平成三十年東京都議会会議録第二号

平成三十年三月一日(木曜日)
 出席議員 百二十六名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番平  慶翔君
七番後藤 なみ君
八番西郷あゆ美君
九番やながせ裕文君
十番山内れい子君
十一番大場やすのぶ君
十二番伊藤しょうこう君
十三番田村 利光君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番滝田やすひこ君
二十一番藤井あきら君
二十二番奥澤 高広君
二十三番森口つかさ君
二十四番村松 一希君
二十五番内山 真吾君
二十六番森澤 恭子君
二十七番おときた駿君
二十八番菅野 弘一君
二十九番川松真一朗君
三十番小松 大祐君
三十一番柴崎 幹男君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番遠藤  守君
三十九番伊藤こういち君
四十番もり  愛君
四十一番龍円あいり君
四十二番あかねがくぼかよ子君
四十三番保坂まさひろ君
四十四番関野たかなり君
四十五番森村 隆行君
四十六番福島りえこ君
四十七番鳥居こうすけ君
四十八番つじの栄作君
四十九番上田 令子君
五十番舟坂ちかお君
五十一番清水 孝治君
五十二番三宅 正彦君
五十三番神林  茂君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番大松あきら君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番菅原 直志君
六十四番清水やすこ君
六十五番白戸 太朗君
六十六番木下ふみこ君
六十七番斉藤れいな君
六十八番増田 一郎君
六十九番入江のぶこ君
七十番佐野いくお君
七十一番細谷しょうこ君
七十二番両角みのる君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番高橋 信博君
七十五番中屋 文孝君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番宇田川聡史君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番馬場 信男君
八十九番本橋ひろたか君
九十番田の上いくこ君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番たきぐち学君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番小宮あんり君
九十九番山崎 一輝君
百番吉原  修君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番大津ひろ子君
百十一番栗下 善行君
百十二番木村 基成君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番小山くにひこ君
百十五番荒木ちはる君
百十六番山内  晃君
百十七番増子ひろき君
百十八番石毛しげる君
百十九番尾崎 大介君
百二十番早坂 義弘君
百二十一番鈴木 章浩君
百二十二番秋田 一郎君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 なし
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事川澄 俊文君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長遠藤 雅彦君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監吉田 尚正君
生活文化局長塩見 清仁君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長渡辺志津男君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長浜 佳葉子君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

三月一日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成三十年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成三十年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成三十年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成三十年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成三十年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六 第六号議案
平成三十年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七 第七号議案
平成三十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八 第八号議案
平成三十年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第九 第九号議案
平成三十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成三十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成三十年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成三十年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成三十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成三十年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成三十年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成三十年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成三十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成三十年度東京都病院会計予算
第十九 第十九号議案
平成三十年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十 第二十号議案
平成三十年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成三十年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成三十年度東京都港湾事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成三十年度東京都交通事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成三十年度東京都高速電車事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成三十年度東京都電気事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成三十年度東京都水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成三十年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成三十年度東京都下水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
平成二十九年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十四 第三十四号議案
東京都固定資産評価審議会条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都議会議員及び東京都知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都社会資本等整備基金条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都鉄道新線建設等準備基金条例
第四十六 第四十六号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例を廃止する条例
第五十三 第五十三号議案
介護保険法施行条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例を廃止する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都立ナーシングホーム条例を廃止する条例
第五十六 第五十六号議案
児童福祉法施行条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
土壌汚染対策法関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
使用済自動車の再資源化等に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
砂利採取法に基づき河川管理者が行う事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都水上安全条例
第七十三 第七十三号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
都立七生特別支援学校(二十九)改築及び改修工事請負契約
第七十八 第七十八号議案
都立東村山高等学校(二十九)改築工事請負契約
第七十九 第七十九号議案
警視庁有家族者待機寮新明石住宅(二十九)改築工事請負契約
第八十 第八十号議案
都営住宅二十九H─一一一東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
第八十一 第八十一号議案
都営住宅二十九H─一一二東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
第八十二 第八十二号議案
都営住宅二十九H─一一四西(多摩市中沢一丁目)工事請負契約
第八十三 第八十三号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場(二十九)硬式野球場増築及び改修工事その二請負契約
第八十四 第八十四号議案
東京都多摩障害者スポーツセンター(二十九)改修工事請負契約
第八十五 第八十五号議案
警視庁東京国際空港庁舎(仮称)(二十九)新築工事請負契約
第八十六 第八十六号議案
十三号地新客船ふ頭ターミナル施設(二十九)新築電気設備工事請負契約
第八十七 第八十七号議案
城北中央公園調節池(一期)工事請負契約
第八十八 第八十八号議案
境川金森調節池工事請負契約
第八十九 第八十九号議案
梅ヶ谷トンネル(仮称)整備工事(西─梅ヶ谷の二)請負契約
第九十 第九十号議案
十三号地新客船ふ頭岸壁(二十九)建設工事請負契約
第九十一 第九十一号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十三)請負契約
第九十二 第九十二号議案
呑川防潮堤耐震補強工事(その十七)その二請負契約
第九十三 第九十三号議案
仙台堀川護岸耐震補強工事(その三)請負契約
第九十四 第九十四号議案
包括外部監査契約の締結について
第九十五 第九十五号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
第九十六 第九十六号議案
平成三十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第九十七 第九十七号議案
多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第九十八 第九十八号議案
荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第九十九 第九十九号議案
平成二十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百 第百号議案
平成二十九年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百一 第百一号議案
平成二十九年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百二 第百二号議案
平成二十九年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第三号)
第百三 第百三号議案
東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
第百四 第百四号議案
東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第百二十 諮問第一号
地方自治法第二百四十三条の二の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十七番増子ひろき君
〔百十七番増子ひろき君登壇〕

