平成二十九年東京都議会会議録第二十号

平成二十九年十二月八日(金曜日)
 出席議員 百二十二名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番平  慶翔君
九番やながせ裕文君
十番大場やすのぶ君
十一番山内れい子君
十二番伊藤しょうこう君
十三番田村 利光君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番滝田やすひこ君
二十一番藤井あきら君
二十二番奥澤 高広君
二十三番森口つかさ君
二十四番村松 一希君
二十五番内山 真吾君
二十六番森澤 恭子君
二十七番おときた駿君
二十八番菅野 弘一君
二十九番川松真一朗君
三十番小松 大祐君
三十一番柴崎 幹男君
三十二番宮瀬 英治君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番遠藤  守君
三十九番伊藤こういち君
四十番もり  愛君
四十一番龍円あいり君
四十二番あかねがくぼかよ子君
四十三番保坂まさひろ君
四十四番関野たかなり君
四十五番森村 隆行君
四十六番福島りえこ君
四十七番鳥居こうすけ君
四十八番つじの栄作君
四十九番上田 令子君
五十番舟坂ちかお君
五十一番清水 孝治君
五十二番三宅 正彦君
五十三番神林  茂君
五十四番西沢けいた君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番大松あきら君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番菅原 直志君
六十四番清水やすこ君
六十五番白戸 太朗君
六十六番木下ふみこ君
六十七番斉藤れいな君
六十八番増田 一郎君
六十九番入江のぶこ君
七十番佐野いくお君
七十一番細谷しょうこ君
七十二番両角みのる君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番高橋 信博君
七十五番中屋 文孝君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番宇田川聡史君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番馬場 信男君
八十九番本橋ひろたか君
九十番田の上いくこ君
九十一番桐山ひとみ君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番小宮あんり君
九十九番山崎 一輝君
百番吉原  修君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番大津ひろ子君
百十一番栗下 善行君
百十二番木村 基成君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番小山くにひこ君
百十五番荒木ちはる君
百十六番山内  晃君
百十七番増子ひろき君
百十八番石毛しげる君
百十九番尾崎 大介君
百二十番早坂 義弘君
百二十一番鈴木 章浩君
百二十二番秋田 一郎君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 四名
七番   後藤 なみ君
八番   西郷あゆ美君
三十三番 原田あきら君
九十二番 たきぐち学君
 欠員
    五十五番
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事川澄 俊文君
副知事長谷川 明君
副知事猪熊 純子君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長遠藤 雅彦君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
主税局長目黒 克昭君
警視総監吉田 尚正君
生活文化局長塩見 清仁君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長和賀井克夫君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長土渕  裕君
交通局長山手  斉君
消防総監村上 研一君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長渡辺志津男君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長浜 佳葉子君
人事委員会事務局長砥出 欣典君
労働委員会事務局長池田 俊明君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長佐藤  敦君

十二月八日議事日程第三号
第一 第百六十四号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百六十五号議案
東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第三 第百六十六号議案
東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
東京都都税総合事務センター設置条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例
第六 第百六十九号議案
東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百七十三号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十四号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十五号議案
東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例
第十三 第百七十六号議案
東京都国民健康保険事業費納付金条例
第十四 第百七十七号議案
東京都国民健康保険運営協議会条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十八号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十九号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第十七 第百八十号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第十八 第百八十一号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百八十二号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第二十 第百八十三号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第二十一 第百八十四号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百八十五号議案
特定異性接客営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百八十六号議案
警視庁本部庁舎(二十九)大規模改修工事請負契約
第二十四 第百八十七号議案
東京消防庁調布消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
第二十五 第百八十八号議案
東京都公文書館(二十九)改築工事請負契約
第二十六 第百八十九号議案
大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他工事請負契約
第二十七 第百九十号議案
東京都公文書館(二十九)改築空調その他設備工事請負契約
第二十八 第百九十一号議案
平成二十九年度十三号地新客船ふ頭ボーディングブリッジ製作据付工事請負契約
第二十九 第百九十二号議案
大井ホッケー競技場(仮称)(二十九)新築及び改修その他電気設備工事請負契約
第三十 第百九十三号議案
東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「やしお」製造請負契約
第三十一 第百九十四号議案
平成二十九年度十三号地新客船ふ頭岸壁建設工事(その一)請負契約
第三十二 第百九十五号議案
下高井戸調節池工事請負契約
第三十三 第百九十六号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十八)請負契約
第三十四 第百九十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第三十五 第百九十八号議案
東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第三十六 第百九十九号議案
当せん金付証票の発売について
第三十七 第二百号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更について
第三十八 第二百一号議案
東京都船形学園の指定管理者の指定について
第三十九 第二百二号議案
東京都八街学園の指定管理者の指定について
第四十 第二百三号議案
東京都勝山学園の指定管理者の指定について
第四十一 第二百四号議案
東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
第四十二 第二百五号議案
東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
第四十三 第二百六号議案
東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
第四十四 第二百七号議案
東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
第四十五 第二百八号議案
東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
第四十六 第二百九号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第四十七 第二百十号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款の変更について
第四十八 第二百十一号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第四十九 第二百十二号議案
東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
第五十 第二百十三号議案
東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十一 第二百十四号議案
東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十二 第二百十五号議案
東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
第五十三 第二百十六号議案
東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十四 第二百十七号議案
東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十五 第二百十八号議案
東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百十九号議案
東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第五十七 第二百二十号議案
東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第五十八 第二百二十一号議案
東京都立葛西臨海公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百二十二号議案
消防・救急デジタル無線設備の買入れについて
第六十 第二百二十三号議案
無停電電源装置の買入れについて
第六十一 第二百二十四号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第二百二十五号議案
東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第二百二十六号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第二百二十七号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第二百二十八号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第二百二十九号議案
東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第二百三十号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第二百三十一号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第二百三十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第二百三十三号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第三号追加の一
第一 東京都公害審査会委員の任命の同意について(二九財主議第四八〇号)
第二 議員提出議案第二十号
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例、知事より、東京都公害審査会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) 一昨日に引き続き質問を行います。
 四十三番保坂まさひろ君
〔四十三番保坂まさひろ君登壇〕

○四十三番(保坂まさひろ君) 都民ファーストの会東京都議団保坂まさひろでございます。
 初めに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についてお伺いします。
 いよいよ来年二月九日より、隣の韓国では平昌冬季五輪大会が開催されます。私は先月、平昌大会会場を視察した際、現地で意見交換をしました江原道副知事や道職員たちからも、アジア三カ国で続く五輪大会のトップバッターとして、何としても成功させ、東京大会につないでいきたいという強い気迫が伝わってきました。
 会場となる平昌郡が属する自治体である江原道は、人口約百五十万人、韓国で唯一、北朝鮮と分断された自治体として、平和五輪を大きく掲げております。ことし九月には、平昌にて日中韓三カ国のスポーツ行政担当相の会談を開き、スポーツ交流を通じて相互理解と信頼を強化し、これを基盤に東アジアの平和共存のため努力するとする平昌宣言が採択されました。
 東京もこれを機会に、五輪開催都市の平昌、北京と未来志向のスポーツ交流、協力といった都市外交を促進していくことを強く望むところであります。
 平昌大会は、東京二〇二〇大会直前の大会でもあり、東京大会を成功させるための実践的な確認ができる最後の機会であります。
 また、東京大会でのパラリンピックの成功は大きな目標ですが、大会直前の運営準備として、パラリンピックで配慮すべき特有のニーズの対応、オリンピックからパラリンピックへのスムーズな移行などについても、さらなる理解を深めるため組織委員会と連携し、組織横断的に知識を共有していくことも重要です。
 平昌大会において、職員を現地へ派遣するなども含め、運営面での最終確認が重要になると考えますが、都の見解を伺います。
 また、平昌大会期間中は、東京二〇二〇大会をさまざまな施策で積極的にPRすることも重要です。リオ大会で実施した東京二〇二〇ジャパンハウスでは、東京、日本のPR、日本選手団の記者会見、レセプションや来賓のおもてなしなどホスピタリティー機能を有した施設で、大変好評だったと聞いております。平昌大会では、ぜひ東京二〇二〇大会の掲げる環境や復興五輪についても、現在施策中の事業なども含めてPRすることも重要だと考えます。
 そこで、平昌大会における東京二〇二〇ジャパンハウスではどのようなPRを行うのか、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会に向けて、障害者スポーツへの関心が徐々に高まるとともに、パラリンピック競技の人口が拡大すると期待されておりますが、平昌大会においては、オリンピック競技に比べて、パラリンピック競技の人気がなかなか上がらないとの懸念の声も聞いています。
 平昌大会期間中、都内でも日本代表選手応援イベントや、ライブサイトで大会の盛り上げを図っていくことにもなりますが、東京二〇二〇大会に向けてパラリンピック競技のPRこそ重要になると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、熊本地震支援での教訓について伺います。
 首都直下型地震による被災者支援の体制づくりは、都の喫緊の課題ともなっています。昨年四月に熊本地震が発生した直後から、都は被災地の要請に基づき、人的支援や物的支援を迅速に実施しました。その際、被災地に派遣された職員の経験や被災自治体へのヒアリングをもとに、平成二十八年熊本地震支援の記録が作成されました。この支援の記録を改めて読み返すと、女性や要配慮者など多様な視点を踏まえた避難所運営のあり方などの課題が明らかにされております。
 こうした課題を踏まえ、熊本地震の被災自治体への支援を通じて得られた教訓は大変貴重なものであり、都の防災対策に反映させ、一層の強化を図るべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 さらに、要配慮者への支援という観点から、熊本地震の支援体制で注目を集めたのが乳児用液体ミルクでありました。小池知事と友好関係にあるフィンランドから、現地乳製品メーカーの販売する乳児用液体ミルク約六千本が特例措置として緊急輸入され、提供を受けた被災地のお母さん方から高い評価を受けたと聞いております。また、利用者のニーズという面では、熊本地震での乳児用液体ミルク利用者の反応など、情報収集や分析も必要です。
 そもそも日本における乳児用液体ミルクの課題は、食品衛生法に基づく乳児用の規格基準が粉ミルクしかないことから、国内で製造、販売ができないことです。厚労省は、事業者団体に長期保存などの安全性のデータを求めておりますが、いまだ実現はしておりません。
 類似例では、国内販売の解禁の可能性が高い常温の豆腐があります。高い製造技術を持つ国内豆腐メーカーが既に海外市場で三十年以上前から販売をしている中、日本においても災害時の緊急物資や時代のニーズを捉えるべく、業界と行政が連携して国内製造販売の実現に向けて取り組んできました。
 こうした例があるだけに、私は、乳児用液体ミルクの国内製造も必ず実現できると確信をしています。
 今後、実効性を高めていくためには、国内製造だけにこだわらず、国内企業と協力して海外商品を輸入することも、検討を始めていくべきと考えます。日本の規格基準に適合した乳飲料として、製造委託契約を海外メーカーと交わし、最低ロット数をほかの自治体と協力しながら共同購入すると同時に、避難訓練でのシミュレーションといった供給体制までつくることも必要です。
 そこで伺います。
 乳児用液体ミルクの利便性は非常に高く、迫りくる首都直下型大地震などの大震災において、赤ちゃんファーストで早期に供給することが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都立上野恩賜公園の機能についてお伺いします。
 国立西洋美術館の世界文化遺産登録の決定、上野動物園のパンダの赤ちゃんシャンシャンの誕生、そして東京二〇二〇大会での文化プログラムの拠点となる上野恩賜公園は、国内外からの年間来場者数が約一千六百万人を超え、東京を代表とする文化観光エリアとなっております。
 さらに、上野公園を中心に、上野かいわいや下町情緒が残る谷中、根津、千駄木への来訪者も加えると年間約三千万人にも上り、おもてなしが大きなテーマとなっています。
 都では、これらのエリアに訪れる旅行者に対し、デジタルサイネージなどの整備に取り組むと同時に、公園の整備も進み、歩行者動線などは確保されてきております一方で、上野公園グランドデザイン検討会報告書によると、数ある上野公園の課題として、利用者への情報発信が不十分とされております。さらに増加する国内外からの来訪者にしっかりと対応するためにも、国際観光情報センターのような情報拠点機能は必要不可欠と考えます。
 現状として、公園管理者である都は、これまでも無料Wi-Fiなどの情報入手のための環境整備などを実施しておりますが、まだ十分とはいえません。
 来訪者全体を考慮した、さらなる情報発信とその環境整備が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 首都直下型地震クラスが発生した場合、上野恩賜公園を含む上野駅周辺では、台東区の上野駅周辺滞留者対策推進協議会がまとめた上野駅周辺エリア防災計画によると、約十一万人の滞留者が発生するといわれています。
 特にターミナル駅である上野駅を中心に、東京地下鉄、京成上野駅の一日の平均利用者が六十万人を超える状況で、人的被害が集中し、避難時の混乱、情報の錯綜、一時滞在施設における受け入れ不足、水、トイレの不足なども懸念されております。
 なお、上野恩賜公園は、周辺地域の住民にとっての広域避難場所でもあることから、防災公園としての役割は大変重要であり、膨大な数の帰宅困難者や避難者を守るためには、備蓄や本部機能を備えた防災センターの整備を検討する必要もあると考えます。
 現状の防災設備は、応急給水槽や防災トイレなどはありますが、非常用発電設備がない上、防災設備は山上に集中し、山下の不忍池周辺は十分でないという課題もあり、今後は上野恩賜公園の防災機能のさらなる強化がテーマとなってきます。
 そこで、都のパークマネジメントマスタープランにも提起されています地元自治体や関連機関と連携した防災訓練などの充実や、避難場所機能、通信、放送機能、情報提供機能などといった災害対応力を早急に強化していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、産業振興について伺います。
 東京には、世界に誇ることのできる製造業の高い技術があり、さまざまな基礎的な技術によって、数々のすぐれた工業製品が生み出されてきました。
 特にメッキ加工の技術は、航空機、自動車、携帯電話、アクセサリーなど幅広い製品に不可欠な技術となっており、こうした力を持つ都内の中小企業の維持と発展を図ることは、都政として重要な役割であります。
 メッキ加工を初めとする基礎技術を担う会社は、小規模な場合が多く、国際的な競争にさらされるなど、経営の環境は非常に厳しい状況が続いております。個々の企業でも問題の解決に向けて、創意工夫、自助努力を積み重ねてはいるものの、行政と連携して困難の解決を目指すことは、業界団体の切実な要望ともなっております。
 特に、メッキなどの分野は、技術力を生かし生産性を高めるため、設備の更新が重要となっておりますが、資金的にも中小零細の企業では容易ではないのが現実であります。
 また、工場が立地する周囲と折り合いをつけながら稼働するための、ハード面での整備も欠かせません。東京の製造業を支えるための技術の活性化には設備投資などをしっかり行えるよう、都としても支援を進めるべきだと考えます。
 都として、メッキなどの基礎技術を持つ中小企業を支え、その活性化を通じて東京の産業発展につなげていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 保坂まさひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、メッキ加工等の都内製造業への支援についてお答えさせていただきます。
 メッキを初めとする基盤技術を持つ中小零細の町工場がすぐれた力を十分に発揮して、さまざまな部品を加工することによってレベルの高い工業製品が生み出されている、そのことはご指摘のとおりであります。
 東京の中小零細の製造業が、人材や資金に制約の多い中で、将来に向けて存続してさらに発展する、そのためには、より付加価値の高い生産品を効率的に供給する設備投資をしっかり行うことが大切であります。
 その一方で、地域社会との間で、騒音、振動などのほか、排水などによって環境面の影響が生じることのないように、配慮の行き届いた施設や装置を備える必要がございます。
 このため、生産性の向上を図りながら、同時に地域の暮らしや環境との調和を目指していく設備投資に対しまして、ものづくり企業の資金負担を軽減する助成の充実を図ってまいります。
 これによりまして、東京の基盤技術を守って産業の発展に結びつけていく所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、平昌大会における運営面での確認についてでありますが、平昌大会は、輸送やボランティアなどの運営について最新の状況を確認し、大会準備に反映させる上で貴重な機会でございます。このため、IOC、IPCなどが現地で開催するオブザーバープログラムに、組織委員会とともに職員を派遣し、実際の大会運営に係る知見を習得するとともに、IOCやIPCと意見交換を行ってまいります。
 とりわけ、パラリンピックにつきましては、会場のアクセシビリティー、ボランティアによる障害者対応、円滑なパラリンピックへの移行など、現地での対応状況や課題を確認する予定でございます。
 さらに、平昌大会の終了後には、IPCとの間で行われるワークショップ等の機会を通じ、得られた成果を最大限活用して、二〇二〇年大会の準備を着実に進めてまいります。
 次に、平昌大会における東京二〇二〇ジャパンハウスについてでございますが、平昌大会にはリオ大会と同様に世界中のメディアや観戦客等が訪れることから、この機を捉えて、世界に次は東京の番だと発信をしていくことは重要であります。
 このため、都は、組織委員会と共同で、アイスアリーナ等の競技会場が集中する江陵オリンピックパーク内に、東京二〇二〇ジャパンハウスを開設いたします。冬季大会の規模を踏まえ、実施内容を十分に精査し、費用対効果の高い運営を行ってまいります。
 具体的には、大会や開催都市東京の魅力のPRに加え、みんなのメダルプロジェクトや復興オリンピック・パラリンピック等の取り組みもしっかりとアピールをしていきます。
 ジャパンハウス等を通じて、二〇二〇年大会に対する世界の関心を高め、大会に向けた機運醸成を図ってまいります。
 最後に、平昌大会を契機としたパラリンピック競技のPRについてでありますが、都は、二〇二〇年大会のパラリンピック会場を満員にすることを目指しまして、パラリンピック競技体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEを初め、さまざまなイベントや取り組みを通じまして、競技の体験やPRに力を入れてまいりました。
 平昌大会の際には、大会への関心が高まる機を捉えまして、都内及び被災県でライブサイトを実施いたします。ライブサイトでは、競技の中継を行うとともに、二〇二〇年大会で実施されるパラリンピック競技の体験やパラリンピアンのトークショー等を通じまして、来場者に競技の迫力やおもしろさを体感していただきます。
 こうした取り組みにより、パラリンピック競技や大会を身近に感じ、一緒に盛り上げていこうという機運を醸成し、大会の成功につなげてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 熊本地震の教訓と防災対策への反映についてですが、都は、熊本地震への支援を通じ、より甚大な被害が想定される首都直下地震等においても共通の状況が発生するとの認識に立ち、防災対策の実効性向上のための課題等を取りまとめてまいりました。
 避難所運営についても、要配慮者を想定したプライバシー等の確保、女性や子育て世帯など多様な主体の参画、支援物資の準備等、その必要性が確認されております。
 これらを踏まえ、都は、防災市民組織リーダー育成研修の内容充実や新たな防災ブックの作成等、防災対策に要配慮者や女性の視点が反映されるよう取り組んでおります。
 今後とも、熊本地震で得られた教訓を庁内で共有しつつ、組織全体の取り組みへの反映を図ることにより、都の防災力の一層の強化に努めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 乳児用液体ミルクに関するご質問にお答えをいたします。
 乳児用液体ミルクは、常温保存が可能で、調乳せずに容器から直接飲むことができ、災害時に非常に有用でございますが、現在我が国では法令上の位置づけがなく、規格基準及び表示許可基準もないため、乳児用と明記して国内での製造、販売や輸入品の販売はできないこととなっております。
 また、海外製品を一般の乳飲料として輸入する場合にも、検疫所での手続やコストなど多くの課題がございます。
 そのため、都は昨年度から、規格基準等の整備を速やかに行うよう、国に対し提案要求しており、九都県市首脳会議を通じても同様の要望を行っております。
 国は、乳児用液体ミルクを国内で製造や販売ができるよう、規格基準等の整備について検討を始めており、都は今後とも提案要求を行ってまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、上野恩賜公園における情報発信等についてでございますが、国内外から多くの来園者を迎える本公園では、園内情報や観光情報等を誰もが容易に得られる環境を整備することが重要でございます。
 これまで、インフォメーションセンターや総合案内板により、園内案内や文化施設の催事情報等を来園者に対して提供してまいりました。また、ホームページやSNSにより園内の情報を広く発信するとともに、Wi-Fiアンテナを四カ所設置し、通信環境を整備してまいりました。
 今後は、案内サインの多言語化やピクトグラムの表記によるわかりやすい情報提供を進めるとともに、Wi-Fiアンテナを増設し、通信環境を改善してまいります。
 引き続き、文化施設や地元区と連携いたしまして積極的な情報発信等に努め、来園者の利便性のさらなる向上を図ってまいります。
 次に、上野恩賜公園の災害対応力の強化についてでございますが、都立公園は、都民の貴重なオープンスペースであり、避難や救出救助活動の拠点として、発災時には重要な役割を担うこととなります。
 本公園は、東京都地域防災計画におきまして避難場所等に位置づけられておりまして、都はこれまで、円滑な避難のために必要な入り口表示灯や地下ピットを備え、断水した場合にも使用できる防災トイレ等を整備してまいりました。
 今後は、公園灯や管理所を停電時にも機能させる非常用発電や蓄電池の設置、避難者等に情報を提供するデジタルサイネージを計画的に整備することとしております。
 引き続き、こうした施設整備とあわせ、地元区や関係機関と連携いたしまして、避難者等の誘導訓練を実施するなど、上野恩賜公園の災害対応力のさらなる向上を図ってまいります。

