティの組織率が低下をしており、地域力を向上させていくためには、地域でさまざまな活動を行っている団体の活性化が必要です。
 そのため、町会、自治会が中核となり、さまざまな地域団体と連携し、地域全体で取り組む必要があり、都の支援は欠かせません。所見を伺います。
 次に、基地、空港問題について伺います。
 平成十七年、多摩地域商工会、商工会議所二十六団体によって、横田基地軍民共用化推進協議会が設立され、その後、多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会も立ち上がり、この会に私も出席をさせていただきました。地元の経済団体も横田基地の軍民共用化が実現すれば、経済効果は、およそ一千六百十億円に上るという試算もあり、多摩地域発展に大きな期待を寄せているわけであります。
 しかし、舛添知事の時代には、基地返還問題が俎上に上がることはほとんどありませんでした。
 二〇一九年にはラグビーワールドカップ、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックの開催があり、横田基地の軍民共用化推進のため、またとない機会と考えます。
 横田基地の返還、横田基地の軍民共用化を推進すべきと考えますが、都の姿勢を改めて知事に伺います。
 横田基地は、東京五市一町にまたがり、その上空に広がる横田空域は、一都九県にも及びます。戦後、GHQが日本の空の管制権を掌握して以来、日米地位協定に基づき、今も米軍の管理下に置かれていますが、民間航空機がこの空域を飛行する場合、米軍による航空管制を受けねばならず、大きく旋回するルートを通らねばなりません。
 一九九二年に続き二〇〇八年、横田空域の一部が返還が決まり、飛行ルートの改善により、燃料削減などの経済効果は年間で九十八億円に上り、CO2の削減効果も明らかにされました。これは全面返還と軍民共用化を主張し続けた成果といえるかと思います。
 しかし今、羽田空港の発着枠をふやす交渉が、横田空域を数分間通るため、米軍との間で難航していたとのことで、通過時間帯を午後の短い時間に限ることで、米軍は日本側の管制を容認するとの報道がありました。
 そもそも戦後七十三年もたって、主権国家でありながら、外国の軍隊が首都の空域を支配しており、米側の容認を求めること自体、どちらに主権があるのかわからない逆転の状態といわざるを得ません。先ほど指摘をした国をアノミー化させる要因となるわけであります。この問題を放置してきたことを国民の一人として恥じるばかりであります。
 横田空域返還のための東京都の姿勢について改めて伺います。
 また、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックに向けてビジネスジェットでの来訪を促進すべきと考えますが、具体的な施策について伺います。
 平成二十九年八月三十一日に多摩サービス補助施設の一部が返還されました。今回返還された土地は、日米地位協定に基づき、共同使用という位置づけにより、これまで稲城市が使用許可を受けてきた区域で〇・九ヘクタールであります。
 地元多摩市、稲城市では、南多摩ニュータウン協議会などを通じて、多摩サービス補助施設全体の返還を要請し、当面の対策として共同使用の促進を提案してきました。多摩サービス補助施設は、広域的な自然公園とするための声を上げ続けなければなりません。
 ついては、一部返還後も、二百ヘクタール近い面積を有する多摩サービス補助施設全体の返還に対する都の取り組みについて伺います。
 次に、多摩振興について伺います。
 東京二〇二〇大会において、多摩地域での実施競技は極めて少なく、東京開催にもかかわらず、オリンピック・パラリンピックの開催を体感する機会は、東京スタジアムと武蔵野の森総合スポーツプラザに限られております。
 唯一、多摩地域で広域的に実施される自転車ロードレースは、東京、武蔵野の森公園をスタートし、都内八市を通り、富士スピードウェイにゴールします。八市の市長が、東京二〇二〇大会における自転車ロードレースについて共同声明を発表し、多摩地域全体の振興につながるよう各市で連携した取り組みを行うとしております。
 そこで、東京二〇二〇大会に向けて多摩地域の市町村が、例えば、自転車ロードレースに関するイベントを実施するなど、多摩地域のスポーツ振興や観光振興につながる取り組みを行う場合、都も支援をすべきと考えますが、所見を伺います。
 また、自転車ロードレースのコースについて、競技会場に該当することから、組織委員会がコースを装飾することになっていると思いますが、距離が長く、全てにわたって装飾を施すことは困難だと考えられます。沿道の大会の雰囲気を盛り上げるためには、地元自治体の協力が必要です。
 自転車ロードレースのコースはもちろんのこと、競技会場が少ない多摩地域にこそ、住民に大会を体感していただけるよう、地域全体のシティードレッシングに取り組んでいく必要があります。
 多摩全体を盛り上げていくという観点から、多摩地域のシティードレッシングについて、市町村の取り組みを支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、公園トイレの洋式化について伺います。
 多摩ニュータウンのまち開きから五十年近く経過をしようとしており、その当時整備をした公園のトイレも老朽化し、洋式化、バリアフリー化などの改修が必要となってきております。
 都では、東京二〇二〇大会に向け、昨年度から三年間の時限制度として、ユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業を開始し、トイレの洋式化等を積極的に推進していることは高く評価をするところでございます。
 しかし、多摩ニュータウンの公園のトイレは数も多く、来年度までの一斉改修は困難であり、二〇二〇大会後もレガシーとしてこの取り組みを継続すべきであり、そのことを強く要望するところでございます。
 そこで、本事業の実績及び今後の方向性について伺います。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 石川良一議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、税財政制度についてのご質問がございました。
 市長を務められた石川議員はよくご存じでありますが、地方自治体は、みずからの権限と責任のもとで地域の課題解決と発展に取り組むために、地方の自主的、自立的な行財政運営を支え得る地方税財政制度の確立が必要不可欠であるということはよくご存じだと思います。
 こうした中にありまして、今般の税制改正において国が新たに講じようとしている、いわゆる偏在是正措置でございますが、地方税の国税化を推し進めるものであります。そして、地方の自主財源を充実させるどころか、地方の真の自立に資する地方分権の実現に逆行するものである、このように思います。
 人口減少、そして高齢化がますます進んでいる我が国の持続的な成長が危ぶまれる中にありまして、地方自治の力で、東京を含めて、あまねく地方があすへの活力を育み、将来にわたって日本全体が輝き続けられるように、それを支える地方税財政制度を実現することは極めて重要でございます。
 国と地方の役割分担や、国、地方間の税財源の配分の見直しなど、地方税財政制度の抜本的な改革に本腰を入れて取り組むよう、国に対ししっかりと訴えてまいります。
 久々に小室直樹氏のお名前をお聞きすることができました。ノーベル賞の季節でございますが、この小室直樹氏ほどノーベル賞にふさわしい人はいないと、このように今も私は確信している一人でございます。
 戦後のアノミー化についてのご質問でございます。
 アノミーというのは、一般的には、社会的規範の動揺や弛緩、崩壊などによって生じる混沌状態を指す言葉とされております。そしてエミール・デュルケームなど多くの社会学者がさまざまな解釈を試みている概念であると承知をいたしております。
 ご指摘の、人の連帯意識の後退につきましては、核家族が進むとともに、最近の都の調査におきましても、近所づき合いがないと回答した高齢者が一割に上るなど、地域におけますつながりの希薄化が進んできていると認識をいたしております。
 今年度策定いたしました重点政策方針二〇一八におきましては、人をつなぎ、東京の活力を生み出すための八つの戦略を掲げております。現在、これらに基づいて、誰もが生き生きと輝くダイバーシティーなど、新しい東京を実現することを目指しております。
 引き続き、人に着目をいたしました施策を幅広く展開することで、誰もが人と人とのつながりの中で輝いて安心して暮らせる、そんな東京をつくり上げていきたいと考えております。
 横田基地のご質問でございます。
 まず返還、そして軍民共用化の推進についてであります。
 日米地位協定では、米軍基地について、必要でなくなった場合は我が国に返還しなければならない、その必要性を絶えず検討する旨が定められております。
 このため、都といたしまして、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、横田基地を含めて、米軍基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されますよう、国に要請をいたしております。
 同時に、都は、首都圏西部地域の航空利便性の向上や多摩地域の活性化などに向けまして、横田基地の軍民共用化に取り組んでいるところでございます。
 さらに、東京二〇二〇大会の開催時には、海外からの来訪者の増加も見込まれております。この問題につきましては、外交、安全保障にかかわることから、国と連携していくことが不可欠でございます。
 今後とも、地域からの声も聞きながら、国に日米協議の進展を働きかけるなど、横田基地の軍民共用化の実現に取り組んでまいります。
 空域の返還についてでございます。
 米軍が管理する横田空域は、一都九県にわたる広大な空域でありまして、都はかねてよりこの全面返還に向けて国に要請を重ねてまいりました。
 平成二十年の九月には、空域の一部が返還されまして、飛行時間の短縮や燃料消費の削減などが図られたところでございます。
 首都圏の空域を再編成して、より安全で効率的な航空交通を確保していくためには、今後とも、管制業務とあわせ横田空域の全面返還の実現を国に要請をしてまいります。
 残余の質問は、関係局長からお答えさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の相談体制についてでありますが、現在、区市町村では、地域の高齢者の状況を把握し、相談や支援につなげるため、地域包括支援センターを拠点といたしまして、地域の実情に応じた相談支援体制を構築しております。
 都は、この相談支援体制の充実を図るため、センターと地域の医療機関や介護事業者などとのネットワークづくりを進める社会福祉士等の専門職の配置や、ひとり暮らしの高齢者への訪問や安否確認などにも対応する相談窓口の設置を支援しております。
 また、高齢者を日常的に見守り、異変に気づいた際に専門機関につなぐサポーターの養成や、民生委員、自治会等による見守り活動など、地域の実情に応じた取り組みを包括補助で支援しており、区市町村における相談体制の強化を図ってまいります。
 次に、高齢者の地域活動への支援についてでありますが、高齢者が地域で安心して暮らし続けるためには、時には高齢者自身が地域社会を支える担い手になるなど、地域とのつながりを持つことが重要でございます。
 都は、高齢者の介護ボランティア活動等でのポイント制の導入や、社会参加のきっかけづくりを目的としたセミナーの開催などに取り組む区市町村を包括補助等で支援しているところでございます。
 また、地域活動の担い手の掘り起こしなどを行う区市町村の生活支援コーディネーターに対し、実践的な対応力を養うための現任者研修を今年度から新たに開始しており、今後とも、区市町村と連携し、高齢者の地域活動への参加促進に取り組んでまいります。
 最後に、トイレの洋式化についてでありますが、都は現在、庁舎、公園、図書館等の公共施設の和式トイレの洋式化と、その際にあわせて行う手すりやベビーチェアの設置など、利用者の視点に立って、より使いやすい設備に改修する区市町村の取り組みを支援しております。
 昨年度は、三十二区市町の三百六十八基の洋式化等の取り組みを支援し、今年度は、区市町村の意向調査を踏まえまして、千二百基分に拡大して補助することとしております。
 今後とも、高齢者、障害者、外国人旅行者など、誰もが快適に利用できるよう、公共施設のトイレの改修を進めるため、事業説明会等を通じまして、具体的な取り組み事例を周知するなど、区市町村に対しまして補助制度の活用を働きかけてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 地域力の向上に向けた支援についてでございますが、防災、防犯や高齢者見守り等、地域における課題解決の取り組みを活性化し、地域力を向上させていくためには、町会、自治会と地域のさまざまな団体との連携が効果的でございます。
 このため、都は、町会、自治会活動を支援する地域の底力発展事業助成におきまして、消防団、NPO、社会福祉法人等他の地域団体と連携して実施する事業に対し、単独実施する場合よりも助成限度額を増額し支援をしております。
 また、町会、自治会の運営に関し、有識者等をアドバイザーとして派遣する事業では、他の地域団体等との協働や連携を進めるために必要な助言も行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、町会、自治会がさまざまな地域団体と連携した活動を地域で行えるよう支援をしてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会におけるビジネス航空への取り組みについてでございますが、ビジネス航空は、グローバルな企業活動に不可欠なツールとして、欧米や中東、アジアで広く利用されており、東京の国際競争力を強化するため、さらなる受け入れ体制の強化が必要でございます。
 とりわけ東京二〇二〇大会では、過去大会の実績等から、多くのビジネスジェットの飛来が想定され、円滑な大会運営のためにも、利用者の利便性確保が重要でございます。
 このため、羽田空港及び成田空港において対応することを基本としつつ、開会式前日等の需要のピーク時には、他の近隣空港の活用も視野に入れる必要がございます。
 今後とも、都は、大会時に必要となるビジネス航空の受け入れ環境の整備に向け、国に働きかけてまいります。
 次に、多摩サービス補助施設の返還についてでございますが、米軍基地については、日米地位協定に基づいて、必要でなくなった場合には我が国へ返還されなければならず、その必要性が絶えず検討されることになっております。
 多摩サービス補助施設は、市街地に隣接する貴重な緑地であり、広く都民に開放するため、直ちに返還がなされるよう、都は提案要求等を通じ、国に要請してまいりました。
 こうした取り組みにより、平成二十九年八月に、その一部である〇・九ヘクタールが返還され、稲城市の公園として活用されております。残る緑地についても、地元住民を初め多くの都民が利用できるよう、多摩サービス補助施設の早期返還に向け、引き続き国に働きかけてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会に向けた多摩地域の市町村の取り組みに対する支援についてでございますが、大会の開催を通じて、多摩地域の振興を図るためには、都民に身近な市町村と連携した取り組みが重要でございます。
 このため、都は、市区町村が行う競技体験イベントやアスリートによる講演会、スポーツを活用した観光PRなどの取り組みに対し補助を行っております。
 また、国際交流や地域の活性化を進められるよう、市区町村による事前キャンプ受け入れの実現に向けて、海外のオリンピック委員会等に対し、施設のPRや視察の受け入れなどの調整を行っております。
 今後とも、多摩地域が一層盛り上がるよう、自転車ロードレース等の競技紹介やイベントの実施など、各市区町村のさまざまな取り組みを支援してまいります。
 次に、東京二〇二〇大会のシティードレッシングについてでございます。
 都内の全域の祝祭感を盛り上げるためには、競技会場周辺やラストマイルを中心に、都が実施するシティードレッシングに加えまして、自治体等のご協力を得ながら、多摩地域のシティードレッシングを推進していくことが重要でございます。
 大会本番に向けて、地元の商店街や人通りの多い道路等を大会ルックを使った統一的なデザインのフラッグなどで積極的に装飾していただけるよう、市区町村に対し、補助制度による支援のほか、適切な情報提供を行いまして、実施に向けた各種相談にも丁寧に対応してまいります。
 今後とも、多摩地域を初め、都内全域の盛り上げにつながるよう、市区町村の取り組みをしっかりと支援してまいります。

○議長(尾崎大介君) 百十一番たきぐち学君
〔百十一番たきぐち学君登壇〕

○百十一番(たきぐち学君) ことしは、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震と大規模な災害が相次ぎ、多くの人命が失われました。激甚化する災害への対策が急務であり、特に近年は水害の脅威が高まっています。
 二〇一二年にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン・サンディーでの対応を生かすべく、日本でもタイムラインの研究が始まりました。大地震は予兆がなく、突然発災し、一瞬にして被災するのに対して、水害には予兆があり、被災回避行動をとることができます。
 国交省の荒川下流河川事務所は、昨年、下流部の関係十六市区全てを対象としたタイムライン拡大試行版を公表し、四ブロックに分けて検討を実施しています。
 また、三年前の鬼怒川氾濫による被害を教訓に、マイタイムラインの取り組みが始まっており、都においても、例えば、ハザードマップをベースにして防災教育に取り入れるなど、水害に対する意識啓発を推進することが重要です。
 しかし、十六市区全体の浸水想定区域内の人口は約三百六十万人にも及ぶことから、広域避難の議論は結論を見ていません。垂直避難には限界があり、避難準備に時間のかかる福祉施設や幼稚園、保育園などでの対応も大きな課題です。
 大規模水害時における広域避難については、関係者が多岐にわたることから、その体制を確実に構築していくことが重要です。知事の見解を伺います。
 東日本大震災では、人的被害のみならず、サプライチェーンの分断などによる多数の企業が大きな被害を受け、BCPの重要性が指摘されるようになりました。しかし、都内企業のBCP策定状況は、いまだ二〇%程度にとどまっています。水害への対応も喫緊の課題となる中、地震リスクを想定した企業が九割を超えるのに対して、水害リスクの想定は三割にとどまっているとの内閣府の調査もあります。
 多発する集中豪雨などを受けて、都内における水害危険度の高い地域への啓発も含め、地震だけではなく、水害も考慮した水害版BCPの作成を促し支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 私の地元荒川区にある東京女子医科大学東医療センターは、東京都災害拠点病院であり、区東北部二次保健医療圏の地域災害拠点中核病院として位置づけられていますが、足立区に移転する計画が発表されています。移転によって、荒川区は、二十三区で唯一、災害拠点病院が存在しない区となり、災害時の区の医療救護体制に大きな影響を与えると同時に、八十年以上にわたって地域医療を支えてきた病院の転出は、区民にとっても大きな不安ともなっています。荒川区は、移転後の当該地に医療機関を誘致する方針を打ち出しましたが、都の責任として災害拠点病院の指定を行うべきと考えます。
 ことし二月に発表された地震に関する地域危険度測定調査では、危険度ランク四及び五の地域の比率が、荒川区は約五八%を占め、他の二十二区の約一一%と比較して、危険度が高くなっています。危険量一ヘクタール当たりの棟数の平均値も最大です。
 都は、災害拠点病院設置運営要綱で、災害に対する総合地域危険度及び東京都二次保健医療圏ごとの適正配置等を勘案して災害拠点病院を選定するとしています。
 災害リスクの変化、地域性を鑑み、災害拠点病院の機能強化を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 地域危険度調査は、東京都震災対策条例に基づき、昭和五十年よりおおむね五年ごとに調査、公表されており、第八回目の調査では、総合危険度の一位が荒川区町屋四丁目、三位は荒川六丁目となったほか、上位五十位のうち、九町丁目が荒川区となっています。
 建物や地盤の分類、種別ごとの棟数、地盤増幅率、液状化による建物倒壊量や出火、延焼の危険性などからランクづけを実施していますが、調査開始から四十年以上がたち、対策が進んでいる地域もあり、相対評価から絶対評価に切りかえるべきとの主張は、我が会派の木下、滝田両委員が、委員会質疑で行っており、調査の精度の向上とあわせて求めておきます。
 今後、危険度を減らすために、不燃化については、不燃領域率の変化など、事業の効果に加え、目標までの到達状況等について見える化を進めていくなど、都民にわかりやすく示していくことが必要だと考えます。取り組み状況と今後の考えを伺います。
 第三回定例会において、我が会派の増子幹事長の質問に対し、知事から、ひきこもり状態にある方への支援は、年齢によらず、身近な地域で切れ目なく実施するとの考えに立って、区市町村の取り組みを支援するとともに、都の体制の強化を図るとの答弁をいただきました。
 ひきこもり対策の中でも、八〇五〇問題は緊急の課題であり、高齢の親が亡くなった後、残されたひきこもりの子がなすすべもなく過ごしているうちに、死体遺棄罪として逮捕されるという事態も生じています。
 八〇五〇問題については、生活困窮者への支援や高齢者対策と連動した取り組みが急務だと考えます。八〇五〇問題への対応について、福祉保健局長の見解を伺います。
 ひきこもり状態が長期化し、高年齢化が懸念される実態を踏まえ、ひきこもりで悩む都民やその家族が抱える課題に的確に応えるためには、当事者や家族の声を聞くと同時に、青少年・治安対策本部だけでなく、福祉保健局や教育庁、産業労働局など、局横断的な対策の検討が必要だと考えますが、見解を伺います。
 平成二十五年に、いじめ防止対策推進法が施行されました。文科省の調査によると、法律施行後の四年間で九百四十二人の児童が自殺しており、施行前の四年間と比べて百四十九人増加しているのが実態です。いじめ発生件数の増加、重大事態の増加、不登校の増加という課題が浮き彫りになる中で、いじめ防止対策推進法の改正を求める動きもあります。
 私自身、地元のPTA連合会の会長時代、いじめ問題対策連絡協議会の委員でもあり、個別の幾つかの事案の相談を受ける機会もありました。二十八条に定められた、生命、心身、財産の重大な被害及び相当期間の欠席である重大事態の発生の前後にかかわらず、それを隠蔽するような体質があっては決してなりません。
 いじめが深刻化する前に、初期の段階で解消するためには、教員の資質向上と組織的に対応できる体制の構築が必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 重篤な事案で、被害者と学校、教育委員会が対立するようなケースが相次ぐ中で、小中学校において重大事態が発生した場合、学校や区市町村教育委員会は、公正、公平な第三者的な観点から事実関係を明らかにし、適切に対応して事案の解決を図ると同時に、再発防止につなげることが求められますが、その実現に向けた都教育委員会の考えを伺います。
 いじめ問題の解決に向けては、子どもの権利条約の周知徹底を図るなどの人権教育の重要性を指摘する専門家の声もあります。
 近年の共働き家庭の増加やさまざまな理由により、保育や学校放課後の時間の過ごし方、さらには夕食の提供について社会的な支援が必要となっています。
 現在は、就学前の保育の待機児童の解消や、就学後の放課後児童クラブなどの学童保育対策等の量的確保が課題となっていますが、これらの施策においては、必ずしも子供への配慮が十分ではない場合もあります。
 子どもの権利条約は、十八歳未満を児童、子供と定義し、生きる権利、育つ権利、守られる権利などを実現、確保するための具体的事項を規定しています。
 東京の未来を担う子供への施策は、既にさまざまな予算措置がなされていますが、子供を取り巻く社会環境が大きく変容する中、これらの施策を子供の視点から捉え直して再構成する東京都子供の権利条例を検討するべきと考えますが、見解を伺います。
 目は見えなくても夢は見える、これは、アトランタ・パラリンピックで金メダルを獲得されたブラインドマラソンの柳川春己選手の言葉です。パラリンピアンの選手の言葉からは、私自身、リオ・パラリンピックで強烈に感じた、健常者を超える内に秘めた強さ、すごさを見ることができます。
 日本の障害者スポーツの父といわれ、一九六四年の東京パラリンピックで、日本選手団の団長務めた故中村裕医師をモデルとしたドラマがことし八月に放映されましたが、パラリンピックの父ともいわれるグットマン博士から学んだ失われたものを数えるな、残されたものを最大限生かせという理念を受け継いでいるように思います。
 一方で、パラリンピアンは、いわばスポーツエリートでもあります。障害は、種類も程度も多様で、障害者の状況は一様ではありません。
 ロンドンプランで掲げられたインクルーシブソサエティーが重要であり、さきの定例会で成立した障害者への理解促進及び差別解消条例の理念に基づいたきめ細やかな対応がダイバーシティーの実現には欠かせません。
 パラリンピック後の心のレガシーとは何かを常に自問し、理解していくためには、イベントなどでパラリンピック競技を知り、体験することはもとより、大舞台で試合に挑む姿を実際に見ることも重要です。
 パラリンピック競技のトップアスリートが出場する国際大会の観戦の機会をふやすとともに、観戦を促すためのプロモーションを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、ライトアップについて伺います。
 クリスマスシーズンが近づき、色とりどりのイルミネーションが都内のまちを演出しています。しかし、夜間景観を都市計画に位置づけ、計画的に整備を進める海外の先進都市と比べると、ライトアップが観光資源として十分に生かされていません。
 例えば、建造物を社会運動のシンボルカラーに彩るアウェアネスカラーのライトアップは、メッセージ発信として意義のあるものであり、都庁における横断的な取り組みなど、さらなる工夫を期待いたします。
 都は、ことし三月に、公共施設等のライトアップ基本方針を策定したほか、運河エリアライトアップ・マスタープランを発表いたしました。
 東京の魅力向上に向けて、光を点から線、面へと、そして、公共施設から民間施設へと波及させていくための取り組みについて知事の見解を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、大規模水害時の広域避難の取り組みについてのご質問をいただきました。
 平成二十七年の関東・東北豪雨、昨年の九州北部豪雨、さらには本年七月の西日本の豪雨など、近年我が国におきまして、毎年のように甚大な水害が発生をいたしております。
 このような状況の中、議員のご地元荒川区を初め東部低地帯におきまして、大規模な水害が発生した場合、百万人以上の都民の生命に危険が及ぶ、そのことから、この地域におけます広域避難は極めて重要な課題となっております。
 これまで都は、広域避難につきまして、江東五区による協議会、そして国の中央防災会議のもとに設置されましたワーキンググループに参加をして検討を進めてまいりました。
 さらに、ことし六月、国と共同で検討会を設置いたしまして、都内自治体や近隣県、自衛隊、警察、消防などの防災機関、交通事業者等とともに、避難場所や避難手段の確保について協議を開始したところでございます。
 先月の検討会におきましては、関係機関の連携や役割を時系列に沿ったタイムラインといたしましてまとめていくことを合意して、現在、具体的な内容についての協議を進めているところでございます。
 いつ発生するとも知れない大規模水害から、都民の生命と財産を守るために、関係者の総力を結集いたしまして、広域避難の取り組みを着実に推進してまいります。
 もう一つが、ライトアップによる魅力向上についてのお尋ね、私に頂戴をいたしました。
 パリなど美しい夜景に代表されますように、まちを映し出す光の美しさは、その都市の大きな魅力の一つとなります。東京が都市としての付加価値をさらに高めていくため、そのためには、夜の景観に磨きをかけていかなければならないと考えております。
 そのため、都は、ライトアップに関しまして、先ほどお話のように、施設ごとの点の取り組みから、周辺の施設を含めた面的な展開へと広げていくために、ことし三月、公共施設等のライトアップ基本方針を策定したところでございます。
 現在、東京二〇二〇年大会に向けまして、大会施設や橋梁、橋が集積する隅田川や臨海部など、東京の顔として発信力の高い地域を重点エリアに設定いたしまして、東京のランドマークとなる施設を管理する国、区、民間企業にも協力を求めながら、集中的に取り組みを進めてまいります。
 また、質の高い効果的なライトアップになるように、光の色合いや色の濃淡などについて照明デザイナーからのご助言をいただいております。
 今後は、こうした取り組みを一過性に終わらせることなく、東京二〇二〇大会のレガシーとして、大会後のエリアの拡大につなげて、人々を引きつける魅力的な夜間景観づくりに戦略的に取り組んでまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、いじめの防止や解決に向けた取り組みについてでございますが、いじめを早期に解決するためには、学校が軽微ないじめを見逃さず、適切かつ迅速な対応ができるよう、教員の鋭敏な感覚と組織的な対応力を高める必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、教員の経験や職層に応じて、いじめ問題への対応力向上を目指す研修を実施するとともに、都内全公立学校において、いじめに関する校内研修の年三回以上の実施を徹底するなどして、子供の情報を共有し、組織的に対応する体制の強化を図っております。
 今後は、都内全公立学校の担当者対象の連絡会等で、子供のSOSの受けとめ方に関する演習を行うなどして、児童生徒理解を深めるとともに、保護者等との効果的な連携のあり方について、実践事例をもとに検証し、各学校におけるいじめ防止対策を一層充実させてまいります。
 次に、いじめの重大事態への適切な対応についてでございますが、重大事態が発生した際は、学校や区市町村教育委員会が法律や条例等に基づき、事実関係の解明や再発防止に向け、それぞれの責務を果たす必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、重大事態が発生した場合の報告のあり方や調査組織の設置における留意点等について示したいじめ総合対策を、都内公立学校の全教員に配布し周知徹底を図ってまいりました。
 また、区市町村教育委員会の担当者連絡会において、法に規定された対応等をわかりやすく図式化した資料を示し、問題解決と再発防止に向けた取り組みが確実に行われるよう支援してきております。
 今後とも、連絡会等で重大事態に至ったいじめを解消することができた事例を共有するなどして、いじめの重篤化を防ぎ、解決を図るための取り組みを一層強化してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 水害に対応したBCPの作成支援についてでございますが、近年、台風や豪雨等による水害の発生が増加する中、中小企業におきましては事業を継続するためのBCPの導入が進んでいない状況がございまして、特に水害に重点を置いて対応するBCP作成への支援に力を入れていくことは重要でございます。
 都は、現在、BCPの普及啓発を目的としたセミナーにおきまして、浸水リスクのある地域の事業所が実際に水害への備えに取り組んだ事例等を紹介しております。また、水害に対応するBCPの作成に必要となる基本知識を提供する講座を行っているところでございます。また、計画に基づく体制整備等に必要となる止水板等の導入経費を補助しております。
 今後は、水害に対応するBCP作成講座や、BCPに基づいた準備に要する経費への助成の充実を検討してまいります。これらの取り組みにより、中小企業の水害への備えを後押ししてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害拠点病院の機能強化についてでありますが、都は、首都直下地震等による東京の被害想定で示された負傷者数や病院の収容力などを踏まえ、災害発生時に、主に重症患者の収容、治療を行う病院を災害拠点病院として指定しております。
 本年発災した豪雨災害や北海道胆振東部地震では、医療機関も浸水や停電等による影響を受けており、都におきましても、河川による水害の発生リスクや医療資源の状況など、地域の実情を踏まえて多様な災害への備えを講じていくことが必要でございます。
 そのため、災害医療協議会におきまして、有識者や医療関係者などの意見を伺いながら、災害拠点病院の機能強化等について検討を行ってまいります。
 次に、生活困窮などの課題を抱えるひきこもりの方への支援についてでありますが、区や市が生活困窮者自立支援法に基づいて設置しております自立相談支援機関では、生活困窮者やその家族に対しまして、ひきこもりも含むさまざまな課題への相談支援を行っております。
 ひきこもりが長期化し、生活の困窮や親の介護などの課題を抱えるご家庭やその家族に対しましては、一人一人の状況に応じて、ひきこもりの専門相談機関やハローワーク、保健所、地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、きめ細かく支援しております。
 今後も、自立相談支援機関における相談支援の充実に向け、ひきこもりなどのテーマ別研修に加え、具体的な事例集を活用した研修の実施など、区市を支援してまいります。
 最後に、子供の権利の尊重についてでございますが、都は、子供が健やかに成長できる社会の形成を目指し、子供・子育て支援総合計画に基づき、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備や、子供の貧困対策の推進、本人から直接相談を受ける子供の権利擁護専門相談事業など、さまざまな施策を展開してございます。
 現在、子供を虐待から守るための条例の検討を進めており、先般、子供の権利利益の擁護と健やかな成長を図ることを目的とし、虐待の防止に当たっては、子供の成長、年齢等に応じた意見を尊重することや、子供の最善の利益を優先することを理念とした骨子案を取りまとめたところでございます。
 今後とも、全ての子供たちの育ちを支えられるよう、さまざまな施策を総合的に推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 不燃化の進捗状況に関する情報提供についてのご質問にお答えいたします。
 木造住宅密集地域の危険性や改善状況などをわかりやすく伝えていくことは、都民の防災意識の向上を図る上で重要でございます。
 都は、昨年度公表した見える化改革報告書や、防災都市づくりの進捗状況において、地域ごとの不燃領域率の推移を初めてグラフでわかりやすく示しました。また、地域危険度についても、町丁目ごとの相対評価のランク分けに加えて、その評価のもととなる危険量を明らかにし、延焼等の危険性について、前回の調査時からの改善状況を把握できるようにいたしました。
 都は、こうした情報をホームページに掲載したところでございまして、年度内にはさらに容易に検索できるようにするなど改善を加え、効果的な情報提供を図ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) ひきこもりの方への支援についてでありますが、ひきこもりに係る悩みは、今日、多岐にわたってきていることから、関係機関が連携し、年齢によらず、切れ目なく支援することが重要であります。
 こうした支援の充実に向け、都では、従来の取り組みに加え、ひきこもり支援施策推進会議を新たに設置し、各局における支援施策のほか、ひきこもりの状態にある本人やその家族の悩みや課題を情報共有するなど、庁内の関係部署が一体となり支援する連携体制を強化することといたしました。
 今後、福祉、保健、医療、雇用、教育等のさまざまな分野のより密接な連携に努めるとともに、本人の年齢にかかわらず、切れ目なく相談を受ける体制について検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) パラリンピック競技の観戦機会の増加と観戦を促すためのプロモーション強化についてでございますが、パラリンピックを成功させ、障害者スポーツを社会に根づかせるためには、競技や選手について理解を深め、実際に競技会場で観戦していただくことが重要でございます。
 都は、パラリンピック競技の国際大会の開催支援を、昨年度の二件から今年度は五件に増加させる予定でございます。
 大会では、観戦会を実施いたしますとともに、あわせまして、選手と都民が直接交流して、競技や選手、障害等への理解を深める場も提供しております。
 また、ウエブサイトやSNS、イベント等を通じて大会情報を広く発信するほか、地元企業や学校、自治体を個別に訪問しまして観戦を促しているところでございます。
 今後も、多くの都民に会場で観戦していただくため、大会開催支援と観戦促進の取り組みを加速させてまいります。