○百十七番(増子ひろき君) 平成三十年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事、警視総監、消防総監及び関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、二月四日、名誉都民である造形美術家三橋國民さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。
 また、世界的にも地震が多発する中、二月六日には台湾の花蓮で地震がありました。亡くなられた方々へのご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 では、質問に入ります。
 二〇一八年は、一六〇三年に徳川家康が江戸幕府を開いてから四百十五年、一八六八年に江戸を東京と改名する詔書が発せられてから百五十年の節目の年です。この百五十年の間、明治十二年には東京府議会が開設され、大正の関東大震災、昭和の太平洋戦争での東京大空襲、戦後の経済成長や、オイルショックなどの幾多の経済危機を経て、現在では世界最大級の経済力を持つ大都市圏となり、最近では、世界の都市ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次いで第三位になるなど、発展してまいりました。
 都は、百五十周年記念事業を予定していますが、百五十年の歴史を振り返り、未来を見据えて、どのような基本方針のもとで行うのか、知事に伺います。
 また、小笠原諸島は、昭和四十三年六月に二十三年ぶりに日本に返還されてから、ことし六月で返還五十周年の節目を迎えます。小笠原諸島は、日本が海洋国家として発展するための重要な位置にあり、平成二十三年には、ユネスコの自然遺産に登録されるなど、魅力がいっぱいです。都としてどのような基本方針のもとで返還五十周年にかかわっていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、国と地方のあるべき姿について質問します。
 国は、平成三十年度の税制改正における地方消費税の清算基準の見直しによる影響で一千四十億円、平成元年以降の累積で六兆円もの財源を都から奪っています。来年の消費税一〇%段階においても、さらに都の財源からの収奪が懸念されています。これでは、日本全体の成長の芽を摘んでしまいます。国が行うべきは、地方自治を拡大し、自治体間競争を促して日本を発展させていくことであり、地方自治体への抜本的な財源移譲です。
 今、日本に必要なのは、東京と他の地域がそれぞれの持つ力を発揮して、互いに支え、高め合うことにより、日本全体の発展と持続的成長を実現することです。
 このためにも、国から地方自治体への大幅な税源移譲を進め、地方自治体の自立的な財政運営に結びつけていくことこそ目指すべき方向だと考えます。知事の見解を伺います。
 資源がない日本が経済発展をしてきた力の源泉は人です。明治の近代化をなし遂げたのも、江戸時代に培われた志の高い塾の存在、庶民の識字率の高さ、職人の高い技術力、経済を動かしていく人々の存在でした。学問は自由な競争環境や積極的な投資の中で育ちます。
 しかし、政府は、二月六日、東京二十三区内の大学の学部新設、定員増を認めないとする法律案を予算関連法案として国会に提出し、年度内の成立を狙っています。
 この法律案は、地方活性化の効果も明確でなく、いたずらに大学受験の子供を持つ都民や受験生本人にとっての学びの機会や大学の自由な競争を損ない、ただでさえ低下している日本の大学の競争力を弱体化させる不合理なものです。何一つよいことはありません。
 東京二十三区内の大学に対する国の不合理な措置を許さないため、関係者と連携して運動を生み出していくことが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、平成三十年度予算案の全体像などについて質問します。
 平成三十年度予算案は、安全・安心なセーフシティー、誰もが輝くダイバーシティー、世界をリードする持続可能な都市スマートシティーの三つのシティーの実現に向けた各分野の施策に我々の提言や要望が随所に反映されています。
 また、予算編成に当たっては、事業評価を徹底し、スクラップ・アンド・ビルドが行われ、平成三十年度だけでなく、高齢化対応や社会資本の更新など、将来増加する需要に備えた予算となっていること、都民や職員のアイデアを募集するなど、予算編成過程が都民に開かれ、都民が参加できるものになったことなど、我々が掲げる都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの取り組みの一層の推進が図られており、高く評価するものです。
 こうした平成三十年度予算案にかけた知事の思いや工夫、特徴について伺います。
 財政の健全化のためには、歳出の適正化が不可欠です。東京都が発注する工事は、中小企業の育成にも役立っていますが、財源は税金であり、適正な価格で発注することは、東京都の都民に対する責任です。
 入札契約適正化法では、公共事業の入札及び契約について五つの目的を掲げています。それらは、入札及び契約の過程、契約の内容の透明性の確保、公正な競争の促進、談合その他の不正行為の排除の徹底、ダンピング契約の防止、契約された公共工事の適正な施工の確保です。法律の要請として、入札制度改革はこの目的に即して進められなければなりません。
 その上で、柔軟かつ適切な改革を行うため、都民ファーストの会東京都議団としても、入札に参加する業界団体の意見のヒアリングを求めました。入札契約制度改革の試行の状況と今後どのように改革を進めていくのかについて見解を伺います。
 また、都の入札には大企業も中小企業も参加できますが、今後の入札契約制度の検討に当たって、特に都内産業や雇用を支える中小企業に対する配慮という視点も必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
 平成三十年度予算案に、市町村総合交付金の増額、医療的ケア児の看護師配置などが盛り込まれたことは、都民ファーストの会東京都議団としても要望がかない、評価したいと思います。
 また、都における庁有車の運行については、過去にも平成十九年度に、当時の国の行政効率化計画に合わせた取り組みとして一部の局長級の庁有車を廃止するなど、見直しに取り組んでこられました。そうした中、先日、都は来年度から、庁有車の運行体制を変更することとされましたが、より効率的な運行体制を目指した不断の見直しとして評価いたします。
 旧来の慣行にとらわれない、時代と世界の動きに対応した予算編成を継続していくには、知事のリーダーシップだけでなく、都庁職員の計画的な育成が必要です。
 東京都のさらなる発展を日本全体の成長につなげるなど、首都として担うべき使命を果たしていくには、国際感覚を持った都職員の育成が不可欠と考えますが、海外への派遣実績など、現在の状況と今後の方針について、知事に伺います。
 小池知事が進める東京大改革は、平成二十八年九月に設置された都政改革本部での議論、取り組みを重ね、今年度末の二〇二〇改革プランの完成で、次は、実行、実践段階に入るものと承知しています。職員や各局それぞれが主体的に、より実効性ある改革を推進する体制構築が必要かと思います。
 そこで、今後の都政改革の進め方について、知事の見解を伺います。
 次に、東京都の長期的な都市整備について質問します。
 鉄道ネットワークの充実等を図るため、東京都鉄道新線建設等準備基金の設置条例案が本定例会に提案されています。新空港線や有楽町線豊洲─住吉間、多摩都市モノレールの二路線など、事業化を望む地元にとって期待は大きいものがあります。
 そこで、鉄道ネットワークの充実に向けた知事の決意を伺います。
 臨海エリアの開発は都の重要課題ですが、臨海副都心の開発が進めば、交通需要がさらに高まります。こうした交通需要の増加に速やかに対応するため、都では、都心と臨海副都心を結ぶBRTを計画していますが、あわせて都営バスの路線の充実も必要です。
 都は、バス輸送の強化に取り組んでいますが、そのための車両基地をどこに整備するかを含め、臨海副都心の交通需要の増加への今後の都の取り組みについて伺います。
 無電柱化は、都市景観、災害時の安全の確保など多くの効用がある施策です。課題であった区道の無電柱化を推進するチャレンジ支援制度も二年目を迎えます。国でも無電柱化推進計画の概要により三年間の目標値が掲げられ、パブリックコメントを募ることとしています。このような中で、都には、都道、区市町村道まで広げた大きな目標を持って取り組んでいただきたいと考えます。
 そこで、東京都無電柱化計画の素案が発表されましたが、無電柱化を推進するに当たって、目標設定はどうなっているのか伺います。
 また、区市町村道での無電柱化の推進に当たり、狭隘な道路も多い区市町村道での推進に際し、区市町村との連携をどのように進めていくのか伺います。
 さらに、無電柱化のコストを下げるための技術について、十年後は三分の一カットするとされていますが、これまでどのように取り組んできたのかも伺います。
 次に、東京大改革の一つの柱である、ダイバーシティー東京の実現について質問します。
 これからの東京を築いていくには、まず担い手となる人が大切です。私たちは、人が健康で生き生きと働き、異なった考え方を持った人々が互いに相手を尊重し合って生きることができる環境をつくること、そんなダイバーシティー、多様性に富んだ寛容な社会をつくるため、都民の皆さんとともに努力していきたいと考えています。
 まず、がん対策、たばこ対策について伺います。
 この問題は、オリンピック・パラリンピックのホストシティーである東京の国際性が問われる課題であるとともに、世界で繰り広げられてきた歴史的なたばこと人の健康との闘いに東京がどう取り組んでいくか、大変注目度の高い課題であると考えています。
 昨年十月に閣議決定された、国のがん対策の指針となる第三期がん対策推進基本計画によると、我が国では、能動喫煙によって年間約十三万人が死亡、肺がんのリスクが男性では約四倍、女性では約三倍に上昇すること、また、受動喫煙によって年間一万五千人を超える人が死亡しているという統計が示されています。ただし、受動喫煙対策の目標数値については調整が難航したため、空白のまま先送りされてきました。
 基本計画の二期計画では、飲食店での受動喫煙にさらされる人の割合を二十二年度までに一五%にするなどの目標が示され、三期計画を議論する有識者会議では、受動喫煙ゼロを掲げるよう求めていました。しかし、厚労省がことし一月に新たに示した受動喫煙対策は、公共の場の全面禁煙ではなく、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けての受動喫煙対策を徹底し、計画期間中に望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現するとの記載にとどめる内容となっています。
 東京都では、現在、東京都がん対策推進計画の作業を行っており、一次予防には、喫煙率減少に向けた啓発や環境整備及び受動喫煙防止が明記され、二次予防には、がん検診受診率五〇%の達成や、科学的根拠に基づくがん検診の実施や精密検査受診率九〇%の達成という目標も掲げられています。
 そこで、喫煙率減少に向けた取り組み、がん検診五〇%の達成、精密検査受診率九〇%という目標の達成に向け、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 私たちは、たばこ対策の原点は、受動喫煙、能動喫煙、いずれも減らしていくことにあると考えます。
 WHOのたばこ規制枠組み条約の趣旨は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させることであり、IOCとWHOの合意も受動喫煙だけではなく、たばこのないオリンピックであり、たばこのないパラリンピックの実現です。そのためには、たばこの害から都民を守るため、区市町村や関係団体と協力して、たばこの害キャンペーンを強力に進めていくことが効果的であると考えます。
 能動喫煙、受動喫煙を含め、たばこの害を減少させ、予防するための取り組みの基本方針について、知事の見解を伺います。
 区市町村で制定されている路上喫煙防止条例は、たばこの吸い殻の散乱及びやけど等の被害の防止を目的とするものが多く、たばこの煙を吸い込むことによる健康被害を目的とするものではありません。しかし、路上での喫煙を禁止する法令は外国では珍しく、外国人観光客に対しては必ずしも徹底されておらず、多言語での周知も必要であるとの指摘があります。路上喫煙防止条例もたばこの減少に役立つ政策です。
 そこで、外国人観光客の理解が進むよう、都としても路上喫煙対策について情報発信すべきと考えますが、見解を伺います。
 都民ファーストの会東京都議団らが提案、可決、成立した子どもを受動喫煙から守る条例は、この四月に施行されます。この条例の施行に向け、条例の趣旨を都民に普及啓発するため、どのような取り組みをしてこられたのか、また、今後どのような取り組みを行う予定か伺います。
 子どもを受動喫煙から守る条例の施行に伴い、特に公園の多くは子供たちが遊ぶ場でもあり、子供がたばこの害を受けない取り組みが必要であると考えます。
 都には各種の公園がありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、学校や子供関連施設及び小児科の医院や病院の周辺などでは、条例に合わせた啓発の取り組みが急務ですが、都の取り組みを伺います。
 都が制定を目指している受動喫煙防止条例は、法理論上、WHOの枠組み条約を受けた国の法律の上乗せ、横出し条例と位置づけられます。
 現在、国で検討されている健康増進法の改正では、客席面積百平米以下の飲食店では喫煙を可能とするなど、飲食店に対して大幅な例外措置を設けています。国の受動喫煙防止法は、全国一律に適用される法律であり、これをそのままオリンピック・パラリンピックのホストシティーであり、人が多く集まり、活発な経済活動が行われている東京都に適用することは極めて不十分であり、都独自の条例が必要になると考えます。
 これまで都は、本定例会に条例案の提出を目指すとしていましたが、提案を見送った理由及び今後の東京都受動喫煙防止条例に向けた基本方針について、知事に伺います。
 隗より始めよとして、四月から、都庁と出先機関の事業所を全面禁煙にするという報道がなされました。都議会も、議会棟を四月一日より全面禁煙することを決定しておりますが、都庁全面禁煙についての知事の考えを伺います。
 次に、多様性に富んだ寛容な社会の鍵となる人権差別解消対策について伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、さきの第四回定例会の代表質問において、オリンピック憲章の精神を実現するための取り組みに関する質問を行いました。知事からは、オリンピック憲章の考え方は、ダイバーシティーの実現に資するものであり、そこに掲げられた理念を、都民と意識を共有するために条例化の検討を指示したとの答弁をいただきました。
 オリンピック憲章では、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けないとしています。
 ソチ・オリンピックでは、ロシアのLGBTへの対応により、欧米の首脳がオリンピックの開会式を欠席するなど、LGBTについての理解が進んでいる国も多く、開催都市として性自認や性的指向による差別解消に向けた取り組みが必要です。
 また、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、これまで以上に海外から多くのお客様を東京にお迎えすることになります。特定の民族や国籍の人々を排除する、排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチが行われるようなことは、開催都市としてあってはならないことです。
 オリンピック憲章の理念を都民に広める条例をできるだけ早期に制定する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 平成二十五年六月に障害者差別解消法が成立し、この法律の施行を受けて、同じ年の十二月に障害者の権利に関する条約が批准されています。都は、東京都障害者差別解消条例の構成と基本的な考え方について、都民に対して意見募集を行いました。
 今後、都民から寄せられた意見を踏まえての障害者差別解消条例への取り組みの基本方針を知事に伺います。
 障害者差別解消条例は、ダイバーシティー東京づくりの重要な条例です。私たちとしては、これを契機として、個別の分野ごとの障害者施策を大きく前進させていきたいと考えます。
 まず、ろうあ者の方々に対する対策です。差別解消条例には、手話言語化に関する規定が盛り込まれる方向と聞いています。しかし、他の地方自治体の手話言語条例では、手話の研修の開催や普及などの具体的対策も盛り込まれています。また、ろうあ者にもさまざまな方がおられるため、手話を言語として位置づけるだけでなく、ろうあ者の方々の多様なニーズに対応できるようなコミュニケーション手段について規定することが適切です。私たちは、手話の言語化も含め、別条例とすることが適切ではないかと考えます。
 障害者差別解消条例を一種の基本法的な性格をあわせ持つ条例と考えて、ろうあ者の方々の情報保障、手話の言語化を含む条例を別条例とすることが適切であると考えますが、見解を伺います。
 視覚障害者の方にもさまざまな方がおられます。点字の普及、盲導犬の育成、都民に対する視覚障害者への補助方法の普及などの対策を推進していくべきです。また、知的障害者についても、地域における日中活動の場やグループホームなどの住まいの場の確保が必要です。障害者の状況はさまざまであり、それぞれの方の障害の特性に応じた応援が必要なことはいうまでもありません。
 現在、都は、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画、東京都障害児福祉計画の策定を進めていますが、全ての都民がともに暮らす共生社会の実現に向け、障害者施策をどのように進めていくのか伺います。
 パラリンピックの開催を契機に、東京はユニバーサルデザインのまちに変わろうとしています。駅でのエレベーターの設置や洋式トイレへの変換や誰でもトイレの設置、道路や公園での段差の解消、そしてスポーツの面でも変化が起きています。
 現在策定中の東京都スポーツ推進総合計画では、これまでの東京都スポーツ推進計画と東京都障害者スポーツ振興計画を網羅しており、障害者スポーツを特別なものにしないという観点からも望ましいと考えます。また、スポーツを通じた共生社会実現に向けて、障害の有無や性別にかかわらないスポーツの振興を図っている点でも評価します。
 現在、障害者がスポーツを行うには、都内に専用施設は二カ所しかないため、物理的なハンディもありますが、一般施設であっても、指導者がいれば、障害者が使えるケースも少なくありません。
 障害者スポーツを支える人材のさらなる充実が望まれますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、子供たちの教育環境の整備について伺います。
 未来を担うのは子供たちです。貧困の連鎖から子供が抜け出せるように、また、子供を育てる親への配慮とともに、子供の才能を伸ばし、子供が健やかに育っていくことができるよう、教育環境の改善に積極的に取り組んでいくことが重要です。
 小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会の提言では、新学習指導要領の実施を見据えて、特に就学前教育と小学校教育の接続として、五歳児から小学校低学年を一まとまりとした教育課程の研究開発の必要性が指摘されています。
 現状では、小一における子供たちの程度差が大きいので、五歳児から遊びと学びの滑らかな接続が重要と考えますが、提言をどのように生かしていくか伺います。
 文部科学省の平成二十八年度子供の学習費調査によれば、公立中学校に通う三年生が学習塾などに要する補助学習費は年間平均三十七万円と、他の学年と比べ突出して高くなっています。
 私たちは、家庭の経済状況によって、高校への進学や希望する進路への夢をかなえられなくなることがないよう、都議選の公約でも、放課後の学習支援強化を訴え続けてきており、新たに都が行うスタディーアシスト事業については、意義ある歴史的一歩を踏み出していただいたと高く評価をしています。
 そこで、スタディーアシスト事業の目的と取り組み内容について伺います。
 文部科学省の調査では、都内小中学校の不登校の児童生徒が平成二十四年から増加傾向にあります。小学校での不登校経験のある子供たちが高校に進学してくることも影響しているとは思いますが、これまで減少傾向にあった高校における不登校を含む長期欠席者は平成二十八年に増加し、中途退学者も定時制では減少していますが、全日制では増加しています。
 そこで、不登校や中途退学を防止する取り組みに加えて、不登校や中途退学に至っても、挫折することなく自立に向けて歩みを進めるための取り組みを社会全体で行っていくことが必要ですが、知事の見解を伺います。
 また、都教育委員会は、平成二十八年度から都立高校の不登校や中途退学の防止のために、福祉や就労などの面から支援を担うユースソーシャルワーカーから構成される都立高校自立支援チームを設置し、さらに平成三十年度は、より専門性の高い主任ユースソーシャルワーカーを新たに設置するなど、体制の強化充実に努めるとしています。
 専門職の力を発揮させるためには、教職員に専門職の役割の理解を促し、連携を密接にしていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 都教育委員会は、本年二月八日に学校における働き方改革推進プランを策定、公表しました。
 プランの作成は改革の大きな一歩ですが、ゴールではなくスタートです。これらが着実に実行されるためには、スクールサポートスタッフや部活動指導員といった外部人材の確保を計画的に行い、IT投資のための適切な予算を確保していくことが必要です。
 また、働き方改革を進める上で、教員だけでなく、保護者を含む関係者の理解も必要不可欠です。
 このプランを着実に進め、さらなるライフワークバランスを目指して努力していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、待機児童対策、産後ケア対策について伺います。
 待機児童解消に向けた取り組みは、小池知事が就任以来、最重点施策として位置づけられ進められています。平成三十年度予算では、新たに、待機児童を抱える保護者の就労支援のため、ベビーシッター利用支援事業五十億円などが計上されるなど、百九十五億円増の千五百七十六億円が計上されています。
 ベビーシッター利用支援の位置づけなど、待機児童の解消に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 子供を安心して産み育てられる環境を整備するには、結婚から出産、子育てまでの切れ目ない支援が重要です。これについては、全体で十六億円増の二百三億円が計上され、今回、産婦健康診査支援事業や産後ケア支援事業が新規に盛り込まれており、母体の健康に目を向けていただいたことを評価します。
 こうした産後ケア支援事業も含め、妊娠期から出産、子育てにわたる切れ目ない支援について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、高齢者の方々への切れ目ない支援について質問します。
 私たちは、日本の高度経済成長を支え、今も元気で東京の活力を支え続けている高齢者の方々に敬意を払い、引き続き活躍し、東京の発展に尽くしていただけるような対策を求めていきたいと考えています。
 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には、東京都も超高齢化社会を迎えます。一口に高齢者といってもさまざまな方がおられます。元気な高齢者、虚弱な高齢者、介護が必要な高齢者、医療が必要な高齢者、遺言や身辺整理をする高齢者など、ニーズに応じて切れ目のない高齢者支援策を講じる必要があります。
 平成三十年度予算案では、元気な高齢者について、シニア就業応援プロジェクトに五億円、人生百年時代セカンドライフ応援事業に四億円などが計上されています。
 そして、生涯現役をキーワードに、高齢者が継続して学び、働くことを実現するために、百歳大学として、首都大学東京プレミアムカレッジの開設及び産業技術大学院大学シニアスタートアッププログラムの実施が計上されています。
 学位の取得を目的とした大学、大学院の課程や教養講座とは異なる百歳大学の意義と狙いについて、知事に伺います。
 元気な高齢者がいつまでも健康を維持して活躍できるよう、健康維持、回復のための対策も重要です。
 フレイルとは、新しい言葉ですが、加齢とともに体重の減少、疲れやすい、歩く速度が遅くなる、握力や活動量の低下、気力の衰えなど、運動機能や認知機能が低下し心身の脆弱性が見られるようになった状態ですが、適切な支援により、生活機能の維持向上が可能な状態のことをいいます。
 この段階で適切な支援策を講じれば、また元気を取り戻し、介護も必要なくなるため、高齢者対策としては極めて効果的であり、かつ、元気な生活を続けたい高齢者のニーズも高いものがあります。
 都は今後、フレイル対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 これからの十年間は、東京都の超高齢化社会への正念場です。
 東京都では、現時点においても約四五%が単身世帯であり、高齢者の単身世帯は、超高齢化社会を迎えて急増することが予測されています。高齢者が住みなれた地域で暮らせるよう支援するための取り組みが都民提案事業として計上され、平成三十年度予算では、高齢者の住まいの整備や暮らしへの支援も充実されています。
 策定中の平成三十年度から三十二年度を計画期間とする第七期東京都高齢者福祉保健計画では、平成三十七年度までに特別養護老人ホームは六万二千人分、介護老人保健施設は三万人分、認知症高齢者グループホームは二万人分、サービスつき高齢者向け住宅等は二万八千戸と、それぞれ数値目標が設定されています。
 この計画の目標をどのように設定したのか、また、今後、目標達成に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、高齢者の生活を守るための方策として、オレオレ詐欺を初め特殊詐欺対策は欠かせません。手口も巧妙化して、現金を詐取する手口から、警官やデパートをかたってキャッシュカードなどを詐取する手口もふえています。
 被害防止対策としては、金融機関との連携はもとより、コンビニとの連携、無人ATM対策、犯人からの電話に出ないための対策を強化する必要がありますが、被害者となりやすい高齢者などに周知を図るための広報啓発活動強化や被害防止に向けた取り組みについて、警視総監の見解を伺います。
 少子高齢化社会を支え、東京を活力ある都市としていくには、人材育成が必要です。産業別雇用の動向を見ると、医療、福祉での雇用が大幅に増加し、建設業、製造業での雇用が減少しており、少子高齢化に対応する人材の育成、定着対策が急務となっています。
 大学、短期大学、高等専門学校及び専修学校の新卒の就職率は九七%前後となっていますが、大学卒の就職者は、一年目、二年目、三年目それぞれ一割ずつ、三年間で三割が離職するというデータもあります。離職後の職業教育の場の充実は重要で、平成三十年度予算では、専修学校の職業実践専門課程への支援二億円の予算が計上されています。
 そこで、専門学校の教育資源や企業のノウハウを活用してのスキルアップ向上にさらに注力していくべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革について質問します。
 東京で働くサラリーマンの体力消耗の原因として、満員電車による通勤があります。
 このため、今年度の時差ビズでは、時差通勤やオフピーク通勤者への特典付与などの取り組みが一斉に実施されました。
 例えば、都営の日暮里・舎人ライナー、大江戸線などで、ラッシュアワー前後の乗客にポイントを付与し、景品をつけるという企画が行われました。
 今後、さらに多くの人に参加していただくには、地下鉄の回数券のように、ICT技術を活用した通勤時間帯ごとの運賃設定など、新たな工夫も必要だと考えますが、相互乗り入れにより全ての鉄道事業者で実施することが必要であるなど、実現するには課題もあります。
 そこで、まずは今年度から始めた時差ビズを推進し、さらなる拡大と定着に向けて取り組むべきであると考えますが、見解を伺います。
 また、働き方改革の基本は、労働が正当に評価されることです。この観点から、東京都における同一労働同一賃金への取り組み及び非正規雇用を正規雇用へと転換するための取り組みについて伺います。
 次に、Old meets New東京キャンペーンなどの東京都の魅力発掘、発信について質問します。
 二〇二〇年東京大会に向けて、多くの文化プログラムの展開や各種事業が実施されます。
 これらの事業においては、東京の伝統的な文化や、現代の東京が持つ先進的かつ近代的な文化を観光的資源としても国内外に発信しつつ、多摩や島しょ、全国各地と連携したプロモーションを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 銭湯は江戸時代から庶民の生活に浸透した日本文化です。しかし、銭湯の数は平成三十年一月現在五百六十一軒と、最盛期の昭和四十三年の二千六百八十七軒から減少の一途をたどっています。これまでの都の支援が効果的に働いているとまではいえない状態であり、新しい支援策が必要であるということについて、これまで委員会等でも指摘させていただいております。
 今後は、単なる補助ではなく、事業継承を念頭に置いた具体的で確実なアプローチが必要と考えます。
 銭湯を江戸の文化として応援してこられた知事の見解を伺います。
 また、魅力ある商店街も東京の魅力です。商店街の活性化は都にとっても重要な課題であり、時代の変化に応じた効果的な支援を行うことが必要です。大型ショッピングモールや主要な街道沿いに展開されるナショナルチェーン店の出店が続く中、こうした商業施設にない地域性、商店街固有の文化や特徴を生かし、顧客の購買意欲に合致する品ぞろえをするなど、商店街の強みを踏まえた、地に足のついた取り組みの上に商店街の維持発展があります。
 昨今では、空き店舗を活用して女性や若者が起業するなど、個性あふれる店を開く人も出てきています。
 都として、空き店舗の解消とともに、商店街の戦略的な取り組みへの支援に力を注ぐべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、町会や自治会といった地域のつながりも、祭りなどの東京の魅力を支えています。都内における在住外国人の数は、平成二十九年十二月現在で五十二万二千十九人を数え、東京都の人口動態は、少子高齢化や共働き率増加に加え、多文化共生という新たな課題を示しています。
 町会、自治会といった地域の底力を高める予算は増大傾向にあるものの、都民がお互いに支え合うNPO法人などの共助の活動をワンストップで支援する体制が、いまだ東京都には構築されていません。
 二〇二〇年東京大会を契機に活躍を期待される大会関連ボランティアの、大会後の活動継続支援なども含む機関が新しく必要であると考えますが、見解を伺います。
 新しい消費のスタイル、エシカル消費も、国際都市東京が取り組むべき課題です。
 本年三月に改定される東京都消費生活基本計画は、仮想通貨を初め、新たな消費生活トラブルに対応するため、消費生活相談の充実、SNSや動画を活用した都民へのタイムリーな情報発信、悪質事業者の取り締まりを強化すること、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、エシカル消費の理念を広く都民に普及啓発し、理解の促進を図るとしています。
 しかし、都民の消費生活に関する意識調査における若者のエシカル調査の認知度は、知っているが六・一%と低い状況となっています。
 エシカル消費の認知度を高めるだけでなく、具体的な行動につなげるため、都はどのように取り組みを実施していくのかを伺います。
 東京を訪れる外国の方々に東京を安全・安心に楽しんでいただくためには、タクシーのICT化、多言語対応は急務です。
 私たちも、さきの定例会で、タクシーの多言語対応端末導入補助を提案し、タクシーの多言語化、ICT化を進めてきました。
 一方、現在、世界では、配車アプリの利用が一般的になっています。日本のタクシー会社もそれぞれ独自の配車アプリを提供していますが、多言語対応していないなど、日本を訪れる外国人には普及していません。
 二〇二〇年東京大会に向けて、グローバル都市東京として、外国人観光客も利用しやすい配車アプリの普及や多言語対応の充実は、世界の他都市と同様、円滑な交通サービスを提供するために必要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 東京の魅力を拡大するにはナイトライフの充実が必要ですが、足の確保が課題です。ICTを活用し、ナイトライフを楽しむ人の傾向を予測し、タクシーのさらなる活用やコミニティバスを運行するなどの経済合理性に合致した方法もあります。
 そこで、二〇二〇年東京大会期間中、深夜時間帯の都営地下鉄の輸送対応の可能性について、交通局の見解を伺います。
 また、タクシーなどの移動手段を含めたナイトライフ観光の振興に向けた検討をすべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、もう一つの政策の柱、セーフシティー東京の実現について質問します。
 まず、安全対策について質問します。
 都民の安全な生活を脅かす犯罪も、高度な盗撮機器によるプライバシーの侵害や、つきまとい等の迷惑行為などへの変化が著しく、現行の迷惑防止条例では十分対処ができておらず、今定例会に条例改正案が提案されています。
 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全を図るに当たり、本条例を施行する上での効果について、警視総監の見解を伺います。
 また、近年、都内の河川や運河などにおける一部の水上オートバイ等利用者による危険、迷惑航行が問題となっております。現行の東京都水上取締条例では、そのような航行の規制が困難として、条例の全部改正案が提案されています。
 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全で静穏な生活を実現するために本条例をどのように運用していくのか、マリーナ事業者に係る規定を含めて警視総監の見解を伺います。
 自転車は、観光、環境、健康などの多角的な観点から有効に活用すべき乗り物です。
 しかし、他方で、都心でも自転車が放置され、また、歩行者に危険な走行や車道の逆走、飲酒走行などもあり、都民の迷惑や交通事故の原因になっています。東京都も、平成二十九年には十七年ぶりに都内の交通事故が増加した大きな原因は、自転車事故であるとしています。
 そこで、自転車安全対策として、法規範の浸透を図るため、平成二十八年度から、自転車安全利用指導員制度により、限定された地域で指導の実績を積み重ねているものと理解していますが、これまでの実績と費用対効果を考えた都内全域に拡大する方法について伺います。
 また、都民提案を踏まえ、自転車点検整備事業を推進すると聞いていますが、TSマーク取得の目標値とこれがもたらす効果について、都の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会に向けて、羽田空港を使う飛行機が増便されます。増便に伴って飛行ルートが変更になり、飛行機の騒音や落下物に対して、都民は不安を抱いています。飛行場の管理や飛行機の管制は国の事業ですが、東京都は、都民の安全と健康、快適な生活環境を維持する責務を負っています。
 東京都としては、国に対し、都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会でのテロ対策について伺います。
 ミュンヘン・オリンピックでは選手が人質となり、ボストンマラソンでは沿道爆発により観衆が死亡するなど、大規模テロが発生しました。二〇二〇年東京大会における警戒に万全を期し、万が一、テロ発生時も、安全・安心を確保することが重要です。
 そこで、二〇二〇年東京大会に向け、競技会場を中心とした東京消防庁の警戒体制の強化について伺います。
 また、事件や事故その他の事情により傷ついた人や病気を発症した人に対して、通報を受けてから素早く治療が受けられるよう、患者を救急搬送することが必要です。平成二十九年は一日二千百五十一件、四十秒に一回、救急車が出場し、八年連続過去最高を更新しています。
 そこで、増大する救急需要に対する東京消防庁の取り組みについて伺います。
 次に、災害対策について質問します。
 本定例会では、セーフシティ東京防災プラン、都政のBCPの改定、東京都の災害時受援応援計画などが新たに報告されています。災害対策は、東京都など供給側による公助としての対策だけでなく、自助、共助の担い手である都民の目線に立って、都民の理解と共感を得ながら、効果的に防災対策を進めていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 また、災害に備えての一時滞在施設の確保や、従業員の施設内待機のための備蓄品の確保に向けた取り組みについて伺います。
 防災、減災の要諦は、都民の防災意識の向上であります。女性の視点防災ブック「東京くらし防災」の配布が三月一日から開始されました。災害時の女性のニーズにきめ細かく対応するため、女性の視点を防災活動に反映することは大変重要と考えます。
 そこで、女性防災リーダーを育成するため、育成カリキュラムなどの充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 異常気象の影響により、大都市部でも局地的かつ集中的な豪雨が頻発しており、道路や住宅の冠水などが起きています。
 このような都市型水害に対処するため、新たな整備方針に対応する七つの調節池等の整備を推進していますが、都市型水害対策においても、ハードの対策だけでなく、ハザードマップなどによる住民に対するソフト対策も必要です。都民への情報提供はどうなっているか、伺います。
 また、河川の整備に当たっては、洪水対策だけでなく、地域住民の声や河川の特性を踏まえながら、緑や生態系への配慮など、自然を生かしたグリーンインフラとしての整備を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、スマートシティー東京の実現について質問します。
 まず、スマートエネルギー都市東京について伺います。
 世界では、再生可能エネルギーはビジネスとして拡大中です。既に、世界最大の再生可能エネルギー大国は中国になっており、日本はその後塵を拝しています。東京都は巨大なエネルギー消費都市であり、再生可能エネルギー電力を使うことにより、需要面から再生可能エネルギーの拡大に寄与することができます。
 そこで、東京都のスマートエネルギー都庁行動計画において、一〇〇%再生可能エネルギーを目指し、短期、中期、長期の工程表を策定すべきと考えますが、都の考えを伺います。
 また、都庁最大の排出者は下水道ですが、下水道局の温室効果ガスの排出削減への取り組みについて伺います。
 自動車では、ガソリン、ディーゼル車から電気自動車への転換が進んでおり、都も電気自動車の普及促進に六億円を計上しています。他方で、二〇二〇年東京大会に向けて、燃料電池自動車や燃料電池船のプロジェクトも、平成三十年度予算では三十三億円を計上して進んでいます。東京都内を走行する自動車の風景が一変する日も、そう遠くない未来に到来すると考えます。
 このような変化の過程にあるビジネスと連携しつつ、都の電気自動車、水素燃料自動車普及に対する基本的姿勢を伺います。
 自動車をめぐるもう一つの大きな変化は、自動走行技術です。二〇二〇年東京大会は、世界に向けて日本の魅力を示すよい機会です。水素燃料自動車とともに、SFやアニメの世界で描かれてきた自動走行は、まさに未来を象徴するテクノロジーであり、例えば、日本の玄関口である羽田空港周辺地域や臨海地域などで自動走行の実証実験を行うことは、最先端の自動走行技術を国の内外に発信する絶好の機会になります。
 都は、昨年九月に東京自動走行ワンストップセンターを設置し、自動走行システムの実用化支援に着手しています。昨年末には、都内で全国初の遠隔型自動走行システムの公道実証が行われ、具体的な成果も出ています。
 海外では、制御技術、センシング技術の高度化の技術実証に加え、IT企業や新興企業が自動走行車による配車サービスの試験を行うと発表するなど、新たな移動サービスの実現に向けた動きが加速しており、まさにモビリティー革命の時代を迎えようとしています。
 そこで、世界の変化におくれることなく、自動走行バスや自動走行タクシーなどの移動サービスを実現させるためには、ビジネスモデル構築に向けた民間の取り組みを強力に後押しする必要がありますが、都の取り組みについて伺います。
 自動走行システムの実現を促進するためには、民間の取り組みを支援することに加え、都民に対する目配りも重要になります。ある民間調査によると、自動運転走行の実用化へは、交通事故の減少、高齢者等の移動支援などに期待が集まる一方、自動運転走行システム自体の適切な操作、人通りの多いエリアでの走行、自動運転走行システム故障時の暴走、交通事故など、さまざまな点で不安があると回答しています。
 国においても、社会受容性を高める取り組みを行っていますが、今後多くの実証実験が見込まれる都内で実証実験を円滑に進めるためには、このような都民の不安を取り除き、自動走行について正しい理解をしてもらう必要があります。自動走行の普及啓発や機運醸成について、都の取り組みを伺います。
 次に、省エネルギーのためのLED照明の導入について伺います。
 LED省エネムーブメント促進事業は、ことし七月で一年が経過しますが、協力いただいている関係団体、機関や地域の電気事業者との連携を深め、課題を整理しながら進めていくべきではないかと考えます。
 また、都有地や都の施設のLED照明の導入を加速するとともに、LED省エネムーブメント促進事業については、都民への周知の徹底に努めるとともに、区市町村と協力するなど、新しい発想での取り組みを進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ことし九月に日本で初めて東京で開催される、国際水協会、IWA世界会議・展示会について伺います。
 国連では、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsとして、二〇三〇年までに全ての人々に安全な水と衛生施設の確保が目標となっています。こうした状況の中で、東京都がこれまで培ってきた上下水道のすぐれた技術やノウハウを広く世界に発信することにより、世界の水事情改善に寄与することは大きな意義があります。
 今回の世界会議では、世界を取り巻く水問題解決に向けて、都の先進的な取り組みを積極的に発信していくとともに、都民の節水努力などの需要側の取り組みを紹介することが求められます。
 IWA世界会議を通じて世界の水問題の解決につなげていくために、開催都市としてどのような発信をすべきか、都知事の見解を伺います。
 また、二〇一八年IWA開催に当たっては、技術の展示会だけでなく、商談スペースなどを設けてビジネスマッチングへつなげる工夫も行い、国内企業のPR活動を支援すべきだと考えますが、準備はどうなっているか伺います。
 次に、東京の緑や生き物の保護について伺います。
 生産緑地に対する三十年間の固定資産税や相続税の特例措置の期限が二〇二二年に到来します。所有者は、区市に買い取りを求めることができますが、区市に財政的な余裕がなければ、大量の土地が市場に放出され、地価の急激な下落や乱開発が行われるおそれがあります。
 生産緑地からの大量の宅地の供給という事態を緩和するため、また、少子高齢化を迎えて子供や高齢者のためにも用地を確保するため、区市が都市計画公園区域内の生産緑地を買い取る費用を都が補助する、生産緑地の買い取り支援の予算が計上されていますが、この狙いや期待する効果について、都の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会において、都立葛西臨海公園に隣接するエリアは、カヌースラローム会場として整備され、特に内外から多くの注目を集めることになります。これと同時に、東京の豊かな水辺環境への注目度も高まるものと考えますが、現在準備を進めている葛西海浜公園のラムサール条約湿地登録に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて質問します。
 東京都では、二〇二〇年東京大会開催期間に当たる七月二十四日から九月六日までを重点期間として、みんなでラジオ体操プロジェクトを始めています。先日の市町村長との意見交換会でも、知事はラジオ体操への協力を要請されておられました。ラジオ体操は第一と第二があり、いつでもどこでも誰でもができる体操として、立って行うラジオ体操だけでなく、障害者や高齢者向けの座って行うラジオ体操も普及しています。
 この座ったラジオ体操を拡充すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 また、オリ・パラの機運醸成のため、ラジオ体操をさらに全国に広げていく上でのアイデアについてもお伺いをいたします。
 オリンピック・パラリンピック大会が成功であるかどうかは、レガシーの構築に大きく関係します。二〇二〇年東京大会後、都民がどのような投資効果やレガシーを享受できると考えているか、知事の見解を伺います。
 また、大会開催に当たって都も多くの予算を負担する中、都民が開催してよかったと実感できるような大会にするためには、大会開催によるメリットを都民に実感していただくことが重要だと考えます。
 大会のレガシーや投資効果について、広く都民に説明する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、少子高齢化時代でのパラリンピックは時宜を得たものであり、パラリンピックを契機として、東京のまちをユニバーサルデザイン化するだけでなく、都民の心のユニバーサルデザイン化を促進するべきであると考えますが、どのような施策を予定しているか伺います。
 大会後、施設をどのように管理し、活用していくかも大きな課題です。大会後のオリンピック・パラリンピック施設の運営については、他の開催都市の例も踏まえ、大会後の都民の満足度が高くなるような活用策を検討していく必要があると考えます。
 二〇二〇年東京大会が終われば、大会組織委員会はその役割を終えますが、東京都はその後の施設の管理や活用をしていかなければなりません。
 二〇二〇年東京大会後の国際大会の開催予定、施設の管理運営計画、経営計画など、その後の活用、維持管理について伺います。
 オリ・パラ施設の建設工事における安全確保も必要です。先日、オリンピック・パラリンピック選手村建設現場において、作業員の死亡事故が発生しました。昨年三月には、新国立競技場の建設工事に従事していた男性がみずから命を絶ち、過労が原因の労働災害と認定されています。こうしたことを二度と起こさないため、徹底した再発防止策を講じる必要があります。
 オリ・パラ工事に当たっては、安全対策の強化はもちろんのこと、作業環境の改善を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 平昌大会を視察して、開会式を初め、交通量が極端に多くなる開催期間中の交通マネジメントの重要性を実感しました。競技に向かう選手にとって、会場への円滑なアクセスは、ストレスを減らすばかりか、大会そのものへの印象を大きく変えるものとなります。
 そこで、築地の車両基地の運用について伺います。
 現在、築地に予定されている車両基地にはバス八百五十台が待機し、選手村の晴海から競技施設へ選手を送迎する計画で、環状二号線を使用することになっています。円滑な選手の送迎に向けての築地の車両基地からの交通計画、マネジメントの取り組みについて伺います。
 また、開会式は特別な対応が求められます。平昌大会では、開会式が終わった後も送迎用のバスがなかなか到着せず、来場客が長時間にわたって会場周辺で待機を余儀なくされるなどの混乱がありました。
 特に開会式においては、世界のVIP車両、大会関係車両の待機場所を確保するとともに、公共交通を利用する来場客の動線を安全に確保する必要があります。
 オリ・パラ局においては、交通管理者である警視庁と緊密に連携をとりながら、綿密な計画を立てる必要があると考えますが、準備状況について伺います。
 感動をより多くの方に、より躍動的に、より印象的に伝えるための取り組みとして、平昌大会で用いられた、会場外にいる観客に感動を伝えるパブリックビューイングがあります。
 東京大会では、世界一の技術力を駆使した最高のライブサイトを設置して、会場に入れない多数の観客に感動を伝えていただきたいと考えますが、ライブサイトの取り組みについて伺います。
 次に、ボランティア募集や大会の機運醸成について伺います。
 二〇二〇年東京大会、二〇一九年ラグビーワールドカップのボランティアの募集が、平成三十年度から開始されます。都市ボランティアには、観客等への案内に加え、事故や火災などが発生した際の対応などが必要です。
 こうした対応について、経験やノウハウがある人を積極的に募集していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 聖火リレーは、都民の関心を大いに高めます。聖火リレーのコース設定や二〇二〇年東京大会事前合宿地の誘致について、都と組織委員会は、関係機関との調整など、どのように分担しながら区市町村を支援していくのか伺います。
 二〇二〇年東京大会に先立って、ラグビーワールドカップが開催されます。
 その機運醸成のため、気軽に楽しめるストリートラグビーなどの体験機会をふやすことや、ラグビーの試合の際、ルールや解説が聞けるサービス、区市町村におけるシティードレッシング、外国人観戦客などを迎える準備として区市町村などが実施するおもてなしセミナーの支援など、さらなる機運醸成の取り組みについて伺います。
 最後に、豊洲、築地について質問します。
 昨年十二月、市場関係者のご理解を求めた結果、豊洲新市場の開場が十月十一日に決まり、土壌汚染問題や盛り土がなかった問題で多くの時間を要した市場問題に一つの節目がつき、大きな一歩となりました。
 また、ことし二月十七日には、知事みずから築地に赴き、市場関係者と豊洲移転や築地再開発などについて意見交換されたことは、円滑な市場移転に向けての努力と受けとめています。
 改めて、知事の築地再開発にかける思いを伺います。
 豊洲市場への移転は昨年末に十月十一日に決定し、円滑な移転に向けての準備が求められています。つつがなく移転できるよう万全を期すようにお願いをいたします。
 豊洲では現在、築地で働く市場関係者が、習熟訓練のためテスト運用を行っていますが、市場関係者からはより多くの習熟訓練時間の確保を望む声が聞かれます。
 また、こうした習熟訓練の結果、水産と青果の売り場の距離に対する懸念や駐車場の距離に対する懸念、茶屋制度の仕組み変更への懸念などが聞かれ、不便さの解消が求められています。
 そこで、市場関係者の習熟度訓練を実施する中で、より多くの声を集めて使いやすい市場にする都の取り組みについて伺います。
 また、円滑な移転のためには市場業界の協力が必要です。市場業界との今後の協議の進め方について伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、東卸や場外市場の方々から要望を受け、昨年の十二月議会の代表質問でその要望事項を取り上げさせていただきました。
 豊洲新市場でのターレのコンセントが合わない問題を初め、具体的な要望を提言しましたが、今回の平成三十年度予算案においてどのように反映されたのか、その予算措置状況を伺います。
 新しい東京の食の台所となる豊洲市場の安全性のPRは、世界で最もミシュラン評価を受けている東京の、また日本の食文化の発信において欠かせません。都はこれまでにも、一般参加者を募った見学会の実施などを行ってきましたが、世界を含めた国内外に対する発信こそ重要であると考えます。
 豊洲市場の情報発信策として、具体的なメディア戦略について伺います。
 次に、中央卸売市場に関する多角的な検討の必要性について伺います。
 全国の卸売市場の経営状況の悪化の傾向は、依然として続いております。特に、漁港直送など生産者と小売店の直接取引を初め、ネットの普及拡大により、宅配市場の急速な拡大は流通革命とも呼べる規模まで発展しており、市場を介さない取引は年々増加しています。東京都の中央卸売市場のデータでも、競りは金額ベースで見ても青果で二・一%、水産物で一三・九%となっており、取引のほとんどは相対取引という状況です。
 十一市場の収支状況についていえば、二十八年度決算で合計三十二億円の赤字会計で、豊洲開場後は年間で百四十億円から百五十億円の赤字が見込まれています。十一市場のうち、黒字基調なのは築地と大田市場のみです。豊洲市場だけではなく、大田市場以外の市場についても経営は厳しい状況にあり、時代の変化を捉えた市場のあり方が改めて問われているといわざるを得ません。
 加えて、国においても、民間企業に中央卸売市場の開設、運営を認めることを含む市場法の改正案が議論されており、市場のあり方については多角的に検証されるべきです。
 このような市場を取り巻く厳しい環境下において、時代に即した市場のあり方、市場会計の健全化などについて中長期的な視点で検証していくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
 築地解体工事、デポ建設工事は、都心での大規模な工事になります。築地解体工事、デポ建設工事に当たって、地元住民や場外市場への影響を及ぼさないよう、騒音、振動、粉じん、ダンプの通行時間やルート、工事時間等について綿密な計画を練る必要があります。特に、築地の施設には大量のアスベストが含まれることから、丁寧な対応が求められます。
 解体工事及びデポ建設工事に当たっては、東京都は、事業者として場外市場や近隣の方々に対し工事の事前説明を丁寧に行い、理解を得て工事を行う必要があります。
 そこで、近隣の方々に工事の事前説明をどのように行っていくのか、また、工事期間中に東京都としてどのような対策を講じるのか伺います。
 以上で都民ファーストの会東京都議団を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、東京百五十年事業についてのご質問でございます。
 本年、平成三十年は、江戸が東京と改められまして、近代から現代へと続く道を歩み始めて以来、百五十年の節目の年に当たります。この間、幾多の苦難に直面しながらも、多くの人々の努力と創造力によって、東京は、伝統と革新が共存する魅力的な都市として発展を遂げてまいりました。
 このことを都民の皆様とお祝いをするとともに、五十年、百年後の未来に向けまして、先人たちが築き上げてきた東京の魅力を再発見、再認識していただくため、東京百五十年事業を実施するところでございます。
 具体的には、多くの方々に楽しみながら東京百五十年の歴史、文化、技術などを実感していただくため、江戸東京博物館等で企画展を行うとともに、本年秋には、浜離宮恩賜庭園におきまして記念イベントを開催いたします。
 また、かつて広く親しまれましたかっぱバッジの復刻や、地域におけるさまざまなイベントとの連携などによりまして、東京百五十年を幅広くPRするとともに、次世代の小学生たちを対象にした絵画コンテストなど、未来にも目を向けた取り組みも行ってまいります。
 今後、国、区市町村、民間団体等の協力も得ながら多彩な取り組みを展開いたしまして、東京への愛着を高めるとともに、東京二〇二〇大会への機運盛り上げや、その先の未来へとつなげてまいりたいと考えております。
 次に、小笠原諸島返還五十周年についてのお尋ねでございます。
 昭和四十三年の小笠原諸島の返還につきましては、元島民の皆さんを初め、当時の関係者の方々の大変なご努力のたまものであると認識をいたしております。
 私は、知事就任直後の平成二十八年十月、小笠原諸島父島を訪問いたしまして、本土と約一千キロ離れた国境離島であることを実感するとともに、その歴史に思いをはせ、また小笠原の有するすばらしい自然を直接見て肌で感じることができました。
 返還五十周年は、このような小笠原諸島の歴史や国境離島としての重要性、その自然のすばらしさなどにつきまして、多くの方に知っていただける大切な機会でございます。
 この絶好の機会を最大限に生かしまして、都は、街頭ビジョンなどを活用したさまざまなPR事業、返還当時の貴重な映像、これらをデジタル化いたしまして公開するなどの取り組みを通じて、小笠原の魅力を一人でも多くの方に幅広く伝えてまいります。
 村とも連携をしながら返還五十周年事業を盛り上げるとともに、今後の小笠原諸島の振興には、一層力強く取り組んでまいる所存でございます。
 地方税財源の拡充についてのご質問でございます。
 日本が明るい未来への活路を切り開いていくためには、東京を強力なエンジンとしまして、それぞれの地方自治体も個性や強みを生かし、地域を活性化させて、日本全体の活力を底上げしていく必要がございます。
 こうした観点から、今、目指すべき方向は、地方自治体がみずからの権限と財源で主体的に行財政運営を行う真の地方自治を実現していくことであります。そして、そのためには、国から地方への税源移譲などによって地方の役割に見合う税財源を拡充していくこと、これが不可欠であると認識をいたしております。
 しかしながら、国は、地方が抱える財源不足という本質的な問題に向き合わないで、東京対その他の地方の構図をいたずらにあおりながら、東京から財源を吸い上げるということで地方の財源不足を穴埋めする不合理な措置を繰り返しております。
 さらに、平成三十一年度税制改正におきまして、こうした地方分権の理念に逆行する措置の拡大を検討する動きを見せておりまして、到底それは看過することはできません。
 このような地方税財政に関する問題につきましては、広くご理解をいただくために、先般、都の主張をまとめたPR冊子を公表したところでございます。
 今後とも、この問題につきまして都民の皆様の一層のご理解をいただきますよう努めていくとともに、都議会の皆様を初めオール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかり連携をしながら、あらゆる機会を捉えて、都の主張を強力かつ戦略的に展開をしてまいります。
 次に、東京二十三区の大学におけます定員増の抑制への対応でございます。
 国が今国会で成立を目指しております東京二十三区の大学の定員増を抑制する法案でございますが、場所だけを理由に学生の選択や大学経営の自由を縛る理不尽かつ不合理な規制でありまして、到底納得できるものではございません。
 地方の大学を振興すること、このことには異論はございませんが、地方創生の実現と大学教育のあり方という、本来別の問題を混在させて、東京対その他の地方の構図に押し込める国の対症療法的な手法には強い懸念を抱いているところでございます。
 大学ランキングにおきまして、東京大学が世界で四十六位、アジアでも八位へと低下する中、我が国がとるべき道は、国内の限られたパイの奪い合いではございません。高齢者の学び直しなど新たな需要を広げるとともに、世界に向かって高等教育の質を高めるため、フェアに競い合うことが必要でありまして、こうした主張を広く発信していくことが重要と考えております。
 これまでも都は、国の動きに応じまして緊急要望やコメント発表を実施してまいりましたが、ことし二月には法案の閣議決定に反対する緊急声明を発表いたしまして、特別区長会のほか、教育関係団体からもご賛同いただく意見を頂戴いたしております。
 また、この問題に関しますシンポジウムを開催いたしまして、有識者の方々と多面的な議論を交わしたところでございます。その内容はマスコミでも広く報道されまして、多くの方々に問題点を明らかにすることができたと存じます。
 これからも教育関係者や各団体、他の道府県などと課題の共有に努めまして、連携を深めることで、真の地方創生、そして国際社会に勝ち抜ける高等教育の実現に向けて賛同の輪を広げてまいります。
 平成三十年度の予算案についてのご質問がございました。
 人口減少や超高齢化を初め、東京を取り巻く環境が激動する時代にありましても、都政をしっかりと前へ進め、二〇二〇年のその先に、誰もが生き生きと輝く持続可能な都市東京を実現していくことが、知事としての使命と認識をいたしております。
 この使命を完遂するための具体的な道筋を示すものが、まさに平成三十年度予算案であり、持続的な都市経営に欠かせない賢い支出を徹底するために、これまで以上にめり張りをきかせることに重点を置いたものとなっております。
 具体的には、まず、東京の活力、成長を支える人に焦点を当てまして、待機児童対策と超高齢社会対策の二本を大きな柱に据えたところでございます。
 加えて、ICTやIoT、AIといった最先端技術を駆使した取り組みを積極的に盛り込むなど、三つのシティーの実現に向けた施策に積極的に財源を配分いたしまして、過去最高となる四百七件の新規事業を立ち上げております。
 一方、終期を迎える事業に対しましての事後検証を徹底するとともに、客観的な指標、エビデンスベースによる評価を新たに導入するなど、事業評価の取り組みを強化いたしまして、こちらも過去最高となる八百七十億円の財源確保につなげたものでございます。
 また、予算編成プロセスにおきましては、都議会各会派の皆様や区市町村のご代表、各種団体の皆様からのご意見、ご要望に加えまして、都民の皆様から、生活や現場に根差した発想を直接ご提案いただきまして、施策の形成に生かす取り組みを新たに導入したところでございます。
 こうした取り組みによりまして、東京の今を生きる都民の目線に立った、真に都民の利益にかなう予算案を練り上げたものでございます。
 この予算案をてことして、都民の皆様の理解、協力をいただいて、そして都議会の皆様と手を携えながら、東京の明るい未来に向けまして、確かな歩みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、国際感覚を持った都職員の育成についてのお尋ねでございます。
 東京が世界をリードする成熟都市としてさらなる飛躍を遂げるためには、多くの職員が変動する世界情勢や先進事例を現地で直接肌で感じ、まさに鳥の目を養うことは重要であります。
 都はこれまでも、国際的な視野を持って大都市経営を担い得る職員の育成に向けて、管理職候補など一定の選抜を経た職員を、アメリカの大学院や在外公館などへ年間二十五名程度派遣をいたしてまいりました。
 一方で、若手や専門分野の中堅職員には派遣期間が少ないなどの課題もございます。そこで、先般公表いたしました二〇二〇改革プラン素案の中で、組織全体の活性化を目的とした人事交流指針を新たに策定することといたしまして、今後の都職員の人事交流における基本的な方向性を明らかにしたところでございます。
 具体的には、留学先や赴任先の多様化に加えまして、世界の先進事例を学ぶ事例調査研修を拡大する一方、外国人材の受け入れも積極的に行うなど、派遣、受け入れの両面から人事交流の拡大を進めてまいります。
 今後は、より多くの職員に国際的な視野を広げる機会を提供して、世界にアンテナを広げ、新たな発想で政策立案できる職員を着実に育成をしてまいります。
 今後の都政改革の進め方についてお尋ねがございました。
 都政改革につきましては、平成二十八年の九月、私を本部長とする都政改革本部を設置いたしまして、都民ファースト、賢い支出、情報公開、この三原則のもとで、さまざまな改革を進めてまいりました。
 今年度からは、仕事改革、見える化改革、仕組み改革の三つの改革から成る二〇二〇改革に取り組んで、先般、これまでの都政改革の成果と今後の方向性をまとめました二〇二〇改革プランの素案を発表したところでございます。
 この間の議論、取り組みを通じまして、職員や各局に改革のノウハウを共有することができただけでなく、期待以上に改革マインドが浸透するなど、都政改革の土台が築かれたものと認識いたしております。
 今後は、これまでの計画段階から、実践的に都政改革に取り組む段階、新しいフェーズに入ることから、二〇二〇改革プランの実効性を高めるため、顧問の活用のあり方、職員の主体的な参画の観点から、新たな推進体制を構築するよう、私から指示をしたところでございます。
 次に、鉄道ネットワークについてのお尋ねがございました。
 東京が持続的に成長し、全ての世代が生き生きと活躍していくためには、誰もが快適に移動できるよう、都民の足となる鉄道ネットワークのさらなる充実は重要でございます。
 都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、鉄道事業者などの関係者と連携をいたしまして、事業費の精査、採算性などの課題について検討を行ってまいりました。
 六路線が整備されることによりまして、空港へのアクセス機能の向上、鉄道の混雑緩和、鉄道空白地帯の解消などが図られまして、国際競争力の強化や豊かな都民生活が実現するものと考えます。
 今回新たに基金を設置することで、事業の裏づけとなる財源をあらかじめ確保して、都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。これによりまして、関係者との協議、調整を加速して、鉄道ネットワークの充実に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 次に、たばこによる健康影響を防止するための取り組みについてのご質問がございました。
 喫煙は、肺がんを初めさまざまながんの要因となる生活習慣の一つでございます。また、脳卒中やCOPDなどの病気の原因でもあり、健康に悪影響を与えることは科学的にも明らかでございます。
 都は、がんによる死亡者を減少させるため、東京都がん対策推進計画に基づきまして、喫煙率の減少と受動喫煙防止に向けた取り組みを推進しているところでございます。
 また、たばこの健康影響に関するリーフレットや禁煙ステッカーの作成などに取り組む区市町村を支援いたしております。
 現在改定中のがん対策推進計画におきましては、受動喫煙防止条例の制定、新制度の施行に向けた新たな取り組みも盛り込みまして、たばこの健康影響の防止に向けた取り組みを一層推進してまいります。
 次に、受動喫煙防止条例についてのお尋ねでございます。
 受動喫煙防止条例の策定に当たりましては、都民や東京を訪れる方の混乱を避けるため、また、実効性のある対策とするために、法律と整合を図っていく必要がございます。
 このため、都は、平成二十九年三月に国が示しました、受動喫煙防止対策の強化につきましての基本的な考え方に示された規制対象施設や区分などと整合を図りながら、条例案の検討を進めてきたところでございます。
 しかしながら、本年一月に改めて示された国の考え方でございますが、規制対象となる施設区分を三区分から二区分とするなど、根幹にかかわる部分が大きく変更されております。詳細な内容は、法案や政省令に委ねられたため、本定例会には条例案の提案を行わないこととしたわけでございます。
 都は、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、受動喫煙防止対策を一層推進していく必要がございます。
 今後、法律との整合を図るとともに、区市町村の意見も踏まえながら、実効性ある条例案を検討してまいります。
 都庁の全面禁煙についてでございます。
 東京二〇二〇大会の開催都市といたしまして、都施設の受動喫煙防止対策をみずから徹底することは重要でございます。また、事業主として、働く職員や関係者、さらには施設を利用する人を受動喫煙から守っていくのは当然の責務でございます。
 このために、隗より始めよの認識のもとで、都の全ての職場で四月一日から建物内禁煙を徹底することを基本といたしまして、全庁で準備を進めているところでございます。
 新宿本庁舎におきましては、議会棟の取り組みとも歩調を合わせまして、職員の執務フロアの喫煙所を廃止するとともに、職員食堂、議会棟の地下の食堂も禁煙といたしまして、庁舎屋外の喫煙についても、職員のマナーを徹底してまいります。
 職員の禁煙サポートにつきましても、禁煙講習会や歯と口の健康セミナーなど、職場への出前講座を充実していくとともに、禁煙外来を紹介するなど、取り組みを強化してまいります。
 都内最大級の事業者である東京都が、施設内の受動喫煙対策を一層推進していくことは、都内事業者にも広く波及するなど、施策の前進にもつながるものと期待をいたしております。
 オリンピック憲章の理念を都民に広める条例の制定についてのご質問でございました。
 東京二〇二〇大会の開催まで九百日を切りました。今後、東京はさまざまな国や地域から、多様な文化、そして生活習慣を持った多くの方々をお迎えすることになります。
 大会を成功させるためには、開催都市である東京が、誰もが希望を持って生き生き生活ができ、活躍できる都市、また、多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる都市、そうしたダイバーシティーが実現した都市であることを世界に示していく必要がございます。
 そのためには、あらゆる差別を許さないというオリンピック憲章の精神を広く浸透させることが大切であり、現在、私の指示に基づきまして、条例制定に向けた調査検討に着手しているところでございます。
 今後、有識者などから幅広くご意見を伺いながら、お話のございましたLGBT、ヘイトスピーチへの対応という視点も含めて検討を進め、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催も見据えまして、ことしの後半での条例案提出を目指してまいります。
 東京二〇二〇大会を契機に、都民の皆様とともに、人権尊重の理念が隅々まで浸透した国際都市東京を実現してまいります。
 障害者差別の解消に向けた条例の基本方針についてでございます。
 本条例は、共生社会の実現に向けまして、社会全体で障害のある方々への理解を深めて、差別を解消する取り組みを一層推進することを目的といたしております。
 このため、条例には事業者による合理的な配慮の提供、専門相談の体制や紛争解決の仕組みの整備、障害のある方々への情報保障の推進などを盛り込んでおります。
 さらに、障害者差別解消法では努力義務としております事業者による合理的な配慮の提供につきましては、条例では義務化をいたしまして、より実効性のあるものとしてまいります。
 今後、パブリックコメントでいただきました意見なども踏まえまして、本年十月の施行を目指して、第二回の定例会に条例案を提案する考えでございます。
 続いて、教育環境についてのお尋ね、不登校、中途退学への対応についてでございます。
 不登校や中途退学は、子供たちの学習の機会が失われたり、生活の乱れを招いたりするばかりではございません。社会的、職業的に自立することが困難になるなど、かけがえのない子供たちの将来に影響を及ぼすおそれがございます。
 不登校や中途退学を防止することはもとより、たとえそうした状況に至りましても、子供たちが夢や希望を失うことなく、自信を持って生きていけるような、継続性のある包括的な支援が必要でございます。
 不登校や中途退学の要因や背景は、多様かつ複合的でありますことから、教育のみならず、福祉や就労の視点も含めて、さまざまな関係機関の協力を得まして、総合的な施策を講じていかなければなりません。
 東京で学ぶ全ての子供たちが、生き生きと生活ができて活躍できるように、都として、不登校や中途退学の対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、待機児童対策についてでございます。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 来年度は、区市町村が取り組みます保育所等の整備をさらに後押しするとともに、新たな取り組みといたしまして、待機児童のうち半数を占める一歳児の受け入れに緊急的に対応する施設を支援いたします。
 また、待機児童の保護者の就労のため、安心してベビーシッターを利用できる環境を整えてまいります。
 保育サービスの整備目標につきましても、さらに上積みをいたしまして、二〇一九年度末までの三年間で、六万人分の増加を目指しているところでございます。
 女性の活躍を推進するためには、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えること、これが重要でございます。
 今後とも、区市町村としっかり連携をしながら、待機児童の解消に向けて、保育サービスの整備をさらに加速をしてまいります。
 次に、百歳大学の意義と狙いについてのご質問がございました。
 我が国が人生百年時代を迎えようとしている中で、シニアの方にとって、学びの場は社会の中での居場所となり、新たな社会とのつながりを見つける機会ともなります。こうした学びの場を提供することは、東京に大きな活力をもたらす意義があるものと考えております。
 そのため、百歳大学では、趣味や教養の講座というよりも専門性の高い学びを志向するシニア、時間などの理由から大学入学まではためらうシニアに、一定期間で本格的な学びと実践的なスキルが身につくカリキュラムを提供してまいります。
 具体的には、コンパクトに体系的な学びを求めるシニアには、首都大学東京にプレミアムカレッジを、起業等を目指すシニア向けには、専門職大学院であります産業技術大学院大学にシニアスタートアッププログラムを開講いたします。
 生涯現役を合い言葉に、シニアの方々が名刺のかわりに学生証を持って、若い世代の学生とも同じキャンパスで交流しながら、九十歳でも百歳でも元気に学べる場を提供してまいります。
 長年、経験を培ってこられたシニアの方々に、改めて学び直す機会を提供することによりまして、これを契機にさらに深い学びを探究する道へ進んだり、起業や社会貢献にもチャレンジするなど、学び直しの新しいモデルを東京から発信してまいりたいと考えております。
 文化プログラムの展開についてでございます。
 オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもございます。都では、リオ大会以降、東京二〇二〇大会までの間、東京キャラバン、TURNなどのさまざまな文化プログラムを展開しております。
 しかし、こうした取り組みが多くの人から認知をされ、注目を集めるには、斬新な発想を取り入れた事業の充実や、訴求力の高いブランディング戦略が必要でございます。
 そこで、国内外から最も注目が集まる二〇二〇年大会の期間を含む約半年間に実施する東京文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打ちまして、展開することといたしております。
 今後、これまで伝統文化や音楽、美術などさまざまな分野で展開してきたプログラムに加えまして、幅広い方々からのアイデアをいただいて、耳目を集める新たなイベントを企画するなど、都内を初め全国の自治体とも連携を図りながら、伝統と革新が融合した東京の文化の魅力を、より力強く発信をしてまいります。
 さらに、来年度からは、Tokyo Tokyo FESTIVALの認知度を高めるため、国内外から注目されますPRイベントの開催などを通じて、ブランドの強化にも取り組んでまいります。
 公衆浴場についてでございます。
 銭湯は、衣類を包んだ風呂敷の由来となるなど、江戸時代から引き続く伝統的な生活文化であります。また、今日では、地域交流や高齢者の見守りの場だけでなく、東京を訪れる外国人が日本の歴史、文化を体験する場ともなっております。
 都はこれまでも、施設整備や利用促進などへの補助を通じ、経営の安定化などを図ってまいりましたが、依然として後継者不足等の切実な課題に直面しています。
 そこで、私は、江戸以来の東京の伝統ある銭湯を守るため、今年度、有識者によります会議体を設けまして、事業承継に関する取り組みを含めた幅広い公衆浴場の活性化策をまとめたところでございます。
 まずは来年度から、浴場の後継者、参入希望者などに向けまして、経営ノウハウを実践的に学ぶ場や、転廃業を考えている経営者とのマッチングの機会を提供するなど、円滑に事業が承継されますよう、支援に取り組んでまいります。
 こうした公衆浴場への支援を通じまして、都民が活力あふれる毎日を送れるように、まちの元気を創出してまいります。
 羽田空港の機能の強化についてご質問がございました。
 東京の国際競争力の強化に向けまして、東京二〇二〇大会や、その後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量の拡大は必要不可欠でございます。
 国が提案した飛行経路の見直しに対しまして、都は、地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減する方策の検討、徹底した安全管理に取り組むことを国に要請してきたところでございます。
 これを受けまして国は、都内各地で、四期にわたってオープンハウス型の説明会を開催するなど、丁寧な説明と意見の把握に努めてきておりまして、今後も継続していく予定と聞いております。
 また、国は、騒音影響の軽減策といたしまして、低騒音機の導入促進に加えて、都の要請を受け、学校、病院等の防音工事に対します助成制度の拡充に取り組んでおります。安全対策につきましても、航空機のチェック体制の強化に加えて、新たに落下物防止対策の基準を策定するなど、総合的に対策を充実していくとしております。
 都は、引き続き国に対しまして、都民の理解が深まるよう騒音影響の軽減、安全管理の徹底、地元への丁寧な対応を求めまして、二〇二〇年までの機能強化の実現に向けて取り組んでまいります。
 効果的な防災対策の推進についてのご質問でございます。
 首都直下地震を初め、さまざまな災害に対し、備えを万全なものとするためには、都民と都が一体となって対策を進めていくことは重要でございます。
 そのため、公助の施策内容や効果とともに、自助、共助の取り組みの必要性などについて、都民一人一人に理解と共感していただくことも不可欠でございます。
 こうしたことから、都では、災害対策の内容をわかりやすく説明することを追求いたしましたセーフシティ東京防災プランを新たに策定することといたしました。
 このプランでは、自然災害の脅威や防災施策の体系とその効果を、図表、グラフなどを用いてわかりやすく示すとともに、毎年度、取り組みの進捗を公表することで、達成状況を広く共有するなど、実効性を高める工夫を凝らしております。
 都は、セーフシティ東京防災プランによりまして、公助の取り組みをスピード感を持って進めるとともに、自助、共助の取り組みをさらに促進することで、防災対策を一層効果的に進めて、セーフシティーの実現を加速させてまいります。
 次に、EV、電気自動車や燃料電池自動車の普及についてのご質問でございます。
 昨年、イギリス、フランスが、二〇四〇年までにガソリン車やディーゼル車の販売禁止を表明するなど、世界は、自動車分野においても、脱炭素社会に向けて大きく動き始めております。
 日本におきましても、電気自動車を共同開発する会社の立ち上げや、民間十一社が水素ステーションの本格整備を目的といたしました新会社設立を目指すなど、事業者の取り組みは加速しております。
 都は、このような動きに的確に対応いたしまして、電気自動車や燃料電池自動車など、ゼロエミッションビークルの普及を後押ししてまいります。
 具体的には、来年度、インフラ整備や産業への影響など、普及に向けた課題を整理する調査を行うとともに、都民の約六割が居住する集合住宅、マンションなどにおける電気自動車への充電設備の導入促進を図ってまいります。
 また、都におきましても、率先して都有施設に充電設備を設置するとともに、庁有車の電気自動車への切りかえや、都営バスへの燃料電池バスの導入を拡大してまいります。
 このような取り組みによりまして、都民や事業者へゼロエミッションビークルへの選択を促すことで、CO2を排出しない環境先進都市、スマートシティーを目指してまいります。
 二〇一八年、IWA世界会議における開催都市からの世界に向けた配信についてのご指摘がございました。
 水は、生活や都市活動に必要不可欠な資源でございますが、地震などの自然災害、地球温暖化に伴う気候変動、人口の増減や都市化による社会の状況変化など、さまざまな課題に直面しております。
 こうした課題を克服するため、今回の東京会議におきましては、将来にわたる持続可能な上下水道の実現と、幅広いリスクを予防する強さや、被害などから速やかに回復するしなやかさを備えた強靱性、いわゆるレジリエンスが主要なテーマとなっております。
 都におきましてはこれまでも、上下水道施設の耐震化、再生可能エネルギーの活用などによる環境負荷の低減、効率的な事業運営によります経営基盤の確立に努めまして、都市マネジメントを支える基幹ライフラインであります上下水道の安定的な運営に取り組んでまいりました。
 また、渇水時におけます節水PRや継続的な広報を通じまして、都民の節水意識の向上を図って、水の大切さを訴えてまいりました。
 世界会議の開会式におきましては、私みずから、開催都市のメッセージといたしまして、これらの取り組みをアピールするとともに、東京の将来を見据えた長期的な展望に立って、持続可能で強靱な上下水道システム、そして、それを支える都が誇るすぐれた技術等を発信いたしまして、世界の水問題の解決に貢献をしてまいります。
 そして、その成果を、東京二〇二〇大会の成功と将来にわたる東京の持続的な発展につなげてまいります。
 続きまして、高齢者や障害者も参加できる座ったラジオ体操の普及、そしてラジオ体操そのものを全国に広げていく取り組みについてのご指摘がございました。
 東京二〇二〇大会の成功のためには、大会期間中の交通輸送の円滑化、都民、国民の理解と協力は、まさしく不可欠でございます。
 そこで、大会開催期間の周知を図るために、七月二十四日から九月六日までを重点期間と位置づけまして、みんなでラジオ体操プロジェクトを実施しているところでございます。
 来年度は、障害者や高齢者のさらなる参画を促すため、区市町村などにも幅広く声をかけまして、ご提案の座ったラジオ体操につきましても、重点期間のキックオフイベントやスポーツイベントなどで実施をしてまいります。
 また、ラジオ体操をさらに全国的に広げていくために、来年度新たに、国内外を問わず、ラジオ体操動画の応募を受け付けるサイトを立ち上げることといたしております。
 ラジオ体操の動画は、これまで二十二の自治体、六つの民間企業などから寄せられておりまして、今後、個人やグループ、海外などからの投稿も募って、公開していくことで、より多くの方が身近に東京二〇二〇大会を感じてくれること、これを期待いたしております。
 今後も、ラジオ体操を活用しまして、大会開催期間を広く都民、国民の間に浸透させて、みんなが気持ちを一つにして、東京二〇二〇大会を迎えられるように取り組んでまいります。
 東京二〇二〇大会のレガシーや投資効果についてのご質問がございました。
 東京二〇二〇大会を一過性のものとして終わらせるというのではなく、大会を契機といたしまして、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上と持続的な成長を実現するレガシーを残すことは重要でございます。
 世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市といたしまして、真の共生社会の実現に向けて、高齢者や障害者、外国人旅行者など、誰もが優しさを感じられるバリアフリーのまちづくりを推進してまいります。
 また、スポーツを通じた健康づくりや、世界をリードする環境先進都市の実現、東京の芸術文化の世界への発信など、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げましたハードとソフトのさまざまな分野で取り組みを推進してまいります。
 こうした取り組みによりまして発生する経済波及効果でございますが、大会開催に直接関係する投資や支出による効果を含めまして、二〇三〇年までに、都内では約二十兆円、全国で約三十二兆円が見込まれているところでございます。
 引き続き、大会後のレガシーを見据えた取り組みを推進いたしまして、都民一人一人をもっと輝かせ、持続的に成長する東京の礎を築いてまいります。
 次に、築地再開発についてのご質問でございます。
 先日、私は、都として豊洲市場を継続的に中央卸売市場として運営して、日本の中核市場として育てていく方針であって、都が、築地市場の跡地を中央卸売市場として再整備するとは考えていない旨を申し上げたところでございます。
 築地におきましては、銀座など都心に近接した、またとないロケーションでございます。そして、培ってきた長年の伝統がございます。周辺には浜離宮のすばらしい景観、水辺の魅力、築地本願寺など、さまざまな宝物が散りばめられているところでございます。
 築地再開発検討会議におきまして、築地のポテンシャルを生かして、東京の魅力をさらに高め、持続的な成長につなげていく、その観点から自由な発想で、幅広いご意見をいただいているところでございます。
 そして、かねてより申し上げているとおり、まずは豊洲市場への円滑な移転を行って、豊洲市場での事業が軌道に乗るように全力で取り組んでまいる。そして、民間の知恵も生かして、将来の東京にとりまして重要な役割を担う、新たなまちづくりにつなげていきたいと考えております。
 次に、市場のあり方の中長期的な検証についてのお尋ねでございます。
 卸売市場を取り巻く状況は、単独世帯の増加による食の外部化、ICT技術の進展に伴います取引形態の多様化、さらには、物流環境など大きく変化をしているところでございます。
 こうした中で、都の卸売市場が、都民の食生活を支える社会的なインフラとしての責務を果たしていく、そのためには、それぞれの市場が、立地特性や顧客ニーズなどに対応いたしまして、活性化に取り組む必要がございます。
 このため、五年を期間といたします卸売市場整備計画におきまして、市場ごとに経営戦略を策定いたしまして、交通アクセスを生かしました産地との連携や、加工パッケージ対応の強化など、創意工夫の取り組みを推進してまいります。
 さらに、中長期的な視点での市場会計の持続可能性を考慮しながら、国におきまして予定されております市場法改正の影響も踏まえて、時代の変化に対応できる市場運営を目指してまいります。
 なお、その他のご質問でございますが、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、特殊詐欺の被害防止対策についてでありますが、昨年の特殊詐欺認知件数は、九年ぶりに三千件を超え、被害額は約七十九億八千万円に達してしまいました。
 特に、オレレオレ詐欺のうち、警察官や百貨店店員等を装ってキャッシュカードをだまし取る手口や還付金等詐欺が大幅に増加をいたしました。
 警視庁では、こうした特殊詐欺被害の危機的状況を踏まえまして、副総監を本部長とする特殊詐欺対策プロジェクトを立ち上げ、犯行グループの背後に見え隠れいたします暴力団や準暴力団、非行集団等の取り締まりを含めまして、部門横断の体制によりまして、検挙、抑止体制の強化を図っております。
 また、犯人からの電話に出ないための対策、無人ATM対策及び電子マネー対策を推進いたしますとともに、自治体を初めとする関係機関等との連携を強化し、自動通話録音機の設置のさらなる促進のほか、被害者となりやすい高齢者世帯に対する戸別訪問などによりまして、被害防止に関する一層の周知を図ってまいります。
 次に、迷惑防止条例の改正により、新たに取り締まりの対象となる行為と本条例を施行する上での効果についてでありますが、盗撮行為の規制につきましては、学校や会社等のトイレ、更衣室のほか、プライベート空間であります住居、ホテル客室等での盗撮行為が新たに取り締まりの対象となります。
 また、つきまとい行為等の規制につきましては、SNSの連続送信やうろつき行為等、広く都民等に不安を覚えさせるような行為が新たに取り締まりの対象となります。
 首都東京の治安課題の一つであります人身安全関連事案に対する迅速かつ的確な対応を図っておりますところでありますが、本改正によりまして、前兆となる事案の段階における取り締まりが可能となることから、さらなる都民生活の安全につながるものと考えております。
 最後に、東京都水上安全条例の運用等についてでありますが、当庁が実施をいたしました航行実態の調査や都民からのご要望を踏まえまして、条例案には、小型船舶の操縦者に対し、騒音や引き波に対応する遵守義務を規定するとともに、酒気帯び操縦、他の船舶と衝突の危険を生じさせるような方法で接近する等の危険な操縦、これを取り締まりの対象といたします。
 さらに、安全かつ快適な水上及び水辺の環境を実現するため、必要があると認めるときは、水域等を指定した航行制限等を検討いたします。
 また、マリーナ事業を届け出制といたしました上で、利用者の安全航行に関する遵守義務を定め、安全指導の面からも本条例案の適正な運用に努めてまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、子どもを受動喫煙から守る条例の施行に向けた公立学校での取り組みについてでございますが、都教育委員会では、公立学校における受動喫煙防止対策について、健康増進法が施行された平成十五年度から取り組みを開始し、都立学校では、平成十六年度末までに敷地内を全面禁煙とし、区市町村立学校では、平成二十八年度末までに九割以上で敷地内を全面禁煙としております。
 今回の条例制定を受け、区市町村教育委員会に対し、学校における敷地内全面禁煙を一層推進するよう、本年二月に依頼を行いました。
 また、福祉保健局と連携し、全公立学校に対して、教職員、保護者、近隣住民等への条例内容の周知を行うよう求めたところでございます。
 今後とも、児童生徒が安心して健康に学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。
 次に、就学前教育と小学校教育との接続についてでございますが、小学校への就学に当たっては、いわゆる小一問題などの課題があり、小学校教育の現状と今後のあり方検討委員会の提言では、その解決に向け、五歳児から小学校低学年までを一まとまりとした柔軟な教育課程の研究開発の必要性が指摘されました。
 そのため、都教育委員会は、今後、有識者を交えた委員会を設置し、五歳児から小学校低学年における指導内容や指導方法、指導体制など、新たな教育課程の方向性について検討してまいります。
 また、モデル地区を指定し、就学前教育施設での遊びを通した学びの状況や、小学校入学当初における指導の実態を把握、分析いたします。
 これらの取り組みとあわせ、都教育委員会は、具体的な教育課程や教材、教具などについて、モデル地区と共同で研究開発を進めてまいります。
 次に、スタディーアシスト事業についてでございますが、子供たち一人一人が持てる能力を最大限に伸ばし、夢や希望を持ってみずからが望む進路を実現させていく上では、学校での授業の工夫、改善はもとより、授業外での学習の充実も必要であります。
 都教育委員会では、現在、放課後等の学習機会である地域未来塾への支援を区市町村に対して実施しており、学習習慣の定着や意欲等の向上に有効との評価を得ております。
 これに加えて、平成三十年度からは進学を目指す中学生を対象としたスタディーアシスト事業を開始いたします。本事業では進路対策のノウハウを持つ外部人材を活用し、生徒への個別指導にも対応してまいります。
 今後、区市町村と連携し、本事業の着実な実施を図り、放課後における学習支援の取り組みを充実してまいります。
 次に、都立学校におけるユースソーシャルワーカーと教職員との連携についてでございますが、不登校や中途退学に至る生徒の課題は、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、福祉や就労に係る専門知識や技能を持つユースソーシャルワーカーと学校とが支援方針を共有し、それぞれの役割を果たすことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、ユースソーシャルワーカー派遣校の担当教員を対象に、生徒等への実践的で効果的な支援方法等を習得する連絡会を開催するとともに、生活指導主任等の教員を対象として、専門人材や関係機関との連携に関する研修を実施してまいりました。
 今後、連携を強化するための手引を作成し、全校に配布して校内研修の充実を図るなど、生徒の社会的自立に向けた取り組みをさらに推進してまいります。
 最後に、学校における働き方改革の推進についてでございますが、教員の長時間労働の実態は看過できない状況にあることから、今回策定したプランにおいては、過労死ライン相当である在校時間六十時間を超える教員をゼロにすることを当面の目標として掲げ、専門スタッフの活用やICT化の推進など、総合的に対策を講じることといたしました。
 常態化した教員の長時間労働を改善するためには、保護者を含む社会全体の理解を得ながら、全ての関係者が一体となり、継続的に取り組みを進めていく必要がございます。
 都教育委員会は、本プランの取り組みを着実に推進するとともに、目標達成の状況やモデル事業の効果を検証し、必要に応じて見直しをするなど、在校時間六十時間を超える教員のみならず、全ての教員の長時間労働改善に向け、今後とも不断に学校の働き方改革に取り組んでまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、時差ビズについてでございます。昨年夏に実施した時差ビズでは約三百二十社の企業に賛同いただき、オフピーク通勤を促進する取り組みを一斉に行いました。民間のインターネット調査では、認知率が七割を超えたとの結果が得られてございます。
 この機運をさらに醸成させるため、来年度は経済団体や業界団体との連携を強化し、より幅広く企業に対して参加を呼びかけるとともに、夏と冬の二回実施して、日数もふやしてまいります。また、鉄道事業者には、オフピーク通勤者に対する特典の付与や早朝における臨時列車の運行など、取り組みの拡大を働きかけてまいります。
 時差ビズが新たな常識となるよう、企業や鉄道事業者などと連携して、さまざまな創意工夫を取り入れながら、ムーブメントの輪をさらに広げてまいります。
 次に、生産緑地の買い取り支援についてでございます。
 都市づくりのグランドデザインに掲げた、東京の緑の総量をこれ以上減らさないという目標の達成には、生産緑地の保全、活用が重要でございます。
 二〇二二年に指定から三十年が経過する生産緑地は、所有者から区市への買い取り申し出が可能となることから、宅地化等による大幅な減少が懸念されてございます。
 都は、二〇二二年に向け、区市が買い取り申し出に柔軟に対応するためのルールや体制を構築できるよう、来年度から、都市計画公園区域内の生産緑地を取得する区市に対し、助成を行うことといたしました。
 これにより、生産緑地を公園として整備する区市の意欲を引き出すとともに、農作業の体験の場や子供たちの遊び場など、地域に親しまれるオープンスペースとして次世代に継承してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、入札契約制度改革についてでございますが、入札契約制度改革は、昨年六月下旬から財務局案件を対象に、十月末からは各局案件に対象を拡大して試行を実施しております。
 この間、一者入札の中止により契約締結がおくれる事例が一部生じている一方、一者入札や九九%落札の減少、入札参加者数の増加という効果が得られております。
 現在、入札監視委員会で試行の検証を進めておりまして、本年一月には業界団体との意見交換も実施し、制度改革に対する賛成、反対、改善案等、さまざまな意見をちょうだいしてございます。
 今後、今月中に出される予定の入札監視委員会の検証報告を踏まえまして、改めて業界団体からのヒアリングを行いながら、よりよい制度構築を目指してまいります。
 次いで、入札契約制度のあり方についてでございますが、入札契約に当たりましては、地方自治法や入札契約適正化法が求める競争性、公平性、透明性を基本といたしまして、公共工事品質確保促進法、または官公需法が求めるダンピングの排除、品質の確保、担い手の育成、中小企業の育成などにも配慮していく必要がございます。
 特に、中小企業は、地元の雇用や産業を支え、災害時の緊急対応を担う存在でありまして、公共工事の中長期的な担い手といたしまして、育成、確保していくことが重要でございます。
 都は、こうした中小企業に配慮をいたしまして、適切に分離分割発注を行ってまいりましたが、今後も分離分割発注を徹底してまいります。
 入札監視委員会におきましても、中小企業への配慮という視点で議論がなされておりまして、その検証を踏まえながら、中小企業が十分に力を発揮できるような環境づくりに取り組んでまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海地域における都営バスの今後の取り組みについてでございますが、交通局ではこれまでも、臨海地域の大規模開発によって増加する輸送需要に対応するため、都心部と結ぶ路線を増強するなど、バス路線の拡充を図ってまいりました。
 臨海地域は、大規模マンション等の建設が続いており、東京二〇二〇大会後におきましても、選手村のまちづくりなどによりまして、バスの利用者がさらに増加することが見込まれます。こうした需要に効率的に対応するため、新たな営業所を有明地区に設置することといたしまして、平成三十一年度末の開設を目指し、工事に着手をいたしました。
 今後とも、新たな営業所も有効に活用しながら、需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できるバスの特性を最大限に発揮し、路線の拡充やダイヤの見直しを適切に行いまして、臨海地域の開発、発展に貢献をしてまいります。
 次に、大会期間中の深夜輸送対応の可能性についてでございますが、都営地下鉄では、通常、終電から始発までの限られた時間帯に、安全で安定的な輸送を確保するためのさまざまな保守点検作業を実施するとともに、ホームドアやエレベーターの設置工事等も行ってございます。
 一方、立候補ファイルにおきましては、大会期間中は、一部の競技において競技終了時間が深夜時間帯に及ぶものとされておりますことから、深夜時間帯の観客輸送を想定し、夜間の作業を大会期間の前後に振り分けて実施することなどにつきまして、局内で検討を進めてございます。
 今後明らかとなります競技日程や輸送運営計画等を踏まえつつ、終電時刻の繰り下げを含む大会期間中の運行につきまして、組織委員会や他の鉄道事業者と緊密に連携をして具体化を図り、輸送需要に的確に対応してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、無電柱化の目標設定についてでございますが、都は、東京都無電柱化推進条例に基づきまして、今後十年間の方針や目標を定めました無電柱化計画の素案を作成し、都民からの意見を募集しました。
 本素案では、都道の重点整備地域をセンター・コア・エリアから環状七号線の内側エリアまで拡大し、対象路線全線での事業着手や、重点整備路線として第一次緊急輸送道路と災害拠点病院等を結ぶ都道を新たに位置づけまして、防災性の一層の向上を図ることを目標としております。
 さらに、面的な広がりを持った無電柱化の推進に向けまして、区市町村を財政的、技術的に支援いたしますとともに、再開発等のまちづくりにおける無電柱化の面的な展開についても強化してまいります。
 今後、都民からの意見を踏まえまして計画を策定いたしまして、さまざまな施策を総合的に展開しながら、東京の無電柱化を強力に推し進めてまいります。
 次に、区市町村道での無電柱化についてでございますが、都内全域で無電柱化を進めるには、都道のみならず区市町村道の事業を一層促進することが重要でございまして、都はこれまで、区市町村に対する財政的、技術的支援等を行ってまいりました。
 加えまして、今年度より新たに無電柱化チャレンジ支援事業を開始いたしまして、計画策定に必要な調査や道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対し、事業費を全額補助いたしますとともに、区市町村が開催する技術検討会に直接都の職員が参加するなど、技術支援も強化しております。
 さらに、区市町村や関係事業者等と連絡会議を設置し、最新の動向や取り組みにつきまして情報共有を図りますとともに、課題解決に向けた意見交換を行うなど、一層の連携を図ってまいります。
 引き続き、区市町村との連携を図りながら、都内全域での無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、無電柱化のコスト縮減に向けた取り組みについてでございますが、都内全域で無電柱化を進めるためには、技術開発を一層推進し、コスト縮減を図ることが重要でございます。
 都は、道幅の狭い道路等における無電柱化の推進のため、昨年、東京電力やNTTなどと無電柱化低コスト技術検討会を設置いたしました。この検討会では、電線共同溝の材料の見直しや、電線等の埋設深さを浅くする手法の導入等、低コスト化の検討を進め、現時点で一定の成果が得られております。
 これを踏まえまして、技術基準であります東京都電線共同溝整備マニュアルを改定いたしまして、都道だけでなく、区市町村道での整備にも活用を図ってまいります。
 引き続き、十年後の整備コスト三分の一カットを目指し、さらなるコスト縮減に積極的に取り組んでまいります。
 次に、都立公園における受動喫煙対策についてでございますが、公園は都民の憩いの場であり、子供も多く利用する施設であるため、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。
 都立公園では、喫煙に関するルールを定めまして、歩行喫煙を禁止するとともに、妊娠中の女性や子供の周囲では喫煙しないよう呼びかけております。また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去しております。
 子どもを受動喫煙から守る条例では、公園において喫煙しようとする者は、子供の受動喫煙防止に努めなければならないとされております。これを受けまして、喫煙ルールの徹底をさらに呼びかけ、喫煙マナーの向上を図りまして、誰もが快適に過ごせる公園づくりを進めてまいります。
 次に、水害に対するソフト対策についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川や下水道施設の整備などハード対策に加えまして、住民の避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、河川と下水道が一体となった浸水シミュレーションによりまして、東海豪雨規模の浸水予想区域図を平成十三年度から公表してまいりました。区市は、これをもとにハザードマップを作成し、住民に周知しております。
 平成二十七年の水防法改正を受けまして、都は、現在想定し得る最大規模の降雨を用いまして区域図の見直し作業を進めております。
 さらに、洪水氾濫による被害の軽減を目的としまして、平成二十九年に東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会を設置し、住民の避難に必要な情報の的確な周知等につきまして検討を進めております。
 引き続き、区市町村など関係機関と連携しまして、全力で水害対策を推進してまいります。
 最後に、グリーンインフラとしての河川整備についてでございますが、河川は都市に残された貴重な水辺空間でございまして、親水性や生態系にも配慮した川づくりを進めるためには、水害対策に万全を期した上で、自然の多様な機能を生かすグリーンインフラを活用することが重要でございます。
 河川の整備に当たりましては、これまで、緑豊かな緩傾斜型護岸や自然石を用いた石積み護岸の整備、湧水の保全など、自然を生かした取り組みを行ってまいりました。
 これらの取り組みの一層の推進を図るため、平成三十年度は、旧河川敷を活用した緑地の創出や自然環境に配慮した調節池、河川管理用通路の透水性舗装など、グリーンインフラとしての機能を持つ河川整備につきまして、新たに検討いたします。
 今後とも、地域住民の声も聞きながら、環境に配慮した潤いのある水辺空間の保全や創出に積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十点のご質問にお答えをいたします。
 まず、次期東京都がん対策推進計画の目標達成に向けた取り組みについてでありますが、都は、計画に基づきまして、喫煙率の減少に向け、関係機関と連携しながら、喫煙による健康影響の普及啓発や禁煙外来に関する情報提供などを行ってまいります。
 また、がん検診の受診率向上に向けましては、個別通知、再勧奨等の区市町村の取り組みを支援し、来年度は区市町村や企業と連携して、がん検診の重要性を年間を通じて広く情報発信してまいります。
 精密検査の受診率の向上のためには、医療機関から検査結果が確実に区市町村に報告されるよう、区市町村、医師会等と検討会を設置し、統一様式の作成や四区市でモデル事業を実施するとともに、医療機関に対し、報告の必要性を実務者研修において周知してまいります。
 次に、路上喫煙防止対策についてでありますが、区市町村では、住民の健康保持や喫煙マナーの向上だけでなく、環境美化などの総合的な観点から、地域の特性を踏まえ、路上喫煙や歩きたばこに関する条例を制定しております。
 また、東京を訪れる外国人向けに、路上喫煙や歩きたばこの禁止に関する情報を多言語で案内表示している区市町村もございます。
 都は、こうした各区市町村の路上喫煙防止条例の取り組みを取りまとめ、都のホームページに掲載し、広く情報発信してまいります。
 次に、子どもを受動喫煙から守る条例及び子供関連施設等への啓発の取り組みの二点についてでありますが、都は、平成三十年四月の条例施行に向け、条例の趣旨や目的などをわかりやすく示したポスターやチラシを作成し、保育所や幼稚園、小中学校等を初め、区市町村の窓口など約八千カ所に配布をしております。
 加えて、地域の診療所、病院や薬局に対しても、医師会等を通じてチラシを配布するほか、広報誌やSNSを活用した普及啓発にも取り組んでおります。
 また、子供連れなどが訪れる機会の多い飲食店に対しては、受動喫煙防止対策研修会や店内の禁煙、分煙等の取り組み状況を店頭に表示するステッカーの配布とあわせて、条例の周知を図っております。
 今後とも、禁煙週間などのさまざまな機会を捉えまして、広く都民に情報発信してまいります。
 次に、障害者差別の解消に向けた条例についてでありますが、社会全体で障害のある方々への理解を深め、差別を解消する取り組みを一層推進するためには、障害者が円滑に情報を取得し、意思疎通できる環境の整備を進めていくことが必要でございます。
 こうした考えに立って、条例では、共生社会実現のための基本的な施策に情報保障の推進を位置づけ、手話、筆談、点字、拡大文字など、障害特性に応じた多様な情報提供の手段が普及するよう、必要な施策を講じること、また、手話は一つの言語であるとの認識に基づき、その利用が普及するよう、必要な施策を講じることを定めていく考えでございます。
 次に、障害者施策の推進についてでありますが、都は、障害者基本法及び障害者総合支援法等に基づき、障害者施策を総合的に推進するための計画を策定しております。
 現在改定中の計画では、全ての都民がともに暮らす共生社会の実現、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現、障害者が生き生きと働ける社会の実現の三つの基本理念のもと、共生社会実現に向けた取り組みの推進、地域における自立生活を支える仕組みづくりなど五つの施策目標を掲げ、情報バリアフリーの充実、グループホームや日中活動の場など地域生活基盤の整備、医療的ケア児等障害児支援の充実など、障害の特性を踏まえた約三百の事業を盛り込む考えでございまして、共生社会の実現に向けた障害者施策を一層推進してまいります。
 次に、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援についてでありますが、都は、都民が安心して子供を産み育てられるよう、全ての妊婦を対象とした専門職による面接や、産後ケア等を行う区市町村を、ゆりかご・とうきょう事業を通じて支援をしております。
 来年度は、不妊治療費の助成対象を事実婚の方にも拡大するほか、より多くの区市町村が産後ケアを実施できるよう、産後ケアのみを行う場合にも補助を行います。
 また、産後鬱の予防等の観点から、出産後間もない産婦への健康診査を実施する区市町村を支援することとしており、今後とも、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を進めてまいります。
 次に、フレイル対策についてでありますが、フレイルを予防するためには、健康なときからの生活習慣病の予防や、衰えを感じてきてからの回復に向けたリハビリテーション、社会とのつながりを保ち続けることなど、保健、医療、介護、生活福祉など、さまざまな分野が連携して取り組むことが重要でございます。
 今回改定する東京都保健医療計画では、新たにフレイル、ロコモティブシンドロームの予防を、生涯を通じた健康づくりの推進策の一つに位置づけ、加齢に伴い低下する運動機能や認知機能を維持するための生活習慣の改善、住民主体の通いの場づくりを推進する区市町村を支援することとしており、関係団体や区市町村と、関連のセクションが分野を超え密接に連携しながら、フレイル予防に取り組んでまいります。
 次に、第七期高齢者保健福祉計画の整備目標についてでありますが、計画では、介護サービス基盤の整備や、高齢者の住まいの確保などの七つの重点分野を定め、高齢者施策を推進することとしており、特別養護老人ホーム等の整備目標については、高齢者人口の将来推計や、区市町村のサービス見込み量等を踏まえて設定をしております。
 都は、介護サービス基盤の整備を進めるため、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域の整備費補助への加算など、さまざまな独自の支援策を講じております。
 今後、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加している東京の状況を踏まえ、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護サービス基盤の整備や高齢者の住まいの確保に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、心のバリアフリーの推進についてでありますが、誰もが年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、相互に尊重し、思いやることができる社会を実現するためには、心のバリアフリーの推進が必要でございます。
 そのため、都は、地域住民向けワークショップの開催や、まちづくりサポーターの養成等に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、年度内には心のバリアフリーの理解促進や実践につなげるための具体的な事例を掲載したハンドブックを作成し、区市町村等に配布をいたします。
 来年度は、心のバリアフリーの普及啓発に取り組む企業等を登録し公表する、心のバリアフリーサポート企業連携事業を開始し、社会的機運の醸成を図ることとしており、パラリンピックの開催も見据え、心のバリアフリーに向けた取り組みを、より一層推進してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、自然公園における受動喫煙対策についてでありますが、自然公園は、良好な自然環境の中で、健康の増進や休養を図ることを目的に訪れる人が多いことから、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。
 自然公園ではこれまで、ビジターセンター等の施設については屋内禁煙としており、利用者の理解と協力を得てまいりました。また、特に多摩部の自然公園では、平成二十七年三月に自然公園利用ルールを定め、この中で、利用者が多い場所での喫煙を避ける等、他の利用者への配慮が必要であることを明示しております。
 今後とも、子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨を踏まえ、自然公園利用ルールの普及啓発等の取り組みを通じて、受動喫煙防止の徹底や喫煙マナーの向上を図り、誰もが快適に過ごせる自然公園を目指してまいります。
 次に、スマートエネルギー都庁行動計画についてでありますが、都は、都みずからの温室効果ガスの削減等を率先して推進するため、五年ごとに行動計画を定めております。
 第四期の計画である現行計画においては、二〇一九年度末までに太陽光発電を新たに四千二百キロワット導入するとともに、電力を購入する際には、二〇%以上の再生可能エネルギーを供給する電力会社と契約することを望ましい水準として設定をしております。
 計画の二年目となる昨年度末には、既に約二千六百キロワットまで太陽光発電の導入が進んでおります。また、再生可能エネルギー比率が二〇%以上の電力を購入する施設は、現在、約二百施設まで拡大しているところでございます。
 今後とも、計画の改定に合わせ、目標を高めながら、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。
 最後に、LED照明の導入促進についてでございますが、都有施設については、都の率先行動として、使用時間の長いものや都民の目に触れる機会の多い照明器具を、二〇二〇年度までにおおむね一〇〇%LED化することを目標として、計画的に導入しております。
 昨年七月に開始した家庭における省エネムーブメント促進事業につきましては、都民への周知を図るため、新聞折り込み情報誌への掲載や区市町村広報紙を活用したPRなどを行ってまいりました。また、ワイドコラボ協定締結企業等の協力を得て、顧客に対する周知も行っているところでございます。
 今後、都民のさらなる利便性の向上を図るため、新たに家電量販店での交換や区市町村等が開催するイベントにおける出張店舗の開設などを行い、省エネ効果の高いLED照明の普及につなげてまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公園における受動喫煙対策についてでございます。
 海上公園は、多くの子供たちが海辺の自然と触れ合い、楽しめる場となっておりますため、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。
 このため、海上公園では、来園者の移動動線などを踏まえ、喫煙場所の廃止や適切な場所への移転を行うほか、喫煙場所を植栽プランターで囲むなどの取り組みを行っております。
 四月から施行されます子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨を踏まえ、特に子供の多い公園を中心に、受動喫煙防止のさらなる徹底や喫煙マナーの向上を図り、快適な公園づくりを進めてまいります。
 次に、葛西海浜公園のラムサール条約湿地への登録についてでございます。
 この公園は、冬には多くの渡り鳥が訪れ、最近の調査でも、条約の登録基準となります約二万羽のカモ類の飛来が確認できるなど、豊かな自然環境を有しております。
 こうした環境を次世代に引き継ぐためにも、ラムサール条約湿地への登録を実現し、東京の自然を世界にアピールすることにつなげていきたいと考えております。
 引き続き、国や地元区と連携し、必要な調査や関係者への調整を着実に進め、本年中の登録を目指してまいります。
 あわせて、条約では、ワイズユース、賢い利用との考え方がうたわれており、潮干狩りや海水浴体験など、都民が身近に海と親しみ、楽しめる利用をさらに進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツを支える人材についてでありますが、障害のある方が身近な地域でスポーツを行うためには、知識や指導力を持つ人材のほか、活動を支援するボランティアの存在が不可欠でございます。
 このため、都は、地域でスポーツを支えるスポーツ推進委員等を対象に、障害者スポーツ指導員養成講習を実施するとともに、活動経験の少ない指導員に研修会等を実施し、最新知識の提供や技能、意欲の向上を図り、活動を促進してまいりました。
 さらに、体験教室を活用したボランティア養成や、障害者スポーツを支える魅力を伝える映像によるPRに加え、来年度は、医療福祉関係者に対しますセミナー開催等により、新たな担い手の発掘に努めてまいります。
 こうした取り組みにより、身近な地域でより多くの障害者がスポーツに参加できる環境整備を着実に進めてまいります。
 次に、レガシーや投資効果の都民への説明についてでございます。
 大会を契機として東京にもたらされるレガシーや投資効果を多くの都民の方に知っていただくことは重要でございます。
 そのため、都は平成二十七年に、二〇二〇年に向けた東京都の取組を策定し、大会後のレガシーを見据えたハード、ソフト両面の取り組みを明らかにしております。加えて、昨年十二月には、本取り組みのPR冊子について、新たな動向を加え、わかりやすいポケットサイズの増刷版を発行し、機運醸成イベントで配布するなど、広く都民にPRをしております。
 また、投資効果につきましては、大会開催に伴う経済波及効果を講演会の場などを活用し、幅広く説明に努めております。
 こうしたPRをさまざまな機会を捉えて行うことによりまして、大会開催が東京にもたらす効果を都民にご理解いただけますように、取り組みを推進してまいります。
 次に、大会後の競技施設の運営についてでありますが、都はこれまで、外部有識者や民間事業者、競技団体など、幅広く意見を聞きながら、後利用の検討を進め、昨年四月、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定いたしました。その中で、新規恒久施設は、東京の新たなスポーツの拠点とするとともに、周辺施設とも連携して、地域の魅力やにぎわいを創出していくこととしております。
 この施設運営計画を踏まえ、来年度、各施設の運営事業者の選定に当たりまして、民間事業者等のノウハウや創意工夫を生かした具体的な事業計画を求めるなど、後利用の取り組みを一層充実させてまいります。
 早期に運営事業者を決定し、大会前の早い段階から国際大会や大規模イベントの開催に向けて取り組みを進めるなど、大会後の施設運営に万全を期してまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピック関連工事におけます安全対策と作業環境の改善についてであります。
 工事に当たって、安全管理や適切な労働環境の確保に努めることは極めて重要であり、これまでも関係局を通じまして、違法行為等や不適切な労働環境がないことを確認し、受注者に対して法令遵守の徹底を指示してまいりました。
 今般、都が行う競技会場等の整備でこのような事故が発生することがないよう、改めて現場の安全点検を行うことや各作業員への周知を行うことなど、安全管理の一層の徹底を求めたところでございます。
 今後とも、都が行う会場整備を初めとしたオリンピック・パラリンピック関連工事における、さらなる安全管理の徹底と適正な労働環境の確保に関係局とともに努め、大会準備をしっかりと行ってまいります。
 次に、選手輸送の取り組みについてでございます。
 大会時に円滑に選手を会場まで送迎することは、大会成功の鍵となる重要な事項であると認識しております。築地に予定する車両基地は、選手村に近接しており、最大規模の送迎車両数を配置する予定でございます。
 現在、大会時における周辺道路の交通状況の予測を行っておりまして、今後、競技日程の決定に合わせ、大会車両を加えた詳細な車両運用を検討してまいります。
 また、大会時には、道路交通状況の見通しなどの情報を積極的に提供し、移動時間の変更や混雑箇所の回避を促す呼びかけを行い、交通量を抑制する交通需要マネジメントを実施するなど、円滑な大会輸送の実現と都市活動との両立を図ってまいります。
 次に、大会時におけます輸送計画についてでございます。
 開会式を初め、大会時の安全で円滑な大会輸送を実施するためには、警察庁や警視庁などの交通管理者と緊密に連携することが重要でございます。
 大会時の関係者輸送等につきましては、警察庁や警視庁、国土交通省等の関係省庁に加え、鉄道事業者、物流事業者などとさまざまな観点から議論を進め、昨年六月には、輸送運営計画バージョンワンで大会輸送の基本的な考え方を取りまとめ、公表いたしました。
 大会の成功に向け、警視庁を初めとした関係機関と綿密に連携し、具体的な輸送計画や安全対策等について、来年度末を目途に輸送運営計画バージョンツー案として取りまとめ、安全で円滑な大会輸送の実現に努めてまいります。
 次に、東京二〇二〇大会のライブサイトについてでございます。
 大会チケットを持つ人も持たない人も、国内外から訪れる多くの人々が集い、大会のすばらしさと感動を分かち合うことができる場を創出することは、大会の成功のために重要でございます。
 このため、都では、リオ及び平昌大会の際に都内各所と被災地でライブサイトを開催し、競技のライブ中継を実施いたしました。あわせて、各種スポーツ体験、大学や地域団体等による文化発信とともに、ボランティアや警備、暑さ対策等のトライアルも行ってまいりました。
 今後、さらに競技のライブ中継以外の要素も充実させ、多様な内容で多くの人々が楽しめるライブサイトを目指すとともに、先端技術の活用も進め、IOCや組織委員会と協議しながら、大会本番の準備に取り組んでまいります。
 次に、都市ボランティアの募集についてでございます。
 都市ボランティアには、競技会場の最寄り駅周辺における観客への案内等を行うことに加え、事故や火災等の不測の事態が発生した際、速やかな通報など、状況に応じた適切な対応を行っていただくことを期待しております。
 そのため、都市ボランティアの募集に当たりましては、おもてなしの心や責任感はもとより、ボランティアの経験に加え、防災、防犯、救命救急等に関する知識など、ボランティア活動に生かすことのできる経験や資質としてお示しをしていくことを予定しております。
 あわせて、ボランティア全員が受講する共通研修におきまして、緊急時の連絡方法やAEDの使用方法を初めとする初動対応などを習得できるよう、研修内容を検討してまいります。
 次に、聖火リレーと事前キャンプについてでございます。
 聖火リレーや事前キャンプの実施はそれぞれ自治体が積極的に大会に参画できる貴重な機会でございます。
 このうち聖火リレーは、組織委員会がIOCとの間で全国の巡回日数やルートを調整することとなっておりまして、都は、オリンピック聖火リレーの実行委員会を来年度設置し、区市町村とともに都内ルートの検討を行ってまいります。
 また、事前キャンプは、各国のオリンピック委員会などに対して、区市町村が主体となって誘致に取り組むものでございまして、都としては、各国への施設紹介や視察受け入れ調整などに取り組んでございます。組織委員会においても、各地のキャンプ施設をホームページに掲載しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、組織委員会とともに、区市町村をきめ細かく支援をしてまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップの機運醸成についてでございます。
 開幕まで六百日を切り、開催都市住民を対象としたチケット先行抽せん販売を控え、大会本番に向けた一層の機運醸成が必要でございます。
 都はこれまでも、都主催イベントにおけるさまざまなラグビー体験や、元日本代表が解説するパブリックビューイング等、広く都民がラグビーに親しむ機会を提供してまいりました。また、東京駅前や都庁舎内に大型PR看板を設置するなど、大会認知度向上に向けた取り組みも行ってございます。
 今後、大会公式マスコットの活用に加え、東京で行われる試合や対戦するチーム等に関する情報の提供、街灯フラッグ等を多くの人でにぎわう通りに掲出するシティードレッシングの展開など、区市町村や地域と連携した取り組みを拡充し、大会に向けさらなる盛り上げを図ってまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、専門学校の教育資源や企業のノウハウを活用したスキルアップについてでございます。
 専門学校は、みずから培った職業教育に関する技術や知識といった教育資源を活用し、さまざまな分野の専門人材の育成に大きな役割を果たしていると認識しております。
 都は、福祉やものづくりなどの現場で、学生が卒業後、即戦力として活躍できるように、企業などと密接に連携し、より実践的な職業教育を実施する職業実践専門課程を設置する専門学校に対しまして、新たに補助を行うことといたしました。
 この補助制度によりまして、職業教育の質を高めることで、学生のスキルアップを図り、東京の産業を支える人材の質の向上に結びつけてまいります。
 次に、都民活動の新たな支援についてでございます。
 超高齢化の進展や在住外国人の増加等を受けまして、高齢者の活躍の場づくりや外国人支援を行うNPO等の活動の強化が必要となっております。
 これまでも、町会、自治会やNPOなどへの支援に取り組んでまいりましたが、大会を契機としたボランティア機運の高まりを継続し、共助、多文化共生社会を支える活動への都民の参加を促進することが重要でございます。
 具体的には、より多くの都民が主体的に活動できるよう、都内に集積する企業や大学、NPO等への働きかけや、活動に必要な情報の集約、提供などを総合的に行う体制の強化が必要でございます。
 そのため、都は来年度から、新たな支援の仕組みやその実施体制について検討を進め、人が人を支える共助、多文化共生社会を実現してまいります。
 最後に、エシカル消費に係る取り組みについてでございます。
 人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費は、持続可能な社会の形成に貢献するものでございます。これを社会に普及させるためには、まずは、消費者が社会の一員として、その意義を理解して行動することが重要でございます。
 そのため、都は、来年度を初年度とする東京都消費生活基本計画におきまして、エシカル消費を都民にわかりやすく紹介する動画の作成や、ホームページ上に誰もが身近に感じて実践できる事例を掲載した特設ページを設けるなど、情報発信を行うことを明記いたしました。
 さらに、若者が集まるイベントや都民向けの消費生活講座における普及啓発も活用いたしまして、できるところから、無理のない範囲でエシカル消費を選択する行動につなげてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、非正規雇用対策についてでございますが、働き方の選択肢を広げ、誰もが意欲を持って働くためには、非正規労働者の処遇改善や雇用の安定を図ることが重要でございます。
 都はこれまで、企業に対する普及啓発や専門家派遣等を通じて、公正な待遇確保に向けた雇用環境の整備を推進するほか、都独自の助成事業により社内での正社員転換を促進してまいりました。
 来年度は、非正規労働者を多く雇用する企業に対して、経営者への個別コンサルティングや従業員向けのスキルアップセミナーを実施し、企業の実情に応じた処遇改善を後押しいたします。また、正規雇用に転換した従業員が安心して働き続けられるよう、計画的な育成に取り組む企業への助成制度も創設をいたします。
 こうした取り組みにより、非正規労働者が、希望や能力に応じて活躍できる雇用環境整備を支援してまいります。
 次に、商店街の振興についてでございますが、都内の商店街が買い物客でにぎわい、商業活動の拠点として発展を続けられるよう、各商店街の戦略的な取り組みを着実にサポートすることは重要でございます。
 このため、都は、空き店舗を活用し、意欲的に商売に取り組む人材の確保を支援するとともに、新しい発想を持ち、将来のリーダーとなり得る若者や女性の出店を積極的に後押ししております。
 来年度は、商店街での起業や事業の承継に必要となる経費への支援のほか、女性等が商店街で新たな発想により開業する場合の補助制度の充実を図ります。
 また、若者や女性が商店街で販売や経営の経験を積むことのできるチャレンジショップを増設いたします。
 これらにより、商店街への効果的な支援を展開してまいります。
 次に、外国人旅行者のタクシー利用についてでございますが、タクシーは、観光スポットを自由に、時間帯等を選ばずにめぐることができる有効な交通手段であり、東京二〇二〇大会に向けて、多言語対応等を図っていく必要がございます。
 このため、都は、タクシー運転手と外国人利用者の会話を手助けする多言語コールセンターサービスを提供しているところでございます。
 来年度からは、さらなる利便性の向上を図るため、より多くの言語での通訳や、決済手段としても活用できるタブレット端末の導入に向けた調査を行い、その結果を踏まえ、都内タクシー事業者への支援を実施いたします。
 また、外国人旅行者の配車アプリのニーズ等についても調査項目に加え、事業者への情報提供を行うことといたしております。
 これらを通じまして、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を図る取り組みを促進してまいります。
 最後に、ナイトライフ観光の振興についてでございますが、夜間における外国人旅行者の観光の満足度を高めるためには、多様な観光資源の充実と効率的に移動ができる交通手段の確保が必要でございます。
 このため、都は、夜間のすぐれた景観をつくり出すため、観光協会等がライトアップを活用して集客効果を高める取り組みを後押ししております。また、鉄道やタクシーを利用して夜景や観光施設をめぐることができるモデルルートを作成し、海外に向けて発信をしているところでございます。
 来年度は、こうした取り組みを充実いたしますとともに、外国人旅行者に人気のスポットや深夜のタクシーの活用などを含めた交通面での課題等について調査し、ナイトライフ観光のさらなる推進につなげてまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 二点についてお答えいたします。
 最初に、自転車安全利用指導員制度についてであります。
 昨年、自転車のいわゆるながらスマホ運転による死亡事故が発生し、過去には賠償額が一億円近い重大事故が起きた例もあることから、自転車事故を減らすには、安全利用に向けたルール、マナーの浸透が重要と考えております。
 本制度は、道路上に安全利用指導員を配置し指導等を実施するもので、平成二十八年度に江東区で試行的な取り組みを開始いたしました。
 本年度は、世田谷区、八王子市に拡大し、十二の交差点で実施しており、実施箇所及びその周辺では、違反や事故について一定の減少効果が見られたところであります。
 今後は、指導の効果をより広く波及させるため、実施地域の特性を踏まえ、指導員の配置場所をきめ細かく変更するなど、さまざまな条件下での実施効果を検証し、その結果を踏まえて、都内での効果的な展開を検討してまいります。
 次に、自転車点検整備事業についてであります。
 本事業は、都民からの事業提案を受け、自転車の定期的な点検整備を都民に促すことを目的に、自転車整備の重要性の普及啓発を行い、住民による自転車整備を支援する区市町村への補助事業として実施するものであります。
 自転車の定期的な点検整備は、自転車を安全に利用するために重要であり、自転車安全利用条例においても、点検整備を自転車利用者の努力義務として規定しております。
 本事業においては、点検整備の質を確保するため、自転車安全整備士により整備された自転車に付与されるTSマークの取得等を支援してまいります。
 今後、全ての自転車が適切に点検整備されるよう、都みずからも点検整備に関する啓発に取り組むとともに、区市町村の積極的な取り組みを喚起してまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京二〇二〇大会における警戒体制の強化に向けた取り組みについてでございます。
 大会開催時においては、通常の災害対応力を維持しながら、万全な警戒体制を構築していくことが重要であると認識しております。
 このため、本部庁舎内に東京二〇二〇大会に向けて新たにオペレーションセンターを整備し、各競技会場や選手村等の東京二〇二〇大会関連施設の警戒状況や災害対応などを一括管理する予定でございます。
 また、大会期間中に爆破テロ等の大規模な災害が発生した場合には、創設を計画しております高度な指揮権限を有する統合機動部隊で対応することとしております。
 次に、増大する救急需要に対する取り組みについてでございます。
 東京消防庁では、計画的に救急隊を増強してきたほか、不要不急な救急要請を抑制するために、救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の利用促進、医療機関と連携した転院搬送の抑制、救急車の適正利用の広報活動などを行ってまいりました。
 東京二〇二〇大会時に、現場到着時間を七分にすることを目標に、来年度は救急隊の増隊を引き続き計画するとともに、救急需要予測システムの構築、救急活動時間の短縮に向けた分析、シャープ七一一九の認知率の向上、高齢者の日常生活事故防止などに取り組んでいく予定でございます。
 今後とも、救急需要の増加要因を的確に把握し、効果的な対策を実施してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 帰宅困難者対策についてですが、大規模災害時に救命救急活動や緊急車両の通行に支障を生じないよう、都は、発災時にはむやみに移動を開始しないことを広く都民、事業者にお願いをしております。
 都はこれまで、発災時に従業員が職場にとどまれるよう、経済団体等と連携し、三日分の備蓄確保について普及啓発に取り組んでいます。また、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保に向け、備蓄品購入費や施設等の整備費に対する補助を実施するなどの取り組みを進めております。
 今後、従業員向けの備蓄や帰宅困難者の受け入れを呼びかける動画の作成などを通じて、より多くの事業者に協力を呼びかけるとともに、大学などの大規模施設に対して、重点的に施設確保への協力を要請するなど、事業者の協力を得つつ、着実に取り組みを推進してまいります。
 次に、女性防災人材の育成カリキュラムについてですが、災害時の活動に女性の視点を反映するためには、防災分野で活躍する女性人材を育成していく必要がございます。
 そのためには、実践的なノウハウを学ぶことが重要であり、都は、有識者を委員とした検討会議を開催し、被災地の経験や災害医療の知見を生かした、女性防災人材の育成カリキュラムを新たに策定いたしました。
 ここでは、避難所運営など、地域の活動に加え、多くの人が自宅から離れたところで被災する可能性がある東京の特性を踏まえ、職場における安全確保や帰宅困難者となった場合の適切な行動についても学べるものとしております。
 今後とも、防災活動の核となる女性の人材育成を積極的に推進していくため、受講者の意見を聞くなど、カリキュラムの改善、充実を図ってまいります。
〔下水道局長渡辺志津男君登壇〕