○議長(尾崎大介君) 二十四番村松一希君
〔二十四番村松一希君登壇〕

○二十四番(村松一希君) まず初めに、工業団体を通じた製造業への支援について伺います。
 東京の製造業は、地域で生産活動を行う数々の町工場によって支えられており、各地の工業団体を通じて町工場を支援していくことは効果的と考えます。中小の町工場の事業継続に向けた経営能力の引き上げや、ものづくりに不可欠な技術力や人材の確保は、個々の企業だけで進めようとしても限界があり、工業団体は頼りになる存在であります。
 こうした状況を受け、工業団体もさまざまな支援を行っておりますが、状況の変化に応じ、柔軟に対応を行うとともに、事情が異なる企業のニーズを幅広く受けとめる姿勢こそが不可欠であります。
 これまで工業団体は、都からの補助により、さまざまな中小製造業支援を進めてきましたが、事業の利用者に役立っているかをしっかりと検証していただくことも大切な視点であります。
 製造業のこれからの発展に寄与できるよう、工業団体による支援を都としてどのように進めていくべきとお考えか、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、首都直下地震における緊急輸送支援システムの再構築についてお伺いいたします。
 首都直下地震は、今後三十年以内に七〇%の確率で起こるとされており、一たび起きればその被害は甚大であります。都民の生命、財産を守る上で、防災、減災に向けた対策は都政の最重要課題の一つといえます。
 こうした中、現在、圏央道周辺に、災害時避難場所の機能を有した広域防災拠点として集荷集積施設を新たに建設し、関東各県のトラック協会が広域応援協定を締結することで、首都直下地震発生時における協力体制の整備が検討されております。
 災害発生時、被災者の方々の支えとなるのは、困難な状況にしっかりと目配りをしたきめ細かな対策であり、避難所における緊急支援物資の供給を支える物流機能の確保は大変重要であります。
 そのため、東京都民の生命を守るという公共性や公益性の観点から、こうした取り組みについて都が積極的に支援を行っていくべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、公共交通の充実について伺います。
 知事は、所信表明の中で、世界の都市間競争に打ち勝つ、都民の皆様が好景気を実感できる、そのための成長を生み続けるスマートシティーの実現に向けて、成長戦略を力強く展開していくとおっしゃっておられました。その政策を進める一つとして、公共交通の充実があると考えます。
 一般財団法人森記念財団都市戦略研究所の調査によれば、世界四十四都市の中の都市総合力の一位はロンドン、二位ニューヨークに次いで、日本は三位ということです。交通アクセスも大きなファクターとなっており、一位はパリ、二位ロンドン、東京は六位となっております。
 昨年の都に訪れた観光客数は過去最高の一千三百十万人となっており、国の方針でも、観光客誘致が掲げられております。東京二〇二〇大会に向けても、さらなる観光客数の増加が見込まれます。観光客の評価としても、公共交通はチェックポイントとなり、他大都市と比較されるところです。さらに、少子高齢化が進み、マイカー利用者が減ることで、より公共交通の需要はふえるものと考えられます。もちろん、CO2削減にもつながる政策であります。
 昨年四月、国の交通政策審議会の答申では、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について、空港へのアクセス向上、混雑の緩和、バリアフリー化などの視点を踏まえ、国際競争力の強化に資するプロジェクトや鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトなどが示されております。
 答申に示された鉄道新線のプロジェクトについて、自治体や事業者と着実に協議を進め、公共交通の充実を図っていただきたいと思いますが、都のご所見をお伺いいたします。
 さらに、都が取りまとめた広域交通ネットワーク計画についての中で、整備について優先的に検討すべき路線とした六路線の中で、大江戸線の大泉学園町への延伸は最も取り組みやすい路線であると考えており、早期に事業化すべきという観点から伺わせていただきます。
 都営大江戸線は、現在光が丘駅が終点ですが、大泉学園町への延伸について、昭和六十年の運輸政策審議会第七号答申で整備することが適当とされ、平成十二年の運輸政策審議会第十八号答申では、平成二十七年度までに整備着手することが適当である路線に位置づけられておりました。
 また、昨年、平成二十八年四月の交通政策審議会が示した答申においては、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義があり、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトと位置づけられております。
 都営大江戸線の延伸は、昭和六十年の運輸政策審議会第七号答申から三十年以上にわたる練馬区民の悲願であり、交通空白地域の改善や地域の活性化に大きく貢献する路線であります。
 交通局ではこれまでも、大江戸線の延伸に向けた検討を行っていると聞いております。先日の公営企業委員会事務事業質疑の中で、収支採算性の確保に課題があり、具体的な検討が必要とご答弁をいただきました。
 練馬区は、大江戸線延伸地域の活性化策として、本年四月一日に、ねりま健育会病院をオープンさせるなど、地元町会、商店会が連携をし、さらなるまちづくりを進めていると聞いております。また、区民、区議会、区で大江戸線延伸促進期成同盟を組織し、要請活動や啓発活動などの促進活動に取り組んでこられました。
 先月十一月十六日には、大江戸線延伸促進期成同盟と練馬区の経済、産業界や地域を代表する八つの団体で組織する大江戸線延伸推進会議が協力して行う初めての事業として大江戸線延伸フォーラムを開催するなど、延伸に向けた機運はどんどん高まっております。
 導入空間である補助二三〇号線の建設が進んでおり、駅の位置イメージもあります。早期の事業化を目指し、地元自治体である練馬区とより密に連携をし、大江戸線延伸実現に向けた検討を進めるべきと考えますが、交通局の見解を伺います。
 次に、教育委員会の取り組みについて伺います。
 グローバル化が進む中で、国際社会に通用する人材をいかに育てるか。そして、社会生活が多様化、また激変する中で、より柔軟に考え行動できる、まさに学習指導要領で示された生きる力を伸ばす教育が重要であります。
 社会で求められる人材とはどんな人材でしょうか。バブル経済の崩壊以降、我が国経済が長期の低迷を続ける中で、我が国の産業、就業構造も急速な変貌を遂げています。多くの企業が生き残りをかけて、経営の合理化と事業の再編成を目指す企業再構築、リストラクチャリングを推し進める中で、年功賃金や終身雇用など従来型の日本的雇用慣行は揺らぎ、また、即戦力となる専門知識や技能を持つ人材を求める傾向が強まり、従来型の新卒一括採用制度も変わり始めています。
 また、大学入試の方法も、平成三十二年度から大学入試センター試験は大学入学共通テストにかわり、記述式が取り入れられるように変わるとされています。
 都立高校において、これからの時代を担う生徒に必要な資質、能力の育成が重要と考えます。都教育委員会のご所見をお伺いいたします。
 今までの、教員が一方的に教え、生徒は覚えるだけの教育から、みずから考え、意見をいえる人材を育てるためには、授業の指導方法も変えていかなければなりません。
 最近は、授業の手法としてアクティブラーニングがよく取り上げられます。平成二十六年十一月の中教審への諮問の中では、高校におけるアクティブラーニングについて言及されました。その中では、高等学校教育については、課題の発見と解決に向けた主体的、協働的な学習指導方法であるアクティブラーニングへの飛躍的充実を図ると述べられております。
 これからの日本で、世界で活躍する人材を育成するためには、時代の流れに合わせた教育改革が必要であります。都立高校において、アクティブラーニングを推進できるようにするための都教育委員会の取り組みをお伺いいたします。
 国際社会の中で活躍する人材を育成するために、外国語が重要であるということはいうまでもありません。しかしながら、今までの外国語というと、多くの学校では読み書きが中心で、中学、高校と英語を学び、大学生で英会話ができるレベルになることは難しいと思います。しかし、本来の外国語の授業は、会話ができることをゴールにカリキュラムを設定するべきと考えております。
 学習指導要領にも目標として、高校では、外国語を通じて言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や考えなどを的確に理解したり、適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うと書かれておりますが、その目標を達成するためには授業の改善がさらに必要と感じます。
 スピーキング力も含めた英語力を客観的に把握するには、英検等の資格、検定試験を利用することが効果的と考えます。さらに、大学入試でも、資格、検定試験を利用することが検討されております。
 都立高校において、外部機関の資格、検定試験を活用し、生徒の英語力を一層伸ばしていく取り組みを推進していくことが重要だと考えます。都教育委員会のご所見を伺います。
 教員の語学力向上とともに指導力向上も求められております。小中学校でも、外国語を母国語とする外国人講師、ALTの配置が進んでおります。ネーティブな発音を学ぶことができ、非常に有用と感じます。
 都立高校では、JETプログラムによる招致事業を活用し、ALTとしての配置と指導改善に取り組んでいると聞いております。
 都立高校における外国人指導者を活用した生徒の英語による会話力を伸ばすための取り組みについてお伺いいたします。
 さらに、英語でのコミュニケーション力を高めるには、授業の充実に加え、実践的な場で英語を活用し、考え、話す力を鍛えることが重要であります。そして、小学校からの取り組みも重要と考えます。幼少期にネーティブな英語に触れる機会や英会話を楽しむことを覚えることで、学年が上がるごとに、さらに英語力が上がることが期待されます。
 小学生からの実践の場として期待されるのが、来年九月に開設される東京都の英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGであります。学校だけでは難しい英会話の実践の場として、小学生から高校生までさまざまなレベルに応じたプログラムがあり、海外に行かずとも、ホテルやレストランなどのシチュエーションに合わせた英会話学習ができるということで大変期待をしております。
 TGGにおける児童生徒が主体的に考えながら英語を話す力を伸ばすための取り組みについてお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 村松一希議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、工業団体を通じた製造業への支援についてのご質問がございました。
 都内のものづくり企業は、高度な技術力を持って地域の経済、そして雇用を支え、東京の産業活動の中で欠かせない存在となっております。
 ものづくり企業の多くは、中小零細の規模でございます。国内外の企業との間で、品質と価格の両面から激しい競争に直面をし、また、次世代の経営者や技術の新たな担い手の確保に問題を抱えるなど、個々の経営者の努力だけでは対応できない状況が広がっております。
 こうした中で、企業が連携して製品の競争力を高めて、経営基盤の維持強化を図るために、地域の工業団体の果たす役割は大きいものと思います。
 都におきましては、各地の工業団体の連合組織を通じて、さまざまな企業に対して新たな製品の開発や経営力の向上を下支えするほか、それぞれの団体による技術承継の取り組みなどを支援してまいりました。
 製造業を取り巻く環境の変化は速い、そして、課題の解決に向けた支援のニーズを確実に見通すことも難しゅうございます。
 そのため、都内各地域のものづくりの現状を幅広く把握している工業団体の連合組織の力が効果的に発揮できるように施策を改めて見直しまして、個別企業にとって真に必要とされるサポートに結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、災害時の広域的な物資輸送についてのご質問でございます。
 都はこれまで、大規模災害時に支援物資の受け入れや区市町村の拠点への積みかえ、配送等を行うために、公共トラックターミナルやコンテナふ頭などを広域輸送拠点とする体制を整備してまいりました。
 一方で、圏央道の整備が進んできておりまして、災害時に緊急物資の輸送を円滑に行っていくためには、こうした広域的な都市インフラを一層生かしていくことが効果的でございます。
 昨年の熊本地震では、民間物流施設が物資輸送拠点として活用されまして、事業者や自衛隊の協力を得て物資輸送が行われたのも記憶に新しいところでございます。
 被災者に必要な物資を円滑に届けるために、物流事業者を初め多様な主体が連携をして、民間の物流施設も活用しながら相互協力を行っていくことは重要でございます。
 こうした観点に立ちまして、民間事業者が主体的に行う広域応援体制の整備に対しましても、今後、その支援のあり方を検討してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、交通局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、生徒に必要な資質、能力の育成についてでございますが、変化の激しい時代を担う生徒には、主体的に課題を発見し解決する能力、既存の概念にとらわれない発想力や企画力など、一人一人が社会的に自立し、未来を切り開いていく力を育成することが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、学校が育成すべき生徒の資質、能力を明確にし、教育活動全体の指導計画の改善充実を図ることができるよう、今年度、カリキュラムマネジメント推進校を指定いたしました。
 今後、推進校の成果を踏まえ、全管理職対象の説明会を開催し、カリキュラムマネジメントの意義について周知を図るとともに、各校が次代を担う生徒に必要な資質、能力の育成を具現化する実行プランを作成できるようにするなど、全都立高校の取り組みを支援してまいります。
 次に、アクティブラーニングの推進についてでありますが、生徒の思考力、判断力、表現力等を育成するためには、生徒が主体的に考察し、他の生徒や教員等と対話をして考えを深めたり広げたりするアクティブラーニングの視点からの授業改善を図ることが重要でございます。
 これまで都教育委員会は、アクティブラーニング推進校三十校を指定し、それらの学校における授業の映像をおさめたDVDや成果をまとめた報告書を全都立高校に配布するとともに、各校の教員を対象として、推進校のすぐれた事例を紹介する報告会を開催してまいりました。
 今後、これらの取り組みをもとに、全都立高校で実施している校内研修や公開授業等において指導助言を行うなどして、全教員がアクティブラーニングの視点からの授業改善を一層図ることができるよう支援をしてまいります。
 次に、検定試験等を活用した英語教育についてでありますが、生徒の英語力を向上させるためには、聞く、話す、読む、書くの四技能をバランスよく指導するとともに、適切に評価する必要があることから、教員による評価に加え、外部機関の資格、検定試験により、客観的、相対的な到達度を把握することが有効でございます。
 そのため、都教育委員会は、東京グローバル10及び英語教育推進校の合わせて五十校において、各校の指定する学年の生徒全員が四技能の資格、検定試験を受験できるよう支援しております。
 今後も、こうした資格、検定試験を活用することで、生徒に目標を持たせ、学習意欲を高めるとともに、各校における試験結果の分析に基づく授業改善を一層促進することにより、生徒の英語力をさらに伸長させてまいります。
 次に、英語の会話力を伸ばす教育の充実についてでございますが、英語で聞く、話す能力を伸長するには、外国人と直接英語を使ってコミュニケーションを図る経験をふやしていくことが有効でございます。
 このため、都教育委員会は、全ての都立高校等にJET青年などの外国人指導者を配置し、生徒が三年間を通して、授業中に外国人から指導を受けられる環境を整備しております。
 また、一部の都立高校では、インターネットを通じて海外の外国人指導者と直接会話できるオンライン英会話や、授業以外でもJET青年と時事問題や身近な話題のディスカッションを行うプロジェクトを実施するなどして、体験的に英語を使う場面を拡充しております。
 今後とも、外国人指導者の積極的な活用により、生徒の英語による会話力を一層伸長させてまいります。
 最後に、TOKYO GLOBAL GATEWAY、略してTGGにおける取り組みについてでございますが、TGGでは、児童生徒が主体的に考え、自分の意見を英語で話すことができるようさまざまな工夫を凝らした、体験的で実践的な活動を提供してまいります。
 具体的には、児童生徒六人から八人の少人数グループに一人のネーティブスピーカーが常に付き添い、児童生徒にみずから考えさせ、意見を引き出すようサポートいたします。また、児童生徒にとって興味、関心のある題材を発達段階や習熟度に応じて展開し、英語で話し合うことによって課題を解決していく手法を活用してまいります。
 都教育委員会は、児童生徒がTGGでの活動を通じ、将来グローバル社会で臆することなく英語でコミュニケーションを図ることができる力を身につけられるよう、来年九月の開設に向けて着実に準備を進めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 公共交通の充実についてでございます。
 人や物の交流を促し、持続的な成長を実現するには、東京の強みである鉄道を生かし、これを充実させていくことが重要でございます。
 国の答申では、国際競争力の強化や質の高い鉄道サービスの実現などに向けたプロジェクトが示され、このうち、羽田空港アクセス線など六路線が事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされてございます。
 昨年度から、これらの路線について、鉄道事業者や地元区市など関係者とも連携して、採算性や事業主体の確立、費用負担のあり方についての合意形成などの課題について検討を行ってございます。
 引き続き、関係者とともに、こうした課題の解決に努め、鉄道ネットワークのさらなる充実に取り組んでまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 大江戸線の延伸についてでございますが、交通局では、国の答申等を踏まえ、地元区や都の関係局と連携して事業化に関する検討を進めてございます。
 その中で、事業化に向けた課題といたしまして、地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネルの構造の検討、延伸に必要な車両の留置施設の整備、収支採算性の確保等が必要であるとの認識を共有してございます。
 とりわけ収支採算性につきましては、沿線まちづくりの状況を反映した需要予測等を踏まえ検討を実施しておりますが、さらなる輸送需要の確保に向け、具体的なまちづくりに関するより一層の検討を地元区において進めていく必要があると考えております。
 今後とも、地元区や関係局と連携し、事業化について引き続き検討してまいります。

○議長(尾崎大介君) 十八番小林健二君。
〔十八番小林健二君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十八番(小林健二君) 初めに、都市農業について質問します。
 先日、私の地元練馬区で恒例となっている練馬大根引っこ抜き競技大会が開催されました。三分間で一人一本の練馬大根を何人が引き抜けるかの世界記録に挑戦するイベントも実施され、私も参加いたしましたが、見事、四百九十二人でギネス世界記録に認定されました。二〇一九年に練馬区が主体となって開催を予定している世界都市農業サミットを前に、都市農業を大きくアピールする機会となりました。
 ロンドンやニューヨークなど、世界各都市において農業への関心が高まる中、多くの農地が存在し、農業が息づいている東京は、世界に向けて都市における農業の魅力を発信していく重要な使命があると考えます。
 国内外に向けた東京の都市農業の魅力発信について、知事の所見を求めます。
 続いて、東京の都市農業振興に向けて二点質問します。
 一つ目は、東京の農産物の活用であります。
 東京産の農産物を広くアピールし、都市農業の魅力を発信していく重要な契機は二〇二〇年の東京五輪であります。そのために取り組まなければならない課題が、品質や安全性などの一定基準を満たした農作物に認められる規格、グッド・アグリカルチュラル・プラクティス、通称GAPの取得であります。大会中に選手などに提供される食材は、調達基準をクリアするGAPの取得が必須になっております。
 しかし、国際認証などのグローバルGAPやJGAPは、取得の際の費用や要する時間、また、取得後定期的に審査が必要などの負担が大きく、取得に取り組む農業者が少ない現状であり、都内の取得数は数件にとどまっていると聞いております。
 こうした状況を踏まえ、東京の都市農業をさらに発展させていくためにも、都市農業の特徴を生かし、東京の実情に合ったGAPを整え、GAPの認証取得を加速していくべきと考えます。見解を求めます。
 また、農業者のGAP取得を推進し、東京五輪の後もGAPを取得した農産物の消費拡大を進めていくためには、GAPの意義を広く都民が理解することも重要です。今後、都民への普及啓発にも取り組んでいただくことを要望いたします。
 二つ目は、農業と観光の連携であります。
 都では、東京の農林水産業の魅力を国内外に発信するためのウエブサイト、TOKYO GROWNを開設し、食べる、体験する、学ぶ、働くといった情報を発信していますが、サイト情報量をさらに充実させ、また、都市整備局が指定を進めている農の風景育成地区を紹介し、農業のある風景を楽しんでもらうなど、観光客誘致のために観光の視点を持った都市農業の取り組みを一層推進し、国内外に発信していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、スポーツ振興について三点質問します。
 初めに、障害者アスリートへの支援についてです。
 私は先日、聴覚障害がある中、空手に取り組んでいる全日本ろう者空手道連盟の会長でご自身もろう者である高橋朋子さんにお会いし、意見交換をいたしました。聴覚障害者のスポーツにおいて、柔道や二〇二〇年東京五輪で正式種目に決定した空手などの武道は、まだまだ普及振興に課題があるとのことでした。
 空手でいえば、聴覚障害のため、勝負始めなどの審判員の声が聞こえなかったり、演武する形の名前を声に出して発することができません。空手界では、音声による申告がルール化されており、手話による申告が認められていないため、ろう者の選手たちが大会に出られる機会が少ないのが現状とのことです。こうした課題を乗り越えるために、高橋会長は音声を見えるようにできる設備を整えた空手道大会を開催すべく準備を進めております。
 障害の種別はさまざまありますが、より多くの障害者がより多くの競技種目に挑戦できるよう取り組んでいくことが重要です。身体的な障害で必要な情報を得ることが困難な障害者アスリートに対し、代替手段を用いて情報を提供し、健常者とともに同じ競技ができるようにするなど、障害者スポーツの裾野を広げていくために情報保障の充実に取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 二点目は、パラリンピック観戦への輸送支援であります。
 二〇二〇年東京パラリンピックの成功のためには、どれだけ多くの方々にパラリンピック競技を観戦し、熱い声援と拍手を送っていただけるかが重要であります。
 そのためには、健常者の方とともに、障害者の方も会場に足を運び、ともに観戦できる環境づくりを進めていく必要があります。会場周辺の公共交通などのハード面でのバリアフリー化の取り組みを着実に推進しながら、障害者の方が来場しやすくなるような利便性を高めるソフト面での支援策を検討していくべきと考えます。見解を求めます。
 三点目は、地域においてスポーツができる場所の確保であります。
 都では、都民のスポーツ実施率七〇%達成を目標に取り組んでいますが、二年ごとに行われる都民のスポーツ活動・パラリンピックに関する世論調査において、スポーツ実施率は、平成二十六年調査で六〇・五%であったものが、平成二十八年には五六・三%と四・二ポイント減少しております。
 東京都スポーツ推進計画の基本理念では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめるスポーツ都市東京の実現をうたっておりますが、そのための大事な視点の一つが、どこでもスポーツや運動を気軽にできる場所の確保であります。
 例えば、都有地の活用などを図ることも重要ですが、区市町村との連携や民間に協力をいただくなど、都も主体的に身近な地域で運動ができる場所の確保に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、若者の健康増進について質問します。
 本年初頭、公明党の青年党員の皆様とともに、東京ボイス・アクションと銘打ち、若者の声を都政に反映させるための政策アンケートを街頭で実施いたしました。約二十四万人の方々にアンケートのご協力をいただきましたが、要望の多かった政策の一つに、手軽に受けられるがん検診、健康診断を求める声があり、若者の健康に対する関心の高さがわかりました。
 超高齢社会において、ご年配の方の健康増進はもちろんのこと、健康で年を重ねていくためには、若い世代から健康に関心を向け、健康増進に取り組んでいく必要があると考えます。
 福祉保健局では、第二次東京都健康推進プラン21を策定していますが、その中で、ライフステージを通じた取り組みにおいて、青壮年期については、ロコモティブシンドロームと認知機能障害の予防についてのみ触れられています。このプランの中間評価を明年に控え、手軽に健康診断できるようにする取り組みなど、さらに若者世代への健康づくりを推進していくべきであります。
 また、教育庁では、都立学校における健康づくり推進プランを策定し、健康づくりに取り組んでいますが、教育現場においても、児童生徒への健康づくりを充実させていく必要があると考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、難病対策について質問します。
 私と同世代の男性で、八歳のときに突発性血小板減少性紫斑病という、出血すると血がとまらなくなる難病と診断された方からご相談をいただきました。この病気は指定難病のため医療費助成を受けていましたが、三十歳のときに受けた診察で、血がとまらなくなるという症状は同じものの、ベルナール・スーリエ症候群という別の疾患であることが判明いたしました。
 しかし、この疾患は指定難病ではなく、医療費助成の対象になっていないため、今まで受けていた助成が突然受けられなくなり、出血した際の医療費の負担が重くのしかかっているとのことでありました。
 平成二十六年に、難病の患者に対する医療等に関する法律、いわゆる難病法が成立し、多くの疾病が対象として追加されてきていますが、ベルナール・スーリエ症候群については、客観的な診断基準が確立していないとのことで、いまだ指定が見送られている状況であります。
 難病法においては、難病の研究の推進は国の役割であると定めており、研究が進むことによって指定難病の要件を満たす疾病がふえていくと考えられます。難病支援について、先駆的な役割を果たしてきた東京都として、難病の研究をより一層推進するよう、さらに強く国に対し要請していくべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、練馬区にある都立公園の活用について質問します。
 初めに、石神井公園についてです。
 石神井公園は、石神井池と三宝寺池の二つの大きな池を擁し、生物多様性にも取り組んでおり、休日ともなると親子連れで水中生物を観察している光景も多く見られます。私のもとには、こうしたさまざまな生物が生息する石神井公園の自然環境の保全を求める声も多く寄せられています。
 井の頭恩賜公園では、平成二十五年度より、本年の開園百周年を目指し、井の頭池で、池の水を抜いて土砂や外来魚を駆除するかい掘りを進め、水質の改善と生態系の回復に取り組んできましたが、石神井公園においても自然豊かな公園の特徴をさらに高めていく必要があると考えます。
 明後年二〇一九年は、石神井公園開園六十周年の佳節でもあり、例えば、池のかい掘りを検討するなど生物多様性の取り組みをさらに推進していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、大泉中央公園についてです。
 大泉中央公園の目の前には、二〇二〇年東京五輪で射撃競技会場となる陸上自衛隊朝霞訓練場があり、身近な場所での競技開催に地域の皆様の関心も高くなってきております。
 平成二十七年に策定された大泉中央公園マネジメントプランでは、スポーツによる健康づくりの場となる都立公園を目標に掲げておりますが、東京五輪の競技会場が目の前という立地の利点を生かしていくべきであります。
 二〇二〇年は、大泉中央公園開園三十周年の節目でもあり、大泉中央公園を活用して、地域の皆様と連携して、東京五輪への機運醸成を図り、さらなるスポーツ振興の取り組みを進めていくべきと考えます。見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小林健二議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、東京の都市農業の魅力の発信についてお答えをさせていただきます。
 東京では、農業者の日々の努力によりまして、野菜、果樹を初め、新鮮で多種多様なすばらしい農作物が供給されて、都民の食卓に四季折々の彩りを加えております。世界有数の大都市でありながら、農業、農地がしっかりと引き継がれていることは、東京の都市としての魅力を際立たせております。
 先日、私は日本を代表する料理専門家であります服部幸應さん、三國清三さんも交えまして、練馬区の田柄、地元の小学生とともに、江戸東京野菜の象徴ともいえます練馬大根の種まきもしてまいりました。
 次の世代を担う子供たちに東京の農業を体験してもらって、自然と大地の恵みで生きているということを知ってほしい、そして、都市農業の魅力とともに、今後も東京の農業と緑を守っていくという決意をみずから先頭に立って発信していきたい、そんな思いを込めて行ったものでございます。
 今後、江戸東京野菜のブランド化を推進するとともに、加工品の開発など六次産業化に取り組む女性農業者等を後押しすることに加えまして、超高齢社会を迎える中で、シニア世代の農業への参画を促す仕組みを構築するなど、東京の都市農業の潜在力を引き出して、そのさらなる成長への期待と魅力を高めてまいりたいと考えております。
 このように、豊かな都民生活を支え、成長の可能性を秘めました東京の都市農業の魅力を、ご指摘のように、二〇二〇年大会等を契機にいたしまして国内外に発信する、そのことによって、大都市の中で営まれます農業の存在価値に対する理解を促進していくとともに、将来にわたって持続的に成長する活力あふれた都市農業を実現してまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立学校の児童生徒の健康づくりについてでございますが、学齢期は生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、児童生徒一人一人がみずからの健康を管理していくなどの実践力を養うことは極めて重要でございます。
 このため、都立学校では、保健体育の授業等において、生活習慣病とその予防などの健康教育を実施しております。
 また、平成二十六年三月に策定した都立学校における健康づくり推進プランに基づき、生活習慣病などの健康課題に関する研修等を行い、教員の指導力の向上を図っております。
 加えて、学校医、保護者、都民等を参加対象とした健康づくりフォーラムの開催など、家庭と地域が一体となった学齢期からの健康づくりの必要性などについて啓発を行っているところでございます。
 今後とも、児童生徒の健康づくりの充実に向けた取り組みを推進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、GAPの認証取得に向けた取り組みについてでございますが、二〇二〇年大会とその先を見据え、農業者の経営力を強化し、持続可能な農業を実現するためにはGAPの認証取得を促進することが重要でございます。
 このため、都は、国際認証等の取得の意義や取得方法等に関する研修会を開催いたしますとともに、コンサルタントの派遣や審査経費に対する支援等を行っています。
 今後は、こうした取り組みに加え、より多くの農業者が認証を取得できるよう、年度内に大都市の中で営まれる東京農業の特徴を加味した基準を設け、農業者の負担にも配慮した東京都GAP制度を構築し、その導入メリット等に関する説明会を都内各地で開催してまいります。
 こうした取り組みにより、GAPの認証取得を加速させ、持続可能な東京農業を実現してまいります。
 次に、観光の視点を持った都市農業の推進についてでございますが、国内外から多くの観光客が訪れる東京のメリットを生かし、観光の視点を農業経営に取り入れることは、農業者の収益力向上に資するとともに、東京の都市農業をPRする上でも効果的でございます。
 このため、都は、ブルーベリーやイチゴなどの摘み取りを体験できる観光農園の整備支援を行うほか、ウエブサイト、TOKYO GROWNにより、東京の農林水産業の情報を発信いたしますとともに、観光情報誌を活用し、観光農園や東京の食材を扱う飲食店等の情報を提供しているところでございます。
 今後は、議員お話しの本サイトにおきまして、東京の特産物等の情報の充実を図りますとともに、増加する外国人旅行者向けに情報誌の多言語化を行うなど、観光客等に向けたPRを強化し、都市農業の一層の振興を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、障害者スポーツにおけます情報バリアフリーの取り組みについてであります。
 障害者が快適かつ安全にスポーツを行うためには、競技実施や施設利用に当たり、障害の特性に応じまして、必要な情報を入手、発信できるよう、さまざまな配慮や工夫を行うことが重要であります。
 都が主催する大会では、聴覚障害者への音声とジェスチャーを併用したスタートの合図や、視覚障害者に跳躍の踏切位置を声で知らせるなどを行っております。また、体験教室におきましては、手話通訳による実技指導を行っております。さらに、障害者スポーツセンターでは、知的障害者等にわかりやすい大きな字での案内表示に配慮をしております。
 今後とも、関係団体等と連携を図りながら、障害者がスポーツに一層参加しやすい環境の整備に向け、情報バリアフリーに努めてまいります。
 次に、パラリンピック観戦への支援についてでありますが、障害のある方々が来場しやすい環境を、ハード、ソフト両面から適切に整備していくことは、パラリンピックを成功に導くため重要な取り組みであると認識しております。
 このため、組織委員会や国と連携し、会場内はもちろん、会場周辺の駅や道路のバリアフリー対策を鉄道事業者や道路管理者に働きかけるとともに、駅から離れている会場では、低床バスやリフトつき車両等による輸送について検討を進めております。
 また、ボランティアが、車椅子使用者や視覚障害者等へ障害特性に応じた適切な対応ができるよう、研修を実施し、ソフト面でのサポートも行ってまいります。
 こうした取り組みにより、障害のある方々にも大勢会場に訪れていただき、大会を楽しんでもらえるよう準備を進めてまいります。
 最後に、身近な地域での運動の場の確保についてであります。
 スポーツ実施率七〇%を達成するためには、都内の施設や公園等を活用し、誰もが身近な地域でスポーツに親しめる環境を創出することが重要であります。
 都は、平成二十六年度に補助制度を創設し、区市町村のスポーツ施設の新築や改修等を支援するとともに、今年度は、新たにモデル事業として公園内への運動器具の設置を補助対象に加え、区市町村と連携しながら都民の身近なスポーツ環境の充実、拡大を図っております。
 今後は、新たなスポーツ推進計画の策定に向けて、公立施設だけでなく、企業や大学等のさまざまな主体が所有しているスポーツ施設の活用の可能性につきまして、スポーツ振興審議会で議論するなど、身近な地域で気軽に運動ができる場の確保について検討してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、若い世代からの健康づくりについてでありますが、年齢を重ねても、いつまでも健康を保つためには、適度な運動やバランスのとれた食事など、望ましい生活習慣を、若いころから実践することが重要でございます。
 このため、都は、都民が負担感なく生活習慣を改善できるよう、駅の階段利用の呼びかけや、野菜が豊富なレシピの提供等の普及啓発を行いますとともに、健康づくりのイベント等に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 また、働く世代の職場での健康づくりを進めるため、経営層に対しまして、健康づくりやがん対策の普及啓発や健診受診率向上など、従業員の健康に配慮した経営に向けた支援を行う職域健康促進サポート事業を開始いたしました。
 今後も、こうした取り組みを通じて、若い世代からの健康づくりを支え、進めてまいります。
 次に、難病に関する研究についてでありますが、難病の患者に対する医療等に関する法律では、医療費助成の対象となる指定難病の選定や、難病の発病の機構、診断及び治療方法に関する調査研究の推進は、国の役割と規定されており、お話のような希少な疾病に関しましては、厚生労働省の研究班や日本血液学会などの医学系の学会で調査研究が行われております。
 都はこれまで、国に対し、指定難病の選定に当たっては、公平性の観点から幅広く希少難治性疾患を検討範囲に含め、難病の要件を満たすものについては指定難病とするよう提案要求しており、引き続き国に働きかけてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、石神井公園における生物多様性の取り組みについてでございますが、生物の生息、生育空間を保全、再生、創出することにより、生物多様性を向上させることは、都立公園の重要な役割の一つでございます。
 石神井公園は、武蔵野三大湧水の一つであります三宝寺池や草地広場、樹林地など、豊かな自然環境に恵まれた公園でございます。この環境を保全するため、これまで、間伐によりまして、樹林地の植生を回復するとともに、希少な水生植物の補植や外来植物の除去などに取り組んでまいりました。さらに、石神井池の流量や水位等を把握する調査を現在実施しております。
 今後、その結果を踏まえまして、池の水質改善方法などを検討し、地元自治体等と連携しながら、多様な生物が生息する公園づくりを進めてまいります。
 次に、都立大泉中央公園におけるさらなるスポーツ振興の取り組みについてでございますが、都民が身近にスポーツを楽しむなど、レクリエーションの場を提供することは、都立公園の重要な役割でございます。
 二〇二〇年東京大会の会場に近接した本公園は、陸上競技場や野球場を有しておりまして、都民が気軽にスポーツに親しむ場となっております。これまで、元プロ野球選手が指導する親子で楽しめる野球教室を開催するなど、スポーツの振興に取り組んでまいりました。
 今後、地域の皆様や施設等と連携しながら、障害のある方もない方も、多世代で一緒に楽しめる運動会や、元オリンピック選手が指導するジョギング教室を開催してまいります。
 引き続き、こうした取り組みを積極的に進めまして、二〇二〇年東京大会の機運醸成を図ってまいります。