○議長(尾崎大介君) 三十七番栗林のり子さん
〔三十七番栗林のり子君登壇〕

○三十七番(栗林のり子君) 都議会公明党は、動物との共生を進めるプロジェクトチームを三年前に立ち上げ、先進的な取り組みの自治体の視察や関係団体とのヒアリングなどを通し、今日までさまざまな政策提案をしてまいりました。
 マハトマ・ガンジーは、国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかると格言を残しています。
 都は、二〇二〇年を目前に、世界に誇れる、人にも動物にも優しい共生社会を構築することが求められています。
 先月、私は、動物愛護の先進国といわれるドイツの動物保護施設ティアハイムの視察に、私費で参加してきました。ドイツは、動物保護が国の目標と、憲法にまで明記され、規則やガイドラインなどが存在しています。四百二十の行政区ごとに獣医局が設置され、ティアハイムも国内で約千三百以上設置されています。
 今回は、欧州最大規模のベルリンのティアハイムを初め、中規模、小規模ティアハイムなどを視察し、また、ハノーファー獣医科大学では、トーマス・ブラファ副学長から、ドイツの動物事情、動物保護の考え方や法制度についてお話を伺うこともできました。
 動物保護連盟が運営しているベルリンのティアハイムは、十八万五千平米の敷地に、五百人のボランティアが活動を支え、猿から爬虫類まで約千四百頭の動物が保護されています。
 多くのティアハイムは民間で運営されており、担当する自治体から依頼された保護動物、飼い主がいない動物、緊急に支援が必要な動物などを受け入れ、新しい飼い主が見つかるまで施設で世話をしています。運営資金は自治体の支援と寄附金から成り立っており、中には施設内に併設されているトリミングサロンやフードショップ、カフェなどの収益金などで一部賄われているところもありました。
 また、地域に住む子供たちや障害者も一緒に動物の世話をすることから、情操教育やセラピー効果につながると、住民が積極的に参加し運営している施設もありました。
 驚いたことに、ニーダーザクセン州では、ペットを飼い始める前に飼い主に筆記試験を行い、その後一年以内に犬とともに実技試験を行うなど、飼い主教育が徹底されていました。
 動物との共生とは、無責任な飼い主をふやさないこと、保護から譲渡へのしっかりとしたシステムがあること、そして動物の力をかりて人が元気になること、そうした社会だと実感しました。
 法律や税制も、また文化、風習が大きく異なるドイツと同じ制度をつくることは難しくても、共生社会を構築するための多くのヒントを得ることができました。
 現在、東京都では都内に三カ所、動物愛護相談センターがあり、狭隘化、老朽化が進んでいることから、昨年発表された整備基本構想の本格的な検討に期待が高まっています。
 現センターにおける動物殺処分ゼロは、犬においては二年連続で達成され、猫も大幅に減少しています。
 しかしながら、実際には、多くの動物愛護ボランティア団体がセンターから引き取り、新しい飼い主を探し、譲渡を行っているケースが多く、ボランティア活動をされる皆様の費用負担も増大しています。
 この機会に、持続可能な制度とするために、獣医師会や動物愛護団体などと連携し、民間活力を導入するなど大きく転換を図ることが必要です。
 迷惑施設と思われてきたセンターではなく、都民に開かれた明るいイメージのアミューズメント性のある動物愛護相談センター、東京版ティアハイムが設置できるよう、検討を始めるべきと考えます。
 愛犬家でもあり、ご自身も犬を飼われている小池都知事の所見を伺います。
 センターの移転改築での最大の課題は候補地です。
 候補地の選定に当たっては、都有地にとどまらず幅広く情報を集め、積極的に取り組むべきと考えますが、都の所見を求めます。
 次に、都が委嘱する動物愛護推進員について伺います。
 地域では、ペットの困り事に対応しているのが推進員の皆様です。飼い主による虐待や多頭飼育崩壊など、解決に当たるためには行政の福祉分野との連携が不可欠です。しかし、個人情報の問題などから、なかなか連携が図れない現状と聞いています。
 区市町村の福祉担当者に推進員の存在を周知し、ワークショップを開催するなど、問題が解決しやすいよう、都が推進員を応援していくべきと考えますが、所見を求めます。
 また、殺処分ゼロを継続していくためには、動物の譲渡活動を行うボランティアの協力が不可欠です。
 都は、動物愛護相談センターに保護された動物の譲渡に協力するボランティアに支援を行うことが重要と考えますが、都の所見を求めます。
 国においても、動物愛護管理法の改正に向けてさまざまな議論が交わされようとしています。動物愛護とは、動物たちのためだけに存在するのではなく、人々の心身の健康維持に深く関与し、動物が介在することが生活のクオリティーを高め、社会貢献につながっていることを忘れてはならないと思います。
 営利のみを追求し、劣悪な環境で飼育するペットショップなどの規制をさらに強化し、終生飼養と逆行する行為は断じて許さないことを強く求め、次の質問に移ります。
 次に、都立中部総合精神保健福祉センターについて質問します。
 我が党は本年五月、同センターを視察した際、執務場所スペースが狭小であるため、多くの弊害が生じていることを感じてまいりました。
 この施設は、精神障害者保健福祉手帳の交付業務と、精神通院医療費助成認定業務を行っていますが、最近五カ年で、手帳の件数が一・三六倍、医療費助成の件数が一・二六倍と処理件数が著しく増加しています。作業場の狭小によってミスや停滞があってはなりません。速やかに作業場の拡充を図るべきです。所見を求めます。
 また、センターでは、鬱や依存症からの回復に向けた患者を対象に、我が党が推進してきた認知行動療法を取り入れています。薬を極力抑え行う認知行動療法は大変好評です。現状と今後の展開について所見を求めます。
 次に、乳児用液体ミルクについて質問します。
 乳児用液体ミルクの有用性を公明党も注目し、国内での製造、販売ができる規定整備を国に働きかけてきました。都においては、小池知事のリーダーシップのもと、「東京くらし防災」での普及啓発や、民間事業者と協定を締結し、七月の豪雨災害での被災地域などに救援物資として乳児用液体ミルクを提供もしてきました。乳児用液体ミルクの製品化が進み、来年春に販売開始との見通しと聞いています。
 そこで、災害時に備え、都として、乳児用液体ミルクの備蓄を進めるべきと考えます。今後の乳児用液体ミルクの活用について、知事の所見を伺います。
 次に、女性と若者の健康をサポートする取り組みについて質問します。
 女性活躍が期待される中、女性が元気に社会で働くために重要なのは、何といっても健康です。女性の生涯における疾病構造は、男性と大きく異なります。女性は、思春期から閉経に至るまで、ホルモンの変動に関係する疾病を多く経験するといわれています。
 日本医療政策機構の調査によると、日本の働く女性が病気で働けなくなった場合、日本の経済的損失額は約六兆円に上るといわれています。女性の健康を考えたとき、思春期から自分の体のことを知ることや、婦人科検診を身近に感じられる啓発の推進も重要です。
 我が党は、十五年ほど前から、女性の専用外来の設置を求め推進してきました。都立病院としても、墨東、大塚、多摩総合病院と三病院に女性専用外来を設置し、女性の健康増進に大きな役割を果たしてきました。今、社会状況も大きく変化する中、現在の利用状況を検証し、女性患者の多様な新しいニーズに対応できるよう機能を大幅に拡充するべきと考えます。
 そこで、都立病院として、思春期や働く女性などの新しい課題も含め、包括的に支援ができるよう取り組むべきと考えますが、都の所見を求めます。
 次に、若者の命を守るため、HIV感染、梅毒などの性感染症の予防について質問します。
 梅毒については、近年、都内で患者が増加しています。特に若い女性で急増しており、十年間で十倍以上という驚くべき数字です。この病気は免疫ができないので、治療し完治しても何度でも感染するといわれています。また、梅毒に罹患するとHIVの感染リスクを高めるといわれています。
 このような情報を広く周知し、予防に向けた取り組みを強化するべきです。都の所見を求めます。
 十一月十六日から十二月十五日は、東京都エイズ予防月間です。昨年、都内では四百六十四人が新たにHIVに感染、またはエイズを発症しており、二十歳代から三十歳代が約六三%といわれています。
 以前、私は、池袋にある東京都エイズ啓発拠点ふぉー・てぃーを視察させていただきました。若者が気軽に立ち寄れる雰囲気で情報提供されており、若者への啓発は重要と考えます。
 一方で、近年、外国籍のHIV感染者、エイズ患者がふえており、昨年は都内で九十一人の外国籍の方が新規HIV感染者、エイズ患者とし報告されています。
 このような状況を踏まえ、在留外国人の方にも積極的に検査を受けていただけるよう、都の検査・相談室について、易しい日本語や多言語で周知する必要があると考えます。都の所見を求めます。
 人も動物も、多様性も全てが尊重される真の共生社会の実現を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 栗林のり子議員の一般質問にお答えいたします。
 動物愛護相談センターについてのご質問でございます。その前に、ドイツでの現地視察、大変ご苦労さまでございました。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランで、飼い主が責任を持って動物を終生にわたり飼養し、動物の生命の尊厳を大切にする社会の実現に向けまして、二〇一九年度までに動物の殺処分ゼロとすることを目標として掲げ、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 その結果、昨年度の殺処分数は、犬はゼロ、猫も十六頭までに減少いたしております。さらに今年度は、十一月末現在、犬、猫とも殺処分ゼロとなっております。
 人と動物との調和のとれた共生社会を実現するためには、区市町村や関係団体等と連携をいたしまして、さまざまな普及啓発や動物の譲渡などを一層進めていくということが必要であります。動物愛護相談センターは、そうした取り組みの中核を担うものだと考えております。
 都といたしまして、昨年三月、センターの整備基本構想を策定いたしまして、これからのセンターに求められる役割等を取りまとめて、現在、動物愛護管理審議会において、センター全体のあり方についてご議論いただいているところでございます。
 センターの再整備に当たりましては、審議会のご意見なども踏まえながら、より親しみやすく、そして身近な施設として都民の皆様方が気軽に来所できる開かれた施設としてまいりたいと考えております。
 続きまして、乳児用液体ミルクについてのお尋ねでございました。
 乳児用の液体ミルクは、お湯で溶かさずにそのまま飲めます。よって、災害時に大変有用であり、私はこれまでも、その必要性、有効性について訴えてきたところであります。
 そして、本年六月、都は災害時に乳児用液体ミルクを海外から緊急に調達できるように、民間事業者と協定を締結したところでございます。
 八月には、国が規定を整備して、乳児用液体ミルクの製造、販売がいよいよ可能となりました。今般、一部の国内メーカーが製品化を実現いたしまして、来春からの販売開始を目指していることからも、国内からも調達できますよう本協定の見直しを進めているところでございます。
 今後、国内流通等の状況、そして区市町村の意見も踏まえながら、災害時の備蓄につきましても検討していく考えでございます。
 また、災害時に乳児用の液体ミルクが活用される、そのためには都民の正しい理解が必要であることから、専門家等の意見も聞きながら、普及啓発にもしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
 残余のご質問は、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、動物愛護相談センターの再整備についてでありますが、動物に関する施策は、狂犬病などから都民を守るための安全対策から、今日では、動物の愛護と適正な管理に向けた取り組みへと、その重心が移ってきております。
 こうしたことを踏まえ、昨年三月に策定したセンターの整備基本構想では、動物愛護施策の中核施設として、これからのセンターが担うべき役割を、適正飼養の普及啓発や保護された動物の譲渡の推進、事業者の監視指導、災害時の動物救護などとしております。
 この構想をもとに、現在、さまざまな分野の有識者等から成る動物愛護管理審議会で、センター全体のあり方につきまして、必要な機能の確保や利便性、業務の効率性等も勘案してご議論いただいており、それらを踏まえ、今後、センターの再整備について幅広く検討してまいります。
 次に、動物愛護推進員の活動への支援についてでありますが、現在、都は、委嘱した約三百名の動物愛護推進員が、地域において、動物の飼養に関し住民への助言や相談対応を行っており、都は、その活動がより効果的なものとなるよう、知識やスキルの向上のための研修会や推進員同士の意見交換等を目的とした連絡会を開催しております。
 近年、多数の動物を不適切に飼育する飼い主への対応や、ペットを飼い続けることが困難となった高齢者への支援など、地域の課題は多様になっており、推進員と保健、福祉部門の担当者との連携が必要なケースも出てきております。
 今後、保健や福祉部門の担当者等にも連絡会への参加を呼びかけ、連携しやすい環境づくりを進めるなど、推進員の活動をさらに支援してまいります。
 次に、動物譲渡に協力するボランティアの支援についてでありますが、都は現在、動物の飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のある四十八のボランティア団体等と連携して、動物愛護相談センターが保護した犬や猫の譲渡を進めております。
 昨年度からは、飼育に手間がかかる離乳前子猫を育成し、譲渡するボランティアに対し、ミルクや哺乳瓶等を提供しており、これまでに百九十五頭の育成をお願いしてまいりました。
 また、今年度から、負傷して保護された犬や猫を飼育し、譲渡するボランティア団体に、保護用具やペットシーツ等を提供する取り組みを開始し、これまでに猫十三頭の飼育をお願いしているところでございます。
 これらの取り組みは、広く好評を得ており、引き続きボランティアの方々と連携を図りながら、動物の譲渡を推進してまいります。
 次に、中部総合精神保健福祉センターでの手帳等の交付業務についてでありますが、センターでは、精神保健福祉法など関係法令に基づき、精神障害者保健福祉手帳及び精神通院医療の受給者証の交付に関する業務を行っております。
 手帳及び受給者証の交付件数は年々増加しているため、それに合わせ、申請書類等の保管や職員の作業及びOA機器の設置等に要する場所の拡大が必要となっており、これまでさまざまな工夫を行っているものの、現在の執務室では狭隘となっているのが現状でございます。
 そのため、十分なスペースを確保し、手帳等の交付業務を効率的に行えるよう、センター内の部屋の改修を行うことを予定しており、速やかに職場環境の改善を図りまして、都民サービスの円滑な提供に努めてまいります。
 次に、中部総合精神保健福祉センターにおける認知行動療法の活用についてでありますが、認知行動療法は、ものの考え方や受け取り方である認知の偏りを修正し、問題解決を手助けする治療法であり、センターでは、この技法を取り入れ、鬱病の方を対象とした復職や再就職に向けたプログラムや、依存症の方を対象としたグループ形式で行う回復に向けたプログラム等を実施しております。
 また、区市町村や保健所、医療機関など、地域で相談支援に携わる職員の専門性の向上を図るため、認知行動療法の知識や活用方法に関する専門研修や事例検討会等も行っているところでございます。
 今後も、認知行動療法の一層の普及を図り、鬱病や依存症等の方に対する支援を充実してまいります。
 次に、梅毒の予防に向けた取り組みについてでありますが、近年、都内の梅毒患者報告数は増加し、平成二十九年には千七百八十八件、うち女性は五百五十九件となり、感染症法に基づく調査開始以来、ともに最多となりました。
 こうした状況を踏まえ、都は今年度から、梅毒の予防のための普及啓発の強化、検査体制の拡充、医師向け研修会の開催、梅毒の診察を受けられる医療機関の情報提供などに重点的に取り組んでおります。
 本年十一月には、新たにウエブサイト、東京都性感染症ナビを開設し、eラーニングを活用して梅毒の基礎知識や予防に必要な情報を提供しております。
 さらに、来年一月以降には、梅毒の予防を呼びかけるポスター等の配布や啓発動画の配信などを予定しており、引き続き梅毒の感染拡大防止に向けた対策を進めてまいります。
 最後に、エイズ検査・相談室の外国人への周知についてでありますが、新規のHIV感染者、エイズ患者の報告には外国人の方も多く含まれており、感染拡大防止のためには、都内の外国人の方にも検査を受けていただく必要がございます。
 そのため、都は、毎年実施しているエイズ予防月間に外国人向けの新聞を通じ、無料、匿名でHIV検査を受けられる南新宿検査・相談室の案内を行っております。
 さらに、外国人にもわかりやすいとされる易しい日本語で、南新宿及び多摩地域検査・相談室を紹介するページを、来年三月までに現在のホームページに追加し、一層の周知を図ってまいります。
 今後、在日外国人に対するさまざまな調査等も参考にしながら、多言語によるHIV検査体制の周知方法について、必要な検討を行ってまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 都立病院におけます包括的な女性支援についてでございますが、都立病院では、女性医師による女性のための専門外来を設置いたしまして、女性特有の心身の疾患を総合的に診察するなど、女性の健康の推進に取り組んでまいりました。
 近年、女性は、職場、家庭、地域など活躍の場が一層広がっておりますことから、これまでの性差を踏まえた心身の変化に応じた医療にとどまらず、個々の患者のライフステージに沿った支援の重要性が高まっております。
 こうした認識のもと都立病院で女性専用外来を最初に設置した大塚病院におきまして、思春期から老年期まで女性の生涯にわたる健康を支えられるよう、関係する全ての診療科と患者支援センターとの連携を一層強化し、女性に対する切れ目のない医療支援をよりきめ細かに提供するための具体的な検討を進めてまいります。