○下水道局長(渡辺志津男君) 下水道局における温室効果ガス排出削減への取り組みについてでございますが、当局が排出している温室効果ガスの大部分は、水処理と汚泥処理の設備の運転に必要な電力及び燃料の使用に由来しております。
 このため、地球温暖化防止計画であるアースプラン二〇一七に基づき、水処理に必要な送風機を小型化するとともに、汚泥処理では、電力を大幅に削減できる省エネルギー型の濃縮機の導入などを進めてきております。
 これに加え、下水道事業では日本初のシステムとなる、汚泥焼却炉の廃熱を活用して必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムを、平成三十二年度から新河岸水再生センターで稼働させる予定でございます。
 これらの取り組みにより、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三十二万トンの温室効果ガスを削減することとしております。これは、区部の一・四倍の面積の森林が一年間に吸収する二酸化炭素の量に相当いたします。
 今後とも、スマートシティーの実現に向けた温室効果ガス削減対策に貢献してまいります。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自動走行のビジネスモデルの構築支援についてでございますが、自動走行バスなどの移動サービスの実現は、まちの回遊性の向上や交通弱者の移動手段になるなど、多様な移動ニーズを抱える東京にとって大きな意義がございます。
 このため、来年度から新たに自動走行技術を使ったビジネスモデルとして、例えば、配車アプリを用いた送迎サービスを行う自動走行タクシーや、ロボット等による接客サービスを行う自動走行バスといった提案を民間事業者から募り、事業化に向けた支援を行ってまいります。
 この取り組みにより、移動サービスの事業可能性や技術的な課題等を明らかにし、早期の事業化を後押ししてまいります。
 次に、自動走行の実証実験を推進するための普及啓発についてでございます。
 このような新しい技術が都民の理解、賛同を得て、地域社会の中で受け入れられることは、自動走行システムの実用化を促進するための不可欠な要素でございます。
 このため、来年度から新たに、一般都民向けに自動走行車の試乗会を行うとともに、国とも連携しながら、最新の技術動向や利便性、安全性などを紹介するシンポジウムを開催してまいります。
 こうした取り組みを通じ、自動走行システムを理解、体感していただくことで、都民の不安をできる限り解消し、自動走行の実証実験を円滑に進めるための環境づくりを行ってまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) IWA世界会議を通じた国内における水関係企業のPR活動の支援に関する準備状況についてでございますが、九月に東京ビッグサイトで開催される今回の会議では、国内外から約六千人が参加し、約二百の企業等が製品等をPRする大規模な展示会も同時に行われます。
 そこで、展示会場に八十を超える国内企業等が一体となって出展するジャパン・パビリオンを設け、日本のプレゼンス向上を図るとともに、ビジネスマッチングの機会を提供するための商談用スペースを充実させます。
 また、ビジネスフォーラムやセミナーの開催などを通じて、国内企業の製品や技術のPRを支援いたします。
 このような取り組みを通じて、企業のPR活動を積極的に支援する準備を着実に進め、日本の先進的な技術による世界の水問題解決につなげてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、習熟訓練を踏まえた対策についてですが、豊洲市場では、昨年十月以降、業界団体が主催いたします大規模な習熟訓練が開催されております。業界団体からは、訓練の結果を踏まえまして、さまざまな意見が寄せられております。
 例えば、案内板の不足や交通標示が見づらいといった意見をいただいており、都ではこれを受けて、場内サインの改修など、施設の改善に向けた取り組みについて、業界と調整しながら進めております。
 また、業界による習熟訓練が実施しやすい体制を整えるため、豊洲市場への入場時間を延長するとともに、入退場ができるゲートの数を順次ふやしてきたところでございます。
 今後とも、業界と連携し、相互に知恵を出し合いながら、より使いやすい豊洲市場の実現を目指してまいります。
 次に、市場業界との協議についてでございますが、豊洲市場への移転に当たっては、築地市場で働く市場業者の方々の理解と協力をいただくことが重要でございます。
 このため、都では、新市場建設協議会等におきまして、都の取り組み状況を報告するとともに、業界団体からの意見も踏まえて、街区別に設置いたしました協議体において実務的に調整しつつ、豊洲市場の使い勝手の向上に向けた取り組み等を進めているところでございます。
 また、業界団体から寄せられた要望につきましても、一つ一つの内容をしっかりと検証した上で、必要な予算を計上したところでございます。
 都といたしましては、こうした都の取り組み状況を丁寧に説明し、業界団体の理解を得られるよう努めるとともに、引き続き業界団体と真摯に向き合いながら、移転に向けたさまざまな課題につきまして精力的に調整してまいります。
 次に、業界要望に関する予算措置についてですが、豊洲市場への移転に向けて、業界団体からはさまざまな要望が寄せられており、開場後の円滑な市場運営を実現するためには、こうした声に真摯に対応する必要がございます。
 このため、都では、業界の意見や要望を踏まえて、ハード、ソフト両面からの取り組みを進めるために必要な予算を計上いたしました。
 具体的には、豊洲市場の安全性をさらに向上するための追加対策工事や、通勤駐車場のトイレ整備といった施設整備に関する費用に加えて、風評被害の払拭に向けた取り組みや、水産、青果の買い回りの支援、ターレの充電コードの購入等に要する費用を計上したところでございます。
 今後とも、業界の声に耳を傾けながら、連携協力して開場に向けた準備を進めてまいります。
 次に、豊洲市場の情報発信策についてですが、メディアを通じて、豊洲市場の魅力を発信していくことは、多くの方々に正確な情報を伝える手段として重要でございます。
 都はこれまで、国内メディア向けの見学会を開催するとともに、個別取材の要請にも丁寧に対応し、豊洲市場施設の特徴などの発信に努めてまいりました。
 また、先月には、これまで取材機会のなかったロイター通信を初めとした海外メディア等十五社に対しても市場見学会を開催したところでございます。
 今後とも、海外メディア等に対する情報提供の継続的な取り組みや、国内外のメディアへの情報発信の強化に取り組んでまいります。
 最後に、解体工事等において講じる対策についてですが、跡地における各種工事に当たり、騒音、振動対策や作業時間などに加え、解体工事についてはアスベスト飛散防止を含め、詳細な施工計画を作成し、近隣の方々への影響が最小限になるよう対策を講じてまいります。
 また、周辺交通への影響に配慮し、工事車両の出入り口を限定するとともに、発生するコンクリートの廃材を場内で再利用するなど、工事車両の抑制に取り組んでまいります。
 その上で、築地地区などのまちづくり協議会や、場外市場など近隣の方々へ、車両基地整備工事等の並行する工事とともに、解体工事の施工計画について、事前に十分な説明を行うこととしております。
 近隣の方々へ丁寧な対応を行うことにより、円滑な工事の実施を図ってまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五十八分休憩