○副議長(長橋桂一君) 五十番舟坂ちかお君。
〔五十番舟坂ちかお君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○五十番(舟坂ちかお君) 初めに、産業振興についてお伺いをいたします。
 二〇二〇大会までいよいよ残り千日を切り、中長期にわたるさまざまなビジネスチャンスの到来が見込まれております。大会の経済効果は約三十二兆円とも試算されておりますが、三年後のオリンピック・パラリンピック東京大会、さらには、開催まで二年を切った二〇一九年のラグビーワールドカップ大会の開催は、東京だけでなく、日本各地の多様な魅力を世界に伝える絶好の機会であります。
 豊かな自然や食文化、すぐれた技術や伝統文化など、日本各地の魅力を余すところなく世界に伝え、外国人旅行客の拡大を初めとする観光の振興や経済の活性化につなげていくことで、我が国全体のさらなる発展を図っていかなければなりません。
 こうした観点から、これまで我が党は、東京と日本各地が双方の強みを生かし、高い効果が見込まれる産業施策を都が先導役となって取り組んでいくべきと提案してきました。
 オール日本で二〇二〇大会を成功に導くためには、さきの熊本地震や東日本大震災からの復興支援という観点も忘れてはなりません。
 東京のみならず、オール日本の視点に立ち、東京と各地がしっかりとスクラムを組んで産業の振興を一層強化し、取り組んでいくことが重要と考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、都市基盤整備についてお伺いをいたします。
 まず、建築物の耐震化についてお伺いいたします。
 震災時において、都民の生命と財産を保護し、首都機能を維持するためには、特定緊急輸送道路沿道や住宅などの建築物について耐震化を強力に進める必要があります。
 とりわけ、分譲マンションを含め、住宅については都民生活の基盤であり、世界で一番の都市東京を目指すためにも、所有者や管理組合の取り組みをしっかりと後押しし、来るべき首都直下地震に備え、迅速に耐震化を進めていく必要があります。
 そこで、都は、住宅の耐震化を促進するため、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 次に、河川整備についてお伺いをいたします。
 都はこれまで、区部東部の低地帯では防潮堤や水門、また、区部西部や多摩部では中小河川の護岸や調節池などの治水施設を長期間にわたり着実に整備してきました。
 東京を直撃した十月の台風二十一号では、中小河川の多くの調節池で洪水を貯留して河川からの溢水を未然に防止し、東部低地帯では三十八年ぶりに高潮警報が発令されましたが、隅田川の防潮堤などが浸水被害を防ぐなど、これまでの治水施設のストックが効果を発揮いたしました。
 首都直下地震の発生が危惧される中、この地域に住む三百万都民の命と暮らしを守るためには、こうした高潮対策に加え、堤防や水門などの耐震、耐水対策が近々の課題であります。
 今後とも、整備効果を明らかにし、都民の理解と協力を得ながら着実に整備を進めていく必要があります。
 そこで、東部低地帯における河川施設のストック効果と耐震、耐水対策の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、道路整備についてお伺いをいたします。
 東京の国際競争力を高めるためには、東京が日本の経済を牽引していく力を持たなければなりません。これまでも道路整備の必要性を繰り返し訴えてきましたが、東京の道路ネットワークの整備は道半ばであり、早期の整備が望まれております。
 都は、都市計画道路の第四次事業化計画を策定し、葛飾区でも幾つかの路線が位置づけられました。このうち、補助第一三八号線は、中川により隔てられた葛飾区、足立区の避難場所をつなぐことで、防災性の向上に寄与する重要な路線であり、早期に取り組む必要があることをこれまでも強く要望してきました。
 また、補助第一四三号線の柴又区間は、都内有数の観光地である柴又地域を通り、帝釈天の参道とも交差している区間であり、にぎわい創出の観点からも早期の拡幅整備を訴えてきました。
 さらには、埼玉県境まで南北に通る補助二七七号線道路など、これらの路線の事業化には橋の架橋や区道との接続、交通処理など、さまざまな検討が必要で時間がかかることは理解しておりますが、これらの路線の検討を直ちに行ってほしいと要望してまいりました。
 そこで、補助一三八号線及び補助一四三号線、補助二七七号線の三路線の事業化に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、踏切による交通渋滞を解消するなど、地域の交通環境を根本的に改善します。
 京成高砂駅から江戸川区の江戸川駅間の鉄道立体化については、平成二十年から検討を進めていますが、いまだ事業化されていません。京成高砂駅付近は一時間に五十分以上閉まっている、あかずの踏切があり、まちの健全な発展が阻害されております。
 また、大地震や大規模な風水害などの災害時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって踏切が閉鎖され、緊急車両の通行や住民の避難に支障を来すおそれがあることから、防災性の向上にも資する連続立体交差事業に取り組むべきであります。
 そこで、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化について検討状況をお伺いいたします。
 次に、高等学校教育についてお伺いいたします。
 都教育委員会においては、平成九年以降、都立高校改革推進計画に基づいて、チャレンジスクールやエンカレッジスクール、中高一貫教育校、進学指導重点校など、新しいタイプの学校づくりを推進し、時代の変化に対応した都民の期待に応えられる都立学校の実現に向けて取り組んでいるものと承知しております。
 その中でも、進学面では、日比谷高校や西高校など進学指導重点校七校は、昨今、難関国立大学を初めとする大学への合格実績を伸ばしております。
 一方で、大学進学を希望する生徒が増加している状況を鑑みれば、より多くの生徒がみずからの進路希望を実現することができるよう、その裾野を広げ、進学指導重点校以外の学校でも進学指導を充実させていくことが必要と考えます。
 都教育委員会では、進学指導重点校のほか、進学指導特別推進校、進学指導推進校を指定していると聞いておりますが、これらの学校に対する教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、緑化施策についてお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会の開催まで千日を切りました。東京都では、区市町村と地域が連携し、国内外から訪れる観光客を花と緑でおもてなしをする花の都プロジェクトを今年度から開始をいたしました。
 私の地元葛飾区では、この第一弾として、都立農産高校や地元企業などが考案した立体花壇、フラワーメリーゴーランドを亀有駅前などに設置し、大変好評を得た一方で、大会が開催される真夏に咲く、暑さに強い花の選定など課題もあったと聞いております。
 そこで都は、今年度の花の都プロジェクトで得られた成果や課題をどのように活用し、二〇二〇に向けて、花と緑でまちを彩る取り組みを広げていくのかをお伺いし、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 舟坂ちかお議員の一般質問にお答えいたします。
 進学指導特別推進校等に対する取り組みについてでございますが、次代を担う自立した人間の育成や生徒の将来を見据えた進路実現を図るためには、一人一人の可能性を最大限に伸ばす学校づくりの推進が重要でございます。
 都教育委員会では、進学指導特別推進校と進学指導推進校を指定し、外部機関を活用したコンサルティングや退職校長による訪問指導、やる気と熱意のある教員の公募による配置などの支援により、生徒が希望する進路実現の実績を着実に上げてきております。
 来年度からの新たな五年間の指定期間においては、推進校の中で顕著な実績を上げた小松川高校を特別推進校に指定するとともに、多摩科学技術高校の進学実績等を踏まえ、推進校に新たに指定することといたしました。
 今後とも、生徒の進学指導の充実強化を推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 住宅の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございます。
 耐震化を促進するためには、費用負担の軽減に加え、所有者の主体的な取り組みを促す働きかけの強化が重要でございます。
 戸建て住宅については、整備地域内で区を後押しするため助成を行い、整備地域外では国費を活用して耐震化を促進してまいりました。
 今後、所有者への積極的な働きかけを行う区市などを対象に、改修等の助成を検討してまいります。
 また、分譲マンションについては、多数の区分所有者の合意形成が必要なため、耐震診断の助成単価の引き上げなど、支援を拡充してまいりました。
 今後、診断は実施したものの耐震化に踏み出せないでいる管理組合に対して、補強設計など次の段階に進めるよう専門家を繰り返し派遣することを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、住宅の耐震化を加速させてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 日本各地と連携した産業振興についてでございますが、都は、日本各地と連携し、双方に高い効果が見込まれるさまざまな産業振興施策を展開しております。
 具体的には、産業交流展での全国の中小企業出展ゾーンの設置や各地に赴いての技術交流、商談会の開催により販路拡大を図っておりますほか、産業技術研究センターと他県事業者によるロボット技術の共同研究や事業化にも取り組んでおります。
 また、外国人旅行者の誘致に向け、東北や九州地域など被災地を初め、日本各地と東京を結ぶ観光ルートを設置しており、今後、新たなルートの設定を検討いたします。
 さらに、二〇一九年のラグビーワールドカップの開催各都市と連携した観光プロモーションの実施をあわせて検討してまいります。
 こうした取り組みにより、東京と日本全体の産業の活性化につなげてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東部低地帯における河川の整備についてでございますが、この地域に住む三百万都民の命と暮らしを水害から守るためには、長期間かけて整備し、おおむね完成いたしました堤防や水門等のストックを永続的に生かしていくことが重要でございます。
 本年十月の台風二十一号では、昭和二十四年に甚大な浸水被害をもたらしましたキティ台風と同程度の高潮が発生しましたが、既存ストックが効果を発揮し浸水被害を防ぎました。
 現在、想定される最大級の地震に対応するため、耐震、耐水対策を推進しておりまして、平成二十九年度までに対策が必要な堤防の約六割となる四十八キロメートルと水門等施設の約九割となる二十一施設を事業化することとなります。
 引き続き、着実に整備を進めまして、防潮堤や水門などを三十一年度、水門より内側の護岸を三十三年度までに完了させます。
 今後とも、耐震、耐水対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、葛飾区内の都市計画道路、三路線の取り組み状況についてでございますが、補助第一三八号線は、中川に新たな橋梁を整備することで地域間の連携強化と防災性の向上を図る重要な路線でございます。現在、地形測量と交通量調査を行っておりまして、今後、橋梁本体等の構造や区道との接続等の検討を進めてまいります。
 補助第一四三号線は、柴又地域の交通を円滑化し、無電柱化等による景観形成など、観光振興に資する路線でございます。現在、道路概略設計により帝釈天付近の交通処理を検討しておりまして、年度内に説明会を開催し測量に着手いたします。
 補助第二七七号線は、安全で快適な歩行者空間の確保に加えまして、防災拠点である都立水元公園への避難路となる路線であり、今年度、道路概略設計に着手いたしました。
 引き続き、地元区や関係機関と調整を図りまして、三路線の早期事業化を目指し積極的に取り組んでまいります。
 最後に、京成本線の京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化についてでございますが、本区間には、あかずの踏切二カ所を含む十カ所の踏切があるほか、補助第一四三号線など都市計画道路が三カ所で交差することとなり、鉄道立体化による踏切解消が必要でございます。
 このため、都は、連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけまして、事業範囲や構造形式などの検討を進めてまいりました。
 本区間の鉄道立体化には、京成高砂駅付近にある約四・三ヘクタールの車両基地の取り扱いが課題となっておりまして、現在、高砂団地の建てかえで創出されました用地を活用し、車両基地を移転する案について検討しております。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携いたしまして、鉄道立体化に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 二〇二〇年東京大会に向けた花の都プロジェクトの展開についてでございますが、本年度は、葛飾区、台東区と連携して、それぞれプロジェクトを実施し、区民や地元事業者等の協力を得ながら、夏に駅前等を花で飾る取り組みを行い、多くの方が花の観賞に訪れるなど、地域のにぎわい創出や来訪者へのおもてなし機運の醸成につなげることができました。
 そこで、来年一月に区市町村を対象としたシンポジウムを開催し、こうした取り組み成果について情報提供をしてまいります。
 また、暑さに強い花の種類や維持管理のポイントなどについて専門家の協力を得て助言を行うなど、夏に花を飾る際の課題を解決するための技術的な支援を行い、二〇二〇年に向けて都内各地に花と緑でおもてなしをする取り組みを広げてまいります。

○議長(尾崎大介君) 五十七番星見てい子さん。
〔五十七番星見てい子君登壇〕

○五十七番(星見てい子君) 初めに、子供食堂について質問します。
 子供に無料または低額で食事を提供する子供食堂が次々と広がっています。私も地元目黒区で子供食堂のスタッフをしていますが、用意した六十食がすぐなくなる状況です。きょうは一人なのと声をかけると、お母さんはお仕事、八時にお迎えと小学校の女の子。誰もいないから食堂が閉まるまでいると塾帰りの男の子。いつも一人でご飯の子も、コンビニで夕食の子も、子供食堂の日だけはにぎやかに食事をしています。親の長時間労働の広がりで、孤食になっている子供に楽しく栄養バランスを考えた食事を提供している意義は大きいです。
 保育園帰りの親子もたくさん来ます。子供をスタッフに任せ、安心しておしゃべりをする姿を見ると、子育て世代の孤立への処方箋にもなっていると実感しています。
 スタッフには退職した教師、栄養士、調理師、保育士、学童クラブ指導員など、さまざまな分野の専門家が参加しています。中学生、高校生もスタッフに加わっています。認知症の方やブラック企業で鬱病になり療養中の方も活躍しています。子供食堂には新しいコミュニティを形成して、地域を再生する力があります。
 知事は、昨年、都知事選直前に子供食堂を視察し、SNSで子供の貧困解消に向け、子供食堂のような取り組みを進めると発信し、公約でも子供食堂の活用を掲げています。
 知事は、子供食堂の役割や重要性をどのように認識していますか。また、活動への支援をどのように考えていますか。
 子供食堂の利用者やスタッフの多くは、インターネットから情報を得ており、とりわけ学生ボランティアは、ネット情報をもとに広域から参加しています。都が紹介することで、個々の子供食堂の認知度、そして信頼が上がり、活動しやすくなります。
 活動を広く周知するため、区市町村と連携して都のホームページから各地の子供食堂の場所や開催日、連絡方法などが検索できると効果的です。いかがですか。
 子供食堂が苦労しているのは会場確保で、会場費などが食事代にはね返っており支援が求められています。都が子供の居場所創設事業を行っていることは重要ですが、学習支援、食事提供、相談支援などを一体的に行う必要があるため、子供食堂への活用が困難です。東京都市長会も、子供食堂などが広がっているが、子供の居場所創設事業は地域の自発的活動への活用が難しい、小規模な活動も補助対象とされたいと要望しています。東京都市長会の要望を踏まえた検討をすべきと思いますが、いかがですか。
 私が初めてついた仕事は、さまざまな事情から家族と一緒に住めなくなった子供を養育する児童養護施設の指導員です。二十代だった私は、社会のゆがみが子供たちに陰をつくっている現実に直面し、自分の力のなさに打ちひしがれる毎日でした。これが私の原点です。
 議員になってからは毎週、何でも生活相談会を続け、一千件を超える相談を受けています。その中には、DV被害で母と逃げてきた子や、母親と中学生の息子二人の三人家族が六畳一間で寝起きをしている家など、憲法二十五条や児童福祉法がありながら、いまだに子供の成長を保障できない現実があふれています。これを東京都から打開したいと思っています。
 そこで、子供の貧困対策についてお聞きします。
 都が首都大学東京の子ども・若者貧困研究センターと連携して二万人規模の子供の生活実態調査を行ったことは重要です。調査では、低所得、家計の逼迫、子供の体験や所有物の欠如のいずれかに当てはまる生活困難層の子供が二割以上に上りました。中学二年生で、食べ物に困窮した経験があるのが一一%など、急迫している子供の生活実態が明らかになりました。
 知事は、この結果についてどのように受けとめて、子供の貧困解決に取り組もうとしているのかをお尋ねします。
 子どもの貧困対策法に基づく計画を作成していないのは東京都だけになりました。
 知事は所信表明で、子供・子育て支援総合計画の見直しについて、貧困の世代間連鎖を断ち切り、全ての子供が夢に向かって輝ける社会の実現に向けて、総合的な子供の貧困対策を盛り込んでまいりますと述べましたが、どのような対策を策定していくのですか。具体的な指標と目標を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、今回の子供の生活実態調査で終わりにせず、専門家の協力を得ながら、さらに実態を把握する調査と分析を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 今回の子供の生活実態調査の特徴の一つは、十六歳から十七歳の生活困難層が二四%にも上ることです。この子供たちは五人に一人が、食事もほぼ毎日二食以下で、授業がわからないも半数近くです。中学生までは区市町村で把握しやすいのですが、高校生になると難しくなり、都の役割が重要になります。
 この点から注目されるのは、都が昨年度開始したユースソーシャルワーカーの活動です。都立高校で五十人以上が福祉や就労支援の経験を生かして献身的に活動をしています。活動強化のためにも、教師との系統的連携や専門職としての経験を蓄積できる正規職の配置が重要です。しかし、全員が非常勤で任期も最大で五年です。ユースソーシャルワーカーを導入して二年目になりますが、その成果と、さらなる充実の方針を伺います。
 子供の生活実態調査によると、私学に進学した子供の割合は、一般層では五六%に対し困窮層では三六%です。私立を選んだ理由は、困窮層では公立高校に合格しなかったが過半数です。逆に、教育方針を理由に私立に行く子供は少なく、気に入った私立に行きたくても教育費負担により困難な状況がうかがえます。国との連携を踏まえ、困窮層が私立も選択できるよう支援を行うべきです。いかがでしょうか。
 中学生や高校生の塾代や受験料を支援する受験生チャレンジ支援貸付事業は、経済困難を抱える受験生と家族に歓迎されています。昨年、収入基準を引き上げたことは前進です。しかし、世帯の生計中心者だけの収入で判断していたものを世帯合算に変更したため、対象外になった家庭が生まれ、ひとり親以外の世帯の利用は一千五百件も減少しました。
 受験生チャレンジ支援貸付事業の収入基準は引き上げたとはいえ、生活保護基準の一・一倍です。都内の就学援助基準は一・二倍以上がほとんどですから、就学援助家庭でも使えない場合があります。
 世田谷区の都営住宅で就学援助を受けている家庭が、中学三年生で軽度の発達障害がある長男の高校受験のために塾費用の貸し付けを申し込みましたが、対象外になりました。収入基準を引き上げれば、このような中学生も利用ができます。
 また、合格した場合は返済を免除を、受験した場合に変え、誰でも安心して、望んでいる学校にチャレンジできる制度に改善すべきだと考えます。子供の進学を積極的に支援していただきたいと思いますが、いかがですか。
 続いて、高校生の健康と医療の問題についてです。
 子供の生活実態調査でも明らかになったとおり、一日に二食以下が多い高校生への食事の提供は困窮層対策でもかなめになります。子供も、本人のサービス利用意向でも、学校における無料の給食サービスが最も多く、困窮層では八三%になっています。都立高校での学校給食導入の検討が求められています。
 当面、既に実施されている夜間定時制高校の給食費のさらなる低廉化や無料化など、給食の喫食率を上げる工夫は重要だと思いますが、いかがですか。
 子供の生活実態調査では、医療の受診抑制の理由について、自己負担金が払えなかったと答えたのは、医療費助成のある小中学生では一%未満でした。しかし、十六歳から十七歳では二・七%、その中でも困窮層では一八・八%に上ると判明し、その深刻さに驚きました。調査では、その理由をどのように分析していますか。東京都として、十八歳までの医療費無料化を実現するべきです。認識を伺います。
 最後に、保育所の待機児解消についてお聞きします。
 目黒区は、保育所の待機児が世田谷区に次いで多く、入所率では全国最悪レベルです。毎年、保育園に入れてと区に不服審査請求が出ています。二人目が保育園に入れず、職場に復帰できなければ、おなかの子をおろすことになるという母親など、請求者が皆泣きながら訴えるほどの深刻さです。一刻も早く待機児をなくすため、都有地、国有地の活用についてお聞きします。
 都営目黒一丁目アパート敷地にある元区立保育園用地は、未接道で建築基準法に抵触するため、都の情報提供に載っていません。しかし、団地内道路のつけかえなどで活用できる可能性があるとわかり、目黒区長は、東京都と状況把握をしながら対応したいとしています。よく相談し、保育園整備につなげる努力をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次は、国有地です。
 目黒区中目黒には防衛研究所跡地があります。この地は目黒区と渋谷区にまたがり、二・二ヘクタールもあるため、区独自の購入は困難です。また、駒場東大前の駅前にも公務員宿舎跡地があり、目黒区が五月に国に要望しています。
 これらの土地を区が保育園、特養ホーム用地として活用できるよう国に申し入れるべきですが、いかがですか。また、区と相談や検討をして進めるべきです。支援をするべきと思いますが、いかがでしょうか。
 保育園の待機児問題、東京都の大きなイニシアチブを求めて、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 星見てい子議員の一般質問にお答えいたします。
 子供食堂についてのお尋ねでございました。
 子供が健やかに育つためには、栄養面でバランスのとれた食事や安心して過ごせる居場所があることは重要であります。私も豊島区にあります子供食堂に伺ったことがございますが、制度的にも持続的な形でこうした取り組みを進めることは必要だと考えております。
 現在、都内では、多くの民間団体が地域の子供たちへ食事や交流の場を提供する取り組みを行っておられます。都は現在、民間団体の事業の立ち上げ支援、学習支援、食事の提供、保護者への援助など、子供の居場所づくりに取り組む区市町村を支援しているところでございます。
 今後、こうした子供食堂のような取り組みがさらに進みますように、しっかりと支援をしてまいります。
 子供の貧困対策についてでありますが、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることがあってはなりません。貧困の世代間連鎖を断ち切って、全ての子供が夢に向かって輝ける社会の実現に向けて、昨年行いました実態調査も踏まえ、福祉、教育、就労など、さまざまな分野の関係機関が連携をいたしまして、今後とも、子供の貧困対策を総合的に進めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ユースソーシャルワーカーについてでございますが、都教育委員会は、社会生活を円滑に営む上での困難を有する都立高校生等に対して、学校の対応に加え、就労、福祉等の関係機関による多面的な支援を行うことが必要と考えております。
 このため、平成二十八年度から、不登校や中途退学の防止に向け、就労や福祉の専門的知識や技術を持つユースソーシャルワーカーを都立高校等に派遣する取り組みを開始いたしました。初年度は、ユースソーシャルワーカーの資質向上を図りながら、二千名を超える生徒に対応し、不登校の解消や進路決定の促進などを行い、一定の成果を上げたところでございます。
 今後とも、学校や関係機関と連携するなどして、課題を抱える生徒への支援に努めてまいります。
 次に、都立高校の夜間定時制課程における給食についてでございますが、都教育委員会では、現在、勤労青少年の修学を促進し、教育の機会均等を保障するため、有職者や求職中などの生徒を対象に給食費の一部を補助しております。
 さらに、給食の栄養バランスを確保するとともに、都内産食材の使用など、多様な食品を組み合わせた季節感のある給食を提供するなど、食の内容の充実を図り、喫食率の改善に取り組んでおります。
 今後とも、多様化する生徒のニーズなども踏まえながら、学校給食を適切に実施してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 都営住宅用地を保育所に活用することについてでございます。
 都営住宅においては、これまでも建てかえにより創出した用地等を活用し、関係局や区市と連携しながら、福祉施設の整備を進めてまいりました。
 都営住宅内の既存の広場等を活用し、新たに福祉施設を整備する場合においても、地元区市からの要請、関係法令への適合などのほか、それを利用している方々の理解なども必要となります。
 お話の元保育園用地については、今後、地元区の考えを聞くなど、相談に応じながら、適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供食堂の周知についてでありますが、都は今年度から、専任職員を配置して、学校や保健所、民生児童委員などから成る関係機関の連携会議や生活に困窮する子育て家庭等の相談窓口の設置等を行う区市町村を支援しております。この専任職員は、子供食堂や学習支援など、地域のさまざまな取り組みについて情報を収集し、住民や関係機関等への周知も行っております。
 また、区市町村では、地域の子育て支援の取り組みをホームページ等で紹介をしており、都は、子育て世帯や子育て支援者向けのポータルサイトである、とうきょう子育てスイッチを通じて、区市町村の情報を提供しております。
 次に、子供の居場所づくりについてでありますが、子供の居場所創設事業は、日々の子供とのかかわりや、子供や保護者との面談を通じて、家庭の状況を的確に把握し、支援が必要な場合には、子供家庭支援センター、児童相談所、学校等の地域の関係機関と連携して支援することを目的としております。
 そのため、社会福祉士や相談援助の実務経験者など、専門的な知識を持つ支援員の配置を義務づけ、直接子供とかかわる機会である学習支援や食事提供等の実施日数にも要件を定めております。
 区市町村が地域の実情に応じて行う居場所づくりにつきましては、包括補助で支援をしております。
 次に、子供の貧困対策の取り組みについてでありますが、都は今年度、子供・子育て支援総合計画の中間の見直しを行い、子供の将来が生まれ育った環境に左右されず、健やかに育つ環境の整備を進めるため、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく計画としての位置づけを明確にいたします。
 見直しに当たりましては、子供の居場所づくりや子供の貧困対策に取り組む区市町村への支援、高校生を対象とした給付型奨学金などの事業も盛り込む予定であり、福祉、教育、就労などの支援策を実施してまいります。
 施策の効果検証については、子供・子育て会議の意見も踏まえ、評価指標を設定し、分析した結果は次期計画に反映させることとしております。
 次に、子供の生活実態の把握についてでありますが、都は昨年度、これまでの施策の効果や状況を改めて検証し、その内容の充実を図ることを目的に、首都大学東京と連携して、子供の生活実態調査を実施いたしました。
 今年度は、この調査データを活用し、子育て家庭における子供の食事や学習等の生活実態と保護者の家計や就労等との関連等について、分析を進めております。
 また、国の交付金等を活用し、独自に調査を行うなど、貧困の状況にある子供や家庭の実態把握に努める区市町村に対し、都は首都大学東京と連携して、専門的見地からの助言も行っております。
 次に、受験生チャレンジ支援貸付事業についてでありますが、都は、一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生等の受験や進学を支援するため、学習塾の受講料や受験料の無利子貸付を行っております。
 本事業の貸付要件につきましては、平成二十八年度に、世帯間の公平性を確保するため、収入額の確認方法を、生計中心者の収入から世帯単位へと変更するとともに、ひとり親世帯については、生活保護の母子加算を反映した新たな収入基準を設けるなどの見直しを行いました。
 また、貸付金の償還につきましては、希望校へ入学した場合のほか、進学できなかった場合でも、利用者の実情により審査を経て免除できることとしており、今後とも、本事業を活用し、子供たちの進学を支援してまいります。
 次に、十八歳までの子供の医療費助成についてでありますが、子供の生活実態調査では、困窮層の保護者のうち、医療の受診を抑制する理由として、自己負担金を支払うことができないと思ったためと回答した割合は、小中学生より十六歳から十七歳までの子供のいる保護者の方が高くなっており、その理由の一つとして、調査対象の四自治体において、医療費助成の対象が十五歳までとなっていることが考えられるとしております。
 都が実施しております乳幼児や義務教育就学児に係る医療費助成への支援は、乳幼児は病気にかかりやすいこと、学齢期は人間形成の核となる重要な時期であること等から行っているものでございます。
 また、ひとり親家庭につきましては、その経済的負担を軽減するため、十八歳までの子供に対しても医療費を助成する市町村を支援しております。
 最後に、目黒区の国有地についてでありますが、国は、普通財産に属する未利用の国有地をホームページ上で情報提供いたしますとともに、都と区市町村それぞれに対して、活用の意向を照会しております。
 お尋ねの防衛研究所跡地は、現在、普通財産となっておらず、国から都や地元区に照会は来ておりません。また、国家公務員宿舎跡地につきましては、地元の目黒区は、活用の意向がある旨を国に申し入れたと聞いております。
 国有地を地元区市町村が活用する場合は、直接国に申し出ることとなっております。
 都は、認可保育所や特別養護老人ホームの整備を進めるため、国有地や都有地等を活用する区市町村を引き続き支援してまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 困窮層の私立高校への進学支援についてでありますが、これまでも都は、低所得世帯を中心に、都の特別奨学金や国の就学支援金により、授業料の保護者負担の軽減の充実を図ってまいりました。
 また、入学支度金などの無利子貸付を実施しますとともに、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給することで、授業料以外の教育費の負担軽減にも努めております。
 加えて、文部科学省では、奨学給付金の充実を図るため、平成三十年度概算要求で補助単価の増額を行っているほか、都においては、都内通信制高校への特別奨学金の適用についても、既に検討を進めているところでございます。
 今後も、こうした施策を総合的に活用し、家庭の経済状況に左右されることなく教育を受けることができるよう、子供たちの学びたいという気持ちに応えてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時二十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十五番森村隆行君。
〔四十五番森村隆行君登壇〕