○議長(尾崎大介君) 五十番清水孝治君
〔五十番清水孝治君登壇〕

○五十番(清水孝治君) 初めに、国民健康保険制度の都道府県化後の取り組みについて伺います。
 改めて申すまでもなく、国民健康保険制度は、我が国における国民皆保険の基礎をなすものでありますが、他の医療保険に比べて被保険者の年齢構成が高く、一人当たり医療費も高いという大変厳しい状況があります。重ねて、被保険者の所得水準は低く、保険料負担が重いという課題も抱えております。
 このような状況の中で、国民健康保険を持続可能な制度とするため、平成三十年度から国の財政支援を拡充するとともに、都道府県単位化する制度改革が行われました。そこには、東京都は、財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担い、制度の安定化を図ることとされております。
 制度改革の主なものとして、都が区市町村の納付金、標準保険料等を提示し、区市町村はそれを参考に保険料等を決定することとなっています。また、都は、運営方針を示し、区市町村が担う事務の効率化、標準化等を推進することになっております。
 一方、都内の多くの区市町村は、以前から一般会計からの法定外繰り入れをしながら事業の運営をしており、その規模は九百十億円という全国の三分の一を超えております。しかし、国保財政健全化の観点から、法定外繰り入れの段階的な削減、解消を進めていくことが求められております。
 都も、区市町村と一体となって国保事業を運営するため、東京都国民健康保険連携会議で協議を行うなど、ご努力を続けていることと思いますが、このような改革を行い八カ月ほど経過いたしましたが、都として、今後も国民健康保険制度が安定的に運営されるよう、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、都内植木生産について伺います。
 知事、東京都が全国有数の植木生産地であることをご存じでしょうか。都内農地は減少傾向でありますが、農林水産省の統計によれば、都内約七千ヘクタールの農地が残存しており、うち植木畑は実に二百十ヘクタールに及んでおります。
 また、全国各地に存在する数少ない専門農協である植木農協の一つが、何と東京都にございます。いわば東京都は植木生産のメッカでございます。
 景気がよかったころは、植木農家は、人件費を販売価格に盛り込める数少ない農業経営体でございました。しかし、昨今の公共工事やゴルフ場建設など、民間土木工事の減少により植木の需要は低迷し、その経営は厳しさが増しております。また、都内植木の重要な流通取引の場である植木市場も、その会場確保に苦慮している現状でございます。
 他方、東京都は、コンクリートや木材など建設資源の循環の仕組みを構築するための建設リサイクル推進計画を平成二十八年四月に改定し、東京都発注工事における建設資材等の調達について方針を定めております。そこには、都内産緑化植物の利用促進のため、都内産の緑化植物の公共利用の目標を全体利用の三割とすると明記していただきました。
 しかし、実際の現場では、土木工事標準仕様書に環境物品調達方針により、環境負荷を低減できる材料の使用を積極的に推進するものとすると記されているものの、その環境物品調達方針には、可能な限り都内産の緑化植物を使用するとされ、つまり、直ちには都内産植木を使用しにくい表現にとどまっております。まさに、都内植木生産農家を取り巻く現状は、全く精彩を欠いたままでございます。
 他方、過ぐる本年十一月十八日には、調布市武蔵野の森総合スポーツプラザにて、全国育樹祭の式典が挙行されました。
 当日は、皇太子同妃両殿下のご臨席を仰ぎ、式典行事等を通じ、健全で活力ある森林を育て、次代に引き継ぐことの大切さを伝えただけでなく、改めて都内森林の整備、保全や多摩産材の活用の必要性を感じたわけであります。
 そこで伺いますが、植木の聖地東京として、都内産植木の利用拡大に向けて、庁内連携した取り組みを進めることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、JR南武線の矢川駅から立川駅付近の鉄道立体化について伺います。
 JR南武線の矢川駅から立川駅付近では、多摩地域における南北主要幹線道路で唯一未着手区間が残る都市計画道路立川三・三・三〇号線、通称芋窪街道が延伸、交差する予定であります。
 同路線は、立川広域防災基地と中央自動車道の国立府中インターチェンジのアクセスを強化し、人や物の流れの円滑化のみならず、防災性向上にも寄与する極めて重要な路線であり、この計画道路の整備推進には、JR南武線の鉄道立体化は避けては通ることのできない重要な事業となっております。
 また、同エリア内のJR西国立駅に近接する上野原第一踏切では、一日当たり一万人を超える歩行者等が利用しており、踏切事故の発生が常日ごろ心配されている状況でございます。
 そんな中、沿線市である国立市では、本年六月に、鉄道立体化を踏まえた都市計画マスタープランを改定し、立体化事業の促進による道路交通の整備方針等を明らかにしてまいりました。同じく、立川市ではJR南武線の鉄道立体化に合わせてJR西国立駅周辺に駅前交通広場を整備するなどの方針を定め、周辺地域のまちづくりに積極的に取り組んでおります。
 広域的な幹線道路ネットワークの形成や地域のまちづくりを進めるためには、本区間の鉄道立体化が不可欠でございます。
 そこで、JR南武線の矢川駅から立川駅付近の連続立体交差化事業の取り組み状況について伺います。
 最後に、東京二〇二〇大会のライブサイトについて伺います。
 都は、本年四月、大会期間中のライブサイトに関する開催都市東京の考え方を公表し、都内候補地として八カ所を挙げております。現時点では、区部七カ所と比べ多摩地域では井の頭公園のただの一カ所にとどまっております。
 そもそもライブサイトの考え方は、チケットを持たない方や競技会場の遠方に住んでいる方にも身近な場所で競技のライブ中継やスポーツ体験、文化の発信等大会の臨場感を体験してもらい感動を分かち合っていただくことでございます。
 したがいまして、オリンピック・パラリンピックの競技会場が少ない多摩地域におけるライブサイトの果たす役割は大変重要でございます。
 そこで、多摩地域の振興に資する都が実施するライブサイトは、複数会場に拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、あわせまして、都が行うさまざまな機運醸成事業を駆使しまして多摩地域の盛り上げを図っていくべきと考えますが、都の見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 清水孝治議員の一般質問にお答えいたします。
 JR南武線の矢川駅から立川駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、この区間では、多摩地域における主要な幹線道路でございます南北方向の立川東大和線や東西方向の新奥多摩街道など、都市計画道路が四カ所で交差することとなりますほか、十四カ所の踏切があり、鉄道立体化が必要となっております。
 このため、都は国に対し、連続立体交差事業の着工準備に係る補助金を要望し、本年四月に新規着工準備箇所として採択され、事業化に向けまして具体的な調査を進める段階となりました。
 現在、鉄道立体化の構造形式や施工方法、また、交差する都市計画道路の構造等につきまして検討を進めております。
 引き続き、地元市や鉄道事業者と連携し、本区間の事業化に向けまして積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 国民健康保険に関するご質問にお答えいたします。
 国民健康保険制度を今後も安定的に運営していくためには、原則として保険料と公費により給付に必要な経費を賄い、収支が均衡していることが重要でございます。
 都の国民健康保険運営方針では、区市町村との共通認識のもと、一般会計からの法定外繰り入れの計画的、段階的な削減に取り組むこととしており、区市町村は、収納率の向上や適正な保険料率の設定による歳入確保とあわせ、歳出の伸びの抑制のため、保健事業や医療費適正化の取り組みを進めることとしております。
 都は、区市町村の取り組みに対し、必要な助言を行うとともに、医師会等と連携いたしまして、糖尿病の重症化予防や後発医薬品の普及など保険給付費の伸びの抑制に取り組むなど、財政運営の責任主体としての役割を果たしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 植木の利用拡大に向けた庁内連携についてでございますが、東京の植木産業を振興するためには、街路樹や公園の植栽を初め、広く利用を促進していくことが重要でございます。
 これまで都では、公共工事での都内産植木の活用を進めるため、関係局や区市町村を対象とした新樹種の紹介や具体的な活用法を示す現地研修会等を開催してまいりました。
 今後は、道路や公園等を整備する事業者が植木の在庫状況を随時把握できるよう、都内の植木生産者団体が運営するホームページの改修を支援するなど、植木利用を促す環境整備を進めてまいります。
 また、夏の暑さ対策として実証実験を進めてまいりました都内産植木を用いた移動式の緑化コンテナについて、関係局と連携し、東京二〇二〇大会の競技会場となる都立公園等への設置を検討いたします。
 これらにより、都内産植木の利用促進を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇ライブサイトについてでございますが、オリンピックパークのない東京大会におきましては、競技会場周辺や国内外からのアクセスがよい場所において、都民のみならず国内外から訪れる多くの方々を広く受け入れる広域的なライブサイトが必要でありまして、現在のところ、多摩地域では、井の頭恩賜公園に設置することとしております。
 都といたしましては、ライブサイト等を一層効果的に展開するとともに、市区町村が地域におけるコミュニティライブサイト等に積極的に取り組んでいただけるよう、補助制度による支援のほか、各種相談対応等を丁寧に行ってまいります。
 今後とも、市区町村と十分連携し、多摩地域を初め都内全域の盛り上がりにつながる取り組みを進めてまいります。
 次に、東京二〇二〇大会の機運醸成についてでございますが、ライブサイト等の取り組みに加え、大会の祝祭感をさらに高めるため、子供たちに人気の高いマスコット像等を多摩地域を含めた都内各所に効果的に設置してまいります。それにより、より多くの方々に多摩地域に足を運んでいただき、多摩の魅力発信につなげてまいります。
 さらに、市区町村が、地域住民が多く訪れる地元の商店街や駅前、公共施設などを、大会ルックを使った統一的なデザインでシティードレッシングできるよう、都としてもしっかりと支援してまいります。
 今後とも、都は、さまざまな機運醸成事業を推進するとともに、市区町村とも十分連携し、創意工夫を凝らして、多摩地域を初め都内全域の盛り上げを図ってまいります。

○議長(尾崎大介君) 三十四番斉藤まりこさん
〔三十四番斉藤まりこ君登壇〕

○三十四番(斉藤まりこ君) 七年前、我が子が認可保育園に入れず待機児童になったとき、足立区には認可保育園の増設計画が全くありませんでした。これは放っておけないと、足立区で認可保育園の増設を求める運動を立ち上げたことが私の政治家としての原点です。
 その運動の中で、保育施設で最愛の我が子を亡くしてしまった親御さんたちがいることも知り、ご遺族のお母さんたちと一緒に、保育の基準を緩和していく対策は絶対にしないでほしいと、都や国に何度も足を運んで訴えてきました。
 我が子を亡くしたばかりのお母さんが、失意の中で、涙に詰まりながら、力を振り絞って国や都に訴えていた姿を私は忘れられません。
 ご遺族のご両親の訴えを受けて、都は、認可外保育施設への年一回の巡回指導体制をとることになりました。
 しかし、死亡事故は繰り返されています。十月に練馬区の施設でまた小さな命が亡くなりました。保育従事者の配置基準などの違反を繰り返している認可外施設での死亡事故は、ことしに入ってから都内で二件目です。
 あってはならない保育施設での死亡事故が繰り返し起きている東京都の現状について、知事はどう認識していますか。
 東京都の認可外保育施設への立入調査は、全国比較ができる二〇一六年度の実施率が二一・二%で、東京都以外の道府県市の実施率の八四・六%と大きくかけ離れています。
 立入調査の実施率がほかの自治体と比べても明らかに不十分な実態について、知事はどう認識していますか。
 児童福祉法に基づく年一回の立入調査を行うためには、今の四倍から五倍近くの人員体制が必要です。法に基づく立入調査が十分に実施できるように人員をふやす必要がありますが、いかがですか。
 二〇一六年の中央区の認可外保育施設での死亡事故について、検証委員会の報告書では、巡回指導の結果を公表することが提言されました。
 しかし、現時点では、都が発行する指導検査報告書に簡単なまとめが掲載されるにとどまっています。保護者が把握できるよう、施設ごとの結果を公表すべきと考えますが、いかがですか。
 大田区で死亡事故を起こした施設は、保育士が一人もいないなど深刻な状況があったにもかかわらず、事故が起きるまで改善勧告が出されませんでした。
 ことし六月の本会議で、東京都は、指導監督を強化していくと答弁しましたが、厳格な対応がとられるよう、しっかりと具体化しなければなりません。
 必要な対応がとられなかった背景の一つとして、改善勧告などの指導については、さまざまな要素を総合的に判断するとされ、実態として判断基準が明確でないことがあります。
 実施する基準を明確化することを含め、必要なときに改善勧告などの対応が速やかに行われるようにしていくべきだと考えますが、いかがですか。
 保育士の配置基準を半分まで切り下げた企業主導型保育が始まってまだ二年ですが、既に多くの問題が噴出しています。
 世田谷区の企業主導型保育所では、十月末に保育士が一斉に退職し休園となりました。今年度、保育士の一斉退職や職員不足、在園児童の減少により、休園や継続困難等の問題が生じた施設は、世田谷区だけでも五園に上ります。全国でも不正などで助成が取り消された施設や休園が相次いでいます。
 背景には、企業主導型保育事業が区市町村の関与なく行えるという制度の根本問題があります。自治体の保育の整備計画と整合性がとられず、改善を求める声が自治体からも上がっています。インターネットの申請だけで助成金がおりるなど、確認も極めて不十分です。
 国会で、少子化対策担当大臣も、利用実態の把握についてはこれまでしっかりと対応できておらず不十分、自治体とも連携しつつ取り組まれることが極めて重要と述べざるを得ませんでした。
 知事は、こうした企業主導型保育で起きている問題をどのように認識していますか。
 国は、企業主導型保育制度の見直しを図るための検討会を設置することを決め、東京都も参加することになりました。東京都は、どのような立場で検討会に臨むのですか。新設を停止することを含めた抜本的な改善を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、不登校についてです。
 都教育委員会の調査によると、近年、都内公立小中学校の不登校の子供が増加し、二〇一二年度の八千三百八十一人が二〇一七年度には一万一千九百八十八人と、一・四倍にもふえています。特に私の地元の足立区では、この五年間で一・六倍にもなっています。
 かつて足立区では、不登校は東京都の平均よりも少なく、子供たちは学校が好きでした。今の状況に多くの区民の方々が心を痛めています。足立区では、不登校急増の原因の分析を専門家に依頼して、今年度中に報告をまとめる予定にしています。
 東京都でも不登校が急増している理由について、都としてどのように考えていますか。都としても、学校の現状を含めて不登校が増加していることについて分析する必要があると思いますが、いかがですか。
 今、学校では、子供たちに挨拶の仕方や椅子の座り方、手の挙げ方などの行動を細かく統一する学校スタンダードなどといわれる指導が広がっています。朝読書、中休みのマラソン、お昼休みの掃除、帰りの会の後のプリント学習、七時間授業、多過ぎる宿題などに子供たちは疲弊しています。
 あるお母さんは、四年生の息子が家に帰ると、忙しい、忙しいといって宿題を広げながらいらいらしていると心配しています。また、細かい決まりを守ろうとして、少しでも失敗するとパニックになってしまう子供もいます。子供たちにも先生にもゆとりがなく、分刻みの行動が強いられる状況が広がっています。これでは、学校に行きたくなくなる子供がふえるのも無理はありません。
 都教委は、こうした小中学校の実態をつかんでいますか。実態を調査し、子供たちがゆとりを持って学校生活を送れるよう、方向性を示すべきではないですか。
 また、足立区では、東京都の学力テストの自治体ランキングが低かったことが問題視され、学力向上として学校間競争があおられてきました。区のテストも行われ、学校別の平均点が公表されて、下位の学校には指導が入り、先生は、点数を上げようとして過去問の練習をさせている実態があります。点数がとれそうにない子供は別室でテストを受けさせ、集計から外すといった教育が行われています。
 二〇一三年には、全国学力テストが全員に受けさせる形で復活しました。テストの結果で能力がはかられる環境の中で、子供たちが自己肯定感を持ちづらくなっています。当初の目的がどうであれ、学力テストが序列化の材料として扱われ、競争をあおり、子供たちを傷つけていることは問題だと思いますが、いかがですか。
 学力テストは、学習状況や授業の改善に役立てるのが本来の目的だとすれば、過去問を繰り返しやらせるような指導は不適切だと考えますが、いかがですか。
 今年度は、新たに六県が県単位の学力テストを中止しました。東京都も、本来の趣旨に照らせば、抽出の調査で十分です。弊害の多い全員対象の学力テストは中止することを求めます。
 不登校の問題の解決には、これらの子供を追い詰める学校の現状にこそ目を向けるべきではないでしょうか。
 子供たちが学校に行けない要因を取り除き、子供たちが通いたくなる学校をつくり、不登校を減らしていくことが大切だと考えますが、知事、いかがですか。
 不登校の子供たちと親への支援も重要です。教室以外の場所なら学校に通えるという子供もいますが、対応できる先生がいないため、別室登校は一日一時間までと決められて帰宅させられたり、担任の先生も授業が詰まっていて、生徒が来ても話もできないという実態があります。
 不登校対応の教員加配をふやすなど、学校に来ようとする子供や保護者を励ませるような教員体制の充実を求めますが、いかがですか。
 保護者や校長会から要望されているスクールカウンセラーの常勤化や派遣回数の充実をすること、また、スクールソーシャルワーカーの配置や有資格者によるアウトリーチ支援を行う区市町村を支援することを求めますが、いかがですか。
 最後に、水害対策について伺います。
 足立区の中川地域では、十四の町会、自治会が、中川や荒川が氾濫した場合のコミュニティタイムラインを作成する先進的な取り組みをしています。
 大きな被害をもたらす台風や長雨などが想定されるときに、いつ、誰が、何をするかということを町会、自治会単位であらかじめ確認をして、避難先や助けが必要な人を地域ごとに把握し、住民と足立区とで課題の認識や連携を深める貴重な場になっています。
 マイタイムラインを生かす上でも、コミュニティタイムラインの役割は重要です。コミュニティタイムラインの取り組みを広げていくためにも、町会、自治会などへの財政的な支援の拡充が必要だと思いますが、いかがですか。答弁を求めて質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤まりこ議員の一般質問にお答えいたします。
 認可外保育施設におけます死亡事故についてのお尋ねがございました。
 保育施設で亡くなられたお子様とご家族の皆様にお悔やみを申し上げたく存じます。
 また、保育施設におきまして、このような事故が発生するということそのものはあってはならないことと考えます。
 都におきましては、認可外保育施設の質の確保を図るために、児童福祉法等に基づきます立入調査に加えて、昨年三月から巡回指導を開始いたしまして、指導監督を強化しているところでございます。
 また、重大事故が発生した場合には、直ちに現地確認を実施いたしまして、基準を満たさない場合には、改善指導、改善勧告、施設閉鎖命令等を実施することといたしております。
 本年三月に取りまとめられました保育施設等におけます重大事故の検証委員会の提言を受けて、第三者評価の導入や認証保育所等への移行支援、また、巡回指導を行う区市町村への支援などを進めております。
 今後とも、認可外保育施設の質の向上に取り組んでまいります。
 次に、認可外保育施設に対しましての立入調査についてのお尋ねがございました。
 認可外保育施設におきましては、保育サービスの質を確保することは重要でございます。そのため、都は、児童福祉法等に基づいて認可外保育施設に対しまして、書面による報告徴収や立入調査等の指導監督を実施いたしております。
 これらに加えまして、先ほど申し上げました巡回指導を開始し、都内全ての認可外保育施設を年一回以上訪問しており、この結果等も踏まえまして立入調査を機動的に実施をしております。
 企業主導型保育事業についてのお尋ねでございます。
 企業主導型保育事業は、国が平成二十八年度に創設したものでございます。夜間や土日、短時間など、働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスで、地域住民の児童を受け入れることができるなど、待機児童対策の一つでもあるとされております。
 一方で、整備に際しまして、自治体の関与が少ないことから、保育の実施主体であります区市町村が利用実態を把握できないなど、地域との連携に課題があると認識をいたしております。
 次に、不登校についてであります。
 不登校は、子供たちの学習の機会が失われたり、将来、社会的に自立することが困難になるなど、かけがえのない子供たちの人生に影響を及ぼすおそれがございます。
 不登校の要因や背景は多様かつ複合的であることから、教育のみならず福祉などの視点も含めまして、さまざまな関係機関の協力を得て総合的な施策を講じていく必要がございます。
 東京で学ぶ全ての子供たちが生き生きと生活ができて活躍できますよう、より一層魅力ある学校づくりなど、不登校の対策に引き続き取り組んでまいります。
 残余のご質問は、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、不登校児童生徒の増加についてでございますが、都内公立小中学校における不登校の児童生徒数は、平成二十五年度以降増加しておりますが、子供たちを取り巻く環境や価値観はさまざまであり、不登校の要因や背景も複雑多様化しております。
 都教育委員会はこれまで、不登校対策に関する委員会や教育支援センター等の充実に向けた委員会等において、不登校の現状を考察するとともに、対策について検討してまいりました。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携しながら、各学校における不登校対策を推進してまいります。
 次に、小中学校の教育活動の把握についてでございますが、都教育委員会は、毎年、都内各公立小中学校等の年間の教育活動計画である教育課程の編成実施状況を調査し、授業時数や読書活動などの実態を把握しております。
 また、小中学校校長会や区市町村教育委員会の担当者による協議会において、ゆとりのある学校生活に関する特徴的な取り組み事例などを情報交換し、互いの参考とする場を設定しております。
 情報交換の具体例として、学校行事の精選を行い、準備や練習に費やす子供たちの負担を減らしている事例や、教員の会議の時間を見直し、子供と向き合う時間を確保している事例などがございます。
 次に、小中学校における学力調査についてでございますが、都教育委員会が実施している学力調査は、児童生徒の学力の実態を明らかにすることによって、それぞれの教員が授業を改善し、児童生徒の学力の向上を図ることを目的としており、他者や他校との比較を意図しているものではございません。
 今後とも、本調査を通して、子供たちに基礎的な知識や技能だけでなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までも含めた確かな学力を育成してまいります。
 次に、学力調査の事前の指導についてでございますが、近年、議員ご指摘のような事例は都内では見られておりませんが、万が一、数値データの上昇のみを目的としていると受け取られるような行き過ぎた事前対策の実態が明らかになった場合には、都教育委員会として、区市町村教育委員会に対し、所管の各学校において調査の趣旨、目的に沿って適切な実施がなされるよう指導していく考えでございます。
 次に、不登校生徒対応の教員体制についてでございますが、不登校の要因や背景は、多様かつ複合的であることから、都内公立学校では、管理職、学級担任、養護教諭等の教職員が適切な役割分担のもと、スクールカウンセラー等の専門家や福祉等の関係機関と連携して、児童生徒や保護者に対応しております。
 都教育委員会では、不登校対応の充実を図るため、特に不登校生徒の出現率が高い中学校八十六校に対して教員加配を行っています。
 引き続き、必要な教員の加配を行うなど、学校が関係機関等との緊密な連携を深めながら、適切に対応できるよう支援してまいります。
 最後に、区市町村の外部人材活用への支援についてでございますが、都教育委員会は、平成七年度からスクールカウンセラー活用事業を開始し、その配置を順次拡大してまいりました。平成二十五年度からは全ての小中学校に配置するとともに、平成二十八年度からは勤務日数を年三十五日から三十八日に拡充いたしました。
 また、スクールソーシャルワーカーについては、平成二十一年度から区市町村教育委員会が策定する配置計画に沿って経費を補助しております。
 学校や区市町村教育委員会は、こうした外部人材を活用して教育相談体制の充実を図るとともに、家庭への支援や福祉等の関係機関との連携を強化しております。
 今後とも、学校や区市町村教育委員会が専門性の高い外部人材を有効活用し、不登校対策を推進できるよう支援してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、認可外保育施設に対する立入調査の体制についてでありますが、都は、新規に開設された施設、苦情、通報が寄せられた施設などを中心に立入調査を行っております。
 また、年一回、都内全ての認可外保育施設を訪問する巡回指導により、重大な問題が認められた場合には迅速に立入調査を行うほか、夜間や事前通告なしの調査を行うなど機動的に対応しております。
 調査の結果、基準に適合していない場合は、文書で指摘し、改善を求めており、改善状況については、巡回指導でも確認しているところでございます。
 今後とも、立入調査と巡回指導の連携により、指導監督を機動的に実施し、施設の適正な運営を確保してまいります。
 次に、認可外保育施設に対する指導結果についてでありますが、都は、立入調査について指導監督基準に規定されている全ての項目を調査し、その結果を施設ごとに公表しております。
 巡回指導におきましては、職員配置、保育内容等について、各施設の保育の状況に応じて指導助言を行っており、その結果を重大な問題が認められた施設への早期の立入調査につなげるなど機動的な指導監督に活用しております。
 次に、認可外保育施設に対する改善勧告についてでありますが、都は、児童福祉法等に基づき、認可外保育施設に対しまして立入調査等の指導監督を実施しております。
 立入調査では、設備及び運営に関する基準に適合しない場合には、文書による改善指導を行い、指導によっても改善されない、または改善の見通しがない場合は改善勧告を行っております。
 今年度は、夜間の一人勤務が常態化し、改善の見通しがない施設など複数の施設に対しまして、既に改善勧告を実施しております。
 今後とも、認可外保育施設の指導監督に当たりましては、改善勧告を含め厳正に対応してまいります。
 最後に、企業主導型保育事業に係る国の検討会についてでありますが、検討会では、事業者団体、公認会計士等の構成員が、保育の質の確保、自治体との連携、指導監査のあり方などを議論することとなっており、都もこれに参加を求められております。
 企業主導型保育事業については、都内区市町村から、設置場所、地域枠の設定、入所児童の把握など、保育の実施主体である区市町村との連携における課題があることが指摘されております。
 都といたしましては、こうした課題を踏まえ、制度の適切な運用について意見を述べてまいりたいと考えております。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 防災に関する町会、自治会への支援についてでございますが、現在、都は、町会、自治会活動を支援する地域の底力発展事業助成を行っております。
 この助成は、防災活動も対象としておりまして、消火訓練や防災マニュアルの作成を初め、タイムラインを活用した訓練等についても助成対象とすることができます。
 今後とも、こうした支援を通じて、町会、自治会が実施するさまざまな防災活動の促進を図ってまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行します。
 七十番木下ふみこさん
〔七十番木下ふみこ君登壇〕