   午後四時十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番東村邦浩君
〔百八番東村邦浩君登壇〕

○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問します。
 初めに、二月四日に逝去されました名誉都民三橋國民さんに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 このたび、私は、東京都議会の超党派の視察団の団長として、平昌五輪を視察いたしました。氷点下の寒さとハードなスケジュールの中、課題調査のためにご協力をいただいた二十二名の視察団の皆様に、この場をおかりしまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今回の視察で改めて実感したのが、オリンピック・パラリンピックは、平和が保たれていてこそ開催できるということであります。五輪大会は、スポーツと文化の交流を通じて、世界の人々に平和のとうとさと共存や相互理解の大切さを訴え、確認し合う祭典であるべきであります。
 二度目のオリンピック・パラリンピック大会を開催する東京が、二〇二〇年の大会を機に、どういったメッセージを発信し、レガシーとして残していくか、これは大変重要な課題です。
 そこで申し上げたいのは、我が党が昨年の第四回定例会の代表質問でも取り上げたSDGsの視点の重要性であります。二〇二〇年の東京大会は、この視点に立った社会的な取り組みがまさに大きく踏み出す大会とするべきです。
 折しも国連は、二〇一五年の九月、SDGs、すなわち誰ひとり置き去りにしない持続可能で、全ての人を社会の一員として取り込み、支え合う社会を国際社会が協調して目指すことを全会一致で採択しました。その中では、貧困や格差の是正、気候変動や教育、ジェンダーなど十七分野での取り組みが二〇三〇年までの達成目標として掲げられています。
 日本政府も、首相を本部長とする推進本部を設置し、実施指針やアクションプラン二〇一八を策定しています。
 一方、今日では、人類の約五〇%が都市に住んでいることから、SDGsの目標達成でも、都市、とりわけ大都市が大きな鍵を握っています。
 東京二〇二〇大会の準備や運営はもちろんのこと、いつ発災しても不思議ではない首都直下地震への対策や、世界に類を見ない超高齢化への対応など、東京が直面する課題は、どれもが誰ひとり置き去りにしないという視点から、持続可能な社会に向けて解決を図るべき課題ばかりであります。
 そこで、知事に伺います。
 知事のリーダーシップのもと、都において、SDGsを強力に推進していくため、まずは二〇二〇実行プランやグランドデザインなどをSDGsの視点で整理をし、国とも連携して、これらを確実に実行することにより、世界の都市をリードすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会について質問します。
 平昌の冬季オリンピックは、厳しい寒さの中での開催でしたが、実は、暑い夏に開催される東京大会の準備の上でも大変参考になりました。
 開会式の会場は、離れた場所にある駐車場から専用ピストンバスに乗りかえる必要がありました。問題は退場時です。開会式後、退場客は震えながら、長い時間専用ピストンバスの到着を屋外で待たなければなりませんでした。
 東京大会は、平昌の寒さとは反対に厳しい暑さの中での開催となります。退場時の待機場所は、空調を整えた屋内の待機施設とするべきであります。東京大会での対応について見解を求めます。
 平昌では、開会式後、まだ退場客が残っているにもかかわらず、鉄道が終電となり、運行をとめてしまったため、ようやく駅にたどり着いた退場客が、さらにそこで、厳しい寒さの中で立ち往生するという事態が発生しました。
 東京大会では、こうした事態は絶対にあってはなりません。開会式の会場となる国立競技場からの帰りに利用するJRや東京メトロなどの交通機関は、最後まで退場客を輸送できるよう、万全な運行体制を確保すべきです。準備状況について答弁を求めます。
 平昌だけでなく、首都ソウルの状況も調査してまいりました。ソウル市庁舎前のメーンストリートには、五輪競技を大画面で生中継するライブサイトが設けられていました。こちらは寒さの中でも観戦できるよう、大規模な屋内施設となっていました。
 東京大会においても、多くの人たちが臨場感を持って、熱い応援を送るライブサイトを設置し、盛り上げを図っていくと思います。暑さを考慮すれば、ライブサイトの屋内化は不可欠であります。答弁を求めます。
 ソウル市内には、一九八八年のソウル五輪と今回の平昌大会の記念館があり、招致準備から開催の成果まで、両大会のレガシーを残す貴重な展示施設となっています。ただ、大会期間中であるにもかかわらず、訪れる人が大変少ない印象を受けました。
 そこで、都においては、例えば都庁展望台など多くの人が集まりやすい施設を積極的に活用して、一九六四年大会のレガシーを含め、二〇二〇年の東京大会の記憶を後世に長く伝える記念施設を設置すべきと考えます。知事の所見を求めます。
 オリンピックに関連し、観光振興について質問します。
 訪日外国人の数は年々順調に増加していますが、一方で、外国人観光客からは、夜間の楽しみ方についての不満も聞かれます。ロンドンでは、深夜までショーが開かれて、飲食店も観光客でにぎわい、地下鉄も週末は二十四時間運行です。この夜間市場が、イギリス全体に年間四兆円の経済効果と百二十五万人の雇用を創出しているといわれております。
 一方、二〇二〇大会の立候補ファイルには、サッカーの競技終了時間が二十四時、バスケットボールは二十四時半までと記載されており、帰路が深夜に及び、観戦後に飲食などで盛り上がることも想定されます。
 そこで、東京においても、期間を限定して、都営地下鉄や都の文化施設の営業時間の延長、夜間での文化プログラムの開催などを総合的に検討するべきです。まずはその可能性を探るためのニーズ調査を、旅行者を対象に実施してもよいと考えます。
 治安のよい東京の夜間観光を、食、自然、歴史に続く第四の柱に位置づけ、その魅力を海外に向けてわかりやすく発信すべきであります。あわせて見解を求めます。
 観光振興に関連して、民泊について質問します。
 訪日外国人の増加に伴い、民泊サービスが急速に普及し、周辺住民とのトラブルが頻発し、問題となっています。
 今般、国は、観光振興と住民トラブル防止に向けて住宅宿泊事業法を創設し、年間百八十日を上限に全国レベルでの民泊を解禁しました。六月の実施に備え、都道府県への届け出も三月十五日からスタートします。
 都も、民泊実施に備え、事業者のガイドラインを策定しました。また、二十三区でも独自に条例を制定し、民泊の規制を設ける動きも出ています。
 そこで都は、トラブル防止に向けて、新制度の内容を都民に丁寧に周知するべきです。加えて、さまざまな苦情などを庁内横断的に受け付ける体制を整備し、二十三区や保健所を設置している市も含めて、情報の共有化を図り、都内関係者が連携して違法民泊の発生を防ぐ体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、医療、福祉政策について質問します。
 初めに、二〇二五年問題です。
 いわゆる二〇二五年問題は、団塊の世代の方々が一斉に七十五歳以上に到達し、日本人の人口の五人に一人が後期高齢者になるという超高齢社会が訪れることであります。
 増大する社会保障費の抑制に向け、国は、在宅での医療、介護を強化する地域包括ケアを推進しています。しかし、その推進には幾つかの課題があります。
 まず、認知症の問題です。
 認知症を発症しても、家族のもとで生活できることは大変に望ましいことです。反面、家族の負担ははかり知れないものがあり、本人にとっても、徘回などにより、悲しい結末を迎えてしまうおそれがあります。こうした中、住みなれた地域で家庭的な雰囲気で暮らすことのできる認知症グループホームは、これから重要な役割を担います。
 ただ、認知症グループホームの最大の課題は利用料です。毎月十五万円から二十万円も要し、特別養護老人ホームとは大きく異なります。
 その理由は、特別養護老人ホームの場合、居住費や食費が介護保険の対象になるのに対し、認知症グループホームの居住費や食費は介護保険の対象にならない点にあります。
 したがって、国民年金で生活をする方は、認知症グループホームにあきがあっても、経済的な理由で入所を断念せざるを得ません。
 公明党の強い推進により、私の地元八王子市では、平成三十年度より住民税非課税世帯を対象に、認知症グループホームの居住費と食費の助成を行い、特別養護老人ホームの自己負担額と同額で入所できる制度を構築しました。
 ほかにも、低所得者等の利用者に対する家賃助成は、現在、都内五つの自治体で行われています。このような制度を東京全域に広げていくべきと考えます。
 都は、区市町村の利用者負担軽減に向けた取り組みが進むよう、財政的な支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次いで、老老介護の問題です。
 病院や施設から在宅へという流れの中で、これからますますふえてくるのが老老介護であります。介護をする方が、一度病気や要介護者になった場合、介護を受けている方をすぐにでも施設に入所できれば問題はないのでしょうが、現実はなかなかそのようにはいきません。こういった事態を鑑みると、都としても、レスパイトの制度を構築する必要があると考えます。
 都議会公明党は、昨年の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、在宅と特別養護老人ホームを結ぶ中間施設であり、ショートステイを実施している介護老人保健施設を今後レスパイトとして活用すべきと提案いたしました。その際、福祉保健局よりさまざまな課題を整理し、実現可能性について検討していく旨の答弁がありました。
 その後一年がたちました。いよいよ都は、介護老人保健施設のショートステイを活用したレスパイトの取り組みを本格的に開始すべきです。見解を求めます。
 老老介護が増加する一方で、単身高齢者の世帯もふえています。ひとり暮らしの高齢者が常時介護を必要とする場合など、今後も、特別養護老人ホームの整備は重要です。人件費や資材価格の高騰などにも積極的に対応し、整備を進めるべきです。
 加えて、都内では、一九七五年前後に建てられた特別養護老人ホームが多く、老朽化が問題となっています。特別養護老人ホームが、今後も地域の介護サービスの拠点として役割を果たすためには、新たな施設の整備に加え、既存施設の建てかえを支援すべきです。あわせて見解を求めます。
 次に、都が現在策定中の医療関連の諸計画について質問します。
 まずは、東京都保健医療計画についてであります。
 医療法改正に伴い、都は、平成二十八年七月に、東京都地域医療構想を策定しました。構想では、病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの機能に区分し、平成三十七年の都の必要病床数を十一万三千七百六十四床と推計しています。
 平成二十八年度に都内の病院や診療所がみずからの病床の機能の現状を都に報告していますが、都の構想で示された機能別の必要病床数と比較すると、高度急性期や急性期病床の構成割合が高く、回復期病床の割合が著しく低い状況になっています。回復期病床との機能分化を進める必要があります。
 高齢化の進展に伴い、増大する医療需要に対応するためには、地域の実情に応じた病床の機能分化と医療機関相互の連携が課題と考えますが、都の取り組みについて見解を求めます。
 また、主に慢性期を担う療養病床のうち、介護保険が適用される介護療養病床と看護師配置が二十五対一の医療療養病床が今年度末で廃止されます。介護療養病床は、平成三十五年度末までの経過措置を経て、介護医療院などに転換されていくことになりますが、その進展は未知数です。
 今後、増加が見込まれる慢性期の医療、介護ニーズに対しては、都民に不安を感じさせない確実な対応が不可欠です。都の見解を求めます。
 次に、東京都がん対策推進計画についてであります。
 AYA世代といわれる十五歳から三十九歳の思春期及び若年成人のがん患者を支える体制の構築は重要な課題であります。この年齢層の方々は、患者数が他の世代に比べて少ない特徴があり、疾患の内容も多岐にわたり、病気の進行が早い傾向もあります。
 今後の取り組みとして、適切に情報を提供していくこと、支える家族のニーズの把握に努めていくこと、小児と成人領域の間で適切な治療やケアが行われる医療体制を構築していくことが大変重要であります。
 そして、就労支援はもちろんのこと、進学、結婚、出産、育児など生活全般の分野で希望が持てる支援策を進める必要があります。そのためにはまず、早期に実態調査を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 都議会公明党が求めてきた緩和ケア病床は、三十病棟、五百九十八病床と前進しています。都立駒込病院には、緩和ケアの専門病棟がありますが、多摩地域の中心的な医療施設である都立多摩総合医療センターにはなく、同センターの一般病棟における緩和ケアの取り組みを進める必要があります。
 今後も、がん患者の増加が見込まれることから、がんと診断されたときから、適切に緩和ケアが受けられるように、しっかりと体制を整備すべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、シルバーパス制度について質問します。
 七十歳以上の都民が取得できるシルバーパスは、我が党の提案により、高齢者の社会参加を促進するために一九七四年に導入された制度です。以来、多くの高齢者に利用され、平成二十九年度には、利用者数が約百万人となりました。
 高齢者が今後ますますふえることから、公共交通としてのバスは、生活の足として一段と重要な移動手段になります。シルバーパス制度については、低所得者がより利用しやすいよう所得に応じて段階的に本人負担額を軽減してほしいとの声や、シルバーパス制度の適用範囲を拡大してほしいとの声もあります。
 そこで、シルバーパス制度を持続可能な制度とするために、まず都は、制度の実施主体である東京バス協会、さらには高齢者の所得実態を把握している区市町村に協力を求め、シルバーパスの利用状況について実態調査を行うべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、待機児童対策について質問します。
 女性活躍社会の大前提となる保育園待機児童解消に向け、積極的な支援が求められています。最近は特に、ゼロ歳児から入園させないと、一、二歳児での入園が困難になるとの不安から、ゼロ歳児入園の希望が集中し、入園可能なポイントに達していても待機児童となるケースが生じています。
 また、働き方改革の進展に合わせて、多様な就労スタイルに対応できる子育て支援にも期待が高まっています。
 そうした中、ベビーシッターの利用は大変有効と考えます。しかしながら、第三者の目が届かない、一対一の保育環境という課題もあり、専門性、信頼性の確保が何よりも求められるところであります。
 ベビーシッター制度が、待機児童対策として保護者から安心感を持って受け入れられるためには、適正な保育の実施を担保する取り組みや、従事する人材の適正な確保と育成を導く支援について、都が積極的に対応すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、保育人材について質問します。
 待機児童解消に向け、施設の増設とともに、保育士のキャリアアップの推進も重要です。国は、平成二十九年度からキャリアアップのための新たな研修を開始し、その実施主体は都道府県とされております。したがって都は、適切な開催会場の確保や参加費用の負担など、各事業者や保育士が参加しやすい工夫を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の支援について質問します。
 我が党は、議会質問等を通し、一貫して医療的ケアを必要とする児童生徒に対する支援の必要性を訴えてきました。
 まず第一点目は、医療的ケアの必要な児童生徒の通学手段の確保です。現在、スクールバスに乗車できない児童生徒が二百人以上います。
 都議会公明党は、昨年十二月二十日に行われた平成三十年度予算編成の要望の際に、直接小池知事に対し、医療的ケア児の通学を可能とするスクールバスを全校一斉に導入するよう強く要望しました。
 知事がこの要望を受け、全校導入を予算に盛り込んだことは高く評価するところであります。都立特別支援学校に在籍する全ての医療的ケア児が安心して通学できる手段を確保すべきです。改めて知事の見解を求めます。
 二点目は、特別支援学校における看護師の体制強化です。人工呼吸器が必要な児童生徒は、呼吸器の取り扱いが親に限定されていることから、通学も授業中も親の付き添いが求められています。
 この問題について、先日の参議院予算委員会で公明党は、看護師が配置されている場合でも親の付き添いを学校側から求められるケースが多い実態を指摘し、見直しを求めました。これに対して、文部科学大臣から、人工呼吸器の管理などのあり方について、通知の見直しを行うとの意向が示されました。
 こうした状況を踏まえ、都は、通学と授業に親の付き添いを不要とする環境を整備するため、人工呼吸器の管理について体制を検討するべきと考えます。見解を求めます。
 三点目に、医療的ケアを必要とする障害児への訪問看護についてであります。
 訪問看護ステーションの多くは高齢者への対応が中心となっており、高い専門性が求められる医療的ケア児に対する訪問看護ステーションは不足しています。
 その分、保護者の負担が大きくなっていることから、医療的ケア児の訪問看護に対応する訪問看護ステーションを拡充するべきです。見解を求めます。
 四点目は、障害児の通所施設についてです。
 家庭、学校以外の居場所となる障害児の通所施設は増加していますが、医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる施設はまだ少ないのが現状です。
 厚生労働省は、平成三十二年度末までに、各区市町村に少なくとも一カ所以上確保することを基本とする目標を掲げています。
 都としても積極的に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、心身障害者医療費助成制度について質問します。
 精神障害者を医療費助成の対象に加えることについて、都議会公明党は、昨年の本会議だけでも代表及び一般質問で繰り返し訴え、関連する請願もリードし、全会一致での採択を導きました。
 こうした努力が実り、都は、来年度予算案において、精神障害者を新たに医療費助成制度の対象とするための約二億八千万円を計上しています。これまでの対象者に精神障害者の方が除外されていたことを踏まえれば、大きな前進と評価します。
 そこで、助成の開始に向けた今後のスケジュールや、精神障害者について助成の対象を一級に限定した理由などについて、見解を明らかにしていただきたいと思います。
 我が党とともに運動を進めてきた家族会などの皆さんからは、喜びの声が多数届いております。それとともに、当然、さらなる前進を求めてやまない患者、家族の期待も高まっています。
 こうした要望への対応を含め、精神障害者支援のさらなる充実について、都の見解を求めます。
 次いで、新生児の聴覚検査について質問します。
 昨年の第三回定例会において、都議会公明党は、全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、都内の全区市町村が共通して取り組むことが必要であり、都として財政面も含めて、区市町村を支援すべきと訴えました。
 都は、我が党の提案を受けて、区市町村及び東京都医師会との間で、昨年十二月から協議を開始したと聞いております。
 先天性の聴覚障害であっても、早期発見、早期療養により、音声言語発達等への影響を最小限に抑えることができるといわれており、妊産婦への新生児聴覚検査の周知、検査を実施する医療機関の体制確保、早期療育への支援の充実などが必要です。
 そこで、全ての新生児が新生児聴覚検査を受けられるようにするために、公費負担制度を整備するとともに、区市町村や医療機関などが連携して推進する体制を構築すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、福祉タクシー、介護タクシーについて質問します。
 都は一昨年より、環境性能の高いUDタクシー、いわゆるユニバーサルデザインタクシーの導入に向けた補助事業を開始しております。
 これまで、昨年十月には、トヨタからジャパンタクシーが発表され、初のタクシー専用ハイブリッド車として高い環境性能を有することに加え、お年寄りや大きな荷物を持った外国人にも使いやすく、車椅子でも利用可能なものとなっております。
 しかしながら、都が立ち上げた補助制度では、補助対象から車椅子やストレッチャー利用者が利用する福祉タクシーと介護タクシーを担う事業者が排除されています。
 福祉、介護タクシーは、高齢者や障害者の乗りおりを介助するなど、ユニバーサル社会の実現に先駆的な取り組みをしてきましたが、車二、三台で運営している事業者がとても多く、車両の買いかえ時期を迎えていることもあって、現状のままでは、都の補助制度を利用できないことによって、大きな負担が生じ、存続が危ぶまれます。
 福祉、介護タクシー事業者も、本補助制度の対象とすべきです。都の見解を求めます。
 次に、子供食堂への支援について質問します。
 子供の居場所づくりにも貢献できる取り組みとして子供食堂が注目されています。
 現在、さまざまな地域でその取り組みが行われていますが、多くはボランティアによるもので、運営は大変厳しいと聞いています。子供が身近な地域の中で利用でき、ここでのかかわりの中で、支援が必要な子供がいれば適切な援助につなげていくことが重要です。
 子供食堂の取り組みを広げ、安定的かつ継続的に運営できるよう、都は支援を充実すべきです。都の見解を求めます。
 次に、自立援助ホーム入居者の医療費補助について質問します。
 自立援助ホームは、児童養護施設等の退所者などで、義務教育終了後、自立を目指す人に対し、日常生活上の援助や生活指導を行うことを目的に設置されています。
 しかし、近年は、保護者からの虐待などのさまざまな理由により、家庭から直接入所する人が多くを占めるようになり、また、精神的に不安定な方もふえるなど、その状況は大きく変化をしてきています。中には、通院やカウンセリング等の治療を受けないまま、入居に至っている人もいます。
 こうした人を早期に医療につなげ、継続した治療に結びつけることが必要と考えます。
 しかしながら、現状は、入居してから就労するまでの収入がない期間に限ってのみ、医療費補助が制度化されています。一旦就労すると、医療費の支援が受けられません。体調不良で休みがちであり、十分な収入を得られない人は治療の継続が経済的に厳しくなっています。
 そこで、就労していても収入が少ない入居者に対しては、心身の安定を図りながら自立を促すため、都として医療費の支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 まず、住宅確保要配慮者に向けた取り組みであります。高齢者や障害者、ひとり親世帯などの入居を拒まない住宅への登録制度の普及、活用は、ふえ続ける空き賃貸住戸の活用策として重要であるだけでなく、都営住宅の応募倍率が高どまりしている現状が続く中で、住宅確保要配慮者が安心して民間の賃貸住宅で暮らし続けられる社会を築くという意味で期待できます。
 しかし、登録制度の実施主体は都であるものの、改修費や家賃の抑制、債務保証を対象とした実際の補助事業は、区市町村の関係窓口を通じて実施されることになります。
 加えて、そもそも、登録をするしないの判断は、貸し主側が行います。貸し主の関心を喚起し、区市町村が積極的に取り組めるような補助事業とすべきであります。
 既に我が党は、昨年の第三回定例会の代表質問で、国制度の枠内にとどまらず、都独自の積極的な支援を求めたところであります。
 住宅確保要配慮者の居住の安定に向け、新年度からは都の支援策を強化すべきです。具体的な内容について見解を求めます。
 次いで、空き家対策であります。
 空き家の増加は、地域の活力や生活環境に影響を及ぼすため、東京のまちづくりにとって重要な課題です。空き家の増加を都政課題の解決につなげるという意味で、空き家対策は重要です。
 都の区市町村に対する技術的な支援や補助制度の整備により、実態調査や計画づくりなどは進んできていますが、利活用等の取り組みについては、まだまだ実績が少ない状況も見受けられます。
 空き家対策を進めるため、区市町村に対する支援など、さらに取り組みを強化していくべきと考えますが、見解を求めます。
 このほか、都営住宅などの管理、運用を初め、少子高齢化や人口減少への対応、災害被害の未然防止や省エネの推進、中古住宅の流通の活発化など、東京の住宅政策は多岐にわたります。
 こうした課題を機能的に解決していくためには、我が党が一貫して主張しているように、住宅局の復活が不可欠であります。知事の決断を求めます。
 次に、警視庁が今定例会に提出している東京都水上安全条例について質問します。
 近年、都内の河川や運河において、水上バイクやプレジャーボート等の小型船舶の危険操縦、迷惑行為、衝突事故等が後を絶たず、規制の強化が求められていました。
 このため、条例案は、現行の東京都水上取締条例を全面的に見直し、取り締まりや罰則を強化して水上運航の安全を高める内容となっております。
 例えば、酒酔い、酒気帯び操縦や、蛇行などの危険操縦には罰則を設け、現行条例では対応できない行為を取り締まることができるようにしております。
 しかし、騒音や速度、他の船舶の航行妨害等は、水上という特殊な状況ということもあって明確な罰則規定がなく、警察による対応が曖昧になりかねません。
 そうした状況でも水上運航の安全を十分確保するためには、防犯カメラの設置、警察水上バイクの導入、通報即応体制など、警察対応能力を高めるべきと考えます。警視総監の見解を求めます。
 また、水上バイク等の航行が多く見られる臨海エリアの河川や運河は、付近に東京二〇二〇大会の競技施設や選手村などの関連施設が集約している地域です。競技や運営に支障が生じないように、条例の運用には大会運営部門と連携し、必要な措置を講じていくべきと考えますが、見解を求めます。
 今定例会には、警視庁から迷惑防止条例改正案も提出されております。盗撮やつきまとい行為が後を絶たないだけでなく、巧妙化している状況に対応するために、規制を強化することが主な改正内容となっております。
 このうち、盗撮行為については、新たに規制する場所として、住宅、トイレ、浴場、更衣室などのプライベートな場所や、学校、事務所、タクシーなど多数の人が出入りする場所や、乗り物も追加する内容となっております。
 そこでまず、こうした場所や施設を新たな規制対象として追加した背景について説明していただきたいと思います。
 改正条例案に掲げる盗撮行為の新たな規制場所は、東京二〇二〇大会での選手村の居室と関連施設、大会の観客等が大勢利用すると想定される民泊施設も対象になるのか、見解を求めます。
 一方、他の道府県の盗撮行為の条例規制については、地域の状況によって差異があると承知しておりますが、今回の東京都における改正が、今後、他の道府県が制定する条例に与える影響について見解を求めます。
 次に、東京消防庁の救急隊の増強について質問します。
 平成二十九年において、救急隊が出動してから現場に到着するまでに要する時間は、東京消防庁の平均で七分十九秒であり、前年より十一秒短縮しています。しかし、東京二〇二〇大会の立候補ファイルでは、現場到着時間の目標を七分としており、現在よりさらに十九秒も短縮する必要があります。
 そこで、東京消防庁は、新年度に救急隊を増強するとのことですが、現場到着時間の短縮に向けた具体の方策について見解を求めます。
 一方、軽症者など不要不急な救急車の出動要請は年々増加しています。このことに対策を講じないと、せっかく救急隊を増強しても、増加する不要不急の出動要請への対応に追われてしまう事態も想定されます。
 救急隊の体制強化を契機に、長年の課題となっている不要不急な救急要請を抑制するための対策について消防庁の見解を求めます。
 一方、東京消防庁は、東京二〇二〇大会の際の救急体制を担う大事な部門です。大会に備えた救急車の配置、救急隊の人員確保と外国語対応、そのための訓練等、通常業務以外の対応が必要になります。あわせて、大会時の大規模な事故やテロ等の対応についても、体制を構築しておかなければなりません。
 東京二〇二〇大会の成功に向け、東京消防庁のテロ災害への取り組みについて見解を求めます。
 次に、市町村の消防団への支援について質問します。
 現在、二十三区では一万三千五百人、多摩地域で七千九百人、島しょ地域で千二百人、合計二万二千六百人の消防団の皆様によって、都内各地域の安全・安心を守っていただいております。
 こうした消防団の皆様の活躍を支えていくために、都は、二十三区では東京消防庁の予算で資機材等の配備を進めており、毎年平均四十一億円の予算を組み、来年度は新たに、全ての分団にAEDを配備する予算となっております。
 しかし一方で、都から市町村の消防団への予算は、二十三区のわずか三%程度の、毎年平均一億二千六百万円にとどまっております。
 いかに各市町村のもとに編成されているとはいえ、二十三区の消防団との資機材配備、予算の充当等について状況が違い過ぎるといわざるを得ません。各市町村の消防団が配備すべき装備は、東京消防庁が力を入れて配備している二十三区の消防団と同じ基準とすべきであります。知事の見解を求めます。
 このたび、公明党の強い主張を受けて、市町村総合交付金が五十億増額されて五百五十億円となりました。
 このうち二十億円は、都と市町村の政策連携枠に充てるとされておりますが、この政策連携枠については、消防団の装備の充実にも充てるべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、女性の視点を生かした防災対策について質問します。
 大規模災害発生時には、避難所での妊産婦や子供への配慮、ペットのための備えなど、被災者の多様なニーズへの対応が切実な課題となります。こうした課題に対応し、よりきめ細やかな防災対策を進めるためには、女性の力を、防災対策においても、より生かしていくことが不可欠です。
 先般、都議会公明党が提案を行ってきた女性視点の防災ブック「東京くらし防災」が完成し、本日三月一日から配布を開始いたしました。また、女性の防災人材育成に向けたカリキュラムが示されるなど、取り組みが進んでいます。
 今後は、こうした取り組みの成果を生かしながら、女性の視点を反映した防災対策をさらに前進させていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、商店街の振興について質問します。
 都議会公明党は、昨年の第三回定例会の代表質問で、空き店舗や後継者難に苦しむ店舗の新たな担い手を育てるため、若者や女性を対象に、コンペ方式などで企画提案を募るべきと提案しました。
 これらの人々のアイデアを生かした店舗が商店街でにぎわえば、新たな購買層という集客の増強にも効果を発揮するものと考えます。都の今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、働き方改革について質問します。
 都は、働き方改革に関する対応として、特にテレワークに力を入れており、モデル導入の事業を実施しています。
 働き方改革は、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス型など、業種や職種により異なる事情に配慮した支援をする必要があります。そのためには、実証実験で浮かび上がった内容を広く周知することが大事です。
 加えて、多様なワークスタイルを促進するため、誰でも利用できるサテライトオフィスの設置を支援すべきと考えます。あわせて所見を求めます。
 中小企業に関連して、工業用水道について質問します。
 第四回定例会の代表質問で取り上げたとおり、都の工業用水道は、給水開始から五十年以上経過し、配水管など施設、設備の本格的な更新期が到来しています。もはや老朽化は待ったなしの段階で、首都直下地震の切迫性も高まる中、既に十年以上にわたり検討中としている事業の継続、廃止の判断を、これ以上先送りすることは許されない状況にあります。
 そのような中、工業用水道の廃止が決定したような報道があり、この先、自分たちがどうなるのか、不安な毎日を過ごしているユーザーも少なくありません。
 そこで、こうしたユーザーの方々と真摯に向き合い、例えば、工業用水道の現状や今後の課題などについて、直接会って意見交換を行うなど、最終判断に向けた検討をより丁寧に進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、工業用水道を利用する集合住宅への影響も見過ごすことはできません。個々の使用水量が少量とはいえ、都営住宅やUR団地などの集合住宅では、現在でも約三万五千戸の居住者が、水道料金に比べて低廉な工業用水道をトイレの洗浄水に利用しております。
 そこで、工業用水道事業のあり方の検討に当たっては、集合住宅ユーザーに対しても丁寧な説明を行うとともに、仮に事業を廃止せざるを得ないという判断に至った場合でも、庁内各局で連携し、こうしたユーザーにきめ細やかな支援を行っていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 東日本大震災発災から七年を迎えようとしています。被災地では、記憶の風化とともに、いまだ農作物や観光において風評被害から脱却できない状況にあります。加えて、福島県から避難をしてきた子供たちがいじめに遭っている状況も報道されています。
 そうした中、都は、都議会公明党の提案を受け、発災直後の平成二十三年の夏休みから、都内各地で被災地の子供たちと東京の子供たちがスポーツを通じた二泊三日の交流事業を行っています。
 私の地元の八王子においても、野球とサッカーが交流事業として行われており、宿泊は、被災地の子供たちがホストファミリーの家にホームステイをしています。その後、このホストファミリーが被災地の子供たちの家族と毎年相互に行き交う心温まる交流も行っています。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、復興五輪の意義も込めて開催されます。被災地の子供たちとのスポーツ交流事業も二〇二〇年には十年目の節目を迎えます。
 そこで、東京オリンピック競技大会において、今までこの事業にかかわってきた東京の子供たちと被災地の子供たちが再会できる場を都が設定してはどうかと考えますが、知事の見解を求めます。
 被災地の大きな産業の一つが、観光産業であります。しかし、いまだ福島県は、震災前の観光客数に戻っていません。福島県からも、都が平成二十三年から実施している一泊当たり三千円を助成する被災地応援ツアーをぜひとも継続してもらいたいとの強い要望がありました。
 都は、引き続き被災地応援ツアーを継続すべきと考えますが、見解を求めます。
 福島県の観光産業の中でも、とりわけ強い期待があるのが教育旅行であります。本年一月には、産業労働局と総務局とが連携し、都立学校長を初めとする公立の小中高等学校の関係者向け会議の場で、被災地応援ツアーの活用を含めた福島への教育旅行の情報を提供しています。福島県からも、今後さらに強力に推し進めていただきたいという要望もいただいております。
 そこで、都として、平成三十年度は、福島県への教育旅行の支援を継続するとともに、支援を強化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、小笠原の航空路整備について質問します。
 本年は、小笠原諸島が日本に返還されてから五十周年目の節目となります。五十周年を迎える小笠原村の最大の課題は、航空路の整備です。
 都はこれまで、長期間にわたり調査検討を行ってきましたが、残念ながら大きな進展はありませんでした。
 しかし、昨年七月に、都による小笠原航空路協議会が七年ぶりに開催されました。また、本年一月、知事は、小笠原航空路について、さまざまな観点から、飛行場のあり方について改めて検討すると発言されています。
 返還五十周年の節目に当たることしこそ、小笠原村民の悲願である航空路整備を大きく前進させるべきと考えます。その決意について、知事に見解を求めます。
 次に、監理団体改革について質問します。
 都は、二月五日に二〇二〇改革プランの素案を公表し、パブリックコメントを実施しました。そのような中、一月の都政改革本部会議に特別顧問から出された資料の中で、上下水道などについて民間への業務移譲の可能性が取り上げられています。上下水道の管理運営は、都民の生命にかかわる重要課題であります。
 しかし、テロの危険性や災害時における迅速な復旧、広域支援の体制整備においても、果たして民営化で行政としての責任を果たせるかという点で大きな疑問があります。
 また、都民のセーフティーネットである都営住宅などの住宅行政の一部を民間へ業務移譲する方向性も選択肢の一つとして示されています。都議会公明党は、これに重大な危惧を抱くものです。
 我が党は、一昨年九月、大阪府や大阪市を訪問して関係者と意見交換を行い、現在の都政改革本部で重要な役割を担う顧問が、同地で同じような立場でどのようなことを行ってきたのかを見聞してまいりました。
 大阪府、市では、公営住宅の管理業務の一部が民間に委ねられています。その結果、どうなったか。住民サービスの質が大きく後退する結果となったというのが、現地に同行した我が党議員の一致した見解です。管理業務を請け負った民間企業は、住民サービスよりも利益を優先する姿勢で臨みがちであり、一部の業務を引き続き請け負う住宅供給公社も、スケールメリットを生かすことができなくなり、加えて、民間企業と競い合うため、コストカットが至上命題化し、従前の住民サービスを維持できなくなっています。
 監理団体の多くは、公共性や災害対応などの不採算部門における役割を引き続き重く受けとめているからこそ、都庁各局との一体性を維持しているのであります。
 監理団体改革は、住民サービスや公共性などの観点では少しも後退させるべきではなく、その上で、経理、業務内容に不透明な点があれば、これを徹底的に見直す方向で検討すべきです。知事の見解を求めます。
 最後に、入札契約制度改革について質問します。
 昨年の第四回定例会、そして知事の予算編成への会派としての要望においても、我が党は、都が進めている入札契約制度改革に対して、中小建設業者から改善すべきとの声が寄せられたことを紹介し、抜本的な見直しを強く求めました。
 都は、一月に五団体との意見交換を実施し、その中でも、中小企業で構成する団体からは引き続き強い改善要望が出されたとのことであります。特に、予定価格の事後公表については、中小建設業から根強い改善要望が党に寄せられています。
 大企業などと比べ、従業員が少なく人材に制約のある中小企業にとっては、ふだん現場に出ている技術者が、現場の仕事が終わって会社に戻り、また、土日に出勤して積算の業務を行うなど、働き方改革が問われている中、過度な負担を強いることになっております。
 また、建設業は、就業者の高齢化が進んでいます。若手技術者の確保、育成、定着は喫緊の課題です。道路、橋梁などの土木工事、福祉施設や都立学校などの建築工事は、都民のインフラとして持続的な整備が必要であり、これらの技術を習得、承継していくためには、都内中小企業の若手技術者が、JVへの参画を通し、その技術力を高めていくことが不可欠であります。
 このたびの入札契約制度改革は、現在、試行に取り組んでいる最中であることは認識していますが、業界団体、特に中小企業の現場の切実な声を真摯に受けとめ、抜本的な見直しを行うべきであります。
 そこで、都議会公明党は三つの提案をいたします。
 第一に、予定価格の事後公表は、財務局が発注するような比較的大規模な工事案件とし、中小契約案件は、予定価格を事前公表に戻すべきであります。
 第二に、都は、円滑な事業執行と発現効果を速やかに発揮させるために、一者入札の中止を撤廃すべきであります。
 第三に、土木建築工事などの指定案件について、担い手育成モデル事業としてJV結成義務を設けるべきであります。
 以上、三点の提案に対する小池知事の見解を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの推進についてのご質問がございました。
 二十一世紀は、メガシティー、大都市の動きが地球規模で大きな影響を及ぼす時代でございます。東京も、国際社会全体における課題を十分に認識し、率先して行動していくことが重要と認識しております。
 SDGsは、ジェンダーの平等、持続可能なエネルギーや消費、生産など、東京にとっても重要な課題を掲げております。
 こうした課題への対応につきましては、二〇二〇年に向けた実行プランや都市づくりのグランドデザインなどに盛り込みました政策と軌を一にしていると思います。
 また、SDGsの誰ひとり取り残さないという理念でございますが、これは私が目指します、人に焦点を当てました大義と共感の行政と、まさに合致するものだと思います。
 SDGsの視点を重視いたしまして、国の動きなどとも連動しながら、女性の活躍推進、再生可能エネルギーの導入促進、さらにはエシカル消費の理解促進などといった政策を着実に実行いたしまして、世界をリードする持続可能な都市東京を実現してまいりたいと考えております。
 大会の記憶を伝える施設についてのご指摘がございました。
 東京二〇二〇大会の成功とともに、その成果と感動を確かなレガシーとして将来にわたって残していくということは極めて重要でございます。
 メダル、聖火リレーのトーチなどの記念品や記録などは、大会を象徴する貴重な財産であり、大会後も保存して多くの方にごらんいただくことで、大会の記憶を長く伝えていく必要がございます。
 都の施設におきましては、駒沢オリンピック公園総合運動場におきまして、一九六四年大会のメダルや公式ユニホームなどの記念品の一部を展示するとともに、IOC委員のアレックス・ギラディ氏からいただいた過去の大会の記念品もあわせて展示をいたしておりまして、大会の様子を今に伝えております。
 また、都庁のオリジナルフラッグ展示コーナーにおきましては、リオ大会から引き継いだフラッグ、リオ大会の聖火リレーで使用したトーチ、長野大会での月桂冠などを展示することで、過去大会の大切なレガシーを引き継ぎ、東京二〇二〇大会につなげているところでございます。
 都といたしましては、大会の記憶そして記録が確実に未来に引き継がれて、社会全体にとって大きなレガシーとなるように、組織委員会、JOCなど関係者とともに、保存、活用を行う組織や施設のあり方を含めまして検討を進めます。そして、東京二〇二〇大会、末永く多くの人々の心の中に刻まれるものとしてまいりたいと思います。
 シルバーパス制度についてのご指摘がございました。
 シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与していると認識いたしております。
 現在の制度は、平成十二年度から継続しているものでございます。そして、平成二十八年度には約九十八万枚を交付しており、実施主体である東京バス協会への補助につきましては約百七十三億円となっております。
 このシルバーパス制度には、多くの都民からさまざまなご意見、ご要望が寄せられていることは承知をいたしております。一方で、高齢化が進む中、事業費はさらに増加することが見込まれます。
 今後、制度を持続可能なものとするために、ご指摘、ご提案も踏まえまして、東京バス協会や区市町村のご協力を得て、利用実態を含めたシルバーパス制度に関します調査の実施を検討してまいります。
 次に、医療的ケア児が安心して通学できる手段の確保についてのご質問がございました。
 医療的ケアの有無にかかわらず、あらゆる状態の子供たちが学校で学ぶ機会を整えるということは重要でございます。
 これまで都立の特別支援学校の医療的ケア児の通学は、保護者の送迎に委ねられている場合があり、本人の状態にかかわらず、学校に通えない日があるなどの課題がございました。保護者の方々からも、早期に改善してほしいという声が上がっていると伺っておりました。
 このため、来年度から、全ての都立肢体不自由特別支援学校におきまして、医療的ケア児のための専用通学車両を走らせることといたしました。この取り組みによりまして、生命と安全の確保を第一としながら、医療的ケアの必要な子供たちの学ぶ機会を拡充してまいります。
 誰もが生き生きと生活ができ、活躍ができるダイバーシティーの実現に向けまして、教育の面からも引き続き取り組んでまいります。
 住宅部門を担う局の設置についてでございますが、これまで、都におきましては、直面する課題に応じまして組織のあり方を見直してまいりました。住宅部門につきましても、平成十六年、まちづくりと一体となった住宅政策を推進するために、関係部署を再編統合して新たに都市整備局を設置いたしまして、その後も住宅担当理事を置くなど、事業展開に合わせた執行体制を構築しております。
 これによりまして、木密不燃化などの総合的な防災都市づくり、都営住宅建てかえによって創出された用地を活用したまちづくりなど、具体的な事業展開を図ってきたところでございます。
 また、今後の本格的な人口減少の中にありましても、生活を支える機能が集約化された拠点の形成や、多様なコミュニティの創出など、まちづくりと住宅政策を一体的に進めるということは必要でございます。
 さらに、ダイバーシティー、セーフシティーの実現に向けまして、住まいにおける子育て環境の向上、高齢者の居住の安定、空き家対策、さらには住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定など、都におけます住宅セーフティーネットの構築に向けまして迅速に取り組んでいかなければなりません。
 これらの課題に的確に対応するために、ことしの四月に執行体制の強化を図るところでございますが、今後、東京二〇二〇大会と、さらにその先の東京の未来を見据えまして、効率的かつ効果的な執行体制となるよう、ふさわしい組織のあり方を検討してまいります。
 次に、市町村消防団の装備についてのご質問がございました。
 日々の仕事に従事する傍らで、地域住民の命と財産を守るために、まさしく献身的に活動を行っておられる消防団の方々は都民の安全と安心を守る上で極めて重要な存在でございます。
 セーフシティーの実現のためには、地域防災力の強化が重要でございます。地域を熟知し、即時対応力がある消防団の活動環境を整備するということは、都の責務であると認識をいたしております。
 そして、発生が懸念されます首都直下地震などに備えまして、都内全域での防災力の強化が求められているところでございます。
 多摩・島しょ地域の消防団の管理運営につきましては、各市町村が担っているところでございますが、消防団の装備は、特別区、多摩・島しょといった地域の区別はなく、一定水準以上に高めていく必要がございます。
 そのため、都といたしまして、市町村との連携を重視しながら、多摩・島しょ地域の消防団の装備について、特別区消防団を基準といたしまして、消防団活動の環境整備を積極的に行うことで、東京の防災力の向上に全力で取り組んでまいります。
 市町村総合交付金によります消防団の装備の充実についてのご質問がございました。
 市町村総合交付金は、市町村が取り組みます各種施策に対します財源補完制度といたしまして、各市町村の行政水準の向上、そして住民福祉の増進などに寄与するものでございます。
 平成三十年度予算におきましては、新たに政策連携枠を設けまして、都と市町村が連携して取り組むべき先ほどの消防団活動の充実などの政策課題について、市町村の取り組みを支援することといたしております。
 多摩・島しょ地域の消防団の装備につきましては、特別区消防団の装備を念頭に置いて、市町村による充実の取り組みが円滑に進みますよう、政策連携枠の制度設計を行ってまいります。
 あわせまして、市町村と連携しながら、この政策連携枠を活用した装備の整備を図るなど、多摩・島しょ地域の消防団の着実な装備の充実に向けて取り組んでまいります。
 女性の政策でございます。
 女性の視点を生かした防災対策についてのご指摘、ご質問でございます。
 ご承知のように、私は阪神・淡路大震災を経験した一人でございますが、避難所での着がえや授乳、トイレの問題など、ふだんの生活からは思いもよらないことが起きるものでございます。そして、多くの方が悩みを抱えて苦労している姿、目の当たりにしてきたわけでございます。
 首都直下地震がいつ発生してもおかしくないここ東京におきましても、備えよ常にの考えのもとで、女性の視点を生かすことで、一層きめ細かな災害の備えを進めていかなければなりません。
 そのため、乳児用液体ミルクや女性消防団員の活動の紹介のほか、女性の発想を生かしました防災対策をまとめた新たな防災ブック「東京くらし防災」を作成したところでございます。本日三月一日、リリースを開始いたしました防災アプリも活用いたしまして、多くの都民に防災対策を実施していただけますように取り組みを進めてまいります。
 また、地域や職場などで防災活動の核となる女性の人材を育成するために、基礎を学ぶセミナーやリーダーを育てる研修を、企業の皆さんとも連携いたしまして、来年度から本格的に実施をしてまいります。防災分野で活躍できる女性リーダーをふやして、地域や企業の防災活動を充実させることで、都民の防災力の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みを積極的に進めまして、安全・安心なセーフシティーを実現してまいります。
 被災地の支援についてでございます。
 東京二〇二〇大会は、復興オリンピック・パラリンピックであり、被災地の復興なくして大会の成功はないという理念のもとで、大会の準備を進めているところでございます。
 これまで都は、東日本大震災の発災以降、被災地と都内の子供たちをつなぐスポーツ交流事業、千キロ縦断リレー、そしてまた被災地でのフラッグツアーの実施など、さまざまな事業を展開し、復興を支援してまいりました。
 先月二月十七日には、仙台駅で実施したライブサイトで、仙台市出身のあの羽生選手が、被災した困難を乗り越えて平昌オリンピックでも金メダルをとったところ、地元の大勢の方々が一緒になって応援して、大変盛り上がりました。被災地の子供たちがさまざまな場面で東京二〇二〇大会に参画することは、大変意義のあることでございます。
 今後、国、そして組織委員会などと連携をいたしまして、被災地の現状や要望を丁寧に把握しながら、被災地の子供たちに夢と希望を与えられるように、東京二〇二〇大会におけます復興支援の取り組みを検討してまいります。
 小笠原の航空路についてのご質問がございました。
 小笠原の航空路開設は、島民の生活の安定、そして国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でございまして、村民の切なる願いである、このことは十分承知をいたしております。
 私は、知事就任直後の平成二十八年十月、小笠原諸島の父島を訪問いたしました。そして、村を取り巻く状況や飛行場の候補地を現地でしっかりと確認をいたしまして、自然環境を初めさまざまな課題があることを改めて認識もしたところでございます。
 昨年七月には、都と村で設置をいたします航空路協議会を開催いたしまして、父島の洲崎地区を活用する案を中心といたしまして検討を行うということで、双方で確認をしたところでございます。
 自然改変の程度を軽減させるためには、滑走路の長さを可能な限り短縮させることが必要と考えます。現在、それにふさわしい就航可能な機材等について、幅広く調査を行っているところでございます。また、平成三十年度は、これに加えまして、村民生活の安全・安心の観点をより重視した検討も行うように指示をいたしております。
 今後、調査結果を踏まえまして、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられますように、国や村など関係機関との調整を緊密にかつ丁寧に行いまして、よく検討をしてまいりたいと考えております。
 監理団体の改革についてのご指摘がございました。
 人口減少の到来を間近に控えて、時代の大きな転換点を迎えている中にあって、東京二〇二〇大会の成功はもとより、その先の未来を見据えて活力を生み続ける都市へと東京を発展させることが、都知事としての私の責務でございます。
 そのため、都庁とともに、公的サービスの担い手といたしまして、施策実施の現場を担う監理団体が一体となって、社会情勢の変化に即しためり張りのある改革を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、監理団体を都庁グループの一員と位置づけた上で、団体、所管局、総務局の三者が今後進めていくべき改革を実施方針として取りまとめをいたしました。
 改革に当たりましては、単に費用削減のみに着目するのではなく、都民の利益、満足度を第一に考えまして、提供するサービスの質や効果の最大化を図るという視点が重要でございます。
 その上で、戦略的な活用に向けました団体個々のあり方や、今後注力すべき業務領域など、都、団体、民間の役割などについて、見直すべきは見直し、伸ばすべきは伸ばしてまいります。
 東京の持続的な成長の実現に向けまして、都政改革と軌を一にした監理団体改革を積極的に推し進めて、都庁グループの機能強化を図ってまいります。
 入札契約制度改革に対しまして、三点のご質問、ご提案をいただきました。
 まず、予定価格の事後公表についてでございます。
 今回の制度改革では、昨年の六月の下旬から財務局案件を対象といたしまして、また十月末からは各局案件に対象拡大をいたしまして、予定価格の事後公表を実施してまいりました。
 予定価格の事後公表は、事業者の積算努力を促すものでありまして、積算を行わずに入札に参加する不良不適格業者が除かれるという効果は期待されます。
 一月の業界団体との意見交換では、事後公表の継続を求める声もありました一方で、事業者、特に中小企業におきましては、積算の事務負担の増大や、それに伴って都の入札への参加意欲が減退している、それがゆえに事前公表に戻してほしいとの意見も寄せられたところでございます。
 今後、入札監視委員会での検証を進めまして、いただいたご提案の内容をしっかりと受けとめさせていただき、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
 一者入札の中止についてもご指摘がございました。
 この取り組みは、入札参加希望者が一者以下の場合に、入札参加条件を見直して再入札に付すことによって、より多くの入札参加者を確保して、入札の透明性や競争性を高めるために実施をしているものでございます。
 中止となった案件につきましては、速やかな再発注の手続を進めているところでございます。ただ、業界団体との意見交換におきましては、一者でも参加を希望した事業者の準備が無になることや、都の事業執行のおくれを懸念する声も多く寄せられたところでございます。
 昨年三月、公表いたしました入札契約制度改革の実施方針におきましても、特別な事情がある場合に一者入札を認めることも必要といたしておりまして、こうした現場の状況も踏まえまして、今後の取り扱いにつきましては検討いたしてまいります。
 そして、三番目のJV結成義務についてのご指摘がございました。
 今回の制度改革におきましては、JV結成義務が入札参加の制約となっているのではないかという問題意識から、結成義務を撤廃いたしまして、単体企業でもJVでも入札参加を可能とする混合入札を導入したところでございます。
 この取り組みにつきましては、入札参加者が増加するという効果が見られた一方、業界団体からは、これまでJVに参加することによって中小企業の技術力の研さんに寄与してきたとの意見もいただいております。
 担い手育成モデル事業というご提案をいただいたわけですが、今後の検討におきまして、入札参加者数の増加による競争性の確保とあわせまして、特に中小企業における人材育成という視点も重要と認識をしているところでございます。
 今後、入札監視委員会の検証結果が出されて、改めて、都として業界団体からのヒアリングを行うことといたしております。引き続き、現場の声をしっかり伺いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、水上の安全確保についてでありますが、当庁が実施した航行実態の調査結果からも、都内の安全かつ快適な水上及び水辺の環境の実現は喫緊の課題であるというふうに認識をいたしております。
 防犯カメラの設置につきましては、条例施行後の危険航行等の発生状況を踏まえまして、水域管理者と連携の上、その必要性を含めて検討してまいります。
 また、水上オートバイの配備につきましては、本定例会において所要の予算の確保をお願いしているところであります。警備艇とともに、効果的運用を図ることで、通報に即応する体制を強化するなど、対応能力の向上に努めてまいります。
 今後は、実態に応じたパトロールによる指導、警告や取り締まりを行うなど、本条例を適正に運用するほか、関係機関と連携の上、航行ルールの周知やマナー向上に向けた各種施策にも取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇大会の運営部門との連携についてでありますが、臨海地区に選手村や競技会場を初めとする重要施設が存在をし、その同地区周辺の安全と安心の確保は大変重要な課題であると認識しております。組織委員会を初めとする大会運営部門と緊密な連携を図っているところであります。
 本条例案は、安全かつ快適な水上及び水辺の環境を実現することを目的としていることからも、その運用については、他の法令と同様に適正を期すとともに、東京二〇二〇大会を念頭に置きまして、今後、条例施行後の状況を踏まえつつ、諸対策を推進してまいります。
 次に、迷惑防止条例に新たな規制場所を追加した背景についてでありますが、現在の盗撮行為の規制場所は公共の場所等に限られておりますところ、撮影機器の小型化や高性能化によりまして、規制場所以外での盗撮行為が発生をしております。
 今回の改正は、都内の発生状況を踏まえまして、住居、トイレ、浴室、更衣室等の、人が衣服を身につけないことがある場所や、学校や会社の事務室、カラオケボックスの個室等の人が出入りする場所や乗り物、これらを新たに規制するものであります。
 このように規制場所を拡大することで、人身安全関連事案に発展する可能性のある盗撮行為に対しまして、前兆事案の段階で適切に対処できるということから、都民及び都内に滞在する方々のさらなる安全の確保につながるものと考えております。
 次に、東京二〇二〇大会の選手村居室等が盗撮行為の新たな規制場所となるかについてでありますが、近年、現行条例の規制対象外の場所である住居などのプライベート空間における盗撮行為が発生をいたしております。
 今回の改正では、規制場所について、住居等のプライベート空間にまで拡大されることによりまして、東京二〇二〇大会では、都内の選手村の居室、ホテルの客室や民泊施設等についても規制場所に含まれることとなります。
 東京二〇二〇大会を控えて、首都東京に注目が集まり、国内外からの来訪者の増加が予想されますところ、これまでは規制場所となっていなかった宿泊施設の個室、つまりプライベート空間にも規制が及ぶことによりまして、都民のみならず、都内に滞在する方々にとりましても安全が確保されることとなるものと考えております。
 最後に、今回の改正が、今後、他の道府県が制定する条例に与える影響についてでありますが、近年のスマートフォンの普及などにより、あらゆる場所で盗撮行為が発生しているという状況を踏まえますと、規制場所を拡大することが望ましいと考えております。
 この点、全国におきましても条例で盗撮行為が規制されておりますところ、地域の状況によって、その規制場所がさまざまであると承知をいたしておりますが、今回の改正によりまして、本条例の規制場所は、条文上、最も広範囲に及ぶというものと認識をいたしております。
 今後、本条例の改正によって、広く住民生活の安全が確保され、全国における同種条例のモデルケースになることを期待いたしております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 特別支援学校での人工呼吸器管理についてでございますが、医療的ケアが必要な児童生徒の学校卒業後の社会参加を見据え、自尊心や自立心を育成する上で、保護者の付き添いなく授業に参加することは、教育的な効果がより一層高まるなどの意義があると考えております。
 これまで特別支援学校では、人工呼吸器管理は、学校看護師では実施困難な高度な医療的ケアであることから、保護者に対応を依頼してまいりましたが、一方で、最近の医療技術の進歩により、医師の詳細な指示がなくても、看護師で取り扱いが可能な医療機器が普及してきております。
 このため、都教育委員会は、医師、保護者、学校の連携のもと、安全の確保を第一に、人工呼吸器管理を適切に実施するための校内体制や実施方法等を検討することを目的として、モデル事業を来年度から実施してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、住宅確保要配慮者の居住の安定についてでございます。
 住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、昨年十月に開始した入居を拒まない住宅の登録を着実に進めることが重要でございます。
 このため、国が導入した住宅の改修や家賃低廉化、家賃債務保証料への補助制度を最大限に活用してまいります。
 具体的には、都は来年度から、区市町村が貸し主等に対して行う補助の二分の一を助成し、区市町村の取り組みを後押しいたします。加えて、高齢者や障害者の専用住宅に改修する場合には、都独自に補助を上乗せし、貸し主が負担する費用をさらに半減する措置を行います。
 こうした貸し主の負担軽減に向けた取り組みによって、入居を拒まない住宅の登録を促進し、住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
 次に、空き家対策についてでございます。
 これまで都は、区市町村に対し財政支援などを行い、約八割の自治体が実態調査を実施するなど、取り組みが進んでまいりました。今後は、空き家の利活用を初めとした総合的な取り組みを一層促進していく必要がございます。
 このため、来年度から、所有者と利用希望者とのマッチング体制の整備や、地域の活性化を目的とした住宅の改修への補助を区市町村が行う場合に、都が支援をいたします。
 現在、モデル事業として行っているワンストップ相談窓口についても、民間事業者と連携し、拡充して実施いたします。さらに、空き家など既存住宅の流通促進のため、建物状況調査、いわゆるインスペクションに助成をいたします。
 こうした取り組みを区市町村等と連携しながら推進して、空き家対策の強化を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、観客輸送の暑さ対策についてでございます。
 シャトルバスの発着場など、観客が滞留する可能性のある場所を適切に把握し、その発生頻度や現場状況などを踏まえつつ、効果的、効率的に対応することが重要であります。
 平昌大会では、開会式終了時に、シャトルバス発着場付近で、厳しい寒さの中、長時間観客が滞留する事態が発生しました。一方、開会式の翌日以降は、駐車中のバスを一時的に開放するなどの対応も見られたところであります。
 東京大会時の暑さ対策については、平昌大会での課題なども踏まえ、組織委員会と連携し、まずは観客を待たせない円滑な輸送システムの構築を図ってまいります。
 さらに、駅までのアクセスが遠い競技会場では、暑さを緩和できる待機スペースを確保するなど、対策を総合的に検討してまいります。
 次に、大会時における交通機関の確保についてでございます。
 東京二〇二〇大会の開会式につきましては、現在、開催時間などを含めて組織委員会とともに検討を進めてございます。
 開会式が行われる新国立競技場周辺は鉄道網が充実しており、開会式のスケジュールに合わせ、適切に鉄道の運転時間等を調整することが、円滑な観客輸送のかなめになると考えております。
 大会時の終電の延長や運行範囲などにつきましては、現在、組織委員会と連携し、鉄道事業者と検討を進めており、開会式においても、式典の終了時刻等の決定状況を見ながら、対応策を検討してまいります。
 今後、平昌大会での課題等も踏まえ、来場される方への運転情報の適切な周知方法なども含め、対応策を詳細に検討し、円滑な観客輸送を実現してまいります。
 最後に、東京二〇二〇大会のライブサイトについてでございます。
 チケットを持つ人も持たない人も、誰もが気軽に訪れ、大会の迫力と感動を共有できる場を創出し、安全で快適に楽しんでいただくことが重要であります。
 ライブサイトは、競技のライブ中継だけではなく、スポーツ体験等、多様な内容で構成され、また、多数の人が来場することから、都立公園など大規模なスペースが確保できる場所での実施を検討しております。
 リオ大会時に実施したライブサイトでは、日よけや微細ミストの効果を試すとともに、平昌大会時の国内ライブサイトでは、一部をテント内で実施するなどの試行も重ねているところであります。
 大会本番の実施に向けましては、これらの試行結果や費用対効果も踏まえながら、ライブサイトの実施箇所や内容に応じて、暑さ対策に適切に取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、夜の時間を活用した観光についてでございますが、夜間に楽しむことができる観光の選択肢をふやし、その情報をわかりやすく発信していくことは、外国人旅行者の旅の満足度を高め、都内の観光消費の拡大を図る上で重要な取り組みでございます。
 都はこれまで、夜の東京の魅力を発信するため、モデルルートを作成して外国人ブロガー等を招聘し、旅行記を各メディアで紹介するほか、夜景スポットをまとめた冊子を多言語で作成し、観光案内所等で配布してきたところでございます。
 来年度は、こうした取り組みに加え、夜間に観光を楽しむための情報を掲載した専用サイトを新たに構築いたしまして、情報発信を強化いたします。
 また、東京の夜間の観光の課題や、外国人旅行者のニーズ、海外都市の取り組み状況等を調査し、今後の振興策の検討につなげてまいります。
 こうした取り組みにより、夜の時間を生かした観光振興を進めてまいります。
 次に、住宅宿泊事業、いわゆる民泊の実施に向けた対応についてでございますが、住宅宿泊事業は、旅行者の多様なニーズに応える一方で、住民生活への影響なども懸念されるため、地域の生活環境に調和した事業の実施を確保する必要がございます。
 このため、都では、事業の適正な運営などを目的として都独自のガイドラインを策定しており、事業者や都民への周知を図っているところでございます。また、受け付けが開始される今月から都が所管をすることとなります市町村の区域における苦情を一括して受け付ける窓口を設置いたしますとともに、衛生、消防、警察などの関係部署と連携して、事業者への指導監督を行ってまいります。
 さらに、定期的な現地調査を実施し、とりわけ悪質な事業者への指導監督につきましては、特別区等とも情報共有を行い、連携した対応を図るなど、地域でのトラブル防止に向けた取り組みを着実に推進してまいります。
 次に、商店街振興に向けた支援についてでございますが、都内の商店街の維持と発展を図るためには、新しい発想や工夫により出店を進める取り組みを効果的に支援することが重要でございます。
 このため、都は、商店街が空き店舗を減らし、新たに開業する事業者をふやす取り組みを後押しするほか、将来のリーダーとしての活躍を期待できる女性や若者による出店に向け、重点的な支援を行っております。
 来年度は、商店街での起業や事業の承継に必要となる経費への支援のほか、女性や若者が商店街で新たな発想により開業する場合の補助制度の充実を図ります。特に、女性や若者が企画力を生かし、商店街で販売や経営の経験を積むためのチャレンジショップを新たに多摩地域にも開設をいたします。
 これらにより、商店街への効果的な支援を展開してまいります。
 次に、テレワークについてでございますが、テレワークの普及に向けては、企業や働く方のニーズに応じた支援を行っていくことが重要となります。
 そこで都は、業種や企業規模の異なる二十社に対してモデル事業を実施し、テレワークの導入から運用までの一貫した支援を通じて、課題や活用策を検証してまいりました。
 来年度は、その結果を踏まえ、業種別に導入事例や運用のポイント等をまとめたハンドブックの作成や、実践に即した体験型セミナーの実施など、企業現場での活用を促進してまいります。
 また、身近な地域で柔軟な働き方を選択できるよう、多摩・島しょ地域において、サテライトオフィスを整備する市町村や企業等に対する補助事業を創設いたします。
 これらの取り組みにより、企業や地域の実情に合ったテレワークの導入を効果的に後押ししてまいります。
 次に、被災地応援ツアーについてでございますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施をしております。
 今年度は、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成し、多くの旅行者が福島県に訪れることを後押しすることで、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興を支援しているところでございます。
 来年度も引き続き、県の観光を取り巻く状況や要望などを踏まえまして、被災地応援ツアーを実施してまいります。
 最後に、福島県への教育旅行に対する支援についてでございますが、都は、東日本大震災以降に減少いたしました教育旅行を回復させる福島県の取り組みを支援しているところでございます。
 具体的には、県が実施する教育旅行復興事業と連携をしまして、都内の学校が実施をする福島県への教育旅行に対し、バス一台当たりの経費の一部について、一回目五万円、二回目以降三万円を上限に助成を行っております。来年度は、県が実施をする本事業の強化にあわせまして、二回目以降の上限額を五万円に拡充して継続してまいります。
 加えて、都が開催する旅行会社向けの説明会において、県の職員による観光PRのほか、福島の魅力を紹介した観光パンフレットを提供する取り組みを来年度も実施していくなど、福島県への教育旅行をしっかりと支援してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、認知症高齢者グループホームの利用者負担の軽減についてでありますが、都は、国制度による整備費補助に加え、都独自の補助によりグループホームの整備を進めており、初期投資を軽減することで家賃負担の軽減も図ってまいりました。また、介護保険制度の地域支援事業を活用した低所得者への家賃助成の実施を区市町村に働きかけてまいりました。
 国に対しては、家賃等の負担軽減により、所得にかかわらず利用しやすい仕組みとすることを提案要求しております。
 来年度は、整備費補助について、建築価格の高騰加算を創設するほか、高齢者人口に対する整備率に応じた加算対象となる区市町村を、四十から五十に拡大をいたします。家賃助成につきましては、七つの自治体が行う予定であり、都としては、改めて状況調査や区市町村との意見交換等を行い、負担軽減の取り組みがさらに進むよう検討を行ってまいります。
 次に、介護老人保健施設の短期入所の活用についてでありますが、介護老人保健施設は、在宅生活への復帰を目指す要介護高齢者に対し、日常生活に必要な介護だけではなく、医療的管理や看護、機能訓練等のサービスを実施しており、施設への短期入所を活用することは、介護者のレスパイトに加え、医療を必要とする高齢者の在宅生活の継続を支援する上でも効果的でございます。
 このため、都は来年度、施設ごとに対応可能な医療サービスの内容や施設の空き情報を随時に提供できる専用ホームページの構築や、介護支援専門員や病院の医療ソーシャルワーカー等を対象とした介護老人保健施設の短期入所活用に向けた研修など、事業者団体の取り組みを支援し、短期入所の円滑な利用を促進してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備等についてでありますが、都は特別養護老人ホームの整備を促進するため、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対する整備費補助の加算や、整備率が低い地域への補助単価の加算など、さまざまな独自の支援策を講じており、来年度は、地域密着型特別養護老人ホームについても高騰加算を創設いたします。
 また、老朽化した施設の大規模改修や改築への補助を行うほか、現在、清瀬小児病院の跡地に、施設の建てかえ期間中に事業者が交代で使用できる代替施設の整備を進めており、平成三十一年度から事業者が利用を開始する予定でございます。
 今後、健康長寿医療センターの旧建物解体後の跡地を活用して、区部にも同様の代替施設を整備し、特別養護老人ホームの建てかえを促進してまいります。
 次に、病床の機能分化と連携についてでありますが、平成二十八年に策定した地域医療構想では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの病床機能について、平成三十七年の必要量を、現在の二次保健医療圏とする構想区域ごとに推計をいたしました。将来不足が見込まれる病床機能は、各構想区域で異なっており、今後、地域の医療需要に適切に対応できるよう、病床を確保する必要がございます。
 現在、構想区域ごとに設置した地域医療構想調整会議では、地域の医療資源の現状等を把握した上で、医療機関等が自主的に病床の機能分化や病院間の医療連携を進めるための議論を行っております。
 都は、地域で不足する病床機能への転換や病院間の情報共有など、地域の実情に応じた取り組みを、地域医療介護総合確保基金を活用して支援してまいります。
 次に、慢性期の医療、介護ニーズへの対応についてでありますが、現在策定している保健医療計画は、地域医療構想と一体化しており、療養病床の入院患者のうち、医療の必要性が低い患者等が在宅医療等に移行することを前提とする国の推計方法に基づいて算定をいたしました平成三十七年の在宅医療等の必要量を盛り込んでおります。
 必要量の内訳は、居宅等で訪問診療を受けている患者数、介護老人保健施設等の入所者数、平成三十五年度末までに介護療養病床から転換する介護医療院の入所者数などとなっております。
 今後、都は、算定した慢性期の医療、介護ニーズに確実に対応できますよう、介護療養病床の転換状況等も見据え、医療と介護の連携の推進など、区市町村や医療機関等の取り組みを支援し、在宅医療等の整備を進めてまいります。
 次に、AYA世代のがん患者の実態把握についてでありますが、現在改定中の東京都がん対策推進計画では、ライフステージに応じたがん対策の一つとして、AYA世代のがん患者への支援を位置づけることとしております。
 AYA世代のがん患者は、患者数が少なく、希少がんが多いことや、修学、就職、結婚等と治療の時期が重なることなど、成人のがんとは異なる特徴がございます。また、診療体制が定まっておらず、小児がん診療科で治療を行う場合と成人診療科で治療を行う場合があり、医療従事者の診療経験や相談事例の蓄積が困難な状況にございます。
 このため、都は来年度、拠点病院等におけるAYA世代の患者に対する医療提供の現状や、多様な相談の内容や対応状況、患者や家族のニーズ等を把握するため、実態調査を行ってまいります。
 次に、緩和ケア提供体制の整備に向けた取り組みについてでありますが、次期がん対策推進計画では、緩和ケア病棟の整備を行う医療機関を引き続き支援いたしますとともに、がんと診断されたときからの切れ目のない緩和ケアを提供できるよう、拠点病院等と地域の医療機関とが連携した緩和ケア提供体制の構築を目指すこととしております。
 このため、主治医等が行う基本的な緩和ケアから、専門知識や技術を有する多職種の緩和ケアチーム等が行う専門的な緩和ケアにつなげる体制の強化や、地域の医療機関も参加する円滑な転退院に向けた退院時カンファレンスの充実など、拠点病院の連携強化の取り組みを支援してまいります。
 また、拠点病院以外の医療機関でも、適切な緩和ケアが提供されるよう、一般病床における緩和ケアの実施状況を調査し、体制の整備を検討してまいります。
 次に、ベビーシッターの質の向上についてでありますが、現在、都や区市町村におきましては、区市町村が認可する地域型の居宅訪問型保育事業や家庭的保育事業の保育者に対して、国が示すカリキュラムに沿った研修を実施しております。
 都が来年度から新たに実施する認可外のベビーシッター利用支援事業におきましても、従事する保育者に対して、このカリキュラムに準じた研修を実施いたします。
 また、本事業に参画する事業者には、都民が安心してサービスを利用できるよう、保育者が急病などの場合に代替保育者を確保できること、個人情報の保護の徹底、サービス内容の情報提供、苦情相談窓口の整備、保育者に対する研修の実施など、一定の要件を満たすことを求めてまいります。
 次に、保育士等キャリアアップ研修についてでありますが、今年度、国は、保育現場において、多様な課題への対応や若手の指導等を行う職員を育成することを目的に、乳児保育、保健衛生、安全対策、障害児保育等六つの専門分野別研修と、マネジメント研修、保育実践研修から成る保育士等キャリアアップ研修を創設し、来年度以降、処遇改善のための加算の要件とすることとしております。
 都は、十分な受講機会を確保するため、来年度、都内の指定保育士養成施設等が実施する約二百の研修を指定する予定でございます。また、研修受講者の負担軽減を図るため、研修実施機関が受講料を徴収しないことを要件に、研修に要する経費も支援をいたします。
 現在、研修実施機関の募集を行っており、早期に研修が開始できるよう準備を進めてまいります。
 次に、医療的ケアが必要な障害児に対応する訪問看護ステーションの拡大についてでありますが、医療的ケア児が地域で適切な支援を受けながら生活する上で、体調管理や看護指導等を行う訪問看護は重要な役割を担っておりますが、都の調査では、現在、医療的ケア児に対応しているステーションは全体の約五分の一にとどまっております。
 このため、都は来年度、医療的ケア児への訪問看護の実績やノウハウを有する事業者の中から、医療的ケア児訪問看護推進ステーションを指定し、参入を検討している事業者の運営相談や情報交換のための業務連絡会、同行訪問など、実践的な現場体験研修等を行うモデル事業を開始し、医療的ケア児に対応する訪問看護ステーションの拡大につなげてまいります。
 次に、障害児の通所施設についてでありますが、都は現在、障害児が身近な地域で安心して生活できるよう、地域における障害児支援の中核的施設として、通所支援や障害児とその家族への相談支援、障害児が通う事業者への専門的な支援等を総合的に行う児童発達支援センターの整備目標を掲げ、整備を促進しております。
 今年度、新たに障害児福祉計画を盛り込んで策定をいたします東京都障害者・障害児施策推進計画では、児童発達支援センターに加え、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所についても、平成三十二年度末までに各区市町村に少なくとも一カ所以上設置することを目標に、施設整備に係る設置者負担を軽減する特別助成等を行い、障害児の通所施設の整備を一層進めてまいります。
 次に、心身障害者医療費助成制度の対象拡大についてでありますが、昨年三月、都議会定例会で、精神障害者を対象とすることに関する請願が全会一致で採択されたことを踏まえまして、都はこれまで、区市町村との協議、学識経験者への意見聴取を行いながら、国の助成制度との整合性や対象者の範囲、施行時期等について検討をしてまいりました。
 その結果、所得税の特別障害者控除との整合性や医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえまして、精神障害者保健福祉手帳一級所持者を対象に加えることとし、必要な条例改正案を本定例会に提案をしております。
 施行時期につきましては、対象者や医療機関等への周知、申請書の受理などの窓口業務を担う区市町村の準備が十分に行えるよう、平成三十一年一月を予定しております。
 次に、精神障害者支援の充実についてでありますが、都は、精神障害者が地域で安心して生活できるよう、地域活動支援センター等にコーディネーターを配置し、病院から地域生活への移行を促進いたしますとともに、グループホームや日中活動の場などの整備を進めております。
 また、企業への就労を促進するため、区市町村障害者就労支援センターなどを通じた支援に加え、来年度は、新たに医療機関、就労支援機関、企業等が連携し、事例の分析や支援プログラムの作成などを行うモデル事業を実施いたします。
 現在策定中の障害者・障害児施策推進計画では、当事者や家族の意見も踏まえ、地域移行の促進や地域生活基盤の整備、就労支援の強化などを施策の柱に位置づけておりまして、今後、精神障害者支援の一層の充実を図ってまいります。
 次に、新生児聴覚検査についてでありますが、全ての新生児が都内全域で聴覚検査を受けられる体制の整備に向けまして、昨年十二月から、都、区市町村、東京都医師会との間で、公費負担制度の導入についての協議を開始いたしました。
 また、区市町村による検査結果の把握方法や、療育の早期開始に向けた対応、保護者への支援など、実務的な課題について検討をするため、産婦人科医会、小児科医会、耳鼻咽喉科学会の専門家等を構成員とする会議を新たに設置をいたしまして、先週、第一回の会議を開催したところでございます。
 今後、平成三十一年度から全ての区市町村で共通の受診券を活用した公費負担を実施できるよう、関係機関との協議や専門家等による検討を進めてまいります。
 次に、子供食堂への支援についてでありますが、現在、NPO法人等の民間団体が、地域の子供たちに食事や交流の場を提供する子供食堂の取り組みが広がっております。
 都は、区市町村が民間団体等と連携し、支援員を配置して、学習支援や食事の提供、親への養育支援を一体的に行う居場所づくりを支援しており、今年度からは、この居場所と連携する地域の子供食堂に対しても支援を行っております。
 来年度は、支援が必要な家庭等を適切なサービスにつなげていけるよう、区市町村が行いますフードバンク等と連携して、生活困窮者や子供食堂等に食料を提供する地域の拠点となるフードパントリー設置の取り組みを支援いたしますとともに、子供食堂に対しても、区市町村を通じて運営費の助成を開始いたします。
 最後に、自立援助ホーム入居者への医療費支援についてでありますが、自立援助ホームの入居者のうち、約二割は虐待による精神疾患などの慢性的な疾患により、定期的な通院を必要としております。
 そのため、都は現在、入居者が就労自立に向け必要な医療を受けられるよう、通院時の職員の同行援助や、収入のない未就労者の医療費への支援を行っております。
 お話のように、就労していても収入が少なく、医療費が負担となっている入居者もいることから、医療費支援の対象を、所定労働時間が週二十時間未満の入居者にも拡大をし、必要な医療を受けることにより心身の安定につなげ、自立を支援してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 環境性能の高いタクシー導入への補助制度についてでございますが、タクシーは一般の車両と比べて走行距離が長く、ハイブリッド化等により、高いCO2削減効果が見込まれます。
 そのため、都では、東京二〇二〇大会開催に向けて、環境性能が高く、車椅子のまま乗車できるユニバーサルデザインタクシーを対象にした補助制度を設け、普及を進めてまいりました。
 一方、高齢化が進む中、要介護者や障害者等を対象とした福祉タクシー等の需要も高まっており、今後、走行台数もふえていくと考えられるため、これらの車両のハイブリッド化を進めることも重要でございます。
 そこで、来年度、環境性能の高い福祉タクシー等も本補助制度の対象とし、自動車からのCO2削減の推進を図ってまいります。
〔消防総監村上研一君登壇〕