○四十五番(森村隆行君) まず初めに、東京の都市づくりについてお伺いします。
 二〇四〇年代の東京における都市の未来を描くためにつくられた都市づくりのグランドデザインが九月に公表されました。この長期のビジョンでは、目指すべき新たな都市像がさまざまな観点から総合的にまとめられておりますが、目標として掲げられているのが、活力とゆとりある高度成熟都市です。
 実現に欠かすことができないのが多摩地域の発展であると考えますが、これまで培われてきた地域の特性を生かし、また、可能性を引き出しながら、いかに社会経済情勢の動向を見据えた都市づくりを進められるかが鍵になると考えます。
 先日の代表質問で、多摩の振興プランについて知事の思いと今後の取り組みに向けた決意をお伺いいたしましたが、都市づくりのグランドデザインにおいて、多摩地域が二〇四〇年代に目指すべき都市の姿とその実現に向けた取り組みの方向性について、知事の考えをお伺いします。
 都市づくりのグランドデザインでは、東京全体を四つのエリアに分け、それぞれの地域の特色を生かした将来像を示し、可能性を引き出していくとしております。
 東京の西部、八王子の一部と西多摩地域にわたる圏央道外側の地域は、島しょ部とともに、自然環境共生域に位置づけられておりますが、歴代の知事の中で、小池知事は最も多くこの地域を訪れ、そこに暮らす都民の声を聞いてこられました。
 ご存じのとおり、この地域では、高齢化や人口減少などの課題に直面する一方で、都心から比較的手軽にアクセスできる豊かな自然や観光資源などの強みもあります。この地域から多面的な魅力と可能性を引き出していくことは、活力とゆとりある高度成熟都市の実現に大きく寄与します。
 そこで、自然環境共生域として位置づけられた圏央道外側の地域において、その特性を踏まえ、都市づくりをどのように進めていくのかを伺います。
 次に、東京の自然について質問します。
 都は、ことしの五月、東京の自然公園ビジョンを公表しました。東京は、世界屈指の大都市でありながら、行政区域の約三六%ものエリアが、国立公園や国定公園などの自然公園に指定されており、その面積は実に八万ヘクタールにも及びます。二千メートル級の雲取山から、伊豆・小笠原諸島などの島しょ部など、極めて多様で豊かな自然が存在し、また、都心に近く、手軽に触れられる地域に広がっていることなどが特徴で、都民の誇るべき財産です。
 自然公園ビジョンの策定は、こうした東京の自然の利活用促進に向けて大きな意義があり、豊かな自然を守りながら、都民のみならず、国内外の多くの方々にそのすばらしさに触れていただくために、大変大きな期待が寄せられております。
 さて、秩父多摩甲斐国立公園の東の入り口に御岳山があります。この山の上には、古くから続く御師集落があり、関東一円から信仰を集めてきた武蔵御嶽神社の御師たちが経営する宿坊旅館を中心とした独自の文化とにぎわいがあります。
 徳川家康公から厚い庇護を受け、江戸の西方を守護する役目を担った御岳山には、ムササビやツキノワグマ、特別天然記念物に指定されておりますニホンカモシカなど、多くの野生動物や貴重な植物が分布しており、地域固有の伝統や歴史と豊かな自然が共存しております。
 このように、御岳山は都民にとっても、また、海外から訪れる観光客にとっても、大変貴重で魅力ある存在ですが、こうした自然と密接に関連した人文資源等に関する国内外へのアナウンスは、残念ながら十分なものといえません。
 都は、御岳山を訪れる多くの人に、自然環境についてはもとより、地域固有の文化や産業等、多様な魅力を伝える取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今後増加する訪都外国人へのインバウンド対策を効果的に実施し、より多くの人たちに同地域を訪れてもらうことや、満足度を上げるための施策を展開していくことは、地域の発展のみならず、東京の自然公園や観光資源の磨き上げのためにも重要です。
 現在、既に御岳の山上集落では、宿坊等が地元の観光協会と連携しながら、それぞれに各種取り組みを実施しておりますが、二〇二〇東京大会が開催されるまでの間に地域の連携を強化しておく必要があるのではないかと考えます。
 高尾山では、先日、都のリーダーシップのもと、管理運営協議会が設置されたと聞いており、都は、御岳エリアの自然公園により多くの人が訪れてもらうために、このエリアにおいても地域連携の仕組みを構築すべきであると考えますが、見解を伺います。
 そもそもの問題意識として、都では、自然環境についての把握やアナウンスが不足していると考えております。国内はもとより、海外からの来訪者にもわかりやすく情報を伝えることができるような仕組みや装置の開設が必要ではないでしょうか。
 今現在、東京都に自然史博物館がありません。都内にはさまざまな研究者がおり、日夜、多様な研究が行われております。微細な細菌や昆虫、動植物の専門家もいれば、地層や地形、海や河川の専門家もおり、その研究分野は多岐にわたります。それらの研究成果を集約し、保管する場所がないのは本当にもったいないことで、将来にわたってこれらが集約されず散逸し、日の目を見ることなく失われてしまうことは、都民の利益にとってマイナス、また、五十年、百年後の東京都の利益を損ねるものではないかと考えます。
 単なる箱物をつくる取り組みではなく、例えば、ICTを駆使し、都民と双方向で貴重な知を蓄積しながら、内外に発信をしていけるような、次世代の自然史博物館の開設について検討を進めてほしいと考えますが、東京の自然公園ビジョンが策定されたことを契機に、自然環境に関する情報を的確に収集し、分析するとともに、積極的に発信していくような拠点の必要性について、都の見解を伺います。
 次に、観光振興策について伺います。
 都は、二〇二〇年に訪都外国人観光客数を現在の二倍の二千五百万人にするという目標を置いております。都心のさまざまなスポットがにぎわうことになると予想しますが、ぜひともこの機会に、東京にも高尾山や御岳山を有する自然豊かな地域があることを世界に発信し、都心からの近接性を誇る同地域をアピールしていただきたいと思います。
 しかし、そのためには、受け入れ面での対応力強化が必要不可欠です。受け入れ面での大きな課題の一つが交通の不便さで、とりわけ二次交通の不便さは、観光地間の周遊性を阻害する要因だという都民の多くの声があります。このままでは、地域の魅力を高めても、多くのお客様が事前計画の中で観光地間のアクセスの悪さに辟易し、行き先を変えてしまうことになりかねません。
 都は現在、電動アシストつき自転車の導入支援などに力を入れており、その試みには期待するものでありますが、それだけで十分とはいいがたく、回遊性を高めることに焦点を当てた取り組みをスピーディーかつ積極的に進めていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 また、都は現在、Tokyo Tokyoと銘打ち、東京ブランドの発信を主に海外向けに行っています。Old meets Newのキャッチフレーズは、伝統と革新とを意味し、その効果に大きな期待が持たれるところです。
 東京の自然や文化、歴史に目を向けた観光客誘致につきましても、伝統的なアプローチと革新的なアプローチの組み合わせによる効果が期待されます。
 例えば、夜間に従来は閉鎖していた施設を活用する取り組みや、ICTなどの先端技術の活用、スポーツツーリズムなどの推進、ほかにも従来なかった新しい視点を持ったさまざまな取り組みなど、都としてぜひとも東京らしさを発信し得る革新的なアプローチを行う事業者等を支援する枠組みの創設を行うべきと考えます。
 そこで、東京ならではの最新技術を活用するなど、これまでにない新しい視点から、観光スポットの魅力づくりの支援や多摩地域の豊かな自然などの魅力を発信していくべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 最後に、豊洲市場について伺います。
 開場時期は来年の十月中旬とのことですが、いまだ開場日は決まっていません。業界との丁寧な調整を進め、可能な限り早期に開場日の決定を行っていただきたいと存じます。
 業界団体との調整に際しましては、これまでに寄せられたご意見やご要望に都として真摯に向き合っていく必要があります。
 例えば、都は、九月七日付で東京魚市場卸協同組合から要望書をいただいており、それらについて、都から一旦は回答が行われておりますが、このことはさきの代表質問でも触れさせていただいたとおりです。
 業界団体からの要望は、組合員が安心して事業を営む環境を豊洲市場に整えるためのものであり、ぜひとも東京都として前向きかつ積極的な検討、調整を進めていただきたく存じます。
 一方で、円滑な市場移転のためには、個々の事業者にも移転のための準備を進めていただく必要があります。十二月五日の市場移転に関する関係局長会議でも、事業者が移転に向けて取り組まなければならない作業への支援体制の整備について市場長から説明がありました。
 そこで、個々の事業者にきめ細かく寄り添った形での支援体制がどのような形で整備されるのかにつきまして、その詳細をお伺いします。
 なお、現在、市場との取引のある関係者、例えば場外市場業者などの方々から豊洲新市場の視察に関する希望があると聞いておりますが、開場後のスムーズな商取引の継続を見据え、ここでもきめ細かな対応をお願いしたいことを申し添えて、豊洲市場に関する質問を終わります。
 さて、本日が私の都議会一般質問、初舞台となりました。都知事が掲げる東京大改革に共感をし、議員になってからこの間、さまざまなことがありました。事あるごとに意識を向けるのは、立ち返るべき原点を忘れてはいけないということです。都民ファースト、都民のための政治を行う、何かを変えてほしいと託してくれた都民への思いに応えられるよう、励んでまいりますことをお誓い申し上げ、私の質問を終えます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の初めての一般質問にお答えいたします。
 私には、多摩地域の目指すべき姿についてのお尋ねがございました。
 グランドデザインでは、二〇四〇年代の東京の新しい姿とその実現のための戦略などを打ち出してまいりました。
 例えば、人、物、情報の自由自在な交流を実現する、持続的な成長を生み、活力にあふれる拠点を形成する、あらゆる人々の暮らしの場を提供する、このような戦略を展開してまいります。そして、特色ある東京のさまざまな地域で多様な住まい方、働き方、憩い方を選択できる都市を目指してまいります。
 多摩地域には、高い技術力を持つ企業や大学の集積、圏央道による首都圏一帯との強いつながり、職と住との近接、豊かな自然環境や地域資源などの強みや魅力がございます。
 ご指摘の多摩地域では、このような特徴を生かしながら、ものづくり産業など新たなイノベーションを創出してまいります。南北、東西を結ぶ骨格幹線道路など交通ネットワークを強化して、拠点間の連携を促進してまいります。今ある貴重な緑を守ってまいります。空き家の活用などを進めて、豊かな地域資源も生かしながら、多様なライフスタイルに対応した住み、働く場を提供してまいります。
 このような取り組みを進めまして、多摩地域独自の魅力を磨き上げまして、持続的な発展につなげてまいりたい、このように考えております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 自然環境共生域における都市づくりについてでございます。
 グランドデザインでは、圏央道の外側などの豊かな自然環境や地域資源に恵まれた地域を自然環境共生域と位置づけ、地域の特色を最大限活用して、多様なライフスタイルに対応した将来像を描き、その実現に向けた取り組みを示してございます。
 具体的には、山岳、清流などの自然環境や温泉、地酒などの地域資源を活用しながら、滞在施設や交通アクセスを充実させ、観光交流を促進してまいります。また、豊かな自然を楽しみながら、住み、働く場を提供できるよう、空き家を活用したサテライトオフィスの立地誘導などを図ってまいります。
 こうした取り組みにより、多摩地域の魅力を発揮し、発信させながら、東京全体の価値の向上につなげてまいります。
〔環境局長和賀井克夫君登壇〕

○環境局長(和賀井克夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、御岳山の多様な魅力を伝える取り組みについてでございますが、御岳山は、豊かな自然環境はもとより、農林水産業や山岳信仰など、自然と人の営みの関係性が色濃く見られることが魅力の一つでございます。
 こうした魅力を訪れる人々に十分に伝えることは重要でございまして、このため、来年度から指定管理者制度を導入する機会を捉え、山上のビジターセンターと御嶽駅前のインフォメーションセンターの機能強化を図ってまいります。
 具体的には、大型パネル等を用い、地域の産業と自然のかかわりを紹介するとともに、地酒等の地域特産物を販売するなど、御岳山の多様な魅力を積極的に発信してまいります。
 次に、御岳エリアにおける地域連携の構築についてでございますが、御岳山の自然や景観を守り、その魅力を内外に広く伝えていくには、ソフト、ハード両面からのインバウンドの受け入れ環境の整備、魅力を伝えるイベントの実施や積極的な情報発信等が重要でございます。
 そのためには、地域にかかわる多様な主体が連携することが有効であり、今後、地元の理解を得ながら、関係する複数の自治体や観光協会、交通事業者、住民等をメンバーとする意見交換や実施事業の企画を行う場の設置について検討を行ってまいります。
 最後に、自然環境に関する情報発信等の拠点の必要性についてでございますが、東京の自然公園ビジョンの検討の過程では、東京都自然環境保全審議会において、自然環境の状況を的確に把握し、情報の収集、分析を行う場の一つとして、自然史博物館の必要性について議論がなされたところでございます。
 これを受け、ビジョンでは、都心部における自然公園に関する情報の収集や発信を強化することとしております。
 今後、施策を推進する中で、拠点の必要性も含め、より多くの人々に東京の自然公園の魅力や価値を伝えていくための効果的な情報発信のあり方等について、検討を行ってまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩地域の観光地をめぐる交通手段についてでございますが、東京に多くの旅行者を誘致するためには、多摩地域の魅力ある観光スポットを効率的に周遊するための仕組みづくりが重要でございます。
 このため、都は、多摩地域でバスやタクシーなどの交通機関を利用して、観光スポットを円滑に移動するためのモニターツアーや実証実験を行うとともに、新たな交通手段として、小回りのきく電動アシスト自転車の活用に向けた検証を行っているところでございます。
 今後は、これらの結果を自治体や交通事業者等の関係者と共有し、地域の交通事情に応じて、複数の交通手段を組み合わせることで、効率的に観光地をめぐる方法について検討いたします。
 こうした取り組みにより、多摩地域の観光振興を着実に進めてまいります。
 次に、新たな視点からの地域の観光振興についてでございますが、最新の技術や新たな発想を観光資源の開発やその魅力の発信に積極的に取り入れていくことは、さらなる集客につなげるために有効な取り組みでございます。
 都は今年度、美しい景観が広がる多摩地域の観光スポットに参加者を集め、撮影した写真をインスタグラムで効果的に拡散する交流型イベントを新たに実施いたしました。また、桜やもみじ等の自然などを夜間でも楽しめるよう、ライトアップに取り組む観光協会等を支援しております。
 今後は、最新の映像技術であるプロジェクションマッピングや近年話題のグランピングなど、民間事業者等が行う新たな取り組みに対する支援や、三百六十度動画など臨場感のある映像を用いた魅力の発信の充実を検討し、多摩を初めとする都内各地への誘客を一層進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 個々の事業者への支援体制についてですが、豊洲市場への円滑な移転を進めるには、市場業者の行うさまざまな準備作業をきめ細かく支援する必要がございます。
 このため、都では移転準備に係る相談体制を強化するなど、市場業者が準備をしやすい環境を整えているところでございます。
 具体的には、今月中に造作工事の相談窓口を増設するほか、来年二月を目途に引っ越し相談窓口を再開し、個々の事業者の状況に応じてきめ細かく支援してまいります。
 また、豊洲市場での造作工事や習熟訓練等をより実施しやすくするため、年末年始を除き、土日祝日も市場への入場を可能とし、入場時間を二時間延長したほか、今後入場可能なゲートを順次拡大してまいります。
 こうした取り組みを通じて、個々の事業者に丁寧に寄り添いながら、円滑な移転のための準備作業を支えてまいります。