○七十番(木下ふみこ君) 本年九月から、都民ファーストの会の女性都議有志の皆さんとともに、女性のための政治サロンを開催いたしました。政治と女性の距離を縮めるという趣旨に賛同いただいた、大変多くの意欲ある女性たちとともに、とても建設的なディスカッションをすることができました。
 一九八六年に男女雇用機会均等法が施行され、職場における男女平等が進められてきましたが、三十年以上たった現在においても、まだまだ男女の中にある不平等は改善されていません。育児や介護と仕事の両立、キャリアアップや昇進の壁、社会の無理解、体や性、病気、離婚と一人での子育て、貧困、老老介護、高齢独居など、女性たちに降りかかることの多い課題は、まだまだたくさん横たわっています。
 それらの課題解決のためには、みずから声を上げ動くこと、声を集めて届けること、企業の中でのリーダー的ポジションや政治へのチャレンジなど、ルールを決めていく側に、女性として、また女性の課題を理解するものとして、多くの人々がかかわっていくことが重要になることをともに学びました。
 都民ファーストの会に所属する十七名の女性都議の一人として、また、女性が三割を超える貴重な議会の一員として、女性視点を持って課題解決に取り組んでいくことの重要性を新たに認識し、まずは女性を取り巻く課題に関する質問をいたします。
 初めに、女性のヘルスリテラシーの啓発についてお伺いします。
 心身ともに健康で人生を過ごすことは、全ての人々にとってとても大切なことです。そのために、自分に起きてくる心身の変化や病気などのリスクについて、あらかじめ理解しておくことは重要です。何かあったら傷つくのは女性であるということもあり、自分の身を守るという観点から、また、妊娠、出産というライフイベントを経験する性ということからも、自身の心や体に起こる変化を若いうちからライフステージに応じて知っておくことは、女性にとって特に重要なことになると考えます。
 例えば、日本産科婦人科学会監修の「HUMAN+女と男のディクショナリー」では、思春期、青年期、将来の妊娠、更年期など、女性のライフステージに応じて心身の健康情報をホームページやブックレットでわかりやすく提供しています。
 このように、女性のライフステージに応じた健康情報の提供をプッシュ型で行うなど、女性のヘルスリテラシーを高めるための取り組みを強化すべきと考えますが、都の取り組み状況と今後の方向性についてお伺いいたします。
 若年期での啓発がより重要であるという意味では、学校教育の中でのヘルスリテラシーの啓発にも力を入れていただきたいと思います。
 現在、都教育委員会では、性教育に関する基本的な考え方や実践事例を示す性教育の手引の改訂作業が進んでいます。女性の体と尊厳を大切にするという観点から、発達段階に応じた適切な情報提供に体系的に取り組むよう、強く要望をいたします。
 次に、女性と仕事についてです。
 大企業の正規職員の女性たちを見る限り、育児と仕事の両立に関する制度やその利活用は、まだまだ十分ではないにせよ、かなり充実してきていると感じます。それに比べると、都内四十五万社ある企業の九九%を占める中小企業においては、育児・介護休業法に定める制度はあっても利用しにくいという声をたくさんお聞きします。
 そこで、中小企業で働く女性たちが、育児と仕事を両立しながら働き続けられるよう、都はさらなる支援を行うべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
 また、女性の多様な働き方の一つとして、起業、起こす業も重要な選択肢となります。趣味や特技を生かすなど、女性の特性に応じた効果的な起業支援を実施すべきと考えます。特に、子育てを担い、一旦家庭に入り、主婦となることも多い女性たちに、ライフステージに応じたきめ細やかな起業支援を講じていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 現在の団塊世代までのシニアは、年金も十分あり、ボランティアなどの地域の担い手としての社会とのかかわりが期待されていますが、将来、国の年金制度は破綻するおそれがあるといわれており、今の四十代、五十代がシニアになるときには、十分な生活費を得られなくなっていくことが懸念されます。少ない年金に加え、何らかの対価を得ることが高齢となっても求められる時代になっていくでしょう。
 そう考えると、現在のシニア層に提供されている単純労働を中心とした仕事だけでなく、もっともっと誇りを持って働くことができる環境づくりを進め、シニアになっても生き生きと誇りを持って過ごせる社会を今から準備していくことは大変重要であり、女性は男性より長生きをすることを考えると、女性の幸せな一生という観点からも、ポスト団塊世代を見据えたシニアの誇りある仕事づくりとの視点を持つことが重要と考えます。
 そこで、幾つになっても誇りある仕事を得るため、シニア層が次々起業していけるような施策や就業支援について、都の見解をお伺いします。
 また、教員の繁忙と働き方改革が叫ばれる中、学校におけるシニア世代の社会参加という新たな誇りある仕事場の可能性についても、ご検討をお願いいたします。
 次に、乳児用液体ミルクについてです。
 災害時には、粉ミルクを溶く温かいお湯を手に入れることが難しくなります。衛生的にそのまま与えることができる液体ミルクは、赤ちゃんを抱えて避難してくるお母さんたちにとって大変役立つことから、小池都知事も衆議院議員時代から周知活動を実施してきておられます。
 本年八月、国が製品基準を定めて、国内製造を解禁し、先般、国内メーカーによる製造が発表されました。
 北海道胆振東部地震で都より寄贈した際、使用されなかったとの一部報道がありましたが、液体ミルクの認知、周知不足が一因と考えられます。
 このたび、文京区では、災害時、妊産婦と乳児の専用救護所に国内メーカーの液体ミルクをローリングストック方式で備蓄し、期限切れ分は乳幼児健診で配布することで、まずは知ってもらい、使ってみてもらうとしました。
 こうした国内の新たな動きも踏まえ、都として、液体ミルクの周知、啓発をさらに進めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 都民ファーストの会東京都議団では、エネルギー・環境政策研究会を設置し、再生可能エネルギー推進政策について勉強を重ねています。
 全国には、再生可能エネルギーに取り組む地域電力会社も増加しており、これまでに太陽光発電、風力発電、中小水力発電などの再生可能エネルギー設備は、国全体で約六千キロワットが導入されています。稼働率の違いもあるので単純にはいえませんが、設備容量でいえば、原発六十基分となります。ちなみに、現在運用中の原子力発電は三十七基と考えております。
 再生可能エネルギーの生産コストは、世界を見ると大変安くなってきており、日本だけが高どまっている現状を打破するためにも、これらの再生可能エネルギーを、大消費地として東京が取り込むことは大変重要です。
 また、事業電力を一〇〇%再生可能エネルギーにするRE一〇〇を標榜する企業がふえており、アップルやグーグル、BMWなど、本年七月時点で世界で百三十八社が加盟、日本企業の参入も進んでいます。その方が企業評価が高いというのが世界の潮流だからだと理解をしております。
 このように、再生可能エネルギーへのシフトは、今や企業の責務ではなく、成長戦略のフェーズになってきたと認識しております。まさに潮目が変わっているのです。
 そこで、都の成長戦略としての再生可能エネルギー政策について、知事の見解をお伺いいたします。
 一方で、東京産の再生可能エネルギーをふやすことも大切です。都は、環境基本計画において、都内の太陽光発電設備の導入量を二〇三〇年までに百三十万キロワットに高めるという目標を定めていますが、二〇一六年度時点で五十万キロワットとまだまだです。
 そこで、東京都内での再エネ発電のさらなる促進について、その具体的な取り組みをお伺いいたします。
 昨年度、小池都知事の肝いりで、都民が提案し、都民が選ぶ仕組みとして、都民による事業提案制度が試行され、三十年度予算で九つの取り組みが事業化されました。
 これは、住民が行政に対して事業を提案できる画期的な制度であり、都道府県レベルでは全国初、小池都政の大きな成果だと考えております。
 いずれの事業も都民目線の生活に密着したものであり、行政にはない新たな発想を取り入れる仕組みが定着しつつあると、大変喜ばしく思っています。これこそが都民ファーストの政策であり、どんどん拡大、発展させていくべきです。
 そこで、この事業提案制度について、三十年度予算で事業化されたものの取り組みの状況や成果と、来年度に向けた拡充への意気込みなど、知事の見解をお伺いいたします。
 最後に、地元板橋区のまちづくりについてお伺いいたします。
 都営三田線の混雑は増加傾向、山手線と接続する巣鴨駅は大変な混雑となっています。区民の皆さんからは、現在六両編成の車両を八両にしてほしいという声がたくさん私のところにも届いています。
 そこで、都営三田線における八両編成化に向けた取り組み状況についてお伺いします。
 ベビーカーを利用して乗車されているママさんたちからは、車内の混雑が激しく、ベビーカーの置き場が少ない、車内での移動がスムーズにできないといったお声もお聞きします。
 そこで、ベビーカーを利用する方々にも使いやすい車両とすることが必要と考えますが、三田線における都の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、東武東上線のバリアフリー化についてお伺いします。
 東武東上線は、池袋駅を起点に、豊島区、板橋区を通り、一日に約九十七万人が利用する、区部北部を支える通勤通学の大動脈です。その利用者は朝夕の通勤通学にとどまらず、高齢者やベビーカーを利用する子育て世代にとっては大変大切な生活の足です。駅のバリアフリー化には高いニーズがございます。
 現在、下板橋駅で始まっているエレベーターの設置工事では、一刻も早い利用開始へと地元の期待が高まっています。
 一方、東武東上線では昨年度、足の踏み外しも含めて五十八件の転落事故が発生しています。板橋区民の利用が多い成増駅までの都内九駅には、現在一つもホームドアがありません。ホーム上の安全を確保するためにも、ホームドアの整備を急ぐ必要があると考えます。
 そこで、東武東上線におけるバリアフリー化の現状と今後の整備計画についてお伺いします。
 最後に都立公園です。
 小池都知事は、都市公園を都市戦略に位置づけ、民間のアイデアやノウハウも入れて、都立公園の活用に取り組んでいくと答弁されています。カフェ、ランステーション、ドッグランなど、民間の知恵を入れた豊かな空間がふえることはとても望ましいことです。
 板橋区には、都立赤塚公園、城北中央公園、浮間公園、光が丘公園と四つの都立公園があります。これらの公園への民間事業者の導入について、現在の取り組み状況をお伺いし、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 木下ふみこ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、中小企業における育児と仕事の両立についてのご質問がございました。
 私はかねてから、日本に埋もれている未利用エネルギーは女性だ、東京で女性の力を最大限に引き出すことこそが輝く未来をつくると申し上げてまいりました。
 また、議員におかれましても、これまでも豊島区で、女性のための切れ目のない支援施策を区に提言する、としまF1会議の中心的なメンバーとして、女性活躍の牽引役を務めてこられました。
 職場で働く女性の活躍を推進していく上で最大の課題は、ご指摘のように、育児と仕事の両立であります。育児か仕事かの二者択一の選択を迫られるという現状に早く終止符を打たなければ、これからの東京の持続可能な発展はあり得ません。
 そのためには、企業における働き方改革が重要です。都内企業のほとんどを占める中小企業の取り組みを推進していくことは不可欠であります。
 そこで、今年度新たに、中小企業の従業員に、希望する期間の育児休業を取得させることとあわせて、職場への復帰支援などを行った企業に対する支援を開始いたしました。また、育児休業を取得しやすい職場の風土づくりなど、企業の取り組み状況を星の数で表示をして見える化することによって、一層の取り組みを促す事業も創設をいたしております。
 今後は、これらに加えまして、長時間労働の削減など、働き方の見直しに取り組む企業への支援を加速するとともに、働き方改革の起爆剤でもありますテレワークの普及をさらに強力に推進してまいります。
 こうしたさまざまな施策を通じまして、中小企業におけます育児と仕事の両立を実現して、女性が真に輝く社会を目指してまいります。
 次に、自分らしい働き方を望む女性に対する起業の支援についてでございます。
 女性が、意欲や個性のほか、ライフステージに応じてその力を創業や会社経営の中で存分に発揮をして生き生きと活躍すること、それは東京の経済の持続的な成長にもつながります。
 女性が起業のさまざまな事例に幅広く触れて、創業を身近に感じて、事業の開始に自然に踏み出せる、そんな雰囲気づくりは大切でございます。そして、出産や子育てを抱えながらも、起業や経営で必要となる基本的な知識を身につけて、事業を育て上げる環境も整えなければなりません。
 そのため、丸の内にTOKYO創業ステーションを設け、日常の生活で培ったスキルを上手に生かして、無理なくビジネスを立ち上げた女性起業家の事例として紹介をいたしております。
 例えば、共働きの家庭に食事のつくり置きをするサービス事業であったり、出張型の親子英会話教室などがございます。こうした事例をイベントやウエブなどを通じて紹介をいたしております。
 また、子育て中の女性に託児サービスも提供をして、同じ志を持つ仲間と交流をして、経営の基礎を学ぶ場も設けております。
 さらに、創業間もない女性起業家のためには、託児スペースを備えたインキュベーション施設や、身近な地域で利用できるシェアオフィスをふやすなど、子育てと会社経営の両立も後押しをしてまいります。
 また、来年一月には、新たに女性経営者を集めました会議を開催いたしまして、ビジネスの魅力と可能性を大いに語り合って、政策も提言していただきます。来年度にはさらに内容を充実させて、女性の創業に向けた機運の盛り上げを加速してまいりたいと考えております。
 また、多摩地域ですが、多摩に創業支援の新たな拠点をつくりまして、起業を希望する女性が身近な場所で容易にサポートを受けられる環境も整えてまいります。
 これらの多様な施策の展開によりまして、起業を目指す女性の支援をきめ細かく行い、東京の産業の力強い発展に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、乳児用の液体ミルクについてのご質問がございました。
 都は、ことしの七月豪雨災害等の被災自治体から要請を受けまして、海外から緊急輸入いたしました乳児用の液体ミルクを救援物資として提供したところでございます。
 その際、安心して使用していただけますように、製品情報の日本語訳や保護者向けの説明文を作成して提供したのでございますけれども、残念ながら、お話のように液体ミルクへの十分な理解につなげることはできませんでした。
 災害時に乳児用の液体ミルクが活用されるためには、平常時から広く都民の方々に利用方法について正しく理解していただくことが必要でございます。
 そのために医療や保健に関する専門家等の意見もお聞きしながら、乳児用の液体ミルクの普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
 また、国内での製造、販売の開始を見据えまして、災害時におけます海外からの緊急調達に関する協定の見直しも進めておりまして、今後、災害時の備蓄についても検討してまいります。
 次に、成長戦略としての再生可能エネルギー政策についてのご質問でございます。
 日本には、ご指摘のように風力発電や蓄電池など、再生可能エネルギー関連のすぐれた技術力を有する企業がたくさんあります。今後も成長、発展が見込まれる分野でございます。
 AIやIoTを活用した電力需給、気象等の予測技術、そして遠隔制御技術などの進展も期待されており、再生可能エネルギーの拡大は、温室効果ガスの削減とともに関連産業の成長にもつながるものでございます。
 都といたしまして、エネルギーの大消費地といたしまして、今般、キャップ・アンド・トレード制度において、再エネ電力の利用拡大に向けた新たなインセンティブを付与することなども検討いたしております。
 あわせまして、再エネ電力の自家消費の拡大や防災力の向上にも資する蓄電池の導入を図ってまいります。
 今後、こうした取り組みによって、国内の関連産業の成長の後押しともなる再生可能エネルギーの利用拡大を促しながら、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
 最後に、事業提案制度についてのお尋ねがございました。
 都政をしっかりと前へ進めていく、そのために東京の現状を肌で感じている人々の知恵を集めて、施策を磨き上げていきたい、そんな思いから、平成三十年度の予算編成で、一人一人の都民の声を直接反映させるという都民による事業提案制度を初めて導入いたしました。
 今年度予算に反映させた事業の中には、例えば、働く人のチャイルドプランサポート事業がございますが、これは、不妊治療と仕事の両立に向けた都民向けセミナーの開催でございまして、大変好評を得てまいりました。現在、具体的な取り組みも進行中でございます。
 都民の身近な視点に根差したニーズが都の政策立案に活用されて、都民に還元されるという、まさしく都民ファーストの視点に立った望ましいサイクルが生まれているものと考えております。
 平成三十一年度予算編成におきましては、対象事業の分野を拡大いたしまして、都内在住のみならず、通勤通学の皆様からの提案も受けつけるなどいたしまして、制度の充実を図るとともに、新たに大学研究者による事業提案制度を立ち上げまして、東京に集積をいたしております大学の知が持つ可能性を施策の構築に活用することといたしました。
 今後とも、東京に住み集う皆様が持つ知恵を、東京の課題解決と成長創出に生かすべく、創意工夫を凝らしまして、東京の明るい未来をつくり上げる施策にしっかりと反映させてまいります。
 残余のご質問は、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 都立公園におけます民間事業者の活用についてでございますが、都立公園に新たなにぎわいを創出し、魅力や価値を高めるために、民間事業者のアイデアやノウハウを取り入れることは重要でございます。
 都は、区部北部及び多摩部の四十二公園を対象に、民間事業者から公園活用のアイデア等の意見を聞き取りますマーケットサウンディング調査を本年実施いたしました。この調査を踏まえまして、現在、民間施設を導入する際に必要な情報となります都市計画法上の用途制限、地下埋設物の状況や公園周辺の土地利用状況等の現状把握を進めております。
 板橋区内の都立公園につきましても、今後、緑とオープンスペースがもたらします公園の本来機能を確保しつつ、利用者ニーズや事業採算性、公園の個性、特性などを踏まえまして、民間施設の導入可能性を検討してまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 女性のヘルスリテラシーに関するご質問にお答えいたします。
 ライフステージごとのさまざまな健康上の問題に対して、生涯を通じて支援するため、都は、女性のための健康ホットラインで、思春期から更年期に至る女性を対象に、心身の健康に関する電話相談に応じております。
 また、子宮頸がんや乳がんの予防のため、若い世代にはSNS、主婦層にはフリーペーパーなど、年齢層に応じた媒体を活用して、がん検診の重要性や正しい知識の普及啓発を行っているところでございます。
 さらに、骨粗鬆症予防に関する健康教育など、女性の健康増進に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 今後、女性のヘルスリテラシーの向上に向け、有識者等の意見を聞きながら、さらなる取り組みを検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 高齢者の起業と就業への支援についてでございますが、高齢になっても活躍し続けられるよう、シニア層が長年にわたり培った力を発揮し、創業や就業に取り組めるよう支援することは重要でございます。
 都は現在、創業を希望する高齢者に対し、TOKYO創業ステーションにおいて、会社設立に向けた助言や、事業計画の作成支援等を実施しております。
 今後は、シニア層の起業に対する関心を高めるため、コンテストにより、すぐれた事業プランを選定、表彰し、開業資金も助成する仕組みを新たに検討してまいります。
 また、就業を希望する高齢者には、新たな分野の仕事を体験することで活躍の場が広がるよう、企業への派遣を実施しており、今後は、派遣を受け入れた企業へのサポート体制の構築も検討してまいります。
 こうした支援により、シニア層の起業や就業を効果的に後押ししてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 都内での再エネ発電の促進についてでございますが、都はこれまで、都有施設における再エネ設備の導入を積極的に図るとともに、ソーラー屋根台帳を活用した普及啓発や、事業所における地産地消型の再エネ設備の導入支援などの取り組みを進めてまいりました。
 今般、さらなる再エネ設備の導入拡大に向け、住宅所有者が初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できるよう支援策を検討してまいります。
 また、住宅用太陽光発電の自家消費の促進と非常用の自立性向上に資する蓄電池やビークル・ツー・ホームの導入について、既存補助制度の拡充を検討してまいります。
 こうした取り組みなどにより、都内における住宅や事業所等への再エネ設備のさらなる導入拡大を図ってまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営三田線の八両編成化に向けた取り組みについてでございますが、三田線では、相互直通運転を行っている東急目黒線を含め、沿線地域の開発が進み、お客様の増加が続いていますことから、一編成当たりの車両数を六両から八両に増強して混雑緩和を図ることといたしました。
 本年七月には、十三編成分の車両製造契約を締結したところでございます。
 また、八両編成化に伴って必要となる駅の改修工事のうち、ホームドアの増設につきましても契約を締結しており、今後、更新とあわせて工事を実施いたします。
 火災対策基準に基づく防災改良工事につきましては、駅ごとに必要な対策が異なりますことから、現在検討を進めてございます。
 引き続き、八両編成化に向けて準備を着実に進め、輸送需要に的確に対応してまいります。
 次に、三田線のベビーカー使用者に対する取り組みについてでございますが、三田線では、一編成当たり二両に車椅子スペースを設けており、ベビーカー使用者も安心してこのスペースをご利用できるよう、ベビーカーマークを張りつけてございます。
 さらに、車両更新に合わせ、全ての車両に車椅子やベビーカー双方に配慮したスペースを設けることとしております。
 加えて、ベビーカーの利用に対する周囲の方々のご理解が深まるよう、ポスターの掲示や駅構内放送による普及啓発を行うとともに、ベビーカー使用者に対しては、お困りの際に駅員がお声かけをしております。
 今後とも、お子様連れのお客様にも安心して都営地下鉄をご利用いただけるよう、積極的に取り組んでまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 東武東上線のバリアフリー化についてでございますが、都は、駅のバリアフリー化を推進するため、国と連携して補助を実施し、鉄道事業者によるホームドアやエレベーターの設置を支援しております。
 この結果、エレベーターについては、現在、東上線の都内にある十駅のうち九駅において、段差なく移動できる経路が少なくとも一つ整備されております。未整備として残る下板橋駅につきましても、今年度末の供用開始に向け、十月に整備に着手いたしました。
 また、ホームドアについては、池袋駅において整備が進められており、今後、東武鉄道は、二〇二一年度以降、東上線の都内全駅について整備することとしております。
 引き続き、東上線のバリアフリー化が促進されるよう、鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。