○消防総監(村上研一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、救急隊の現場到着時間短縮への取り組みについてでございますが、一人でも多くの都民の命を救うためには、救急隊の到着時間を短縮することが重要であると認識しております。
 東京消防庁では、これまで救急隊を計画的に増強するとともに、救急需要に応じて待機場所を変更し、機動的かつ柔軟に対応する救急機動部隊を創設するなど、現場到着時間短縮に取り組んでまいりました。
 東京二〇二〇大会時に現場到着時間を七分にすることを目標に、来年度は、救急隊六隊の増強と、人工知能により救急活動及び救急要請の傾向に関するビッグデータを分析することによる救急需要予測システムの構築を計画するなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、不要不急な救急要請を抑制するための取り組みについてでございますが、東京消防庁では、都民が救急車を呼ぶべきか迷ったときに電話で相談できる救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の利用を促進するとともに、新聞広告やトレインチャンネルなどさまざまな媒体を活用して、救急車の適正利用について広報活動を行っております。
 来年度は、救急搬送人員の半数以上を占める高齢者を対象としたシャープ七一一九ステッカーの配布や、ワンタッチでシャープ七一一九につながる消防アプリの開発を計画するなど、あらゆる機会を捉えた救急相談センターの利用促進に取り組んでまいります。
 今後とも、真に救急車を必要とする都民に迅速に対応できるよう努めてまいります。
 最後に、テロ災害への取り組みについてでございますが、地下鉄サリン事件での教訓やテロ災害に係る海外消防事情調査などを踏まえ、同時多発テロ等が発生した際に、通常の災害対応に影響を及ぼすことなく対処するため、高度な指揮機能を有するコマンドカーを中心に、災害種別に応じた特殊部隊を編成する統合機動部隊の創設を計画しております。
 また、爆破テロ等に対応するため、爆破等から防護性能を有する救出救助車及び大量出血に対応する止血帯の整備や、爆傷等の特殊な病態に対する専門研修を予定しております。
 今後とも、東京二〇二〇大会に向け、各種テロ災害に的確に対応できる消防活動体制を構築してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 工業用水道事業の検討の進め方についてでございますが、工業用水道は、これまで廃止を含めた経営改革の方向性について検討を進めておりまして、現在、昨年十月に実施した利用者アンケートで寄せられた意見などを踏まえつつ、今後の事業の方向性を定めていくために必要な材料や条件などを整理しているところでございます。
 事業の方向性をまとめていくためには、ご指摘のとおり、利用者の方々にしっかり向き合い、検討を進めることが重要であることから、今後、関係各局と連携して、事業を継続した場合の料金水準や、仮に廃止せざるを得ない場合の具体的な支援策などにつきまして、業界団体などの皆様と直接お会いし、意見交換などを行ってまいります。
 今後も、利用者への対応を丁寧に進めつつ、課題を整理しながら、経営改革の方向性の検討を加速させてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 集合住宅における工業用水道利用者への対応についてでございますが、工業用水道事業では、供給区域の一部の集合住宅にトイレの洗浄用水を供給しており、今後の事業の存続や廃止が、建物全体の給水設備の改修等の判断に影響を及ぼす可能性がございます。このため、これまで集合住宅の建物所有者などに対しまして、事業の現状や課題をお伝えしてまいりました。
 一方、集合住宅の居住者に対しましては、仮に事業廃止となる場合、個々の居室内の配管工事等が必要となることから、今後順次、工業用水道事業の現状と課題に加え、施工方法等についても情報提供を行うとともに、問い合わせにもきめ細かく対応してまいります。
 また、切りかえに伴い生じる利用者負担に対する支援につきましては、関係各局が緊密な連携のもと、検討してまいります。