○議長(尾崎大介君) 九十一番桐山ひとみさん。
〔九十一番桐山ひとみ君登壇〕

○九十一番(桐山ひとみ君) 都市計画道路について。
 西東京三・三・一四号線の取り組み状況について、多摩地域が魅力と活力にあふれ、一層発展するためには、都民生活を支える道路ネットワークの整備が重要であります。
 地元西東京三・三・一四号線は、都心部から放射七号線を経て埼玉県新座市につながる幹線道路で、現在、練馬区内放射七号の外環自動車道練馬インターへと続く北園交差点から福泉寺通りまでの整備が順調に進んでおり、西東京三・三・一四号線も練馬区境から調布保谷線までが既に完成をしています。
 第四次事業化計画では、西東京市三・三・一四号線の残る約四百三十メートルの未整備区間が優先整備路線に位置づけられており、この区間の整備は、第四次事業化計画の検証項目二の都県間ネットワークの形成とあるように、都県境を越えた都市間の連携交流についても強化していく必要があり、多摩地域の発展にも寄与する路線であります。
 また、この路線は、青嵐中学校の南門に接することから、整備により歩道ができることで、通学路として生徒の安全性が向上することは承知をしていますが、地元中学校との連絡を密にとっていただきまして、安全・安心にご配慮いただきますようよろしくお願いいたします。
 あわせて、中学校は災害時の避難広場にも指定されているために、避難路として地域の防災性も向上することを期待しています。
 そこで、西東京三・三・一四号線の事業化に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、西東京三・三・三号線の取り組み状況について。
 多摩東西の主要四路線の一つであります新五日市街道について伺います。
 西東京市の新五日市街道である西東京三・三・三号線は、西武新宿線の南側に計画をされ、過去には第二次事業化計画で選定されましたが、第三次事業化計画には選定されなかった路線であり、再び第四次事業化計画で東京都施行の優先整備路線となっています。
 また、西武新宿線田無駅と南部地域を南北に結ぶ西東京三・四・二四号線は、このたび市施行の優先整備路線であり、西東京三・三・三号線と接続をします。このため、西東京三・三・三号線の整備は、周辺道路ネットワークを強化し、田無駅南口のまちづくりに大きく貢献することから、多くの市民が待ち望んでおります。
 また、西東京三・三・三号線は、防災都市づくり推進計画の中で、広域的な都市構造から見て骨格的な防災軸の形成を図るべき路線とし、骨格防災軸に位置づけられており、市街地火災の延焼を阻止する機能のほか、震災時の避難経路、震災時の発生確率が高まっている中で、この地域の防災性の確保や安全・安心のまちづくりを進める上でも早期の整備が求められております。
 そこで、西東京三・三・三号線の事業化に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、鉄道立体化事業についてです。
 西武新宿線井荻から東伏見駅間の鉄道立体化事業については、西武新宿線の井荻から東伏見駅間は、いまだ数多く踏切が残されており、これらの踏切は慢性的な交通渋滞や踏切事故の原因となっています。このような問題を抜本的に解決するためには、複数の踏切を同時に除去する鉄道立体化事業が不可欠であります。
 本区間は、昨年三月に新規に着工準備する区間となったことを受け、本年三月に東伏見駅周辺まちづくり懇談会を設立しましたが、もともと東伏見駅周辺地域には鉄道立体化事業の強い意向があり、懇談会設立以前より市の担当者を招いて任意の勉強会を行うなど、積極的に取り組んでいます。現在は、懇談会の中で、東伏見駅周辺まちづくり構想策定に向けて地域の方々と意見交換を行うなど、検討を進めています。
 そこで、西武新宿線の井荻駅から東伏見駅間の鉄道立体化の取り組み状況について伺います。
 また、井荻駅から東伏見駅から先の鉄道立体化の検討対象区間である田無駅から花小金井駅間についても、特に西武柳沢駅第四号踏切の除却に対する強い要望があり、多くの市民から早期の対応が求められております。
 さらには、この二カ所の鉄道立体化の検討対象区間に挟まれる西武柳沢駅付近についても、第四次事業化計画の西東京市施行の優先整備路線である西東京三・四・一八号線の整備とあわせて鉄道立体化が進めば、それぞれの整備効果が格段に上がるものと思いますので、意見として述べさせていただきます。
 次に、都立公園について伺います。
 本年五月、都立公園の多面的な活用の推進について、東京都公園審議会から答申が出されました。
 都立公園を含む東京都内の公園面積は七千八百二ヘクタール、うち都立公園約二千二十二ヘクタールで、都民一人当たりでは五・七〇平方メートルとなっており、一人当たりの公園面積の目標にはいまだ届いていない現状です。
 都立公園の多面的な活用の推進については、都民の貴重な緑と防災機能といった重要な機能や地域資源も活用しながら、民間によるまちづくりと連携することで、都立公園が核となり、まちの魅力を高められることを期待しております。
 それらをベースに、都立東伏見公園について質問いたします。
 都立東伏見公園は、西東京市東部に位置する新しい都立公園です。公園の近くには、早稲田大学のキャンパスや古く縄文時代から人々の活動拠点としての環状集落があるとされ、国の史跡として指定をされた下野谷遺跡、特別緑地保全地区に指定されている東伏見稲荷神社の森や石神井川が隣接するなど、緑と水に恵まれた立地条件にあります。
 都立東伏見公園は平成十三年に整備計画が策定され、道路、河川、公園が一体となった水と緑の都市空間が創出されることとなりました。
 今後、南側には石神井川が流れる恵まれた環境を生かした整備を進めていくことで、さまざまなレクリエーションが楽しめ、災害時にはさまざまな活動の拠点としての役割を果たす公園となっていきます。
 現在、検討が進められている東伏見駅周辺まちづくり構想や、柳沢駅周辺においても東伏見公園に対する地域の期待も高まっています。
 そこで、東伏見公園の整備事業の進捗について伺います。あわせて、今後どのような公園を目指していくのか、ご所見を伺います。
 また、未整備エリアである東側には多くの地権者がいる中で、事業認可の取得の手続など、まだ先は長いように見受けられます。今後、時代の経過とともに、近隣施設の状況や地元市のさまざまなニーズ変化に伴い、要望も変化してくると思われます。
 今回の都立公園の活用にも民間連携によるまちづくりがあるように、西東京市には公園に強い思い入れのある多くの市民が活発で多様な活動を行政との協働で実践をしています。
 まちづくりを進めていく中での時代のニーズに即した整備計画の見直しなども視野に入れながら、取り組みを行っていただきたいことを要望しておきます。
 次に、二〇二〇東京大会機運醸成についてです。
 オリンピック・パラリンピックを東京にて成功させるために、さまざまな取り組みを現在行っております。何をもって機運醸成とするのか、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催は知っていても、区市町村がどのように盛り上げていくのか、さまざまな意見もあります。
 大会まで千日を切った今、競技施設のある自治体や近隣自治体だけでなく、機運を盛り上げていくために、今後とも区市町村へのさまざまな後方支援をしていただきたいと思います。
 さて、その中でも参加型の取り組みでは、都市鉱山からつくるみんなのメダルプロジェクトがあり、知事もオリンピック・パラリンピックイベントで必ずPRされております。プロジェクト参加自治体は、九月一日で自治体の九割の千百三十六自治体が参加をしております。
 プロジェクト開始から八月末の集計では、全国参加自治体による回収が五百三十六トン、NTTドコモの回収が百三十万台と発表されていますが、いまだ目標に達成する五千個までの到達レベルが公表されておりません。
 さらなるモチベーションを高めるためにも、組織委員会への公表要請を引き続きお願いしたいと思っております。
 さて、もう一つの参加型は、みんなでラジオ体操プロジェクトです。ラジオ体操は、ご承知のとおり国民の体操であり、いつでもどこでも誰でもできる体操として、広く今でも愛されており、全国ラジオ体操連盟を中心に各自治体に広く浸透しています。
 知事が発信することにより、ラジオ体操のイメージも明るく新しいものに感じるようになっております。東京都ではイベントで行ったり、大会開催期間を重点期間と位置づけ、都庁職員もこの夏に毎日ラジオ体操を実施されたと承知しています。職員の皆さんも、最初は嫌々だったとしても、音楽が流れて仕方なく動いていたとしても、リフレッシュできていたのではないでしょうか。知事からは、議員もやればと聞こえてきそうです。
 知事、ぜひとも職員の健康を考えたなら、毎日続けた方がいいと思っています。ラジオ体操は、今では世界各国で普及され、オリンピック・パラリンピックにも参加型としてみんなで盛り上がるものになることを期待しています。
 そこで、みんなでラジオ体操プロジェクトを開始した意図と、これまでの取り組み、オリ・パラ機運醸成とあわせ、知事のご所見を伺います。
 最後に、子供の体力の低下についてです。
 近年、子供の体力の低下の原因は、保護者を初めとする国民意識の中で、外遊びやスポーツの重要性を学力の状況と比べ軽視する傾向が進んだことにあるといわれています。
 また、生活の利便化や生活様式の変化は、日常生活における体を動かす機会を減少しております。
 外で遊んだり、スポーツに親しむ機会を意識して確保していく必要があり、保護者が子供の体力の低下を認識することも大事なことです。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技向上の陰に隠れ、子供たちの体力の低下を大変心配しております。
 最後の質問ですが、東京都の公立小中学校の児童生徒の体力は、小学生においては全国平均を上回っているものの、中学生は全国平均に比べて低い水準にあります。
 そこで、特に中学生の体力向上策の現状と今後の取り組みについて伺います。
 以上、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 議員が一番よくご存じのみんなでラジオ体操プロジェクトについてのご質問がございました。
 ラジオ体操は、誰もが知っています。そして、いつでもどこでも一緒にできる、手軽で身近な運動であります。
 こうした特性を生かして、都民、国民の健康増進と二〇二〇年大会の機運醸成につなげようと、この夏、みんなでラジオ体操プロジェクトを開始したところでございます。
 二〇二〇年大会の開催期間を浸透させるためにも、都庁におきましては、七月二十四日から九月六日までの間、平日毎日午後二時五十五分からラジオ体操を実施したところでございます。
 また、都内の企業を初め、各道府県にもラジオ体操の動画の作成を呼びかけました。その結果として、現在までに五つの企業、そして八府県から、職場や観光名所などで知事や職員、ゆるキャラなどがともに体操する動画の提供がございました。そして、それを順次東京動画のサイトに掲載をしているところでございます。ぜひ一度ごらんいただければと存じます。
 今後も、都民、企業、自治体など、多くの方々にこのラジオ体操プロジェクトへの参加を呼びかけまして、運動を通じた健康づくりの推進、そして二〇二〇年大会への期待感を全国に広げていく、この二つの目的に向かって続けてまいりたいと存じます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 中学生の体力向上についてでございますが、体力は人間のあらゆる活動の源であり、生涯にわたり健康で充実した生活を送る上で極めて重要であります。
 そのため、都教育委員会は、平成二十七年度に体力向上計画を策定し、二〇二〇年大会までに中学生の体力を全国平均まで向上させることを目標として、六十二校の研究校を指定いたしました。
 これらの研究校では、運動が苦手な生徒でも楽しく参加することができる運動プログラムや、大学と連携しながら投げる力を高める指導方法などを開発しており、体力の着実な向上が見られております。
 今後、目標の達成に向け、こうした実践を全中学校に普及するとともに、各校の取り組みの成果を検証し、二〇二〇年大会以降も体力向上の取り組みが一層推進されるよう、次期計画策定に向けた検討を進めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、西東京三・三・一四号線の取り組み状況についてでございますが、本路線は、都県境を越えた広域的な道路ネットワークの一部を形成し、交通、物流機能の強化、災害時の迅速な救急救援活動等を確実に行う上で重要な路線でございます。
 このうち、調布保谷線から埼玉県新座市までの延長約四百メートルの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に選定いたしました。
 本区間では、埼玉県と整備時期等の調整を行いまして、昨年六月、測量及び事業概要説明会を開催し、現況測量を実施いたしました。現在、用地測量を進めており、今年度内の事業化を予定しております。
 引き続き、埼玉県と連携を図りながら、多摩地域、さらには都県境の道路ネットワークの整備に向けまして、着実に取り組んでまいります。
 次に、西東京三・三・三号線の取り組み状況についてでございますが、本路線は、多摩地域における東西方向の主要な幹線道路であります新五日市街道の一部を形成し、交通の円滑化や防災性の向上に寄与する極めて重要な路線でございます。
 このうち、西東京市内におきましては、青梅街道から小平市境までの約二・六キロメートルの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に選定いたしました。
 本区間では、蛇行している石神井川と六カ所で交差しているため、河川計画との整合や幹線道路である青梅街道との接続方法など整理すべき課題がございまして、昨年度に航空測量を実施し、その成果に基づきまして、今年度道路の概略設計に着手いたしました。
 今後、道路構造等の検討を重ねますとともに、関係機関との協議を進め、事業化に向け取り組んでまいります。
 次に、西武新宿線の井荻駅から東伏見駅間の鉄道立体化についてでございますが、この区間には、あかずの踏切が十二カ所あるほか、都市計画道路が五カ所で交差することとなり、鉄道立体化による踏切解消が必要でございます。
 本区間では、外環ノ2などの関連する道路の整備計画が具体化するとともに、上石神井駅や東伏見駅周辺などにおきまして、沿線区市によるまちづくりが進められております。
 連続立体交差事業の効果を高めるためには、本事業と並行しまして、地元区市が駅前広場や関連する街路など、まちづくりに着実に取り組むことが重要でございます。
 現在、構造形式や施工方法の検討を進めておりまして、今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携いたしまして、事業化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、東伏見公園の整備事業の進捗についてでございますが、本公園は、西東京市南東部に位置する計画面積約十三・七ヘクタールの都市計画公園でございまして、区域内に石神井川が流れ、水と緑のネットワークの拠点として、また、災害時には避難場所ともなる重要な公園でございます。
 これまで道路、河川事業と一体となって整備を進めまして、平成二十五年度に約二・七ヘクタールで新規開園いたしました。現在の開園面積は約三・九ヘクタールとなっておりまして、園内にはアスレチック遊具や多目的広場等を有し、子供の遊び場や都民の憩いの場として親しまれております。
 現在、用地取得を進めるとともに、開園部分南側におきまして、園地造成のための基盤整備工事に取り組んでおります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、東伏見公園の整備を着実に推進してまいります。
 最後に、東伏見公園の将来像についてでございますが、都は、東京都公園審議会の審議を経て、それぞれの公園ごとに将来の姿を示す整備計画を策定しておりまして、整備に当たりましては、その計画を基本としつつ、社会状況の変化に対応して公園が持つ多面的な機能を一層発揮できるよう取り組むことが重要でございます。
 本公園の整備計画におきましては、道路、河川、公園が一体となった潤い空間を創出することなどが位置づけられておりまして、これを踏まえ、親水空間を形成する緩傾斜護岸への改修や四季を彩る草花を植栽する広場等を整備することとしております。
 今後、地元市が進める公園周辺のまちづくりの動向や地域のニーズも踏まえながら、本公園の持つポテンシャルを最大限発揮できるよう、整備に取り組んでまいります。

○議長(尾崎大介君) 十六番細田いさむ君
〔十六番細田いさむ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(細田いさむ君) 初めに、豊洲市場、千客万来施設について質問をいたします。
 豊洲市場は、HACCPの視点に立った高度な品質衛生管理施設を整備するなど、世界基準を満たす市場として、大きな期待が寄せられています。
 その魅力をさらに高めるために、安全・安心対策を講じた上で早期に移転を実現していくことが極めて重要であります。そのために、風評被害の払拭や千客万来施設の整備を確実に実施しなければなりません。
 千客万来施設を早期に開業させることは、非常に重要な意味を持ちます。このことは、豊洲市場を受け入れる地元江東区と都が約束をしたことでもあります。
 また、同施設の開業は、豊洲市場と一体となって市場の魅力を発信することにつながるのと同時に、豊洲のまちに新たな活気やにぎわいを生み出し、地域の住民を初め、多くの都民や豊洲を訪れる人々を喜ばせるものになります。開業に向けて早期に進めていかなければなりませんが、現在も停滞をしたままであります。
 事態の打開に向けては、知事がみずから江東区や事業者に働きかけることも必要であります。江東区と約束をした事業が確実に進捗をするよう、千客万来施設のオープンに向けて都として最優先で取り組んでいくべきですが、知事の見解を求めます。
 次に、東京メトロ有楽町線、地下鉄八号線の延伸について質問をします。
 知事が取り組んできた快適通勤の実現は、時差ビズやテレワークの試行を初め、経済界等の各団体の協力も取りつけてムーブメントが創出されつつあります。
 都内の鉄道において、ピーク時の混雑率が一八〇%を超える個別路線には、実効性の高い混雑緩和が求められていますが、車内の混雑率が日本一の路線は、東京メトロ東西線であります。その区間は江東区の木場駅から門前仲町駅の間であり、平日の朝、七時五十分から一時間の平均は一九九%に上り、最混雑時には、電車が揺れるたびに体が斜めになり、身動きがとれないほどで、利用者は身の危険すら感じ、そのストレスははかり知れません。
 この日本一苛酷な混雑の緩和なくして、知事が掲げた満員電車ゼロの達成はありません。そのために取り組むべき計画の一番は、東京メトロ有楽町線、豊洲―住吉間の延伸計画であると私は考えております。
 有楽町線の豊洲駅から東西線の東陽町駅、そして半蔵門線と都営新宿線の住吉駅を南北につなぐ有楽町線が延伸されることにより、東西線のバイパス路線として機能し、日本一の混雑率が大幅に改善されるといわれています。
 また、地下鉄八号線の延伸は、豊洲市場の開場への条件として、平成二十三年に当時の副知事が江東区を訪問し、最大限の努力を傾注していく決意であると江東区と約束をした経緯もあります。
 都の広域交通ネットワーク計画、国の交通政策審議会の答申において大変に高い評価を得ていますが、いまだに事業化に向けた道筋は立っておりません。
 今後、市場の移転や東京二〇二〇大会など、臨海地域を取り巻く環境が劇的に変化していく中、交通路線の拡充は不可欠です。
 そこで、東京都が関係機関と具体的に調整を進めて、この事業を早期に実現させるべきであると訴えますが、知事に答弁を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 都民生活に関する世論調査での都政への要望は、防災対策が四九%でトップです。安全・安心の防災対策は着実に進めなければなりません。
 都政の事業継続計画、BCPは、都議会公明党の提案により、平成二十年十一月に策定されました。都は、策定以降現在までの間、東日本大震災を踏まえ、平成二十六年七月の東京都地域防災計画の修正や、平成二十八年三月、首都直下地震等対処要領改定などを実施してきました。
 さらに、平成二十八年の四月、熊本地震の際には、発災後の職員参集、安否状況の把握や業務執行体制の確保の重要性が改めて浮き彫りになりました。
 都政のBCPについては、これらの課題等を踏まえた内容へ見直しを行い、新たに改定をしていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、都は、平成二十二年一月には、区市町村事業継続計画・地震編の策定ガイドラインを示し、BCP策定を進めてきました。しかし、策定の支援から七年を経ますが、区市町村版BCPの策定は五分の一の自治体ができておりません。いまだ策定が進まない区市町村版BCPの策定の推進に向けた今後の取り組みについて、見解を求めます。
 次に、産後ケアについて質問します。
 都議会公明党は、一貫して妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援の必要性を主張してまいりました。
 これを受けて都は、平成二十七年度より、ゆりかご・とうきょう事業を開始いたしました。事業実施三年目となり、区市町村での産後ケア拡充など、産後間もない時期の母子への支援がますます必要とされる中、本年十月の東京都児童福祉審議会専門部会において、多くの区市町村で産婦健診や産後ケアが実施できるよう支援への緊急提言もありました。
 産婦健康診査により支援が必要な母子を早期に発見し、産後ケア等の支援を強化していくことは極めて重要であります。
 私は、江東区議のときに、専門の産科医師、産婦人科病院などを調査して、産後の母子健診を確実に行うことができれば、母子の健康、育児の不安、そして虐待の早期発見、早期治療へと確実につながっていくと確信をいたしました。
 一昨年には、健診の必要性から、必須事業での一人一万円までの育児パッケージの中に産婦健診の受診券も選択肢に入れるべきと訴えました。
 そこで、産後うつ等の予防の観点から、産婦健康診査について東京都としても支援をすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 都議会公明党が提案をし実現をした東京版ネウボラ事業により、都は産後ケア事業に取り組む区市町村を支援していますが、この事業は全ての妊婦を対象に、助産師、保健師などの専門職が面接をして必要に応じて支援プランを作成し、支援を実施することを規定しております。
 産後ケアの取り組みを、より一層推し進めるためには、産後ケアを先行して実施したいと考える区市町村に対する支援など、地域の実情を踏まえた支援策が必要ではないかと考えます。
 そこで、都は、都内で産後ケアの取り組みが広がるよう、区市町村の実情を踏まえて、支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩産材の利用について質問します。
 江東区の木場は、江戸から昭和にかけて、江戸東京へ材木を供給する材木のまちとして栄えてきました。現在も新木場が木材関連事業者の拠点となっています。
 わが国の森林は、杉やヒノキなどが成熟し、かつてなくふんだんに木材供給資源が整っています。健全な森林の育成、循環から、今は積極的に木材を利用しなければならないときであり、公共建築物等木材利用促進法のもと、収穫期を迎えた多摩産材が東京での地産地消の出番を迎えております。
 東京は、潜在的に大きな木材需要が期待できますが、木造化された公共建築物はいまだに少なく、国産材の利用も不十分であり、林業が安定的に経営を続けていける状況ではありません。
 江東区や港区では、都の利用推進方針に基づき、区として独自の木材利用推進方針を定めて、公共施設の建築や改修での木材の使用に取り組んでいます。
 木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌ざわりを感じる心地のいい空間ができます。また、子供の心の安定にもつながり、環境教育にもなります。
 区市町村が公共建築物整備で新築や改築をするときに多摩産材の利用を促進すべきと考えますが、都内で法に基づく木材利用推進方針を樹立している区市町村はまだまだ少ないと聞いています。
 そこで、そうした実態の改善を目指して、都は区市町村で多摩産材の利用拡大の推進に向け積極的に支援をすべきと考えますが、答弁を求めます。
 いよいよ来年の秋には、第四十二回全国育樹祭が東京都で開かれます。健全で活力のある森林を育てて、次代に引き継ぐ大切さを伝えていく全国育樹祭を成功させるために、都は全国育樹祭の開催機運の醸成に向けた取り組みを実施していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、江東区での都市基盤整備、都営豊洲四丁目アパートの建てかえについて質問します。
 ここは、二ヘクタールを超える敷地があり、建築から半世紀を迎え、昨春より改築工事を行っていますが、東京二〇二〇大会のころに完了を予定している二期目の工事の後、北西側に約一ヘクタールの土地があくことになります。ここがどうなるのか、現在は明確ではありません。
 仮に都が民間に払い下げた場合、周辺と同様に分譲マンションができると、保育園の待機児童対策や小中学校の収容対策に大きく影響してきます。このエリアにおける新設マンションの児童出現率は戸数の四割に上り、二年前に新設の小学校は既に増築計画が策定されました。
 ここは豊洲地域に残される貴重な種地であり、公園が少ない臨海部において、防災公園、緑化などの地域貢献スペース、地域貢献施設の設置が可能な最後の空間です。
 そこで、民間に売却することは決してないように、公共に資する利活用を確実に実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、猿江恩賜公園南側の放射第三一号線、都道新大橋通りの拡幅整備について質問します。
 江東区議会公明党は、この十年間に何度も区議会の場で早急な整備を都に対して働きかけるよう要望してきました。
 その結果、昨年三月に第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけられました。この通りは幅員が二十七メートルの計画道路ですが、現在の幅員は二十二メートルであり、残りの五メートルの拡幅が必要です。
 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のホームともいえる劇場で千二百名以上の収容が可能な江東公会堂から都営新宿線住吉駅までの道のりのほとんどは、貴重な広域避難場所でもある都立猿江恩賜公園の敷地と隣接をしています。
 このため、安全・安心に向けて、また文化芸術の振興に向けて、早期に拡幅整備をすべきと考えますが、都の見解を求めて質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 細田いさむ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、千客万来施設についてのお尋ねでございます。
 千客万来施設事業は、豊洲市場と一体となって豊洲ならではの活気、にぎわいを生み出す事業、そして、都として最優先に取り組むべき課題、このように認識をいたしております。
 そのため、都といたしまして、千客万来施設の事業者に対しましては、双方で締結した基本協定にのっとって事業が進捗するよう、誠意を持って対応しているところでございます。
 こうした状況を、市場の受け入れ区である江東区に対しましても丁寧に説明をし、理解を得られるように取り組んでまいります。
 これらの取り組みを一つ一つ積み重ねた上で、私自身、足を運ぶということも考えてまいりたいと思います。
 今後、新たな豊洲ブランドの構築に向けましては、地元の区とも知恵を出し合いながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 続いて、地下鉄八号線の延伸についてのお尋ねがございました。
 東京の持続的な成長を実現するためには、東京の強みである鉄道ネットワークを生かして、これをさらに充実させていくこと、これが重要でございます。
 地下鉄八号線の豊洲─住吉間は、東西線の混雑緩和はもとより、臨海地域の今後の発展などにも寄与する重要な路線であると認識をいたしております。
 都も、提案と働きかけを行った結果、国の答申におきまして、国際競争力の強化に資するプロジェクトの一つに位置づけられたところでございます。
 そして、現在、地元江東区などと連携をいたしまして、事業の採算性、費用の負担のあり方、事業主体の選定などの課題につきまして検討を行っているところでございます。
 今後とも、関係者間で連携をし、これらの課題の解決にしっかりと取り組んでまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 豊洲四丁目アパートの創出用地についてでございます。
 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の財産であり、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
 このような用地を活用し、都はこれまでも道路や公園などを整備するほか、定期借地権を設定して福祉施設の整備やにぎわい機能の導入を図るなど、地元区市の要望も踏まえ、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、お話の豊洲四丁目アパートを初めとする都営住宅の建てかえにおいては、地元区市と連携し、社会経済情勢や都民ニーズの変化を的確に捉え、創出用地の有効な活用を図ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都政のBCPの改定についてですが、都政のBCPについては、東京都地域防災計画の修正や首都直下地震等対処要領の改定、熊本地震の際に得られた知見等を踏まえ、現在、改定作業を進めており、年内を目途に公表する予定でございます。
 改定に当たっては、非常時の優先業務を発災からの時間軸に沿って詳細に整理するとともに、本部体制を継続するための基盤整備として、職員参集安否確認システムの各局への導入推進などを盛り込んでまいります。
 また、長期間持続可能な業務執行体制を確保していくため、職員の交代勤務の考え方をより明確化いたしました。
 さらに、訓練等を通じてBCPを検証し改善するBCMの運用を強化していくことにより、首都直下地震等災害への備えをより一層確実なものとしてまいります。
 次に、区市町村のBCP策定推進に向けた取り組みについてですが、都は、平成二十二年一月、BCP策定ガイドラインを区市町村へ提供するなど、その策定を後押ししております。本ガイドラインの提供前の策定団体は、六十二区市町村のうち一団体のみでございましたが、平成二十九年六月一日現在、五十一団体まで増加しております。
 BCPを策定していない団体は、火山噴火、津波等、想定される災害の状況が多様であることなどの課題があることから、今後、これらの団体に対して個別に状況をヒアリングし、その要因を把握した上で当該団体の実情に応じて対応するなど、BCP未策定の団体を支援してまいります。
 なお、今後、都のBCP改定に合わせて、改定したガイドラインを区市町村へ提供してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず産婦健康診査についてでありますが、産後うつの予防や新生児への虐待予防を図るためには、妊娠期から支援が必要な家庭を発見し、支援につなげる仕組みが必要でございます。
 そのため、都は、全ての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行い、各家庭の状況を把握した上で必要に応じて支援プランを作成し、継続的な支援を行う区市町村をゆりかご・とうきょう事業を通じて支援をしております。
 本年十月には、児童福祉審議会専門部会から、産婦健康診査など、産後間もない時期の母子に対する支援をさらに強化するよう緊急提言をいただいたところであり、今後、多くの区市町村が産婦健康診査を実施できるよう、都としての支援策を検討してまいります。
 次に、産後ケア事業についてでありますが、産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支えるため、退院直後の母子に対し、保健指導、母親に対する療養上の世話や心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポート等を行う取り組みでございます。
 都は、先ほど申し上げたゆりかご・とうきょう事業で、育児パッケージの配布や専門職による妊婦等への面接等とあわせて産後ケア事業を行う場合に独自に支援をしておりまして、今年度は十二の区市から申請が出されております。また、国の事業を活用して、四区が産後ケア事業を実施しております。
 今後、より多くの区市町村が産後ケア事業に取り組めるよう、支援の充実について検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、区市町村での多摩産材の利用拡大についてでございますが、多摩産材の認知度向上と需要拡大を図るためには、多くの都民が利用する公共建築物の整備において多摩産材の活用を推進することが重要でございまして、都はもとより、区市町村の主体的かつ積極的な取り組みが必要でございます。
 このため、都は、区市町村に対し、説明会を通じて、区域内の公共建築物への木材利用を促進する方針の策定を働きかけるとともに、多摩産材を円滑に調達できるよう、多摩産材情報センターを設置し、製品に関する情報提供や製材所等とのマッチングを実施しております。
 今後は、こうした取り組みに加え、区市町村における木材利用促進方針の策定と公共建築物への多摩産材の活用を一体的に進める具体的な支援策を検討するなど、区市町村での多摩産材のさらなる利用拡大を図ってまいります。
 次に、全国育樹祭の開催機運の醸成についてでございますが、全国育樹祭は国民的な森林と緑の祭典であり、その開催機運を醸成していくことは、森林整備や木材利用に対する都民の意識を高める上で極めて重要でございます。
 都はこれまで、育樹祭のプレイベントとして、林業や木材利用の新たな可能性等に関するシンポジウムのほか、多摩の森林に親しむ宿泊体験ツアーを開催するなど、森林の重要性やその魅力を伝えるためのさまざまな機会を提供してまいりました。
 今後は、より幅広い世代の多くの都民が参加できるよう、多摩産材を活用した親子木工体験や、都立公園などの身近な場所での樹木の手入れを体験できる都民育樹行事を都内各地で展開するとともに、全国の地域材を活用した木材製品の展示会を開催するなど、育樹祭の開催機運の醸成に向け、取り組みを強化してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 放射第三一号線の拡幅についてでございますが、本路線は、都心から千葉県境を結ぶ幹線道路でございまして、人や物の流れを円滑化いたしますとともに、災害時の救助救援活動など、防災性の向上にも資する重要な路線でございます。
 このうち、第四次事業化計画の優先整備路線であります猿江恩賜公園付近の四百六十メートルの区間は、地下鉄住吉駅に近接し、歩行者が多いことから、現道の新大橋通りを拡幅し、無電柱化を図ることで、安全で快適な歩行者空間が確保されます。
 本区間では、交通量の多い放射第三十二号線との交差点処理等につきまして検討が必要であり、今年度着手いたしました概略設計をもとに、今後、交通管理者等との協議を進めてまいります。
 引き続き、地元区や関係機関と調整を図りまして、早期事業化を目指し、積極的に取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) 十二番伊藤しょうこう君。
〔十二番伊藤しょうこう君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○十二番(伊藤しょうこう君) 都議会自民党の伊藤しょうこうです。初めての一般質問となりますが、我が会派の掲げる謙虚に愚直に全員野球をモットーに、都政発展に全力を尽くす所存です。
 初めに、多摩地域の振興と知事の基本姿勢についてお尋ねします。
 四百万都民が暮らす多摩地域は、緑豊かな自然や各地区の誇る伝統文化、特色ある産業などを有しています。その一方で、不十分なインフラや過疎化による人口減少など、区部とは異なる課題がありますが、いずれにせよ、多摩の振興は東京の将来の発展に不可欠です。
 さて、国政も地方政治も、民の声をどのように代弁するかが共通の大事な役割です。しかし、公務多忙の中、知事が都民一人一人の声を受けとめるのは、物理的に不可能であります。よって、多摩地域のみならず、都民の声を都政の政策に反映させるには、四十二の選挙区から都民に選ばれた都議で構成する議会の発言や、住民に身近な市区町村の声にも真摯に耳を傾けていただく姿勢が重要です。
 先日の所信表明によると、今後は都政に専念していただけるとのことですが、多摩地域の都民の声をどのように受けとめ、多摩の振興を図っていくのか、知事の基本姿勢を伺います。
 次に、多摩の振興プランの実行、推進体制についてお尋ねします。
 技術革新や規制緩和など、都政を取り巻く環境の変化に対応するため、オリ・パラとその先の未来への道筋を示す二〇二〇年に向けた実行プランと、二〇四〇年代の都市像実現を目指す都市づくりのグランドデザインを策定いたしました。
 そして、これらの計画を多摩地域に特化した視点で整理し、目指すべき地域像や施策の方向性を示したものが、九月に公表された多摩の振興プランです。
 どの施策も必要な内容と理解しますが、計画は実行してこそ意味があり、地域の実情を踏まえた具体的な取り組みが期待されます。
 過去には、多摩地域担当副知事を設けて課題に専念させるという知事候補もおりました。また、都庁には優秀な職員がたくさんおられますが、新宿の本庁舎にいたのではわからないこともあります。気候や風土、各地区の住民も多様である多摩地域の現場になるべく出向いて、実態を肌で感じていただきたいと存じます。
 そこで、多様な特性を抱える多摩地域の課題解決に向け、多摩の振興プランをどのように実行していくのか伺います。
 続いて、多摩地域の道路交通ネットワークの充実強化に向けて、都市計画道路の整備状況と今後の取り組みについてお尋ねします。
 多摩地域の振興のためには、骨格幹線の整備が不可欠です。都は、南北主要五路線並びに東西主要四路線を初め、都市計画道路を整備してきましたが、整備率は六割と道半ばの状況です。
 このため、昨年、第四次事業化計画を策定しましたが、多摩地域の都計道の整備状況と今後の取り組みについてお答えください。
 次に、北西部幹線道路について伺います。
 道路が持つ機能としては、円滑な交通処理や物流の確保、良好な都市空間の創出とともに、災害時の緊急輸送路としての役割も重要です。多摩地域に不足する幹線機能を確保し、東京西南部の流通業務拠点となる川口物流拠点へのアクセス道路となるのが、優先整備路線に位置づけられた八王子都市計画道路三・三・七四号線、通称北西部幹線道路です。
 昨年十二月には、圏央道八王子西インターチェンジがフル機能化され、本路線の早期整備効果は、八王子北西部の交通利便性とともに防災性も高まるなど、重要性は極めて大きいものとなっています。
 そこで、北西部幹線道路の事業化に向けた取り組み状況についてお答えください。
 あわせて、都道美山通りの復旧状況についてもお尋ねします。
 ことし十月の台風二十一号の大雨により、八王子市の戸沢峠で斜面崩壊が発生し、美山通りが現在も通行どめとなっています。この影響で周辺の大渋滞が発生し、都民生活にも大きな支障が出ました。
 この間、建設局や地元市も早期復旧に向けてご尽力をいただき、感謝を申し上げます。また、災害対応として、圏央道あきる野インターチェンジから八王子西インターチェンジが暫定無料と対応いただきましたが、師走を迎えて、早期復旧に向けて地元や沿道利用者の声は大きいものがあります。現場作業の安全確保が第一ですが、早期復旧に向けての今後の見通しをお尋ねします。
 続いて、多摩ニュータウンの再生についてお尋ねします。
 多摩ニュータウンは、人口約二十二万人を擁する四市にわたる複合拠点です。昭和四十五年から、東京都や都市再生機構など複数の事業主体によりさまざまな住宅が建設され、新住宅市街地開発事業などは平成十八年に完了しました。当初は東京のベッドタウンとして計画されましたが、その後、新住法が改正され、近年は職住近接型のまちに変貌しております。
 しかし、入居開始から四十五年が経過し、初期入居地区を中心に、高齢者の増加と少子化、施設の老朽化などの問題が顕在化しております。
 このような状況を踏まえ、都は全体の再生に向けた多摩ニュータウン地域再生ガイドラインの素案を先月末に公表し、年度末には正式に策定される予定です。
 素案によると、ガイドラインは、地元市などによるまちづくりを技術的に支援していくためのものであるとのことですが、具体的にはどのような支援を行うのか、お答えください。
 次に、広域行政として都が果たす役割についてお尋ねをいたします。
 そもそも多摩ニュータウン事業は、高度経済成長期の大量住宅供給を目的に、多摩丘陵が選ばれ開始されました。すなわち、受け入れた地元市や住民がみずから望んだわけではなく、先祖伝来の土地を手放し、職業も変え、大規模な変化を受け入れてきました。
 確かに、事業そのものは終息し、再生の取り組みも一部ではスタートしております。また、整備が終わった後は、地元市が主体的にまちづくりを進めていく基本ルールとなっておりますが、当初の事業主体であった東京都も、再生に向けて、当事者としての意識が欠かせないと考えます。
 そこで、都は技術的支援にとどまらず、ニュータウン再生に向けて積極的に関与すべきと考えますが、どのように対応するのか、見解をお聞かせください。
 続いて、医療、福祉政策に関して、発達障害児の支援についてお尋ねをいたします。
 自閉症、アスペルガー症候群、学習障害などの発達障害のある子供は、早期から発達段階に応じて一貫した支援を行うことが重要です。早期に適切な支援を受けられないと、就学後の学習面や生活面にさまざまな困難を抱え、情緒不安や不適応行動などの二次障害が生じることもあります。
 私の身の回りでも発達障害の相談がふえていることを実感いたしますが、障害の種類や程度は、年齢や性格によってもあらわれ方が違うため、生活で困難なことや苦手なことも人それぞれであるようです。同時に、保護者の方のご苦労も多いため、特性に応じた配慮や支援が重要です。
 よって、発達障害児のライフステージに応じて、本人やご家族に身近な地域できめ細かい支援を行うべきと考えますが、都の取り組みをお尋ねします。
 また、東京都は、発達障害に対する総合的支援を行う拠点として、発達障害者支援センター、TOSCAを平成十五年に世田谷区に設置しました。本人や家族からの障害や就労などに関するさまざまな専門相談に対応するとともに、福祉や教育、就労など、関係機関に対して情報提供や研修などを行っています。
 都は、支援センターが有するスキルやノウハウを生かし、多摩地区を初めとする市区町村を積極的に支援すべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤しょうこう議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩振興についてのご質問がございました。
 多摩地域は、東京の面積の二分の一を占める、また、人口では三分の一に相当する四百万人もの規模を擁するなど、東京の持続的な発展に欠かすことのできない地域でございます。
 一口に多摩と申しましても、地域ごとに課題や特性はさまざまである、そしてまた、効果的な振興策を講じていくためには、こうした地域の実情を的確に把握することは重要である、そのことはいうまでもございません。
 このため、多摩の振興プランの策定に当たりましても、都議会の議論を踏まえるとともに、私みずからも、多摩地域の住民を代表する全ての市町村長と直接意見交換を行うなどいたしまして、地域の実態の把握に努めてまいったところでございます。
 その中でご要望の多かった課題は、子育て、高齢者施策、防災対策、道路交通ネットワークの充実などでございまして、これらの施策につきましては、本プランにも盛り込んだところでございます。
 今後とも、積極的に現地に足を運びまして、市町村を初め関係機関の皆様とも一層緊密に連携をしながら、人口動向や産業構造、行財政制度など、地域特性を踏まえました振興策を着実に推進をして、多摩地域の持続的な発展につなげてまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩ニュータウン再生への技術支援についてでございます。
 多摩ニュータウンでは、かつて先駆的に整備された生活基盤を時代に合わせてリニューアルすることや、未利用地を活用して活気あるまちへと再生することが求められてございます。また、道路交通ネットワークの整備に合わせて、将来を見据えたまちづくりを進めることが必要でございます。
 このため、都は、これまでのまちづくりで得た経験やノウハウをもとに、地元市や都市再生機構などとも検討を重ねて、ガイドラインの素案を取りまとめ、公表してございます。
 今後、地元市等において、このガイドラインを再生に向けた指針として共有するとともに、都は、地元市による個々のまちづくりの具体化や都市計画など計画の見直しに際して、その検討の場に参画するなど、技術的支援を行ってまいります。
 次に、多摩ニュータウン再生に向けた都の関与についてでございます。
 都はみずから、南多摩尾根幹線など骨格的なインフラの整備を進めるほか、都営住宅の建てかえに当たって、土地の高低差をバリアフリー化するなど、誰もが使いやすいものにリニューアルしてまいります。
 また、残る未利用地等を活用して多摩イノベーションゾーンの一翼を担う機能を誘致するとともに、民間住宅団地でも、建てかえなどに際して多世代が交流する活気あるまちとなるよう、都市計画の見直しなどを行ってまいります。加えて、これらの取り組みが全国のニュータウン再生のモデルとなるよう、広く情報発信をしてまいります。
 今後、地元市や民間事業者などさまざまな主体と一層連携し、多様な世代が豊かに暮らせる活力あるまちの実現に向けて、多摩ニュータウンの再生に取り組んでまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 多摩の振興プランの推進体制についてですが、多摩の振興プランの実現に向けては、計画を着実に実施するとともに、状況の変化にも柔軟に対応していくことが重要と考えております。
 このため、多摩・島しょ振興担当の副知事を本部長とする多摩島しょ振興推進本部を多摩振興の推進力として有効に活用し、庁内連携を一層推進するとともに、本プランに掲げる取り組みの進捗状況について、毎年度調査、把握し、的確な進行管理を行ってまいります。
 また、地域の実情に精通している市町村と緊密に連携することはもとより、職員が日々の業務を遂行する上で、現地にも積極的に出向き、実態把握を行うなど、本プランに基づく施策がより地域のニーズに即したものとなるように努めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩地域の都市計画道路についてでございますが、多摩地域のさらなる発展を図るためには、交通、物流機能の強化、災害時の迅速な救急救援活動を担う都市計画道路の整備が重要でございます。
 多摩南北主要五路線は、既に八王子村山線など三路線が開通しておりまして、現在、府中所沢鎌倉街道線の西武国分寺線交差部等で工事を進めますとともに、東西主要四路線では、東八道路でJR南武線との立体交差工事、新青梅街道等で用地取得を進めております。
 今後も第四次事業化計画に基づきまして、立川東大和線や新五日市街道等の骨格幹線道路や、地域の防災性や安全性の向上を図るための地域幹線道路の整備を推進してまいります。
 引き続き、多摩地域の発展に資する都市計画道路ネットワークの整備に着実に取り組んでまいります。
 次に、北西部幹線道路の取り組み状況についてでございますが、北西部幹線道路は、多摩地域の交通利便性や防災性、活力向上に寄与いたしますとともに、圏央道と国道一六号を連結することで、川口地区における物流拠点とのアクセスを強化する重要な骨格幹線道路でございます。
 このうち、谷野街道から西寺方町までの延長約六・五キロメートルを第四次事業化計画の優先整備路線に選定いたしました。本区間は、まちづくり等とあわせて検討する必要があることから、昨年四月から八王子市と定期的に検討会を行っております。
 また、急峻な地形に計画されておりまして、トンネルや橋梁が必要なほか、交差道路との接続などの課題があるため、今年度から道路構造等の検討に着手いたしました。
 引き続き、多摩地域の一層の発展のため、市と連携を図りながら、事業化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 最後に、美山通りの復旧についてでございますが、あきる野市と八王子市を結ぶ都道六一号、通称美山通りは、本年十月の台風二十一号接近に伴う大雨により、民間事業者によって埋め立てられた箇所が大規模に崩壊し、約一・九キロメートルにわたり通行どめとなっております。
 現場では、崩落した約一万立方メートルもの土砂により沢の水がせきとめられ、道路上に水があふれたため、作業が難航しておりましたが、安全が確認された箇所から作業を開始し、鋭意土砂の撤去を進めております。土砂を撤去した後、道路の損傷状況を確認した上で、必要に応じて補修工事を実施しまして、年内には交通開放を行う予定でございます。
 引き続き、現場作業の安全に配慮しながら、道路の復旧に全力で取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、身近な地域での発達障害児者への支援についてでありますが、都は、発達障害児の早期発見、早期支援のため、福祉職や臨床心理士等による専門相談や保育所等への巡回指導を行う拠点の設置、成人期支援として発達障害者の社会参加のための訓練や就労支援などに取り組む区市町村を包括補助により支援しております。
 また、相談支援に携わる区市町村職員等を対象に、支援に必要な知識や実践的な技術などについての専門研修を実施しております。
 今後とも、発達障害児者が身近な地域で安定した生活を送ることができるよう、乳幼児期から成人期まで、ライフステージに応じた支援体制の整備に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、東京都発達障害者支援センターのノウハウを生かした区市町村への支援についてでありますが、都は、地域における発達障害児者への支援の取り組み状況等を把握し、支援体制の整備について指導助言を行うため、センターに地域支援マネジャーを配置をしております。
 地域支援マネジャーは、区市町村からの要請に応じて体制整備に向けた検討会に参画をし、専門的な助言を行いますとともに、支援機関等の対応能力の向上を図るため、困難事例を検討する研修などを開催しております。
 さらに今年度から、多摩地域において、地域の取り組み状況や課題等について情報交換を行い、行政や支援機関の連携強化を図るため、地域連携会議を開催しており、今後とも発達障害者支援センターを中心に、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時五十二分休憩