○副議長(長橋桂一君) 六十八番菅原直志君
〔六十八番菅原直志君登壇〕

○六十八番(菅原直志君) 厚生労働省の発表によると、平成二十九年にゼロ歳から十九歳の年齢層で失われた命は四千四百三人でございます。その内訳は、自殺が五百六十人。日本小児科学会は、児童虐待死は年間に三百五十人いるといっておりますから、合わせて九百十人となります。四千四百三人の二割に当たる九百十人の命が自殺と虐待で失われているという想定ができます。
 私は、自殺と虐待死は防げる死ではないかと考えています。子供の死亡例のうち、五人に一人は救える命ではないでしょうか。
 次の世代を担う子供たちにしなやかな強さを持つ日本を渡したいと思い、今回の質問を進めさせていただきます
 まずは、今年度に実施した二つのSNSの相談について伺います。
 教育庁は、夏にSNSによる教育相談を行いました。この成果について伺います。
 福祉保健局は、秋に児童虐待のLINE相談を行いました。アプローチをしたい年齢層に合わせて多様な展開が進んでいるのだと思います。この事業の取り組みについて伺います。
 不登校について取り上げます。
 不登校は、どの子供にも起こり得ることであり、不登校を問題行動として取り上げるのは過去の話となりました。平成二十九年度の都内の小中学校の不登校児童生徒は、一万一千九百八十八人、中学生の不登校の出現率は三・七八%です。各クラスに一人は不登校の生徒がいるということになります。
 都内の公立小中学校の不登校について、東京都の見解と取り組みを伺います。
 従来、文部科学省は、不登校児童生徒に対応する教育施設として、教育支援センター、適応指導教室という二つの言葉を並べて使ってきました。東京都もそれに倣っております。この適応指導という言葉は、不登校は問題行動であり適応指導しなければいけないと、そんな印象を受けます。
 国の最近の通知では、教育支援センターだけを使っているようです。東京都としての見解を伺います。
 教員が忙しくて、子供たちと向き合う時間が少ないということが指摘されます。都は昨年度、教員の勤務実態の調査をしております。教職員の働き方改革と子供たちと向き合う時間の確保は、表裏一体の課題です。教員の働き方改革に対する都の取り組みを伺います。
 高校の中退問題について伺います。
 平成二十九年度、都立高校生の中退は二千三百十八人です。高校を中退した子供たちの多くは、誰ともつながらない自分、所属感の欠如、ふわふわした自分と向き合わざるを得ません。区市町村では、高校中退以後の子供たちにアプローチすることが難しく、つながることができません。
 中途退学をした生徒への切れ目のない支援をどのように行っていくのか、東京都の見解を伺います。
 児童相談所の一時保護所について伺います。
 保護された子供たちは、一時保護施設で生活をいたします。子供は一人で自由に外出することができず、学校に行くこともできません。一時保護施設の平均滞在期間は四十日程度といわれております。
 都は、一時保護所の定員をふやしてきました。この十年間に百四十四名から二百十三名にふえて、今後もふやしていく予定です。
 幾つかの一時保護施設も視察をさせていただきました。職員の方々の真摯な取り組みや創意工夫が見られ、二十四時間体制で頑張っている現場、ひたすら子供たちを受け入れる現場の声を聞いてまいりました。第三者による外部評価を行い、入所している子供たちには定期的にアンケートも行い、子供たちに寄り添う姿勢を見せています。行政や現場は本当に頑張っているんだと感じました。
 しかし、その頑張りとは別に、一時保護所の評価は決して高くはありません。その原因の一つは、一時保護所の基本理念が、子供たちのニーズと合っていないのではないかと思うのです。
 一時保護施設には、虐待児童も、そして非行少年もいます。この子供たちに共通するのは、大切にされた経験が少ないということではないかと思うのです。一時保護施設の生活の中にあって、大切にされた経験、愛された経験、そんなことを子供たちが実感できるような取り組みが必要ではないかと思うのです。東京都の見解を求めます。
 子供の貧困の問題を取り上げます。
 私は、子供自身は豊かであり、貧困なのは子供の周りの環境なのだ、子供の環境は、政治と社会の責任だということを教わりました。
 子供の貧困には三つの要素があります。一つ目は経済的な貧困、二つ目は社会関係性の貧困、そして三つ目は文化の貧困です。これらの要素が絡み合って、子供たちの可能性を発揮することができなくなっています。
 子供の貧困は、保護者の経済的な貧困に端を発していますが、就労の問題、鬱病などの精神疾患の問題、働き方の問題、多重債務や消費者問題、地域社会のつながりやシルバーパワーの活用のあり方など、福祉保健の分野だけでは解決できない広がりが求められるのです。
 都は、いまだに子供・子育て支援総合計画の中で施策展開をしておりますが、私は、子供の貧困を一つのトピックとして、東京都全体で施策展開を進める必要があると思います。都知事の見解を求めます。
 都は、平成三十年三月に、東京都がん対策推進計画第二次改定を発表いたしました。この計画では、今後のがん対策を、一、医療、二、予防、そして三、共生、この観点から施策展開するとしています。医療と予防は大事な視点ですが、今回は、共生について質問をいたします。
 共生とは、がんとともに暮らすこと、闘病だけではなくて、仕事や地域社会ともつながりながら、生活の質を落とさずに生きることです。そして、残念ながら人生を終えるときにも、尊厳ある最期を保障することではないかと思うのです。
 今までのがん患者は、闘病のために地域社会や仕事、人生や夢とのつながりを断ち切ってきた部分があります。これからのがん患者は、地域や仕事、人生や夢とつながりながら闘病する、そんな社会にしたいのです。
 東京都は、この共生についてどのような施策展開を進めていくのか伺います。
 また、がん対策を進めていくために、福祉保健局でだけではなくて、産業労働局、教育庁、総務局、財務局などの東京都の関係所管、医療関係者や患者会などの団体、経済界などの協力も必要になります。知事のご答弁をお願いいたします。
 自殺対策について伺います。
 年間三万人の自殺者が十年も続き、日本は自殺大国といわれました。自殺対策基本法の制定以後、さまざまな施策が展開され、昨年の自殺者は二万一千三百二十一人、ことしは二万人を切る可能性もあります。
 しかし、ふえているのは子供の自殺です。また、九月には国立成育医療研究センターなどの調査により、過去二年間に死亡した妊産婦は三百五十七人、その二九%である百二人が自殺だったと、こんな報道もありました。
 自殺対策は生きる支援です。公衆衛生、教育、就労、多重債務、鬱病、不眠、自殺企図者への対応、ネット社会やいじめなど、幅広い総合的な施策展開が求められます。東京都の取り組みについて伺います。
 障害をお持ちの方の口腔ケアについて伺います。
 ふだんは、保護者や介護者が担っている口腔ケアですが、歯科医による衛生管理が必要な場合が多いと聞きます。しかし、障害をお持ちの方々の中には、歯科検診や治療などの理解が難しい場合があります。
 都は昨年度、障害者歯科保健に関する調査を行い、歯科保健推進計画の柱の一つに地域で支える障害者歯科医療の推進を掲げておりますが、これらを踏まえて、今後の取り組みを伺います。
 最後に、監察医制度について伺います。
 人生の最後に受ける社会的なサービスは死因の究明です。どのようにして亡くなったかを知ることは、本人にとっても、社会衛生上も重要となります。
 しかし、東京都では二つの制度で運営されており、昨年の一般質問でも問題提起をいたしました。また、先日の都政新報でも、監察医制度全都適用へという見出しの報道もされております。
 ことしの夏は、災害ともいえる酷暑の中、熱中症による死亡事例がありました。監察医務院では、平成二十二年度から二十三区の熱中症死亡の状況をホームページで公表をしております。監察医務院は、クーラーの使用状況までも調査をして報告しております。
 これまでも我が会派では、多摩でも公表するように求めてきましたが、状況を伺います。
 死因究明のあり方については、やっと具体的な議論が始まったと聞いております。死因究明に対する知事の見解を伺います。
 以上、命、そして生きることをテーマに、八項目について質問をいたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅原直志議員の一般質問にお答えいたします。
 議員が長年取り組んでおられます子供の貧困対策についてのご質問がございました。
 都は、子供・子育て支援総合計画を、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく都道府県計画として位置づけております。教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援の四つを柱として、さまざまな分野の関係機関が連携をしながら、子供の貧困対策を総合的に進めております。
 私は、先日、東京で開催されました子供の貧困対策全国キャラバンに参加いたしてまいりました。キャラバンでは、都内の自治体、企業、NPO法人、学生、そして議員みずからお集まりになられまして、子供食堂や学習支援などの子供の貧困対策について活発に議論するとともに、参加者同士が交流を深める機会となっておりまして、大変意義深いものだと感じたところでございます。
 子供の貧困は、すなわち親の貧困でございます。子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがあってはなりません。
 都といたしまして、全ての子供が将来に希望を持って健やかに成長できるようにさまざまな施策を展開しまして、子供とその家庭を支援してまいります。
 次に、がん対策の推進についてであります。
 がんは、二人に一人がかかるといわれておりまして、都民の死亡者のおよそ三人に一人ががんで亡くなっております。今後、高齢化が急速に進む都におきましては、がん患者の一層の増加が見込まれております。
 こうした中で、東京都は、がん医療の専門家や患者団体等の意見もお聞きしながら、がん対策の総合的な計画であります東京都がん対策推進計画を策定いたしまして、本年三月に第二次の改定を行っております。
 この計画におきましては、科学的根拠に基づくがんの予防、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の構築、この三つを全体目標として掲げております。
 この目標達成のため、がんの早期発見に向けました取り組み、患者及び家族が安心できる医療提供体制の整備、治療と仕事の両立支援、がん教育の推進等、局横断的に施策を進めております。
 今後とも、都民、医療機関、事業者等と連携を図りながら、総合的な施策を進めまして、がん患者を含めた都民が、がんを知って、がんの克服を目指す、そんな社会を実現してまいりたいと考えております。
 そして、死因究明のあり方についてのご質問がございました。
 医師が行います検案、そして解剖は、人が受ける最後の医療でございます。死因の究明体制は、本来、国が必要な法整備を行って、地域を限定せずに整えることが必要と考えます。
 死因が不明な死体を検案、解剖する、そのような監察医を置くべき地域は、政令によりまして、東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市と定められているところでございます。
 現在、政令で定められていない多摩地域でございますが、東京都医師会や大学の協力を得ながら、特別区と同レベルで死因の究明ができますように環境整備を推進しておりまして、国に対しましては、監察医制度が都内全域に適用されるように、政令の改正を繰り返し求めているところでございます。
 都は、先月から死因究明推進協議会におきまして、解剖体制の確保や専門人材の育成など、多摩地域におけます死因究明体制の充実に向けた検討を開始しております。
 こうした取り組みを一層進めて、都におけます死因究明体制の充実を図ってまいります。
 残余のご質問は、教育長及び福祉保健局長からの答弁といたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、SNSを活用した教育相談の成果についてでございますが、子供の健全育成を推進するためには、学校における教育相談の充実に加え、悩みを抱える子供が相談しやすい多様な相談窓口の拡充を図ることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都教育相談センターにおける電話や来所による相談以外の新たな方法として、多くの生徒が身近に活用しているSNSによる相談を、都立高校生を対象に本年八月末から二週間にわたり試行いたしました。
 その結果、同時期に高校生から寄せられた電話相談の約三倍に当たる一日平均約二十三件、合計三百十五件の相談があるなど、生徒にとって利用しやすい相談方法の一つであることがわかりました。
 この結果等を踏まえ、今後、来年度の本格実施に向け、具体的な相談体制のあり方などについて検討をしてまいります。
 次に、小中学校における不登校についてでございますが、不登校の要因は複雑多様化していることから、学校が子供の状況に応じてきめ細かく支援できるよう、教員の資質の向上や、学校全体で家庭や関係機関と連携して対応することなどが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、教員の経験に応じて、不登校の子供への対応のあり方等に関する研修を実施するとともに、全ての小中学校にスクールカウンセラーを配置するなどして、学校の相談体制の充実を図ってまいりました。
 今後、子供の状況を多面的に把握する手法や、学校と関係機関との具体的な連携のあり方等を示した都独自の教員向けガイドブックを年度内に全公立小中学校へ配布するなどして、一人一人の実態に応じた不登校対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、教育支援センターの名称についてでございますが、教育支援センターは、不登校の子供の学校生活への復帰や社会的自立を支援することを目的として、区市町村教育委員会が設置している施設であります。
 これまで都教育委員会は、教育支援センターの表記については、教育支援センター(適応指導教室)としてまいりましたが、国が表記を教育支援センターのみとしたことを踏まえ、都教育委員会としても、今般作成している児童・生徒を支援するためのガイドブック以降、教育支援センターのみの名称を用いることとしております。
 次に、教員の働き方改革についてでございますが、今日の学校現場においては、不登校やいじめ、特別支援教育など、教育課題が複雑化、多様化し、学校に求められる役割が拡大しており、このことが教員の多忙化の一因となっております。
 これまで都教育委員会は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門人材を活用し、チームとしての学校の体制を整備するとともに、今年度からスクールサポートスタッフや部活動指導員の配置を行うなど、一層の教員の負担軽減を図ってきております。
 今後は、こうした人材の安定的確保や資質向上を初めとする多様な取り組みを複合的に行うための新たな仕組み等について検討するなど、教員の働き方改革をさらに推し進めてまいります。
 最後に、都立高校の中途退学者への支援についてでございますが、都教育委員会は、都立学校自立支援チーム派遣事業を通じ、中途退学の意思を固めた生徒に対して、ユースソーシャルワーカーが面談を丁寧に行い、退学後も再就学や就労に関する相談ができることを伝えております。
 その際、相談窓口の連絡先を記した進路相談カードを配布するなど、切れ目のない支援に努めているところでございます。
 また、退学者本人や保護者から求めがあった場合には、それぞれの状況に応じて、区市町村就労部門や福祉部門、若者支援NPO等と連携しながら対応しております。
 今後もこうした取り組みを通じ、中途退学者が社会とのつながりを持ち続けられるよう支援をしてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童虐待を防止するためのLINE相談についてでございますが、都は先月、児童虐待防止推進月間に合わせて、子供や若い保護者になじみのあるLINEを活用した相談窓口を二週間、試行的に開設いたしました。
 相談対応件数は全体で五百七十六件あり、保護者からは、子供の行動にいらいらする、子供が友達とうまく遊べないなど、二百七十七件の相談がございました。子供からは、家に居場所がない、親との関係がうまくいかないなど、六十五件の相談があったところでございます。
 また、虐待が疑われたもののうち、児童相談所に対応を引き継いだものは八件ございました。
 今回の試行実施の状況を今後検証いたしまして、相談体制や児童相談所等との連携体制を整備した上で、来年度から本格的に実施する予定でございます。
 次に、一時保護された児童への支援についてでありますが、都の一時保護所では、児童の権利を尊重し、擁護することを基本方針に、児童が安心して生活できるよう個々の状況に配慮した支援を行っております。
 具体的には、多様な経験を通して達成感や大人への信頼感が得られるよう、工作やスポーツなどの活動、夏祭りやクリスマスなど季節に応じたイベントを実施するほか、食事の提供に当たりましては、郷土料理や外国料理、誕生日に合わせた特別メニューなど、児童が楽しめるよう工夫しているところでございます。
 また、保護所の建てかえ等に当たりましては、国のガイドライン等も踏まえまして、個人としての生活空間の確保や個別的なケアが行えるよう、居室を原則個室化することとしており、今後とも、児童の安全・安心を確保し、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行ってまいります。
 次に、がんとの共生に向けた施策展開についてでありますが、がんになっても本人や家族が自分らしく生きられるようにするためには、適切な医療や支援を受けながら、生き生きと暮らせる環境づくりが重要でございます。
 このため、都は、東京都がん対策推進計画において、地域共生社会の構築を全体目標の一つに掲げ、ライフステージに応じたがん対策の推進や、がんに対する正しい理解の促進、がんの診断時から切れ目のない緩和ケアの提供等の施策を総合的に展開しております。
 現在、医療機関や患者等の実態調査を実施しており、今後、調査結果も踏まえまして、がん患者の生活の質の向上や、多様なニーズに対応する相談支援体制の充実等を図り、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる、地域共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、自殺対策についてでありますが、都は、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や関係団体との連携協力を強化し、総合的、効果的な自殺対策を推進するため、本年六月に東京都自殺総合対策計画を策定いたしました。
 計画では、若年層対策の推進や相談体制の充実等を重点施策に位置づけ、これに基づきまして、大学生と協働した講演会やSNSを活用した自殺相談など若年層に対する普及啓発の充実や、医療従事者や地域保健関係者向けの研修等を通じた関係機関の対応力の強化を図っております。
 また、地域での実践的な対策を推進するため、区市町村の計画策定に必要な支援を行っており、今後とも、関係団体等と連携して、自殺防止対策に総合的に取り組んでまいります。
 次に、障害者歯科医療についてでありますが、都は昨年度、地域における障害者歯科診療の実態を把握するため、都内全ての歯科診療所約一万施設を対象に、障害者歯科診療の実施状況等の調査を行いました。
 調査の結果、地域によって障害者歯科診療の実施率に差があることや、障害者の受け入れに当たっては、診療所におけるスタッフの育成や機器、設備等の整備などが課題であることが明らかになったところでございます。
 今年度は、この調査結果も踏まえながら、東京都歯科保健対策推進協議会のもとに設置いたしましたワーキンググループで、医療機関同士の連携方法や、地域の歯科診療所に対する支援策等について検討しており、今後、関係者とも連携いたしまして、障害者歯科医療を一層推進してまいります。
 最後に、多摩地域での熱中症による死亡者状況についてでありますが、お話のあった平成二十二年の記録的な猛暑により、熱中症による死亡事例が多数発生したことから、監察医務院でそれらを詳細に分析したところ、九割が六十五歳以上の方であり、その多くが住居内で発症していたことなどが判明いたしました。
 このため、二十二年度に、検案や解剖で得られた死亡者の年齢、クーラーの使用状況等に関する二十三区内のデータとあわせまして、小まめな水分補給や適切な室内環境の確保などの熱中症予防策をホームページに掲載し、それ以降毎年度、死亡者の状況を公表しております。
 今年度からは、多摩地域の状況についても集計し、今月からその結果を公表しており、引き続き、死因究明で得られた貴重なデータが有効に活用されるよう情報発信に努めてまいります。

○副議長(長橋桂一君) 十八番小林健二君
〔十八番小林健二君登壇〕

○十八番(小林健二君) 初めに、観光振興について質問します。
 訪日外国人旅行者数は、急激に増加した二〇一五年以降ふえ続け、二〇一七年には二千八百六十九万人となりました。
 国が策定した明日の日本を支える観光ビジョンでは、訪日外国人旅行者数の目標を、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年には六千万人と掲げておりますが、東京二〇二〇大会を目前に控えた中、観光振興における東京の役割は極めて重要といえます。
 観光振興は、日本、そして東京という都市の魅力を発信し、旅行者に関心を呼び起こす取り組みであり、東京にある観光資源を大いに輝かせていく必要があります。
 私は、今後さらに重視すべき観光資源として、文化財とアニメを一層活用していくべきと考えます。
 国では、本年六月、地域における文化財の計画的な保存、活用を促進するため、文化財保護法の改正がなされ、今後、文化財を活用した地域振興、観光振興が期待されています。
 都としても、こうした背景のもと、文化財を活用して、旅行者を東京の歴史や文化へいざなう観光振興を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 また、国際的にも評価の高い、クールジャパンの代表ともいうべきアニメ資源の活用も重要であります。
 東京観光財団は、国内外の旅行者に対して観光情報を発信する東京観光公式サイト、GO TOKYOを開設し、アニメについても情報発信していますが、私はかねてより、ジャパンアニメーション発祥の地である練馬区を初め、都内のアニメ資源を観光振興に活用していく取り組みの強化を訴えてまいりました。
 アニメを観光資源としたアニメツーリズムを活性化するためにも、今後、発信するアニメ情報を一層充実させていくべきであります。見解を求めます。
 次に、文化芸術振興について質問します。
 聴覚障害がありながら後世に残る数々の名曲を残したベートーベンは、多くの人々に幸せや喜びを与えること以上に崇高ですばらしいものはないとの言葉を残していますが、まさに障害を乗り越えてなし得た業績は、不滅の輝きを放ち、この言葉どおり、文化芸術の力によって人類に幸せや喜びを与えています。
 さきの通常国会において、障害者による文化芸術活動を幅広く促進するため、超党派で提出した議員立法、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が成立しました。本法律では、障害者による文化芸術活動の推進に関し、国や地方公共団体がその地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務が規定されております。
 都では、平成二十七年に文化芸術振興における基本指針となる東京文化ビジョンを策定していますが、同法律に基づき、一層障害者の文化芸術を推進していくため、今後、障害者団体との意見交換を重ねながら、地方公共団体に努力義務とされている基本計画の策定も検討するなど、都としても取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 小池知事は本年六月、都庁舎にピアノを設置し、来庁者に自由に演奏してもらう都庁おもいでピアノとの事業を発表されました。
 私の地元の練馬区役所においても、庁舎内にピアノが設置され、定期的にミニコンサートが開催されるなど、区民が文化芸術に親しむ憩いの場となっております。
 都庁という行政機関にピアノの音色が響き渡ることは、来庁者に心の潤いと彩りを与えるとともに、首都東京の中心地から文化都市東京を発信することにもなると考えます。
 そこで、都庁おもいでピアノを発案された知事の所見を伺います。
 私のもとには、この事業の発表を聞いた障害者の文化芸術に携わっておられる方より、設置されたピアノで障害者が演奏する機会をいただけないだろうかとのご提案も寄せられております。
 今後、ピアノが設置されたならば、障害者の方を初め、さまざまな方がピアノ演奏を披露できるような演奏会なども検討し、活用していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都市農業振興について質問します。
 農産物の安全を確保するための管理手法であるGAPの認証取得を推進するため、都では本年、東京都GAP認証制度を開始しました。先月二十九日、初の東京都GAP認証取得者七件が発表されましたが、今後さらに認証取得を進めていく上で二つの課題があると考えます。
 一つ目は、都民への普及啓発です。
 私は昨年第四回定例会の一般質問で、都民に対し、GAPの意義を広く普及啓発していただくよう要望いたしましたが、認証取得した農産物の消費拡大を進めるために、今後、本格的に普及啓発に取り組んでいくべきと考えます。
 二つ目は、農業者への負担軽減です。
 農業者の方からは、GAPの取得に取り組もうと思っても、作業場の整備など、経費の面での課題があるとの声もいただいており、こうした農業者の方の負担軽減を図る支援策も検討していくべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 また、今般の生産緑地に関する制度改正を初め、都市農業は大きな転換点を迎えています。これを機に、関係者が一丸となって東京の農業を盛り上げていくことが重要であり、都としても、シンポジウムを開催するなど、機運の高まりを後押ししていただくよう要望いたします。
 次に、地域の安全対策について質問します。
 都では、学校、地域などが行う通学路における児童の見守り活動を補完するため、五カ年計画で、防犯カメラの整備に係る経費を区市町村に対して最大二分の一を補助する事業を実施してまいりましたが、今年度がその最終年度となっております。
 都議会公明党は、さきの第三回定例会の代表質問でこの問題を取り上げ、都からは、国の動向や区市町村の調査結果なども踏まえつつ、子供の安全確保のため適切に対応していくとの答弁がありました。
 本年夏に、西東京市議会公明党が通学路の防犯カメラ設置の拡大を求める署名運動を展開したところ、市の人口の約二五%に及ぶ五万人を超える方々の署名が集まり、通学路の安全対策への関心が高いことがうかがえました。
 こうした地域の要望も踏まえ、都は、通学路などの防犯カメラの設置を推進する補助事業を来年度以降も継続し、子供たちのさらなる安全・安心の確保に積極的に取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、外堀の水質改善について質問します。
 公明党は先月、外堀の水質改善に向けた調査のため、玉川上水の上流部、羽村取水堰から下流部に向け、小平監視所、浅間橋、四谷大木戸と現地視察を実施いたしました。玉川上水の価値を再認識する視察でありましたが、東京が世界に開かれた環境先進都市として快適な水環境の整備を進め、世界を魅了する美しい風景を創出すべきと改めて実感をいたしました。
 都議会公明党はこれまで、日本橋川の水質悪化の原因の一つである外堀の水質について、国指定史跡にふさわしい良好な環境となるよう、水質改善を進めるため、現在行われているしゅんせつや下水道の貯留管整備の先を見据えた、恒久的な水循環による水質改善の方策について提言してきました。
 都は、さきの第三回定例会での都議会公明党の質問に対し、外堀などの水質改善に向けて検討会を立ち上げたと答弁されましたが、外堀の水質などの状況調査や有識者との意見交換を速やかに行い、検討会での議論を着実に進めるべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、都営地下鉄について質問します。
 初めに、エスカレーターの利用におけるマナーについてです。
 先般私は、公益社団法人東京都理学療法士協会が取り組んでいる、ストップ・ザ・ステップ、エスカレーター、とまって乗りたい人がいるとのプロジェクトをお聞きする機会がありました。
 都内のエスカレーターでは、右側をあけて乗るという暗黙の慣習が存在し、左側は整然と立ちどまって乗る人がいる一方、右側は急ぎ足でエスカレーターを昇降する光景が日常的になっています。
 しかし、例えば、左手が不自由な方は、左手でベルトをつかむことができず、右側のベルトにつかまりたいと思っても、暗黙の慣習がある中、右側に乗ることに不安や使いづらさを感じている方々がいらっしゃるとのことでした。
 こうした中、心のバリアを取り除き、エスカレーターを利用する全ての人が気兼ねなく右側にとまって乗ることのできる社会を目指して、このプロジェクトに取り組んでいるとのことでありました。
 都営交通では、安全にエスカレーターを利用するための注意喚起を呼びかける啓発活動にも取り組んでいますが、障害のある方や年配者など、エスカレーターの利用に当たって、左右関係なく乗ることができるよう、こうした視点を踏まえたマナー啓発に取り組んでいく必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、駅のバリアフリー化についてです。
 都営地下鉄大江戸線光が丘駅では、北側の出口のみに一カ所、エレベーターが設置されていますが、南側の出口も利用者が多く、かねてより南側にも設置を求める多くの声をいただいております。
 私は、昨年の予算特別委員会の質疑で、南側出口へのエレベーター増設の検討を求めましたが、都からは、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題などを勘案しながら、設置の可能性を検討していくとの答弁があったところであります。
 本年三月にはバリアフリー法が改正され、共生社会の実現に向け、公共交通事業者に対し、さらなるバリアフリーへの取り組みの推進が義務づけられました。光が丘駅のある地域は、約一万三千世帯が居住する大規模団地群で、高齢化が進む中、エレベーターの増設は今後の重要課題であり、改めて設置に向けた検討を加速させていただきたいと思います。現在の検討状況を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小林健二議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは一問、都庁おもいでピアノについてのご質問いただきました。ありがとうございます。
 都庁おもいでピアノですが、都民の皆様から募集いたしました思い出の詰まったグランドピアノを都庁舎内に置きまして、誰にでも自由に弾いていただこうというものでございます。
 東京二〇二〇大会などを控えておりまして、国内外からこの都庁舎を訪れるお客様、大変ふえております。そういう中で、音楽を通じてお客様同士の交流が促進できれば、うま下手問わず、ピアノを演奏する方、それを聞く方、それぞれの思い出づくりに役立てたいとの願いで進めているところでございます。
 欧米諸国では、今、練馬区庁舎の例も出されましたが、まち角や駅などに自由に弾けるピアノを置いて、その周りに人の輪ができるという、交流が生まれております。こうした取り組みが広く行われていることから、私は以前からこのような大変すばらしい試みを東京でできればというふうに考えておりました。
 この都庁舎におきましても、都民の方の思い出の詰まったピアノを活用して、都庁舎を訪れる皆様の間のつながりを音楽によって広げていきたいと考えております。どうぞご期待ください。
 残余の質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、文化財を活用した観光振興についてでございますが、地域の生活や産業活動等を通じて育まれた文化財など、地域の歴史や文化に触れることは、旅行者にとって旅の大きな魅力であり、東京に対する理解や愛着を深める上でも重要でございます。
 このため、都は、地域が取り組む文化財の情報発信など、特色ある観光資源を活用した取り組みに対し、ソフト、ハードの両面から支援を行っております。
 今年度は新たに、観光協会が地元の関係団体と連携して企画した、幕末の史跡や明治時代の建造物等の文化財などをめぐるまち歩きツアーの開発を支援いたしますとともに、こうしたツアーを集めた専用サイトを構築し、情報発信を行いました。
 今後は、国内外からより多くの旅行者を呼び込むため、ツアーの実施期間の延長やPRの強化を検討し、都内各地に取り組みを広げてまいります。
 次に、アニメに関する情報発信についてでございますが、アニメは海外でも人気の高い重要な観光資源でございまして、都はこれまでも、東京の観光公式サイト、GO TOKYOなどを活用し、アニメなどの情報を国内外に発信しているところでございますが、ご指摘のとおり、さらなる充実が必要でございます。
 そのため、本年四月に実施をいたしました当サイトの英語ページの改修に際しまして、利用者がより容易に情報を検索し入手できるよう、アニメや漫画に特化した分野を設けたところでございます。また、先月からは、地域ゆかりのキャラクターの銅像を設置している観光スポットを新たに掲載するなどの取り組みを行っております。
 今後、同様の改修を日本語を含む他の言語においても実施いたしまして、九言語十種類の全言語で展開をいたしますとともに、アニメに関するイベントや観光スポットの情報の充実を検討するなど、アニメを活用した地域への旅行者誘致を強化してまいります。
 最後に、GAP認証の取得促進についてでございますが、都は今年度から、都市農業の特徴を加味した都独自のGAP認証制度を開始いたしました。これまで、普及指導員による農業者へのきめ細かな指導を実施してきておりまして、先日の審査会において、七件の認証を行ったところでございます。
 今後、認証取得の一層の促進を図るためには、GAP農産物の需要拡大に向けたPRや農業者の負担軽減に向けた取り組みが重要となります。
 このため、新たに都民や流通事業者等を対象としたGAPに関するシンポジウムの開催や、直売所等でのPR動画による周知に加え、認証取得に当たって必要となる保冷施設や農薬保管庫の改善など、施設整備等の経費に対する支援も検討してまいります。
 これらにより、GAPの認証取得を加速し、東京二〇二〇大会とその先の持続可能な東京農業を実現してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律への対応についてでございますが、この法律は、障害者による文化芸術の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的として、本年六月に施行されたものでございます。
 これまでも都では、東京都障害者総合美術展を開催するほか、都立文化施設における障害者の鑑賞機会の拡大、障害者の作品を含むアール・ブリュット展の開催など、さまざまな取り組みを行ってきているところでございます。
 今後、本法律に基づきまして、国において基本計画が策定されることとなっており、都においても国の動向を見ながら適切に対応してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 都庁おもいでピアノの活用についてでございますが、今回の都庁おもいでピアノの公募では、趣旨にご賛同いただきました都民の皆様から、合計八台のグランドピアノの応募を頂戴しております。
 その中から一台を選ばせていただき、現在、設置に向けてピアノの整備など、準備を進めているところでございます。
 今後の活用方法につきましては、ピアノの設置後の運用状況や課題などを踏まえまして、検討していきたいと考えております。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 通学路等の防犯カメラ補助事業についてでございますが、都は、通学路における児童の安全を確保するため、今年度までの五カ年の取り組みとして、区市町村に対し、小学校の通学路の防犯カメラの設置費用を補助しており、昨年度までに累計約五千三百台が設置されております。
 一方、国の登下校防犯プランに基づき、本年九月までに区市町村が行った通学路の緊急合同点検では、さらなる防犯カメラの設置が必要との調査結果が出ております。
 このため、地域におけるこうした需要も踏まえ、通学路等の防犯カメラ設置補助の継続に向けて検討を進めるとともに、防犯教育人材の育成等、ソフト面の対策もあわせ、地域の防犯ボランティア団体や町会、自治会等とも協力して、子供の安全・安心の確保に向けた取り組みを推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 外堀の水質改善についてでございますが、都は、本年九月に関係局による検討会を立ち上げ、外堀などのより効果的な水質改善方策に関する調査等を実施することといたしました。
 具体的には、全国の閉鎖性水域での水質改善事例などを踏まえ、外堀への適応可能性などの検討を進めるとともに、対策内容に応じた外堀の水質データに基づくシミュレーションを行い、その対策を実施した場合の水質改善効果の予測評価や課題の整理などを実施する予定でございます。
 また、これとあわせて、来年一月から有識者などとの意見交換を開始するよう準備を進めております。
 今後こうした取り組みを行いながら、外堀の水質改善に向けた検討を着実に進めてまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営地下鉄のエスカレーター利用時のマナー啓発についてでございますが、全てのお客様が安心して、安全にエスカレーターを利用するためには、手すりにおつかまりいただくことが重要と考えてございます。
 このため、都営地下鉄では、鉄道各社等と共同で、みんなで手すりにつかまろうキャンペーンを毎年実施しておりまして、ポスターの掲出やノベルティーの配布等を通じまして、エスカレーターの安全利用を呼びかけてございます。
 加えて、局独自の取り組みといたしまして、マナー啓発用ポスターや車内モニターなども活用し、お体の不自由な方やお子様連れの方を含め、誰もが安全にエスカレーターをご利用いただけるよう、今後とも、ご指摘をいただきました視点も踏まえまして、積極的なマナー啓発に努めてまいります。
 次に、大江戸線光が丘駅における新たなエレベーター設置についてでございますが、都営地下鉄では、全駅でいわゆるワンルート整備を完了し、現在、経営計画二〇一六に基づき、東京メトロ等他事業者と連携を図りつつ、乗りかえ駅等でのエレベーター整備を進めてございます。
 さらに、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正を踏まえまして、駅の周辺状況なども勘案しながら、バリアフリールートの複数化について検討を行っております。
 この中で、大江戸線光が丘駅につきましても、関係機関と連携し、用地の確保や構造上の課題に関する検討を深め、バリアフリールートの充実に取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) 十一番伊藤しょうこう君
〔十一番伊藤しょうこう君登壇〕