○副議長(長橋桂一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時七分休憩

   午後六時二十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番秋田一郎君
〔百二十二番秋田一郎君登壇〕

○百二十二番(秋田一郎君) 平成三十年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 名誉都民三橋國民様におかれましては、去る二月四日、ご逝去なされました。生前のご功績に対し、ここに謹んで哀悼の意をあらわし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 小池知事、私は今、大きな危惧を抱いています。このままではそう遠くないうちに、知事は東京都をいたずらに混乱に陥れ、莫大な財源を奪われただけの知事だったということになると思います。
 しかし、知事がどう評価されるかというのは、都民の皆さんにとってはどうでもいいことなのかもしれません。都民にとって、東京都にとって重要なのは、知事や議会がどれだけ東京のためになる成果を残してくれたかどうか、ただその一点のみであります。
 小池知事が就任以来、都民ファーストの会の立ち上げ、希望の党の立ち上げなど、まさに都民置き去りの政局優先の都政が続いているとよく耳にします。そして、オリンピック準備も豊洲移転ももとのもくあみ、後始末のために多額の税金が投入され、税制改正では国に相手にもされずに一方的に押し切られ、唐突な入札契約制度改正では都内中小企業を混乱に陥れる。こんな都政を都民は望んではいません。
 そして、政治は結果です。これまで知事が主導してきた数々の取り組みは、当初はマスコミなどで派手に取り上げられても、実務の段階になると全て途中で頓挫し、時間と税金を無駄にしただけというありようです。都民も都議会も、知事の場当たり的な提案、そしてたび重なる前言撤回に振り回されています。
 都政に専念すると宣言されてからも、相変わらず小池知事が、具体的にどのような手順でどのような成果を目指しているのか見えてきません。
 知事は、理念は言葉巧みに語られますが、理念ではなく、何が何でも結果を出すという姿勢が決定的に欠けていると強く感じております。質問の冒頭に当たり、まず一言申し上げさせていただきました。
 知事、民主主義とは何なのでしょうか。民主主義とは手続だと私は思います。手続があるからこそ民主主義は時間もお金もコストもかかる。けれど、そのコストは民主主義に必要な対価です。なぜなら、この手続をはしょってしまえば、独裁であり、専制政治となってしまうからです。そして、地方行政における民主主義は、二元代表制のもとで知事と議会がしっかりと議論することで初めて担保されるのです。
 ところが、小池知事就任以来、顧問の意見を偏重し、都議会の頭越しに各種施策を記者会見などで発表し、既成事実化する手法が横行しています。つまり、民主主義的手続を踏むことなく、顧問とともに都政を恣意的に動かしているのがこれまでの小池知事の手法です。
 このような都政運営は、東京の地方自治における民主主義を大きく傷つけるものであり、到底看過できるものではありません。知事の見解を伺います。
 都政が直面する大きな課題の一つに、国による税制改正があります。そして、国による東京を狙った税制改正は今回が初めてではありません。
 かつて都道府県税である法人事業税が国税化された際には、東京都は税収を奪われる一方で、国に対して、三環状道路の整備、羽田空港の国際化、オリンピック・パラリンピックの招致への協力などの三つを約束させました。
 そして、最終的には、当時の石原知事に対して与謝野財務大臣が頭を下げてお願いに来られました。それを可能にしたのは、小池知事が選挙中、そして知事就任後も目のかたきにし続けた私たち都議会自民党の先輩方であり、石原知事でありました。
 当時、私は、まさにここに政治の姿をかいま見た気がいたしました。そして、都議会の議場の中だけではなく、都民のために、国や政府と時には対峙することも第一党の重要な役割なのだと実感をしました。
 今や当たり前のように皆さんが思っていらっしゃるオリンピック・パラリンピックの開催も、羽田空港の国際化も、三環状道路の整備も、こうした石原知事と当時の都議会第一党、我が自民党の政治力がもたらしたものです。
 知事は当時、東京都選出の自民党の国会議員だったわけですから、当然そういった過程も事実もご存じのはずです。
 他方、現在の小池知事はどうでしょうか。一方的に地方消費税を一千億円も取られたにもかかわらず、残念ながら何の成果もありませんでした。知事みずからが代表となって創設した希望の党は、そのとき何か役に立ったのでしょうか。知事がみずから代表を務めた都民ファーストの会は、都議会第一党としての役割を果たしてきたのでしょうか。
 そして、この法人事業税の国税化は、そもそも三年間の暫定措置でしたが、三年で終わらず継続されてしまったのも事実です。それがなぜ継続されたのかといえば、民主党政権時代に、都議会でも民主党が第一党となった時代にこの暫定措置を放置したからなのです。都知事の政治力と都議会の行動力が都と国との交渉に大きく影響するのです。
 私たち都議会自民党は、国と時に緊張関係にありながら、時に仲よくしながら、ひたすら都政を前に進めるために努力をしてまいりました。そして、結果も出してきたつもりです。いたずらに対立するのではなく、いたずらになれ合うのでもなく、議会の内外においてさまざまなチャンネルを使って、ひたすら都民サービスの向上に努めてまいりました。
 ことしは本丸の法人税の改正で、さらに恒久的に国から財源を奪われてしまうかもしれません。
 小池知事は、一千億円が奪われた後になって、唐突に都民の税金が奪われると題するパンフレットを作成しました。そこには平成三十一年度税制改正に向けてと書いてありますが、国との交渉に向けたプランはお持ちなのでしょうか。
 私が昨年の地方消費税をめぐる攻防のとき、知事と一緒に国にお願いに行かなかったのは、小池知事との日程調整が難しかったのではなく、小池知事と一緒に行くことが東京都にとってマイナスになると考えたからです。ほんの一、二カ月前に選挙で戦った相手の大将に協力するはずはない、ならば同じ党に属する同根のよしみにすがるしかない、そう考えたからです。
 そもそも地方消費税の論議は、はるか前からスケジュールの中にあったはずです。知事にはスケジュール感がなかったのでしょうか。消費税増税で都知事として国と相対することになる、そのことを全く念頭に置かず、みずからが代表となって衆議院選に打って出て、しかも、東京には消費税増税は不要であるといい放つことがマイナスにしか働かないとなぜ気づかなかったのでしょうか。選挙戦に都合がよければ、東京都のことなどどうでもよかったのでしょうか。
 せめて知事ご自身が衆議院議員選挙に打って出て、知事の職を辞していれば、東京都にとってはこのような事態は避けられたのかもしれません。
 知事は、国の自民党だけでなく、恐らく民進党も敵に回してしまったのだと思います。万が一、今後、野党が仮に再編されて政権をとったとしても、知事に協力することは考えにくい状況なのではないのでしょうか。
 知事は、これまでのご自身の行動や発言を踏まえた上で、一体どのようにこの課題に取り組んでいくことができるとお考えなのでしょうか。お伺いします。
 この税制改正の問題や特別区の大学の定員抑制の問題の解決には、地方との連携が欠かせません。
 小池知事は施政方針表明において、国による地方消費税の清算基準の見直しや二十三区の大学の定員抑制は、まさに内向き、国内のパイの取り合い以外の何物でもないと糾弾し、東京対その他の地方の構図に押し込める国の目先の対症療法的な手法には、強い懸念を抱かざるを得ないと発言をされました。そして、東京を強力なエンジンとし、各地方それぞれの強みも生かすことで、オールジャパンの力を最大限に引き出すとの姿勢を表明しました。
 では、現在、小池知事は本当に東京を強力なエンジンとし、各地方それぞれの強みを生かそうとされているのでしょうか。残念なことに、地方消費税や大学の定員抑制などの動きを見ると、現実には、東京都対四十六道府県プラス国の構図になっています。
 そして、小池知事は、知事会や記者会見などで主張を展開することはあっても、他の道府県としっかりとした連携を築くために、例えば各自治体に直接出向くとか、都を代表して知事みずから国や関係省庁と粘り強く交渉するとか、そういった知事の姿を見ることはありませんでした。
 また、知事はよく復興五輪といわれていますが、被災自治体との明確かつ具体的な連携も見えてきていません。
 この本会議場や委員会で理路整然と弁舌爽やかに何かを訴えても、現実に何かが変わるわけではありません。
 知事みずからが汗をかき、他の地域とのつながりを実質的に強めていく地道な活動を展開することが、本当の意味での東京と地方の共存共栄につながると思いますが、知事の見解を伺います。
 世界の三大イベントの二つであるラグビーのワールドカップとオリンピック・パラリンピックが二年連続で同一都市で初めて開催されるという絶好のチャンスにもかかわらず、東京都はそのチャンスを十分に生かし切れていません。
 そして、小池知事は、役割がないとして平昌オリンピックに足を運ぶことすらしませんでした。隣国で開催されるオリンピックは、現場を視察できる最後の機会です。都議会も議会日程を調整してまで視察を行い、我が党はさらに別途視察団を派遣しました。当然のことだと思っています。役割がないどころか、せっかくのチャンスだったのです。
 ところが、議会が開会した今になって、知事は突然、パラリンピックは視察すると発表しました。視察に行っておかないとまずいと感じたのでしょうが、オリンピックは既に終わっているので、せめてパラリンピックは視察しようということなのでしょうか。
 それとも、オリンピックには行かないといったけれども、パラリンピックには行かないとはいっていないと詭弁を弄するのでしょうか。余りに場当たり的な対応であり、開催都市の長としての自覚が欠如しているといわざるを得ません。東京大会を成功させようという意気込みが感じられません。
 改めて、知事の東京大会に向けた決意と、平昌オリンピックを視察せず、パラリンピックのみ議会中に視察する理由を伺います。
 知事は、十六万を超える都職員のリーダーです。これだけの組織を円滑に動かしていくには、知事個人ではなく、都のいわゆる組織力を上手に活用していく必要があります。そして、この組織力の源は、知事とともに力を合わせて都民の負託に応えようという職員の使命感と信頼関係にあると考えます。
 では、現在の都政はどうなのでしょうか。知事は、目安箱や職員提案といった小手先の仕掛けは用意したようですが、肝心な決定は顧問偏重、つまり、職員軽視です。知事が重要な発表を記者会見で行っても、所管の職員が知らなかった、そんなことが起きているのです。
 その結果が、都政新報が行った職員へのアンケートの調査結果に反映されているのです。
 どんな組織であれ、それを構成するメンバーによって支持を得られないようなトップがまともな仕事ができるはずはありません。これは組織論の原理原則です。東京都の知事を支えているのは職員であり、数名の顧問ではないはずです。
 東京都職員から信頼されるリーダーとなるため、顧問偏重、職員軽視を改めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今回、知事は、予算編成に当たり、都議会に報告する前に特定の各種団体を都庁に呼びつけ、査定内容を事前リークしました。これは昨年に続き二回目です。
 その際、各団体に対し、予算案を公表するまで資料の取り扱いには留意するようにと依頼しています。つまり、予算審議の公平性を確保する観点から問題があることを十分に認識していたといえます。
 都知事として知り得た情報を、ご自身の力の誇示に、あるいは特別顧問を務める都民ファーストの人気取りのために使ったのです。これこそ知事が批判をされてきた古い議会、まさにしがらみ政治そのものです。
 都知事と都民ファーストの特別顧問の立場は峻別すべきであり、都政の私物化は厳に慎むべきです。まさに、李下に冠を正さず。このような振る舞いは二度と行うべきではありません。知事のお考えをお伺いします。
 中小企業育成は、都の産業施策の大きな柱の一つです。技術承継、人材育成、そして事業承継などを後押しすべきであることに異論はないと考えます。
 六月から試行が開始された入札契約制度変更は、中小企業育成どころか、大きな負担増を強いられているとの声が上がっています。積算時の負担増やダンピング傾向の助長、中期的経営計画の困難増など、多くの悪影響を与えているのです。制度変更の結果、積算段階でも施行段階でも休日返上を強いられ、働き方改革の障害をつくっているのです。
 低入札価格調査の拡大は、契約担当者の事務負担につながるため、手続上は基準の厳格化が行われています。厳しい基準を設けた結果、経営努力によって下げられた価格が失格というペナルティーにつながるなど、あってはならないことです。
 ライフワークバランスや賢い支出を標榜している知事は、こうしたことに自己矛盾を感じないのでしょうか。伺います。
 一者入札中止によってもたらした影響も少なくありません。公共事業のおくれは、都民の不利益、都民サービスの低下に直結するとの認識はないのでしょうか。豊洲の追加工事のおくれの責任は、どこに、誰にあるとお考えなのか、知事にお尋ねします。
 一月に行われた入札監視委員会による業界との意見交換の内容は、当然知事に報告されているはずです。多くの悲痛な声を聞き、特に中小企業の危機感を耳にして、知事はどう受けとめたのか伺います。
 当日出席した委員からは、平準化や工期の設定など、東京都は丁寧な対応をすべきことや、新しい制度設計実現のためには意見交換が大切といった意見が出されました。裏返せば、丁寧な対応が不足している、意見交換もせずに制度設計をしたということであり、制度設計に不備があったといわざるを得ません。
 試行という名のもとに、このまま放置することはせず、現場の声と有識者の声に真摯に耳を傾け、制度の見直しを早急に行うべきです。知事の見解を伺います。
 東京は世界で一番の都市を目指して、これまで取り組んでまいりました。しかし、陸海空のうち、海の部分は世界に伍せるレベルではありません。
 陸、すなわち鉄道については、世界トップレベルの高密なネットワークが構築されており、今後さらなる充実に向けて、新規の路線に取り組んでいます。
 空、すなわち空港については、羽田空港の四本目の滑走路、国際線ターミナルなどにより国際化が進展し、さらなる機能強化により、国際競争に対応していきます。
 しかし、海、港湾については、ふ頭機能の拡充など、東京港の国際物流機能を強化してきましたが、世界標準にはなっていません。さらなる東京港の物流機能強化のため、港湾物流の円滑化を図ることが必要なのです。
 この物流機能強化のためには、臨海部と都心部を結ぶ道路ネットワークの構築が不可欠です。そのかなめとなるのがまさに環状二号線であり、七十年前に都市計画をされ、多くの先人が努力を重ねて整備を行ってきたのです。
 そして、二〇二〇年の東京大会を目前に、ようやく完成の目途が立ったそのとき、築地市場移転の延期により、計画が頓挫してしまったのです。
 そこで、環状二号線はどのような役割を担う道路であると知事は認識しておられるのか、見解を伺います。
 平昌大会では、開会式終了後、大勢の観客がオリンピックプラザのシャトルバス乗り場に滞留し、厳しい寒さの中、シャトルバスに乗車するまで一時間四十五分もかかったと聞いています。
 我が会派は、二〇二〇年東京大会の輸送のあり方が大会を成功させるために重要であることを都議会の場で幾度となく訴えてまいりました。平昌大会の状況を見るに当たり、ますますその思いを強くしたところです。
 知事の政策判断により、環状二号線の整備が見直され、我が会派は、大会時の輸送が円滑に行われるのか大いに憂慮しています。特に開催都市である東京都は、組織委員会と連名で輸送運営計画バージョンワンを策定しましたが、今後、その計画を練り上げていく使命があります。
 その計画では、選手などの輸送に当たり、首都高速道路を主に活用することとしていますが、首都高速道路の利用には、利用料金や渋滞対策など多くの課題があり、また、大会期間中、場外市場が営業している中、築地市場跡地周辺の道路は、大会関係車両と場外市場の関係車両で大変な混雑が予想されます。
 知事は就任して一年半、このような状況をどのように認識し、今後どのようにして大会時の円滑な輸送を実現していかれるのか、知事の見解を伺います。
 都は、予算原案の発表に際して、大会経費一兆三千五百億円以外に、大会関連経費として八千百億円が必要であると発表しました。
 今回のタイミングでの発表は、都財政が潤沢であるかのような誤解を招き、今後、大会準備や税財源を含め、国と交渉を進めていくに当たり、都にとって不利に働くことになるのではないのでしょうか。このタイミングで大会関連経費を公表した知事のお考えを伺います。
 大会を都内全域で盛り上げていくためには、都や組織委員会の取り組みだけではなく、町会、自治会、商店街など地域と密着した団体と連携した取り組みが必要です。
 二〇二〇年東京大会に向けて、組織委員会は昨年の夏、花火を模した新たなエンブレムを策定しましたが、露出が少なく、都民、国民に十分認知されているとはいいがたい状況にあります。
 また、地域団体が参加できるものとして参画プログラムなどが用意されていますが、まだまだ制約が多く、十分に活用されているとはいえません。二〇二〇年大会まであと二年余りとなる中、都は、地域における機運醸成にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 平昌大会の視察を行った我が党の議員が現地でのボランティアの方々とも触れ合う機会がありました。総じてやる気のある方々でしたが、対応言語が韓国語のみだったり、情報が統一されておらず、目的地への誘導が必ずしも円滑に行われていなかった場面も見受けられたようです。
 二〇二〇年東京大会では、十一万人ものボランティアが活躍することになります。この大勢のボランティアを統率し、情報の共有化を図ることは並大抵のことではありません。都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 我が党はかねてより、二〇二〇年東京大会のレガシーとなるよう、障害者スポーツの振興を図るべきだと主張してきました。先ごろの都の調査では、パラリンピック競技の認知度は年々上昇しており、車椅子バスケットボールなど四競技は七割を超えています。
 その一方で、実際に会場で観戦した人はわずか三%にも至っていません。観戦の促進にはまだまだ努力が必要です。同様に、障害者がスポーツを楽しむ場の拡大や、そうした活動を支える人材の確保、育成など、障害者を取り巻く環境の整備は依然として問題が山積しています。
 残された時間はわずか二年余りとなりました。大会成功に向けて、これまで以上にしっかりと準備を進めていかなくてはなりません。都は今後、どのように障害者スポーツを振興していくのか、見解を伺います。
 次に、豊洲市場問題について伺います。
 私たち都議会自民党は、豊洲市場の安全宣言を速やかに出すよう知事に求めてきました。豊洲ブランドの確立に意欲を示す市場業者や、屋上庭園などを憩いの場として求める地元住民から、知事の安全宣言を切望する声を知事自身が何度も耳にしたはずです。
 今でも豊洲市場の地上部は、法的にも、科学的にも安全なのです。追加対策工事は、あくまでも安全性をさらに高めていくためのものであり、法的、科学的には、すぐに安全宣言は出せるのです。
 これまでの知事の発言は、安全かどうかの判断を専門家会議や認可権を持つ国に責任転嫁するような他人任せに聞こえてしまいます。
 開場日まで七カ月余りとなる中、安全・安心の豊洲市場が混乱なく開場し、さい先のよいスタートを切りたいと願う市場業者は、その思いを胸に黙々と習熟訓練に励んでいらっしゃいます。
 知事の安全宣言のもとで訓練に専念する環境をどうしてつくってあげられないのでしょうか。豊洲市場の開設者として多くの市場業者や都民が求める安全宣言を直ちに出すべきです。知事の見解を伺います。
 豊洲市場への移転に当たって、地元江東区は、豊洲市場の隣ににぎわい施設を整備することを求めています。都は、区とのこの約束を守らなければなりません。
 しかし、豊洲からわずか二キロの築地に、競合、類似する食のテーマパークを設置することを都が否定しないことに対し、運営事業者の万葉倶楽部が疑心暗鬼になっています。
 また、千客万来施設の整備の見通しを都が示していないことに、区は不満を募らせています。このことが開場日がなかなか決まらない状況をつくり出してしまったことは記憶に新しいところです。
 このような中で、昨年十二月十八日には、長谷川副知事が区長と区議会議長に約束を果たせていないことを謝罪し、開場日決定後になって、ようやく小池知事は区長を訪れ、今後の協力を仰ぎました。
 そこで、江東区や万葉倶楽部に対し、都はその不信感を払拭する必要がありますが、区との約束でもある千客万来施設の速やかな開業に向け、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 先月十七日、知事が築地で市場業界団体と意見交換した際に、豊洲移転後の築地に市場はつくらないと発言したとの報道に接しました。
 昨年六月、知事は、築地残留派と豊洲移転派の双方を取り込む、築地を守る、豊洲は生かすとの玉虫色の基本方針を発表しましたが、半年たってようやく現実を直視するに至ったようです。
 そもそも、市場法や市場機能の関係から、築地跡地に卸売市場を設置することは困難なので、ここに来て知事の発言により、築地跡地に卸売市場が設置される可能性が排除されたと市場関係者も安堵していると聞きました。
 同様に我々も、築地市場の跡地に卸売市場をつくらないとの方針を知事は示したと理解しておりますが、今後の築地再開発の方向性について、知事の見解を伺います。
 東京の活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える鉄道は、基幹的で重要な交通インフラです。世界で一番の都市東京を実現するためには、国際競争力の強化や多摩地域の新たな発展など、将来の都市像を見据えて、鉄道ネットワークの整備を戦略的に進めていくことが重要です。
 都は、国の答申において、事業化に向けた検討などを進めるべきとされた六路線について検討を深めるとともに、事業の財源を確保するための基金を創設するとしています。
 こうした取り組みによって、今後どのように鉄道ネットワークの取り組みを加速していくのか、知事の見解を伺います。
 また、都市計画道路も人や物の円滑な移動を支える重要な都市施設であり、骨格幹線道路や特定整備路線など、高い整備効果が期待される都市計画道路は、早期整備が必須となっています。第四次事業化計画の優先整備路線の整備を推進することにより、二〇四〇年代には都市計画道路の約八割が完成する時代を迎えますが、残る二割の計画は、完成までなお時間を要し、都市計画制限の長期化などが懸念されています。
 都と特別区、二十六市二町は、協働でこうした優先整備路線以外の未着手の都市計画道路のあり方について検討していると聞きますが、検討状況について伺います。
 昨年十月に発表された世界の都市総合力ランキングで、東京は二年連続の三位となり、二位のニューヨークに迫る結果となっています。今後、東京が世界の都市間競争を勝ち抜き、一番の都市となるためには、都市などにおける拠点機能の充実強化を図り、経済活動の活性化を促す取り組みも必要です。
 現在、都内では、品川駅、渋谷駅周辺、虎ノ門地区など都市開発が盛んに行われているほか、メガターミナルである新宿駅や池袋駅周辺でも、都市の再編に向け動き出しています。
 これらの拠点機能の向上を図り、東京の成長を支えていくためには、その整備に合わせ、渋滞の解消や防災性の向上など、さまざまな効果のある道路を整備していくことが重要ですが、今後の取り組みを伺います。
 現在、大手町や虎ノ門地区、渋谷駅周辺などでは、国際ビジネス拠点としての整備も進んでいます。訪日外国人の約四割が訪れ、世界一の乗降客数を誇る新宿については、高度経済成長期に建設された鉄道各社の駅ビルが更新期を迎えており、名実ともに世界一のターミナルにつくりかえる絶好の機会が訪れています。
 このような状況の中、先月、新宿の拠点再整備方針の案が示されました。この方針案は、駅とその周辺の駅ビルを大幅につくりかえる、まさに新宿駅の大改造計画というべき内容であり、新宿全体の機能更新の契機になるものと期待しています。
 この大改造計画の実現に向けて、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 東京港は、国内最多の外貿コンテナ貨物取扱個数を誇る我が国屈指の国際貿易港として、首都圏、ひいては東日本の生活と産業を支える重要な役割を果たしています。
 しかし、施設能力を超えた貨物の集中によって深刻な交通混雑が発生しているとともに、世界的に進展しているコンテナ船の大型化への対応も求められているなど、東京港の機能強化は喫緊の課題となっています。
 また、これからの東京港には、世界中からのクルーズ客船の受け入れや、水辺の魅力の発信など、国際観光都市東京の発展を支える重要な役割も求められています。
 現在、都は、中央防波堤外側に新たなコンテナふ頭の整備を進めてはいますが、これはコンテナふ頭だけでなく、東京港全体を俯瞰し機能配置を見直す、いわばラストチャンスでもあり、都は長期的な視点からの戦略をしっかりと持って、東京港の機能強化に取り組む必要があります。
 都心に近く、港湾エリアが狭隘である東京港において、東日本を支える物流拠点としての機能と国際観光都市東京の海の玄関口としての機能をそれぞれ両立、強化させるためには、二十年、三十年後を見据えた戦略的な取り組みが不可欠であると考えますが、所見を伺います。
 そして、二〇二〇年東京大会を契機に、水の都の魅力を世界にアピールしていくことも重要です。そのためには舟運の活性化を図り、にぎわいあふれる水辺を創出していくことが必要です。
 そうした中、都は、昨年度から運航に関する社会実験を実施しました。この社会実験で得られた成果と今後の取り組みについて伺います。
 都市の重要なインフラの一つである都立公園は、防災性の向上、良好な景観の形成、安らぎやレクリエーションの場の提供、豊かな地域づくりに資する交流空間など、多様な機能を担っています。
 一方、都立公園では、指定管理者制度導入や民間事業者によるレストラン、カフェの設置などが進められ、二十九年度には東京都公園審議会答申や都市公園法の改正などにより、都市公園における民間事業者活用の環境が整いつつあります。民間事業者を活用するにしても、都立公園は公の施設として本来果たすべき役割を果たした上で、サービスのさらなる向上や政策実現を目的とした真に公共福祉の増進に寄与する施設にならなくてはなりません。
 こうしたことを踏まえて、都立公園の魅力向上に向け、民間事業者の活用に当たっての都の見解と、今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 現在、国では水道法の改正を検討していますが、施設の老朽化、災害による被害の多発など、水道事業は多くの課題に直面し、地方の小規模な自治体ほど状況が深刻であることから、法改正により事業基盤の強化を図ることとしており、その具体的方策として、広域連携やコンセッション、PFIを初めとした官民連携の推進などが掲げられています。
 都営水道は早くから広域化を進めており、水源から浄水場、送水管などのネットワークで構成され、その運営については、民間企業や監理団体を積極的に活用するなど、以前から水道の基盤を強化しているところです。
 一方、海外に目を転じれば、既にコンセッションを導入している都市で再び公営事業に戻す事例も数多く発生しています。水道は生命にかかわる重要なライフラインであり、水道事業を民間に任せることに住民の根強い不安がある上、日本の首都たる東京の水道のかじ取りを民間に委ねることは、国家の安全保障の面からも疑問があります。
 そこで、コンセッションを含めた官民連携について見解を伺います。
 一般的にコンセッションは、二十年から三十年間という期間を設定して契約が結ばれます。しかし、浄水場の更新サイクルは半世紀を優に超える大事業であり、事業運営において見据えるべき期間は、一般的なコンセッションの期間をはるかに超えたものです。
 さらに、水道システムは、浄水場や管路が有機的に連携することで災害時の耐性を高めており、現在進めている耐震継ぎ手化に着実に取り組むことを初め、水道の基盤強化の取り組みは、公の責務として災害への備えなどを含め、計画的に進めることが肝要です。
 そこで、都市のマネジメントに直結する施設整備の今後の取り組みについて伺います。
 首都直下地震などの大規模災害発生時には、全国から進出する自衛隊などの応援部隊の効率的な応急対策活動の展開が必要となります。
 都はこれまで、首都直下地震など、対処要領の改定や緊急輸送ルート確保の取り組みを通じ、救出救助機関の受け入れ体制などを整備してきました。
 そして、熊本地震では、全国の自治体から延べ十万人を超える職員等が応援に駆けつけ、被災地支援活動が展開されました。
 この熊本地震などの被災地支援活動の経験から、東京が被災地となったときに、全国の自治体や関係機関などから応援を円滑に受け入れるためには、あらかじめ受援応援体制を構築しておくことの重要性が再認識され、都は本年一月、東京都災害時受援応援計画を策定しました。
 そして、熊本地震の被災市町村では初動調整が混乱し、応援要請におくれが生じるなど、市町村における受援体制に課題があったのも事実です。
 そこで、都内区市町村も含め、受援応援計画の実効性を高めていくための取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 東京を初めとする首都圏の災害時における安全性を高めるためには、広域的な道路ネットワーク形成が重要であり、都県境の道路や橋梁の整備は、大規模災害時に避難や救援活動などを行うために必要不可欠です。
 中でも千葉県境の江戸川では、約八キロメートルも橋梁間隔が離れている区間があり、東日本大震災のときには、都内から千葉県に歩いて帰ろうとする人たちが市川橋や浦安橋などの限られた都県境の橋に集中し、大混乱を来したのです。
 また、国土交通省が平成二十八年五月に公表した荒川の洪水浸水想定区域図では、東部低地帯において甚大な被害が予測されており、平成二十九年七月の九州北部豪雨の発生なども踏まえ、この地域における避難経路の確保は喫緊の課題となっています。
 都県を超えた人や物の流れを確保し、大規模災害から都民の命を救うため、千葉県境の江戸川の橋梁整備は大変重要です。
 都では現在、橋梁間隔の離れている区間に補助第一四三号及び補助第二八六号の二路線を優先整備路線として計画していますが、これらの路線の今後の取り組みについて伺います。
 無人航空機、いわゆるドローンは、空の産業革命ともいわれる新たな可能性を有する技術であり、その技術は日々進歩し、農業や物流など多様な分野におけるビジネスにも急速に展開しつつあります。
 また、技術が成熟し、実用化が進むことで汎用機が生産されるようになり、販売価格が下がってきた結果、一般的にも導入しやすい環境が生まれてきています。今や少なくない数の都民、国民の皆さんがドローンを保有するようになっています。
 一方で、都心部などの人口密集地域や特定の地域の飛行を許可制にしているにもかかわらず、一部の方のルールを無視した運用により事故なども生じ、無人航空機は危険物のような捉え方をされています。
 しかし、平時はともかく、大規模災害時などにこれほど有用な道具はありません。私たちの目線、すなわち平面だけではなく、上空から近隣の被害状況がわかればどうでしょうか。ヘリコプターを待たずに、ヘリコプターより詳細に、より詳しい被害状況がわかるようになります。例えば、高層マンションの被害状況もわかるようになるんだと思います。結果として、より多くの人の命を救えることになります。
 そこで、大規模地震などの災害発生時における防災力向上に向けて、ドローンを活用していくべきと考えますが、所見を伺います。
 第四回定例会における我が党の代表質問では、政策企画局に対して、全国との共存共栄の取り組みについて有言実行を果たしてほしいと質問しました。
 局長からは、全庁的な視点で政策を推進する立場から、残された道府県を訪問し、東京と地方がともに栄える真の地方創生につながる関係を深化させていくとの答弁をいただいたところです。
 二〇二〇年東京大会が近づく中、全国の二万四千社が登録しているビジネスチャンス・ナビは、地方創生の観点からも極めて有効なツールです。
 地方創生を推進し、地方との共存共栄を図るという観点から、全庁の取りまとめを行う政策企画局においても、このビジネスチャンス・ナビの活用を一層進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 あわせて、東京の経済活動を支える都内中小企業の経済活動を支援する観点からも、東京大会の先も見据え、中小企業による利用促進を加速していく必要があると考えています。
 今後も、より多くの受注を確保できるよう、その機能を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 来るべき本格的な人口減社会において、百二十兆円の都内GDPを稼ぎ出すためには、産業の基盤たる中小企業の生産性を抜本的に高めることが不可欠です。特に省力化や品質向上につながる設備の導入は、人手不足への対応や収益力の強化に威力を発揮します。
 我が国の成長を牽引すべきここ東京において、設備投資の活性化を図ることは、経済の好循環を実現する上でも極めて重要であり、業種を問わず積極的にこれを進めていかなければなりません。
 しかし、経営資源の乏しい中小企業は、例えば先端技術を活用した設備を導入するにしても、資金も、また使いこなすためのノウハウも不足しているのが実情であります。
 企業一社一社が最も効率的に設備を導入できるよう、一層の後押しが必要と考えますが、都の新年度の取り組みについて伺います。
 中小企業経営者の高齢化が進み、二〇二〇年には多くが七十代に達するといわれています。経営を次の世代にどう引き継ぐかは、もはや企業個別の問題ではなく、我が国経済の持続可能性にかかわる問題というべきであります。
 国も株式贈与などに伴う税負担を実質ゼロとするなど、事業承継を促す大胆な税制優遇を行う予定としています。
 一方で、円滑な世代交代には後進の育成や経営の再構築など数多くの課題があり、これらを入念な準備をもって一つずつ克服することが不可欠です。
 今般の税制改正を実効あらしめるためにも、事業承継を目指す企業の取り組みを具体的に進めることが重要であります。
 都は、こうした中小企業の実態を踏まえ、さまざまな角度から質、量両面にわたり施策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都市の中で農業生産の場となっている生産緑地の多くが、二〇二二年には指定後三十年を迎え、農業者からの農地買い取りの申し出が急増することが懸念されています。
 このような状況の中、都議会自民党の強い働きかけにより、国は昨年、生産緑地法を改正し、買い取り申し出の開始時期を十年延長する特定生産緑地制度の創設や、指定下限面積の緩和などを実現しました。
 また、今通常国会においては、農業者が安心して生産緑地を貸し付けできる新法の制定が予定されており、貸し付けされた生産緑地については、相続税納税猶予の適用が平成三十年度税制改正大綱に明記されています。
 今後は、小規模な都市農地のさらなる活用や、農地の借り入れによる経営規模の拡大など、意欲ある農業者の新たな事業展開が見込まれます。
 農地は、農業者が耕して農産物を生産して初めて機能が発揮されるものです。都市計画の中でただ単に緑地として位置づけ、維持すればよいのではなく、農業者が耕作する農地としてどう残し、どう活用していくのかが重要になってきます。
 都は、こうした農地保全の意義や都市農地をめぐる制度改正の内容を農業者にしっかりと周知するとともに、東京農業の持続的発展に向けた振興施策のさらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 待機児童対策は、大都市東京の課題として、これまで我が党も施設の整備だけでなく、人材確保や区市町村支援など、率先して取り組んできたところですが、今回知事が打ち出したベビーシッター利用支援事業について、都民の中にはさまざまな疑問を感じている方々もいます。
 また、子育て中の女性の中には、ベビーシッターを利用したいのだけれど、不安があって踏みとどまってしまう方も大勢いらっしゃると聞きます。
 そういったお母さんとしての声は、私もわかるような気がいたします。ほんの数年前、同じような悩みを持ったからです。
 お金は一体幾らかかるのだろうから始まって、どういう人が来るのだろう、長時間子供と二人きりになって大丈夫なのだろうか、子育ての考え方の違いが子供に影響することはないのか、誰もいない家の中に招き入れるのは少し抵抗がある、そもそも狭くて汚いおうちに招き入れていいのか等々、我が子がかわいいがゆえに、不安は枚挙にいとまがありませんでした。
 もちろん、ベビーシッターの皆さんは、子供好きのよい方ばかりだとは思いますが、そもそもベビーシッターという文化が他国と比べて日本には根づいていませんし、不安に思うのは当然だと思います。
 この事業を待機児童対策の新たな受け皿とするには、まず、ベビーシッターのあり方や制度について、しっかりと議論をする必要があるのではないのでしょうか。
 また、ベビーシッターの人材を確保するために無理をすれば、当然、保育の質の低下につながる懸念もあります。
 保育の現場を預かる自治体からも、モデル事業で検証することもせず、保育の質が担保されたベビーシッターの供給も定かでない状況で、五十億円もの新規予算が提案されたことに違和感を覚えるとの声が届いています。
 保育の考え方が福祉からサービスへと拡大する中で、大都市における待機児童対策については、施設整備や人材確保だけでなく、企業に協力を求める働き方改革など、さまざまな観点からの支援策を総合的に展開することが重要です。
 ただ単に数字の上で待機児童数が解消できれば、どのような方法でもよいというものでもないと思います。
 都はどのようにしてベビーシッターの質と保育の安全を確保し、予算額として算定した五十億円という事業規模に見合うベビーシッターを確保していく計画なのか、所見を伺います。
 次に、在宅医療について伺います。
 高齢化の進展に伴い、疾病構造が変化し、治す医療から治し支える医療への転換が求められています。
 在宅医療は、高齢になっても、病気になっても、障害があっても、住みなれた地域で自分らしい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完しながら患者の日常生活を支える医療であり、地域包括ケアシステムにとって不可欠な構成要素であると考えています。
 そして、高齢化に伴うがん患者の増加も含め、増大する在宅医療ニーズに対応するためには、在宅医療を担う在宅医を育成、確保し、在宅医療提供体制を整備することが喫緊の課題です。
 また、在宅医療の現場では、入院医療機関と連携した退院支援、患者の生活を支えるケアマネジャーなど、多職種との連携、急変時の対応、みとりの実施など、求められる医療機能は多岐にわたり、こうしたハードルの高さから、在宅医療への参入をためらう医師も多いと聞いています。
 在宅医療推進の実施体制は、一義的には住民に身近な区市町村ですが、医療資源の確保を初めとする在宅医療基盤の整備に当たっては、都が果たすべき役割も大きいのです。
 そこで、地域包括ケアシステムを支える在宅医療を担う医師の育成、確保について、都としても積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 世界に類を見ないスピードで超高齢社会を迎える東京において、都民が住みなれた地域で安心して暮らせる医療提供体制の整備が急務となっています。
 都立病院は、引き続き民間医療機関のみでは対応が困難な医療など、行政的医療の提供を基本的役割とするとともに、二〇二五年の医療の姿を示す東京都地域医療構想の実現に向け、先導的な役割を果たしていくべきです。
 今後も、都民の生命と健康を守るためには、各病院が有する高度専門医療の強みに磨きをかけ、都民が真に求める医療を確実に、かつ効果的に提供していかなければなりません。
 こうした中、先般、外部の有識者から成る都立病院経営委員会の報告において、行政的医療の安定的な提供に加え、新たに地域医療の充実への貢献が求められています。また、経営形態として、地方独立行政法人がふさわしいとの提言もなされています。
 そこで、都としてこうした報告をどう受けとめているのか伺います。
 都は、環境確保条例に基づく土壌汚染対策制度を平成十三年に開始しました。その後、土壌汚染対策法が施行されたことで、都内では条例と法律の両方に基づく規制が行われています。条例と法律が両方該当する案件では、同じような書類をそれぞれ用意し、提出しなければならず、規制を受ける事業者にとっては二重の負担となっています。
 一方、法では、対策が不要となる土地でも、条例で封じ込めるなどの対策が必要となる場合があるなど、わかりづらい制度となっています。
 昨年五月、土壌汚染に関するリスク管理の推進を目的として、土壌汚染対策法が改正されました。
 この機会を捉えて、都においても適切に土壌汚染対策を行いながら、事業者の負担も軽減できるよう、関係者の意見を聞きながら、環境確保条例の見直しを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 平成三十年は、江戸から東京への改称、東京府開設から百五十年の節目の年となります。
 江戸城の名残を残すお堀は、我が国最大規模の城郭を示す歴史遺産であり、都心の豊かな緑地や水辺空間、桜の名所として多くの人々に親しまれています。
 しかし、閉鎖性の公共用水域であるお堀は、土砂や腐敗した落ち葉の堆積、水量不足などにより、アオコや臭気が発生するなど水質が悪化しやすいのです。
 そして、合流式下水道からは、強い雨が降ると、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水が公共用水域に放流されるのです。
 下水道局は、内堀から隅田川への放流先の切りかえによる水質改善と、首都中枢部の浸水被害の軽減を図るため、平成三年度から四半世紀もの建設期間と約四百億円もの総事業費をかけた大事業を完了させ、平成二十八年度より内堀への下水の流入を完全になくすことで、水質改善に大きく寄与しています。
 世界で一番の都市を目指す東京は、二〇二〇年東京大会開催都市として、世界中からお客様をお迎えするとともに、次世代に良好な都市環境を引き継ぐため、内堀だけでなく、外堀の水質改善も早急に進める必要があります。
 そこで、下水道事業における外堀の水質改善に向けた取り組みについて伺います。
 高齢者を狙ったオレオレ詐欺などの特殊詐欺については、都、警視庁などの取り組みの効果もあり、被害額は減少傾向にありましたが、新たな手口が急増するなど、被害が多発しており、昨年は認知件数が九年ぶりに三千件を超え、被害額は七十九億円を超えています。
 都は、特殊詐欺の抑止に効果が期待できる自動通話録音機について、我が党の提案により、区市町村への補助事業を創設し、支援を実施しています。補助制度の開始当初は、区市町村の取り組みにも差があったと聞きますが、高齢者やその家族に大きな不安を与える特殊詐欺を根絶していくには、都が継続的に積極的な支援を行い、老人クラブなどの地域団体とも効果的に連携しながら、自動通話録音機を一層普及していくことが不可欠であると考えています。
 そこで、高齢者を特殊詐欺から守るため、自動通話録音機の設置促進に、より積極的に取り組んでいくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 まち中を大きなトラックで宣伝する、いわゆる広告宣伝車をご存じでしょうか。バスよりも長い車体を有し、ミュージシャンや水商売などのど派手な広告を掲げ、大音量で都内繁華街を中心に同じような箇所を何度も何度もゆっくりと走行するあの車です。
 歩行者や近隣の方にとって、あの移動する大音量は騒音でしかありません。車の運転手にとっては、いたずらに渋滞を招く元凶でしかありません。多くの都民が迷惑であると受けとめています。
 しかし、登録車であれば、都の屋外広告物条例に基づき、許可を得て走行することができます。都外登録車も、県や市の条例に基づいて手続をしていれば都内を走行できることになっています。
 今後、東京には海外からのお客様がますますふえると予想されています。都内中心部は、車両混雑も増加すると思われます。
 二〇二〇年東京大会を控え、このような広告宣伝車に対し、都はどのように対応していくのか伺います。
 駅のホームからの転落事故は依然として後を絶たず、ホームの安全対策は急務となっています。
 都営地下鉄において、ホームドアが整備された駅では転落事故がゼロとなっており、ホームドアの安全面での効果は非常に高いことは論をまちません。
 都営地下鉄では現在、三田線、大江戸線の六十五の駅でホームドアの整備が完了しており、新宿線についても、平成三十一年秋には全二十一駅でホームドアの整備が完了する予定と聞いております。
 残る浅草線については整備に向けた課題が多く、QRコードを用いた新技術も活用しながら、先行的に四駅のホームドアを整備することとしているとのことですが、都営地下鉄においてホーム事故をゼロとするためには、浅草線全駅へのホームドアの整備が不可欠であると考えます。
 そこで、浅草線のホームドア整備について、交通局の見解を伺います。
 次に、都立高校改革について伺います。
 これまで都教育委員会は、チャレンジスクールなどの多様な学校づくりとともに、国際バカロレアのディプロマプログラムの実施など、さまざまな先進的な取り組みを進めています。
 一方で、第四次産業革命と称される飛躍的な情報技術の革新により、人工知能、いわゆるAIがみずから判断したり、あらゆるものの動きがインターネットにより最適化される時代の到来が見込まれており、今の子供たちが活躍する未来は、現在社会とは大きく異なることと考えられます。
 しかし、未来がどのようになるとしても、子供たちに社会を生き抜く力を身につけさせることが学校教育の目的であり、責任であることに変わりはありません。
 AI時代の到来ともいわれる現在において、都立高校がその責任を果たすためには、教員を含めて、都立高校がこれまでの枠組みにとらわれることなく、社会の変化に対応していくことが重要と考えますが、今後、都立高校改革にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育について伺います。
 世界をリードするグローバル都市として発展している東京では、海外から多くの人が日本を訪れ、また居住しており、外国人を身近に感じることが日常化しています。
 そのため、我が党はこれまで、子供たちに他国を尊重し、世界の多様性を受け入れる態度を育成する重要性を提言してまいりました。
 これを受け、都教育委員会では、現在、都内全公立学校で実施されているオリンピック・パラリンピック教育の中で豊かな国際感覚を醸成することを目的とした、世界ともだちプロジェクトを推進しています。
 このプロジェクトは、一九九八年、長野大会の一校一国運動を発展させ、大会に参加する国や地域のうちから五カ国を学校が選び、歴史や文化などについて学ぶという取り組みと聞いています。
 こうした学習では、単に知識を広げるだけではなく、さまざまな価値観を尊重する態度などを育成するために、外国人の方とじかに交流を図ることが極めて効果的であると考えます。
 そこで、各学校が海外の学校や大使館などと直接的な交流をより一層推進できるよう、都教育委員会として支援するべきと考えますが、見解を伺います。
 小笠原諸島は、太平洋戦争による米軍統治から昭和四十三年に日本に返還され、ことし六月で返還から五十周年を迎えます。
 返還以来、都は特別措置法に基づき、振興開発計画を策定し、社会資本の整備や産業振興を図ってまいりました。特に近年では、海底光ファイバーケーブルが敷設され、小笠原諸島と本土とを結ぶ唯一の交通手段である「おがさわら丸」が更新されています。
 現在の小笠原諸島振興開発特別措置法は、平成三十年度末で失効しますが、返還以来の課題である航空路の開設を初め、依然として問題は山積しています。
 また、前回の法改正では、定住環境の改善に向け、生活環境などの整備や保健医療、高齢者の居住施設の整備などへの配慮規定が盛り込まれましたが、引き続き推進していく必要があります。
 さらに、今般、我が国周辺海域を取り巻く情勢が一層厳しさを増す中、日本の排他的経済水域の約三割を占める小笠原諸島の、有人国境離島としての重要性も再認識されています。
 都として、改めて航空路の開設を初め、小笠原諸島に残された課題に対応するため、国に対し、小笠原諸島振興開発特別措置法の延長を求めるとともに、さらなる振興への取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 市町村総合交付金は、それぞれの努力と創意工夫により地域の実態に即して課題解決に取り組む市町村に対する総合的な財政支援制度として創設され、これまで五百億円もの予算を積み上げてきました。
 三十年度予算案では、交付金額を五十億円増額するとともに、都と市町村が連携して取り組む、待機児童対策などの取り組みを支援する政策連携枠が新たに設けられました。
 これまで、市町村は総合交付金について、対象範囲の拡大や個別事情を反映した柔軟な交付など、各団体の自主性や特殊性を尊重した取り扱いを都に要望していました。
 現時点で、政策連携枠の詳細は明らかではありませんが、この連携枠による支援が、市町村が進める取り組みと合致する仕組みとなるのかが懸念されます。
 また、今後、交付金総額に占める連携枠の割合が高まった場合、市町村に対して交付金の使途が限定されていくという印象を与えてしまうことも懸念されています。
 つまり、今回の政策連携枠の導入によって、市町村が行う各種施策の財源補完という総合交付金の性格が変わってしまう、もしくはそのように捉えられてしまうことを危惧しています。
 これまで同様、一般財源の補完という性格を変えることなく、市町村が使いやすい総合交付金制度であり続けるためにも、今回導入された政策連携枠の取り扱いも含め、適正な運用に努めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 知事、最後にあえて申し上げます。
 私たちは、知事が憎いわけでも、嫌いなわけでもありません。私たちが苦言を呈し続けるのは、よい東京都をつくりたい、都政を前に進めたい、その一念からです。
 都民にとって重要なのは、誰が都知事かではなく、冒頭でも申し上げたとおり、都知事の発言や判断、行動した結果が都民にとって有益かどうか、その一点に尽きます。結果が全てです。
 今や世界ではIT化もグローバリゼーションも当たり前です。IoTや人工知能の発展など、第三次産業革命、あるいは第四次産業革命ともうたわれる時代に突入しています。
 五十年前、一体誰が、地図なしで目的地に着けるドライブを想像できたでしょう。三十年前、一体誰が、誰もが携帯電話を持つ社会を想像できたでしょう。二十年前、一体誰が、スマホで好きな商品を注文したら翌日に届く世界を想像できたでしょう。私たちは、有史以来、誰も想像できない未曽有の世界に生きているのです。
 一方で、この国の高度成長期は、はるか昔に終わり、成熟社会を迎え、日本も東京も人類史上かつてないスピードで進む少子高齢化が既に始まっています。
 今、この瞬間のかじ取りを間違えてしまったら、日本も東京も衰退の道をたどるしかなくなってしまう、私はそういう危機感を抱いています。二〇二〇年までの数年間は、後から振り返ったら、あのときが転換期だった、そんなふうに呼ばれると思います。
 幸いにして、バブル崩壊から二十年にわたり低迷してきたこの国が、ようやく企業業績は回復し、株価も上昇し、有効求人倍率もバブル期を超える水準に復活してきました。加えて、来年にはラグビーのワールドカップ、再来年には私を含め今や多くの人にとって初めての夏のオリンピック・パラリンピックが開催されます。
 日本が、東京が、もう一度飛躍するために、これほどのチャンスはこの先百年、二度と来ないかもしれない。だからこそ、今の都政の状況が、歯がゆくてたまらないのです。
 小池知事は、環境大臣、防衛大臣、自民党三役、そして都知事に就任され、功成り名を遂げられました。活躍する女性としての先鞭もつけられた。それは誰もが認めるところです。
 だからこそ、最後に申し上げたい。
 この千載一遇のチャンスをご自身のためではなく、都民のために、日本のために生かしていただきたい。政局ではなく、都知事として政治をやっていただきたい。そして、何より未来のために、子供たちのために、捨て石となる覚悟で臨んでいただきたい。そのことを申し上げて、再質問を留保して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 秋田一郎議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、都政運営についてのご質問がございました。
 私は知事就任以来、都民ファーストの視点に立って、情報公開により透明性を高め、職員はもとより、外部の専門家などからのさまざまな意見も参考にしながら、東京大改革を旗印に、都政運営を進めてきたところでございます。
 その中で浮かび上がりました都政のさまざまな課題への対応につきましては、適切な機会を捉えながら、みずから直接都民の皆様にお伝えするとともに、都民の代表である都議会の皆様には、しっかりとご説明もし、また、皆様のご質問にも真摯にお答えしてきたところでございます。
 引き続き、東京の明るい未来に向け、都議会の皆様と建設的な議論を積み重ねて、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー、この三つのシティーの実現に向け、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。
 平成三十一年度の税制改正についてのご指摘がございました。
 東京の財源を不当に収奪し、都民生活を脅かす不合理な税制度の見直しに対しましては、これまで歴代知事も一貫して反対してきたのは、お述べになったとおりでございます。平成三十一年度の税制改正におきましては、既に決着済みであるはずの地方法人課税の不合理な偏在是正措置について拡大する動きを見せておることから、断じて看過することはできないと考えております。
 こうした国の動きに関しましては、都民の代表であられる都議会の皆様のご協力をいただきながら、オール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかり連携しながら、あらゆる機会を捉えて、都民の貴重な財源を守るための主張を戦略的かつ強力に展開していく必要があると考えております。
 地方との連携強化についてのお尋ねがございました。
 施政方針表明でも申し上げてきたとおり、今、我が国に必要なのは、東京対その他の地方の構図をいたずらにあおるのではなく、東京を強力なエンジンとして、各地方それぞれの強みも生かすことで、オールジャパンで国際競争に打ち勝つという発想でございます。
 そうした観点のもとで、今般の地方消費税の清算基準の見直しや、二十三区の大学の定員抑制の動きに際しましては、私みずから、総務大臣や文部科学大臣を初め、東京選出の国会議員等を訪問いたしまして、直接の要望を行ってきたところでございます。
 また、全国知事会や九都県市首脳会議などの機会を捉えまして、これらの課題について各首長に説明、そして理解を求めてまいりました。
 さらに、オリンピック・パラリンピックフラッグツアーで、被災地、そして鹿児島、沖縄を訪問した際は、大会成功に向けました各知事との連携も確認してまいりました。
 東京二〇二〇大会を一つの契機に、各道府県と一丸となり、それぞれの強みを発揮していきたいと考えております。
 今後とも、人口減少、超高齢化の中で我が国が成長を続けるためには、東京を含めた地方が持てる力を存分に発揮することこそが不可欠との思いのもと、共存共栄に向けた各道府県との連携強化には努めてまいりたいと考えております。
 まず、東京大会に向けた決意についてのお尋ねにお答えいたします。
 平昌大会が終わりますと、いよいよ東京の番でございます。大会開催まで九百日を切り、準備は実務を加速させるフェーズに入っております。施設整備のほか、輸送、セキュリティー、ボランティアなど、ハード、ソフト、その両面で開催の準備をスピードアップさせてまいります。
 大会の開催に当たりましては、成熟都市であり、世界の最先端都市でもあるこの東京を国内外にアピールするとともに、世界中の誰もが記憶に残る大会としてまいります。また、大会を契機といたしまして、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上、そして持続的な成長を実現するレガシーを残してまいります。
 これによりまして、東京の活力の源である都民一人一人を輝かせ、持続可能な都市東京の礎を築いてまいりたいと考えております。
 そしてまた、かねてから申し上げておりますように、パラリンピックの成功なくして大会の成功はない、パラリンピックを成功に導くことで、東京を真の共生社会として都市の成熟度をさらに高めていく所存でございます。
 今後も開催都市の長といたしまして、組織委員会を初め、国や被災地を含む関係自治体等の関係者と一層強力に連携をいたしまして開催準備を進め、大会を成功に導いてまいりたいと思います。
 次に、平昌パラリンピック大会の視察に関してのお尋ねがございました。
 平昌大会の視察につきましては、冬季大会であることや、リオ大会のときのような特別な役割がないということから、猪熊副知事を初めとした職員をかわりに出張させ、現地の状況の把握に努めてきたところでございますが、先般帰国した職員などから、これに関して報告を受けたところでございます。
 アクセシビリティーへの対応や輸送など、現地にみずから赴くことによりまして、肌で感じられる部分も多いことを改めて認識した次第でございます。
 さらに、オリンピックの開会式等を視察した東京都議会二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを成功させる議員連盟に所属する議員の皆様方から、現地のお話も伺いました。そして、じかに現地を見るべきとの熱心なアドバイスも頂戴したところでございます。
 それらを踏まえまして、議会日程等さまざまな状況を総合的に検討いたしました結果、改めて現地を訪れる判断をいたしたものでございます。大変駆け足の日程にはなりますけれども、私自身の目で、しっかり平昌パラリンピック大会を見てまいりたいと考えております。
 今後の都政運営についてでございます。
 知事である私は、みずからの判断と責任において都政を運営する責務を負っていることはいうまでもございません。そして、その具体的な担い手は、各局長を初めとする職員の皆さんであります。そのため、就任直後より、自律改革、みずからを律する自律改革を柱に据えて都政改革に取り組んできたところでございます。
 先般、これまでの成果と今後の方向性をまとめました二〇二〇改革プランの素案を発表させていただきました。この間の議論、そして取り組みを通じまして、職員、そして各局に改革のノウハウを共有することができただけでなく、期待以上に改革マインドが浸透するなど、都政改革の土台が築かれたこと、大変うれしく思うところでございます。
 今後は、これまでの計画の段階から、実践的に都政改革に取り組む段階に入るわけでございまして、本プランの実効性を高めるために、顧問の活用のあり方、職員の主体的な参画の観点から、新たな推進体制を構築するように指示をいたしたところでございます。
 平成三十年度の予算編成における各種団体との面会についてのご指摘がございました。
 昨年度の予算編成から、都民ファーストの都政を実現するために、いわゆる政党復活予算の廃止、査定状況の途中経過の公表など、さまざまな予算編成のプロセスの見直しを進めてきたところでございます。
 その一環といたしまして、政策現場の最前線で活躍する各種団体とのヒアリングや意見交換を行いました。現場の声、都民の声をしっかりと受けとめて、よりよい予算づくりに役立てているところでございます。
 平成三十年度の予算編成におきましても、昨年の十月から十一月にかけまして五十九団体との間でヒアリングを行い、さまざまなご意見、ご要望をいただいたところでございます。
 そして、昨年度と同様に実施をいたしました予算案発表前の各種団体との意見交換は、いただいたご意見、ご要望、それぞれの個別事項に関しまして、知事査定の場で一つ一つ議論し、判断した内容についてお伝えしたもので、予算案発表に至るまでの予算編成プロセスの一つでございます。
 都民を代表する都議会各会派の皆様に対しましては、予算案の発表前日、その全体像を一番初めに説明させていただいております。それをもとにいたしまして、本定例会において議会の皆様と真摯に議論を重ねていく、そのことこそが二元代表制の趣旨にのっとった対応であると、このように認識をいたしております。
 入札契約制度の改革とライフワークバランスや賢い支出との関係についてでございます。
 予定価格の事後公表につきましては、積算の負担が増しているとのご意見がございます。事業者の入札参加に当たりまして、積算は、工事内容を把握して工事の品質を確保するための重要な作業でありまして、中長期的には優良な公共工事の担い手の育成に資するものと考えております。
 一方で、一月に実施をいたしました意見交換では、中小企業の積算負担の軽減、適正な工期の設定に関する意見があり、ライフワークバランスや担い手確保の観点から、こうした意見もしっかり受けとめていく必要があると認識をいたしております。
 また、低入札価格調査の厳格化につきましては、ダンピングの防止や、下請として工事に携わる中小企業を不当なしわ寄せから保護することに加えて、工事品質に見合いました適正な契約、すなわち、私が進めているワイズスペンディング、賢い支出を実現するために資するというものでございます。
 今回の意見交換におきましても、厳格化に対する反対意見はなく、事業者の皆様方から一定の理解が得られているものと認識をいたしております。
 入札契約制度の改革につきましては、現在、入札監視委員会で検討を進めておりまして、現場の声をしっかり伺いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 一者入札の中止による豊洲市場の追加対策工事への影響についてもご質問がございました。
 これまでの制度改革の試行においては、入札参加者の増加で、契約の透明性や競争性が大きく向上しております。
 一者入札の中止につきましては、業界団体との意見交換会で、一者でも参加を希望した事業者の準備が無に、ゼロになってしまうことや、都の事業執行のおくれを懸念する声が多く寄せられたところでございます。
 こうしました現場の状況も踏まえまして、今後の取り扱いを検討していく必要があるとの認識を抱いているところでございます。
 一方、豊洲市場の追加対策工事でございますが、結果といたしまして、契約手続には時間を要しましたものの、市場移転に支障のない七月末までに工事が完了するように契約は締結いたしておりまして、契約手続による開場日への影響は生じていないものと考えております。
 なお、都事業の実施につきましての最終的な責任は、都知事である私に帰するものということはいうまでもございません。
 業界団体からの意見についてでございます。
 意見交換におきましては、制度改革の取り組みに対しまして、反対意見だけではなく、改革の取り組みに賛成するご意見や現行制度の継続を前提とした改善提案など、さまざまなご意見を頂戴したとの報告を受けております。
 いただいた意見の中でも、中小企業の積算に係ります負担が増加しているというご意見、これまでJVが貴重な技術研さんの機会であったという意見については重く受けとめているところでございます。
 事業者の業種や規模は多岐にわたっております。全ての事業者が満足する完璧な制度はないものと思いますが、今後も、こうした意見交換を重ねながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 入札契約制度の見直しについてでございます。
 現在、制度改革の試行状況については、第三者機関であります入札監視委員会において検証をしていただいているところであります。
 開札結果などの客観的データだけではなく、業界団体などからも現場の声を伺って検証を進めております。
 今月提出される予定の検証報告を踏まえまして、改めて都として業界団体からヒアリングを行いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
 環状第二号線についてでございますが、環状第二号線は、東京の骨格を形成する幹線道路網の一翼を担い、東京の都市活動、そして都民生活を支える重要な道路でございます。
 このうち都心部と臨海部を結ぶ区間につきましては、広域的な交通、物流ネットワークを強化するとともに、臨海部の新たなまちづくりを支えて、地域の防災性の向上にも寄与するものと認識をいたしております。
 大会時の円滑な輸送の実現についてのお尋ねがございました。
 大会の成功には円滑な輸送運営が必要であり、さまざまな知見を生かして準備することが重要だと認識をいたしております。
 このため、昨年の六月より、学識経験者や関係機関を交えまして、道路ネットワークの効率的な活用方策や交通マネジメントの具体的な検討を進めて、その方向性を示したところでございます。
 その中では、企業や市民に対しまして、夏休みの計画的な取得やテレワークなどを呼びかけまして、交通に関する行動を変えてもらうとともに、状況に応じまして、首都高速道路等の料金所や入り口で通行できる量の調整を行って、渋滞の発生を抑制していくことといたしております。
 さらに、大会時の車両基地であります築地周辺の道路等についても、組織委員会や警視庁などと連携をいたしまして、着実に混雑対策を進めてまいります。
 今後、これらの施策の詳細につきましては、輸送運営計画バージョンツーとして取りまとめをいたしまして、円滑な大会運営の実現に努めてまいる所存でございます。
 そして、大会に関連する事業についてのお尋ねがございました。
 いよいよ開催まで二年となったわけでございますが、東京二〇二〇大会につきましては、オールジャパンで実務を加速させるフェーズに入っております。
 都は、昨年五月に、組織委員会、そして国、関係自治体との間で合意いたしました大会の役割、経費分担に関する基本的方向、そして、昨年末に公表されました大会経費バージョンツーに基づいて着実に準備を進めているところでございます。
 今後、開催都市といたしまして、バリアフリー環境の整備、ボランティアの育成、活用、東京、日本の魅力発信など、大会を契機にいたしまして、東京の価値をなお一層高めるための取り組みも加速していかなければなりません。
 大会開催に向けましては、これまで計画的に積み立ててきました基金を積極的に活用することとしておりまして、今回お示ししたように、都にどのような財政需要が発生するのか、都民に説明していくことは、大会の成功に向けて不可欠の要素と考えております。
 引き続き、財政の透明性の確保、そして都民生活に影響を与えない、将来にツケを残さないという考えに基づいて説明責任を果たしながら、大会の成功とレガシーの創出に向け、邁進をしてまいりたいと考えております。
 安全宣言についてのお尋ねがございました。
 豊洲市場用地の法的、科学的な安全確保につきましては、専門家会議でも確認されているところでございます。
 現在、地下ピット内の対策工事や地下水管理システムの機能強化といった追加対策工事を進めており、これを着実に実施することで、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図るところでございます。
 こうした追加対策工事の完了後は、対策の有効性について専門家会議の確認を経て、農林水産大臣の認可といった手続を進めてまいります。
 食の安全・安心につきまして、都民の理解を得るためには、こうした一連のステップを着実に進めることが重要でございます。手続面も含めた条件が整った段階で、安全・安心な市場であるということについて、私から発信をしてまいります。
 築地再開発についてのご質問でございます。
 豊洲市場を継続的に中央卸売市場として運営をする、そして日本の中核市場として育てていくということは、これはかねてから申し上げてきたことでございます。
 私の発言は、こうした方針を踏まえまして、築地市場の跡地に都が中央卸売市場を改めて設置をすることはないという旨を申し上げたものでございます。
 築地再開発検討会議におきまして、築地のポテンシャルを生かし、東京の魅力をさらに高めて、持続的な成長につなげていく観点から、自由な発想で幅広いご意見をいただいているところでございます。
 これまで、まちづくりにおいて重視すべきこと、考慮すべき条件、進め方などについて、多面的なご意見をいただいているところでございます。
 また、これもかねてより申し上げているところでございますが、まずは豊洲市場への移転を円滑に行い、豊洲市場での事業が軌道に乗るよう、全力で取り組んでいくことでございます。
 そして、築地につきましては、民間の知恵を生かし、将来の東京にとって重要な役割を担う新たなまちづくりにつなげていきたいということを繰り返し申し上げているところでございます。
 鉄道ネットワークについてでございます。
 東京は、これまで世界に類を見ない高密度で安全な鉄道網を構築し、世界有数の大都市へと発展してきたことは、ご指摘のとおりでございます。人や物の交流を活性化し、将来にわたり東京が持続的に発展するためには、東京の強みである鉄道網のさらなる充実は不可欠でございます。
 都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、鉄道事業者などの関係者と連携をいたしまして、事業費の精査、採算性などの課題などにつきまして検討を行ってまいりました。
 そして来年度は、調査費を増額いたしまして、具体化のための検討を深めてまいります。あわせて、新たに基金を設置することで、鉄道新線整備に対します都の取り組み姿勢を明確に示し、関係者との協議、調整を加速してまいります。
 こうした取り組みで、鉄道ネットワークのさらなる充実を図ってまいります。
 小笠原諸島の振興についてのご質問がございました。
 小笠原諸島は、関係者の方々の大変な努力の結果として、昭和四十三年に返還されて以降、特別措置法に基づいて生活基盤や産業基盤などの整備を行って、相応の成果を上げてきたところでございます。
 しかしながら、村民の切なる願いである航空路を初めとする交通アクセスの改善や住民の定住化を促進するための生活利便性の向上など、課題はございます。
 また、世界自然遺産である貴重な自然環境を有しております。我が国の排他的経済水域の確保の観点からも、国益を維持する上でも重要な地域であるわけでございます。
 小笠原諸島の自立的な発展に向けて、自然環境と調和した航空路案の検討を初め、農林水産業や商工業等の産業振興、社会資本の整備、更新など、小笠原諸島を取り巻く課題を整理いたしまして、村の意向を踏まえながら、国に特別措置法の延長を強く働きかけるとともに、この諸島の振興を積極的に図っていく所存でございます。
 最後に、市町村総合交付金についてのご質問がございました。
 市町村総合交付金は、地域の発展に向けて、市町村が取り組みます各種の施策に要する一般財源の補完としての役割を果たしているものと認識をいたしております。
 平成三十年度は、予算を大幅に増額するとともに、新たに政策連携枠を設けて、都と市町村が連携して取り組むべき待機児童対策などの政策課題に重点的に対応できるようにしたものでございます。
 先般、昨年に引き続きまして、全ての市町村長の皆様と意見交換を行いました。待機児童の解消、ゼロエミッション化の実現などに創意工夫を凝らして取り組まれている市町村の状況であるとか、今後の行財政運営上の課題、要望などをお伺いしたところでございます。
 こうした各市町村の課題解決に向けまして、総合交付金を柔軟に活用していただくことが重要であると改めて認識をしたところでございます。
 今後、政策連携枠につきましても、市町村の一般財源の補完という性格を変えることなく支援メニューを検討するなど、各市町村が進める自立的、主体的な取り組みを適切に支援できるように努めてまいる所存でございます。
 残余のご質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校改革についてでございますが、これからの情報社会では、変化を柔軟に受けとめ、主体的に社会に参画し、新しい価値を創造する力を子供たちに育成することが重要でございます。そのためには、都立高校が社会の変化を前向きに捉え、新しい時代に速やかに対応していく必要がございます。
 このため、都教育委員会は、生徒や教員が使いやすく、日常的に活用できるICT環境を整備し、個別学習を含めた授業改善や、効果的、効率的な成績処理等を行う先駆的な学校運営の実現に向けた検討を行ってまいります。
 今後、来年度策定する都立高校改革推進計画の次期実施計画においては、こうしたことも含めて新しい時代の学校のあり方を追求し、都民の期待に応える、魅力ある都立高校づくりに、引き続き取り組んでまいります。
 次に、学校における国際交流の一層の推進についてでございますが、子供たちが外国人と直接交流することは、その国の言語や文化等を体感でき、多様な価値観を尊重する態度等を育む絶好の機会であります。
 その一方で、学校が独自に交流先を開拓し、連絡調整することには大きな負担がございます。
 このため、都教育委員会は、これまで六つの国や地域と教育に関する覚書を締結するとともに、四十三カ国の在京大使館等から協力を得るなどして、学校における国際交流を支援してまいりました。
 今後、都教育委員会は、さらに多くの子供たちが外国人と直接交流できるよう、在京大使館との連絡調整や海外の学校との交流の場の設定などといった業務を専門的に運営する仕組みを新たに構築することにより、学校における国際交流をさらに積極的に推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都市計画道路のあり方についてでございます。
 都市計画道路を計画的かつ効率的に整備するため、これまで都は、事業化計画を策定し、優先的に整備に取り組む路線を示す一方で、廃止や縮小など、適宜計画の見直しを行ってまいりました。
 加えて、今年度からは、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路のあり方について、区市町と協働で検討を開始しておりまして、必要な交通機能等が既に確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性など、検証の視点について整理を進めてございます。
 その内容を来年度早期に中間のまとめとして公表し、都民の意見を聞いた上で、個々の路線を対象とした検証を実施して、来年度末を目途に計画変更等の対応方針を示してまいります。
 次に、新宿駅周辺の再整備についてでございます。
 新宿は、駅を中心に業務、商業、観光など、多様な機能が集積する中核的な拠点であり、その相乗効果が高まるよう、時代に応じた機能更新を図ることが重要でございます。
 都は先月、新宿区とともに、先行して再整備に取り組む新宿駅直近地区について、整備方針の案を公表してございます。
 具体的には、線路上空に歩行者デッキを新設し、東西のまちをつなぐとともに、駅前広場を歩行者優先につくりかえ、隣接する駅ビルなども、これらの施設と一体的に更新して、新たな観光支援や産業振興などの機能も導入をいたします。
 年度内に都民の意見も踏まえて整備方針を策定し、関係者と事業化に向けた調整を進めてまいります。
 将来を見据え、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組み、その効果を周辺に波及させて、新宿の拠点性を高めてまいります。
 次に、舟運の社会実験についてでございます。
 都は、舟運の活性化に向けた社会実験として、共通の予約システムを構築した上で、二年間、民間事業者と連携して、羽田や臨海部、日本橋などを結ぶ複数の航路で運航を実施いたしました。
 その結果、利用者の多い区間が明らかになる一方、認知度の低さや船着き場のわかりにくさなどの課題を把握してございます。来年度は、需要を確認できた航路で、民間による定期的な運航が開始される予定でございます。
 都は、動画によるPRや、イベントと連携した臨時便などによって、舟運のさらなる周知を図るとともに、船着き場への案内サインの試験設置を拡大するなど、利便性を高めてまいります。東京二〇二〇大会、さらにその先に向けて、舟運が身近な観光交通手段として定着するよう取り組みを進めてまいります。
 最後に、広告宣伝車についてでございます。
 自動車の車体広告物については、自動車登録された都道府県等の屋外広告物条例に、お話のように従うことになります。
 都内ナンバーの車については、都条例によって、運転者を幻惑させるおそれがある、発光し、または反射効果を有する広告物等を禁止してございます。
 また、デザインの質の確保を図るため、表示内容などに関して、公益社団法人東京屋外広告協会による自主審査を受けることを求めてございます。
 都内に数多く走行している都外ナンバーの広告宣伝車についても、同協会による自主審査を受けられる体制を整備しており、その活用に向け、リーフレットの作成、近隣県や関係事業者への協力要請などを行ってございます。
 今後も、良好な景観形成に向け、東京屋外広告協会とも連携し、事業者への普及啓発などに取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域における大会機運の醸成についてでありますが、大会の盛り上げには、区市町村や町会、自治会、商店街等の地域団体の積極的な参画が極めて重要であります。
 このため、都は、組織委員会と調整し、今般、大会エンブレムを活用したフラッグ等の地域での掲出について、区市町村が実施主体となり、周辺の公共施設等も装飾すること等を要件に、商店街でも掲出できることといたしました。
 また、昨年夏には、町会、自治会が地域の夏祭りを参画プログラムに位置づけて実施する場合に、一定の要件のもとで、大会スポンサー以外の企業の協力を可能とし、飲食物の販売も可能とするなどの要件緩和を実現しているところでございます。
 都は、今後とも、組織委員会と連携し、効果的な事例のPR、共有に努めるなど、区市町村や地域団体の取り組みを支援し、地域の盛り上げを図ってまいります。
 次に、ボランティアへの情報の共有化等についてでございます。
 平昌大会では、ボランティアが熱意を持って、訪れた観客の案内を実施しており、競技日程の変更などがあった際には、各ボランティアに電話やSNSを通じて情報が共有されておりましたが、情報が届くまでのタイムラグの発生などの課題も見受けられたと聞いております。
 東京二〇二〇大会におけますボランティアの運営に当たりましては、全ボランティアに正確な情報を同時に発信する機能を備えたアプリを開発し、迅速な情報の共有化を図るための仕組みを検討してまいります。
 また、メンバーを統率するためのリーダーを配置し、さまざまな状況に応じた臨機応変な対応や指示が行えるよう、リーダー研修を通じて育成していくなど、東京二〇二〇大会の円滑なボランティア運営に取り組んでまいります。
 最後に、障害者スポーツの振興についてであります。
 東京二〇二〇大会のレガシーとなるよう障害者スポーツ振興を図ることは重要であります。
 そのため、都は、会員が百万人を超えました障害者スポーツを応援するプロジェクト、チームビヨンドの取り組みによりまして、観戦、応援する人をさらにふやしてまいります。
 また、身近な地域におけます障害者スポーツの場として、都立特別支援学校の活用を順次拡大するほか、企業や関係団体との連携により、指導者等の支える人材をふやす取り組みを充実いたします。
 さらに、パラリンピック等の国際大会を目指す選手の発掘、育成や、競技団体の基盤強化に向けた支援により、競技力向上も図ってまいります。
 今後も引き続き、障害者スポーツの振興に向け、さまざまな取り組みを積極的に展開してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 千客万来施設についてでございますが、千客万来施設事業は、江東区から豊洲市場を受け入れる際に示された条件の一つでございまして、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すために必要な事業でございます。
 都はこれまでも、事業者に対し、双方で締結した基本協定にのっとって事業が進捗するよう丁寧に対応してまいりました。
 例えば、千客万来施設の最優先の整備に向けて取り組むことや、築地再開発について民間からの提案を募集する際には、先行する千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果が図れるよう十分配慮することなどを説明し、理解を求めてきたところでございます。
 今後も、事業者から事業実施の確約が得られるよう取り組むとともに、江東区への説明をきめ細かく行うなど、誠実に対応してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東京の成長を支える道路整備についてでございますが、多様な都市機能が高度に集積した首都東京のポテンシャルを最大限に引き出し、国際競争力の強化を図るため、鉄道駅等を中心とした拠点の整備に合わせまして、その効果を一層高める道路整備を進めることは極めて重要でございます。
 このため、池袋、新宿、渋谷をつなぎます環状第五の一号線や国際ビジネス拠点として整備が進みます虎ノ門周辺の放射第二一号線につきましては、自動車交通の円滑化を図りますとともに、ゆとりある歩行者空間を形成してまいります。
 また、品川駅周辺で鉄道に隔てられた東西のまちをつなぐ新たな軸となります環状第四号線につきましては、事業化に向けまして、環境影響評価手続などを着実に進めてまいります。
 今後とも、東京の持続的な発展を支え、活力あるまちづくりに寄与する道路整備を積極的に推進してまいります。
 次に、都立公園の魅力向上に向けた民間の活用についてでございますが、東京都公園審議会の答申におきまして、公園における民間事業者の活用に当たりましては、防災性の向上や緑の保全など、公園の機能を確保して進めることが重要であるとされております。
 こうした機能を確保した上で、平成二十九年三月に、駒沢オリンピック公園で民間のアイデアやノウハウを活用したレストランを設置し、にぎわいを創出いたしました。
 また、来年度、事業者公募を予定しております木場公園では、飲食店を中心に周辺の広場の一部も活用いたしまして、多様な人々を引きつける場を創出することで、公園が本来持つ憩いやレクリエーションなどの機能をさらに高めてまいります。
 引き続き、公園の本来機能を確保した上で、民間を活用した、その魅力向上に取り組んでまいります。
 最後に、千葉県境の江戸川の橋梁整備についてでございますが、約三百万人の都民が生活する東部低地帯では、洪水等の災害時のリダンダンシーを確保し、避難や緊急物資輸送等を確実に行うため、新たな橋梁整備が不可欠でございます。
 このうち、用地取得が比較的少なく、早期着手が可能な補助第一四三号線につきましては、来年度から橋梁構造等の検討を進めるなど、早期の事業化を目指してまいります。
 また、防災拠点の篠崎公園と千葉県の大洲防災公園とを結びます補助第二八六号線につきましては、スーパー堤防等、他事業との整合性につきまして、関係機関との調整を進めてまいります。
 引き続き、共同事業者として千葉県の協力が得られますよう地元区と働きかけますとともに、県との調整会議等におきまして協議を加速し、広域的な防災性の向上に寄与いたします橋梁の整備に向けまして、全力で取り組んでまいります。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 東京港の機能強化についてでございますが、東京港は東日本を支える物流拠点として、また、首都東京の海の玄関口として極めて重要な役割を担っております。
 市街地に近接し、エリアの拡大が極めて困難な東京港におきまして、その機能を最大限に発揮させますためには、新たな港湾施設の整備に加え、道路網の整備や、ふ頭背後地の高度利用、既存施設の移転、再配置等に長期的な視点から取り組んでいく必要がございます。
 今後、現在進めております第八次改訂港湾計画に基づくさまざまな施策に加え、港湾関係事業者等のご意見も踏まえながら、東京港全体における機能配置の見直し等、将来を見据えた施策の検討にも着手し、世界に誇る都市型総合港湾の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道事業における官民連携についてでございますが、これまで当局では、公営企業の効率的経営の観点から、民間委託の積極的な拡大や監理団体との連携強化、PFI導入といった取り組みを先駆的に実施してまいりました。
 一方、東京の水道は、二十四時間三百六十五日の安定供給を通じて、都民生活と首都機能を支える極めて重要な基幹ライフラインでございます。
 お話のコンセッションは水道法で改正を予定している官民連携手法の一つで、事業の全部または一部の運営権を民間に譲渡する仕組みであり、現在、水道事業において国内で導入した例はございません。
 今後、法改正の動向を注視するとともに、都の水道の官民連携につきましても、その事業の性格や都市機能としての役割を十分に踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、水道施設整備の今後の取り組みについてでございますが、首都を支える東京の水道におきましては、切迫性が指摘される首都直下地震や施設の老朽化への対応など、取り組むべき重要課題が山積しております。
 このため、現在、管路の耐震継ぎ手化につきましては、首都中枢機関など重要施設への供給ルートを優先に取り組んでおりますが、その後は、震災時に被害が大きいと想定される地域に重点を置いて着実に推進してまいります。
 一方、浄水場等の基幹施設につきましては、予防保全型管理を進め、施設の長寿命化を図るなど、人口動向等も踏まえながら適切に更新を進めてまいります。
 こうした総合的な取り組みを通じて、水道システム全体の強靱性を高め、今後とも将来を見据え、首都東京の安定給水の確保に努めてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の受援応援計画の策定についてですが、首都直下地震等の大規模災害発生時の膨大な行政ニーズに対処するためには、都のみならず、区市町村も含めた受援応援体制を有効に機能させていくことが重要でございます。
 このため、都は、熊本地震の教訓等を踏まえ、全国の自治体からの応援受け入れに関する具体的な手順やルール等を整備した受援応援計画を本年一月に策定いたしました。
 一方、避難所運営や物資の仕分け等、多くの災害対応業務を有する区市町村では、応援職員の受け入れや応援団体との役割分担などの整理が十分に進んでいないなど、受援体制の整備が課題となっております。
 今後、訓練等を通じて本計画の検証を行い、その実効性を高めるとともに、区市町村の計画策定を支援していくことで、都全体の受援応援体制を一層強化してまいります。
 次に、災害時における無人航空機、いわゆるドローンの活用についてですが、無人航空機は、ヘリコプター等の有人航空機に比べ、航続時間や距離に限りがあるなど、広域的な災害対応には課題もございますが、離着陸のためのスペースが小さく、狭隘な場所での飛行が可能であるなどの特性がございます。
 この特性を生かし、一部の区市町村において、地域内の被災状況の収集等を目的に、防災訓練での活用を進めるとともに、無人航空機を所有する民間事業者との間で、災害時支援協定を締結するなどの取り組みが行われております。
 都においては、本年度から、市や町と合同総合防災訓練において、無人航空機を活用し、地域での情報収集を行ったところですが、来年度以降、区市町村との合同により、多様な訓練を実施していくことで、地域の災害対応力の向上を促進してまいります。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) ビジネスチャンス・ナビの推進についてでございますが、全国との共存共栄に向け、他の道府県との関係を深めていくため、昨年末から、副知事や私も含めた理事級により、各道府県への訪問を再開いたしました。
 訪問先では、地方創生に資する都の取り組みについて改めて紹介するとともに、東京二〇二〇大会に向けた機運の醸成、税財源や大学の定員抑制をめぐる問題などにつきまして、率直な意見交換を実施しております。
 とりわけ、ビジネスチャンス・ナビについては、その有用性について積極的に説明を行い、訪問先の道府県内中小企業等への再度の周知をお願いしているところでございます。
 また、庁内横断的な立場から、産業労働局とも連携し、改めてその活用について各局に周知を図ってまいります。
 こうした取り組みを継続することで、東京も地方もともに栄える真の地方創生をさらに推進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、ビジネスチャンス・ナビの機能強化についてでございますが、都内の中小企業が東京二〇二〇大会関連の案件を含め、数多くのビジネスの機会を確保するためには、本サイトの持つ受発注の機能を高めていく必要がございます。
 これまで都は、東京二〇二〇大会組織委員会からの発注に関し、本サイトを通じ、電子入札の仕組み等も整えるとともに、中小企業の利用の促進を図ってまいりました。
 来年度は、中小企業同士による受発注の機能について充実を図り、ビジネスをより効果的に支援いたします。
 具体的には、サイトに登録した中小企業の商品を確認しながら、会社間で取引の交渉をシステム上で可能とする仕組みを導入いたしますほか、中小企業の発注内容をサイトからSNSを用い、幅広く発信できるようにいたします。
 また、監理団体からの仕事を受注できる機能の充実も図り、中小企業の事業の展開を後押ししてまいります。
 次に、都内中小企業の生産性向上の支援についてでございますが、東京の産業の基盤を支える個々の中小企業が設備の導入等により、生産活動やサービス提供の力を高めることは重要でございます。
 これまで都は、中小企業が競争力の確保や成長分野での事業展開を目指し、設備を導入する経費への助成を行ってまいりました。来年度には、生産性の向上のためのロボット等の設備を導入する場合の支援も開始いたします。
 また、生産性向上の具体的な行動につなげるセミナーを開きますほか、経営者等から設備投資による効率化の成功事例を個々の中小企業が直接聞く機会を提供してまいります。
 さらに、サービス業で利用客のニーズに関するデータを事業者自身が分析し、機器等の導入を的確に判断できるよう助言し、生産性の向上を後押ししてまいります。
 次に、中小企業の事業承継に向けた支援についてでございますが、事業承継を円滑に実施する必要性が高まります中、すぐれた技術やサービス提供の力のある中小企業を新たな世代に引き継ぐ支援をより効果的に展開することが重要となっております。
 このため、都は、会社を巡回し、事業承継のノウハウを提供するに当たり、民間の企業情報を活用し、承継が必要な会社を見きわめ、相談対応をより的確に行ってまいります。
 また、専門家が計画づくりや、その実現をサポートする取り組みを充実いたしますほか、会社の合併による事業の承継への支援も開始いたします。
 さらに、多摩エリアでは、地域の商工団体と協力し、相談拠点をふやすとともに、将来の承継に向け、早期に準備を始める企業の取り組みへの助成を実施いたします。
 加えて、制度融資の充実や、新たにファンドの手法を活用することなどにより、金融面からも着実に後押ししてまいります。
 最後に、国の制度改正を踏まえた農業振興についてでございますが、都市農地に関する制度改正を機に、経営規模の拡大や収益力の向上など、農業者の意欲的な取り組みを引き出し支援していくことは、農業振興を図る上で重要でございます。
 このため、都は、制度改正の説明会を区市町やJAと協力して開催し、税制度や農地の具体的な活用事例等もあわせてきめ細かく周知してまいります。
 また、規模の拡大等を図る意欲ある農業者に対し、生産施設等の整備への支援を強化いたしますとともに、所有する宅地を農地に転換する取り組みへの支援を新たに開始いたします。
 加えて、ICTの活用により、栽培環境を自動制御し、生産性を高める施設の現地実証を行い、その普及を促すなど、収益力の向上を図ってまいります。
 これらにより、農業者の経営力強化を図り、農地の活用を活性化させ、持続可能な東京農業を実現してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ベビーシッターの活用についてでありますが、平成二十九年四月現在、都内十四の区市が事業者を認可し、ベビーシッターを活用した保育を実施しており、都や区市は保育計画の策定や実践、発達、成長過程に応じた子供とのかかわり方などを盛り込んだ研修を実施しております。
 都が来年度から開始する認可外のベビーシッター利用支援事業では、保護者が安心して利用できるよう、認可型に準じた研修を実施いたしますとともに、事業者に対して、サービス内容の情報公開、苦情相談窓口の設置など、一定の要件を満たすことを求める予定でございます。
 また、都内の潜在保育士や、ベビーシッター事業者に登録している保育者を中心に、必要な人材の確保に取り組んでまいります。
 次に、在宅医療を担う医師の育成、確保についてでありますが、都は現在、地域における在宅療養体制を確保するため、在宅療養患者を支える医療、介護にかかわる多職種の連携や、在宅でのみとりに関する研修等を実施しております。
 来年度からは、現在、訪問診療を行っていない医師を対象に在宅医療で求められる医師の役割や多職種との連携方法、訪問診療の実績がある医師の具体的な取り組み事例などについて、グループワーク等による研修を新たに実施し、医師の在宅医療への参入を促進してまいります。
 また、在宅医療における二十四時間対応の負担を軽減するため、複数の医師による主治医、副主治医制の導入などに取り組む区市町村を地域医療介護総合確保基金を活用して支援するなど、在宅医療を担う医師の育成、確保を進めてまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 都立病院経営委員会報告についてでございますが、今回の報告では、都立病院が周産期医療や救急医療など、行政的医療の中核を担うことが高く評価される一方で、新たな役割として、地域医療の充実への貢献が求められております。
 また、こうした役割を果たすため、より柔軟な経営形態である地方独立行政法人への移行に関する検討にも言及されているところでございます。
 高齢化の進展による医療需要の増加を見据え、地域医療構想が策定され、病院完結型から地域完結型への転換など、地域医療のあり方が変化する中、誰もが安心して医療を受けられる環境を確保していくための提言と受けとめております。
 都立病院が行政的医療の安定的かつ継続的な提供や、地域医療への新たな貢献など、その使命を将来にわたり果たすことが重要であり、これまで以上に効果的、効率的な運営を実現する必要があると認識しております。
 こうした委員会報告や都民の意見を踏まえ、すぐに反映できる取り組みは、年度内に策定する次期中期計画に盛り込むとともに、経営形態のあり方につきましては、病院現場の運営実態も踏まえ、今後、丁寧に検討してまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 土壌汚染対策制度の見直しについてでございますが、都は、環境確保条例に基づき、土壌汚染対策制度を国に先行して平成十三年に施行いたしましたが、その後、土壌汚染対策法が施行され、数次にわたり改正されてきており、法との関係を改めて整理する必要が生じております。
 このため、昨年十一月から、学識経験者等による検討委員会において、専門的見地から検討を進めております。
 具体的には、健康リスクの捉え方について、法と整合を図りつつ、地下水汚染の拡大を防ぐ対策の導入や、法と条例の両方が対象となる案件の手続の簡素化、都内の活発な土地取引を踏まえた土壌汚染情報の積極的な公開などが主な論点となっております。
 今後、検討会での議論と並行して、業界団体等の意見も聞きながら、条例改正に向けて取り組んでまいります。
〔下水道局長渡辺志津男君登壇〕