   午後五時十五分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十五番白戸太朗君。
〔六十五番白戸太朗君登壇〕

○六十五番(白戸太朗君) 都民ファーストの会東京都議団白戸太朗です。
 まず、東京湾の水質に関し質問させていただきます。
 二〇二〇年オリンピックのトライアスロンとオープンウオータースイミングの会場、パラリンピックのトライアスロン会場でもありますお台場海浜公園、こちらでは、過去二十年以上にわたり日本選手権が開催されており、延べ三千人以上の選手が泳いでいますが、今のところ大きなトラブルはありません。
 また、二〇〇九年から五年間にわたり、東京・マラソンスイミングが開催され、二〇一六年からは、日本選手権オープンウオータースイミングも開催されているところです。
 ちなみに、私自身も選手としてここを泳いだことがあります。水泳という競技の性格上、通常は水が口の中に入ってくるものなんですが、決して美しい海というわけではありませんので、さすがにこのときばかりは、口を閉じて泳いでいたのを覚えています。それでも、少なからず海水を飲み込んでしまうことには間違いありませんが、今のところ、おなかも下していませんし、体調は大丈夫でございます。
 一方、本年の夏に都と組織委員会が行った調査によりますと、晴天時と雨天の後の水質が顕著に異なっており、ことしの夏は雨が続いたこともあり、国際競技団体の定める水質達成日数は、調査日と比較して限定的なものでした。このため、大会会場であるお台場海浜公園に関して、IOC、そして国際競技団体であるITUから二〇二〇年大会時の水質対策を求められています。
 この要望に対して、東京都として、二〇一七年九月に調査結果と三重スクリーンの方法を提示しています。さらに、二〇一七年十二月末までにIOCに大会時の水質対策と水中スクリーンの性能を示すとなっています。
 そこでお伺いします。
 スクリーン手法が検討されていますが、その効果をどのように考えているのか、また技術評価はされているのか、またその費用の想定が出ていませんが、どのようなものなのか、お伺いします。
 世界中には多くの大会があり、決して水質のいいところばかりではありません。特に、まち中で行われる大会には入りたくないようなところもあるのですが、人間の適応能力の高さには本当に驚かされるばかりです。
 さらに、ロンドン大会、リオ大会と直前の二大会に関しては、水質には課題があったと聞いております。そう考えますと、東京大会が、より高みを目指しているということがよくわかるところでもあります。
 ただ、アスリートファーストをテーマに大会準備を進めている中で、この大会に対して都民の理解を得るためには、全体予算縮減も重大なテーマでございます。オリンピック・パラリンピックの際にはスクリーンで対策はとられますが、大会後はまた通常の状態に戻り、その状態で再びトライアスロン大会が開催されるわけです。それでも問題がないのは、この二十数年の歴史が証明しているところ。だとするならば、二〇二〇年大会の期間だけの措置というのは、さらなる検討が必要なのではないかと考えられます。
 先日、コーツ委員長からも、一千億円の縮減という目標が示されています。ここまで縮減の努力をしてきた東京都にとって、ここからさらに一千億円というのは簡単なことではないとは承知しておりますが、さらなるコスト縮減に向けた検討は必要なことだと考えます。
 コスト縮減が求められる中、この水質対策の実施について都の見解を伺います。
 そもそも、都として、この水質改善問題の根本的な原因をどのように捉えているのか、都の見解として、これまでこの大腸菌群に関しての原因言及はなされていません。しかし、原因を究明しない中での対策では、その効果も最大限に生かせないのではないかと憂慮しています。ぜひ根本的な原因究明をしていただくよう要望いたします。
 さらに、オリンピック・パラリンピックは、大会そのものだけが目的ではなく、それによって大会後に何を残せるかが大切だと思います。今回、競技会場としてお台場の水質がクローズアップされ、新たに都民や世界の目が、この東京湾に注がれるようになりました。
 こういったことを一つの契機として、身近な海の価値を改めて高めていく動きにつながってほしいと思っております。お台場から東京湾全体に目を転じれば、水質の代表的指標である科学的酸素要求量、CODの値は改善されつつあるものの、近年、横ばい状態が続き、環境基準が達成されていない箇所もあると聞いています。
 東京湾は、競技会場として注目されているだけではなく、都民や東京を訪れる人々にとって憩いの場でもあり、また、多様な生物が育まれる場でもあります。こうした価値は、良好な水質が保たれることを通じて、より高められていくと考えられます。
 二〇二〇年東京大会を契機として注目が高まっている東京湾については、これまでもさまざまな水質改善の取り組みがされてきたと思いますが、改めて、水質改善の取り組みについて知事の見解を伺います。
 次に、豊洲地区のにぎわいと活性化について質問させていただきます。
 豊洲市場の移転が来年十月の中旬に決まったと聞いております。これを契機に、市場が移転する豊洲地区の活性化をどう進めていくかを考えていくことは、地元江東区にとっても、東京都にとっても大変重要です。
 歴史と伝統があり、多くの観光客を引きつけてやまない築地市場が、地元江東区の豊洲地区にやってまいります。魚、果物など四季折々の自然の恵みが、最新鋭の設備を有する豊洲市場に全国から集まり、世界各国からの多くの人々が集い、豊洲のまちがにぎわっていく。さらに豊洲市場に隣接されるにぎわい施設が加わり、にぎわいはさらに大きくなる。
 こうした営みを通して、豊洲ブランドの歴史が始まり、紡がれていく。そんな光景を間もなく目にすることができると思うと大変うれしいところです。
 そこで、新市場と豊洲地区のにぎわいの関連をどのように構築していくのか、都の見解を伺います。
 豊洲地区は、環状二号線を初め交通網の整備も進み、リッチなベイサイドという資産に加えて、東京タワーを初め都心を一望できるすばらしいロケーションだと考えています。だからこそ、こうした地域資源を生かした豊洲地区のブランディングが必要です。
 その実現のためには、豊洲地区の住民が安心して暮らせる住環境の確保が大前提であります。その上で、豊洲ブランドを支えるにぎわいの創出には、短期的なはやりもののお祭り的なにぎわいではなく、継続性のあるにぎわいの創出が欠かせません。心豊かな日常生活を営む地元住民が創意工夫を凝らしてつくり上げるにぎわいは、集う人に心温まる共感を与え、豊洲地区のリピーターをふやすことにつながります。
 こうした地元のにぎわいを大きく発展させ、まちの個性につなげていくことが重要であると考えています。
 豊洲地区は、豊かな水域に囲まれている地区特性を生かした整備が進められており、誰もが楽しめる快適な水と緑のネットワーク形成を図ることのできる将来性のあるまちです。このまちの未来を考えれば、豊洲地区のにぎわい醸成はまだまだ始まったばかり。東京都として、ぜひ今後の積極的な取り組みを要望しておきます。
 次に、自転車保険について伺います。
 環境や健康志向を追い風に、自転車愛好家がふえるに従って、自転車事故が目立つようになってきました。特に問題になっているのは、被害者を高度障害もしくは死亡させてしまうことで負う高額な損害賠償請求。中には一億円を超える支払い命令もあり、自転車保険の必要性が問われています。
 自転車保険とは、自分がけがをしたときに治療費をカバーする傷害保険と、第三者の体に障害を与えたときによる損害賠償に備える個人賠償責任保険がセットになった保険です。主契約は傷害保険ですが、損害賠償金が高額になる事故がふえていることから、個人賠償責任保険が自転車保険のかなめになっています。
 ここ数年の交通事故全体に占める自転車事故の割合は二割程度で緩やかに減少していますが、平成九年には六百三十三件だった対歩行者との事故発生は、平成二十七年には四倍の二千五百六件、自転車同士の事故も六百三十七件から二千五百十九件と約四倍に膨れ上がっています。
 自転車で深刻なのは、加害者が子供や高齢者であっても、被害者のダメージには変わりなく、損害賠償請求額も同じ。自転車を利用する人は、必ずほかの車両と同様、自転車損害賠償保険に入っておくべきだと考えます。
 全国的にも自転車保険は義務化が進んでいます。これまで義務化された自治体は、兵庫県、大阪府、滋賀県、鹿児島県、京都府、名古屋市など、そして埼玉県、金沢市でも平成三十年四月から予定しています。
 現在、東京は、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例により推奨、つまり努力義務となっています。
 そこで、自転車数も自転車の事故数も多い東京として、今後、自転車保険に対してどのように対応していくのか、考えを伺います。
 都民の保険に対する意識を高めることは、被害者や、そして加害者の救済だけではなく、安全利用の意識向上にもつながるので、ぜひ加入促進に向けた取り組みを強化していただきたい。そして、保険加入だけではなく、自転車の安全利用を進めていくには、都のみならず、民間業者とも連携をして、社会全体で広く自転車の安全利用に向けた取り組みを進めていくことが効果的だと考えます。
 そこで、社会全体で広く自転車の安全利用に向けた取り組みを進めていけるよう、民間業者との連携を進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、安全対策は、現在広がりを見せるシェアサイクルにも必要であります。東京はもちろん、日本国内でも急速に伸びており、国内七十七の都市でシェアサイクルは導入されています。
 そして、シェアサイクルにおいても、事故が起きる可能性は同様。さらに、東京では観光客の急激な増加から、住民以外の利用増大が見込まれ、トラブルが起こった後の処理も大変重要になることが想定され、損害賠償保険の普及が望まれるところであります。
 このような懸念から、京都府、京都市、鹿児島県などでは既にシェアサイクルの賠償保険義務化をしており、金沢市、埼玉県等も平成三十年には義務化になることが決まっております。
 ぜひ東京におかれましても、早急な対応を要望し、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白戸太朗議員の一般質問にお答えいたします。
 東京湾の水質改善についてのご質問でございました。
 東京湾は、海浜公園、そして商業施設が存在するにぎわいの場であるとともに、干潟、水辺には多様な生物が生息しておりまして、快適な水辺を創出し、かつ貴重な自然環境を保全していく上で、水質の確保は極めて重要であると認識をいたしております。
 このため、都といたしまして、水質汚濁防止法に基づいて、事業所排水規制のほか、下水道施設の改善、汚泥のしゅんせつなどによりまして、東京湾の水質改善を推進しているところでございます。
 一方で、東京湾の水質でございますが、東京以外の都市の活動の影響も受けるなどの課題がございまして、広域的な対応が不可欠となります。
 今後とも、国や九都県市を初めといたしまして、近隣の自治体とも連携をして、汚濁負荷の一層の低減や住民意識の向上を図るなど、東京湾の水質の改善に向けまして、着実に取り組んでまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、お台場海浜公園の水質対策についてであります。
 都は、平成二十二年度から二十四年度にかけて、東京港の水質改善を目的として、お台場海浜公園内の一部において、水中スクリーンの実証実験を実施し、二重スクリーンでも水域外から流入する、ふん便性大腸菌群数を一定程度抑制する効果が確認されております。
 なお、本実験に要した費用は約二億円でございます。
 また、今年度実施したお台場海浜公園の水質確保調査におきまして、学識経験者等から水中スクリーンの設置は、水質対策として有効な手段であるとの意見をいただいております。
 今後、組織委員会や関係局と連携し、二〇二〇年大会におきまして、アスリートが安心して競技に臨めるよう、競技会場の水質対策を進めてまいります。
 続きまして、水質対策の実施についてでございます。
 二〇二〇年大会におけるトライアスロン競技及び水泳競技のマラソンスイミングでは、それぞれの国際競技団体が定める水質基準を満たすことが求められております。競技水域において、大会時に選手たちが存分に力を発揮できるよう、水質面で良好な競技環境を実現するための対策として、水中スクリーンは有効な手段であると考えております。
 今後、二〇二〇年大会では、費用対効果の高い対策がしっかりと講じられるよう、水中スクリーンの効率的な設置方法や競技運営面での工夫などについて検討し、コスト縮減にも努めてまいります。
 引き続きIOCや組織委員会と連携し、円滑な大会運営が可能となるよう、準備に万全を期してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場と豊洲地区のにぎわいについてですが、豊洲市場は、日本の中核市場として、全国の産地から新鮮な旬の食材が集まり、数多くの取引が活発に行われる活気にあふれる市場としていくことが重要でございます。
 また、千客万来施設と相まって、豊洲ならではのにぎわいを生み出すことも期待されております。
 このため、都は、千客万来施設事業を着実に進めるとともに、豊洲市場の屋上緑化広場や、市場外周部に設けた豊洲ぐるり公園を活用したイベントの実施など、江東区とも連携したにぎわいの場の創出に取り組んでまいります。豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化を図り、新たな豊洲ブランドの構築を目指してまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) 二点についてお答えいたします。
 最初に、自転車損害賠償保険への加入促進についてでございますが、都は、交通安全運動やリーフレットの配布など、さまざまな機会を活用して、保険の重要性の理解促進に努めてまいりました。
 昨年度、自転車安全利用条例を改正し、自転車販売時の安全利用の啓発を義務化したことを踏まえ作成したルール・マナー確認書に、賠償保険加入を具体例として示すことにより、全ての自転車購入者への周知を徹底しております。また、条例改正により、児童の保護者が賠償保険に加入するなどの措置を講ずる努力義務を新たに設けたところであります。
 自転車利用者が加害者となる事故が発生した場合には、高額な賠償責任を負うこともあるため、事故への備えとして保険加入は極めて重要であり、今後も、都民の理解促進に向け、あらゆる機会を捉えて積極的な啓発活動を進めてまいります。
 次に、自転車の安全利用促進に関してでございますが、社会全体で、自転車安全利用を進めていくためには、行政や警察だけでなく、民間事業者との連携協力も重要であります。
 都は、自転車安全利用推進者を選任して、安全利用に取り組む事業者を、自転車安全利用推進事業者とし、研修講師紹介や情報提供等の支援を実施しております。
 また、昨年度、損害保険会社と協定を締結し、これに基づき、当該保険会社はヘルメット着用時の死亡事故の際に、保険金を増額する保険の開発、販売、自転車販売時の啓発に使用するルール・マナー確認書の作成等を実施しております。
 こうした取り組みをより広範に展開することが重要であるため、今後、民間事業者との連携拡大に努め、交通安全教室やイベント等を通じ、幅広く連携事業を推進するなど、安全利用に向けた都民一人一人の意識を一層高めてまいります。