○十一番(伊藤しょうこう君) それでは、防災対策について伺います。
 まず、多摩地域の災害拠点病院についてです。
 都は、この夏に防災事業の緊急総点検を行いましたが、都市型災害への備えとして、災害医療対策の充実も極めて重要です。
 都の対策については、災害現場近くの緊急医療救護所でトリアージなどを行い、その後、主に重症者の収容、治療に当たるのが災害拠点病院です。災害拠点病院は、二次医療圏ごとの適正配置に加えて、二十四時間緊急対応など、さまざまな運営施設基準を満たした病院です。
 そして、平成二十四年に、被害想定などをもとに、都全体で八十五病院の整備を目指し、多摩地域では目標の二十二カ所までふやし、区部でもあと二カ所で達成の見込みです。
 さて、災害拠点病院の必要数の根拠は、多摩直下型地震での最も甚大な被害想定となっており、多摩地域は必要数を満たしていると、都は現状では判断しています。
 しかし、区中央部の災害拠点病院である日本大学病院と三井記念病院の距離が約二キロメートルに対し、地元八王子で指定された二病院では、十キロメートル以上も離れています。また、市外から多数の被災者も想定される八王子駅周辺の中心市街地に災害拠点病院はなく、市民の不安は大きいと思います。
 よって、多摩地域の地理的な特性や交通事情など、地域の特性も踏まえ、再点検すべきであります。
 その上で、現在の被害想定は、試算から六年が経過しており、想定を超える災害も想定し、災害医療の役割を認識した上で、さらなる災害医療の充実を図ることが必要と考えますが、改めて災害拠点病院のあり方について、都の見解を伺います。
 続いて、土砂災害対策について伺います。
 ことしの各地の豪雨において発生した多数の土砂災害を踏まえると、都内の約一万五千カ所にも及ぶ急傾斜地に対して、都民が迅速な避難行動をとれる備えが重要です。その対応として、土砂災害ハザードマップのもととなる警戒区域の指定を都内全域で来年度前半に全て完了させることは評価します。
 その一方で、各地で起きた土砂災害では、避難指示を発令しても住民の避難に必ずしもつながらず、被害が拡大したこともあります。
 よって、都内で被災者を出さないためにも、警戒区域の指定にとどまらず、自治体からの適切な情報発信など、確実な避難へと結びつく対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、学校施設の猛暑対策について伺います。
 この夏に猛暑が続発した事態を直視し、我が党は、八月に知事と教育長宛てに、熱中症対策に関する緊急要望を行いました。そして、今定例会で、都立高校や市区町村立小中学校の体育施設の空調設備設置などの暑さ対策が補正予算として盛り込まれました。
 さて、猛暑対策は、まずは一人一人が熱中症に対する正しい知識と対応を知る自助努力が大切ですが、この夏には、都立高校の体育館において、授業などのときに生徒が熱中症により病院搬送された事態もあったと聞いています。
 そこで、都立高校では、体育館の猛暑対策として、生徒自身が熱中症から身を守るため、どのような対応や指導を行っているのか伺います。
 次に、体育館への空調機設置について伺います。
 教室など気密性の高い校舎内の冷房化と比べ、体育館への設置には技術的な課題もあると思います。天井も高く、大空間となる体育館は、全体を冷やすのか、また、一部のみなのか、また、災害時の避難所のあり方など、本来はしっかり検証してから全都で対応を検討すべきとも考えます。
 また、学校体育館の空調化は、猛暑対策としての教育環境の改善だけでなく、災害時の避難所機能も考慮し、電力や都市ガスが途絶しても自立運転可能なLPガスを動力とする空調機導入の適正配置の検討も提案をいたします。
 実際に大阪の箕面市では、避難所活用を考慮し、都市ガス供給区域であるにもかかわらず、LPガス空調機を全小中学校の体育館に導入したと聞いています。さらに、非常発電機能を備えたLPガス空調機を設置すれば、経産省の燃料備蓄補助金の対象ともなっています。
 以上のようなことを踏まえ、都立高校や小中学校体育館へのLPガスを動力とする空調機導入についての都の見解や取り組みを伺います。
 続いて、防犯カメラについて伺います。
 都は、二〇二〇年までに、安全・安心の体制を強化するため、町会、自治会や商店会等が新規に設置する防犯カメラへの補助率を引き上げ、促進を図っています。
 その結果、区部では設置が進む一方で、多摩地域では、補助実績のない自治体が多いのが実情です。
 その要因には、各自治体の意向、地域団体の維持管理経費への負担感、住民合意の難しさなどが考えられますが、都内全域に防犯カメラを普及させるには、多摩地域に対する改善策や新たな仕組みが必要とも考えます。
 よって、より有効な改善策とするため、まずは普及のための課題や要望をしっかりと踏まえることが必要ですが、都の見解を伺います。
 また、設置促進の補助制度を設けていても、知事が検討するという修繕などへの補助も利用してもらえなければ意味がありません。
 普及が進まない要因の一つに、維持のための負担感がありますので、だからこそ、東京都町会連合会の修繕費などの要望にも応える必要もあります。
 あわせて、多摩地域の町会、自治会にも、前向きに検討できるよう、積極的に周知、説明を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、都営住宅入居者の利便性向上のための宅配ロッカーの設置について伺います。
 物流業界では、人手不足が深刻になる中、ネット通販の拡大で荷物量がふえており、昨年度の宅配便の取扱個数は、全国で前年度比約六%増の約四十二億個となり、この十年間で三割以上も増加している一方で、そのうち約一五%が不在のため再配達となっているそうです。
 この不在時の商品の受け取りに対応するため、民間マンションでは管理組合が、また、宅配事業者側も駅やスーパーと提携して、宅配ロッカーを設置するなどの工夫を行っているそうです。
 さて、都内には、都営住宅が約二十六万戸、千六百団地あり、多くの都民が暮らしており、宅配ロッカーを設置すれば、再配達や宅配事業者へ取りに行く必要もなくなり、入居者の利便性が向上します。
 これらのことから、都営住宅においても宅配ロッカーの設置を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、八王子市内の都市計画道路の整備について伺います。
 中央道から東名までの圏央道区間が開通し、首都圏の円滑な移動に多大な効果を上げており、また、圏央道と多摩地域を東西に結ぶ八王子南バイパスの整備も急ピッチに進められています。
 そして、これらの道路ネットワークの整備効果を最大限に発揮するためには、地域を南北に結ぶ国道一六号とのアクセス向上が必要ですが、南バイパスは一六号と東側のみで接続する計画で、西側との接続には都道北野街道を活用する必要があります。しかし、当該区間は歩道も狭く、都市計画道路として位置づけられておりません。
 そこで、平成二十八年に都は、東京における都市計画道路の整備方針を策定し、この区間を都市計画道路として道路網の拡充を検討することとなり、現在調査中と聞いております。
 よって、早期に都市計画をすべきと考えますが、現在の取り組みと今後の方向について伺います。
 また、八王子市片倉町北部地域から中央道に向かうには、国道一六号を通り、中心市街地を通過しますので、南バイパスや中央道へのアクセス性の向上と円滑な交通を確保するためにも、南北方向の幹線道路に接続する都市計画道路の整備も重要です。
 そこで、都は平成二十八年に、八王子三・三・一〇号東京環状線のうち、緑町から台町一丁目区間の事業に着手しましたが、現在の取り組み状況についても伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 平成三十一年度税制改正において、地方法人課税の一部が国税化され、東京都は新たに巨額の財源を拠出することを余儀なくされると聞いています。
 税制改正大綱はいまだ発表されていませんが、我々都議会自民党は、都税の減収を最小限に食いとめ、地方自治の本旨に基づいた地方税財政制度の実現に向けて、引き続き政権与党とのパイプを最大限活用し、都民の与党として、いついかなるときも全力を尽くすことを都民の皆様にお約束し、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 伊藤しょうこう議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは二点のご質問にお答えいたします。
 まず、体育館における猛暑対策についてでございますが、生徒の健康や安全の確保は学校教育における最優先事項であり、校長のリーダーシップのもと、事故防止に向けて組織的な対応の徹底を図る必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、体育館における猛暑対策として、気温や湿度により教育活動を変更または中止することや、終業式等を空調設備のある教室で行うこと等について、通知や校長会等を通して注意喚起してきております。
 また、各学校では、生徒が睡眠状況や疲労などを自己点検し、活動に参加できるかを主体的に判断することや、参加する際には、適切な水分補給や休息をとることなどの重要性を日ごろから指導し、生徒みずからが熱中症の予防に向けて行動できるようにしております。
 次に、学校体育館におけるLPガスを動力とする空調機の導入についてでございますが、都教育委員会はこれまで、都立高校の空調機は電気や都市ガスを動力とするものを主に整備してまいりました。
 一方で、LPガスは、都市ガスに比べ、災害時における復旧が早いとの報告があり、また、電気や都市ガスが寸断されても運転が可能な機能を備えた空調機もございます。
 こうしたメリットがあることから、今後、体育館の空調整備を進めるに当たっては、電気や都市ガスに加え、LPガスを動力とする空調機の導入も視野に入れて調査を進めてまいります。
 また、区市町村立学校の体育館は、設置者の判断により空調設備整備を行っておりますが、これに係る都の補助制度では、LPガスによる空調機も対象としております。
〔東京都技監西倉鉄也君登壇〕

○東京都技監(西倉鉄也君) 都市計画道路八王子三・三・一〇号線についてでございますが、本路線は、八王子市鑓水から同市滝山町一丁目に至る延長約十・八キロメートルの都市計画道路でございまして、八王子市内の南北交通の円滑化や地域の安全性向上などに資する重要な路線でございます。
 このうち、国道一六号の自動車交通の分散などに寄与いたします、八王子市緑町から同市台町一丁目までの延長約〇・八キロメートルの区間につきましては、平成二十八年二月に事業着手いたしまして、これまで約一割の用地を取得しております。
 また、本区間のうち、起伏のある地形となっております東側約〇・二キロメートルにつきましては、トンネル構造となる箇所の施工方法や交差する道路の機能確保などにつきまして検討を進めております。
 今後とも、地元市と連携を図りながら、着実に整備に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 災害拠点病院に関するご質問にお答えいたします。
 都は、都内で大規模な地震が発生した際の被害想定に基づき、災害拠点病院の必要数を検討し、二次保健医療圏ごとの医療資源の状況を踏まえて指定しているところでございます。
 また、近年の自然災害の多発を受けまして、防災事業の緊急総点検を行い、災害対策の強化を図っているところでもございます。
 災害時の医療体制の整備に当たりましては、従来の想定を超える事態の発生を考慮するとともに、お話の地理的条件の違いや、災害拠点病院の配置状況などの地域特性を踏まえて、万全な備えを講じていく必要があると考えております。
 そのため、今後、こうした観点も踏まえながら、災害時に傷病者への適切な医療が提供されるよう、専門家等で構成される災害医療協議会において、災害拠点病院のあり方を早急に検討してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 土砂災害対策についてでございますが、都民が土砂災害に対して適切な避難行動を起こすためには、市区町村が避難情報を的確なタイミングで発信することが重要であり、その際、各自治体が、災害発生までのみずからの行動を時間軸に沿って整理したタイムラインを整備しておくことが有効でございます。
 都は現在、市区町村のタイムラインの策定状況や、過去の災害における避難をめぐる課題の整理、分析を行っております。今後、これを踏まえ、住民への避難情報の内容や発信のあり方について検討を進め、地域の実情に応じたタイムラインが策定できるよう支援してまいります。
 また、市区町村と合同で、タイムラインを活用した風水害対策訓練を行うことにより、土砂災害の発生に備えた避難の実効性をより一層高めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 最初に、防犯カメラの設置促進についてでありますが、都は、地域の防犯力向上のため、これまで区市町村を通じて、町会、自治会、商店街等に対し、累計約一万二千台の補助を実施しており、設置した地域からは、治安が改善した、住民の防犯意識が向上したと好評をいただいております。
 一方、当該補助制度を活用している自治体は、都内で三十八団体であり、多摩地域では補助を活用している団体が少ないことは承知しております。
 このため、今年度中に、各自治体における課題、要望等を調査の上、対応を検討していくなど、地域の防犯力を強化すべく、地域の実情を踏まえた取り組みを進めてまいります。
 次に、町会、自治会等への防犯カメラ維持管理への補助についてでありますが、かねてより、東京都町会連合会からは、防犯カメラのさらなる普及及び地域防犯に力を尽くす町会、自治会の負担軽減に向け、維持管理経費に対する都としての補助制度を創設してほしいとのご要望をいただいております。
 地域の防犯力の維持向上のためには、防犯活動に取り組んでいただく町会、自治会等を支援していくことが最も重要であると認識しております。
 維持管理の補助制度の検討に当たりましては、修繕や保守点検等、負担の大きい経費を対象とするなど、より多くの町会等への実効性ある支援につながる制度となるよう、早急に検討を進めてまいります。
 さらに、来年度に、多摩地域はもちろん、区市町村の地域団体担当部署とともに、必要に応じて連携しながら、防犯カメラの意義や補助制度を周知するなど、設置促進に向け、積極的に働きかけてまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅における宅配ロッカーの設置についてでございますが、宅配ロッカーの設置は、昼間不在にしているファミリー世帯を初め、入居者の利便性の向上に資するものと考えております。
 現在、宅配ロッカーについては、複数の民間宅配事業者がそれぞれ事業を展開しており、都営住宅に設置するためには、入居者の同意、セキュリティーやスペースの確保、設置管理費用の負担のあり方などの課題がございます。
 今後、宅配事業の動向や入居者ニーズの把握に努めながら、都営住宅における宅配ロッカーの設置について検討を進めてまいります。
 次に、北野街道の現在の取り組みと今後の方向についてでございますが、多摩地域の利便性を向上させ一層の発展を図るためには、道路ネットワークを強化し、拠点間の連携を促進していくことが重要でございます。
 都は、平成二十八年三月に、東京における都市計画道路の整備方針を策定し、道路網の拡充によるアクセス強化のため、八王子市内の国道一六号と八王子南バイパスとを結ぶ北野街道を新たな都市計画道路の検討箇所に位置づけました。
 これを踏まえて、現在、周辺交差点の現況交通量調査を行うとともに、北野街道の将来交通量の推計や、幅員などの道路構造の検討を進めております。
 今後、国などの関係機関と連携しながら、計画案の取りまとめに向けて取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

   午後五時三十分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十三番森村隆行君
〔七十三番森村隆行君登壇〕

○七十三番(森村隆行君) 変化の激しい時代です。今の子供たちが大人になって活躍する二十年、三十年後に、世界は、日本は、東京はどのような姿を迎えているのでしょうか。本日は、子供たちの未来に何を残すのかという視点から質問を行います。
 まず、幼児教育。
 今、国際的に幼児教育に対する関心が高まっています。身についた能力や開花した資質の上に、次の能力や資質が開花していきます。幼児教育への注力は最も投資効果が高いという説を、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン博士が提示し、OECDは報告書、Starting Strongで、幼児教育、保育の重要性を詳細にまとめ、提言を行っています。
 我が国においても、ここに来て幼児教育に関する大きな変化がありました。幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の三法令が昨年度同時改定され、幼児教育を通じて生きる力を育むべきとされています。
 ここでのキーワードは、子供たちを育む環境と非認知能力の向上です。非認知能力とは、学力やIQなどはかれる力と異なり、目標に向かって頑張る力や他者とかかわるための社交性などですが、脳学者によれば、これらは六歳までに育まれるそうです。非認知能力は、時代がどのように変化しても必要な生きる力の源泉になります。
 そこで今、全国的に注目されているのが、森と自然を活用した保育、幼児教育です。季節や天気などによって千変万化する自然は、子供たちの非認知能力を育むために極めて有効な環境になります。
 昨年の都民提案予算、子育て支援分野で最多得票にて採択された、森と自然を活用した保育等の推進は多くの注目を集めましたが、私もこの施策を利用する取り組みに参加させていただき、指導者の方々から実践の手応えと、今後への期待や課題についてお伺いしました。
 折しも、ことしは東京で初めて全国育樹祭が開催され、今後、森林環境譲与税が創設される中、森林の多様な活用も期待されています。
 未来を担う子供たちの非認知能力を高める深い学びのために、子供たちが自然に触れ合う機会をふやすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、教育庁において環境教育にかかわる調査が行われ、このたび結果の一部が公表されました。その中で、自然との触れ合いは重要だとする意見が大多数を占めるも、小中学校においては、環境教育を行うための時間を確保することが困難なことや、身近な自然が少ないエリアが多いことなど、都特有の状況が読み取れます。
 自然の中での遊びなどを通じて、子供たちの非認知能力が向上し、生きる力が育まれ、いずれ人生を切り開いていくために必要な問題解決能力、考える力を身につけるための土台になっていくものと考えますが、幼稚園、小学校における自然と触れ合う活動の意義について、都教育委員会の見解を伺います。
 今回の調査は速報段階であり、数値の精査や分析はこれからと理解していますが、ぜひ、調査を通じて得られた各教育現場の課題や、自然を活用した教育の重要性に関する知見等を生かしていただきたいと考えます。
 今後、都教育委員会として、今回の環境教育の調査をどのように活用していくか伺います。
 今後の保育、幼児教育の取り組みの中で、モデル事業の実施やガイドラインの策定、活動の補助等に関し、有識者を交えた形での施策の検討を進めていただき、都の実情に合わせた形での森と自然を活用した保育、幼児教育の姿を構築いただけるよう要望いたします。
 次に、子供を育む家庭の環境について伺います。
 ワンオペ育児という言葉があります。ワンオペレーションは、もともと飲食店などの店舗を一人で回すことを意味する語でしたが、転じて仕事と家事、育児をパートナーの力をかりずに一人で行うことを意味するようになり、今やワンオペ育児に直面する多くの女性が、その困難さとパートナー男性への理解を求める声を上げています。
 夫の家事、育児への参画時間と、第二子の誕生確率に正の相関が認められることが厚生労働省の調査で明らかになり、また、民間企業が行った離婚経験者への調査では、女性が挙げた離婚原因として、夫の家事への非協力、夫の育児への非協力が、いずれもDVや浮気よりも上位にランクしました。
 私自身、先日実験的に、全ての育児と家事を原則妻の手をかりずに仕事と両立させる、ワンオペ育児の試みを行いました。わずか六日間の試みでしたが、家事、育児に対する意識とスタンスが一変した体験で、それまで自分は家事、育児を多少は行っていたつもりでしたが、恥ずかしながら、全くもって甘かったといわざるを得ません。点をつけるのであれば、百点満点中、十点、二十点のレベルです。赤点です。
 こうした男性の認識の甘さ、理解しているつもりという意識が阻害要因になり、特に子育て期の女性の大きな負担につながっています。改めまして、夫の家事、育児への積極的な参画は、少子化対策、女性活躍、子育て支援などの観点で極めて重要であると指摘させていただきます。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランの中で、就学前の児童を持つ父親の家事、育児時間を延伸させ、また、男性も家事、育児を行うことが当然であるというイメージを持つ都民の割合を高める政策目標を掲げており、いずれも実効性のある施策が求められています。
 今後、男性による日常的な家事、育児への参画を促すための手だてを深めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。また、都庁職員の取り組みについても伺います。
 なお、加えますに、恒常的にワンオペ育児を強いられることになるひとり親家庭への社会的な支援の強化についても必要性を感じたところであり、あわせて指摘しておきます。
 次に、地球環境問題について伺います。
 世界銀行は、今すぐに温室効果ガスの排出量を減らし、適応強化を図らなければ、二〇三〇年までに一億人以上が貧困に陥ると警鐘を鳴らし、気候変動対策資金として、二〇二一年から二五年の五年間で、日本円にしておよそ二十二兆七千億円もの資金を拠出することを発表しました。
 都としても、国際的な取り組みをリードする形で、次世代へ残すべき環境への取り組みをより積極的に進めていく必要があります。
 都は、みずからの温室効果ガスの削減等を率先して進めるスマートエネルギー都庁行動計画を定め、二〇一五年度から二〇一九年度の間に、新たに四千二百キロワットの太陽光発電を導入するとしています。
 都が積極的に再生可能エネルギー設備の導入を図り、その取り組みを広げることで、民間における再生可能エネルギーの導入拡大につながるものと考えます。
 そこで、都有施設における再生可能エネルギー設備の導入拡大に向けた取り組みについて、見解を伺います。
 次に、フロン対策です。
 業務用空調機器の冷媒であるフロンは、大気に放出されると地上を紫外線から守るオゾン層を破壊し、皮膚がんや白内障の増加をもたらします。また、フロンはCO2の数千倍の温室効果を持ち、温暖化防止の観点からも対策は重要です。
 二〇一五年にフロン排出抑制法が施行され、製造から廃棄のサイクルにかかわる取り組みが一新されました。さらに、二〇一六年にルワンダのキガリで開催されたモントリオール議定書第二十八回締約国会議では、従来、オゾン層破壊効果が認められなかった代替フロンHFCを新たに規制物質と定め、来年の一月一日から発効します。
 フロン排出抑制法に基づく対応については、大規模事業者では管理や廃棄時の処理等で適切な対応が行われているものの、中小事業者における執行はいまだ十分でない状況が続いているものと聞いています。
 都は、フロン類のさらなる排出抑制に向けて、漏えい防止対策を進めていく必要があると考えますが、取り組みについて伺います。
 CO2を固定する森林の保全は、温暖化対策の観点でも有効です。そのために必要なのが適切な利用に基づく健全な森林循環です。
 一本の杉を植えたとき、その木が木材として利用可能になるまで六十年の歳月がかかります。また、伐採された木材が使われた新しい建築物は、平均的に六十年以上使用可能です。今ある森林は、祖父母や曽祖父母の世代が、まだ見ぬ子孫たちのために植えた大切な財産であり、私たちも健全な森林循環を促進しながら、東京の森を守り、未来に残していかなければなりません。
 このたび、全国育樹祭の開催に合わせ、五十年、百年先を見据えた東京のフォレストビジョンが発表されました。東京二〇二〇大会の開催も踏まえて、次世代に残すべき東京の姿を描くべきときです。森林環境譲与税の創設、構造材など木材にかかわる技術革新の進展、木材を活用した大規模建築物の施工例の充実など、機は熟しています。
 これを契機に、東京の建築物について戦略的、計画的に多摩産材を活用した木質化を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、多摩振興について伺います。
 多摩地域には、御岳山や高尾山を初めとした魅力あふれる山々、多摩川、秋川の清流など、都民の誇るべき財産である豊かな自然とともに、地域固有の文化や産業等、多様なポテンシャルがあります。これらを生かさずして、東京の未来を描くことはできません。
 多摩の市町村では、それぞれの特性を生かしながら地域の魅力向上に取り組んでいますが、十分な成果を出すためには、市町村単体の予算や発信力に頼るだけでなく、複数の自治体間の緊密な連携や、それに対する都の後押しが必要です。
 そこで都は、西多摩など多摩の市町村が行う地域の魅力や価値を高める取り組みを支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 民間の事例を一つご紹介します。
 この秋、青梅から奥多摩にかけて、複数の自治体をまたいだ形で、九つの観光協会や商店会などが青梅・奥多摩もみじ協定を締結し、奥多摩もみじ大爆発と銘打った取り組みを始めました。地域資源である鮮やかな紅葉を面でアピールする本取り組みはすぐに成果をあらわし、先月は多くの都民や観光客が地域を訪れました。
 さらには、都が進めるNature Tokyo Experienceのような、豊かな自然環境に着目した体験型、交流型、滞在型の取り組みに期待します。
 そこで、多摩の自然を生かす観点での新たな取り組みを行う民間事業者に対する支援について伺います。
 以上です。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、幼児教育における自然環境の活用についてのご指摘がございました。
 子供たちの主体性、そして想像力、思考力、コミュニケーション能力など、生きる力を育むためには、お話のように、幼児期に森などの自然の中で体験することや、自然環境を通して教育を受けることが非常に重要であると、私も認識をいたしております。
 都は今年度、都民からの提案に基づいて、森と自然を活用した保育推進事業を実施いたしまして、里山や緑地等の自然環境を活用した園外活動を実施する保育所などを支援いたしております。
 具体的には、里山で野鳥や植物の観察をしながら五感で自然を感じる活動、清流での川遊びにおいて、小さな生き物の採取や川にボールを流して川の流れを知るなどの活動を行っております。
 そして今後、幼児教育におけます自然と触れ合う活動がより一層充実しますように、都として新たな取り組みを検討してまいります。
 次に、多摩地域の魅力、価値の向上についてでございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当いたしまして、四百万人を超える人口を擁しております。高い技術力を持つ中小企業、大学、研究機関が集積するなど、多くの強みを有しております。
 また、豊かな自然や歴史、文化、特産物などの地域資源は、そのブランド力を高めることで東京の一層の発展に資する可能性があります。
 都は、こうした魅力に磨きをかけ、多摩地域が持続的に発展できますように、昨年、多摩の振興プランを策定いたしまして、観光やものづくりを初めとする産業振興など、さまざまな取り組みを着実に推進をいたしております。
 また、自然を活用して集客力をより高めることを目指しまして、私自身も奥多摩町に開設をいたしましたグランピングを視察したり、EVバイクで地域を訪れ、もみじを楽しむなど、多摩の各地に足を運んで、緑に親しめる空間や地域の食材などの魅力を実感いたしております。
 多摩の市町村は、こうした地域資源を一層活用することで、地域の魅力、そして価値を向上させる取り組みを進めております。さらに、西多摩地域を初め、行政区域を越えて広域的に連携した取り組みも行われております。
 都は、このような市町村の取り組みにつきまして、積極的に情報を発信するなどの支援を行いまして、多摩地域の魅力、価値のさらなる向上につなげてまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自然と触れ合う活動の意義についてでございますが、幼児期や児童期には、自然と触れ合う活動を通して、身近な自然の不思議さや季節の移り変わりの美しさなどに気づき、さまざまな事象への興味、関心を高めていくことが重要でございます。
 こうしたことから、幼稚園、保育所等の就学前教育施設や小学校においては、身近な自然環境や校庭、公園などを利用することにより、幼児、児童が自然と触れ合うことができるよう、さまざまな活動を計画的に推進しております。
 次に、環境教育に関する調査の活用についてでございますが、環境教育は、発達段階を踏まえ、系統的に推進することが重要でありますことから、都教育委員会は、就学前教育施設や小中学校において、環境教育がどのように実施されているかを把握するための調査を実施いたしました。
 今後、調査結果の精査及び分析を進め、効果的な活動内容や指導上の課題等を把握してまいります。
 その上で、身近な自然を活用したすぐれた実践事例などを区市町村教育委員会や就学前教育施設、小中学校等に周知し、環境教育の推進を支援してまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 男性の家事、育児参画の促進についてでございますが、都はこれまで、セミナーやシンポジウムの開催、啓発冊子の配布などを通じて、夫婦の協力の大切さを考えてもらう取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、これまで家事、育児に余りかかわってこなかった男性も気軽に取り組むことができるよう、さまざまなノウハウを掲載したウエブサイト、パパズ・スタイルを開設いたしました。サイトでは、家事、育児の体験談をSNSを活用して共有できる仕組みも取り入れております。また、男性の家事、育児参画には周囲の理解と協力も必要であることから、今後、妻や親族、上司などに働きかけるコンテンツも順次掲載してまいります。
 引き続き、実行プランの目標達成に向けて効果的な事業展開を図り、男性の家事、育児参画を促進してまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 男性職員の家事、育児への参画促進についてでございますが、都民サービス充実のためにも、全職員が家事、育児を初めとする生活と仕事の調和を実現することは重要でございます。
 都はこれまで、働き方改革を推進し、全管理職によるイクボス宣言や、育児と仕事の両立支援講座の開催など、さまざまな機会を捉えてライフワークバランスに関する意識改革を進めてまいりました。
 来月からは、男性職員の育児参加促進のため、配偶者の妊娠が判明した男性職員が育児参加プランニングシートを活用し、所属長と休暇の取得や育児期の働き方についてコミュニケーションを図る取り組みを開始いたします。
 日常的に家事、育児を行う意識づけにもつながるこうした取り組みを通じまして、今後とも、全ての職員が家事や育児と仕事の両立ができるように支援をしてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都有施設における再エネ設備の導入についてでございますが、再エネの拡大に向けては、都が民間施設への範となるべく、再エネ設備の導入を率先的に進めることが重要でございます。
 都は、スマートエネルギー都庁行動計画に基づき、都有施設の新築、改築などに際して、太陽光発電等の再エネ設備を積極的に設置することとしております。五年間の計画期間の三年目に当たります二〇一七年度までに、事務所や学校等に約二千九百キロワットの太陽光発電を導入しており、目標の四千二百キロワットに向け、今後も着実に導入を進めてまいります。
 加えて、普及の初期段階にあります路上等に設置可能なソーラーロードや床発電システム等の新たな再エネ技術を見える化し、民間施設への取り組み拡大につなげるため、都有施設での実証に向け準備を進めてまいります。
 次に、フロン類排出抑制に向けた取り組みについてでございますが、国では、モントリオール議定書キガリ改正を受け、来年から代替フロンの製造及び輸入の規制を開始いたしますが、フロン類の排出抑制を進めることも重要でございます。
 フロン類漏えいの多くは、業務用冷凍空調機器の使用時及び廃棄時に発生することから、都では点検マニュアルの作成や講習会の開催等により、事業者へフロン対策の周知を図るとともに、立入検査を通じて機器の管理や処分について確認及び指導を行っております。
 さらに、お話にありました中小規模事業者の取り組みを進めるため、今年度から地域商工団体と連携して指導員を派遣し、機器の適正な点検方法について直接助言を行う事業を開始いたしました。
 今後も事業者への指導や普及啓発を進め、代替フロンを含めたフロン類の排出抑制に努めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、建築物の木質化の推進についてでございますが、都市部での木材利用は、林業を活性化させ、持続可能な森林循環の促進を図る上で有効な取り組みでございます。
 これまで都は、多摩産材の普及に向け、多くの都民の目に触れる美術館や劇場等の都関連施設での什器等の設置や、民間商業施設等の木質化に対する支援などを進めてまいりました。
 また、新たに、都がリーダーを務め、四十五都道府県が参加する全国知事会のプロジェクトチームにおいて、木製の塀の設置など、国産木材の利用促進に向けた取り組みを開始いたしております。
 今後、民間建築物の外壁、外構に多摩産材を一定程度含む国産木材を使用する際の補助制度の創設を検討してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、多摩産材の需要拡大を進め、森林の循環を促すことで、豊かな森を次世代に継承してまいります。
 次に、多摩地域の観光振興についてでございますが、多摩地域にさらなる誘客を図り、地域での交流や滞在につなげていくためには、民間事業者の参画を促し、豊かな自然を活用した新たな観光資源をふやすことが有効でございます。
 このため、都は今年度、グランピングなど新しいタイプの宿泊施設に滞在し、森林体験や農産物の収穫を行うなど、新たな体験、交流型の観光事業への支援を開始いたしました。
 本事業の開始に当たり、国内の先進事例を紹介し、開発を希望する事業者と、地域の自治体や地元の企業などとの情報交換等を行うイベントを実施いたしました。
 また、こうした新たな観光事業に取り組む事業者を公募の上、モデルとして選定し、今後、必要な設備等の経費や広報面で複数年の支援を行うとともに、多様な観光資源のさらなる開発を進めてまいります。