○下水道局長(渡辺志津男君) 下水道事業における外堀の水質改善に向けた取り組みについてでございますが、これまで、外堀にある十二カ所全てのはけ口に、ごみなどの流出を抑制するための水面制御装置を設置するとともに、降雨初期の特に汚れた下水の貯留を目的とした外堀の水質改善に必要な貯留量のうち、既に一千八百立方メートルの貯留管を稼働させております。
 現在、残りの一万四千八百立方メートルの貯留管を外堀通りの地下に新設する工事を進めております。
 事業効果を早期に発現させるため、外堀への放流量が最大であるはけ口から先行して取水することで、雨天時に下水道から外堀へ放流される汚濁負荷量を東京二〇二〇大会までに半減させてまいります。
 今後とも、外堀の水質改善に積極的に取り組んでまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 自動通話録音機の設置促進についてでありますが、自動通話録音機は、使用している世帯での被害がほとんどなく、特殊詐欺の抑止効果は極めて高いことから、都民への普及拡大を図ることが重要と認識しております。
 都では、平成二十八年度に区市町村への自動通話録音機設置促進補助事業を開始し、今年度までに三十六区市町へ約一万九千台の設置補助を進めてまいりました。
 地域から自動通話録音機の設置要望がふえてきたことから、来年度は、補助台数を年間二万台に拡大し、自動通話録音機の設置をさらに推進するとともに、特殊詐欺根絶イベントなどの普及啓発にも効果的に取り組むことで、ハード、ソフト両面から特殊詐欺への対策を講じたいと考えております。
 今後とも、警視庁や区市町村、地域団体等と連携し、特殊詐欺から高齢者等を守る取り組みに全力を尽くしてまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 浅草線のホームドア整備についてでございますが、浅草線では、他の路線とは異なり、お話のように、QRコードを活用し、車両の大規模改修を伴わない方式で、従来より幅が広いホームドアを整備することとしておりまして、東京二〇二〇大会までに、新橋、大門、三田及び泉岳寺の四駅に先行的に整備をしてまいります。
 この方式で全駅に整備を行うに当たりましては、乗務員が車両をホームドアの開く位置に正確に停止させること、また、幅広のホームドアの開閉に時間を要することにより所要時間が延びるなど、輸送面の課題がございます。また、ホームドアの重量を支えられるよう、ホームの補強もそれぞれ必要となってまいります。
 このため、先行四駅でのホームドア整備後の状況を踏まえつつ、これらの課題への対応を進め、平成三十五年度までに交通局が管理いたします全ての駅でのホームドア整備完了を目指してまいります。
〔百二十二番秋田一郎君登壇〕

○百二十二番(秋田一郎君) 知事、言語明瞭、意味不明です。形式的には丁寧にお答えいただきましたが、実質的にはほとんどの質問にお答えいただいていない。何より東京に対する愛情が感じられないのがとても残念です。
 オリンピック輸送計画について伺います。
 知事が豊洲移転を延期したために、東京大会の輸送計画の生命線ともいうべき環状二号線が機能しないという非常事態が発生しています。
 開催都市の責任者として、輸送計画が抱える多くの課題を具体的にどのように解決していくのか、知事ご自身のお考えをお話しください。
 豊洲市場の安全宣言について伺います。
 十月の豊洲移転に向けて汗を流している方々に胸を張って作業に取り組んでいただくためにも、豊洲市場の安全宣言を早急に行うべきです。その知事の宣言が東京の卸売市場への信頼につながるのです。
 一体何をちゅうちょされているのかわかりませんが、都の事業の最高責任者として安全宣言をするのかしないのか、はっきりお答えいただければと思います。
 国による税制改正に向けた取り組みについて伺います。
 重要なことは、大臣と面会することでも、知事会で発言することでも、要望書を手渡す姿を写真に撮ることでもありません。私が申し上げたのは、政治家としての政治力、結果を出す力です。必要なのは、しっかりとした結果を出していただくことです。都民のためになりふり構わず努力をする気持ちと、したたかな戦略です。
 東京の将来を左右しかねない、この大きな課題に対して、改めて知事の具体的なプランをお尋ねします。
 以上です。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ただいま再質問を三問頂戴いたしました。
 まず、環状二号線について一体どうするのかというご質問でございました。
 いうまでもなく、大会の成功には円滑な輸送運営が必要でございます。そして、大会時におけます環状二号線を含めました東京の道路ネットワークを最大限生かすことは重要でございます。
 現在、首都高速道路のほか、練習会場へのルートや混雑回避などに使用する代替ルートなどにつきましては、環状二号線やその他の一般道路を含めまして、大会時に使用するルートを検討しているところでございまして、今後、これらの詳細につきましては、輸送運営計画バージョンツーとして取りまとめて、円滑な大会運営の実現に努めてまいります。
 しっかり都民の皆様方に今後の交通運営のあり方、そして都民の皆様方、国民の皆様方にもご協力を賜りながら、大会を成功に導いていくように努めてまいります。
 二つ目のご質問でございますが、豊洲市場の安全宣言についての再質問でございました。
 いうまでもなく、食の安全や安心につきましては、都民の理解を得るために検証、そして対策、確認など一連のステップを一つずつ着実に進めることは重要でございます。
 だからこそ、私は、専門家会議の方々に豊洲市場の用地の法的、そして科学的な安全性について検証していただき、また、将来のリスクに備えた対策についてもご提言をいただいたところでございます。
 そして、そのご提言にのっとって、追加対策工事が進んでいることはご承知のとおりでございます。工事を進めることによりまして、今後、対策の有効性について専門家会議にご確認いただき、農林水産大臣の認可手続を一つずつ着実に進めてまいります。
 こうした手続面も含めました条件を整えて、安全・安心な市場であると、この旨を発信していくことこそが重要であると認識をしているところでございます。
 三つ目、税制改正についてでございます。
 都はこれまでも、地方法人課税の偏在是正の措置を初めとして、皆さんもご承知のように、都市と地方の財政力格差の是正を名目として、これまでも不合理な税制の見直しと称して、平成元年度以降、合わせますと五兆二千億円もの財源を収奪されているわけでございます。
 今回の地方消費税の清算基準の見直しは、こうした一連の流れの一つと認識をいたしております。
 平成二十九年度の与党税制改正大綱で抜本的な方策を検討するという旨が記載されたことを踏まえまして、昨年の四月に、総務省の有識者検討会で検討が開始されております。
 その内容は、制度の本旨をゆがめるものであり、清算基準に占める統計の比率を引き下げるという一方で、代替指標にすぎない人口の比率を大幅に引き上げるといったものでございました。
 そこで、都として、七月の全国知事会議初め、愛知、大阪、特別区長会、市長会、町村会と連携を図りながら、反論を行ったところでございますが、昨年十二月の税制改正大綱において見直しが決定されたものでございます。
 三十一年度の税制改正に向けましては、まさしくこういった国の動きに関して、オール東京で、都民のまさしく代表である都議会の皆様のご協力を仰ぎながら、オール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかりと連携をしながら、あらゆる機会を捉えて、都民の貴重な財源を守るための主張を戦略的かつ強力に展開をしていく所存でございます。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後八時四十二分休憩

   午後九時開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十一番白石たみお君
〔八十一番白石たみお君登壇〕

○八十一番(白石たみお君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、引き続き都政の重大課題である市場移転問題です。
 知事は、施政方針表明で、移転前にさまざまな問題点を洗い出し、しかるべき対策を踏まえた上で開場の運びに至ったなどと述べました。豊洲新市場のさまざまな問題点があたかも解決したといわんばかりのとんでもない発言です。
 そもそも土壌汚染問題の解決の見通しはありません。地下水調査結果では、発がん物質のベンゼンが昨年一月発表で環境基準の七十九倍、三月が百倍、八月百二十倍、九月百六十倍と上昇し、最新の十一月も百十倍という高い数値が出ています。猛毒のシアンも全街区で検出されています。
 にもかかわらず、知事が頼みとしている、わずか三人の学者による専門家会議は、地下水汚染の現状に大きな変化はないといい張っています。多くの都民や市場業者の皆さんから、到底納得できない、安心できないという声が上がっているのは当然です。
 知事は、都民の食の安全と安心を守りますと公約していますが、こんな状況で、安全・安心だといえるのですか。専門家会議と同様、大きな問題ではないと考えているのですか。
 豊洲新市場の土壌汚染対策では、盛り土が地下水で汚染されないよう、地下水の水位を上げないことが必要だとされています。そのため、巨額を投じて地下水を常時くみ上げるシステムを設置しましたが、いまだ目標の水位は達成できていません。
 多くの箇所で盛り土が地下水につかっている状態ですが、知事は、豊洲新市場の盛り土は、地下水で汚染されていないときちんとした根拠を持って明言できるのですか。これも専門家会議が大丈夫だろうといっているという根拠しかないのではありませんか。
 知事は、追加対策工事の着実な実施により、豊洲市場の信頼を高めるといいましたが、追加対策工事が終われば、地下水から猛毒のシアンや環境基準を超えるベンゼンは出なくなるのですか。また、地下水は目標水位まで必ず下がるのですか。はっきりした根拠を示してお答えください。
 知事は、施政方針表明で、豊洲新市場の十月十一日開場を業界団体の皆様と合意したといいましたが、築地で働く労働者、労働組合の合意は得たのですか。
 築地の仲卸業者の中には、豊洲移転について不安や不満を抱えている方が今も多くいること、仲卸業者の方の納得をしていただいたというような安易な発言はしないでもらいたいという厳しい声が上がっていることを知事はご存じですか。
 仲卸業者でつくる築地女将さん会が移転反対をはっきり表明していることについて、知事はどう受けとめているのですか。
 知事は、業者の皆さんに丁寧に説明すると約束してきました。ところが、築地女将さん会が昨年八月に知事に提出した公開質問状にいまだ回答していません。
 丁寧に説明するというのは偽りだったのですか。直ちに回答すべきですが、いかがですか。
 追加対策工事の契約についても重大な問題があります。
 七街区の地下ピット床面工事の入札は不調が続き、大成建設と特命随意契約をしました。地方自治法では、自治体における契約は一般競争入札が原則とされ、特命随意契約は地方自治法施行令で定める場合に限定されています。
 七街区の床面工事は、なぜ特命随意契約にしたのですか。施行令のどの事項を適用したのですか。
 大成建設は、昨年八月、都内のビル建設現場で作業中だった作業員三人が転落死する事故を起こしました。東京都は、この事故を受け、十二月に大成建設を指名停止としています。安全対策が問われる事業者だから指名停止にしたのではないですか。
 ところが東京都は、あろうことか、みずから指名停止した大成建設と指名停止の直後に豊洲新市場追加対策工事の特命随意契約をしたのです。知事、おかしいと思いませんか。
 鹿児島県や大阪府堺市などは、指名停止中の事業者との特命随意契約はしないというルールを定めています。東京都もこうしたルールを定めるべきです。知事、いかがですか。
 築地は守るという公約が問われる発言について、知事は弁解に努めていますが、到底納得できるものではありません。
 著名な築地市場研究者であるハーバード大学のテオドル・ベスター教授は、築地市場は完璧な社会的環境ができ上がっている市場であり、だからこそ、これほど長い間すぐれた市場として継続することができたと強調し、豊洲市場に移転したら、日本の文化的遺産が消えてしまうことになりかねませんと述べています。
 知事は、第四回定例会で、脈々と築かれてきた築地ブランドは、東京の大切な宝物であることはいうまでもありませんと答弁しました。
 知事は、この答弁に基づいて、どう行動し、築地ブランドを守るのですか。築地再開発検討会議の検討次第だという責任逃れは許されません。知事みずから行った議会答弁にどう責任を持つのか、明確な答弁を求めます。
 築地再開発検討会議の中でも、築地市場のアーチの建物について、歴史的価値のある建物であり、残すべきだという意見が出されています。
 ユネスコの諮問機関であるICOMOSは、築地市場を日本の二十世紀遺産に選定しました。日本ICOMOS国内委員会のワーキンググループ長であり、学校法人工学院大学理事長の後藤治教授に話を聞きましたが、日本と世界にとって都市計画上、非常に重要な建造物だとして保存を強く訴えていました。後藤教授は、世界の潮流は、古い建物を壊さず、仕事をしながら再生する、新しい魅力をつくり出すことだと強調しています。
 知事は、築地市場のアーチの建物の歴史的価値、そして壊さず大事に使いながら後世に引き継ぐ重要性をどう認識していますか。
 豊洲市場に移転し、築地市場を壊してしまえば、百年の悔いを残します。移転を中止し、築地市場の現在地での再整備を知事に改めて厳しく求めるものです。
 次に、福祉、暮らしの充実について伺います。
 知事は、施政方針表明で、人に焦点を当て、活躍の場を提供し、活力を引き出したいと語りました。しかし、都民の暮らしの厳しさ、苦しさに寄り添う視点は見られませんでした。
 都が実施した二〇一七年の都民生活に関する世論調査では、今の生活では余裕がないという人が四三%、これから一年の暮らし向きが苦しくなると答えている人も三割を超えています。
 活躍する以前に暮らしていくことそのものが大変な方たちが三割から四割もいることを知事はどう受けとめていますか。都民の暮らしの厳しさ、苦しさに対し、どう取り組むのですか。
 暮らし向きが苦しくなったと答えた人のうち、税金や保険料の支払いがふえたことを理由に挙げた人は、二〇一二年以降、三割を超え続けているのです。ところが、今、さらなる追い打ちをかけようとしているのが、国民健康保険料、保険税の負担増計画です。
 知事が新年度予算案で、国民健康保険料の負担軽減に向け、都独自補助に踏み出したことは重要です。しかし、六年間の激変緩和措置にとどまり、予算額も内容も不十分です。
 しかも、負担増計画を国と一体になって進めているのは東京都です。さらに、昨年十二月に都が定めた国保運営方針では、区市町村による国保財政への一般会計からの繰り入れをなくしていくよう求めています。
 実際に、区長会が六年間で繰り入れ解消の方針を示したことを初め、都の運営方針に沿って、一般会計からの繰り入れを段階的に解消し、保険料、保険税の値上げで、その穴埋めをする動きが広がっているのです。
 都がまとめた区市町村別の一人当たり保険料、保険税は、一般会計からの繰り入れをしなければ、都内平均で一・二六倍、二〇一六年度の十一万八千円が十四万九千円に、三万円も上がります。最も上がり幅が大きい自治体では、九万三千円から十四万六千円と、一・五倍以上の大幅値上げとなります。
 知事は、第四回定例会で、保険料、保険税は、各区市町村がみずから定めるものだと答弁しました。しかし、実際は、都が示した運営方針に沿って、区市町村は一般会計からの繰り入れを減らし、保険料値上げを進めていることをどう認識しているのですか。都の国保運営方針を見直すべきですが、知事、いかがですか。
 品川区の二〇一七年保険料は、四十五歳の夫婦と子供二人の四人家族で、年収三百万円で三十五万円を超えます。国保料だけで年収の一割を超えているのです。これ以上、保険料を上げ続ければ、さらには都民の暮らしを圧迫し、払えなくなる人がふえるのは明らかです。知事はどう考えていますか。
 新年度予算案で踏み出した十四億円の激変緩和措置にとどめず、保険料、保険税の引き下げ、負担軽減に向けた、さらなる追加対策が必要です。知事、いかがですか。
 国民健康保険は、所得がない子供にまで保険料、保険税が賦課されます。子育て世帯にとって重い負担です。知事は、この問題をどう認識していますか。
 都内でも、昭島市、東大和市が子供の均等割の軽減を実施しています。清瀬市も新年度から実施します。
 都として、子供の均等割軽減への支援を行うことが必要だと思いますが、知事、いかがですか。
 高齢者福祉の充実も急務です。年金で暮らす高齢者の重い負担になるのが、住宅の家賃や介護施設の利用料です。
 東京都は、石原都政以来、都営住宅の戸数をふやさない方針を続けてきました。しかし、この方針は、超高齢化社会の実態に合っていません。特別養護老人ホームをふやすのと同様、年金生活の高齢者が安心して入居できる都営住宅を計画的にふやしていくことが必要です。知事の認識と対応を伺います。
 また、知事は、国民年金でも入れる特別養護老人ホームをふやすことの重要性についてどう認識していますか。
 最近は、居住費の安い従来型を希望する人が多くなっています。居住費の高い個室ユニット型特養ホームには、国民年金では入れません。従来型の多床室でも、設計の工夫で個室とほとんど変わらない環境が確保できます。
 都は、区市町村が必要と認める場合は、定員の三〇%まで多床室の整備に補助を行っていますが、この補助制度の活用促進や拡充など、さらなる対策が必要ですが、知事、いかがですか。
 東京都高齢者保健福祉計画策定委員会で、介護サービス基盤の整備に向けた都有地の活用について、オール都庁で対応して活用を進めてほしいとの要望が出されています。
 これに都は、待機児童解消に向けた緊急対策として設置している都有地活用推進本部の取り組みとも連携しながら、推進本部が全庁的に洗い出した都有地についても、高齢者施設などでの活用を検討すると回答しています。また、練馬区は、推進本部が洗い出した都有地を障害者施設整備に使っています。
 都有地活用推進本部の取り組みと連携して、全庁的に洗い出した活用可能な都有地について、高齢者や障害者施設への活用を進めるべきだと考えますが、知事、いかがですか。
 待機児童対策について伺います。
 都は、今回初めて、就学前児童がいる世帯を対象に、保育ニーズ実態調査を行い、保育園の整備がニーズに追いついていないことが改めて明らかになりました。調査結果をもとに、保育サービス整備の目標を引き上げたことは重要です。
 しかし、二〇一九年度末までの三年間で、六万人分の保育サービス定員をふやすという目標のうち、認可保育園を何人分整備するのかという目標は示されていません。
 一方、四月からの認可保育園などへの入園を希望する家庭に選考結果が届き、私の地元品川区でも千人近い方に一次選考の不承諾通知が送られています。
 日本共産党都議団は、現時点で把握できる都内の不承諾者数の調査を行いましたが、回答があった三十四区市町村で一万八千人に及びます。
 フルタイムで第三十希望まで申し込んだけど入れなかった、二年連続で落ちた、仕事をやめざるを得ないのかなど、保育園に入れなかった親たちの切実な声があふれています。
 こうした願いに応えるには、認可保育園の増設を待機児童対策の中心に据え、認可保育園の入園を希望する人全員が入れるようにすることが必要だと思いますが、知事の認識と対応を伺います。
 都の保育ニーズ実態調査の結果、利用を希望していたサービスのトップは、公立保育園です。回答した保護者の五二%が公立保育園の利用を希望しています。しかし、実際に利用できているのは、一七%にすぎません。
 知事は、公立保育園の利用希望が非常に多いという今回の調査結果をどう受けとめていますか。需要と供給のミスマッチを解消するためにも、都として、公立保育園整備を待機児童解消の重要な方策として位置づける必要があると思いますが、いかがですか。
 知事は、施政方針表明で、障害者を支える取り組みに力を入れると強調しました。ところが、東京都は、障害者福祉の重要な補助制度の改悪を進めようとしています。
 障害者グループホームでの障害者支援の充実にとって、運営費への都加算補助はなくてはならないものです。ところが、新年度予算案に、この補助制度の見直しが盛り込まれており、多くの事業所で大幅な減収になることが予想され、関係者の間で大問題となっています。
 今回の見直しでは、軽度の人の一日当たりの補助額を下げることとなっております。さらに、利用者が土日などに実家に帰った場合は、障害の軽い人の補助額が上限とされるため、重度の障害者を積極的に受け入れている事業所の多くが大幅な減収となります。
 あるグループホームでは、週末は可能な限り家族と一緒に過ごせるよう援助しています。高齢になった家族は、日常の介護は困難でも、我が子と過ごせる限られた時間を大切に過ごしたいと願っています。ところが、今回の補助制度見直しで、年間約二百四十万円もの減収が見込まれています。若い職員の給与一人分がなくなってしまいます。
 知事が掲げる、障害者を含め誰もが輝く東京実現の目標と逆行するのではありませんか。関係者の意見を直接聞いて再検討するよう求めますが、知事、いかがですか。
 都立病院の地方独立行政法人化問題も重大です。
 ことし一月、都が設置する都立病院経営委員会が、一般地方独立行政法人への移行について検討すべきとの報告書を出したことに多くの都民の皆さんから心配の声が上がっています。
 しかも、経営委員会で多くの委員から、都立病院への四百億円の繰入金を問題視し、非難する発言が相次いだ中で報告書がまとめられました。
 しかし、都が行った都立病院の運営についての都民アンケートでは、都立病院に都税をもっと積極的に受け入れてよいが一番多く、現状程度必要と合わせると六五%、一定程度の受け入れはやむを得ないまで入れると九八%を超えています。
 小児、周産期、障害者、難病、感染症の医療、さらに災害医療など、不採算であっても都民のために必要な医療を確保することが都立病院の重要な役割です。その役割を適切な範囲で税金を投入するのは当然のことだと思いますが、知事の認識を伺います。
 独立行政法人化された国立病院機構では、不採算医療が削られています。結核病床は全体の七割に及ぶ三千床、精神病床は二千床が減りました。
 地方独立行政法人化された自治体病院は全国で一割程度ですが、その多くで設立自治体からの運営費繰り入れが減らされ、大阪府立病院機構では、紹介状のない患者の初診料、セカンドオピニオン料などが値上げされました。
 宮城県立循環器・呼吸器病センターは、医師不足などの理由で、新年度には廃止の方針とされています。
 自治体病院への財政支援を後退させれば、採算性の低い医療の後退、患者の費用負担増、人件費削減による医師、看護師不足、人材の流出などにつながることは避けられません。
 知事は、都立病院の経営形態に関する意見については、今後、丁寧に検討を進めていくと表明しましたが、全ての都民のための病院という都立病院の理念を大事にして、都立直営を堅持し、東京都が直接責任を持って都立病院の拡充をどう図るのかという検討こそ必要です。知事、いかがですか。
 教育費負担軽減について伺います。
 高校や大学の教育費を軽減し、無償化を進めることは、国際人権A規約十三条の高等教育までの無償教育の漸進的導入を批准した日本政府の責任です。
 同規約の履行を促す国連の社会権規約委員会は、日本政府に対して、高校教育を無償とするため、早急に入学金及び教科書代を無償にするよう勧告しています。
 知事は、施政方針表明で、教育格差に言及しましたが、この勧告の重要性をどう認識していますか。
 特に私立高校の入学金は、都内平均二十五万円と重い負担になっています。教科書代や教材費は四万円前後かかります。いずれも教育を受けるために避けて通れないものです。
 都立も私立も高校段階での教育費無償化に向けて、国に先駆けて都として入学金と教科書代の無償化に踏み出す必要があると考えますが、知事、いかがですか。
 同時に、低所得世帯への独自の支援も重要です。
 文科省の調査によれば、年間の学校教育費は、授業料を除いても公立高校で二十五万三千円、私立高校で四十八万三千円であり、国の奨学給付金は、まだ不十分です。
 誰もがお金の心配をせずに高校に通えるよう、国に対し奨学給付金の拡充を求めるとともに、都としても拡充を図るべきですが、いかがですか。
 都教委は、学校における働き方改革推進プランで、全ての教員の長時間労働の改善を図るとしました。これは重要な課題です。
 OECDの調査によれば、日本の中学校教員の勤務時間は、国際比較で断トツ一位です。総務省労働統計からの試算で、飲食業や輸送業と比べても、日本の教員ははるかに長時間労働だとの研究もあります。
 知事は、施政方針表明で、教員の働き方について、教員の心身の健康にもしっかりと目を配り、子供たちと教員がともに生き生きと輝く学校現場をつくり上げると述べましたが、教員のこうした長時間労働の実態をどう認識していますか。教員をふやすことを柱に据えて、長時間労働を抜本的に改善する取り組みが必要ですが、知事、いかがですか。
 雇用をめぐる問題も深刻です。
 安倍政権のもとで、非正規労働者の割合は、昨年度、過去最高の三七・五%に達しました。非正規労働者は、安倍政権発足後、二百十三万人もふえています。
 都は、全国に先駆けて、非正規雇用の正規化推進などに取り組んできましたが、今なお不安定な非正規雇用が拡大し、歯どめがかからない現状を踏まえた対策の強化が必要です。知事の認識を伺います。
 非正規で働く若者の実態は切実です。飲食店でアルバイトとして働く二十代の女性は、働き方が評価されてバイトリーダーに昇格し、仕事量と責任は重くなったにもかかわらず時給千円から昇給はなく、月々の手取りは九万円程度です。貯金もできず、食費や光熱費を切り詰めています。持病がありますが、お金がなくて病院に行けないこともあります。バイトを休めば収入が減るので、体調が悪くても仕事は休まずに働きます。今の願いは、安心して正規で働き、安定した収入を得ることだと訴えています。
 また、都が行ったいわゆるネットカフェ難民の実態調査によると、ネットカフェなどで寝泊まりする人の多くが派遣労働やアルバイトで働く非正規雇用です。家賃を払う安定収入がないと回答した人が三割に上ります。
 知事は、非正規労働者の不安定な働き方と生活の深刻な実態をどのように認識していますか。そして、その改革にどう取り組むのですか。
 東京都雇用・就業対策審議会は、雇用就業対策や職業能力開発のあり方などについて審議し、答申や提言などを取りまとめてきましたが、五年以上開かれていません。
 知事が諮問するなど、審議会を早急に開催し、広く専門家の知恵を結集して、不安定な非正規雇用の実態把握、正規雇用への転換などを都としてどう進めるのか検討すべきと考えますが、いかがですか。
 知事が中小企業支援について新たなビジョンを策定すると表明したことは重要です。
 策定に向けて開かれた第一回の有識者会議では、有識者の方から、中小企業の現場に行って経営者や従業員の考え方を聞き、現場の状況を共有してビジョンを策定すべきとの発言がありました。
 また、小規模企業や商店街、多摩地域など、地域ごとに違いがあるということも強調されました。大変大事な議論だったと思いますが、知事はどう受けとめていますか。
 各地域の中小企業、小規模企業を知事初め都職員が直接訪問して実態を聞き取り、要望をつかむことが必要だと思いますが、知事、いかがですか。
 東京の中小企業の約八割が小規模企業であり、地域の経済や雇用を支えています。新たなビジョンでは、小規模企業振興基本法を生かし、小規模企業への支援に光を当てることが必要です。認識を伺います。
 中小企業、小規模企業振興条例の策定についても、新たなビジョンとあわせて検討を進めることを求めますが、知事、いかがですか。
 住宅耐震化について、新年度予算案には、住宅耐震化助成制度の対象地域を都内全域に拡大するために、新たに七億円が計上されました。我が党が繰り返し提案してきたものであり、歓迎するものです。
 また、知事は、施政方針表明で、住宅耐震への支援を拡大し取り組みを推進すると述べました。
 三年後に、住宅の耐震化率を九五%に引き上げるという都の目標を達成するためには、年間約十数万戸の住宅の耐震化が必要です。しかし、近年の実績は年間約二万戸であり、目標達成にはペースを抜本的に引き上げることが必要です。
 知事は、新年度予算案も含め、住宅耐震化の支援を具体的にどう拡大し、取り組みを推進するのですか。
 熊本地震では、新耐震基準でも、柱の継ぎ手金具などが義務づけられていない二〇〇〇年以前に建てられた住宅で、倒壊などの被害が相次ぎました。そのため、国も、この時期の住宅の耐震性を診断する方法を新たに示しました。
 もはや、新耐震基準の建物であれば安全だとはいえないことを知事はどう認識していますか。
 杉並区は、二〇〇〇年以前に建てられた木造住宅に対し、新年度から耐震診断と耐震改修への助成を開始します。
 都としても、同様の支援を実施すべきですが、いかがですか。
 二〇二〇年のオリンピック東京大会は、国際平和友好の促進、人間の尊厳や環境問題を重視するというオリンピックの理念に沿うものとして成功させることが必要です。
 そのためにも、国民、都民の生活や環境と調和のとれた無理のない取り組みを進めるよう、我が党は求めてきました。
 多くの都民やIOCが求めているように、大会経費をさらに削減し持続可能なオリンピックのモデルを切り開く東京大会にすることが求められています。
 ところが、知事は、昨年十二月に経費縮減は難しいといい始め、今回の施政方針表明ではこの問題に触れませんでした。
 知事、経費縮減には今後どう取り組むのですか。
 とりわけ不透明なのが、組織委員会が都の費用負担で実施する共同実施事業です。今年度補正と新年度予算案を合わせて、七百八十億円もの都負担が計上されていますが、その中身はほとんど明らかにされていません。
 共同実施事業のコスト管理などをするため、都と国と組織委員会で共同実施事業管理委員会が昨年九月に設置されましたが、委員会の傍聴はできず、公表されるのはごく簡単な議事要旨で、共同実施事業の中身も委員会で議論している内容も闇の中です。
 昨年の第三回定例会で、知事は、共同実施事業管理委員会で、都が主導してしっかりチェックし経費縮減の取り組みを促進し、情報公開に努め説明責任を果たしていくと答弁していました。
 知事、実態が全然違うのではありませんか。答弁どおりに実行すべきですが、いかがですか。
 次に、五輪大会開催を口実にして、行政のあり方がゆがめられた疑いのある二つの重大問題について伺います。
 まず、選手村整備をめぐる問題です。
 選手村整備工事が進む晴海の都有地は、近隣の基準地価から推計すると約一千三百億円と見込まれます。それを都は、百二十九億円という破格の安値で三井不動産グループなどの民間ディベロッパーに売却しました。およそ一千二百億円も優遇したことになります。住民訴訟も起きています。
 我が党が入手した報告書で、このような安値で売却できる手法を導入した検討経過が明らかになりました。都がコンサルタント会社に、選手村の開発方針検討支援業務を委託し、二〇一三年九月に提出されたものです。
 その中で、七つの手法を比較検討した結果、民間事業者にとって一番有利な手法だと評価された第一種市街地再開発事業が採用されました。この手法の大きなポイントの一つが、土地の価格設定について、財産価格審議会を経由しないで済むことでした。つまり、第三者機関によるチェックなしに土地価格が決定されたのです。
 知事は、就任直後の第三回定例会で、この問題について、適正に土地価格を算定したと聞いていると答弁しましたが、財産価格審議会で検討されていないことを知事は適正だというのですか。
 選手村用地は、民間ディベロッパーに売却する契約が二〇一六年十二月五日に結ばれていますが、所有権は移転されておらず、まだ都有地のままです。知事はそのことをご存じでしたか。
 敷地は都有地のため、民間事業者は、五輪大会後まで土地代金の支払いを先延ばしにできて、金利負担が大幅に軽減されます。固定資産税の課税期間も短縮できます。
 ほかにも、民間事業者が計画段階から関与できることや、補助金や公的融資を受けやすいことも民間事業者に有利な点だと報告書で評価されていました。
 知事、都民に大きな損失を与え、民間事業者にとってこれほど有利なやり方を選ぶのはおかしいと思いませんか。
 その上、選手村の賃貸料、選手用の部屋の内装、ユニットバス、エアコンなどの設置、新たに建てる仮設施設の建設費、さらに大会後の撤去に至るまで都負担となります。都の負担は幾らかそれぞれの額をお答えください。
 これまで都は、選手村の土地価格が安いのは、民間事業者にとって選手村整備という制約があるからだと説明してきました。しかし、もはやこの説明は成り立ちません。選手村整備という制約による負担は都民が背負い、民間事業者には破格の優遇がされているのです。
 敷地譲渡契約を結んだのは小池知事です。聞いていなかった、わからなかったでは済まされません。知事の責任において、選手村整備をめぐる全ての経過を明らかにし、都民に損失を与えないよう再検討すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 いま一つは、日本体育協会の本部施設である岸記念体育会館の敷地の購入をめぐって、本来出すべきではない税金を投入し、特定の民間団体への優遇を行い、行政をゆがめたのではないかという疑惑です。
 新年度予算案には、岸記念体育会館の敷地を代々木公園用地として購入する買収費九十四億円と移転補償費二十九億円の合計百二十三億円が計上されています。
 岸記念体育会館の敷地を都立公園として優先的に整備する区域に指定したことを都が公表したのは二〇一五年十二月十五日です。それ以前に、東京都から日本体育協会に優先整備区域への指定について何らかの話をしたことはありますか。
 また、二〇一五年十二月十五日以前に、神宮外苑の都有地について、移転の候補地として、東京都から日本体育協会に示したことはありましたか。
 あるいは、日本体育協会から東京都への問い合わせなどはありましたか。
 日本体育協会は、老朽化した岸記念体育会館の建てかえや移転を以前から検討してきました。日本体育協会から東京都に、会館の建てかえ、移転について協力を求める相談や働きかけ、接触があったのはいつですか。
 日本体育協会元会長の森喜朗氏から、岸記念体育会館の移転について、東京都または都の職員に何らかの相談や働きかけ、接触はありませんでしたか。
 岸記念体育会館の敷地購入の理由は、直接的には、東京五輪大会のハンドボール競技の運営用地に必要だとされています。会館が移転しなければ、五輪のハンドボール競技は運営できないのですか。この敷地は、五輪大会で何のために、どのように使うのですか、具体的にお答えください。
 都民の切実な要求に応え、福祉、暮らしの充実を進めるためには、大型開発への巨額の投資を見直すことが欠かせません。
 新年度予算案の概要では、本格的な少子高齢社会の到来で医療や介護等の社会保障関係費はますます増大し、今後二十五年間に累計十兆四千億円も増加するとの見通しを示しています。
 今回の試算では、毎年三百から四百億円ずつ増額するとされています。社会保障関係費は、たとえ財政が厳しくなっても、今後も確実に確保していかなければならないと思いますが、知事、いかがですか。
 加えて予算案の概要では、社会資本の維持更新経費が今後二十五年間の累計で三兆二千億円も増加し、また、防災に係る経費も、住民反対の多い特定整備路線を除いて、今後十年で約三兆円必要と予測されています。
 このように、中長期の社会保障や社会資本の維持更新や防災のための経費が増大していくことを考えれば、新規の巨大開発や幹線道路整備は一層厳しい抑制が不可欠です。知事の認識を伺います。
 東京都では、幹線道路建設を聖域とする道路ファーストというべき状況が続いてきました。その中で、新年度予算案では、わずかに補助九八号線の廃止が盛り込まれました。
 しかし、これは大手町─日本橋間の百十メーターにすぎず、もともと廃止に向けた見直し対象路線にされていたものです。
 一メーター一億円の外環道、あるいはその上部道路、外環ノ2、住民が反対し、裁判も起きている特定整備路線を初め、見直すべき大型道路事業はたくさんあります。
 知事は、昨年来、道路を初めとする都市インフラ整備について、見直すべきは見直すと繰り返し答弁しています。未着手の路線にとどまらず、事業認可された路線の廃止も含め、聖域を設けることなく、さらに踏み込んだ見直しが必要だと考えますが、知事の答弁を求めます。
 名古屋市では、事業認可を既に受け、八割まで整備が進んだ都市計画道路についても、希少種のヒメボタル生息地であり、また、市民の憩いの場である貴重な里山を保全するため、道路計画を廃止する検討を進めています。
 その背景には、市民による大規模な住民意向調査で、道路よりも緑地を求める市民の意思がはっきり示されたこともあると聞きました。
 事業化路線も含めて、市民の声に耳を傾けて見直しを図るべきですが、知事の見解を求めます。
 羽田空港の飛行ルートは、これまで飛行機を内陸に飛ばさないように、沖合に滑走路を展開し、東京湾を最大限に活用してきました。ところが、国が提案した新ルート計画は、これを百八十度転換させて、二十三区中十六区の上空を低空で飛行するものです。品川区などは、東京タワーより低い超低空飛行となります。
 新ルートが計画される地域住民からは、騒音や落下物、墜落事故の危険性、大気汚染など、生活への影響について不安や懸念が相次いでいます。計画の推進には、住民合意を得ることが前提だと思いますが、知事の基本姿勢を伺います。
 中でも落下物対策は、命にかかわる問題です。最近も全国で航空機からの落下物による事故が多発しています。着陸態勢に入り、車輪を出すとき、上空で凍結した氷の塊が落下することもあります。
 こうした飛行機からの落下物による被害を防ぐ最も効果的な対策が、羽田空港がこれまで確立してきたように、海上の飛行ルートを最大限に活用することです。
 知事は、内陸を低空で飛行する新ルートによる落下物事故の危険性をどう考えていますか。
 国が推計値として公表している最大騒音量は、大井町駅上空三百メーター地点で八十デシベルです。ところが、現行ルートの三百メーター地点で騒音測定を行ったところ、八十四・五デシベルと四・五デシベル高い結果となりました。五デシベル上がると、音のエネルギーは約二倍増加し、それだけ騒音もひどくなります。
 羽田周辺の高度ごとに実測値を計測し、都民に公表するよう国に求めるべきですが、いかがですか。
 都民の安全・安心、静穏な生活を守る立場から、都として国に対し、新飛行ルート計画の撤回、見直しを強く迫るよう求めるものです。
 最後に、基地問題について質問します。
 一昨年末の沖縄県名護市沖での米軍オスプレイの墜落事故から、最近の青森での米軍機がエンジンから火を噴き、燃料タンクを漁場に投棄した事故まで、一年二カ月の間に、全国で米軍機による墜落、不時着、部品落下などの事故が十九件も発生しています。一つ間違えば、住民を巻き添えにしかねない米軍機の重大事故が続発する異常事態です。
 アメリカの公式文書も、空軍は創設以来、最も老朽化していると認めています。長期にわたる海外派兵の継続と装備の劣化が重なり、事故を頻発させる構造的な問題を抱えているのです。
 中でも、危険なオスプレイの横田基地への離着陸が昨年は前年比二・五倍に急増しています。しかも、普天間基地への配備から五年四カ月が経過し、五年に一度程度の間隔で機体を分解して、内部点検する定期整備が必要とされているのに、いまだに一機の定期整備も完了していません。車検切れのような状態で訓練を繰り返しているのです。危険きわまりないことです。
 米軍機の事故にかかわるこうした問題を知事はどう認識していますか。オスプレイを初め、米軍機の日本上空での飛行中止を他県の知事とも連携して厳しく求めるべきと考えますが、知事、いかがですか。
 相次ぐ米軍機の重大事故に対し、日本政府にも、被害を受けた自治体にも調査権限がありません。また、事故が発生しても、数日もすれば、米軍機の身勝手な飛行、訓練が再開され、住民の生命が脅かされています。
 その背景には、日本の主権を侵害し、ドイツやイタリアなどと比較しても、米軍に治外法権的特権を与えている日米地位協定があります。
 日本政府や自治体の許可なしに米軍機の飛行や訓練ができないようにすることや、政府、自治体による事故調査権、基地への立入調査権を認めさせることなど、日米地位協定及びその運用の見直しを今こそ真剣に政府、アメリカに求めるべきですが、知事の答弁を求め、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白石たみお議員の代表質問にお答えいたします。
 食の安全・安心についてのご質問がございました。
 市場の移転に際しまして、食の安全・安心の確保が重要であることはこれまでも申し上げてきたとおりでございます。
 豊洲市場用地が法的、科学的に安全であるということは専門家会議で確認されており、大切なことは、追加対策工事の実施で、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図るとともに、正確な情報発信を通じまして、都民の理解と納得を得ることでございます。
 現在、追加対策工事につきましては、詳細な施工計画に基づいて、着実に工事を進めているところであり、また、空気や地下水の調査結果につきましては、科学的、客観的なデータを専門家による評価とあわせて公表しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを着実に進めまして、都民や事業者の理解、そして安心につなげてまいりたいと考えております。
 仲卸業者の声についてでございますが、昨年十二月の新市場建設協議会において、水産仲卸団体の代表の方々から、ご指摘の発言があったということは承知をいたしております。
 市場業者の中には、移転につきましてさまざまな思いを抱いておられる方がおられ、同協議会におけます発言は、都としてもそういった方々がおられることを十分理解して対応してほしいという、その趣旨だと受けとめております。
 築地女将さん会についてでございます。
 ただいま申し上げましたとおり、市場業者の中に移転についてさまざまな思いを抱いている方々がおられることは承知をいたしております。
 今回の豊洲市場への移転、これは築地市場の老朽化や狭隘化、衛生面での課題等を踏まえて行うものであり、こうした都の考え方などにつきましては、これまでも新市場建設協議会において説明してきたところでございます。
 都といたしまして、引き続き移転に向けたさまざまな準備を業界と協力して進めてまいる所存でございます。
 指名停止中の事業者と特命随意契約を結んだ件についてでございますが、法令上、指名停止中の事業者と特命随意契約を締結することを禁止する規定はございませんで、都もこれを禁止しておりません。
 本件は、三回にわたって入札参加者を広く募る競争入札で発注したものの、契約締結に至らなかった点、また、豊洲への移転に影響が出ないように期限内に工事を完了させなければならない点、こうした事情に鑑みまして、適正な手続のもとで特命随意契約を行ったものでございます。
 また、指名停止中の事業者との特命随意契約に係るルールについてのご質問がございました。
 今の答弁でも申し上げましたとおり、法令上、指名停止中の事業者と特命随意契約を締結することを禁止する規定がなく、随意契約の可否につきましては、各自治体の判断に委ねられているところでございます。
 都におきましては、指名停止中の事業者との特命随意契約につきましては、特定の相手方と契約しなければ契約目的を達成することが困難な場合に、適正な手続のもとで必要性や理由を慎重に判断した上で契約することといたしております。
 築地ブランドの継承につきましては、築地ブランドは、築地市場で働く事業者を初め、食文化を担う多くの方々の日々の活動の中で脈々と築かれてきたものでございます。
 これを受け継いで発展させていくためには、何よりも市場業者の方々が希望を持って事業を営める環境を整えることが重要と考えます。まずは豊洲市場への移転を円滑に行って、早期に事業が軌道に乗るよう取り組んでまいります。
 私自身も、先日、築地市場で業界団体の代表の皆様方と移転に向けた意見交換を行ったところでございます。業界の方々と連携協力をしながら、豊洲市場を日本の中核市場として育て上げて、新たな豊洲ブランドの確立を目指してまいります。
 また、築地には、これまで培った伝統や都心に近接したロケーションなどの地域的な特性がございます。さまざまなポテンシャルを生かした新たなまちづくりに取り組んでまいります。
 豊洲、築地、その両方を生かして相乗効果を図る、そして東京の新たな魅力の創出と発展につなげてまいります。
 築地市場の建物についてのご指摘がございました。
 建物を歴史的、文化的な観点から捉えるということは一つの見解であって、また、それを後の世に伝えていく方策、さまざまございます。
 築地市場の跡地につきましては、環状第二号線を整備するとともに、東京二〇二〇大会の輸送拠点として活用、その上で、浜離宮の景観や水辺、築地本願寺など、築地のまたとないロケーションや歴史、文化などの魅力を最大限に生かしました再開発を進めてまいります。
 都民の暮らしに対する認識でございますが、都民の暮らし向きはさまざまでございます。暮らしに余裕がないと感じている方がいらっしゃることは十分認識をいたしております。
 そうした方を含めまして、全ての都民が安心して生き生きと活躍できる都市、それが私が目指すダイバーシティー東京でございます。
 その実現のために、本年一月に策定いたしました実行プランの政策の強化版におきまして、福祉、医療、保健、教育、雇用など、施策の充実を図りまして、必要な予算を来年度予算案に盛り込んだところでございます。
 次に、国民健康保険の保険料についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度でありまして、その財源は、保険料が二分の一、公費が二分の一を基本としていることはご存じのとおりであります。
 国保財政を安定的に運営していくためには、原則といたしまして、これらの財源によって給付に必要な費用を賄って、収支が均衡していることが重要でございます。
 そのため、都の国民健康保険運営方針におきましては、決算補填等を目的とする一般会計からの法定外繰り入れは、計画的、段階的に削減していくことといたしております。
 この運営方針は、区市町村への法定の意見聴取を経た案を国民健康保険運営協議会に諮問をいたしまして、ご審議の結果、適当と認めるとの答申をいただいた上で策定をしたものでございます。
 各区市町村の具体的な保険料、保険税の賦課方式や料率、法定外繰り入れは、今般の制度改革後におきましても、区市町村の議会で審議され、決定されるものと認識をいたしております。
 国民健康保険料の引き下げのための財政支援についてのご質問でございます。
 国民健康保険は法に基づく全国統一の制度でございまして、その制度上の課題は、制度設計者である国が責任を持って対応すべきことでございます。
 都はこれまで、国に対しまして、構造的な問題の抜本的解決を図るように強く求めてきたところでございます。
 また、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づいて財政支援を行っております。
 都営住宅の増設についてのご質問でございます。
 少子高齢化が急速に進展する中で、高齢者や子育て世帯など、都民の居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図って、適切な供給、管理の適正化に努めてきたところでございまして、今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 続いて、保育サービスの拡充についてでございます。
 今回の保育ニーズの実態調査では、複数の保育や教育のサービスを選択できることとなっておりまして、その結果は、保護者が身近にある認可保育所や幼稚園など、希望するものを全て回答したものであると認識をいたしております。
 また、この調査におきましては、育児休業取得期間が希望よりも短いことや、保育ニーズと保育料には相関があることも明らかになっております。
 こうした調査結果を踏まえまして、都は、待機児童の解消に向けて、二〇一九年度末までの三年間において、保育サービスを六万人分拡充する目標を設定いたしております。
 保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は今後とも、待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組んでいく区市町村を支援してまいります。
 都立病院への財政負担についてのご質問がございました。
 都立病院は、万が一の事態に備えた災害医療、周産期医療や救急医療など、他の医療機関では対応困難な行政的な医療に取り組んで、その中核的な役割を果たしております。
 ことし一月に公表されました都立病院経営委員会報告におきましても、都立病院が担ってきた役割や機能につきましては高く評価されているところでございます。
 一方、こうした行政的な医療におきましては、必ずしも採算の確保につながらない場合がございまして、これまで一定のルールに基づいて、一般会計がその経費の一部を負担してきたところでございます。
 もとより、都立病院の運営に当たりましても、最少の経費で最大の効果が得られるよう、みずからの経営努力を尽くすことが基本となっております。
 このことを前提といたしまして、引き続き一般会計からの適正な負担のもとで、都立病院が、将来にわたって都民の生命と健康を守るという使命を果たしてまいります。
 都立病院の経営形態についてのご質問でございます。
 世界に例を見ない速度で高齢化が進むこの東京におきまして、都立病院がその使命を果たし続けるためには、効果的、効率的な運営のあり方について不断に検証することが大切でございます。
 今後、地域医療のあり方も変化する中で、これまでの行政的医療の提供に加えて、誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けられるように、地域医療の充実への貢献など、都立病院に新たな役割が期待をされているところでございます。
 これらの役割を効果的に実現するために、経営形態のあり方につきましては、患者や都民、そして地域からの理解が得られるように、今後、病院現場の運営実態も踏まえましたさまざまなメリットやデメリットの検証を行うなど、丁寧に検討を重ねてまいります。
 高校教育の無償化についてのご質問でございます。
 家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受けて、自立できる環境を整えるということは重要でございます。
 このため、従来から、国の就学支援金、都の特別奨学金などによりまして、教育費負担の軽減を図ってまいりました。
 さらに、今年度からは、都独自の取り組みとして、都立高校において給付型奨学金を創設するとともに、私学の特別奨学金を拡充することなどによりまして、誰もが安心して学べる教育環境の一層の充実を図ったところでございます。
 また、国に対しましても、奨学給付金制度の充実等を提案要求いたしております。
 なお、ご指摘の国連の勧告でございますが、経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会におけます日本政府の報告に対する見解と認識をいたしております。
 学校におけます働き方改革の推進についてでございます。
 未来をつくる子供たちの健やかな成長のためには、学校教育の中核である教員が健康で生き生きと働くことは何よりも大切でございます。
 教員の長時間労働は、教員自身の心身の健康やライフワークバランスの問題にとどまらず、教育の質にも直結する喫緊の課題でございます。
 先般、教育委員会におきまして、学校における働き方改革推進プランが策定されまして、来年度からスクールサポートスタッフや部活動指導員等を導入することといたしております。
 こうした施策を通じまして、今後とも教育委員会と一体となって、教員の長時間労働の改善に取り組んでまいります。
 非正規雇用対策についてでございます。
 誰もが人生と仕事を調和させて、自分らしく活躍できるようにする、そのためには、安心して働き続けられる環境を整備していくことが重要でございます。
 都はこれまで、企業内での正社員転換を促進する助成金事業に加えまして、職務経験やスキルに応じたきめ細かな支援など、さまざまな非正規雇用対策を実施してまいりました。
 一方で、不本意にも非正規として働くことを余儀なくされる方がおられ、持てる力を生かし切れないということは、社会にとっても大きな損失でございます。
 東京の雇用情勢は改善が続いております。深刻な人手不足を背景として、企業の人材確保の動きが活発化しているこの機を捉えまして、誰もが意欲と能力を十分に発揮して働くことができるよう、多面的な非正規雇用対策を展開してまいります。
 中小企業の実態等の把握についてでございます。
 東京の経済や雇用を支える中小企業や小規模企業の実態を踏まえまして支援を行うことは必要でございます。
 都はこれまでも、状況を調査し内容を的確に把握し、施策へと反映をいたしております。
 先月に立ち上げた有識者会議でも、中小企業の現場に詳しい経営者などが参加されて、さまざまな現状を語っていただいて議論を行っております。
 これらを積み重ねながら、東京の産業振興をしっかりと進めてまいります。
 中小企業振興に係るビジョンについてのお尋ねでございます。
 都内の企業数の九九%を占める中小企業は、東京の経済や雇用を支える重要な役割を担っております。
 中小企業を取り巻く環境は急速に変化をしておりまして、経済のグローバル化やIT技術等の進展によって、産業構造の大きな転換も予想されております。
 東京二〇二〇大会後の二〇二五年をピークといたしまして、東京の人口は減少することが見込まれており、今後の働き手の不足は大きな課題ともなります。
 こうした変化に的確に対応して、中小企業への支援を計画的に進めるための新しいビジョンを二〇一九年からのおおむね十年間を対象として策定いたします。
 先月立ち上げました有識者会議におきましては、中小企業の業界や働き手の実情に詳しい団体のほか、経営者、研究者を交えまして議論を開始しております。
 今後の有識者会議におきまして議論を重ねながら、来年一月にはビジョンを取りまとめて、これに基づいて中小企業の振興に取り組んでまいります。
 住宅耐震化の取り組みについてでございます。
 耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識をする、備えるということが不可欠でありまして、所有者の主体的な取り組みを促すように区市町村への支援を強化することは重要でございます。
 これまで都は、整備地域内での区の取り組みを後押しするために改修への助成を拡充するなど、取り組みを加速してまいりましたが、来年度からは所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象といたしまして、整備地域外におきましても、都費を充当して改修への支援を行ってまいります。
 これらの支援を通じまして、住宅の耐震化を進め、都民が安心して生活できるセーフシティーの実現に取り組んでまいります。
 大会経費の縮減についてでございます。
 大会経費につきましては、これまで、平成二十八年末のバージョンワンの一兆五千億円から平成二十九年末のバージョンツーの一兆三千五百億円へ、一千五百億円削減をいたしまして、経費縮減の取り組みを着実に進めてまいりました。
 一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もございまして、さらなる経費の縮減は容易な課題ではございません。
 そうした中、組織委員会と連携をいたしまして、IOCが定める要件の見直しや緩和などを求めてきております。
 今後とも、大会運営要件の見直しをIOCに求めるなどの取り組みを進めまして、経費を精査してまいります。
 加えまして、大会の成功と大会後を見据えましたレガシーの創出に向けて、必要な経費はしっかりと見きわめ、めり張りをきかせたバージョンスリー、バージョンフォーを作成して、開催都市としての責任を果たしてまいります。
 選手村の土地価格についてでございます。
 都は、大会期間中に一時使用することなど選手村の特殊要因を踏まえまして、土地の価格を定められた基準に基づいて算定して、法令による手続を経て適正に決定をいたしております。
 その手続の過程におきましては、不動産鑑定士や弁護士など外部の専門家を含む委員会で審議を行っております。
 このように価格の決定につきましては、法令に基づいて適正、公正に行っております。
 財政運営についてでございます。
 都民が安心して暮らせる明るい未来に向けまして道を切り開いていくためには、増加する社会保障関係経費への対応は、財政運営上重要な視点でございます。
 平成三十年度予算案におきましても、創意工夫を凝らして、より一層無駄の排除を徹底しながら、待機児童の解消に向けた取り組み、高齢者や障害者の暮らしへの支援など、人が輝くための施策を重点的に展開いたしまして、福祉と保健予算の充実を図っております。
 今後とも、必要な施策には的確に財源を振り向けまして、子供や高齢者、障害者など誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティー東京を実現してまいります。
 次に、財政運営と社会資本整備についてのご質問でございます。
 東京の都市機能を支えるインフラ整備への投資は、東京の持続的発展の基盤となりまして、都民の利便性、生活の質の向上を図る上でも不可欠でございます。見直すべきものは見直しを行った上で、真に必要な取り組みは着実に進めていく必要がございます。
 こうした観点から、平成三十年度予算案におきましても、中長期的な視点を踏まえて、必要な投資は積極的に行う一方で、執行状況を踏まえまして、特定整備路線の整備に係る予算額を前年度比で減とするなど、賢い支出を徹底しております。
 今後とも、事業評価の取り組みなどによりまして、事業の必要性や経費の内容などを厳しく検証しつつ、都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。
 都市計画道路についてでございます。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 加えまして、無電柱化、歩道や自転車走行空間の整備、街路樹による緑化を行うことによりまして、環境、景観の向上などにも寄与するものでございます。
 これまで都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定しまして、あわせて見直しを適宜行ってきております。現行の計画でも、廃止や縮小など計画を見直すべき路線といたしまして九路線、五キロメートルを示しております。このうち補助第九八号線につきましては、廃止の手続に向けた準備を進めております。
 加えまして、今年度からは新たに、優先的に整備すべき路線を除きます未着手の都市計画道路のあり方につきまして、区市町とともに幅広く検討を行っておりまして、さらなる見直しを進めてまいります。
 今後とも、見直すべきものは見直す一方で、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
 羽田空港の新飛行経路案についてでございます。
 東京の国際競争力の強化に向けましては、東京二〇二〇大会やその後の航空需要に応えて、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国が提案した飛行経路の見直しに対して、都は地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減する方策の検討、そして徹底した安全管理に取り組むことを国に要請しております。
 これを受けて、国は、都内各地で四期にわたってオープンハウス型の説明会を開催するなど、丁寧な説明と意見の把握に努めてきておりまして、今後も継続していく予定でございます。
 また、国は、低騒音機の導入促進や防音工事の助成など騒音影響の軽減方策に加え、安全対策といたしまして、駐機中の航空機のチェック体制の強化や落下物防止の基準策定などに取り組んでおります。
 都は、引き続き国に対しまして、こうした取り組みを求めるとともに、都としても都民の理解が深まるように国に協力をして、国際都市東京にふさわしい玄関口としての羽田空港の機能強化を図ってまいります。
 米軍機の事故についてのご質問がございました。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初め大変厳しさを増しております。そうした中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしていると考えます。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たりましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要と考えます。
 都は国に対しまして、米軍機の運用について、安全対策の徹底などを米国に働きかけるとともに、地元への情報提供を行うように要請をいたしております。
 渉外知事会におきましても、米軍機の事故等が多く発生している中で、実効性のある安全対策をとるように日米両国政府に対し特別要請を行っております。
 今後も、都民の生命、そして安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 なお、残余の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 奨学給付金制度等についてでございますが、国の制度は、全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得者世帯の授業料以外の教育費の負担を軽減するもので、制度開始の翌年度となる平成二十七年度から毎年度、非課税世帯に対する給付額の改善が図られております。
 現在、この制度について都は、ICTを活用した学習等、多様な教育活動に対応できるよう、給付対象について非課税世帯からさらに拡大するなど、一層の充実を求める提案要求を国に対し行っております。
 さらに、今年度からは、都独自の取り組みとして、給付型奨学金の創設と特別奨学金の拡充を行ったところでございます。
 今後とも、学ぶ意欲と能力のある全ての子供に対する質の高い教育の実現に努めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 十二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新耐震基準の建築物に対する安全性についてでございます。
 熊本地震での被害を踏まえ、国が設置した委員会の報告では、倒壊した木造建築物の多くが旧耐震基準によるものであり、このような建築物の耐震化の一層の促進が必要であるとしてございます。
 加えて、新耐震基準の木造建築物の中でも、平成十二年以前の建築物の一部で倒壊等の被害があったことから、国は、所有者みずからが構造上の弱点となる接合部の安全点検を行うことを推奨してございます。
 これを踏まえ、都としても、まずは旧耐震基準の木造住宅の耐震化を促進していくことが重要であり、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅では、所有者による安全点検を行うよう促していくことが必要であると認識してございます。
 次に、新耐震基準の木造住宅への支援についてでございます。
 旧耐震基準の木造住宅の耐震化をしっかりと進めていくため、来年度から、所有者への積極的な働きかけなど行う区市町村を対象に、整備地域外でも都費を充当し、助成を実施してまいります。
 一方、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅については、所有者みずからの安全点検を促すために、耐震キャンペーンやパンフレットの配布などを通じて啓発を行ってございます。
 加えて、来年度からは、区市町村がこのような安全点検を促す啓発のため、建築士などを派遣する場合に支援を行うなど、取り組みを拡充してまいります。
 次に、選手村の敷地についてでございます。
 選手村の敷地は、大会時に選手の宿泊施設となる建物等の建築工事を行う民間事業者と敷地譲渡契約を締結した上で、現在は都が所有しており、都市再開発法の定めに従って、建築工事の完了後に所有権を移転することになります。
 次に、選手村の整備についてでございます。
 都は、市街地再開発事業を実施し、大会時に選手の宿泊施設となる建物等については、民間事業者により整備を進めてございます。
 民間事業者の選定に当たっては、選手村の特殊要因を踏まえて、土地の価格を、定められた基準に基づき算定し、法令による手続を経て公募、決定をしてございます。
 こうした経緯を初め、事業の概要や工事の状況などについて、これまでも積極的に情報公開してまいりました。
 今後も、都民の理解を得ながら、大会時には選手村がその役割をしっかりと果たせるよう、限られた時間の中で着実に整備を進めてまいります。
 次に、岸記念体育会館敷地の優先整備区域への指定についてでございます。
 当該敷地は、都市計画代々木公園として、昭和三十二年に都市計画決定されており、いずれは公園として整備されるべき土地でございました。また、東京二〇二〇大会の競技会場となる国立代々木競技場に隣接しており、大会運営用地として適地と考えられてございました。
 そのような状況などを踏まえて、都は、会館敷地を含む街区を大会運営に活用できるよう、早期に事業化を図るため、優先整備区域に指定したものでございます。
 公表に先立って、日本体育協会に対して区域の指定を想定していることについて伝えていたと承知してございます。
 次に、神宮外苑の都有地についてでございます。
 都は、神宮外苑地区におけるスポーツクラスターの形成について、平成二十三年十二月に策定した「二〇二〇年の東京」計画に位置づけており、その形成に向けて、都は日本体育協会に対して、岸記念体育会館の移転の検討をすることを平成二十四年に提案をいたしました。
 それ以降、移転先として都有地を活用することについて、協会から都に問い合わせなどがございました。
 また、その後、移転に向けた進め方などについて相談を行う中で、都から協会に対して、移転先として想定していた候補地についても伝えてございます。
 次に、日本体育協会からの相談などについてでございます。
 岸記念体育会館の現地での建てかえについては、協会が平成十六年ごろから検討しており、会館が都市計画公園の区域内にあることなどから、都に対して都市計画規制などについての相談が寄せられてございました。
 神宮外苑地区への移転については、同地区のスポーツクラスターの形成に向けて、平成二十四年に都から協会に対して移転の検討をすることを提案しており、その後、それに関して協会から都に問い合わせなどがございました。
 次に、日本体育協会元会長の森喜朗氏からの相談などについてでございます。
 岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転について、森氏から都に相談や働きかけがあったとの記録は見当たりません。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございます。
 名古屋市では、お話の事業化された一路線について、廃止に向けた検討が進められている一方、市内の都市計画道路の整備率が九割を超え、残る未着手の計画についても、整備プログラムを策定したと聞いてございます。
 都はこれまで、全国に先駆けて事業化計画を策定し、優先的に整備に取り組む路線を示す一方、適宜見直しを行ってきてございます。
 今年度からは、事業中路線や優先整備路線、これらを除く都市計画道路のあり方について、区市町と協働で幅広く検討を行ってございます。来年度早期に中間のまとめを公表し、都民の意見を聞いた上で、来年度末を目途に、計画変更などの対応方針を示してまいります。
 今後とも、見直すべきものは見直し、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
 次に、航空機からの落下物についてでございます。
 新飛行経路は、市街地の上空を通過することから、安全管理の徹底が重要であると認識してございます。
 現在、国は、職員みずから駐機中の航空機をチェックする新たな体制の構築や、落下物の原因者である航空会社に対する処分の仕組みづくりなどを進めており、新飛行経路の運用開始までには実施するとしてございます。
 加えて国は、最近の落下物事案の発生を踏まえ、外国航空会社を含む全ての航空会社から部品欠落の報告を求める運用を昨年十一月から開始し、また、航空会社が遵守すべき落下物防止対策基準案を、今年度内を目途に取りまとめる予定でございます。
 都は、引き続き国に対し、安全管理の徹底を図るよう要請してまいります。
 次に、羽田空港周辺での騒音値についてでございます。
 国は、羽田空港の現在の飛行経路において、十六カ所の騒音測定局を設置し、常時、騒音を測定しており、飛行中の航空機の機種や高度などとあわせて、各測定局での実測値をホームページで公表してございます。
 また、新飛行経路に関しては、現在航空機が飛行しておりませんので、国がこれまで測定した騒音のデータをもとに、航空機の機種ごと、高度ごとに最大騒音値を推計し、ホームページで公表してございます。
 都は、引き続き国に対し、地域への騒音影響の軽減と丁寧な情報提供を求めてまいります。
 最後に、日米地位協定及びその運用の見直しについてでございます。
 安全保障に関することは、国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきでございます。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国や米軍に要請を行ってございます。
 今後とも、都民の安全と生活環境を守る立場から、必要な申し入れを行ってまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策についてですが、専門家会議には、豊洲市場の地下水の現状を踏まえた上で、さらなる安全性を確保するため、地下水管理システムの機能強化など、必要な追加対策を提言していただきました。
 同システムの揚水機能を強化することで豊洲市場の地下水位を低下させるとともに、基準を超えた地下水も徐々に回収され、中長期的には地下水質が改善されていくものと認識しております。このことは専門家会議でも指摘されております。
 まずは、同システムの機能強化工事を推進することが重要でございまして、工事を着実に進めることで、さらなる安全性の確保を図ってまいります。
 次に、追加対策工事についてですが、今回の追加対策工事は、無害化にかわる新たな方針に基づいて実施するものでございます。
 専門家会議から提言していただきました地下水管理システムの機能強化工事は、同システムの揚水機能を強化することで、豊洲市場の地下水を適切に管理することを目指すものでございます。
 今後、工事を着実に実施することで、地下水位を低下させるとともに、地下水を適切に管理してまいります。
 次に、豊洲移転に係る業界との合意についてですが、豊洲市場への移転につきましては、築地市場で事業を営む市場業者で構成されます業界団体の代表者を委員とした新市場建設協議会において調整を行っており、開場日につきましても、その場におきまして業界と合意した上で、都として正式に決定したものでございます。
 次に、市場業者への説明についてですが、市場業者に対しては、追加対策工事の内容を初め都の取り組みについて、市場業者にも開かれた場でございます新市場建設協議会において報告しております。
 また、水産仲卸業者等に対しましては、業界団体が主催する全組合員を対象といたしました説明会で、情報提供や意見交換を実施してまいりました。
 今後とも、市場業者の方々に対しまして丁寧に対応してまいります。
 最後に、豊洲市場七街区の地下ピット床面等工事を特命随意契約とした理由についてでございますが、本工事におきまして、早期に工事発注できるよう、平成二十九年九月に希望制指名競争入札による契約手続を開始いたしましたが、手続を三回行っても落札者が決定しない状況にございました。
 このような状況におきまして、早期に契約を締結し、適正な工期を確保するという観点から、再度、競争入札に付することは適当ではなく、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第六号の競争入札に付することが不利と認められるときという規定を適用いたしまして、特命随意契約としたものでございます。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 競争入札などへの指名停止についてでございます。
 平成二十九年八月、大成建設株式会社が施工する民間発注の工事におきまして、下請作業員三名が死亡する事故が発生をいたしました。
 本件は社会的影響も大きく、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱が定める指名停止の要件に該当することから、指名停止としたものでございます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険における子供の均等割保険料でありますが、国民健康保険は法に基づく全国統一の制度であり、制度上の課題については制度設計者である国が責任を持って対応すべきものでございます。
 都は、全国知事会を通じて、子育て支援の観点から、子供に係る均等割保険料を軽減する制度を設けるよう、国に対して要望しております。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、国は、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、個室で構成されるユニット型での整備を基本としております。
 都は、平成三十七年度末までに六万二千人分の特別養護老人ホームを整備することを目標としており、その整備に当たりましては、ユニット型での整備を基本としつつ、地域の実情に応じて区市町村が必要と認める場合には、増加定員の三〇%を上限に、多床室の整備に対して補助を行っております。
 低所得者の食費、居住費につきましては、所得に応じた負担軽減の措置が講じられております。
 次に、高齢者施設や障害者施設への都有地活用についてでありますが、都は現在、地域における福祉インフラの整備を促進するため、保育所を初め福祉施設の運営事業者や区市町村に対して、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
 保育所のほか、高齢者や障害者の施設も貸し付けの対象としており、都有地活用推進本部で洗い出した土地につきましても、区市町村の意向があれば、それらの施設を整備することも可能となっております。
 今後とも、区市町村が地域のニーズを踏まえて、福祉インフラの整備を進められるよう、都有地の有効活用を図ってまいります。
 最後に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、地域における障害者の居住の場であるグループホームの事業者が質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に加え、都独自の補助を実施しております。
 来年度の見直しは、高齢化や障害の重度化等を踏まえて、職員を手厚く配置する事業者が充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するものでございます。
 また、国報酬の帰宅時支援加算や福祉専門職配置加算などに対応したサービスを行った場合でも、全体の収入額が変わらない現在の仕組みを、国の加算額が反映される仕組みに改めることとしております。
 見直しに当たりましては、事業者団体へのヒアリングや説明会を実施しており、必要な経過期間も設けることとしております。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、非正規雇用対策の推進についてでございますが、都はこれまで、非正規労働者の正規雇用化に向けて、社内での正規雇用転換を促進する助成事業やセミナーと企業実習を組み合わせたプログラムなど、平成二十七年度から三年間で一万五千人を目標に、総合的な対策を実施してきたところでございます。
 こうした取り組みなどにより、昨年度までの二年間で目標を上回る正規雇用化を実現するなど、企業による正社員化の動きは活発化しているところでございます。
 今後は、正規雇用化後の定着を見据えた質のよい転換を促進することが重要でございまして、継続した育成を行うなど、安心して働き続けられる労働環境の整備に取り組む企業を後押ししてまいります。
 次に、非正規雇用対策の検討の進め方についてでございますが、実効性ある対策を実施するためには、企業や労働者の実態と課題を把握することが重要でございます。
 都は、国と雇用対策協定を締結し、運営協議会を開催の上、毎年度事業計画を策定するなど、緊密に連携して取り組みを進めております。
 また、労使団体の代表者が参加する会議や社会保険労務士など、現場の実情に精通した専門家からのヒアリングを精力的に行っており、非正規雇用労働者の実態など最新の雇用情勢の把握に努め、施策に反映をしております。
 今後とも、現場の実情に即した施策を的確に展開してまいります。
 最後に、小規模企業への支援についてでございますが、都はこれまでも、小規模企業に対する幅広い支援を実施してきております。また、法律に基づく国の小規模企業振興基本計画も踏まえ、必要な支援も行っているところでございます。
 今後とも、小規模企業の支援に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、共同実施事業管理委員会の取り組みについてでございます。
 平成二十九年五月の大枠の合意では、都や国などが、仮設等、エネルギー、テクノロジー、輸送、セキュリティーなどの経費の一部を分担することとしており、こうした共同実施事業を適切に遂行、管理するため、同年九月に、都、国、組織委員会の三者で本委員会を設置し、この経過は既に公表しているところであります。
 大会経費バージョンツーの公表前に開催した共同実施事業管理委員会では、組織委員会が報告した経費圧縮に向けた取り組みを引き続き進めることや、情報提供に努めることなどについて三者で確認をしております。
 それらの会議資料や議事要旨につきましては、契約発注前の情報や企業の事業活動情報などの秘密情報等を除き、ホームページで公開しているところであります。
 次に、選手村の整備手法についてでありますが、選手村は、大会において最も重要な施設の一つであり、整備に当たっては、大規模な民間開発を確実に遂行させるとともに、大会要件に合致するさまざまな施設を期限内に完成させなければならないことから、都が工程管理する必要がございます。
 加えて、大会終了後には、選手村のレガシーとして多様な人々が交流し、集うまちとしていくため、全体の調和が図られた開発を取りまとめることも重要であります。
 こうしたことから、選手村の整備に当たりましては、都が施行主体となり、一元的な工程管理と総合的なまちづくりが可能な市街地再開発事業を実施することとしたものであり、民間事業者に有利であるとして事業手法を選定したものではございません。
 次に、選手村に係る大会時の都負担についてでありますが、大会にかかわる選手村の仮設整備費用としては、民間事業者が構造躯体まで整備した住宅棟にユニットバスやエアコンを含む大会時内装を設置、撤去する費用及びメーンダイニング等の仮設建築物を整備する費用がございます。
 これらは平成二十九年五月の大枠の合意に基づき、組織委員会が今後契約を締結し、その費用は都が負担いたします。その金額は、都も参画する共同実施事業管理委員会等を経て定めてまいります。
 住宅棟を民間事業者から選手村として借りる費用も都の負担でありますが、今後、所定の手続を経て決定いたします。
 これらの額については、設計段階のものや契約前であり、今後の契約等に影響を与えるものであるため、現段階では公表ができません。これらの課題が全てクリアした段階での公表のあり方については、今後検討してまいります。
 次に、ハンドボール会場についてでありますが、東京二〇二〇大会の開催に向けた会場整備に当たっては、セキュリティー上、特段の配慮が必要な観客の入退場管理や競技運営用の施設、選手や関係者のための施設、プレスや放送等を行うためのエリアでありますメディアコンパウンドのほか、大会関係者等の待機場所や駐車スペースなどを会場内外に配置する必要がございます。
 ハンドボール等の会場である国立代々木競技場のみでは、これらの大会運営用地に活用できる適当な敷地が不足しております。
 最後に、岸記念体育会館敷地の大会時の使用についてでありますが、国立代々木競技場における会場計画につきましては、他の会場と同様、競技エリアとの位置関係、選手と観客の動線、輸送計画等を踏まえ、適切に決定していく必要がございます。
 組織委員会では、代々木会場のより円滑かつ効率的な運営に向け、岸記念体育会館敷地も含め、先ほどお答えした施設の配置について、具体的に検討を行っているところでございます。
〔八十一番白石たみお君登壇〕