○議長(尾崎大介君) 九十七番岡本こうき君。
〔九十七番岡本こうき君登壇〕

○九十七番(岡本こうき君) 都民ファーストの会岡本こうきです。
 私はこれまで司法修習及び弁護士を通算して十二年間以上法律実務に携わり、企業法務、民事、家事、刑事とさまざまな案件にかかわってまいりましたが、その傍ら、この間、一貫して取り組んできた問題があります。たばこ問題、受動喫煙問題です。
 たばこを吸わない人が、他人のたばこの煙で健康被害や苦痛を受け、立場上、それを我慢し続けている社会というのは余りに理不尽です。
 私は弁護士として、日本で初めてインターネット及びメールで受動喫煙の法律相談を立ち上げました。そうしたところ、日本全国から、絶えず受動喫煙の法律相談が来ました。
 職場、近隣住宅、夫婦の離婚、家庭内の子供の受動喫煙など、数多くの苦しみの声を第一線で聞いてまいりました。また、受動喫煙をめぐる裁判を行い、判例や先例をつくってまいりました。
 我が国の受動喫煙の法規制は、WHOから世界最低レベルとされています。五十五カ国以上が飲食店やバーを含めて屋内全面禁煙義務の法律を制定しており、我が国は百二十五カ国よりも劣後していると分類されています。今もこの国、この東京の飲食店や居酒屋の多くは、たばこの煙が漂い、また、いまだに分煙すらされていないオフィス職場も存在します。
 なぜ日本は、受動喫煙防止の法制がこれほど大きくおくれてしまったのでしょうか。
 その答えは、我が国の、政官財の利権構造にあります。我が国は、たばこを国策として売ってきた珍しい国です。多くの国々では、たばこの製造販売会社は、民間企業あるいは外国企業であり、たばこ政策は、厚生省や保健省が所管し、規制を強めています。
 しかし、我が国は、日露戦争の戦費調達から、たばこを専売制にし、さらに、大蔵省のもとに専売局、後に専売公社を設置し、まさに国策として、たばこの製造販売をしてきました。今も財務省が、日本たばこ産業株式会社、JTの株式を三分の一超保有し、最大の株主です。
 こうした歴史的経緯から、我が国では、政治、官僚、産業による非常に強固な利権構造ができ上がり、まさにしがらみ政治を形成しています。
 これまで、厚生省、厚生労働省のたばこ対策、受動喫煙対策が何度も大蔵省、財務省、そして、たばこ族議員によって潰されてきた経緯があります。
 いよいよ二〇二〇年東京オリンピックが迫る中、またしても起きました。
 ことし三月一日、厚労省が、健康増進法改正のたたき台を発表しましたが、同月七日、これに反発して、自民党たばこ議連が対案を発表し、調整がつかず、国会に法案を提出できませんでした。自民党たばこ議連の議員らの政治団体が、たばこ業界の政治連盟から継続的に政治献金を受けていることも具体的に明らかにされています。
 その後、厚生労働大臣が変わり、先月十六日ごろの報道によれば、厚労省側が大幅に後退して、店舗面積百五十平方メートル以下の飲食店での喫煙を認める新たな案を自民党と調整しているとのことです。
 小池都知事の、一桁間違いではないか、本当にやる気があるのかとのコメントも報道されているところであり、まさに同感です。
 そこでお伺いします。
 百五十平米と三十平米とでは、法令の適用対象となる飲食店の原則と例外が逆転するのではないかと思うのですが、東京都が行った飲食店の実態調査における店舗面積百五十平方メートル以下、店舗面積三十平方メートル以下の飲食店のおのおのの割合について、一般飲食店とバー、スナックなどの遊興飲食店の別に伺います。
 なお、法律家の観点からいえば、そもそも面積で法の適用の有無を分けることは不公平であり、合理性に疑問もあります。もっと本質的に、人に焦点を当て、働いている人を受動喫煙から守るという観点で条例案を検討していただきたいと考えます。規制の例外については、面積よりむしろ労働者を使用していない一人経営者の店、あるいは労働者の意向を適切に反映できるような許認可性を検討していただきたいと思います。
 次に、喫煙専用室に関して発言いたします。
 我が国も批准している、たばこ規制枠組み条約、FCTC、その第八条のガイドラインは、換気、喫煙区域の使用は不完全で、屋内の職場と屋内の公共の場所について屋内全面禁煙を要請しています。建物内に喫煙室を設置することをWHOは推奨しないと明言しています。
 平成二十二年二月及び平成二十四年十月の厚労省健康局長通知においても、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきとされています。
 建物内の喫煙所は、あくまで例外的な措置であって、公的に推奨して公費を投じるべき性質のものではなく、あくまで店舗等が自費で設置することを許容するにとどめるべきです。
 そこで、産業労働局にお伺いします。
 都の分煙環境整備補助金は、方向性としてこれらに反するものであり、今後は廃止すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今後は、建物内の分煙に大きな予算を使うよりも、屋内喫煙所を廃止する費用や屋外、屋外の喫煙所の整備などに予算を投じることを検討していただきたいと考えます。
 また、抜本的な解決策として、本心は禁煙したいと望む喫煙者の助けとなるよう、禁煙治療の普及啓発に予算を回すことも検討していただきたいと考えます。
 次に、加熱式たばこについて伺います。
 加熱式たばこの健康リスクは、いまだ研究の途上ですが、ニコチンやホルムアルデヒドなどが排出されており、周囲の人々に悪影響を及ぼすおそれがあるとの見解も示されています。三月一日の厚労省の発表によれば、法案の規制対象には含めた上で、今後の研究などを踏まえて、後に政令で規制対象から除外可能とする方式を考えているようです。
 そこで、加熱式たばこに対する都の見解を伺います。
 以上のほか、条例制定に向けた知事の決意及び東京都子どもを受動喫煙から守る条例の普及啓発方法などについては、既に代表質問で取り上げましたので割愛いたします。
 繰り返しになりますが、日本の受動喫煙対策のおくれは、まさにしがらみ政治、政官財癒着の利権政治の典型であること、そして、政治家の問題であることを付言しておきます。
 次に参ります。
 一昨日の我々都民ファーストの会代表質問において、知事から、オリンピック憲章の精神を実現するため、条例化に向けた検討をするよう指示した旨の答弁をいただきました。
 これを踏まえて、LGBTとヘイトスピーチの差別解消について質問させていただきます。
 LGBTの方々が直面する困難としては、学校生活、親との関係、就職活動や就労先、特有の医療ニーズ、パートナーの入院先医療機関との関係、本人やパートナーが行政サービスや民間サービスを受けられない、住居の賃借、公営住宅の申し込み、トイレ、介護施設、避難所、里親の認定基準、地域コミュニティ、身分証明書、葬儀やお墓、生命保険、刑事事件の手続など、LGBTの方々が直面する困難は非常に広範、多岐にわたります。
 何が国政の問題で、何が都政において解決できる問題かをしっかりと整理、分類して検討し、できるところから着実に解決していただきたいと考えます。
 また、縦割り行政による個別断片的な対応ではなく、包括的、総合的に取りまとめ、検討を行う部署の設置も検討していただきたいと思います。
 平成二十七年、渋谷区が条例で、世田谷区が要綱で、同性パートナーの証書の発行を行う制度を開始しました。伊賀市、宝塚市、那覇市、札幌市でも同様の制度を採用しています。
 また、文京区男女平等参画推進条例や多摩市女と男の平等参画を推進する条例など、地方自治体レベルで性的指向や性自認を理由とする差別的な取り扱いの禁止を明記する条例も存在します。
 そこで、まず都の現状として、LGBTについて、都は現在どういった啓発活動や取り組みを行っているのかお伺いします。
 次に、ヘイトスピーチについて、我が国は、一九九五年に人種差別撤廃条約に加盟し、二〇一六年六月、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法が公布、施行されました。
 この法律は、禁止条項や罰則規定はなく、理念法とされ、具体的な抑止策については、地方公共団体に委ねられています。この点、東京弁護士会は、地方公共団体に対して人種差別を目的とする公共施設の利用許可申請に対する適切な措置を講ずることを求める意見書を公表しています。
 また、大阪市は、法律に先行して、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例を制定しました。大阪市は罰則を設けず、事後的な救済を内容とし、ヘイトのデモ活動や街宣活動の動画を削除要請する措置を行っています。また、被害者の訴訟費用の支援も検討されていました。
 そこでまず、都の現状として、ヘイトスピーチについて、都は現在どういった啓発活動や取り組みを行っているのかお伺いします。
 今後、LGBT及びヘイトスピーチに関し、先ほど述べた条例制定を含む他の市区の動向、また世界各国の立法の動向なども踏まえて、検討を進めていただきたいと考えます。改めて、都知事に差別解消に向けた検討の方針及び知事の思いをお伺いします。
 最後に、これらの問題は、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして取り組むべき課題であるだけでなく、現に、他人のたばこの煙で苦しんでいる人々、周りの偏見、無理解、いじめによって悩み苦しんでいるLGBTの人々、ヘイトデモによって生活の場を破壊され苦しんでいる人々、そうした現に苦しんでいる人々が存在する人権問題なのだということを強調した上で、その解決に向けた今後の都政に期待をして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 岡本こうき議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは、あらゆる差別の解消に向けた検討の方針についてお答えをさせていただきます。
 多様性が尊重されて、温かく優しさにあふれる東京、これが私の目指すダイバーシティーでございます。これは、いかなる種類の差別も許されないということが明記されているオリンピック憲章の精神に通ずるものでございます。
 二〇二〇年東京大会を成功させるためには、人権を尊重するという考え方を、大人だけではなくて未来を担う子供たち、また企業や教育機関などにもしっかりと浸透させていくことが大切だと考えております。
 そこで、二〇二〇年東京大会の開催に向けまして、オリンピック憲章の理念を東京のまちの隅々に行き渡らせ、都民の皆様と意識を共有するために、条例化に向けた検討をすることといたしました。
 今後、必要な取り組みを加速してまいり、都民の皆様とともに多様性が尊重され、温かく優しさにあふれるダイバーシティー東京を目指してまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、飲食店における受動喫煙防止対策の実態調査についてでありますが、都が本年七月から八月にかけて、都内二万店の飲食店を対象に実施した調査では、店舗面積について、一般飲食店から三千六百三十四店、遊興飲食店から二千八百二十四店、合計六千四百五十八店から回答をいただきました。
 そのうち、百五十平方メートル以下の割合は、一般飲食店は九二・三%、遊興飲食店が九五・三%でございました。
 また、三十平方メートル以下の割合は、一般飲食店は三一・三%、遊興飲食店は四六・二%であり、そのうち、従業員がいない店舗に限ると、一般飲食店は七・七%、遊興飲食店は一五・三%となっております。
 次に、受動喫煙防止対策における加熱式たばこの取り扱いについてでありますが、国が平成二十八年八月に発表したたばこ白書では、電気加熱式たばこと疾病との関連については、今後の研究が待たれるとしており、本年三月に厚生労働省が公表した受動喫煙防止対策の強化に関する基本的な考え方の案でも、現時点では受動喫煙による健康影響についての知見が十分でないとしております。
 一方、日本呼吸器学会は、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある、また、日本禁煙学会では、周囲の人々に危害を及ぼすとの見解を出しております。
 現在、国立保健医療科学院において、非燃焼加熱式たばこに関する研究が進められており、都としては、国の動向や都の基本的な考え方に寄せられた意見も踏まえながら、取り扱いを検討してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 分煙環境整備の補助制度についてでございますが、都は、東京を訪れる外国人旅行者が増加する中、快適な受け入れ環境を整備するために、旅の拠点である宿泊施設や、多くの旅行者が利用する飲食店において、多言語対応に取り組むことなどを条件に、平成二十七年度から分煙環境の整備に対する補助を行っているところでございます。
 今後は、本制度のあり方について、国の屋内禁煙に向けた検討状況、都において、制定に向けた検討を進めている条例の内容などを踏まえ、適切な対応を図ってまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、LGBTについてですが、性についての多様性があることへの理解を深め、LGBTへの偏見や差別をなくすことが重要であると認識しております。
 都はこれまでも、啓発冊子の発行や人権啓発イベントの開催など、さまざまな都民の理解を促進するための啓発活動に取り組んでまいりました。
 具体的には、リーフレット、性的マイノリティの人権を発行したほか、ヒューマンライツ・フェスタ二〇一七では、LGBTを題材にした映画の上映やLGBTに関するパネルを展示いたしました。
 今後とも、オリンピック憲章の人権尊重の理念を東京で実現するため、工夫を凝らした取り組みをより一層推進してまいります。
 次に、ヘイトスピーチについてですが、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチに対しては、都はこれまでも国に対して実効性のある対策を求めるとともに、外国人の人権をテーマにさまざまな都民への啓発を行ってまいりました。
 加えて、ヘイトスピーチ解消法の施行を踏まえ、都民への啓発をより強化するため、本年六月には「広報東京都」、都営地下鉄でのポスター掲出、渋谷や新宿における大画面での動画放映など、啓発を集中的に実施いたしました。
 また、本年八月と九月に、プロ野球やJリーグ、計四チームと連携し、球場や競技場でリーフレット等を配布し、主に若者に向けた啓発に努めました。
 今後とも、十分国とも連携しながら、啓発活動などの取り組みを推進してまいります。

○議長(尾崎大介君) 四十二番あかねがくぼかよ子さん。
〔四十二番あかねがくぼかよ子君登壇〕

○四十二番(あかねがくぼかよ子君) あかねがくぼかよ子でございます。
 働く母親として、待機児童対策、女性活躍推進、働き方改革について質問いたします。
 全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、自分の意思で個性と能力を十分に発揮できること、そして、職場、家庭、地域などあらゆる場面で活躍ができることを目指し、女性活躍推進法が昨年全面施行となりました。
 一方で、世界経済フォーラムの男女平等度を示すランキングによると、日本は、百四十四カ国中百十四位となり、過去最低を記録しています。女性の活躍を阻害している要因には、高度経済成長期を通じて形成されてきた固定的な男女の役割分担意識、偏見やさまざまな社会制度、慣行があると考えられています。
 働く女性がふえ、共働き世帯が主流となった今も、育児、介護など、家庭の役割を担い、仕事との両立に悩んでいるのは圧倒的に女性であります。男性も家庭の役割に貢献したくても、長時間労働や家計を支えるために仕事を優先せざるを得ない状態であります。
 都内の二十五から四十四歳の女性の就業率は七割を超えているにもかかわらず、三歳未満の子供のいる家庭の共働きは五割程度であります。改善の傾向にあるとはいえ、M字カーブの解消にはほど遠く、子育てと仕事の両立が困難であるということを示しています。
 都は大胆な待機児童対策により、女性が就労を諦めずに子供を産み育てられる環境整備を、従来にない規模で推進している点は高く評価をいたします。
 私の地元杉並区では、保育緊急事態宣言に基づき、精力的な保育所等の整備を行った結果、二十三区における認可保育所整備率は二十位から十二位まで上昇しました。待機児童を抱える家庭からは強く望まれていた整備であり、評価をしている一方で、地域の子供たちの遊び場、居場所であった区立公園までが保育所に転用されるなど、さまざまな犠牲の上に成り立っているということは認識しなければならない事実でもあります。
 このように、都心部での保育所の用地確保は大変困難であるため、都としても一層の協力をしていただきますよう要望いたします。
 一刻も早く預け先を確保しなければ働けない家庭にとっては、認可外保育所やベビーシッターなどが利用されているのが実態であります。また、不規則な勤務時間の方、病児、病後児、日曜、夜間などの保育ニーズには、保育所等では必ずしも対応ができません。
 つきましては、認可保育所一辺倒ではなく、ベビーシッターなども含めた保育サービス全体の拡充を希望いたします。
 認可外保育所やベビーシッターなどの利用料金が高額となる子育て費用については、税制上の優遇措置なども有効であると考えますが、都の見解をお伺いします。
 真の女性活躍のためには、待機児童対策による保育の受け皿を用意することはもちろん必要でありますが、それだけではなく、男女ともに働き方の柔軟性を高め、長時間労働を是正し、地域で共生できる社会を再構築するなど、日本社会が構造的に大きく転換していくことが必要不可欠であるという前提から、産業面での都の取り組みについて質問いたします。
 都は、中小企業を対象に女性活躍推進人材育成事業を行っています。具体的には、女性活躍推進についての責任者の育成及び行動計画の策定を支援する研修を実施し、約六百社に対して報奨金を支給いたしました。
 今後は、これらの事業に参加された中小企業に対して、実際に職場での女性活躍が進んでいるのか、効果測定及びより一層の普及啓発をすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都内で年間二万人以上の女性が出産や育児で離職をしているという実態を踏まえ、再就職支援についてお伺いします。
 福祉保健基礎調査によると、離職した母親が再び働くための条件の最たるものは、短時間勤務でありました。
 地元の杉並区で、子育てママ世代との交流会でいただいた意見でありますが、出産や育児で離職をし、専業主婦になった女性でも、末子が小学校に入学するころから社会参加への意欲が高まっていく傾向にあるということでありました。
 しかしながら、一般に募集がされている仕事は、その内容や条件面で希望と折り合いがつかないために、実際の就労にはなかなか至らないということであります。
 また、仕事のブランクが長くなればなるほど、復職に対しての本人の心理的なハードルは上がってしまい、意欲があっても、最初の一歩を踏み出すことにちゅうちょしてしまっている方が多いとのことです。
 都は、女性の再就職を支援する女性しごと応援テラスを三年前から提供しており、利用者の満足度は九割を超え、六五%が実際に復職に至っています。昨年度、新規利用者は千五百名程度とのことですが、毎年二万人以上の女性が、出産、育児で離職をしているのですから、潜在的なニーズはもっと多いはずであると考えます。
 また、短時間勤務が可能な案件を開拓しているとのことですが、より専門性や過去の経験が賃金に反映されるということも重要でありますので、その点も考慮した求人開拓についても積極的に進めていただきたいと考えます。
 今後、潜在的な利用者にどのようにアプローチをし、また、求人開拓をどのように進めていくのか、見解をお伺いします。
 次に、女性に対する創業支援について伺います。
 総務省調査によりますと、都内には、みずから創業をした女性起業家が十三万人存在しており、四十代以降で女性起業家の割合が高くなる傾向にあるとのことです。事業主や経営者の立場は、自己の裁量で仕事の場所や時間を決めることができるため、やりがいやワークライフバランスの観点からも女性の起業が今後期待されていますが、まだまだ男女差の大きな分野の一つでもあります。
 都は、TOKYO創業ステーション、女性ベンチャー促進事業などを通じた創業支援をことしから開始をいたしました。二〇二〇年度には年間五百人の女性が都の支援で創業を目指すことを目標としており、小規模、低リスクなものから、海外への事業拡大などスケールアップを目指す内容まで対応ができる支援内容となっています。
 東京都の創業支援については、まだまだ認知度が低いため、女性起業家の輩出に向けて、より一層の広報努力を行い、ロールモデルを早期に生み出し、女性起業家予備軍の裾野を広げる取り組みが必要と考えます。
 TOKYO創業ステーションでコンシェルジュが受けた相談によりますと、子育て中の女性の多くは、在宅で家庭生活を犠牲にせずにビジネスができることを最も重視しているということでありました。
 女性の創業を促進するには、低リスクで創業ができるビジネスモデルの提案が有効だと考えますが、見解をお伺いします。
 最後に、働き方改革についてお伺いします。
 長時間勤務と長時間通勤が東京の働き方のスタンダードになってしまっています。これは、女性が出産や育児で離職をしてしまう要因になっているだけではありません。超高齢化社会では、男性の介護離職にもつながる課題であります。長時間労働により心身の健康を著しく害し、自殺や過労死につながったという事件も看過できません。
 教職員の長時間労働も社会問題化しています。私の地元杉並区の先生方にお話を伺いましたが、保護者の要望は多様化、家庭環境は複雑化してきているため、児童それぞれへの対応にも、以前に比べて時間がかかるとおっしゃっていました。
 六月の都内公立学校での実態調査によりますと、週当たりの総在校時間六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当にある教職員が相当数いるということが明らかになりました。
 この実態については、保護者や地域に対して理解を求めていくということでありますが、教員への配慮につながる有効な方策であると考えます。ぜひ保護者などと課題の共有化を図られたいと考えます。
 教職員の働き方改革について、教員以外の人材の活用、ICT化支援については、代表質問でもお伺いをいたしましたが、そもそも学校業務全体を見える化し、業務内容、業務量の観点から定期的にチェックをして改善していくことが必要と考えますが、見解をお伺いします。
 都庁職員の働き方改革についてお伺いします。
 昨年十月から二十時完全退社などを進めてまいりました。その結果、全体で一割の超過勤務削減につながり、管理職初め職員全体の意識改革を促し、すぐに削減できる残業に対しては確実に成果が上がったと評価をいたします。
 一方で、本質的に多忙を極める部署、職種に対しては、長時間労働の是正は容易ではないと伺っています。該当の職員が健康を害することのないよう、抜本的な対策を図られたいと考えます。
 先月、知事による都庁働き方改革宣言がなされましたが、具体的な対策の内容についてお伺いします。
 最後に、働き方改革によって、男女平等参画を進め、仕事と家庭の調和がとれた、より充実した生き方を実現できる社会に向けて、全力を注ぐということをお約束をいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えいたします。
 私の方からは、都庁職員の働き方改革についてお答えをいたします。
 昨年十月、残業ゼロへの取り組みを一種のショック療法として開始いたしましたが、その後、都庁では、各現場ごとに超勤縮減へのPDCAを積み重ねて、効率的に仕事を終えて早く帰るという職場風土が着実に根づいており、この取り組みを継続、深化させる必要がございます。
 一方で、臨時、突発的な課題への対応や全庁の調整を行う部署などでは、ご指摘のように、依然として長時間労働が発生していることも事実でございます。その是正と職員の健康管理を徹底するために、ことしの十月から終業時と始業時の間に一定の時間を設定する勤務間インターバルや、土日連続勤務禁止をルール化いたしまして、全庁二十時完全消灯日を設定するなど、取り組みを強化しているところでございます。
 さらに、仕事改革の徹底によります効率化はもとより、フレックスタイム制の本格実施やテレワークの導入の拡大、また、一年単位の変形労働時間制といった新たな手法など、各職場の実態を踏まえた働き方の選択肢を幅広く整備をいたしまして活用していく必要がございます。
 こうした認識のもとで、先月、全局長とともに私自身、都庁働き方改革宣言を行ったところでございまして、各組織のトップの強いリーダーシップをもちまして、働き方改革をさらに加速させる、それぞれの職場で全ての職員が生き生きと働ける、生産性の高い都庁を実現してまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校における業務内容の見直しについてでございますが、教員の負担軽減に当たっては、業務内容や業務量を精査し、教員の業務の範囲を明確にすることにより、教員がその専門性を発揮できる環境を整備することが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、教員の勤務実態調査を実施し、出退勤時刻の状況を調べるとともに、個々の業務内容やその従事時間などについても把握をいたしました。
 こうした調査において明らかとなった教員業務の実態に加え、学校現場や区市町村教育委員会、保護者等からの意見なども踏まえながら、業務の縮減に向けた取り組みについて今後検討し、適宜改善を図ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 認可外保育施設等の利用者負担軽減に関するご質問にお答えいたします。
 働き方が多様化する中、子育て家庭は保育ニーズに合わせて、日中の子供の預かりサービスのほか、休日や夜間、早朝等のさまざまなサービスを利用しております。
 こうした家庭を支援するため、都は、昨年度の緊急対策で、職員配置や設備等の基準を満たす認可外保育施設を利用する保護者の負担を軽減する事業を開始いたしました。
 また、今年度から、保育認定を受けて認可外の居宅訪問型保育サービスを利用する場合も負担軽減の対象としております。
 国に対しましては、本年六月に子育て家庭の費用負担を軽減し、仕事と家庭を両立しやすくするため、子育て支援サービスに要する費用について、税制上の優遇措置を講じるよう提案要求しているところでございます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、女性の活躍推進についてでございますが、企業における女性の活躍を推進するためには、旗振り役となるキーパーソンが必要となりますことから、都は、経営者や管理職等を対象に、取り組みのノウハウを提供するセミナーを開催し、企業における推進責任者として養成を行っているところでございます。
 また、推進責任者が、みずから中心となって女性の活躍推進のための行動計画を策定できるよう、社内の現状分析や改善策の検討方法などに関する研修も行っております。
 さらに、推進責任者を集めた企業交流会を開催し、グループディスカッション等を通じて他社の取り組み事例を学べる機会も提供しているところでございます。
 今後は、参加企業に対するアンケートを通じて、課題や効果等を把握するとともに、すぐれた事例を広く発信することで、企業における女性活躍を一層推進してまいります。
 次に、女性の再就職支援についてでございますが、都は、出産や育児等で一旦退職した女性が再び社会で活躍できるよう、女性しごと応援テラスにおいて、相談から職業紹介までワンストップでサポートをしております。
 再就職に関心があっても、具体的な行動に踏み出せない状況にある女性をテラスの利用につなげるため、地域に身近な区市と連携をいたしまして、就職活動の心構えやノウハウを学ぶセミナーを各地で開催いたしますほか、都内六カ所で啓発イベントを実施いたしまして、テラスでの支援内容や再就職の事例等を紹介しております。
 また、テラスの求人開拓に当たりましては、専任アドバイザーによるカウンセリングを通じて利用者の経験やスキルをきめ細かく把握し、求人企業の掘り起こしに生かすことで、マッチングの効果を高めております。
 今後もこうした取り組みにより、女性の再就職を積極的に後押ししてまいります。
 最後に、子育て中の女性に対する創業の支援についてでございますが、都内での創業の活性化に向け、起業に取り組む女性が子育てなどと両立が可能な適度の負担と規模で経営のできる事業の立ち上げを支援していくことは重要でございます。
 このため、都は、TOKYO創業ステーションにおいて、女性が日ごろの経験や趣味などを生かした小規模な起業のプランをつくる場合に役立つ講習を行っております。
 また、創業に向けた計画について、子育てなど女性の起業家の抱えるさまざまな状況も踏まえた内容となるよう、専門家が担任制できめ細かくサポートをしております。これらにより実現した創業の事例に関して、パンフレットやホームページなどを通じて幅広く発信することにより、女性のさまざまなニーズに応じた起業を促してまいります。