○副議長(長橋桂一君) 二十五番あかねがくぼかよ子さん
〔二十五番あかねがくぼかよ子君登壇〕

○二十五番(あかねがくぼかよ子君) 第四次産業革命に向けて、ロボット、IoT、人工知能などの先端技術を持つトップノッチ企業の誘致合戦が世界中で始まっています。シンガポールは、政府主導のスタートアップ支援策で特定技術の技術開発に百九十億ドルを投じるなど、東南アジアで最先端を走っています。
 生産年齢人口の減少が深刻な我が国だからこそ、マンパワーに依存した産業、働き方をいち早く脱却し、画期的に生産性を高めていかなければ、超高齢化社会を支えることはできません。
 第四次産業革命の恩恵を取り入れることができれば、医療や介護、農業など、従来のやり方では立ち行かなくなってしまう分野でも、成長産業に生まれ変わりイノベーションを起こすことが十分に可能です。
 都は、アジアヘッドクオーター特区計画に基づき、ロボット、IoT、人工知能などの先端的技術を持つ外国企業八十社の誘致に近年取り組んできました。
 激化する都市間競争に打ち勝つためには、第四次産業革命を牽引できる企業を、スタートアップも含め数多く誘致する必要があり、そのためには、より大規模な資金投資も必要です。
 都を中心とした新産業エコシステムを構築することで、今後の成長戦略につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 イスラエルは、世界のイノベーションを牽引するスタートアップのエコシステムを持ち、毎年千社近くものベンチャー企業が誕生する中東のシリコンバレーといわれています。
 東京は、スタートアップ環境のおくれが指摘をされていますが、昨年にはTOKYO創業ステーションを開設し、また、若手や女性のベンチャー経営者を発掘して育成するプログラムや海外の有力企業とのマッチングなど、さまざまな創業やベンチャーに対する支援メニューを提供し、よい成果につながってきています。
 一方、昨年度の都内開業率は六%程度にとどまっており、今後、一〇%台に引き上げる目標に向けたさらなる取り組みが必要です。
 開業率一〇%の達成に向けて、より多くの起業家を生み出すための裾野を広げるとともに、グローバル市場でも活躍できるような起業家を育てていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 ソーシャルインクルージョンの考え方に基づき、就労困難を抱える人でも就労しやすい東京を目指して、有識者との議論を開始したと知事の所信表明で紹介されました。
 就労は、経済的なメリットだけでなく、人生の充実感にもつながります。一方で、地元の杉並区で障害をお持ちになり、懸命に企業で働いておられる方のお話を伺いますと、企業側の環境整備はもとより、一緒に働く人々の受容力を高める抜本的な取り組みが必要であると痛感いたしました。
 都は、障害者雇用について優良な取り組みを行う企業を表彰するなど、環境を整備するためのさまざまな取り組みを行っていますが、好事例として紹介される企業は大企業の特例子会社であることが多く、中小企業での障害者雇用率は一%程度にとどまっているのが現状です。
 就労困難な人の雇用を促進しながらも、独立採算で経営を成り立たせることができる起業家の存在が、これから一層必要とされると考えます。
 都としても、そのような起業家を数多く生み出し、育成していけるような仕組みを検討することが有意義であると考えますが、知事の見解をお伺いします。
 次に、教育政策について伺います。
 日本人は、英語学習に相当の時間とコストをかけているにもかかわらず、TOEFLスコアランキングでは、アジア圏三十カ国中二十六位です。
 そこで、より実践的に英語に触れる機会を提供するため、都は民間企業と協力をして海外留学の疑似体験ができる施設である東京英語村をことし秋に開設しました。
 英語村はオールイングリッシュの環境ですが、失敗を恐れず、楽しみながら英語を実践することができ、日々の英語学習や将来グローバルで活躍する意欲の向上につながると考えます。
 開設後の利用状況及び利用促進についての都の取り組み状況をお伺いします。
 都教育委員会では、次世代リーダーを育成することを目的として、都立校生向けに一年間の海外留学プログラムを提供しています。毎年二百名程度の生徒が留学にチャレンジし、大変貴重な経験を積んで帰国しているとのことです。
 本プログラムの対象は都立校生のみとのことですが、都内の高校生のうち六割近くが通う私立高校も含めて、より多くの学生が世界にチャレンジができることを望みます。
 そこで、私立高校のためのグローバル人材育成の取り組み状況についてお伺いします。
 教育費における公私間格差を減らすため、私立高校に通っている家庭に向けて、授業料負担軽減など、都として取り組んでまいりました。
 昨今の経済情勢から、入学時は必要がなくても、入学後に家計の状況が厳しくなり、授業料等の支払いが困難になるケースも多いと聞きます。
 私立高校に経済的な理由で通えなくなったとしても、途中から都立高校への編入は極めて狭き門であり、現実的な選択肢とはなりにくいため、都としてもできる限り支援策を講じるべきと考えますが、どのように取り組んでいるのか、お伺いします。
 次に、少子化対策について伺います。
 加速化する少子化にブレーキをかけるためには、妊娠適齢期の普及啓発は必要不可欠であります。しかし、妊娠、出産の適齢期がいつなのか、まだまだ正しく認識されていません。本来なら、性教育の一環として関連の知識を得られるのがよいと考えますが、妊娠適齢期の教育は今までほとんどされてきていないのが実情です。
 そのため、これから妊娠、出産を迎える二十代の若い世代に対しては、改めて正しい知識の普及啓発が必要であり、効果的な手法で実施すべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 東京は全国で結婚年齢は最も高く、合計特殊出生率は最も低い地域です。今や六分の一の夫婦が不妊に悩んでいるともいわれています。女性の社会進出が進み、キャリア形成の時期と結婚、出産が重なり、妊娠適齢期について正しい情報を得る機会が少なかったことも、これらの原因ではないでしょうか。
 都は、不妊に悩む夫婦に対して、医療保険が適用されず高額の治療費が必要となる体外受精、顕微授精について、治療費を助成しています。
 この特定不妊治療費助成事業の具体的な取り組み状況についてお伺いします。
 体外受精、顕微授精は、一回の治療で二十から三十万円と高額な治療費がかかります。一回で終了することはまれで、三ないし六回取り組むことが多いです。それでも三十代後半からは妊娠、出産に至らないこともよくあります。
 これほど高いハードルであるにもかかわらず、最後の望みをかけて不妊治療に取り組まれている夫婦は非常に多いため、この治療費助成の継続を要望いたしますが、所得制限については、ぜひ再考いただきたい点がございます。
 夫婦合算で年間所得金額が七百三十万円以下ということで、この基準以下であれば手厚い支援が得られる一方で、少しでも超えていたら全く支援がなくなってしまいます。所得額に対して、段階的な支援となるように設計していただくことで、より公平な助成制度となるのではないかと考えます。
 私の地元杉並区で、不妊に悩む共働きのご夫婦から、基準を超えてしまうので対象にはならないが、全額自費で治療を続けていくのは経済的に大変な負担だと、そういった声を数多くいただいています。働く女性だからこそ高齢出産になりやすく、共働きの世帯だからこそ夫婦合算の所得額は七百三十万円を超えやすい現状があります。
 より多くの不妊に悩む夫婦に支援が届きますよう、一層の工夫を強く要望させていただきます。
 最後に、都政改革について伺います。
 都は、平成二十八年度から自律改革を開始し、平成二十九年度からは現場改善のレベルから経営改革のレベルまで引き上げるため、主要事業の見える化への取り組みを開始しました。平成三十年度には当初予定を前倒しして、十一月でほぼ全ての事業ユニットの点検、評価が終了したとのことで、今後は政策評価を導入していくと都政改革本部で発表がありました。
 これまでも都は、予算査定の単位である事務事業の評価については、財務局により実施されてきましたが、同じアウトカムを目的とした複数の事務事業を統合的に把握し評価をする、政策レベルでの評価やPDCAサイクルの徹底はなされてきませんでした。
 政策評価の必要性について、私はかねてより問題意識を持っており、昨年実施された各会計決算特別委員会にて指摘をさせていただいたところです。
 導入に当たっては、目標設定、成果指標の立て方が重要であり、都庁内で既に浸透をしているアウトプット指標だけでなく、アウトカム指標を使って、政策が都民の生活にどのようによい影響を及ぼすのか極力定量的に測定をして、エビデンスに基づく見直しが継続的に図られるようにしなければなりません。
 また、今まで都庁にはなかったノウハウや経営的な視点が必要とされるため、都庁の内部だけでは限界もあると考えます。担当業務における改革、改善の範囲を超えて、経営や戦略レベルでの改革が必要となるため、外部の有識者の力も十分にかりながら進めていくことが必要不可欠であると考えます。
 一度政策評価が導入され、機能してくれば、最適な予算配分についてエビデンスに基づく判断がしやすくなるだけでなく、最適な人員配置、組織構成を検討する上でも判断材料を得られることになります。
 このように、今後の都政改革において、極めて重要な仕組みである政策評価の導入に向けた知事の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、外国企業誘致の取り組みについてのご質問でございます。
 国際的に熾烈な都市間競争が繰り広げられる中で、東京は世界から人材と資本を呼び込んで日本経済を牽引していくために、成長戦略を果敢に展開しているところでございます。
 その鍵の一つが、ご指摘の最先端技術であります。都は、特区制度を活用して、外国企業を戦略的に誘致してきております。昨年度はアクセス・ツー・トウキョウをロンドン、パリ、サンフランシスコの海外三都市に、さらに今年度からはシンガポールにも設置をいたしまして、取り組みを加速させているところでございます。
 また、昨年度から、先進的な技術を有する海外スタートアップ企業を支援するアクセラレータープログラムを実施しておりまして、毎年、その成果を披露するためにビジネスプラン発表会も開催いたしております。
 例えば、先般開催されました発表会におきましては、AIを活用したスマートシェルフが紹介されました。これは、そのまま訳しますと賢い棚となりますが、消費者が商品を手にとったときに、そのデータをモニターで表示いたしまして、スマートフォンでの決済にまでつなげるというものでございます。こうしたユニークな技術が毎年紹介されるたびに、革新的な技術が秘める無限の可能性を感じるところでございます。
 さらに、来年度からは、産官学の関係者が連携をいたしまして、エコシステムの形成に向けた検討を行って、イノベーションの連鎖が続く魅力的なビジネス環境を構築したいと考えております。
 これらの取り組みをスピード感を持って推し進めることによって、都市間競争に打ち勝ち、東京と日本の持続的な成長につなげてまいります。
 社会的な起業家の育成についてのお尋ねがございました。
 海外では、障害者を初め、就労に困難を抱える方が数多く元気に働いておられます。ソーシャルファームと呼ばれる社会的企業があって、一般企業と同じマーケットでビジネスを行い、企業的手法で経営されているというものであります。
 私はこうした取り組みをこの東京にも広げて、就労を希望する誰もが個性や能力に応じて自分らしく活躍できる、そんな社会をつくっていきたいと考えております。
 このためには、取り組みの母体となります社会的企業を設立いたしまして、経営する起業家を数多く生み出す、そして育成していくことが重要となります。
 現在、都では、社会全体で支え合うソーシャルインクルージョンの考え方に基づきまして、全ての都民の就労を応援する新たな条例の制定を目指しております。有識者会議を設置いたしまして、就労支援のあり方についての議論を開始したところでございます。
 私自身、来週には、精神障害者の自立と就労への支援に幅広く取り組まれ、代表者がこの有識者会議の委員でもいらっしゃいます、多摩草むらの会の活動を視察いたしまして、意見を交換する予定といたしております。
 今後、有識者会議におきましても、ソーシャルファームなどをテーマに幅広い議論を行う予定でございまして、その担い手となる起業家の育成や支援を含めて多角的に検討を進めてまいります。
 最後に、政策評価の導入についてのご質問がございました。私が本部長を務めております都政改革本部におきましては、昨年の四月から、各局の主要事業を総点検する見える化改革に取り組んでまいりました。
 この主要事業の総点検がおおむね完了したことを踏まえまして、各局の自律的な改革のPDCAサイクルを徹底するため、来年度には、新たに政策評価を導入することとしたものであります。
 この政策評価におきましては、都民への説明責任の観点から、成果目標が重要であり、施策が都民生活にもたらす効果を測定するための定量的な指標、いわゆるアウトカム指標を可能な限り設定していくことといたしております。
 また、政策評価の開始に当たりまして、第三者の知見を活用するために、松本晃氏を座長とする各分野の専門家で構成されます都政改革アドバイザリー会議のもとに、政策評価分科会を設置することといたしました。
 この分科会におきまして、評価制度について検証するとともに、各局の施策を検討、分析をいたしまして、成果目標や自己評価の妥当性につきましても、客観的な見地から意見、助言をいただく予定でございます。
 都民にとってわかりやすく、有効に機能する政策評価を推進することによりまして、各局が主体となりました自主的、自律的な都政改革をさらに推し進めてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGの利用状況及び利用促進についてでございますが、九月のTGG開設後、三カ月間で約二万人の児童生徒が利用し、今後の予約も好調な状況にございます。
 利用した児童生徒からは、自信がついた、英語でもっと話したいという声が聞かれるなど、学習意欲の向上が見られるところでございます。
 今後、都教育委員会は、さらに多くの利用を促すため、TGGと学校教育との効果的な活用のあり方について広く周知いたしますとともに、学校の意見を取り入れながら、プログラム内容等を継続的に改善してまいります。
 具体的には、国公私立の学校を対象に実践発表会を開催し、学校での効果的な事前事後学習や利用後の成長の姿について事例を通して共有化を図ってまいります。
 また、TGGでの活動の最後のまとめの時間を充実するなどして、より魅力的な体験を提供し、さらなる利用の促進を図ってまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 創業の活性化に向けた支援についてでございますが、都内産業の一層の発展を図るため、創業を目指す人材をふやし、国際的に活躍する起業家を東京から数多く生み出す取り組みは重要でございます。
 都は、丸の内に設置しておりますTOKYO創業ステーションにおきまして、起業を勧める啓発イベントや相談対応を行いますほか、コンテストの形式で若者の創業の意欲を引き出す取り組みも進めているところでございます。
 また、女性のベンチャー経営者が海外で事業を展開するためのサポートを行うなど、後押しをしております。
 今後は、創業を目指す人材を幅広く掘り起こすための拠点を多摩エリアに整備いたしますほか、小中学生等の段階から、起業の魅力を学ぶ機会をつくる取り組みを検討いたします。
 また、女性起業家の世界進出のモデルをふやすサポートの充実も検討し、東京での創業のさらなる活性化に結びつけてまいります。
〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕

○生活文化局長(浜佳葉子君) 私立高校におけるグローバル人材育成のための都の取り組みについてでございますが、東京二〇二〇大会を契機に、東京が国際都市としてさらに飛躍するためには、次代を担う若者が語学力や国際感覚を身につけることが重要でございます。
 そのため、都は平成二十五年度から、生徒が海外留学する際の費用を補助しており、現在までに延べ二千人以上の留学を支援してまいりました。
 また、二十七年度からは、学校が外国語指導助手を雇用する際の経費を補助することとし、日本にいながらにして、生きた英語を学ぶ環境の整備に努めてまいりました。
 今後とも、これらの施策を総合的に実施することで、私立高校におけるグローバル人材の育成を支援してまいります。
 次に、生徒の家計が急変した場合の支援についてでございます。私立高校に通う生徒が経済的な理由にかかわらず、教育を受けられる環境を整備していくことは重要でございます。
 そのため、都は、私立高校が家計状況の急変などを理由に授業料等を減免した場合に、その減免額について、最大で五分の四を補助しております。
 さらに、こうした減免制度の導入を促すため、減免制度そのものを整備している学校に対して定額の補助を行っております。
 今後とも、各私立高校に対し、減免制度の導入を積極的に働きかけ、生徒が安心して学び続けられる環境を整えてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、妊娠、出産に関する知識の啓発についてでありますが、都は、若い人たちが妊娠、出産に関して正しい知識を持ち、自分のライフプランを考えるきっかけになるよう、小冊子を作成し、区市町村や大学等を通じて配布するほか、新聞広告等による普及啓発を実施しております。
 今年度は、この小冊子にこれまで以上に関心が集まるよう、デザインを一新し、その配布先も、新たに約四百ある専修学校にも拡大することとしております。
 また、スマートフォン対応のウエブサイトを新たに開設するとともに、若い世代に人気のタレントを活用したSNSによる情報発信を行っております。さらに、リーフレットも作成し、成人式等で配布する予定でございます。
 今後、これらの取り組みにつきまして、アンケート等による効果測定も行いながら、若い世代への妊娠、出産に関する普及啓発を進めてまいります。
 次に、特定不妊治療費助成事業についてでありますが、都は現在、高額な不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、妻の年齢が四十歳未満の夫婦を対象に通算六回、四十歳から四十三歳未満の夫婦を対象に三回まで助成を実施しております。
 具体的には、新鮮胚移植や凍結胚移植の場合は、初回に三十万円を助成し、二回目以降は国基準の十五万円に、都独自にそれぞれ五万円、十万円を上乗せしてございます。
 平成二十九年度の助成額は約三十六億円で、平均いたしますと夫婦一組当たり三十五万二千円となっております。助成件数は一万七千四百三十一件で、事業を開始した平成十六年度から十倍以上に増加してございます。
 今年度からは、都独自に事実婚の方につきましても助成の対象としており、今後とも、子供を産み育てたいと望む方々を支援してまいります。