○八十一番(白石たみお君) 知事に再質問します。
 まず、選手村問題です。
 再開発の手続に沿って適正にやっているとの答弁でした。しかし、更地に選手村をつくるのに再開発の手法を使うことがおかしいのです。再開発というのは、一度開発されて既存の建物があり、複数の所有者の権利関係の調整などが必要な土地を再び開発するものです。
 ところが、選手村の敷地は、建物など何もない更地の都有地で、所有者は東京都だけです。
 知事、更地を再開発するというのは、素朴におかしいと思いませんか。
 次に、基地問題です。
 知事は、相次ぐ米軍機事故について、米軍基地を持つ自治体の渉外知事会で、特別要請をしたといいました。その中で、渉外知事会は、短期間にこれだけ多くの事故が起きることは決して看過できない、基地周辺住民や自治体に米軍航空機の整備や安全対策などについて大きな不安と不信を抱かせているとの認識を示しています。知事はどう認識していますか。
 オスプレイが五年に一度の定期点検をしないまま、車検切れのような状態で飛び回り、横田基地周辺でいつ事故が起きてもおかしくない事態にあることを知事はどう考えているのですか。
 以上、二問について知事にお答えいただきたいと思います。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白石たみお議員の再質問にお答えをいたします。
 米軍機の事故についての再質問がございました。
 改めて申し上げますと、アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初めとして大変厳しさを増しているのはご存じのとおりでございます。そうした中で、日米安全保障体制が我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますけれども、米軍の運用に当たりましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要ということで、私もメンバーに入っております渉外知事会におきまして、最近の米軍機の事故等の状況を踏まえて、実効性ある安全対策について、ことし二月六日、特別要請を行っております。米軍機の事故や予防着陸、緊急着陸が多く発生しております。安全対策の徹底が必要でございます。
 今後も都民の命、安全、安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 他の再質問につきましては、都技監よりの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 更地での市街地再開発事業についてでございます。
 土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に貢献すること、あるいは区域内に十分な公共施設がないことなど、都市再開発法で定める条件に合致する場合は、更地においても市街地再開発事業を行うことが可能でございます。

○議長(尾崎大介君) 百二番中村ひろし君
〔百二番中村ひろし君登壇〕

○百二番(中村ひろし君) 私は、都議会民進党・立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問します。
 まず、知事の基本姿勢について伺います。
 都政に専念すると述べられた小池知事ですが、年末の地方消費税の清算基準の見直しを初め、東京二十三区の大学の定員抑制など、地方創生に名をかりた政府・自民党による東京バッシングは、日本の将来に大きな禍根を残すものと憂慮するものです。
 今、地方創生に必要なことは、東京対地方の構図を殊さらあおるのではなく、国の持っている権限を地方に移譲し、国と地方との税財政制度を抜本的に見直すことで、地方分権を一層進めることにほかなりません。いつまでも国の顔色をうかがうのではなく、自立した地方がそれぞれの地域の課題に自主的に取り組めるようにすることこそ求められているのです。
 小池知事においては、他の道府県や都内自治体などとの問題意識の共有や連携強化に向けて取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 医療の進歩により、人生百年時代が到来します。本来、健康長寿は喜ぶべきことですが、貯蓄や住まいなど、老後破産への不安は尽きません。これはひとえに国民年金だけでは暮らしが成り立たないといった国のセーフティーネットの不備によるものですが、ひとり暮らし高齢者などが圧倒的に多い東京においては、国に先駆けてでも率先して取り組まなければなりません。
 知事は昨年八月、就任二年目は高齢者問題に取り組むと述べましたが、知事自身のビジョンや方向性は見えず、有識者による超高齢社会における東京のあり方懇談会に委ねられた形です。
 人生百年時代に向けて、介護などの福祉分野だけではない雇用、住宅、医療なども含めた総合的な対策は喫緊の課題であり、早急に全庁的な対応に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 内閣府の調査によると、働けるうちはいつまででも働きたいとする高齢者は四割、七十歳くらいまで、もしくはそれ以上と合わせると約八割が高い就業意欲を持っています。
 しかし、定年退職後は従来と同じ会社で働きたいという人が約五割であるのに対して、実際に希望どおりの職場で働ける人は約三割にとどまっています。
 高齢者が定年を契機に、新たな分野で生き生きと活躍できるようにしていくためには、企業側の受け入れ体制整備も必要です。都としてしっかりと後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 一方、平成二十八年度、都内における介護職の有効求人倍率は前年度比〇・九一ポイントアップの五・八六倍。保育士の四・八六倍よりも高く、全職種の一・七四倍という数値と比較しても、大変な人手不足です。
 都はこれまでも、福祉施設で高齢者が活躍できる仕組みづくりを行う区市町村を支援してきました。福祉の現場からも、社会経験豊富な中高年の採用を歓迎する声が聞かれます。
 経験のない方にも福祉の仕事に関心を持っていただき、この分野に参入していただけるような取り組みをより一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、子供、子育て支援について伺います。
 私たちがかねてより提案、要望してきたベビーシッターの利用支援について、都においては極めて限定的な国制度に加えて独自の支援も行っており、積極的な施策展開を評価するものです。
 しかしながら、こうした都事業の利用はまだまだ進んでおらず、保育を必要としていながら、保育所に入れず本当に困っている都民が使えるサービスとして、希望すれば利用できる状況にはなっていません。
 より多くの自治体でベビーシッター利用への支援が行われるよう、対象の拡大、区市町村への支援拡充、サービスの質向上、供給の拡大に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、小中学校の給食費等無償化について伺います。
 私たちは、教育は原則として無償であるべきと考え、高校無償化、給付型奨学金の充実など、さまざまな政策を提案、実現してきました。無償の理念を徹底すべき義務教育において、導入すべきと考えているのが給食の無償化です。
 近年、偏った栄養、朝ご飯抜きといった食生活の乱れ、肥満、痩身など、子供の健康課題が深刻になっています。また、食を通じて地域を理解したり、食文化の継承を図るためにも、学校において行われる食育の役割はますます大きくなっています。
 そのためには、栄養教諭制度の実施を初めとした食に関する指導体制の充実に加えて、学校における食育の生きた教材となる学校給食の充実、質向上を図ることも重要です。
 小池知事は、無償化を初めとした小中学校における学校給食について、どのように捉えているのか、知事の見解を伺います。
 次に、医療、保健施策について伺います。
 まず、受動喫煙ゼロ、今定例会に提案予定であった受動喫煙防止条例について申し上げます。
 昨年九月、私の代表質問に小池知事が答弁されたとおり、スモークフリーはもはや世界的な潮流です。一月末からこの間、慎重な物いいが続いており、知事がスモークフリーを放棄したのではないかとの懸念もあります。
 私は、知事として都民の健康を守るためにも、一歩も後退することなく受動喫煙防止条例を制定すべきと考えます。また、延期の原因となった国に対しては、高い水準で取り組みを進めるよう改めて求める必要があります。
 さらに、知事が明確に答弁された二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会開催までに実効性の高い条例を施行するには、周知や準備に相応の期間が必要です。
 国への対応や施行時期も含めた条例制定について、スモークフリーを放棄したのか、あわせて知事の見解を伺います。
 都が昨年九月に発表した受動喫煙防止条例の基本的な考え方には異論も多くありました。それでも私たちは、都民の健康を守るため、条例の早期制定を求め、あわせて区市町村との連携や店舗などへの支援強化、禁煙支援など受動喫煙を減らす総合的施策を一貫して求めてきました。
 また、九月議会でも、東京都みずから率先してできる都立施設や都立公園などにおける受動喫煙防止の徹底について、一日も早く決断、実行されるよう求めました。条例提案の延期にかかわらず、これら受動喫煙防止対策を強化、推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、国民健康保険について伺います。
 国民健康保険は、加入者の年齢が高い、医療費水準が高い、低所得者が多い、区市町村単位のため財政基盤が弱いといった構造的な課題がありましたが、制度改正により、今後は、国民健康保険財政については都道府県が中心的役割を果たし、対処していくことになります。
 十二月の本会議討論でも求めたとおり、私は新制度への移行によって、区市町村及び被保険者に過大な負担が生じないよう、都としても激変緩和措置を実施するとともに、特定保健指導や健診、検診など、予防、早期発見、重症化防止、さらには健康増進などへの支援をより一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、雇用、産業施策について伺います。
 私は、二〇一四年六月の代表質問において、有期労働契約の無期転換ルールの周知徹底を初め、非正規の正社員化の推進を求めてきましたが、いよいよことし四月から無期転換ルールがスタートします。
 しかし、当時から危惧されていたとおり、無期転換の権利が取得できる五年を前に雇いどめに遭う非正規労働者も少なくありません。都においては、特にパート、契約社員など、労働者の特性に合わせた周知徹底が必要です。
 また、都は、正規雇用等転換促進事業を創設し、平成二十七年度から三年間で一万五千人の計画を超える正規雇用化を実現させていますが、今年度は予算を上回る申請があったと聞いており、より多くの人たちが正規雇用に転換できるよう取り組んでいくべきです。
 そこで、私は、無期転換ルールの開始に向けた周知徹底を求めるとともに、非正規労働者の正規雇用化に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革についてです。
 安倍政権は、裁量労働制の拡大を撤回しましたが、長時間労働を是認するような働き方改革には反対です。
 一方、現在、東京都においても、働き方改革を宣言した企業に対して助成金を支給するなどしていますが、肝心なのは、長時間労働の是正、賃金上昇につながる生産性向上など、実態を伴う改革の実行です。働き方改革が、生産性が高まらないままで残業代を減らすための道具になってはならないのです。
 長時間労働の是正や生産性向上など、働き方改革の推進に向けて、知事の見解を伺います。
 次に、中小企業の振興についてです。
 アベノミクスから既に五年がたちましたが、中小企業の多くが景気回復を実感できないといわれています。知事は施政方針で、中小企業の振興に関するビジョンを新たに策定すると述べましたが、経済のグローバル化や第四次産業革命など、環境が劇的に変化をする中で、東京の経済を支えている中小企業が飛躍、発展できるよう、将来を見据えた大胆な支援策が求められています。
 一方、中小企業の振興に向けては、既に四十四の道府県で制定されている基本条例の制定について、都内中小企業団体から、毎年のように要望が出されているところです。
 そこで、私は、新たなビジョンの策定に当たっては、中小企業振興基本条例の制定も含め、将来を見据えた大胆な支援策を盛り込んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 最後に、市場問題について伺います。
 二月の十七日、小池知事は、築地市場の業界団体との意見交換の場において、安全宣言をする旨述べたと報じられましたが、さきの施政方針では、何ら言及がなかったことは残念でなりません。
 この間、私たちは、豊洲市場での追加対策が着実に実施をされ、その効果が確認された段階で、知事の責任において安全宣言がなされることを強く求めてきました。
 今後も、豊洲市場で環境基準を超える検出の可能性のある中で、専門家がいっているなどの責任転嫁ではなく、確実に知事の責任において安全宣言をすべきと考えます。
 また、小池知事は、私たちの質問に、農林水産大臣の認可手続などの一連のステップを経て、しかるべき段階で安全・安心について発信すると答弁していましたが、私は農水大臣に責任転嫁するのではなく、認可申請前に安全宣言すべきと考えます。宣言の時期について、あわせて見解を伺います。
 以上で都議会民進党・立憲民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、地方創生と他の自治体との連携についてご質問がございました。
 地方消費税の清算基準の見直しにしろ、大学の定員抑制にしろ、私が懸念しているのは、目の前の課題に対してつじつま合わせではなく、肝心の日本はどうあるべきかという議論が抜け落ちていることに対してでございます。
 地方創生の重要性は論をまちません。そうであるからこそ、この重要な課題の解決に向けて必要なこと、それは東京対その他の地方という安易な構造を構えることではなくて、国民的な議論を幅広く、腰を据えて展開していくことだと考えております。
 東京都は、国の動きに応じましてリーフレット、小冊子を作成したり、シンポジウムを開催したりいたしまして、問題点を明らかにする取り組みを粘り強く進めております。都内の自治体とは、首長同士の懇談会で問題意識を共有して、他の道府県とも全国知事会議などの場を通じて、東京都の意思を明確に伝えて理解の促進に努めているところでございます。
 さらに、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、これらは日本全体を盛り上げ、地方創生にも結びつく貴重な機会でございます。全国各地と連携を強化して、一緒になって具体的な行動を積み重ねる中で、二〇二〇年とその後の日本のあり方についても考えてまいりたいと思います。
 国とは、国家戦略特区を初め、東京と日本の持続的な成長に向けた施策をともに推し進める一方、本質を踏まえた議論をさらに強く求めていく所存でございます。
 人生百年時代に向けた取り組みについてでございます。
 高齢者人口が多くを占める超高齢社会にありましても、高齢者が抱える健康や雇用、住宅といった不安が払拭されて、全ての世代が生き生きと活躍できる活力ある東京の実現が求められております。
 そのためには、地域包括ケアシステムの構築はもとより、介護予防の取り組みは重要でございます。
 すなわち、元気な高齢者が仕事や地域活動、あるいは学び直しによって生涯現役として社会と密接にかかわることのできる、その方策をとる必要がございます。
 加えて、空き家の活用といったまちづくりや、ICTの導入などの取り組みも不可欠でございまして、こうした施策を来年度予算案におきましても、可能な限り講じたところでございます。
 今後、専門家による懇談会におきましては、さらに議論を深めていただき、東京におけるこれからの地域のあり方を提言もしていただくこととなっております。
 こうした提言なども踏まえまして、全庁横断的な検討を通じ、引き続き総合的な対策に取り組み、高齢者を初めとした都民一人一人が輝き続けるダイバーシティー東京を実現してまいります。
 いわゆるベビーシッターの活用についてのご質問でございます。
 現在、都内四十二の区市におきましては、家庭的保育者、つまり保育ママが約千九百人の児童を保育しております。
 また、十四の区市におきましては、区市町村が認可する居託訪問型保育事業、いわゆる認可型のベビーシッターを活用いたしました保育を実施しておりまして、都は、利用者が負担する交通費を独自に支援をしているところでございます。
 また、都は、認可外のベビーシッターの利用料の軽減に取り組む三市についても支援を行っております。
 来年度からは、区市町村が認可型のベビーシッターを活用いたしまして、待機児童対策に取り組む場合に、自治体の負担を都が全額支援をいたします。
 また、育児休業の取得などを支援するため、認可外のベビーシッターを利用する場合にも都独自の助成を開始いたします。
 保育者に対しましては、質の確保のため、認可型と同様の研修を実施いたします。
 こうした取り組みによりまして、質、そして量の確保を図って、安心してベビーシッターを利用できる環境を整備してまいります。
 公立小中学校におけます学校給食についてでございますが、栄養バランスのとれた学校給食は、子供たちの健やかな成長に資するとともに、生産者の思いやマナーを学ぶ食育の機会ともなり、食に対する正しい理解や望ましい食習慣の形成などにとりましては、重要でございます。
 なお、現在、学校給食費は、法に基づいて保護者の負担とされております。学校給食実施者である区市町村が保護者負担の軽減策なども含めて決定をしていると承知しております。
 受動喫煙の防止条例についてでございますが、IOCが唱えますスモークフリーの取り組みは、世界的な潮流でございます。また、WHOとIOCは、たばこのないオリンピックを共同で推進することに合意をしております。
 都は、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、受動喫煙防止対策を一層推進していく必要がございます。
 これまで国に対しましては、受動喫煙防止対策を強化するための法律を早期に整備するように繰り返し求めてまいりました。現在、国において健康増進法改正に向けた議論がされているところでございますが、ぜひとも実効性のある法律を制定していただきたいと存じます。
 都は今後、法律との整合を図りながら、区市町村とも連携協力してオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市にふさわしい実効性のある条例案を検討してまいります。
 受動喫煙防止のための取り組みについてでございます。
 都は、東京都がん対策推進計画に基づいて、喫煙率の減少と受動喫煙防止に向けた取り組みを推進しております。現在改定中の計画におきましては、条例の制定、施行に向けた取り組みを盛り込んで、来年度は、飲食店や事業者等に対しまして、受動喫煙防止に向けたアドバイスや相談を実施する。区市町村に対しましても実施に向けた支援を行うこととしております。
 また、都民の憩いの場でもあります都立公園では、引き続き、妊娠中の女性や子供の周囲では喫煙しないよう呼びかけるなど、利用者のマナー向上に努めてまいります。
 そして、都の全ての職場におきましては、四月一日から建物内の禁煙を徹底することを基本といたしまして、全庁で準備を進めており、今後、受動喫煙防止対策の取り組みを一層推進してまいります。
 働き方についてのご質問でございます。
 働く方のライフワークバランスや企業の生産性の向上につながる働き方改革は、東京の持続的な成長を実現する鍵でございます。
 都も、みずから昨年十一月に、私を筆頭といたしまして、特別職、全局長、都庁働き方改革宣言を行っております。各組織のトップの強いリーダーシップによって、全ての職員が生き生きと働ける、生産性の高い都庁の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 企業の取り組みにつきましても、都の宣言企業制度によりまして、着実に推進しておりまして、今年度も宣言企業は一千社に達する見込みでございます。本事業の実効性を高めるため、社会保険労務士などが全ての宣言企業を巡回して助言を行うほか、生産性の向上に取り組む企業へのコンサルティングも行っております。
 また、宣言企業を集めた交流会を開催いたしまして、互いに情報交換を行うことによって、改革に向けたさらなる取り組み意欲を喚起しているところでございます。
 さらに、働き方改革の意義をわかりやすく伝えるPR動画を作成いたしまして、渋谷のスクランブル交差点の大型ビジョンやトレインチャンネルなどを活用して、広く都民に発信をしているところでございます。
 こうした取り組みにより、社会全体に改革の輪をさらに広げていって、東京から大きなムーブメントを先導してまいります。
 中小企業の振興に係るビジョンについてでございますが、ご存じのように、都内の企業数の九九%を占める中小企業でございます。東京の経済や雇用を支える重要な役割を担っています。
 中小企業を取り巻く環境は急速に変化を遂げておりまして、現在のグローバル化やIT技術などの進展によって、産業構造の大きな転換も予想されます。
 東京二〇二〇大会後の二〇二五年をピークに、東京の人口は減少することが見込まれており、今後の働き手の不足は大きな課題ともなります。こうした変化に的確に対応いたしまして、中小企業への支援を計画的に進めるための新しいビジョンを二〇一九年からおおむね十年間を対象として策定をいたします。
 先月立ち上げました有識者会議におきましては、中小企業の業界や働き手の実情に詳しい団体のほか、経営者や研究者を交えて議論を開始いたしております。
 今後の有識者会議におきまして議論を重ねながら、来年一月にはビジョンを取りまとめて、これに基づいて中小企業の振興に取り組んでいく所存でございます。
 豊洲市場の安全宣言についてのご質問でございます。
 豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は、専門家会議でも確認されております。
 現在、同会議の提言に基づいて、さらなる追加対策工事を進めておりまして、これを着実に実施をすることで、さらなる安全性の向上を図っていくところでございます。
 また、追加対策工事の完了後は、専門家会議による対策の有効性を確認していただき、農林水産大臣の認可手続を進めていく、このような手続となっております。
 食の安全・安心について都民の理解を得るために、こうした一連のステップを着実に進めて、手続面も含めた条件が整った段階で、安全・安心な市場であることについての発信をしてまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長よりご答弁とさせていただきます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、高齢者の就業支援についてでございますが、元気で意欲のある高齢者が個々の希望や能力に応じて働き続けるためには、受け入れる企業の理解促進を図り、就業の場を拡大していくことが重要であります。
 このため、都は来年度、シニアが活躍している企業の好事例を経済誌等で広く紹介するなど、高齢者の雇用促進に向けた啓発を行いますとともに、合同就職面接会を開催し、企業と高齢者のマッチングを図ってまいります。
 また、シニアインターンとして、高齢者を企業へ派遣する仕組みを新たにつくり、さまざまな仕事を体験して、みずからの可能性を再発見すると同時に、受け入れ側の企業にも高齢者雇用のメリットを実感していただくことで、継続的な雇用に向けた環境づくりを促してまいります。
 こうした取り組みを総合的に展開することで、高齢者の活躍の場を広げてまいります。
 次に、非正規雇用対策についてでございますが、有期労働契約の無期転換ルールへの対応に向け、都は、平成二十四年の法改正直後から、啓発資料の配布や街頭労働相談の実施等、さまざまな場面で制度の周知に積極的に取り組んできたところでございます。
 本年四月からの本格化を目前に控え、今月にはパートや契約社員向けセミナーのほか、東京労働局と連携した特別電話相談会を開催するなど、啓発をさらに強化してまいります。
 また、非正規労働者の正規雇用化につきましては、都独自の助成事業により、社内での正社員転換を促進しており、今年度も計画を大幅に上回る見込みとなっております。
 企業の人手不足を背景に正社員化の動きが活発化していることから、来年度は、計画的な育成に取り組む企業への助成制度を創設し、正規雇用に転換した従業員が安心して働き続けられる職場環境の整備を後押ししてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、福祉職場で高齢者が活躍できる仕組みづくりについてでありますが、都は、高齢者が福祉施設で食事の配膳などのサポート業務を担うための研修を実施いたしますほか、生活支援サービスの担い手や保育所での読み聞かせ等で活躍できる取り組みを行う区市町村を支援しております。
 また、福祉分野に多様な人材を確保するため、福祉人材情報バンクシステムふくむすびを本年一月に開設をいたしまして、登録していただいた福祉職場に関心のある方に、福祉事業者による働きやすい職場づくりの取り組み、職員やボランティアの募集、職場体験の実施などの情報を発信しております。
 来年度は、新たに退職前の従業員等に対して、介護技術に関する研修等を実施する企業を支援し、研修受講生が希望する場合には就職支援を行うなど、高齢者が福祉職場で活躍できる取り組みを進めてまいります。
 次に、国保制度改革についてでありますが、新制度における納付金の仕組みでは、医療費水準や所得水準が高い区市町村の保険料が上昇する場合があるため、国が追加で負担する公費と都道府県の繰入金の一部を活用して、激変緩和措置を行うこととされました。
 都の繰入金をこの措置に用いますと、その分、区市町村への交付額が減少することから、都独自の財政支援として、激変緩和措置に用いた額と同額を支援いたします。
 また、区市町村が被保険者の健康の保持増進を図り、医療費の伸びを抑制できるよう、国の保険者努力支援制度の交付金や都の繰入金を活用しまして、特定健診、特定保健指導の実施率等に応じた支援を行うほか、区市町村による糖尿病の重症化予防の取り組みを推進するため、都独自の予防プログラムを作成してまいります。

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後十一時十二分散会

ページ先頭に戻る
} }, { "position": 5, "item": { "@id": "02.html", "name": "第二号"}}]}