○議長(尾崎大介君) 四番鈴木邦和君。
〔四番鈴木邦和君登壇〕

○四番(鈴木邦和君) 都民ファーストの会東京都議団の鈴木邦和です。
 本日は、情報公開の理念と技術に基づいた都民参加型の新しい行政、そして公共サービスについて質問いたします。
 初めに、インターネット投票について伺います。
 電子政府の最先端を走るエストニアでは、既に国政選挙におけるインターネット投票が実現しております。ネット投票における主要な課題の一つはセキュリティーです。しかし、電子決済が広く普及し、ブロックチェーン技術なども発展する中で、その課題は克服されつつあります。
 また、投票における秘密の保護の問題についても、エストニアでは、期間中に何度も投票できる仕組みを導入することで解決しています。
 こうした中で、先月、我が国の河野外務大臣は、再来年の参院選を目指すくらいの気持ちで、在外投票におけるインターネット投票を導入したいという考えを示されました。
 また、総務省は、インターネット投票の導入を検討するため、年内にも有識者による研究会を立ち上げるとの報道も数日前に出ております。今、日本においても、インターネット投票への機運はにわかに高まりつつあります。
 そこで、国政の都内選挙区選挙の管理は、東京都の選挙管理委員会が行うわけですが、将来的にインターネット投票を国が導入した場合に、どのような点を歓迎し、また、どのような点に課題を感じるか、知事の見解を伺います。
 次に、都の広聴事業について質問いたします。
 議会や行政が直接把握できる都民の声には限りがあります。投票時以外に都民の声をどのように聞き、また、都政に反映させていくかというのも重要なテーマです。
 こうした広聴事業に関して、海外では新しい動きが広がっています。例えば、モスクワ市では、市長が市民にアプリを通じて毎週質問を実施し、質問に対する市民の回答を政策に直接反映させています。
 最近では、家事サービスの分野でどのような専門職が必要かといった政策ニーズを把握するための質問や、来月の市のイベントに呼びたいゲストは誰かなどといった市の広報に寄与する質問が行われていました。
 モスクワでは、現在、百九十八万人の市民がこのアプリを利用しており、市の人口のおよそ二〇%に達する利用者になっております。市民が投票以外の方法で政治に参加する新しい民主主義の形といえるかもしれません。
 そこで、モスクワ市では、さきの事例のように、インターネットを利用したアンケート調査によって広聴を実施しておりますが、都ではどのような広聴事業を実施しているのか、都民の声をどのように都政に反映しているのか、伺います。
 続いて、都民による事業提案制度について質問いたします。
 先ほどの広聴事業からさらに一歩進み、住民が政策の立案や決定にかかわることで、行政サービスの質をより向上させている都市もあります。
 この分野において、世界で最も先進的な取り組みを行っているのがパリ市です。パリ市は、市の年間予算の一%から五%を市民が直接決めています。市民が毎年提案する事業を公開した上で、インターネット投票によって、市が実施する事業を市民が直接決定するのです。
 この制度によって、パリ市では、市民に熱望されていたスケートリンクが完成しました。そのほかにも、市民による斬新なアイデアが政策のプロである行政によって次々に実行されてきました。
 東京都でも、今年度より、日本の都道府県では初めて、都民による事業提案制度を開始しました。これは大変画期的な取り組みであると私は考えております。
 今年度は、制度の準備期間が短かったことから、事業応募の際には入力フォームがなく、スマホからの応募が難しい状況でした。しかし、先ほどのパリ市で制度が普及した事例を踏まえると、今後はより都民が参加しやすいようなUIやデザインの工夫を重ねていく必要があります。
 そこで、今年度の具体的な取り組み状況と来年度の事業継続に向けて、本制度の周知の改善及び多くの都民に参加を促すための施策について、知事の見解を伺います。
 続いて、政策評価の可視化について質問いたします。
 オープンデータの活用を実施しているボストン市では、市役所の一つ一つの事業の進捗をグラフにして、ウエブサイトで公開しています。ボストン市役所の成績表ともいわれるこのサイトは、多くの市民が日々関心と信頼を寄せているものです。
 東京都でも、小池知事による総合計画として、昨年十二月に二〇二〇年に向けた実行プランが策定され、公表から一年が経過しました。このプランに掲げられている事業については、その進捗状況が都のホームページで確認できるようになっています。
 都の総合計画について、その進捗状況や成果を都民と共有していくという取り組みは高く評価しております。
 今後は、ボストン市のように、各事業の成果をグラフによってビジュアル化するなどの工夫をすることで、都民の都政への関心をつなげていくべきと考えています。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランの内容や進捗状況を都民としっかりと共有し、効果的な政策展開につなげていくための取り組みについて伺います。
 次に、行政サービスから公共サービスに視点を広げ、満員電車解消の取り組みについて質問いたします。
 都内の満員電車は大きな社会問題であり、車内の混雑率は依然として高い水準にあります。
 現在の混雑率は、朝の時間帯に特定の区間において、定期的に人手によって計測されたものです。しかし、実際には計測の対象となっていない区間や深夜の時間帯などでも、満員電車が発生しているという利用者の声も多く聞こえています。深夜帯であれば、車両の増便などで対応可能であるため、満員電車の問題を扱う上で、まずは全時間帯、全路線における混雑率の正確な測定が重要です。
 山手線では、車両のサスペンションを用いて、そのときの重量によって混雑率を自動で計測し、データを収集する仕組みがあります。ほかの路線にもこの仕組みを導入することで、これまで調査してこなかった区間や時間帯のデータを収集、蓄積するなど、混雑状況をより詳細に把握するべきだと考えます。
 そこで、都営地下鉄における重量センサーなどを活用した車両の混雑状況の把握について、これまでの混雑緩和の取り組みとあわせて、都の見解を伺います。
 最後に、時差ビズについて質問いたします。
 ロンドンやシンガポールでは、交通需要の分散を目的とした時間差料金制を導入しています。この時間差料金制は、例えばピーク時には乗車賃を上げて、通常時には乗車賃を下げることで、需要の分散を行うというものです。
 現在、シンガポールでは、朝七時半まで都心部への電車移動が無料となっています。この時間差料金制の導入によって、実際にシンガポールでは、ピーク時の混雑率が減少しました。
 日本の鉄道事業ではなじみが薄いかもしれませんが、例えば航空事業やホテル事業では、日本でも需要に基づいて料金を柔軟に変更しており、合理的な料金制システムの一つだと考えられています。
 一方で、交通系ICカードが普及しており、複雑な鉄道網を持つ首都圏において、時間帯別に運賃を設定するには、全ての鉄道事業者で実施することが必要であるなど、実現するには多くの課題もあります。
 東京都も、満員電車対策として、今年度より時差ビズを開始していますが、時差ビズによってピーク時の混雑緩和を実現するためには、やはり鉄道事業者の取り組みも不可欠です。特に、海外事例を踏まえると、利用者へのインセンティブ付与が極めて重要であると考えます。
 そこで、時差ビズによって利用者の実感を伴う混雑緩和を実現するために、鉄道事業者が今後拡大していくべき需要分散の取り組みについて、都の見解を伺います。
 今世界は、国家ではなく都市が新しい民主主義をリードする時代を迎えています。東京は、これから海外の都市と、経済や文化だけでなく、政治においても、また競争していかなければなりません。そのさなかにあって、情報公開を掲げる小池知事がこの東京に誕生し、都政に多くの都民の関心が向けられたことは、揺るぎない前進です。
 情報公開のその先に、都民とともに新しい政治を進めていくことを改めて決意いたしまして、私の質疑を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 鈴木邦和議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、インターネット投票についてのご質問でございます。
 インターネットを利用した投票が可能となるならば、投票所の立地であるとかその日の天候、時間的制約などに左右されることはなく、投票する人の利便性の向上が期待できるとの意見がございます。
 一方で、本人確認の確実な実施や、セキュリティーの確保、投票の秘密の保持など、実現には多くの課題があることも指摘されているところでございます。
 我が国の選挙制度の中核をなす投票方法のあり方にかかわる事柄でございますので、法整備が不可欠となることはいうまでもございません。よって、国において十分に議論が尽くされる、まずはその必要があると考えます。
 今後、国の検討の動向も見守ってまいりたいと思います。
 二つ目に、都民によります事業提案制度についてのお尋ねがございました。
 私が推し進めてまいりました東京大改革の要諦は、まさに都政を透明化して、都民とともに進める都政を実現することでございます。そして、平成三十年度におきましても、改革の取り組みをさらに加速させるため、予算編成過程に一人一人の都民の皆様の声を直接反映させる取り組みとして、この制度を試行的に実施しているところでございます。
 具体的には、九月二十九日から十一月七日までの四十日間、都民目線の身近なアイデアなど、多くの都民から二百五十五件のご提案をいただきました。その後、各局が新たな発想の活用や実現の可能性などの視点から検討を行いまして、きょうの二時からインターネットなどによる投票を開始したところでございまして、この結果は、平成三十年度の予算案の中で発表することといたしております。
 今後の実施に当たりましては、より多くの都民にご参加いただくための、ご指摘がありましたように、UIやデザインの工夫、そして利用しやすい環境づくりが重要と認識をいたしておりまして、ご指摘の内容も踏まえながら、さらなる発展に努めていきたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 鉄道の混雑緩和についてでございます。
 都は、鉄道事業者と連携し、新線の建設や既存路線の複々線化など、輸送力の増強を進めてまいりましたが、なお残る鉄道の混雑状況を改善し、より快適に通勤できるよう、時差ビズを展開してございます。
 この実施に当たっては、企業などに時差通勤やテレワークなどをお願いし、鉄道事業者には、オフピーク通勤者に対する特典の付与、混雑している時間帯や列車を知らせる混雑の見える化、早朝における臨時列車の運行などの取り組みを働きかけ、すいている時間帯へのシフトを促してございます。
 今後、企業等と連携してさまざまな工夫を取り入れながら、混雑緩和に向けた機運を醸成するとともに、鉄道事業者の取り組みのさらなる拡大を図ってまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 広聴事業と、そこで得られた都民の声についてでありますが、都民の声を行政運営や施策に活用することは重要であり、都では、統計的手法を用いた世論調査やインターネットによる都政モニターアンケート、計画立案の際に募集するパブリックコメントなど、さまざまな手法を用いまして都民の意向を把握しております。そして、これらの結果を参考にいたしまして、各局におきましては、施策や事業の実施に生かしているところでございます。
 また、日々、都民の声総合窓口及び各局で受け付けている意見や要望につきましては、昨年秋から、都政改革の取り組みの一環として、全ての局のホームページで対応事例を速やかに公表することといたしました。
 今後とも、都民の多様な声をさまざまな手法を用いて受けとめてまいります。
〔政策企画局長遠藤雅彦君登壇〕

○政策企画局長(遠藤雅彦君) 二〇二〇年に向けた実行プランに係る政策展開についてでございますが、実行プランでは、可能な限り数値化した政策目標を定めるとともに、各政策の年度別の進行を明瞭化した四年間の工程表を作成しております。
 これに基づき、本年九月には、各政策に係る取り組みの進捗状況や課題を取りまとめて公表し、また都民からの意見募集も実施をいたしました。現在、これらも踏まえ、政策の強化に向けた検討を進めております。
 今後とも、ホームページの内容について不断の改善を行うなど、都民にしっかりと伝わる工夫を凝らすとともに、さらなる政策の強化につながる手だてを講じ、プランの目指す新しい東京が実現できるよう努めてまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営地下鉄における混雑状況の把握についてでございますが、交通局では、定期的に実施しております乗客量調査等によりまして混雑状況を把握し、必要に応じてダイヤ改正や車両の増備を行うなど、輸送力の増強を図ってございます。
 また、本年夏に実施いたしました時差ビズキャンペーンに合わせ、各路線の最混雑区間における混雑状況を見える化し、ポスターやホームページで公表いたしまして、時差出勤等への協力を呼びかけております。
 お話にございました、重量センサー等を活用し、混雑状況のデータを収集、蓄積するためには、車両の大規模な改修等を伴いますことから、現時点での導入は困難でございますが、車両の更新等に合わせた導入につきまして検討してまいります。
 今後とも、輸送需要の動向等を見きわめつつ、ハード、ソフト両面から混雑対策に取り組んでまいります。

○議長(尾崎大介君) 二十七番おときた駿君。
〔二十七番おときた駿君登壇〕

○二十七番(おときた駿君) 初めに、市場移転問題についてお伺いいたします。
 移転問題は、まさに混迷のさなかにあります。
 小池百合子知事が基本方針を発表してから、早くも約半年が経過をいたしました。しかし、江東区、千客万来施設、築地市場関係者全ての理解を得られないことから、移転の展望が描けない状態となっています。
 築地市場を売却せずに、賃料として年間百六十億円以上の収益を生み出す。この基本方針は、発表時点では全く不可能なことではなかったのかもしれません。ですが、今なお肝心な築地再開発の実現可能性が示せず、主要関係者の賛同が一切得られない状態を見れば、残念ながら、一連の知事の移転政策は、政策判断として間違ったものであったと判断せざるを得ません。
 であれば、何より、安全宣言の先送りなども含む知事の市場移転に関する判断をこれまで支持してきた私自身、その過ちを認め、都民、関係者の皆様におわびしなければなりません。まことに申しわけありませんでした。
 そして、改めてその上で、環状二号線の着工も迫る今、この事態を打破する提案をさせていただきたいと思います。
 それは、現在、次年度予算として中央卸売市場から五千七百万円が要求されている築地再開発の検討予算、これをゼロにすることです。すなわち、築地再開発の検討は、有償所管がえを前提としてその条件を検証するにとどめ、年度内の完結を目指すことであります。
 跡地利用を従来の方針に戻せば、千客万来施設の事業者は納得され、地元江東区の了承も得られます。築地市場の関係者のもとには、知事みずからが足しげく通い、誠意を尽くすことで理解を求めるほかありません。
 知事、この市場移転問題については、私たちは明確にその判断を誤りました。しかし、古来より、過ちては改むるにはばかることなかれとも申します。率直に一連の間違いを認め、築地再開発については、次年度予算を含む抜本的な見直し、撤回を行い、関係者のもとに早急に足を運ぶべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、築地再開発検討会議についてお伺いいたします。
 現在まで二回が開催されたものの、結論が出るのは来年五月と、知事が標榜するスピード感とはかけ離れたスケジュールとなっています。著名な有識者を集めれば集めるほど、会議の開催や意見集約は困難をきわめ、事態の先送りという批判を招きかねません。
 さきに述べたように、議論の内容は、有償所管がえを前提とした条件面など、最小限の議論にとどめる改善を行い、遅くとも今年度末、三月末までには検討会議及びその取りまとめを完結させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、議論の進め方にも強い疑念があります。検討の前提として、築地の再開発に当たっては、年間百六十億円の賃料を生み出すこと、千客万来施設との整合性を図ること、環状二号線の開通が急務であることなど、絶対に動かすことのできない前提条件が存在します。こうした前提がきちんと共有されていれば、扇形の建物を残すなどの発想は出てこないはずであります。
 自由にも限度があり、前提条件の共有されていない議論には大きな意味が感じられません。各委員の方には、どのように現状が説明され、どのような依頼がされているのか、所見をお伺いいたします。
 最後に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 かつて都民が知事に寄せた期待は大きくしぼみ、今や不支持率が支持率を上回る状態にあります。その最たる要因は、知事が公約の一丁目一番地として掲げた情報公開が、特に、知事自身について不十分だからではないでしょうか。
 市場移転を例に申し上げれば、小池知事は、石原慎太郎元知事の意思決定について、なぜ豊洲だったのかわからないと強く問題視をされました。その発言は世論を大きく動かし、都議会も百条委員会を設置するに至りました。
 一方で、小池知事自身は、豊洲と築地、双方を生かすという意思決定について、AIだからです、回想録に残すことはできると、最終的には自身の中でのみ政策判断をしたと主張されています。
 それも一つの手法としては認められます。手続上の瑕疵もないのでしょう。しかしながら、片や前任者の情報公開、説明責任の不徹底を責め、片や自分自身にはその厳しい基準を当てはめないという二重基準となる政治姿勢こそが、都民の不信を招いたのではないでしょうか。
 小池都政になって、行政機関の情報公開が飛躍的に進んだことは高く評価をいたします。一方で、小池知事自身の政治判断や、あるいは知事が顧問を務める組織において、新たなブラックボックスが生み出されている。そんな懸念を私は払拭することができません。
 小池知事の情報公開、説明責任に対する姿勢を、この場で改めてお伺いをいたします。
 そして、私たち、かがやけTokyoは、小池知事が都知事選あるいは都議選で掲げた東京大改革、特にその柱となる情報公開やしがらみのない政治、古い議会を新しくという理念に真に基づかれて行動する限り、その改革をともに進め、力強く支援していくことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○知事(小池百合子君) おときた駿議員の一般質問にお答えをいたします。

○議長(尾崎大介君) 済みません、そこの青い方、再三注意しておりますので、退場を命じます。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) 退場を命じていますよ。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(尾崎大介君) 退場を命じています。
〔傍聴席にて発言する者あり〕

○知事(小池百合子君) それでは始めさせていただきます。
 おときた駿議員の一般質問にお答えいたします。
 築地の再開発についてのご意見でございました。
 築地は、将来の東京にとりまして極めて重要な役割を担うエリアであることは、ご存じのとおりであります。さまざまなポテンシャルを最大限に活用して、よりよいまちづくりができるよう、しっかりと検討を重ねてまいります。
 豊洲市場の開場に向けましては、安全性を高めるための追加対策工事などを着実に実施していく、そのために、一つ一つ手続を進めているところでございます。これらを着実に履行することが、私としての役割と心得ております。
 情報公開と説明責任についてのご質問でございました。
 組織のトップである以上、特に政治におきましては、政策判断は常に発生するものでございまして、さまざまな意見を参考にしながら知事として判断するのは、当然のことと考えております。
 これまでの都政における問題として、政策判断に至るまでの情報が全く見えてこなかったことを指摘してまいりました。
 そのため、東京大改革の一丁目一番地として、情報公開に積極的に取り組んできたところでございます。情報公開条例も改正をして、都民の皆様が行政情報にアクセスしやすい環境を整えさせていただいたところでございます。
 そして、私自身につきましても、会議の公開、予算編成過程の透明化、公務日程のホームページの掲載など、都庁組織と一体となりまして、情報公開を進めながら、さまざまな場面で発信を行い、説明責任を果たしているところでございます。
 今後も、都政の透明化をさらに推進いたしまして、説明責任を果たすことで都民の皆様の共感をいただいて、さまざまな課題の解決につなげていきたいと考えております。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、築地再開発の検討についてでございます。
 将来の東京にとってよりよいまちとなるよう、しっかりと検討を行う必要がございます。したがって、検討には一定程度の時間を要するものと考えてございます。
 会議では、経営、文化、まちづくりなど、幅広い分野で活躍されている委員の方々に、自由な発想で検討を重ねていただき、来年五月を目途に、築地まちづくりの大きな視点を取りまとめていくこととしてございます。
 次に、検討会議の委員への説明や依頼についてでございます。
 検討会議の委員に対しては、会議の目的や設置までの経緯のほか、築地エリアの歴史や特徴などについて説明してございます。その上で、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、自由な発想で幅広いご意見をいただくこと、また、まちづくりの大きな視点を整理していただくことなどをお願いしてございます。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(尾崎大介君) これより日程に入ります
 日程第一から第七十まで、第百六十四号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例外議案六十九件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事川澄俊文君。
〔副知事川澄俊文君登壇〕

○副知事(川澄俊文君) ただいま上程になりました七十議案についてご説明申し上げます。
 初めに、第百六十四号議案から第百八十五号議案まで及び第二百二十四号議案から第二百三十三号議案までの三十二議案は条例案でございます。
 まず、新設の条例が三件ございます。
 第百六十八号議案、有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、有明アリーナの公共施設等運営権に係る実施方針に関し必要な事項を定めるものでございます。
 第百七十五号議案、東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例外一件は、平成三十年度からの国民健康保険新制度の施行に向け、交付金の交付及び納付金の徴収に関し必要な事項を定めるものでございます。
 このほか、同制度の施行に向け、一部を改正する条例が二件ございます。
 一部を改正する条例は二十九件でございます。
 第百六十四号議案、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例は、青少年に係る児童ポルノ等の提供を当該青少年に対し不当に求める行為を禁止するほか、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部改正を踏まえ、規定を整備するものなどでございます。
 第百六十五号議案、東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例は、地方独立行政法人法の一部改正を踏まえ、委員会の所掌事務を規定するものでございます。
 第百六十六号議案、東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例は、職員の再就職情報の公表対象を拡大するものでございます。
 第百六十七号議案、東京都都税総合事務センター設置条例の一部を改正する条例外二件は、事務所及び施設の移転を行うものでございます。
 第百七十四号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例は、公営住宅法の一部改正を踏まえ、認知症患者等で収入報告等が困難と認められる入居者の使用料に関する規定を整備するものなどでございます。
 第百八十号議案、東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例は、産業貿易センター浜松町館の再開に伴い、必要な事項を定めるものなどでございます。
 第百八十二号議案、東京都立公園条例の一部を改正する条例は、都市公園法の一部改正による公募設置管理制度の創設を踏まえ、公募対象公園施設の使用料について規定を整備するものなどでございます。
 第二百二十四号議案、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例外四件は、退職手当の支給率等を改めるものでございます。
 第二百二十六号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外三件は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 第二百三十一号議案、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例は、職員の柔軟で多様な働き方を推進するため、フレックスタイム制勤務職員に係る規定を整備するものなどでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが八件ございます。
 第百八十六号議案から第百九十六号議案までの十一議案は契約案でございます。
 第百八十六号議案、警視庁本部庁舎(二十九)大規模改修工事請負契約など、契約金額の総額は約二百七十億六千万円でございます。
 第百九十七号議案から第二百二十三号議案までの二十七議案は事件案でございます。
 第百九十七号議案外二件は、地方独立行政法人法の一部改正に伴い各法人の定款を変更するもの、第百九十八号議案外二十件は、公の施設の指定管理者を指定するもの、第百九十九号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成三十年度の発売限度額を定めるもの、第二百二十二号議案及び第二百二十三号議案は、東京消防庁の消防・救急デジタル無線設備及び無停電電源装置を買い入れるものでございます。
 上程になりました七十議案の説明は以上ですが、このほか人事案を送付いたしております。
 東京都公害審査会委員でございます。
 一名の欠員がございますので、大津真弓氏を任命いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(尾崎大介君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 人事委員会の回答は、第百六十六号議案、第二百二十六号議案から第二百二十八号議案及び第二百三十号議案から第二百三十二号議案について、いずれも異議はないとの意見でございます。

二九人委任第八六号
平成二十九年十一月二十九日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十九年十一月二十四日付二九議事第四三六号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百六十六号議案
東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百二十六号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百二十七号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百二十八号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
五 第二百三十号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
六 第二百三十一号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
七 第二百三十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第七十までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第七十までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都公害審査会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔松丸議事部長朗読〕
一、東京都公害審査会委員の任命の同意について一件

二九財主議第四八〇号
平成二十九年十二月一日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 尾崎 大介殿
東京都公害審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を東京都公害審査会委員に任命したいので、公害紛争処理法第十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     大津 真弓

      略歴
現住所 埼玉県上尾市
大津 真弓
昭和五十年八月十日生(四十二歳)
平成十四年三月   産業医科大学医学部卒業
平成十四年五月   福岡徳洲会病院研修医
平成十七年六月   産業医科大学産業医実務研修センター専門修練医
平成十九年四月   三菱電機株式会社姫路製作所専属産業医
平成二十三年六月  パナソニック株式会社アプライアンス社草津西健康管理室専属産業医
平成二十四年四月  自治医科大学附属病院専属産業医(医学部助教)
平成二十六年十一月 ひまわり産業医・労働衛生コンサルタント事務所代表
平成二十七年十二月 埼玉県公害審査会委員
平成二十九年三月  自治医科大学大学院医学研究科博士課程修了
現在        ひまわり産業医・労働衛生コンサルタント事務所代表
埼玉県公害審査会委員

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) 追加日程第二、議員提出議案第二十号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十号については、趣旨説明を省略し、財政委員会に付託されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十号は、趣旨説明を省略し、財政委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(尾崎大介君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十三件及び陳情二十八件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託をいたします。
(別冊参照)

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。よって、明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了をいたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時五十六分散会

ページ先頭に戻る