○副議長(長橋桂一君) 七十一番ひぐちたかあき君
〔七十一番ひぐちたかあき君登壇〕

○七十一番(ひぐちたかあき君) これからの日本の首都東京には、都市としての総合力、つまり、経済だけではなく豊かな自然をも取り込んだ都市の風格、そして歴史を背景とした厚みのある文化、そのもとで、多彩な活動が展開され、訪れる人々に感動を与えるような都市の総合力が求められています。
 東京の大きな資産である水、そしてまた、地域が本来持っているさまざまな資源を生かし、東京の新たな活力につなげるべく、舟運、親水空間、産業育成、地域資源の活用について質問いたします。
 世界では、水の都市として、ベネチア、アムステルダムなどが知られていますが、東京は実に地形の変化に富んでいるのが特徴です。
 江戸は、多摩川、荒川、利根川の水系、つまり関東一円の水を一点に集めるよう設計されました。特に、玉川上水は、羽村から武蔵野台地の尾根筋を巧みに利用し、東へ流れること四十三キロ、四谷大木戸に到達します。
 つまり、多摩の豊かな水が、武蔵野台地の突端にある江戸城に向けて多くの自然河川と結びつき、田園地帯から内堀、外堀を通り、江戸市中、そして河口部から海へと流れる。江戸東京には雄大な水系ネットワークがあったわけであります。
 地元千代田においては、飯田橋から四谷までほぼ直線上に伸びる外堀というすばらしい水辺空間が残されています。近代までは、多摩の豊かな水が玉川上水として供給され、内堀、外堀と、それぞれ高低差で各堀に循環していく仕組みがありましたが、現在は、ともに閉鎖水系になっています。
 東京の河川や運河は、震災や戦災の瓦れきで埋め立てられ、一九六〇年代には、生活排水や下水道の流入により水質汚濁が深刻になり、また、都市型洪水に備える堤防の設置によって、次第に人々から背を向けられる場所となっていきました。
 水資源を生かす大前提である水質浄化については、市谷堀でも現在取り組んでいるしゅんせつや貯留管の整備などによる改善効果を大いに期待するところです。
 陸の時代に転じた近代には重要性が薄らいできたものの、河川や掘り割りが網目状にめぐっていた東京の都心、下町では、昭和初期までは水の空間、舟運が人々の暮らしの中に生きていました。
 都においては今、舟運の活性化について鋭意取り組まれていますが、こうした歴史的な背景も踏まえれば、舟運を観光だけでなく、今後、日常的な移動手段としても利用できるよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 地元にも、神田川、日本橋川が流れており、千代田区役所の裏側などには区の防災船着き場が整備されています。現状、平常時に開放されていません。防災船着き場は、被災時の輸送支援はもちろん、災害拠点病院などへのアクセス確保の観点からも大変重要であります。
 こうした区の防災船着き場についても、舟運に活用していくため、平常時にも利用できるよう管理者である区に積極的に働きかけていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 近代以降は、舟運と鉄道の物流が一体化され、秋葉原貨物駅、飯田町駅などは、鉄道と神田川との舟運をつなぐ重要な結節点でありました。これからの時代を考えれば、鉄道、バスに加えて、シェアサイクルの自転車置き場なども含め、自在に結節点を設けることが活性化には不可欠であります。
 しかし、どこに船着き場があるのかわからない人も多くおられるのが現状です。
 そこで、多くの人に舟運を利用してもらうようにするためには、陸上交通と水辺の結節をわかりやすくする船着き場の案内サインなどを充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 さて、一九六〇年代後半、高度経済成長のゆがみとして、都市の河川では都市型洪水も多発しました。当時、都は、改めて河川の持つ機能を見直し、治水、利水とともに、親水を重視すべき機能と結論づけました。
 実際、調査によれば、居住地の人口密度が高くなるほど、水辺の開放性に対する期待や評価が高くなる傾向があります。水に親しめる空間は、都市空間の再生のきっかけであり、地域社会形成の強化をもたらすものでもあります。
 例えば、今や全国から人々が訪れる観光スポットとなったお台場海浜公園は、水辺がにぎわう都心部の代表的な空間です。失われた海を都民の手に返すとして、海上公園の第一号として開設されました。
 先日、我が会派の島しょ振興政策研究会が神津島を視察した際、天上山斜面から流れ込む砂で定期船の接岸に支障が生じるため、しゅんせつ工事を実施していると伺いました。
 しゅんせつの結果得られる白砂は、お台場海浜公園でも活用されるすばらしい資源であり、実際に地元からは、恒常的な白砂の活用を要望されたところです。
 このように、都市の魅力ともなる砂浜などの親水空間を積極的に整備すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 親水空間など、河川や堀などの景観資源を生かしたまち並みづくりを進めていくことは、東京の魅力を高めていく上で重要であります。地元区市町村と連携し、魅力ある景観形成に向けて取り組んでいくべきであります。
 現在、千代田区と景観行政団体移行に向けた協議を行っているとのことですが、景観行政団体移行の意義について、都の見解を伺います。
 昨日、本定例会の我が会派の代表質問の答弁にもありましたが、日本橋周辺の首都高を地下化し、まちづくりと連携し、都市を再生していく取り組みは大変重要であります。さきの東京オリンピックにおける渋滞緩和の妙案として、また土地取得の容易さから、建設用地の九割以上が、江戸時代に築かれた掘り割りでありました。
 今後、日本橋川の、いわばふたがとれることには大きな意味があります。既に都市計画が決定されたように、歴史的建造物の保存、日本橋船着き場の拡充、親水広場の整備を含めたまちづくりは、首都高のほかのエリアでも応用していくことが考えられ、大きな可能性を秘めているわけであります。
 さて、江戸時代、日本橋は水辺だけが活況を呈していたのではなく、商業そのものが活発、商いの中心地でもありました。そうした歴史的な経緯から、日本橋かいわいは今も製薬企業、医療の中心であり、また、神田川沿いのお茶の水、そして本郷には、医療機器、大学、研究機関が集積しています。水辺の活性化に合わせて、これからの時代を見据えて、新たな成長のために、産業そのものも大いに活性化させなければなりません。
 そこで、東京の集積のメリットを最大限生かすエコシステム形成の皮切りとするため、創薬関連産業の新たなイノベーションを生み出す環境整備を積極的に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 水辺に限らず、地域に根差す文化資源の活用も取り組まねばなりません。
 都においては、MICE誘致に鋭意取り組んでいますが、大規模な施設に加えて、成り立ちのあるまち並みや、代々続く老舗の商店、歴史的な建築物などをユニークベニューとして活用することは、まちやその地域の活性化にとりましても極めて重要であります。
 そこで、今後都として、大規模とともに、中小規模も含めたユニークベニュー施設の開発、周知にさらに取り組み、インバウンドへの対応をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域の文化資源の活用でインバウンドを呼び込み、地域の振興につなげるために、外国人や観光客の利便性向上を図ることが必要であります。例えば、地域の文化資源の周囲において、商店街における国際化対応が既にされていますが、キャッシュレス対応は進みが遅いようです。
 都心の商店街においては、需要を取り込むために、さらに拡充、周知に努めるべきと考えますが、都の今後の取り組みを伺います。
 東京のすぐれた資産である水を生かし、また、地域が本来持っているさまざまな資源を生かし、東京の新しい活力、地域の振興につなげるべく、質問を行ってまいりました。
 さて、浮世絵を眺めていますと、江戸の水辺がモチーフになっているものが多々あります。一八五六年に刊行された歌川広重、名所江戸百景、日本橋雪晴では、冬の凛とした空気の中にも、中心には往来にぎわう日本橋を置き、手前に活気あふれる魚河岸、日本橋川には大量の荷を積んだ船、背後に無数の問屋や蔵、奥には雪かぶる江戸城、そして雄大にそびえる富士が描かれています。
 このように、かつての水辺は、人々の暮らしに根づき、社会、経済、文化を通してにぎわいを築いていました。水辺と暮らしが遮断されて久しくたっておりましたが、折しも、日本橋の空を取り戻し、再開発が計画されている中、平成二十九年九月に、二〇四〇年代の目指すべき東京の姿として、都市づくりのグランドデザインが発表されました。
 広重が描いた浮世絵からおよそ二百年がたつころですが、その二〇四〇年代に向けて、東京には、河川や運河など多様な水辺空間があり、こうした水辺を生かしたまちづくりをどのように進めていくのか、最後に知事の見解をお伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ひぐちたかあき議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、ユニークベニューの開発、周知についてのご質問がございました。東京がMICE誘致をめぐる国際的な競争に勝ち抜くには、誘致活動への効果的な支援を展開するとともに、開催地としての魅力を高めていかなければなりません。
 海外におきましては地域の歴史や文化が凝縮された美術館や博物館などで、国際会議のレセプションなどを行うユニークベニューを活用して、競合都市との差別化を図り、競争力の強化につなげているところでございます。
 ちなみに、昨日行われましたノーベル賞の授賞式でございますが、ストックホルムのコンサートホールで行われ、その後行われました晩さん会は、ストックホルムの市庁舎のホールで行われているということを改めて申し上げておきます。
 都におきましては民間施設等に対しまして、ユニークベニューとしての活用を積極的に働きかけて、施設数の拡大に取り組んでおります。今後は国際会議のレセプションが可能な大規模な施設に加えまして、小規模なミーティングにも対応できるような地域に根差した中小の魅力ある施設の開発も進めてまいります。また、ウエブサイトを新たに立ち上げまして、三百六十度画像などによって、これらの施設を効果的に紹介いたしてまいります。
 さらにユニークベニューとしての取り組みを開始、もしくは拡大しようとするような施設におきましては、実際にレセプションなどのショーケースイベントを実施いたしまして、MICEの主催者、施設側双方に施設の具体的な活用方法を示してまいります。これに加えて、発信力や訴求力の高いイベントでの利用なども促進してまいります。
 このように、こうしたさまざまな取り組みを進めるとともに、二〇二〇年に向けて世界の注目が東京に集まる絶好の機会を捉えまして、さらに工夫を重ねながら、ユニークベニューの利用を一層促進してまいります。
 次に、水辺を生かしたまちづくりについてのご質問がございました。
 ご指摘のように、かつて江戸は、水運が経済や人々の生活を支え、水の都として栄えてまいりました。そして今もなお、東京には、川、海、運河など、すばらしい水辺の空間がございます。
 都市生活にゆとりや潤いを創出していくためには、その資源を生かして、多くの人々でにぎわう水の都を再生していくことが重要でございます。
 こうした観点から、まちづくりのさまざまな機会を捉え、水辺に親しめるオープンスペースを確保し、活性化を図っていくなど、水辺に顔を向けたまちづくりを推進してまいります。
 また、区市町村などと連携をいたしまして、公園整備などの機会を捉え、かつての水辺環境も意識しながら、水の流れを感じられる空間の整備を促進してまいります。
 さらに水辺の魅力を都民に実感していただくために、船旅のPRであるとか、新たな航路の開設などによりまして、船を観光や交通の身近な手段として定着させてまいります。橋や護岸のライトアップなどによりまして、夜間の景観にも磨きをかけてまいります。
 こうした取り組みによりまして、東京二〇二〇大会後の二〇四〇年代に向けて、東京の水辺の魅力を高め、その活用をさらに推進してまいります。
 その他のご質問は、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、舟運の日常的移動手段としての活用についてでございますが、都は、平成二十八年度から二年間、舟運の活性化に向けた社会実験として、民間事業者と連携し、臨海部と都心を結ぶルートなどで運航を実施いたしました。
 今年度は、認知度の向上に向けたPRなどに取り組むほか、観光に加え、通勤などの日常生活における船の活用方法について検討しております。
 具体的には、船着き場の整備状況や、周辺の公共交通網、開発動向を踏まえ、需要や利便性などの課題を整理し、実現可能性のある航路の抽出などを行います。
 その結果をもとに、今後、新たな航路の創出に向け、事業性の検証などを進めてまいります。
 次に、区が管理する防災船着き場の利用についてでございますが、船による移動の利便性を高めていくためには、より多くの船着き場が利用できるようになることが重要でございます。
 一方、防災船着き場の一般開放の拡大に当たっては、その管理体制や地元の理解などの課題がございます。
 都は、イベントの開催に合わせた臨時便の運航に取り組んでおります。今月末には、昨年度に引き続き、秋葉原と有明を結ぶルートで、ふだんは一般開放されていない和泉橋防災船着き場を管理者である千代田区の協力を得て活用し、運航を実施する予定であります。
 こうした取り組みにより、舟運の利便性や需要などを確認するとともに、課題の解決に向けて関係者との協議を行い、防災船着き場の一般開放が進むよう取り組んでまいります。
 次に、船着き場の案内サインの充実についてでございますが、舟運の利用を促進するためには、利用者の視点に立って、船着き場の利便性を向上させることが重要でございます。
 このため、都は、最寄り駅などから利用者を円滑に船着き場へ誘導できるよう、案内サインの充実に取り組んでおります。
 昨年度から、船着き場のピクトグラムの表示や名称の多言語化を図った案内サインの試験設置を行っております。今年度は六カ所の船着き場を対象に実施しており、設置の効果やルートのわかりやすさ、視認性などを確認いたします。
 今後、この成果を踏まえ、案内サインの効果的な整備に向けて関係者との調整を着実に進め、船着き場の利便性を高めてまいります。
 最後に、景観行政団体移行の意義についてでございますが、景観行政において、都は、広域的観点から方針や基準を定めるとともに、大規模建築物等に係る事前協議制度などを通じて、良好な景観形成に取り組んでおります。
 一方、住民に身近な地域の個性を生かした景観形成をきめ細かく推進する観点から、区市町村が景観行政団体の役割を担うことは重要でございまして、これまでも都との協議が整った区市については順次移行を進めてきております。
 千代田区についても、皇居の緑や水辺と調和した風格のあるまち並み形成など、都の景観計画との整合を図ることなどについて、区の方針が確認できたことから、来年度の移行に向けて協議を行っております。
 今後とも、都は、区などと連携し、首都東京の魅力的な景観づくりを進めてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 親水空間の整備についてでございますが、水辺空間は、地域の憩いの場となるだけでなく、観光資源ともなり得るため、昨年策定した海上公園ビジョンにおきましても、水辺の環境づくりの面から、地域の魅力を高めていくことを、今後の方針に位置づけたところでございます。
 お話にございましたお台場海浜公園では、神津島でしゅんせつした良質な砂を海洋処分せずに再利用しており、同公園の魅力を維持していくため、今年度末にも神津島の砂を活用する予定でございます。
 今後とも、多くの都民に海に親しんでいただけるよう、海上公園の整備を通して、水辺の眺望や自然を生かした親水空間の整備に取り組んでまいります。
〔政策企画局長梶原洋君登壇〕

○政策企画局長(梶原洋君) 創薬関連産業の環境整備に関するご質問にお答えをいたします。
 革新的な医薬品や治療手法の創出は、都民、国民の健康の維持や、健康寿命の延伸に資するとともに、経済の活性化にもつながるものでございます。
 こうした観点に立ちまして、都は今年度から、創薬系ベンチャー育成支援プログラム、ブロックバスタートーキョーを開始し、専門家による指導助言や、投資家等とのマッチングなど、ベンチャー企業等を支援しております。
 お話のように、東京には日本橋を中心とする製薬企業の集積や、本郷、お茶の水を初めとする大学の集積など、多様な主体が集まっております。
 このため、来年度は、その強みを生かし、研究開発を加速させる環境整備に向けた取り組みを検討しているところでございます。
 創薬関連産業のイノベーションを促すためには、エコシステムの形成に向けた環境整備が必要であり、今後とも新たな医薬品や治療手法の創出に向けた取り組みを支援してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 商店街でのキャッシュレス決済についてでございますが、東京の商店街において、海外からの観光客の消費をふやすため、キャッシュレスでの支払いを可能とするなど、決済の利便性を高めることは重要でございます。
 都は現在、国際化の推進など、政策課題の解決につながる商店街の取り組みを支援しており、外国人旅行者の消費拡大に向け、スマートフォンを使った支払い等、キャッシュレス決済に対応した設備導入への助成を行っております。
 東京二〇二〇大会の開催等を契機に、海外からの旅行者が商店街で買い物をする環境の充実を図るため、支援事業を紹介するリーフレットの中で、キャッシュレス対応へのサポートについて、これまでにも増してわかりやすく表記する工夫を行いますとともに、説明会等の場を通じて周知に努めてまいります。
 こうしたことを進めながら、商店街の利便性の向上を後押ししてまいります。

○副議長(長橋桂一君) 四十九番やながせ裕文君
〔四十九番やながせ裕文君登壇〕

○四十九番(やながせ裕文君) 明治維新以来百五十年、我が国は、中央政府に税源を集中させ、全国の自治体への再分配を権力の源泉として、地方を支配する体制を築いてきました。偏在是正措置は、その手段の一つにほかなりません。ですから、根本的な解決のためには、この中央集権体制のあり方そのものを変革する必要があります。
 そこで、偏在是正措置の撤廃に向けて、税制の抜本改革のみならず、より広域で偏在是正に資する道州制を導入するなど、真の地方分権に向けた統治機構改革を訴えることが必要だと考えますけれども、小池知事の見解を伺います。
 知事との面談を経て、国政政党日本維新の会は、分権改革を目指す政党として、この偏在是正措置に反対することを党の方針として決定しております。今後とも、都民の利益を取り戻すために尽力してまいる所存であります。
 この間、偏在是正措置について、国会議員や官僚、学識者と意見を交換してきましたが、特に指摘されたのは、天下りをやりたい放題している東京都が、税金を持っていくなといっても説得力がないだろうとの論です。これは象徴的な言葉で、都庁は内部改革もせず、利権を温存し、税金を浪費している。だから困難な状況にある自治体に回すのは当然だというものです。
 昨年度、国家公務員一般職の管理職職員による外郭団体への再就職は四・五%、東京都における課長級以上の職員による外郭団体への再就職は約一九%、つまり、都は国の四倍近くとなっている。現在の都の状況は、国における公務員改革以前の状況だとの厳しい意見も頂戴しました。
 また、天下り団体への特命随意契約も、小池知事が就任してからも金額は伸び続け、昨年度は千三百五十九億円に及びます。
 今回、議案でも出ていますけれども、天下り団体であるJKKとの特命随意契約に関していえば、住宅管理という民間の得意分野であり、なぜ特命にしなければならないのか、これはさっぱりわかりません。こういう案件はごろごろしているんですね。
 改革をしていない、だから、税を収奪してよいというのは暴論です。
 しかし、東京都は無駄遣いしているという意見は広く蔓延しており、収奪を是とする雰囲気が、都民の間ですら醸成されているのです。
 偏在是正措置がおかしいと訴えるだけでなく、都は足元を固め、改革を進めること、これが国民世論を形成していく上で極めて重要だと考えます。
 知事は、選挙時にアンケートで、天下りと出資法人などを含め、利権構造を抜本的に見直すと回答し、また、利権を一掃する旨を発言されてきましたので、確認しておきたいと思いますけれども、知事のいってきた利権とは一体何を指すのか。この二年間で利権を見直すことができたと認識をされているのか、今後どのように見直しに取り組んでいくのか、認識を伺います。
 また、利権を一掃する装置として期待をしていた二〇二〇改革プランは、明らかに変質し、改革は後退しているといわざるを得ません。
 昨年度末に発表された二〇二〇改革プランが画期的だったのは、都の各事業のあり方そのものを検証し、工業用水道の廃止、発電や下水道事業のコンセッションなど、大胆に経営形態の変更にまで踏み込んだ提案がなされ、手をつけることができずに先送りしてきた課題に真正面から挑んできたことであります。
 しかし、その後どうなのか。残された事業について、見える化の報告書が次々とアップされていますが、どの事業もそのあり方を厳しく精査された様子もなく、見える化の肝である目標転換、再構築、競争性テストはスルーされ、従前の方向性をなぞったものばかりです。
 なぜ、このようになったのかといえば、それは簡単で、外部顧問がいなくなったからであります。改革は内部ではできない、だから外部の目を入れた。しかし、外部顧問を解雇した。内部のみでやったから、改革ではなく改善運動になってしまった。
 知事も、都政改革本部会議に出席し、見える化改革の報告を受けていると思いますが、内容をどのように評価し、二〇二〇改革プランのバージョンアップをどのように行おうとしているのか。また、改革プランに魂を取り戻すために、行革に精通した外部人材の活用が必要だと考えますけれども、見解を伺います。
 小池知事は熱狂の中で誕生しました。都民は知事に何を期待したのか。あえて申し上げれば、オリンピック成功のためでもなく、受動喫煙防止のためでもなく、東京を大改革してほしい、この大きな期待によって知事は選ばれたんです。
 汗水流して納めた税金が何だかよくわからないところに使われている。特定の企業や団体や、政治家や政党や職員のために不正に使われているのではないか。こういう思いに対し、情報公開によって透明化し、構造的に無駄なシステムをなくし、公正に効率的に税が投入されていると実感できるようにする。将来世代の利益のために、現在の利権を一掃する。これが、東京大改革が目指す姿ではなかったでしょうか。
 この間の知事の姿勢を見ていると、厳しい政治状況にあるのはわかりますけれども、改革を妥協し過ぎているのではないかと感じます。
 向こう傷は問わずという言葉がありますけれども、敵に向かっていってできた傷は誉れ、しかし、敵に背を向けてできた傷は切腹であります。熱狂し、支持をした都民は許さないでしょう。
 東京大改革の心臓部である二〇二〇改革プランをどうか妥協することなく、最後までつくり上げ実現していただきたい、このことを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) やながせ裕文議員の一般質問にお答えいたします。
 地方分権についてでございますが、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためには、地域の実情に応じまして、地方自治体がみずからの判断、そして責任において自主的、自立的な行財政運営を行う地方分権の確立が重要でございます。そのためには、地方の役割と権限に見合った自主財源の確保、それが不可欠だということでございます。
 今般の税制改正でございますが、いわゆる偏在是正措置が新たに講じられようとしておりますが、こうした対症療法的な手法は、地方分権の実現に逆行するものでございます。
 お話のありました道州制でございますが、地方分権のあり方を考える上での方法論の一つでございます。地方がそれぞれ経営能力を競い合う、そのような状況にまで持っていくためにはどうすべきかということなど、中長期的に幅広い議論を重ねていくことが必要と考えております。
 いずれにいたしましても、我が国の力強い成長のためには、首都東京が牽引役としての役割を果たすとともに、地方がそれぞれの強みを生かしながら地域を活性化させ、まさに東京と地方の相乗効果で、日本全体を活性化させるという視点が不可欠でございます。
 こうした観点に立ちまして、国、地方間の税財源の配分の見直しなど、真の地方分権の実現に資する地方税財政制度の抜本改革に本腰を入れて取り組むように、国に対してしっかりと訴えてまいりたいと考えております。
 次に、利権についてのお話もございました。
 利権とは何かというようなご質問だったかと思いますが、私が申し上げてきた利権というのは、不透明な意思決定過程から生まれかねない都民にとりましての不利益のことを指しております。だからこそ、今もお話の中にございましたように、情報公開一丁目一番地としております都政改革を進め、この間の公文書の閲覧手数料を廃止いたしました。ICTを活用した公文書データは無料で提供いたしております。そして、公金支出情報を七十万件公開をいたしております。都政の見える化、着実に進んできたところでございます。
 また、監理団体に対しましても、各団体が策定した経営改革プランに基づいて、取り組みについて都が毎年度、外部有識者の意見も踏まえて評価を行うなど、各団体の自律的な経営改革、そして経営情報のさらなる見える化を促進しているところでございます。
 今後とも、都民ファーストの視点で、情報公開を初めとする都政改革を推し進めてまいります。都民に見える都政、信頼される都政の実現に向けまして、邁進していく所存でございます。
 それから、一つ飛びまして、二〇二〇改革における外部人材の活用についてでございますが、常々、改革の担い手というのは、つまるところ一人一人の職員でございます。都政改革の柱は、これは最初から自律改革だということは申し上げてまいりました。
 昨年度までの取り組みを通じまして、職員に改革の手法、そしてマインドが高まりつつある。このことから、ことしの四月、これまで以上に職員が主体となって、自律的な取り組みを不断に進める体制を整備したところでございます。
 一方で、改革のPDCAサイクルを着実に運用する、そのためには、幅広い観点から意見や助言を取り入れていくことも効果的でございます。
 そこで、本年六月、企業の経営改革や行政改革、法律などの各分野の専門家、例えば、座長を務めていただいております松本晃氏などから構成されます都政改革アドバイザリー会議を設置したところでございます。
 また、来年度から導入する政策評価の実施に当たりましては、この会議に分科会を設置いたしまして、評価制度の検証を行うとともに、各局が設定する成果の目標、そして自己評価の妥当性につきましても、客観的な見地から、意見そして助言をいただく予定といたしております。
 今後とも、都政改革アドバイザリー会議の外部有識者の知見も活用しながら、各局が主体となりました改革のPDCAサイクルを有効に機能させまして、実効性を高めていく所存でございます。
 以上でございます。──加えさせていただきます。見える化改革についてもご質問があったようでございます。
 本年四月、都政改革本部で、職員主体の自律的な改革を不断に進めるという観点から、各副知事をトップに推進部会を設置いたしまして、その部会において、各局と副知事の間で議論を重ね、主要事業の総点検を行っていただきました。
 そして、十一月までに、私を本部長とする都政改革本部会議におきまして、四回にわたって報告を受け、おおむね全ての局の報告を完了させております。
 そして、各局が作成いたしました報告書において、職員にこれまで培われた改革マインドが発揮され、民間活力の導入、事業の運営形態の見直しなど、これまで以上に踏み込んだ検討が行われているものと考えております。
 今後、各局からの報告を反映させて、二〇二〇改革プランのバージョンアップを図るとともに、引き続き都政改革本部を司令塔として、手綱を緩めることなく、改革を推し進めていくということでございます。
 若干前後いたしましたこと、おわび申し上げます。

○副議長(長橋桂一君) 以上をもって質問は終わりました。

○副議長(長橋桂一君) これより日程に入ります。
 日程第一から第三十六まで、第二百一号議案、平成三十年度東京都一般会計補正予算(第二号)外議案三十五件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事長谷川明君。
〔副知事長谷川明君登壇〕

○副知事(長谷川明君) ただいま上程になりました三十六議案についてご説明申し上げます。
 初めに、第二百一号議案は、一般会計補正予算でございます。昨今の地震、風水害や猛烈な暑さを受けて、前倒しが必要な施策に速やかに着手をするため、九十二億円の補正を行うものでございます。
 第二百二号議案から第二百二十号議案まで及び第二百三十五号議案から第二百三十六号議案までの二十一議案は条例案でございます。
 まず、新設の条例が二件ございます。
 第二百九号議案、東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程は、泉岳寺駅地区における市街地再開発事業について、都市再開発法の規定に基づき、必要な事項を定めるものでございます。
 第二百十五号議案、東京都中小企業・小規模企業振興条例は、中小企業を取り巻く経営環境が急速に変化する中で、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進するため、都の基本的な考え方を明らかにし、中小企業の一層の発展を図るものでございます。
 次に、一部を改正する条例が十九件ございます。
 第二百二号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外四件は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 第二百五号議案、非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例外二件は、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴い、会計年度任用職員制度が導入されることを踏まえ、必要な規定の整備を行うものでございます。
 第二百十四号議案、東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例外一件は、施設の移転に伴い、規定を整備するものでございます。
 第二百十七号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例は、更新期を迎える施設の増加などの状況変化を踏まえ、手続の明確化を図るものなどでございます。
 第二百十八号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、土壌汚染対策法の一部改正などを踏まえ、健康リスクの考え方を導入するなど、法との関係性を整理するとともに、地下水環境保全に向けて条例独自に規定を設けるものなどでございます。
 第二百二十号議案、火災予防条例の一部を改正する条例は、消防法施行令等の一部改正を踏まえ、現行条例の消火器具設置基準を担保する規定を設けるものなどでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが六件ございます。
 第二百二十一号議案から第二百三十号議案までの十議案は契約案でございます。
 第二百二十一号議案、警視庁志村警察署庁舎(三十)改築工事請負契約など、契約金額の総額は約二百三十七億三千万円でございます。
 第二百三十一号議案から第二百三十四号議案までの四議案は事件案でございます。
 第二百三十一号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成三十一年度の発売限度額を定めるもの、第二百三十二号議案から第二百三十四号議案までの三議案は、公の施設の指定管理者を指定するものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○副議長(長橋桂一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告をいたさせます。

○議事部長(櫻井和博君) 人事委員会の回答は、第二百二号議案から第二百七号議案及び第二百三十五号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

三〇人委任第九七号
平成三十年十一月二十八日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成三十年十一月二十七日付三〇議事第三七四号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第二百二号
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百三号
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百四号
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百五号
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
五 第二百六号
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
六 第二百七号
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
七 第二百三十五号
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○副議長(長橋桂一君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第三十六までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(長橋桂一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第三十六までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○副議長(長橋桂一君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、議員提出議案第二十一号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(平慶翔君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十一号については、趣旨説明を省略し、財政委員会に付託されることを望みます。

○副議長(長橋桂一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(長橋桂一君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十一号は、趣旨説明を省略し、財政委員会に付託することに決定いたしました。

○副議長(長橋桂一君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十七件及び陳情三十二件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○副議長(長橋桂一君) お諮りいたします。
 明十三日から十八日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(長橋桂一君) ご異議なしと認めます。よって、明十三日から十八日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十九日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時七分散会

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